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世耕弘成君 きょう答申が出る話ですので、ちょっとお答えになりにくいことを聞いて申しわけないんですけれども、私は、やはりその支配的
事業者の認定というのは、例えば
携帯電話だから、長距離だからという、そのマーケットを適当に広げていくとか、あるいはシェアを持っているから自動的に認定していくとか、私はその
考え方からはやはり離れる必要があるんじゃないか。
支配的
事業者を認定するに当たって一番重要なのは、他の
事業者の邪魔になっているかどうか、その人たちがその
ネットワークを持っていることによって、一定のシェアを持っていることによってほかの
事業者の参入機会を奪っているとか、あるいはほかの
事業者がそこへ接続させてくださいと言ったら意地悪をされて困っているとか、そういうことがあるのであれば支配的
事業者として制限をしていくべきであって、シェアが何%を超えたから自動的に支配的
事業者ですよという
考え方では私は、逆に
事業者が頑張っていい商品をつくってシェアを獲得していくインセンティブを失わせてしまうんじゃないかという危惧を持ちます。
ですから、NTTの地域会社が持っている電話網、これは完全にもう支配的だと思います。もともと独占だったわけですし、それをつながないとサービスができないということがたくさんあるわけですからこれは支配的だと思いますけれども、ほかのことについてはボトルネックとなっているかどうか、ほかの
事業者にとって邪魔になっているかどうかということを真剣に検証する必要があります。
例えば、NTTドコモは今非常にシェアを上げています。きょう、KDDIの決算が出ていますが、KDDI系の
携帯電話であるauは販売
目標の三分の一も行かなかった、そういう結果が出ています。これは何もNTTドコモが支配的だからというわけじゃないんです。やはりNTTドコモは経営判断をしたわけです。CDMAという
技術があるわけですけれども、一番手近なCDMAには飛びつかないで、今のままの
携帯電話で辛抱して次のW—CDMAまで待つという経営判断をした。さらに、その間のつなぎとしてiモードという商品を
開発した。さらに、iモードでは、今
パソコンのホームページと親和性がいいようにコンパクトHTMLという、今ホームページをつくれる人だったらiモードのホームページも自動的につくれますと、そういう言語を採用した。その辺の経営判断と、そして一方でKDDIのauの経営判断というのは、やはりcdmaOneは音質がいい、
外国へ行っても使えるということで、一番近いcdmaOneに飛びついた。その上で、EZwebという
インターネットサービスは、これはWAPという今の
パソコン上の
インターネットのホームページとはまた違う言語を採用された。これはこれでまたメリットがあったわけです。その経営判断の結果として現在の売れ行きというのが出てきているわけですから、そういうところを大切にしないと、自動的にシェア何%を超えたら規制しますよでは
事業者のやる気をそいでしまうんではないかということをちょっと一言意見として申し上げさせていただきたいと思います。
それともう
一つ今話題に上っておりますのは、では
光ファイバーのインフラをどう見るか。これは、実は今の
電気通信事業法上極めてあいまいでございまして、
基本的にはNTTの地域会社が持っている設備の中に当然光が入ってくるわけで、それは一部電話にも使っているわけですから、そういう
意味で、
光ファイバーはあくまでもその指定
電気通信設備として規制を受けるべきだという
考え方もあるわけですけれども、私は
光ファイバーはやはり規制の対象に入れるべきではない、支配的
事業あるいは指定
電気通信設備として見るべきではないと思います。
というのは、
光ファイバーの敷設が始まったのは、これは用意ドンでみんな一斉に同じ
条件でほとんど始めたわけです。もう
一つ、今現実に敷設の距離ベースでいけば、NTTが持っている
光ファイバーというのは全体の三〇%ぐらいしか持っていません。電力系の会社もあれば、いろんな会社、
事業体が
光ファイバーをいっぱい引いていまして、NTTが必ずしもボトルネックにはなっていません。NTTがつなぎにくかったら、ほかの
事業者を使える選択肢が十分にあるわけです。ですから、そういうことを
考えると、やっぱり光インフラは
ユニバーサルサービスではないんじゃないかなという気がします。
光インフラにおいてどういう形で支配的
事業者である、指定
電気通信設備であるという判断をどういう基準でされるのか。私は今のところ、
光ファイバーのサービスについて判断すべき基準はほとんど存在しないと思うんです。というのは、マーケットがまだ未成熟な状態で一部の企業が使っているだけの限られた市場ですから、そういう中で何か判定基準となるような市場とかシェアというのもないと思うんです。
逆に、万が一NTTが
光ファイバーのインフラでこれは指定
電気通信設備だと認定されてしまうと、
光ファイバーを用いたサービスに関して
全国一律の
料金を設定したりあるいは接続約款をつくらなきゃいけないということになりますから、だったら
地方でローカルでの
光ファイバーの展開はちょっとやめておこうかななんという経営判断も出てきかねないと思うんです。
その辺を踏まえて、この
光ファイバーのインフラを用いたサービスに対する規制についてはどのようにお
考えでしょうか。