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2000-11-27 第150回国会 参議院 交通・情報通信委員会、経済・産業委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月二十七日(月曜日)    午後一時一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。    交通情報通信委員会     委員長         今泉  昭君     理 事                 景山俊太郎君                 鈴木 政二君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 渕上 貞雄君     委 員                 泉  信也君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 中島 啓雄君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 齋藤  勁君                 内藤 正光君                 山下洲夫君                 弘友 和夫君                 八田ひろ子君                 宮本 岳志君                 岩本 荘太君    経済産業委員会     委員長         加藤 紀文君     理 事                 保坂 三蔵君                 山下 善彦君                 円 より子君                 山下 芳生君                 梶原 敬義君     委 員                 加納 時男君                 倉田 寛之君                 畑   恵君                 真鍋 賢二君                 吉村剛太郎君                 足立 良平君                 本田 良一君                 藁科 滿治君                 山下 栄一君                 西山登紀子君                 水野 誠一君                 戸田 邦司君    国務大臣        通商産業大臣   平沼 赳夫君        郵政大臣     平林 鴻三君        国務大臣     堺屋 太一君    政務次官        法務政務次官   上田  勇君        外務政務次官   荒木 清寛君        大蔵政務次官   村田 吉隆君        文部政務次官   松村 龍二君        通商産業政務次        官        伊藤 達也君        郵政政務次官   佐田玄一郎君        労働政務次官   釜本 邦茂君        自治政務次官   荒井 広幸君        総務政務次官   海老原義彦君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        内閣官房内閣内        政審議室内閣審        議官       古田  肇君        内閣官房内閣内        政審議室内閣審        議官       平井 正夫君        金融庁総務企画        部東京証券取引        所監理官     三國谷勝範君        中小企業庁長官  中村 利雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案(  内閣提出衆議院送付)     ─────────────    〔交通情報通信委員長今泉昭委員長席に着く〕
  2. 今泉昭

    委員長今泉昭君) これより交通情報通信委員会経済産業委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が連合審査会会議を主宰いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案審査のため、本日の連合審査会内閣官房内閣内政審議室内閣審議官古田肇君、内閣官房内閣内政審議室内閣審議官平井正夫君、金融庁総務企画部東京証券取引所監理官三國谷勝範君、中小企業庁長官中村利雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は、お手元に配付いたしました資料のとおりでございますので、御了承願い、その聴取は省略をいたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 畑恵

    畑恵君 自由民主党の畑恵でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私に与えられました時間が十五分ということでございまして、多少早口になるところをお許しくださいませ。  さて、今回のいわゆるIT基本法案でございますが、インターネットに代表されるIT、確かにある意味魔法つえであると思います。なぜなら、この世のすべての営みというのは、政治や経済でも、外交や安保でも、社会現象あるいは化学反応などの生命現象、そして気象現象に至るまで、すべて情報やりとりに帰結するということから考えますと、ITはこの情報やりとりを革命的に進化させる、そういう道具であると思います。  つまり、ITを利用すれば、必要な情報を必要な人やところに必要なときに必要な量だけ極めて迅速かつ低コストに届けることができますので、その結果として世の中を劇的に変化させることができる、構造変革を起こさせることができる大変有効なツールだと理解しております。その意味では魔法つえと言える力をITは持っていると思うんですけれども、だからといってそれを振りおろせば必ず世の中が幸せになるかといえば、これは必ずしもそうではない。  昨今のITブームの中で、まるでIT推進それ自体が目的のように誤解されている方が多くいらっしゃいましたり、あるいはITはあくまでツール道具であるにもかかわらず、これは使いようによっては毒にも薬にもなりますが、これをとにかく多く使えばそれで世の中が幸せになる、あるいは世界が平和になると思っていらっしゃる方が多いのもこれまたしかりだと思っております。  やはり、ITを使うことで何でもかんでも幸せにしてもらおう、受け身で幸せにしてもらおうというのはこれはナンセンスな話で、むしろITを人類の幸福のため、あるいは地球の平和、繁栄のために必ず使っていくんだという意思こそが今最も必要であって、その意思をしっかり国としても示す必要があると。やはり、本気で今、IT立国日本が目指すのであれば、IT立国たる日本インフォメーションテクノロジーをこのように活用してこのような国になりますと、そういう国家ビジョンというのをまず一番最初に掲げて、それに向かってITという道具を使うべきだと思うんですけれども、今回の基本法案の中でこのビジョン、骨格という核の部分というのはどういうところなんでございましょうか。
  6. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 畑委員指摘のとおり、ITはあくまでも道具でございまして、道具が普及することが目的ではなしに、その道具を使ってどのような世の中をつくるか、どのような生活をつくるか、それが重要な問題だと思います。  この本法案におきましては、第一条において、ITの活用により世界的規模で生じる急激かつ大幅な社会経済構造の変化に的確に対応するために、高度情報通信ネットワーク社会形成推進すると書いておりまして、第二条では、当該社会を、インターネット等高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報知識をグローバルに入手し、共有し、発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能になる社会と、こういうぐあいに定義しているわけです。  しかし、この定義は、御指摘のように、どちらかといえば技術的な面を強調しておりまして、その背景にある、その基本にあります社会構造、これがどういうものかということを考えますと、グローバルな情報の交換、共有によりまして各個人が好みのえにしでつながるような、好みの縁でつながるような新たな人間関係が構築できる社会、いわば好縁社会好みのえにし社会と呼ぶべきものだと考えております。こういう社会は、大昔の血縁社会地縁社会、そして戦後日本にできました職縁社会、職業、職場のえにしでつながっている社会に続く第四の社会構造ではないかと思っております。  次に、産業経済の面で見ますと、ITによる生産、流通の生産性が向上する。それによって新規需要創造され企業経営が効率化し、これを通じて経済産業が活発になるだろう、さらに文化の面でも独創的な文化創造研究活動ができるだろう、そういうようなIT基本とした経済文化発展がある。人間関係の面と経済文化の面と両方に効果があると、こう考えております。
  7. 畑恵

    畑恵君 ありがとうございました。  人間関係産業経済発展と二面があるというお話でございまして、ちょうどちょっとそこのお答え部分とリンクする問題なんですが、堺屋大臣、常日ごろIT社会推進というのは国民運動であるというおっしゃり方をしていらっしゃいますけれども、法案基本理念を記した第三条から八条まで条文を読ませていただきますと、確かにそこここにすべての国民ですとかあまねくですとか、あらゆる分野格差是正という言葉がちりばめられておりまして、確かにデジタルディバイド是正するということは非常に重要な問題でありますし、ITによる恵沢というのは、すべての人々すべての分野にあまねく平等に行き渡るのが理想だとは思うんですけれども、このあまねくというところに余りにも重点が置かれてしまいますと、世界トップランナーとなれる人材ですとか地域ですとか企業分野、そうしたものへの支援というのが相対的に薄くなってしまう危険性がある。  特に、国会議員国民運動で応援をしますと、トップランナー型の方よりはデジタルディバイド是正型の方が多いですので、どうしてもそちらの方に引っ張られてしまって、先ほど大臣が後半の方で強調された経済産業発展というところが手薄になる危険性があるのではないかと思うんですが、この二面をどのようにバランスをとられるおつもりか、伺えますでしょうか。
  8. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この法案におきましては、高度情報通信ネットワーク社会発展を担う専門的な知識または技術を有する創造的な人材育成、これが十八条でうたっておりますし、二十三条では、我が国産業国際競争力強化をもたらす研究開発推進等を規定しておりまして、一方では高度ということを言っておるわけですけれども、私が考えますのに、やはりITを使う人の底辺といいますか、ずっと全体に広がっている、そういう上にこの高い技術も立ち上がってくるんだろうと思うんです。特に、ITを利用する人の数がふえますと、それが価値を生みますから、それによって人材も資本も入ってくる。  例えば、テレビが普及しますと、テレビのドラマをつくる人とか技術を開発する人というのは、大変ビッグビジネスになりますからより大勢の人材、より多くの才能が入ってくる。そういう意味で、やはりこのデジタルディバイドがなしに開発されることが大きな頂点を築き上げる。特にこれはコンテンツの創造の点では非常に重要な意味を持っていると思うんです。  したがって、このデジタルディバイドの解消ということと世界的に高い水準の高度の技術を開発するということは、決して矛盾することではなしに、むしろ両立することではないかと考えております。
  9. 畑恵

    畑恵君 確かに大臣お話のとおり、決して二律背反することではなくて、むしろ相互に好循環をもたらすというところはそのとおりだと思います。  ただ、実際にやはり、繰り返しになりますけれども、デジタルディバイド是正というところでとどまってしまう国会での議論というのも私多く耳にいたしておりまして、そういう意味では、こちらの十八条にも書かれているとおり、ぜひトップランナー型での国際競争力という点でもお力を入れていただいて、日本経済産業のまさに活力にITをしていただきたいと思っております。  若干視点を変えさせていただきますけれども、じゃIT立国を目指す上で最も重要な課題は何かといえば、それはやはり通信料金通信コスト低廉化だと思います。そのために何が今必要かといえば、それは公正な競争環境整備、これは異論のないところだと思いますけれども、法案にも第七条と第十六条に明確に書き込まれておりまして、これはぜひ評価したいところなんですけれども、じゃ実際にこれを具体的にどのようにこの問題を解決するかと考えた場合、例えばユニバーサルサービスあり方も含めましたNTTの再再編の問題ですとか、あと米国FCCのような通信市場における規制機関の設置、これもEUですとか、米国も最近日本に要求しているようでございますので、こうした具体的な措置といった問題、避けて通れないと思います。  きょうは郵政大臣もお越しでございますので、ぜひこれに関して御所見を伺いたいと思います。
  10. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 委員がおっしゃいますように、法案にも公正な競争ということを規定いたしております。  郵政省といたしましては、今おっしゃいましたような問題につきまして、例えば、接続ルール制度化を図るとともに、事実上独占状態にありますNTTでございますが、これの地域網オープン化加入者回線アンバンドル化を図るというようなことであります。またDSLとかFWAというような多様なアクセス系ネットワーク導入していくというようなことで公正な競争政策をとってまいりたいと思っております。  また、御指摘ユニバーサルサービスを含めましたNTTあり方につきましては、競争政策の検討に当たりまして一番重要な課題だと認識をいたしておりまして、現在、電気通信審議会におきましてさまざまな観点から議論が行われておりますので、そこでの議論を踏まえて適切に対応いたしたいと考えております。  また、この規制機関米国FCCというような機関が設けられておりますが、我が国では合議制に基づく行政委員会という制度は一般的には紛争処理などのいわばこちらが受け身になった受動的な行政領域に適した行政組織であると私は考えております。そこで、迅速かつ能動的、戦略的、総合的な判断が特に必要な情報通信行政組織としては必ずしも適当でないんだろうと思うわけでございまして、政策立案規制、監督をあわせた情報通信行政全般大臣を長とする独任制機関である省、一月から総務省になりますけれども、省のもとで一体的、機動的に行うことが重要であろうと思います。  なお、関係をいたしまして、今後増加することが予想されます事業者間の紛争を処理する、この紛争処理につきましては、新しい総務省のもとでこれを迅速、公平、中立に行います専門組織を創設する等の体制整備を図るのが適当であろうと考えております。
  11. 畑恵

    畑恵君 どうもありがとうございました。特に規制機関につきましては、新たな体制強化をしてというお話でございました。  先般の接続料金の問題のときに、本当に両手にも満たない人数で郵政省方々が頑張っている姿を端から拝見しておりましても、やはりもうちょっと人員的に増強していただくということが喫緊の課題だと思っておりますので、しかるべき体制というのをぜひ新しい省の中で立ち上げていただきたいと思っております。  おしまいにIT、これも戦略本部会議というのが現在もございますけれども、これに関して、基本法案の中にも書き込まれておりますいわゆるIT推進戦略本部についてお話伺いたいんですけれども、私ども一番危惧しておりますのは、いわゆる民間方々からのメンバーがどういう過程でどういう方々が今度は選ばれるだろうかと。やはり二十世紀を代表される大企業の重鎮の方々よりは二十一世紀をリードするベンチャーの旗手といった方にそのメンバーには多く顔を連ねていただきたいと多くの方が望んでいると思うんですけれども、何分これは総理の指名ということでございますので、お答えにくいところもあるかと思いますが、どのような戦略本部になさるおつもりでどういう方を配置しようとお考えでいらっしゃるか、最後にIT担当大臣に伺って質問を締めくくりたいと思います。
  12. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部というのができまして、ここで政府として一元的に対応できるような措置をとる、体制をとるということでございまして、総理を筆頭に全閣僚、そして民間人が入ることになっております。  この民間人の人選は、総理大臣が選ばれるわけですが、委員指摘のように、できるだけ幅広いといいますか、多様な人員が入れるように、いわば役職だけでずっと選ぶというんじゃなしに、多様な人員が入れるように配慮することが必要だと私は思っております。いずれ総理大臣が決断されることだと思います。
  13. 畑恵

    畑恵君 どうもありがとうございました。
  14. 本田良一

    本田良一君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、連合審査に当たりまして質問をさせていただきます。  冒頭私は、堺屋IT担当大臣に、何度か委員会法案整備の特に書面交付、そういう中でもIT革命とはどういうものかと、こういう御質問もあって、もう一回、私もこの辺を押さえておくべきではないかと思いましたが、時間がいっぱい後にありますので、終わりのときにじっくりとお話をお聞きすることで、ちょっと先の方に行きます。  今回のIT基本法は、この法律をつくればすべて我が国IT革命がうまくいく、今の自民党の畑恵議員質問と同じでございますが、というようなものではなくて、それに伴うさまざまな環境整備が必要です。私は、以下六点に集約をされると思います。  まず一つ自由競争による通信料金の全体的引き下げ。二番目が規制緩和。三番がIT関連機器の低価格、使いやすさ。四番が国民ITリテラシー向上インターネット人口の増と申しましょうか。五番目がIT社会における安全と信頼の確立。六番が自己責任社会の構築。  そこで、堺屋IT担当大臣にお伺いをいたしますが、我が国IT革命、国がIT革命に乗り出す際の障害と、それをどうやって除去していくか、環境整備のポイントをお聞かせいただきたいと思います。
  15. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 大変広範で難しい問題でございますけれども、この分野で専門的な経験をお持ちの委員の御質問でございますので、私の考えているところを述べさせていただきますと、まず、インターネットを初めとするIT技術の進歩によって、現在、世界的に進行しておりますIT革命と言われるものは、発展途上国を含んで世界経済、二十一世紀経済発展のかぎになる極めて重要なものである。同時にまた、社会的弱者と言われる方々を含め個々人がみずから潜在能力を発揮し、みずからの希望を実現できる可能性を高めるものでもある、その両面があろうかと考えています。  IT革命の到来によって大規模規格大量生産近代工業社会から多様な知恵時代へと歴史的発展段階が変わろうとしておりますけれども、御指摘日本で何が障害かというと、実は日本はこの規格大量生産社会というのを上手につくり過ぎた。高度成長時代からすべてを規格大量生産社会に合わせてつくってきたものですから、制度もそうなっているし、組織もそうなっているし、また商習慣人々考え方規格大量生産型になっている。これをITにふさわしい多様な知恵時代に変えていくという、これは幾つも障害がございます。  それを今一つ一つ変えていく、そういう作業をやっている最中でございまして、この法案もその一つでございますし、商法の改正からさまざまなことを今やっておりますが、これがずっと下に浸透して、皆さんが本当にそういう習慣を持ち、そういう発想になっていただくまでには相当いろんなことをやらなきゃいけない。これが日本障害といえば障害ではないか、成功したがゆえの障害というのは非常に大きいのではないかと思っております。
  16. 本田良一

    本田良一君 今の大臣答弁がこれから私が質問をいたす中で一つ一つ明らかになっていくのではないかと思います。今の答弁と重複をいたしますが、もう少し突っ込んでお伺いをいたします。  この法案では、高度情報通信ネットワーク社会形成に関する基本理念として第二条から第七条まで六項目を挙げておられます。六項目については既に大臣提案理由の中で説明しておられますので省略をいたしますが、このうち二の経済構造改革推進及び産業国際競争力強化について特にお尋ねをいたします。  私は、この項目こそIT産業政策と位置づけているものではないかと思います。IT国家戦略の中でIT産業政策と位置づけられていると考えてよろしいでしょうか。私は、IT戦略はうまくいったが日本経済は沈没したというようなことでは何もならない、日本経済再生のためのIT戦略でなくてはならないと思いますが、いかがでございましょうか。  また、私はITに関する産業政策は既存の企業だけを支援するというものであってはならないと思います。ITという革新的な技術によって新しい産業が起こり企業が創業する、そういう面の支援こそ重要であると思います。起業家支援として金融、税制、雇用、特許制度など、あらゆる面の見直しが必要だと言われ、小渕政権から今日の諸改革がなされてきたところでありますが、その改革は今日どのような効果を発揮しつつあるか、今後どのような支援策が考えられるか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  17. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) お答えをさせていただきます。  委員指摘のとおり、まさに私は産業政策、その御指摘のとおりだと思っております。  今朝、IT戦略会議の第六回目、IT戦略本部との合同会議が開催をされました。私も出席をしていたわけでございますけれども、戦略会議から総理に手渡されました基本戦略において、重点政策分野といたしまして第一番目には超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策、これが大事だと、こういう御指摘がありました。二つ目電子商取引ルールと新たな環境整備三つ目電子政府実現をしよう、四つ目は当然のことですけれども人材育成強化、こういったことが重点項目として挙げられまして、それぞれの分野施策の進め方に関する基本的な考え方、目標、推進すべき方策が示されたところであります。  通産省といたしましては、低廉で高品質なネットワークサービスが提供されるための競争環境整備、これが重要だと思っておりまして、一生懸命取り組んでいるところでございます。また、契約成立時期の明確化など、電子契約ルールを例とするような電子商取引の特質に応じたルール整備、これは既に御協力いただきまして電子商取引、この法整備も第一段階進ませていただきました。三番目といたしましては、行政ICカード導入情報システム開発に係る評価指標の策定、導入等を通じた電子政府実現を図っていきたい。また、資格制度国際標準化等人材育成等施策は、IT基本法案にある経済構造改革推進及び産業国際競争力強化といった産業政策上の課題にとって非常に有効なものと、このように考えておりまして、通産省といたしましては、御指摘のとおり産業政策ということで、IT国家戦略を踏まえて、基本法に基づく重点計画の策定や実行等において積極的に貢献をしてまいりたい、このように思っております。  また、二番目に御指摘の新規産業の件でございますけれども、新規産業の創出というのは我が国経済の活力の源泉であると思っております。創業者を支援することはそういう意味で極めて重要だと、このような認識のもとに、新事業創出促進法の制定や中小企業基本法の抜本的な改正など、創業者への支援措置の拡充強化を図ってきたところでございます。  具体的には、資金面からの対応として創業者等に対する信用保証制度の創設、エンジェル税制の抜本拡充などを今一生懸命行っております。また、優秀な人材確保を円滑にするためのストックオプション制度の拡充など、こういったことも今力強く展開をさせていただいています。  また、技術面からの対応としては、中小企業技術革新制度、この充実を図っておりまして、産学を結ぶ技術移転機関への支援等、こういうことを行っておりまして、例えば実績としては、今年度は五省庁合計百三十億、そういった実績も出ているところでございます。  また、ソフト面からの対応としては、国、都道府県、地域の各レベルにおける一元的な相談窓口の設置等、経営面での多様なニーズにきめ細かく対応するための支援体制整備などの措置を積極的に講じてきております。  さらに、御指摘のとおり、創業者を育成することが日本経済の活力につながることでございますので、創業者等の事業活動のさらなる発展支援するために、ストックオプション制度の拡充や多様な株式発行を可能とする制度の創設などを含め、企業法制の見直しを関係省庁に働きかけるなど、引き続きこれからも積極的に創業者に機会をたくさん設けて発展を遂げるように努力をしてまいりたい、このように思っております。
  18. 本田良一

    本田良一君 今、通産大臣よりお答えをいただきました。  私がこの設問をなぜやったかといいますと、今まで小渕政権で、バブルからずっと経済が落ち込んだ、それを立て直すために小渕政権でいろんな戦略、新生経済対策とかそういうものが発表されてきました。やっとこれから、今、通産大臣がおっしゃったような諸施策をあのときに打ち出されまして、こうやりますよ、こうして日本を再生させますと、こういうことになってやっと一年、そこにIT国家戦略が出ました。IT国家戦略を私は打ち出されたことは非常にいいことだと思います。それは、予算が伴わなくても、日本経済、国家像をこうしていくんだ、これを示されたことは非常に意義が大きい。  ところが、ここにやっと経済的な再生の施策を打ち出したところでIT国家戦略が来たから、ややもするとこれだけに力が入って、今までずっと打ち出した、せっかく今地方で定着をしつつある、経済を回復させつつある産業政策IT国家戦略で消えてしまわないかと、ここが心配だから今私はこの設問で確認をして、次に進みたいというところです。  政府ITに関する産業政策は、小渕内閣の産業競争会議や森内閣のことし八月の産業新生会議、そしてIT戦略会議組織は次々とつくられて、現に政策は予算配分もされ実施されております。  それらの関連性と産業政策の連続性についてお伺いをいたします。
  19. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) もちろん委員指摘のように、故小渕総理が一連の産業の活性化のために政策を出されました。これを受けた形で、今、森内閣の中で産業新生会議というのが創設されまして、継続的にその延長線上でいろいろな対策をしているところでありまして、その産業新生会議の中での四つの柱がございまして、一つの柱が今御指摘IT革命によって経済をさらに高めていこうと。二つ目は、もう御承知のとおりだと思いますけれども、少子高齢化対応の施策を打ち出していこうと。三つ目は、都市基盤の整備によって経済の効率を高めていこうと。四つ目は、二十一世紀は環境の時代、この環境をいかに克服するかと、こういう問題でございますから循環型社会の構築、こういうことで小渕政権からのいろいろな政策は継続的にやらせていただいています。  そういう中でITということはやはり一つの大きな起爆剤になると、こういうことで、私どもとしては、審議会等の御意見では経済成長率というのは二%というようなことで設定をしておりましたけれども、しかしやはり日本は潜在力があるので、こういった施策を継続的に発展をさせてITというものを中心に据えて、私どもは三%ぐらいの経済成長率を目指してこれからいろいろ具体的なことをやらせていただこうと、こういうふうに思っておりまして、御指摘のとおり、ITだけが中心ということじゃなくて総合的にやっていくと、こういうことでこれからも努力をさせていただきたいと思っております。
  20. 本田良一

    本田良一君 ありがとうございます。  我が国IT国家戦略として国際的な面を考えると、日本世界の水準に追いつくというだけではなく、さらにアジアや世界をリードすることも考えていかなければならないと思いますが、いかがでございましょうか。  そして、IT憲章はサミットでも提案をされ、我が国が議長国として取りまとめたところでございます。我が国のアジア各国に対するIT支援も示されておりますが、ODA予算などで批判されている顔の見えない支援にならないようにすべきであると思います。これまでの国際支援には我が国社会貢献の精神が抜けていたように思いますが、この機会に社会貢献の精神を反映するような組織をつくり上げて取り組むべきではないでしょうか。  これはどういうことかといいますと、今までいろんな支援をやりました。日本が一番世界の中で歴史的に多額の支援を本当に誠実にやってきたと思います。しかし、これは国がやっておりますので、どこか一つ精神が抜けている。例えばロックフェラー財団などは一つのちゃんと、世界にいろんな、財団をつくって貢献をしております。それから、あるいはライオンズとかロータリーとか、ある国の個人が創設をしたいろんな精神的な、今で言えば地雷除去とか、そういうボランティアの精神を社会貢献という位置づけでいろんな組織をつくって世界に発信をした。そういうところには本当に社会貢献の精神が裏打ちされているから、その組織に対して尊敬もし、また忘れられない。ところが、日本は顔が見えなくて忘れられてしまっている。そこのところをここでちゃんとつくり上げていかなければ、国よりももっと別なことで組織をつくって、その貢献を国が支えるというやり方をやらないと、私は大変これからの支援について感謝をされない。そういう社会貢献の精神をはっきり打ち出す、そういう憲章か何かをつくってされたらどうかということです。外務政務次官
  21. 荒木清寛

    政務次官(荒木清寛君) お答えをさせていただきます。  委員お話しありましたように、我が国は九州・沖縄サミットにおきまして議長国としてIT憲章を取りまとめまして、情報社会の将来像に関するビジョンを示すとともに、いわゆるデジタルディバイドの解消に向けての取り組みの強化の必要性を強化する等のイニシアチブを発揮いたしました。私は、これ自体一つの国際社会に対する日本の貢献の姿勢をしっかり表明したものと思います。また、我が国独自の貢献策としまして、サミットに先立ちまして包括的協力策を発表し、デジタルディバイドの解消について積極的に協力するという旨を表明いたしました。  顔の見える支援というお話がございました。これまで我が国は、ODAを含む開発途上国支援の実施に当たりましては、国民の幅広い理解と支持を得ることが重要であるということを強く認識しまして、NGOや自治体との連携、国内外における広報の推進等に努めてきまして、このデジタルディバイドの解消についての貢献についてもこうした精神が大事だと思います。  したがいまして、ITに関する包括的協力策を実施していくに当たりましては、委員が御指摘になりましたように社会貢献の精神というのが十分反映されるような顔の見える支援推進していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  22. 本田良一

    本田良一君 今の答弁には裏打ちされるものが一つここにありますが、きのうの新聞にも「IT支援の百五十億ドル」と、森総理が、今、打ち出されたわけであります。真水で百五十億と。これには「森eアクション」という名称を打たれている。  これはジョークになるかもしれませんが、私の質問のすり合わせのときに、せっかくサミットの席で森総理は、小渕総理がここに立っておられたらという気持ちでいるんだということを再三言っておられましたので、小渕基金か何かの名称でそういう支援をやったらどうかということを言っておりましたところ、もう早速こういう「森eアクション」とかで出ておりますから、私も実は驚きました。  それでは、十一月十一日の日経新聞朝刊に、平沼通産大臣が、ITの活用や規制緩和などの経済構造改革を進めれば日本のGDP成長率を三%台に引き上げることは可能だと発言をしておられます。これはまさにIT戦略産業政策として位置づけられていることの証左であると思いますが、通産大臣にお伺いをいたします。
  23. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) お答えいたします。  先ほどちょっと触れさせていただきましたけれども、我が国の中長期的な潜在成長力については、審議会等のデータでございますとおおむね二%程度、こういう見方がございます。  しかし、IT革命や今御指摘経済構造改革推進など、いわゆる産業政策ということを積極的に重点的に集中的に講じていくことによって我が国潜在能力が、我が国潜在能力が非常にある国でございますから、これを十分に発揮させればより高い成長率、例えば三%以上の成長も可能である、こういうことを思いまして見解として発表させていただきました。  その一つの根拠でございますけれども、近年米国経済は御承知のように極めて高い成長を示しております。しかし、この背景を考えますと、九〇年代前半においては米国とても年率一・五%でありました。非農業分野の労働生産性の上昇率が九〇年代後半には年率二・九、約三%、こういうことで大幅に向上をいたしたところであります。  これを分析してみますと、これはやはりIT革命によってもたらされたものだと、こういう分析がなされているわけでありまして、我が国においても、こうした新たな成長を現実のものとするためには、IT革命推進はもちろんのことでありますけれども、幅広い経済構造改革を強力に推進し、生産性の向上と新たな価値創造を促進していくことが不可欠であると思っております。  このため、先ほども御意見として出ましたけれども、安くて早い通信ネットワーク実現電子商取引ルール整備など、ITが十二分に活用される環境を整備するのみならず、議員御指摘の創業、いわゆるベンチャー企業への支援を初め、企業法制の抜本的な見直しや柔軟な労働市場の構築、思い切った規制緩和などによりまして、民間事業者がその創意と努力を遺憾なく発揮できるような環境を整備していくことが必要なことだと思っています。  我が国の中長期的な発展、少子高齢化社会における豊かな国民生活の実現化に向けてこうした課題に全力で効率よく取り組んでまいりますれば、私どもは三%の成長も夢ではない、そういうふうに思っているわけであります。
  24. 本田良一

    本田良一君 ぜひひとつ、数値目標も示しておられますので頑張っていただきたいと思います。  次に、米国のゴア副大統領は、ついに大統領になれないようでありますが、米国のゴア副大統領はスーパーハイウエー構想を打ち出しましたが、この効果が今日のアメリカの産業創生に寄与したと言われる。これは産業政策でありましょうか、それともインフラ整備の公共政策であったのでしょうか、どちらでしょうか。
  25. 伊藤達也

    政務次官(伊藤達也君) お答えをさせていただきます。  今御指摘のございました情報スーパーハイウエー構想でありますが、一九九二年にゴア副大統領、そしてクリントン大統領が選挙公約としてこの内容を明らかにしたところであります。その後、クリントン政権において全米情報基盤、略称NIIという形でこの構想が推進をされておりまして、その中身はいわゆる情報通信のネットワークの基盤整備だけではなくて、ソフトウエア、データベースあるいは情報機器、人材育成など、極めて大きな意味でのITの基盤を進めていく、こうした内容であります。  具体的には、九三年にNIIに関する行動指針、いわゆるアジェンダというものを明らかにいたしました。その中で、NIIは民間企業が所有し、そして管理すべきものであるという明確な位置づけを行いました。その上で、政府の役割は技術革新あるいは民間の長期の投資を促進していくための税制の整備規制改革、そして競争政策導入を実施する、こうした形でNIIの整備支援するということになっております。このことによって、いわゆるNIIの政府の投資は年間大体十億から二十億ドルで推移をしてきたわけでありますが、民間は年間五百億ドル近い投資が行われたというふうに言われております。  したがって、このNIIの構想というのは、公共事業というよりもいわゆるIT革命推進していく総合的な戦略、総合的な政策というふうに考えられるのではないかというふうに思います。
  26. 本田良一

    本田良一君 今、次官御答弁のとおりでございます。  それで、私は、後にこの質問の答えがきいてくると思いますが、省略をして次に行きます。  我が国IT予算、今年度予算と補正予算の金額をお教えいただきたいと思います。大蔵政務次官
  27. 村田吉隆

    政務次官(村田吉隆君) 御指摘ITに関連する予算についてでございますけれども、定義がしっかり定まっているわけでございませんので、その総額をしっかりとお答えすることは大変難しいとは思いますが、十二年度の当初予算におきましても、ITに関しましてはミレニアムプロジェクトの三分野の中の一つとして位置づけておりまして、その中で情報通信への重点化を図るなど情報分野への重点的な予算措置を行っているわけでございます。  具体的には、情報通信関連の公共で道路交通の高度情報化とか光ファイバー収容空間等、こういうもの、あるいは情報化の方で非公共で教育の情報化等々予算を計上しているわけでございます。  それから、このたび補正予算を成立させていただきましたけれども、この補正予算におきましても、日本新生プランの重要四分野一つとしましてIT革命推進を取り上げました。そのIT革命推進の中で、我が国IT革命を飛躍的に推進する観点から必要な経費を計上したところであります。  具体的に申しますと、二つに分けて考えるのがわかりやすいかと思いますが、一つIT普及国民運動関連、もう一つ世界最高水準の高度通信ネットワークの構築に向けた諸施策と、こういうふうに分けて考えていくべきだと思います。  前者の方でございますが、国民に基礎的なインターネットの技能を習得する機会を与えるため地方公共団体に対するIT講習推進特別交付金として五百四十五億円、それから特定の技能に関して、あるいは目的、対象を絞ったIT技能講習としまして二百五十七億円、それから国民が手軽にITに触れる機会を持てるよう地域情報通信ネットワーク、公衆インターネット拠点を整備する観点から、地域イントラネット基盤整備事業等社会教育施設のIT学習環境整備等に四百四十七億円計上しております。  先ほど申しました二番目の点でございますが、世界最高水準の高度通信ネットワークの構築に向けた諸施策といたしまして、一番目に教育の情報化のために大学等の学内LANの高度化、超高速インターネット活用によります教育方法等の研究開発事業等に七百六十六億円。それから二番目としまして、先進的情報関連技術研究開発事業として、IPバージョン6等、超高速情報通信インフラ関係技術開発、高齢者、障害者等に使いやすい情報通信関連技術開発等に一千億円程度。そして三番目として、光ファイバー収容空間の整備等公共事業関係。先ほども申しましたけれども、IT関連の公共インフラとして道路、河川、下水道等における施設管理用光ファイバー網及びその収容空間の整備等に一千九百五十八億円。最後にその他といたしまして、ITにかかわる研究開発、施設整備等といたしまして、医療情報システムの整備、中小企業IT導入支援するための融資制度の創設等に二千九百億円程度。  これらを計上しておりまして、これらの諸措置によりましてIT革命を強力に推進していけるものと考えております。  以上であります。
  28. 本田良一

    本田良一君 ありがとうございました。  次に、IT国家を目指すためには産業対策、中でも新産業創出が重要であると思います。今まで官が行ってきた事業でも、民に移行できるものは極力民間に移行すべきではないでしょうか。  そこで、特殊法人改革について総務庁に進行ぐあいについてお伺いをいたします。──総務庁長官、おられなければ後で来られると思いますから、それではここは飛ばさせていただきます。  それでは、法整備について大体順序的にはありますが、ちょっと時間があれですので、郵政大臣に飛ばしまして、大変失礼でございますけれども、質問をさせていただきます。  情報インフラ整備IT国家戦略を進めるためには情報インフラの整備が重要であります。そして、これはNTTも含めた民間企業自由競争基本として進めるべきと思いますが、いかがでございましょうか。
  29. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) これは仰せのとおりでありまして、情報通信インフラの整備を急いでやってまいらなければなりません。  同時に、この整備民間主導で従来からもやっておりますし、今後もその方針で臨みたいと考えております。
  30. 本田良一

    本田良一君 このインフラ整備に当たりましては、きょうの新聞にも、通信事業の規制大幅削減ということで出ております。かなり具体的に示しておられますが、これだけでは私はいけないと思いますので、次に質問をそういう観点からさせていただきます。  今、郵政大臣答弁にもありました電通審の一次答申が先ごろ示されました。これは、護送船団方式が通用していたころの考え方で、まさに大を小に合わせる旧来の考え方であると思います。郵政省または電通審の考え方は、国内の値下げ競争により国内各事業者に厳しい消耗戦を強いて、結果的には、厳しい国内予選を勝ち抜いても世界じゅうの強豪と対戦をする前に既に体力を消耗しているということになりはしないでしょうか。国民が本当に期待をしているのは多様なサービスが安価に供給されるということです。  一方で、我が国情報通信の骨幹を外資に任せるわけにはいきません。世界のメガキャリアは、今、地球儀を眺めながら虎視たんたんとねらっております。もしさらに分割化されるようなことになれば、早晩NTTは欧米の強大通信事業者のえじきになるでしょう。電通審等の考え方は余りにも箱庭的で、世界の情勢に目をつぶるものであります。国内競争だけではなく、熾烈な国際競争の中でNTT我が国IT国家戦略の中心として存在することが重要であると思いますが、先ごろ電通審の第一次報告については、十一月十七日、読売新聞社説で、「技巧に走り過ぎた電通審答申」とありました。私も同感であります。  IT国家戦略を進める上で、この電通審がその役割を十分に果たし得るのか、メンバー構成も問題ではないか、お答えをお願いします。先ほど、自由民主党の畑恵委員の中にもこの中のメンバーの増などがありましたが、まずメンバーの構成についてお伺いをいたします。
  31. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 電気通信審議会は、現在NTTあり方も含めまして競争政策をどのように進めたらいいかということを中心に審議をしていただいておりまして、特別部会の素案というものが最近発表になりまして、十一月中にその素案に対するパブリックコメントを求めるということにいたしております。そして、その後におきまして審議を進めて、本年の十二月の下旬ぐらいには第一次答申というものをお願いしようというつもりでやっておるわけでございます。  今お尋ねになりましたこの電気通信審議会メンバーのことでございますが、広く各界各層から国民の意向を代表するにふさわしい方々にお願いしたいということで委員をお願いしております。学界、経済界、消費者代表など、さまざまの分野方々から構成をしていただきまして、いずれも情報通信分野の諸課題について見識の深い方々だと我々は思っております。  今申しましたように、電気通信審議会メンバーのことにつきましても、また広く国民各界各層の御意見をちょうだいしながら審議を進めていただくということにつきましても、私どもはさらに配慮を怠りなくしてまいりたいと考えておるところでございます。
  32. 本田良一

    本田良一君 この電通審は、もう長くメンバーが同じでございまして、ひとつもう感情的にある面なっておられる委員もおられるようでございまして、本当に国際戦略に勝つような構想で考え方を示されるという面からは非常に視野が狭くなっておられるような感じがいたします。  このIT戦略が本当に国民のために、利用者のためになるかならないかは、このNTTを本当に完全民営化していく以外に、どんな方策をとっても基本的なことで私は非常に目標達成にほど遠くなりはしないかと思います。  それで、先ほど特殊法人のことにも前段の質問があったわけです。なぜかといいますと、私はこの間の予算委員会でこういう質問までしたわけです。日本という国はどういう国かと。それは、いわゆる自由競争経済体制の国だと、社会主義の国じゃありませんねと。官が特殊法人というのを余りにも持ち過ぎて、官はいわゆる統制経済的に日本経済を侵している、こういうふうに思いますから、官が持っているものを民に渡して、そしてもっとより新しい産業が起こる基盤をつくらなければならないのではないかというのを私は示してもらい、そしてこの今回のIT国家戦略というのが出たわけでございますので、そのためには、より自由競争体制をとっておかなければできないということで、私はNTTも完全民営化をしていくべきではないかと。そうした場合に、この電通審のあり方は非常に、繰り返しますが、視野が小さい、こういうことです。  次に、さきの通常国会で接続料の問題が話し合いをされました。一定の結論が出ました。附帯決議もつけて国会意思を表明いたしました。しかし、その後の日米協議でその国会意思は簡単に無視をされ、その結論と全く違う結果となりました。今日まで国会に対して釈明もありません。  今我々は、この国会IT基本法を初めさまざまな情報通信関連の政策を審議しております。これらについてもまた外圧でねじ曲げられてしまうという不安があります。郵政大臣に御所見をお伺いいたします。
  33. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 接続料問題につきまして、日米間で既に設けられております規制緩和の対話といいますか協議でございますが、私が大臣に就任いたしましたこの七月に既に急いで結論を出さなければいかぬ時期に立ち至っておりまして、私どもは、あちこちに連絡を差し上げながら、御相談をしながら進めたつもりでございますけれども、委員のもとに詳しい御連絡が行かなかったのではないかと思いまして、この際、私も遺憾の意を表したいと思います。  いろんな方法で連絡はとらせていただきまして、御所見もちょうだいした結果として、要するに四年間で二二・五%接続料を引き下げるというところを三年間ということに結論を出したものでございますから、その間の事情につきましては、さきの通常国会におきましてこの委員会にも御説明を申し上げたところでございます。  四年間を三年間に短縮したという理由といたしましては、さきの通常国会の御審議の時点では、平成十年度決算をベースにした東西NTTの収支見込みに基づきまして四年間と申しておったところでございますが、本年五月末に発表されました平成十一年度の決算結果が当初見込みより好転をいたしましたことから、この収支見込みの変化に伴いまして実施期間の短縮化を図ったということでございます。  あくまで東西NTTの経営状況の客観的な変化を受けまして、経営状況等に配慮するものとした国会の御審議に沿った対応を行ったつもりでございます。連絡の不十分がありましたことをおわび申し上げますが、東西のNTTに事前に意向を確認しまして、自主的な経営判断を尊重して日米間で決着をいたした、さような経過でございますので、どうか御了解をいただきたいと存じます。
  34. 本田良一

    本田良一君 御丁寧な御答弁でございましたが、私というよりも、私の趣旨は、国会で十分な論議をされて、お約束もされた、結論も出たわけでございます。それが日米間の外交問題で処理されてしまったと。そこの経緯を、委員会説明よりやっぱり大臣の本会議の中での私は説明、これが不十分であったと言いたいわけです。  先ほど一つ申し上げましたが、NTTの審議会の答申は大を小に合わせるということ、これは現経営形態で完全民営化ということでございますので、これをまた分割してとかそういうことではIT国家戦略世界的に打ちかてませんよということです。  それと今、接続料で私は申し上げたんですけれども、私は国会に来て実を言いますと本当に驚きました。それはどういうことかといえば、アメリカと農産物の問題からいろんな外交上の経済問題、そういう問題が常に新聞に載らないことはない、マスコミに登場しないことはない。しかし、この国会ではそういう外交上の経済問題とかそういう問題をそれぞれの政府からそれぞれの委員会説明を受けて討論をしたりそういう考え方国会議員に聞く場所、これがほとんどないなと。日本国会では外交上の経済問題など国会議員政府からいろいろと意見の判断を求められるということが本当にないなということに、私は参りまして、本当に驚きました。  よって、私は、こういう接続料の問題も含めて本当に政府の皆さんが、特に外務省、各省庁の皆さんにこういう問題が今あっていると。これについて各委員会大臣を初め委員長あたりにこういう問題で論議をしてくれないか、こういう情報説明と判断を仰ぐことを、新しい二十一世紀のこれからの国会あり方として私はここで強く国会で十分論議をして判断を聞くということをやっていただきたい、これを申し上げておきます。  次に、IT革命民間主導といっても、過疎の山村や離島などの地域については政府として何らかの施策が必要ではないかと思います。NTTにユニバーサル義務を押しつけるだけでもいかないと思う。そういう地域では施設整備を進め、インターネット利用の向上策などを図るべきではないかと思います。  郵政省では郵便局の利活用を既にやっておられますが、さらに強力な地域浸透策を期待いたします。
  35. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) 先生の仰せのように、今、郵政省といたしましても郵便局の施設等を高齢者等の集いの場所といたしまして開放しまして、地域の高齢者等を対象としたパソコン教室を平成九年度から開催しておりまして、非常に評判がいいわけでありまして、具体的には平成十一年度までに五百一カ所実施いたしまして、平成十二年度におきましては千八百カ所の開催を予定しているところであります。また、平成十三年度予算におきましては、郵便局に設置されました端末によりまして施設予約の申請や図書の要するに検索等、地方公共団体のさまざまないわゆる行政サービスを提供するための情報端末を活用した地方公共団体との共同施行事業を地方公共団体との間で実施するための経費を要求しているところでございます。  先生言われるとおり、これから地方をどういうふうに持っていくか、その中におきまして地域を中心としたイントラネットであるとか、地域間格差をなくすべくあらゆる施策をこれからも展開していきたい、かように思っております。
  36. 本田良一

    本田良一君 都市部は通話料はインターネットの利用者も大変多いと思います。しかし、過疎、離島、こういうところは光ケーブルのインフラ整備を行っても利用者が少ない、そういうことがこれから心配をされますから、そういう点で郵便局が主体になって高齢者にインターネットのマウスの使い方などを教えるとか、そういうことで利用は高まると、そういうことをお願いしたいわけです。  それでは、先ほどの総務庁のことでひとつ御答弁をお願いいたします。  詳しく申し上げますと、IT国家を目指すためには産業対策、中でも新産業創出が重要である。今まで官が行ってきた事業でも民に移行できるものは極力民間に移行すべきである。  そこで、特殊法人改革について、総務庁にその進行ぐあいについてお尋ねいたします。
  37. 海老原義彦

    政務次官海老原義彦君) お答えいたします。  IT国家を目指す中で、今まで官が行っていたものをどんどん民に移行していく、それで特殊法人改革そのことと関連してどう考えるかという御設問でございますけれども、特殊法人などにつきましては、社会経済情勢の変化を踏まえつつ、官民の役割分担のあり方などの視点から常に不断に見直しを行うことが重要であるという認識を私どもは持っております。このような観点からして、政府におきましてはこれまでも何度にもわたりまして閣議決定をし、これに基づきまして特殊法人等の整理合理化を進めてきております。  さらにまた、ことし八月の総理指示に基づきまして行政改革大綱を策定しつつありまして、その作業の一環として特殊法人等改革をその重要な柱の一つと位置づけ、政府、与党一体となって検討を進めているところでございます。  現在、検討項目といたしまして、経営評価・情報公開システムの確立であるとか、財政負担、財投の縮減・合理化であるとか、業務の見直し・合理化、あるいは役員給与・人事の適正化、さらには民営化等経営形態の見直し、この五項目が示されているところでありまして、民営化についてもそのあるべき方向を今後行政改革大綱にも盛り込むべく鋭意検討作業を進めているところでございます。
  38. 本田良一

    本田良一君 ありがとうございました。  それでは次に、電子政府に参ります。  私は、基本的にはIT革命民間主導で行うべきと思います。今までの答弁と同様です。しかし、電子政府については政府が主体的に取り組まなければなりません。  電子政府移行のための各種法整備が必要だと思いますが、それは一括法のような形でやられますか、個別に省庁ごとにやっていかれるのか、その法案が来年の通常国会に提出されるのでしょうか。
  39. 海老原義彦

    政務次官海老原義彦君) 電子政府の問題でありますけれども、電子政府と言われているのは、いろいろな政府部内におけるコンピューター化、さらには政府民間との関係のコンピューター化、いろいろあるわけでございますが、一番大きい問題は民間からの申請手続の電子化でございまして、これは平成十五年度までに、現在いろいろな申請手続、種類で申しますと一万五百何ぼあるわけでございますが、その九四%を電子化する予定でおります。  この申請手続の電子化に当たりまして法律改正が要るんだろうかという問題、実は今検討中でございます。検討の結果、制度の見直しが必要であって、法律まで直さなきゃならぬのだというものが出てくればもちろん法律を直す。それがまた多数出てくるようだったら一括法ということも考えにゃならぬかもしれませんけれども、今の時点では、ともかくそれぞれの個別手続の電子化に合わせて、関係省庁において法的措置を考えていくというように考えております。
  40. 本田良一

    本田良一君 また引き続いてでございますが、電子政府構築のためのアクションプランについて二〇〇三年までの実施計画が出ておりますが、ほとんどが二〇〇三年度末の実施になっていて、今年度や来年度はほとんど進まない形になっております。もっと前倒しで進めるべきではないか、お伺いをいたします。
  41. 海老原義彦

    政務次官海老原義彦君) 電子政府実現のためのアクションプランにつきましては、この八月にアクションプランの再検討のための調査研究を行ったわけでございまして、その中間的な取りまとめを見ながら、いろいろ技術的な課題が明らかになってまいりましたので、その障害となるような技術課題の解決に向けてスケジュール、方策を立てるということを本年度中には完結させようと。そういった見直しの中で、各個別手続のオンライン化実施時期の前倒しも含めて現行のアクションプランの見直しを行い、新たなアクションプランを来年春から夏にかけて各省庁において作成するというふうに考えております。
  42. 本田良一

    本田良一君 大変、質問を飛ばして済みませんけれども、最初の法整備に行きたいと思います。  さて、IT国家戦略推進するためには法整備が必要です。IT革命民間主導でありますが、法律の整備はまさに政府国会の役割であります。今回のこの基本法案提出は政府の英知を結集して、スピード感があり、さすが国家の戦略だなということで感嘆をしております。まさに、この基本法のもとにIT革命推進するためのさまざまな法整備が今後なされていくと思いますが、基本法に先行して、ことしの通常国会やこの臨時国会で既に成立をした法律もあります。また、各省庁でこれからの提出を準備している法案もあると思います。  私は、IT関係法整備は大きく二つに分けていると思います。一つは、現在の法律ではインターネットなどの利用を前提としていないものについて電子的手段を認めるような法改正、すなわち規制緩和立法であります。いま一つは、インターネットなどを社会全体でスムーズに利用するために新たに個人情報の保護やデジタルディバイドを防止するための法律が必要になります。つまり、安全と信頼を守るための規制の立法であります。  我が国では、法律の制定は、まず審議会を開いて、中間報告、そして最終報告、法案化してからの国会審議、成立をしても施行までにさらに半年以上かかります。ITはスピードが要求をされます。IT立法もぜひドッグイヤーで進めなければならないと思います。特に、規制緩和法については早急に進めなければなりません。  既に成立をした法律、今後必要とされる立法について、規制緩和法、規制法、それぞれの観点からどのようなものがあるかお答えを願いたいと思います。IT担当大臣、お願いします。
  43. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御指摘のように、IT革命推進するにはさまざまな法的な手続あるいは改正、規制緩和、また新しい規制等も必要でございます。このような見地から、現在御審議いただいております本法案におきましても、電子商取引の促進を図るため、規制の見直し、新たな準則の整備等、措置を講じることを規定しております。  具体的に申しますと、規制緩和推進三カ年計画に基づき、情報通信関係規制緩和に努めてきたところでございます。また、今国会におきましても、既に民間同士の書面の交付、これは法律で五十本の改正を一括して行っておりますが、そういうようなことも行っております。また、これ以外にも、対面行為でやらなきゃいかぬと書いてあるもの、事務所の必要設置、そういったことも電子商取引を阻害する規制として見直しております。  今までに、規制強化という方では不正アクセス関係の禁止の法律、これは前国会でございます。それから、不正アクセス行為を禁止し、罰則と再発防止のための措置のものをやりました。それから、新たな準則といたしまして電子署名のものを、これはこの通常国会でやっております。それから、今の臨時国会でやりましたものは、先ほど申しました書面の一括五十本の法律を変えたものであります。  それから、次期通常国会で考えておるものには、個人情報保護に関する基本法案、それから株主総会の招集など、これは規制緩和の方でございますが、そういった議決権の行使とかいったような商法の改正にかかわるもの、それから新たな準則といたしまして、電子商取引の本質に応じた新たなルールなど情報社会基本ルールに関したもの、そういったものを予定しております。
  44. 本田良一

    本田良一君 それから、大変重要なことは自己責任を伴うのがIT社会だと。私は、IT革命基本的には民主導でなされるべきであると思います。そして、高度情報通信社会に暮らす国民には自己責任原則が求められると思いますが、今回の法案にはそのあたりは書き込んであるでしょうか。  次にもう一つインターネット人口をふやすためには民間の力に頼る、ゆだねる部分も大きいと思います。特に、NPOやボランティアの活用と育成が重要な要素となると思いますが、二つお伺いを、IT担当大臣、お願いします。
  45. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) IT革命に的確に対応し、高度情報通信ネットワーク社会形成するに当たりましては、民間による自由かつ創造的な取り組みが基本になると考えております。政府の役割はこういった民間知恵をどのように活用していくか、知恵と活力を最大限に引き出す、これが政府の役割だろうと思っております。  このような考え方に基づきまして、本法案の第七条におきましては、「高度情報通信ネットワーク社会形成に当たっては、民間が主導的役割を担うことを原則とし、」と書いておりまして、政府の役割としては、「公正な競争の促進、規制の見直し等高度情報通信ネットワーク社会形成を阻害する要因の解消その他の民間の活力が十分に発揮されるための環境整備等を中心とした施策を行う」と、こういうぐあいに決めております。  また、インターネット等高度情報通信ネットワークの急速な普及は、これまでの技術開発、産業構造の変化などをもたらすことでございまして、社会人間関係組織の構成原理を根本から変えるという面もございます。その結果、社会経済活動、行政のあり方等、広範な分野において本質的な改革をもたらすものでございまして、個人の生活様式についても大きな変化を与えるだろうと考えております。  こういったことを総合いたしまして、この法案では目指すべき社会を定め、政府がそういったような社会あり方を大きく包んでいくというような考え方をとっております。  また、パソコンのNPOの活用のことでございますけれども、学校教育によるほか、NPOの活用が重要であると考えておりまして、そのために「すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、」と規定しておりますが、そういった中でやはりNPOというのは重要な担い手になっていくんじゃないかと考えています。こういう社会になりますと、いろいろ好みによって人を援助するとか社会に役立つとかそういうことが大切でございますので、このNPOでいろんな分野の活躍が期待できる、また期待したいと思っております。
  46. 本田良一

    本田良一君 もう一つになりますが、十幾つ残ることになりますが、IT革命はこんなところまで行くのかという質問でございます。  IT社会というのは電子情報が飛び交う社会であります。今の企業会計法上でのルールで対応できるのでしょうか。対応できないとすれば、審議会の議論はどのようになっておりますか、金融庁にお答え願います。
  47. 三國谷勝範

    政府参考人三國谷勝範君) お答えさせていただきます。  企業会計上、特許権、商標権、実用新案権といいました無形の権利につきましては無形固定資産とされておりまして、これを他者から取得した場合にはその取得価額に基づきまして減価償却額を控除した金額を貸借対照表に計上することとされております。  なお、企業会計上、無形固定資産は対象が限定されているものではございませんことから、新たな取引の形態や知的財産権が生まれました場合には、個々の取引や権利の実態等に応じて適切に具体的な対応がなされていくものと考えております。
  48. 本田良一

    本田良一君 それから、教育の関係で、我が国IT化が大きくおくれている一つの要因として、日本ではタイプライターを打つ習慣がないということが挙げられます。これからの若い人たちの教育が重要だと思いますが、文部省の見解をいただきたいと思います。  また、大学の研究成果を企業に還元するためにTLOなどの取り組みが緒についたばかりでありますが、活発であるとは言えません。文部省としてもさらに努力すべき点があると思いますが、今後の対策をお伺いします。
  49. 松村龍二

    政務次官(松村龍二君) お答えいたします。  委員が、タイプライターを打つ習慣がないということが日本IT化のいろいろ阻害になっている、学校においてどのような教育をしているか、こういう御質問でございます。  現在、現行の学習指導要領では、中学校技術・家庭科におきましてキーボードの基本操作ができるよう指導しております。主に中学校二年生でやっておるわけでございます。さらに、平成十四年度から実施されます新しい学習指導要領におきましては、中高等学校におきまして情報に関する教科内容を、特に情報、二単位の教科を新設いたします。  このようにしてキーボードになじむように努力するわけでございますが、なお委員御承知のように、小中高と各学校段階を通じまして各教科等や総合的な学習時間においてコンピューター、インターネットの積極的な活用を図るということから、またこれら情報教育の充実の中で必修教科や各教科の指導を通してキーボードの操作にも一層なれ親しむことができるものと思っております。  また、これらを指導する先生を養成するということで、ミレニアム計画におきまして、プロジェクトにおきまして、平成十三年度までにすべての公立学校教員がコンピューターの活用能力を身につけられるよう図ることとしております。  次に、大学の研究成果を企業に還元するためにTLOを活用、推進すべきと考えるがと、こういうお考えでございますが、TLOにつきましては、皆様御承知のとおり、大学等技術移転促進法が平成十年八月に制定、施行されまして以来、これまでに十六のTLOを承認いたしております。承認TLOでは、本年七月までに全体で五百件以上の特許出願を行うとともに、企業に対するマーケティング活動を積極的に行い、企業への技術移転契約を三十件締結するなど、その活動は着実に広がっていると認識しております。  さらに、文部省では、TLOの設立、運営を支援するため、本年四月から国立大学校教官等のTLOへの役員兼業、TLOによる国立大学等の施設の無償使用などの措置を講じたところでございます。このほか、通商産業省を通じて、各TLOに対して最高で年間三千万円の助成金や特許に関する専門家の派遣などの支援も行っております。また、委員の御地元の大学におきましてもTLOの設立を検討中と聞いておるところでございます。  文部省といたしましては、産学連携の重要性にかんがみまして、今後ともTLOの設立に向けた関係大学や教官等の取り組みを積極的に支援してまいりたいと思っております。
  50. 本田良一

    本田良一君 どうもありがとうございました。  終わります。
  51. 山下栄一

    山下栄一君 私は、十五分間、主に堺屋IT担当大臣質問させていただきます。通産大臣郵政大臣はお休みいただいて結構でございますので。ここにおっていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  基本理念にかかわることを少しお聞きしたいと思うんです。何のためのIT革命かということなんですけれども、基本理念、法律には書いてありますが、またちょっと角度を変えて、特に影の部分というかマイナス部分、ちょっと問題点といいますか、それを少し大臣にお聞きしたいと思うわけです。  ネットワークということですが、電子技術によってネットワークを広げると。その広がり方は、スピードは物すごく速くなる。そして、それも空間的にも全世界という大変な技術革新によるネットワーク化なんですけれども、先ほど冒頭、大臣、この委員会の初めに、血縁とか地縁とか職縁とか、私は卒業生のえにしもあると思うんですけれども、そういうさまざまな人間のえにしとこのITによるえにしはちょっと違うぞと。ネットワークは広がるけれども、心のネットワークは分断されるのではないか、こういう非常に不安感を持っておりまして、心の結びつきが希薄になっていくのではないか、人間一人一人が孤立化していくのではないか。  いながらにしてという言葉がありますけれども、いながらにしていろいろ便利になってくるけれども、それは人と人との直接的な触れ合いを薄くしてしまう方に働いていくと。よく考えてみると、さまざまな今日の問題点というのはそういうところに走っている部分、非常に一見この国民の生活、「ゆとりと豊かさを実感できる国民生活」と書いてありますが、それは表面的には豊かさを実感できるかもわからないけれども、本当の心からの豊かさはますます実感できなくなっていくという方向に働くのではないか、IT革命の進展によってという、そんな不安感を指摘したいと思うわけでございますけれども、この点のお考えをお聞きしたいと思う。
  52. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員指摘のように、大変情報が便利になっていろんなことがわかるという利点がございまして、またお互いに情報を発信することによって自分と同じような興味を持っている人、同じような悩みを持っている人と知り合えるという利点もございますが、確かに人間が直接触れないで情報機器を通じて話をする、情報機器を通じてつながっているということにはさまざまな問題点があろうかと思います。そういう人と人との直接的なコミュニケーション、これを重要にしていくということも必要でございます。  それからもう一つ、このITの発達によって心配されるのは、人間が非常に便利な答えが出てくる、ところが実際に接する人間はそれほど便利ですぐ答えてくれない、そうすると非常に感情的になるというような、そういう人間が育ってしまうんじゃないか、こういうことがございますので、やはりそういった弊害を除去するために、人と人との直接のコミュニケーションの重要性、あるいは人間は常に完全ではあり得ないというようなところの人間的感情やその表現についてのこともよく知り、そのためにさまざまな集まり、人が集まるもの、あるいはお祭りなども拡大していくことも大切だと思っております。  そういう点で、学校の教育あるいは地域コミュニティー、NPO活動など、ITから発する活動、あるいはITとは別の活動、そういったものもやはり同時に考えていかないと、何もかもIT一本というわけにはまいらないと思っております。
  53. 山下栄一

    山下栄一君 私は今、基本理念ということで申し上げたんですけれども、何のためのIT革命かという、基本理念としてやはり位置づけるべきではないかと。この法律では、ともかく全世界的にIT化がどんどん急速に進展しておる、日本もおくれをとってはいけない、こういうふうな観点が非常に強く出ておるというふうに思うわけです。だから、そういうあり方そのものがそれでいいのかということを申し上げたわけですけれども。  要するに、欲望全開という形でこういうことをやっていくと、やはり一番根源的な人格の部分が破壊されたり、もっと言えば、社会の活力は確かに経済的活力とか新しい産業の創出とかいうことで非常にプラスの部分はあるけれども、この社会を支えているのは一人一人の人間である、その人間そのものの人格が破壊されたり、ちょっと極端に言っているかもわかりませんが、結果的には活力を奪うようなことになっていっては大変だというふうな部分のことをきちっと基本理念にも、余りマイナス部分を書いたらまずいというふうなのかもわかりませんけれども、そういうこともやっぱりうたっておくことも必要かなというふうなことを私、これを見ながら考えたんですけれども。  確かに、個人情報保護とかいうふうなことも基本方針に書いてあります。だけれども、やっぱり根本的なところでそういう部分の問題点、そしてそれに対する克服の観点もきちっと備えとして置いておかなきゃいけないというふうに思いまして、ここら辺の考え方をお聞きしたいのと、今申し上げました根本的な問題点の克服を、この技術がどんどん進む中で、また快適な便利な社会を追い求める欲望全開、しかし一方ではエゴイズム全開、その辺についての克服の観点、これを大臣はどうお考えかなということをお聞きしたいと思います。
  54. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) あらゆる世の中の進歩、変化、そういうものには必ず裏と表といいますか、光と影がございます。このITも例外ではございませんで、先ほども申し上げましたように、人間自身が触れ合う、そういった肌で感じるような人間的つき合いから遠ざかるという面はあろうかと思いますので、それは十分気をつけないかぬことだと思います。しかし、この法律にそこまで書くかどうか、これはむしろ憲法とかそういった法律に全体としての日本あり方で描かれるものでございますので、本法はそこまで書いておりませんけれども、やはり日本国の理念としては重要な問題を委員指摘だと思います。
  55. 山下栄一

    山下栄一君 推進体制ですけれども、ここに、これは二十六条以下ですか、書いてございますが、内閣官房にこういう推進本部ができると。私、これは総理大臣初め閣僚が参加される、もちろん民間の方も参加される。けれども、それともう一方、やはり第三者的にこういう推進を監視するというか、そういう役割を果たす部局が必要ではないかなと。例えば、地方分権推進委員会なんかはそういう役割を果たしているのではないかと思うんですけれども、そういう必要性について大臣はどうお考えか、お聞きしたいと思います。
  56. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この法律では高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部というのを設けることになっておりまして、これが総理大臣の直接指揮のもとに全閣僚が入るという形で構成されることになって、また民間からも入っていただく、有識者も入っていただくということになっております。  この本部は、重点計画の作成をいたしまして、遅滞なくインターネットの利用によってそれを広報するということになっておりますが、さらにこれに監視機構ということになりますと、一般に監視機構というのは苦情処理とかそういうような形でございまして、この形態、一方にはそれぞれの担当の役所がございまして、それを全体として総理大臣が統括するという、この組織には監視機構というのは少し、少しではなしに、なじまないんじゃないか。苦情処理につきましては別途苦情処理の第三者機関がございますが、この基本計画全体を監視するというのはちょっとなじまない。むしろ、これをそれぞれ公表いたしまして、多くの人々からパブリックコメントをいただく、あるいはITで御意見を伺う、そういう、公表することによる国民の目ということが適切ではないかと思っております。
  57. 山下栄一

    山下栄一君 私は特にプラスの部分電子政府というところに期待しておるんですけれども、ところが期待外れになるのではないかなという心配がございますので、ちょっとこれも大臣にお聞きしたいんですけれども。  特に、情報公開、国民にとってありがたい行政情報がワンストップサービス、また一括して手に入れることができるという面で国民への行政サービスが向上するという観点で非常に期待しておるわけですけれども、さらに行政の透明性、これをやはり、何となく日本は行政に対する不信感、それはやっぱり不透明だということがあったのではないかと。そういう観点でいきますと、この電子政府というのは非常に透明な行政府というようなことが期待されるんではないかと思うんですけれども、これが果たして本当にそうなっていくのかということが非常に心配でございまして、ちょっと具体的にお尋ねいたしますけれども、例えば入札制度ですね。入札案件を公表する、公開する、また入札そのものを電子入札、金額も公表するというふうな、参加企業も公表するとか、そういう形はやはり国民から見るとやってほしいということであるというふうに思います。  それからもう一点、これは前にちょっと別の方にお聞きしたんですけれども、すっきりした答えが得られなかったんですが、要するに政府調達なんですけれども、私のお聞きしていますのは、省庁別には電子調達、電子商取引が進むわけですから電子調達も進んでいく。だけれども、内閣として一本化して省庁の枠を超えた政府調達の一元化、これをやはり実現しないと何のための電子政府かと。アメリカではこの五年間で日本にして一兆円を超える、政府調達の一元化によって行政コストを削減したという実績を聞いておるわけですけれども、そんなことはこれは大変なプラスの部分であるというふうに思うわけで、行政の透明性、そして行政の効率化、まさに行革そのものに直結する、こういう観点から実現してほしいと思うわけですけれども、担当大臣、どうなっていますでしょうか。
  58. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) お手元に絵をかいた資料を配らせていただきました。  これはホームページの上での調達情報開示というものでございまして、左側が現状でございます。現在でございますと、主として官報で公示をすると。そして、インターネットで閲覧することはできるわけでございますが、これで応じるわけにはまいりません。それをこの右側、これからの取り組みとして右側でございますが、これでは閲覧、検索ができまして、そしてインターネット上で簡単にアクセスができるということで、あらゆる企業がそういう各官庁の出しております調達関係情報が開示できるということで、かなり進歩すると思います。  また、入札あるいは契約でございますが、これも次のページを見ていただきますと、現状では各省へ人が行きまして札を本当に入れておるわけでございまして、江戸時代と同じ格好になっておりますが、それがこの電子関係になりますと非常に内容がわかりやすい、あるいは電子入札ということも考えられるというようになってまいろうかと思っております。  ただ、委員指摘の各省一括購入というのは、今後研究すべき問題が多々あると思います。紙一枚にしましても、各省全部、用紙も印刷の色も形も違いまして、いろいろ不便がございますので、そういったことは総務省を中心にこれから検討すべき事項がたくさんある。これはIT関係なくやらなきゃいかぬことだと思っております。
  59. 山下栄一

    山下栄一君 終わります。ありがとうございました。
  60. 山下芳生

    山下芳生君 ITの促進が中小企業にどういう影響を与えるのかについて質問をしたいと思います。  法案は、中小企業の経営の能率及び生産性の向上、新たな事業の創出をもたらすと書いてありますが、もう少し具体的に、IT化が中小企業にどのようなプラスの影響を与えるのか、説明をいただきたいと思います。
  61. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) これは大変広範な影響があろうかと思います。中小企業であってもITを使えば世界じゅうとアプローチできる、あるいは全国の注文市場状況が直ちにとらえられる、そういうような大きな利点もあろうかと思いますが、一方では中小企業の中にはITにアクセスしにくい、技術的、人材にしにくいというようなところもございまして、そういう面でのマイナスもないとは言えません。  したがいまして、中小企業にもITの技能が普及するように、このIT技能普及運動の中で中小企業関係方々にもできるだけこれを学んでいただいて、大いに利用できるようにしていただきたいと考えております。
  62. 山下芳生

    山下芳生君 世界じゅうあるいは全国どこにでもアクセスできるというメリットを中小企業も得ることができるであろうということですが、私もいろいろ地元の中小企業、零細企業ですね、ネットベンチャーと言われる企業を訪ねてまいりました。  例えば、本当に数人でやっている企業なんですが、ホームページの作成を主な仕事にしている。しかし、相手は中小企業なんですが、ただホームページをつくるだけではなくてその企業のいろんなビジネスの新たな展開の相談にも乗っている。そこで、一つ具体例を聞いてきたんですが、その相談先の製造業者が脂取り紙というものをつくっておられる会社でして、今までは一枚一枚取り出して女性の方なんかがお使いになっていたのですが、この企業はロール状の脂取り紙をつくったと。好きなだけちぎって使えるようなものを開発した。しかし、実際に商品にするにはどうしたらいいのか、もう少し知恵が欲しいということで、このネットベンチャーの企業にも相談があったので、そういうものをつくりました、どうすれば商品化できるでしょうか、知恵をくださいということをホームページを通じて発信したんだそうなんです。  そうしますと、いろんなそういうことを考えている方が、発明家の方だとかいらっしゃるようで、別にお金を取るわけじゃない、そういうことを提案することに意気を感じる方が全国にはおありのようで、そういう中で、単にファクスのロールのようなでかいものではだめよということで、非常に小さい、五センチぐらいのスティック状にしたらどうだという提案があって、そういうものを商品化したそうです。日経新聞にも取り上げられまして、コンビニで大変重宝がられまして大ヒット商品になったということも聞きました。これなんかは、新たな事業機会を創出するということで大きなメリットではないかなと思っております。  ただ一方で、長官も今おっしゃられました、メリットとあわせてデメリット、マイナス面というのもこれから大いに出てくるだろうと思うんです。長官はアクセスしにくい面があるんじゃないかということをお挙げになりましたが、通産大臣、それ以外にIT化によって中小企業がこうむるかもしれないデメリット面、どういうものをお考えでしょうか。
  63. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) やはり、中小零細企業というのはどうしてもIT化を進めるに当たってデジタルディバイドという問題は避けて通れません。そういう中で、やはり技術者、それからITの習熟度合い、そういった面で非常にハンディがあると思います。  そういうことで、通産省といたしても、今、中小企業全体ではITを取り入れている企業の比率というのがまだまだ低い数字でございますけれども、これを将来的には五〇%ぐらいに高めていく、そういう意味で、今、中小企業が置かれている非常に弱い立場、それに考慮していろんな面から支援を行っていきたい。  それから、中小企業がこのIT化の中でやはり大企業に比べて、今、委員が具体的な例をお示しになられましたけれども、情報でありますとか、特に技術情報ですとかいろいろ商売上の情報、こういったものも取り残される、そういう可能性もあるわけでありますから、そういったデメリットを克服するためのきめ細かい施策をしていかなければならない、そのように思っております。
  64. 山下芳生

    山下芳生君 ちょっと今、出席委員が過半数割っておりますので成立していないということになっておりますので、少し理事の皆さんで御協議いただければと思います。
  65. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  66. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 速記を起こしてください。
  67. 山下芳生

    山下芳生君 続けます。  私、もう少し広い意味でマイナスが出てくるおそれがあると思っておるんです。例えば、幾つかパターンがあると思うんですが、第一は下請中小企業の再編が急速に進むおそれがあるということであります。これはもうおそれではありませんで、報道によりますと、松下電器産業グループは主要十一社で、二〇〇一年三月から三千社取引先を対象に、二・二兆円に及ぶ資材の調達の大半を電話やファクスからインターネットを中心にした取引に切りかえるということになっておるようです。それから、東芝は従来の固定的な調達、取引関係を抜本的に見直し、七千五百社を五千社に選別、統合を図るという計画を打ち出しております。ネット経由を八割に拡大するということであります。  大企業、親企業にとっては、こういう形でITを活用したBツーB、企業間取引によって特にコストダウンのメリットというのが、これはもう目に見えてあるであろうということが明らかなんですが、裏を返しますと、これまで取引のあった下請中小企業が取引を中止される、打ち切られるということにこれは必然的になるわけであります。  今でも中小零細企業、特に下請企業は大変長引く不況で経営が苦しいというのは御承知のとおりであります。毎年、年二回中小企業中央会が下請の電機部品、機械、金型など九業界ヒアリング調査を行っておりますけれども、一番新しい調査でも、やはり環境が一段と変化し厳しくなっている、親企業からコストダウンの要請を受けている、下請企業の選別、集約化が進んでいるなどなど、ほとんどの業界でそういうことが起こっております。  そういうもとでこのIT化が促進されますと、一層こういう下請の切り捨てに追い打ちがかかるおそれがあると思うんですが、そういう問題について、どう認識し、どう対策をとろうとお考えでしょうか。
  68. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 御指摘のように、電子商取引の活用、拡大が従来の取引関係を大きく変える側面がございます。しかし一方で、中小企業電子商取引を活用することにより新たな取引関係を構築することも一面では可能なわけであります。  そういう意味で、下請中小企業に対する不公正な取引の防止に取り組むために、下請中小企業に対する下請代金の不当な減額等の不公正な取引に対しては従来から委員御承知のとおり下請代金支払遅延等防止法に基づき検査などを行って、違反の事実が確認された場合には改善のための指導を行うなど、厳正に対処しているところであります。  昨年度について申し上げますと、当省といたしましては、約六万八千件の書面調査及び約二千八百件の立入検査等を行い、そのうち約二千件について所要の改善指導を行ったところであります。  今後とも、こうやって電子商取引が進んでまいりまして、下請の皆さん方が苦しい立場に立つ可能性も十分考えられることでございますので、下請に関しましては、我々としては厳正なそういう態度で臨んで、不当な扱いを受けないように措置を講じていきたい、このように思っております。
  69. 山下芳生

    山下芳生君 具体的に、下請振興法の振興基準というのがございます。その中には、取引を停止、減少する場合、親事業者は下請事業者の経営に著しい影響を与えないように配慮し、相当の猶予期間をもって予告することが義務づけられております。また、親企業の合理化に伴うものであれば、計画の情報の提供、新規事業開拓への積極的支援が義務づけられております。突然打ち切りますよということではこれは済まない、それはやってはならないということになっております。  これは、IT化に伴うこういう取引の変化についてもこの下請振興法の振興基準というのは当然適用されると思いますが、いかがですか。
  70. 中村利雄

    政府参考人中村利雄君) 御指摘の件につきましては、下請中小企業振興法というものの中で振興基準というのが定められておりまして、その中で親事業者と下請事業者との情報化に伴う関係につきまして積極的にどう対応すべきかという点が書いてあるわけでございます。  具体的に申し上げますと、例えば、下請事業者生産管理能力の向上等を効率的に推進するために、情報関連機器の積極導入に努めるとともに、オンライン発注等に対しても、その効果を十分検討の上基本的にはこれに積極的に対応していく必要があるということがうたわれておりますし、親事業者につきましては、下請事業者情報化の進展に円滑に対応することができるよう、必要な指導、研修、標準的なコンピューターまたはソフトウエアの提供等の協力を行うことということが書かれておりまして、要するに、親と下請がお互いに協力し合って対応をしていこうという趣旨のことが書かれているわけでございます。
  71. 山下芳生

    山下芳生君 そこまでは異論はないんです。その上で親事業者は配慮しなければならないという項目があって、私が今読み上げた二項目が入っておりますが、その辺に対する答えがない。これはIT化に伴う取引の変化についても適用されますね。
  72. 中村利雄

    政府参考人中村利雄君) 御指摘のとおり、そのような規定がございます。例えば、取引停止については「相当の猶予期間をもって予告するものとする。」というようなことが書いてございます。  これはあくまでも振興基準でございまして、罰則等はないわけでございます。お互いのガイドラインとしてこのような方向で努力しようということが書いてあるわけでございます。
  73. 山下芳生

    山下芳生君 中小企業庁長官が振興基準は罰則がないからみたいなことを言っちゃだめですよ。これは守られるべき振興基準としてつくっているんですから。  同時に、もう一つ具体的な心配をお聞きしたいと思うんですが、下請の再編とあわせて、親企業と下請企業がラインで結ばれる、オンライン化ということがこれからも一層進むであろうということが予想されております。そこで、具体的に私、下請中小企業の方に聞いてきたお話を紹介しますが、例えば、ある、Aさんといたしましょう。製造業ですが、四月から親企業から要請を受けて電子商取引化した、EDIに踏み切ったと。見積もり、受発注、出荷等の伝票の情報が全部電子データになる。その電子データ交換システムを導入するのに百万円の単位でかかったというんですね。これ、すべて費用は下請企業が自己負担をしているわけであります。  これは親事業者から要請を受けてそういうものを導入したにもかかわらず、費用は自己負担になる。こういうやり方は、私は独禁法違反、下請振興法に違反するやり方ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  74. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) そのことだけで独占禁止法違反ということはなかなか断定できないと思いますが、いろいろそれに付加した要件が重なりますと独占禁止法なり下請法違反ということもあるいは抽象的には考えられると思います。
  75. 山下芳生

    山下芳生君 中小企業庁にもお伺いしたいんですが、そういう要請を受けてこの方は百万円負担して導入したわけですよ。しかし、やっぱり中小企業にとってはその負担ができない場合もある。そういう企業はもう取引から排除されちゃったということも聞きました。下請振興基準には、そういうオンラインの発注等を行うかどうかの決定に当たっては自主的判断を十分尊重する、これに応じないことを理由に不当に取引条件を不利な扱いをしてはならないと、こう書いてありますし、それから、自己が負担すべき費用を下請事業者に負担させないということも書いてありますね。実態はしかしそういうことが起こっているわけですから、これはぜひ中小企業庁としても厳正に対処をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。長官、どうぞ。
  76. 中村利雄

    政府参考人中村利雄君) 二つの規定がございまして、一つは、下請代金支払遅延等防止法の観点でございますが、ここでは、下請取引等のIT化を進めるために親事業者が下請事業者に対しまして正当な理由なく自己が指定する電子計算機その他の機器の購入を強要することは、下請代金支払遅延等防止法に抵触するおそれがあるということであります。これは強制購入というところで、正当な理由が必要であるということでございます。  一方において、下請振興基準の方におきまして、「不当に取引の条件又は実施について不利な取扱いをしないこと。」という規定がございますので、いずれにしましても合理的な措置が必要であるということでございます。
  77. 山下芳生

    山下芳生君 同時に、これはコストを負担させるだけではございませんで、そういうことを通じて下請の独立性が侵害されるという事態も懸念されます。  これも私、聞いてきたんですが、先ほど紹介したAさんは、そういうことをやっても自分にとっては何のいいこともないと言うんですね。逆に、親の方は在庫も減るだろう、こちらは忙しくなって在庫負担がふえるだけだと。それはオンラインで情報が結ばれますので、全部、親事業者にとっては必要なときに必要なだけ持ってこい、あんたのところはその余裕があるだろうということを管理されるというんですね。  それからまた別の、これはBさん、金属加工業者の方で、この方はチタンという非常にかたい材料を加工する高度な技術をお持ちの方でございまして、仕事はですからそこそこあるんですが、やはり親事業者からこの三月に、どういう品物がどこに幾つあるか、出庫、入庫をコンピューターで明らかにせよと、こういう要請を受けまして、コンピューターで親とつないで八月から運用をしているということなんですが、そういうことになりますと、もう在庫管理が親事業者にされるということになりまして、朝注文が来て翌日納めることもできるだろうというふうに、今度は要請が過激になってきたということであります。  そうしますと、本来、中小企業というのは、もう中小企業庁、通産大臣も御承知のとおり、独立した事業体として独立性を高めていこうというのが政府としても中小企業政策の一つの柱だと思いますが、IT化によって逆行する現象が起こっている。生産工程そのもの、計画そのものが親企業に握られて、そしてその指示のもと生産せざるを得ない、在庫も管理せざるを得ないということになっているわけですが、こういう事態についてどう御認識されるでしょうか。
  78. 中村利雄

    政府参考人中村利雄君) 御指摘のような側面もないわけではないわけですけれども、そのような場合に一つの大企業と中小企業、これが新たなパートナーシップといいますか、そういうものを構築するという形で大企業との取引を伸ばすというケースもあるわけでございます。したがいまして、例えば、私ども中小企業庁では白書というものをつくっておりますが、一〇〇%親企業等に依存している企業が意外と伸びているという面もありまして、そのような形でITを活用していくという企業もあるわけでございます。  一方において、より独立したという形で新たな販路を開拓していくという形で伸びている企業もございまして、私どもの調査によりますと二五%以下の依存度の低い方はまた伸びていると、このような結果も出ているわけでございまして、それぞれの中小企業方々が親企業との関係などをよく、どのように構築していくかということを判断した上、ITを活用していくことが望まれるというふうに考えております。
  79. 山下芳生

    山下芳生君 どうも下請中小企業の立場がいかにも親企業と対等、平等にあるかのような御発言のように私聞こえまして、それは実態から違うと思うんですよ。  先ほど紹介したBさんも、そういうことを好きこのんで、私にもメリットがあるだろうと納得してやっているんじゃないんです。このBさんだって、パソコン入れたり専用回線引いたけれども、それで仕事がふえたかというと、ふえていないんですよ。全くふえていない。逆に単価は三年前の平均で六割に減っておりますから、コストだけがかぶされて、仕事もふえない、単価は下がると、こういう実態が中小企業の大半だと私は思うんです。  長官言いませんけれども、下請振興基準には、「下請事業者に対するオンライン発注等に係る指導等の際、併せてその経営、財務等の情報を把握すること等により、その経営の自主性を侵さないこと。」と、もうそういうことまでちゃんとうたってあるわけですね。  私は、これ以上もう繰り返しませんが、平沼大臣に、IT化が促進されるということになりますと、これは促進する基本法ですから、そうするとこういう今私るる述べました下請の再編、切り捨てでありますとかコストの転嫁でありますとか、あるいは自主性、独立性の侵害であるということがかなり起こり得ると。しかし、もうしっかりとそういうことをやってはならないということをうたった振興基準なり独禁法の枝法である下請代金法あるわけですから、改めて親事業者等にこういうことをしっかり守りながらIT化に当たりなさいということを政府が警鐘を発する、文書通達等やるということも、これはやはり検討すべきことではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  80. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 中小企業というのは全企業の九九・七パーセントでありまして、また全雇用人口の七二・七%を受け持っていただいている日本のいわゆる経済の活力の源泉でございます。そういった中小企業がこのIT化によって本当に不当なそういう不利益をこうむらないように、やはり中小企業庁が監督の庁でございますから、通産省といたしましてもきめ細かくいろいろな連携をとり合って、そういうことが起こらないように検査等も含めて実施していきたい、こういうふうに思います。
  81. 山下芳生

    山下芳生君 検査官という言葉がありました。全国で専任の方は公取、中小企業庁合わせても数十人というふうに聞いておりますので、これはやはりその体制を、省庁再編、公務員の削減ということで安易に減らしてはならないということも申し上げたいと思います。  次に、高齢者、障害者の方々ITが果たす役割、これも注目をされております。  私の知人の娘さんが、若くして交通事故に遭われまして、以来約十年ほど半身不随で生活をされています。そのお父さんから最近お手紙をいただきました。娘がパソコンで絵をかき、手紙を書いたので見てほしいという内容でした。その絵を見ますと、花の絵、それから人形の絵、単純ですけれども、大変カラフルな明るい色遣いでかかれてあったのがすごく印象的でしたし、それから手紙には、一生懸命今パソコンを練習しています、ぜひこの絵を見てくださいと。それから、これからはパソコンを通じてもっといろいろな活動や仕事にも取り組んでいきたいという希望も、夢も書かれてありました。大変、パソコンそしてインターネット障害者の方々社会参加に大きな可能性を見出す、生む、そういう威力を発揮するものだというふうに私も実感したわけです。  そこで、通産省としても、もういろんな形でそういう障害者、高齢者の通信機器の利用に対する支援をしていることは私承知しております。もう繰り返して聞きません。そこで、もう一つだけ、そういう支援がさらに実際に役立つものとなるように、大切だと思う点について一問だけ伺いたいんですが、NEDOの支援事業の中に福祉用具の開発に対する支援制度というのがございます。これは中小企業もそれから大企業も利用しているんですが、この間、私、大阪の松下通信工業に行きまして、その支援を受けた一つの開発されているシステムとして、発声言語訓練システムというものが開発されているということを見ました。言葉がなかなか発せられない方が練習する際に、大体マンツーマンで、発声をして、間違っているよとかいいよとか指導されながら発声練習されるんですが、このシステムを使いますと、パソコンの画面に音声が波形になって出てきて、ちゃんと正しく発声されているかどうかが御本人がわかるようなシステムだそうです。  これは大変いいシステムだと思いましたが、残念ながらやはり開発の補助は受けても価格が高いんですね。伺いますと、本体で約五十万円かかる。それから、センサー等、パソコンも含めますとやっぱり百万円かかってしまう。そうしますと、今は主にリハビリセンターとか聾学校に設置されているわけですが、やっぱりそういう方々が自分で自宅で自由に練習できるようにするためには、価格を下げるということが必要ではないかと思うんです。  ほかの一般的なIT機器でありますと、これは消費する、利用するパイというのがもう大変、何千万ですから、マスメリットで価格は下がるでしょう。しかし、こういう福祉、障害者の分野になりますと、寝たきりの高齢者あるいは障害者の方の人口というのは約四百万人です。しかも、こういう特殊な分野に限りますともっと少ないでしょう。ですから、幾らいい機械が開発されても市場原理に任せていたのではいつまでも価格は下がらない。  ここをどう手当てするかということがこれは私は政治の課題としてこれから求められていると思うんですが、この点、大臣、長官でも大臣でも、いかがでございましょうか。
  82. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 目下御審議いただいております基本法でも、その点は第八条におきまして基本理念として、年齢、身体的条件等による利用の機会の格差の是正を積極的に図ることが必要である旨を明記しております。  現実の問題として、今、通産省郵政省におきましても、障害者のための情報機器の開発、利用を容易にするためにいろんな施策をとっております。現在、情報バリアフリー機器等の整備研究開発推進障害者等のための機器に関する普及啓蒙、それから官庁ホームページの音声転換ソフトなどをやっておるところでございまして、御指摘のように、そういった機器をいかに安くするか。今、自動車の場合は体の不自由な人が運転なさるときにその改造に必要な一定の助成がございます。将来、IT機器についてもそういうことを考えていかなきゃいかぬと思っております。ただ、この法律ではまだそこまで具体化しておりませんが、この基本法の次に来る法律といたしまして、そういうものに対してどの程度どういうものをしたらいいか、よく研究してやっていきたいと思っております。
  83. 山下芳生

    山下芳生君 大変大事な答弁だと思います。基本法の後そういうものが必要になるであろう、そこは市場原理ではできない分野ですから、政治の責任でやるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  84. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 御苦労さんです。  私は、この法案を読んでみました。また、調査室でたくさん資料をいただきましてそれも読んでみまして、まだしかし、森総理の言うインターネット革命、あるいはここで言いますIT革新といいますか、どうもどういう社会を目指しどういう社会になってくるんだろうかというのがなかなかわからないんです。  きょうは大臣お疲れですから、少し通告していないことを聞きますが、三大臣の奥さんが果たしてわかるんだろうか、こういうことが。そして、インターネット、パソコンを持ってやろうとされているのかどうなのか。よく幾らあれしてもなかなかわかりにくい、読んでみて少しわかったような気がするが、やっぱり一体どうなるのかというのがわからない。ちょっと最初にお尋ねします。
  85. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 私の家内は絵かきでございまして、インターネットは余り得意ではございません。  女性に限らず男性でもなかなかこれに接しない方も多いのでございますけれども、徐々にこの数がふえてまいりまして、今大体二十数%の人がこれに接している。我々の目標といたしましては、十三年度中には四割ぐらいの日本人がインターネットを利用するような状況にしたいと考えているわけなんですけれども、そうなってまいりますと、人と人とのつながりというのがかなりインターネットを通じて、地域あるいは親族あるいは職場に関係なしにつながってくる、本当に好きなものを探せる、そういったことが起こってくると思います。私の家内はだめでございますけれども、知り合いの女性などには随分これを利用して非常に交際範囲を広げている、あるいは便利になっているという方もございます。  そういうような人間のつながりというものがやはり一本できてくる、これがIT革命の目指す社会の中で極めて重要な部分。もちろん、産業経済あるいは文化という面がありますけれども、ごく普通の生活の中にそういう人間関係が生まれてくるということが大切なところだと思います。そして、お互いに同じことに関心を持ち、あるいは同じ悩みを持つ人々がやがて互助、お互いに助け合うというような形になっていくんじゃないか、そういうような社会が描かれるんじゃないかという考え方を持っております。
  86. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 今、インターネットに習熟している国民層というのは約四割と言われておりまして、私の家内は六割の方に属しているんです。  ただ、私が担当副本部長をしておりますので、インターネットの話に非常に興味を持っておりまして、説明をしてくれということで、こうこうこういうぐあいになるよということで大体理解はしているんじゃないか、そういうふうに思っております。
  87. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 私の認識は、いや応なしにこの数年の間に年寄りもインターネット社会に入らざるを得ない社会状態になるだろうと私は思っております。  例えばの話ですが、家内の友だちでEメールを使えないと孫とつき合えない、こういう話でございまして、いや応なしだなという感じがいたしました。私の家内もいずれそういうことになると思います。
  88. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 ありがとうございました。いいお話を聞かせていただきました。  ただ、私も少し有識者とか友人とかあるいはこの種のことにある程度理解のある人と話をしてみまして、情報の交換というのはもうそれ以後生産をなかなか生まないと。確かに携帯電話はどんどんできるかもしれない、パソコンはまだ伸びているかもしれない。伸びた段階では、それはもう使用料だけしか生産を生まない、陳腐化か何かでつくりかえる場合を除けば。  今、一家、標準家庭では電話一本と携帯電話二本ぐらいはありますね。大体三万円から五万円ぐらいは携帯電話を中心にして電話代、お金がかかっているわけです。それにまたプラスインターネットをやったら、一家、標準家庭で五万円ぐらいかかるんではないでしょうか。それでそう大した生産を生まない。  ところが、若いお嬢さんが逆にどこか温泉旅行でも行くとしますと、そのお金は、同じようなお金がかかった場合に、交通費を払います。交通機関の収入がふえます。それから温泉旅館に行きますと旅館やホテルが潤います。同時に、出てくるお酒にしても野菜にしてもお魚にしても、これは野菜屋さんやあるいは農家の人がそれで潤います。魚が出た場合は漁師まで、問屋を通じてこう来ますが、最終的には漁師が豊かになる。これは笠信太郎さんの「花見酒の経済」で既に言っていることなんですけれども、そういう経済の循環、消費の循環を呼びます。  インターネットあるいはIT社会ということになると、先ほど言ったように、同じお金でも回転の仕方が違う。消費が消費を呼ぶようなことにはなかなかなりにくい。こういう点もよく考えないと、何か知らぬ大きな体で、インターネット革命はと言えば、国民はみんなそっちに連れていくようなやり方がどうも鼻につくというか、これはくせ者だ、こう思わざるを得ない。  一つは健康的によくないと思うんです、IT社会が本当にそういう社会になれば。満足という字は足が満たされると書くが、じっと座ってインターネットをやったらこれは病気になりますよ。それから精神的にも、目がまず悪くなるんです。それから携帯電話にもしインターネットを接続するような形でどんどんやった場合に、あの電磁波というのは非常に高いから、近くでやればアルツハイマーになるんじゃないかというような、そういう学説もどうもあるようでありまして、だからやっぱりもっと、IT社会のプラスの面というのはずっと述べられておりますが、何も総理が先頭に立って旗を振るんじゃなくて、やはりそういう影の部分も出てくるから、そういう部分についてはやっぱり声をかけていかなきゃいけないわけですから、一番中心におる人がどんどん進んでいくというやり方はどうかなと、このように思うんです。  そのことに対しては答弁要りませんが、先ほど言いましたように、この消費はどっちかというと一回きりに近い消費であると。同じ消費でも、今温泉旅館の話をしましたが、若い人が電話代やあるいはインターネット代でコンビニにも行けない、そういう社会になりがちなことに対して懸念があるんですが、堺屋長官いかがですか。
  89. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 昔、笠信太郎さんの花見酒というのがございまして、要するにこの波及効果、乗数効果の問題だと思います。  今のところ、確かに電話代が高い割にそれが次の需要につながらない。いわばチャットが中心で、おしゃべりが中心でございますと、二人だけで満足してしまうからそれで終わってしまうというところがあります。しかし、IT革命が進みますと、生産性が向上いたしましてだんだんと通信価格も安くなってくるでしょう。そういたしますと、得た情報から自分の好みの旅行に行くとか商品を買うとか、いろんな派生効果がわいてまいります。  確かに、アメリカが一九九〇年代の初め、景気が回復してきたときにやはりその傾向がございまして、ジョブレスリカバリー、雇用を生まない景気の回復だと言われた時期がございました。ところが、それが数年たちますとどんどんと雇用を生むようになり、波及効果を生むようになる。やはりこのITの使い方を各産業が、例えば今御質疑のありました旅行業にいたしましても製造業にいたしましても、あるいは娯楽産業その他にいたしましても、これを利用してさらにお客さんを呼ぶ、お客さんを楽しませる、そして多くの波及効果を生むようになってまいる。その過程で、今、日本はチャットが中心の現実がございますので、御指摘のとおりのところもないわけではございませんけれども、構造的に見ると、このITというのは非常に生産性を高め、需要を喚起する効果があるんではないかと思っております。  健康の面につきましては確かに問題がございまして、私たちでもあれをやると、そろそろ老眼がきつくなってまいりますと難しいところがございますので、やはり学校教育あるいはコミュニティー、そういうところで体育、スポーツ、いろんなことをはやらしていかなきゃいかぬなという気は御指摘のとおりだと思います。
  90. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 大臣IT革命論をまたやりたいんですけれども、時間がないものですから先に行きます。  情報、今言う中小企業等、地方におっても今度は仕事ができるぞというようなトーンになっていますよね。しかし、これはやっぱりある程度専門的な人の話を聞いた話ですが、逆に東京一極集中になりかねないと。インターネットに載った情報はこれはもう企業競争上では古いんだと。もっとインターネットに載るということはだれにもわかるような情報、もうわかってもいいという情報。その前の隠れた情報というのは、一番早くとりたい情報というのはまだ載せないと。だから、やっぱりインターネット社会は、地方で仕事がどんどんできるような社会になるかというと、むしろこれは一極集中の形にさらに傾斜するんではないかと、こういう指摘をする人がおりますが、いかがでしょうか。
  91. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) アメリカ、北欧あたりの例を見ますと、各都市に非常に分散型になっているんです。ところが、日本の場合は、渋谷ビットバレーというようなこういうものがありますように、かなり集中型になっておりまして、発信機能が非常に東京に集中するというようなこともございます。しかし、これも今一時的な現象で、将来的にはかなり一般化するとインターネットに載る情報が早くて安くていいものになってくるんじゃないかという気がしております。  私たちが今インターネット博覧会、インパクというのをやっておりますけれども、これに東京都を除く全道府県が参加していただいておりますが、こういうのもやはり情報発信の人材習慣組織を全日本に広げようという目的からやっております。やがてそういうような人材が全国に生まれてまいりますと、御指摘の点はかなり改善されて全国的に広がっていく効果を上げるんではないかと期待しております。
  92. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 なかなか、長官が今言われたような形になるかどうかというのが、これがまた一つ読めないところなんで、答弁はよくわかるんです。しかし、果たしてそうなるかというのがわからない。  第五条は、ゆとり、豊かさを実感できる国民生活の実現ということで、法案をずっと読んでみましたら、いろいろやることによって、「もってゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現に寄与するものでなければならない。」と。第六条は、活力ある地域社会実現及び住民福祉の向上と。  今御答弁あったことにも関係するんですけれども、繰り返しますが、ゆとり、豊かさというのは、私は、情報社会で今みたいに電話を持ってもう町をどんどん歩きながら電話をかけていくような社会が到来して、ゆとり、豊かな社会になるのかどうなのか。私は韓国へ行ってきました。韓国もやっぱりああいう状況ですね。どこの国もああいう状況になって、いつも追われっ放しの人生みたいな、何か後ろから追いかけてくるような競争社会。もっと風格のある落ちついた社会をつくらなきゃいけないんじゃないかと思うんです。  だから、ここで説明は確かに法案はそう書いておるんですけれども、その書いているようなことに、今の進め方で行って果たして落ちついた社会が来るのかどうなのか。ゆとり、豊かな本当に社会が来るのかどうなのか。  難しいことですが、答弁願いたいと思います。
  93. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 確かに、携帯電話などを持っているとどこでも追いかけてきますから、非常にいらいらするというか、気ぜわしい世の中になるということもございますけれども、一方では、いつでも連絡できるという大変いいところもございます。  やはりITだけの問題ではなしに、社会全体にどうしていくかということが大きなポイントだろうと思うんですね。IT道具でございますから、それを持って確かに便利になる、生産性は向上する、連絡は速くなる、情報はたくさんになる。それが人間的な豊かさ、ゆとりというものにつながるためには、やはり日本文化あるいは社会の構造、人間の本質に迫るようなもう一つ次の施策が必要だろうと思っています。  ITITで重要なことであり、国際競争の上でも人々の救急の意味でも、あるいは人間的なつながりの意味でも大事でございますけれども、それが本当に豊かさになるには、日本の次の時代文化というものを真剣に考えていかにゃいかぬところが確かにあると私も思っております。
  94. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 それで、私は、これは基本法のような形じゃなくて、即刻個別法でどんどんやってもらうという方が、そういう問題があるしよかったのではないか、このように思いますし、また基本法でありながら三年たったら見直すという、基本法の性格から見るとちょっとずれているようなところもありまして、そういう疑問を持っておるんですが、最後に、いかがでしょうか。
  95. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) そこへ参りますとちょっと意見が違うのでございまして、やはりこの基本法を定めることによりまして、各分野全体を推進する方向性、日本政府あるいは国全体としての方向性をはっきりとまず定める、そしてそれぞれのまた個別法を考えていくと。まず第一にこういう大きな方向性としてIT社会の構築ということをきちんと定め、そしてその推進のための戦略本部というのを置く、総理の主導のもとに置くという、こういう方針を定めるということがやはり大事なことだと考えておりまして、この基本法はやはり必要だと考えております。
  96. 梶原敬義

    ○梶原敬義君 時間が参りましたから終わりますけれども、私は日本社会というのは一番問題は、今の合計出生率でいきますと、二〇五〇年ぐらいには一億ぐらいに人口がなる、二〇八〇年には八千万を切る、やっぱり国はそういう方向に向かっていっていますね。だから、総理が音頭をとるなら、やっぱりそういう社会になったら日本はもちませんよ、日本の国家は、国は、国民は、社会は。だから、そういうようなことを本当に音頭をとって腕まくりして頑張るのならわかるけれども、どうもここら辺で、このくらいのことで、影もあり、いいところもあり悪いところもあるような内容であります。それを基本法で突っ走るというのはどうも疑問があります。  終わります。
  97. 水野誠一

    ○水野誠一君 無所属の会の水野誠一でございます。  今回の基本法、IT基本法案は非常に幅広く総花的な法律という感じがしております。文中、文案を見ても、法案を見ても、例えば、高度情報通信ネットワーク社会形成は、すべての国民が、ネットワークを容易に利用でき、個々の能力を最大限に発揮する、あるいは電子商取引の促進によって経済構造改革及び産業国際競争力強化に寄与する、さらには、生活の利便性の向上、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活、活力に満ちた地域社会と福祉の向上等々、非常に総花的かつよいことずくめが書かれているわけであります。  何といってもきわめつきは、ネットワーク社会の定義を第二条で、インターネットなどを通じて「自由かつ安全に多様な情報又は知識世界的規模で入手し、共有し、又は発信することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会をいう。」と言っているぐらいでありまして、何か聞いている方がちょっと気恥ずかしくなってしまう、そんな感じがあります。  先ほども堺屋長官がおっしゃっていましたけれども、光と影があると。事実、このIT社会の光と影、双方がもうかなり見えてきている。この状態の中で、私は端的に結論から言ってしまえば、光は大いに民間に任せればいい。ただ、民間が探り得ない、あるいは抱え切れない影の部分、これをもっと政府なり行政というものがしっかりと受けとめると。このスタンスが、先ほど来いろいろ委員もおっしゃっていますが、どうもやっぱり感じられないという中に、何かちょっと歯が浮くといいますか、気恥ずかしくなるようなニュアンスがあると思うんです。中には、何の役にも立たないとか、あってもなくてもよい法律だという非常に厳しい意見もあるようでありますが、私も、これが五年前の法案ならばもう少し前向きに評価できたのになと、こういう印象は否めないと思います。  その中で、きょうは幾つか伺いたいと思うんですが、基本法の理念の一つであります、すべての国民インターネットなどを主体的に利用できる機会を有するというものがありますが、まずその関連で、さきの補正予算に五百五十万人の受講を目指すとして盛り込まれましたIT講習推進特例交付金制度について、これは堺屋長官、大変熱心にお進めになったと伺っておりますので伺いたいと思っております。  実は、少し前に経済企画庁のホームページに掲載されました「IT国民運動の発想と構成 (習う側を援けるか、教える方を補助するか)」という、長官御自身が書かれました論文を拝見しました。この「習う側を援ける」といういわゆるIT講習券、これについては日の目を見られなかったようでありますが、長官が論文の中で言われている教える側を援助する方策の精神を残したのが恐らく今回のIT講習交付金制度と言えると思います。  しかし、この前も委員会で私はこれを質問したんですが、聞きますと、講習の具体的内容は各自治体の実情に即してということでありまして、これから練られるんだということであります。それから、では五百五十万人という目標はどこから出てきたのかというと、これも積極的、戦略的な数値設定というよりは、各施設のキャパシティーを積み上げて出たいわば受講可能人数であるということでありまして、施策の実効性にはどうも私は不安を抱くところであります。  ところで、私はこの話を聞いて思い出したエピソードがあるんですが、九六年に村の全世帯にパソコンを配った富山県山田村という事例がございます。これは有名な話なので長官も御存じだと思うのでありますが、例えばこうした先行事例の検証というのは行われたのだろうかと私は非常に素朴に疑問を持ったわけであります。この山田村の施策には批判も確かにあるわけでありますが、いち早く行政が明確な施策を実施に移して積み重ねられた経験というのは私はそれなりに、小さなトライアルではありましたけれども、貴重な価値を持っているものと思っています。  こうした例はほかにもあるはずで、それらを横目に見ながら今ごろ、さて国が全面的に旗を振ります、交付税措置も講じますから各自治体はぜひ知恵を絞ってくださいと言っても、果たして各自治体が最短距離で効果を生み出すことができるだろうか、こんな疑問を持っているわけであります。事実、私もある地方自治体の経験者の方と話をして、この話をしていましたら、恐らくこれは各地のお役人がとりあえず格好をつけるために頭数をそろえるので右往左往するんじゃないか、それが目に見えるようだ、そんなことをおっしゃっている方もいらっしゃいました。  新たなばらまき行政だという批判を受けないためにも、私はこれの実施ということは非常に大きな問題を含んでいるような気がしておりますが、長官のお考えを伺わせていただければと思います。
  98. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この情報通信技術講習推進特例交付金事業というものでございますが、これは御指摘のように、地方公共団体が自主的に実施するIT講習の機会を拡大、支援するというものでございます。  お手元に絵を配付しておると思いますけれども、今推進しております状況は、自治省から都道府県に交付金を給付いたしまして、これがさらに市町村に渡る場合、あるいは教育委員会、商工団体等が絡む場合もございますが、それぞれのところ、例えば大都市でございますとITを教えている専門教室もございますし、地方、山間部へ行きますと全くそういうものがないところもございます。そういうさまざまなところの違いをその都道府県あるいは市町村で御判断いただきましてこれを実施してもらう。そのために、小中学校、高等学校、あるいは市庁舎、公民館、図書館等々を利用してやっていただこうということになっております。今、各都道府県において、市町村あるいは教育委員会、商工団体等を構成員とする連絡協議会を設置し、事業主体間の調整を図ることとしているところでございます。  このIT講習の実行場所、小中高の学校、庁舎、公民館、図書館、博物館、その他地方公共団体の施設、あるいは大学、短大、それに民間の、これは大都会の場合には結構あるんですが、民間の施設等、住民の身近な施設を想定しておりまして、それからこの費用と場所の容量等から考えて五百五十万人という数字を出しております。  もちろん、地域によって非常に差がございまして、非常に市長さんが熱心だとかいうようなところでは既にかなり進んでいるところもございます。それから、全く意識のないところもございましてそのばらつきはございますけれども、これからこの事業が進展するに従いまして、各市町村とも非常にこの問題、ITに対する理解が進む、これを期待しております。  したがって、この五百五十万人という数は実行できるだろうし、またその程度皆さんの中にもやってみたいという人が生まれてきている、あらわれてきているという確信も持っております。
  99. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  衆議院の内閣委員会の参考人質疑を先日拝見したんですが、大変有意義な意見が多かった中で、慶応大学の國領先生が述べておられること、これは私は非常に印象深かったわけです。國領さんは、第三条においてすべての国民が主体的にネットワークを利用し個々の能力を最大限に発揮するという思想を掲げている点で大いに評価できるが、気をつけたいのは同じ条の「恵沢をあまねく享受できる」という部分で、これがサービスのばらまきという意味ではなくてすべての国民が未来に貢献できる場を用意するという意味であることを徹底していただきたいと思う、こういうふうに國領さんが言っているわけです。これは私は大変重要な指摘だと思うんです。  さきに成立しました補正予算について、新聞報道なんかを読みますと、補正はIT花盛りとか官邸主導の新たなばらまきなどという見出しが随分と躍っておりました。来年度の予算編成が本格化する中で、仮にIT基本法をつくったために相変わらずの旧来型の公共事業などがITの冠をかぶって大盤振る舞いされるようなことになってしまっては、国民に失望をもたらすばかりかIT基本法の立派な理念の足を引っ張ることになりかねない、かように私は危惧しております。  そういう視点も含めて、まさにこれは総理主導でというお答えもさっきから何度もあるんですが、私は、だからこそかえって心配なんだということもございます。予算編成との関連においてIT基本法の理念をどのように反映していくお考えなのか、IT担当大臣として堺屋長官から、端的に短くて結構でございますから、御所見を。
  100. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この法律の理念を確立するためには、まず広く国民ITを利用できるリテラシーを持つということが重要だと考えております。  その意味で、今御指摘のありました講習会等を含めましてかなりの予算をつけております。そういう支援だけで五百五十億円、また国民が手軽にITに触れられる機会を持つような地域情報通信ネットワーク、公衆インターネット拠点等に四百二十億円、その他埋設空間、DSL、ケーブルテレビ等の普及などに六千四百三十億円、あるいは中小企業IT導入支援金融対策約五百十億円というようなつけ方をしておりまして、IT関係総額七千九百億円となっておりますが、決して単にITとつけたらいいというようなことではなしに、かなり厳選してこの金額を出しております。  この法案のやはり精神を実現するためには、まさにすべての国民がこれに接しられる、空間的にも、また個々人の技能の上でも、また興味の上でも接しられるというので、ハードウエアとソフトウエアとコンテンツと三本柱を立てて普及していく。そういう意味で、今度の補正予算などとこの精神との間にはかなり密接なつながりができている、そういうそごはないと考えております。
  101. 水野誠一

    ○水野誠一君 ひとつその辺は大変重要な点だと思うのでしっかりとお願いをしたいと思うんですが、森総理ITITと言われれば言われるほどIT関係の株が落ちるという笑えないジョークのような話があったわけでありまして、私は大変これ問題だなと思うんですが、結局、やっぱり根本的基本的な考え方、体質を変えないでITといっても、これも新たな公共事業のばらまきになるんじゃないかという危惧はやはり相当国民の間に強い。  そういう視点からいっても、今回のIT基本法も、私も業界の人たちと随分その問題について話をしたんですが、皆さん言うのは、もうそれは今さらお題目は結構だ、それよりももっと具体的な規制緩和とか、先ほどのNTTの接続料の話や何かもありましたけれども、そういう問題を、つまり国が国しかできない問題をもっと積極的に具体的に進めてほしいんだと。だから、お題目よりももう具体策だという意見が非常に強かったということが言えると思うんです。  事実、私は、この国会内なんかでも、IT革命というからにはもっと進めていただきたいというかもっと改善していただきたいのは、この委員会の部屋とか本会議の部屋に私たちがパソコンとかあるいは電子手帳を持ち込むとしかられるんですね。私も昔、商工委員会のころに電子手帳を持ち込んで怒られたことがあるんです。それはなぜかというと、法律にはないんだけれども議運の決定事項で、これは光と音が出るものを持ち込んではいけないと。光と音と聞きまして、これは国会というのはいまだに縄文時代なのかなというふうにちょっと私もびっくりしたんです。  もうこの時代に、やはり我々でも、こういう質問をするにしても、コンピューターの中にもデータがいっぱい入っているわけですから、コンピューターを持ち込めればいかに便利かということもありますし、その辺でいろいろ事務をやっておられる方々も、コンピューターがあれば随分便利になるということですから、まずそういった足元から少し、IT化ということを言うのであれば、IT革命と声高におっしゃるのも大いに結構なんですが、むしろそういう足元からやっていってほしい。  そしてまた、民間はもう既に、先ほどからいろいろ皆さんお話が出ていたように、IT化あるいはインターネット普及、もうそれは本当に我々が想像するよりもはるかに進んでいると言っていいと思うんです。  確かに、情報弱者の問題ということがよく言われます。しかし、この情報弱者の問題というのも、私は二つあると思うんですが、一つは、本当に障害があって情報機器を使いこなせないという方と、それから、いやもうそういう意識がないと。この方々は、昔よく読み書きそろばんという言葉がありましたけれども、私なんというのはいまだにそろばんというのはできない。しかし、電卓ができたので何となく仕事はつつがなくやることができたと。しかし、電卓がなかったら私は今ごろ落ちこぼれていたんじゃないかというぐらいの問題がありますから、確かに、やる気がない人間に対しては、これはなかなかそれを普及していくというのは難しい。しかし、障害者に対して、これに対するいろいろな機能の付加とか技術的改善というのは必要だと思うんですね。  これは、静岡県立大学に石川准さんという教授がいらっしゃいまして、この方は高一のときに完全失明をされて全盲なんです。全盲ですが、昭和五十二年に全盲として初めて東大に合格されて、今、静岡県立大学で社会学の先生をやっておられる。  この方は独自に視覚障害者用の画面読みプログラムというのを御自分で開発して、それを使って御自分でもうともかく論文からすべてコンピューターでお書きになっている、こういう方がいるんですね。こういった能力をお持ちの方ばかりとは限らないんですが、例えば視覚障害者の方にもそういう対応はできるわけであります。  それから、例えば、IT技術が発達すれば、確かにこういった障害者に対する配慮ができるかというと、その逆行するケースというのはもちろんあるわけでありまして、例えば銀行が今やっておりますATM、金銭の支払い機がありますが、これは昔はテンキーという立体的な押しボタンで暗証番号あるいは金額が入れられた。ところが、今はタッチパネルで画面の上を押すようになった。そうすると、視覚障害者の人はこれは対応できないわけです。テンキーであればともかく手探りでも押せたというような問題があって、これなんかむしろ逆行している。これなんか銀行に例えば言うと、なかなか経営合理化の方向から考えてもそこに戻すことはできない、こういうことになるわけです。  ですから、そういった問題に対しては、私は大いに日本政府が旗を振って、あまねく恵沢を享受できるような政策というのはやっていただきたい。しかし、民間の活力、民間のパワーに大いに期待し、またそこに託していく部分、これは私はその足かせにならないような規制緩和ということを大いに進めていただくということで、私はこの法律、基本法よりも何よりも、具体的にやること、これがいっぱいあるということ、そしてまた足元からいろいろあるということをまず申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  102. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 私が最後の質問者でありまして、できるだけ早く終わりたいとは思います。持ち時間十五分ですが、そんなに時間をとらないでと思っております、本会議も設定されているようですので。できるだけ簡潔に質問をし、簡潔にお答えいただきたいと思います。  私、実はきょうの午前中、横浜に行ってまいりました。帰りに十分な時間をとったつもりでありましたが、渋滞に巻き込まれて遅刻してしまった。委員長初め大臣の皆さんにも甚だ申しわけない、こう思っております。原因は、料金所で渋滞して、相当長い渋滞が起こっちゃった。前から言われていることですが、例のETC、これ日本は物すごくおくれましたね。私、ヨーロッパなんか見ていましたけれども、五年以上おくれている。香港だって相当前からやっている。そういうことがあるわけです。これもこのITの問題の中の一つになっております。  先日、会館で電線を引きまして、電線というかケーブルを引きまして、何ですかこれと言ったら光ファイバーだと。ようやく今になって会館に光ファイバーが入ってくることになったのかな、このIT法案が出てくるので慌ててやっているのかと余計な推察をしてしまったりしていましてね。会館もさることながら、宿舎も光ファイバーが要るんじゃないかと思っていまして、今電話線一本しか入っていないから、コンピューターを動かしていると電話がかからない、そんなこともあります。それはともかくとしまして、一般の家庭にいつ最終的に光ファイバーなどが入ってきて、いろんな情報を自由に取り出せるような時代がいつ来るのかということについては、私は何年かかるかなという感じで見ております。意外と早いのかもしれません。  一般的に日本情報社会発展がおくれた、こう言われておりまして、私も相当おくれていると思っています。おくれていない部分もあるかもしれない。しかし、全体的に見るといろんな重要な部門でおくれてきていると思いますが、堺屋長官は重要な部門でどういう部門がおくれているか、またどういうことでおくれてしまったのかということについてひとつお話しいただきたいと思います。
  103. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) きょう朝行われましたIT戦略会議では、その答申の中に五年後に三千万戸の家庭に高速ネットワーク、そのうち一千万戸は超高速のものが入るというようなことが書かれておりまして、大体そのぐらいの目標を持って行っております。  日本がどうしておくれたかという話でございますけれども、日本はエレクトロニクスの世界では世界で一番、最も進んだ生産力と競争力を持っておりました。ところが、それは個々のものでございまして、これをネットにつなぐという思想がちょっとなかったんですね。それで、つくるときに電話線の上に置いた。したがって、高速化することがまたおくれて、それが今日まで尾を引いて、電話の規制がそのまま引き継がれたというところが非常に大きいと思います。  きょうのIT戦略会議におきましてもかなり大胆な規制緩和の答申が出ておりまして、これはぜひ一つとしておくらすことなく実行したいと思っております。そうなりますと、今御指摘のようなネットとして使うという思想が普及しますとかなり急速に日本もおくれを取り返すことができるんじゃないかと思っております。
  104. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 今、長官の御答弁の中で超高速ネットワークあるいは高速ネットワーク、そういったものを張りめぐらしてということで、それができれば急速に進む、そういうお話のように理解させていただきましたが、もしそういうことになると、例えば超高速のネットワークはどういう地域とか、地域が限定されてくるというか、例えば大都会から始まっていくとか、そうすると大都市と地方との間にいわゆるデジタルディバイド一つの現象があらわれてくるのか、こういうような感じを持ちますが、その点はいかがですか。
  105. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 御審議いただいております基本法には、地域によっても格差はなく、あまねく恵沢が受けられるというように書いてございます。現実問題として、じゃ一遍に日本国じゅうそうなるのかというとそうはまいりませんから、ある程度便利なところ、不便なところ、できると思います。これはやはり全体は民主導でございますけれども、そういった地域格差の問題はある程度、かなりの程度国があるいは自治体が考えていかなきゃいけない問題が残るのではないか。  ユニバーサルサービスをどうするかというのは非常に重要な問題でございまして、それは民間にやるべきなのか、あるいは国が、例えばアメリカでありますようなユニバーサルファンドというようなものを設けてやるべきなのか、まだ決定はしておりませんが、何らかの措置の必要になってくる時期があると思います。
  106. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 私、この法案も眼光紙背に徹して読ませていただいたつもりでおります。それから、平成七年と平成十年の基本方針、これも読ませていただきました。非常によくできているといいますか、よく整理されている、そういう思いで見せていただきました。また、それに引き続くアクションプラン、これも見せていただきました。アクションプランは全部詳細に見たわけではありませんが、部分部分を見せていただいた。  私、昔、運輸省におりましたので、運輸関係でどんなものがあるか、こういうことで見せていただきましたが、例えば海上保安庁の高度通信システムとか、それから油流出事故に対応する海洋情報の収集、分析、あるいは運輸関係の衛星、航空管制や何かに使うような衛星とか、そういったものが入っておりますが、いずれにしましても、現代の感覚でITと言わないものまでといいますか、ITに関連のあるもの、情報に関連あるものはすべて網羅されている。これはいけないという話じゃなくて、よくそこまで全部整理されたと、そういう感じを持っております。  そういったことで、通常の予算ベースでできたはずのものが、最近のIT予算、別枠でないと実現できなかった、そういうものもあるようです。ですから、私は、ITの名をかりてと、こうおっしゃられる方がありますが、名をかりようとかりまいと必要な予算はきちっとつけたらいいと思いますから、それはそれで結構ですが、しかし、ちょっと事を大々的に言い過ぎていやしないか、ITの問題というのはもっと地道な努力が要るんじゃないかな、こう思っております。幾ら打ち上げたところで、物事を実現するためには一つ一つ問題を解決しなければならない、そういうことだと思いますので、私は、この法案はまことに結構なことが書いてありますが、それじゃ具体的にこれを実現するためにはどこへ行くかといえば、先ほどのアクションプランとかアクションプランのフォローアップとか、そういうところに行き着くんじゃないか、戻っていくといいますか、それをきちっとやらなければ実現できない、そういうふうに理解しております。  例えば、第七条の高度情報通信ネットワーク社会形成に当たっては民間が主導的役割を担うことを原則とすると。国は何をやるかというと、法制上障害になっている部分とか環境整備をやるのが国の役割だと。それなら、国はその気になってきちっとそれをやればいいじゃないか、何も法律をつくらなくたってできることではないかと私は思います。  やる気のある大臣がいて、総理大臣がいて、それでそういうようなプランをきちっとして、それで計画を立てて予算をとって実現する、そういうことじゃないかと思うんですが、私が総理大臣になることはありませんから、私が総理大臣になったらと言ったら、みんなだれもそんな話は信用しないと思いますが、例えば平沼大臣総理大臣になられたときに、こういう法律がなくたってそういうことは実現されるだろうと思うんです。むしろ、ない方が自由な発想でもっと自由な枠組みができるかもしれない。そういうことから考えますと、私は、この法案があったからいいというわけじゃなくて、ない方がいい場合だってあるんじゃないか、そういうような思いでもおります。  例えば、郵政省通産省の間でなかなか話し合いがつかなくて前へ進まないから、こういう法律をつくっておいて首に縄をつけて引っ張っていこうじゃないかというような発想があるかないかは別にしまして、私は、この法案の中身をずっと見ますと、総理大臣がしっかりとして関係閣僚が十分なやる気を持ってやればこういうことは実現可能だと思います、この法案なしに。その点については、堺屋長官、平沼大臣、いかがお考えでしょうか。
  107. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) この法案で定めておりますことは、一つ基本的な方針、重点事項を定めるという戦略的な方向を定める。もう一つ戦略本部総理大臣の指導のもとに全閣僚が入った、民間も入りました本部をつくるという、この二つの事項が重要かと思います。  これがなくてもできるじゃないかということですが、なかったら絶対できないかと言われるとこれはまたあれでございますけれども、やはり全国民に対して一つの方向を示すというのは大事なことだと思うんです。こういう民が主導でそして官がそれを助けていくということになりますと、やはり一つの方向を全国民に示すという価値は大変あります。  そして、今申しました重点事項、戦略を定める、そして、このあり方として格差のない制度という理念を発揮させて、そしてその戦略を明確にしていく、そういう組織をつくる、これは大変意味のあることだと。過去の例を見ましても、高度成長のときもやはり所得倍増というようなことがあったからその気になりましたし、公害防止のときもまたそうでございました。そういうことを考えますと、やはりこの法律は大変貴重な価値があるものだと思っております。
  108. 平沼赳夫

    国務大臣平沼赳夫君) 私も基本的には堺屋長官と同じ考え方でございますけれども、IT基本法というのは、IT革命に的確に対応いたしまして、二十一世紀にふさわしい豊かな国民生活と活力ある経済社会実現するために、我が国が目指すべき社会高度情報通信ネットワーク社会として、これをIT基本法では定義づけをいたします。そして、その基本理念施策基本方針、施策推進体制を明らかにしたものだと私理解しております。  関係省庁間の連携のみならず、IT革命の今後の政府全体としての取り組みを堺屋長官が言われたように国民の皆様方にも示す意味で、私は意味のある基本法だ、このように思わせていただいております。
  109. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 郵政大臣もちょっと。
  110. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 私が郵政省に行きましたときに、随分変わったなと思ったことがございました。私も昔の役人でございますから、恐らく各省とも大げんかをしておるのではないかと思っておりましたら、そうではございませんで、こういう国民生活の、経済だけでなくていろんな分野にまたがって各省庁が協力をしていかないと世の中が動かないぞと、そういう意識を公務員の諸君も持っておられるようでありまして、私はその点は昔と変わったなと思いました。意を強くいたしております。今後、そういう方向でさらに努力をすべきものだと考えます。
  111. 戸田邦司

    ○戸田邦司君 もう時間もありませんので、一言だけつけ加えさせていただきますが、今のような各大臣のお考え、それは私自身よく理解できます。ただ、立法府がこういうことを示してやるのかというところが私の疑問でありまして、それは行政府が、やっぱり内閣が国民にこれからの世の中こうなりますよということを示すものじゃないか。ですから、役割がちょっと違いはしないかということだけ一言申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  112. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 他に御発言もなければ、本連合審査会はこれにて終了することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認めます。よって、連合審査会は終了することに決定いたしました。  これにて散会いたします。    午後四時八分散会