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2000-11-15 第150回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十一月十五日(水曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 宮路 和明君    理事 岸本 光造君 理事 二田 孝治君    理事 松下 忠洋君 理事 筒井 信隆君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 丸谷 佳織君    理事 一川 保夫君       逢沢 一郎君    石破  茂君       今村 雅弘君    岩倉 博文君       金田 英行君    熊谷 市雄君       小島 敏男君    後藤田正純君      田野瀬良太郎君    浜田 靖一君       林  幹雄君    福井  照君       松岡 利勝君    宮腰 光寛君       森山 眞弓君    安住  淳君       岩國 哲人君    後藤 茂之君       佐藤謙一郎君    城島 正光君       津川 祥吾君    永田 寿康君       長浜 博行君    楢崎 欣弥君       三村 申吾君    山口  壯君       江田 康幸君    高橋 嘉信君       中林よし子君    松本 善明君       菅野 哲雄君    山口わか子君       近藤 基彦君    藤波 孝生君     …………………………………    農林水産大臣       谷  洋一君    厚生政務次官       福島  豊君    農林水産政務次官     石破  茂君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君    政府参考人    (農林水産技術会議事務局    長)           小林 新一君    農林水産委員会専門員   和田 一郎君     ————————————— 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   北村 直人君     宮腰 光寛君   浜田 靖一君     林  幹雄君   楢崎 欣弥君     城島 正光君   三村 申吾君     山口  壯君   漆原 良夫君     江田 康幸君   金子 恭之君     近藤 基彦君 同日  辞任         補欠選任   林  幹雄君     浜田 靖一君   宮腰 光寛君     北村 直人君   城島 正光君     楢崎 欣弥君   山口  壯君     三村 申吾君   江田 康幸君     漆原 良夫君   近藤 基彦君     金子 恭之君     ————————————— 十一月十四日  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案内閣提出第九号)(参議院送付) 同月十三日  遺伝子組換え食品のすべての原料表示義務化等に関する請願荒井聰紹介)(第一二〇八号)  同(田中甲紹介)(第一二〇九号)  同(樋高剛紹介)(第一二一〇号)  同(山内惠子紹介)(第一二七九号) 同月十五日  遺伝子組換え食品のすべての原料表示義務化等に関する請願永田寿康紹介)(第一三四三号)  同(野田佳彦紹介)(第一三四四号)  同(横路孝弘紹介)(第一三八四号)  同(中川智子紹介)(第一四三一号)  同(中田宏紹介)(第一四三二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案内閣提出第九号)(参議院送付)     午前十時二分開議      ————◇—————
  2. 宮路和明

    宮路委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。農林水産大臣谷洋一君。     —————————————  家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 谷洋一

    ○谷国務大臣 家畜伝染病予防法の一部改正につきましてお願い申し上げたいと思います。  この法案は、今春の宮崎並び北海道発生いたしました口蹄疫に関する病気につきまして、国並びに県、市町村、団体等、結束してこれに当たり、非常な評価を得まして、早期に解決することができました。  しかしながら、九十二年ぶり発生した本病でございますので、いろいろと反省するところ多々ございます。その意味におきまして、家畜防疫対策についての強化をすること、あるいは輸入商品輸入わら等々の問題についての防疫対策強化すること等々の問題につきまして、お諮りしたいと思います。  内容につきましては、政務次官の方から説明をさせていただきます。
  4. 石破茂

    石破政務次官 家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  畜産の振興を図るため、農林水産省といたしましては、従来から、家畜伝染性疾病発生予防及び蔓延防止に絶えざる努力を払ってきているところでございます。  しかしながら、本年、宮崎県と北海道我が国では九十二年ぶりとなる口蹄疫発生が確認され、その蔓延防止措置実施の過程において、口蹄疫発生農家における家畜屠殺処分等についての課題が明らかとなったところであります。また、今回の口蹄疫発生原因口蹄疫汚染国からのわらである可能性が高く、周辺諸国口蹄疫発生が続発しておりますことからも、わら等を介した海外からの口蹄疫侵入防止策強化する必要があります。  このような状況に対処し、より効果的かつ効率的な家畜防疫制度を構築するため、この法律案を提出することといたした次第でございます。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、家畜伝染病発生時の蔓延防止措置を的確に実施するため、通行遮断の期間の上限を七十二時間に延長することとするほか、患畜等の屠殺処分及び焼埋却について、家畜伝染病蔓延防止するため緊急の必要があるときは、家畜防疫員がみずから行えるようにすることといたしております。  第二に、家畜伝染病等侵入防止措置強化するため、輸入の届け出、輸入検査の義務づけ等を行うことができる指定検疫物指定対象として、穀物わら及び飼料用乾草を追加することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決賜りますようお願い申し上げます。
  5. 宮路和明

    宮路委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  6. 宮路和明

    宮路委員長 この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省畜産局長樋口久俊君、農林水産技術会議事務局長小林新一君及び厚生省生活衛生局長西本至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  8. 宮路和明

    宮路委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。城島正光君。
  9. 城島正光

    城島委員 おはようございます。民主党の城島でございます。  今、石破総括政務次官から法案趣旨説明がございましたけれども、ことし三月に実に九十二年ぶりという、まさしく、ゆめゆめ日本ではもう起こらないかなというふうに一般的には思ったわけでありますが、口蹄疫発生をしたというニュースにまずびっくりしたわけであります。  ただ最近、御承知のように、台湾でも大変大きな問題として口蹄疫発生が報じられた。また、中国を含めてこの近隣の諸国口蹄疫発生が結構いろいろ報じられておりました。もちろん東南アジアではかねてからこの口蹄疫が継続して発生していたことはわかっておりましたけれども、改めて日本で九十二年ぶり発生したということで、また後でも御質問をしますが、原因として考えられるのが輸入した粗飼料、特に中国からのものではないかというふうに言われているわけであります。そうした原因も考えてみますと、本当に国際化した時代の中で、こうした分野においても新しい体制が必要なんだなということを痛感したわけであります。  そういう点では、冒頭に申し上げますが、本当に迅速に対応されて、これは急速に、ある面では、九十二年ぶりの中では対応が比較的スムーズにいったのではないかなというふうに思っております。そういうことの中で何点か御質問させていただきたいと思います。  一点目は、今回の口蹄疫発生、今申し上げましたように、九十二年ぶり発生については、現行家畜伝染病予防法及び海外悪性伝染病防疫要領に基づいて一定蔓延防止策がとられて、早期に撲滅に成功したというふうに言えるのではないかと思いますし、そういう評価海外からも寄せられているというふうに思います。まず冒頭、今回の口蹄疫発生を通じて防疫上どのような新たな課題が明確になったのかということについて、お尋ねをしたいと思います。
  10. 樋口久俊

    樋口政府参考人 私の方からお答えを申し上げます。  お話がございましたように、今回の口蹄疫、小規模発生、大規模にならないうちにおかげさまで終息を見たわけでございますが、これは、幸いにしてウイルス自体伝染力が弱いタイプのものだったということもございましたけれども、何より、畜産農家を初めとしまして、関係機関が一生懸命迅速かつ適切な対応をしていただいたということではなかろうかと思います。  その中でも、お話にございましたように、何しろ法律自体が五十年前の法律でございますし、防疫要領も二十年以上前につくったものであるというようなことがあったり、途中でいろいろな演習といいますか、そういうものはしばしばやっておったんですが、やはり、実際に起きてみますと、幾つかの課題が出てきたわけでございます。いろいろございますが、御質問でございますので、幾つか代表的なものをお話し申し上げます。  一つは、防疫措置をとるためにいろいろな役割分担とか人の配置、それから手配に時間がかかったなという感じはございます。そういう指摘がされております。  それから、できた当時と現在とでは、畜産経営の状態がかなり規模的に違う部分がございます。したがいまして、大量な疑似患畜発生したわけでございまして、殺処分等に時間がかかったのではないかというのが二点目でございます。  それから、埋却処分、これが一番こういう場合の措置としては効果のあるものと言われておりますけれども、量が多いと場所的に相当なものを要するということなので、その点をどうするか。  それからあと、多くの専門家に手伝っていただかないといけないことがございます。例えば獣医師さんとかそういう方々の協力の同意の体制等々、幾つかの問題点が明らかになっております。  そういう点を踏まえまして、今回の、やはり制度的に手当てをしないといけないもの、それから、余り一律にしておくとむしろ柔軟性に欠けるので、そうではないやり方として何かガイドラインみたいなものをつくった方がいいのではないかというような問題もございますけれども、今回御提案をしてありますような内容については、制度的な手当てを要するのだろうということになりましたので、よろしくお願いをしたいと思います。     〔委員長退席二田委員長代理着席
  11. 城島正光

    城島委員 今お触れになりました畜産農家経営そのものがかなり大規模化してきているというところが、一つ新たな状況変化かなと。特に、今回、北海道では一農場で七百五頭ですか、処分をされた。そういう面では、かつてでは考えられない、一農場でそれだけの頭数を処分せざるを得ないというように大規模化が大変進んでいっているわけでありまして、新たな状況変化に対してどのように国内防疫体制を改善していくのか、こういった点ではいかがでしょうか。
  12. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お話がございましたとおり、御提案申し上げております今回の改正、大きく分けまして二つほどございます。  一つは、やはり大規模化した中での改善すべき点というのが一点でございます。それからもう一つは、先生お触れになりましたけれども海外からのえさで侵入する可能性があるということは、全く想定をされていなかったということでございます。  前半の方で申し上げますと、先ほどお話をしましたことをさらに具体化する点でございますが、今回、殺処分等に時間がかかった、あるいは病気に実際かかっているということの検査が、動物でございますので、イエスかノーかで出てこなかったり、途中で再検査をしたりと当然なるわけでございます。そういう場合の時間のかかり方。それから、実際埋めた場所の選定等ございます。  こういうことを踏まえまして、一つは、通行遮断をするということが必要になるわけでございますが、現行法では四十八時間というふうになっておりますけれども、やはり大規模になりますと、どうしてもその時間帯ではできないということで、他の法令等参考にさせていただきまして、もう一日だけ延長させていただく。常に延長するということではございません、状況に応じてでございますが、上限を延ばさせていただくというのが一点でございます。七十二時間にさせていただく。  それからもう一つが、大量の屠殺、埋却ということになるわけでございますが、平たく申し上げますと、経営者の方はやはり相当ショックを受けておられますし、自分でやることが原則とはいうものの、先ほどお話をなさったような数量をやるということは実際問題としてなかなか難しいことでございますので、緊急の必要があるときは、県の職員でございます家畜防疫員がみずからやれることにするということで、とにかく最大のねらいでございます広がるのを防ぐということに対応しようかということでございます。  なお、みずから実施をした場合には、負担は公費で行われるという効果がございますので、その点も今回のポイントではなかろうかと思っておるわけでございます。  なお、埋却する土地を備えて、あらかじめ確保していくというのは、実際問題として我が国ではなかなか難しかろうと思いますが、全くそういうことはしないということも、また別の問題が起きます。したがいまして、そういう場合には一定土地が要るということを常に知っておいて、念頭に入れておいてもらって、起きた場合にはどういう手順で土地を探していくかというようなシステムなりそういうものはきちんと頭の中に置いておく、そういう意味危機管理とか、整理をしておく必要があるのじゃなかろうか、これは制度論というよりは、むしろマニュアルの世界ではなかろうかということで、そういうものを整理したらどうかということに現在なっておるわけでございます。
  13. 城島正光

    城島委員 大変よくわかりましたけれども、そういう面でいうと、確かにかつてみたいな、一頭、二頭、三頭とか、そういうような規模が圧倒的に多かった時代とは、今言ったように、今度の北海道の場合も、そのころに比べますと膨大な数です。そうすると、おっしゃるように、経営者そのもの所有者そのものが大変大きなショックを受けられるということもあって、大変だったと思いますが、あわせて、これだけになると、費用負担も大変大きなものがあるというふうに思います。  今回のケース、ちょっと聞いてみましたら、半分は通常は所有者負担になっているのだけれども、地方自治体、道の方で今回は負担をしたというふうに聞いているわけでありますが、これは原則としてはそうではないわけなんで、これだけ大規模化した場合に、同じようなことが起こったときに、かなり経営負担というのは大きくなる可能性があるというふうに思うんです。  そうした観点で、新たに経営支援措置が必要ではないか。この面においても必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  14. 樋口久俊

    樋口政府参考人 二点、お答えをしたいと思います。  一つは、先ほどもちょっと触れましたけれども、大量に飼養されたケースで、なるべく早く手を打たないといけないということになった場合に、家畜防疫員が直接殺処分なり埋却できる仕組みを導入させていただくということで今回御提案しているわけでございますが、その場合には、いわゆる畜産農家の方の負担はなくなるということが一つポイントでございます。  それから、先生からお話がございましたように、さらに今回、仮に自分処分したり、あるいはその後の経営等について再開する等々について、やはりある程度の支援が必要ではなかろうかということはあるかと思います。そういうことを念頭に置きまして、新たに生産者全体で共同してそういう負担を軽減するような仕組みということで互助基金を創設する、これは実は豚コレラというものについて既に同じような仕組みができておりますが、そういうものを創設し、負担の軽減を図って、これにまた国が御支援をするというような仕組みを今検討しておりまして、そういうことの創設に向けて細部の詰めをしたいなと思っているところでございます。
  15. 城島正光

    城島委員 わかりました。検討ということでありますけれども、ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。  最初にちょっと申し上げましたけれども、今回の口蹄疫原因そのものが、どうも可能性として大だということでありますけれども中国産の麦わら原因ではないか、最も可能性が高いのではないかという報告になっているわけでありますが、その結論に至った理由、背景について御説明いただけませんか。
  16. 樋口久俊

    樋口政府参考人 今回、口蹄疫という大変重大な病気発生したわけでございまして、もちろん、その蔓延防止のための措置を講ずるということも大変大事なことではございますが、今後のことを考えますと、どこから来たか、原因究明、これは大変大事なことであるということで、私たち最大の関心を持ってさまざまな手段を尽くしたわけでございます。その中で、いろいろなことをやったわけでございますが、御説明いたしますと、三つのことをやったわけでございます。  一つは、家畜が、実際発生しました農場にどこから来たかとか、導入された家畜導入先でございますとか、近接地農場、それから人や車、いろいろな交流がございますので、そういう人たちといいますか、ものを中心に疫学的な調査をしまして、血清的にいろいろな検査をいたしました。それが一つ。  それから、ウイルス遺伝子を捕捉いたしておりますので、その遺伝子を分析して、どちらから来たかということがわかればということでやったわけでございます。主に東アジア方角から来ただろう、その遺伝子の極めて近いものがそっちの方角に存在しているということでございますので、侵入方角はそういうことでなかろうかとかということを確認する。  それから、専門家チームをつくりまして、いろいろな形で疫学調査チーム、例えば畜産局家畜衛生試験場動物検疫所チームを組みまして、私どもが一応ピックアップしました調査対象に出かけていって調査等々をやったわけでございますが、残念ながら、ここから来て、これが原因だということは確定できなかったわけでございます。  一つは、初発の農場輸入の粗飼料として中国産の麦わらが使われておりまして、これが、口蹄疫が非常に存在をしやすくて、長い間付着していても効力を持つだろうと思われる冬期に輸入されたものであったということが一点でございます。もちろん、中国から来ているということですね、冬期に輸入されている。  それから、宮崎県と北海道中国産の麦わら保管量あるいは使用量がその地域で非常に多いということが一つございます。  それから、先ほどもちょっとお話をしましたが、分離をされましたウイルスを確認いたしますと、最近、東アジアで流行しておりますタイプに極めて似ているということが確認をされましたので、それらあわせて、俗っぽく言えば、真っ黒という意味ではありませんが、相当そっちの方の可能性が高いなということで、私どもとしては、中国産の麦わらがほかの要因に比べて侵入源として最も可能性が高いという言い方で、今のところ扱いをしているということでございます。
  17. 城島正光

    城島委員 たまたまというのでしょうか、今回のウイルスの強さが非常に弱いものだったという御説明先ほどありまして、それであるがゆえに、逆に言うと、これだけでおさまったのかもしれないということは言えるわけですね。これがもう少し菌の毒性が強いタイプであれば、場合によってはもうちょっと広がったおそれがあるということを考えますと、恐ろしいことだったなというふうに思うので、事前にそういったような、例えば粗飼料みたいなものが感染として可能性が高いということがわからなかったのかな、あるいはそれに対して対応策ができなかったのかなという疑問点があるわけでありますね。  そういう観点からなんですけれども、この三月末に口蹄疫の非清浄地域からのわら等家畜防疫官検査対象とする、必要に応じて消毒を行っているというふうに聞いているわけであります。この口蹄疫再発防止に向けた輸入検疫強化といった点については、今の、私がちょっと問題意識を持ったことを含めて、取り組みの強化についてはどんなものでしょうか。
  18. 樋口久俊

    樋口政府参考人 先ほどもちょっと述べましたけれどもわらについてくるというのはまず想定されていなかったわけでございます。  ただ実際に、どうもそういう可能性があるなということが今回発生してわかりまして、すぐ法律上とれる措置の目いっぱいといいますか、それで、個別具体的に、家畜伝染病予防法の四十条という規定がございまして、そこに、病原体に汚染し、または汚染されているおそれがあるときは検査を行っていい、必要な措置をとれるということになっておりますので、そのたびごとにチェックをしましてホルマリンガス消毒を行うということで、三月以降はウイルスが入ることを防いでいるところでございます。  ただ、これでは、そのたびごとに目を見張っていて、大変な手配りその他をしないといけないということでございますので、今回御提案をさせていただいていますのが、まさに申し上げました大きな分類の二つ目でございまして、穀物わら飼料用乾草について指定検疫物あるいは輸入禁止品対象とするということにさせていただきますと、一定の外国と取り決めがなければもうそれは絶対輸入されないものになってしまう、あるいは輸入する場合の指定港もこことここしか揚げちゃいけないとか、持ってきたら必ず申告しなさい、そういう規制がかかりますので、輸入のチャンスといいますかそういう機会をとらえやすくなると同時に、そのたびごとに必要な措置がとれる。一定条件のものはそもそも入らないということになりますので、そういう意味規制措置がかけられるということで、再侵入防止に万全を期すことになろうかと思っておるところでございます。
  19. 城島正光

    城島委員 そうすると、検疫強化によって、原因となった可能性が高いという中国産の稲わらの取り扱いというのは具体的にどういうふうになるのでしょうか。
  20. 樋口久俊

    樋口政府参考人 これは、法律が施行されますと、具体的に相手国と交渉しますので、もちろん、相手国のある話でございますから、最終的にどうなるかという姿はなかなか申し上げられませんが、現在、例えば中国稲わらにつきまして一定消毒をするという条件になっておりますが、消毒する場合にどういう施設の、例えば一定の入り口から物を入れて、出口はこっちにしなさいとか、消毒されたものをどういう条件のもとで保管しなさいとか、そういう条件をこれから提案して、せっかくのそういう措置が有効に機能するような担保措置を私どもとしてはきちっと要請をしていって、それが相手国とまとまれば、そういう形で輸入ができる。もしまとまらなければ、そもそも私どもとしてはお断りをすることができるようになろうか、むしろ、そういうことのための権限をこれでお与えをいただきたいということになろうかと思います。
  21. 城島正光

    城島委員 そうしますと、輸入稲わら輸入に当たって検疫体制強化というのは、どういうふうに具体的に図っていかれるのでしょうか。
  22. 石破茂

    石破政務次官 局長からお答えしたことと重複をしたら恐縮でございますが、強化をどのようにするかということでございます。  今回の法改正に伴いましてそういうことができるようになるわけでございますが、そのような検疫を的確にやりますために、来年度の予算の要求におきまして検査、指導に要する経費を要求いたしております。並びに、所要の人員を増加させること、これは五名ぐらいを予定いたしておりますが、そのようなことを図って強化をしてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  23. 城島正光

    城島委員 もう一つ、検疫を強化するに当たって、輸出国における口蹄疫等の発生状況に関する情報を収集していくということは大変重要なことではないかというふうに思っております。口蹄疫の非清浄国である、特に今話題になりました中国あるいは近隣でいうと北朝鮮に関する情報は、一般的に言うと、今なかなか情報収集が難しい国だというふうに、この分野においてもですけれども、言われているわけですよね。そういう点では、今後どういう体制を考えられているのでしょうか。
  24. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お話がございましたとおり、やはり事前に防ぐとすれば、情報を整理しておく、これは当然要求されるわけでございまして、こういう情報その他を中心になって整理をしている機関に国際獣疫事務局、OIEというのがございます。もちろん、私どもは、そこでいろいろな連絡をしておりますし、今回発生をしましたことをきっかけとして、東京でこれの緊急の会議が開かれたということも御承知かと思いますけれども、そういうところから手に入れる。しかも、中国はここのメンバーにもなっておられるのでして、ぜひそこを通じてもとりたいと思っておりますし、何よりそれ以外にもいろいろなパイプがございますので、大使館を通じてやるとか、さまざまの機会をとらえながら、私どもとしては情報をとりたいと思っております。  たまたま直後に、こういう仕事を担当しておられます局長さんが我が国に来られましたときに私もお会いをしまして、ぜひ、両国のためになるのだから、そういう情報交換をしたいとお話をしましたら、相手の方から技術的な情報交換はしたいというお話をされたので、そういうパイプを大事にしながら関連情報の収集に努めていきたいと思っているところでございます。
  25. 城島正光

    城島委員 ぜひその辺もよろしくお願いしたいと思います。  次に、九月二十六日でありますけれども我が国は国際機関によって口蹄疫清浄国に復帰したということが認定されたわけでありますが、ただ、口蹄疫発生に伴って我が国からの牛肉等の輸入を禁止した国が結構ありますよね。その国で輸入を再開した国はどういう国があるのか、今後の見通し等についてありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  26. 樋口久俊

    樋口政府参考人 御質問がございましたとおり、口蹄疫発生しますと、私どもも外国から輸入禁止等々の措置をとったわけでございますが、逆に汚染国になったということで、外国からも日本から来るのを制限するという措置がとられたわけでございます。  その後、おかげさまで関係者の努力で清浄国に復帰をしました。これは国際的に認められたわけでございまして、その後、私どもとしては各国にその措置の取り消しといいますか解除を要求したわけでございます。これまでに、シンガポールが十月十九日、ブラジルが二十六日、それからタイが二十七日、十一月に入りましてからオーストラリア、フィリピンが十一月六日。  若干内容について詳細は省略させていただきますが、今回、相手国側が我が国からの畜産物についていろいろ制約をされましたが、解除するということをとっていただきまして、なおまだ幾つかの国で我が国からの輸入禁止をとっておられますので、いろいろな外交ルート等を通じましてこれの解除をお願いしていきたいと思っていますし、現にしているところでございます。
  27. 城島正光

    城島委員 これはやはり二国間協議ですか。
  28. 樋口久俊

    樋口政府参考人 申しおくれました。内容がいろいろ異なりまして一律ではございませんので、すべて二国間です。事例を申し上げますと、肉だけ制約されている国もあれば、生きたものまで輸入禁止となっていること区々であります。それぞれで約束をするということになっておりますので、解除もそれぞれで手当てをすることになっております。
  29. 城島正光

    城島委員 今回、輸入飼料口蹄疫発生原因可能性が高いということが判明したことから、口蹄疫侵入防止のためにも飼料用稲わらの自給率を向上させていくことが必要ではないかと思うんですけれども、この飼料用稲わらの自給率向上への取り組みについてお伺いしたいと思います。
  30. 谷洋一

    ○谷国務大臣 口蹄疫発生に伴いまして、私どもは、酪農あるいは肉牛等大型家畜における稲わら、麦わら等輸入が多かったことを改めて知ったわけであります。  そういう点から、むしろ、麦わらの方が口蹄疫原因になっておるのじゃなかろうかと言われておるような状況でございますので、最終的な詰めはやっていないといいながら、そういう状況を考えますと、今後、我が国稲わらを十二分に活用するということを考えなきゃなりません。  また、そういうことをするためにはいろいろな問題があると思います。機械化で水田農業をやる場合に、それが水田にすき込まれるというふうなことが往々にしてあったわけでございますが、今後は新しい機械化をもって飼料としてこれを活用するというふうなことを我が国自身も考えていかなきゃならない。足らざるところは輸入しなきゃならぬかもしれませんが、そういうことを考えて今後の飼料対策に万全を期していきたい、こう思っております。
  31. 城島正光

    城島委員 今回発生した口蹄疫のような、特に海外悪性伝染病の専門家の育成が必要だと思いますし、またその現場で中心的に当たる獣医師の能力とか資質の向上といった施策が、極めて十分達せられなきゃいかぬと思うのですけれども、こういった観点での実施状況あるいは今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
  32. 石破茂

    石破政務次官 先生御指摘の点は、私どもも極めて重要であるというふうに考えておる次第でございます。  御案内のとおり、口蹄疫などの海外病に関する試験研究は、家畜衛生試験場海外病研究部というところがございますが、そこが実施をしておるわけでございます。その研究成果を通じまして、専門家の診断技術の向上とか普及、そういうことに努めておるわけでございます。今回の口蹄疫発生に際しましては、この研究部が病性の鑑定を行い、血液検査実施したわけでございます。また、防疫対応についての助言、現地での防疫指導に努めてきたわけでございます。  また、現場の臨床の獣医師先生方についてでございますが、平成九年に台湾で発生をいたしましたときに、そのような症例を発見した場合の初動防疫上の留意点を取りまとめたパンフレットを配布などいたしまして、先生方の資質というふうにいったらいいんでしょうか、知識、そういうものを向上していただくように努めてまいったわけでございます。  自画自賛的に聞こえましたならば大変恐縮でございますが、そのようなことが口蹄疫発生におきまして円滑な協力を賜ることができた原因ではないかというふうに思っておりまして、今後とも努めてまいりたい所存でございます。
  33. 城島正光

    城島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  34. 二田孝治

    二田委員長代理 次に、山口壯君。
  35. 山口壯

    山口(壯)委員 最初に口蹄疫のことですけれども中国あるいは北朝鮮からわらが入ってきたのじゃないかということではありますが、実際、今度起こったこの問題について、その原因、やはり中国もしくは北朝鮮から入ってきたんでしょうか。
  36. 樋口久俊

    樋口政府参考人 端的に申し上げてそのように推測いたしておりますが、実は今回、法案改正をお願いしている中の一つに、飼料関係の業者の方とかにいろいろな報告聴取をする権限を与えていただきたいということを御提案しておるわけでございます。そういう調査が十分に行われるためにも、今回いろいろな調査対象に、そういう業界の方とか保存されている方、それから商売にされている方を対象にしたいと考えておるところでございます。
  37. 山口壯

    山口(壯)委員 これからも口蹄疫についてはぜひともしっかりした検査体制でお願いします。  次に、十四日付の毎日新聞ですけれども、公表した話ですから、農水省の方で未承認の例の遺伝子組み換えトウモロコシ、スターリンクを検査された、十五サンプル検査したところ、十サンプルからスターリンクが混入している可能性が高いという反応が出た旨の記事があるわけなんです。  きょうも私、九時から市民団体とかいろいろなところの集まりで、農水省も来ておられたので、そこではもうスターリンクの反応を認めているという資料をお配りになっておられたわけなんですけれども、十五分の十というのは約七割です。余りにパーセンテージが高いと思うんですけれども石破次官、このパーセンテージについてどう思われますか。
  38. 樋口久俊

    樋口政府参考人 事実のことでございますので、私の方から一言だけ。  十五検体から十検体、これは件数でそういうことでございまして、必ずしも全部がスターリンクだったということではございませんで、スターリンクが混入していたというのが十検体というふうに御理解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  39. 山口壯

    山口(壯)委員 十五分の十が、それは必ずしも問題じゃないというお答えでしょうか。
  40. 樋口久俊

    樋口政府参考人 そういうふうに聞こえたら申しわけございません。そうではなくて、そこにございます十五検体中十検体というのは、十五検体のうち十検体のものについて混入をしていたという事実を、私どもとしては、反応があったものですから、これも先生にちょっとお話を申し上げたと思いますが、きちっとした確認のために最後の、塩基の配列を確認しているところでございます。
  41. 山口壯

    山口(壯)委員 最後の確認といっても、きょうの朝配られた資料では最終的な確認は数日中になされる見込みであると。もう現実にはほとんどそこまで来ているわけでしょう。これと違う結論は出るわけない。ただ単に、そういうふうに逃げているだけの話だと僕は思うのですけれども石破次官、政治家としてこういうことの重大性をどう考えておられるか、お答えください。
  42. 石破茂

    石破政務次官 お言葉を返すように聞こえたら恐縮でございますが、私どもは逃げておるわけでもございませんし、隠しておるわけでもございません。  ただ、このようなことはきちんと科学的に調査をし、きちんとした結論を得て、それを消費者の皆様方に、適宜といいますか出たところから、正確に余すことなく公表してまいったつもりでございます。事実そのように私は考えております。私どもは、そういうふうにやることが、消費者の皆様方に対する誠実な態度だというふうに考えておる次第でございます。
  43. 山口壯

    山口(壯)委員 私は先週二回質問をしたわけですけれども、繰り返し輸入飼料について、検査体制は本当に抜かりないのかということを端的に聞いたつもりです。  そのときに石破次官は、七日の私に対するお答えをいただいたときに、アメリカからの輸入につきましては、現在の体制でこれを百カ所に上げることによりましてほとんど全部を網羅できる、これはもちろん数字が間違っておられるわけだけれども遺伝子組み換えのそういうようなえさが入っておるというようなことを防止する、そういうような手だては整えておるような自負は持っておる次第でございますと言っておられたんだけれども、そうじゃなかったわけでしょう。
  44. 石破茂

    石破政務次官 それは私が言い間違いをしました。それは当日訂正をしたとおりでありまして、百検体を調査するということでございます。  恐らく先生の御趣旨は、もっと精度を上げることはできないかということも含めての御質問かと思いますが、これを百検体に上げることによりまして大体九〇%ぐらいがいけるだろうというふうに思っております。それをさらに上げていく、そのことによってさらに信頼性は増すのではないかというふうには思っております。  これはもう当たり前の話ですが、全部をすべて調べるというようなことはもともと非常識なお話でございまして、できることでもございません。科学にかなったことでもありません。それをさらに精度を上げていくということについては今後検討する余地があるし、前向きに考えてまいりたいと思っております。
  45. 山口壯

    山口(壯)委員 私がお聞きしているのは、その百検体の訂正のことは先週いただいたわけだから、それはつまらない話で申しわけない。だけれども、十五検体中十検体が出た。万全を期している、自負を持っておる、この答弁に間違いはないのですか。
  46. 石破茂

    石破政務次官 間違いはございません。
  47. 山口壯

    山口(壯)委員 では、十五検体中十検体が出てきたという意味はどういうことですか。
  48. 樋口久俊

    樋口政府参考人 文字どおり、モニタリング調査をやっておりまして、その中に出てきたので、その後、それに応じた必要な措置をとらなきゃいかぬということだと思います。
  49. 山口壯

    山口(壯)委員 防止する、そういうような手だては整えておる、その自負は持っておる、だけれども十検体出てきた。自負は、これはただ単に突っ張っていただけであって、出てきた、やはりここを謙虚に認めて、農水省としてはこれからの検査をどういうふうに充実強化させていくか、そっちの方が政治家として答える答弁じゃないのですか。
  50. 石破茂

    石破政務次官 このようなスターリンクというものが入ってくることが未然に防止ができなかったか、予見ができなかったかということについて申し上げれば、アメリカの方からそれは大丈夫ですというようなことが言われておったわけで、そのことを信じたのが悪かったと言われればそのとおりかもしれません。しかしながら、実際にそれを検査した結果、そういうような結果が出ました、そのことを消費者の皆様方に御報告をし、これから先もそういうふうなことをきちんとやっておくということでありまして、そのことについては万全を期しておるつもりでございます。アメリカが大丈夫だと言ったことを信じたことが悪かったといえば、それはそうなのかもしれません。  そのことにつきましては、米政府と私どもは今協議中でございます。アメリカに対しましてそのことはきちんと申し上げてまいりますし、そのことは両国でこれから先もきちんと協議をしてまいる所存でございます。
  51. 山口壯

    山口(壯)委員 アメリカを信じたのが悪かったというだけでしょう、今のは。だけれども、農水省として検査体制を充実強化させていこうという前向きの答弁がどうして政治家としてできない。役人が言うのはわかる、ちょっと待った、役人が言うのはわかる、だけれども、政治家がそこまで言うのは納得いかない。
  52. 石破茂

    石破政務次官 米政府の言うことを、それを信用したのがいけなかったということについて、もし誤解があったらごめんなさい。そうしますと、そういうものが入ってこないようにこれから先、日米間でどのような取り決めができるか、どのような体制を構築することができるか、そのことにつきまして現在、協議をしておるところでございます。  それは、私どもの農水省として、アメリカのスターリンクもしくはそういうような遺伝子組み換えの食品、作物、そういうものを全部アメリカに行って検査をすることは、なかなか不可能なことであろうというふうに思っております。それがどうして入らないようにできるか、その体制をどのように構築するか、そのことについて今鋭意検討しておるところでございます。
  53. 山口壯

    山口(壯)委員 やはりこの問題というのは前に進めることが大事だと思うのです。その答えがどうして政治家としてできない。万全を期しておるわけでございます、自負を持っておる、そういう守りの答弁よりも、わかった、充実強化していく、そっちの方が私は政治家として大事だと思いますけれども
  54. 谷洋一

    ○谷国務大臣 今の問題につきましては、もともとのお話はよく御存じでございますけれども、アメリカは飼料としては使ってもいいということになっております。だからといって、日本がそれを認めるということは、日本検査体制のもとに検査をした結果、認めることになることはあるかもしれません。しかしそれは、今の問題ではなくて、一般的に、アメリカで使用してもいいと言われるものは日本検査をした上で使っていくことができるということになっておるのですから、今の場合は、まだ日本検査体制ができておりませんので、入ってきておったということが発見されたと、そこで今検査をしたらこういう検体になったということは畜産局長からお話があったとおりです。  ですから、今後は検査体制強化して、器具も整えてやるということが必要ですが、何はさておいても、すべてをやるということは不可能に近いと思いますので、やはりアメリカに対しまして、日本輸入するということ、それは飼料として使ってもいいということが確認されなければだめだということを強くアメリカに言うべきである、それが第一です。  第二は、検査体制強化して、くぐるものはないかということを十二分に検討しなきゃならない、それが我々の任務だと思います。
  55. 山口壯

    山口(壯)委員 今万全を期しているということに対して、それが十検体出てきたのですから、そういうものをどうやったらこれから入らないようにできるのかということの方が、私は大事だと思うのです。  それプラスもう一つ、今ちょっと気になったのです、大臣。もしも飼料を、飼料という農水省の管轄について、この飼料を安全だと認めたら日本でも使えるようになるかもしれない、これは私はおかしいと思います。そこは、日本としてはこのスターリンクという殺虫性のトウモロコシは、アメリカでも使っていない、日本でもそういうつもりはない、こういうことをきちっと今お答えいただきたいと思うのですけれども、お願いします。
  56. 谷洋一

    ○谷国務大臣 今私が申し上げたことは、一般的な言い方をすればということを申し上げたところです。ですから、一般的な言葉でいえば、アメリカで許可されておるから、日本も許可しなきゃならないということはないわけです。ですから、日本は今検査体制をしきまして、今後、人員を整え、そして器具も整えて厳重にやるということは間違いないことであります。
  57. 山口壯

    山口(壯)委員 今検査体制をこれから充実強化させていく、そういうことについてそういうふうにやっていただきたいと思いますけれども、今私がお聞きしているのは、スターリンクについて、審査次第ではあるいは状況次第では、これから認めるかもしれないという含みのある御答弁だったものですから、それは明確にそうじゃないということを今確認していただきたいのです。
  58. 樋口久俊

    樋口政府参考人 御指摘がございましたので、お答え申し上げます。  スターリンクにつきましては二つお話をしたいと思います。一つは、現在、審査のための申請が出ておりません。これは事実でございます。出ました場合には、私どもとしてはきちっとした審査はしなければならないと思います。予断を持つというのは、私どもとしてはできないことではなかろうかと思っております。
  59. 山口壯

    山口(壯)委員 もちろん申請が出れば審査されるのは手続にのっとってやられればいいけれども、アメリカでもう既にそれはバツだというものについて、そんなに、ここは役人的な答弁をする必要はないと思うのです。政治家として、国民の食生活の安全を守る、もしくは農水省であれば、家畜飼料が我々の食生活の安全を余り損なうようなことがないようにという、政治家としての発想として、このスターリンクについては警戒的な目を持って、むしろ入れないということでやるから安心しろと、私はそれが大事だと思いますよ。というのは、朝、もうテレビがいっぱい来ている。余りここで変な答弁をされると、それは後で余りよくないと私は思いますよ。
  60. 石破茂

    石破政務次官 局長からお答えをしたとおりでございますが、今私どもが米国政府に対してどんなことを要請しておるかといいますと、えさ用のトウモロコシにかかわります検査手続の作成、これをきちんとしてくださいということを申し上げておるわけでございます。これは、日本に輸出をする前に米国においてきちんと検査をしてください、そういう手続をちゃんとやってくださいということを申し入れておるところでございます。  もう一つは、トウモロコシの組み換えのDNA、それによって生じたたんぱく質、これが一体どうなるのだろうか、家畜に入った場合にどうなるのだろうか、そういうことはきちんと科学的に立証していかねばならぬ、そういうふうに考えております。したがいまして、スターリンクの、鳥へのえさを与える試験を開始しておるわけでございます。  恐らく、先生の御趣旨は、疑わしきは罰せよというようなことではなかろうかと思っております。少しでも疑いがあるものは入れない、それが政治家としてあるべき姿勢だというような御指摘であろうと思っております。しかしながら、そのことが本当に人体にどのような影響があるのかということをきちんと検査することも、私はあるべき姿勢だというふうに考えております。
  61. 山口壯

    山口(壯)委員 後で厚生省、農水省、どちらにももちろん質問しますけれども、例えば遺伝子組み換え、いろいろな、何品目もある。認められたものでも、例えば食品で二十九品目、あるいは農水省の関係でも二十何品目もある。  大体、開発したのはだれか。ほとんどがアメリカの会社、ほとんどがヨーロッパの会社だ。なぜそのお先棒を担がなければいけないのか。日本の会社が開発したものを守っていくならわかる。だけれども、どうしてそんなアメリカの言いなりになってしまわなければいけないのか。私は非常にふがいなく感じます。  やはり政治家としてこれからあるべき姿ではないと思う。私は別に党派をこだわって言っているのではない。政治家としてこれからあるべき姿を述べているだけです。石破次官と私どもは、多分それほど年も違わないと思うし、これから日本の国づくりを一緒にやるんだから、そういう意味で、後ろ向き後ろ向きの答弁ではない、前向き前向きの、アメリカに対しても言うべきことは言っていく、そういう答弁が私はぜひとも必要だと思うのですけれども
  62. 谷洋一

    ○谷国務大臣 今、繰り返し繰り返し申し上げておりますけれども、我々の考え方は、アメリカの政府が飼料に使用してもいいと言うから使用するのではなくて、日本が直接、試験に当たりまして、その結果を見て我々は許可するという体制をとるのですから、今回のように、潜りで入ってきたものがわからなかった、それが一般市民の皆さん方からの摘発によってわかった。そこで、我が方も検査して、先ほど十五検体のうちで十検体が悪い、こういうことになりますと、アメリカに対して輸出はだめだということを強く言うことが当然なことだと思います。そして、さらに我々は、試験をして、そういうことがあるかないかということを的確に判断することが大事ではなかろうかと思っております。
  63. 山口壯

    山口(壯)委員 アメリカあるいはヨーロッパに対してもきちっと物を言っていくという、そこはぜひともそういうふうにやっていただきたいのです。  確認ですけれども、スターリンクが混入している飼料は現在使えませんね。
  64. 樋口久俊

    樋口政府参考人 使用禁止をするという、科学的に私どもが挙証して危ないということを証明できないものですから、使用の禁止ということはとり得る範囲に入っておりません。
  65. 山口壯

    山口(壯)委員 今局長が言われたのは、実は物すごく大きな話題にかかわっている。WTOでヨーロッパ、アメリカがこれから食料について戦争をするわけです。そんな中で、挙証責任はどっちにあるのか。ヨーロッパは賢い。自分の農家を守りたい、自分の農業を守りたい。だから、アメリカが安全だと挙証できない限りは入れない、こう言っているのです。今局長が言われたのは全く逆の、物すごく弱い立場のことを言っておられる。自分たちで安全を証明する責任がどうしてあるのですか。私は、今のは物すごく大きなポイントについて間違っておられると思います。  これは政治家として、谷大臣、どうでしょうか。
  66. 谷洋一

    ○谷国務大臣 今畜産局長の答弁は現実の言い方をしましたけれども、それはやはり私がさっき言ったように、我が国政府として輸入を認めていないものは輸入できないのですから、それで、潜りで入ってくることについては的確な判断をして、これを拒否するということしかないのです。だけれども我が国家畜のえさというのは余りにも大量に入ってくるものですから、その問題がやはり潜りで入ってきたという事実を十分踏まえて、そして、徹底的にこれを研究して、試験してみることが必要だということが現実の姿です。
  67. 山口壯

    山口(壯)委員 今、挙証責任について日本にある、日本に挙証責任があるという御答弁でしたけれども、私はそれはおかしいと思います。どうでしょうか。局長、申しわけない。これは政治的な問題じゃないのですか。WTOの中でこれから食料戦略をひっ提げて闘うわけでしょう。これは、どうでしょうか。谷大臣には今お答えいただいて、申しわけない、石破次官、今度いかがですか。
  68. 石破茂

    石破政務次官 この問題に限ってお答えをさせていただきたいと思います。  これは当然でございますが、えさですから直接人間が食べるわけではないのですね。直接人間が食べるわけではない。そうすると、えさとして鶏なり牛なり豚なりが食べ、それが消化をされ、どのようにして肉の中に入るのか入らないのか、それを人間が食べたらどうなるのか。そのことをきちっと立証することは当然必要なことなんだろうというふうに私は思っております。それをきちんとやりますことは、もう一つの政治家としての責任であり、行政としてあるべき姿であろうということで、今鶏に対してそういうことを行っておるわけでございます。  もう一つ申し上げれば、アメリカにおいては、えさとしての安全性が確認をされておる。そしてまた、それを食べた家畜の被害事例ということも報告をされておらないわけであります。そういうような中にあって、疑わしいからすべてだめだとか、そういうようなことは暴論に近いものだというふうに私は考えております。
  69. 山口壯

    山口(壯)委員 私、政治家と役人の区別が今つかないのですよ。アメリカで飼料としては認められたこのスターリンクがタコスの皮、食品から出てきた。要するに、飼料として認められて、それだけしかだめだから食品から出てこないかというと、出てきたのです。日本では、飼料もだめ、食品もだめとなっていたのに、食品から出てきた。コーンミールから出てきたのです。それではその教訓を、アメリカのことを待っているのではなくて、アメリカで既にそういう教訓が出たのだから、政治家として先取りして、それがどうして、安全に対しての感覚でもっと前向きの政治家的な答弁ができないのか、我々は本当に疑問に思います。答えが出てこない。
  70. 谷洋一

    ○谷国務大臣 先ほど来繰り返し同じことを言っておるのですけれども日本家畜のえさというのはすごい輸入量なんですね。ですから、潜りで入ってくるのを発見してこれを繰り返ししないようにするということを強く言わなければならない、そういうことでございまして、アメリカ以外から買えばいいのです、買えばいいのですが、ところが、また暴騰するということも現実に今あるのです。そういうことを考えてみますと、家畜農家としては迷惑千万なことだと思いますので、そういうことがないようにしなければならないというところで、我々は検査をしてこれを拒否する。そういうものが入らないものを、我々が検査をして認めないものは入れたらいけないという態度を今とらざるを得ない。それまでの話なんです。ですから、検査を急ぐということが我々の一番の今日の仕事になっておると私は思っております。
  71. 山口壯

    山口(壯)委員 検査がまず先だというよりも、もう既に出ているということが事実としてあるし、農水省もそれを認めている。  そうなると、私、まず確認させてほしいんですけれども、谷大臣、今、私の幾つかの問いに対して前向きの答弁もいただいて、それはアプリシエートしているんです。例えば、スターリンクについては飼料としても使えない、こういうふうに大臣は御答弁になったわけなんで、まずそれを確認させてください。
  72. 谷洋一

    ○谷国務大臣 これはアメリカでは使用になっておっても、日本では試験をしていないので、今のところは入れることができないということを言っておるわけです。ですから、同じことを繰り返し繰り返し言うようでございますけれども、問題は、日本で試験をきちっとして、今は潜りで入ってきておると、この試験をしたわけですから、そうでなくて、本来、この問題が、使っていいものか悪いものかというはっきりした試験をしなければ言えないというのが現実の姿なんですよ。
  73. 山口壯

    山口(壯)委員 今の御答弁の中で、スターリンクは日本では使えない、そういう御答弁をいただいたわけだから、これはそれで確認させてもらいます。  それからもう一つ、すごい輸入量だから全部検査できないからしようがないじゃないか、それは私、農水省として飼料の安全を守られる立場としての答弁としてはいかがなものかと思うんです。  そのことはちょっと先に、物すごい大きな議論になるんですけれども、すごい輸入量だから困るとしても、やはりきちっとした検査体制だけは整えておかなきゃいけない、そういうことだと思うんですね。これから具体的に充実強化体制もとられるでしょうから、それはそういうことでお願いします。  せっかくきょう厚生省の政務次官も来ていただいているんだし、ぜひ食品の問題についても聞かせていただきたいんです。  九日の委員会で私が質問したことに対して、厚生省から、遺伝子組み換え食品として二十九品目認められているという数字を答えていただきました。米国では何品目認められているんでしょうか。
  74. 福島豊

    ○福島政務次官 お答えいたします。  米国の食品医薬品庁、FDAでございますけれども、既に承認されている遺伝子組み換え食品は四十七品目でございます。
  75. 山口壯

    山口(壯)委員 米国で既に四十七品目認められていて、我が国ではまだ二十九品目しか認められていないわけですから、十八品目、いわゆる未承認の遺伝子組み換え食品がアメリカと日本との差という格好で見ればあるわけですね。この十八品目についてきちっとチェックされているのかどうか、スターリンクの話に若干かかわってくるんだと思いますけれども、それはどうでしょうか。     〔二田委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 福島豊

    ○福島政務次官 法的な規制ということにつきまして、まず先生に御説明をさせていただきたいと思います。  本年五月に告示がなされまして、来年四月から遺伝子組み換え食品の安全性審査の義務化というものが施行されるわけでございます。これに基づいて、未審査のものの輸入そして販売等が法律に基づいて四月の時点から禁止をされる、そういう流れになっております。そして、現状では、この遺伝子組み換え食品の検査法について、遺伝子組み換え食品検査の信頼性確保に関する調査研究班において検討を進めておりまして、禁止というものが法律的に定められた時点で適切にそれが運用できるような体制の整備を進めているところでございます。  そして、十八品目のことでございますけれども、この十八品目につきましては、安全性審査を受けておらないということから、米国に対しまして安全性審査を事前にきちっと受けていただきたいということを要請いたしております。その我々の要請に対しまして、十八品種のうち九品種について申請がございまして、現在、安全性の審査が行われている、そういう経過でございます。
  77. 山口壯

    山口(壯)委員 今、来年の四月から法的なそういう体制が整うからということは、裏を返せば、今はチェックされていない、こういうことですね。
  78. 福島豊

    ○福島政務次官 繰り返しの答弁になりますけれども、現状におきましては、四月の義務化の実施に当たりましての体制の整備を進めているということでございます。
  79. 山口壯

    山口(壯)委員 十八品目についてすべて、例えばその遺伝子の情報あるいはその現物を確保しているんでしょうか。もしもそれが確保されていないのであれば、チェックができないわけです。それはいかがでしょうか。
  80. 福島豊

    ○福島政務次官 十八品目についてどのような資料を持っておるかということでございますけれども先生御指摘のように、遺伝子組み換え食品の特定に対しては、遺伝子配列情報、プライマーの情報があれば十分であるということから、すべてにおいて現物を確保しているわけではありません。そして、プライマーにつきましては、現在、申請のあるものにつきましては入手をいたしております。しかしながら、申請がない九品目につきましては現在まだ入手をいたしておりませんで、これについては、先ほどの答弁と重なりますけれども、安全性の審査を受けるようにということを米国に対して要請いたしておりますし、その申請の中で遺伝子配列情報の入手というものに努力をしたいと考えております。
  81. 山口壯

    山口(壯)委員 したがって、その九品目については、まだ検査されていないわけですよね。だから私、未承認作物についても、それが入ってきているかもしれないんですから、スターリンクでさえ入ってきたのだから、これだって入ってくるかもしれない。そうすると、我々、どうしても、そういうものに対してもきちっと検査する体制を整えていただきたいと思うんです。そのことについて、大臣、いかがでしょうか。
  82. 福島豊

    ○福島政務次官 私どもとしましても、今回のような事例もございますので、残りの九品目についても再度強く安全性の審査を受けることを要請すると同時に、安全性の審査を受けるということはプライマーについての情報も提供がなされるということでございますから、その確保に努めてまいりたい、そのように決意をいたしております。
  83. 山口壯

    山口(壯)委員 もう時間も来てしまったけれども、大事なポイント幾つかまだ残っているんですね。このことというのは、安全性の確認というのは非常に限られた項目についてしかできないわけだから、例えばそれを三十年食べ続けた人がどうなるのかということはわからないわけですね。三十年食べ続けた牛がどうなるのか、三十年食べ続けた人間がどうなるのか、わからないわけです。  そうすると、私、いつも繰り返していますけれども日本の食生活もそうだ、だけれども、もう一つは、日本の農業をこれからの食料戦略の中で位置づけていくためには、例えば、アメリカやヨーロッパの開発業者がつくったものに対してどうかかわっていくかという戦略も非常に必要だと思うんです。だから、むしろ警戒的に警戒的に、厳しい態度で臨んだ方がいいのじゃないかということを申し上げておるわけです。  最後に一つだけ、アメリカの中で確認をされている四十七品目の食品について、これは農水省の局長からお答えいただければと思います。飼料として安全性が確認されているもの、アメリカにおいて流通しているもの、これらの中で日本の会社、開発業者がかかわっているものがあるかどうか、最後にここだけお答えください。
  84. 樋口久俊

    樋口政府参考人 現在アメリカで商業的に栽培をされているものの中で、えさ、トウモロコシとして安全性が確認されていないもの、スターリンク一つでございますが、私どもとしては、それに日本がかかわっているということは承知をいたしておりません。
  85. 山口壯

    山口(壯)委員 申しわけない、スターリンク以外のいろいろな飼料、何十種目もあるとは思うんだけれども、そういうものについてどうなっているかという御答弁が今なかったと思うので、それはまた私、次の機会に聞かせていただきます。  きょうは、福島政務次官も、どうもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。私の質問を終わります。
  86. 宮路和明

    宮路委員長 次に、一川保夫君。
  87. 一川保夫

    ○一川委員 まず冒頭に、最近、政治をめぐるいろいろな話題が非常に多い中で、割と不愉快な話題も多いわけですけれども、そういうことがいろいろな面で政治の信頼を低下させたり行政の信頼を低下させたりということの中の一つに、公益法人という話題が労働省の所管の法人をめぐっていろいろとあるわけです。私、きょうは時間がありませんから、そのことについてとやかく、深く突っ込む時間は余りないんですけれども農林水産省はかねてから、公益法人が非常に多い省庁だというふうにも言われております。その中でも、きょう、今いろいろと審議されている、所管している畜産局関係も、公益法人と称する法人が非常に多い局だと聞いておりました。  私は、最近、農林水産省の構造改善事業等をめぐる不祥事等がいろいろとあったわけでございまして、これから新しい農政を展開しようとするこの時期に、ああいったような事件が発生しては絶対いけないというふうに、もちろん思うわけでございますし、国民全体の信頼をかち取るような、国民全体のコンセンサスが非常に大事な時代に、こういった公益法人等をめぐるような話題が変に疑われることがないように、事前にチェックしておくことが非常に大事なことだと私は思うわけです。  そういう観点で、農林水産省全体で現在所管している公益法人というのはどれくらい数があって、それで今、畜産局というのはそのうち大体どれくらいの法人を所管しているのか。また、今回の、例えば家畜伝染病に関係するような公益法人というのはあるのかないのかということを、参考にきょうはお聞かせ願いたいと思いますけれども、ひとつよろしく。
  88. 樋口久俊

    樋口政府参考人 農林省全体のもの、私どもの承知している限りだと思いますけれども、まず、農林水産省所管の公益法人は、私が知る限り四百八十程度というふうに承知をいたしております。その中で、畜産局が所管をいたしておりますのは、現在百五の団体ということでございます。  なお、その中で、家畜病気でございますとかそういうものにかかわりますものとして、一番かかわりがございますのが、社団法人でございますが、全国家畜畜産物衛生指導協会というものがございまして、ここで、例えばいろいろな病気検査をするとか、一番わかりやすいのでは、今回のような病気のワクチンを備蓄する主体とか、そういうことをやっておるところでございます。  あと、全部を御紹介するには時間がないと思いますが、獣医師さんの団体でございますとか、装蹄師さんの団体とか、動物医薬品の団体とか、そういうものが挙げられるわけでございますが、おおむね十法人程度が病気にかかわっているのじゃないかと私は思っております。
  89. 一川保夫

    ○一川委員 今ほどの数を聞いているだけでも、四百八十何がしの農水省全体の法人の中でも畜産局関係だけでも百を超えるということは、異常に私は数が多いような気がするわけです。  これは、当然そういうことが必要な時代があって、いろいろな経過があると思いますけれども、私は今のこの時代にしっかりとそのあたりをもう一回点検し直して、それぞれの法人の担う役割とかいうものについてもう一回チェックをするということは、これから新しい農政を展開する上で非常に大事なことだというふうに思いますので、ひとつよろしく御留意をお願いしたいというふうに希望しておきたいと思います。  さて、今回の家畜伝染病の問題に触れたいと思います。もう御存じのとおり、家畜伝染病に関するこの法律の一部改正に関するものは、平成九年に相当大幅な改正というか、一部改正を当時しているわけですね。これは、最近の家畜経営規模が非常に大きくなってきたという流れとか、海外からいろいろな食肉等が輸入されてくる、そういう中で、伝染病的なものをいかにして防ぐかということの問題意識があって、当然ながらあの改正がなされたと思うのですね。  しかし、最近、口蹄疫の問題が九十二年ぶり発生した。これは、九十二年ぶりですから、そんなものは予測できるものではないと私は思います。しかし、平成九年の改正の折に、いろいろな問題意識があって、それなりの対応はしてきたと思いますけれども口蹄疫という問題も含めて、あの法律改正以降、特に農水省として、家畜伝染病日本に入ってくるのを未然に防止する、そういうことについて、何か特別の対策なり指導はされてきたのかどうか、そのあたりをお聞きしたいと思うのです。
  90. 石破茂

    石破政務次官 前回の平成九年の改正の後に何をやったかということでございます。  先ほど局長からも御答弁申し上げたかと思いますが、演習という言葉がいいんでしょうか、各都道府県で関係者の皆様方に御参加をいただきまして防疫演習というものを行ったということでございます。  そして、これは一種の危機管理だと思いますが、危機管理体制の整備のために診断機器を充実させてまいりました。また、獣医師の皆様方の研修ですとか、届け出の迅速化のためのマニュアルを整備する、そのようなことをやってまいりました。  また、関係者が連携をいたしました防疫を行うための関係機関調整会議を開催したり、動物検疫所体制を整備したりということをやりました結果として、今回の口蹄疫も最小限の被害で防げたというふうには考えておる次第でございますが、さらに充実をさせる必要があるということで、今回の法改正をお願いしておるところでございます。
  91. 一川保夫

    ○一川委員 後でまたこの法律に関する附帯決議が出ますけれども、当時も附帯決議が当然つけられておると思うのです。そういう中にも、要するに、こういう事態が発生しないように万全を期してほしいという趣旨の附帯決議が当時もついていたと思うのですけれども、議会のいろいろな審議の中で出てきた附帯決議というものに対して、もっとしっかりと尊重していただいて、その行政的ないろいろな対応をしっかりとやっていただきたいというふうに強く望んでおきたいと思っております。  さて、先ほど来いろいろな話題が出ている中に、今、今回の口蹄疫についてもまだ完全にその原因が究明されていないという状況ですね。ただ、推測によると、粗飼料として使った、稲わら麦わらかちょっと正確性がないところもありますけれども、そういうものが原因でなかろうかというような話題があります。  私は、先ほどのトウモロコシの輸入の問題でも相当激しいやりとりがありましたけれども、そのわらとかいうものは、確かに相手国に対してある程度のものを義務づけるということは、これからもしたいというふうになっていますが、疑いのあるようなものについては、もうちょっと、日本の国内でそういうものが自給できるのであれば、自給できるような体制にむしろ力を入れた方が望ましいのじゃないかなという感じを私は持つわけです。  特に、今日、御案内のとおりでございますから詳しいことはお話ししませんけれども、中山間地域へ行けば、御案内のとおりの、今農業が本当にうまくいかないと崩壊するかもしれない、そういう時期に来ているわけでございますし、また、米をつくりたくてもつくれない、そういう時代ですよね。米がたくさんとれたら、豊作を喜べないという非常に深刻な状態なんです。  そういうときに、もし人間の主食用以外で何か使えるというものであれば、稲作というものを、単なる主食用の目的での稲作ということのみならず、わら製品としてのいろいろな使い方も一方であるわけでございますので、私は、そういった自給できるような体制、しかも、日本の農業の現状を見たときに、多少そこにコストがかかったとしても、そこは公的な支援で何か乗り切っていく方法はないのかなというふうに思うわけですけれども、そのあたりに対する農水省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  92. 石破茂

    石破政務次官 先生の御指摘のとおりだと思っております。  自給率を向上させるためにはこれが一番効き目があるだろうというふうに思っておりますし、何度か先生とも議論をさせていただいたことですが、中山間地、条件不利地域を再生させるためには、やはり酪農、畜産というものを考えていかなきゃいかぬのだろう。酪農、畜産で、あるいは粗放型という言葉を使うのかもしれませんが、そういうものを普及させていかなければ、中山間地は難しいというふうに思っております。  稲わらは、国内に十分ありますわけで、また、中国産と比べても、そんなに価格競争力がないわけでもないのですね。だとすれば、何が普及しない原因なのかと考えてみますと、一言で言ってしまえば、面倒くさい、そんなものをやるのは面倒くさいということがありますわけで、そこの隘路をどういうふうに解決をしていくかということを考えていかなきゃいかぬだろうというふうに思っているわけであります。  あわせて、ホールクロップサイレージなるものの技術を確立をして、それを普及をさせることも必要なことだというふうに思っているわけでございます。  いずれにいたしましても、今回、飼料増産推進計画というものを立てたわけでございまして、その達成に向けまして努力をしていかなきゃいかぬ、これは本当に、中山間地再生のためにも最も必要なことだというふうに考えておる次第でございます。
  93. 一川保夫

    ○一川委員 そこで、こういうものに対するいろいろなこれからの試験研究的なことについて、ちょっと現状をお聞きしたいわけです。  こういったわらというものについて、飼料用に使ったり、あるいは敷き草的に使ったり、敷きわらですか、そういうものとして利用したりというのは、直接なことはありますけれども、そのほかにも畳の床としてわらを使ったり、最近では、我々が一番身近なものとしては、例えばしめ縄とかああいう工芸品的なものとして、わら製品というものは、割と何となく注目されてきているところが今あるような気がするわけですね。  それに対して、従来この委員会でも話題になりましたけれども、どこかフィリピン等で多収穫米を飼料用としていろいろと考えているところもあるというようなお話とか、あるいは、私もちょっとあるところでお聞きした中に、古代米というものがある。これは、まだ一般的にそんなに大々的に作付されているものではないわけですけれども、草丈が高くて、わらとしては非常に良質のわらがとれるお米らしいです。これは、栃木県かどこか、ある一部のところでつくっているという話もちょっとお聞きしたこともあるんです。例えば、こういうような特殊な稲とかこういうものを含めて、試験研究的に、そのあたりをもうちょっと実用化できる方向へ向けていただきたいと思うんですけれども、そのあたりは現状どうなっているのか、お聞かせ願いたいと思うんです。
  94. 小林新一

    小林政府参考人 多収穫米でございますが、今日までも、一般の主食用の品種に比べまして、玄米重量で約三割ぐらい多収のものといたしましては、平成元年にハバタキ、あるいは同じ年にオオチカラなどを育成してきたところでございます。  平成十一年度から、稲発酵粗飼料、ホールクロップサイレージ用の稲の開発を進めておるところでございまして、御案内のとおり、子実と茎葉の全体を利用して飼料価値の高い稲を開発しようということで取り進めておるところでございます。  具体的な中身といたしましては、専用の多収品種の育成、低コスト栽培技術の改良、また、家畜への給与技術の改良というふうなことに取り組んでおるところでございます。  三つ申し上げましたが、多収品種の育成ということについて申し上げますと、近年、子実と茎葉を合わせました乾物の収量で一・九トン程度とれる中国百四十七号、あるいは関東飼二百六号というようなものを育成してきておりまして、今現在、これらにつきましては品種登録を出願しておるところでございます。  今後の目標でございますが、十年後に乾物収量で十アール当たり二・二トン程度、そういう水準となる品種の育成が行えるように積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  なお、このようにして育成していきます多収品種につきましては、わら収量も当然高いわけでございまして、先ほど先生から御指摘のありました畳や工芸品などへの活用ということもできるということでございます。  今後とも、ホールクロップサイレージ用稲の試験研究ということで、積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  95. 一川保夫

    ○一川委員 試験場等でいろいろと研究されている皆さん方の成果ができるだけ早く生産現場に反映できるように、そのあたりの御努力をひとつよろしくお願いをしたい、そのように思っております。  最後の質問になりますけれども、大臣にお聞きしたいと思います。  今回の口蹄疫の問題に関連しまして、先ほど私が言いましたような稲わらとか麦わら、そういうものがいろいろなルートで日本に入ってくる。その中で、そういうものがちょっと疑わしいということが言われているわけです。そういうことを考えますと、私はそういうものは幾らでも日本で自給しようと思えばできる分野であるというふうにも思うわけでございます。そういうものを将来的というか、あるいはいろいろな検疫の中で疑わしいことが残るとすれば、将来そういうものの輸入を禁止することも視野に入れながら、しかも、日本の中山間地域等ではいろいろな課題をたくさん抱えているわけですから、日本の国内でそういうものを作付することも検討しながら、できるだけ日本の国内で生産できるような方向に切りかえていくような農政をぜひ展開していただきたいというのが私の思いです。  今回のいろいろな制度を研究された研究会の中でも、そういうような意見があったというふうな報告がなされたとお聞きしております。できるだけこういうものを国内生産に切りかえていくというのは、私は、やはり関係者が、大体皆さん、そういう考えを持っていらっしゃるのではないかと思います。農林大臣あるいは政務次官でも結構ですけれども、農水省として、食料の自給率向上ということも含めて、どのような決意でこれから取り組んでいかれるのか、そのあたりをお聞かせ願いたい、そのように思います。
  96. 谷洋一

    ○谷国務大臣 このたびの宮崎並び北海道における口蹄疫発生に伴いまして、中国あるいは韓国等から稲わらないし麦わら輸入されておったということが国民全体にわかったわけであります。畜産農家のみならず、国民全体が知った。だから、我が国における水田農家の方々は、水田にすき込むことをせずに、何としてでもこれを活用して、家畜のえさにお願いしたいと私どもは思います。  しかし、現実の問題として、その運動は強く働きかけることをしなきゃならぬと思うんですが、軽いものですし、かさばるものですから、そう遠方からどんどん運ぶということも至難でございましょう。そういう点からいって、また今の農耕をする場合のすき込みにしても、やはりわらでこれを確保するということでなければできません。そういう意味におきまして、直ちにやるということはできなくとも、何としてでもこれは三年、五年の計画のもとに、できる限り我が国わらの利用、麦の利用、家畜のえさの利用等々を考えまして今後の施策を展開することが大事だ、なかなかそう簡単にいかないにしても、それを実行に移すことが一番大事じゃなかろうか、こう考えております。
  97. 一川保夫

    ○一川委員 ありがとうございました。  以上で終わります。
  98. 宮路和明

    宮路委員長 次に、中林よし子君。
  99. 中林よし子

    ○中林委員 私は、まず家畜伝染病予防法の一部改正案について質問をいたします。  今回の改正案は、全体的な趣旨として、輸入検疫と国内検疫措置強化するものですから、賛成できるものです。これまで、わら及び干し草は指定検疫物に指定されていなかったわけです。わら及び干し草について、植物検疫による蒸熱処理だとか、それから家畜伝染病予防法四十条二項に基づいて処理をされていたわけです。結果的に、私は思うんですけれども、早く指定検疫物に指定されていれば、今回のような口蹄疫が国内に侵入することが防げたのではないかということです。  この教訓は極めて私は大きいと思います。検疫というのは後手後手に回ったら、意味を持たない。だから、先手先手にやっていかなければならないということが必要だと思うので、今回の教訓を動物検疫だけではなくして、植物検疫あるいは食品検疫まで広げていかなければならないというふうに思うんです。  大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、今、検疫も規制緩和の流れの中にあると思うんです。今回のこのような貴重な経験を経て、今回の改正案が出てきているわけですから、これを転機として、貿易大国、輸入大国である日本には、こうした検疫の規制強化というのはさらに大切だと思うので、その点の大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  100. 谷洋一

    ○谷国務大臣 おっしゃるとおりに、今、口蹄疫発生いたしまして、我々は、今さらながら、中国から稲わらとかがどんどん入ってくるという現実をお聞きしまして、びっくりしたわけでございます。  それに携わっておったある商社の方とお会いする機会がありまして、いろいろと聞かせていただきましたが、あんなものはそう簡単にできない、しようと思っても、やはり安いものだからそんなに丁寧にしないんだと、何か当たり前のように言っておりました。ところが、本人自身も、こういう病気が起きて、七百頭もの牛をすぐに殺傷しなければならぬということになってくると、我々も真剣に考えていかなければいかぬ、こういうふうな反省をしておりましたが、全くそのとおりだと思うんです。  だから、国の体制におきましても、今御指摘があったように、厳重にこれを取り締まることも大事ですが、まず、先ほど申しましたように、我が国の製品をできる限り使うということが一番安全でございますし、安全にするためにはそういう方法が第一だと思います。  しかし、その次には、やはり外国から入ってくるものについては厳重な検査をして、検査体制強化する、そして水際作戦で防除するということでなければ、九十二年ぶりときょうは言っておりますけれども、いや、また近いうちにそういう事件が起きたら大変だという気持ちを起こして、今後、みんなで防ぐような手当てを考えなければならない。特に、政府におきましては、そういう法的な根拠をきちっと置いて、国民の皆さんに訴えるということをしたいと思っております。
  101. 中林よし子

    ○中林委員 そこで、大臣もお述べになりました国産稲わらの確保の問題なんですけれども、各地で国産稲わら確保の取り組みがやっと今進み始めたというふうに思います。私どもも、食料自給率を引き上げる観点からも、これは本当に望ましいことだというふうに思っております。だからこそ、さらに一層行政の支援が必要だというふうに思うんです。  これまでの取り組みの事例の報道の中で、課題あるいは問題点も指摘をされております。  中小規模の肉用牛の経営では、わら地域内で賄えているんだけれども、収集だとかこん包、倉庫入庫までがすべて畜産農家の肩にかかっている、こういう問題で大変だということで、魅力がいま一つだという声が出されております。それから、大規模経営では、価格問題だとか保管場所の問題で取り組めない、こういう問題も指摘されているわけです。  だから、私どもは、やはりこれを本当に定着させていく上からも、問題点を農水省としても把握され、その打開策をとって、早く国産で一〇〇%確保できるようにしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  102. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お話がございましたように、現在、国産の稲わらは大体年間九百万トンほど生産をされているわけでございますが、飼料用には百万トン程度しか利用されておりませんで、全体の六割程度がすき込みや焼却という処理がされているわけでございます。  片方、輸入をされております稲わらは二十六万トン程度でございまして、お話がございましたように、自給率の向上や国民の皆さんに安全で安心なものを供給する、そういう畜産を確立するということから、国産の稲わらへの転換は大変大事なことだと思っております。  その中で、これまでのいろいろな反省もありましたし、今回の事例を踏まえまして、二つほど私どもとしては力点を置いてといいますかポイントを置いてということを考えております。  一つは、やはり稲わらを供給するシステムについて、個人あるいは狭い範囲だけではなかなか難しいのじゃないか。例えば、稲わらの場合は、使われる地域と生産される地域が非常に離れているというような実態もございます。そういう面から、そういうシステムを構築することが大事なことではなかろうかと思います。  それからもう一つは、先ほど大臣からも御答弁を申し上げました、あるいは政務次官からもお話を申し上げましたけれども、どうしても面倒くさいとか、一定の機械施設がないということもございますので、稲わら等を収集、調製をしますのに必要な機械施設等の整備のための支援をする、そういう面にも力を入れたい。  そういうことと相まちまして、国産の稲わらの供給を進めることに取り組んでいかなければならないと思いまして、既に現在、特に農業団体の関係者等の大変な、腰の入れ方と言っては俗っぽ過ぎますけれども、そういう腰の入れ方を見ましても、全体として取り組んでいこう、関係者みんながそっちの方向へ向いているということをお話ししたいと思います。
  103. 中林よし子

    ○中林委員 次に、先ほどから大問題になっているスターリンクの問題について、まず厚生省にお伺いします。  厚生省は二月に輸入された食用のトウモロコシを遺伝子組み換え食品の安全性審査に関する研究用サンプルとして採取をされておりました。その中から、九月の上旬に、スターリンクのトウモロコシが混入していたことを知ったわけですけれども、今までというか十一月七日の発表まで、なぜ黙っていたのでしょうか。
  104. 西本至

    西本政府参考人 御説明を申し上げます。  遺伝子組み換え食品につきましては平成九年から厚生科学研究事業としていろいろ研究を進めてまいりました。来年から安全性審査が法的に義務化されるということがございますので、本年は特に検査法の研究というものを中心に進めてまいったところでございます。そのために、今御指摘がありましたように、ことしの二ないし三月ごろに幾つかの検体をサンプリングいたしまして、それを用いて研究を進めてまいったところ、この九月の上旬に、御指摘のスターリンクの混入の疑いがあるという第一報をいただいたわけでございます。このスターリンクは、現在、日本では審査を継続中のものでございますので、その事実を確認する必要があったということで、具体的な作業に入ったわけでございます。  少し細かい話になりますが、どのような作業かといいますと……(中林委員「いや、それはいいです。なぜ、なぜ」と呼ぶ)よろしいですか。  その検査法が実はPCR法というのを我が方は用いておるわけですが、これは非常に擬陽性が出やすい検査法であるということから、その問題になったアベンティス社からのプライマリー情報というものを入手する必要が一つはございます。  それからもう一つは、このDNAというものの塩基配列を明らかにしなければなりませんし、それからもう一つは、非常に重要なことでございますが、アメリカではエライザ法という別の検査法を使っておりました。したがいまして、それのためのキットを取り寄せなければならない。日本で市販されておらなかったということがございます。  このようなことのために一定の時間を要したというのが、この間の事情でございます。
  105. 中林よし子

    ○中林委員 今研究を六月から立ち上げたというお話なんですけれども、これは日本が未承認の遺伝子組み換え食品を水際ではねることができるようにということで、国立の医薬品食品衛生研究所、豊田さんという方を中心に、先ほども言っている検査方法の確立のために始めたということですね。  そうすると、トウモロコシと大豆で、トウモロコシでは未承認のスターリンクというのがいわば標的になっていたというふうに思うんですね。だから、その九月の時点で、擬陽性であれ、そのおそれがあるということが出た時点で、本来は公表すべきだというふうに思うんです。  先ほどから言われているように、このスターリンクでは、Cry9Cという人間の胃腸では消化されない、そういうアレルギーを引き起こす懸念があるということでアメリカでも食用には認められていない、こういう中身なんですよ。  だから、それを厚生省は十分知っておきながら、公表しなかったということは、本来、国民の健康を守ることを第一の任務とする厚生省としては、あってはならなかったのではないかというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  106. 西本至

    西本政府参考人 この種の問題の行政の公表の仕方というものは、非常に私どももデリケートなものがございます。  まず一つは、先ほど申し上げましたように、擬陽性が出やすいPCR法で検知された、しかも、疑いがあるという段階でございますので、幾つかの確認をしなければならないということがございます。それから、安全性審査は現在このスターリンクについても行っておりまして、おおむね終わっておりますが、アレルギー誘因性ということについてのみ資料が不足しているので、これを追加資料で求めているという段階でございますから、公表の仕方いかんによりましては結論が出てしまったという印象を与えかねない。つまり、非常に不安のみを与えるということも当然、我々としては配慮しなければならないわけでございます。  それからもう一つは、食品衛生法の考え方そのものが、健康被害というものを確認したそのときに法的な措置を講じるわけでございますので、来年の四月までは我が方はそういう法的根拠を持っておらないものでございますから、いろいろな配慮をしながらやらなければならないというようなことでございます。  疑わしい結果をそのまま公表するということでなくて、科学的に確定した結果を得ることに努めて、そして、その結果に基づいて必要な対策を取りまとめる、こういうことが私どもとして第一の任務と考えたわけでございます。
  107. 中林よし子

    ○中林委員 アメリカで栽培が認められていないものが、日本に食用品として輸入されたということです。本来、分別流通をしていたはずのものが日本に入ってきていたということなんですから、これはアメリカにとっても日本にとっても重大問題だ、こういう認識は厚生省、お持ちだったと思うんですけれども、それはどうなのか。  それから、アメリカ政府に対しては、いつその点を御報告されたんですか。簡単に。
  108. 西本至

    西本政府参考人 アメリカは、当然のことながら、飼料としては認めているが、食品としては認めていないということが裏切られたわけでございますので、大きな問題意識を持っております。  それから、我が国は、先ほど申し上げましたように、現在継続審査中であるにもかかわらず、そのようなものが混入していたということで、これは非常に重要な問題と。したがいまして、日米双方ともに重く受けとめております。  最初に申し入れをしたのはいつかということでございますが、九月の二十六日に、米国の農務省の貿易担当特別補佐官が我が方に直接参られまして事情を説明されました。そのときに、当方から同氏に対しまして、我が国の食品へのスターリンク混入の疑いを示す結果が得られたという事実を伝えますとともに、米国において、輸出時の検査について対策を強化していただきたい、今後、我が国の食品へのスターリンク混入を防止していただきたいと強く要請をしたところでございます。
  109. 中林よし子

    ○中林委員 私は、これが重大だというふうに思うんです。つまり、アメリカに対しては、九月二十六日に、アメリカの農務省のシディキ氏に、疑いがある、こういう通報をしているわけですね。その前、九月十一日にも、来日した農務省の、これはスラティスキィ博士というんでしょうか、この方に問い合わせをしているという状況なんですよ。国民には全く知らせないでおいて、アメリカには通報していく。国民にはそういう疑いがあるという情報さえも明らかにしない。その間、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの市民団体などもいろいろと申し入れを行っていながら十一月七日まで伏せておいたということは、本当に国民の命と安全に責任を持つ厚生省の信頼失墜、地に落ちたと言っても過言ではないというふうに思います。  農水省も同じ責任を負っているというふうに私は思うんですね。先ほどからも問題になっていますけれども、三分の二からスターリンクが検出されたという問題で、六月、七月、八月と、こういうふうにサンプルを集めながら、準備中ということでほとんど何もやっていなかったという情報が出てきております。だから、私は、そういうものが疑いがある時点から実際輸入されてもう出回っているわけですから、その時点から、国民に対しては、こういう疑いが出てきたとか、その都度その都度公表していくのが、農水省としても、あるいは厚生省としても、本来やるべき姿だというふうに思います。  そこで、問題なのは、スターリンクが混入しないというはっきりしたものがない限り、今出回っているものを輸入中止するべきだというふうに思うんですけれども、厚生省、農水省、それぞれどうでしょうか。
  110. 西本至

    西本政府参考人 まず、厚生省の方から御説明を申し上げます。  十一月七日に公表いたしまして、直ちに日米間で以下のことを合意いたしました。  一つは、事業者は、内陸の積み込み地でトウモロコシをはしけに積み込む際に、米国農務省が定める方法によりまして、検体のサンプリング及び検査を行う、そして、スターリンクが混入されていないことを確認する。これが第一点。  それから、厚生省におきましても、出航前に当該検体の確認検査を行う。これらによりまして、スターリンクが混入して日本輸入されることを十分防止できるというふうに考えているわけでございます。  また、現在、日本に向かっている船上の食品用のトウモロコシにつきましても、私どもの要請を踏まえまして輸入業者が自主的にスターリンクの検査実施いたしまして、検査の結果、もしスターリンクの混入があった場合には、食品用として使用しないという体制をとったとの報告を受けているところでございます。
  111. 樋口久俊

    樋口政府参考人 農林水産省としましても、我が国にこれが輸入されないように輸入前にチェックをするシステム、これについてどのような担保措置ができるか、アメリカ側にきちっとそのプロトコールの作成を要請しております。現在のところお答えは来ておりませんが、引き続き強く要請をしていきたいと思っております。  なお、それと、いわゆる実施検査といいますか、関係者がきちっと輸出前あるいは積み込んだ後チェックをしてもらう、これについても今検討しているところでございます。  なお、こういう状況の中で私どもがやれることといいますと、トウモロコシの組み換えのDNA等々が本当に移行するか、あるいはどういう形で移行することがあり得るのか、やはり、早く事実をつかむことが必要だということで、一番早く結果がわかります鶏につきまして、私どもとしては、通常の手続とは別でございますが、現物を手に入れましたので、可及的速やかに試験を実施したいと思っているところでございます。
  112. 中林よし子

    ○中林委員 法律上の問題で輸入禁止などできないという態度をずっととっておられるわけですけれども、アメリカは、これがよしとはしませんけれども、このスターリンクの入っているトウモロコシは全量買い上げるという素早い対応をいたしましたし、二〇〇一年の作付禁止ということをやっているわけですね。  だから、私は、むしろ被害者は日本の国民だ、この点を考えれば、厚生省も農水省も、本当に輸入中止というようなところまで踏み込まなければならないということを重ねて言いますし、政務次官は、アメリカを信じたことが悪かったと言えばそうなんですけれどもという話があったんですが、市民団体がいろいろ申し入れていることを本当に謙虚に受けとめて、農業や国民の食の安全を守る、こういう立場に農水省も厚生省も立っていただきたいというふうに思います。  そこで、最後になりますけれども豚コレラワクチン接種の問題についてお聞きします。  最近、オーストラリアで豚コレラが確認され、イギリス、ドイツに次いでオーストラリアまで豚コレラが広がって、日本の養豚関係者からも非常に強い不安が出されております。当委員会で私は、豚コレラワクチン接種の継続を強く求め、許可制ながら、豚コレラの接種の継続が認められるようになり、多くの養豚関係者から歓迎の声が出されております。  口蹄疫でさえ侵入する状況の中で、今の動物検疫に対して一〇〇%の信頼がなかったわけですから、農家の自衛措置は当然のことなんですけれども豚コレラのワクチン接種に対して、都道府県などを通じて圧力をかけてやめさせるようなことのないようにというのが養豚農家の強い要望ですので、その点についての決意をお伺いしたいと思います。
  113. 樋口久俊

    樋口政府参考人 二つお答えいたしたいと思います。  その前に、最近発生していますのは、オーストリアでなかろうかと思いますので……(中林委員「失礼しました」と呼ぶ)そうじゃなくて、何を言いたいかといいますと、次に、答弁の中に関係するものですから。  実は、コレラに対しても、我が国では平成五年以降無発生でございます。なお、平成八年からは、関係者一緒になって撲滅対策を講じてきた。例えば、今オーストリアとお話をしましたのは、EU等も、その撲滅について、ワクチンを打たないで撲滅をするという方向に向かっている。つまり、できるだけ正常化する方向が全体の方向だということをひとつ御理解をいただきたいので、お話をしたわけでございます。  その中で、私どもとしては、関係者が一生懸命努力をして撲滅へ向かって一定のレベルに達しているということで、全体としては、原則本年の十月から中止ということではございましたけれどもお話がありましたように、どうしても不安があるから一定条件のもとにワクチンを接種したいという方がおられる、そういう実態を判断いたしまして、一定条件のもとに県知事が許可して、ワクチンを接種していく。ただ、その場合でも、今お話をしましたような正常化へ向けて関係者が努力していくという方向は、関係者皆さん御理解をいただいているということをお話ししておきたいと思います。  なお、私どもとしては、これはまさに全体が一致してその方向へ進んでいるので、だれかが無理やり、例えば強制的な圧力をかけて、ある行為をしてはいけないとか、するようにするということは全く考えておりませんで、統一的な指導基準は既に出されていることでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  114. 中林よし子

    ○中林委員 終わります。
  115. 宮路和明

    宮路委員長 次に、山口わか子君。
  116. 山口わか子

    山口(わ)委員 最後になりました。社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。  今回の口蹄疫発生に伴う防疫措置実施について、明らかになった課題について御質問をさせていただきます。  まず第一に、ことし三月、宮崎県で口蹄疫発生が確認されたわけです。北海道発生するまでに約一カ月かかっています。しかも、最も被害を受けたのは北海道でした。この間、北海道で発見されるまでになぜ一カ月も経過したのか。宮崎での発生から、全飼育農家へ情報公開が十分されたのかどうか。そして、発見のための諸検査実施など、発生防止ができなかった理由について御質問をさせていただきます。
  117. 樋口久俊

    樋口政府参考人 まず一点目は情報公開のお話でございますが、私どもとしましては、これは大変な病気でございますので、いわゆる風評被害等が発生するということを大変心配をいたしましたので、情報は、いわば定期便というんですか、毎日正確な情報をお流しするということに努めてきたつもりでございます。そのことによりまして、風評被害、消費者の皆さんが無用な動揺をされたということはなかったのじゃないかと思っております。  ただ、北海道におくれて発生したので、何かそういうマニュアルみたいなものがなかったからかというお話でございますが、実態を申し上げますと、二十年ほど前に海外悪性伝染病防疫要領というのが実はございまして、これがありましたことが、今回大きな事故にならなくて済んだ原因一つではなかろうかと私どもは思っておりますが、その中に、発生後どういう調査をやるかという項目がございます。そういう要領に基づきまして、一定防疫措置、例えば、殺処分をするとか交通遮断をするとかということのほかに、抗体検査をやる、あるいは移動をしている可能性があるので、そういう可能性があるところを徹底的に調査しよう、その調査をしていた中で実は、北海道で抗体検査の過程で引っかかってきたということでございます。  むしろ、お言葉を返すようでございますが、そういうマニュアルがなかったからではなくて、あって、きちっとこういう調査をしなさいという手順の中で見つかったということを御説明したいと思います。
  118. 山口わか子

    山口(わ)委員 わかりました。  続きまして、北海道の飼育農家につきましてですが、七百五頭飼育していたそうです。そのうち二頭の牛から口蹄疫ウイルス遺伝子の断片が疑似患畜と診断されたと聞いております。しかも、全く発症をしていなかったそうです。この二頭についての殺処分を行った以外に、残された七百三頭すべてを全く正常であるにもかかわらず殺処分をしたわけですが、その理由、疑いを持って全頭を殺処分したその根拠についてお伺いしたいと思います。
  119. 樋口久俊

    樋口政府参考人 先ほども御説明申し上げましたが、一定調査をしていく中で、この当該農場下の二頭の牛で遺伝子の断片が見つかっております。その場合にどういう措置をとるか。一つは、片方ではなるべく蔓延防止しないといけないという要求がございます。片方ではできるだけ経営に影響を与えないという要求があるかと思います。  その場合にどういうふうな対応をするかということでございますが、この農場の実態を判断するときに、関係者、それから現地を見られた方と本省に置いておりました防疫技術委員会というのに相談をしましたが、同一の管理者によって飼育をされていたということが一点でございます。それから二点目が、同じような飼料が全体に給与されていた。もちろん、その時点ではまだ原因は全くわかっておりません。それから、飼養の形態でございますが、全体の牛舎が開放牛舎でございまして、しかも、近接をしているということでございまして、これらを総合しますと、もう汚染をされているといいますか、感染している可能性が極めて強い。  この家畜伝染病予防法の中には、全くかかってしまったいわゆる患畜と呼ばれるものと、感染の可能性が強いという疑似患畜と分けて書いてございますが、疑似患畜の場合も殺処分をするということになっておりまして、全体として、蔓延防止観点から、七百五頭を殺処分するということが適当であろうという技術的な判断が下されたわけでございます。
  120. 山口わか子

    山口(わ)委員 今回はこういうふうに七百五頭という大変大量の殺処分が行われたわけでして、このようなことが繰り返されますと、農家は飼育する意欲も失われますし、大変なショックだというふうに思っています。  ですから、感染経路とかウイルスの実態解明、ワクチンの完備、予防技術の向上など、殺処分をしなくても済む方法がなかったのかどうか。これはお答えいただかなくても結構ですが、これからぜひ研究をしていただいて、農家のショックもぜひ考えてほしいというふうに思っております。  続きまして、今回の法改正で、発症地の通行遮断、殺処分、そして汚染物質の埋却は四十八時間から七十二時間に延長されるわけですけれども、さきの農家のように大規模に七百五頭も殺処分をしなければならないというところは、七十二時間でもまだ不十分ではないかという心配があります。  さらに、死体の処分は現地またはその近くとなっておりますけれども、現地ではさまざまな問題が起こったというふうに聞いておりまして、環境上の問題がないのか、大変疑問に思っております。  また、この農家では、畜舎の消毒に連日百十名体制消毒ポイントの協力など延べ四千人のボランティアの協力をお願いしたと聞いておりますし、車両の消毒と交通規制は約一カ月、毎日八十人体制で行ったという大変な大騒ぎになったと聞いております。しかも、費用は農家が負担することになるわけです。今回は自治体が負担をしたと聞いておりますけれども、こうした大規模農場での対応を含めまして、処理の方法とか国の費用負担などについてどう考えておられるのか。そして、今回の法改正でもある程度運用ができるのか。大規模な、実態に合わないことが出てきたときに、そういうことをお考えなのか。ちょっとお伺いしたいと思います。
  121. 樋口久俊

    樋口政府参考人 発生をしました対象の、今回でございますと牛でございますけれども、その殺処分、埋却について、法律の規定に基づきまして一定の手当金が支払われる、その内容はもう先生御承知だと思いますので、省略をいたしますけれどもお話のございますように、特に大規模になった場合には、本人が、もともとそういうことが発生したことに加えて、経済的に相当負担になる可能性があるということはお話があったとおりでございます。  そういうこともございまして、一つは、関係者といいますか農家の皆さんで、事例は豚コレラでございますけれども互助基金を設けるという方向で今検討が進んでおります。  なお、実際問題として、先ほども若干お話をしたのですが、大規模になりますと、経営に当たっておられる方の精神的なショックもございますし、物理的にとても少人数で対応することはできないわけでございますので、今回、その経験を踏まえまして、県の家畜防疫員が先頭に立ちまして、みずから指揮をとって殺処分あるいは埋却をできるという規定を設けさせていただくことになるわけでございます。その場合には、負担は公費でやるということになりますので、先ほどお話がございましたような二分の一負担等々については、本人が負担をされるということにはならないということでございますので、あわせて、今回のような状況を踏まえた支援措置、助けになろうかと思っているところでございます。  なお、つけ加えて申し上げますと、七十二時間で大丈夫かというお話もあったわけでございますが、これは、片方では、蔓延防止措置をきちっとやるためにはとにかく長い間封じ込めるといいますか、塩漬けにするという要求があるわけでございますが、片方、そこの、閉じ込められた輪っかの中に生活される方の日常の生活を制約する、全く身動きできなくなるわけでございますので、それとの兼ね合いになろうかと思います。  今回は七十六時間ほど要しているという実績もございますのと、片方、立法例として、人間で、大変重たい病気、ペストという病気があるわけでございますが、これが発生したときには七十二時間までは通行遮断できるという規定がございますので、これらを参考にさせていただきまして、やはり最高七十二時間までの間を上限として通行遮断をする権限を法律上与えていただくということが適当ではないか、また、そうお願いできればと思いまして、法律提案をさせていただいているということでございます。
  122. 山口わか子

    山口(わ)委員 この農家の方は、やむなく営業中止をしたというふうに聞いております。ですから、皆さんのことを考えて、これからもできるだけ運用面で対応できれば大変いいのではないかというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。  次に、三月に発生して以来、いまだに発生原因について、今、輸入わら飼料原因である可能性が高いということにはなっておりますが、はっきり特定されていないというふうに聞いております。  感染経路の継続調査原因究明のための調査がどこまで進んでいるのか、また、現段階でわかっていることについてお聞かせをいただきたいと思います。
  123. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  現在、私ども原因究明は大変大事なことということでとりました措置、大きく分けて三つございます。  一つは、家畜が導入されてまいりましたもと、導入元の農場、あるいは、これと極めて関係のある場所とか、いろいろな方、車が出入りをしておりますので、そういうものの調査。それから、ウイルス遺伝子を捕まえておりますので、その遺伝子の配列等を分析しまして、どっちの方角から来たのかなという話でございますが、そういう確認をする。それから、専門家の中でチームをつくりまして、いろいろな疫学的な調査をする。おおむね三つの調査をやったわけでございます。  ただ、残念ながら、つかまえられた情報といいますか、それ自体が限られていたということもございまして、最終的に確定をするということはできておりませんけれども中国方角の、麦わら可能性が強いということまでは私どもとしては一応考えているということでございます。  なお、そのウイルスを捕まえておりますので、そのウイルスを増殖しながら、今度は逆にいろいろな、特に、かかる動物は偶蹄類でございますが、それに植えつけまして、その抵抗性等を見ながら、また何か新しい材料が出てくればということで、現在、実験をしているということでございます。
  124. 山口わか子

    山口(わ)委員 原因が特定できませんと、対策も十分な対策が立たないということもありますので、原因究明についてはしっかりやっていただきたいというふうに思っております。  続きまして、平成九年の法改正時に附帯決議が付されています。  その中で、「病原性大腸菌O—一五七による被害の発生・伝播を防ぐための措置の一環として、と畜場、食肉センター等における衛生管理の徹底を図ること。また、安全な畜産物を国民に供給するため、政府は、HACCP方式の導入を推進すること。」となっています。  この附帯決議に基づいて、その後、どう実施されておりますか。もし成果が上がっていれば、同じように飼育農家における衛生管理も波及効果があらわれたというふうに思っておりますので、お答えをいただきたいと思います。
  125. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。二つあるかと思います。  一つは、HACCP方式の導入についてでございますが、その後、食肉処理施設についてやはり衛生管理基準に従ったものがつくられることが大事だろうということでございまして、現在、いわゆる大動物、牛、馬を処理する食肉処理施設につきましては、二百八施設のうち百八十三カ所が基準に適合するように私どもとしては指導をしておりまして、必要なものについては一定の助成を申し上げておりますが、現在、百八十三カ所が基準に適合するということになっております。  それから、小動物、豚とか綿羊、ヤギを処理する食肉処理施設は、二百二十六カ所が稼働中でございますが、これにつきましては、平成十四年三月まで、これは経過期間でございますけれども、この間に全部が適合するようになるということでございまして、その面の指導あるいは援助の成果は上がっているのじゃないかと私どもは思っているところでございます。  あと、動物検疫所と県の家畜保健衛生所の機能の充実ということでございますが、これにつきましては大変多うございますから……
  126. 山口わか子

    山口(わ)委員 それは後で質問します。  HACCP方式の導入というのは、大変だと思うんです。人手、時間もかかりますし、雪印食中毒問題でもこのHACCP方式で本当にいいのかどうかという議論になりました。小さい事業所では、このHACCP方式を導入することはいろいろな意味で経済的にも大変難しいというふうに考えております。やはり何といっても、基本的な衛生管理をきちっと実行していくことが一番大事なことだというふうに思っておりますので、その辺は十分に指導をしていかないと、HACCPをやればいいという感じになってしまってもいけないと思います。やはり基本的な消毒の観念、防疫の観念を御指導いただきたいというふうに思っております。  もう一つの、最後の附帯決議ですが、「家畜防疫体制に万全を期すため、動物検疫所及び家畜保健衛生所の機能の充実を図るとともに、防疫対策を強力に推進すること。」というふうになっております。しかし、現状では、家畜保健所の統廃合など、合理化によりまして大幅に減少していますし、家畜防疫員の数も減少しています。反面、家畜農家数も減少していますので、ただ、問題は、非常に点在しているということから考えましても、行動範囲が非常に広くなるという意味で、大規模な感染症が発生した場合に十分な対応ができるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  127. 樋口久俊

    樋口政府参考人 これは、動物検疫所家畜保健衛生所と両方あるのでございますけれども、検疫所の方は、もう施設も人も、私どもとしてはいろいろな必要なものを要求しておりますので、お話がございました家畜保健衛生所を中心にお答えを申し上げます。これは拠点化あるいは施設の充実ということで、むしろ機動的に対応することが一つ大事ではなかろうかということで、私どもとしてはそちらの方に力を入れて、機能の充実という形で御支援を申し上げているということでございます。  特に、機械は入れても今度は技術が伴わないといけないということがございますので、職員の皆さんの技術水準の向上のための、例えば講習会でございますとか研修、それにいろいろな形で私ども支援をする、そういうことで対応しているということでございます。
  128. 山口わか子

    山口(わ)委員 本当に思わない事故というのは、予期せずして起こります。ですから、やはりそれに対する事前の準備あるいは人的な対応ども、これからぜひ十分考慮して実施していただきたいというふうに思っております。  今回の口蹄疫での国内防疫体制の整備について、幾つかの課題が今までの御質問の中にも出されているわけです。特に大規模発生等についても対応できるような、国、都道府県、市町村、関係団体、畜産農家、民間獣医などの役割分担の明確化、密接な連携の必要性について、先ほどからの御質問もありましたように、未然に防ぐことがやはり大前提だというふうに思っております。  こうした観点から、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  129. 谷洋一

    ○谷国務大臣 九十二年ぶりにございましたこのたびの口蹄疫発生につきましては、私どもは驚いたと同時に、多大の被害を与えたわけでございますけれども、何といっても、国、道、県、市町村、そして団体の皆さん方が一致結束し、それを畜産農家の方々に支えていただいたというところに早期終結に成功したという最大原因があったかと思います。そして、やはり常時予防ということに全力を挙げてやっておることが、今日の成果を上げたのではなかろうかと思っております。  こういう結果を踏まえまして、我々は、二度と繰り返さないためには、やはり家畜のえさあるいはそのほか万般の問題について逐一懸命の努力を常に払っておくことが大事じゃなかろうか、こう考えておりまして、気を新たにして今後の対応に全力を挙げていきたい、こう思っております。
  130. 山口わか子

    山口(わ)委員 時間が参りました。ありがとうございました。
  131. 宮路和明

    宮路委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  132. 宮路和明

    宮路委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  133. 宮路和明

    宮路委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  134. 宮路和明

    宮路委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、二田孝治君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び21世紀クラブの七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。丸谷佳織君。
  135. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 私は、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び21世紀クラブを代表して、家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     家畜伝染病予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、最近における悪性伝染病の発生状況畜産経営規模拡大等の現状を踏まえ、左記事項の実現に万全を期すべきである。       記  一 家畜伝染性疾病発生予防及びまん延防止措置効果的かつ円滑に実施するため、防疫措置の基本的方向及び国、地方公共団体、関係団体、畜産農家、民間獣医師等の役割分担等を示す指針、計画を早急に策定・公表し、国民の理解と協力を得られるようその周知徹底を図ること。  二 万全な家畜防疫体制を構築するため、家畜保健衛生所、家畜衛生試験場及び動物検疫所の機能の充実を図るとともに、関係団体・畜産農家等による自主的な防疫措置に対する支援海外悪性伝染病の専門家の養成・確保、研修等を通じた家畜防疫員及び獣医師の一層の資質の向上に取り組むこと。  三 今回の口蹄疫発生原因等の調査究明に引き続き努めるとともに、輸入検疫を的確に実施するため、海外悪性伝染病等に関する情報収集及びその発生防止のための国際協力を積極的に推進すること。指定検疫物等の指定については、海外における家畜伝染性疾病発生状況、国際物流の動向、家畜の飼養形態の変化等を踏まえ適切に行うこと。   また、慢性疾病の発生予防動物由来感染症対策を推進するほか、豚コレラワクチン接種中止に伴う生産者の不安を解消するため、その衛生管理水準の向上、防疫体制の一層の整備に努めるとともに、引き続き狂牛病等伝染性海綿状脳症の発生メカニズムの研究及び防疫方法の確立に努めること。  四 大量の殺処分が行われた場合等における焼却・埋却場所の確保策等について早急に検討を進めるとともに、畜産経営への影響を最小限に抑えるため、生産者等による自主的な互助基金の創設等発生農家の負担軽減を図る仕組み検討すること。併せて、家畜共済への一層の加入促進を図ること。  五 わら乾草を介した海外からの口蹄疫侵入防止飼料自給率の向上、畜産物の安全性の確保を図り、ひいては循環型社会を形成するため、国産稲わらの自給体制を構築するとともに、耕種農家と畜産農家の連携を図る等その円滑な流通及び利用促進のための対策を充実・強化すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
  136. 宮路和明

    宮路委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  137. 宮路和明

    宮路委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣谷洋一君。
  138. 谷洋一

    ○谷国務大臣 ただいまは家畜伝染病予防法の一部改正につきまして、慎重御審議の上御可決いただきまして、まことにありがとうございました。  また、附帯決議をいただきましたが、慎重協議をいたしまして、皆様方の意向を反映させていきたいと思っております。  ありがとうございました。     —————————————
  139. 宮路和明

    宮路委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  141. 宮路和明

    宮路委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十七分散会