○堂本暁子君 今、
大臣は
清水議員にお答えになって、
国会での
議論が大変大事だというふうにおっしゃいました。私は、その抜本的な
改正と申しますか、
日本の
医療を
考えるに当たって
国会の
議論は確かに大事だと思います。
〔
委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
私自身そういう
医療体制の
抜本改革ということに関与いたしましたのは、三年前の健康保険法の一部
改正のときです。ですから、
国会で大事だということをおっしゃったんですけれ
ども、この間、今井
先生も、まさに自社さのときに
清水さんも今井
先生も大変おっしゃって、私も今井
先生と同じ思いがございます、あのときあれだけやったのにと。ここにずらりと並んでいらっしゃる役所の方も週に一回、多いときは二回も、もう
本当に何時間と、半日近くみんなで時間をかけ、努力してつくり上げた私たちの
改正案というのは一体どうなってしまったのかという思いが大変強うございます。
当時は、高齢化が進んで
医療費が毎年一兆円以上も増加していくという中で、
医療保険財政がもう危機的な状況にあるということで持ち上がったのが、被用者本人の負担を一割から二割に上げるという
改正案でございました。
でも、そのときは、たまたま自社さの連立政権の中でしたけれ
ども、
本当に
医療費にむだがないのか、あるいは三時間待ちの三分診療とか薬漬けといった状況を改善しないで、患者さんの倍増ですから、負担をそれだけ上げていいのかということで、とにかく抜本的な
医療制度の
改革を行わない限り
改正案をのむことはできないというのが当時の
与党、当時の社会党にしろ、さきがけにしろ、それから私個人の主張でもございました。その結果、半年かけて
与党の
医療保険制度改革協議会というのがまとめたのが「二十一世紀の
国民医療 良質な
医療と皆保険
制度確保への指針」です。
私は、
本当に一番そこに精力を自分でもかけたと思っていますから、そんなに悪い報告ではなかった。それを受けて
厚生省から出された報告も、そんなに見直さなければならないものだったとは今でも思っていません。全面的に賛成だったわけではありません、もっと自分自身としてはやりたいことがたくさんありましたけれ
ども、少なくとも当時の連立の中で、合意できるぎりぎりのところで相当進んだことがあったというふうに思っているんです。
その徹底した視点というのは、
医療費がむだに使われていないのか、それとも効率的に使われているのかという、その視点から私は
見直しをしたというふうに思っています、一人一人の患者あるいは健康管理とか健康増進の
立場から
医療提供体制とそれから
医療保険の
両方を見ると。そういう
抜本改革に着手するという作業だったし、このプロセスは
本当に大変な仕事だったと思うんですけれ
ども、先日、今井
先生もまさにおっしゃいましたけれ
ども、それが実行されなかった。
今井ドクターは、お医者さんの
立場からその
抜本改革について当時の報告を超えて御自分の御
意見をおっしゃったんですが、私は当時から、三年前から
考えていた患者の側、あるいはだれも病気になりたくないわけですし、けがもしたくないわけですから、そういった一人の
日本人、被保険者、患者になる側の一人一人の
日本人の
立場から、一体
抜本改革とは何なのかということを、ただ
大臣や
厚生省に伺うんじゃなくて、こういうことをすべきなんじゃないか、そういうことをしてから今回の
改正だって
本当はやるべきなんじゃないかということをきょうは
質問したいというふうに思っております。
また、当時の
医療協の報告に戻りますけれ
ども、その中で一番大事だったことは、幾つかありますけれ
ども、
一つはやっぱり
薬価制度だろうというふうに思っています。
日本型
参照価格というのを、あの当時大変はやった言い方ですけれ
ども言いました。それで、
薬価基準を廃止して
日本型参照価格制度を
導入する、給付基準額を上回る額は患者の自己負担にするというのが当時出された報告でしたし、
審議会の
答申もそのように出された。
大変これに関して不満なことは、連立が解消されて自民党の部会で一晩でこれが
白紙撤回されてしまった。半年間自民党の方たちも一緒にずっとつくり上げてきたものがどうして一晩で
白紙撤回されたのか。当時、こういうふうにして物を申し上げる機会はございませんでしたけれ
ども、やはりあのときにきちっと
薬価の問題をやり始めていれば、よほど今は経済的な状況はよくなっていたのではないかというふうに申し上げざるを得ないというふうに思っております。
〔理事亀谷博昭君退席、
委員長君着席〕
それから、
診療報酬体系についても同じように思っています。あのときには、私たちは、急性期の
医療は入院当初は
出来高払いにしても一定期間したら定額払いにしたらどうなのか、あるいは
慢性期の入院は一日の定額払いで、外来は急性期でも
慢性期でも原則
出来高払いというふうな
考え方を出しているわけなんですが、こういった道筋をつけていたんですけれ
ども、いつまでたってもやはり
出来高払いが続いている。それでは
医療費がどこまでも高齢化の中でふえていくということはもうやむを得ないんじゃないかというふうにも思うわけですね。
あと、
医療提供体制の問題もありますし、それから
医療保険の問題もありますけれ
ども、これを一々ここで繰り返す必要はないと思うんですが、しかしこういった形で当時も私たちが毎日のようにというか週に一度ぐらい
検討をしていましたときに、丹羽前
厚生大臣が座長をしていらして少ない人数で
検討をしておりましたときに、既に
厚生省の方はよくおっしゃったものです。これは十年前にやらなきゃいけないことだった、事によったらもっと、二十年前にやらなきゃいけないことだった、それがたまたまいろいろ
政治の事情その他で
改正できずにここまで来ていると。
私たちも連立というシステムの中で何とかこれをやろうということでやったわけですけれ
ども、それから三年たって、今、
清水議員が
質問なすったように、また
平成十四年にやるということで、事は先送り先送りで、
本当は私も二十年前に着手しているべきことだったというふうに思います。
高齢化というのは、人口動向というのは、これはもう変わるわけではなくて、
厚生省はちゃんと人口研究所もあるし、どういう人口の構造になっていくかということははっきりわかっているわけですから、そこの中での政策を先取りして立てていくということの方が私は厚生行政の
責任だろう、
医療改革の
責任だろうというふうに思っていますけれ
ども、なぜかいつも自転車操業的な
改正の繰り返しになっています。一体だれのためにそういうことが起こっているのか。
実際に、私たちも
抜本改正に関与したときに、随分
医師会の
先生たちとかそれから製薬会社の方たちとかとお話をしなければならない場面もたくさんありました。それから、
審議会でも
中医協の場でもいろいろな
利害が対立しているというような局面もたくさんありました。
今、
大臣がおっしゃったのは、
政治のリーダーシップが大事だと。三年前もそれを発揮しようと私たち
政治家は思ったわけです。それから後も、自自公の連立の中で、それから自公保の連立の中で、またいろいろな案が出てきています。もう私にはフォローできないぐらいいろいろな
改正案が出てきているようですけれ
ども、結局、そういった
本当に
国民の
立場に立って、この国では抜本的な
医療の
改正ができなくて、こういったような自転車操業をなぜ続けなければならないのか。これは
国民一人一人にとっても、それから
日本の国家財政の中でも、余りにも
医療費は大きいですから、大変大きな不幸だというふうに私は思っております。
大臣は、大蔵省のことにもお詳しいわけですし、こういう状況が続いたら
日本はどうなるのかということは百も御承知なんだろうと思うんですけれ
ども、それでは一体これからどうするのかということの
質問は山のように出ました。ですから、そのことをあえて伺おうとは思わないのですけれ
ども、一番やはり伺いたいのは、こんなに
改正をしたらば、もう多岐にわたっての
改正です、今回も。細かいことまでいっぱい変わるような
改正案ですね。
こういうことになっていくと、
国民にもわかりにくい、ドクターたちにもわかりにくい、病院の方たちにもわかりにくい。もっとやはり単純化して、
本当に安心して一人一人の
日本人が生きられるようなまずは
抜本改正をして、そしてその
抜本改正の上に初めて今度は
医療保険の問題、健康保険の問題というのは乗るべきものではないか。土台がなしにどんどん屋根の色を変えるとか、ちょっとここが足りないから台所を継ぎ足すとか、そういったような
改正をやっている間は私は相当亡国論的なやり方なんじゃないかと、極端に言えばそう思うぐらいに、やはりもっと長期的なビジョンをきちっと示していただく。細かいことではなくて、こういう
方向に行くのだ、そのもとにおいて今回は、例えばこの前の場合だったら一〇%の負担から二〇%に上げなきゃならないのですと。
私たちはそのお約束をしましたから、少なくとも
国民にお示ししたつもりでいます。ベストの案じゃなかったかもしれませんけれ
ども、少なくとも私たちは
報告書を出しました。しかし、一番残念なのは、その
報告書が何らこの三年間実行されないで、目途は
平成十二年、二〇〇〇年でした。今その年なんですね。二〇〇〇年であり、十二年なんです。その年までが目途で、私たちがあそこに書いた、いろいろなことがありました。例えば、カルテの開示ということもありましたし、いろんな細かいことに至って、看護婦の配置の問題とかいろいろございました。ですけれ
ども、そういったことが実行されないまままた
改正を迎えたということに、私はやはり何か歯車のかみ方が間違っているのではないかというふうに思わざるを得ないわけでございます。
このような複雑なものを積み重ねていくことは決してよくない。これは
年金制度も同じだと思っておりますけれ
ども、
医療制度も同じ、
医療保険も同じだというふうに思うんです。その点、こんな複雑にしてしまっていいのか、こんなにどんどんおくらせていいのかということについて
大臣の御所見を伺いたく思います。