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田名部匡省君 やったことが悪いとかいいとかという話ではなくて、やっぱりルールに基づいてきちっとやるということにしておかないと、将来いろんなの起きたときに問題になりますよという
心配をして申し上げているんです。
それから、私は前からもう
日本の
スポーツ、
大臣は
スポーツの
振興はこれから重要な問題だと、こういう話で大変心強く思っているんですけれ
ども、私は中体連、高体連というものにいつまでも依存する
日本の
スポーツをやっておってはだめですよと、それから企業
スポーツに依存し過ぎてもだめですよと。やっぱりカナダ、アメリカ、私はアイスホッケーが専門ですから、向こうの国を見ていると
日本みたいなことをやってないんですよ。高等
学校でやる部活というのはありますけれ
ども、お遊びなんですね。本当にプロになろう、オリンピックに行こうというのは、そこの市のクラブチームに入って一流の
指導者から教わるんです。そうして、年齢が二歳刻みで、ちょうど
日本だと一年生二年、三年四年、五年六年、
中学校一年二年、三年とその上というふうに、十七、十八がジュニアといって、ここからプロに入ってくるんですね。ですから、都市との交流の試合が多い。
ところが、
日本はいまだに中体連の大会、高体連の大会とやっています。
学校は少子化で
子供はどんどん減ってくる。青森県でも闘魂旗というのを争っていますよね、高校総体で。
学校の生徒が少なくなると全部の部活はできないんですよ。そうすると、大きな
学校の強いところにみんな選手は集中しちゃう。例えば、バスケットは能代工業に行けと。なぜかというと、うまい選手は下手なのと一緒にやっていると毎回一回戦負けなんですよ。そうすると、大会が五つあったって五試合しかやれない。強ければ決勝まで行って優勝する。やがては大学へ行って
スポーツで身を立ててプロになろうなんという人たちは弱いところに行かなくなっちゃうから、最近はみんなその県に二、三校強いところがどんどんできていくと、こういう形になってきているんですね。
さっきから心理学の話もありましたけれ
ども、私が全
日本の監督を五年やったときに、カナダの神父さんが向こうの監督で、オールカナダの、私に心理学を
勉強しなさいと言われた。アイスホッケーに心理学が何の関係があるのかなと思って、しかし向こうは
世界一の監督ですから、そばで
指導するのを見ておったら、本当にこれは心理学が大事だなと。怒り方から褒め方から全然違うんですよ。それまでは、我々は何かやると、このばかやろう何やっているんだと言って、ただ怒っておった。ところが、注意するときに呼んで、おれはおまえを好きだ、おまえのここがよかったとまず褒めるんですよ。それで悪いところをきちっと言うんですね。だから選手は気分が悪くない。褒めるということをやらない監督は、これは
学校の
先生と置きかえてみてください、怒ってばかりいる
先生は
子供に嫌われるし、褒めてばかりいてもだめだし、褒めたり怒ったりしてやっぱりついてくる。
私は、小
学校三年のときに、町内の
子供が雪でげたを履いていったんだ、足駄というやつだ。下に雪があって、同級生が鼻緒を切っちゃった。それで、しようがないから、歩かせられないから、私は今度はおぶって
学校まで、あの雪の中をこんなになって。朝礼で校長
先生に呼ばれて褒められた。たった一回小
学校のときに褒められたのを、いまだにこれを覚えていますよ。それほどやっぱり褒められるということは
子供には本当にインパクトが強いんだなと、こういう
思いがしている。
ですから、
スポーツ振興も、こっちから言いっ放しで申しわけないんですけれ
ども、本当にそういう体制をつくる。でないと、
学校の
先生にサッカーも野球も卓球もあれもこれもといったって、専門家はいないんですから。たまにいても、その
先生がどこかへ移ると、その
学校は弱くなってあっちが強くなるでしょう。だから、
指導者、
学校の
先生というのが生徒に与える
影響、家庭の親と、これが一番大事なんですよ。
私は前にも中曽根
文部大臣にもここで、やっぱり成績を上げた
先生は、給与、報酬でも何でも競争させなさいと、そうしなかったらいい
先生は集まってきませんよという話をしたんですけれ
ども、
スポーツと
教育とを
考えてみて私は全く同じだなと、こう思っているんです。今
指導者によく言うのは、いいときは褒めろよと言って遠征に出してやるんですけれ
ども、いずれにしても
学校の
先生についても私は同じことが言えると思う。そういう能力を持った人。
授業というのは、さっきおもしろくないと
勉強したくないと。落語を聞いて居眠りする人はいないんですよ。ところが、授業を聞いていると寝ちゃうと、わからないと行きたくないということになるんで、やっぱり楽しませることから始まって、だんだん、私はアイスホッケーで今でも言うのは、よく見て
考えるように育てろと。今の
国民は何でも国にやってもらうから
考えることがない。よく見て
考える選手は一流になるよと言って教えるんです。教え過ぎは絶対だめなんです。
だから、私はそういう観点から、
学校の授業というのはどういう授業にしなければならないか、どういうことで今荒れてあんな問題が起きているかと、この根本のところをきちっとやって、そうしてこの
教育改革でも審議会でいろいろやっておられることでも、私はそこが欠けているんではないかなと。何か伝わってこないんですよ。あれもやるこれもやるといろいろ書いておるけれ
ども、何を書いて、そしてどういうふうにするのかという
基本的なところをきちっとやらないと。
基本ですよ、
スポーツでも何でも
基本がしっかりしていなかったら、何か問題が起きるとそのときに場当たり的にやったり目先のことばかり、何かが起きると何かつくってやろうやろうと、そういうことばかりでなくて、さっき言った少子高齢化の時代、一体
日本がどうなるのかというものも
考えながら
国民全体の議論にしてやらないと、こんなものは。
だから、私は前にも言ったんです、
教育委員会が各県にあるんだから、
学校でも何でも親を集めてみんなで議論してみなさいと。審議会ばかりつくってだめだと言ったことがあります。後で議事録を一遍
大臣に見てもらってくださいね。今言うようなことを、こんなことをずっと言ってきたんですから。
今までのを聞いてどう
考えておられるか、お
伺いいたしたい。