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政府参考人(
荒井正吾君) では、恐縮でございますが、最初に海上保安庁から、今
委員の御質問にありました海上犯罪、特に
我が国の国境犯罪の実情と対処の方向、それと海上自衛隊を含む
関係機関との連携の方向についてお答え申し上げたいと思います。
我が国は国境がすべて海上でございますが、世界的に国境犯罪というのが増加する傾向でございます。大きなのは密輸、密航でございますが、密輸で大きなのは薬物、銃器でございますが、
我が国におきましても、世界的にも大変ヘロインなどの取引は増加しておりますが、
我が国周辺におきましても覚せい剤の取引は増加しております。それも国際的な犯罪組織で行われておりますので、それに対処するというのが最重要事項と
考えております。
近時の傾向でございますが、洋上での漁船等の瀬取り、
日本の手引き者と
外国の輸出者が合同して沖で瀬取りをして、夜陰ひそかに人の少ない海岸に上陸するという
ケース、その間、非常に頻繁に携帯電話等で連絡し合って、あるいはGPSを利用して洋上での落ち合い場所を正確にやるというように、大変高度化、巧妙化しておる実情でございます。また、密航につきましても、貨物船の中に巧妙に隠れるというような事案が大変頻発して、全体的に巧妙化しておる
状況でございます。
対処する方向といたしまして、海上保安庁だけでなく、税関、警察等との連携というのは欠くべからざることだと
考えております。海上保安庁は機動力の面では大変すぐれておりますが、いろんな犯罪の情報ということについては税関、警察と日ごろ
協力しなきゃいけないということを肝に銘じておりまして、海上保安庁の機動力を利用していただいて税関、警察に手柄を立ててもらうということを基本的な方針にしております。そのような成果は徐々に上がってきておりまして、合同の捜査、立入
検査あるいは逮捕ということが最近の実例で成果として上がってきております。また、日ごろの情報交換、人事交流というようなことを強化していきたいと
考えております。
それから、
外国の治安機関との
協力ということも重要でございますので、最近、ロシア、韓国、中国、
アメリカとの連携を強化すべく
努力を積み重ねておる
状況でございます。
海上保安庁の能力の強化という点では、いろいろな監視能力を高めていきたいと思います。今、個別の監視能力から総合的な監視能力、航空機、船艇、陸上の監視能力を使って総合的に解析する、不審船を絞り込むという能力がやはり不足してきておりますので、そういう面を総合的に強化していく必要があろうかと思っております。
各機関との連携、それと監視能力あるいは隠密追尾能力の強化ということが今後の巧妙化する国際組織による国境犯罪の抑止には必要不可欠かと思っております。
なおまた、御質問にございました不審船ということにつきましても、警察機関たる海上保安庁が第一に対処して、不可能または著しく困難の場合には海上自衛隊と連携するということでその連携強化の道を進んでおりますが、象徴的な事案といたしまして、本年四月に行われました海上保安庁の観閲式に
自衛艦が初めて参加していただきましたし、この十月に行われました海上自衛隊の観艦式に海上保安庁の船が参加させていただきまして、総理
大臣の受閲を受けるということで、象徴的な連携強化のデモンストレーションをさせていただきました。
軍と警察という日ごろの行っておる業務、役割というのは大変違うものがあろうかと思いますが、大きな
意味の国の安全保障という
意味では目的を共有するところが大いにございますし、日ごろ不審な船の監視動向情報等を提供していただいておりまして、日ごろの連携も実は進んでおる面もございますので、今後ともそのような方向で働いていきたいというふうに
考えております。