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佐藤参考人 ただいまお考えを拝聴しましたけれども、
日本における明治以来の
司法の位置づけ方、歴史的にどういうように理解するかということについてはさまざまな見解があるだろう。今木島先生のおっしゃるようなお考えも十分あるだろうし、また別の
考え方もあるかもしれない。そこは歴史的な解釈でございまして、
審議会としてそれについてどうだということは、
審議会というものの性質上なかなか難しいところがあると思いますが、それはそれとして——そう言うと、いや、それはそれじゃないんだとおっしゃるかもしれませんけれども、それはそれとして、お説のように、
日本の
司法が小さ過ぎたところに、
司法の力不足といいますか、
静脈に例えるならば
静脈として十分
機能していないところがあったんじゃないか。
その辺は私も同感であり、また
審議会の
委員も、
法曹、
裁判官、検察、
弁護士を含めて大幅な
増員を図る必要があるというように、これは
一致したわけでありまして、そういう
認識に至る背景においては、
日本の
司法がやや小さいんじゃないか、容量が小さいんじゃないかというところについては、皆さん共通の理解を持っておられたと思います。だから、先ほど申し上げたように、
集中審議において
法曹人口三千人を目指そうじゃないかという結論に達したのは、まさにそういう理解が
根底にあったということだろうと思います。
入り口と出口というお話で、出口があって、そして三千人が出てくるんじゃないかということでございますけれども、出口といいましても、ではどのくらいを出口で算定するのかというのは、これまた非常に難しゅうございます。
例えば、
一つの
考え方として、フランスはああいう
体制の国でありますが、フランスで三万六千人の
法曹人口であります。
日本の人口の半分だから、せめてフランス並みにとするならば五、六万人くらいは必要じゃないかというような
考え方もありました。五、六万人にするためには、年幾らくらいかというような
考え方もいろいろありました。
けれども、いつまでにどういうように出口を設定するかということはなかなか難しいところもありまして、まず三千人を目指して、そして
法科大学院の立ち上がりとかいろいろなことを考えて、まずこの辺を目指そうじゃないかというように落ちついたというところであります。
検察官の数は現在千三百人ぐらいでございますけれども、これは公聴会のときに、大阪で検察や
裁判所の人たちと懇談する機会がございました。そのときに、検事正の方だったと思いますけれども、今までは
検察官は人口十万人に一人というように考えてきた、実際そういうあれになるわけですね。けれども、犯罪が複雑化し、いろいろな種類の犯罪が起き、非常に複雑になっている。そういう中で、とてもやっていけません。たしかそのとき、大阪だったら十倍ぐらい必要だとおっしゃったように記憶するのですけれども、きちっと法を遵守してもらう、それをやるためにはとても今の
体制ではできませんという話が私には非常にインプレッシブでございました。検察としてどのぐらい要るのかというのは、具体的に
審議会としてそこまで
審議したことはありませんけれども、大幅な
増員が必要だということについては皆さん
一致しているわけです。
それから、
裁判官につきましても、さっきお話しのように余り変わっていない。簡裁を除きますと現在二千人。
弁護士の方は人口に応じて少しずつふえてきているわけですけれども、
裁判官の数は変わっていない。これが裁判の
充実、
迅速化という点でかなり問題があるのじゃないかということで、
裁判官についても大幅な
増員が必要だ。これも
審議会の皆さん、
意見が
一致したところであります。具体的な数字のところまではまだ詰めておりませんけれども、大幅な
増員が必要だということでございます。
それから、二番目の
法曹一元の話でございますけれども、これも最初の、
司法を歴史的にどう位置づけてどう評価するかということにかかわっております。
それは、その歴史解釈に我々が立ち入ると、さっき申し上げたように、これは
審議会の性格上、そういうところに立ち入って結論を出すというわけにはいかない。むしろ、現状がどうか、現状が問題があるとすれば、どうやってそれを直すか、そこに我々の関心を向けるべきである。むしろ従来の
議論に、あの
議論はどうだった、この
議論はどうだったということに余りとらわれると話が非常に難しくなるものだから、現在がどうなのか、それに
対応するためにどうするのか、そこから考えようじゃないか。それが
法曹一元をめぐる
議論の
根底にあるものを目指そうという
趣旨であります。決して排除するのじゃなくて、それぞれの
委員がそれぞれの考えをお持ちでしょう。お持ちでしょうけれども、その中で、余りとらわれないで、現状にどう
対応するか。
そういう
観点から、いい
裁判官をいかにして安定的に確保するか。
法曹の
中心はやはり
裁判官です。
司法の
中心は、中核は
裁判所です。すぐれた、そしてたくましいといいますか、そういうすぐれた
裁判官をいかにして安定的に確保するか。そこで考えようじゃないか。その
観点から見ると、例えば現在の
裁判所法は御
承知のように既に多元性なんですね。
多様性、多元性を前提にしております。いろいろな経験の持ち主が
裁判官になるように、そういう
趣旨でできておりますが、実際上は
判事補からなる、大半はそういう形になっております。これはやはりあるべき
裁判所法の姿からしてぐあいが悪いのではないかということで、もっといろいろな経験の人たちが
裁判官になるようにいかにするか。それから、特に
判事補について、多様な経験を持っていただくようにするためにはどうするか、そういう
議論をしました。
具体的にどうするかというのはこの
中間報告後でありますけれども、この間の十月三十一日では、研修の仕方として、いろいろ
弁護士事務所に出すということもあるじゃないかとか、いや、研修ではなくて、本当にもう
弁護士として何年かなってもらう必要があるのではないか、いろいろな提言がございました。そういう提言を、こうすべきじゃないかという
方向は、
中間報告後、出したい。現在の段階、
中間報告の段階では、
給源の
多様性、多元性、任用についての
工夫、それから人事のあり方についての
透明性、
客観性というものを確保するような仕組みを考えようということでとどまっておりますけれども、では、具体的にその中身は何かということは、
中間報告後、
審議会でさらに
議論して、
国民の皆様に具体的な姿をお示しできればというように考えております。
それから、第三番目の陪参審のことでありますが、これは結論から申しますと、当
審議会で行います。もちろん、陪審制か参審制かにとらわれないで、何かもっと
日本にふさわしい、いいものがあるのではないかというのが私どもの
審議会の結論でありますけれども、では、具体的にどういう仕組みのものをつくるのかということについては、
中間報告後、
審議会で
制度設計を考えたいと思っております。
ただ、これを導入するについては、刑事訴訟法とか従来の制度の手直しが必要になってまいりますので、その辺の細かなところまでについては、私どもの
審議会としてはそこまではとてもやる余裕もありませんし、そこまでは入りませんけれども、
基本的な骨格についてはこの
審議会で
審議をして
国民の皆様にお示ししたい、しなければいけないというように考えている次第です。