○水野誠一君 ひとつその辺は大変重要な点だと思うのでしっかりとお願いをしたいと思うんですが、森
総理が
IT、
ITと言われれば言われるほど
IT関係の株が落ちるという笑えないジョークのような話があったわけでありまして、私は大変これ問題だなと思うんですが、結局、やっぱり根本的
基本的な
考え方、体質を変えないで
ITといっても、これも新たな公共事業のばらまきになるんじゃないかという危惧はやはり相当
国民の間に強い。
そういう視点からいっても、今回の
IT基本法も、私も業界の人たちと随分その問題について話をしたんですが、皆さん言うのは、もうそれは今さらお題目は結構だ、それよりももっと具体的な
規制緩和とか、先ほどの
NTTの接続料の話や何かもありましたけれども、そういう問題を、つまり国が国しかできない問題をもっと積極的に具体的に進めてほしいんだと。だから、お題目よりももう具体策だという意見が非常に強かったということが言えると思うんです。
事実、私は、この
国会内なんかでも、
IT革命というからにはもっと進めていただきたいというかもっと改善していただきたいのは、この
委員会の部屋とか本
会議の部屋に私たちがパソコンとかあるいは電子手帳を持ち込むとしかられるんですね。私も昔、商工
委員会のころに電子手帳を持ち込んで怒られたことがあるんです。それはなぜかというと、法律にはないんだけれども議運の決定事項で、これは光と音が出るものを持ち込んではいけないと。光と音と聞きまして、これは
国会というのはいまだに縄文
時代なのかなというふうにちょっと私もびっくりしたんです。
もうこの
時代に、やはり我々でも、こういう
質問をする
にしても、コンピューターの中にもデータがいっぱい入っているわけですから、コンピューターを持ち込めればいかに便利かということもありますし、その辺でいろいろ事務をやっておられる
方々も、コンピューターがあれば随分便利になるということですから、まずそういった足元から少し、
IT化ということを言うのであれば、
IT革命と声高におっしゃるのも大いに結構なんですが、むしろそういう足元からやっていってほしい。
そしてまた、
民間はもう既に、先ほどからいろいろ皆さん
お話が出ていたように、
IT化あるいは
インターネット普及、もうそれは本当に我々が想像するよりもはるかに進んでいると言っていいと思うんです。
確かに、
情報弱者の問題ということがよく言われます。しかし、この
情報弱者の問題というのも、私は二つあると思うんですが、
一つは、本当に
障害があって
情報機器を使いこなせないという方と、それから、いやもうそういう意識がないと。この
方々は、昔よく読み書きそろばんという言葉がありましたけれども、私なんというのはいまだにそろばんというのはできない。しかし、電卓ができたので何となく仕事はつつがなくやることができたと。しかし、電卓がなかったら私は今ごろ落ちこぼれていたんじゃないかというぐらいの問題がありますから、確かに、やる気がない人間に対しては、これはなかなかそれを普及していくというのは難しい。しかし、
障害者に対して、これに対するいろいろな機能の付加とか
技術的改善というのは必要だと思うんですね。
これは、静岡県立大学に石川准さんという教授がいらっしゃいまして、この方は高一のときに完全失明をされて全盲なんです。全盲ですが、昭和五十二年に全盲として初めて東大に合格されて、今、静岡県立大学で
社会学の先生をやっておられる。
この方は独自に視覚
障害者用の画面読みプログラムというのを御自分で開発して、それを使って御自分でもうともかく論文からすべてコンピューターでお書きになっている、こういう方がいるんですね。こういった能力をお持ちの方ばかりとは限らないんですが、例えば視覚
障害者の方にもそういう対応はできるわけであります。
それから、例えば、
IT技術が発達すれば、確かにこういった
障害者に対する配慮ができるかというと、その逆行するケースというのはもちろんあるわけでありまして、例えば銀行が今やっておりますATM、金銭の支払い機がありますが、これは昔はテンキーという立体的な押しボタンで暗証番号あるいは金額が入れられた。ところが、今はタッチパネルで画面の上を押すようになった。そうすると、視覚
障害者の人はこれは対応できないわけです。テンキーであればともかく手探りでも押せたというような問題があって、これなんかむしろ逆行している。これなんか銀行に例えば言うと、なかなか経営合理化の方向から考えてもそこに戻すことはできない、こういうことになるわけです。
ですから、そういった問題に対しては、私は大いに
日本政府が旗を振って、あまねく恵沢を享受できるような政策というのはやっていただきたい。しかし、
民間の活力、
民間のパワーに大いに期待し、またそこに託していく
部分、これは私はその足かせにならないような
規制緩和ということを大いに進めていただくということで、私はこの法律、
基本法よりも何よりも、具体的にやること、これがいっぱいあるということ、そしてまた足元からいろいろあるということをまず申し上げて、私の
質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。