○円
より子君
中小企業が今最も資金繰りに苦しんでいるというのは両
大臣とも
認識なさっていることでございますけれども、そもそも日本
経済の根本の問題が解決しておりませんから、さまざまな手を打ちましてもなかなか
中小企業の人たちの方にも明るい兆しが見えませんし、
個人消費もなかなか回復しないというところがあると思うんですが、その根本の問題というのはバランスシートの問題だと私は思っているんです。
法人
企業や
金融機関、家計、それぞれがバブル崩壊以来の資産価格が下落してバランスシートに毀損を来していることは御存じのとおりで、民間部門が身ぎれいにならないうちは日本
経済には薄日どころか青空は絶対に差さないんじゃないかというふうに考えておりまして、この間、森総理の所信演説に対して代表
質問させていただいたそのときにも、不良債権の処理の峠は越したと何度もいろんなところで聞いておりますけれども、現実には不良債権をいまだに先送りして問題解決がされていないと私は思っております。
そもそも、バブルの発生と崩壊という現象は過去に何度か繰り返されてきたのでメカニズム自体はよく知られておりますけれども、その後に残るバランスシート問題につきましては
経済学は真正面から取り上げたことがないわけです。試しにサミュエルソンの
経済学の事項索引を見ましても、バブルもバランスシートも出ておりません。
一つには、資産デフレ状態が十年も続くという例は一九三〇年代の大恐慌以外には例が余りないわけで、この一九九〇年代、失われた十年なんと言われますが、この間の日本
経済というのは大変珍しい
症状なんだと私は思うんです。それだけではなくて、
経済データと呼ばれるものの大部分はGDP統計などフローに関するもので占められていますけれども、ストックに関するデータということを集めるのが難しいわけで、これは
経済政策についても同様だと思います。そこで、財政
政策にせよ金融
政策にせよ、発想の
軸足がどうもフローに置かれ過ぎておりまして、公的資金の投入といったストックに着眼した
政策というのはなかなか実行が難しいということがございます。
ところが、バブルの崩壊という現象は今の日本に住んでいる人々のほとんどが切実に
影響をこうむり、実感した出来事ではなかったかと思うんです。八〇年代後半のピーク時に比べまして、まず住宅用不動産は二分の一、それから株価は三分の一、商業用不動産は八分の一、ゴルフ会員権に至っては十分の一に下落したと言われております。
ですから、全くこの間
影響を受けなかった人はいないのではないかというような、こういった
状況の中でバランスシートが大きく破損した場合、どういうことを人々がするかといいますと、個人でも
企業でも最初に考えるのは消費や投資を抑えることだと思うんです。そして、必死で返済をする。ところが、これをみんなが同じことを考えて、全員が同じことをしますと、当然、
経済は停滞しますし、資産価格はさらに下落する、これは当然のことだと思います。そして、その先に何があるかといいますと、バランスシートがさらに悪化するわけでございますけれども、こういった合成の誤謬を招いているのが現在の日本だと思うんです。
このバランスシートが悪化した銀行に対して国は公的資金を注入したわけです。ところが、その銀行は貸し渋りや貸しはがしをして、現実に、
先ほど言いました合成の誤謬じゃありませんが、当然バランスシートの毀損を何とか回復しなければいけないと思ってしまい、そうすると
中小企業は貸しはがしや貸し渋りによってますますバランスシートが悪化するという、こんな悪循環が起きているわけです。
土地の担保とかだけで銀行が融資をだんだんしない方向になることはいいことなんですが、バランスシートでもし評価されればほとんどの
企業は融資を受けられない、そんな
状況になるんじゃないかという気がするんですけれども、貸し渋りというのが、これは宮澤大蔵
大臣が前回の
国会で、衆議院の予算
委員会で答弁なさっているんですが、実は貸し渋りというのが、その前の年に始まりました中小
金融機関の
早期是正措置というものがあって、
早期是正措置で中小
金融機関が融資を引き揚げたというところから事が始まって、行政がそれに十分注意をいたしませんうちに急速に悪化しましたとおっしゃっています。これは大蔵
大臣ではなくてどこかの
経済評論家が言っていらっしゃるのかと思うような御答弁だと。私は宮澤大蔵
大臣を大変尊敬しておりますけれども、このごろの御答弁を聞いておりますと、もうまるっきり行政の当事者というよりは評論家みたいなことをちょっとおっしゃっていて困るなという気がしないではないんです。
話を戻しますと、そういった
状況の中で、当然バランスシートだけで審査の
判断をしていては不完全ではないかという気がするんです。なかなか
中小企業がうまくいかない。このときに
中小企業、中小だけじゃなくて零細
企業等の信用リスクについては何らかの私はデータベースをつくる必要があると思うんです。
それで、非財務データを入れるとかそういった取り組みを通産ではしていらっしゃると聞いていますが、いつごろからそういったものを実際にお使いになるのか、その辺をお聞かせいただければと思います。