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戸田邦司君 私は質問はありません。まず申し上げておきます。この
法律につきまして二、三コメントをさせていただきたいと思います。
まず第一に、これからの二十一世紀の社会、我が国の社会を我々はどういうふうな社会にしていきたいと思うか。私は自己責任の社会じゃないかと思うんですよ、あくまでも自分のことは自分で責任を持つ。それで、この
法案をつらつら眺めてみますに、今、行政改革を言われているときに、官の関与を得てそれで新たな
規制が出てくる、そういう仕組みだとしか思えません。
それで、今
マンションの
管理でいろいろ
トラブルが起こっているとすれば、それはやっぱり
マンションの
住人の、自分の意識がしっかりしていないからそういう
トラブルが起きる、そういうところがあると思いますよ。それが大
部分ではないかと。住んでいる人が、やはり自分
たちで努力をし、
それなりの負担をし、そして
管理業者に頼むなら
管理業者に頼む。それも負担が要ることですし、そういったことをきちっとしなければならない。そういうことなしには
トラブルはなくならない。
それで、この
法案の中で
管理士なるものが今度新たに出てまいりますが、別に
管理士に頼まなくてもいいということでもありますから、いろんな
アドバイザーという立場もあるかもしれません。
管理業者というのは、これは委託を受けて
管理業をかわって行うということですから、これはそういうような仕組みになるかもしれませんが、それじゃ
管理組合に対しての
アドバイザーとかそういった立場でいるような、そういう
人たちを利用することだって可能である、いろんなバリエーションがあるだろうと思います。いずれにしましても、住んでいる人の意識がきちっとしない限り
トラブルはなくならない、私はこの
法律ができてもそういう
トラブルが減らないだろうと思っておりますよ。そこは、この
法案の
一つのポイントではないかと思っております。
それから、こういうような機能は
民間が自分で考えればかなりのところまでやれるんじゃないか、いやもっといいものができるかもしれません、工夫すれば。現にかなりのところまでやっておられる
方々もおられる。ですから、今の宅建業法とか、それから
区分所有に関する
法律もありますが、そういった
法律を前提に考えれば、何も新たな
法律をつくらなくてもそういう業界なりなんなりで、自分
たちでそういう仕組みを考えればこれはできたんじゃないか、創意と工夫でもっといいものができたかもしれない、そういう思いがいたします。
法案の中で気づいたところを二、三申し上げますと、まず
マンション管理業、これは
登録することになります。先ほどのお話を聞いていますと、変な
業者が出てこないように
指導監督を深めると。今の時代に
指導監督を深めていく、それはだれがやるかといえば国がやるわけです。ですから、そういう新たな仕事を国に押しつけるといいますか、つくって、それで業界を
指導監督しなければ業界はしっかりできないのか、そういう時代じゃないと私は思います。
それから、先ほどの議論の中に
社団法人が出てまいりました。これは通常いうところの民法三十四条の
社団法人、何とか協会なるものと非常によく似ているかと思いますが、健全な発展を促すためにそういうのが要るんだと言いますが、今、業界の健全な発展を国が関与してやりますか。そういう問題がここにはあると思っています。
例えば後の方で
設計図書の交付というのがありますが、設計図または設計書でしょう。これは今まで交付されていないのが問題なのであって、これからの時代はやっぱりフロッピーとかディスクとかそういうものでそういうものが交付できる、そういう時代になっていきますから、これからの問題ではない。今まで、そういうものが紛失しちゃっている、膨大な設計図あるいはスペック、そういったスペシフィケーションがなくなっちゃっている、それが問題なのであって、これからの時代はそういうような新しいそういうやり方があるわけですから、そこに何ら問題もない。
いろいろ感ずるところはありますが、私はこの
法律を見まして、三十年前だったらああなるほど立派な
法律だなと思ったかもしれません。今の時代で考えますと、アナクロニズムではないかとしか思えない。そういう私の見解を述べさせていただきまして、私は質問はしませんので、これで終わらせていただきます。