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日野委員 私、この審議をずっと、
委員会に出なかったときもありますが、できるだけテレビ等を通して拝見はしていたつもりです。
そして、またいろいろな
議論が出ましたね。国内でいろいろな
議論が出た。その
議論を
二つに大別してみて、
厳罰化という方向、それから
保護という方向、この
二つ。
どういうグループがどういう
議論に属しているかなということも一応私なりに見ていたんですが、更生
保護とか、何とかして
犯罪者それから
少年たちを立ち直らせたいということで仕事をしている人たち、そういう実務に携わっている人たちはやはり
保護の方を重視するという
傾向が、これははっきり見てとれるというふうに思いますね。
実は、私も
保護司なんですよ。今も
ケースを持ちまして、そして仕事をやっております。あなたの任命によりましてやっておるわけでございますが、私もやはり同じように思います。
犯罪者という烙印というものがいかに重いものか、そしてそういう人たちが社会に戻っていくときにそのバリアがいかに高いか、壁がいかに高いかということ、そういうことを私自身も非常に強く感じております。
本当にみんな涙ぐましい
努力をやっているわけですね。きょうは
法務大臣に対する
質問はしませんが、さっき
法務大臣が、今まで
少年院などで行ってこられた成果、それから勉強の成果、そういったものは
日本の宝だとおっしゃったが、私も全く同感。
それと同時に、地方で働いている
保護司、それから更生
保護婦人会なんかを初めとしてやっている人たちの
努力、さらにBBSという組織がありまして、この組織は、
少年たちといろいろ交わりを深めながらその
少年たちの心を解きほぐし、そして人とのつながりをつくり、これなんか本当にすばらしい仕事をやっておられる、こう思うんですね。そういう仕事をやっていれば、私も含めてですが、
犯罪を犯した者に対しては罪にふさわしい刑を、罪にふさわしい罰をという考えにはなかなかなりにくい、特に
少年事件については、そういう一面があることはやはり間違いないところなんでしょう。
先日、当
委員会における参考人として守屋教授が、社会にそういった
少年が戻ってくる、そのときにどのように社会が受け入れていくかということが非常に大事なんだと。その
少年自身がどう変わって社会に戻ってくるかということが大事なんだという視点を決して我々は忘れてはいけないんだと思うんですね。
最近、
少年事件、まあ
統計上の
数字のことを私は、もうこれは言ってもしようがないことですから言いません。ただ、それが非常に
凶悪化をして
世間の
耳目を聳動するという、このごろは言葉は変わって、
世間をびっくりさせるような
事件が起きていること、これもまた一方で事実でありますね。でありますから、その側面を見れば、これはやはり
厳罰化、犯した罪にふさわしい罰をという考え方になる。一方では
一般の人々の心の中にそういう考え方が兆すということは否定できない事実であろうと私は思う。
しかし、我々はもっと冷静に、そういった
少年たちがまた社会に戻ってくるときに、どのようにその
少年の人格が改造されているか、
犯罪的性向といいますか、そういったものが消し去られているか、どのように社会がそれを受け入れるかということは非常に大事なんだと私は思いますね。
やはり、今までの
少年院で行われていた教育、
少年刑務所でも行われているんだよという御
意見もありましたが、
少年院と
少年刑務所との間にはやはりきちんとした区別をしなくちゃいかぬ、私はそう思いますし、それから、更生
保護関係に一生懸命仕事をしている人たち、こういった仕事に対する評価もきちんとしておくべきだと思うんですね。
私は、守屋さんの使われた言葉、よく
社会復帰とかなんとかいいますが、それより、そういう人たちは
現実にまた社会に戻ってくるんだよ、そういう人たちをどのように受け入れるかが大事なんだ、そして、それまでにどのように
犯罪を犯した
少年たち、こういった人たちに対して教育的
措置を行っていくか、これが大事なんだという視点は絶対に忘れてはいけないと思います。もし同じような
犯罪的な性向を持って戻ってきたら、また罪を犯す、そうするとまた新しい
被害者が生ずる。でありますから、私
どもは、やはりそういう教育的な効果というものを最大限に重視していくこと、感情に押し流されるのではなくて、教育を施してその効果を十分に得る、こういう仕事というものを決してないがしろにしてはいけないというふうに私は思うんですね。
これについて今皆さんからどう思うかと聞いたって、それはこの
少年法を提案されて審議がここまで来て、もう採決も目の前ということになれば、ごもっともというか、まあそんなところでお茶が濁るのでありましょうから、それ以上多くを聞かないことにいたします。しかし、そういうことを決して忘れないでこの
少年法の
運用というものはなされなければならない、こういうふうに思いますので、そのことは私の方から一方的に主張をさせていただいて、この点については終わらせていただきます。
そこで、今度はちょっと
法律の
内容について伺いたいと思います。
今、山花
議員も言っておりましたこの二十条です。
改正案の第二十条「検察官への送致」でありますが、私はこれはどうしても納得できないんです。二十条一項には、調査の結果逆送できる、こう書いてあるんですね。しかし、前項の
規定にかかわらずこれこれの要件を満たした場合、つまり故意の
犯罪行為、
被害者の死亡、その罪を犯すとき十六歳以上の
少年に係るもの、これは検察官に逆送しなければならない、こう書いてあるわけですね。読んで字のごとし、必ずこれは逆送しなければならない、こう書いてある。そして、ただし書きがついていて、「調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況」云々、こう書いてあります。
この第一項における「調査の結果、」それから第二項ただし書きの「調査の結果、」この調査というのは同一のものでしょうか、それともまたさらに別個に調査をするんでしょうか。いかがですか。