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佐藤道夫君
平成二年に
議論して答申をと言ってみましても、それから死んだ人も大勢いますし、新たに
選挙権を取った人もいますし、その人たちは本当に何も知らない。もっときちっと説明をして、これ
法案を決めるのは
国民ですから、
国会議員じゃございませんからね、そして
国民の
意見を踏まえて話を進めていく。これは当たり前のことでしょう。
民主主義の原点だと言ってもいい。
今、
与党の話を出しましたけれども、ほぼ四十年ほど前に池田勇人という総理大臣がおりまして、彼のモットーは寛容と忍耐、こういうことでした。要するに、あの当時、
自民党はもう三百近い議席、圧倒的過半数を誇っていたんですけれども、それを率いる人が、
民主主義というのはそういうものじゃないんだと、
野党、少数派の
意見に耳を傾ける、時間をかけて辛抱してやっていく、寛容と忍耐ということをスローガンみたいにして言っておられました。私、よく覚えております。
これだと私は思うんですよ。
野党が反対するのはけしからぬとか決めてしまえば、もう数だけで決まるわけですから、国の
政治というのは。
この前亡くなられた小渕総理も謙虚という言葉を使っておられたでしょう。一段とへりくだって
野党の言い分に耳を傾けてとるべきものはとると、率直な
意見を交換してその中から国の一番役立つ
法案は何だということを決めていく、そういうものだというのは私よくわかると思うんですよ。
それから、決断と実行と言った方がおられました。田中角栄さん、決断と実行。そして、彼はじっと、あのときも
自民党はもう三百近い
衆議院の構成員を握っていたわけですけれども、あのときも決断と実行、さて何をやるかと思ったら、突如として小
選挙区制の導入を言い出したわけです。まさしく
国民皆があっと驚いた。
野党もびっくりして、こんなものは認められないと言って猛反対、マスコミもこれに対して反対と。いかに何でもこういうことは
国民全部で
議論すべきではないのかと、こういう
意見が圧倒的に多かった。
そこで、田中角栄氏はどうしたかというと、しばらく若干考えまして、そうかと、じゃこれはもうやめたと。この取りやめについても彼ははっきりと決断と実行をしたわけですよね。
大事なことだと思いますよ。
民主主義の根幹は私はこういうことにあるんです。やっぱりみんなで
議論をする雰囲気が大事じゃないかと。
何か今回のいきさつ、私どちらの肩を持つわけじゃないんですけれども、やっぱり
野党の言い分にもそれなりに言い分があるでしょう。票の
横流しにつながるとか、いろんなことが言われております。
そもそもが
比例代表というのは
民主主義の根幹、
政党政治そのものですから、
政党が
責任を持って政策をぶつけ合って、A党、B党が投票してくれと、
国民はA党を選んで投票をする。その中から
国会で活躍する
議員にはどういう人がいいか、
政党が
責任を持って一から十五番なら十五番まで
順位をつけて、その
上位十名が
国会に送り込まれる。これは当たり前のことでございましょう。それが
政党がやるべきことをやらないと。そういうことは大体裏で金が動いているから、それが
国民にわかったら大変なことになると。
では何かいい方法はないかと、じゃ非
拘束名簿式だと、名前を書かせようやと。それが開かれた
政治、顔の見える
政治だと言われましても、
自民党の二十名のうちだれを
国民は知っているというんですか。周辺にいる人一人二人ならわかるかもしれませんけれども、その順番がこれでいいのかどうなのかと、こう言われたって
国民は応答のしようがない。北海道の人間が大阪を中心として立候補している人を、一体あれは
自民党の第何位ぐらいに当たるんだろうかと、こんなことを言われたって困るだけですよ。
率直に言いますと、これは
政党の
責任ですから、
自民党が党大会を開いて、その場で大勢の党員を集めて
候補者一人一人に演説をしてもらいまして、
質疑応答もして、そしてさあ投票してくださいよと。それは少なくとも党の党員の間では顔の見える
選挙、そこで
候補者の
順位が決定される。マスコミもそれはおもしろいといってかなり大々的に報道するでしょうから、その他の
国民、党員でない
国民も、ああ
自民党は今度こういう人をリストアップしているのかと、おれはこの男に入れようか、いやこっちがいいんだろうかと、そういう
議論も沸き上がってきて、顔の見える
選挙になっていくと。各党皆そういうことをやれば大いに盛り上がっていくんだろうと思います。
さあ投票してくださいよと、
選挙が始まったらもう
自民党のことなんかどうでもいいんでしょう。要するに、二十人リストアップされれば十五番目に入ることが問題ですから、
自民党はいい
政党ですなんと言う人は一人もいませんよ。おれのことを知ってください、おれに投票してくださいと走り回るだけですよ。それで
比例代表制だと、
政党政治の根幹をなす
比例代表制だということで大口たたけるんですか。本当に不思議でしようがない。
大体時間でございますので、今早口で申し上げましたけれども、要点についてお答えください。時間は幾らかかっても結構ですから。