○佐藤道夫君 朝来お疲れでございますが、ラストバッターですから、余り打率の振るわないラストバッターということで気軽にしばらくおつき合いください。お願いいたします。
朝来、議論の中に
構成要件の明確化という言葉が出てまいりまして、まさに我が意を得たという感じがいたすわけであります。刑罰法令はわかりやすく単純明快なものでなければならない、これは当たり前のことです。なぜかというと、刑罰法令の
対象になって
処罰をされるのは
一般国民ですから、
国民がこの
法律を読む、あるいは話を聞く、なるほどそこまでやるとこれは罪になるんだな、じゃ我々も注意をしようと、そういう警告を
国民に発する、それが刑罰法令の本来の目的でもあるわけです。やたらに犯罪者をつくろう、そんなことを考えているわけじゃないわけですから。
本件の場合、適用
対象は一体だれかといいますと、まず第一にここにおられる
議員先生方であり、それから地方
議員と首長、適用
対象は率直に言えば我々ですから、我々がこの
法律をすっと見て、なるほどここまではいいんだな、この先はだめなんだなと、これはきちっとその辺の区分がついているいい
法律だと、我々も注意しようと、そういうことにならないといけないわけでありますが、果たしてそうなのかどうなのか。
それからもう
一つは取り締まりに当たる警察、検察、これがまた区分をきっちりして、これは検挙しよう、これはやめておけ、
法律には該当しない、これがわからないといかぬわけです。
最後には判決を下す裁判所、これが余り議論するような
法律、これは彼らはまじめ人間ですから、できが悪いと一体何だ、幾ら読んでもわからない、いろんな解釈が成り立つ、困ったな、この
法律は一体どういう
法律だと。それは
議員立法ですよ、ああ道理でと、これは大変失礼ですけれ
ども、それが彼らの合い言葉のようにもなっております。
ですから、そういうことも言われないためにもきちっとした
法律にしておくこと。後日その解釈をめぐって争いが起きる、あるいはどんなケースが当たるのか、そんなものは起きてみなきゃわからぬわと、そんないいかげんな無
責任な立案者の態度というのは許されないことであります。
そこで、この
法律を眺めてみますと、私すっと見て一番わかりにくかったのが、先ほど来問題になっておる、権限に基づいて影響力を行使する、これは一体何かと、
衆議院の議事録な
ども読んでみました。そういたしますと、ただ単に頼むだけでは該当しないと。よろしく頼むよ、おれの知り合いの会社にこの仕事を回してやってくれよと、こう言うだけでは該当しないと。
それじゃ、権限に基づく影響力の行使とは何だと重ねて
質問を受けましたら、陰に陽に権限に基づいて影響力を行使することであると、これは堂々と
お答えになっておる、そこにおられる方だと思いますけれ
ども。これは昔から、問いに答えるに問いをもってするということで、答えたことにはなっていない。陰に陽にがついただけでありまして、権限に基づいて影響力を行使する、それだけのことなんであります。けさほ
どもこれが問題になっておりまして、これもどなたか
お答えになっておりましたが、直接的、間接的に権限に基づいて影響力を行使する、これまた問いに答えるに問いをもってすると。
我々とすれば、将来適用を受ける。適用を受けたら大変です。
議員の資格なんか一遍でなくなりますし、場合によったら実刑ということで刑務所に服役もせざるを得ないと。我々に対してまことに不親切ではないのかと、こういう感じがいたします。
大体
法律つくるときはいろんな
事例を想定しまして、
国会でも
答弁いたします。こういうケースならこれは積極、これがシロ、それをまた警察にも配付いたしまして、その線できちっと取り締まりをするようにと。全国歩調をそろえてこれをやらないと、あそこだけやっているとか、こっちはやっていないとか、そういう問題。それから、裁判所にもそれを参考までにお送りして、判決を下すときはひとつごらんくださいませというようなやり方をしておるのであります。
そこで
一つの例を挙げますけれ
ども、ある建設業者が建設省で計画中のその仕事を回してもらいたい、競争相手も結構いると。そこで知り合いの
国会議員のところに訪ねてきまして、先生ひとつ建設省にかけ合って我が社に回すように
配慮してくれませんかと。わかったわかったと言って、建設省の局長、大体
国会議員が呼ぶんですから課長か局長クラスでありましょう。来てもらうか自分から会いに行くか知りませんけれ
ども、会いに行って、そうして、おれの知り合いの会社に回してくれよと、こう言ったら、どうもこれだけではならないようでありますね。その点、大丈夫でしょうか。簡単で結構ですよ。