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2000-11-09 第150回国会 衆議院 本会議 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月九日(木曜日)     —————————————  議事日程 第六号   平成十二年十一月九日     午後一時開議  第一 書面交付等に関する情報通信技術利用のための関係法律整備に関する法律案内閣提出)  第二 農地法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案内閣提出)  第四 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件     ————————————— ○本日の会議に付した案件  議員請暇の件  日程第一 書面交付等に関する情報通信技術利用のための関係法律整備に関する法律案内閣提出)  日程第二 農地法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案内閣提出)  日程第四 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案内閣提出)  周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案内閣提出)の趣旨説明及び質疑     午後一時三分開議
  2. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) これより会議を開きます。      ————◇—————  議員請暇の件
  3. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。  竹本直一君及び柳澤伯夫君から、十一月十二日から十九日まで八日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可することに決まりました。      ————◇—————  日程第一 書面交付等に関する情報通信技術利用のための関係法律整備に関する法律案内閣提出
  5. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 日程第一、書面交付等に関する情報通信技術利用のための関係法律整備に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。商工委員長古屋圭司君。     —————————————  書面交付等に関する情報通信技術利用のための関係法律整備に関する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔古屋圭司登壇
  6. 古屋圭司

    古屋圭司君 ただいま議題となりました法律案につきまして、商工委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、最近のインターネット等情報通信技術発達に伴い、民間における電子商取引等促進を図るため、書面交付等による手続の義務にかえて、情報通信技術利用する方法を用いて行うことができることとするために、総計五十本の関係法律について所要の改正を行うものであります。  その主な内容は、  第一に、民間商取引において書面交付あるいは書面による手続を義務づけている関係法律について、書面交付等にかえて、政令で定めるところにより、顧客の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項電子メール等情報通信技術利用する方法により提供することができることといたしております。  第二に、組合等における議決権に関し書面による行使等を義務づけている関係法律について、組合員は、定款に定めのある場合、書面による議決権行使等にかえて、電子メール等情報通信技術利用する方法により行使することができることとしております。  本案は、去る十一月七日本委員会に付託され、同日平沼通商産業大臣から提案理由説明を聴取いたしました。  昨日質疑を行い、質疑を終局したところ、日本共産党提案による修正案が提出され、修正案趣旨説明を聴取した後、採決を行った結果、日本共産党提案修正案は否決され、本案全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決いたしました。  以上、御報告を申し上げます。(拍手)     —————————————
  7. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 農地法の一部を改正する法律案内閣提出
  9. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 日程第二、農地法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。農林水産委員長宮路和明君。     —————————————  農地法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔宮路和明登壇
  10. 宮路和明

    宮路和明君 ただいま議題となりました農地法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、農業経営法人化を推進し、その活性化を図るため、農業生産法人について、一定の株式会社を認めるほか、その事業及び構成員の範囲の拡大その他の措置を講ずるとともに、農地権利移動許可下限面積要件を弾力化する等の措置を講じようとするものであります。  委員会におきましては、十一月二日谷農林水産大臣及び石破農林水産政務次官から提案理由説明を聴取した後、同日と去る七日、八日の三回にわたり政府に対する質疑を行ったほか、七日には参考人から意見を聴取するなど、慎重に審議を行いました。  昨八日質疑を終了しましたところ、自由民主党民主党無所属クラブ公明党自由党及び21世紀クラブから、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、農業の多様な担い手及び優良な農地確保のための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」旨の検討条項を附則に追加する五会派共同提案による修正案が提出され、趣旨説明を聴取いたしました。  次いで、討論採決の結果、修正案及び修正部分を除く原案は、いずれも多数をもって可決し、本案修正議決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  11. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  12. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり修正議決いたしました。      ————◇—————  日程第三 公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案内閣提出
  13. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 日程第三、公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。建設委員長井上義久君。     —————————————  公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔井上義久登壇
  14. 井上義久

    井上義久君 ただいま議題となりました公共工事入札及び契約適正化促進に関する法律案につきまして、建設委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、国、特殊法人等及び地方公共団体が行う公共工事入札及び契約について、その適正化基本となるべき事項を定めるとともに、情報の公表、不正行為等に対する措置及び施工体制適正化措置を講じ、あわせて適正化指針策定等制度整備すること等により、公共工事に対する国民の信頼の確保とこれを請け負う建設業の健全な発達を図ろうとするものであります。  その主な内容は、  第一に、公共工事入札及び契約は、透明性確保、公正な競争促進不正行為排除徹底及び適正な施工確保基本として、その適正化が図られなければならないこととすること、  第二に、公共工事発注者は、年度ごと公共工事発注の見通しを公表するとともに、指名業者の名称その他の公共工事入札及び契約に関する情報を公表しなければならないこととすること、  第三に、公共工事発注者は、その発注する公共工事入札及び契約に関し、独占禁止法に違反する入札談合建設業法等に違反する行為があると疑うに足りる事実があるときには、公正取引委員会建設業者監督権限を有する国土交通大臣等に対し、その事実を通知しなければならないこととすること、  第四に、公共工事については、一括下請負を全面的に禁止するとともに、公共工事受注者は、発注者に対して施工体制台帳の写しを提出しなければならないこととすること、  第五に、国土交通大臣総務大臣及び財務大臣は、公共工事入札及び契約適正化を図るための指針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならないこととするとともに、公共工事発注者当該指針に従って講じた措置の状況について報告を求め、必要に応じ所要要請を行うことができるものとすること 等であります。  本案は、去る十月三十一日本委員会に付託され、十一月一日扇建設大臣から提案理由説明を聴取し、同月八日質疑を行いましたところ、本案に対し、自由民主党民主党無所属クラブ公明党自由党日本共産党社会民主党市民連合、保守党の七会派共同提案により、公共工事入札及び契約において排除徹底されるべき不正行為として談合を例示するとともに、適正化指針に定める入札及び契約の過程並びに契約内容についての意見反映方策の対象とする学識経験者等意見第三者性を明らかにしようとする修正案が提出され、趣旨説明を聴取いたしました。  同日、採決の結果、本案全会一致をもって七会派共同提案に係る修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対して附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  15. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり修正議決いたしました。      ————◇—————  日程第四 日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件
  17. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 日程第四、日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  委員長報告を求めます。外務委員長中野寛成君。     —————————————  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件及び同報告書     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔中野寛成登壇
  18. 中野寛成

    中野寛成君 ただいま議題となりました在日米軍駐留経費負担特別措置協定につきまして、外務委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本協定は、日米両国を取り巻く諸情勢に留意し、日本国合衆国軍隊を維持することに伴う経費日本側による負担を図り、日本国にある合衆国軍隊の効果的な活動確保するため、日米間の経費負担原則を定める地位協定第二十四条についての新たな特別の措置を講じようとするものであり、平成十二年一月以来、日米両国政府間で行われた交渉の結果、合意に至りましたので、平成十二年九月十一日、ニューヨークにおいて本協定の署名が行われました。  本協定の主な内容は、  日本国に雇用されて合衆国軍隊等のために労務に服する労働者に対する基本給等一定の給与の支払いに要する経費並びに合衆国軍隊等が公用のため調達する電気等及び暖房用等燃料に係る料金または代金の支払いに要する経費の全部または一部を我が国負担すること、  日本国政府要請に基づき合衆国合衆国軍隊の行う訓練の全部または一部を他の施設及び区域を使用することにより変更する場合に、その変更に伴って追加的に必要となる経費の全部または一部を我が国負担すること、  合衆国は、従来と同様、これらの経費の節約に努めること、  本協定平成十三年四月一日から平成十八年三月三十一日まで効力を有すること 等であります。  本件は、去る十月三日本院に提出され、十月三十一日本会議において趣旨説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日外務委員会に付託されたものであります。  外務委員会におきましては、十一月一日河野外務大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑に入り、昨八日質疑を終了し、討論の後、引き続き採決を行いました結果、本件は多数をもって承認すべきものと議決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  19. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  20. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり承認することに決まりました。      ————◇—————
  21. 小此木八郎

    小此木八郎君 議事日程追加緊急動議を提出いたします。  内閣提出高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案議題とし、委員長報告を求め、その審議を進められることを望みます。
  22. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 小此木八郎君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加されました。     —————————————  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案内閣提出
  24. 綿貫民輔

  25. 佐藤静雄

    佐藤静雄君 ただいま議題となりました高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案につきまして、内閣委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、情報通信技術の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に的確に対応することの緊要性にかんがみ、高度情報通信ネットワーク社会形成に関し、基本理念及び施策策定に係る基本方針を定め、並びに、内閣高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を設置するとともに、重点計画を作成することにより、その施策を迅速かつ重点的に推進しようとするものであります。  本案は、去る十月二十四日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日本委員会に付託されたものであります。  本委員会におきましては、去る十月二十六日中川内閣官房長官から提案理由説明を聴取した後、同月三十一日から質疑に入り、十一月六日には商工委員会及び逓信委員会との連合審査会を開催し、そして翌七日には参考人からの意見聴取を行い、さらに本日森内閣総理大臣等に対し質疑を行うなど、幅広い角度から慎重かつ熱心な審査を行ってまいりました。  かくして、本日質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、自由民主党民主党無所属クラブ公明党及び21世紀クラブ各派共同提案に係る修正案並び日本共産党から修正案が提出されました。  引き続き、両修正案についてその趣旨説明を聴取した後、討論を行い、採決いたしましたところ、日本共産党提出修正案賛成少数をもって否決され、自由民主党民主党無所属クラブ公明党及び21世紀クラブ各派共同提案に係る修正案並び修正部分を除く原案はいずれも賛成多数をもって可決され、本案修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  26. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 討論の通告があります。順次これを許します。黄川田徹君。     〔黄川田徹登壇
  27. 黄川田徹

    黄川田徹君 自由党黄川田徹でございます。  私は、自由党を代表して、ただいま議題となりました高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案に対し、反対討論を行います。  まずもって、この法律の成立の経緯についての問題点を指摘しなければなりません。  既に平成六年に高度情報通信社会推進本部が設置され、また、平成七年と十年には高度情報通信社会に向けた基本方針策定され、当時から既に本法案と同様の内容がうたわれているのであります。また、平成十一年四月にも本法案内容と同様のアクションプラン策定されており、平成十二年にはフォローアップも行われております。これらの措置は、法律をつくるまでもなく、政府がこれまで実施してきたものであります。  この法案は、衆議院選挙後になって森内閣の新しい目玉づくりのために突然打ち出されたものであり、内容に新しいものは何もなく、今申し上げた施策基本法の名のもとに文章化しただけなのであります。これが森総理大臣のパフォーマンスにすぎないことは、市場の冷淡な反応を見ても明らかであります。  IT戦略会議でも、この法案について詰めた議論がなされたとは聞いておらず、そもそも基本法そのものが必要かを含め十分な議論が必要であるにもかかわらず、この九月四日に立ち上げられた内閣IT担当室が大急ぎで作業して、十月十七日に、一月余りで国会に提出するという拙速の感は否めないのであります。  次に、法案内容についての問題点を申し述べます。  第一に、「目的」に危機意識が不足している点であります。世界各国インターネットを初めとするIT戦略を進める中で、我が国が大きく立ちおくれている現状をどう改革していくのかは一向に明らかにされず、これまで進めてきた施策を「目的」として文章化したにすぎません。基本法でありながら三年後の見直し規定を置いたのは、自信のなさのあらわれであります。  第二に、すべての国民情報通信技術の恵沢を享受できる社会利用機会等格差の是正をうたっておりますが、民間主導原則競争促進、国と地方役割環境整備と述べているだけであり、官と民との役割分担についての戦略が全く明確にされていないのであります。これでは、規制改革が不徹底のまま、光ファイバーなどのIT公共投資がいたずらにふえる結果となりかねないのであります。  第三に、世界最高水準高度情報通信ネットワーク形成と言いながら、そもそも基本法になじまないアクションプランレベルの課題を法制化しようとしたため、法文自体が抽象的であいまいな内容に終始しており、これでは各省庁がIT予算獲得の根拠にするという官僚行政を助長するばかりであり、肝心のIT革命がこれにより達成されるとは到底思えないのであります。  第四に、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部を設置するとしておりますが、今既にある高度情報通信社会推進本部の看板をかけかえただけのものであり、今までうまくいかなかったことを反省することなく、心を入れかえて今までどおりやろうと言っていることと同じであります。  以上、反対理由を申し述べましたが、この内容法案では修正にも値せず、政府は撤回して出し直すべきであります。  今、二十一世紀世界をさま変わりさせるようなIT革命が現に進行しております。我が国の命運は、このIT革命をなし遂げられるかいかんにかかっていると言っても過言ではありません。そのためには、規制緩和を初めとする大胆な改革を断行しなければなりません。それは、これまでの官主導国づくりを改め、国民が生き生きとして経済活動が営めるような社会を構築していくことにほかなりません。官僚の作文をそのまま基本法にして、それに基づいてIT革命を推進しようとする発想自体を改め、日本を一新する構造改革を推進していくことこそが必要であることを申し上げまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  28. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 矢島恒夫君。     〔矢島恒夫登壇
  29. 矢島恒夫

    矢島恒夫君 私は、日本共産党を代表して、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案に対して、反対討論を行います。  私は、まず、二十一世紀社会のあり方にかかわる基本法審議にもかかわらず、野党が要求した公聴会開催要求も受け入れず、与党がともかく審議を急ぐことに終始したことを、厳しく指摘するものであります。  情報通信技術発展は、人類の文化、技術発展の中でも画期的な一段階を開きつつあります。特に、インターネットは、既に国民の二割以上が利用し、多様な情報を入手し発信する新しいコミュニケーションの手段となっています。我が党は、この新しい技術社会全体が有効に活用できるようにしていくために、国民だれもが利用でき、その成果をすべての国民が受けられるようにすることこそ基本にすべきだと考えます。そして、個人情報の流出やIT利用した新たな犯罪など、否定的な諸問題への対応を重視すべきだと考えています。  本法案反対する第一の理由は、基本法として最も重要な民主主義の立場が欠落しているということであります。国民こそが、高度情報通信ネットワーク社会主人公であります。法案には、この見地が完全に欠落し、目的理念に、高度情報通信ネットワーク社会形成民主主義発展に資する、という言葉すらありません。本法案では、国民が望む高度情報通信ネットワーク社会形成となり得ないことは明らかであります。  第二の理由は、高度情報通信ネットワーク社会形成に当たって最低限の土台となる、高度情報通信ネットワークへのアクセスを国民権利とし、それを国が保障するという明確な理念及びその理念具体化していく基本方針重点計画がないことであります。  審議の中でも、インターネット障害者社会参加への可能性を画期的に高めることが明らかになりましたが、障害者が活用できるような器具の開発や料金制度具体化なしには、この可能性は現実のものとなりません。高度情報通信ネットワーク形成民間競争のみに任せるならば、地域、年齢、所得、身体的制約などによる新たな情報格差が生じ拡大することは明瞭であります。  第三の反対理由は、高度情報通信ネットワーク社会形成の必須の要件として、個人情報保護及び消費者保護徹底を国の責務として施策を推進するという点で不十分であるということであります。法案電子商取引促進をうたっていますが、個人情報保護及び消費者保護徹底がなければ電子商取引の健全な発展はあり得ません。  基本法として、国民消費者こそが主人公という根本的な哲学を欠く本法案では、国民が望む高度情報通信ネットワーク社会形成とはならないということを指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手
  30. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 植田至紀君。     〔植田至紀登壇
  31. 植田至紀

    植田至紀君 初めまして、社会民主党植田至紀です。よろしくお願いいたします。  私は、社会民主党市民連合を代表し、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法案反対の立場から見解を表明させていただきます。  森総理は、先日の所信表明演説の中で、「人類は、そして我々日本人は、IT革命という歴史的な機会と正面から取り組む決意が必要」と力説されました。全くそのとおりです。が、結果提出された法案は、大山鳴動してネズミどころかノミ一匹じゃないですか。一体この法案のどこにIT革命という歴史的な機会と正面から取り組む決意があるというのか大いに疑問であります。そのことをまず申し上げて、幾つかの点について指摘させていただきます。  まず第一に指摘しなければならないのは、IT革命の主体たる国民の参加が何ら保障されていないということです。この点は、総理が一大国民運動を展開すると述べたことと明らかに背反するものであり、法案の根本的な問題です。  確かに、戦略本部ができる、そしてそこで重点計画策定されるというわけですが、実際に具体的にその策定過程において国民がいろいろな形で物を言うその機会は、実際上は閉ざされている。そういう意味で、本来主人公たる国民が、このIT基本法ができることによってむしろIT革命の推進力としての力を失ってしまう、そういう危惧を持たざるを得ないわけです。  さて、第二は、高速通信網などインフラの整備のみが強調され、IT革命をパソコンの普及程度にしか認識していないのではないかという点でございます。  ITの普及というのは、その活用を通じて新たな民主主義社会を推進する、そういう意味からやはりとらえられるべきでしょう。そういう意味で、ITの活用やインターネットの普及に必要なのはインフラよりもコンテンツであり、ハード以上に市民の情報リテラシーの向上ではないでしょうか。しかし、そのことが法案では理解されていない、そう言わざるを得ないわけです。  第三は、法案では、情報格差、デジタルデバイドの解消に関して施策の方向性すら示していないことです。すなわち、国民権利としてそれを保障する観点が欠落しているのです。幾ら法案が申しわけ程度に触れていたとしても、施策の推進に当たって国の責務が明らかにされていない以上、空文と言わざるを得ません。  第四は、IT革命の推進に伴う雇用不安への対応が不明確であるということです。若干の修正が行われたとはいえ、その中身が明確でない以上、問題はいまだ解決されていません。  さて、法案は、IT革命が目指す二十一世紀社会像、未来像を全く描いていません。このことは、法案を提出された政府、すなわち森内閣に私たちの未来を語る資格などないということをかんがみるならば、賢明な御判断であったと私は考えます。  そこで、せっかくですからこの機会にもう一つ賢明な御判断をしていただきたいのです。すなわち、森内閣の総辞職です。引き際ぐらいは森総理もわきまえておられるかと存じますし、今がそのときであるということも十分御認識だとは思いますけれども、もし万が一、森総理御自身が国民の支持を得ているなどと誤った認識を持たれているようでは大変でございますので、その点、蛇足ながらつけ加えさせていただきまして、私の反対討論を終わります。(拍手
  32. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  33. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  34. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり修正議決いたしました。(拍手)      ————◇—————  周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案内閣提出)の趣旨説明
  35. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) この際、内閣提出周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案について、趣旨説明を求めます。国務大臣虎島和夫君。     〔国務大臣虎島和夫君登壇
  36. 虎島和夫

    ○国務大臣(虎島和夫君) 周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律第一条に規定する周辺事態に対応して我が国が実施する船舶検査活動に関し、その実施の態様、手続その他の必要な事項を定めることを内容としています。  船舶検査活動につきましては、昨年四月、周辺事態安全確保法案の国会審議の過程で、別途立法措置を講ずることを前提として同法案から削除されましたが、その後、与党間で鋭意協議され、今般、船舶検査活動に関する法案の要旨等について合意されたところであります。本法律案は、この合意内容を踏まえ、周辺事態に対応して我が国が実施する船舶検査活動に関し、その実施の態様、手続その他の必要な事項を定め、周辺事態安全確保法と相まって、日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的として提案するものであります。  以上が、この法律案提案理由であります。  次に、この法律案内容について、その概要を御説明いたします。  第一に、船舶検査活動は、周辺事態に際し、国連安保理決議に基づいて、または旗国の同意を得て実施することを定めております。  第二に、船舶検査活動は自衛隊の部隊等が実施すること、及び、この場合において、当該船舶検査活動に相当する活動を行う米軍に対し、後方地域支援を実施することができることを定めております。  第三に、船舶検査活動の実施に際して、一定事項周辺事態安全確保法第四条第一項に規定する基本計画に定めることを定めております。  第四に、防衛庁長官が、基本計画に従い、船舶検査活動について実施要項を定め、これについて内閣総理大臣の承認を得て自衛隊の部隊等にその実施を命ずること等を定めております。  第五に、船舶検査活動の実施の態様等について定めております。  第六に、乗船して検査等を行っている者の生命等を防護するため必要最小限度の武器の使用ができることを定めております。  なお、附則において、自衛隊法及び周辺事態安全確保法について所要の改正を行っております。  以上が、周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案趣旨でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)      ————◇—————  周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  37. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。桑原豊君。     〔桑原豊君登壇
  38. 桑原豊

    ○桑原豊君 私は、民主党無所属クラブを代表して、ただいま趣旨説明のありました周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案に関して、関係大臣にお尋ねをいたします。  本法律案は、周辺事態における我が国自衛隊の行動にかかわるものであります。  この周辺事態は、我が国周辺で安全保障上の緊張が高まる状況のもとにおいて起きるのであります。したがいまして、まず、周辺事態に至らないように、我が国が主体的に平和で安定した国際環境を創造していく不断の外交努力を行うことが大前提であります。  にもかかわらず、最近の政府による北朝鮮への突然の五十万トン米支援決定、総理の拉致疑惑における第三国発見の発言などを見ていますと、全く、どこを目指して北朝鮮との国交正常化交渉をしているのか、首をかしげたくなるのであります。  韓国が、金大中大統領の提唱する段階的な平和統一戦略に基づいて太陽政策を着実に実行していることや、米国が、練りに練ったペリー・プロセスに沿って戦略的な外交を繰り広げているのに比べ、いかにも行き当たりばったりの印象をぬぐえません。  また、外務大臣は先ごろロシアを訪問されましたが、この日ロ交渉にいたしましても、クラスノヤルスク合意が骨抜き状態になり、エリツィン大統領のころのムードからはるかに後退した感が否めません。核問題についても、総理は、インド訪問の際、どこまで真剣にインド政府に迫ったのか、ITに浮かれていたとしか思えません。  そこで、まず本法律案を討議する土台となる国際環境及び喫緊の外交課題に関する関係大臣の基本認識について、御質問いたします。  朝鮮半島では、六月の南北首脳会談、十月の米朝合意とオルブライト国務長官の訪朝、欧州と北朝鮮との関係改善など、さまざまな緊張緩和の動きがあることは御承知のとおりであります。また、先ごろアーミテージ氏やキャンベル氏といった米国の知日派の有識者が発表した日米関係についての米国国防大学の特別レポートでは、アジア情勢の変化に対し、米軍の前方展開のあり方、米軍基地、訓練、運用面などを見直していくような見解が出されております。  そこで、まず朝鮮半島情勢について、現状をどのように認識され、今後どのような展望をお持ちか、外務大臣及び防衛庁長官にお伺いをしたいと思います。  すなわち、既に北東アジア情勢は緊張緩和の方向に十分動いているとお考えなのか、それとも、いまだミサイルや核の開発問題があり、また実質的な軍縮はないので、安全保障上の緊張関係には変化がないというふうにお考えなのか。また、その認識に立って、今後我が国としてどういう方向性を持って対応する決意なのか、つまり、朝鮮半島及び北東アジアの軍縮と緊張緩和にどのように取り組んでいかれる方針なのか、お聞かせいただきたいと思います。  あわせて、さきの総理の、立場をわきまえない不用意な発言を受けての日朝国交正常化交渉の展望についても、外務大臣の御答弁をお願いいたします。  さらに、米次期大統領選挙は、まれに見る激戦となり、フロリダ州における票の再計算という事態を迎えておりますが、いずれが勝つにせよ、新大統領は国内問題により目を向けたかじ取りを余儀なくされるのではないかというふうに思われます。こうした状況下で、米国外交の継続性はどうなるのでしょうか、心配な点もございます。  目下取りざたされているクリントン現大統領の訪朝の見通し及び米国の北朝鮮外交の今後についてどのように展望されているかも、あわせて外務大臣にお伺いをいたします。  また、朝鮮半島情勢や北東アジアの平和を考えるとき、日米韓の協力、連携が不可欠なことは言うまでもありません。今後の米国の対日政策についてどのような展望をお持ちかをお聞かせ願いたいと思います。  特に、現在米軍は、アジア太平洋地域に十万人の前方展開兵力を擁し、そのうち四万人が我が国に駐留をいたしております。緊張緩和への流れを受けて、朝鮮半島における米軍の削減があり得るとお考えかどうか、その場合、在日米軍基地、特に沖縄普天間基地の問題や、海兵隊を初めとする米軍の兵力構成などを全体として縮小していく環境ができてくるとお考えなのかどうか、あるいは日本としてその方向で努力する決意があるかどうか、外務大臣並びに防衛庁長官にお答えいただきたいと思います。  さらに、森総理大臣は、沖縄サミットでクリントン大統領に、普天間基地の移設に関する十五年期限問題を含め、はっきりと我が国の立場を主張されていないのではないかとの疑問がございます。米国の次期政権に対しては、政府としてしっかりと我が国の立場を主張していただけるのかどうか、外務大臣にお伺いをいたします。  それでは、船舶検査法の中身に入ります。  まず、周辺事態安全確保法案審議のときにも我が国として慎重な対応が求められたことでありますが、今次の法的措置に対する我が国周辺及びアジア諸国の反応でございます。  現下の情勢においてどのような反応が想定をされるのか、また、そのことに対し我が国としてはどのように対応しているのか、外務大臣に伺いたいと思います。  次にお尋ねいたしたいのは、この法案の提出がなぜにここまでおくれたのかであります。  昨年五月、周辺事態安全確保法案議論の際に、当時の与党内で意見の調整がつかず、船舶検査に係る規定が政府原案から抜け落ちました。これに対して民主党は、参議院において、国連安保理決議を重視する見地から、政府原案にあった船舶検査規定を復活させる修正案を提出いたしましたが、連立維持を優先した与党の強引な手法によって否決をされました。これによって、周辺事態に対する対応は、問題を抱えたまま今日に至ったわけであります。  幸い、船舶検査を実施せざるを得ないような状況はありませんでしたが、これほど焦点になった規定について、一年以上も放置してきた与党の責任は極めて重大であるということを指摘したいと思います。  具体的に何が問題になってこれほど与党協議が長引いたのか、また、現在この規定に満足をしておられるのか、さらに、国連安保理決議が得られない段階でも、旗国の同意さえあれば船舶検査ができることになるわけですが、この点に関する御所見はいかがなものか、防衛庁長官にお尋ねをいたします。  また、この点に関しましては、連立与党を構成する公明党及び保守党を代表して入閣されておられる国務大臣として、続大臣及び扇大臣からそれぞれ御所見を御披露願いたいと思います。両党がどのような立場で議論に臨み、どのような議論の結果今回の結論を導かれたのか、明らかにしていただきたいと思います。  次に、国連安保理決議に加え、一年以上もかかって出てきた旗国の同意についてお伺いしたいと思います。  国連安保理の決議により経済制裁が実施される場合、少なくとも国連加盟国は決議に従う義務が生じます。したがって、決議の授権により船舶検査が行われる場合、船舶検査の対象となる旗国が国連加盟国である場合は、自国船舶の停船や立入検査を拒否できないことになります。  そこで、確認をいたしますが、何らかの事情で国際社会の合意が得られず、安保理決議が得られない場合で、しかも旗国が船舶検査への同意を与えない場合には、周辺事態における船舶検査は行われないと考えてよろしいのでしょうか、外務大臣及び防衛庁長官から御説明いただきたいと思います。  最後に、船舶検査の発動のあり方について質問いたします。  周辺事態は、いまだ我が国が武力攻撃を受けていない事態を指すわけでございますから、一般に自衛権発動の要件は満たしていないのでありましょう。事実、政府は、自衛権の行使とは別の自衛の措置とされておられるようであります。  そこで、お伺いいたしますが、自衛の措置というのは一体どういう中身なのでしょうか。周辺事態において、我が自衛隊がみずから船舶検査などの行動を行う場合、自衛権発動の要件を欠いても自衛の措置がとれるということですが、措置の範囲や態様いかんによっては、逆に危険な情勢が生じる可能性がないのでしょうか。  例えば、国連安保理決議がない状態にあって、我が国が独自に周辺事態であると認定した状態を想定いたしますと、船舶検査活動をきっかけに、周辺事態ではなく日本有事、すなわち我が国に対して武力攻撃が行われる事態に発展するおそれはありませんか。  周辺事態における船舶検査活動を行うことによって、自衛権に基づく防衛出動としての船舶検査活動、すなわち臨検と呼ばれるものを呼び込んでしまう可能性はないのでしょうか。外務大臣及び防衛庁長官からお答えをいただきたいと思います。  以上をもちまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)     〔国務大臣河野洋平君登壇
  39. 河野洋平

    ○国務大臣(河野洋平君) 朝鮮半島情勢についてお尋ねでございますが、御承知のとおり、六月の南北首脳会談以降、南北対話が着実に進展し、米朝間でもまた大きな動きが見られておりますが、安全保障上の問題は依然として存在しております。こうした動きは、朝鮮半島の緊張緩和に資するものであり、これらの成果を基礎に、今後軍事面でも信頼醸成が進み、朝鮮半島の緊張緩和につながることを強く期待をいたしております。  日朝国交正常化交渉につきましては、今回の北京での交渉では、双方の立場の接点を見出すための作業を行いましたが、今後とも双方の間の大きな隔たりを埋められるよう全力を傾けていく考えでございます。  アメリカの大統領選挙は、御指摘のとおり、いまだその結論が出ておりません。そういう状況下で、クリントン大統領の訪朝につきましては、特段の決定はまだなされていないと承知しております。また、対北朝鮮政策の遂行に当たりましては、日米韓三カ国で緊密な連携が維持されていくことを期待いたしております。その他外交政策については、まだ大統領未決定の今日、私から申し上げることを控えさせていただきたいと思います。  金大中大統領は、南北首脳会談以降も、在韓米軍の駐留は韓国の国益と朝鮮半島の安定のために必要である旨述べておられますが、現段階で我が国が予断を持って将来の在韓米軍のあり方について云々するのは適当ではないと思います。  普天間飛行場を含め、在日米軍の兵力構成等の軍事態勢につきましては、一九九六年の日米安保共同宣言に従い、引き続き米国政府との間で緊密に協議していく考えであり、あわせて国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねてまいる考えでございます。  代替施設の使用期限の問題につきましては、先般のサミットの際の日米首脳会談におきまして、森総理よりクリントン大統領に対して取り上げられました。今後とも、昨年末の閣議決定に従いまして政府としては対処していく考えでございまして、あわせて国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねていくことも当然のことでございます。  船舶検査法案に対する周辺諸国の反応についてお尋ねがございました。  韓国、中国、ロシアからは、現在のところ、懸念が表明されたとは承知をいたしておりません。今後、仮に本法律案に関し懸念を表明する国があるとすれば、必要に応じて説明をし、透明性を高めていくことが重要であると考えます。  国連安保理決議がない場合で旗国の同意が得られない場合には、当該旗国の船舶に対して船舶検査活動を実施し得ないこととなるというふうに御答弁を申し上げます。  本法案は、周辺事態に際して、国連安保理決議がない場合でも、国際社会がその協調行動として経済制裁を実施しているときに、検査対象船舶の旗国の同意を得て船舶検査活動を実施することを可能としております。これは国際法上も適法な活動であり、戦闘行為と評価されるものではなく、このような活動に対して武力攻撃が行われることは、通常、想定をされておりません。     〔国務大臣虎島和夫君登壇
  40. 虎島和夫

    ○国務大臣(虎島和夫君) 朝鮮半島情勢についてのお尋ねですが、現状では軍事的対峙の状況は変化しておらず、また、北朝鮮は弾道ミサイル等の軍事力を依然として維持強化していると考えられます。  防衛庁としては、朝鮮半島を初め、我が国を取り巻く安全保障環境のいかなる変化にも対応して我が国の平和と安全を確保できるよう、自衛隊の態勢や日米安保体制への信頼性の向上等に万全を期す所存であります。  さらに、米軍のプレゼンスに関するお尋ねがありました。  アジア太平洋地域においては、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在している等、依然として不透明、不確実な要素が存在しております。このような状況の中、在日米軍を中核とする米軍のこの地域におけるプレゼンスは、我が国の安全及び地域の平和と安定のために、引き続き重要な役割を果たしていくものと認識しております。  次に、船舶検査活動に関する与党協議についてお尋ねがありました。  船舶検査活動の取り扱いについては、これまで与党において、国連安保理決議に基づく場合のほかに、旗国の同意を得て船舶検査を実施するといった点も含め、慎重かつ真剣な議論が行われてきたものと承知しております。本法律案は、かかる議論も踏まえ作成されたものであり、政府としては、本法律案に基づいて船舶検査活動を有効に行うことができ、我が国の平和と安全の確保に資するものと考えております。  さらに、国連安保理決議がなく、旗国の同意がない場合の船舶検査活動の実施の可否についてお尋ねがありました。  本法律案において、船舶検査活動は、同活動の実施を要請する国連安保理決議に基づいて、または旗国の同意を得て実施することとしており、これらのいずれもない場合には船舶検査活動を実施することはできません。  船舶検査活動日本有事を招くのではないかとのお尋ねがありました。  本法律案の検査対象は基本的に商船であり、また、検査を実施するに当たっては、国連安保理決議に基づくか、または当該船舶の旗国の同意を得ることとしており、さらに過去の諸外国の活動実績においても、攻撃を受けたとの例は承知しておりません。また、本法律案に基づく船舶検査活動は武力の行使または武力による威嚇を伴うものではなく、さらには、本法律案における武器の使用は、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであり、必要最小限の武器使用を規定しているものであります。  このようなことから、船舶検査活動の実施が日本有事を引き起こすような事態は想定しがたいと考えております。  以上であります。(拍手)     〔国務大臣続訓弘君登壇
  41. 続訓弘

    ○国務大臣(続訓弘君) 桑原議員の御質問にお答え申し上げます。  船舶検査活動に関する与党協議についてのお尋ねでございました。  基本的には、ただいま防衛庁長官が答弁されたとおりであります。船舶検査活動の実施は、周辺事態安全確保法の実効性を高めるためにぜひとも必要な措置であり、与党三党は、継続的に船舶検査活動について議論、調整を重ね、今年九月末に、与党三党の安全保障に関するプロジェクトチームで合意したと承知しております。  私どもといたしましては、本法律案に基づいて船舶検査活動を有効に行うことができ、我が国の平和と安全の確保に資するものと考えております。(拍手)     〔国務大臣扇千景君登壇
  42. 扇千景

    ○国務大臣(扇千景君) 桑原委員からお尋ねがございました。  委員御承知のように、少なくとも、私ども、船舶検査の問題につきましては、我々の前身であります当時の自由党自由民主党との連立の政権のもとにおいて、与党二党と公明党を加えた三党間の協議において、特に周辺事態に対する法案での船舶検査に国連決議が必要か、警告射撃を認めるかどうかなどの問題をめぐって協議が調わず、その結果、船舶検査の規定をガイドライン関連法案から削除し、別途協議を続けることとしたわけでございます。その後、自民党、公明党、保守党の連立政権が発足するに当たりまして、三党間の協議を経てようやく合意に達し、今回、船舶検査法案を提出するに至ったものであります。  このような経緯の結果、船舶検査の問題の決着がガイドライン関連法案以降一年も経過してしまったことに対しては、国民にも、また国際的にも大変申しわけなかったと思っております。  保守党としては、自由党以来、国連決議等の国際法規によるならば船舶検査を周辺事態に限定する必要はないのではないか、この考え方は変わっておりません。しかし、今日の国民のコンセンサス、国益などを考慮し、政策判断として、船舶検査活動は、周辺事態確保法における周辺事態に対し、国連安保理決議を含む国際的約束及びそれの確立された国際法規に従い、旗国の同意を得て実施することが妥当と判断したものでございます。(拍手)     —————————————
  43. 綿貫民輔

    議長綿貫民輔君) 土田龍司君。     〔土田龍司君登壇
  44. 土田龍司

    ○土田龍司君 自由党の土田龍司でございます。  私は、自由党を代表しまして、ただいま提案されました周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案に関し、質問をいたします。  船舶検査活動については、昨年成立した周辺事態安全確保法の審議の際、私ども自由党と自民党、公明党との間に意見の相違があり、結論が得られないで今日まで来た経緯がございます。  今回、与党三党が調整の上、政府案として提出されましたことに対しては敬意を払うものでありますが、その内容は、残念ながら私ども自由党が主張していたものとはかけ離れており、到底納得できるものではありません。とりわけ、かつて私ども自由党の同志として同じ主張をしていた保守党が、従来の主張に反し、このような法案を提出されたことに対して、失望の念を禁じ得ません。  この際、私ども自由党は、改めて私どもの考え方を申し述べ、防衛庁長官の御答弁をいただきたいと思います。  自由党が連立政権を発足させるに当たり、平成十年十一月十九日の自民党との党首会談で、小渕前総理は小沢党首の提案を受け入れられました。すなわち、国際連合、安全保障理事会で国連平和活動に関する決議が行われた場合には、国連の要請に従いその活動に参加する、またこの原則に基づいて法制度整備するというものであります。  私ども自由党は、我が国が国連決議に従って国連の加盟国の一員として国連の平和活動に参加する場合、仮にそれが武力行使を伴うものであっても、それは日本が国家権力として武力を行使しているのではなく、国連憲章に基づいて国連加盟国としての義務を果たしているのであって、決して憲法に違反するものではありません。むしろ憲法前文の「国際社会において、名誉ある地位を占めたい」という趣旨を体現するものです。小渕前総理がこの自由党の主張に理解を示されたからこそ、連立の合意が成立したのであります。  この見地から、自由党は、周辺事態安全確保法の審議に当たり、国連決議に基づく活動であれば、それが船舶検査であれ何であれ、他の国連加盟国と同等の仕事ができなければ意味がないと指摘してまいりました。  例えば、国際社会は、船舶検査につき、実施するしないは別にして、前方威嚇射撃などの強制措置を容認しております。自由党は、国連の活動である以上、これに従うのは当然であると主張したのであります。  また、国連協力ではなく、日米協力として船舶検査をするということに考え方を整理するのであれば、その限りにおいて、当時の政府案のように活動を制約することがあってもよいが、その場合には国連決議をとるべきだと主張いたしました。  しかしながら、国連決議を条件にした上で、自衛隊の活動に他国に比べて制約を設けるべきであるとした公明党との間で意見が合わず、その結果、船舶検査活動を削除し、別途立法措置を講ずるとしたのは、御承知のとおりであります。  そこで、改めて伺います。  国連の平和活動は自衛権の行使とは別次元のものであり、我が国が国連のあらゆる平和活動に参加して活動することは、憲法上認められるとはお考えになりませんか。十年前の湾岸戦争では、我が国は人的な面での貢献は何も行いませんでしたが、国連憲章や国連決議に基づく平和のための活動に国連の一員として積極的に参加することが我が国が果たすべきふさわしい役割であり、それが我が国が国際社会から信頼され、尊敬される道であるとお考えになりませんか。率直な御見解をお聞かせいただきたいのであります。  また、国連決議に基づく船舶検査は、国連憲章第四十一条による経済制裁措置の一環であって、ガイドラインに基づく周辺事態の法体系とは別に位置づけられるべきであります。その場合には、船舶検査を行う区域は、国連のもとで各国と調整しつつ指定されるべきであり、我が国独自の判断で行われるべきではありません。  国連決議に基づき、経済制裁を実効あらしめるために現に行われている船舶検査は、実際にやるやらないは別としても、いわゆる前方威嚇射撃などの強制的な裏づけ措置が認められております。国連の活動として行うのであれば、他の国連加盟国と同様の活動が行われるような法体系とすべきであると思います。  政府案は、野球に例えるならば、国連チームの一員として守備についたとき、我が国だけがイレギュラーバウンドはとらない、トンネルをすると宣言するに等しいものであります。これでは各国の信頼を得ることなど到底できません。この点について、政府のお考えをお聞かせいただきたいのであります。  今回提案の法案は、周辺事態に限定して、我が国の平和及び安全の確保に資するとの観点から提案されたものであります。そして、周辺事態の際には、国連決議がある場合にもない場合にも、船舶検査が実施できることとされております。  防衛庁長官にお尋ねいたしますが、その際、国連決議があった場合には、国際法上、国連憲章の規定に基づく国際法規が適用されると思いますが、国連決議がない場合にはいかなる国際法規が適用されるのか、お示しいただきたいのであります。  一般に、二国間で船舶検査を実施するという条約を結んだとしても、それによって第三国の権利を制限することはできません。例えば、日米間で一定の場合に船舶検査ができるという約束をしましても、その船舶検査活動が適法であるためには、第三国との関係において適法であるような事由が必要であると考えますが、国際法上有するどのような権利によりそれが第三国に対して適用されることになるのか、お示しいただきたいのであります。  また仮に、朝鮮有事の際に周辺事態と認定して船舶検査を行う場合、国連決議があろうがなかろうが、この法案では強制措置をとることができないために、当該船舶が検査を拒否すれば、船舶検査は一切できないことになっております。  周辺事態、すなわち、そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であるにもかかわらず、逃走に際して武器使用の権限すら認められておりません。先般、北朝鮮の工作船が侵入して逃走した事件の際に我が国自衛隊が行ったような、警察官職務執行法を準用しての威嚇射撃すらできないような法律で、国民の安全と権利を守ることができるのでしょうか。  防衛庁長官、あなたの部下の自衛官に十分な権限も与えないで、自衛官の手足を縛りながら、船舶検査活動を命ずることができるのですか。防衛庁長官の責任ある御答弁を求めます。  「国大なりといえども戦を好まば必ず滅ぶ、国安らかなりといえども戦を忘れなば必ず危うし」と言ったのは、元連合艦隊司令長官の山本五十六元帥でありました。自由党は、日本の平和と安全を守るため、今後とも全力を尽くしてまいることを申し述べ、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣虎島和夫君登壇
  45. 虎島和夫

    ○国務大臣(虎島和夫君) 国連のあらゆる平和活動に参加して活動することは憲法上認められるのではないかとのお尋ねですが、防衛庁としては、我が国自身の平和と安全を維持するのみならず、国連を中心とする国際平和のための努力に対し、憲法の枠内で貢献することが必要と考えており、このような観点から、今後の国会の御審議等を踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。  国連の平和活動に積極的に参加すべきであるというお尋ねですが、国連を中心とする国際平和のための努力に対し、憲法の枠内で貢献することが必要と考えておることは、今申し上げたとおりであります。国連の平和活動への一層の協力につきましては、国会はもとより、国民各位の御理解をいただきながら進めてまいりたいと考えております。  我が国船舶検査活動について、他国と同様の活動とすべきとの御指摘ですが、いわゆる船舶検査は、経済制裁の実効性を確保する目的で各国の主体的な判断によりその具体的な実施内容が定められる性格のものであり、諸外国が実施する活動が必ずしも一致するものではありません。我が国としては、強制的な措置をとらなくとも、これまでの諸外国によるいわゆる船舶検査の活動実績にもかんがみ、本法律案に規定されている範囲内の態様で船舶検査活動を有効に行い得るものと考えております。  船舶検査活動の実施に当たって適用される国際法規についてのお尋ねですが、国連決議がない場合にいわゆる船舶検査を実施するには、国際法上の旗国主義の原則との関係から、対象船舶の旗国の同意を得ることが必要であります。  他方、船舶検査の実施の態様については、各国の判断により定められる性格のものであり、国連決議がある場合ない場合を問わず、その態様を定める国際法規があるわけではありません。  次に、第三国に対する船舶検査についてのお尋ねですが、仮に二国または多国間で国際約束を結んで船舶検査を実施する場合、当該国際約束の当事国以外の国の船舶に対して検査を行うには、国際法上の旗国主義の原則との関係から、本法案に従って、別途当該国の旗国の同意を得ることとなります。  本法律案において強制措置をとらないことについてお尋ねがありました。  船舶検査は、経済制裁の実効性を確保するために、各国がみずからの判断で一定措置をとるものであり、こうした船舶検査が行われること自体、経済制裁を実効的なものとする上で極めて重要なものであります。  さらに、これまでの各国による船舶検査実績によれば、警告射撃等が行われたケースは極めてまれであることから、本法律案に規定されている範囲内で船舶検査活動を有効に行うことが可能であり、我が国の平和及び安全の確保に資するものと考えております。  以上であります。(拍手)     —————————————     〔議長退席、副議長着席〕
  46. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 山口富男君。     〔山口富男君登壇
  47. 山口富男

    ○山口富男君 日本共産党を代表して、船舶検査法案について質問いたします。  本法案は、アメリカがアジアで起こす紛争、いわゆる周辺事態で、経済制裁の厳格な実施を理由に、国連安保理決議がなくても自衛隊がアメリカの経済制裁のための臨検に参加し、協力できるようにするものであります。  まずお聞きしたいのは、自衛隊の船舶検査活動を可能とする法律をつくる動機は何かという点であります。  九四年、アメリカは、いわゆる北朝鮮の核疑惑の際、北朝鮮に対する経済制裁を実施しました。そして、経済制裁を実効あらしめることを口実に、多国籍軍による軍事制裁を模索し、我が国に対し、軍事制裁への協力を要求してまいりました。これを契機に、周辺事態において自衛隊が船舶検査活動などの軍事制裁に協力することを可能にする法律検討が始まりました。これが本法案の出発点ではありませんか。  昨年五月の周辺事態法の強行以後、アジアと朝鮮半島の情勢は一変いたしました。南北首脳会談が開かれ、自主的、平和的統一への平和の流れが大きく進展しました。米朝関係も、アメリカ国務長官の訪朝など、予想を超える勢いで進展しております。安全保障対話を目指すASEAN地域フォーラムには、北朝鮮、中国を含む東アジアのすべての国々が参加し、アジアの平和の流れを加速しております。  このような平和の流れの中で、なぜ周辺事態法を補強する船舶検査法案が必要なのですか。中国の国防報告は、周辺事態法を、時代に背いたものと厳しく批判しております。船舶検査法案は、まさにアジアの平和の流れに逆行するものではありませんか。明確にしていただきたいのであります。  本法案は、国連安保理決議がなくても、旗国の同意すなわち船舶が所属する国の同意があれば、経済制裁を強化するための自衛隊の船舶検査活動を認めることを最大の特徴にしております。  船舶検査活動はもともと周辺事態法に含まれていたものでありますが、政府は、船舶検査活動が実際に発動されたケースは、いずれにせよ国連安保理の決議を前提として行われていると答弁していたのであります。もとより、国連決議があるからといって自衛隊の船舶検査活動を初めとする軍事活動は憲法上許されるものではありません。しかし、政府自身の言明からして、なぜ今回、国連安保理決議がなくても自衛隊が船舶検査活動を行うことができるとしたのですか。明確な答弁を求めるものです。  しかも、法律が規定する船舶検査について、国連安保理決議以外にこれを容認する国際法上の根拠は、どこを探してもないのであります。昨年の周辺事態法の審議で、当時の高村外務大臣は、国際法上どのような性格かと言われてもなかなか難しいと答弁しましたが、国連決議がないもとでの船舶検査活動の国際法上の根拠はどこにあるのですか。条約的な根拠があるというなら具体的に示していただきたい。  アメリカ政府は、国連安保理決議がなくても、アメリカの国益に反する行為と判断した場合、独自の経済制裁を実施し、これを厳格に実施するために軍事力をもって制裁を強化する方針を明確にしております。二〇〇一年度のアメリカ国防報告でも、アメリカに敵対する地域連合や覇権国が出現した場合には軍事力を行使する政策を内外に明らかにしています。アメリカが日本政府に対しこのような経済制裁の武力による強化を要求した場合、旗国の同意があればこれを認めるのですか。  しかも政府は、旗国の同意の中には黙示的同意もあると説明しています。黙示的同意とは何ですか。また、明確な同意なしに、どうして制裁国の判断で経済制裁の厳格な実施を確保するとして武力による強制を含む活動がとれるのですか。明確にしていただきたいのであります。(拍手)  本法案において、安保理決議がなくても旗国の同意によって船舶検査を可能とすることは、アメリカが行う経済制裁において日米共同の軍事強制活動を行うことに道を開くものであることは明らかであり、断じて認められません。  次に、自衛隊の船舶検査活動と米軍の軍事活動への後方地域支援についてであります。  法案は、自衛隊の船舶検査活動の態様について、自己の存在の顕示とか、航路などの変更の要請とか、接近、追尾、伴走及び進路前方における待機などを挙げています。  自己の存在の顕示とは何ですか。これは自衛隊の艦船が民間船舶に対し威嚇を行う軍事行動ではないのですか。また、進路前方における待機とは何ですか。民間船舶を停船させるための進路妨害活動ではないのですか。航路変更の要請とは単なる要請なのですか。従わなくてもよいのですか。具体的に説明していただきたい。  法案が、船舶検査活動の危険性を薄めようと不明確な文言を使おうとも、湾岸戦争において米軍が行った船舶検査活動を見れば、その危険性は明白であります。  アメリカは、九一年の湾岸戦争で、国連安保理決議のもとで、イラクに向かう民間船舶九百六十四隻に対し、船舶検査を行いました。アメリカの軍艦は、民間船舶に停戦命令を発し、拒否した船舶に対してはテークダウン、つまり完全武装の特殊部隊がヘリコプターで乗り込み、強制的に停船を行いました。米国防総省の湾岸戦争報告は、船舶検査活動が戦闘行動に発展しかねない危険な活動だと指摘しております。また、実弾による威嚇はもとより、米軍艦船が高速のまま船舶の前方を横切り、停船を強制させる活動も行いました。船舶検査活動とは、まさにこのような軍事行動であります。  自衛隊は、この米軍の強制的な船舶検査活動に対しても後方地域支援を行うのですか。明確にしていただきたいと思います。  政府は、今回の法案では警告射撃は含まないから武力行使はないと説明しています。しかし、自己の存在の顕示による威嚇行動や進路前方における待機という強制的な停船活動が、武力による威嚇または武力の行使に当たらないとでも言うのですか。  日本政府は、自衛隊が船舶検査活動を行うため停船命令を行ったが船舶の航行をとめることはできなかった場合、そのまま船舶が去っていくのは仕方がないなどと言いますが、そのようなことを米軍が容認するとでも言うのですか。  しかも、法案では、米軍と自衛隊は混交して行われないよう明確に区別するとしています。米軍は武力行使を主体とする船舶検査活動を行い、自衛隊は、停船命令をするが航路変更については要請や説得であり応じない場合は仕方ない、こういうことが通用しないことは明白ではありませんか。  自衛隊が、米軍と一体となって軍事行動である船舶検査活動に乗り出すことは明白であります。だからこそ、武器使用規定を盛り込んでいるのではありませんか。答弁を求めます。  最後に、周辺事態法の成立以来、周辺事態を想定した日米共同演習が強化され、周辺事態における日米の戦争指導体制である調整メカニズムが立ち上げられ、自治体と民間を戦争協力に動員するマニュアルがつくられるなど、周辺事態法の発動体制づくりが進められています。その上に船舶検査法をつくり、周辺事態法を補強することは、アジアの平和の流れに真っ向から反するものであり、断じて容認できません。  本法案の廃案を要求して、質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣河野洋平君登壇
  48. 河野洋平

    ○国務大臣(河野洋平君) 船舶検査活動法案は、日米防衛協力のための指針の実効性を確保するための国内法整備の一環として国会に提出したものであります。本法案に基づき行われる船舶検査活動は、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態である周辺事態に際し、我が国が参加する経済制裁の厳格な実施を確保するためのものであります。  確かに、アジアには緊張緩和の動きが見られることも事実でありますが、しかし、全体的に見て不透明性というものはまだ残っているわけでございます。政府としては、これまで国会で審議されてきた周辺事態への対応のための法整備を完了させるべく、本法律案を国会に提出したものであります。  なお、本法律案は、日米防衛協力のための指針の実効性を確保するための他の法整備と同様、特定の事態を念頭に置いたものではありません。  この法案において、国連安保理決議に基づく場合のほかに、旗国の同意を得た場合においても船舶検査活動の実施を可能としたのは、これまでの国会での御審議や与党間の協議をも踏まえまして、政府としても、周辺事態に際し、何らかの事情により国連安保理決議が採択されないような状況においても、我が国が参加する経済制裁の実効性を確保するために船舶検査活動を実施することが必要であると判断される場合にも対応し得ることにする必要があると考えたからであります。  船舶検査活動を実施する場合に国際法上必要とされるのは、旗国の同意を得ることであります。本法案に基づいて行われる船舶検査活動は、国連安保理決議がない場合にも対象船舶の旗国の同意を得て行われるものであることから、国際法上の問題はありません。  アメリカの要求があれば、経済制裁の武力による強化に応ずるのかとの御質問でありました。  本法案は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える周辺事態に際し、国際社会がその協調行動として経済制裁措置を実施している場合に、国連安保理決議に基づき、または旗国の同意を得て船舶検査活動を行うことを要件とするものであります。また、本法案に基づく活動が、武力の行使または武力による威嚇に当たるものでないことは当然であります。  旗国の同意についてお尋ねがありました。  具体的な状況を離れてお答えするのは困難でありますが、あえて一般論として申し上げれば、対象船舶の旗国が我が国による検査に同意していると判断される場合には、船舶検査活動を行っても、国際法上、当該旗国との関係では問題がないと考えられます。また、本法案に基づく活動が、武力行使または武力による威嚇に当たらないことは当然であります。     〔国務大臣虎島和夫君登壇
  49. 虎島和夫

    ○国務大臣(虎島和夫君) 船舶検査活動の態様についてお尋ねがありました。  まず、「自己の存在の顕示」とは、本法律案別表中三の項以下の活動、すなわち、船舶の名称等の照会等を行う前提として、船舶検査活動を行う自衛隊の部隊の存在を示すことであります。  次に、「進路前方における待機」とは、検査対象船舶の停止と所要の進路変更の説得を行うため、必要な限度において、予想される検査対象船舶の進路前方においてあらかじめ待機を行い、進路変更を要請することであり、船体で行く手を阻止するというものではありません。  また、「航路等の変更の要請」とは、検査対象船舶に対し進路変更という行為をとるよう求めることであり、検査等に応ずる義務を負わせるものではありません。  船舶検査活動が強制的な軍事行動ではないかとのお尋ねがありました。  これまでに実施された諸外国によるいわゆる船舶検査の内容については、船舶検査活動の実施を要請する国連安保理決議の文言以外に具体的に定められているものはなく、各国は各国の判断に基づきいわゆる船舶検査を行ってきていることから、一概に申し上げることは困難であります。  ただし、これまでの諸外国による活動実績によれば、警告射撃等が行われたケースは極めてまれであり、本活動が戦闘行動に発展しかねない危険な活動との御指摘は当たらないと考えております。  米軍に対する後方地域支援についてお尋ねがありました。  本法律案においては、自衛隊の部隊等が、船舶検査活動の実施に伴い、当該活動に相当する活動を行う日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍の部隊等に対して、後方地域支援を行うことができる旨、規定しております。  本法律案に基づく船舶検査活動の態様が、武力の行使、または武力による威嚇に当たるのではないかとのお尋ねがありました。  まず、本法律案に基づく船舶検査活動は、検査対象船舶に対し強制的に検査等を行うものではありません。  また、憲法第九条の武力の行使とは、我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為と定義されており、また、憲法が禁ずる武力による威嚇とは、一般的には、現実には武力の行使をしないが、自国の主張、要求を入れなければ武力を行使するとの意思なり態度を示すことによって相手国を威嚇することとされております。  本法律案に基づく船舶検査活動は、制裁対象国との関係を含め、この意味における武力の行使、または武力による威嚇に当たるものではなく、憲法上問題となることはありません。  検査対象船舶が検査を無視した場合の対応と米軍との関係についてお尋ねがありました。  本法律案に基づく船舶検査活動は、他国の検査活動と明確に区別された海域において、我が国自身の主体的な判断に基づき一連の検査活動を行うものであります。  また、我が国としては、仮に検査対象船舶が検査を無視し、あるいは逃走するような場合には、法案別表に規定される具体的行為を適切に組み合わせること等により、このような船舶に対処することとなります。  なお、諸外国によるこれまでの検査対象船舶への検査等の実績等にかんがみれば、検査対象船舶が、あくまで検査等を無視し、あるいは逃走するケースは極めて例外的な場合であります。  船舶検査活動の実施の態様と米軍との関係についてお尋ねがありました。  本法律案に基づく船舶検査活動は、他国の検査活動と明確に区別された海域において、我が国自身の主体的な判断に基づき必要な一連の検査活動を行うものであり、我が国としては法案別表に規定される態様の行動をとるものであります。  船舶検査活動における米軍との関係についてお尋ねがありました。  本法律案に基づく船舶検査活動は、他国の検査活動と明確に区別された海域において、我が国自身の主体的な判断に基づき必要な一連の検査活動を行うものであり、我が国としては法案別表に規定される態様以外の行動をとることはありません。  なお、本法律案における武器の使用は、いわば自己保存のための自然権的権利というべきものであり、必要最小限の武器使用を規定しているものであります。  以上であります。(拍手)     —————————————
  50. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 東門美津子君。     〔東門美津子君登壇
  51. 東門美津子

    ○東門美津子君 社会民主党の東門美津子でございます。  私は、社会民主党市民連合を代表して、ただいま趣旨説明のありました周辺事態に際して実施する船舶検査活動に関する法律案に関連する問題について、本来なら総理にお伺いしたいところですが、出席しておられませんので、外務大臣並びに防衛庁長官に質問いたします。  昨年のガイドライン関連法審議の過程で、船舶検査活動に関する部分は削除されました。これにはさまざまな事情があったものとはいえ、そのときに絶対に必要なものならば削除されるようなことはなかったはずです。すなわち、当時でさえ、船舶検査活動に関する法整備は不要不急のものであったと言えるでしょう。あれから一年半、我が国を取り巻く国際情勢は大きく変化しております。それでもなお、船舶検査活動法案を提出してくる意味があるのかどうかという観点から質問させていただきます。  まず、東アジア情勢に対する政府の認識についてお伺いいたします。  昨年のガイドライン関連法審議の時点では、北朝鮮は、ミサイル発射問題、不審船問題などで我が国と緊張関係にあり、東アジア地域における不安定要因となっておりました。しかし、本年六月、金大中大韓民国大統領と金正日朝鮮民主主義人民共和国総書記によって史上初の首脳会談が行われて以降、日朝国交正常化交渉の再開、欧州各国との国交樹立に向けた動き、さらにはオルブライト米国務長官が訪朝し、米国、北朝鮮双方が関係改善の動きを模索するなど、これまでに考えられなかった事態が進行しております。  また、近年、我が国と中国との間で懸念材料となっていた、中国による我が国周辺地域における海洋調査船の活動問題については、八月の日中外相会談において、相互事前通報制度の枠組みづくりに着手することで一致し、さらには十月の森総理と朱鎔基首相との日中首脳会談で、この枠組みづくりを加速することで合意するなど、我が国を取り巻く東アジア情勢は以前と比べ好転したように感じられます。  外務大臣は、このような東アジア地域における緊張緩和の動きをどのように認識しておられますか。  関連して、先日行われました日朝国交正常化交渉の進捗状況についてお尋ねいたします。  南北首脳会談以降の流れの中で、今回の日朝国交正常化交渉においても何らかの進展があるものと期待されておりました。政府は、この交渉過程及び結果について、北朝鮮側の要望により公表できないとしていますが、報道などで見る限り、過去の清算について双方の意見が折り合わず、議論は平行線のまま終わってしまったのは残念なことです。拉致問題、過去の清算問題など難しい問題を抱えておりますが、一日も早く国交正常化が実現するように努力していただきたいと思います。  今後の交渉に向けての政府の方針について、外務大臣にお伺いいたします。  このような東アジア地域における緊張緩和の動きにもかかわらず、新たな在日米軍駐留経費負担特別協定が、以前とほとんど変わらない形で締結されようとしています。我が党は、先ほどの特別協定採決反対いたしました。時代の変化を全く反映せず、他国に見られない巨額の財政負担を行い、基地の固定化につながる特別協定を、なぜ今締結しなければならないのでしょうか。外務大臣の御見解をお伺いいたします。  在日米軍にとって居心地のよい条件となる特別協定締結は、沖縄県民が求めている基地の整理縮小の方向とは全く逆の新たな基地の押しつけにも関連しています。そこで、普天間代替施設についてお伺いいたします。  十月三日の代替施設協議会において、米軍普天間飛行場の代替施設をめぐる協議は、基地使用協定などに関する話し合いの場が設置されるということで、政府と県、名護市による共同歩調体制は維持されることとなりましたが、移設作業の重要なポイントになる十五年使用期限問題の進展はなく、政府は地元要望に最大限配慮する姿勢を示すにすぎませんでした。十五年使用期限問題では、県、名護市ともに、あらゆる機会で主張するとの姿勢を変えておりませんし、一方の米国側も使用期限設定には否定的な姿勢を崩していません。  外務大臣にお尋ねいたします。十五年使用期限問題に決着をつけないままで工事に着工する可能性はあるのでしょうか。  次に、船舶検査活動法案内容についてお尋ねいたします。  今回の船舶検査活動法案においても、周辺事態に対応して船舶検査活動を行うことになっています。この周辺事態については、昨年のガイドライン関連法案審議でも、地理的な概念ではなく、事態の性質に着目した概念であるとして、とうとうその適用範囲が明らかにされませんでした。安保条約第六条は、米軍が日本の基地を使用して戦闘行動のできる範囲を極東に限定しております。なぜ周辺事態も極東の範囲であると明言できないのでしょうか。結局のところ、我が国には周辺事態を判断する権限はなく、米国が日本の協力を求めることが必要であると考えたところはすべて周辺事態とされてしまうのではないでしょうか。防衛庁長官の見解をお伺いいたします。  また、船舶検査活動法案では、第二条において、「我が国領海又は我が国周辺の公海において我が国が実施するもの」とされていますが、この「我が国周辺の公海」はどこまでなのか、明らかにできますか。防衛庁長官にお伺いいたします。  船舶検査活動は経済制裁の実効性を確保するための日本の軍艦による活動であり、制裁をされている国から見れば敵対的な行動であることに変わりはありません。法案では、船舶検査活動の対象から軍艦等は除かれていますが、相手国が船舶検査を阻止するために軍艦を出動させてくることは当然考えられることではないでしょうか。  また、法案では「自己又は自己と共に当該職務に従事する者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合」に武器の使用を認めていますが、自衛のための必要最小限の武器使用であっても、そこから大きな紛争に発展するおそれがあることは過去の歴史が証明しています。船舶検査を行うことによって我が国が戦争に巻き込まれることは絶対にないと断言できるのですか。外務大臣にお伺いいたします。  昨年のガイドライン関連法案審議において、政府は、国連安保理決議に基づく船舶検査は、国連憲章第四十一条に基づくいわゆる経済制裁が実施されている場合において、その実効性を確保するため国連安保理決議を根拠に行われる集団安全保障の一環であり、集団的自衛権の行使とは違う旨の答弁をしていますが、今回の法案では、国連安保理決議に基づかない船舶検査も行えるようになっています。国連安保理決議という根拠がない場合、集団安全保障の一環とは言えないのではないでしょうか。これは、周辺事態の定義のあいまいさと相まって、なし崩しに集団的自衛権行使に踏み込むことになるのではないですか。防衛庁長官の見解をお伺いいたします。  このように、法案内容自体にもいろいろ問題がありますが、最も問題なのは、現在、東アジアにおいて、船舶検査を行わねばならないような問題のある国がどこにあるかということです。東アジア情勢が大きく変化したのは既に述べたとおりです。このような情勢の中で、国民に必ずしも受け入れられているとは言えないこの法案をなぜ今提出しなければならないのでしょうか。今この法案を提出することにより、我が国の平和と安全の確保に資するよりも、むしろ周辺諸国の疑心を招き、東アジア情勢の不安定化に資することになるのではありませんか。東アジア諸国はこの法案をどのように受けとめているとお考えですか。外務大臣の認識をお伺いいたします。  最近、国連平和維持活動協力法の中で凍結されているPKF本体業務を解除しようという動きが見られます。しかし、本体業務を解除する場合、武器使用が問題となります。  武器使用は、自己または自己とともに現場に所在する我が国要員の生命または身体を防護するための必要最小限のものに限るとされていますが、最近の実情を見ますと、PKF本体業務は、武器を使用せざるを得ない状況に巻き込まれる可能性が大きいと言わざるを得ません。現在、PKO法の本体業務には含まれていない警護任務や国連施設の防護を本体業務に規定しようという動きもあります。なぜそのような武器使用の可能性のある業務に参加することを急ぐのでしょうか。先に実績をつくって憲法改正につなげようという意図が感じられてなりません。  国際の平和と安全のために、我が国に対しても人的貢献が大きく求められていることは事実です。しかし、我が国が行うべき貢献は、武器使用につながりかねないPKF本体業務ではなく、警察官、文民、NGO等による人的貢献を可能な限り行うことではないでしょうか。我が国のPKO協力のあり方について、外務大臣の見解をお伺いいたします。  さきに述べましたように、緊張緩和へ向けて動きつつある東アジアの中で、時代の変化を反映しない特別協定締結し、戦争協力につながる船舶検査法を制定し、武器使用につながりかねないPKF本体業務への参加を急ぐことは、東アジアの緊張緩和に逆行する動きであり、周辺諸国に対して間違ったメッセージを与えかねません。平和憲法を持ち、広島、長崎という最初の悲惨な被爆の経験を持つ我が国は、このような手法ではなく、あくまでも平和外交を通じた努力により、アジア太平洋地域の平和と安定に貢献すべきです。  また、最近、憲法を改正し、集団的自衛権行使を可能にしようとする動きもありますが、日本国憲法の平和理念は、二十一世紀を迎える今こそ、世界に拡大すべきです。  平和外交の推進と憲法の平和理念世界的拡大について外務大臣の見解をお伺いして、質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣河野洋平君登壇
  52. 河野洋平

    ○国務大臣(河野洋平君) 我が国が位置する東アジア地域では、近年、相互依存の進展を背景とした、域内各国間の対話、交流の進展という好ましい動きが見られることは、事実でございます。  また、朝鮮半島において、緊張緩和に向けた努力がなされていることも御指摘のとおりでございますが、しかし、きょう現在、依然として不透明、不確実な要素も残っているということも考えなければならないと思います。  日朝国交正常化交渉についてお尋ねでございますが、我が国政府は、これまで同様、韓国、アメリカ両国との緊密な連携のもとで、北東アジアの平和と安定に資する形で、第二次世界大戦後の日朝間の不正常な関係を正していくとの基本方針のもと、国交正常化交渉に取り組んでいく考えであります。  同時に、政府としては、そのような対話の場を通じて、拉致問題やミサイル問題を初めとする日朝間の諸懸案の解決に向けて全力を傾ける所存であります。  在日米軍駐留経費負担に関する新たな特別協定についてお尋ねがございました。  政府としては、冷戦終結後も、アジア太平洋地域において、先ほども述べましたように、依然として不安定性、不確実性が存在していること、及びアメリカが国際的な平和と安全のためにグローバルな役割を果たしており、また、我が国が国際社会の一員としての役割をみずから積極的に果たしていくことが必要であること、及び日米両国を取り巻く経済情勢といった要素を総合的に勘案の上、新たな特別協定締結することが適当であるとの判断を改めて行った次第であります。  代替施設の建設について、地域の住民生活や自然環境に著しい影響を及ぼすことのないよう最大限の努力を行うとの基本方針のもとで、閣議決定に従い、今後、代替施設協議会などを通じ、基本計画の策定などに取り組んでまいりたいと考えており、また、御指摘の使用期限の問題につきましても、同閣議決定に従い、適切に対処してまいりたいと考えております。  国際法における武力の行使に関する問題についてお尋ねがございました。船舶検査活動に起因して、我が国が戦争に巻き込まれるのではないかとのお尋ねでございました。  本法案に基づく活動は、周辺事態に際して、国際社会がその協調行動としての経済制裁を実施している場合に、国連安保理決議に基づき、または検査対象船舶の旗国の同意を得て実施する活動であります。これは、国際法上も適法な活動であり、戦闘行為と評価されるものではなく、このような活動に対して武力攻撃が行われることは、通常想定はできません。  周辺国の見方についてお尋ねがございました。  周辺国につきましては、韓国、中国、ロシアに対しまして、本法案について説明をしてまいりましたが、現在まで、これらの国から懸念が表明されたという報告はございません。  先ほども御答弁を申しましたが、東アジア地域におきます緊張緩和に向けた動きはございますが、依然として不確実な要素が存在をいたしております。船舶検査活動法案は、日米安保体制の信頼性の向上に資するものであり、我が国及び地域の平和と安定に寄与するものと考えております。  憲法についてお尋ねがございました。  戦後、我が国は、日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとの基本理念を掲げてまいりました。私としても、かかる方針のもと、世界の平和と安定のために積極的に貢献してまいりたいと考えております。(拍手)     〔国務大臣虎島和夫君登壇
  53. 虎島和夫

    ○国務大臣(虎島和夫君) 周辺事態の地理的範囲及びその判断についてのお尋ねですが、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態であり、ある事態が周辺事態に該当するか否かについては、我が国政府が主体的に判断するものであります。  また、周辺事態が生じ得る地域はあらかじめ地理的に特定することはできず、また、日米安保条約上の概念である極東と周辺事態の地理的な関係を一概に論ずることはできません。  本法案第二条の「我が国周辺の公海」の範囲についての御質問ですが、これは、周辺事態に際し、我が国船舶検査活動を実施する地域のうち、我が国領海を除く部分であります。  船舶検査活動と集団安全保障及び集団的自衛権の行使との関係についてのお尋ねがありました。  集団安全保障とは、平和に対する脅威等が発生したような場合に、国際社会が一致協力してこのような行為を行った者に対して適切な措置をとることにより、平和を回復しようとする概念です。  本法律案に基づき旗国の同意を得て行う船舶検査活動内容は、個別の事例ごとに異なるものであり、集団安全保障の概念との関係を一概に申し上げることは困難であります。  他方、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利をいうものであって、我が国が実施する船舶検査活動は、このような集団的自衛権の行使につながることはありません。  以上であります。(拍手
  54. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  55. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         外務大臣    河野 洋平君         農林水産大臣  谷  洋一君         通商産業大臣  平沼 赳夫君         建設大臣    扇  千景君         国務大臣    堺屋 太一君         国務大臣    続  訓弘君         国務大臣    虎島 和夫君  出席政務次官         防衛政務次官  仲村 正治君