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谷林正昭君 民主党・新緑風会の
谷林正昭でございます。
三十五分の
質問時間をいただいておったんですが、十分間早く終わりまして、四十五分間やらせていただきます。
きょうの
質問に
当たりまして、実は考えました。というのは、前回
質問に立たせていただいたときに
大臣に、豊作貧乏というものをぜひ解消する具体的な政策を出してください、一緒に考えていきましょう、こういうふうに
質問をさせていただきました。そのときに、セーフガードという一つの大きな伝家の宝刀、そのときには言えなかったというふうに思いますが、私は、今まさに伝家の宝刀を抜くべきだというふうに思います。それが具体的に信頼される農政になりますし、本当に
農業に携わっている
人たちが農家のことを考えてくれている
農林水産省である、信頼を寄せる切り札だというふうに思います。
一方では、ヨーロッパ、イギリスを
中心にしながら、セーフガードを、伝家の宝刀を抜くことによって自分
たちの国の自給率を大幅に高めていったという歴史経過も教わりました。そういう
意味では、この伝家の宝刀を抜くに当たって、まさに将来に向けての政策、将来に向けての
農業政策、意欲ある
農業に向けての一つの大きなステップにぜひしていただきたいということを冒頭申し上げさせていただきます。
あわせまして、きょうの
質問に
当たりまして、
農地法とは一体どういうものなのかというよりも、実際に生産に当たっている
人たち、いろんな形で生産に当たっている
人たちの声を聞いてみようと思いまして、富山県でありますけれ
ども、富山県の一個人の農家の方、それから集落営農を四人、五人でやっておいでになる方、あるいは二十五名の従業員を採用して二百四十六ヘクタールを耕しているリーダーの方、こういう方々に実はお会いしていろいろ話を聞いてまいりました。
それを実は
質問に生かしたいなと思ったんですが、先週に
質問の通告をしてしまいました。正直言いましてしまったと思いました。したがいまして、その課題についてはぜひ
大臣に聞いていただきたい。せっかく話を聞いてきたんですから、聞いていただきたいということで、聞きとどめおくということではなくて、ああ、現場の
人たちがそう思っているのかというふうなお気持ちで真摯に受けとめていただきたいなというふうに思います。
そこで、具体的には、いろんな方がおいでになりましたけれ
ども、代表して三名の方に聞いてきました。それは、一つはサカタニ農産と言いまして、今ほど言いましたように、二十五名の従業員を採用して二百四十六ヘクタールの、全部
借地です、放棄地になるようなところを全部人から借りて、そして米作を
中心にしてやっている。しかし、減反政策ということもありまして、五十四ヘクタールが減反で大豆を植えている、残りを米でやっている、こういう方でございます。五十四歳の方でございます。
この方がおっしゃったのは、非常に前向きな姿勢、今の
農林水産省の政策を全面的に支援しながら、より一層
活性化をしてもらいたい、こういう姿勢を持っておいでになりました。それは、
農業の根幹は
農地である、これを絶対忘れてもらっては困る、こういう意見でありました。
当たり前の話かもわかりませんけれ
ども、それを正々堂々と述べられる。これが大事だなというふうに私は感動いたしました。
そして、これまでは
農業に
経営概念というものがなかった、これからはそうではない、
農業というものもやっぱり
経営概念というのが大事である、そういう
意味では、これまでは
農地を農家が守ってきた、これはほのぼのとしていい政策であったけれ
ども、本当に二十一世紀に向けてそれでいいのかどうか、私は人から借りた田んぼを耕しながら頑張っている、ぜひ
政府としてもそういう方向を、あるいはそういうことをやっている
人たちをもっと応援してもらいたい、こういう声が出てまいりました。
ところが、じゃこの
農地法改正にもろ手を挙げて賛成か、そう聞きました。
谷林さん、いや、心配がありますと。それはどういうことかといいましたら、いわゆる
株式会社参入の、宣伝
不足といいますかアピール
不足といいますか、そういうこともあって、ひょっとしたら外資系までがこの
農地法に基づいて入り込んでくるんではないか、そうなったときには大変なことになる、こういう心配も聞いてきました。これはしっかりきょうは
大臣に聞きますよ、こう言って帰ってまいりました。
それからもう一つ、今度は
農業委員をなさっている、福光町にありますが、個人の農家四軒で有限会社をつくって、そして共同
経営をなさっています。従業員といいますか、七名であります。そのリーダーの広川さんという方に聞いてきたんですが、七十一ヘクタールを全部稲作でやっているが、減反が厳しいので、減反は四十五ヘクタール、大豆を植えた、こういうふうに聞いてきました。四名の中核農家でやっています。家族でやっています。その家族を従業員としてやっている。
その方のおっしゃっていることは、自分は
農業委員をしている、しかし
農業委員の今の
形態はまさに形骸化をしてしまっているんではないかと。というのは、優良な
農地が次から次と転用されていく、しかし
農業委員に報告をされるのは転用の一番最後の
部分であって、許可するかしないかだけを求められる、これじゃ
優良農地がますます減っていってしまうという
状況をぜひ認識していただきたい、このように聞いてきました。
農業委員の皆さんも一生懸命やっておいでになりますし、先ほ
ども地位の向上、権限の強さ、こういうものも見直していかねばならぬというふうにありましたけれ
ども、その方がおっしゃるのは、専業農家の方が
農業委員に、それは地域地域あります、地域地域ありますが、専業農家のその耕作者で
農業委員になっている人が余りにも少ない、富山県を見ていても私の調べたところによると余りにも少ない、こうおっしゃっておいでになりました。これじゃ、今の
農地法で一番重要な
役割を果たすであろう
農業委員、
農業委員会、こういうものの将来が非常に心配である、したがってそういう
農業委員会というものを強化する
意味でもっと改革をするべきではないかというふうにおっしゃいました。
それからもう一つは、今ほど言いましたように、
地主と、ブローカーと言ったら失礼かもわかりませんが、パチンコ店業者とかスーパー業者とか用地を探している工場だとか、そういう
人たちが
地主のところに入ってきて直接
地主と交渉をしてしまって、そしてそれがあっという間に金でたたかれて
優良農地が消えていく、こういう
状況をやっぱり政策でストップするべきだ、
基本法で示している二十二年度四百七十万ヘクタールはこのままでいったら守れませんよ、
谷林さん、こういうふうに言われてきました。ぜひそこらあたりの声もくみ上げていかなければならぬのではないかなというふうに思っております。
それから今度は、福光町というところがございます。ここは
農業を非常に大切にしております。中山間地です。その中山間地の福光町で今どういう取り組みをしているかといいましたら、今度の
農地法改正にも十分かかわってくると思いますけれ
ども、一町一農場という理想を掲げて、その計画に基づいて実は頑張っております。今のところはまだそこまで行っておりませんけれ
ども、一集落一農場、いわば
経営企業体のようなものをつくって、あるいは
農業法人のようなものをつくって、その地域地域に合った
農業経営を目指そうではないか、あくまでも個人は個人でやっていく、個人の土地は個人で守る、これじゃ本当に多面的機能を求められている今の
農業には合わない、だから福光町というところは自治体も一緒になってその
農業経営について研究、検討をしている、こういうことも実は聞いてまいりました。
そのときに一番大切なのは何か。おっしゃったのは人材の育成であります。その地域、その集落で
中心になる人を育てていかなかったらその構想は成り立たない。したがって、福光町ではそういう人が一人でも多く育ってもらうために今一生懸命努力をしている最中だと、こういうことも実は聞いてまいりました。そういう
意味では、まさにこの
農地法とあわせた、そういう集落営農にふさわしい人材あるいは
法人にふさわしい人材、そういう
人たちがこれから大事になる、そういう
人たちを育てる政策も必要だというふうに思っております。
それからもう一つ考えてくださいと言われたのは、幾ら農家が頑張っても、生産を上げても、大事なのは、消費をしてもらえない、いわゆる需要の
拡大が全く今の政策では見てとれない、需要の
拡大があってこそ初めて自給率の向上も必要になってくる、このように言われました。
みんな
当たり前のことかもわかりません。しかし、
大臣がさっきおっしゃいましたように、知らない者が知っている人に聞く、これが
質問だというふうなさっきの
お話もありましたように、私は知らないものですから、こういうことをすべて感動を受けて帰ってきたわけでございます。
そういう
意味で、生産者の、現場の
人たちがいろんな
経営形態を模索しながら頑張っておいでになるということをぜひ認識をしていただきたいな、そして政策に生かしていただきたいなというふうに思いますが、一つだけふんまんやるせない気持ちを聞いてくれと言われました。それは何か。
先ほど、減反をして大豆を生産した、天候のせいもあって大豆が豊作になった。ところが、一生懸命頑張っていい大豆をつくろう、いい商品をつくろうと思ってやった大豆が、物すごく暴落をしてしまった。これは一体どういうことですか。
日本の大豆の自給率は三%、
基本法では一五%にまで持っていこうという方針を打ち立てながら、一方で、大豆が豊作になったらその大豆の値段がどんと落ちてしまうというような政策だけは我慢できないというふうに言っておりましたので、ぜひ聞いておいていただきたいし、今後の政策につなげていきたいなというふうに思っております。
一気呵成に十三分ほどしゃべらせていただきました。これはまさに現場の声でございますので、聞きおく
程度ではなくて、ぜひ政策に生かしていただきたいというふうに思っております。
そこで、法案の
質問に入らせていただきますが、若干ダブる
部分もございますので、ダブる
部分は先ほどお答えをいただきましたので割愛をさせていただきながら、まず一点目には、耕作者主義というのをこの
農地法で貫いておると私は思います。この
改正によって耕作者主義、これが守れるのかどうか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
経済界からは、もう耕作者主義の
農地法というものを見直すべきではないか、こういう声も聞こえてまいります。そういう
意味で、耕作者主義というのはこの
農地法改正で守れるのかどうかお聞きをいたしたいと思います。