○大森礼子君 わかりました。
要するに意思が明確であること、それから内容の明確性といいますか、これを言いますとEメールでも別に変わらないのかなと思ったのですけれ
ども、確かにこの七十八条の二の場合には、あとは受けたことによってどのような処理をするかということが法定されておりますので、本人かどうかの
確認も必要であるということは
十分理解できます。
ただ、余り難しくしますと、ちゃんと
警察へ出向いていかなきゃいけないとか、これ郵送なんかできるんでしょうか、余り手続が難しくなりますと、言いたいことは言いたいけれ
ども面倒くさいからいいやということになりますので、なるべく多くの意見が集まるようにするためにはEメールとかこういう意見も十分取り入れるべきだと思います。もちろん先ほど御
答弁ありましたように、七十八条の二のこの文書によらない苦情受付のシステムの中で、このEメール、こういうようなものも十分考慮していただきたいと、このように思っております。
それから、この苦情処理制度というのは広く
国民の声を聞く、愛される
警察になるという点では一歩前進した制度だと思います。先ほど
阿南委員が
質問されたことなんですけれ
ども、私
どもは実は一抹の不安を覚えるところがあるんですね。それは、どんな制度でもやはり光の
部分と影の
部分があると、私は常にこう考えるわけですけれ
ども、苦情処理制度を設けることによりましてちょっとしたことまでああだこうだと言われてしまうならば、
警察職員の
職務執行が消極的になるおそれがあるんではないかという、ここの
部分も私は実は心配するわけであります。そして、少しでもそういう苦情を受けないようにしようと思うならば、大体人間が考えることは同じでありまして、そこそこにやっておけば文句を言われないじゃないかという、こういうことになるわけです。
つまり、この苦情処理制度というものが現場の
警察官に対して萎縮効果を及ぼすようなものであってはならないと思うわけです。そして、いろんなところから見られている、見られることは緊張感を持って、監視されるということはいいんですけれ
ども、行き過ぎた
管理社会になりますと、それは人間を無気力にしますし、あるいは
自分で考え
判断する能力を失っていくという、こういう状況になるのではないかと思います。
先ほど
阿南委員もおっしゃいましたけれ
ども、本当に現場の
警察官というのは、迅速な
判断、的確な
判断、それから果断な行為、相手と向き合っている場でもありますからそこで瞬間的に
判断しなくてはいけない場合がある。
捜査の現場なんかそうだと思います。
そして、法令をきちっと正しく正確に理解するということはこういう仕事をする上で必要なことなんですけれ
ども、しかし法令といっても非常にたくさんありまして、そして若い
警察官なんかも瞬時に
判断しなければいけないとなるとつい誤ってしまうこともあるのだろうと私は思います。
現場で例えば器物損壊罪で緊急逮捕ができるかどうかとぱぱぱっと聞いたら答えられる人が幾らいるかとかという。器物損壊罪は三年以下ですので、緊急逮捕は三年以上ですから、これはできるんですけれ
ども。こういうこともやっぱりきちっと知っておかなくてはいけないということは、
警察官にとっても大変なことだろうと思います。当たり前と言ってしまえば当たり前なんですけれ
ども。
ですから、いろんな苦情が出てきた場合、私たちの側も、例えばその現場に身を置いたならば当然
自分もやったかもしれないという、こういう寛容さは持つべきではないか、このように思っております。つまり、
自分のできないことを余り人に厳しく要求するようでありますと、現場の
警察官自体の士気が低下してしまうのではないか。ここを余り強調するつもりはありませんけれ
ども、こういう
部分もあるということをぜひ考えていただきたいと思っております。
それから、この苦情処理制度というものは、
警察外部からのものを前提としております。緊急提言でも、「
国民からの苦情を誠実に受け付けることを制度化し、」とありまして、
警察外部からの苦情を対象としております。
これまで
警察の
不祥事についていろいろこの
委員会でも議論してまいりましたけれ
ども、そこで大きく問題になったのは、
警察という組織の密室性ということではなかったかと思います。普通の人は余り
警察の中の方まで入り込みませんから
警察という組織の中で一体何が行われているのかわからない、わからないがゆえにそこに
不祥事が発生する温床というものをつくっていったのではないかという、こういう議論をしてきたと思うんです。
例えば同僚の
不祥事とか、上司がやったら本当に、人事と会計の権限を持っている人がやったらなかなか困るんですけれ
ども、こういう組織内での
不祥事を見つけた場合、
内部からも告発できるようなこういうシステムが必要ではないかと、私はこれまでこの
委員会の中でも言ってまいりました。同じ組織の中にいる人間の
不祥事を告発するということは、悪い
言葉で言えばチクりと、こうなるんでしょうけれ
ども、しかしこれは組織の
内部を浄化させるための機能としてこういうことも必要ではないかと思うわけであります。
警察に対する信頼維持というこういう大局観に立って、例えば
内部通報制度ですね、未然に
不祥事が大きくなるのを防ぐとか、こういったものが必要ではないか。そしてその場合には、通報した者が不利益を受けないようなシステムも必要だろうと思います。言って報復人事を受けちゃったんじゃ、言わない方がよかったことになりますから。こういうことがあって初めて
内部というのは浄化していくのではないかなと思うのですけれ
ども、これについては余りきちっとしたお答えはしにくいと思いますが、どのようにお考えでしょうか。