○山本正和君 今、阿部委員から御
質問がいろいろありまして、ちょっとそれに私も
関連するんですが、私実は、
公務員というのは新しい憲法下につけられた名前でもあるし、新しい憲法下の仕事だろうと思うんです。
ですから、
公務員制度が始まったときには
国家公務員も地方
公務員も含めて大変劣悪な労働環境にあった。そして
民間は、いろんなことがあったにしても、やみ
給与と言ったらおかしいけれども、いろんな中でとにかく食べていけるだけの、大変国全体が貧しくても保障されておった。保障というのは、実際はそれをやったわけですよね、
法律を超えてでも。ところが、
公務員の場合はそれができませんから、非常にひもじい思いで昭和二十年代の初期には働いておった。中には本当にまじめな
公務員、奈良県の検事ですけれども、絶対にやみのものは買わぬと言って頑張ってとうとう餓死しちゃった、こんなこともあったですよね。
私は、私どもと同じ世代の、昔は役人、役人と言っていたけれども、お役人で、もう卒業した七十代の人をよく知っているんだけれども、東京帝国
大学です、旧制の、
最後の卒業生ですよ。そうしたら、そのときは上級職からⅠ種に切りかわる前ですか、大変成績がよかったんですよ、東大で、旧帝大ですよ。そうしたら、彼といろんな話をしている中で出る言葉は、上級職試験、昔の高文ですな、出てどうしようかと思ったと。しかし、この国の姿を見て
考えたんだと、そして私は文部省を選んだと。その当時は、実は農林省というのが一番輝けるポストだったんですよね。みんな農林省に行きたがった。どういうわけか御想像いただいたらわかると思うんですよね。そこでその人は一生懸命頑張って働いて、地方にも出たりしましたけれども、
最後は事務次官もやられたし、それから特に著作権なんか大変な勢いでやった。人間として私はとても尊敬しておるんですよね。その人は、地方へ行ったときでも役所におるときでも背広をかえないんですよ、昭和三十年代ね。お父さんのちんちくりんの背広を着て頑張った、昭和三十年代。
そういう中で日本の
公務員が必死の思いで働いてきた。そして、
公務員にはスト権もない、いろんな厳しい中でやって今日があると。そこのところを忘れたら大変なことになるんだと思うんですよ。
ですから、いろんなことを言うけれども、日本のいわゆるお役人というか
行政職というか
公務員は、世界でまれに見るぐらい私は優秀だと思うんです。中には悪いのもいますよ、確かにね。しかし、本当は
一般に働いている人は皆立派なんですよ、中央も地方も含めて。その立派な人たちがこの国を支えなかったら、この国はだめになるよと私はいつも言っているんです。
ところが、何か知らぬけれども、マスコミもどこも、私は
余り気に食わぬで、マスコミけしからぬと言うと、おまえ、森さんと一緒かと言ってしかられるけれども。そういうふうに、マスコミが何かあおる形で、役人はけしからぬとか
先生はけしからぬとかお巡りさんが何とかいうことばっかりやるんですね。それにつられて
政府も何かたじたじしてしまって。とにかく、要するに、役所というのは機能が悪いから
民間の偉い人に教えてもらったらどうだと。だから、ひとつ
民間から知恵をかりてこういうところへ立派な人を入れましょうというふうに聞こえるんですよ、これはひょっとしたらね。
私は、それは非常に危険だと思う。本当は、現在おる中央、地方の
公務員が本気になってやったら、別にそんな
民間の人から知恵かりぬでもやれるんですよ。妨げている条件は私はいろいろ別にあると思っているんです、本当はね。やろうと思っても長い習慣があって変えられないとかいろんなことがありますよ。私はそういう意味で、これを非常に心配しているんです。
ただし、ここでのこういう
総務委員会の
議論というのは後に残るわけですから、残る意味で、ここではひとつ、官房
長官もお見えですから、
人事院総裁が言ったことを
政府というものを代表した立場で官房
長官もそうですと言ってもらえれば、私は安心するんです。
というのは、これを
採用するに当たっては、
人事院との協議と書いてありますけれども、
人事院の
承認がなければだめですよと。ここだけはちゃんと念を押しておきたい。何があっても、そういう人を
採用するに当たっては、
人事院というのは公平機関なんですよ。そして、いわゆる中央、
国家公務員にとってはたった
一つの仲裁機関なんですね、公平機関ですよ。その
人事院が少なくともオーケーしない限り、どんな偉い人でも
採用できませんよと。そこがなかったら、これは私は困ると思うんです。
まず、だから
質問の第一点はそこなんですけれども、ひとつ
人事院総裁の方から、これはもう
人事院として
承認しなければだめです、こう言っていただきたいし、官房
長官も
政府としてもそういう見解でありますと、こう言っていただきたい、これが最初の
質問です。