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参考人(
秋月弘子君) 御紹介いただきました亜細亜大学の
秋月弘子でございます。本日はこのような場で
意見を述べさせていただくこと、大変に光栄に存じております。ありがとうございます。
私は、
国連システムにおける
経済社会協力の調整ということで
意見を述べさせていただきます。私の報告の要旨と、それから先ほど配られましたA3サイズの資料が三枚ほどお手元にあると思います。御参照ください。
本日のお話は、主に三点、
経済社会協力の調整ということですので、まず第一に、
国連システムの
各国際機構の本部レベルでの調整がどうなっているのかという点が第一点。そして第二番目に、
経済社会協力といいますのは国際機構が被
援助国の領域の中に赴いていって協力を行いますので、その被
援助国の領域内、つまり現地でどのような協力が行われているか、どういった調整が行われているかというのが第二点です。そして、本部レベル、現地レベルでの調整の制度をお話しした後に、残された現在の
課題について
意見を述べさせていただきたいと思います。
初めに二点ほど確認させていただきたいと思います。まず資料一、国際連合機構図をちょっとごらんになっていただきたいんですが、
国連機構図に関しましては、
事務局に御用意いただきました資料の中にも入っておりますが、もう少し細かい
国連の中の
組織を見ていただいて調整の必要を感じていただこうと思いまして、資料一をつくってまいりました。ただ、これは一九九二年の段階の
組織図でございますので、例えば持続可能な
開発に関する委員会がまだ設置されていない、したがってこの図に出てこないとか、そういう多少古い図ではございます。大変申しわけないんですが、
国連の中、そして
国連システムの全体像をごらんになっていただくために御用意いたしました。
一つ確認していただきたいのは、
国連システムという
言葉で、もう皆様十分に御承知だと思いますが、数の上でいえば、
国連システムというのは十九の国際機構から構成しているというふうに一般に言われております。
一つは国際連合本体です。そして、
専門機関というのが十六ございます。これは、
国連憲章の六十三条に基づきまして、各
分野ごとに
活動している国際的な国際機構は
国連の
経済社会理事会と連携協定を結んで
専門機関になるというような規定がございます。そのような連携協定を結んでいる国際機構が十六ございます。これがこの図の右下、「(
専門機関)」というふうに書いてある
部分です。
そのほかに国際原子力
機関、IAEAでございますが、これは
活動分野との関連で、連携協定を
経済社会理事会ではなく、
安全保障理事会と総会と結んでおりますので、憲章六十三条に言う
専門機関ではないということで、
専門機関としては位置づけられておりませんが、
国連と密接な協力
関係にある
機関でございます。
それから、この図が古くてガットというふうに点線で書いてありますが、その後継の
国際機関でありますWTO、これは
国連と正式な連携
関係にはございません。連携協定は結んでおりませんが、従来、ガットが
国連と非常に緊密な連絡をとってきた、そして国際貿易に関しても
国連も共同して
活動するべきであるということから、非常に緊密な、連携協定はございませんけれども、協力してやっていくということでWTOも
国連の
システムの中に位置づけております。
したがいまして、
国連システムといいますのは、
国連本体と十六の
専門機関プラスIAEAとWTOという十九の国際機構でございます。それに対して、総会の左側に線がどっと出ておりまして、これは全部総会が後ほどつくりました補助
機関です。それから、
経済社会理事会も補助
機関、いわゆる下部
機関をたくさん設けております。
このようにしてごらんになればおわかりかと思いますが、
国連の内部
機関だけでも百以上の内部
機関を持っております。それぞれ各
分野で
活動しておりますが、その
活動が重複することが出てくるわけで、この図をごらんいただきましても、調整の必要とか難しさとかがおわかりいただけるのではないかと思います。それがまず第一点です。
そして御確認いただきたい第二点は、まず調整の必要性ということでレジュメにも書きましたが、私はそこに三つほど、なぜ調整が必要かということを書いておきました。
一つ目は、もう皆様御存じのとおり、たかだか十三億ドル弱の
国連の通常予算、
経済社会協力に関しましては一般に四十五億ドルというふうに言われております。通常予算の三倍ほどの規模で
活動は行っておりますけれども、これは
国連システム全体の数字ですので、
世界の人口で割りますと、一人当たりたかだか八十セントの
資金しか
経済社会協力に振り分けられていないという
状況、このような少ない予算を二十近くの国際機構に分けて、それぞれの
活動が重複していれば非常に残念なことだということで調整の必要性がございます。
それから、二番目の
援助効率というのは、先ほども申しましたように、
各国際機構は
途上国の現場に行って
活動を行うわけですけれども、
各国際機構がそれぞれの
活動の優先順位をつけますが、その優先順位が同じような
分野での
活動の優先順位と違った場合、これがふさわしい事例かどうかちょっと自信がありませんが、今思いつくところで御説明申し上げますと、例えば外貨収入をふやすために観光
開発しようとしたときに、
世界銀行は外国人客を招聘するために、例えばバリ島に大きなホテルをつくろうということになりますと、海岸を壊して大きなホテルをつくって、そこにホテルマネジメントのプロジェクトをつくろうじゃないかというようなことがありますと、
一つの
機関は
環境をある
意味で破壊する方向に行くかもしれません。
それに対して、
世界環境機関というふうな
機関がありますが、いやそれは観光資源としての天然資源を、自然資源を保持した方がむしろ外国人客を招聘することができるのだというふうな形で、むしろ
環境を保護しようとするような方向に進むとするならば、観光客を誘致して外貨を獲得しようという同じ方向に向かおうとしても、その目的に向かう道順が違うわけで、そのような優先順位が
各国際機構の
活動ごとに違ってまいりますと、結果として目的の方向は一緒としても、そこに向かう道の効率が下がるという
意味で、
援助効率の点から調整が必要だということが一点あります。
そして三番目の、問題の複雑化、包括化ですが、これは先ほど
大芝先生が御説明くださいました
開発援助問題の
複合化ということと一緒でございますので、私はこれ以上申し上げる必要はないと思います。
以上のような点を踏まえました上で、では実際、
国連システム、十九の国際機構が本部レベルでどのように調整しているかということで、まず私は、法的にどのように位置づけられていて、どのように調整を規定しているかというのを御確認いただきたいと思いまして、資料二、資料三、これはちょっと国際条約で細かくて申しわけありませんが、御
参考までに配らせていただきました。詳しく御説明申し上げている時間がございませんので、後ほどお時間があるときに、アンダーライン、傍線を引いたり星マークをつけたりして関連のところをマークしておきましたので、後ほど御確認いただきたいと思いますが、三つの次元で確認させていただきます。
一つは、
国連憲章上は、つまり
国連自身は、
国連は
専門機関より一段上の調整
機関に位置づけるというふうに
国連憲章に書いております。それが
国連憲章五十八条から六十四条に至る
国連の
経済社会理事会の任務に関する規定でございますし、かつ総会の予算権のところで、これは憲章十七条ですが、財政上の監督権、勧告権を総会が持ち得るというようなことの規定にもなっております。したがいまして、
国連自身は
国連は
専門機関よりも一歩上の監督
機関、調整
機関というふうに思っております。
それに対して、
各国際機構、
専門機関はどのように
国連を見ているかということになりますと、各
専門機関の設立の基本条約、例えばILO憲章ですとかユネスコ憲章というようなものには
国連との
関係はほとんど言及されておりません。具体的に
国連と
専門機関との
関係を法的に規律するものは、先ほど申し上げました、
専門機関は
国連と連携協定を結んでおりますので、各
専門機関と
国連の間の連携協定を見ていくとそこに
両者の
関係が規定されております。
この連携協定を見ていくと、大きく分けて二つの分類に分けられます。その二つの代表として、資料二が
国連と国際労働
機関、ILOの協定、そして資料三が
国連と
世界銀行の間の協定でございます。
この
両者がどう違うかと申しますと、ILOと
国連の間の連携協定では、先ほど申し上げました、
国連自身が考えている、
国連が一段上の調整
機関としての位置づけにほぼ近い内容の協定になっております。例えば、
国連はILOの予算の報告を受けるですとか、事前に提出をしてもらって
活動報告をして、それに対して勧告をするなり
意見を言う、そういう立場にあるわけです。それに対しまして
世界銀行型は、これはもう
国際金融機関ということでございますから、
国連と対等、平等の立場で、
国連には一切予算それから
活動に関する勧告権を認めない、独立、別個でやっていくんだという形になっております。こういう法的な位置づけから、後ほど申し上げますが、
国連システムの中でも特に
世界銀行を
中心とするブレトンウッズ機構との調整が非常に難しい原因の
一つになっているということがおわかりいただけると思います。
国際機構同士のそういう法的な連携
関係を御説明いたしましたが、では実際に
国連システムの中でどのような調整
機関があるかということでは、まず一番我々が想像にかたくないのが
経済社会理事会。
経済社会協力ですから、
経済社会理事会という理事会がありますので、そこが調整をしているだろう、あるいはできるだろうと思いがちですが、実質的には
経済社会理事会の調整機能というのはそれほどございません。これは
国連憲章の六十四条の二項を見ていただければわかるんですが、
経済社会理事会というのは
専門機関から上がってきた報告書を総会に報告するというような形になっておりまして、報告のルートの一通過点というような形になっておりまして、実際、憲章上もむしろ
経済社会理事会の権限が弱まるような形の規定になっておりますし、かつ
経済社会分野の問題がたくさんございます。実質的な
議論をする時間等がございませんので、実質的な調整機能というのは
経済社会理事会は余り持っていないというのが現状のようでございます。
そこで、一九九〇年以降、調整機能強化のための
経済社会理事会の改組案というのが幾つも出ておりますし、一番そこで重要な論点となっているのが、やはり
専門機関と
国連システム全体の調整機能を強化するというところに力点が置かれているわけです。この点はまた、一九九四年に
国連事務総長が「
開発への
課題」ということで提言をしておりますが、
国連の調整機能の強化案として、
専門機関と密接に連携する、特に
経済社会理事会の調整機能、権限を強化するというようなことを繰り返し言っておりますので、
経済社会理事会が調整
機関であるべきで、そこを強化するべきだということは長い間言われているというところですが、実際にはまだまだうまくいっておりませんで、さらなる改革が必要であろうということだと思います。
そこで、では実際にどこにおいて
国連とその他の
専門機関が実質的に調整をしているかといいますと、この機構図をごらんいただきますと、
経済社会理事会と
専門機関との間に行政調整委員会、ACCと書いた
機関がございます。ここが実質的な調整
機関になっておりまして、これは
国連の事務総長が議長となって、十六の
専門機関プラスIAEA及びWTO、それに加えまして、
国連の内部
機関ですが、
国連本体の中の、例えばUNCTADですとかUNHCR、それから
開発の
中心的な
機関、
UNDP等の七つの
機関が含まれて、合計二十五の
機関の長、
事務局長レベルが
出席して、年二回から三回ですが会合を持って
政策レベルの調整を行っています。
ただ、このACC、行政調整委員会での話の内容を見ていくと、
国連とILO型の国際
専門機関の連携協定は
国連が一歩上というふうに書いておりまして、この行政調整委員会でも一応議長は
国連の事務総長というふうに、形式的には
国連が一歩上であるかのような形をとっておりますが、ACCでの
議論は実際には各
専門機関の独立性、それから自主性というのを損なわないように細心の注意を払いながら
議論をしておりますので、
国連と
専門機関の調整を主要に行っております行政調整委員会においては、実際には
国連と
専門機関はかなり対等な
関係で
政策調整が行われているということが言えると思います。
本部レベルにおきましては、
国連の本体の中にも幾つも調整
機関がございます。左側の箱にたくさんいろんな
機関がある中で、行政財政問題諮問委員会ですとか合同監査団ですとか国際人事委員会ですとかそういうところで人事
政策まで含めて、
政策、予算の調整などの調整のための
機関、十以上あるというふうに言われておりますけれども、
国連の中にはそのような調整
機関がたくさんあるわけですけれども、本部レベルでの重要な調整
機関としては、先ほど申し上げました
経済社会理事会と行政調整委員会というのを御承知おきいただきたいと思います。
それから今度は、今申し上げたのは本部レベルで、特に
国連と
専門機関の
関係ですが、
国連の中にもたくさん
経済社会協力を行っている
機関がございます。
国連の補助
機関として、例えばユニセフですとか
UNDPですとかUNHCRですとかあるわけですが、その
国連内部の
機関の調整をどのようにしているかといいますと、九七年にアナン事務総長の提案で約三十の
国連機関を問題別に
四つのグループに分けました。その中で、
経済社会協力に関するものは
国連開発グループ、ユナイテッド・ネーションズ・ディベロプメント・グループということで、UNDGという名前で呼ばれるグループをつくりました。これは十九の
国連の内部
機関から構成されておりまして、ここの議長は
国連の
開発援助活動の
中心的な
役割を担っている
UNDP、
国連開発計画が議長となって
中心的に調整を行っております。ここで目指すのは、
政策とか意思を共同でつくる、そして各
機関が行っているプログラムを調整する、
開発援助活動を調整する、そして
援助活動の効率を高めるというようなことを目的にやっているのがこの
国連開発グループでございます。
以上が、
国連及び
専門機関の本部レベルでの調整の制度ですが、では実際に現地では、
開発途上国の現地で
経済社会協力を行う際の調整はどのようにしているかというと、三つほど御説明申し上げたいと思いますが、
最初に、ちょっと順番が前後しますが、三者協力
システム、トライパータイト・パートナーシップというふうに
国連では言っておりますが、こちらから御説明したいと思います。
まず、
国連の
開発援助業務といいますのは、
世界銀行などとは違いまして、先ほど
大芝先生から御説明がありましたように、無償の
援助活動で、無償ということはつまり技術
援助活動が
中心になっております。
国連はほとんど無償で技術を伝える
援助活動をやっているわけですが、その
中心となるのが
UNDPです。
その
UNDPの
開発援助プロジェクトといいますのは三者の間の協力で行われています。
一つは
UNDPですが、
UNDPはその中でも
資金を提供するというファイナンスエージェンシー、
資金を提供する
機関として位置づけられております。そして具体的な技術、
途上国に伝えるべき技術は、各
専門機関が専門性を持っておりますので、労働問題であればILO、保健衛生問題であればWHO、教育科学問題であればユネスコというような形で
専門家が出てきて技術を伝える、そして最後に
援助される側の被
援助国
政府が主体的にプロジェクトを実施するという、この
UNDP、
専門機関、被
援助国
政府という三者の間で協力
関係が行われております。
そのような形で、
分野ごとにそれぞれ三者ができて
活動が行われているわけですけれども、
国連はこの
開発援助活動の効率を高めるために一九七七年に
経済社会分野の機構改革の新しい制度を導入いたしました。それが一番の
国連常駐調整官制度、レジデント・コーディネーター・
システムと言われるもので、これは
途上国の領域に各
専門機関がみんな代表を送ってきて先ほど申し上げたような技術
援助をするわけですけれども、それがグループごとにいろんなことをやって調整がとれないとやはり効率が悪いわけです。そこで、この一九七七年に考案された常駐調整官制度というのは、一人の人を
国連のチームリーダーとして任命して、
国連常駐調整官として任命して、その人が
国連チームのリーダーとして現地の
国連が関与する
経済社会協力の責任を担うという形で調整を行おうとしたのがこの制度でございます。
国連の場合、先ほどから申し上げますように技術協力の
中心的な
機関が
UNDPでございますので、本来は
UNDPの現地事務所、常駐代表がおりますので、その常駐代表が、つまり
UNDPの現地代表が
国連システム全体の調整官として、言ってみれば
国連大使のような立場で現地の
活動を調整するというような制度を取り入れました。
これが
国連常駐調整官制度で、もともとは
経済社会協力、
開発援助活動のための調整官だったんですが、この制度は非常によろしいということで強化されて、権限が拡大されまして、その後、本来
開発援助活動とは違う、関連はしているわけですけれども、人道
援助活動の調整役も任務が与えられ、その後は九〇年代に入って特にですが、毎年のように国際会議、
世界会議が行われております各
世界会議で採択された
世界的な
政策を各
途上国が
途上国レベルで、
各国内で履行するための技術
援助を行うというような形で、
世界会議の
政策の国内履行
活動の調整役というような任務も与えられております。
最近では、平和維持
活動で国家再建ですとか、紛争で崩壊した国にかわって統治支援をするような
活動を平和維持
活動が行っておりますけれども、そういう
活動の際の調整役も行うような形で、この常駐調整官制度は本来
経済社会協力の調整から始まりましたけれども、現在ではまさに
途上国における、現地における
国連システム全体の、つまり
国連のプレゼンスの代表者というふうな言い方をされます、
国連の現地関与の代表者というような形になっておりますので、この常駐調整官を
中心に
国連システムが調整されるような形になっております。
そしてもう
一つ、三番目に、ちょっと多少技術的になりますが、
経済社会協力の
活動に関しては、つまり
開発援助活動に関しては、各
援助機関が国別計画というのを策定して、その
機関ごとに優先順位をつけて
援助プロジェクトを実施していくわけですけれども、先ほど申し上げましたように各
機関ごとに優先順位が違うと
援助効率が悪くなりますので、
国連としては、この
国連常駐調整官を
中心にチームワークで
一つの
途上国に対して
行動をとっていこうとするならば、各
国連システムの、各
機関の国別計画を別のものにするのではなく、
国連全体のその国に対する
政策をつくろうということで、それが
国連開発援助枠組みということで
一つの大枠、ショッピングリストのようなものをつくって、この
分野ではこういうものが必要、例えば教育
分野であれば初等教育が重要なのか中等教育に移行するべきなのかとか、そういう
政策をつくりまして、そこの
分野で
活動が行われる
機関にそのショッピングリストの中から
活動を選んでやっていただくというような形で、リストは
国連としてつくるというような形の大枠をつくる試みをやっております。
以上のような形で、現場においてはもう
経済社会協力を効率的に行うんだという目的意識が非常に明確でございますので、本部レベル以上に現地では
関係者が率先して調整あるいは協力
活動を行っているというのが現場での状態だろうというふうに私は個人的に思っております。
最後に、以上のような調整の制度を概観した結果、私の
意見として、今後の
課題として四点ほど書かせていただきました。
まず第一は、
国連システム、十九の国際機構の調整が必要なわけですけれども、その場合、まず第一義的な責任はどこにあるかと申しますと、
日本を含む各加盟国がそれぞれ十九の国際機構に加盟国として存在しているわけです。とするならば、十九の国際機構の中で
政策の調整が必要であるならば、それぞれの
機関に入っている共通の加盟国がそれぞれの
政策を歩調の合うような、協力できるような
政策にするべきだろうというふうに思っております。
特に、今後調整が必要なのは
国連とブレトンウッズ機構の調整、これは法的には連携協定上、多少ILO型の連携協定と違って、
国連の調整
機関としての立場を余り認めておりませんので、法的な協定では非常に協力が難しいのかもしれませんが、特に
日本のような国、
国連においてもブレトンウッズ機構においても
世界第二位の
経済的な貢献をしている国は発言権が多いわけですから、その両方の
政策づくりの場においてそれぞれの
政策が歩み寄れるような
政策をつくるように率先して
活動するべきではないかというふうに思います。
ただし、これは非常に困難であることが容易に想像できるのは、それぞれの監督官庁が違う、つまり
国連は片や外務省、それから
金融機関は大蔵省ということで、これはどこの国でも同じなんですが、国内行政の縦割りの問題がありますので、加盟国は一緒といっても、その国内の
政策を調整しない限り、国際的に出てくる
政策の調整も難しいというふうに個人的には思いますが、そこをぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。
それから三番目に、先ほど申し上げましたが、
経済社会理事会というのは、名前のほどには権限なり調整機能なりがうまくいっていないように思われますので、ここに関してはいろいろな提言もございます。先ほど
大芝先生から御指摘いただきました
開発援助の
評価をやる検証
機関にしたらどうかというような提案もございます。どういう形にせよ、やはり
経済社会理事会の実質的な機能を強化する必要はあろうかというふうに思います。
それから四番目に、この点はやはり
日本も特に
関係するんですが、先ほど現地レベルで
国連開発援助枠組みという枠組み、ショッピングリストをつくるということを努力しているという話をしましたけれども、今のところ、この
援助枠組みに
参加していただくのは
国連の
機関と
専門機関のところまでが射程なんですが、やはり
一つの被
援助国に対する
援助効率を高めるためには、二国間の
援助規模がはるかに大きいのが二国間
援助の
経済社会協力ですので、その規模を持っている二国間のドナーの方たちにもやはりこの
国連が全体でつくったショッピングリストに入ってきていただいて、つまり
日本の
援助機関の国別計画というのをこの
国連の
開発援助枠組みの中に合わせるなり、歩調をそろえるというような形で
国連システムの
社会経済協力と二国間
援助の調整も現地レベルでしていただければというふうに希望いたしております。
非常に早くておわかりにくかったかもしれませんが、以上で私のお話を終了させていただきます。
御清聴ありがとうございました。