○佐藤道夫君 防衛庁の
関係は結構でございますから、どうぞ退席されてください。
外務省にお尋ねいたしますが、最初に
協定の
関係であります。
いわゆる思いやり予算という駐留
経費負担の
関係で調べてみますると、当然もうこれは
議論の対象にもなっていることですけれ
ども、
日本の場合
負担が非常に高い。同じような
立場にある
国々に比べまして圧倒的に高い。なぜかと、だれでも疑問を持つわけであります。
ドイツ、
韓国、
日本、とりあえず同じような
立場にあるこの三つを比べてみますると、駐留人員というもの、米軍兵士の数ですね、駐留軍の数は、大体において
ドイツが六万八千人、
韓国が三万六千人、
日本が四万人と、こういう
状況ですが、一人当たりの
経費負担になりますと、
ドイツの場合には百五十万円、
韓国は二百十九万円、
日本が千六十七万円と、これは二年前の統計でありますけれ
ども、圧倒的に高いんですね。
先ほどの
質疑でも、
外務大臣は、防衛のいろんな歴史がある、しがらみがある、そういうことの積み重ねがこうなったんであろうということを言っておりましたが、そういうことを言い出せば、
冷戦時代に一番危険な
立場にいたのは
ドイツと
韓国だろうと思いますね、直接共産主義国と境を接して、いつソ連軍が入ってくるかもしらぬと。そういう
国々の
負担金がこの程度であって、一つ海を隔ててワンポイント置いている
日本の場合にどうしてこんなに高くなったのか。多分、経済が非常に調子がいいので金が余る、そういうことでじゃぶじゃぶとつぎ込んできた結果だろうと思いますけれ
ども。
一つこれは大事なことですけれ
ども、
アメリカ人、アングロサクソンですけれ
ども、彼らは植民地支配が長かったものですから、いろんな民族を支配してきた。何かというとすぐ、にやにやしながら金を差し出し、口では、はいありがとうよと言いながら、腹の中ではこういう人種を一番軽べつしているわけですよ。そして、言うべきことをきちっと言う民族、これについては、なるほど大したもんだと。
今、
中国が
アメリカに対してはっきり物を言う唯一の国だと、こう言ってもいいと思うんですけれ
ども、
日本の場合には、戦後の金余り現象で、もう言われるままに金をつぎ込んできて、
アメリカ人が頭を下げてくれた、ああ我々も偉くなった、こう思っておったでしょうけれ
ども、実は一番これ軽べつされていたんですね。
日本人、ジャップ、ジャップと言われておりますけれ
ども、軽べつされていたんですよ。
歴史の話になりますけれ
ども、生麦事件というのがありまして、そのときに薩摩の行列を乱したイギリス商人がその場で殺されました。イギリスは大変に激怒しまして、幕府に対して賠償金を払え、それから犯人を引き渡せと、こう言った。幕府はもう恐れおののきまして、イギリスから強くそういうことを言われたものですから、賠償金をすっと払った。犯人は、薩摩は遺憾ながらもう我々の支配には及んでおりませんのでということで、引き渡すことができないと。それでイギリスは軍艦を薩摩に差し向けまして、いわゆる薩英戦争が始まった。薩摩は一歩も後に引かない。町が焼け野原になったんですけれ
ども、それでも徹底抗戦をしたと。イギリス人は本当に驚いたわけですよ、この東洋のしがない国の外れにこんな立派な
人たちがいたのかと。この薩英戦争が何と何と薩英同盟のきっかけになりまして、もう幕府なんか相手にしていられない、これからの
日本は薩摩の国だ、薩摩の
人たちだということで薩英同盟ができて、これが明治維新の原動力にもなったわけです。
これがアングロサクソン人種の基本的な
考え方。我々もそうだと思いますよ。にやにやしながら金を出すやつ、これはもうかるから受け取ってはおきますけれ
ども、腹の中では皆軽べつしているわけですよ。そして、言うべきことを筋を通してきちっと言ってくる、ああ、あれは立派な人だ、なるほど金じゃ済まない問題があるんだな、よくわかったなということでその
人たちを尊敬する。
もはや二十一世紀でありまして、一体対米
関係をどうしていこうとするのか、この一つのあらわれがこの駐留
経費の
負担の問題だろうと思うんです。
森内閣の評判が大変よろしくない。さてその次はだれだと。一番手に名前が挙がっているのは
河野外務大臣であります。二十一世紀の進路を決めるのはこの人だというふうに
自民党内、いや一般
国民も案外そう思っているのかもしれません。
まず、その姿勢の一つとして、
アメリカとの
関係を今までどおりでいいのかどうか、なぜ言うべきことをきちっと言っていかないのか、その辺について高いお
立場から、いずれ間もなく
総理大臣と思われますので、御識見を、御卓見をお聞かせい
ただければと、こう思います。