運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-11-30 第150回国会 参議院 外交・防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月三十日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十九日     辞任         補欠選任         笠井  亮君     立木  洋君  十一月三十日     辞任         補欠選任         村上 正邦君     国井 正幸君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         服部三男雄君     理 事                 山本 一太君                 依田 智治君                 海野  徹君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 国井 正幸君                 須藤良太郎君                 鈴木 正孝君                 松田 岩夫君                 森山  裕君                 矢野 哲朗君                 山崎  力君                 江本 孟紀君                 松前 達郎君                 吉田 之久君                 荒木 清寛君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (防衛庁長官)  虎島 和夫君    政務次官        外務政務次官   荒木 清寛君        防衛政務次官   鈴木 正孝君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        防衛庁防衛局長  首藤 新悟君        防衛庁運用局長  北原 巖男君        法務省民事局長  細川  清君        法務省入国管理        局長       町田 幸雄君        外務省総合外交        政策局長     竹内 行夫君        外務省中南米局        長        堀村 隆彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) 〇戦争犯罪時効適用条約早期批准に関する請  願(第一二七号) 〇核兵器全面禁止及び廃絶実現に関する請願  (第一三〇号外二三件) 〇非核法の制定に関する請願(第六二三号) 〇空中給油機導入計画中止等に関する請願(第  一五四〇号) 〇核兵器廃絶条約の締結に関する請願(第一六九  五号) ○継続調査要求に関する件 〇委員派遣に関する件     ─────────────
  2. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、笠井亮君が委員辞任され、その補欠として立木洋君が選任されました。     ─────────────
  3. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案審査のため、本日の委員会外務省総合外交政策局長竹内行夫君、外務省中南米局長堀村隆彦君、防衛庁長官官房長守屋武昌君、防衛庁防衛局長首藤新悟君、防衛庁運用局長北原巖男君、法務省入国管理局長町田幸雄君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 依田智治

    依田智治君 おはようございます。  二十分いただいておりますが、まず船舶検査法案について、私、討論等を行いませんので、この機会に私の考えを申し述べ、両大臣からそれぞれ御意見を伺いたいと思うわけでございます。その後、二、三、当面関心を持っております事項について質問させていただきたいと思います。  まず、船舶検査法案でございますが、この船舶検査法につきましては、実は、田先生もおられますが、自社さ体制だったときにガイドライン審査、そういう中でも周辺事態における協力という中で、それぞれ主体的立場協力する中にも国連決議等に伴うそういう問題も触れておりますし、その後、自自連立、自自公連立、そして現在の自公保連立というようなそれぞれ連立協議の中でも、私、実は参議院側自民党委員として出させていただきました。  結局、現在の日米安保体制というものを堅持していく立場に立った場合にどういう協力ができるか。旧ガイドラインのときには極東地帯についても研究しようということだったけれどもできなかった。それを新しいガイドラインでは、そういう周辺事態についてもしっかり協力して、しかもそれをただつくるだけでなくて、おのおのの政府主体的立場でそれの実効性確保するようにしていこうという立場に立って実は協力されてきて、去年も政府案に入っておったのが連立協議過程の中で先延ばしになっていた。  その政府案よりは、旗国同意というような部分が入ったとか若干の違いがありますが、やはり私は、これは現在の日米安保体制というものをしっかり堅持していく意味でも、周辺事態において後方地域支援後方地域捜索救助活動あと一本の柱としての船舶活動ということで極めて重要な法律であり、しかも、このそれぞれの審議過程を通じて、我が国武力行使なり武力による威嚇はしないということで、はっきりこれについては私もガイドライン審査のときに集団的自衛権の解釈についての私見も申し上げていろいろ意見は述べましたが、しかし現在の政府考えの中できちっと憲法上も整理して法案をつくられているわけでございますから、私は当然速やかに成立すべきものであるという見解を持っているわけです。  これにつきまして、ぜひ船舶検査法を通す必要があるということにつきまして、それぞれ大臣から御意見を伺えればありがたいと思います。まず、お願いします。
  7. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 安全保障政策の中枢にいつもおられました依田先生でございますから、この間の経緯はだれよりもよく御存じで、今お話がありましたような状況と目的をもって今回の法案提出をさせていただいているわけでございます。  今お話がありましたように、船舶検査活動につきましては、昨年の周辺事態安全確保法案国会審議過程におきまして別途立法措置をとるとの前提で同法案より削除をされ、その後、与党及び政府において検討を行ってまいりましたが、先月末、本法案国会提出、御審議をいただいているわけでございます。  この法案は、周辺事態対応するための措置を定める法整備の一環でございまして、周辺事態安全確保法と相まって日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資するという重要な意義を有するものでございます。  我が国を取り巻くアジアにおきまして、朝鮮半島における緊張緩和の兆しが見られる一方で不透明、不確実な要素も存在している現在、我が国としても、地域における対話、協力進展に積極的に取り組んでいくとともに、日米安保体制信頼性の向上に努め、不測の事態への対応に平素から遺漏なきを期すことは極めて重要だと考えております。  そういう意味におきまして本法案は極めて重要と考えておりまして、一日も早い御審議の上、本法案成立をお願いしたいと考えております。
  8. 虎島和夫

    国務大臣虎島和夫君) 先生指摘のとおり、また、ただいま外務大臣から御答弁申し上げましたとおり、本法案は、憲法との関係日米安保体制における位置づけ等を十分整理した上で、これまでの国会での御審議与党間の御協議も踏まえて作成し、国会提出したものでございます。  また、本法案内容は、自衛官の安全にも配慮しながら、有効な船舶検査活動実施し得るものになっております。さらに、本法案は、周辺事態安全確保法と相まって日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資するという重要な意義を有するとともに、指針の見直しに際し企図した周辺事態への対応のための法整備が完了するという意味においても重要な意義を有しております。  ぜひとも成立をお図りいただきますようにお願い申し上げて、所見を申し上げる次第であります。
  9. 依田智治

    依田智治君 一昨日も、審議過程で、周辺事態とはどの範囲かとかいろいろ議論がありました。しかし、これは地理的要素を含む概念ではあるけれども、いわゆるどこからどこまでというようなものでなく、性質に着目したものであって、しかし、国連決議とか旗国同意があれば地球の裏側まで行くというものじゃなくて、周辺地域においてやるということで十分議論が尽くされておりますし、また、いわゆる警告射撃とかそういう問題等についても、過去のイラク制裁その他の事例等から十分この範囲でもできるということで、我々としても割り切って法案が出されておるということでございますし、ぜひこれは成立させていただく必要があると。  それで、自衛隊にとっても、こういう海洋国家日本という立場海上自衛隊行動する場合に、きちっと船舶検査に関する法制が整備されるということは、それに基づいて装備を充実させたり、また訓練等もしっかりできるという面でも大変重要だと思いますので、これは私はそういう立場から賛成を申し述べておきたいと思います。  あと、この船舶検査について一点だけ。  この間、防衛庁長官外務大臣外務省の方でいわゆる国連憲章四十一条とか七章の問題、イラク制裁における六六一とか六六五の問題等で何か若干時間かけてごたごたしていましたが、私の理解しているところでは、今回の法律では、国連決議がこれは何らかの事情でない場合でも旗国同意を得て我が国として国際的協調活動に参加していこうということであって、そのあたりには全く両省においてそごはない、こう考えておるので、その点はいかがでございましょうか。  防衛庁長官、この間何か最後的に、鈴木さんが六六五の行動ですとかいろいろあれしていましたが、その点は問題ないですね。
  10. 虎島和夫

    国務大臣虎島和夫君) お説の御指摘のように問題はございません。
  11. 依田智治

    依田智治君 以上で船舶検査について私は終わります。  あと二点だけ、これは私ども参議院自民党・保守党で議員連盟もつくって現在推進に努力しておるんですが、防衛庁が来年一月六日に中央省庁再編があるときに一つだけ庁として残る。この問題、ちょっと私の意見を申し述べて、防衛庁長官のひとつそれを実現する決意というか、伺いたいと思います。  私ども議員連盟をつくって今推進しているのは、国の仕事は何か、地方にやるべき仕事は何か、そのあたりをしっかりすみ分けし、しかも民間に任せる部分はどんどん民間に任せるという中で、中央省庁をスリム化し、効率化していくというのが中央省庁再編だと思うんですね。  そういう中で、やはり国の仕事の最たるものは防衛じゃないか。それで、アジア諸国でも防衛だけは省にしないで何か別の名前で呼んでいるとかいうような国は探してもありませんし、世界諸国でもありません。部制をとっているところも、部というのはみんな国防部なり人民武力部とかでやっているわけでして、そういう点を考えますと、なぜ日本だけはこういう、行革会議中間報告では両論併記、それから行革会議平成九年十二月の最終報告のときは、これは政治の場で議論すべき課題だということで先送りされて、それから既に三年を経過しておる。  こういう実態を踏まえますと、なぜに我が国の場合はこれが実現しないんだろうか。防衛庁長官、このあたり理由防衛庁長官としてはどのように考えておるか。我々としても、そういう問題点があるならば、それが本当にそういう理屈があるならばそれは傾聴しなきゃいかぬですが、理屈がないとすれば我々としても国民やまた国会内外等においてもしっかりとそういう点を訴えていく必要があると、こう考えているんですが、その点をお伺いしたいと思います。
  12. 虎島和夫

    国務大臣虎島和夫君) いろいろこのことについては長い経緯が御承知のようにあるわけでございます。  警察予備隊から始まった歴史的な経緯国防を担当する行政機関は総理府の外局たる庁の位置づけをされてきたわけであります。昭和三十九年に閣議決定された防衛省設置法案国会提出には至らないで、行革会議最終報告でも、「政治の場で議論すべき課題である。」とされたのは平成九年十二月三日の最終報告にあるとおりでございます。したがって、現行の防衛庁を継続するということに相なったわけです。  現在、阪神・淡路大震災のような大規模災害不審船事案の発生が相次ぐ中で、国民の生命、財産の保護のための自衛隊活動が必要とされており、カンボジアでのPKOの実施など、冷戦後の不透明、不確実な要素をはらむ国際情勢の中で、我が国は世界平和への貢献を求められるなど、国政の中で防衛重要性は増大をいたしておると認識いたしております。  このような中で、諸外国のように国防を担当する行政機関として一省を設けることは、国防安全保障についての国家の基本的な姿勢や国家の意思を内外に明らかにしていくことになるものと考えておるところであります。
  13. 依田智治

    依田智治君 それで、私が尋ねたのは、なぜそういう重要なのが我が国の場合は実現しないのかという点についてはどのように考えているかなという点をお伺いしたんですが。
  14. 虎島和夫

    国務大臣虎島和夫君) このことについては、現在は政府としても、政治の場で議論すべき課題という行革最終報告を受けて対応し、この中で認められた来年一月六日の省庁再編に向けての作業に今ひたすら取り組んでおるということでございます。  ただ、先般の当委員会でも私の所見を申し上げましたように、私自身としては、防衛庁長官としては、防衛省はこの最終報告にもあるように政治の場で大いに議論して解決していただきたい課題であるし、その解決すべき内容としては防衛庁の省昇格を大いに望んでおります。また、防衛庁としては、省昇格というのはこれは悲願であります。省昇格というか、省移行というか、これは悲願でありますということは申し上げたとおりであります。  したがって、政治の場で議論すべき課題と認識しておりますが、最近、国会先生方の中でもこのことについて具体的に対応すべきではないかという議論の高まりと申しますか、そのようなことを承知いたしておりまして、大変感謝を交えながら心強く感じておるところであります。  私どもの願望がこれらの動きの中から達成されることを強く期待しておることが現状であります。
  15. 依田智治

    依田智治君 行革中間答申両論併記のときでも書いてありましたが、やはりまだこの問題について国民世論が成熟していないとか、近隣諸国に対するいろいろ配慮とかというような問題もちょっと挙がっていました。  しかし、国防省なり防衛省になることによって何か物すごく突出した防衛政策になるわけでなし、要するにきちっと国の責任として位置づけて国が責任を持って対応するということですから、それで近隣諸国といったって、近隣諸国はみんな国防を担当するところは国防省なり国防部としてやっているわけで、日本にそういうものを置いても何ら私は不思議ではない、省にすることは問題ではないと、こう考えていますので、私どもとしても今後ともその実現に努力していきたいと思っていますが、防衛庁長官としても遠慮なく主張すべきものは主張していく必要があると、こう考えていますので、その点申し述べておきたいと思います。  あと最後、時間がなくなりましたが、空中給油機、これは私もずっとその必要性についていろんな機会に述べ、中期防でも三回にわたり十五年議論し、去年は安保会議等でも、「次期防において速やかに整備を行う」ということになっております。  武器なり兵器というものはやはり必要性というものがあってあるわけですが、使い方によっては武器というのはすべて凶器になる性格のものなんですね。だから、やっぱり必要なものは装備して、それをしっかりとシビリアンコントロールのもとに活用していくことが大変重要じゃないかと思うわけでございます。  そういうことで、ぜひとも次期防では導入を決定し、したがって明年の予算では導入すべく努力すべきものと考えていますが、最後防衛庁長官、いろいろ空中給油機については足が長くなるんでちょっと問題じゃないかというような懸念も一部表明されたりしていますが、私は、まさにそういう訓練するのでも燃料切れで、アメリカの方は悠々として訓練できているのに、日本は行ったり来たり帰ってきてやらにゃいかぬとか非常に支障が生じている現状を見ますと、ぜひとも実現すべきものと考えていますが、最後防衛庁長官空中給油機導入必要性等についてお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  16. 虎島和夫

    国務大臣虎島和夫君) お説のように、空中給油輸送機という表現で私ども取り組んでおりますが、平成十一年の安保会議においてこのことは、給油機能及び国際協力活動にも利用できる輸送機能を有する航空機について、次期防において速やかに整備することという決定をいただき、このため、平成十二年度予算においても必要な経費を計上しなさいということでありましたので、十二年度においては三百六十万の実は調査費を計上して国会決議いただきまして、研究を終わったわけであります。  したがって、このような経緯を踏まえまして、ぜひ十三年度の予算には計上したいということで、概算要求において一機分を計上させていただいております。  これは、お説のように空中給油輸送機というのは、専守防衛という受動的な防衛戦略のもとで航空軍事技術進展対応しながら我が国の防空を全うするための効率的な措置として実施する必要があるという立場でありますが、ただ足が延びるという物理的なことだけではなくて、これも御指摘がありましたように合理的な運営にこれがつながるという認識を持っておりますので、ぜひその辺を着目しながら実現を図りたいというふうに思っていることを申し上げて、御協力をお願い申し上げます。
  17. 依田智治

    依田智治君 ぜひ実現すべきものと考えております。  以上、終わります。
  18. 海野徹

    海野徹君 おはようございます。  過日のこの外交防衛委員会船舶検査活動法案について幾点か質疑がありました。そのことを踏まえて数点、確認意味で御質問をさせていただきますが、船舶検査活動法第三条の件から御確認をさせていただきたいと思います。  これは、船舶検査活動自衛隊部隊実施するということを規定しているわけなんですが、その法文の中に、「当該活動に相当する活動を行う日米安保条約目的達成に寄与する活動を行っているアメリカ合衆国軍隊部隊に対して後方地域支援」という文言がございます。この「アメリカ合衆国軍隊部隊に対して後方地域支援」、このことの前段にあります「当該活動に相当する活動」というのは具体的にどの程度の範囲なのか、どういうレベルなのか、まずお伺いしたいと思います。
  19. 首藤新悟

    政府参考人首藤新悟君) 海野先生、今御質問米軍部隊が行ういわゆる当該活動に相当する活動の中身でございますけれども、それは、我が国が行います船舶検査活動と一言で申しますと類似した活動というものでございます。経済措置の厳格な実施確保いたします目的で、制裁対象国に出入りいたします船舶の積み荷あるいは目的地、こういったものを審査する活動などが考えられるわけでございます。  ただ、累次申し上げておりますけれども、各国の船舶検査活動船舶検査実態というのは個々のケースごとに異なると考えられますために、今御質問アメリカによる当該活動に相当する活動というのも、これ以上具体的に確定的なお答えをすることは困難ではございますけれども、基本的には我が国が行います船舶検査活動に類似した活動といったものであると認識している次第でございます。
  20. 海野徹

    海野徹君 我が国検査活動と類似ということの御答弁がありましたが、過日の委員会でも議論がありまして、経済制裁に伴う船舶検査活動ですから、決議六百六十一号の経済封鎖かあるいは決議六百六十五号のどちらに解釈するのかというような議論がありました。六百六十一号は国連憲章第七章四十一条に基づく非軍事的強制行動、六百六十五号というのは、これは海軍力を展開している国連加盟諸国に要請しているというような文言がありますから四十二条軍事的措置、かなり踏み込んでいる。  これは、いろいろ決議の詳細を解説している文章を見ますと、アメリカはこれを当然容認してそういう方向に行っている、経済制裁そのものが軍事的な措置というのを極めて強く認識しているというようなことを我々は理解するわけなんですが、前回の委員会でも、船舶検査活動法における安保理決議は六百六十五号と同等のものであるというような答弁があったかと理解しているわけなんですが、その点についてはどうなんですか。それは、そういう支援が要するに可能なのかどうか、可能とすればどういう背景、理由からそれが可能になってきているのか、御答弁いただきたいと思います。
  21. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) 船舶検査につきまして、経済制裁そして船舶検査実施という二つの前提要件があろうかと思いますが、先般来いろいろと御議論いただきました中で、湾岸戦争の際の安保理決議六六五というものを、この船舶検査活動法案から見てどういう位置づけになるかというようなそういうことで議論が行われたように記憶しておるわけでございますが、これにつきましてはこの法案の、先ほど大臣からも御答弁いただきましたように、第二条の「厳格な実施確保する目的で、当該厳格な実施確保するために必要な措置を執ることを要請する国際連合安全保障理事会決議に基づいて、」、こういうようなところであろうかというふうに思います。それが六六五ということになるわけでございます。    〔委員長退席理事依田智治君着席〕  そしてまた、今、米国が経済制裁を行うに際して軍事的措置を含むというようなそういう絡みでお尋ね本案第三条の後方支援との関係であったかというふうに思いますが、本案第三条に基づく後方地域支援というものは、自衛隊部隊等船舶検査活動実施に伴い当該活動に相当する活動を行う日米安保条約目的達成に寄与する活動を行っている米軍部隊等に対して行う補給だとか輸送医療等支援措置を指し、それ自体として軍事的措置というような、武力行使というようなものに該当しないものというようなそういうことである、そういう位置づけでございます。  また、後方地域支援というものは、そもそも後方地域、言ってみますと我が国の領域、並びに現に戦闘行為が行われておらず、かつそこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる我が国周辺の公海及びその上空において実施するということでございますので、本法案に基づいて実施されるこのような後方地域支援お尋ねの軍事的な措置等にかかわって米軍武力行使との関係で問題が生ずるというようなこと、そういうことはないと、このような整理をしているところでございます。
  22. 海野徹

    海野徹君 それでは次の質問に入らせていただきますが、旗国同意ということがあります。これは具体的にはどういう形式をとるのか、もう少しイメージとして我々にお示しいただきたいと思いますし、このための要するに準備が今どういうような形で進められているのか、想定されることを御答弁いただければありがたいんですが。
  23. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) 旗国同意ということでございまして、具体的にどのようなイメージでということでございますが、手続、形式、いろいろとあろうかと、このように思いますが、具体的にどのような手続を得るかにつきましては、その個別具体的な状況によって若干異なる要素もあるのではないかというようなこともございまして、今この段階で確定的にこうだということはなかなか申し上げにくいというふうに思います。  基本的にはそういうことではないかというふうに思っているところでありますが、例えば関係国間でそのことについて合意をすることもありましょうし、二国間で個別に同意を取りつけるというようなこともあるのではないかというふうに思っておりますし、また形式についても、国際的な約束、国際約束による場合もあるでしょうし、それ以外の外交文書、口上書のようなことでやるような場合もあるのではないかというふうに思っておりますが、いずれにいたしましても外務省を通じてきちっと明確な形で旗国同意を得るということではないかと、このように思っております。
  24. 海野徹

    海野徹君 今も御答弁をいただきましたが、国際約束等その他外交文書、前回もそういう御答弁ありました。こうしたことは要するに前例がないことですよね。それだけにやはりいろいろな準備をして対応考えていく必要があると思いますが、外務大臣、この点についての外務省対応は今どういうふうな形になって進んでいますでしょうか。
  25. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) この法案、御審議中ということもございまして、私どもとしても具体的に作業があるわけではございませんけれども、今御指摘のように旗国同意を取りつける方法は、鈴木政務次官からお話がありましたようにさまざまなケースがあるだろうと思います。しかし、そのさまざまなケースに、どんなケースであっても対応できるような準備を当然しておかなければならないことだと思います。  例えば、世界各地にございます我が国大使館を通してそれぞれの国に対して説明をし、同意を得る努力をするというケースもありましょうし、あるいは東京でそういう作業をするということもあるかもしれません。それから、二国間の場合、あるいは関係国が集まって、それぞれ手分けをするといいますか、どういう作業をどこがやるかという相談をするというケースもあろうかと思います。  今マニュアルが決まっていてこの場合にはこれという状況ではございませんが、いずれにしても大事なことは、今政務次官お話しのとおり、個別にさまざまなケースが出てきたとしてもそれに対応できる体制をつくるということは必要と考えまして、法案が御審議が終わって成立をさせていただくということになれば、そうした状況下での何といいますか、少なくとも心の準備と申しますか、外務省としての考え方というものは整理をしておく必要はあるかと思っております。
  26. 海野徹

    海野徹君 それでは、次の質問に入らせていただきます。  不審船のことに関連して御質問させていただきたいと思いますが、昨年の三月に北朝鮮の不審船事件、これは自衛隊法八十二条に基づいて海上警備行動実施されました。これは、そのときにとった自衛隊の行為は、海域の監視、不審船舶への接近、視認、不審船舶の追尾、監視、警告射撃まで、海上警備行動を発令されて警告射撃まで行ったわけなんですが、前回の委員会で、船舶検査活動と海上警備行動は同時に実施することはあり得るのかという質問がなされました。それに対して、どうも答弁聞いていますと、船舶検査活動自衛隊法八十二条に基づく海上警備行動が同時に行われる可能性がある、あるいは船舶検査活動が海上警備行動に移行する可能性があると理解されるような答弁があったやに私は理解するわけなんですが、その点について御質問させていただきたいと思います。
  27. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) 本法案に基づく船舶検査活動自衛隊法第八十二条のいわゆる海上警備行動ということの関連についてのお尋ね、先般ございましたし、今そのようなお尋ねでございます。  基本的なことでございますけれども、本法案における船舶検査活動は、周辺事態に際して貿易その他の経済活動に係る規制措置の厳格な実施確保するという目的で、船舶の積み荷及び目的地を検査し確認する活動というような、そういうことでございます。一方、自衛隊法八十二条に規定しております海上における警備行動は、海上保安庁では治安の維持等が不可能または著しく困難である場合に自衛隊部隊に海上において必要な行動をとることを命ずる、そういうものでございます。  したがいまして、船舶検査活動が行われている際に、自衛隊法第八十二条の要件に該当するような事態が発生した場合には、警察活動としての海上警備行動が発令される可能性というものが全く排除されるわけではないと考えておりますが、いずれにいたしましても、かかる行動が、本法案に基づく船舶検査活動とその趣旨、目的行動の態様等、それは異にするものという、そういうことでございます。
  28. 海野徹

    海野徹君 可能性が全く排除されるわけではないというようなお話がありました。きょうは、今席を外しておられますが、服部委員長が百二十九回国会平成六年なんですが、国連の経済制裁がある場合の自衛隊による海上阻止行動の可否について御質問をされております。  そのとき、防衛庁の村田防衛局長が、経済制裁実効性確保という国連の目的自衛隊法第八十二条に言う海上警備行動目的、すなわち海上における人命、財産の保護または治安の維持との関係については現時点ではさらに慎重な検討が必要である、こういうような答弁をされております。  そうしますと、今御答弁された内容は、この慎重な検討の結果そういうような御答弁をされていると理解してよろしいでしょうか。
  29. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) かつて政府委員の方からそのような御答弁を申し上げたことがあるかというふうにも思いますけれども、いずれにいたしましても、この法案で、周辺事態が起こって船舶検査活動が必要というような事態になりました際には必要な行動をとるということでございまして、自衛隊法が本来的に定めております海上警備行動そのものは、先ほどお話し申し上げたような厳格な要件というものがありまして、海上自衛隊発足以来、昨年三月の不審船の事案まで海上警備行動というものが具体的に発令されるということはなかったわけでございます。  したがいまして、そういうことを全般的に考えました場合、おのおの要件の違う、態様の違う、趣旨、目的の違うという、そういうことからいたしまして、相互の関係を慎重に見ながら、もちろん八十二条の厳格な要件に該当するような事態があればそういうことはあり得るわけでございますが、そういうことを法律的な位置づけとしてお話を申し上げたと、こういうことでございます。
  30. 海野徹

    海野徹君 それでは、次の質問に移りたいと思います。  日朝国交正常化交渉について外務大臣にお伺いしたいと思いますが、年内正常化交渉はもう開催しないと、断念したという話が報道されているわけなんですが、かねてから私が主張させていただいている拉致疑惑の解明が第一義的なものである、これの解明なくして日朝国交正常化交渉は進めてはならないという考えを持っているわけなんですが、どうも前回の北京での交渉も日韓方式にかなり突っ込んだ話があったというような内容がいろいろ報告されております。で、その拉致疑惑の解明が棚上げされて、過去の清算と称して経済問題が優先されるというような交渉が進むんではないかなという大変な私は疑念を抱いているわけなんですが、そういうことは決してあってはならないと思いますが、その点、外務大臣外務省として今後の日朝国交正常化交渉に臨まれる外交姿勢について御答弁いただきたいと思います。  といいますのは、いろんな分野から情報が入ってくるわけなんですが、国連ミレニアムサミットで北朝鮮の金永南氏が参加して演説する、それが急遽北朝鮮に戻ってしまったと、しかしながら、それはニューヨークにおいて森首相との会談が予定されていた、そこでは経済支援の話あるいはその他米五十万トンに対する話もされる予定であったというような話が情報として入ってくるわけなんですね。どうもそこで拉致疑惑に関する話というのは、交渉の過程でも今まで余り突っ込んだ議論をされていない。常に出てくるのは、やれ一兆円の支援だとか、やれ過去の清算だとか、やれインフラ整備のために支援をどうのいうような、そういう話が極めて多く聞こえてくるわけであります。  その点について非常に疑念を持っているだけに、外務大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
  31. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 幾つかのお尋ねでございますが、次回の国交正常化交渉を年内断念したのではないかという感じをお持ちのようでございますが、新聞にはそういった記事が散見されることは私も承知しておりますが、年内の正常化交渉を断念したことはございません。  もっと言えば、これはいつまでにやるかということが決まっているわけでもございませんが、私としては年内はもうやめようというような決定をしたことはございませんし、これは前回の交渉の中で話し合いました双方の準備が整えばやるという話し合いのとおり、いつであっても準備が整えばやるという気持ちを我々は持っておりまして、年内断念ということは決めたことはございません。  それから、正常化交渉で拉致問題が第一義的に取り上げられないのはおかしいのではないかという御指摘でございますが、私といたしましては、拉致問題は極めて重要な問題というふうにこれは考えております。ただ、今議員もお話しになりましたように、国交正常化交渉という名前のとおり、この交渉は国交正常化というものがやはり非常に重要であるということは、これは否定できないと思います。ただし、国交の正常化を行うに当たっては、その一環として拉致問題の解決ということが極めて重要な問題だというふうに考えておりまして、したがって、拉致疑惑の問題を横に置いて、あるいはそれをやらずに過去の清算の話ばかりを進めるかどうかというお尋ねであれば、そういうことは考えておりません。正常化交渉を行うというときには、その一環として拉致問題についてもその解明、解決のための交渉をするということは我々の一貫した方針でございます。    〔理事依田智治君退席、委員長着席〕  それから、ニューヨークの会談がセットされていたのができなかったではないかという御指摘でございますが、これは議員も御承知のとおり、先方がニューヨークに来る途中の飛行場におきますトラブルがあってニューヨークには来れなかったということがございまして、これは森総理主催の国連におきますレセプションには北朝鮮の国連大使は参加をしておりまして、会談ができなかったことは非常に残念だということを先方も言っておりますし、私が参りましたときにも先方大使と国連で会いましたが、チャンスであったのになという感じを双方が持ったということは事実でございます。  恐らく、ニューヨークでの北朝鮮の外交活動では、むしろアメリカと会談、アメリカとの出会いがあったはずで、それができなかったことはアメリカにとっても大変な残念な状況であったというふうに思いまして、その他の理由で北朝鮮がニューヨークへ行くことをやめたというふうには私ども考えておりません。
  32. 海野徹

    海野徹君 犯罪を犯罪として糾弾しない国というのは決して寛容な国とは思えないんですよね。現実的な解決を探る国でもないというようなことも言えるかと思います。単に全く無原則な国家であるというような決めつけられ方もしてしまうんではないかというおそれもありますから、私は、拉致事件が存在しないというような北朝鮮を相手にすることですから、相当な覚悟をして常にこの問題について主張して、そして国交正常化、とにかく平和と安全についてはお互い共通認識を持とうとしているわけですから、ぜひその辺は第一義で念頭に置いて交渉をしていただきたいなと思います。  次の問題に移らせていただきますが、時間もありませんから的確な御答弁をいただきたいと思います。  教科書検定にかかわる不祥事が各方面から寄せられております。非常にこれは不祥事として看過できないというようなことで意見が寄せられているわけなんですが、教科書の検定審議委員外交官のOBが入っているわけです。外交官のOBが二人入っているかと思うんです。こういうような実態がどういう背景で起きてきたのか。はっきり言えば、この特定の歴史教科書を不合格にするよう工作したと言われている方が元駐インド大使の野田英二郎さんということで報道はされております。  この不祥事に関連して、外務省はいろんな調査をして、その明らかになった点について対応されていると思います。また、かかることが二度とないようにいろいろ対策も検討しているかと思うんですが、私は十数年前のまた悪夢がよみがえってきたような気がして大変懸念を覚えるわけなんですが、この点について、特に外務省が組織的に関与されているんではないかということまで報道されているわけなんです。その点についての外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  33. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) まず最初に申し上げますことは、外務省が組織的に関与した事実はございません。これははっきり申し上げておきたいと思います。  元外交官の委員が検定のためのメンバーに加わっている実態は、二名でございますが、加わっているということは事実でございますが、外務省として組織的にこうした人について関与しているということはございません。あくまでも元外交官は個人的な資格で参加をしているという、審議会のメンバーになっているものでございまして、こうした人物の活動について外務省が何らかの組織的な関与をしているということはないことだけははっきり申し上げておきたいと思います。  この審議会は、御承知のとおり、文部省の教科書問題についての教科用図書検定調査審議会というものでございますが、この審議会のメンバーを決める、あるいはこの審議会の運営については文部省の所管と私理解をしておりまして、もし何かあるとすれば、これは文部省が判断すべき問題だというふうに思っておりまして、外務省としては、これについて外務省として調査をするといったようなことは、組織的に関与したかどうかについては確認をいたしましたけれども、それ以上の調査をいたしておりません。
  34. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 海野徹君、時間が過ぎておりますので手短に。
  35. 海野徹

    海野徹君 時間が参りましたから、この点についてはまた、組織的に関与したんではないかなという懸念を持つ部分がたくさんあるものですから、後日改めて質問をさせていただくということで、きょうはここで質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。     ─────────────
  36. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案審査のため、本日の委員会法務省民事局長細川清君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  38. 益田洋介

    ○益田洋介君 外務大臣にまずお伺いしたいと思います。  最初に、集団的自衛権議論でございますが、この議論が生まれた発端というのは、アメリカ日本日米安保条約のもとで守る必要があるけれども日本は米国を守る義務を負わないという、そうした不公平さ、片務性説から発した議論だというふうに思います。  最近、非常に興味深い発言を積極的に行っているある野党の党首の方がいらっしゃって、その方は大分踏み込んで憲法改正まで主張されていらっしゃる。その上で集団的自衛権を認めるべきだ、こういう御議論でございます。その背景には、政府の繰り返し言われてまいりました憲法解釈、特に集団的自衛権は有するもののそれを行使することはできないという、非常にかたくなにこの主張を貫かれているわけでございますが、どう考えても整合性に欠ける論理の組み立てだというふうな説もございます。  結局、我が国の安保政策を硬直化させている一番の原因が集団的自衛権の行使ができないという憲法解釈である。憲法解釈を変更するのか、あるいは憲法の改正を、その野党の党首が言われるようなことを実際行わなければ集団的自衛権というものの行使には至れないのが現状であろう。このぎりぎりの線をどのように突破していくのか。  やはり日本はしてもらうだけでこちらから働きかけることは一切しませんというようなことをしていくと、日米関係だけでなくて、準同盟国と言えるような友好国との間でも安全保障上の条約なり契約というものはこれから結べなくなっていく、日本はひとり孤立せざるを得なくなる、そういった懸念さえ生まれているわけでございますが、この野党の党首の考え方を含めて、現在の外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  39. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 日米安保条約が片務的であるか双務的であるかというのはさまざまな議論がございます。しかし、私は日米安保条約が必ずしも片務的なものであるというふうには考えておりません。  御承知のとおり、安保条約によりまして米軍に対して基地の提供その他、我々として極東の平和と安全のためにも施設・区域の使用を認めるといったようなことを行っているわけでございまして、これは米軍にとっては極めて重要な問題であろうと思っております。  また、それ以外にも、日米関係はただ単に安全保障上の問題ばかりでなくて、さまざまな分野で時には双方の補完的な行為というものがあるわけで、そこだけをとらえて片務的だと、だから集団的自衛権について日本がもっと踏み込めという議論については、私は必ずしも賛成できないのでございます。  国際法上の集団的自衛権、これは主権国家である以上それを持っているということは当然でございますが、憲法第九条のもとにおいて許容されている自衛権の行使は、議員も御指摘のように、我が国防衛するためにも必要最小限度の範囲にとどまるべきものであるというふうに解しておりまして、集団的自衛権を行使することはその範囲を超えるものであって憲法上許されない、これが我が国政府の長年とってきた解釈であり、態度でございます。  こうした態度、こうした解釈、考え方を踏まえて日米関係というものはお互いに相手の立場というものを理解しながら同盟関係を維持してきているわけでございまして、私はこの基本的な考え方は、双方がそれぞれ理解をし、そしてアジア太平洋地域における安定、発展、こういったことのために双方が努力をするということが重要であろう、そして、日米安保体制信頼性を向上させるために、双方の努力が必ずそうした信頼性確保することになるだろうというふうに思っています。
  40. 益田洋介

    ○益田洋介君 現在審議をしておりますこの船舶検査法が可決、成立をされ施行された暁には、一応日米ガイドライン法の基本的な骨組みが確立されるわけでございますが、具体的な運用について外務大臣の御意見をお伺いしたいんです。  数次にわたるミサイルの発射訓練などで、台湾海峡が非常に緊迫した状況は依然として続いているというふうに理解をしているわけでございます。例えば、中台の間に有事が起こった場合に、米軍が当然のことながらこれは介入してくると思います。その際、日本輸送や補給を含めた後方支援をするような仕組みになると思います。これはどのようにお考えでしょうか。
  41. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 非常に仮定の問題についてのお尋ねでございますが、まず申し上げたいと思いますことは、我が国の態度は一貫して、台湾をめぐる問題が海峡両岸の直接の当事者間の話し合いによって解決をされることを望んでおります。  話し合いによる平和的解決、これが我が国のこれまでずっと中国に対して言い続けてきたことでございまして、この我が国考え方あるいは我が国立場というものは、これから先も変わることは、少なくとも我々が想定できる範囲ではないというふうに私は思っておりまして、こうした我が国立場に立ちますと、今御指摘の問題について日本国会という公的な場所で御答弁を申し上げるのには限度があるというふうに思うわけでございます。その点についてはぜひ御理解をいただき、御容赦をいただきたいと思います。  先ほども申し上げましたように、国際法上の集団的自衛権というものとそれから我が国憲法下に許容されている必要最小限度の範囲というものを考えて、我々としてはその我々の考え方を守っていかなければならぬというふうに思っておりまして、今お尋ね地域に対します我々の行動を今想定をしてここで申し上げることは御容赦をいただきたいというふうに思います。
  42. 益田洋介

    ○益田洋介君 二十八日までに、ロシアが中国に対して今回二隻目になります駆逐艦、新鋭のソブレメンヌイ級と言われています駆逐艦を引き渡しました。この駆逐艦というのは超音速の対艦ミサイル、いわゆるモスキートと俗称されております、実に二十四基が搭載されているという大変な駆逐艦でございます。  さらには、まだロシア軍も配備していない最新鋭対艦ミサイルのヤホントの購入を中国側はロシア側に打診しているという情報も伝えられておりますし、さらには、今月に入って中国の国際航空宇宙ショーが開かれまして、そこでロシアからやはり導入した新鋭の戦闘機のスホイ30、これは精密誘導による対地攻撃を可能にした次世代の戦闘爆撃機と言われているものでございますが、これをこの航空ショーまでに五十機、一機三十億円と言われていますが、購入している。さらに次の百機程度の購入も検討していると。大変なこれは軍事力の強化でございます。  他方で、昨日、外務省の二十一世紀に向けた対中経済協力のあり方に関する懇談会というのが開かれました。その中で、報告書の原案をまとめて、これは年内に報告書を公表することになっているそうでございますが、対中援助計画をこれに基づいて外務省が策定する運びになっている。その原案の中で特に注意を引かれますのは、中国の軍事力強化について、このODAが一切そういうものにつながらないような配慮を政府としては真剣にすべきである、我が国の厳しい経済情勢も当然勘案すべきであると。それから、二年間で中国に対しては三千九百億円の援助を行っているけれども、その援助をするにしても、もっと環境対策や内陸部の開発に重点を置くべきであるということで、加えて十三年度の予算で対中援助の削減を提案していると。  この原案について、外務大臣、どのようにお考えですか。
  43. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 御承知のとおり、ODA大綱というものがございます。このODA大綱に従って我が国のODAは運用されているわけでございますが、ODA大綱の中には、今も御指摘がございましたように、軍事的用途及び国際紛争助長への使用というものがあってはならないという趣旨のことが書かれているわけでございまして、私どもとしては、このODA大綱というものに沿ってODAを行うということでございますから、今お話がございましたように、いかなる国の軍艦の購入に対しても我が国がODA資金を提供するということはあり得ないし、あってはならないというふうに思っております。  今、御心配をいただきましたけれども我が国のODAはこのODA大綱に従って供与されているわけで、軍艦の購入に使用されているということはあり得ないことだというふうに御答弁を申し上げておきたいと思います。  また、中国の軍事支出の問題につきましては、これは透明度をもっと上げるということを我々強く主張しているわけでございます。中国には中国の国防上の問題というものも当然あるのだと思います。したがって、中国がどういう国防上の準備をするかということについてまで我々がこれはいいけれどもこれはいけないというようなことは言うべきでない、それは恐らく中国のむしろ主権に属するものだと思いますが、いずれにしても近隣諸国に対しましてでき得る限り軍事費の透明度を上げるということはやってもらわなければならない。とりわけODAの運用に当たってはそうしたことが極めて重要なことだということは繰り返し述べているところでございます。  また、今議員がお話しの二十一世紀に向けた対中経済協力のあり方に関する懇談会でございますが、この懇談会は、第一回目の会合に私も出席をいたしまして考え方を何点か述べたわけでございますが、やはり非常に精力的な作業をしておられて、年内には何らかの答申と申しますか報告があるというふうに理解をしております。  しかし、まだその内容につきましては詳細私のところに報告はございません。今お尋ねのような問題についても詳細な報告を受けておりませんので、その点は御答弁いたしかねることをお許しいただきたいと思います。
  44. 益田洋介

    ○益田洋介君 昨日、消息筋からわかったことでございますが、中国の天津市の国際信託投資公司、TITICと言われておりますが、に対して富士銀行を中心とする日本の協調融資団、コンソーシアムが貸し出した百二十五億円がまた焦げつきそうだという情報が入ってまいりました。利払いが来月の十三日に迫っていますが、利払い期限には恐らく間に合わない。あらかじめその期限を守ってほしいということを具申したそうでございますが、返答が一切得られない。またデフォルトの心配が出てきたわけですね、外務大臣。  十六日の当委員会で私は、海南省のやっぱり国際信託投資公司、HITICについて、これは住友銀行を中心にした融資団でございますが、デフォルトの正式声明をして、しかしデフォルトの宣言をしたところで一銭も戻ってこない、これは二百五十億以上でございますが。こんなことが立て続けに続いているんです。  今回、これは十三日というのは事前に手が打てるわけですから、何とか外務省としてきちっと、これは天津市が持っているノンバンクでございますから、しないとこれはもう歯どめがきかなくなりますよ、外務大臣。  これからどのように具体的な施策を対応していただけるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  45. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 前回も御指摘をいただきましたし、また本委員会では佐藤議員を初めとしてこうした問題に大変御注意をいただいておりますことを、しかも繰り返し御注意いただいておりますことを恐縮に存じております。  前回御指摘をいただきましたときに申し上げたことを重ねて申し上げて恐縮ですが、本来、商業上の問題として解決が図られることが望ましいわけです。しかし、現在の状況はそれではもう片がつかないという状況になっておりまして、政府としても、こうした問題が適切に解決されなければ、日中間の金融協力というもの、そしてさらには金融協力のみならず、我が国の対中投資全般について大きなマイナスの影響があり得ますよということを中国側には伝えてございます。しかも、それは繰り返し伝えてございます。しかも、それは非常に高いレベルで、以前は日中首脳会談でもこの問題を森総理から取り上げられて中国側に努力を求めておりますが、その折に朱鎔基総理からは、ノンバンクの問題についてはできる限り国際的な慣例及び法律に従い処理をしていくつもりだという御発言もいただいておりまして、我々としては、こうした状況が続けざまに起こるということについては非常に残念に思っているわけでございます。  この首脳会談で指摘をしましてから考えてみますと、この問題はそれ以前から相当深刻な状況であったわけでございまして、にわかにこの問題が解決されるというふうにはなかなか思えないわけでございますが、関係するところ、影響するところ、非常に大きいと考えておりまして、何か適切な措置を中国側にとらせるように重ねて中国側に求めたいと思います。
  46. 益田洋介

    ○益田洋介君 虎島防衛庁長官、二十八日の午後に来日したセルゲーエフ国防相、ロシアの国防相と対談をされて、その中で、機密漏えい事件で冷却した両国関係を改善し、さらに両国間の防衛交流を強化する、そういうことで意見の一致を見たと。来年一月にも防衛事務次官を訪ロさせる、そういった話し合いをこれから詰めていこうというところで、一方で軍事ドクトリンというものが発表されました。  その中で、ロシアは軍の主力を中央アジア方面やユーゴに近い南部に配備することとして、他方、極東、シベリアでは軍事力を二〇%削減する計画だと。これは非常に歓迎すべきことだと思いますが、具体的なタイムスケジュール、どのような計画でこれからスケジュールを組んでいかれるのか、その点についても議論はされましたでしょうか。
  47. 虎島和夫

    国務大臣虎島和夫君) お説のとおりの経過あるいは結果等がございました。その中で、極東、シベリア地域の兵力の削減問題に触れましたけれども、具体的な時期等についての明示あるいはそこに至るプロセスについての説明は受けておりません。そういう状況でございます。
  48. 益田洋介

    ○益田洋介君 法務省の皆さん、きょうは時間がなくなりましたので、申しわけございません。次回、また機会がありましたら質問させていただきます。  終わります。
  49. 小泉親司

    ○小泉親司君 二十八日の委員会に続きまして、周辺事態における船舶検査法について質問いたします。  さきの委員会で、今回の法案国連憲章四十一条の非軍事的外交手段によるいわゆる経済制裁を回避したものだということが私は明らかになったと思います。しかも今回の法案は、国連憲章安保理決議とは全く別個に日米両政府周辺事態というのを宣言する、その宣言したもとで船舶検査に関する国連安保理決議を求めるという国連や国際社会では今までに全く前例のない大変特異で非現実的な手法を持ち込んだというものであることは、私、この政府答弁でも明らかになったというふうに思います。  その点で、本当にこの法案が、現実的にこんなことがあり得るのか。私は、この法案は国連安保理決議を求めるという文言を法文中には残しながらも、実際は国連安保理決議はすべて回避して旗国同意だけでできると、こういうふうな点で欠陥法案だということをこの前指摘いたしました。  我が党は、たとえ安保理決議があっても自衛隊の軍事活動である船舶検査活動には自衛隊は出動できない、こういう立場を繰り返し明らかにしてまいりましたけれども、そこで私、今回の質問では、安保理決議のない場合の条件としている旗国同意について少し質問をさせていただきたいと思います。  そもそも政府の言う旗国同意、いわゆる旗国主義というのは国際法の一般原則で、これを自衛隊船舶検査活動という強制活動、いわゆる軍事活動の根拠に挙げることは私極めて問題だというふうに思います。その点で、この前の委員会でも同僚委員質問竹内外務省局長は、国連安保理がない場合の旗国同意という国際法の一般原則で実施した例はこれまでないとお答えになっておられることで、私その点は示されているというふうに思います。  政府は、例えば旗国同意について、先ほども外務大臣外務省として心の準備をしておかなくちゃいけないとかいろいろ言っておりますけれども、もともと旗国同意を得てやるなんというのは今までに例がないんだから、それはいろんな勝手なことが言えるでしょう。私、その点で、この審議ではやはり本当に責任ある答弁がやれるのかどうなのか。私、非常にその点でこの審議を十分に徹底すべきだというふうに考えます。  そこで私、法案に即してまずお聞きしたいのは、この法案では、安保理決議がない場合に旗国同意を得ると。つまり、これが自衛隊船舶活動に出る上での極めて重要な条件になるわけでありますが、それでは旗国同意を得たと、こういうふうに判断するのはどなたが判断されるんですか。外務大臣ですか、防衛庁長官ですか、閣議ですか、自衛隊の司令官ですか。そのことは、この法案中のどこにそういうことが書いてあるんですか。
  50. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) 具体的に旗国同意をだれがというお尋ねでございます。  先ほど来いろいろとお話ございましたけれども、国際法上、公海上での船舶に対しての管轄権を行使できるのは、原則として当該船舶旗国ということでございます。旗国からの同意を取りつける手段といたしましては、一般国際法上の規則または慣行というものはございませんので、そのための手段というものは特に限定されているというようなことではございませんし、このことを踏まえまして、本法案においても旗国同意を取りつける手段というものは限定していないという、そういうことでございます。  具体的に、どのようなことでどのような方法でこの同意を得るかということになるわけでございますが、個別具体的な状況に応じて異なるものであると一般的には言えるのではないか。したがって、確定的に申し上げることはなかなか困難だというふうに思っております。  政府全体として判断をするということで当然あるわけでございますので、だれがということになりますれば、外務省を通じてしかるべき取りつけの確認手段をとっていくという、そういうことになろうかと思います。
  51. 小泉親司

    ○小泉親司君 全くいいかげんだと思います、法案に「旗国同意」というふうに書いてあるんだから。旗国同意を得るというのは簡単なことじゃないんですよ。これは自衛隊が軍事活動として強制活動を第三国について行うわけですから、そんないいかげんなことで同意を取りつけたと言っていいんですか。  私、この法案に、少なくとも旗国同意を得るというのであれば、これは同意を得ましたという判断がない限り勝手にできちゃうということじゃないですか、そうしたら。これはおかしいですよ。それじゃ法案の中に、どこに、旗国同意を取りつけました、さあどうぞ自衛隊の皆さん船舶検査活動おやりなさいということが書いてあるんですか。それを明確にしてください。
  52. 首藤新悟

    政府参考人首藤新悟君) ただいまの政務次官答弁と多少ダブるかもしれませんが、決議に基づきません場合には、我が国実施する船舶検査活動、これは我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態に際して行われるものでございまして、また、その活動の性格にかんがみまして、確実を期すという観点から旗国同意を明確に得ることが重要であるとまず考えてございます。  その具体的な方法につきましては、現実には国際約束でございますとか、あるいは明確な意図を表明する口上書といった外交文書を用いることが考えられますけれども、いずれにいたしましても、一般国際法上の規則または慣行がないことからいたしまして、いろいろな国家の意思の表明のやり方の中で旗国同意を明確に得るということが重要と考えております。  いずれにいたしましても、旗国同意を求めるに当たりましての手続というものにつきましては、具体的な状況に応じて政府として適切な対応をとるということになると考えるわけでございます。
  53. 小泉親司

    ○小泉親司君 全くでたらめだと思います。ちょっと統一見解を求めます。  私、旗国同意をだれがどのように判断して、この条項の中にはどこに入っているのか。これがない限り、防衛局長は重大だと言っているんだから、そもそも重大で第三国に強制することに対してそんな勝手なことでいいんですか。  これは国連安保理決議があれば別ですよ。私、この前の委員会審議の中で、国連安保理決議、これはないと、つまり経済制裁についてはない、しかし船舶検査活動決議は求めると言った。しかし、それ以外の旗国同意がこの法案の中でどのように手続されるのか、これが明確じゃない限りこの法案は二重に欠陥じゃないですか。そこを明確にしてくださいよ。これを明確にしない限り、「旗国同意」というのを書いてあるんだから。  よろしいですか。例えば前回の国連決議があったときの原案では、規制品目、つまり船舶検査活動で行う国連安保理決議の規制品目というのは明確に法案の中に書いてあったんです。ところが今回はない。旗国同意を今度は入れておいて、その旗国同意を得る手続が法案の中に書いていないなんて、こんなのおかしいじゃないですか。だれが判断されるんですか。ちょっと明確にしていただきたいと思います。
  54. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) 先ほど御答弁申し上げましたように、この第二条で「又は旗国同意を得て、」ということで、明確に法案旗国同意を得ることが義務づけられているわけでございます。  したがいまして、そのやり方につきましては、先ほど来お話し申し上げておりますように具体的な手段についての一般国際法上の規則または慣行というものがございませんので、そのときの状況に応じまして個々具体的に、政府として外務省を通じ、先ほど外務大臣からもお話にございましたように、本国において、あるいは出先機関において旗国と調整をし、同意をとるように努力をする、そういうことでございます。  したがいまして、この法案上はまさにそういうことをこの二条において定めているわけでございますので特段支障はないと、このように思うところでございます。
  55. 小泉親司

    ○小泉親司君 旗国同意を得るということは二条に書いてある。旗国同意を得るということが極めて重要な条件になっておるわけでしょう。  それじゃ、旗国同意を得たと判断して自衛隊に命令されるのは、だれが旗国同意という判断をして、だれが命令されるんですか。防衛庁長官実施計画をつくるんだから、防衛庁長官が命令するということは法案の中ではっきりしているんです、それは。それじゃ、どなたがどのような手続を経て旗国同意が得られたと、要するに船舶検査活動をやっていいと判断されるんですか。  これに全然書いていないじゃないですか。そんな繰り返しの答弁をしたってだめですよ。これは法案の話をしているんですから、私いいかげんな話をしているんじゃないんだから。法案にどういうふうに盛り込まれているんですかと聞いているんです。ないんだったらないと言ってください。
  56. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) 今、この二条で旗国同意を得ることがこの船舶検査活動を行うに際しての大きな要件であるということをお話し申し上げているわけでございまして、そのとり方につきましては、この船舶検査活動が基本計画あるいは実施要項等に基づいて自衛隊部隊に具体的に指示が出されるというそういうことでもございますので、具体的なやり方につきましては、旗国同意を得る、そのための確認をするということについては外交的にその手段をもって行うということでございまして、何ら支障のないことだと、このように考えております。
  57. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、とり方やり方なんて聞いておりません。外務大臣は心の準備をしておられると。では、心の準備をしてどうされるんですか。心の準備をするだけですか。  旗国同意を得た、これが条件になっているんだから、どういうふうに旗国同意を得てどういうふうに判断されるのか。これは閣僚の方がこういうことをわからないというのでは、この法案自体の審議はできませんよ。だって、私は法案に即して聞いているんですから。旗国同意をどういうふうに得るか、どういう手段でやるかなんということを聞いているんじゃないんです。「旗国同意」と書いてあるから、それじゃこの同意というのはどういうふうにどなたが判断されてどういうふうにやるんですか、この法案にはどういうことが書いてあるんですかという法案の基本中の基本を私お尋ねしているので、短い時間しか私質問の時間がございませんので、質問に答えていただかないと答弁にならないと思います。
  58. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) たびたびの御質問、また繰り返しの御答弁で大変恐縮でございますけれども、この法案で、第二条で「又は旗国同意を得て、」と、こういうことでございます。これが要件的な要素として入っているわけでございますので、この同意につきまして、政府一体として外交一元化のもと、外務省を通じて明確にその意思を確認するという手続をとるということは当然でございます。  そのように考えておりまして、私どもは特段支障はないものと、このように理解しております。
  59. 小泉親司

    ○小泉親司君 それじゃ、心の準備をされておる外務大臣お尋ねいたします、同じ質問
  60. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 前段は、鈴木政務次官答弁のとおり、同意を得てというんですから、同意がなければだめだということははっきりしているわけですね。そして、その同意の方法については、先ほど私申し上げましたように、外務省が文書であるとかあるいは外交ルートを通じて得るということがその作業になると思います。  そして、同意が得られたということになれば、それは政府全体として判断をするということになると思うんです。そして、政府全体として判断をして、この作業は基本計画を閣議で決めて、そして実施をするという段取りになるというふうに承知をしております。
  61. 小泉親司

    ○小泉親司君 私、この点では極めて欠陥立法である、二重の欠陥立法であるということをまず指摘させていただきます。全然答弁になっておりません。この点は、私明確にしていただきたいと思います。  次に、委員会でも議論になりましたが、国連安保理決議もない、旗国同意を得られない場合は船舶検査活動はできないと、これは防衛庁繰り返し答弁されておられます。それじゃ、船舶検査活動の一番の問題というのは、当委員会でも吉田委員から取り上げられましたが、経済制裁対象国同意、ここが一番問題なんですね。それじゃ、これをどういうふうに得るのか。  一昨日の委員会竹内局長は、多分大丈夫だろうと、こういう答弁です。私、これは極めて無責任だと。余りにも無責任で、実際どう大丈夫かといっても、実際には本当に経済制裁対象国からの同意を得ることができるのか。どのように同意をその制裁対象国から求めるということなんですか、防衛庁長官お尋ねいたします。
  62. 虎島和夫

    国務大臣虎島和夫君) これは、今政務次官からもお答えしましたように、旗国同意を具体的にどのような方法で得るかについては個別具体的状況に応じて異なるものと考える。したがって、確定的にここで申し上げることは困難でありますけれども、例えば関係国間で合意する場合も考えられるし二国間で個別に同意を取りつける場合もあると考えられる。あるいはまた、形式にしても、国際約束による場合もあれば国際的約束以外の外交文書による場合もあると考える、それは先ほど外務大臣がお答えになったとおりでありますが。いずれにしても、旗国同意を求めるに当たっての手続については、具体的な状況に応じて政府として適切な対応をとることになるということであります。  同意が得られた後については、先ほどもこれも外務大臣から一部お触れになりましたけれども政府全体の対応ということで基本計画等を定める手続に入るわけであります。
  63. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は、経済制裁対象国に対してどういう同意を求めるのか、今の防衛庁長官答弁では極めて不明確であります。なぜ私、この問題をしているかというと、今度のこの法案は、日米の周辺事態、つまり日本がまだ武力攻撃を受けていない段階から検査活動をやるわけですから、しかもそれを第三国に強制するわけです。さらに、経済制裁対象国に強制するわけです。  では、例えば実例としてどうだったのか。国連安保理決議が二重にかかっている湾岸戦争、この場合はイラクの侵略行為というものがありました。そのイラクの侵略行為のときにどういうことが起きたかというのは、これは唯一の実例であります湾岸戦争の報告、アメリカ国防総省が米議会に出した報告書が、詳細なものがあるんです。  例えば、そこでどういうふうに述べられているかというと、いろんな例が書いてあるんですが、九月二十七日、アカバから出港したイラク船タドムルを阻止した。イラク船は数回の口頭による停船警告に応じなかった。結局イラク人船長は連合側軍艦に、自分が受けている指示は、つまりイラク政府から受けている指示は、武力によって停船させられない限り航行を続けることであると通知した。つまり、イラク政府民間に対して、武力によって停船をされない限り航行を続けるべきだと、こういう指示を出しているというわけです。だから、米艦は五十ミリの警告弾を数発発射してやっと停船させて、臨検を許すことに同意した。  こういうことに対して、いわゆる警告射撃もしない、こう言っているわけですから、実際にこれがどのように、こういうふうな経済制裁国に対して旗国同意という単なるそれだけの手続で同意を得ることができると言われるんですか。  私、一般的に他国の同意をどう得ているかということを聞いているんじゃないんですよ、日米が少なくとも経済制裁をしているわけですから、周辺事態で。その経済制裁国に対して、その国の同意をどうやって得るんですかと聞いているんです。得られる道理がないじゃないですか。
  64. 首藤新悟

    政府参考人首藤新悟君) この法案で言ってございますのは、その船舶の属する国、つまり旗国同意を得るということでございまして、その船舶とは関係ない場合の経済制裁対象国同意というものはもともと不要でございます。  なお、安保理決議がございます場合には、自動的にその経済制裁対象国同意は得られているということの仕組みになるわけでございますが、他方で乗船検査は船長の承諾が要るという仕組みでございますので、その承諾が得られない場合には、もちろんその間いろいろな別表にございますような説得をいたしますけれども、最終的に承諾が得られない場合には、これは乗船検査は行い得ないという仕組みになっておるわけでございます。
  65. 小泉親司

    ○小泉親司君 局長、へ理屈を言っちゃだめです。それでは経済制裁対象国旗国であったときはどうするんですか。
  66. 首藤新悟

    政府参考人首藤新悟君) 国連安保理決議がございません場合には、その国が旗国である場合にはその国の同意が必要となるということでございます。
  67. 小泉親司

    ○小泉親司君 だから、先ほどのやつがへ理屈なんですよ。つまり、旗国というのは経済制裁国だってあり得るわけじゃないですか。あなたは、経済制裁対象国旗国である場合もあるし旗国でない場合もあるということを言っているだけの話で、私が聞いているのは、経済制裁対象国旗国であったときのその旗国同意経済制裁国である旗国同意をどうやって得るんですか。
  68. 首藤新悟

    政府参考人首藤新悟君) 安保理決議がございません場合には、その経済制裁対象国でかつ旗国である国の同意を得るべく努力いたしますが、得られない場合には船舶検査活動実施し得ないということになります。
  69. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、この法案の最大の目的経済制裁活動の厳格な実施なわけですが、厳格な実施はできないと、今の防衛局長答弁からしますとそうなりますが、長官、それでよろしゅうございますか。
  70. 虎島和夫

    国務大臣虎島和夫君) この法律は、強制というあれもありましたけれども、あくまでも国連安保理決議が望ましいし、それが何らかの事情でとれなかった場合には旗国同意を得るということでありますから、同意がとれない場合は、おたくの今おっしゃったことになるわけであります。
  71. 小泉親司

    ○小泉親司君 防衛庁長官は、この法案は不要であるということをお認めになったということなんですよ。だって、もともと経済制裁国の貿易活動の厳格な規制をするというんでしょう、この法律は。違うんですか。ほかの国の貿易を規制しようというんですか。違うでしょう。この法律の最大の目的は、防衛庁長官が繰り返し言っているように、日米が周辺事態を宣告してその国に経済制裁実施した、国連安保理決議なしに実施した、その場合に、そのことを厳格に実施するために船舶検査活動というのをやるんでしょうが。それが経済制裁国が同意できない場合はできないと。そうでしょう。そうしたら法案をやる意味なんかどこにあるんですか、長官、これはもう全く三つ目の欠陥立法ですよ。
  72. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) 今、経済制裁とそれから船舶検査、その二つが大きくあるわけでございますが、経済制裁で国連の安保理決議が仮になくても、国際社会が協調行動として経済措置を行っているような場合には、具体的な船舶検査活動に関しての国連安保理決議がなくても旗国同意があれば本法案に基づく船舶検査活動というものは可能だと、こういうことでございます。  したがいまして、旗国同意が得られなければ、そもそもこの法案の、先ほど来議論のございます第二条の「又は旗国同意を得て、」ということに該当しないということになりますので、私どもは、この船舶検査活動というものが具体的に実施できるという状況にないと、このように考えるわけです。
  73. 小泉親司

    ○小泉親司君 私は全く答弁になっておられないと思います。  なぜなっていないのか。それは、外務大臣が繰り返し言っておられますように、国連安保理決議がなぜなくちゃいけないのかということを私が繰り返し言っているのは、つまり国連加盟国には国連安保理決議があった場合は少なくとも受忍義務があるんです。だから、イラクも少なくとも受忍義務が発生したんです。これが湾岸戦争その他の例であります。これまでの船舶検査活動の例であります。しかし、国連安保理決議がないということはこの前言っておられるんですから、ということは、旗国同意というだけで果たして経済制裁対象国に対してこの受忍義務を課することができるのかどうなのか、これが国際法上の最も重大なこの法案の問題なんですよ。  それを私質問しているのに、それに対しては、いやそういう場合に制裁対象国同意を得られない場合は検査活動ができないとおっしゃっているんだから、それだったら何でこの法案をやる意味があるんですか。こんなのこんな委員会審議する意味というのはどこにあるんですか。私、こんな二重三重の欠陥法案なんて審議する意味ないですよ。私はそこが一番の問題だということを指摘しているんです。そこを明確に答弁していただかないと。ちょっと時間稼ぎの答弁は勘弁してください。時間がないんだから、私の質問に答えてください。
  74. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) その前に、小泉親司君に注意しますが、こんな委員会でこんな法案審議すると、そういう言葉はおやめなさい。
  75. 小泉親司

    ○小泉親司君 失礼しました。
  76. 鈴木正孝

    政務次官鈴木正孝君) 先ほどの答弁と同じ趣旨にならざるを得ないわけでございますが、経済制裁に関して国連安保理決議がなくても、国際社会が全体として協調行動としての経済措置実施しているような場合に、我が国が参加するものの厳格な実施確保する目的でということでこの法案は整理をしているところがあるわけでございます。  したがいまして、船舶検査活動実施について旗国同意が得られれば、もちろんこの法律に基づいて具体的な船舶検査活動を通じて行う、こういうことになるわけでございます。
  77. 小泉親司

    ○小泉親司君 失礼しました。こんな委員会は取り消します。こんな法案は、であります。  こんな法案について先ほど政務次官答弁されましたけれども、私の質問に答えておられないんですよ。経済制裁対象国に対して、よろしいですか、旗国同意だけを得られるのかという質問に対して、得る努力はするけれども、得られない場合は船舶検査活動はできないとおっしゃった。  ところが、そもそもこの法案の最大の目的というのは何かというと、日米が経済制裁をやっている対象国の経済制裁の厳格な実施確保する目的なんです、この法案の最大の目的は。それができないというのであれば、この法案が何で意味があるんですかと、私はそこをお聞きしているんですよ。そのことに対して全くお答えがないと思いますよ。
  78. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) こんな法案というのも取り消していただきたいと思うんですが、確かに議員が御指摘のとおり、経済制裁対象国旗国であって、同意がなければそれはできない、これはもうはっきりしています。はっきりしていますが、船は別に制裁対象国の船ばかりではないわけで、その他の船もあるわけですから、経済制裁を行う意味で、自分が自分の船で運んでいる部分について仮にできないとしても、その他の船について船舶検査ができるということになればそれは意味があるわけで、全く意味のない法案とかそういうふうに言われることは我々としてはいささか、議員の御発言でございますが、どうかなと思うわけでございます。  もちろん、この法案自身が、議員は先ほどから強制的、強制的とこうおっしゃるわけですが、我が国が行う作業は、武力を行使したり武力によって威嚇をして行うということもございませんし、この法案はそういう意味では非常に丁寧に旗国同意を取りつけるということが重要だということは、これは当然のことだと思っているわけです。  議員は、どうやって旗国同意を取りつけるんだということを繰り返しお尋ねになりました。私どもは、さまざまなケースがあるからここで一概に申し上げられないということを申し上げてきたのは、今まさに議員がさまざまなケースについておっしゃった、そのとおりでございます。今一概にこういう取りつけ方をいたしますというふうには言えない、それはそのケースによってさまざまな方法があるということでございます。
  79. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 小泉親司君、ちょっと時間が過ぎております。
  80. 小泉親司

    ○小泉親司君 最後に、時間が参りましたので、私、当委員会でもいろんな議論をしてきましたけれども、大変この法案は二重三重に欠陥的な法案だというふうに思います。実際に、この実態と全く乖離した法案をなぜこのように急いで採決する必要があるのか。  私たちのところには、私自身もきょうこれ持ってきておりますけれども、各県からファクスでこの法案の慎重審議を求める意見がたくさん来ておられる。防衛庁長官の長崎県の顕職の方からも意見が来ておる。これはもう自民党やその他の方にもみんな来ておるんですよ。私自身こんな大変短い審議の中でもこの法案問題点というのは数々重大な問題点が浮かび上がってきているというふうに思います。  その点で、私はこの法案は徹底的に解明すべきで、やはり政府与党日本の平和と安全にとって重大な法案だと言っておられるんですから、不十分な審議で採決を行うことについては我が党は反対であります。  ですから、私は、この法案審議をやっぱり徹底して継続して明確にこの問題点を解明すべきだということを要求して、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  81. 田英夫

    ○田英夫君 船舶検査活動法案に入ります前に外務大臣に一つ伺っておきたいんですが、中国の強制連行された人たちの問題、いわゆる花岡事件について昨日和解が成立をいたしました。東京高裁で和解が成立をしたわけですけれども、私は、この問題に長いことかかわってきた一人として非常に残念に思っております。裁判という場で処理されてしまったと、非常に残念に思いますが、外務大臣の御所見を伺いたい。
  82. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) いわゆる花岡事件でございますが、この事件について和解が成立をしたということについて私は幾つかの感想を持っております。  一つは、非常に素朴な言い方でございますが、二十世紀に起きたこの事件が少なくとも二十世紀中に解決されたということについて、一種の何といいますか、ほっとしたといいますか、そういう感じをまず持っていることを申し上げたいと思います。  東京高等裁判所の勧告に従って、関係者の努力もあって本件について和解が成立したわけでございますが、これは基本的には中国側関係者と当時の関係企業との間の問題で、政府がこれにかかわってコメントをすることは控えなければならないと思いますが、政府としては、いわゆる中国人の強制連行問題について、当時多数の方々が不幸な状況に陥ったことは否定できないというふうに考えておりまして、戦争という異常な状況下とはいえ、多くの方々に耐えがたい苦しみと悲しみを与えたことは極めて遺憾であったというふうに考えております。  こうした気持ちは村山総理大臣談話を初めとして幾つかの機会に表明をしてきておりまして、今後とも、歴史の事実を謙虚に受けとめて近隣諸国との信頼関係を一層強化するための努力をしなければならぬというふうに思っております。
  83. 田英夫

    ○田英夫君 もう御存じのとおりの事態ですけれども、強制連行というのは一九四二年に時の政府が、東条内閣が閣議決定をしてやったことなんですね。まさに日本政府がやったことですよ。したがって、私はこの問題は日本政府責任において解決すべきだと、こう信じています。  それが、私どもも力が足りなかったんですけれども政府はこれに対して応じようとなさらなかった。やむを得ず八九年に裁判に訴えることにいたしました。私もそれは同意をいたしました。しかし、その段階でも鹿島に説得を繰り返して、私自身も、実は総額五十五億円になる中国の人たちの要求を合算すれば、それを私は全く独断で金額を示して、せめてこのくらいで和解すべきではないかということを言った段階もあります。  結局、私が望んだのは、政治の場で政府責任において解決していただきたかった。それができなくて裁判で和解ということになった。我々はお互いに政治の場にいる者として、特に政府の皆さんはこの事態を重大な責任を持って受けとめていただきたい。政府が閣議決定したものを政府責任において解決できなかったということは重大な問題ですよ。  船舶検査活動の方の時間がなくなってしまうんですけれども、この船舶検査活動についても冷静に客観的に判断をされる方が聞いておられれば、一昨日来のこの審議を通じて非常に問題があると思います。日本の国のためにいかがなものかと思われる疑問がたくさん出てきている。そういう中で、数を頼んできょう採決をしてこれを押し切ってしまうということでいいんだろうかと思わざるを得ないんですよ。こういうことの政治不信が繰り返されて、今国民の皆さんの中に蓄積されているんじゃないですか。  一つだけ伺いたいのは、国際法上臨検というものが厳然としてありますよ、海洋法条約百十条で。その臨検と今回の船舶検査活動との関係はどういうふうに解釈したらいいんですか。
  84. 竹内行夫

    政府参考人竹内行夫君) 国連海洋法条約第百十条において臨検についての規定がございます。その臨検と申しますのは、各国が公海の法秩序を確保するために、外国船舶が海賊行為、奴隷取引、無許可放送に従事していること等につきまして疑うに足りる十分な根拠がある場合に限りまして、旗国同意を得ることなく外国船舶に対して公海上で船舶の書類の検閲や船内捜索等を行うことができるというものでございます。これは、旗国主義のいわゆる例外としての警察行動と解されておりまして、旗国同意を得ることなく行うことが国際法上認められているというものでございます。  他方、本法案に基づきます船舶検査活動につきましては、御案内のとおり安保理決議に基づきますとかあるいは旗国同意を得た上で、船舶の航行状況の監視、船舶の名称等の照会、船長に対して停船を求めることとか、さらには船長等の承諾を得まして、停止した当該船舶に乗船して書類及び積み荷を検査、確認し、要すれば航路等の変更の要請等を行うというものでございます。  したがいまして、本法案によります船舶検査活動は拿捕、逮捕といったような強制的措置を伴うものではございませんで、この点においていわゆる臨検、海洋法条約に申します臨検とは大きく異なるものというふうに承知いたしております。
  85. 田英夫

    ○田英夫君 そのとおりなんですね。ということは、何もわざわざこの法律をつくってこういう船舶検査活動というようなことをやる必要全くないんじゃないですか、国際法上できるんですから。百十条でやればいいじゃないですか。まさに臨検ですよ。臨検というのは、もう歴史的に積み上げられた体験の中から各国でつくった国際法、それに基づいてやれるんですからね。何も日本アメリカが結びついてこんなものをこの時期にわざわざ法案までつくってやることはない。何のためだ。  しかも、さっきからの小泉委員質問でも明快なとおり、先日私も取り上げましたけれども国連決議あるいは旗国同意という手続をできない場合には実際実行できない、船舶検査活動は。そんなことに頼る必要はないじゃないですか。これはもう国際法上黙っていてもできる。なぜこういう法律を改めておつくりになるのか。
  86. 竹内行夫

    政府参考人竹内行夫君) 海洋法条約に申します臨検につきましては、先ほど申し上げましたとおり、旗国主義の例外としまして特定の場合、海賊行為であるとか奴隷取引であるとか、そういうことに従事しているということについて十分な疑いがある場合に改めて旗国同意を得ることなく臨検ができるということでございます。  他方、現在御提案申し上げている本法案におきましては、経済制裁ということを実効たらしめる行為でございますので、これはその海洋法条約に言う臨検の目的とは違うことでございますので、これはやはり一般国際法上の旗国主義に基づいて我が国の国内法体制を整えまして行うことができるというふうな法的措置をとろうとしているということでございます。
  87. 田英夫

    ○田英夫君 冷静にお聞きになっていればもう全く必要ないものだということは国民の皆さんもおわかりになると思います。きょうここで、にもかかわらず採決をしようということに強い抗議を示して終わります。     ─────────────
  88. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、村上正邦君が委員辞任され、その補欠として国井正幸君が選任されました。     ─────────────
  89. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 本日が当委員会として二十世紀最後委員会開催日だろう、こう思っております。しかも、その最後を承るのが私ということで感銘もひとしおなものがあります。  外務大臣お尋ねいたしますが、今度は二十世紀と言わずして二十一世紀を見据えて、外交のあるべき姿はこうだということを高いお立場で御回答いただければという感じがいたします。  最初に、今、こんな委員会、こんな法案という言葉が出ましたので、私もかねがね気になっていたこの「こんな」という言葉についてお尋ねいたしたいと思います。  前々回の党首討論で、これは北朝鮮の拉致問題に関連する森総理の発言が取り上げられたときでありますけれども、鳩山民主党代表が、あなたは総理の資質がないんだと、こういうことを言いました。これに対して森総理が、あっと驚くぐらいの勢いで、居丈高と言ってもいいような、よほど憤慨されたんでしょう、こんなことを取り上げて大騒ぎをするあなたこそ党首の資質がないと、これはおそばで聞いておられたと思います。私もこれを聞いて思わず跳び上がって驚いたんですよ。  こんなこと、要するに粗末なこと、どうでもいいようなことを取り上げて大騒ぎをしている。我々の話し合いでもよくこういうふうに使われます。こんなことでおまえ大騒ぎをするなと、何を言うかと。要するに、粗末なことで大騒ぎをする、人を軽べつする、問題を軽べつするときに使われる言葉でありまして、だからこそ今委員長も訂正を勧告されたんだろうと思います。  森総理自身が拉致問題についてこんなことという発言、一体何だろうかと私は思ったわけであります。しかし、遺憾ながら鳩山代表は、一体何だと、こういう反論は一切なさらずに黙り込んでしまいまして、マスコミも余りこの問題を取り上げていない。  日本国民一人の命は全地球より重いと言ったのはあなた方の大先輩に当たる福田赳夫氏。ダッカ事件の際ですね。それだけ国民の命というのはとうといんだと、それを守っていくのが政府の責務なんだということを彼はおっしゃったわけでありまして、まさしく私そのとおりだと思っております。  あれを聞いておって、森総理の失言、いろいろ取り上げられておりますけれども、私、これ一番の失言だと。少なくとも十人、拉致された人の命がかかわっている。それをこんなことだという言い方自身、また取り消せばいいだろうと、そんなものでは決してありません。やっぱり軽く軽く軽く見ていたからこんなことという言葉が思わず出てきた。  それに対して鳩山氏自身も余り威張れない。やっぱりこれはくだらぬことかと思ってあのとき黙ってしまったのかという気すらしてくる。マスコミだって威張れない。この失言を取り上げて、これこそ大問題だとなぜ追及しなかったんだろうかという思いがありまして、私今までじっとこれを考えていたんですけれども、きょうたまたま委員長が親しくそれは問題であると、訂正しなさいよという勧告をされたので、あえて外務大臣お尋ねしたい。御感想はいかがですか、そのおそばに聞いておられて。
  90. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私もその場におりましたので、そのやりとりは聞いておりました。  恐らく二つあると思うんです。  森総理は、あのクエスチョンタイムと呼ばれるいわゆる国家基本問題について党首討論をやろうと思って出ていくけれども、なかなか国家の基本についての議論にならないと、それから考えればと思ったかもしれません。これは推測でございますからわかりません。  もう一つは、あの議論はイギリスの首相に対する発言であったかと思いますが、その問題について繰り返し繰り返し御議論があった、それは自分は繰り返し答弁をしているのでこのことはもうわかっているはずではないかという、そういう気持ちもあったのではないかというふうに私は考えております。
  91. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 当委員会でこの問題が取り上げられて、こんなこと発言について厳しく、森総理、あなたを非難する意見がありましたよということをぜひ機会を見て総理に申し上げておいていただきたいと思います、発言者は特に伏せて結構でございますから。  次に、外交上の問題でありますけれども、今、中国に対するODAの見直しということが叫ばれております。まさしくそのとおりで、これはもう大分前からそういう議論が、特に自民党内部でこれを見直そうという声が盛り上がってきたと、私はそう受けとめていたのでありますけれども、ことしの十月六日の閣議で、中国に対してODAとは別枠で百七十二億の特別円借款を行うということが決定されました。これは西安の空港とそれから北京市内の高速鉄道ですか、これの建設資金に充てるんだということでありまして、日本のゼネコンが工事を請け負って最後日本政府がその工事代を払う、こういうことであります。  ODAと別枠ということが全然理解できないわけです。ODAということで中国には年間二千五百億円もの融資をしておる、借款をしておる、与えていると。そのほかにまた何で百七十二億、こんなはした金だからいいだろうぐらいの気持ちしかなかったのかどうなのか、私、大変問題です。  そもそも六千億という別枠があるんですけれども、これは東南アジアの通貨危機に直面している、経済危機に直面している国々に対して援助しようということで別枠になった。現にフィリピンなどについては千億余りの特別円借款がなされておる。  しかし、中国はもう経済大国、軍事大国ですから、貿易収支も黒字、それからドル保有も、外貨保有も日本と匹敵するぐらい、年間一〇%の軍事費の伸びを示している。これだけの大国にODAをやること自身、今、自民党内部で大変問題だと言われているそのときに、何で百七十二億を別枠としてやる必要があるのか。だれが考えたっておかしいでしょう。  おかしいと思いませんか、外務大臣
  92. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 特別円借款は、今議員がおっしゃいましたように、日本アジアの国々の経済危機に際してこれを支援するということで六千億を決めているわけでございますが、その概要を申し上げますと、対象国としては、経済危機の影響を直接または間接に受けたアジア諸国を中心とする開発途上国、こういうことになっておりまして、中国がそれからはみ出している、中国はその対象に入っていないかというと、それはそうではないわけでございます。  そこで、百七十二億円の特別円借款を決めました。これは、今申し上げましたとおり、経済危機の影響を受けている国に対してこれを支援するという目的でございますから、従来のODAの計画の中ではなくてその外でこういうことをやるということを決めているわけです。
  93. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 ちょっと矛盾していませんか。経済危機に見舞われている国に対してODAとは別枠でやるんだと、中国はその対象にならないでしょう。あれを後進国だ開発途上国だと言ったら中国はまゆ毛を逆立てて怒りますよ。我が国は大変な大国なんだと自負心を持っておりますからね。しかし、もらうものはもらうと、これまた割り切った考えのようでありますけれども。  そして、私、大変不思議に思っているのは、年間にほぼ二百人近くの国会議員が中国政府に招かれて訪中しておるんですね。飲ませ食わせかどうかわかりませんけれども、あご足つきだと、こういうふうにマスコミにからかわれておりますけれども。  そして、この問題については、ことしの九月六日に訪中団、これは自民党の有志議員で団長は額賀衆議院議員ですけれども、帰ってきたその翌日の七日、自民党の外交部会が開かれて、この話が出て、そうだやろうということになって十月六日の政府決定に至っていると。何か飲み食いさせてもらって頼まれてと、こう言われても弁解できないんじゃないですか。これ、私らの世界ではわいろ、贈収賄と言うんですよ、飲み食いさせてもらって便宜を図ってやるということは。その問題だってあるわけですよ。  百七十二億だから大したことはない、中国が欲しがってりゃくれてやろう、本来この金は低開発国を援助するためのものであったけれども、そんな難しいことは抜きにしよう、何しろ大変ごちそうにもなった、大変偉い方からお言葉もいただいた、これぐらいいいじゃないかという思いに外務大臣が乗っかられたとしか私は思えない。なぜ毅然として、これは違う、趣旨が違う、中国にやる金ではないとおっしゃらなかったんですか。不思議でしようがないんですよ。
  94. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 佐藤議員前段の御指摘の自民党の外交部会はそんな、そんなとかこんなとか言うとしかられますけれども、そういう部会ではございませんで、むしろ非常に対中ODAに対しては厳しい対応をしておられる。それはただ単に対中だけではなくて、今後のODAに対してもきちっと見直すべきだという議論をしているさなかでございまして、特定の議員が行って帰ってきて報告をしたから云々ということは断じてあり得ないと私は確信をいたしております。  また、私も、もう御承知の上でおっしゃっておられるのですから余りむきになって御返事はいたしませんが、そんなことを認めるつもりは毛頭ございません。むしろ、非常に精密に精緻に審査をした結果、その結論が九月に出たということだというふうに御承知おきをいただきたいと思います。  対中ODAにつきましては、私累次にわたって申し上げておりますが、中国に対して日本が経済的支援を行うということは、アジアの平和あるいは繁栄、発展、そうした点、さらには環境問題、これらを考えてみても非常に意味のあることだというふうに思っておりまして、この重要な意味のあるODAを、我々はしっかりとむだのないような、しっかりとした方法でやりたいというふうに考えております。
  95. 佐藤道夫

    ○佐藤道夫君 一言だけよろしいですか。  私、百七十二億円のことを聞いておるんでありますから、しっかりそれに対して答えてもらいたいと思うんですけれども、何かごまかして、率直に言うと喜んでおられるんですか。大変遺憾だと思いますよ。  以上。
  96. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  97. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党を代表して、周辺事態における船舶検査活動法案に対し、反対の討論を行います。  本法案に反対する第一の理由は、本法案アジアの平和の流れに反して、周辺事態法、いわゆる戦争法の補強を進めるものだからであります。  今日、南北朝鮮首脳会談や米朝会談に見られるように、アジアと朝鮮半島をめぐる情勢は一変しました。この情勢のもとで我が国に求められるのは、これらの平和の流れを加速することであります。それにもかかわらず、本法案は軍事的対応の強化を図るものであり、容認できません。  第二は、本法案が国連による非軍事的な経済制裁を回避して、日米の勝手な判断で軍事活動である船舶検査活動に踏み出せるようにしたからであります。  そもそも、国連安保理決議があっても、憲法武力行使を禁じている我が国においては、軍事活動である船舶検査活動自衛隊が参加することは認められません。それにもかかわらず、本法案国連憲章第四十一条の非軍事的手段による経済制裁を取り払ったことは重大であります。しかも、旗国同意だけで他国への強制措置を認めることなど、国連及び国際社会で通用しないことは明らかであります。その点で本法案は欠陥法案であり、絶対に認めるわけにはいきません。  第三は、自衛隊船舶検査活動が、憲法で禁じられた武力による威嚇、武力の行使に道を開くものだからであります。  周辺事態の一方の当事者であるアメリカ政府は、船舶検査活動国連決議を初めとした臨検を武力行使と明確に位置づけています。周辺事態の一方の米軍武力行使と言っているものを自衛隊がやるとなぜ武力行使でないのか、政府はこの点を何ら明確にしませんでした。  しかも、本法案における船舶検査活動の態様では、警告射撃はしないというものの、自衛隊軍艦による民間船舶への威嚇行動である自己の存在の顕示、軍艦による進路妨害活動である進路前方での待機といった強制活動が含まれています。これが軍事活動でないと言えないことは明白であります。  以上、本法案は、アメリカアジアで起こす紛争である周辺事態に際し、日米が独自に判断した経済制裁の厳格な実施を口実に、明白な軍事活動である米国の臨検に自衛隊が参加、協力するものであり、アジアの平和の流れに逆行し、憲法の平和原則を踏みにじる法案であるので、反対いたします。
  98. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 反対の討論をさせていただきます。  我々自由党は、日本の平和と安全を守るため、船舶検査活動重要性を否定するものではありません。かつての連立協議でその重要性指摘し、早期法制化を主張し続けております。しかし、残念ながら今回の法案は、自由党の主張とかけ離れており、納得できるものではありません。  反対理由の第一は、国連決議に基づく船舶検査活動周辺事態における船舶検査活動という全く別の法体系に位置づけられるべき活動を同列に位置づけているからであります。  国連決議に基づくものであれば、国際的な行動基準に従って実効的な活動を各国と共同して行なわなければなりません。我が国のみが独自の基準で対処するようなことでは国際社会の信頼を得ることはできません。また、周辺事態ということであれば、我が国の平和と安全が重大な危機にさらされる重要な局面でありますから、当然、自衛隊部隊行動することはもちろん、武器使用に関しても警告のための射撃等、任務を実効あらしめるための対応がとられるようにすべきであります。  反対理由の第二は、自衛隊及び自衛隊員に対し十分な権限を与えず、手足を縛ったままで任務を遂行させようとするものであり、不適切であります。自衛隊は、国家の危機に際してみずからの危険を顧みず行動することを誓った隊員の集団であります。周辺事態という国家の危機に際して、自衛隊が十分に任務遂行できるようにすべきであります。今回の法案は、部隊としての武器使用を認めず、隊員の身体防護に限っており、また警告射撃すら認めないのであれば、自衛隊は実効ある行動はとれません。  私は、かねてより防衛庁国防省に、命をかけて国を守る人々に国家は誇りと地位を与えよと主張しております。自衛隊創設以来半世紀、この際、なし崩し的、問題先送り的、責任回避的体質を二十一世紀に持ち込まぬよう、明確で実効性ある法律整備を強く求め、討論といたします。
  99. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  100. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本案審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  102. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) これより請願審査を行います。  第一二七号戦争犯罪時効適用条約早期批准に関する請願外二十七件を議題といたします。  まず、専門員から説明を聴取いたします。櫻川専門員。
  103. 櫻川明巧

    ○専門員(櫻川明巧君) 御説明いたします。  今国会中、当委員会に付託されました請願は、五種類、総計二十八件でございます。  まず、お手元の資料の一枚目の一二七号は、一九六八年に国連で採択され、一九七〇年に発効した、戦争犯罪及び人道に対する罪に対する時効不適用に関する条約を我が国も早期に批准するよう求めるものであります。  次に、一三〇号外二十三件は、核兵器の使用、実験、研究、開発、生産、配備及び貯蔵の全面禁止廃絶を速やかに実現するよう求めるものであります。また、資料二枚目の一六九五号は、同様の趣旨の核兵器廃絶条約を速やかに締結するよう、我が国が国連を初め世界の国々に働きかけるよう求めるものであります。  次に、六二三号は、従来の非核三原則では法的拘束力がないので、早急に非核法を制定するよう求めるものであります。  最後に、一五四〇号は、空中給油機導入計画中止、空中警戒管制機、AWACSの飛行中止を求めるものであります。  以上でございます。
  104. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一二七号戦争犯罪時効適用条約早期批准に関する請願外二十七件は保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  106. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  外交防衛等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  107. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  109. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。  閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 服部三男雄

    委員長服部三男雄君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十七分散会