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2000-11-07 第150回国会 参議院 交通・情報通信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月七日(火曜日)    午前十時七分開会     ─────────────    委員異動  十一月一日     辞任         補欠選任      中島 啓雄君     若林 正俊君  十一月二日     辞任         補欠選任      若林 正俊君     中島 啓雄君  十一月七日     辞任         補欠選任      渕上 貞雄君     三重野栄子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         今泉  昭君     理 事                 景山俊太郎君                 鈴木 政二君                 寺崎 昭久君                 森本 晃司君                 三重野栄子君     委 員                 泉  信也君                 鹿熊 安正君                 田中 直紀君                 常田 享詳君                 中島 啓雄君                 野沢 太三君                 山内 俊夫君                 齋藤  勁君                 内藤 正光君                 直嶋 正行君                 山下八洲夫君                 弘友 和夫君                 筆坂 秀世君                 宮本 岳志君                 岩本 荘太君    国務大臣        運輸大臣     森田  一君        郵政大臣     平林 鴻三君    政務次官        運輸政務次官   泉  信也君        運輸政務次官   実川 幸夫君        郵政政務次官   佐田玄一郎君        郵政政務次官   常田 享詳君    事務局側        常任委員会専門        員        舘野 忠男君    政府参考人        人事院事務総局        職員局長     中橋 芳弘君        警察庁警備局長  金重 凱之君        総務庁行政監察        局長       塚本 壽雄君        運輸大臣官房長  小幡 政人君        運輸省運輸政策        局長       岩村  敬君        運輸省鉄道局長  安富 正文君        運輸省自動車交        通局長      縄野 克彦君        運輸省航空局長  深谷 憲一君        郵政大臣官房長  團  宏明君        郵政省郵務局長  松井  浩君        郵政省通信政策        局長       鍋倉 真一君        郵政省電気通信        局長       天野 定功君        郵政省放送行政        局長       金澤  薫君        自治省財政局長  嶋津  昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査  (地上放送デジタル化に係る民放地方局への財  政支援策に関する件)  (地上放送デジタル化メリットとデメリット  に関する件)  (加入者回線網の開放に向けた取組に関する件  )  (IT国家戦略早期策定必要性に関する件  )  (特定郵便局長任用制度の在り方に関する件  )  (JR三社の早期完全民営化に関する件)  (JR東日本の労使問題に関する件)  (整備新幹線整備促進に関する件)  (自動車メーカーによるクレーム隠し問題に関  する件)  (日比谷線脱線事故原因事故再発防止策に  関する件)     ─────────────
  2. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいまから交通情報通信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、渕上貞雄君が委員辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。     ─────────────
  3. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事三重野栄子君を指名いたします。     ─────────────
  5. 今泉昭

  6. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 山内俊夫

    山内俊夫君 いよいよ二十世紀もあと二カ月足らずとなってまいりましたが、二十一世紀デジタル時代と言われております。その中にあって、森総理においてはIT革命IT時代を迎えてどうするかということが基本的な戦略として今打ち出されております。  大臣におかれましては、その最先端の中枢においでになりますので、自民党の山内でございますが、約二十分ばかりお時間をちょうだいいたしまして質問させていただけたらと思います。  地上デジタル放送化というのが二〇〇三年をめどに今計画されておりまして、特に関東、中京、近畿、この大都市圏については二〇〇三年めどということを聞いております。また、その他の地域については二〇〇六年を大体めどにやっていこうと。その間、またいろんなサイマル放送等も併用しながらやっていくことになっておりますけれども。  BSデジタル放送の本放送がそろそろ開始されるわけですが、これに向けて民放地方局、特に地方局に大きな問題が生じてきていると思いますが、その大きな問題点の一番大きなものは経営危機ということを言われております。  では、この経営危機ということに対して、いろんな諸般の事情があるかと思いますけれども、郵政省においてはどのように民放地方局経営危機を御認識いただいておるか、大臣からお答えをいただけたらと思います。
  9. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 山内委員のお話のように、地上ローカル局は、現在の経営状況は全体としては経常利益で増益を見ておるというような状況でございますけれども、これからが問題でございまして、BSデジタル放送との競合とか、あるいはみずからのデジタル化投資等経営課題に直面をいたしておる、そういう認識でございます。  そこで、地上ローカル放送局におきましても、地域に密着した番組を積極的につくっていくというようなことと同時に、高画質化、高品質化データ放送双方向機能なども活用して、経営努力に努めることにより、今後とも基幹放送としての役割を果たしていくことを期待いたしております。  したがって、この地上放送デジタル化に当たりましては郵政省としても必要に応じて支援措置を行ってまいりたい、これが私どもの考えでございます。
  10. 山内俊夫

    山内俊夫君 支援措置をしていただくというお答えをいただいておりますけれども、この経営危機原因の一番大きなものの一つとして私が考えておりますのは、地上波デジタル化に向けて地方局が今から設備投資をしていかなきゃいけない、これが大変な数字に上ると思うんです。ただでさえ大体年間売り上げ地方局平均すると五十億から六十億というように言われております、それより低いところもありますけれども。特に我々四国の場合は、そういった売り上げそのものは大変低うございます。  そういった中で、数十億かかると言われておるんですけれども、どのぐらい果たしてかかるものか、教えてほしいんですが。
  11. 金澤薫

    政府参考人金澤薫君) 事実関係でございますのでお答えさせていただきますが、デジタル放送設備にかかる投資額でございますが、平成十年七月の民放連の試算によりますと、民放全体で約五千六百億円というふうになっております。一社当たりにいたしますと約四十五億円でございます。
  12. 山内俊夫

    山内俊夫君 大体四十億円ぐらいかかるということなんですが、売り上げが大体五、六十億の中で設備投資が五十億というのは、これはもうほとんどできかねるというような私数字だと思うんです。  特に、周波数割り当てというのは、サイマル放送になってきた、BSデジタル放送し始めると、特に瀬戸内沿岸というのは非常に電波帯がふくそうしておりまして、必ずどこかに割り当てをするとそれから移動しなきゃいけない。玉突き症状のように次から次へ受信周波数変更していきますと、当然民放局はそれに対してのいろんな設備的なもの、それと売り上げもかなりダウンすると私聞いておるんですよ。  そういったときに、この周波数割り当てというのは余り動かさないでいけるものかどうか。例えば、動かさなきゃいけないとしたらどの程度今作業が進んでおるのか。そのあたりも技術的なところをお聞きしたいんですが。
  13. 金澤薫

    政府参考人金澤薫君) 御承知のように、我が国におきましては非常に周波数事情が逼迫しております。特に瀬戸内沿岸は逼迫しているわけでございます。  地上デジタルテレビジョン放送チャンネルを捻出いたしますためには、まず現在のアナログ放送周波数変更するということが必要になります。アナログ放送周波数変更につきましては、それを必要とする地域を一応確定したところでございます。これに基づきまして来年度から対策を実施してまいりたいというふうに考えております。  現在、地上デジタル放送に関する共同検討委員会が、チャンネルにつきましてはすべて関係業界郵政省が一体として検討しているわけでございますが、その共同検討委員会におきまして本年末を目途にアナログ周波数の具体的な詳細につきまして精査を行っているというところでございます。  ちなみに、中国四国のいわゆる瀬戸内沿岸での対象局所数でございますが、中国地方では七十二局所、四国地方では二十九局所と、全体の対象局所数が四百十八でございますが、そのような占め方をしております。  以上でございます。
  14. 山内俊夫

    山内俊夫君 全体で四百十八、その中で中四国だけでもほぼ百ぐらいあると聞いておりますが、こうなってくると、民放それぞれが持っている周波数というのは移動することによって売り上げ減にもつながりますし視聴率低下にもつながってくるということで、大変危機感を持っております。  例えば、東京キー局、五局ありますけれども、これはBSデジタルに参入もいたしておりますし、シャワーのごとく衛星から情報を流すわけですから、東京キー局はほとんど余り影響ない。なおかつ売り上げがもっと上がってくるんじゃないか。情報量中身もそれだけ多分ふえてくるだろう。  それに相対いたしまして、地方局能力そして体力その他が落ちてくるということは、ローカルニュースが大変少なくなってくるという私心配をいたしております。ただでさえ、今東京一極集中という形で情報も人もお金も全部この東京に集まっているわけでございますけれども、これで追い打ちをかけるようになってくるという私心配をいたしております。  この今までの、大体考えられるのは二つ、三つなんですが、もっと膨大にあると思いますが、心配事は。そういったものに対して、大臣、実はこの一時的収入の不足とか経営危機というものに対して公的な支援策というものは今考えられているかどうか、このあたりをお聞かせいただけたらと思うんですが。
  15. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 委員のおっしゃる公的な支援という問題でございますが、デジタル放送設備にかかる経費負担につきましては、第百四十五回国会で成立をさせていただきました高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法によりまして税制金融上の支援措置を設けておるところでございます。  これらを用いて積極的に支援をしてまいる考えでございますけれども、簡単に言いますと、税制面では法人税固定資産税、そのようなものを軽減する、あるいは融資の面では例のNTT―CC’という資金がございますが、それによりまして無利子や低利融資をやっていく、あるいは通信放送機構というシステムがありますが、ここで債務保証をやるというようなことをやっておるわけでございます。  また、アナログ周波数変更に必要な経費八百五十二億円につきましては、電波利用料を財源にしまして全額国庫負担にすることにしたい。平成十三年度に百五十二億円の予算要求をいたしております。これは平成十三年度でございますから、これからお願いをしていきたいと考えておるところであります。
  16. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  これはもう最後になりますけれども、情報格差というものが、先ほども私のコメントの中に入れたんですけれども、今後、地方局存在意義存在理由というのが非常に薄まってくる心配をしております。  地方テレビチャンネルを合わせればもうほとんどの情報はとれるということ。そうなってくると、やはり地方のコミュニケーション、また県、市、町あたりのいろんな情報交換が大変おくれてくると。特にこういった面の情報格差が生じてくるんではないかなと思っておりますが、中央情報については量そのものはかなりふえてまいります。ましてBSデジタルになってきますと、好きなときに好きな情報がとれるということですから、それはもうそれなりに膨大な量になってくるし、それはもう視聴者の取捨選択というところへ入ってくるんですが、このローカル情報低下というものに対して対応策というものはあるんでしょうか。そのあたり、お聞かせ願いたいんです。
  17. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) これは各ローカル局でいろんな創意工夫を凝らしてもらわなければならぬ問題だとは思っておりますけれども、既に相当ローカル事業者において番組制作能力の充実を図っておられますし、地域情報番組につきまして自社番組制作比率を高める努力をなさっておられるというぐあいに聞いております。なかなか自社制作というのは言うべくして困難を伴うことらしゅうございまして、すべてがローカルというようなところはどこにもございませんけれども、そういう努力が行われておるように承知しております。  また、地上デジタルということになりますと、伝送できる情報量はもちろんふえます。それから、双方向性データ放送というようなことができるわけでございますから、より一層、努力次第でローカル情報が充実できるのではないか、そう考えております。  したがいまして、自主的努力期待をいたしておりますが、郵政省といたしましては、地上放送デジタル化投資負担軽減のための先ほど申しました税制金融上の措置を活用して積極的に支援をしていきたい、そういう考えでございます。
  18. 山内俊夫

    山内俊夫君 ありがとうございました。  最後質問になりますけれども、大臣大臣発言の中で、郵便貯金ICカード実証実験の第二フェーズにもう突入していく、実験開始するということを言われております。  このICカード、これはもう今からの時代、欠くことのできない問題でありますし、今までの磁気テープ方式よりもはるかに、数百倍、数千倍情報量が入るということですから、基本的な流れとしては私、非常にいい方向に向かっているなと思っております。  このICカード実証実験の現況、また具体的なスケジュール、中身等をお聞かせいただけたらと思います。
  19. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 郵政省は、その実証実験平成十年の二月から大宮市で始めております。キャッシュカードセキュリティー向上電子マネーサービス実用化を目指すということの実験でございます。  この実験におきまして、本年三月からは、おっしゃいますように、第二フェーズとしてクレジットカード機能キャッシュカード機能及び電子マネー機能を一枚のカードで提供する実証実験を展開いたしております。これはクレジット会社などと連携しながら取り組んでおりまして、その成果が今後金融系ICカード標準化に反映される予定でございます。これを受けまして、来年度以降クレジットカードなどの金融系カードICカード化が進められるというようなことになってまいります。  郵政省としては、今後とも民間の金融機関などと協力をいたしまして、さらに国際的な汎用性というものを確保しながら利用者利便向上を図るためにICカード化を推進するというつもりでおります。
  20. 山内俊夫

    山内俊夫君 ただいまお答えただいたんですが、今の時点においてはそのキャッシュカード、またそういったジャンルだけにATM関係にどう連動していくか、それも郵便局一般銀行システムを合わせていく、これは大変私は重要なことだろうと思いますし、ぜひ大いに進めていただけたらと。  このICカードの持っている容量、これはもう大変に膨大なパワーを秘めております。ですから、私は、将来的にワンストップ行政サービスということを郵便局が随分昨年、一昨年から言われておりますが、全国二万四千七百の郵便局ネットワークというのは、これは私は非常に重要な、また大変ネットワークとしては力のある施設だろうと思います。  ですから、将来的には、住民基本台帳という番号もできてきておりますから、そういった番号を統一して年金の支払い、それとか介護保険の徴収、いろんなものを私は一元化していく必要がある。そうすることによって非常に効率かつスピーディーに住民サービス国民サービスができるのではないかという期待も込めておりますので、これについてはお答え要りませんが、もっと広範囲にそのICカードを普及させていくということも考えておいていただきたいということで、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  21. 齋藤勁

    齋藤勁君 おはようございます。  民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。  この一年間は委員長としていろいろ運営に携わらせていただきまして、また、引き続き委員に参加をしながら、この一年間委員各位皆様方の御質疑を聞いていて、きょうは委員としての初質問でございますので、何だおまえ、一年間聞いていたのかなんということになるかもわかりませんけれども、まあひとつしんしゃくしていただきまして、よろしくお願い申し上げたいと思います。  きょうはまた、カレンダーとかいろんな記念日というのが記される日なんですけれども、新しいある通信一つのモデムを持っているんですが、何の日だということでクリックしましたら、この永田町の国会議事堂が完成をした日、記念日だそうでございまして、三六年の十一月六日、十七年間の歳月をかけて完成された、そんな記念日質問させていただくわけです。  さて、最初に、あらかじめお知らせしてあります内容に入る前に、きょうの朝刊、幾つかの新聞がございますので日経新聞と申し上げた方がいいと思うんですが、一面、二面、三面に、平林大臣、「森内閣支持七一・五% 「第三国」発言や中川氏辞任響く 支持一九・六%に低下」、こちらの方の二面では「内閣支持率低下 与党「逆風重く受け止め」 一連の不手際響く 非主流派、首相批判強める」と。いろいろこれは大見出し等でございますけれども、森内閣閣僚一員でございます大臣としても、こういった日々の支持率問題については非常にある意味では神経をとがらしているのか、いやもう余りそんな気にはしないよということなのか、いや支持率を高めるために郵政大臣として努力をしているということだとか、いろいろお立場はあろうと思うんですが、率直に申し上げましてこの「森内閣支持七一・五%」というのはこれはありがたくない、閣僚一員として、これはざっくばらんに受けとめられるんじゃないかと思いますが、このことに関する所感、いかがでございましょうか。
  22. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 政治家としてもあるいは各省庁を所管する立場におきましても、やはり国民の信頼が得られておるかどうかということは常に反省をしながら事の処理に当たっていかなければいかぬと、かようなことは、人気のよしあしにかかわらず、絶えず反省のよすがとして心にとどめておかなければならないことだと思っております。
  23. 齋藤勁

    齋藤勁君 そういう御感想かなという、これは大臣自身の御発言ですから。  ただ、歴代の政権の不支持とか支持率を見ますと、極めて深刻な支持率だと思うんですね。不支持です。私自身与党ではなくて野党一員でございますが、与党野党は別にして、現在の政府内閣国民から極めて不支持が高いというのは、これはもうまゆをひそめるというところにとどまらず、国民にとって大変な、ある意味で私は国会として責任を負う、一つのやはり国会議員として深刻に思います。  そういう中で、冒頭、きょうは国会議事堂が、建物が建てられた記念日だということは一つの節目でありましょうけれども、改めて国会として、私はどうも議会制民主主義というのがないがしろにされている、そんなことも大いにこの森内閣の不支持に結びついているんではないかというふうな思いがございまして、きょうはこのことで論戦するつもりでございませんが、私なりの考え方を述べさせていただいたわけでございます。  さて、きょうは、先ほど山内委員の御質問を伺っておりまして、山内委員と示し合わせたわけじゃないんですが、偶然にも私、地上放送デジタル化をわずかな時間でございますけれども御質問したいなということで、幾つか用意をさせていただきました。ダブるかなというふうな気持ちもございましたけれども、幾つ質疑を、答弁も拝聴する中で、私なりの質問をさせていただきまして、答弁をいただきたいと思います。  まず、既にもうCS放送とか、今の議論のとおり、ケーブルテレビデジタル放送も開始をされております。BSについてもことしの十二月から放送される、こういうことですが、改めてアナログからデジタル、この放送デジタル化というのは一体どういうメリットがあるんですかということを、ぜひ総論的と申しましょうか、このデジタル化メリットというのはどういうことなんだということについてお答えただきたいと思います。
  24. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) 先生の言われるとおりで、デジタル化が進んでおるわけでありますけれども、そのメリットとして、サービス向上ということと、もう一点は要するに周波数有効利用、こういうことが挙げられると思っております。  サービス関係でありますけれども、従来の放送に比べて例えば高画質であるとか、そしてまた高音質、音がいいとか、また多チャンネル化が望めるとかいろいろあります。また、デジタルでありますから、要するにゴーストの解消や安定した移動体向け放送が配信をできる。また、より情報量の多いデータ放送双方向、これ一番重要なことでありますけれども、双方向、インタラクティブなサービスも行うことができるということであります。そしてまた、なおかつこれも非常に大事なことでありますけれども、字幕番組の充実や障害者や高齢者の方にも優しい放送、例えば音声を少しゆっくりするとか、こういうことも含めてサービスができるということであります。  それともう一点は、先ほども申し上げましたように、周波数有効利用という点についてでありますけれども、原則としては親局と中継局とで同じチャンネルを使えるようになるために、使用する周波数を大幅に削減することが可能になるわけでありまして、サイマル放送を終了する。サイマル放送を終了というのは二〇一〇年でありますけれども、そういうことで終了してデジタル放送に移行した段階においては、要するに同じ周波数でいくわけですから、今までの既存の周波数が随分あくということになってまいりまして、これの有効利用がなされる、こういうことでございます。
  25. 齋藤勁

    齋藤勁君 高品質な映像、音声サービスあるいは高齢者、障害者に優しいサービスができるんだ、あるいは膨大なデータをいろいろ検索することが可能であるということで、ある意味では非常にいいことずくめです。私もかつて、かつてと申しましょうか、そんな古い話じゃないんですが、NHKのデジタルフェアへ行きましていろいろ機器を見させてもらいまして、ああすばらしいものだなというふうに思いました。  そこで、この間のいわゆるデジタル化に向けて郵政省として取り組んできた経過について概略お伺いしたいと思います。
  26. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) この準備段階におきまして、例えばアナログ放送からデジタル放送へ全面移行を図ってきたわけでありますけれども、デジタル放送周波数を確保するために現在のアナログ放送周波数の一部を変更するいわゆるアナ・アナ変換、これをまずやってまいりまして、例えば都市部においては二〇〇三年までにデジタル放送を開始しまして、二〇〇六年に地方までデジタル放送を開始いたしまして、そして二〇一〇年を目標にアナログ放送を先ほども申し上げましたけれども終了すると、そういう考えのもとに諸施策を行ってきた次第でございます。  この方針に基づきまして具体的な実行方策を検討するために、平成十一年九月に郵政省、NHK、民放の三者によるところの地上デジタル放送に関する共同検討委員会を設置いたしまして、本年四月末に全国デジタル親局チャンネル案をまとめるとともに、アナログ周波数変更が必要な局数でありますけれども、四百十八局所、それに伴い影響を受ける世帯数は約二百四十六万世帯、及びそのために必要な対策経費、約八百五十二億円という試算を今出しているところであります。
  27. 齋藤勁

    齋藤勁君 共同検討委員会、今お聞きいたしました。親局チャンネル案あるいは影響世帯数及び対策経費についてもお伺いいたしましたけれども、いわゆる三つの検討課題、とりわけチャンネルプランの策定の進捗状況、もう少し具体的に、それから今後のスケジュール、どういうふうに取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。
  28. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) 先生言われるとおり、チャンネルプラン、非常にこれから重要でありまして、デジタルテレビジョン放送チャンネルにつきましては、NHK、民間放送事業者郵政省により構成されまする地上デジタル放送に関する共同検討委員会において検討を行い、本年四月に、今もちょっと申し上げましたけれども、デジタル親局のチャンネルについての検討を終了いたしまして、この親局というのは各県に全部あるわけでありますけれども、この検討を今終了いたしまして、デジタル大規模中継局のチャンネルについても本年四月にひとまず検討結果を得たところでありますが、今後、来年中を目途にさらに調査していきたい、各県に親局がありまして、中継局も並行してこれを検討していくと、こういうことでございます。
  29. 齋藤勁

    齋藤勁君 先ほどの御答弁で費用負担、費用の関係が出ましたですね。二百四十六億円でしたか。ちょっともう一回。
  30. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) 対策費としまして八百五十二億円でありますけれども、大体六年ぐらいかけてこれを行っていきたいと、かように思っております。
  31. 齋藤勁

    齋藤勁君 失礼しました。そうですね、八百五十二億円と御答弁され、影響世帯数が二百四十六万世帯という答弁であったと思います。  さらに、この地上テレビデジタル化に必要な経費として、先ほど山内委員質問に対しまして大臣答弁も、アナ・アナ変換に伴いまして受信対策五百四十億、送信対策経費三百十二億、総計八百五十二億かかると。また同時に、放送事業者も、資料によりますとNHKで約五千億円、民放で五千六百億円、計一兆六百億円、デジタル化に必要な経費として試算されているというふうに思います。  改めてこの費用負担について、基本的な国の考え方についてお伺いしたいと思います。
  32. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) ただいま総括政務次官が申しました八百五十二億円、この経費に関しましては国庫で全額負担をいたしましょうと、こういう考え方のもとに平成十三年度予算からさような要求を出しておるわけでございます。概算要求の段階でございますけれども、百五十二億円の要求をいたしております。
  33. 齋藤勁

    齋藤勁君 そこで、私の手元にも、あるいは郵政省にはもちろんその時点で届いていると思うんですが、関東地方知事会並びに関東甲信越一都九県議会議長会、議長会の方が昨年の九月二十日、そして知事会が六月十七日、多くの要望事項を、これは政府あてとそれから「NHK会長殿」とNHK会長あてになっております。  地上放送デジタル化に伴うNHKの県域放送についてということで、ローカル放送のうち県域放送を実施してほしいと、こういう要望書が今手元にございます。郵政省としても受けとめていると思います。この要望の文書、全くそのとおりだなというふうにある意味では思います。デジタル化というのは多チャンネルになっていくということ。そして、これはNHKにしてみればということでしょうけれども、首都圏、近畿圏を除く多くの地域で県域版放送を毎日一、二時間は放送している。  私自身は神奈川県に住まいをしておりますが、首都圏ニュースとか首都圏報道ということで大くくりをされますけれども、例えばいろんな仕事で他県へ行きますと県域版放送というのが毎日一、二時間放送されるわけでありまして、公共放送たるNHKとのいわゆる情報格差ということで言うと、非常に首都圏においては格差が著しいほどある。言ってみれば放送時間が少ないということであって、今回のデジタル化に伴いまして、県域放送ローカル、こういうことを充実することによってむしろ、地方の方々に言わせれば、いや、神奈川だ千葉だ埼玉というのは首都圏にあるから民放各局があってしょっちゅういろんなテレビあるいは情報を見られるんだろうと、こういうことだと思うんですが、そうではなくて、大体民放も同じような放送をしていまして、いわゆる県域的な、地域的な放送というのは非常に少ない。  これを補うのは今回のデジタル化によって多チャンネル化が進むことによって、とりわけ私は県域放送というのは重視をしていくべきではないかというふうに思って、今、このNHKあてに関東地方知事会あるいは関東甲信越一都九県議会議長会、これは関東ですけれども、場合によれば今度、三大都市圏ですから、三大都市圏からも同様な要望が出ているかもわかりませんが、先ほども申しましたように私は神奈川にということで、関東のこういった要望書を受けとめながら今話をさせてもらっています。  そこで、この要望に対しまして、郵政省としての考え方についてお伺いしたいというふうに思います。
  34. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) おっしゃいますように、関東地方知事会からは平成十一年六月、また関東甲信越一都九県議会議長会からは平成十一年九月にNHKの関東ローカル放送導入を要望する御意見が出されております。  私どもも当然これに対応した施策を考えていかなければならぬわけでございますが、今申しました地上デジタル放送用の周波数を設定する、現在割り当てを精査しておる、そういう段階でございますが、やはり関東ローカル放送をNHKがやりますと、いわばチャンネルを追加することになりますから、それが精査作業の中でうまくいくかどうか検討をしなきゃいかぬ、そういう技術上の問題がございます。  もう一つは、各県で放送が民間で行われておるわけでございますから、各県の県域放送事業者の経営基盤に与える影響というもの、これは経営上の問題として我々も考慮に入れなければいかぬ、そういう立場にございます。  したがって、チャンネルの検討と並行して各方面の御意見をさらにお伺いしながら具体策を検討していく、そういう考え方で今後に臨みたいと思っております。
  35. 齋藤勁

    齋藤勁君 地方からと申しましょうか、首都圏、三大都市圏でないお住まいの方々は、首都圏の中での県域放送ローカル放送必要性を首都圏の人が言うということについてはなかなか理解が得られないのかもわかりませんが、日々生活する者にとりまして、このデジタル化の言ってみれば恩恵そのものを、ある意味では私は逆に首都圏の情報格差是正ということで、ぜひ積極的に取り入れるべきだということについて申し上げ、そして今、後段、大臣から答弁がございました。  一方で、私も、例えば神奈川ですとNHKの今度県域放送が出る、するとU局の神奈川テレビ局というのがございまして、こういった動きをU局の神奈川テレビ局の方ももちろん情報として入っています。いや、NHKの公共放送としての使命の県域放送は確かにそれはそれで理解をしつつも、じゃ、うちの会社の領域はどうなっていくんだろうかと、こういうことを逆にいろいろ指摘も受ける機会が非常にございます。  今申しました従来の放送事業者とどう調整、競合を図っていくんだろうかということで、先ほど別な角度から山内委員も御質問ございましたが、いわゆるローカル放送の実現について具体的に郵政省としてどういうふうな、従来の経営者とそしてこういった新しい方向を目指す中での調整、着地点を見出していくのか、非常に重要なポジションにいるんではないかと思います。  一方で、郵政省としてああしろこうしろとなかなか口が出せないですね。役所としての立場もあろうと思うんですが、この辺について円滑に進めていく必要があるんではないかということで、このことについての取り組み方の姿勢についてお伺いしたいと思います。
  36. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 先ほど基本的にお答えをいたしましたように、一つ周波数の検討、これは技術的な問題として非常に大事なことでございますから、引き続き精査をさせていただきます。  同時に並行して、地元の御意見や御要望、またNHKと各県の県域放送事業者からの意見なども十分にお伺いをして、さようなものを踏まえて具体的にどのようにしていくか、ここでどのようにということをまだ申し上げる段階ではございませんが、最も適切なシステムを見出せるようにさらに検討をさせていただきたいと考えております。
  37. 齋藤勁

    齋藤勁君 概略伺いまして、ありがとうございました。  以上で私の質問を終わりながら内藤委員の方にバトンタッチをしますが、放送デジタル化メリットを伺いました。そして、いわゆる三つぐらいの課題でいろいろ検討委員会で取り組まれているということで、それは種々財政的な問題なり、従来の事業者の問題なり、チャンネルの問題なり、いろいろ課題が克服されていくと思うんですが、言ってみればどうもいいことずくめなんですね、それなりに課題はございますけれども。このデジタル化メリットという中での逆なデメリットというのは、技術的な点でも何か余り率直に言って聞こえてこないんです。今、私も同僚委員と話していて、メリットメリットと聞くけれどもデメリットというのは、我々自身何か共通認識に立つことは必要ないんだろうかと。何かございますか。
  38. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 今御質問の中でもお答えをいたしましたが、アナログからデジタル変更するには相当のコストがかかると。これはメリット、デメリットの問題ではなくて、現実に相当のコストがかかる、そのコストがかかったものに相応するメリットがなければ、これはなかなか実行が難しいことになります。現在までいろいろ検討してまいり、またデジタル化についての努力を行ってまいりました過程におきましては、相当のメリットがございますから引き続き地上波を含めましてデジタル化を図る、そういう方針でいわばIT社会の中で必要な対策だと考えてやっておるわけでございます。
  39. 内藤正光

    ○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。民主党の持ち時間、残り時間あと三十五分ぐらいですが、私の方から何点かにわたって質問させていただきます。  さて、昨年七月、振り返ってみますとNTTが再編をされました。七月、今は十一月ですから一年とちょっとしかたっていないわけなんですが、もう既にNTTの再々編論議が本格的に巻き起こっているわけでございます。ちょっと早過ぎやしないかという指摘もあるわけなんですが、私自身この分野、ドッグイヤーと呼ばれるほど進展が早い分野で、もう一年が七年に相当するぐらい早い進展を遂げる分野であること、そしてまた大変重要な二十一世紀の日本の浮沈を左右するほど大切な分野であるということをかんがみて、ここで再び骨太の論議をするということは私自身大賛成でございます。  そこで、NTT法の改正を含む広く情報通信政策というものについて大臣はどのようにお考えになられているのかというテーマで何点か質問をさせていただきたいと思います。  今、電気通信審議会で、NTT法の改正とは言いませんが、競争のあり方、競争政策のあり方が広く論議をされております。そして、十一月十六日、きょうが七日ですからあと一週間余り後には第一次答申が出ると。そして、その答申を受けて、来年の通常国会では法案化の必要があるものは法案化という形で具体化作業を進めていくということでございます。もう第一次答申まであと一週間余りでございます。  ですから、まだ動向を見守るというような答弁はもうこの時点ではあり得ないと思いますのでお答え願いたいんですが、電通審で議論されている中身で主要な論点は何なのか、単なる題目だけじゃなくてその中身にもできる限り踏み込んで具体的にお答えただきたいと思います。
  40. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) 先生の言われていることは非常に重要でありまして、これは電通審の方であらゆることが今議論をされ、そしてまた、これが日本の情報にも大きく私は影響してくるんじゃないかと。そういう中におきまして、現在、電気通信事業における競争政策のあり方全般につきまして審議をしていただいているところであります。  先生言われますようにいろいろあるんですけれども、地域通信市場の競争促進方策、これはもう常に言われていることでありますけれども、要するに、通信料金を下げるためにはできるだけ競争を促進させてください、こういうことであります。  そしてまた、支配的事業者規制の導入。これはNTTを指しているかもしれませんけれども、私はむしろ、後にも出てきますけれども、通信主権等の確保、これも議論されているんです、一緒に。これはどういうことかというと、ただ安くするということじゃなくて、安全保障、要するに、外資規制も含めましてやはり日本の情報を守っていく、こういう観点からの通信主権、この議論もすると同時に、その支配的事業者規制の導入と、非常に均衡をとって議論をしている、こういうふうに思っているわけであります。  それと、競争促進に向けた紛争処理機能の強化。これは今申し上げましたように、いろいろな紛争が出たときにこれを処理していく機関、これを強化していこう、こういうことであります。  それと、今、先生が言われたNTTの具体的なあり方。こういうことを、今のいろんなコミュニケーションであるとか東西であるとか、こういうあり方がありますけれども、これについての議論。  それと同時に、こういうふうに競争がどんどん激化してくる。そういう中におきまして、ユニバーサルサービスをじゃそういう中においてどうしていくか。今まで独占状態でユニバーサルサービスをやってきたという現状がありますけれども、じゃ今、これから競争をどんどんしていった場合にユニバーサルサービスをどういう観点から位置づけていくか、こういうことも議論をさせていただいております。  と同時に、これは同じことでありますけれども、私は競争をどんどん促進していって、ユニバーサルサービスであるとかそしてまた電気通信事業における研究開発、他国にも負けないような研究開発というのはこれはおろそかにはできませんから、こういうところの兼ね合いをどういうふうにしていくのか。  重立ったところはそういうところでありまして、今後もこれらの主要な論点を含めて電気通信事業における競争政策のあり方について、またはユニバーサルサービスであるとかこういう研究開発をどういうふうにしていくか、これからも議論をしていきたい、かように思っております。
  41. 内藤正光

    ○内藤正光君 ありがとうございます。  そこで、NTTのあり方、もっと端的に言えばNTT法の改正も今回の電気通信審議会の重要な論点の一つだと、話し合われているものの一つだということをおっしゃったわけなんですが、冒頭申し上げましたように、昨年七月に再編したばかりで一年ちょっとたった今日、また再々編論議を始めようというわけですから、よほど強い目的意識がおありの上だろうと思うんです。  そこで、NTT法改正に当たっての最大の目的は何なのか、最大の哲学は何なのか、大臣の所見をお伺いさせていただきます。
  42. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) おっしゃいますように、このNTTの今の組織はつい去年まで、去年直したばかりだと。それなのにまたやるのかという気持ちは、実は私も就任するころまではございました。  それで、郵政省に来まして話を聞いてみますと、どんどん変わっていくこの日本の社会、その中で一番変わるスピードが速いのがこの電気通信放送の社会だということに気がつきまして、例えば電気通信審議会という、私どもが一番大事な審議をしていただく機関としてお願いをしております審議会は、私は九月ごろからゆっくり始めればいいんだろうと思っておりましたのですが、そういう話を聞いてみますと、これは早く審議会を開かないと置いていかれるようなことがいっぱい起こるぞという感じがいたしまして、もう就任早々に、七月に電通審をやっていただくことにしたわけであります。そこで今のNTTの法律に関連するといいますか、NTTのあり方というのもこの再開されました電通審で審議をしていただくことにいたしました。  これは、IT時代におけるネットワーク構造と電気通信事業の将来像というものを踏まえながら新たな競争政策を樹立するということが重要な課題であって、そうした中でNTTのあり方につきましては、IT革命を推進する上でNTTの果たすべき役割や、あるいはNTTとそれ以外のいわゆるNCCとの公正競争のあり方を見直すという観点からの議論をどんどんやっていただきたい、そう思っておるわけでございます。  その具体的な内容につきましては、先ほど総括政務次官から申し上げましたようなことでありますが、審議会の検討を願って、答申をいただき次第、法改正を検討して所要の措置をやっていきたいという考えでおります。
  43. 内藤正光

    ○内藤正光君 私なりに大臣のおっしゃったことを言い直させていただくならば、IT革命を推進するためにもっと競争を起こさなきゃいけない、NCCも含めていろいろな競争を巻き起こす中で、そういった競争の中から例えば通信インフラの高度化を進めていったり、サービスの多様化を進めていったり、低廉化を進めていこうじゃないかということなのかなと思ったわけなんですが、やっぱり今回の、まあこのNTT法の改正のみならず、すべてにわたって共通しているのが、キーワードとして公正な競争というのがやはり浮かんでくるのかな、浮かび上がってくるのかなと思うんです。私もそうだと思うんです。  しかし、競争といってもいろいろな、人によって千差万別、考え方があろうかと思うんです。例えば、一般的に競争といえば思い浮かべるのがサッカーだとかああいったゲームですよね、における競争で、あれはどういうのかというと、だれもが皆公正なルールのもとに原則自由に、そのルールに従って原則自由に戦い合うと。そして何か反則を犯したならば、そのときは事後的に罰則を加えられるとか、これが大体多くの人が思い浮かべる競争なのかなと思うんです。  そのほかにも、先ほど総括政務次官の方からもありましたが、支配的な事業者に対する規制、つまりドミナント規制あるいはまた非対称規制とも言われているものだろうとは思いますが、ちょっと言葉は悪いようですが、トップ走者の頭を抑えつけながら競争を何とかつくり出していこうとする、そんな考え方もあるでしょうし、そしてまた、これまたちょっと申しわけない言い方をするかもしれませんが、事業規制という枠内の中で競争を演出するというような、そういったものもいろいろあろうかと思うんですが、大臣のちょっとお考えをお聞かせいただきたいのです。  これはでも、競争というのは大変大切なキーワードでございますので、どういった競争があるべき本来の競争の姿なんだとお考えなのか、お聞かせいただけますか。
  44. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 公正な競争という政策の方面では、御承知のように公正取引委員会という強大な権限を持った行政機関がございますし、いろんな角度から日本の競争促進政策というものは批判され、是正をされていくものだと思っておりますけれども、電気通信分野の競争政策の基本というのは、事業者間の競争を公正競争が可能な環境整備を行う、そういうことによって通信料金を大幅に安くするということでありますとか、サービスの多様化とか高度化など、そういうことで競争のメリット考えております。いわば国民の利益に還元されるような、国民に還元されるようなものが高まっていくといいますか、ふえていくということをやはり目標にして競争政策を組み立てていくということであろうと思っております。  具体的には、御承知のところでありますけれども、郵政省といたしまして事業者間の接続ルールなどの公正競争ルールの整備、料金規制、外資規制の緩和・撤廃、あるいはその他の競争促進的な制度改正を実施してきたところでございます。  それで、今申し上げましたようなことで通信料金も安くなる、あるいはサービスも多様化する、高度化する、そのことによって我が国の産業競争力を情報通信によって強化できるんではないか、強化できるように持っていくということであります。新規ビジネスや新しい雇用をつくり出すなど、IT革命というものが国民にとってプラスに働くように、そういうことを目標にしてやっていきたいと思っております。
  45. 内藤正光

    ○内藤正光君 では、確認なんですが、大臣考え方、競争のあり方に対する考え方としては、日本というコップの中の競争を演出するような従来の事業規制的なものではなくて、やっぱり日本の産業競争力を強化しなきゃいけないというグローバルな観点から競争促進という考え方をお持ちだということでよろしいわけですね。
  46. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) いろんな面がございますけれども、産業競争力を強化するということも一つの大きな目標だと思っております。
  47. 内藤正光

    ○内藤正光君 大臣、先ほどの答弁の中でくしくも公取委の話が出ました。公取委が公正競争を行うために不可欠なもの、大事なものというようなニュアンスで私は受け取ったんですが、ではこの分野、電気通信事業の分野で、今、公取委にかわるものがあるのかといったら郵政省なのかなと思うんですが、これは新たなあれですか、先ほどの大臣答弁は新たな企画部門とは切り離した形の裁定機関が必要だということですか、どういうことですか。
  48. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 私は、行政機関というのはなるべく簡素なものがいいと思っております。余り複雑な権限をあちこちに分配した組織をつくりますと、簡単に言えば手間がかかってかえって国民が困るというようなこともございますから、今の郵政省システムでそのまま新しい総務省に移行していくということを頭に描いてやっておるわけでございます。独自の裁定システムとか、独立した監視機関とか、そういうことを新しく設けるということは現在のところは私は考えておりません。今のシステムで総務省に移行して、それから後のことはまた時代の変化に応じて考えていくべきだろうと思っております。
  49. 内藤正光

    ○内藤正光君 簡素がよろしいと、私もそのとおりだと思うんです。しかし、私、物も考え方なんですが、企画と規制をする部門が一緒くたになっている方が私は複雑のように思えるんですが、やはり企画は企画、企画立案は企画立案、裁定は裁定というふうに、組織は簡素化されてこそ初めてそれぞれの機能が最大限発揮されるんではないかと思うんですが、いかがでしょう。
  50. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) これはいろんな考え方があり、その考え方が具体化した場合に、その同時代といいますか、そのときの社会にうまく適合できるかどうかというそういう問題だろうと思っておりまして、現在のところは企画と規制といいますか、政策の立案、実行と規制というものを分けなければやっていけないというような考え方は私は持っておりません。企画と規制というものがお互い相まって、厳正な中にも総合的に運用されるという方が適切ではないかと、むしろそのように考えております。
  51. 内藤正光

    ○内藤正光君 まだちょっと、その話の続きではあるんですが、話の都合上必要でございますので紹介をさせていただきたいんですが、実はきょうの新聞、読売新聞に「電通審・通信制度改革一次答申素案」というのが出てきました。実は、きのうの段階でも、省庁の方と話をしていて、まだ答申が出てもないのに何か新聞ではいろいろ報道されている、これはどういうことだと言ったら、郵政省の方も、いや、困っているんですということをおっしゃっていて、実は私はきょうのきょうまで、それを十分酌んで、取り上げるつもりはなかったんですが、ただ、そうはいっても素案という形で出てしまいますと、ちょっと事情が変わってきまして、これについて問い合わせをしないわけにはまいりません。  と申しますのも、この機会を逃しちゃうと、もうこういう委員会の場で議論する場がないままに法案化されて、それで法案そのものの審議ということに入ってしまいますから、私はこの時期にぜひ、あえてこの電通審の内容についてお問い合わせをさせていただきたいんです。  この中で、例えば大きな項目として、先ほど総括政務次官がおっしゃいましたドミナント規制を採用すると。そして、さらにまた、ドミナントばかりでいつまでも規制ばかりをかけていたんじゃ二番手以降が安住してしまうので、インセンティブ規制も同時にあわせてかけようと。これは経団連が主張していたそのものなんですが、そういう主張が盛り込まれております。これについて、まずちょっとお伺いしたいんですが。
  52. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 今おっしゃるように、各方面からさまざまな御意見がございまして、電通審でもさようなことを審議をいただいておるわけでございますから、私が予断を抱いて発言をするということは慎むべきだと思っております。  ただし、現在の郵政省システムは、既にいわゆる橋本行革で法制化をされましたように、郵政省の組織を総務省に統合していくということがいわば大原則でございますから、その大原則を実行して、しかる後に今電通審で審議をいただいておるようないろんなことを踏まえて、必要な、新しい時代にふさわしいものを考えていけばいいのではないか、現在のことは今決まったとおりにやらせていただきたいと、そういうことを申し上げておるわけでございます。
  53. 内藤正光

    ○内藤正光君 私は、企画と規制という話の文脈の中でこれを持ち出したというのは、実は意味があるんです。というのは、ドミナント業者、何なのか。これは、厳しく、しっかりとした、明確な、だれにも明らかなルールのもとに判定されなければならない。  そして、インセンティブ規制というものもあります。つまり、ある程度ドミナントでないと判断されたら規制をどんどん外していくと。つまり、いつまでたっても規制をかけられていたんじゃ、一番手もやる気をなくしてしまうし、二番手も本格的な競争を挑もうとしてこないということですから、インセンティブ規制をかけると。  しかし、その辺、しっかりと競争の度合いを見ながら、開放の度合いを見ながら、もうこれ、そろそろ規制を外してもいいんじゃないかという判断をする人が要るはずなんです、必要なはずなんです。私は、それはまさに企画とその辺の規制というのを分離して、しっかりと中立な立場で判断をしていかなきゃいけない、だからこそ必要なんじゃないかというふうに申し上げているわけなんですが、いかがでしょう。
  54. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) おっしゃる意味はよくわかっておるつもりでございますけれども、要するに、現在のNTTというものを今後どのように考えるかということにつきまして、今御熱心に議論をいただき、国会でもそういう御質問をたくさんいただいておるわけでございますから、さようなことを今後十分に判断をさせていただいて、新しい時代に適合したNTTのあり方、ドミナントのあり方と言ってもいいのかもしれませんけれども、そういうものを逐次定めていくべきものだと考えております。  外資規制とかあるいは政府の株式保有の制限とか、いろんなことがございますし、また、NTTの活動自体あるいは組織自体の、いわばもっと自由にしてやった方がいいんじゃないかという議論もあれば、他方で、もっと制限した方がいいんじゃないかという議論がある。そういうものを一定のところに煮詰めていって新しいあり方が決まるのではないかと思っております。
  55. 内藤正光

    ○内藤正光君 この辺の話は、やはり電気通信審議会の少なくとも第一次答申が出るまでなかなかちょっと深めた議論ができないと思いますので、出たらまたその辺、質問させていただきたいと思いますが、じゃ、それは一たんおいておきまして、次の質問をさせていただきたいんです。  先ほどから私は、これからのキーワードは公正な競争だということを申し上げたわけなんですが、そのための一つのポイントは、この電気通信事業に関する限りは、ラストワンマイル問題の解消であろうと私は思います。つまり、NTTあるいはまた電力会社が独占していると言われている加入者線ですよね、あの独占状態をいかに解消するかだと思うんです。  私、実はこの問題が本当に一番最大のポイントなんだろうと思います。この問題さえ解けば、実は、くどいようなんですが、ドミナント規制なんて必要ないんだろうと。資金を持たない人もアイデアさえあれば電気通信事業に参入できるような仕組みがこれによってできるんだろうと私は思うんです。  そこで、大事なことですのでお伺いをさせていただきたいんですが、このラストワンマイルの問題は何かもう既に方針も出たものもあり、またこれから早急に検討を進めていくものもありということで報道から断片的な情報はいただいているわけなんですが、ここでちょっと改めて整理して政務次官お答えただきたいんですが、ラストワンマイルの問題の解消に向けて、もう既に方針が決定したもの、あるいはまた今後早急にこういう方向で解決していくんだというもの、いろいろあろうかと思いますが、教えていただけますでしょうか。
  56. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) 先生の今言われたこと、確かにこれから競争という観点からすると非常に重要な要素になってくるんじゃないか、かように思っております。  加入者回線網も含めた地域通信分野における実質的な競争の促進は、これから本当にいろいろな、一極的な問題じゃなくていろんな考え方のもとに今考えられているところでありまして、例えば公益事業者の電柱であるとか管路の使用の円滑化でありますけれども、この点につきましては、いろんな議論はされておりますけれども、ルールづくりを今やっているところでありまして、確かに公正な競争、競争することによって低廉化をしていく、こういうことも大事でありますけれども、先ほど私も申し上げましたけれども、通信主権という問題があります。そういうことを考えると、やはり日本の情報を守っていく、安全保障、こういう観点もありますので、その辺のルールづくりを含めてルールづくりをやっていきたい、かように思っております。  具体的に光ファイバーを含めました加入者線のアンバンドル化の条件整備であるとか、接続ルールの整備であるとか、例えばDSL、そしてまた最近よく議論されますけれども、電波でやるやつでありますけれども、FWA、そしてまたCATV等の高速で多様なアクセス系ネットワークの導入促進、こういうことで競争の環境の整備を行っていきたい、かように思っております。
  57. 内藤正光

    ○内藤正光君 具体的な中身というのはまだ全然何一つ出ていないんですか。
  58. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) ワンマイルということですから、いろいろ議論をして、実は建設省のいわゆる管路を使うとか、こういうこともあるわけでありますけれども、これからの議論の中で連携をとりながら考えていきたい、かように思っております。
  59. 内藤正光

    ○内藤正光君 管路ということであるならば、電柱もそう、地下もそう。電柱というのはよく多くの人が誤解しているんですが、NTTじゃないんですよね。多くは電力会社、電力の管轄は通産なんですよね。そしてまた、もっと言うと道路やなんかの側道にも走っているでしょう。あと鉄道、これは運輸ですよね。つまり、すべてのいろいろな省庁にまたいでいるということですので、この辺は、線路敷設権の開放ということではすべて全省庁横断的に進めていかなければならないことだと思うんですが、その辺はそういう理解でよろしいんですね。
  60. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) 先生の言われるとおりでありまして、電力関係もそうですし、そういうことによって、電力の線を使って例えば電波を飛ばすことによって定額制を実現しようとか、今いろんな試みがやられておりまして、NTTの関係も定額制を入れたり、今鋭意努力をさせていただき、そしてできるだけ諸外国並みに近づけたい、こういうふうに思っております。  そしてまた、今、先生が言われた各省庁の連携の問題でありますけれども、建設省の方とも連携をとりながらルールづくりを今進めております。  ただ、これは一つの例ですけれども、一般的に考えると、ユーザーのところまで下水というのは行っていますからすぐつなげるんじゃないかと思いますけれども、そちらの方の法律の中で、例えばあくまでも下水の中の光ファイバーというのは下水、要するに下水の管理のためにあるわけでありまして、これを果たして電気通信に使えるかどうか、そして管路の中の何割までしか使えないとかいろんな法律がありまして、また、ユーザーのところまで技術的に光ファイバーを入れられるかどうかとか、いろんなことがありますので、その辺も含めて要するに連携をとって考えていきたい、こういうふうに思っております。
  61. 内藤正光

    ○内藤正光君 この辺は全省庁横断的に一元的なIT政策を進めていっていただきたいと思います。  時間の関係最後質問になろうかと思いますが、加入者網の開放ですとかあるいはまた回路敷設権の整備のルールの策定ということで質問させていただきたいんですが、ルールづくりは大事なんです。大事な視点というのはあるはずなんですが、その大事な視点は何だとお考えでしょうか。
  62. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) ルールといえば先生が言われることは非常に重要なことで、私も感じておるわけでありますけれども、線路敷設の円滑化に当たっては、昨日、IT戦略会議・本部合同会議において、通信、電力等の本来目的に支障がない限り、電柱、管路等を電気通信事業者に開放することとし、無差別、そして透明、公正な提供ルールを年度内に策定、公表するというふうにされておるところであります。  ただ、先生も御存じのとおり、今例えばNTTの市内であるとか、いろいろ独占されているという話が出ています。しかしながら、先生にはもう釈迦に説法でありますけれども、これは百年の計でつくってきた非常に大事なインフラでもあるわけでありますから、そういうことを考えますと、設備投資のインセンティブ等を考えたときに、先ほども言いましたような日本の、できるだけ低廉化していくということも大事でありますけれども、もう一方では情報における安全保障、言いかえるならば通信主権というものがありますから、そういう中でしっかりと公正なルールづくりをこれからもつくっていきたい、こういうふうに思っております。
  63. 内藤正光

    ○内藤正光君 もう時間もございませんが、あと一つ、短目に言わせていただきます。  大事なポイントは、設備業者に対して投資インセンティブを萎えさせてしまうようなそんな料金設定は私はいけないと思うんです。やはりマーケットプライスに基づいて適正な価格でなければならない。先ほど百年の歴史に基づいてNTTのネットワークがあるとおっしゃいましたが、でも百年もたないんですよね。常時メンテナンスとかを更改しているわけです。民間になって十何年もたっていますから、やはりその辺のことも考慮していただきたいと思います。
  64. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 今おっしゃいましたことは私どもも国会における御意見として十分に参考にさせていただいて、今後の政策の誤りなきを期していきたい、そう考えております。
  65. 森本晃司

    ○森本晃司君 公明党の森本でございます。  大臣にとりましてはいよいよIT社会を迎え、また、おくれている日本のIT化を大いに進めていただかなければならない重要な役割をお持ちいただいておりますが、ぜひ御奮闘いただきたいと思うところでございます。  それに先立ちまして、先ほどここで委員会状況を聞かせていただいたときに、齋藤先生から内閣に対するかなり厳しいおきゅうが据えられたようでございますが、世論調査も全く、私もそれを見ておりましてもうはらはらして、どないなっておるんじゃ、この内閣は、とは言えない立場でおりまして、余計に苦しんでいるところでございますが、これからの日本の、今日本の大事な転換期、政治の安定ということを考えますと、やっぱり我々は一生懸命連立を支えていこうと。先日も党大会を開きましたが、党内から今の状況に対して我々執行部に対するさまざまな意見も出てきたわけでございますけれども、我々はそれで頑張ろうとしておるわけでございます。  齋藤先生の御質問もございましたので、改めて大臣、今の支持率状況を見て、さらにまた頑張っていくという大臣の決意をまず聞かせていただきたいと思います。
  66. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 森本委員から今の政府に対する御意見をちょうだいいたしましたけれども、私も森本委員と同様に、政局の安定ということも十分に頭に入れながら、国民に対する各種の施策が滞りなしに実行できますような、そういう体制を整えてまいらなければならぬ、そういう方向で努力をいたしたいと思っております。
  67. 森本晃司

    ○森本晃司君 先般、大臣の所信表明をお聞かせいただきました。今度の大臣発言でございますが、全体で四十六行ございまして、その中で二十七行を日本新生の戦略としてIT問題に対する所信を大臣が述べておられます。半分以上ITの政策について述べておられます。これは、日本にとってそれほど重要なことであるということでございますし、さきの森総理の所信表明演説でIT戦略を日本新生の最も重要な柱と位置づけられたと、五年後に我が国を世界の情報通信の最先端国家に仕上げていくとの決意が表明されています。  さらに総理は、さきの沖縄サミットで、総理いろいろ言うたびに我々もはらはらどきどきしておるわけでございますけれども、IT憲章を取りまとめた経緯に触れながら、今やITは世界規模での課題、我が国も産業・社会機構の変革に向け迅速な対応をしていかなければならない、真っ先に取り組む課題としてIT基本法の制定を挙げられた。私はこれはまったく正しい考え方であるというふうに思っております。  同時に、政府はことし七月に首相と閣僚をメンバーとするIT戦略本部を設けられました。この戦略本部には、当然重要な位置として私は郵政大臣がメンバーに加わり、またその中における立場郵政大臣立場は重要な位置として私は置かれているものだと、このように思っております。  また、首相の諮問機関である産業新生会議でも作業が始まりまして、IT基本法の審議が衆議院において本格的に進んでいるところでありますし、間もなく本院にも送られてくるのではないだろうか。その場合に、我々は恐らくこの委員会で、まあIT担当大臣も決まっているわけでございますが、郵政大臣とともにいろいろと基本法については審議をさせていただこうと思っております。  この間の我が党の党大会でも、重点政策の第一章に、「IT革命の果実をすべての国民に」ということを掲げて基本戦略としているところでございます。そこで、基本法のときにも議論になるかと思いますが、先ほど申し上げましたように大臣の半分以上がこの問題を取り上げてくださっておりますので、きょうはそのIT問題についてのみお尋ねをさせていただきたいんです。  まず、IT社会のビジョンを明らかにする必要があるのではないだろうかと。ITという言葉だけはもう至るところで言葉は流れていますし、我々ももう聞かない日はない、見ない日はないという状況でございます。このIT社会が進むと経済も産業も雇用もそれから消費生活も、人々の生活がもう暮らしやビジネス全部これから大きく変わっていくであろうと言われております。  ITは、経済や経営の効率化、あるいは電子商取引等の新規のビジネスを創出しましたが、同時に経済の成長と活性化に寄与するだけではなしに、例えば携帯電話で文字通信サービスがあります、そういたしますと、今まで電話では聞くことのできなかった耳に障害をお持ちの方々、こういった方々はその文字通信が行われることによっていろいろと通信をし、またその障害をも乗り越えることができるのではないだろうかと、こういうふうに思っておりますが、いろんなところで人々の生活の空間的広がりや質の向上をもたらすことは間違いないわけでございます。  そこで、私は国を挙げて戦略的かつ重点的に取り組まなければならないと思いますが、言葉がいっぱいあふれているものの、それがもたらす未来像や道筋、克服すべき課題はいまだ国民すべてに明らかになっているとは言いがたい状況でございます。これにはまず政治指導者が国民にビジョンを明らかにして、IT社会実現に向けた決意とリーダーシップを示すことが大事であるかと思いますが、郵政大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。
  68. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 今、森本委員がおっしゃいましたこのデジタルオポチュニティーをすべての国民が活用する、IT社会の利益を享受する、そういうことが我々が目指すところでございます。とにかく今は情報化社会でございますから、すべての国民デジタル情報を基盤として情報、知識を共有するということが目指すべき一つの方角であろうと思っております。そして、その共有した知識、情報をもって自由にネットワークを通じて交換を国民相互にしていく、そういうことができる社会にしていこうというわけでございます。  委員がおっしゃいましたように、これは経済とかそれだけの問題ではございませんで、いわゆるバリアフリーというような関連もこのIT革命の中には入ってくると思っております。障害のある人が普通の人と同じような条件で相互に交流ができる、そういうことを目指してやるべきものだ、産業とか経済とかいうことに限りませんで、国民の福祉のために、あるいは公共サービスを活用するためにこのIT社会というものが実現されることが望ましいと思っております。  具体的ないろんなことにつきましては、また必要がございましたらお答えを申し上げますけれども、委員がおっしゃいましたように、私、IT戦略本部の副本部長という、郵政大臣の仕事としてそういう立場を持っておりますので、今おっしゃいましたようなことを十分念頭に置きながら、国家戦略をつくり上げる上におきましても、また郵政省の政策をつくり上げる上におきましても、努力をいたしたいと考えております。
  69. 森本晃司

    ○森本晃司君 今、大臣が国家戦略本部の副本部長という極めて重要な位置づけをされて御活躍いただいていると伺いましたが、私はそのIT国家戦略の策定について少々お伺いしたいと思うわけでございます。  IT革命の対応がおくれているということはもうかねてから指摘されています。私はいろんな人のいろんな意見を聞きますけれども、さっきちょっと内藤先生の御質問の中にもありましたけれども、NTTが、私は民営化になっても結局NTTの抱えているものを放さないで、規制も緩和されなかったがゆえに、同じような時期に、さほどATTと余り変わらない時期にいろいろと分割はやったりはしたものの、現実はそこが大変なネックになってこの数年間の間にアメリカに大きく引き離されたんではないかという意見もいろんなところから聞いたりもするわけでございまして、今、五年後にそのアメリカに追いつき追い越そうと。また一方、それは日本は非常に優秀なものを持っているので、必ず追いつく、追い越すことができるという大学教授の御意見も私は伺ったりしているわけでございますが、そういう意味の中で戦略を立てるということは極めて大事なことではないかと思っています。  七月にIT戦略本部及びIT戦略会議を設置して、ITへの戦略的対応の検討を今開始されていることでございますが、戦略会議で年内にIT国家戦略をまとめる方向で検討を続けておられるということでございます。  そこで、ちょっと私、きょうの新聞を見てからのことでございますので、質問通告を十分にできていないわけでございますが、その会合に大臣も御出席ただいておりましたのでおわかりのことだと思いますので、質問をさせていただきますが、昨日に戦略会議とそれから戦略本部の合同会議が持たれて、そして新聞にその原案ということで発表されていますが、これは大体こういったものですか、いかがでございますか。
  70. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 昨日の朝、おっしゃいます会議が開催されまして、戦略会議の議長から基本戦略の素案が示されました。それに対していろんな意見が戦略会議の委員の方々から出されました。さようなことを一括して議長が記者会見をなさったはずでございます。本日の新聞に出ております、あるいは夕刊に出ておりましたことは、大体この戦略会議の議長をしておられる出井さんが御発表になったものだと考えております。
  71. 森本晃司

    ○森本晃司君 いつごろまでに、今は素案でございますけれども、いろんな省庁間の調整等々がありますが、おまとめになろうという流れになっておりますか。
  72. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 年内に取りまとめる、そういうことになっておるはずでございます。
  73. 森本晃司

    ○森本晃司君 きのうのその中で意見が出たわけではございませんが、メンバーの一人の方で、国家戦略を実行させる中で役所がどう動くのか最後まで気を抜けない、省庁間でいろんな足並みの乱れが目立ってこの調整が大変必要なんだということの御意見が、きのうの中で出たのか、あるいは番外で述べられた意見かもわかりませんが、私もこれ年内におまとめになるという状況の中でこの各省庁間の調整というのは大変困難をきわめるのではないかと思いますが、副本部長としてその辺についてはこの壁をどういう形で乗り越えようと考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
  74. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 森本委員の御心配は従来の各省庁のいろんな折衝の経験からしてなかなか時間がかかるのではないかということでございますが、このITのことに関しましては、関係者がことごとく意識しておりますのは技術の変化とかそれを利用する社会の変化が非常に速いということでありまして、それに追いついて、あるいはそれを先取りして政府システムを法律とかいろんなことで対応していくには、今までのような長い折衝期間をかけたのではとても間に合わない、そういう意識が大体共通してあるように思います。  これは民間であろうと政府各省であろうと同様の共通認識がございますので、私どもは内閣官房を中心にいたしましてこの戦略本部なり戦略会議をやっておりますが、各省の協力体制というのは、従来のような長い時間をかけた各省の折衝というものは短い期間に凝縮して行われる、そういう感じが私もしておりまして、副本部長として結論を得るにはできるだけ早く取り進めるということを意識しながらやってまいりたいと思っております。
  75. 森本晃司

    ○森本晃司君 その会議及び本部では全員の意見が一致するということは私はなかなかできないかと思うんです。ですから、全員一致という形ではなしに、意見は意見と聞きながら、本部長、副本部長がリーダーシップをとって、そして進めていただきたいということと、そうでないと、恐らく私は、年内と言ってももうあとわずかでございますから、なかなかまとまりにくい問題も出てくるかと思っております。同時にまた、リーダーシップを発揮して一元化を進めていかなければならないし、同時にそれをフォローアップする仕組みをつくるべきだと私は考えますが、いかがでございますか。
  76. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) このフォローアップの必要性というのは、これはもうだれしも認識をしておるわけでございます。これがまたスピードを要することでありまして、いずれまたというような格好でやっておりますと、なかなかこの変化についていけないということも共通認識としてございますので、IT基本法の法案につきましてもさようなことを意識した法律案になっておるように私は見ております。
  77. 森本晃司

    ○森本晃司君 もう一つ、監視機関についてでございますけれども、きのうの会議で、大臣も御出席ただいた中で、新聞報道ですからそれにちょっと沿って質問をさせていただきますが、メンバーのソフトバンク社長の孫さんが総理に、基本戦略実施に当たり中立的な監視組織を政府内につくるべきだと迫ったということでございますが、総理は継続して別途審議していくとお答えになりました。  私もむしろその中立的機関を設けた方がいいんじゃないかなという考え方でおりますが、大臣のちょっと考え方を、これはきのうの会議に御出席ただいておりまして、私、予告もしていない状況でございますが、もし考え方ございましたら、お答え願いたいと思います。
  78. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 先ほど来の御質問に、私はとにかく新しい総務省、決まったとおりに発足をさせていただきたいということを申し上げておりますが、今、森本委員が御指摘になった中立機関を設けるかどうかということは、その後の問題として我々は取り上げていくべきだと思っております。  いろんな御意見が実はございまして、例えばアメリカのやり方が正しいという人もあれば、いやそれは問題だという人も委員の中にはございました。やはり一つの制度には一長一短がございまして、その長所がうまくその時代の社会に合致すればうまく働くわけでございますけれども、合致しないと逆に短所の方が著しくあらわれてくるというようなことが我々の経験でございますので、その辺のところをよく見きわめて、来年以降のいわば政府の機構の中に一番適切な体制をつくる努力をしなければならぬ、そう思っております。
  79. 森本晃司

    ○森本晃司君 いろいろと御検討いただいた上で、やはり私は将来的にはそういう機関を設けていかなければならないのではないかという意見を申し述べさせていただきます。  次に、我が国が今日までおくれた最大の原因として通信料金の問題がございます。  大臣の所信の中でも「低廉で高速なアクセス網の普及促進を図る」ことと述べられておりますが、高速で大容量の通信をなるべく安い料金で提供する必要があるかと思います。通信料金の高さはIT立国の最大の阻害要因になっていると私は思っておりますし、我が党は昨年、インターネット料金や携帯電話料の米国並みの引き下げを目指して署名運動を展開いたしました。一千三百五十万人もの国民の皆さんの賛同を得まして、当時の小渕首相にそのことを要請した事実がございます。  韓国では我が国の百倍近い速度の通信サービスが月額四千円程度。シンガポールでは全国どこでも我が国の二十倍近いサービスが月額三千円で受けられる。アメリカの場合、インターネットのアクセス料金はつなぎっ放しでも月額四千円から五千円程度である。日本でつなぎっ放しにすると月額数万円にもなると言われています。将来のインターネットを普及するには、私はダイヤルを一つずつ回していくんではなしに、つなぎっ放しでも低廉であるということが極めて大事なことではないかと、そのように思っております。  欧州でも英国並みの通信料金を実現することを国家戦略として掲げて、EU首脳会議でEヨーロッパ構想、これは昨年二月に策定して二〇〇一年を実現のための期限と設定している。これが世界の趨勢である。IT革命成就のための大きな課題だと思いますが、この対応について、大臣、どのように考えておられるのか。二〇〇五年までと言っていますが、それで我が国は追いつくと言っていますが、我が国も進めば、向こうはとまっているわけじゃないですから、それに追いつき追い越そうと思えば大変なことだと思います。まず、ここが一番のネックではないかと思うんですが、お答えただきたいと思います。
  80. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) インターネットの普及に関しては、もちろんそのコンテンツの量でありますとか質でありますとか、そういうことも影響いたしましょうし、また機器の操作の簡便性というようなことも影響いたしましょうけれども、料金が安くなるということがやはり一番効果的な普及に役立つんではないかと思います。  既にそういう方向に私は動きつつあると思います。つなぎっ放しでもいわゆる定額制で決まった料金さえ払えば使えるということにだんだんと移行しつつあるように思います。しかも、その料金も、例えば本年五月に東西NTTのISDNの定額制の通信料金が八千円から四千五百円に引き下げられた。その他の事業者でもDSLやCATVを用いた定額サービスの競争が活発化されておりまして、現にそれが効いたのだと思いますけれども、インターネットの加入者というのは急増をしておるという現象が起こっておりますから、これからもおっしゃいますような定額制で、しかもできるだけ低廉な価格設定をするということを、いわば競争政策の中で上手に取り入れていったらいいのではないかと思っております。
  81. 森本晃司

    ○森本晃司君 戦略会議のソニーの会長、出井さんも、イの一番にこの通信料金の問題を挙げていらっしゃいます。これは政府挙げて、またこの委員会挙げてこの問題に私は取り組んでいき、早期に実現をしなければならない問題だと思っておりますので、大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  最後質問になりますが、デジタルディバイドの解消についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  こういったインターネットやコンピューターが広がりますと、どちらかというとその益の方を受けるのは都市部分、あるいは世帯主の年齢の若さ、あるいは世帯年収の高さに比例して普及率が高くなっているという数字も挙げられているわけでございますが、インターネットに接続する機会をだれもが平等に持てるよう、学校や図書館など公共施設への接続環境整備準備などをやっておるところでございますが、このデジタルディバイドの解消、是正に向けて早急な対策を講じる必要があるかと思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  82. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) これもおっしゃるとおりでありまして、デジタル社会の恩恵というのが国民ひとしく受けられるような、そういうシステムにつくり上げませんと、かえって御迷惑をおかけするような面が出てくるんではないかと心配をいたしております。  そういう意味では、地理的な要因によるデジタルディバイドというようなことの解消につきましては、例えば学校へのネットワーク整備を推進するとか、あるいは公共施設などに地域住民が自由にインターネットを体験学習できるための端末を整備するとか、いろんな方策を考えております。いわゆる地域イントラネット基盤整備事業とか地域インターネット導入促進事業というような名前で予算化をしてやっておるわけでございます。  それから、年寄りやあるいは障害者、こういう人たちが置いてきぼりになってはこれは非常にいわばマイナス面が起こりますから、いわゆる情報バリアフリーの環境整備に向けまして、例えば障害者向けの通信放送サービスの提供に対する新たな助成制度を考えるとか、あるいは一人一人の利用者の障害に対応した音声の読み上げとか、それから文字の拡大とか、そういういわば機器の便利な使い方を開発していくというようなことを考えておるわけでございます。  今申しましたように、デジタルオポチュニティーを活用してもらえる、国民の幸せを高めるという、そういう観点から政策を進めていきたいと思っております。
  83. 森本晃司

    ○森本晃司君 質問を終わります。
  84. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  85. 今泉昭

    委員長今泉昭君) ただいまから交通情報通信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情情報通信及び郵便等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  86. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本です。  大臣は、先日の大臣発言で、郵便局国民利用者のニーズに迅速かつ的確にこたえられるようにとおっしゃいました。郵政の民営化という動きもございますけれども、国民は、日常生活に不可欠な存在として国が責任を持って郵便局を経営せよという選択をいたしました。そういう国民の願いという観点で議論をしたいと思うんです。  最近、郵政省は、大口利用者へのサービスに熱心な余り、赤字になるような割引をしているというふうにも言われております。結局それは一般利用者のしわ寄せになるのではないかと我が党は指摘をしてまいりましたけれども、やはり求められているのは一般国民へのサービスの拡充だと思っております。  ところが、ウェッジの十一月号にこういう記事が出ておりました。電話での専用線割引のようなサービスを郵便にも適用したい、会見の席で松井郵務局長の行った発言ですけれども、これが憶測を広げているということであります。この発言はいつどのような場で行ったのか、専用線割引のようなサービスというのは郵政省の方針なのかどうか、まず郵務局長、お願いいたします。
  87. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げます。  先生御指摘の記事に先立ちまして、ことしの九月四日、私の定例記者会見の場で、今後のサービス改善の可能性につきましての質疑応答がございました。その中で出たものでございますが、私の趣旨は、郵便のサービスにつきまして、取り扱いのコストだとかあるいは御利用の実態、そういったものを十分踏まえながら、個人の利用者から大口利用者まで非常に多様な郵便のお客様がいらっしゃるわけでございまして、そのニーズによくおこたえして、そして御利用いただきやすいようなサービスというものをどう考えていくかということについて、私としては問題意識を持って勉強していきたいというふうな気持ちを担当の局長として率直に申し上げたものでございます。  それで、先生御指摘の、郵政省として専用線割引のそういった制度を適用するというのは方針なのかということでございますが、これにつきましては、そのような方針があるということではございません。
  88. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 勉強したいということですけれども、その勉強の中には、しかしそのようなサービスの勉強も含まれるのか、それともそういうことは全く考えていないと言い切れるのか、いかがですか。
  89. 松井浩

    政府参考人松井浩君) 御利用いただきやすいようなサービスのあり方という観点になりますと、個々の取り扱いから料金だとか割引だとかいろんなことにつきまして幅広く住民のためになるよう勉強していきたいというふうに思っておりまして、排除するわけにはまいらないと思っております。
  90. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 否定されないので、ひとつ、じゃ、そういう専用線のような割引というのがどのようなものであるのか、議論してみたいと思うんです。  電話での専用線割引というのは、特定のユーザーが決まった相手と通信をするということを前提とした割引サービスですね。これを郵便に当てはめるとどういうことになるかと。仮に、毎日同じ相手に一通ずつ郵便を送るユーザーがいたと仮定して、この郵便物を値引きするということに果たして根拠があるのかと。つまり、このような郵便物は他の郵便より安くしてよい客観的理由が何か見当たりますか。いかがですか。
  91. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げますが、最初にちょっとお断り申し上げたいと思います。  先ほどの発言なんですが、私の記者会見における発言でございますが、いろんなサービスの御利用の仕方があるということ、実態をよく踏まえてということで申し上げまして、そういう中で例え話として、電話でいえば個人の宅内の電話の利用の仕方から専用線的な利用までいろいろ幅がありますという、そういう意味合いで言葉で出したものでありまして、それを一部の記者の方が誤解されまして、そして先ほど先生御指摘の専用線割引制度を郵便で利用するんではないかというふうな憶測が見出しになったということでございます。それを最初にちょっとお断りさせていただきます。  それからもう一つの本来的な政策に関する御質問でございますが、一つ一つの今につきまして詰めた話ではございませんので、十分な吟味が本当は要るんだろうと思いますが、基本的には割引といいますのは、例えば郵便局に成りかわって、お客様の方で同時にたくさん差し出していただいてその郵便局で行う区分をあらかじめやっていただくだとか、それからバーコードを区分しやすいように指定していただくだとか、そういったコスト削減効果ですね、そういうものがあるものが大体主軸でございます。一部には需要創出という観点での割引もございます。  そういったことで今の割引制度ができておりまして、先生の御案内のもののケースがそれになじむかどうかにつきましては、ちょっと慎重な吟味が要るんじゃないかと思います。
  92. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 専用線割引というような議論は私は成り立ち得ないと思うんですよ。  例えば、たくさんの部数をまとめて出して手間を省くというようなことも今おっしゃいましたけれども、同一のあて先にこの二十通、三十通送ってくれという話があるかといいますと、そんなことをするぐらいだったら、それを小包か宅急便に一つにまとめればいいわけですから、これもそういうニーズがあるとは考えられないわけですよ。つまり、電話の専用線割引というものと郵便の割引制度というものは比較にならないし、そういう検討というのはそもそもやったって意味がないと私は思います。局長が勉強されるのは結構ですけれども、同時にこういう割引制度というものは採算そのものが疑わしい。  ここで一つだけ確認してほしいんですけれども、採算を度外視したような、一部大口利用者のみに適用するような採算を度外視した割引サービスというものは検討しているわけではないと、これはいかがですか、明言できますか。
  93. 松井浩

    政府参考人松井浩君) お答え申し上げます。  郵便サービスそのものは独立採算で収支相償の原則のもとで行われるべきものでございまして、その料金のあり方につきましても、当然適正な郵便の事業の運営を賄うものでなければならないというふうに法律で明定されております。ですから、物の考え方としては先生の御指摘のとおりだと思っております。  ただ、個々のせつな的にある時間の断面、短期的にとらえてどうだとかいうふうなことではないと思っております。郵便のコストは、引き受け段階から、例えばポストに入れられたものを取り集めて、そして引き受け処理をし、そして区分をし、そして運送し、そして最後郵便局で配達するといういろんなプロセスに応じたコストが発生しておりますので、そういったコストに対する軽減効果があれば料金を軽減するという合理的理由があるというふうに考えております。世界的にもそんなふうなことでございます。  我々、よく勉強していきたいと思っております。
  94. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 本当に国民の役に立つサービスを安く提供するということに心がけていただきたいと思うんです。  それで、そのためにもやはり経営のむだや非効率は改善していく、これは当然のことでございます。総務庁の行政監察局長にお伺いをしたいんですけれども、昨年八月に出された郵政事業に関する行政監察結果に基づく勧告の三ページ、「郵便局設置形態の在り方の見直し」というところで講ずる必要があるとされている二つの措置、これは郵便局の設置形態についてですけれども、ひとつ御答弁ただきます。
  95. 塚本壽雄

    政府参考人塚本壽雄君) お答え申し上げます。  お尋ねの行政監察におきまして、御指摘の「郵便局設置形態の在り方の見直し」というところにおきましては、「次の措置を講ずる必要がある。」、こう述べております。  まず第一でございますけれども、「郵便局の新設に当たっては、想定される利用形態、取扱業務量等、地域特性を十分勘案しつつ、簡易局の設置で需要にこたえられる場合は、簡易局で対応すること。」、二つ目に、「既定の方針に基づく無特局の見直しについては、利用状況等を全国的かつ定期的に把握し、計画的な推進を図ること。」、この二点でございます。
  96. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 要するに、これからは簡易郵便局の制度を積極的に活用して特定郵便局は、簡易郵便局でできるものは簡易郵便局にしていけ、計画的に見直せと、こう言っているわけですね。簡易局をふやすことがいいのかどうかということは議論はまた別にあるんですけれども、とにかくこういう監察結果が出ております。  そこで、実態をまずお伺いいたします。特定郵便局及び簡易郵便局の数のここ五年間の推移、年々の変化、お答えください。
  97. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  特定郵便局、簡易郵便局の五年間の数の変化ということでございます。  特定郵便局につきましては、平成六年度末の局数が一万八千五百七十五でございます。五年後の十一年度末の局数が一万八千八百七十八ということになっております。この間、新設と廃止もございますが、差し引きますと五年間で三百三局の増加でございます。一方、簡易郵便局平成六年度末が四千六百十九局、同じく十一年度末が四千五百七十九局となっておりまして、五年間で四十局の減少というふうになっております。これは、主として受託者の事情というものが大きいというふうに承知しております。
  98. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 今の数、特定局は三百三ふえている、それから簡易局は四十減っていると。これは勧告の趣旨とは全く逆になっていると思うんですが、ことしの九月の数字というのも見せていただきましたけれども、この傾向は続いております。これはなぜこういう状況になっているのですか。
  99. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 行政監察の方からの勧告におきましては、二点に関しての措置を講ずるように求められております。  第一は、郵便局の新設の場合の設置形態についてでありまして、特定局も含めまして国の直轄で郵便局を経営するということを原則としておりまして、例外的に委託による簡易郵便局を設置する、そういう設置の原則がございます。  そして、今回の勧告は、既設の無集配の特定郵便局の中に、要するに予測を下回る人口の伸びだったということで、設置する場合の判断基準に至らない地域に設置されている事例があったということを踏まえて勧告が行われた。そういうことでありますから、私どもは、勧告の趣旨を、今後こういう事例が新たに生ずることのないように、無集配の特定郵便局の新設においては設置の判断基準をできるだけしっかりと適用するといいますか、そういうことで適切に判断をしていく、そういうことを求められておるようであります。  特定郵便局を含む国の直轄の郵便局が原則で、簡易郵便局が補完であるという基本的なあり方の趣旨を踏まえてこの勧告には対応していきたいと思っております。  それから第二の勧告は、過疎化の進展に伴って利用者数が著しく減少した地域の無集配特定局の廃局を求めていくという勧告でございますが、これは従来から地域住民や自治体等の理解を得ながら廃局を行っているところでありまして、今後とも地域に密着をした郵便局の役割を十分に踏まえて対応していかなければいかぬと。  要するに、予想を下回った人口の伸びで思い違いをしてしまった、当てが外れたというようなことからの設置の場合と過疎化によって人口がもともとあったところがどんどん減ってしまったというところの扱いは、一種のニュアンスの違った判断でいきたいということでございます。
  100. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 行政監察報告の結果も見せていただきましたけれども、この中に紹介されている北陸郵政局管内のある無特局の例で言うと、平成六年から八年度の間、簡易局で取り扱えない業務というのは全くなかった、こういう事例も紹介されております。  今、簡易局というのはあくまで補完だというお話ですけれども、私たちは、先ほども言いましたように、安易に簡易局をふやせばよいということを言っているわけじゃないんです。それなら普通郵便局をたとえ小規模であってもやっぱりつくると。なぜ特定郵便局がこういう形でふえているのかということを指摘させていただいたわけなんです。  それで、この特定郵便局についてひとつ聞きたいんですが、この特定郵便局局長の任用基準というのはどのような法令にどのように定められておりますか、官房長。
  101. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  特定郵便局長の任用基準というものの内容とその根拠でございますが、国家公務員の採用につきましては、国家公務員法第三十六条におきまして原則競争試験によるというふうになっているわけでございますが、同条のただし書きがございまして、一定の場合には選考による採用が認められておりまして、この規定に基づきまして、特定郵便局長につきましては選考により任用を行っているところでございます。  この選考による任用に際しましては、各郵政局等におきまして教養試験、作文試験、面接試験等の能力実証試験を実施しまして、その地域特定郵便局長として地域住民の信望を担い得る者であって、事業管理能力を有する適任者を、部内、部外から選考しているというものでございます。
  102. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 この任用基準、法的根拠というものを文書でいただきたいということで随分お願いしたんですけれども、なかなか納得のいく説明がなかったわけなんですね。少なくとも、今御答弁あったように、一般の試験ではないということになっているわけですよ。もちろん、御承知のように、この特定郵便局長の任用について、事実上の世襲ではないのかという批判も一部にやっぱり聞かれるわけなんです。  それで、この任用基準で、私ども調べてみたら、昭和二十年の制定、昭和四十七年、最近改正の特定郵便局長任用規程というものが出てきたわけですけれども、この規程で、一つは満二十五歳以上の者、もう一つは相当の学識才幹ある者、こうされているわけですけれども、こういう基準であることは間違いないですか。
  103. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) お答えいたします。  任用規程につきましては、今、委員の御指摘のとおりの根拠でやっております。
  104. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 学識才幹ある者と、何のことか一見しただけではわからないと思うんですね。  そこで、郵政大臣に、やっぱりこれは他の一般職の公務員と同じ採用試験を実施すべきではないか、また転勤なども含めて一般職同様の任用を行うべきではないのか、こう思うんですが、いかがですか。
  105. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 特定局というのは非常にほかの役所とは違った歴史を有するといいますか沿革があるということは御認識がいただけると思っております。  やはり、昔から田舎に参りますと村長さん、局長さん、校長さん、その三つの長が皆さんの信頼と尊敬を集めておったというようなことは今日でも語り伝えられておると。もちろん、そのすべての方が地元の居住の方で名望のある方とは今日では限っておりませんで、もっと選考範囲は広いものだと思っておりますけれども、やはりそういう沿革を大事にしながら、郵便局というのはお客様が地元の方がいわばほとんどでございますから、そのお客様本位に考えた場合でもこの今日の選考による任用というのがうまく働くものであろうと私は思っております。
  106. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 長い歴史というのは決して知らないわけじゃないんですよ。ただ、あなた方は今日、今、設置、つまりふえていっている特定郵便局局長の任用もこの仕組み、学識才幹ある者でやっているわけですから、それは長い歴史の中でどうつくられてきたかということと今日どう運用するかというのは別の問題ですから、やはりしっかり検討し直す必要があるんじゃないかということを指摘したわけであります。  もう一つ指摘したい。  それは渡切費というものであります。これは、郵便局で使う事務用品などの物品の経費をおおよそその額面で渡してしまう、そして後はどう使おうと自由だ、こういうものです。これでは経費といっても実際何に使われているのかわからないことになると思うんですね。きのうお伺いしました。渡切費は平成十一年度決算で九百四十三億円支出されております。  このような不明朗な渡切費というようなものは廃止すべきではないか。普通局と同じ会計処理を行うべきではないか。これ、大臣いかがですか。
  107. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) この渡切費というのは、会計法でも、「各省各庁の長は、郵政官署その他特殊の経理を必要とする官署で政令で定めるものの事務費については、政令の定めるところにより、その全部又は一部を主任の職員に渡切を以て支給することができる。」という、郵政官署ということをはっきり書いて、それで渡切費という制度をつくってあるということでございます。  特別の制度だろうと、一般の会計原則とは違う制度だろうと私も思いますが、これも恐らく従来からの特定局の歴史の中で、いわば一つの知恵として生まれた会計のやり方ではないかと思っております。渡切費ということにいたしまして、会計事務の簡素化を図る、会計職員を置かずに簡素な事務手続で支出することができるというようなところが特徴であろうと思っております。  したがって、特定局の会計処理について、普通局と同様の会計処理を行うということは会計事務の煩雑ということを頭に置かなければならぬので、今の制度を引き続きやっていった方がいいのではないかと思っております。
  108. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 煩雑というふうに今おっしゃいましたね。つまり、私が最初指摘したように、会計処理がずさんなのではないか、きちっとすべきではないかと指摘したわけです。少人数の郵便官署で煩雑になるからこういう渡切費というやり方をとっている。つまり、きちっとした、普通局で厳正にやっているようにやられていないということをみずからお話しになったのと同然だと思うんです。  いや、きちっとやっているんだと、きちっとやっているんだとおっしゃるならば、それだったら普通局のようにきちっとやるのにそれほど大した手間がかからないんじゃないですか。いかがですか、それは。
  109. 團宏明

    政府参考人(團宏明君) ちょっと事務的な扱いを御説明したいと思います。  渡切費でございますけれども、この使用の目的につきましてはもちろん渡し切るときに示しておりますが、さらに事後的に、これは四年に一回の会計監査とかそれから地方郵政監察局の総合考査等によりましておおむね一年に一回の検査を実施しております。  具体的には、現金の保管でありますとか渡切経費の整理簿、受領証等の関係帳簿等を確認しまして現金と帳簿が一致するか、支払い金額の算出に誤りはないか、正当権利者に支払っているかというふうな会計監査の基本的な項目をやっておりますし、さらに会議費とか職場訓練費、こういう経費につきましては当該支出の内容が妥当な使途になっているか、こういうこともあわせて監査等をいたしておりまして、適正な管理に努めているというのが実態でございます。
  110. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そういう非常に国民の目から見えにくい任用規程とかあるいは渡切費ということを指摘するわけですけれども、改善という点ではなかなか前向きの答弁ただけないわけです。  なぜ特定郵便局というものをそういうふうに優遇しているのか。これは、事業上の必要ということではなくて、特別な事情がそこにあるのではないかと私はきょう指摘をしたいと思うんです。  ことし七月の十日、全国特定郵便局長会の総会に大臣出席をされてあいさつをされました。この総会で、郵政OBで自民党参議院議員の岡野裕氏が、あと一年特定局長会の用心棒を最後まで果たしますと、こう発言をされております。これは新聞にも報道されております。それで、つまり用心棒という表現をお使いになったわけですけれども、そしてあと一年とおっしゃっているのは来年の選挙には岡野さんはお出にならない、そして後継者として前の近畿郵政局長の高祖憲治氏が全特の顧問という肩書でこの総会の壇上で紹介をされております。  この図柄を見ても、自民党が郵便局のネットワークを選挙のために利用していると言われても仕方がないのではないですか。大臣、いかがですか。その場におられたでしょう。
  111. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 岡野さんがこの特定郵便局長のお集まりでスピーチをなさったということは、私もたしかその場に居合わせたと思いますが、ちょっとぼんやりしておりまして、どういうお話をなさったかよく覚えておりませんが、元気のいい方でありますから、大きな声で何かお話しになっておりました。  さようなことで、私が岡野先生がかくかくのことをおっしゃったということをはっきり申し上げられないのはまことに相済みませんけれども、ぼんやりしておって、お答えがちょっといたしかねるということで何とぞお許しをいただきたいと思います。
  112. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 多少事情に通じた者であれば、私の指摘が決してゆえなきものでないことはおわかりだと思います。  大臣の前任者の八代大臣などは、ある自民党議員の資金集めパーティーで全国二万四千七百の郵便局ネットワークそのものを自民党のかけがえのない後援団体と述べて、当委員会でも私質問して議論になりました。  これまでの他の人や前大臣はともかく、大臣はどういう姿勢なのかをお聞きしたい。郵便局を特定政党の後援会組織のように扱うなどということは許されないと思うんですけれども、いかがですか。
  113. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 特定局は郵政省の組織の一つでございますから、郵政省の役所としての機能を果たすにふさわしい組織規則とか、あるいは服務規則とか、そういうものがあると思います。  特定局長といえども、今申しましたように、特別の任用の仕方をしておりますけれども、一般職の公務員であることには違いはありませんから、それに従って服務をしてもらわなきゃいかぬ、当然そういうことに思っております。
  114. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ここに東北のある県の特定局長会で配られている後援会の入会申込書を持ってまいりました。顔写真の入ったこういうものであります。  これは、高祖憲治さんという先ほど申し上げた方の顔写真が入っているわけですが、この会議で、つまり特定局長会議で、特定局長一人一人が十人の自民党員を集めなさい、そのうち二人は新規入党者を集めなさいと、こういうノルマが課されたというふうに証言を受けております。自民党は、参議院議員の比例代表候補に二万人という新規党員獲得を課しているわけですけれども、この高祖さんは一次の公認候補入りを既に果たしておりますので、二万人の党員拡大というのをやられたようであります。  そこで、まず人事院にお伺いしますけれども、一般論として公務員の地位を利用しての特定の政党の党員集めは許されますか。
  115. 中橋芳弘

    政府参考人中橋芳弘君) 一般論として申し上げます。  国家公務員の政治的行為につきましては、国家公務員法の百二条において制限されているわけでございまして、その子細は人事院規則で定められております。  その中で、特定の政党の構成員となるよう勧誘運動をすることは政治的行為に該当するものとされておりまして、原則として禁止されているところでございます。
  116. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そういうやり方は禁止されていると。  ところが、私の手元に兵庫県の局長会で配られた資料というものも来ております。これは、委員会で全員にお配りしようと思ったんですが、自民党が拒否をされました。  ことし六月二十七日付の兵庫県大樹支部による地区会長あての連絡文書です。大樹会というのは、言わずと知れた自民党の組織です。その自民党の特定の支部が、近畿特定郵便局長会の兵庫県内の各地区会長と地区副会長にあてて出したものです。大樹会の責任者とこの文書の責任者は氏名が一致をしております。  こういうものを使って新規入党者をこの特定局長会のルートで広げている、自民党が党員集めをしているのは明白だと思うんですけれども、今の国家公務員法の規定に照らしてこれは違法だということは明白じゃないんですか、大臣
  117. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 私も選挙をやってきておりますから、その大樹という会が郵政省関係者のOBの会だということは知っております。それが自民党員であるということも承知をいたしておりますが、大樹の会はしたがって政治団体といいますか、あるいは政党支部といいますか、そういう性格の会でございますから、それに伴った活動というのは、これはやってもいいんだろうと思います。それの法的な解釈の権限は私にはないですけれども、普通に考えてそういう政党ないし政治団体だと思ってよかろうと思います。  それで、その人たちが特定郵便局長のグループの人に何らかの関係を有する、あるいは働きかけるということは、これは政党の支部なり政治団体としてはあり得ることだと思います。また、特定局長さんは自分が自民党に入ってくださいとかそういうことは言っちゃならぬ、これは今、人事院の規則にたしか政党に入ることを勧誘しちゃならぬ、こう書いてあるわけでございますから、自民党であろうが共産党であろうが、そういう勧誘はしちゃいかぬのだろうと思いますが、党員になることは差し支えない、これもまた自民党員であろうが共産党員であろうが、一般職の国家公務員は党員になることは禁じられていないはずでございます。  だから、そこら辺のことを上手に整理して考えていけばある程度の筋道がわかるんだろうと思いますが、頭の中がごちゃごちゃしてなかなか整理ができない場合もありまして、今おっしゃった実例が果たして国家公務員法の違反に当たるのか、あるいは何かほかの法律の制限に触れるのかということは、私はちょっと判断をいたしかねます。
  118. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 お認めにならないわけですが、私の手元には、近畿地方特定局長会の「取扱注意」という文書、これもお配りしようと思いましたが、これも自民党に拒否をされました。来ております。  そういうごちゃごちゃしたところをどう扱っているか、この文書を見れば歴然であります。例えば、「参加の要請を強制しないこと。内部造反、告発につながる。」とか、「公選法、国家公務員法等、関係法令の理解・認識を高める必要がある。」とか、自分たちのやっていることが一つ違えばそういう法律に違反するし、内部告発されればぐあいの悪いことだという自覚のもとにつくられている文書も出されております。この中には、電話作戦から、まさに選挙活動をどういうふうに取り組むかということまで詳しく書き込まれているわけです。  大体、大樹と名のつく特定郵便局長関係の自民党支部が全国でどれぐらいの党費、会費を集めているか。一昨年の分を持ってきましたけれども、こんなにあります。これ総額、全部足して計算しました。二億八千七百万円に上っているんですよ、この大樹という関係の組織からあなた方に党費、会費として納められているものが。まさにこういう関係を続けるならば、私はやっぱり郵政事業そのものの存在基盤を掘り崩すと言わざるを得ないと思います。  もう時間が来ましたので終わりますが、あなた方は参議院比例代表選挙に非拘束名簿式というのを導入いたしました。つまり、こういう集票組織をフル動員させることによって政権を維持しようとしているわけであります。しかし、最後に決着をつけるのは国民だ、こういうことを続ければ必ず国民の審判が下るということを指摘して、私の質問を終わります。
  119. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  郵政省は、来年早々の省庁再編でいろいろと御繁忙なり、そしてまた未来にかけての御希望なり、御多忙の毎日だろうというふうに思います。  そこで、私は、郵便局というか郵政省が現在行われている諸施策を顧みるというとおかしいんですけれども、そういうのも含めまして、現状の御報告もいただきながら、将来に向けての御希望を伺いたいというふうに思います。  郵便局は全国に二万四千七百局もございまして、全国の小学校とほぼ同じぐらいであるということですけれども、郵便局と最寄りの郵便局までの距離も一・一キロメーター。今もいろいろありました特定郵便局の問題もありますけれども、本当に身近な国の窓口であろうと思いますし、それは窓口だけではなくて、老朽化した局が新しく建てかわりまして、非常に格好もいいといいましょうか、住民の皆さんの作品が展示してあるとか、あるいは皆さんがお集まりできるようなシートが座りやすくなったとか、住民の皆さんと非常に仲よくできるような施設になっているということでございまして、地域社会にも貢献できる国民共有の貴重な財産であろうと思っております。  そこで、郵政省では全国に配置されました郵便局を活用して各地方公共団体とさまざまな業務を提携されているのでございますけれども、現在どのような地方公共団体との連携がございますか。また、どのような施策を展開しておられましょうか、お伺いいたします。
  120. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 具体的に五つほど申し上げますと、郵便局地方公共団体が協力をして災害対策に当たるための防災協定を結んでおるものが二千三百四十市区町村ございます。  二番目に、土砂災害について警戒避難体制の強化を図るための建設省、都道府県との土砂災害防止に関する協定を結んでおりますのが、九十五の機関に対して結んでおります。  それから三番目としまして、過疎地域の高齢者に対して外務職員による励ましの声かけや郵便物の集荷サービスなどを行いますひまわりサービスと称するものをやっておりますのが百九十一市町村ございます。  四番目といたしまして、郵便集配途上で発見した道路やガードレールなどの破損、損傷状況地方公共団体に通報する道路損傷等の情報提供、これが二千五百三十三市区町村と結んでございます。  五番目といたしまして、児童の緊急避難場所として郵便局を提供する子ども一一〇番というのが二千百四十一市町村においてございます。  以上のようなことで、郵便局がスローガンとしております情報、安心、交流の拠点、それにふさわしい活動を、地域住民のお役に立つように地方公共団体などと連携した施策を積極的に進めようとしておるところでございます。
  121. 三重野栄子

    三重野栄子君 今伺いましたところ、郵便局は二万四千七百局ございますのに、例えば児童一一〇番は二千百四十一とか、それぞれの項目によっていろいろ、同じになるべきだとは思いませんけれども、そういうのを広げるという手だてはどのようにしておられるんでしょうか。
  122. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) やはり仕事の内容によりまして関係しておる市町村の数が異なっております。  それで、市町村の住民にとって便利なようにということを郵便局側も、また市町村側も絶えず御相談を願って連携を密にするように、今後さらにそれらを進めてもらいたいと思っておるところでございますが、役場の仕事が支所がなくなったりいろんなことで、郵便局にひとつ頼みますというようなことがこれからまたふえてくるかと思います。さようなことにも対応ができるように、いわゆる行政のワンストップサービスなんというようなことにもこれから郵便局がタイアップしていくということは大事なことではないかと思って、そのような方面のことを今意識しながらやろうとしておるところでございます。
  123. 三重野栄子

    三重野栄子君 大分前ですけれども、私、逓信委員会と言っている時代質問させていただいたんですが、局長の任期が二年ぐらいで短いんですよね。だから、自治体の皆さんとお目にかかる機会も非常に少ない。だから、その二年間というのはもうちょっと考えていただいた方がいいんじゃないでしょうかねなんてそういうことを申し上げたことがあるんですけれども、自治体と郵便局とどのように密接になっていくかということでいろいろ御苦労いただいているというふうに思います。  今、大臣がおっしゃいましたワンストップサービスについて少しお聞かせいただけないでしょうか。
  124. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) これも具体的な例を申しますと、平成九年度から、郵政省が持っております情報端末を利用いたしまして公共施設の使用の予約の申し込みを受け付ける、そういうサービスを行っております。これは実証実験平成九年度から始めたわけでございます。累計では一県十四市区町村で実施しております。まだまだ少ないなと、そう思います。  それから、平成十一年度には、地方公共団体所有の住民票の写しなどの自動交付機を郵便局に、これはテストでございますけれども、試行的に設置をして、利用者から好評をいただいております。やっておりますのは、大宮西局と羽曳野古市局で、これは大阪府でございますが、こういうことを今やっております。  また、来年一月に総務省が発足をいたしまして自治省と一つになるわけでございますが、これに先立って、本年四月から自治省と共同で研究会をつくりまして地方公共団体と郵便局の協力体制のあり方を研究するようにいたしております。その中で、ワンストップサービスをもっと積極的にやるというようなことを検討の課題に入れてございます。  これからさらにこの二万四千七百に及びます郵便局地域の公共サービスにも役立つようなことを進めていったらいいと、そういうぐあいに思っております。
  125. 三重野栄子

    三重野栄子君 伺いますと、ワンストップサービスは割と都というとあれですけれども、人口が多いところ、そんな感じでございますけれども、先ほど大臣もおっしゃいました、高齢化の時代に従いまして過疎地域での活躍ということをちょっとお話しになりまして、私も以前に大分県の郵便局の皆さんがそれぞれ声かけ運動ということで伺いましたら、先ほどひまわりサービスという言葉が出てまいりましたけれども、そのことにつきましてお話しいただければと思います。
  126. 常田享詳

    政務次官常田享詳君) ひまわりサービスを取り上げていただきましてありがとうございます。お礼を申し上げたいと思います。  このサービスは、鳥取県の智頭町において平成七年四月から、町と郵便局及び農協等の協力機関の連携により、高齢者の日用品の買い物等を手助けし、高齢者の不便解消と安心できる暮らしを支援するひまわりシステムということで開始されたところであります。これがまことに好評でありましたので、平成九年度から全国の過疎地域を対象に展開を図っているところであります。ひまわりサービスは、平成十二年三月末日現在、全国百九十一市町村、先ほど大臣が御答弁されたとおりでありますが、実施しております。  今後とも、明年一月から自治省と一緒になることもあり、また今、三重野先生御指摘のとおり高齢化が非常に進んでいるということもあって、自治体の要望が非常に強くなってきております。これらの要望にこたえて、国営事業ならではとの御評価がいただけるように貢献をしていきたい、そのように考えております。
  127. 三重野栄子

    三重野栄子君 名前がひまわりサービス、いいですね。北朝鮮と南朝鮮の太陽政策というのもございましたけれども、やっぱりひまわりサービスというのはいいと思いますから、大いにますます発展できるようにお願いしたいと思います。  次に、郵便事業についてお伺いしたいと思います。  平成十一年度郵便事業の損益計算等に関する報告ございましたけれども、郵便事業につきましては平成十年度に引き続き非常に厳しい状況と認識しておりますけれども、現在の郵便事業財政はどのような状況になっているでしょうか。簡単にお願いいたします。
  128. 常田享詳

    政務次官常田享詳君) 郵便事業の現状は、大変厳しい景気の影響を受けまして、郵便営業収入が平成九年度、平成十年度と前年度を下回ったところであります。さらに、平成九年度に消費税が三%から五%に引き上げられた際に郵便料金にこれを転嫁しなかったことによる約四百億円の経費負担増もあり、平成十年度には五年ぶりに六百二十五億円の赤字を計上したところであります。  平成十一年度においては、郵便事業収入が前年度比〇・三%と三年ぶりに増加したことなどにより赤字額は前年度より減少したものの、五百三十三億円を計上いたしました。なお、累積損益については、黒字が平成十一年度末で千三百二十六億円に減少しております。  平成十二年度でありますけれども、予算上、四百三億円の赤字が見込まれるなど、依然として厳しい状況にございます。
  129. 三重野栄子

    三重野栄子君 年賀郵便など年賀はがきがどんどん売れるというのに、あれだけよく配れるなと思うぐらいでございますけれども、頑張っておられる割には赤字が次々に出て御苦労さんでございます。  今もおっしゃいましたように、本年度も赤字ということでございますけれども、平成十年度以降、単年度の損益は赤字というように全事業財政がもう苦しい状況にありますから、国民の基礎的通信手段である郵便サービスをやっぱり一方では安定して提供していただきたいわけでございます。  したがいまして、郵便事業財政の健全化のために大臣や職員の皆さんが頑張っておられることはわかるんですけれども、それを乗り越えまして、今後の郵便事業財政の収支改善に向けた具体的な施策をお持ちでしたらお伺いをいたします。
  130. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 郵便料金を引き上げると増収になりますから財政は潤うのでありますけれども、さようなことをみだりにやるわけにはまいりません。やはり国民の皆さんからかわいがっていただけるように、郵便料金もできるだけ長いこと一定のレベルで据え置きたいと思っております。難しいかもしれませんが、二〇〇五年までは今の料金でやらせていただくということを私はずっと申し上げております。  したがって、この増収を図るにはお客様の数をふやすということになりますし、経費の節減をどうやってやったらいいかということにも相当の努力をしなければならぬと思っておるわけでございます。さようなことで、一つ一つ創意工夫を凝らしていくということでやっていきたいと思います。
  131. 三重野栄子

    三重野栄子君 せっかく大臣がおっしゃってくださいましたが、一つでもいいんですけれども、客の数をふやすとかあるいは経費の節減とか、どういうところをお考えでしょうか。一、二ございましたらお伺いします。
  132. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) 経費の削減では、やはり一番大きなのは新しい技術を上手に使って、機械の投資はお金がかかりますけれども、経常的な経費の増嵩を防ぐ、そういうことが相当行われております。私も新しい郵便局の区分のシステムとか、いろんなものを見せてもらいましたが、本当に一昔前には考えられなかったようなスピードと少ない人員で処理がなされておるということでございます。  増収を図る面では、これはやはりいろんなサービスを、実を言いますと、小包なんていうのは競争業者がたくさんございますから非常に苦闘をいたしておりますけれども、お客様をふやすためのいわばセールスを一生懸命やるというようなことも含めて改善に努めておるというところでございます。
  133. 三重野栄子

    三重野栄子君 ところで、今も新しい技術ということでございましたけれども、先日の森総理の御発言以来IT革命が大変有名になりましたんですが、インターネットの普及など電気通信メディアの発展は著しいものがございます。インターネットは平成十二年版の通信白書によりますと、世帯で一九・一%、企業では八八・六%まで普及しているということでございますが、このような国民生活に浸透しております状況の中で、郵便事業において何らか電気通信を利用する、そういうことをお考えでございましょうか、お伺いいたします。
  134. 常田享詳

    政務次官常田享詳君) 三重野先生の御指摘のとおり、IT化の進展に伴って郵政事業を適切に見直していくことは大変重要なことだというふうに考えております。  具体的に申し上げますと、ことしの二月からハイブリッドめーるサービスを実施しており、今後新たなサービスとしては、電子内容証明サービス、ネットショップ参入支援システム、本人限定受け取り郵便サービスを実施する予定にしております。さらに、インターネットを通じて、お客様に郵便送達所要日数の検索、小包などの配達状況検索などのサービスの提供、また、ホームページを開設しておりますけれども、それらのホームページのアクセス件数も、平成十二年度九月期単月だけでも三百六十五万件、一日平均十二万件のアクセスがある、そういう状況にあります。  そういったことを踏まえまして、今後ともお客様のサービス向上や事業運営の高度化、効率化に資する情報システム化を進めてまいる所存でございます。  以上でございます。
  135. 三重野栄子

    三重野栄子君 やっぱりすごいです。一日十二万件で三百六十五万。私も、ホームページを開いて三年になりますけれども、もうちょこちょこです。  本当に便利な時代になっておりますけれども、そういうものをいろいろ利用すると同時に、午前中にも森本議員の方で御質問ございましたデジタルディバイドの問題ですけれども、国内的なお話はございましたが、今はもうとにかく海外もみんな一緒に育っていきたいという時代でございますけれども、非常に低い、低いと言うと語弊がありますが、発展していない国々、そういう地域に対してはどのように、国際的な問題としてデジタルディバイドを解消するための努力をお考えかを伺いまして、私の質問を終わります。
  136. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) これは、先般沖縄でサミットが行われまして、そのときにいわゆるIT宣言をしております。  その中でさまざまな対策を掲げておるわけでございますが、日本政府としては、これはIT宣言の外でありましたと思いますけれども、五年間で百五十億ドルの対外援助といいますか支援といいますか、さようなことを行うということを申しておりますので、これから各関係国の対策をいろいろと御相談を願って、それで日本政府でできますような援助を、これは開発途上国からいろんな国によって違いがございますし、事業によってもまた直接援助をするか融資をするかというような違いがございますので、具体的にはこれから御相談をしながらやっていくということになっております。
  137. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。ありがとうございました。
  138. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  先般、八月九日の委員会でしたか、やはり大臣政務次官おそろいのときにいろいろと基本的な私の疑問点を質問させていただきまして、まだ時間がたっておりませんけれども、そのフォローアップという意味できょうは何点か質問をさせていただきたい。  そのときに、私の関心事項といいますかそれを申し上げたところでございますが、やはり地方と都会との情報格差をなくすというか、コミュニケーションの格差をなくす、地域格差をなくすということが大変大事で、そのためには情報通信が果たす役割は金額の面から見ましてもかなり有望であるというような、有利であって、ぜひとも進めていただきたいということを御質問したと思います。  そのときに、大臣からもたしか、議事録を見ますと、「これからは田舎に住んでおる不便な人が便利になるようにということを重要なことに考えて進めていくべきであろうと思います。」と、このように大変前向きなお答えをいただきました。そのときに、大臣、佐田政務次官お二人から何点かの具体的な事業といいますか方向性をお示しいただいたわけですが、きょうはその点についてもう少し具体的なお話を伺おうかと思いまして、政府参考人局長さんにも来ていただいておりますので、その辺を教えていただきたいと思っている次第でございます。  私なりに整理しますと、たくさんそういうものはあるんでしょうけれども、一つは光ファイバーの全国ネットワーク化といいますか、これは基本になりますからこれをどんどん進めていただけるというお話でございますし、さらには公共ネットワークの構築ですか、これは私なりに理解しますと地域間の、地方自治体といいますか地方の中の情報格差の是正じゃないかなというような感じがいたしますが、これがもとになってさらに全国的な広がりがあるのかなというような感じがいたします。  それともう一つは、料金の格差是正、これ、先ほど森本先生の方からも御質問ございました。これがやはり幾ら情報がすぐにとれるといってもお金がかかっては全然地域格差の是正になりませんので、この辺が大変重要な問題になると思いますが、これ、どの分の料金かということになると大変幅が広くなるというようなお話でございまして、私あえて最近ネットワーク等、インターネット等いろいろ言われておるわけでございますから、インターネットの定額制ということが一つの大きな方向ではないかなと。  それともう一つは、携帯電話の不感地域の解消ですね。携帯電話というのは、私、前にもこれは申し上げたことあるんですけれども、都会の方が使われる、これは非常に便利だと思うんですが、よく見ますと電話の横で携帯電話で話している、あの姿がどうも理解できない。むしろ、これは本当に周囲に電話のない人が実際に情報を伝達するときに役立つ。これはまさしく地方の過疎地の大変重要なものではないのかな、こういうふうに考えております。  これの解消につきましても、二年前でしたか、たしか最初に町村の役場の周辺でなくす、そこからスタートされたと思いますが、そのとき私、地方におりまして不思議だと思いまして、そういうところでは先ほど言いましたような視点からいいますと余り要らないんですね。すぐに電話が、そういう役場があるようなところは大体が公共の今までの通信網があるわけですね。そんなことから、ぜひとももう少し広げた、もう少し人が集まって連絡ができないようなところ、そういうところと通じるようなことということでお話しさせていただきまして、そのことについても御理解いただいて、そのように進んでおると思います。  そこで、これから私もどういうふうに進んでいくのかということをいろいろと見させていただこうと思いまして、その出だしとして、まず、全体構想といいますか目標、今私が申し上げたことについてどういうような目標を持っておられるのか。それと、何かそういう目標に向けての具体的な施策があるのか。あるいは、それは郵政省だけでやれることでない、いろんな民間の団体、NTTとかいろいろ入ってくると思うんですけれども、そういうものをどういうふうに巻き込むのか、あるいは現在の進捗状況、それからこれからの見通しについて、これはもう、きょうはこの点については実務的な話ですので局長にお見えいただきましたので、どうも通信政策局と電気通信局二つにまたがるようでございますので、それぞれ区分けして御説明いただけたらと思います。
  139. 天野定功

    政府参考人天野定功君) それではまず、三点お尋ねでございますけれども、光ファイバーの整備につきましてお話しさせていただきます。  光ファイバー網につきましては、二〇〇五年を政府の全国整備目標としまして、民間主導のもと、郵政省としましても超低利融資税制支援など民間事業者の投資負担軽減のための各種支援措置を講ずることにより整備促進を図ってきているところです。  この結果、大都市を中心としまして光ファイバー網の整備は全般として着実に進捗しておりまして、十一年度末現在、加入者宅の近辺に設置されるポイント、いわゆる饋線点までの加入者系光ファイバー網整備率を申しますと、全国平均で三六%になっております。  これを地域別に見ますと、政令指定都市及び県庁所在地級都市の主要エリアでは九三%、人口十万以上の都市等の主要エリアでは七二%に達している一方で、人口十万未満の都市における整備率は一四%にとどまるなど、地方においてはいまだ整備率の低い地域も多くありまして、地域格差が広がってきているという状況です。  政府目標であります二〇〇五年における全国整備を実現するためには、今後採算のとりにくい地方における光ファイバー整備を強力に推進することが重要であると考えております。  このため、郵政省としましては、平成十三年度、来年度予算でございますが、においてこれら支援措置の拡充を要求しており、これらの要求の実現に向け、今後とも努力してまいりたいと考えております。
  140. 鍋倉真一

    政府参考人鍋倉真一君) 先生、地域のネットワークのことについてお尋ねでございましたので、私はその観点からちょっと御説明をさせていただきたいと思います。  特に光ファイバーということを先生お尋ねでしたので、その点に集中して申し上げますと、実は郵政省では古くはいろいろ自治体のネットワークの整備について補助事業をやっておったわけですが、インターネットの技術を利用しまして構築する地域の高速LANにつきまして、これは光ファイバーも対象にして、地域のイントラネットでございますが、その補助事業を平成十一年度から開始をいたしております。十二年度からは単体ではなくて複数の地方公共団体が連携してやるようなネットワークの整備についても補助事業の開始をしたところでございます。  それで、十一年度以降、今まで補正とかいろいろございましたのでこのイントラネット事業三十五団体三十六億円という累計になっておりますが、今回の補正予算におきましてはこの地域イントラネットをもう少し使いやすくしようということで学校へ、これは学校インターネットもねらっているわけでございますけれども、学校へのネットワークの整備ですとか、あるいは駅とか商店街等、人が集まるところへもネットワークを引くというようなことで、その集まるところで、何といいますか、インターネットカフェみたいなものができるような感じの、そういったネットワーク整備も含めて、何といいますか、制度の拡充という感じでイントラネットの整備事業の要望をいたしております。しかも、今までの累計が三十六億円でございますが、今度の要望では大幅に増額で百五十四億円の要望をイントラネットの事業でやっております。  それから、それ以外に、先生、インターネットの話も出ましたので、若干つけ加えさせていただきますと、過疎地域等で情報化がおくれがちな地域についてインターネットの導入を支援しようということで、地域のインターネット導入促進事業というもの、これは十一年度と十二年度の補正でついたものでございますけれども、十三年度は正式に本予算で要求という形でこの整備事業についても要求をしているところでございます。  以上でございます。
  141. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 それ以外の料金格差の是正は、それは政務次官からですか。
  142. 佐田玄一郎

    政務次官佐田玄一郎君) 今、先生のお話にもありましたように、ITというのは基本的に目的じゃありませんで、これは道具であるというのは、これは当然のことだと思います。それで、大きな要素というのは、私も本当に思いますけれども、地域にいても都会にいても教育、文化、福祉、あらゆる条件が同じになっていく、地域格差をなくしていくということが非常に私も重要になってこようかと思います。  そういう中で、何といってもこれは料金が下がらなくちゃいかぬということは先生の仰せのとおりだと思っております。これまでもNTT等に対して定額制サービスの早期導入を要請するとともに、DSL等の新しい技術の活用や事業者間の競争を通じた定額制サービスの拡大につながる環境整備を今行っているところであります。  東西NTTは、昨年十一月、先ほど私も申し上げたんですけれども、ISDNの関係ですけれども、月額八千円だったものが五月には四千五百円の定額制ということになったわけでありまして、本年七月からは本格サービスとして開始し、現在二十万ユーザーを獲得しまして、今後首都圏周辺そして政令指定都市級の大都市から徐々にサービスエリアを拡大し、本年度末までには県庁所在地級の都市までカバーする計画であります。  NTT以外の事業者に関してでありますけれども、全国に四十二都道府県で百五十二社のCATV事業者が月額五千円から六千円の定額を今実現しているというのに加えまして、昨年末から、これは個別の案件ですけれども、大分にあるニューコアラ等がNTT加入者回線にMDF、これは無線の電波の関係ですけれども、これは失礼しました、主配電盤をつけるんですけれども、MDFというんですけれども、接続することによりましてDSL技術を用いた定額制サービスを開始しております。また、接続条件の整備、いわゆるアンバンドル化やコロケーションのルール化に伴い、日本テレコム等の中継系新規事業者も続々と参入しているというような状況であります。  さらに、北海道、北陸、四国においては、アクセス回線にPHS網を活用することにより低廉な定額制を実現している事業者もおるわけであります。これはNTTを直接使わないで電力会社の線を使って、あとは電波を使いましてこれをやっていくと、こういうことで定額制が実現をされておるわけであります。  このような低廉な定額制の実現に向けた動きを加速するために、通信事業者の新規参入、特に地域通信分野における競争を活性化すべきとの観点から、光ファイバー、DSL、CATV、これがさっき失礼申しましたけれどもFWA、これは無線ですね、新たなインターネットアクセス手段の導入を促進するための環境整備を全力で推進しているところであります。
  143. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。  いろんな難しい言葉が出てきましたので、私、全部理解できないんですが、これはまた議事録等を見せていただいてよく勉強をさせていただきたい。また、それと、こういう関係の資料、必要なときにはぜひいただきたいなと、こういうふうに思っている次第でございます。  それで、今お話を聞いたことから、これからフォローアップを進めてまいりたいと思いますけれども、それとまた別の次の問題です。  先ほどからIT、ITと世の中であれ議会であれ盛んに出てきているわけでございまして、このITというのを私は全然否定しているわけじゃないんですが、新しい大きな社会の変革、変化だろうと思うんですけれども、いわゆる変化するときというのは必ず何かマイナス要素というのが出てくる。その辺をしっかりととらまえて、そのマイナス要素が広がらないようなことを考えなきゃいけないんじゃないか。  ちなみに、私なりに考えますと、例えば自動車社会というのは、これは大変便利な社会になったわけですが、これは別の面で、物理的な面で見れば交通事故が起こって、年間一万人ですか、そういう方が亡くなる。これは自動車がなければそんなことがなかったわけですから、これはひとつの物理的なマイナスでしょうし、それから精神的な面では、これも私のひとりよがりかもしれませんが、いわゆる人間疎外の要素が非常に出てきたんじゃないかと。まあ簡単に会えない人と簡単に会えるようになったということはありますけれども、一生涯で一回しか会えないような人とも簡単に会えるというようなこともございますし、日本人の心理で旅の恥はかき捨てとか、具体的には空き缶が不法投棄されているような問題を見ますと、そういう面がこれまた自動車社会というものの一つのマイナスの面じゃないのかなというような感じがいたします。  そういう面で、このIT社会、これは確かにこれから進むべき方向であると私は思いますが、実際、物理的に、何と言いますか、犯罪でもないんでしょうけれども、犯罪かもしれませんが、いわゆるこれから先、ウイルスなんかによって重要な情報が壊される、社会生活していく上で重要な情報が壊されるというようなことがあれば、これは明らかに物理的な障害になってくると思います。  もう一つ、これは前から申し上げているんですけれども、どうも情報社会というのは今の状況では視覚と聴覚だけの世界ではないのかなということで、これは人間というのはやっぱり五覚といいますか五感といいますか、そういうものがあって初めて意思が伝わり、相手の意思がわかるというものですから、その辺については一つ大きな欠陥があるんじゃないのかなということを御指摘させていただいて、これは私、二年前にこの委員会に所属させていただいてから、大臣がおかわりになるときにいつも御質問させていただきまして、大体そうだというお話を伺っております。  平林大臣も、前回、民間のビジネスマンのお話を例にとられまして、たまには酒を飲まなきゃいかぬというようなことをお聞きしたのでありますが、これだけIT、ITと言ってくれば、やはりそちら側のマイナスの面といいますか、そちら側のものも何か手を打たなきゃいけない時期に来ているんじゃないのかなという気がしてならないのが私の気持ちなんでございます。  その意味で、ましてやこのITというのは民間主導というよりも、むしろ政府がイニシアチブをとってやるわけですから、それに対する対策といいますか、そういうものに付随する問題というのもやっぱり政府としてしっかり考えていかなきゃいけないんじゃないのかな。いわゆるITの国家戦略とか、新聞記事等を読ませてもらいましても前向きの、何といいますか情報のいいことばっかりが載りますけれども、そういうような面についてのものがなかなか見当たらない、これは非常に将来の日本を考えたら憂慮すべきじゃないのかな、こんな気がいたしておるんですが、この前もちょっとお聞きしましたけれども、大臣に再度この辺について御所見をお伺いしたいと思います。
  144. 平林鴻三

    国務大臣平林鴻三君) やはり人間の現実というものをちゃんと見据えないといけませんので、例えばこのごろは田舎に参りましても戸外で自然の中で友達同士で遊ぶということがだんだん少なくなっております。なぜかというと、学校から帰ったらすぐテレビゲームにみんなが熱中するんだという話がありまして、私どもにとってはまことに変わったものだなという感じがいたしますが、人間生活総体にプラスになるようなIT社会でないと、とんだところで間違いを起こすという可能性がございますので、十分注意しながらやってまいらなければいかぬと思います。
  145. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私自身がその対策というのがないものですから、大臣にお聞きするのもそれは無理かもしれませんが、いわゆる何かもう少しそういう面に目を向けたものがないと、今、教育改革とかいろいろ言われている中で、こういうことがまたさらに人間関係を悪化させていくのかなという心配がしてならないわけでございます。これはだからって郵政省が言い出すべき問題かどうかはわかりませんけれども、ずっと見てみますとどこが言い出すのかよくわからない問題でもあるんですね。となると、総理大臣が言い出さなきゃいけないのかなというような気もいたしますが、今あえてそれ以上の御答弁をいただきませんけれども、やはりITを進めていく主管官庁であるわけですので、その辺をしっかりと何らかの格好で表現していただきたいなということを御要望させてもらいまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  146. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 答弁者が交代いたしますのでしばらくお待ちください。  それでは、質疑を続行いたします。
  147. 中島啓雄

    中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄でございます。私は、当委員会質疑は初登板でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  運輸関係について幾つかの御質問をさせていただきます。  まず、運政審の答申の関係でございますが、去る十月十九日に運輸政策審議会で「二十一世紀初頭における総合的な交通政策の基本的方向について」と題する答申を出されました。二十一世紀に向けて交通面の質的な向上を重視するということがポイントであろうと思いますが、特に車社会の負の面からの脱皮が必要であるということで、都市の交通について、定時性や速達性にすぐれた公共交通サービスの提供と利用の促進であるとか、あるいは交通ターミナルの改良等が提言されております。提言はまことにごもっともでございますが、これが早急に実現されてこそ答申が生きてくるわけでございまして、大臣としてどういうふうに実現をされようとしておられるのか、基本的な考え方をお聞かせいただければと思います。
  148. 森田一

    国務大臣(森田一君) ただいま中島先生が御指摘になられましたように、運輸政策審議会の答申第二〇号につきましては、自動車が人々の生活を脅かすことなく真に豊かな生活をもたらし、安心感がある新しい交通システムの形成を目指すということが書かれております。そのために車社会からの脱皮ということを提言しているわけでございます。そして、そのための重要な方策として、都市政策と交通政策を連携させるということが提言されております。そして、その結果、都市機能の適正配置と都市内交通の充実を一体として進めるべく都市と交通の改造を推進すべきだというふうに提言をされておるところでございます。  これはもう先生まさにお詳しいところでございまして、運輸省といたしましては、この答申を踏まえて提言された施策の具体化を図っていきたい、このように思っておるわけでございます。その結果、自動車に過度に依存しない都市と交通の実現が図られることになる、このように考えておるわけでございます。  具体的に申しますと、都市鉄道の整備等の従来から講じられてきた交通政策の利用促進策を着実に推進することが第一でございます。同時に、自動車の利用調整等の需要面からの交通対策、すなわち交通需要マネジメント政策を適切に組み合わせていくことが必要である、このように思っております。そして、その結果、都市部との関連政策を総合的に推進していく必要がある、このように思っておるわけでございます。その場合、都市と交通の改造に取り組む地方団体の指針の策定や制度面、技術面からの多面的な支援について関係省庁と十分に協議をして推進を図ってまいりたい、このように思っておるわけでございます。
  149. 中島啓雄

    中島啓雄君 力強い御答弁をありがとうございました。ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  財源問題が今後の一番大きな問題になろうと思いますが、答申で余り触れられていない問題で地方圏の交通問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、地方圏の公共交通の維持、整備については、基本的には交通事業者経営努力によって行われるべきであり、国、地方公共団体は、その近代化や活性化といった一定の政策目的に沿って所要の支援を行う必要があるというふうに述べられております。  交通事業者経営努力というのは当然な話でございますが、現実はどうもその努力の限界を超えつつある路線がかなり出てきておるのではないかと。マイカー利用の拡大によって地方圏の鉄道・バス輸送量は減少しておりまして、十月三十日の日経新聞の報道などでも、下北交通とか、のと鉄道とかかなり多くの路線が廃止の予定になっておると。企業の論理としては廃止というのはやむを得ない選択でございますが、高齢者、児童生徒などのいわゆる車弱者の足がなくなっては困るということでございますので、そこをどうしていくか。  例えばEU諸国では、EC規則によって七〇年代から公共経済的輸送義務に対する保障というのがきちっと定められておって、特に近年、フランスとかドイツではさらにそれが制度的に充実してきたということでございますので、そういったことも含めて地域交通地域が責任を持つというような仕組みをつくっていくべきではないかと。財源としては自動車重量税等の財源を一部流用するとか、あるいは環境税とかそういったことも考えられるのではないかと思いますが、その辺の御見解をお聞かせいただければと思います。
  150. 岩村敬

    政府参考人岩村敬君) 地域交通の維持の問題でございますが、先般の運輸政策審議会の答申の中でも、公共交通が事業として成り立ちがたい地域につきましては、そういった地域で特に足となっているマイカーが利用できない、そういう方々がいらっしゃるわけでございますが、そういった方の生活交通をどう確保するかという問題について御提言をちょうだいしているところでございます。  要約を申し上げますと、地域の行政の主体的な判断により、地域の実状や住民のニーズに応じ、路線バスの維持、乗合タクシーの活用、スクールバス・福祉バス等の多面的活用といった輸送形態の中から適切なものが選択されることが必要であると。そして国の立場としては、国はその中で広域的な交流に資する交通サービスの維持について支援していくという御提言をちょうだいしているわけでございます。  運輸省といたしましては、今後の生活交通の確保については地方公共団体が今まで以上に中心となって応援をしていく、また国の補助につきましては広域的、幹線的輸送サービスに重点化していく方向で検討をしているわけでございます。また、一方では需給調整規制の廃止が進んでいるわけでございまして、これに伴いまして地域の実情に応じた方策を決定するための地元関係者が協議をする仕組み、これを整備しつつあるところでございます。  このように、先生今御指摘のとおり、地方公共団体が中心となった方策によって地域の公共交通が適切に確保されていくものというふうに考えているところでございます。  もう一点御指摘のあったEU諸国でとられているような契約制度といいますか、そういった新しい考え方につきましては、企業性を発揮させるということが一つの目的になって導入された仕組みというふうに承知をしているわけでございますが、そういう意味では企業性の発揮という面でこの契約制というのはすぐれた面を有しているというふうに我々考えております。  ただ、我が方のこういう政策の中でも、企業性の発揮については、例えば地方バス、離島航路、離島航空については、その補助に一定限度を設けて運営費を補助するとか、中小鉄道への補助は施設とか設備の近代化を対象とするといった工夫をしているところでございまして、補助漬けになって企業性が発揮できないということがないように運輸省としても努力をしているところでございます。
  151. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。  地方協議会、さらにこれを充実させ発展させる方向で御検討をいただければと思います。  次に、JRの完全民営化の問題についてお伺いをいたします。この点につきましては、去る九月十九日の決算委員会でも大臣にお伺いいたしたところでございますが、もう一度その考え方と検討状況をお伺いしたいと思います。  昭和六十二年四月に国鉄改革がスタートしたわけでありますが、JR各社の必死の努力で、サービス向上、事故の減少あるいは労使関係の安定、運賃も値上げを抑制しつつ経営成績もおおむね当初予想を上回っているというようなことで、全体として国鉄分割・民営化は大きな成果を上げたと認識をいたしております。  JR各社がさらに激しい交通市場の中で企業性を発揮して活力ある経営を行うためには、民間企業と同様な経営の自主権を持つことが必要であるということで、できる限り早期に民営化するということが政府の大方針であるということで、この点、大臣からも御答弁ただいたとおりでございます。既に民営化後十三年を経て、株式が上場され、大臣初め皆様の御努力で清算事業団の債務処理についても抜本的に解決がなされた、こういう段階において、基本的にはJRの完全民営化を決断する上で障害が残っていないのではないかと考えますが、その辺の御見解を伺いたいと思います。  さらに、さきの御答弁でも、本州三社間の意見が若干異なるというようなことで、その辺の環境整備を進めるというお話もございましたが、そういった条件の調整を進めて、できるならばやはり同時に完全民営化というようなことが一番望ましいわけでございますので、大臣には大変お手数をおかけいたしますが、そのようにぜひ努力をしていただきたいと存じますが、現時点の環境整備の状況といいますか、そういうものもあわせてお聞かせいただければと思います。
  152. 森田一

    国務大臣(森田一君) 先生がただいまおっしゃいましたように、昭和六十二年に国鉄改革が行われたわけでございますが、それ以降、JR東日本、JR西日本、JR東海の本州三社につきましては順調に推移してきておるわけでございます。すなわち、各社ともサービス水準の向上や事業運営の改善等に努めてこられ、経営も順調に推移しておるものと高く評価をしておるわけでございます。  運輸省としましては、できるだけ早期に完全民営化するということは大方針でございます。先日も本州三社の社長さんに来ていただきまして、直接そのお考えを承ったわけでございます。ただただいまお話がありましたように、本州三社のうちに、JR東日本、JR西日本とJR東海との間で、JR東海も完全民営化については同意をしておるわけでございますが、完全民営化への道筋の考え方について差があることは先生も御指摘のとおりでございます。そこで、近く完全民営化に慎重なJR東海につきましても、社長さんに来ていただきまして、再びお話を伺って環境の整備に努めてまいりたい、このように思っておるわけでございます。  JR完全民営化に当たりましては、鉄道ネットワークの維持やJR会社の地域社会に及ぼす影響、安全性の確保などについてもいろいろ検討をしなきゃいかぬ点があることは事実でございます。しかし、これらの点を十分に検討を進めて、できるだけ早期に完全民営化をするために環境の整備に努めてまいる所存でございます。  なお、先生が御指摘のように、三社が同時に民営化されるということが理想的でございます。そのために引き続き努力をしてまいる所存でございますが、いずれにいたしましても、それらも含めまして検討を重ねてまいりたいということを考えております。
  153. 中島啓雄

    中島啓雄君 ありがとうございました。ぜひ早期に結論が得られるようにお願いをいたしたいと思います。  次に、整備新幹線絡みの影の部分といいますか、そういったことについて質問させていただきたいと思います。  整備新幹線建設につきましては、運輸省の十三年度の概算要求で千五百億円の公共事業費を要求されるというようなことで敬意を表しておりますが、その影の部分として在来線の経営と貨物輸送の問題がございます。完成後の経営分離された在来線は、旅客の方はローカル輸送だけになりますので当然経営は厳しい。それから、仮に廃止ということにでもなると、今度は貨物輸送のルートがなくなってしまうというようなことにもなります。  特に、貨物については環境エネルギー対策の見地からも幹線ネットワークを維持することが必要でありますし、その場合の条件として、在来線を走る際の線路使用料を従来の旅客会社との契約のとおりアボイダブルコストの水準にしたいとか、あるいは災害の際に早急な復旧がおくれては困るとかいろいろな要望が、これは荷主側からも出ておりますが、そうした問題に対する運輸省のお考えを伺いたいと思います。
  154. 泉信也

    政務次官(泉信也君) 中島委員御指摘のように、鉄道による貨物輸送というのは、環境面、エネルギー面、あるいは交通安全の面から大変重要な役割を担っているわけでございまして、これまでもインフラの補助あるいは税制優遇等で運輸省としては努力をしてまいりました。このことは、御指摘の新幹線整備後の鉄道貨物輸送につきましても特段の配慮を払う必要があると思っております。  盛岡―八戸間の鉄道貨物輸送については、御指摘のように並行在来線を走行するということになったわけでございますので、この線路使用料については青森、岩手とJRの間で話し合いが今持たれておるところでございます。私どもとしては、先月の二十七日に岩手県の第三セクター経営計画概要が決定され、青森県も近々こうしたものができるというふうに承知をしておりますので、JR貨物との間で適切な線路使用料ができるように努力をしていく所存でございます。  この線路使用料の設定につきましては、JR貨物において今までと違ってやや負担増になるということが予想されるわけでございまして、整備新幹線の整備に伴いJR貨物がこうむる損失の一部については何らかの措置をとらなければならない、今検討をしておるところでございます。
  155. 中島啓雄

    中島啓雄君 ぜひよろしくお願いいたします。  最後に航空関係、特に羽田の問題について若干伺いたいと思います。  首都圏の航空輸送需要は相変わらず増大をしておりまして、羽田の新B滑走路ができてもなお容量不足だと。それに加えて早朝、深夜の国際線化の問題であるとか、第三空港とかいろいろ出ておりますが、羽田の容量というのがこれまた、いろいろ技術的な問題はよくわかりませんが、外国の同じような空港に比べるとかなり容量が低い。新滑走路使用で二十七万回と言われておりますが、例えば二本滑走路のニューヨークのラ・ガーディアは三十二万回だとか、マイアミは三本滑走路で四十八万回といったような例もございますので、そういったことも含めて今後の容量増強策といったことについてお考えを聞かせていただければと思います。
  156. 深谷憲一

    政府参考人深谷憲一君) お答え申し上げます。  羽田を中心としました首都圏の航空容量につきましては、御指摘のとおり、もう間もなく二十一世紀でございますけれども、二十一世紀の初頭には羽田の容量も限界に達するというふうなことで、首都圏における将来の航空需要に対応するために空港能力の一層の拡充を図る必要があるだろうということから、いわゆる首都圏第三空港の構想につきまして、我々といたしましても本格的に調査、検討を開始したところでございまして、複数候補地の抽出、それからその総合的な比較検討、こういったことを行うために首都圏第三空港調査検討会というものを省内に置きまして、第一回を九月二十六日に開催させていただきましたけれども、学識経験者の方々、あるいは関係地方公共団体などから広く御意見を伺うこととしておりました。最近では、定期航空協会でございますとか東京都から羽田の再拡張の案についても御提案がございました。処理能力の拡大の可能性あるいは航空機騒音問題、あるいは港湾機能の問題等々検討を進め、この調査検討会で十分検討してまいりたいと思います。  また、御指摘の羽田空港の現在の容量につきまして、平成十年ベースでございますけれども、三本滑走路で約二十四万回近い数字、実績がございますが、現在、羽田空港につきましては騒音等の観点から飛行経路につきまして一定の制約がございます。そういう関係でそういった容量になっておりますけれども、諸外国におきましては飛行経路等の関係で先生御指摘のような容量を処理している空港もございますれば、例えばパリのオルリー空港、これも三本滑走路がございますが、これも二十四万回程度と、それぞれの置かれた状況によって、管制等の観点あるいは騒音等の観点からそれぞれ容量は異なる部分もあろうかというふうに承知しております。  いずれにいたしましても、首都圏の空港容量につきまして、将来に向けて十分検討してまいりたいと思います。
  157. 中島啓雄

    中島啓雄君 終わります。
  158. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民主党・新緑風会の山下八洲夫でございます。  大臣に、質問通告していないんですが、きょう午前中、郵政大臣に対する質疑がございました。そこで随分IT、ITという発言が多く出まして、また、去る十月三十一日、大臣の所信なのかあいさつなのか私はちょっと理解できないんですが、これを私も拝聴させていただきました。  その中で、私の感想といたしまして、まず一つは、ITについてはIT一括法が多分この委員会に提出されるだろうから、そのときにしっかり議論させていただきたいと思いますが、ITというとインフォメーションテクノロジー、情報技術かなというふうに思うんですけれども、これだけIT、IT、最初は森総理はイットと言ったらしいんですけれども、IT、ITと言ったら、これ日本語なのか英語なのか、さっぱり私には理解できなくなってきまして、大臣はどちらだと思いますか。
  159. 森田一

    国務大臣(森田一君) これは、ただいま山下先生がおっしゃられましたように、インフォメーションテクノロジーということで、なかなか日本語に訳することは難しくて、ITと言う方がわかりやすいというふうに私は思っております。
  160. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 私、これだけではなくて、いろんな役所の公式文書に片仮名、これローマ字と言った方がいいのか英語と言った方がいいのか、たくさん出てくるんですね、最近。まず政治の場から少しはこういうところも改革しないといけないんじゃないかなと、つくづくこのITで特に感ずるようになった次第でございます。その辺きっと、これ以上申し上げませんが、検討の余地があるんじゃないかと。これは閣議でも一度発言していただきたいなというふうに思います。  そういう中で見ていますと、IT革命の推進についてはその中でいろいろと書いてございますけれども、ITSは、今度はTはITのTとこちらのITSのTは全然意味が違うんですけれども、高度に情報化された交通システムと今度は括弧でくくってあるんです、こっちは。だから、私はこれクイズを読むのかなと思っているんですが、その辺の冗談は別にいたしまして、このITSの予算が、予算書を見てみましても、ITやらITSをうたっている割には貧弱だなというのが率直な私の感想です。  この補正予算書では、公共事業費二千九億円あるいは行政費三百六十二億円と、港湾、海岸、空港、都市幹線鉄道などなど、ばあっといろんなところに余りにもばらまいているんじゃないかなと。今までのばらまきというのは補正予算にも出てくるんだなというふうに私は感じるんですが、大臣はどのように思いますでしょうか。
  161. 森田一

    国務大臣(森田一君) 確かに補正予算、いろんなのが出てまいりますが、基本的には二〇〇一年度予算、来年度予算につきまして、これが前倒しをできるものがないかということで各省ともやっておることと思います。  ただ、このIT関係の、対応型の自動車交通関係につきましては、次世代知能自動車三億三千三百万とか、ITを活用した道路運送の高度化事業二億四千二百万とか、あるいはナンバープレートの電子化五千九百万、先進自動車技術評価事業一億二千万と、こういうような要求をしておるわけでございますが、これらについても実は補正予算に計上できないかということで検討したのでございますが、いずれも相手方との関係等もありまして補正予算には計上できないということで、補正予算にのっておらないわけでございますが、来年度予算におきましてはこれらの予算をしっかりととっていきたいと、このように思っておるわけでございます。
  162. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ただいまの決意を私は受けとめておきます。  そういう中で、もう盛んに少子高齢化、高齢化と言われております。そして、この中にも高齢化対策がうたわれているわけでございます。鉄道駅におけるバリアフリー化を初めいろいろと施策は出ているわけでございますが、その中でノンステップバスの予算が五億円組まれているわけでございますが、私はこれ大変いいことだと思っています。  ただ、ノンステップバスというのは、私は多分一車両三千万ぐらいするんじゃないかと思ったら、どうも最近安くなって二千三百万から五百万で買えるというようなこともおっしゃっています。そういう中で、国が四分の一、そして地方が四分の一、あと二分の一は事業者と、こういうふうになってくるわけです。二千三百万としても、大ざっぱに割っていきますと百台分しかないんですね。だけれども、全国で六万車両あると。そして、二〇一〇年には二〇%から二五%にしていくと。  高齢化対策、特に弱者というのは、先ほども中島先生の方からちょっとお話がありましたけれども、地方で本当に高齢者が困るところでこういうものが必要なんですね。その割には、ほかの予算のばらまきからすればちょっと貧弱じゃないかなという感じがするんです。いかがでしょうか。
  163. 森田一

    国務大臣(森田一君) ノンステップバスにつきましては私も大変関心を持っておりまして実際に乗りにいったわけでございます。そして、各バス事業者とも計画的な導入計画を講じておるわけでございます。確かに不十分な点もありますが、これから導入計画に応じたいろんな要望につきまして力を尽くしていきたいと、このように考えておるわけでございます。  御存じのように、バリアフリー法が成立したわけでございますが、この審議の過程でも、先生が今おっしゃいましたように、十年間で総車両六万両の二〇%から二五%、一万二千両から一万五千両をノンステップバスにすることを目標としておるわけでございます。いろんな面がございますが、これからも可能な限り導入割合をふやしていくように力を尽くしていきたいと思っております。
  164. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 先ほど政策局長さんですか、何か国も支援するというような御答弁中島議員の方にされていましたけれども、(「総括政務次官じゃないかな」と呼ぶ者あり)そうじゃなくて、私、大臣に聞きたいんですけれども、このノンステップバスの補助金というのは、助成金というのはJRバスには補助できるんですか。
  165. 森田一

    国務大臣(森田一君) これは、直接にはJRバスは今のところは対象になっておりませんが、これらの問題については、実態を踏まえながら、JRバスの役割について十分に念頭に置きながら考えていかなきゃいかぬと思っておりまして、関係省庁とも十分に検討してまいりたい、このように思っておるわけでございます。
  166. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 この問題は後ほどバス問題でまた質問させていただきます。  先ほどもJRの完全民営化についての質疑があったわけでございますが、私も若干スタンスが違う立場から質問をさせていただきたいと思います。  大臣所信でもJR会社の完全民営化の実現に向けた環境整備をうたっておりますし、そういう中で、JR会社の完全民営化については多分次の通常国会あたりには法案が出てくるんではないかなというふうに私も思っています。そのときにまた本格的な議論はさせていただきますが、現在、JR各社、これは特に本州三社を指した方がいいと思いますが、これは民間会社なのかあるいは特殊会社なのか、どういう会社なんでしょうか。
  167. 安富正文

    政府参考人安富正文君) お答えいたします。  JR東日本、西日本、東海も同じでございますが、国鉄の分割・民営化に伴ってJR会社法という、いわゆる通常の民間の規制とは違った特殊規制を受ける特殊会社として発足したわけでございますが、一方、委員御承知のとおり、いわゆる東証の方に上場しておりますので、その点では商法の規制を受ける民間会社という側面も有しているということでございます。
  168. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 民間会社の側面も有しているということは、民間会社でありながら民間会社でない部分もあるというふうに理解していいんですね。
  169. 安富正文

    政府参考人安富正文君) そういう意味ではそういうふうに理解していただきたいと思います。特に、今回完全民営化と言っておりますのは、まさに純粋の民間会社にするということを目指しているということでございます。
  170. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 実は私はこの質問に当たりまして、JR東会社の社長さんあるいはその方にかわる方を参考人としてこの委員会出席をお願いいたしました。委員長さんを初めそれぞれ各党の理事さんの同意を得まして、理事懇でJR東会社に要請していただいたわけでございますが、残念ながらこの期待にこたえることなくJR東会社は拒否をされました。  この拒否の回答が、「参議院交通情報通信委員会(十一月七日開催予定)に「JR東日本の労使問題について」出席のご要請がありましたが、当社の労使関係については、平和裡に話し合いによる問題解決を基本としてきており、また一会社内の問題でもありますので、出席については控えさせて頂きたいと思います。」と。  私、大変残念なんです。私は、JR東会社といいますと鉄道会社で日本一の会社だと思っているんです。すばらしい会社だと思うんです。だから、学卒の皆さん方もあそこへ就職したくてもなかなか入れない。一〇〇%純粋な民間会社であっても、委員会で議決をすれば当然参考人で来てくださるのに、JR東会社は、こんなところは来るところじゃないと言って断っていらっしゃるんです。そのことについて、大臣、どう思いますでしょうか。
  171. 森田一

    国務大臣(森田一君) これは理事会で協議されたというふうに聞いておりますが、JR東日本がそのように回答しておられるということは実は存じませんでしたが、先生の御要望にこたえられなかったことは非常に残念に思う次第でございます。
  172. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 こういう体質がまだ残っているようじゃ、先ほどのお話とはちょっと意見が変わってくるんです。そう簡単にはまだまだ完全民営化しちゃいかぬのかなと思ったりせざるを得ないんです。  私は、本当ならこれから先いろいろとJRにお聞きしたかったんです。JRが見えないから、大臣や運輸省に仕方がないからお尋ねさせていただきたいと思います。そして、不十分だったら、私はJR東会社にここへ参考人として、それをまた同じように拒否をされるなら、私は今度は証人喚問しかないのかなと思ったりしながら、そういう気持ちを込めて若干質問させていただきたいと思うんです。  私も、我が党の運輸部会で本州三社の会社側の皆さん方から完全民営化へ向けてのレクを受けました。たまたま私の都合で、西と東海はお聞きしたんですけれども、東のときにはちょうど席を外していまして、後ほど資料だけはいただきました。  この資料を見ますと、もう国鉄改革は国会で十分な審議を経て実行されたものであり、JRの早期完全民営化は改革以来一貫した政府の基本方針でありますとか、あるいはJRは法律等で定められた改革の基本スキームに懸命に経営努力を重ね、着実な成果を上げておりますと。中にいろいろ書いてあります。例えば、三割も輸送力が増強したとか、先ほどお話ありました事故も減ったとか、いろいろといいことばっかり書いてあります。  その中で全然触れられていないものが二点あるんです。  一点は、国鉄改革が終わってもう十三年余過ぎているわけでございますが、労使関係問題というのが全然触れられていないんです、この問題では。労使関係問題がどうなっているのかなということをお聞きしたかったんです。だから、ここは運輸省にしっかりと、労使関係御存じなんでしょうから、答弁していただきたいのが一点です。  それからもう一つ、きのう、私の同僚議員のところに、JR総連の執行委員長の小田裕司さんの名義で、質問してほしいという要請書、それから書類とたくさん来ました。たまたま私がきょう質問に立つものですから、山下さん、質問しておいてよと頼まれましたので、そのこともあわせてちょっと触れておきたいと思うんです。  これは全部読みますと長くなりますが、JR各社には国鉄から継承した多くの地方交通線があり、経営の効率化が進められる中、駅の無人化や列車のワンマン化などさまざまな施策が行われてきました。JR総連傘下の各組合は労働組合の社会的責任を果たすため、安全性の確保、乗客の利便性向上を含めて施策のチェックを行い、労使交渉を重ねてまいりました。労働者からの不安や疑問を無視し、あるいは地域との合意がないまま、施策を強硬に実施し、安全が脅かされておると。ですから、そういう問題解決に労働組合ではなかなかできぬから、ぜひ国会質問してほしいと言われたんです。  こういう問題がJRにはまだ残っている。例えば電車のワンマン化の問題とか、あるいは駅がどんどん無人化になっている、これは効率性等の問題があろうかと思いますが、そういう問題で話がなかなか進まないというような問題も抱えているんです。そういう中で、委員会でこういうことをお尋ねしたいのに、参考人として来ていただけないんだから、運輸省は責任を持って答弁していただきたいと思います。
  173. 森田一

    国務大臣(森田一君) ただいま先生が御指摘になられましたように、規制緩和というのと安全の問題というのは非常に悩ましい問題でございます。両方を追求していかなきゃいかぬ問題でございますが、無人化とかあるいはワンマン化という問題もありまして、これらの問題につきましても、経営がうまくいって、そして安全が確保されるようにしっかりとやっていかなきゃいかぬと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、規制緩和になって安全がおろそかになるというようなことは絶対にあってはならないことでございまして、その点につきましては全く先生の御指摘は正しいというふうに思っております。
  174. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 こういうことがあってはいけないと思いますし、私自身も信じたくありませんが、JRの東労組内の革マル派の疑惑といいますか、懸念といいますか、そういうものについて若干質問させていただきたいと思います。  御案内のとおり、本州三社、いろんなことでマスコミに出るんですけれども、私の印象では一番東会社がマスコミをにぎわしているんじゃないかなという印象を持っております。またいろんなビラもあっちこっちに飛んだりしますし、そういうふうに印象を持っています。これは間違っているかもわかりません。  ただ、その前に運輸省にお尋ねしたいんです、JRにかわって。警察庁発行のこういう立派な冊子、御存じだと思いますが、この中にいろいろと革マル派のことが書いてあるんです、これは革マル派特集。こっちは「警備情勢を顧みて」。この警察庁発行の「焦点」はもちろん御存じだと思いますが、そこで、革マル派というのはどんな組織なのか、説明してほしいと思います。
  175. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 私どもも、先生今ごらんになっております小冊子、警察庁が平成十一年度に出した「焦点」、「回顧と展望」、「警備情勢を顧みて」ということで出されている報告書については承知しているところでございます。  ただ、具体的に革マル派がどういう組織かということでございますが、我々自身、革マル派という名称は運輸省という立場では承知しておりますけれども、その具体的な組織の活動あるいは具体的な組織の実態というものについては必ずしも十分把握しているわけではございません。
  176. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 それでは、警察庁にお尋ねしたいと思います。  ことしの七月二十六日の朝日新聞なんですが、「なお三つの関門」というのか懸念というのか、その中の三つ目に労組問題が書かれております。   六月二十八日、東京都内で開かれたJR東日本の株主総会は、緊張感が漂っていた。   株主 経営首脳は、労組のなかの革マル派と癒着している。改めてほしい。   役員 革マル派という名前が出たが、いかなるものかは承知していない。   一部の株主が、過激派の革マル派と多数派組合であるJR東労組との関係や経営陣との関係を問い、会社側が否定する──。 こんなようなことを云々かんぬんと書いてあるんですが、私は日本の一流紙が余りでたらめなことは報道しないと思うんですが、そこで、革マル派という過激派のセクトのことだと思うんですが、昨年二月の警察庁発行のさっきの「焦点」によれば、最近同派の非公然アジトが次々と摘発され、その活動実態が明らかになったとのことであると。警察当局に対し、まず革マル派の概要を知る限り、御報告できる範囲で御報告していただきたいなと思います。
  177. 金重凱之

    政府参考人金重凱之君) お答えいたします。  お尋ねの革マル派についてでございますけれども、帝国主義打倒、スターリニスト打倒ということを掲げまして共産主義革命を目指す極左暴力集団でございまして、これは、同じく極左暴力集団の中核派と並ぶ組織力を有しておりまして、現在その数は約五千人というふうに見られております。  革マル派は、昭和五十年代初めまでは対立しております中核派や革労協との間で殺人を含む数多くの内ゲバ事件を引き起こしておりましたが、その後組織拡大に重点を置きまして、党派性を隠しまして基幹産業の労働組合等、各界各層への浸透を図っておるなど、極めて非公然性、秘密性の強い組織でございます。最近では、革マル派の非公然部門が対立する団体や個人などに対しまして住居侵入だとか窃盗、電話盗聴等の違法行為を組織的に引き起こしておるなどの事実が平成十年に摘発いたしました豊玉アジト等から判明しておるわけでございます。  なお、警察といたしましては、これら摘発した非公然アジトの押収物の分析等によりまして、平成十年以降、例えば平成九年五月に神戸市須磨区で発生しました小学生殺人及び死体遺棄事件に関連しまして、検事調書を保管していた兵庫県内の病院に侵入して検事調書等を盗んだ事件などや、早稲田大学の法学部教授宅の電話を盗聴していた事件を初めとしまして、各種事件で革マル派活動家六十五名を検挙しておりまして、現在三十名を指名手配中であるところでございます。
  178. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 運輸省、今お聞きになってどんな組織かおわかりになったと思います。私は怖いなと感想を持ったわけでございます。  それで、もう一つ警備局長にお尋ねしますけれども、昨年の一月に公安調査庁が出しました「内外情勢の回顧と展望」において、JR東労組への浸透が一段と進んでいると記されているんです。また、警察当局が摘発しました革マル派のアジトから、今もお話があったわけですが、JR関係の資料が大量に押収されている、JRに関する事件の一部被疑者を逮捕して捜査中とも私は聞いております。  一方、最近では革マル派が、JR総連下のJR九州労、組合員が大量に六百何人、七百人弱脱退したわけでございます。そういういろんなビラが飛び交っています。それで、この「解放」という新聞ですが、これは革マル派の新聞です。「JR九州労四人組によるクーデタを打ち砕け! JR総連労働運動の炎を燃えたたせよ!」、政治組織局というところから出ているんです。その中で、全部読むと時間がなくなりますのでポイントだけ申し上げます。「JR総連に結集するすべての組合員諸君! そして、その内部でたたかうわが党員諸君!」、この革マル派の機関紙で、政治組織局から出しているこれでJRの中に革マル派がいますよというのを認めていると私は読み取れるんです。ですから、そのことを考えますと、私はゆゆしき問題だなと正直思います。そういう中で介入しているんじゃないかなという心配をしておるんです。  そこで、最近の革マル派のJR内組織運動にどういう取り組みをしているか、JR内の組合の中で、状況が把握できて報告できる範囲であったら御報告いただきたいと思います。
  179. 金重凱之

    政府参考人金重凱之君) お答えいたします。  ただいま申し上げました革マル派でございますけれども、JR内の労組運動に大変強い関心を示しておりまして、これまでも機関紙等におきましてJR総連やJR東労組を支援、擁護する記事を掲載するなどの動向が見られるところでございます。  今御指摘ありましたように、最近発生しましたJR九州労の組合員の大量脱退事案に関しましては、機関紙やビラにおきましてJR総連内における革マル派組織への呼びかけを行う一方、脱退した組合員に対してJR九州労への復帰を訴えておるという状況でございます。  他方、革マル派は、JR労組内の対立動向に絡みまして非公然部門による違法行為も引き起こしております。具体的には、平成七年の十月ごろに、電話の盗聴を目的としまして鉄労友愛会議議長宅に対する電気通信事業法違反事件等、それからまた盗聴器の設置、資料の窃取を目的としまして平成八年八月に国労書記長宅への住居侵入事件を、同じく十一月にJRの西労組委員長宅への住居侵入事件を、それから九年の五月に国労執行委員長宅への住居侵入事件をそれぞれ引き起こしているところでございます。  警察としましては、これらJR関連事件に関しまして、これまで革マル派の非公然部門の活動家三名を逮捕いたしまして、現在四名を指名手配しているところでございます。
  180. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 今三名逮捕で四名指名手配というようなことも出たわけでございますが、もう一点、警備局長質問させていただきたいと思います。  今の革マル派ですが、党派性を隠してJRなどの基幹産業の労働組合等に潜入していると、この「警備情勢を顧みて」に記載されております。具体的にJR総連東労組と革マル派の関係、どのようになっているのか、その点についても御報告いただきたいと思います。
  181. 金重凱之

    政府参考人金重凱之君) お答えいたします。  警察といたしましては、平成八年以降でございますが、革マル派の非公然アジトというものを十カ所ほど摘発いたしておりまして、これらのアジトの一部から押収した資料の分析によりまして、革マル派が国労の役員宅やJR連合傘下のJR西労組役員宅に侵入した事件を検挙したりいたしました一方、JR総連東労組内における革マル派組織の実態につきまして解明を進めているところでございます。  これまでのこうした警察活動を通じまして、警察としましては御指摘の労働組合に対して革マル派が相当浸透していると見ているところでございます。
  182. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ですから、今の警備局長の御答弁をお聞きしておりまして、私はだんだん怖さも率直に言って感じます。そういう中で、先ほどは新聞記事を引用しましたけれども、株主が心配するのは当然だろうという気もいたします。  そういう中で私は大変残念だったのは、先ほど申し上げましたように、JR東会社の責任ある方にもこの問題については真剣に受けとめていただいて、それなりにJR東会社は反論するそういう機会もあるわけでございますから、もし間違っていれば堂々とここで反論していただく、これが一番よかったと思うんです。これについてはまた後ほど理事会でお願いして、参考人の機会をつくってもらいたいなと思っております。  そういう中で、私も正直言って特に本州三社は一日も早く完全民営化すべきだ、そう思っています。だけれども、このような懸念を持っているものを率直に言って来年早々に私は完全民営化していいんだろうかなと、国民の一人として一抹の不安もあります。  特に、今の警備局長答弁を聞きまして、大臣はどのような感想を持ちましたでしょうか。
  183. 森田一

    国務大臣(森田一君) 公安調査庁やあるいは警察庁の報告等でいろいろ指摘されておることはよく承知をいたしております。ただ、この問題は基本的にはJR東日本が適切な事業運営を図る上で必要となる健全な労使関係をどうやって構築していくかというような、JR東日本の経営上の問題であるというふうに認識をしております。  運輸省といたしましては、安全で安定的な鉄道輸送の確保が最大の関心事であります。このような観点からすれば、JR東日本が先生が御指摘になりましたようないろんな背景で現在既に不適切な事業運営が行われておる、このようには考えておらないところでございます。そして、このような問題はありますが、いろいろ御意見をお伺いして、運輸省といたしましては完全民営化はぜひ実現していきたいと、このように考えております。
  184. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 今の問題が経営上の問題ということではないと思いますよ、私は。株主も心配しているんですよ。これは国民的な心配事だと思うんですね。そんな大臣、甘い考え方じゃ、私はびっくりして今お聞きしているんですけれどもね。だって、先ほど警備局の答弁をお聞きしておりましたら、私はもう今夜から薄暗いところを歩けぬのじゃないかなと思うような気持ちで聞いておりました、正直言いまして。  そういうものが大きく疑われているわけでございますから、それをきちっと、大臣が晴らす、運輸省が晴らすという決意があるんなら、私は早急に完全民営化したいんですからわかるんですけれども、そういうことをおっしゃって、経営上の問題だといって、あとは何をやったって、赤字を出さない、黒字を出せばいいんだという発想じゃだめですよ。もう一遍答弁お願いします。
  185. 森田一

    国務大臣(森田一君) 確かにそういうことで私も懸念を抱きましたので、JRの大塚社長を招きましていろいろ話を聞きましたが、しかし最終的にはJR東日本の経営上の問題であるという私の考えは変わりませんでした。いろんな効率や安全性という両面を追求していくべきだと思いますが、これの両立性というのは非常に難しい問題でございますが、しかし最終的にはこれを両立させて、そして健全な運輸行政を実現していく、これが私の使命であると考えております。
  186. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 これ以上ここをやりとりしても時間が足りなくなりますので、もう一点、ちょっと職場規律が荒れているんじゃないかなというようなことについて質問させていただきたいと思います。  JR東日本総合研修センターというのがあるんです。これは資料を要求しましてもきちっとした資料をもらえないものですから建設に幾らかかったかわかりませんけれども、約二百六十億円と言われております。  フジテレビのFNNニュース、平成十二年九月四日に放送したんですけれども、これは私、こうやってテレビデジタルカメラで写してきれいに起こしたんですけれども、ひょっとして著作権法に触れたらいけませんから配るのをやめました。それでこれ、大臣に一枚だけちょっとお渡ししたいと思いますので、お許しいただきたいと思います。(資料を手渡す)  実は、ことしの四月にこれはオープンした建物です。建物はこんなに立派なんですね。建築面積二万二千七十・〇一平米ですか、相当大きいんです。敷地面積四十九万三千強平米です。それで、フジテレビのFNNニュースでJR東が四月にオープンしたばかりの福島県の白河市にある社員研修センターで異常が起きたということを放送したんです。  これはニュースどおり左側に書いてあるんです。読みますと、JRの研修施設で乱暴な職員が壁や天井などを壊すなどの被害が相次いでいることがJR東日本の内部資料でわかりましたということで、隣にテロップなんかが出ているんですけれども、そして、問題の施設はことし四月、JR職員の研修を目的に福島県白河市に建設されたJR東日本の総合研修センターですと。内部文書によりますと、研修に訪れた職員による施設の破壊被害は先月までのわずか四カ月の間に二十二件に上り、壁や天井、トイレの便器、さらにはエレベーターまでが壊されたと、こういう実態です。また、七月には、コーヒーはもう飲み終わったですね、ふろ場の中に排便した跡がありましたと、こういう実態です。この施設では、先月というのは八月になりますけれども、先月九日に酒に酔った職員が吹き抜けの階段から転落し死亡する事故も起きており、JR東日本は先月十八日付で異例の注意文書を配付していますと。  二百六十億かかった、それから四月にオープンして七月いっぱいでこんな状況が起きたんだというテレビニュースですよ。  これに対して、新聞でちょっとコメントを見つけたんですよ。一つは、会社の広報担当者は、すべてが故意によるのかどうかわからない、外部の目がセンターに向けられることは、研修生にとってもみずからを律するいい機会と話していると、こういう談話を出していますね。人ごとみたいですね、これは。  それから、OB職員は、国鉄時代もこんなひどいことはなかったよというような談話もあります。こういうのが、もう完全民営化したらもっとひどくなるんじゃないかと心配です。だから、今のうちにきちんとさせないといけないんです、今のうちに。  そして最近では、これは多分JR東会社の総合職の偉い人、出世コースの人だろうと思いますが、ことしの十二年四月からここの研修センターの講師になったんです。もう嫌になったんだと思うんですけれども、急に九月の末にもうやめちゃったと、こういう事例まで出ているんですね。名前は伏せます。こういう事例まで出ています。  だから、私は、先ほどの件といい、この件といい、もう少し真剣に、大臣考えないといけないと思うんです。今の私の感想はいかがでしょうか。
  187. 森田一

    国務大臣(森田一君) ただいま先生がおっしゃいました研修センターにおいて事故があったということは聞いております。ただ、講師の件については初めて知りました。そして、JR東日本がこの研修センターに対して厳重に注意したというふうに聞いております。
  188. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 死亡事故を出して厳重に注意する程度でいいのですかね、本当に。死亡事故まで出ているんですよ。おふろ場へ排便しているんですよ。エレベーターを壊しているんですよ。常軌を逸しているんじゃないですかね、これは。  では、JRがそうやって厳重に注意したので、大臣、はい了解とやったのですか。
  189. 森田一

    国務大臣(森田一君) 私につきましては、具体的にこれについて私の判断を求められるということはございませんでしたので、今まで判断する機会がなかったわけでございますが、こういう事実があったということは承知しておりますし、また厳重に注意して、今後このようなことが起きないようにするというふうにしておるということを聞いております。
  190. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 完全な民間会社ではありませんので、厳重に注意ぐらいじゃなくてもっと厳しい処分を含めた指導をしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  そこで、警備局長にお尋ねしたいと思います。  この死亡事故が発生して警察が駆けつけたら、五、六十人集まりまして、何しに来たんだ、警察はと。そうして帰れとかいろいろと叫びながら、事情聴取やあるいはその捜査を大変妨害したというようなことをお聞きしておりますが、その辺について事実関係がわかれば御報告いただきたいと思います。
  191. 金重凱之

    政府参考人金重凱之君) お尋ねの件につきましては、ことしの八月九日の夜でございます。  福島県白河市に所在するJR東日本研修センターにおきまして、同所で研修中のJR東日本高崎支社の社員が、飲酒した後に生活サービス棟三階の吹き抜けのらせん階段の手すりから一階ロビーに転落、救急車で病院へ搬送されたと。しかし、脳挫傷で死亡した事案と承知しております。  この事案につきましては、JR東日本研修センターからの連絡によりまして福島県白河警察署の捜査員三名が現場へ急行しましたところ、現場周辺に研修生四、五十名が集まっておりまして、捜査員が事情聴取のため目撃者を探そうとしたところ、研修生の一部の者が、ただいま先生から御指摘ありましたように、何で言わなければならないんだと、あしたでもいいじゃないかなどと騒ぎまして、約三十分にわたりまして捜査の中断を余儀なくされたわけでありますが、その後、捜査員の説得によりまして混乱が収束して、目撃者等からの事情聴取等が行われたというふうに聞いております。  なお、本件につきましては、福島県警察から、過って三階らせん階段の手すりから転落した事故死という報告を受けておるところでございます。
  192. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 最後は何か事故死のようでございますが、いずれにしましても、今、警備局長答弁にも、かなり混乱したということは事実と認められたようでございます。こういう実態はいろいろとあるんです。  まだたくさん質問したいのがあるんですけれども、あと、バス問題も行いたいものですから、この問題はこの辺で収束したいなと思っておりますが、私は、この質問にJRに参考人を要求しましたら、来もしないのに、JR東会社はロビー活動をしたんでしょうかね。私は十五年の国会議員経験で初めてです。山下さん、何質問するの、山下、何質問するのと十人以上の人から、あっちこっちから私のところへ問い合わせがあったんです。それぐらい、びっくりしました。私は、十五年以上の経験でこんな経験したのは初めてです。ロビー活動は一生懸命だけれども、そして国会へ来るのは嫌だというんですからね。こういう一連のことを、大臣、お聞きしながら、当然東会社は、反論したければここへ参考人で来て堂々と反論すればいいんですよ。  ですから私は、次回、まだ残りもたくさんありますし、運輸省だけの答弁では納得しておりませんから、また次の機会、多分幾ら遅くても完全民営化の法案が出れば私も質問させてもらいますから、必ず要求しますので、その点、強い指導だけはしておいていただきたいと思います。  そして、心配する人は、先ほどもちょっと言いましたけれども、山下さん、夜遊びするなよとか、そういう注意までいただいておりますから、私もこれから当分夜遊びしたら痛い目に遭うのかな、家が焼かれるのかなと思ったり、心配もせぬといかんのかな。質問しながらそういう心配をするのは本当に不幸なことですよね。だから、そのことは会議録にも残ったと思いますから、皆さんの前で報告しておきたいと思います。  では、バス問題について質問させていただきます。  要するに、特にバスは都心部だってかなり苦しい経営をしているんですが、過疎地になればなるほど大変な厳しい状況であることは御案内のとおりです。これは私鉄のバスであろうとJRのバスであろうと同じだと思うんですね。  そういう中で、私は、今、自治体で盛んにJRバスに対しまして公的補助制度の制限撤廃を求める意見書の決議が、ことしになってどんどんされるようになりました。  警察、ありがとうございました。もう結構です。  十月ぐらいまでで都道府県で十四道府県、あるいは市で二十五市議会、あるいは町村でいいますと四十六町村ですか、これぐらいされているんです。多分十二月議会なんかで、その他でどんどんされるんではないかなというふうに思っております。  いわゆるJRバスは補助対象から外されているというのがあるんです。それはなぜかといいますと、例の十三年前の国鉄改革のときに参議院の附帯決議で、「各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社は、地方公共団体に対し、地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項の趣旨を超えるような負担を求めないこと。」と、こういうふうに規定されまして、それを受けて自治省は通達を六十二年の三月三日に第一七号で、全国の自治体へ、バス事業には公的補助金を一切受けてはいけないと、このような通達を出しているんです。それで今補助、助成されないんですね。  附帯決議というのは我々がつけるんですから、これは尊重しなくてはいけませんし、どんなことがあっても無視することはできないと思うんです。だけれども、今、先に時間の関係で申し上げておきますが、もう一つは、国鉄改革法の中で第十条では、「当該旅客会社からのその事業の経営の分離を図るための手続その他の方策がとられるものとする。」と。要するに、旅客鉄道会社からバス会社を分離しなさいよと。それを施行法が受けまして、旅客会社による一般自動車運送事業の経営の分離が定められているんです。だから、みんな分離されちゃったんです。  例えば、JR東会社では、すぐ、一九八八年の四月一日に、JRバスの東北会社と関東バス会社の二つにバス会社を分離している。東海は一つと。西も二つに分離しているんです。それから、経営の弱いJR北海道がことしの四月に分離をしました。そして、JR九州が来年の七月に分離をする予定になっているんです。JR四国はもっと足腰が弱いものですからまだいつ分離するか見通しが立っていないんですが、そういう状況で、これは法律に基づいて分離しているんです。  ですから、そうでなくても弱いバス会社が親会社から分離させられて、自前でやりなさいよと、そして過疎ばかり走っている。特に国鉄はそういうところが多いですから、もともと国鉄からJRへ移っていますから。  そういうところで自治省にお願い申し上げたいんですが、先ほどの附帯決議は尊重しないといけませんけれども、何とか補助できる道を探ることはできないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  193. 嶋津昭

    政府参考人嶋津昭君) お答えいたします。  今、委員御指摘のように、民営化の当時の附帯決議におきまして、旅客鉄道会社が再建促進特別措置法から外れましたけれども、従来どおり地方団体に負担を求めてはならないこととするということで附帯決議をいただいて、JRバスについても当然、その旅客鉄道会社が経営して、あるいは分離した形でも一〇〇%子会社ということでございますので、そういう規定が適用されるんだという運用を今までしております。  一方、現在、需給調整規制の廃止によります地域交通問題につきましては、今御指摘ございましたように、地元の地方団体あるいはバス事業者等、あるいは運輸省の地方支分部局等も加わりまして地域協議会をつくりまして、生活の足をどうやって確保していくかという相談をしているところでございます。  そういうことでございますので、いわばバス事業をめぐる、JRバスも民間事業者と同等の立場地域の足を守っていただくということは私どもも強く期待しているところでございますので、その地域協議会においてどういうふうな議論をされるのか、あるいは、これは地域の足に対して国、地方それぞれ役割分担に基づきまして助成をしていくべきだと考えておりますので、運輸省を初め関係省庁と国、地方の役割分担をどうすべきなのか、こういうことも含めて現在鋭意協議をしておりますので、そういう状況も踏まえまして、来年以降、いわば住民の足を守るためにどういう方策が講ぜられるのかということについて検討し、結論を得てまいりたいと考えているところでございます。
  194. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 ことしの四月二十六日に衆議院の運輸委員会におきまして、我が党の、民主党の玉置一弥議員がJRバスに公的補助を行うべきであるという趣旨の質問をなさっております。そのとき、運輸省の縄野自動車交通局長さんは、附帯決議等にかかわる国鉄改革法案等の国会審議の経過及びそれに伴う自治省による各地方公共団体に通達した補助禁止の過程を述べた後、JRバス事業の実態を調査し、JR事業の実態を調査し、自治省と協議をした上で対処しますという趣旨の答弁をなさっているんです。  まず、JRバスの実態が今日どのようになっているかというのが一つと、自治省との今日までの、まだ時間が余りございませんから余りしていないということになるのかもしれませんが、自治省と今日までどのような協議をなさったのか、あるいは対処をなさったのか、その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  195. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) お答え申し上げます。  JRバスの実態でございますが、簡潔に申し上げますと、先生が先ほどおっしゃられましたように、本州の各社はそれぞれ分離をしてございます。それから、北海道につきましてはことしの四月に分離をいたしました。四国と九州はまだ分離をしてございません。そういう状況の中でそれぞれの経営をしているわけでございますけれども、それぞれの実態につきましては、日々、道路運送法に基づきます旅客自動車運送事業等報告規則などに基づいて私どもとして承知をしておりますが、この規制の見直しに合わせました地域協議会での地方公共団体を含めた議論、そういう中で個別に、JRバスの路線がそれぞれの地域の中でどういう役割を果たしているかということについて、それぞれ最新の状況を今把握しようとしているところでございます。  そういうことを踏まえまして、今自治省からも御答弁ございましたが、それぞれの地域の中でJRバスが果たしております役割、そういうものを念頭に置いて地域協議会の中で協議をし、その結論に従って、私どもとしましてはJRバスの役割に沿った私どもの支援ができるかどうか、そういうものを自治省とともに検討し、決定してまいりたいと思っております。
  196. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 地域協議会にはJRバスも参加しておりますから、意見を述べる機会はあろうかと思います。  ただ、私は岐阜県なんですよ。大臣四国ですから、多分過疎バスがいっぱいあると思うんです。これはJRだけじゃなくて、民鉄を含めましてみんな、JRのレールさえ苦しんでいるんですから、バスはもっと悲惨だと思うんですね。  そういう中で、東海なんかも分離されている、東会社も分離されていると。それはそれで分離されたら効率的にやるというのはいいんですけれども、それこそ、例えば今自由化の中で観光バスなんか持ったりいろいろと企業努力もなさっている。その企業努力だけで間に合わぬものですから、スーツを売ってみたり宝石を売ってみたりラーメンを売ってみたりあるいは高速道路のカードを売ったり、いろいろとバス会社というのは苦労していますよ。これが本当の実態です。それは、少しでもそういう苦しい路線を維持するために私はやっているというふうに思いますので、ぜひこの辺につきましては運輸省の担当の局長さんだけではなくて大臣も何とかトップ会談を持ちまして、西田大臣と同じ四国ですからなおいいじゃないですか、早く結論を出してもらいたいと思います。  だから、先ほど申し上げました、あのノンステップバス、ワンステップバスはJRバスへ補助金出るのかというふうにお聞きしたのはここなんです。これはこの法律で出せないんですね。自治体も出せない、国も出せないから、丸々一〇〇%ノンステップバスとかワンステップバスをJRは買わないといけないんです。そういう問題も出てくるんですね。ですから、その辺の決意を聞いて、時間になりますから、終わらせていただきたいと思います。
  197. 森田一

    国務大臣(森田一君) JRバスの問題につきましては、直接的にはJR四国関係を通じてよく聞いております。その経営実態というのは非常に苦しいものでございます。このようなJRバスの状態を念頭に置きまして、自治省にもよく説明をして、協議の上でしかるべき措置をとっていきたい、このように思っております。
  198. 山下八洲夫

    ○山下八洲夫君 終わります。
  199. 弘友和夫

    弘友和夫君 公明党の弘友でございます。  私は、鉄道の問題、主にきょうは新幹線の件についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、森田大臣は先日の所信表明の中で、整備新幹線につきまして生活基盤充実にかかわる施策として位置づけられた。そして、地域間の交流、連携を支援する観点から、整備新幹線を初めとする交通網の整備を図るということを表明されたわけです。私は、こうした点に関してまさしく大臣と認識を同じくする、そういう立場から、運輸省の応援団じゃございませんけれども、お聞きしたい。  まず、整備新幹線の位置づけをどうきっちりとされているか、国として。  私は、この整備新幹線交通網の基幹を形成する高速交通機関である。都市と地域を短時間で結んで相互交流を促進することにより、国民生活を充実させる基盤となる社会インフラである。東京の一極集中を是正して我が国の均衡のある発展、それから地域の振興を考える上で新幹線の果たす役割は大きい。だから、整備新幹線整備というのは二十一世紀に向けた重要な国家的プロジェクトなんだ。だから、その整備を一層やるべきだと、こういうふうに思っているわけです。  ところが、マスコミ等では非常にこれに対する批判が多い。ばらまきだとか何だとか、特に亀井政調会長ががんがんやるものですから、何か物すごいばらまきをやっておるような雰囲気になっている。  私は、余りこの整備新幹線のきっちりとした位置づけ、必要性というのが、国会議員の、我が党の中でも余り必要ないんじゃないかとか言うような人もいるわけです。それはなぜかといいましたら、昔の政治の圧力によって赤字路線がどんどんつくられて、後でどうしようもなくなったと、そういうイメージがまだあるわけなんです。そうじゃありませんよ、この整備新幹線。きっちりと会社もどういう経営になっていくのか、その見込みがなければやらないわけですから、そういうことをやはり政府としてもっと、運輸省は特にこの整備新幹線必要性、重要性、意味というものを国民の皆さんにお知らせするべきじゃないかと。予算も何かふんだんに使ってやっているというようなイメージがありますけれども、そんなに予算は現実に使っていないわけです。  まず、整備新幹線の事業規模、今年度当初予算においての公共事業関係費全体に占める整備新幹線の事業費の割合、どの程度かということを実川政務次官にお伺いします。
  200. 実川幸夫

    政務次官(実川幸夫君) 整備新幹線の整備、まさに今、先生御指摘のとおりであります。国土の均衡ある発展あるいはまた地域の活性化の観点から重要な課題であると認識しております。また、政府与党間の合意、検討結果に基づきまして、運輸省といたしましてもその整備の促進を図っているところでございます。  今、先生から御質問の公共事業関係費に占める割合でありますけれども、整備新幹線の今年度当初予算におきます事業費は約一千七百億円でありますし、このうち公共事業関係費は約三百五十億円でございます。公共事業関係費全体、約九兆三千六百億円の中に占める整備新幹線の割合は、約〇・三八%であります。  以上です。
  201. 弘友和夫

    弘友和夫君 これを見て皆さん多分びっくりされるんです。整備新幹線、相当使っていると。公共事業費に占める割合、たったの〇・三八%なんですよ、〇・三八%です。じゃ、今回予算要求してますよね、十三年度予算。生活関連と重点化枠等も含めて全体の整備新幹線の枠、公共事業分というか、幾らになりますか。
  202. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 公共事業全体の枠は、今年度もほぼ昨年と同じように、先ほど政務次官の方から話がありましたように、九兆四千億程度になるかと思います。その中で私どもが今十三年度の概算要求で要求しておりますのは、公共事業関係費として千五百億円でございます。
  203. 弘友和夫

    弘友和夫君 千五百億ですよね。その千五百億というのは、先ほどの九兆三千六百億の中で一・五%ですよ。一千五百億円。たったの公共事業費の中の一・五%。じゃ、千五百億を、今、未着工も含めて、東北、九州、北陸、全部フル規格で二十年かかりますよ、何年かかりますよと、こう言っていますよ。千五百億を毎年十年間、これで整備できるんじゃありませんか。
  204. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今現在我々が要求しております千五百億円は、実は現在既に着工しております区間、東北三線三区間も含めまして、鹿児島ルート、それから北陸の一部、現在既に着工している区間を、現在二十年で整備すると言っておりますから、これを十年で整備するのに約一千億要るという計算になっております。  新規に新しい区間として着工する部分については、今二区間を要求しておりますけれども、これで約五百億円ぐらい要るんではないかということでございますので、千五百億円、仮に十年、二十年あったとしても、せいぜい現在の既着工区間について十年に短縮し、かつ新しい区間として上越―糸魚川、それから博多―船小屋の二区間を整備するのがある意味での現在のところの限度ではないかというふうに考えております。
  205. 弘友和夫

    弘友和夫君 ですから、今言われたように、千五百億で公共事業費の中に占める割合が一・五%。そして、今のスキームの中でやっていけば問題になっているやつ全部十年でできますよという話でしょう。  だから、整備新幹線、何か相当なむだ遣いをしている、ばらまきをしている、こういう印象を、ほかのところでちょっとやりたいんですけれども、建設の方で毎年毎年下水道予算四兆円ですよ。いろんなその中でむだ遣いがある。農水の集落排水だってそうです。きょうの新聞にも載っておりました。会計検査、七十億がむだ遣いだとかなんとかいろいろ出ていましたけれどもね。  そういうことを考えれば、整備新幹線はこの日本の国土の中で、東京一極集中云々とか、地域の均衡ある発展をするだとか、そういうことを思えば、公共事業の一・五%を使ってやってもこれは大変な意味のあることだ、こういうふうに思うんですけれども、大臣にぜひこの整備新幹線についてどういうふうに決意も含めて思われているか、お尋ねします。
  206. 森田一

    国務大臣(森田一君) 整備新幹線につきましてはいろんな御要望がありますが、本当に頭が下がる思いがいたしております。  先ほど政務次官政府参考人から御説明しましたとおり、その整備に伴いまして時間的な短縮効果によりまして地域間の交流が促進されるわけでございます。また、沿線地域が開発することによりまして国民生活の充実が図られるということが考えられます。そして、整備をすることによりまして、国土の均衡ある発展と地域の活性化の観点から非常に重要であるというふうに認識をしております。整備新幹線の整備効果も含めまして、運輸省といたしましては、従来からその整備につきまして推進をしておるところでございます。  ただ整備新幹線の推進につきましては、本年四月に、政府与党整備新幹線検討委員会というのが設けられまして、ここで検討が進められておるところであり、運輸省の一存だけではなかなかいかないところがあるわけでございますが、運輸省としましては、検討委員会における検討も踏まえまして、整備新幹線の整備を着実に推進してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  207. 弘友和夫

    弘友和夫君 そこで、その一つ、私も地元でございますけれども、九州新幹線、泉政務次官も地元中の地元なんです。これはまた今までの経過があったんでしょう、野田先生おられぬけれども。今までの経過で鹿児島からずっとやっているわけね。今の新幹線は、博多まで行って、それを鹿児島からやってきているわけです。  それはそれで今までの経過があるかもしれませんけれども、平成三年に新八代―西鹿児島、それから平成十年に船小屋―新八代間と、これはもう着工されているわけです。博多―船小屋間というのはわずか四十二キロなんです。これが未着工なんですね。これを続けてやらなければ、鹿児島の方でフル規格じゃなくて開業しても、これは四十二キロがつながったらまたやり直さぬといかぬとか、休業しないといけないとか、いろいろな問題があるわけですよ。先ほどの千五百億で、鹿児島から博多まで十年でできますよという中に入っているわけですから、そういうことにつきまして、地元であります泉政務次官、いかがでございますか。
  208. 泉信也

    政務次官(泉信也君) 鹿児島ルートについては、委員御指摘のように約四十二キロ余りが未着工になっておる。運輸省としましては、来年度千五百億の中にはその部分に着工をいたしたいという意思表示をさせていただいております。先ほど大臣お答えいたしましたように、政府与党のお話し合いの中でこのことをぜひ実現させていただきたいという思いを持っております。  そういたしますと、鹿児島から博多まで、現在三時間四十分かかっておるものが一時間二十分という大変時間短縮効果が大きいルートができてくるわけでございますので、地域開発効果も一段と大きくなるものと期待し、運輸省としても促進を図りたいという気持ちは十分持っておることを申し上げておきたいと思います。
  209. 弘友和夫

    弘友和夫君 新幹線が整備されると経済効果等は大変あるわけです。十月に長野新幹線が開業されまして、そうした具体的な効果というか、東北新幹線も含めまして、ちょっと具体的にお答えただきたい。
  210. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 新幹線の整備効果につきましては、先ほど総括政務次官からもお話しありましたように、直接的な効果としては時間短縮ということ、大幅な時間短縮が図れます。  そういう意味で、時間短縮や定時性の確保が図れるということで大きな効果がございますが、それと同時に、その結果として人々の交流や行動圏が拡大するということで、沿線地域の企業の生産・雇用拡大あるいは企業の新規立地増加といったことで、沿線地域の所得増加という、いわゆる地域開発効果というのが大きく見込まれるわけでございます。  こうした地域開発効果の具体例として、例えば昭和五十七年に開業しました東北新幹線のデータで比較してみますと、例えば沿線地域と非沿線地域の人口、事業所数、県内総生産といったものを昭和五十六年を一〇〇として一つの試算をしたわけでございますが、まず人口では、非沿線地域が五十六年一〇〇に対して開業後現在までにおいて約一〇〇と横ばいにあるのに対しまして、沿線地域が一二一と伸びております。それから事業所数では、非沿線地域が当時と比べまして九〇と減少しているのに対して、沿線地域では一一〇というふうに伸びております。さらには、県内総生産で比べますと、非沿線地域で一四八に対しまして沿線地域が一六六というふうな形で、いずれも五十六年を一〇〇としたときに相当な伸びがございまして、沿線地域が非沿線地域をおおむね二割程度上回っているという効果が出ております。  それからもう一つ平成九年十月に開業しました長野新幹線でございますが、これは東京から長野間の所要時間二時間三十九分が一時間十九分とほぼ半分に短縮されました。その結果として、利用客数について、開業前に一日平均一万九千人であったものが開業後は二万四千人と約二五%の新たな需要増加をもたらしております。また、新たに設置されました佐久平駅周辺の地域開発ということでも、各種の施設立地が進んで着実にその整備効果が波及しつつあるというふうに考えております。
  211. 弘友和夫

    弘友和夫君 先ほど大臣の決意もお伺いしましたので、要するに一千五百億円であれば一・五%であるということ。国土交通省になりますし、ぜひそこら辺の公共事業の再配分のところできっちりと財源を確保していただきたい、このように思っております。  それで、整備新幹線を進めると、先ほど中島議員さんの方からもお話がありましたその影の部分といいますか、並行在来線を地元で経営をするとなったときに、じゃ貨物はどうなるんだと、そういう問題がやはりあるわけです。  私は、地元で並行在来線の経営をする、それは地域の方が乗るんだからとかいう話があります。だけれども、やはり貨物というのは地元だけじゃないわけです、全国。これは、今で言えば、例えば東北新幹線の盛岡―八戸間の開業で、北海道から関東地方の陸上貨物輸送というのは四割を担う大動脈だと、こう言われているわけです。この貨物という考え方を、今のままでいったら五億円かかっているのがその大体六倍ぐらいかかるんだと、岩手県は三倍ぐらい出してくれと、こう何か言っているみたいですけれども、それではやっていけないわけですね。  だから、この貨物の考え方というのは、地球の環境問題だとか、それからトラックの交通事故の問題だとか、いろいろトータル的にモーダルシフトとして国がどう考えていくかという部分が私は大事じゃないかと思うんですね。  モーダルシフトの推進、これは九年四月に策定された総合物流施策大綱、十年九月に決定された運輸省物流施策アクション・プランにおいては、海運、鉄道が占める割合、モーダルシフト化率を現在の四〇%から二〇一〇年には五〇%を超える水準に向上させることを目標として設定されている。四〇%を五〇%に上げましょうよと、海運と鉄道を一〇%上げますよというのを並行在来線に移してどんどん寸断されるようでは、これは上げるどころか下がっていくわけですから、これに対してやはり何らかの財政支援というのが必要じゃないかと思いますけれども、いかがでございますか。
  212. 森田一

    国務大臣(森田一君) 先生が御指摘になりましたように、物流というのは我が国の産業や国民生活を支える基盤でございます。そして、物流に関する総合的な取り組みというのは、運輸行政において極めて重要な課題であるというふうに思っております。  ただいま御指摘になりましたように、モーダルシフトというのは我が運輸省の政策の柱でございまして、その中身はCO2の排出量が少ないという面で環境面からもすぐれておりますし、エネルギー効率もよいという鉄道輸送は、ただいま御指摘のありましたように海運と並んでその柱になっておるところでございまして、運輸省としましてもその維持発展に従来から努めておるところでございます。  そして、ただいま御指摘になりましたように、盛岡―八戸間の鉄道の貨物につきましては、貨物列車が並行在来線を走行することになりました。そのために、現在、その線路使用料のあり方について青森県、岩手県とJR貨物との間におきまして協議されておるところでございます。  運輸省としましてもこれは人ごとでございませんで、両県とJR貨物との間で早急な決着がつけられるように努力をしていきたいと思っておるところでございます。  そして、さらにこの線路使用料の設定によってJR貨物の負担増が予想されるために、JR新幹線の整備に伴いJR貨物がこうむる損失の一部について何らかの措置を検討する必要があると、このように考えております。
  213. 弘友和夫

    弘友和夫君 何らかの措置をされると。これは岩手県のところだけじゃなくて、当然今後の九州新幹線、北陸新幹線等今から整備される整備新幹線の並行在来線についても同じ考えということでよろしゅうございますか。
  214. 森田一

    国務大臣(森田一君) ここが、いわゆる盛岡―八戸間が一番先行的な事例でございまして、ただいま申し上げました整備新幹線の整備に伴ってJR貨物がこうむる損失の一部について何らかの措置を検討する必要があるということはほかの事例についても同様であるというふうに考えております。
  215. 弘友和夫

    弘友和夫君 それでは、先ほどこれも山下議員の方から少し出ておりましたけれども、JRの完全民営化について、今までJR各社はいろいろ取り組んで、六十二年四月の国鉄改革以来種々の経営努力をされた。私はいろいろな効果が上がってきていると思うんですけれども、十三年前に国鉄改革がスタートしたときは、これ大丈夫だろうかと、各社の経営について楽観視する人はほとんどいなかった。しかし、そうした多くの困難を乗り越えて分割・民営化をされたわけですけれども、そうしたJR各社が必死の経営努力を重ねたその結果によって、当初の予想を大きく上回って成果が上がっている、こういうことでございます。  この十三年間の経営努力についての運輸省の評価と、それから大臣も所信表明の中でJR会社の完全民営化の実現に向けた環境整備、こう言われているわけでございますけれども、これは基本方針であると思います、先ほど来も出ておりました、実施のタイミングという点ではもう既に十三年経過している。完全民営化に踏み切らないというのは、何か経営に支障があるのかどうか、またはその完全民営化をどうするんだということをお尋ねしたいと思います。
  216. 森田一

    国務大臣(森田一君) ただいま先生が御指摘になりましたように、JRの分割・民営化というのは我が国の行政改革史上で最も輝く行政改革であったというふうに理解をしております。  そして、特に本州三社におきましては、その経営状況は非常に順調でありまして成果が非常に上がっておるわけでございます。そして、JRの完全民営化というのは、本州三社に関する完全民営化というのは、これは運輸省の大方針でありまして、一刻も早く実現したいわけでございますが、先ほど中島先生の御質問お答えしましたように、JR東日本とJR西日本とJR東海との間に、完全民営化という点では意見の一致を見ているものの、その時期につきまして意見の相違がございますので、それの調整について今全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
  217. 弘友和夫

    弘友和夫君 ぜひ完全民営化を当初の方針どおり推進をしていただきたい、このように思います。  それで、私、これは余りやるつもりはなかったんですけれども、先ほど山下先生からJR東のこの御質問がありました。これをお聞きしておりまして、何か一方的に、私の気持ちですよ、一方的に、会社はJR東が悪いと、組合はJR総連というか、何か革マル派をJR東が抱えてやっているようなそういう印象を受けた、警備局長が帰ったから残念ですけれどもね。そんなんだったら大変な問題なんですよ、これは。どうですか。  私は、労使間の問題ですから、こういうことについては余りお聞きしたくなかったし、労働組合同士の話ですから、それはお互いにやっていただければいいと、こういうふうに思っておりましたけれども、この国会の場で一方的に、会社はJR東が悪い、組合はここが悪いというような、すべて革マル派を抱えているようなそういう印象を受けたまま、聞かれている方はみんなそんなひどいところなのかと、こういうふうに思うと思うんですよ。どうなんですか、実際JR東は革マルを抱えてやっているわけですか。
  218. 森田一

    国務大臣(森田一君) 私も新聞等でそういう話を読みましたので、大塚社長を呼びましてよく話を聞いたわけでございます。そして、その話を聞いた結果、これらの問題はJR東日本のあくまで経営上の問題であるということの確信を強めたわけでございます。
  219. 弘友和夫

    弘友和夫君 私は、どの組合だろうと、どの会社だろうと、安全性という、これは大臣にちょっと確認したいんですけれども、経営の合理化も大事ですよ、一生懸命今やっておられる。だけれども、一番その運送事業に携わる者にとって大事なものは何かと、まず大臣に確認したいと思います。
  220. 森田一

    国務大臣(森田一君) 私が運輸政務次官をしておりまして、そしてまた大臣に帰ってまいって非常に印象的だったのは、規制緩和が進んでおることでございます。同時に、しかしこのような規制緩和を進める上におきまして安全との両立をどうやってやるかということについて、これは大事な問題を抱え込んだなという印象を受けたわけでございます。また、地方の足を確保するというような観点につきましても規制緩和と両立させていかなきゃいかぬ問題でございまして、このような問題につきまして真剣に取り組まなきゃいかぬということを大臣就任に対して特に強く感じたわけでございます。
  221. 弘友和夫

    弘友和夫君 それで、先ほど東の話でございましたので、私は、先日起きましたJR東海の豪雨のときにどんどん出したというやつですね。  これは社長さんの記者会見を聞いておりましたら、混乱を最小限に食いとめた、正しい判断をして、適切な運行をやったと、こう言われておったんですよ。その前は、たしか何か間違いだったというような担当か何かの方が言われておったのに、いや適切な運行であったと、こう言われれば、それこそさっきの話じゃありませんけれども、社長さんに来てもらって本当に適切だったのかどうかということをこれお聞きせんといかぬと思うんですよ。  それで、通告をしていなかったと思うんです、余りやる気がなかったから、これは。だけれども、どうなんですか、先日の、我々の同僚議員も一日あの新幹線に乗ったまま帰ってこられなかったんですから。それを判断でどんどん出して、聞いてみましたら、現場では全然その情報が入ってこない、そういう状態であったわけですね。これで適切な運行をやったのかと、こういうふうに思いますけれども、いかがですか。
  222. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今の先生御指摘のJR東海の集中豪雨の対応につきましては、先般より、JR東海に対して、利用者の利便という観点からいきますと、情報の提供あるいは駅間にとめて長時間これを閉じ込めてしまったということに対してはやはり改善すべき点があるということで、我々としてJR東海に指示を出しております。  これに対してJR東海から、十月三十日だったと思いますが、改善策についての報告がございました。この中で、ちょっと今手元に資料がないので記憶でしゃべらせていただきますが、情報案内については車内のテロップ案内標示であるとかあるいは車掌室の案内装置であるとか、そういう点について幾つかの改善点を出しておりまして、これによって旅客に逐一情報が流れるような改善策を検討しております。  それから、駅間に停止したという問題につきましては、先般、実際の駅の中に二編成以上とめられるような対策を講じたいということで、実験といいますか試験を行いまして、このマニュアルづくりを現在しているという状況でございまして、そういう点でやはり前回の集中豪雨に対しての改善点が幾つかあったと思います。  また、社長がいわゆる適切であったと申しますのは、限られたいろんな条件の中で各現場が一生懸命やったということをそういうふうに申したんではないかと思います。JR東海の会社としては改善策、反省すべき点があったということで、そういう報告が来ているところでございます。
  223. 弘友和夫

    弘友和夫君 局長のあれですけれども、現場は一生懸命やっているんですよ、それは。だけれども、情報も入らない、何もしない。それは、指令室というんですか、会社の方でそういう情報を提供しないと、車掌さんだって運転手さんだって何もできないわけです。途中でおろすこともできない。それは会社の姿勢ということになってくるんじゃないですか。  ですから、私は、ほかにもいろいろ安全性について言いたいこと、時間がございませんからもう指摘しませんけれども、ただ私は、先ほど来御質問ありました、本州三社の一つだけが悪いとか一つの組合がおかしいとか、そんなものじゃないと。やっぱり安全性なら安全性、これは組合がどこであろうと会社がどこであろうときっちりと対応していかなければならない問題だと思うんですよ。そんなことで、お互い同士でやっておるというのはますますその安全性においては抜かると思うんですよ。  そういう意味で、ぜひ運輸省としましては、どっちをどうとか何とかじゃなくて、本当にまず安全性、そこら辺をきっちり、安全性に手抜きがあったらそれは指摘するということでやっていただきたい。  もう時間が参りましたので、終わりたいと思います。
  224. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志です。  まず、私は冒頭に、シンガポール航空機事故で亡くなられた飯室浩泰さんの御冥福を心からお祈りするとともに、御家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます。  運輸省といたしましても、事故原因の徹底究明を求めるとともに、教訓にすべき点があれば教訓にするという立場でぜひ対処していただきたいと思っております。  さて、前国会で、私は関西空港や中部空港などの運輸省関係の工事を請け負う東洋建設から森田大臣への脱法的な献金問題を証拠も示して明らかにいたしました。そして、大臣の責任を問いました。御答弁は、知らなかったと、運輸大臣在任中は断るというものでありました。その後、ことし九月に九九年度の政治資金報告書が公表されております。今回もそれを資料にして持ってまいりましたので、どうぞごらんいただきたいと思います。  今回は、九八年までの自民党香川県西部商工開発支部にかえて、香川県衆議院比例区第一支部を通じて、やっぱり東洋建設から五百万円を受け取っておられます。この衆議院比例区第一支部が集めた東洋建設五百万円を含めた団体分八百四十五万円が丸々森田大臣の資金管理団体である新産業政策研究会、ここに寄附扱いで入っております。この資金管理団体に直接東洋建設から五百万円入れば即違法ですよ。政治資金規正法第二十二条違反、一年以下の禁錮、五十万円以下の罰金です。それをこの支部を通じて受け取ってきたと。  これは違法ではないにしても、明確に脱法的なやり方だとお認めになりますか。
  225. 森田一

    国務大臣(森田一君) 政治資金規正法におきましては、政党の支部の政治団体が寄附等をすること等につきましてはその制限はなくて、当該寄附をすることは法律に違法するものではないと思っております。また、政治団体は寄附を含めて政治活動の自由が保障されていなければなりませんが、政治活動を支える資金について国民の理解を得て、適切に処理するのは当然であると考えております。  ただ、東洋建設につきましては、何らかのことを頼まれたことはありませんし、口をきいたこともありませんし、役員等も承知しておりません。
  226. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 いや、私はこういう政党の支部を通じた献金というのが大問題だと思っているんです。それで、あなた方が政治家個人への献金を禁止するという言い分でことし導入した政治資金規正法の改正ですね、これを受けて、こういう行為が大々的に行われているという報道がございました。  東京都選挙管理委員会が公表した政治資金収支報告書によると、この二年間に東京都内の政党支部の数が四二%ふえたとしております。NHKニュースはこれを報じて、この背景には、政治資金規正法の一部改正で政治家個人への企業・団体献金が禁止されたことがあると見られ、都議会議員などの地方議員が企業・団体献金の受け皿として政党の支部を相次いで設立したものだと、こう報じたわけですよ。つまり、商工開発支部とか、何とか第一支部とか、こういうものを受け皿として続々と地方議員もつくり始めていると、こういう報道であります。  大臣政治家というのは一般人よりもはるかに重い責任があると私は思います。  政治倫理の問題について自民党のある有力政治家はかつてこう語りました。「私は、基本的に、政治責任の問題については、このように考えております。つまり、普通の人でございますならば、まあ刑事責任を問われる問われないというだけで一応片が付く。刑事責任を問う場合におきましても、あるいは疑わしきは罰せずというようなところでいって差し支えないかもしれませんけれども、公務員とか、あるいは、国会議員とかというような場合は、国民の側に知る権利がもっと強くある」んだと、こう述べております。  こういう見地に照らすならば、つまり、ただ単に法的にクリアだというだけではない、政治責任というのが問われていると思うんですが、いかがですか、大臣
  227. 森田一

    国務大臣(森田一君) 先ほど申し上げましたように、政治団体は寄附を含めて政治活動の自由が保障されなきゃいかぬというふうに私は考えております。そして、この活動については資金が要るわけでございまして、その政治活動を支える資金については、国民の理解を得なきゃいけませんけれども、国民の理解を得て処理していくということは当然であると、このように考えております。
  228. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 先ほど紹介したのは、あなたの岳父、大平正芳元首相の言葉であります。昭和五十四年五月三十一日、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会での総理発言、この本に載っております。  また、大平元首相は、第九十一回国会の施政方針演説で、「政治の基本は、あらゆる政策の決定と運営に公正の精神が満ち、清廉な態度が貫かれていることであります。私は、政治に対する信頼の原点がここにあることを肝に銘じ、まず、私を始め閣僚が率先して政治に臨む姿勢を厳しく戒め、今日国民が抱いている政治に対する不信を払拭しなければならないと考えております。」、こう述べておられます。  ですから、やっぱりこういう問題をきちっとしないと、私はあなたの岳父の御遺訓にも背く結果になるということを御指摘申し上げたいと思います。もう答弁は結構ですから。  次に、運輸省にお伺いいたします。  運輸省が自民党の選挙運動に協力したということはございますか。また、協力すればどのような法律に触れることになりますか。
  229. 小幡政人

    政府参考人小幡政人君) お答え申し上げます。  御案内のように、国家公務員でございますので、我々につきましては、まず国家公務員法によります服務規律上の観点からの一定の政治的行為の制限がございます。加えまして、公職選挙法による公務員の地位利用による選挙運動の禁止など、加えましてまた、政治資金規正法による政治活動に関する寄附などへの公務員の関与等の制限がございます。  運輸省職員がこれらの制限事項、禁止事項に違反して自民党の選挙活動に協力したというようなことにつきましては、我々はこれはないものと認識しております。
  230. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ここに自民党がつくったパンフレットがございます。「みんなでつくる、四国の夢。 21世紀四国ビジョン 四国はひとつ!」と、こういうものでございます。自民党の四国ブロックの議員の名前がずらりと並んでおります。「四国比例区 森田一」と、大臣の名前もきちっと出てまいります。「四国の夢」という文章を大臣はこれに書かれております。この文章、御存じですね。
  231. 森田一

    国務大臣(森田一君) 承知いたしております。
  232. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 問題は、この最後のページなんです。いいですか。この最後のページに、「以下の皆様のご協力を頂きました。」として官公庁の官僚の名前がずらっと並んでおります。運輸省航空局石田計画課長、港湾局前田計画課長、鉄道局野竹施設課長、自動車交通局岩崎総務課長、同じく技術安全部久米審査課長と、はっきり名前が載っております。このパンフレットには会長あいさつで、「今後は、第二国土軸構想を具体化したり、空港・港湾整備を促進したりしつつ、四国新幹線導入など四国外との交流も推進して参りたいと考えています。」と言っております。  さらに、このパンフレットはことしの四月、つまり総選挙の直前に出されているわけです。公共事業をどんどん持ってきますと、四国の自民党の利益誘導型の選挙をこのパンフレットを使ってやってきた。そこに運輸省の各局の課長がお墨つきを与える役割を果たしている。  大臣、運輸省はないと言うんですけれども、あなたが率先して運輸省の官僚を選挙に利用してきた、そういうことじゃないですか。これは国家公務員法に違反するんじゃないですか。
  233. 森田一

    国務大臣(森田一君) 私は、私の書いた文章は承知をいたしておりますが、その最後のページというのは見ておりませんでした。  いずれにいたしましても、運輸省の職員につきましては国家公務員についての制限があるわけでございまして、そのような制限事項、禁止事項に違反して自民党に協力するということはないものと考えております。
  234. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これも知らなかったでは私は済まないと思うんだけれども、官房長に改めて確認したい。これは問題ないんですか。
  235. 小幡政人

    政府参考人小幡政人君) ちょっと私も今の資料を拝見したことございませんけれども、我々、いろいろな政策を組織としてあるいは個人としていろいろ勉強しているわけでございまして、そういうノウハウをいろいろな形で、資料というような形で外に出すことはございます。そういうものを利用されたというふうなことではないかと思いますけれども、今の点についてはよく調べてみたいと思います。
  236. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これは明白に選挙に向けたものなんですよ。議員についても名簿の下に「平成十二年四月現在」とはっきり書いていますから、選挙の直前につくったものだというのは明らかなんです。それぞれの議員も比例区とか香川県第一選挙区と、そういう形できちっと選挙区で紹介されているわけなんです。運輸省がその意図に反してこういうふうに使われたとおっしゃるんだったら、当然これは抗議すべきなんです、自民党に対して。森田運輸大臣が森田一衆議院議員に抗議するということになるんでしょうけれども。  今後再びこのようなことをやらないと、これ確認していただけますか、大臣
  237. 森田一

    国務大臣(森田一君) 今後につきまして、いろんな意味情報の提供を受けることはあるかと思いますが、紛らわしいことにつきましては今後ないようにいたしたいと思います。
  238. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大臣は先日のあいさつで、交通運輸の分野においては安全の確保を図ることが第一の課題だと述べられました。先ほどの議論でも、安全が第一だと述べられました。もちろん私もそう思います。  ところが、その交通運輸の安全をないがしろにするような問題が次々と起こっております。三菱自動車のクレーム隠し、リコール隠し事件はその最たるものの一つだと考えます。この問題は、国民の生活で最も身近な自動車の安全問題であるだけに、こういった長期の隠ぺい体質に徹底的にメスを入れて二度と繰り返させない対策が求められていると思います。  三菱自動車のリコール隠しが発覚したのは、内部告発によって特別監査に入った結果発覚をいたしました。しかし、自動車メーカー各社には大体年に一度定例監査が入っているわけですね。三菱には直近で昨年十一月に定例監査を行っております。  まずお伺いしますが、なぜこれ、わからなかったんですか。
  239. 森田一

    国務大臣(森田一君) 確かに検査に入っておったわけでございますが、組織的に隠ぺい工作が行われていたため不正行為が見抜けなかったものでありまして、この事実は運輸省として重く受けとめておるわけでございます。
  240. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 大体、クレーム隠しの発覚というのは今回の三菱が初めてではないんです。九〇年のマツダ、九七年の富士重工、九九年のダイハツと繰り返されてまいりました。その都度運輸省は警告書を発してきたけれども、結局リコール隠しというのが後を絶たないことになっております。  なぜこのように繰り返されるのかということなんですよ。その原因考えてみたいんですけれども、結局、この現状のリコールの制度が、欠陥車であるかどうかの判断、つまりリコールが必要かどうかの判断をメーカーの自主的な判断に任せているからではないかと私は思うんですね。  これは運輸省の自動車交通局にお伺いしますが、そもそもユーザーからメーカーに寄せられたクレームは逐一運輸省が受け取ることになっておりますか。
  241. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) お答え申し上げます。  運輸省としましては、全国の自動車のディーラーなどから報告のありましたユーザーからの情報のすべてについて、私どもがメーカーに立入検査を行う際に提示を求めまして、そのクレームの原因となりましたふぐあいの原因調査などが適切に処理されているかどうか、リコール該当事案について届け漏れがないかどうかなどについて調査をしております。今御指摘のように、直接すべて運輸省に報告する義務があるということにはなっておりません。
  242. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 つまり、一々全部クレームを運輸省がきちっと受け取るということにはなっていないわけですよ。つまり、メーカーが全国のユーザーから寄せられるクレーム、こういうふぐあいがあるというクレームを、そのうち、このクレームについてはリコールの必要がある、あるいはこれはリコールの必要がないとか、これはその車個別の問題だとかという判断は、すべてメーカーがやっているわけですね。そして、リコールの必要がある場合に運輸省に届け出るという制度になっております。  それで、なぜ、まずちょっと聞きたいんですが、全部報告させるというふうにしていないんですか。
  243. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) 今申し上げましたように、すべてのクレームについては私どもの立入調査の際に確認をしておるところであります。これをその都度あるいは立入検査と関係なく運輸省に報告させた場合に、私どもの今やっております確認方法に比べて残念ながら内容のチェックをする効率が低下をするのではないかということから、現在の確認方法で確認をすることにしております。  なぜそのようなクレームがあったか、ふぐあいが道路運送車両の保安基準に違反しているんではないかというようなことについては、立入検査の際にその処理状況もあわせて私どもとしては説明を徴しまして、それを私どもとして判断をしているところでございます。
  244. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 繰り返し立入検査の際にチェックをするというふうに御答弁ですけれども、私はその話を聞いてどうも合点がいかないんです。つまり、立入検査というのは一体どれぐらいの期間、どれぐらいの日数でやるかといえば、大体二日か三日と御答弁をいただいております。二日、三日の立入検査で例えば一年間に寄せられたクレームをすべてチェックできるならば、メーカーというのはせいぜい十数社なんですから、本省に集めてやった方がよっぽど簡単なわけですよ。だからつまり、二、三日の立入検査で寄せられたクレーム全部を逐一チェックはしてないですね。できてないですね、そんなの。できるんだったら集めてできるはずなんですから。
  245. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) 繰り返して恐縮でございますが、私どもとしまして立入検査のときにメーカーに寄せられたクレームのすべてについて見せなさいということを申し上げ、もちろんメーカーがそれなりに整理をし、そのふぐあいの処理の措置についても結果を記載したものを私どもに説明をするわけでございます。そういう意味では、二日間の限られた日数、限られた人数の中で効率的にそういうチェックをしているというふうに考えております。
  246. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 そこなんですね。見せなさいと言って、そしてメーカーがまとめたものを見せる、こうなっているわけですよ。  大臣、私は、この問題に対する運輸省の認識の誤りをまず指摘したいと思うんです。運輸省はつまり、自動車メーカーはほっておいても普通クレームやリコールを隠したりしないものという前提に立って私はこういう制度の運用をやっていると思う。だから、リコール隠しが発覚するたびに信頼が裏切られたと、こう言っているわけです。  しかし、そういう認識は通用しないと思うんですよ。だって、今度の三菱の事件が発覚して河添社長はこう言っております。リコールを届け出るとお粗末な車を出しているとのイメージを持たれ恥ずかしいという感覚があったと、こう語りました。またその後も、日産でも、マル秘資料はしまっておく、パソコン画面は検査用に切りかえる、こういう検査用マニュアルがあったということが、これは運輸省自身の発表でも明らかになっております。  つまり、メーカー任せにしておいたら、それは激烈な競争をしているんですから、もうできるだけふぐあいとかというようなことはやっぱり明らかにならない方がいいと、そういう思いが頭をもたげるものなのだという立場でこのシステム考えなきゃならないと思うんです。つまり、隠そうとしても隠せないシステムをつくらなければ、やはりこの激烈な競争の中でそういう状況が生まれてくる。この点でやはり基本的には運輸省がすべてのクレームについてチェックするということが必要だと思うんですけれども、大臣どうですか、その問題は。
  247. 森田一

    国務大臣(森田一君) 今は、確かにおっしゃる点はわかるわけでございますが、行政改革、行政効率化の時代でございまして、やはりクレームにつきましては立入検査の際にすべて確認するというようなことでやっていくのが一番いい、このように思っております。そして、この立入調査の際に確認を確実にいかにして行っていくかということに重点を置いていきたい、このように考えております。
  248. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 それだと現状と変わらないわけですよね。つまり、隠そうとしても隠せない担保をどのようなシステムでつくるのかということがこれは大事だと。つまり、メーカーが隠そうとしたということがまず三菱の問題では事実として明らかになったわけですし、もちろん日産はそういう問題かどうかわかりません、これはまだこれからいろいろお調べになるんでしょうけれども、しかし、そういう現状がやはり激烈な競争の中であるんだということを踏まえた対策が必要だと思うんです。ただ、もちろんおっしゃるとおり、それを全部、運輸省にとってチェックするというのが膨大な作業であるということは私も否定いたしません。  ではどうするかと。そこで、私は国民の力をかりるということを提案したいわけです。つまり、運輸省、役所が全部チェックできない、そのかわりそれをすべてオープンにする。メーカーに寄せられたクレーム情報をまず報告義務をかけてすべて運輸省に出させて、それを一々運輸省でチェックできないならば、その中身を、もちろんプライバシーの問題、そういうものは配慮しなきゃなりません。出せるもの、配慮すべきもの、あるでしょうけれども、基本的には、国民に今これこれこういうクレームがこの車種については、このメーカーのこの車については寄せられていますよ、メーカーはこう対応していますよということが明らかになるようにオープンにすべきだと思うんですが、いかがですか、これは。
  249. 森田一

    国務大臣(森田一君) ただいま先生がおっしゃったように、確かに一案でございますが、しかし、プライバシーの問題があるというのは先生のお話のとおりでございます。そのほかに、ユーザーからの情報が本当の情報なのかどうかということについて確認を要するわけでございます。  そういう点におきまして、直ちに開示するということは非常に難しいというふうに考えております。しかし、これらのいろんな点を考えて、情報を開示するという方向で検討を進めてまいりたい、このように思っております。
  250. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 本当かどうかというところがやっぱり紙一重に最後になると思うんですよね。ユーザー、訴えを寄せた人は本当だと言い、それがメーカーは本当かどうかとこうおっしゃるわけで、ここでどっちにより分けるかでクレーム隠し、リコール隠しということにもなるわけですから、私はやはり国民を信頼してオープンにすべきだと思うんです。  そこで、運輸省も十一月一日からホームページを開設されたと。これはそういう意味では、情報公開という点では私はまだまだクレームを全部オープンにしていないと思うんですけれども、これは初日から七十件の情報が寄せられたとお聞きいたしました。この問題に対する国民の関心、不安の高さが示されていると思います。  ただ、これを本当に国民に知らせる必要がある。そこで、これも提案をしたいんです。テレビコマーシャルやポスターなどは当然ですけれども、ユーザーがいつでも目につくところにきちっとホームページあるいはフリーダイヤルをお知らせする。運輸省で言いますと、車検時期を知らせるステッカー、これは運輸省の所管のものですし、車検証、これも所管のものですから、これはやろうと思えばすぐに、ここにふぐあいがあれば、クレームがあればこのホームページにとお知らせできる、すぐにでもできることだと思います。また、メーカーにも、取扱説明書や故障マニュアルにきちっとこのホームページ、フリーダイヤルを書き込めということを指導するということはできると思うんですけれども、これはいかがでしょうか。
  251. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) 先生御指摘のように、リコール制度の徹底を図るためにユーザーからの情報を幅広く収集するということが必要でございます。あわせて、私どもの現状からいたしますと、その寄せられた情報を収集するだけではなくて、分析をする体制を充実することも必要であるというふうに考えております。  そういう意味で、フリーダイヤルやEメールの受け付けのためのホームページの専用コーナーの設置などを行っているところでございますけれども、今お話がございましたように、さらに広く情報を収集するための手段とあわせまして、その寄せられた多数の情報を私どもが受け入れるあるいは分析をする、整理をする、そういう体制を考慮しながら窓口の周知について方法を検討してまいりたいと思っております。
  252. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 次に、三菱ということではなくて全体としてのリコールの問題であります。  ことし六月に自動車交通局が発表した届け出内容の分析結果という文書を読ませていただきました。この五年間のリコール件数は一貫してこれはふえ続けているんですね。九五年に四十五件だったものが昨年は百三十二件、そしてことしは既に上半期だけで百に達しております。まさにリコール非常事態宣言を出すほどの事態だと思うんですが、その原因について分析結果では、「製造に係るものが二十三件で三八%と設計に起因するものが多くなっている。」、つまり設計のミスが多くなっている、こう述べております。  ではなぜ設計ミスが増加しているかと。この原因についてはいろいろあると思うんですね。ただ、私がマスコミの報道、関係者の話を聞いたところによりますと、やはり開発期間の短縮が一つ原因ではないかという意見が多かったんです。  そこで確認したいんですが、開発期間の短縮が設計ミスの増加の一因となっているという可能性は運輸省もお認めになりますね。
  253. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) リコールの届け出件数の増加については、今、先生がお示しされたとおりでございます。  この要因として私どもが考えておりますのは、一つは、平成七年度におきまして対象自動車が拡大をしましたこと。それから、新しい技術、コンピューターの採用でありますとか、新しい装置、チャイルドシートあるいはシートベルトでありますとか、そういういろんな新しい装置の採用が進みまして、付加される装置が増加をしておるということ。それから、よく言われておりますが、部品の共通化が進んでいるために形式的な件数がふえること。それから、これはいいことであると思いますが、先ほどお話に出ましたように、過去におきますリコール隠し等の問題によって各メーカーのリコール届け出についての意識が向上したというようなことがあると思っております。  私どもとしましては、今、先生御指摘されましたように、設計自体に起因するもの、耐久性に起因するものが多いわけでありますけれども、そういうことを見ますと、やはり開発期間の短縮というものが影響を与えることも一つの理由であるというふうに考えております。
  254. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 開発期間について、私も現場の実態もいろいろ調べてみました。かつては試作車の試験走行を含めて四十カ月程度はかけていたものが、最近では一年程度に短縮されてきているというのが現場の実態です。その上、試作レスといいまして、試作車をつくらずにコンピューターシミュレーションで済まそうということもいよいよ進められていると聞きました。  もしこの開発段階でメーカーがミスを犯した場合、つまり開発ミスを犯した場合に、それはどこで最終的にはチェックされるのか。そうなりますと、それは運輸省が行う型式指定の審査だということになると思うんです。  そこで、私は事前に運輸省から、型式指定の際にメーカーが提出する試験成績一覧表というものと、それから改めて運輸省が再試験する項目について説明を求めました。メーカーが行う安全関係試験は、私の手元に来た資料では二十一項目ありました。うち運輸省が通常再試験する、つまりそれ以外にもやることがあるけれども、普通やるのは二十一項目のうち六項目となっておりました。  説明はこうでした。一つは、部品の試験はメーカーで行う、それから完成品のチェックが運輸省だというのが一つで、もう一つは、安全上重要な部品についてはこの限りにあらずと。この二つの原則でやっていると。これでは、ほとんどの部品はメーカーの出したデータをうのみにすることになってしまうと思うんですが、これで設計上のミスが本当に運輸省としてチェックできるんですか。大臣どうぞ。
  255. 森田一

    国務大臣(森田一君) おっしゃられるように、運輸省が行う型式検査の指定の場合には道路運送車両の保安基準に定められた一定の基準に基づいて審査を行っております。ただ、自動車の技術開発などの状況も踏まえまして、必要に応じて今後とも審査項目や審査方法の見直し、追加を行ってまいりたい、このように考えております。  また、開発期間の短縮の問題につきましては、基準に定められた条件のみならず、想定され得る多様な条件のもとでメーカーが安全性の確認を十分に行うということが望ましいと考えられますことから、みずからの責任において事前に十分な確認を行うように運輸省としても十分な注意喚起を図ってまいりたい、このように考えております。
  256. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 ぜひ見直しをしっかりやっていただきたいと思うんですが、その見直しをする上で一つ私が気づいた点を御指摘申し上げたいと思うんです。  このいただいた試験成績書等提出書面一覧によりますと、長距離走行試験というのがございます。これは、あらかじめメーカーがやるわけです。実際に八万キロ走らせてデータをとるというものです。  これはちょっと運輸省に事実確認しますが、これは型式指定時に運輸省で再試験をやっておりますか。
  257. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) 今御指摘の長距離の走行試験については、原則として試験のデータをもらいましてチェックをするということにしております。
  258. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 もう一つ聞きますけれども、メーカーのデータを頼りにチェックしていると思うんですが、この試験をメーカーはどういう温度設定でやっておりますか。
  259. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) 申しわけございません。今手元に資料がございませんで、もし必要でございましたら後ほど御説明申し上げたいと思います。
  260. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 これは明確に事前の説明で常温二十五度と聞いております。日本には四季があるんですね。だから、日本で売られる車は、北は北海道から南は九州、沖縄まで、雪の中を走ることもあれば炎天下を走ることもあるわけです。しかし、やっている試験は常温、八万キロ、運輸省は改めて再試験をやっていないという状況のもと。本当に一部のユーザーからはユーザーがテストドライバーにされているのではないかと。つまり、ふぐあいが出てきてから、クレームが寄せられてからまあまあどういうわけかと調べるということになりかねないという声も寄せられております。  ユーザーや国民の多くは、仮にメーカーが手抜きをしたとしても運輸省が最終的にはチェックしてくれているんだから安全だと、こう信じていると思うんですよ。よもやメーカーのチェックで大半の項目がいっているというふうには思っておられないと思うんですね。この問題を見ましても、私は、実は先ほどのリコール、クレーム隠しで指摘させていただいたようなメーカーに対するやはり認識に少しずれがあるのではないかと御指摘申し上げたいんです。  メーカーは今どういう姿勢で設計でのコスト削減をやっているかと。私、これも事実、現場で聞いて驚きました。  あるメーカーでは、一部品一グラム一円コストダウン、これスローガンだというんです。つまり、部品を徹底的に削り込んでやると。自動車というのは大体何万点もの部品でつくられていますから、一つの部品を一円削っても物すごくプラスになるわけですね。別のメーカーの、これも見直し事例というものを持ってきましたけれども、社外秘となっております。一層露骨です。A部品の板厚を削り込めば一台につき四円の効果、B部品については全数検査しているものを抜き取り調査に変えれば一台につき三十八円の効果、こういっていかに削り込むかということでやっているわけですね。  だから、メーカーというのはほっておけばやはり安全性ぎりぎりのところまでこうしてコストダウン、これはもう当然競争の中にあるわけですからやるものなんですよ。だから、やっぱりチェックをきちっと厳格に運輸省がやる、このことが求められていると思うんですが、いかがですか大臣大臣にひとつ。
  261. 森田一

    国務大臣(森田一君) ただいまお話がありましたような問題点はあろうかと思いますが、基本的には行政の効率化ということが求められておるわけでございまして、やはり信頼関係に立って物事を行わなければ万事うまくいかないというふうに考えております。  しかし、安全の問題というのは規制緩和の中で、私が先ほど申し上げましたように、特に政務次官当時から比べて規制緩和が大幅に進んでおる問題でございますので、よっぽど注意してやらなきゃいかぬなということを実感しておるわけでございまして、そのような観点から、ただいま先生が御提起になりました問題につきましても十分に検討してまいりたいと考えております。
  262. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 信頼関係と言うけれども、それがまさに裏切られているわけですし、国民はそのことに危惧を抱いているわけです。私はやっぱりメーカーに対しては甘いと思いますよ。  それで、私きょうは、実は最後に、きょうもう一枚資料をおつけいたしました。実は、自民党は、自民党の資金団体である国民政治協会は自動車メーカーから莫大な献金を受け取っております。三菱自動車一千八百四十万円、トヨタ自動車六千二百万円、日産自動車二千五百四十万円、本田技研工業二千六百四十万円、スズキ二千三百七十万円、日本自動車工業会七千九百九十万円、これが自民党と自動車メーカーとの関係であります。  その一方で、当のメーカーは何と言っているかと。これは時事通信の配信で知ったことですけれども、実は先日十月十七日の記者会見で、日本自動車工業会の奥田会長は、当局の立入検査が多いと日常業務に差し支える、日本の制度に厳し過ぎる点があれば調整していきたいと述べたと報道されております。これは三菱自動車問題がこれだけ大きな問題になった後の自動車工業会会長の言い分です。  運輸大臣、甘くないと、こんな献金と全く別だと言うんだったら、こんなことを言わせておくわけにいかないと思うんですよ。やっぱりきちっとこの点について自動車メーカーに対しても指導すると。いかがですか、これ。このことを聞いて、質問を終わります。
  263. 森田一

    国務大臣(森田一君) 新聞を読みまして、これは重大なことだと思いまして、日本自動車工業会に確認したわけでございますが、ただいま御指摘のような発言はなかったというふうな返事を受けております。
  264. 宮本岳志

    ○宮本岳志君 終わります。
  265. 三重野栄子

    三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。  運輸関係につきまして、鉄道事故調査の件、それから地域交通における運輸政策、それから地域協議会の機能、総合交通政策等についてお尋ねをいたします。  まず、交通事故調査検討会最終報告と鉄道事故調査委員会の課題でございますが、日比谷線事故の検討会最終報告が十月二十六日に出されまして、事故発生要因が推定されました。これによりますと、事故要因は複数因子の影響が総合的に積み重なった乗り上がり脱線というふうに推定していますが、では原因は何であったのでしょうか、なぜあの場所で脱線事故が起きたのでしょうか、お尋ねをいたします。
  266. 安富正文

    政府参考人安富正文君) お答えいたします。  日比谷線のあの事故につきましては、事故調査検討会において原因究明と再発防止対策の検討を行われまして、先生御指摘のように十月二十六日に最終的な報告が出されました。報告書においては、事故の原因については複数の因子の影響が複合した乗り上がり脱線ということで特定されておるわけでございますが、この脱線に影響を与えた主な因子として幾つかございます。  一つは、静止輪重のアンバランス、それからレールと車輪の間の摩擦係数の増大、車両の台車の特性の影響、それから研削されたレールの形状の影響といったことが考えられるということで指摘されておりますけれども、実はこれらのそれぞれの因子は、単独にそれだけが影響したというわけではなくて、それだけですと脱線に至るものではないんですが、今回の事故ではそれらが複合的に積み重なったということで、この急曲線部の当該事故現場において最終的に複数の因子がそれぞれ複合的に重なることによって脱線に対する余裕がなくなるということから脱線に至ったということが事故原因として推定されているところでございます。
  267. 三重野栄子

    三重野栄子君 今の御報告によりまして、大臣は今後どのような再発防止ということをお考えでしょうか、お尋ねいたします。
  268. 森田一

    国務大臣(森田一君) 今回は、日比谷線の事故について報告書がまとめられたわけでございます。そして、これを見まして、この事故の重大性ということを改めて感じたわけでございまして、同種の事故をどうしても再発を防止しなきゃいかぬというふうな認識に至ったわけでございます。  そして、報告書では対策についても提言をいただいております。今回の事故というのは複数の因子が複合したものであったことにかんがみまして、対策についても、線路、車両、両面から五項目にわたって脱線に対する余裕度を確保することになっております。そのために非常にわかりにくいものになっておりますが、しかし運輸省では、事故調査検討会より報告をいただいた十月二十六日に、全国の鉄道・軌道事業者に対して再発防止策に関する通達を行い、対策の徹底を図ったところでございます。  そして、この報告書に盛られた内容が運輸省として十分に徹底するように幾つもの課題につきまして積極的に取り組んで、そして鉄道のさらなる安全性の向上に全力を尽くしていきたい、このように思っておるわけでございます。
  269. 三重野栄子

    三重野栄子君 そこで、毎日新聞、十月二十七日によりますと、今、大臣がお話しくださいましたいろいろなことがあるわけですけれども、鉄道関係者、JRの関係者からは、「最終報告書の内容はあまりにも専門的すぎて、社内でもすべてを理解できる技術者はそうそうはいない」と、あるいは大手の私鉄関係の方からは、「車両、線路の状況をすべて把握するには、相当な労力がかかる。中小の事業者では対応できないのではないか」、そういう意見が出ているわけでございますが、いずれにしても、これでよい、これで安全ということはないと思いますけれども、やっぱり現場とか中小とかいろんな人たちの御意見を聞くということも重要じゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  270. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 先生御指摘のように、今回の報告書では急曲線部における低速走行時の脱線に対する余裕度の評価方法ということで推定脱線係数比という新たな概念を導入しております。  この指標といいますのは、いわゆる個別のいろんな事項だけじゃなくて、幾つか複数の要因について脱線に対する安全性の計算を行って、静止輪重の管理であるとか脱線防止ガードの追加措置など、総合的な対策を講じるようになっているものでございますが、御指摘のように、非常に専門的な部分もあるということで、我々としては、鉄道事業者に対して、先ほど大臣からありました通達を出すというときに一緒に、簡便な手順でこの計算が可能となるような計算式を、プログラムをフロッピーディスクに入れておりますので、このフロッピーディスクをあわせて事業者に渡すという形で対応が可能ではないかというふうに考えております。  また、十一月二日には全国の鉄道・軌道事業者の主任技術者を本省に集めまして、この最終報告書についての詳細な説明会を行ったところでございますし、さらには今月末までに、全国の地方運輸局に本省の担当者が出向いていきまして、管内の鉄道事業者の現場の担当者を集めまして詳細な説明会を実施したいというふうに考えております。この際に、ぜひ現場のいろんな方の御意見も伺いながら、内容について理解を求めていきたいというふうに考えております。  この地方説明会の場を通じて、報告書、通達内容に対する理解をより深めてもらいますことによって、鉄道事業者の現場レベルにおける疑問、相談等に応じてまいりたいというふうに考えております。
  271. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変御苦労なお仕事でございますが、よろしくお願いします。  ただもう一点、今回営団がとられる措置の中で、輪重比のこと、さっきございましたけれども、全車両を一〇%以内におさめるためには来年度初めに四千ないし五千万程度の新型計測器を五台購入するということだけれども、地方の中小鉄道とか第三セクターでは一台購入することも難しいのではないか、そういう点についてはいかがでしょうか。
  272. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 今御指摘のとおり、今回の事故防止対策につきましては、輪重の管理とか軌道の平面性の管理といったようなことを行うことになっておりますけれども、このうち輪重の管理については車両の輪重を直接計測して管理するということにしております。ただ、この輪重を測定する器械、幾つかございますけれども、百万程度の可搬式のものから固定式の数千万の定置式のものまでさまざまございます。  確かに、中小や第三セクター鉄道事業者においては、保有車両数が余り多くないとか測定の効率性を考えますと、場合によっては可搬式のものあるいは可搬式のもののレンタル、場合によっては他社に測定を依頼するといったようなことも可能ではないかというふうに考えております。  いずれにしても、それぞれの事業者の線路線形とかあるいは車両の構造とか千差万別でございますので、こうした事故防止対策の実施計画を策定して年内に運輸省に届けるようにということを指示しているわけでございますけれども、各運輸局で、各事業者がこの実施計画を策定する過程におきまして、機器の搬入等の計画、あるいは先ほど言いました可搬式のものあるいはレンタルといったようなことも含めて、事業者とよく相談して、どういうことでできるのかというのを各運輸局の方で指導してまいりたいというふうに考えております。
  273. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、地域交通における運輸政策についてお尋ねをいたします。  二十一世紀を前にしまして運輸政策審議会から答申が出ておりますが、副題として「新世紀の鉄道整備の具体化に向けて」とございます。まさに二十一世紀初頭の鉄道整備の基本的方向が明示されたと思いますが、本当に鉄道整備と言えるんだろうかという疑問もございます。  答申では、都市部の鉄道整備についてはこれまでの幾つかの答申よりさらに踏み込んだ整備方法を打ち出しているものの、地方鉄道の整備については旧態依然とした方策しかないようでございます。しかも、「今後の鉄道整備の支援方策のあり方」においては、地方鉄道についてはその検討対象にもなっていないようでございますが、十月三十日の日経新聞によりますと、「赤字鉄道の廃止相次ぐ」の見出しで、廃止予定の鉄道路線、廃止を検討している路線名が書かれていましたけれども、いずれも地域では生活交通としてはなくしてはならない路線でございます。  運輸行政をつかさどる長として、地域交通、生活交通をどのように考えておられるか。大臣のあいさつにも、「生活交通の維持、確保等に十分に配慮した規制改革の着実な推進」とございましたけれども、具体的にはどのようにされるのでしょうか、お伺いいたします。
  274. 森田一

    国務大臣(森田一君) 確かに、先ほど申し上げましたように、最近は需給調整の規制の廃止ということが行われておるわけでございます。そうなりますと、安全の問題等、通勤、通学、通院、買い物等の生活路線をどうやって確保していくかということが非常に問題になってくるわけでございます。  しかし、このような路線の廃止の場合には届け出があるわけでございますが、これにどういうふうに対応していくかということは、地域の実情に応じてよく協議していかなきゃいかぬというふうに考えております。そして、このような仕組みの中において、地方公共団体が中心となって議論が尽くされることが非常に重要であるというふうに考えておるわけでございます。  今後とも、運輸政策審議会から先月いただいた答申も踏まえまして、国と地方公共団体が適切に分担共同しながら、生活交通の確保につきまして十分に配慮していかなきゃいかぬ、このように考えておるわけでございます。
  275. 三重野栄子

    三重野栄子君 私が住んでいるところも既に五つの線がなくなろうとしている、相談を受けているわけですけれども、本当に、地域共同体と一緒に、安全に、そして豊かになるような工夫をしていかなくちゃいけないと思います。  地域協議会の機能についてお尋ねいたします。  道路運送法の一部改定によりまして、乗り合いバスの需給調整規制廃止が決まりました。参入、退出が事業者の自由となったわけです。わずかな縛りといえば、廃止まで六カ月間の猶予が必要というわけですが、この六カ月の間に次の生活交通考える場が地域協議会になっております。しかも、運輸省が各都道府県担当者に示した地域住民の生活交通の確保に関する協議会の枠組みに関する運輸省としての考え方、随分長いんですけれども、では、地域協議会の協議事項として、生活交通の確保に関する地域における枠組みづくり、その他生活交通のあり方一般に関する審議となっております。地域協議会は、路線廃止後の生活交通を確保するための協議だけではなくて、地域におけるあるべき生活交通についても協議事項となっております。  ここで何点かお尋ねしたいわけですが、まず第一は、地域協議会の行う決定の拘束力はどのくらいなのでしょうか。具体的には、四条免許で運行している季節路線の変更までもが検討対象となるのだろうか。  第二点としては、生活交通として決定された路線への維持費についてはどのような財政的裏づけが考えられるのか。その二点についてお尋ねいたします。
  276. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) お答え申し上げます。  今お示ししました私どもの考え方は、関係省庁とも御相談をして私どもの考え方としてお示ししたものでございますが、地域協議会の設置運営につきましては、これを主催する都道府県を初めとする関係者の合意によって、その判断によって協議を行うというふうに考えております。  当然、その結果として、地域協議会によって協議が調った事項については関係者はその結果を尊重するということをその合意の中に含んでおるということでございますので、私どもとしましては、その協議が調った結果が実施されることになるというふうに考えております。  それから、路線の維持につきまして必要な公的な財政的な支援でございますけれども、これにつきましては、地方公共団体が中心となって地域協議会の協議の結果に基づいて必要な対策を講じていくということが重要ではないかというふうに、今回の需給調整の廃止に伴う規制の見直しに際しまして私どもが考え方として御説明をしているところでございます。  その財源につきましては、運輸省はもちろん二〇〇一年度予算要求としまして前年度とほぼ同額の八十七億円を要求しているところでございますけれども、今後、関係省庁間で十分協議を行いまして、国と特に地方の役割、それらの分担を明確にした上で、地方も含めた適切な財源が確保されるように調整を進めているところでございます。
  277. 三重野栄子

    三重野栄子君 今、予算の問題について伺いましたが、そこの確認でございますが、生活交通確保のために地方交付税を充てるという、それから地域協議会は各自治体の補助支出先を決定することができるということ、そういうことでよろしいんでしょうか。今伺いましたことを含むんでしょうか。
  278. 縄野克彦

    政府参考人縄野克彦君) お答え申し上げます。  具体的な地方の財源をどのような形にするかにつきましては、先ほど申し上げましたように、関係省庁、特に自治省との間で私どもも相談をし、最終的に地方財政計画の中で決められるべきものというふうに考えております。  それから、地域協議会の中でどのような形でだれが負担をしていくかということは、当然協議事項であるというふうに考えております。
  279. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは最後に、総合交通政策についてお尋ねいたします。  あと二カ月足らずで二十一世紀になります。二〇〇一年になりますと国土交通省が誕生しますし、誕生します国土交通省は公共事業の七割を担う巨大な官庁となるわけであります。このような巨大官庁となることへの批判もあります。けれども、運輸省、建設省、国土庁等の統合の意義が、これまでの縦割り行政の弊害を排し、総合交通政策という観点から見れば全体を大変よく組みかえることができる可能性が生まれたとも考えるわけでありますが、この点はいかがでしょうか。  あわせて、移動の自由を権利として確立させることも重要と考えますが、具体的には交通権を確保する交通基本法の制定が望まれるわけですけれども、大臣の御見解を伺います。
  280. 森田一

    国務大臣(森田一君) 今までは道路と港湾と鉄道と航空というのが別々でございまして、相互に意思疎通は行っておりましたが、総合的な交通政策を進めていく上においてなかなか行き届かない点があったわけでございます。特に最近は厳しい財政状況や環境問題の深刻化や少子高齢化の進展等におきまして、このような観点が非常に重要になってくるわけでございます。  ただいま先生御指摘になりましたように、四省庁が二〇〇一年一月六日に国土交通省になるわけでございまして、交通行政につきまして、総合的、一体的な取り組みが可能になるわけでございまして、御指摘になりましたように巨大官庁という批判があるわけでございますが、そのメリットも十分に生かしていかなきゃいかぬというふうに考えておるわけでございます。  また、交通権の問題でございますが、これは移動の自由を交通権として確立、保障することにつきましては、いかなる水準の交通サービスを享受する権利であるかということで、社会的な合意がどうしても必要ということになってくるわけでございます。しかし、まだ交通権ということにつきましても一般の国民の間で議論が十分に成熟されておるとは言えないというような状況であると認識しておるわけでございます。しかし、今後とも国民的な議論の方向を十分に踏まえまして、この問題について注視をする必要があると考えております。そして、フランスの国内交通基本法におきます条文等につきましても十分に頭に入っておるわけでございます。
  281. 三重野栄子

    三重野栄子君 終わります。ありがとうございました。
  282. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。  私は鉄道に関しまして、私は大変鉄道が好きでございまして、そういう意味から、一国民として利用させていただいている間にいろいろ感じました単純な疑問点でございますが、何点か質問させていただきたいと思うんです。よろしくお願いをいたしたいと思います。  私自身は、地元との往復、これは飛行機と鉄道両方あるんですけれども、鉄道を愛するという面から、飛行機も乗っていますけれども、大体半々ぐらいの利用をさせていただいておりまして、そういう面で、先ほども申し上げましたとおり鉄道で大変快適な旅行をさせていただいているということをまず冒頭に感謝させていただきたいんです。  その鉄道を利用して、実はきょうお許しを願ってこの図の提出をさせていただいたんですが、これを見て御説明させていただいた方がわかりやすいと思いまして、説明をさせていただきます。  これは「「はくたか号」の車両編成(越後湯沢発)」ということで、これは私ことしの春、自分で車内を歩きましてメモした取材で、私のつくったものでございまして、まずこれが本当に正しいかどうかをお聞きしなきゃいけないんですが、それは後にします。これは越後湯沢発ですから一号車からずっと走っていくわけでございまして、この中身は、ここにおられる鹿熊先生も同じように利用されていると思いますので、鹿熊先生はよく御理解いただけるかなと思っているんですけれども。  この中で、実は出入り口、乗車口の問題なんですけれども、これは白い四角が一般のだれでもが乗りおりできる乗車口で、その四角の中にバツが入っていますのが、そこについているラベルを見ますと乗務員用乗降口、ふだんお客さんが乗れない乗降口ですね。バツだけのやつは業務用、これはキオスクからいろんなものを運ばれる方なんじゃないかと思いますけれども、こんな編成になっているわけでございます。  これをよくごらんいただきますと、三号車と四号車の間には出口がないんですね。それから六号車と七号車の間にも出口がないわけです。私はこれを見て大変驚いたんですけれども、これが発車しますと、停車駅でおりるときには大体車掌さんが車内放送で、例えば三号車の方は前をお使いください、四号車の方は後ろをお使いください、こんな注釈をしておられると。  それで、私の認識では、ほかの北陸線なんかを見ますと大体片側には必ずあるわけですね。ところが、これ新しくほくほく線ができた関係かもしれませんが、こういう編成が出て、私の今までの経験と合わせてちょっと驚いたんですが、この図がまず正しいかどうか、それとこういう事例がほかにもあるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
  283. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 先生御指摘のはくたか号のほとんどの列車は、この先生提出されました図面のとおり九両編成ということで、まず六両の基本編成と三両の附属編成から成っております。と申しますのは、六両については越後湯沢から金沢まで行って、そこで切り離されて金沢から和倉温泉の方に三両が行くという形で九両編成になっているわけですが、このはくたか号の九両編成の四号車には、ここにあります三号車寄りには業務用の専用で、これはお客が乗りおりできませんが、五号車寄りに乗客用の乗降口が設けられております。と申しますのは、④と書いてあるところのトイレのところがありますが、トのところにこれは乗降口があるというふうに、ちょっと私らも調べたんですがあるようでございまして、そういう意味で若干この図が、トのところに乗降口があるという意味で、申しわけないんですが間違っておるんじゃないかと思います。我々ちょっと調べましたら、そうなっておりました。  また、六号車、七号車については運転席が設けてある。途中で切り離す関係上、先生御指摘のとおりでございますが、途中の六号車、七号車の接続部分の両わきには乗降口はございません。ただ、はくたか号の各車両には必ず最低一つの旅客用乗降口が確保されているという形になっているということでございます。
  284. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 四号車のトのところに戸口があるというのは確かにそうかもしれません。私が見逃したかもしれませんけれども、これは私の質問の本質とは何ら関係ないことであります。  あと御質問したいのは、要は三号車と四号車の人はそれぞれ片側でおりてくれという放送をしているからいいんですけれども、私は大体お世話になっておりまして一号車に乗せてもらっていますから直接は関係ないんでありますけれども、いざというときに本当に混乱を起こさないのかという、この関係で。放送すれば済むかもしれませんけれども、放送もできない状況もあるだろうというような気がするんです。こういうことが効率化ということなのかどうなのかはわかりませんが、どんな事情でこんなふうな片側を閉めちゃうような構造になるのか、運輸省はどういうふうに御認識されているのか。
  285. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 先ほどの質問についてはもう一つ答えていなかった面がありまして、まずそれを答えさせていただきたいと思います。  こういう車両がほかにあるかという御質問だったと思います。一般的に大都市の近郊区間を走ります、例えば特急列車、快速列車に転用されるようなものについては二つ扉があるというのが基本になっておりますけれども、長距離の幹線輸送での運用を前提につくられた車両の場合には必ずしも車両の両端に乗降口がないという型式もかなり見られるということでございます。具体的には、JR東日本の「つばさ」とか「こまち」といったような車両も同じような形になっております。  それで、こういうことでいいのかという話がございますが、一つは、旅客車について、現在、普通鉄道構造規則第百九十二条というのがございまして、いわゆる立席を設けない形の車両、特に特急車両等がそれに当たるかと思いますが、これについては隣接する車両との貫通路付近に乗降口があればいいという形の最低限の基準になっております。そういう意味で、特急列車等のいわゆる立席を基本的に設けないというものについては、停車駅が限定されているとか、あるいは乗車定員がある程度限られているということから、乗降口をある程度限ったとしても利便性の確保という点では、先ほどもございました車内案内であるとか、あるいはプラットホームでの表示案内といったようなことで対処できるということでやっておるのではないかと思います。  また、問題は緊急時においてということでございますが、少なくとも一車両には一つ出口があるということで、そういう点から避難ということで安全上問題はないかと考えておりますけれども、特に鉄道の場合には緊急時にじゃ勝手におりるといっても、いわゆる複線の場合には対向車両があったり、あるいは橋梁の上であったり、あるいはトンネルであったり、あるいは段差が相当ありますからホーム上におりる形じゃない場合にいろんな問題がございますので、そこら辺は車掌なり乗務員の指示に従っておりるという形で安全性を確保していくのではないかというふうに考えております。
  286. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 局長はやはり現状維持型で、法令を守ってというお話でございますが、どうも私の質問と食い違うところがございまして、私は隣の口から出ちゃいかぬとも言っていないんですよ。これを見て、三号車と四号車の人、六号車、七号車の人がいざというときに混乱を起こさないのかなという心配があるので、これが絶対心配がないというのであればそれはそれで構わない、そういう見解であればそれで構わないと思うんですけれども、ここで大臣、通告しておりませんでしたけれども、こういう問題について何か御感想がございましたら。
  287. 森田一

    国務大臣(森田一君) ただいま先生の方から列車の乗降口の配置につきまして御指摘がありまして、非常に重要な課題であるというふうに考えております。  今後は、このような列車の乗降口につきまして、鉄道を利用する旅客の安全の点から、適切に安全が図られるように一層鉄道事業者を指導してまいりたい、このように思っております。
  288. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 安全であればいいんですけれども、要するに大臣の所信表明を見ましても、いわゆる安全、安心、高齢化対策、バリアフリーと言っておられる。それはもう確かに私もそれを進めるべきだと思いますけれども、そういう面と何かちぐはぐな格好じゃないのかなと。  したがって、この辺もまた議論が長くなるかもしれませんが、要するにこういうものを本当に安全か安心かということを理論的にといいますか、技術的にもっと詰める必要があるんじゃないのかなという気がするんですよね。そういう面をお詰めになっているのかなという疑問もあってこういう質問をさせていただいたわけですが、これは問題意識として、私も今どうしろと言ってもできないでしょうから、もしこれはちょっと不安があるとすれば要するにこうであるということを徹底させて対処しなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。  それと、もう一つ、これは全く別の観点からなんですが、鉄道について、私、実はことしの夏休みを利用してヨーロッパで鉄道に乗ったんですが、三年ほど前もヨーロッパで鉄道に乗ったんですけれども、何か違うなという点で、金沢から東京へ来るまでの間にいわゆる切符のチェックの回数、東京から金沢に来る間に、越後湯沢を回っても米原を回っても五回あるんですよね。要するに、入るとき、それから検札、それから乗りかえるとき、検札、それからおりるとき。ところが、ヨーロッパで同じぐらいの距離を乗りましたら二回なんですよ。御存じだと思いますけれども、要するに鉄道の中の、乗った中でのチェックだけなんですね。  この違いが何なのかなと。いわゆる鉄道の方も効率化をしているでしょうし、だからといってヨーロッパに倣ってすぐできるかという面もありますし、日本の国民の皆さんの国民性という問題もあるかもしれないんですが、この違いがどうも腑に落ちない。  この辺について、鉄道局としてはどんなふうな分析をされておられるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
  289. 安富正文

    政府参考人安富正文君) 先生御指摘のとおり、我が国ではまず最初に構内に入るときに改札を行うわけですが、これは基本的には不正乗車の防止という観点から改札を行っておるわけですけれども、一方、車内検札でございますが、不正乗車の発見ということもあるかと思いますが、一つは乗車券、特急券の発売をするとか、あるいは乗り越し等の変更取り扱いをするとか、あるいは行き先等も含めた旅客の案内をするとか、そういうこともやはり目的として実施されておるところでございます。  それで、確かに何回も来られると非常に煩雑で面倒くさいということもありますけれども、新しい駅にとまって新たなお客が乗車してきますと検札をするという形で、そういう検札が複数回になっているという状態ではないかと思います。
  290. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 お聞きするところによりますと、ヨーロッパとかアメリカというのは不正乗車が見つかると相当厳罰を受ける、それが一つのチェックになっているというようなことをお伺いしますので、それが日本の制度と、日本の我々の慣例と合うかどうかという大きな問題があるんですが、これからの国際化を控えて、どちらからも行き来するんだと思うんですけれども、それと、ましてや効率化の面からいきますと、ヨーロッパ並みのとは言いませんけれども、また別の検討も必要じゃないのかなという気がいたします。  先ほど、局長が人がいろいろ大変だからという問題を提起されましたけれども、実は改札というのは物すごく機械化していますよね。機械化して、これも要するに三枚を入れてチェックするようなのもあるんです、私の経路にもあるんですけれども。ところが、これがなかなかうまく機能しないで、そういう機械化したのはいいけれども、一年ぐらいでしたか、駅員の方がそれぞれの口におるんですよ。全然労力削減になっていないですね。駅員の方がかわったと思ったら、女性がアルバイトか何かでおると。それが何か効率化かなというような感じがしてならないんですが、これはJR自身の問題かもしれませんし、鉄道の問題だからあえて言いませんけれども、そういう問題があるということは御理解をいただきたい。  それで、私は何か鉄道のこういうようなやり方、これは大臣、先ほど世の中というのは信頼関係が大変大事だということを宮本委員の御質問お答えになりましたけれども、要するに何かその辺が欠如しているんじゃないか。今の日本というのは非常に人間不信に陥っているんじゃないか。  これはささいなことで申しわけないんですけれども、改札口で一つだけ機械化でないところがありますね、我々みたいなのが通るところで。これは、私、議員になって初めてそこを通ったんですけれども、ああいうゲートが、実はゲートで閉めておりますよね。それで、人が来てあけるでしょう。あれは、昔の改札を見ますと、あんなことは絶対なかったですよ。ツーツーで行けたわけですよ。それが恐らく機械化の後にああなったんだろうと思うんですね。機械化の場合は自分で切符を入れてあきますから、自分があけたという気分になるんですけれども、ああやってゲートで通らされますと、何か家畜を追い込まれるような感じがしてならないのでありまして、それがそれだけならいいんですけれども、場合によってはゲートの前に立ってもしばらくあかない。よく見たら居眠りしていたというようなこともございました。  その辺がいわゆる信頼関係、そういうものがなかなか今うまくいかないで、人間不信というのは非常に強くなっているんじゃないかというような気がしてならないんですが、これは運輸行政としてではなくて、大臣の一国民としての、その辺の今の世の中に対するお感じをぜひお聞かせ願いたいと思います。
  291. 森田一

    国務大臣(森田一君) ただいま岩本先生の方から検札や改札の方法について、身近な問題について問題提起をしていただきました。  私も思い当たることがありますのは、大蔵省主計局でおりましたときに、主計局の予算編成を機械化するということでやっておったわけでございますが、私が在任中は手作業でやるのとそれから電算機でやるのと二重の予算編成をやっておったわけでございます。そういうわけで、これが徹底するまでにはなかなかいろんな困難があるなということを感じたわけでございます。  先ほどのホームでの複雑な問題につきましても、私も一国民として東京の地下鉄を利用するのは非常に困難を感じておりまして、なかなか十分に利用できないというのが実感でございます。これも私自身が悪いので、地下鉄が十分利用できるようになれていかなきゃいかぬというふうに自戒をいたしております。
  292. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私、機械化が悪いということでもなくて、時代の進歩に従ってやっていくのは当然かと思いますけれども、やはり信頼関係といいますか、人間というものがなくなっちゃいかぬじゃないのかなという気がして。それと、私は選挙のときから現場主義ということを標榜いたしておりまして、現場の方々の声を酌み取ろうということで今回こんな質問をさせていただいたわけでございますが、大臣からいろいろ個人的な御所見等をいただきましたので、時間もちょっと二分ぐらいありますけれども、これで終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  293. 今泉昭

    委員長今泉昭君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会