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2000-09-29 第150回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年九月二十一日)(木曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 宮路 和明君    理事 岸本 光造君 理事 西川 公也君    理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君    理事 安住  淳君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 丸谷 佳織君 理事 一川 保夫君       逢沢 一郎君    石破  茂君       今村 雅弘君    岩倉 博文君       金田 英行君    北村 直人君       熊谷 市雄君    小島 敏男君       後藤田正純君   田野瀬良太郎君       浜田 靖一君    福井  照君       松岡 利勝君    森山 眞弓君       岩國 哲人君    後藤 茂之君       佐藤謙一郎君    津川 祥吾君       筒井 信隆君    永田 寿康君       長浜 博行君    楢崎 欣弥君       三村 申吾君    漆原 良夫君       高橋 嘉信君    中林よし子君       松本 善明君    菅野 哲雄君       山口わか子君    金子 恭之君       藤波 孝生平成十二年九月二十九日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 宮路 和明君    理事 岸本 光造君 理事 西川 公也君    理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君    理事 安住  淳君 理事 筒井 信隆君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 丸谷 佳織君    理事 一川 保夫君       石破  茂君    今村 雅弘君       金田 英行君    北村 直人君       熊谷 市雄君    小島 敏男君       後藤田正純君   田野瀬良太郎君       高木  毅君    浜田 靖一君       福井  照君    松岡 利勝君       森山 眞弓君    井上 和雄君       岩國 哲人君    後藤 茂之君       佐藤謙一郎君    津川 祥吾君       中田  宏君    永田 寿康君       長浜 博行君    楢崎 欣弥君       漆原 良夫君    高橋 嘉信君       中林よし子君    松本 善明君       菅野 哲雄君    山口わか子君       金子 恭之君    藤波 孝生君     …………………………………    農林水産政務次官     石破  茂君    政府参考人    (外務省経済局長)    田中  均君    政府参考人    (農林水産省経済局長)  石原  葵君    政府参考人    (農林水産技術会議事務局    長)           小林 新一君    政府参考人    (食糧庁次長)      新庄 忠夫君    農林水産委員会専門員   和田 一郎君     ————————————— 委員の異動  九月二十九日  辞任         補欠選任   岩倉 博文君     高木  毅君   岩國 哲人君     井上 和雄君   三村 申吾君     中田  宏君 同日  辞任         補欠選任   高木  毅君     岩倉 博文君   井上 和雄君     岩國 哲人君   中田  宏君     三村 申吾君 同日  理事安住淳君同日理事辞任につき、その補欠として筒井信隆君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(平成十三年産米穀政府買価格等)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 宮路和明

    宮路委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事安住淳君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事筒井信隆君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 宮路和明

    宮路委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業の実情を調査し、その振興を図るため  農林水産業振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産金融に関する事項 及び  農林漁業災害補償制度に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 宮路和明

    宮路委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、平成十三年産米穀政府買い入れ価格等米価審議会への諮問について政府から説明を聴取いたします。農林水産政務次官石破茂君。
  8. 石破茂

    石破政務次官 平成十三年産米穀政府買い入れ価格及び米穀標準売り渡し価格米価審議会への諮問につきまして御説明申し上げます。  米穀政府買い入れ価格につきましては、食糧法のもとで、自主流通米米流通主体となったことを踏まえ、自主流通米価格動向を反映させるほか、生産コスト等を参酌し、米穀の再生産を確保することを旨として定めることとされておりまして、平成七年十二月に米価審議会意見を聞いて、現行算定方式設定されたところでございます。  平成十三年産米穀政府買い入れ価格につきましては、米穀需給動向市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営が図られる現行算定方式に基づき算定することといたしまして、本日の米価審議会諮問を行い、御審議をいただいているところでございます。  また、米穀標準売り渡し価格につきましては、食糧法の趣旨を踏まえ、米穀需給動向財政事情等総合的に考慮することを内容とする諮問を行い、政府買い入れ価格とあわせて御審議いただくところでございます。  以下、これらの諮問の概要につきまして御説明を申し上げます。  初めに、「諮問」について御説明させていただきます。資料番号1を御参照いただきたいと存じます。      諮問   平成十三年産米穀政府買価格については、米穀需給動向市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図るとの観点に立って算定を行い、この算定に基づき決定する必要があると考える。また、米穀標準売渡価格については、米穀需給動向財政事情等総合的に考慮し、これを決定する必要があると考える。これらについて米価審議会意見を求める。   平成十二年九月二十九日          農林水産大臣 谷  洋一  次のページに「諮問説明」がございます。これにつきましても、恐縮でございますが、朗読をさせていただきます。      諮問説明   食料・農業農村基本法の理念を踏まえ、昨年十月に「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策大綱」を取りまとめたところであり、これに即し、需要に応じた米穀計画的生産の徹底と水田における麦・大豆・飼料作物等本格的生産を二本柱とする総合的施策を推進しているところであります。   また、平成十二年産米穀の作柄及び最近の需給価格動向にかんがみ、緊急に米穀需給稲作経営の安定を図る観点から、米穀持越在庫水準早期適正化平成十三年産米穀生産調整規模拡大稲作経営安定対策についての臨時特例措置などを柱とする総合的な米対策を取りまとめたところであります。   平成十三年産米穀政府買価格及び米穀標準売渡価格につきましては、計画流通制度運営の一環として、「主要食糧需給及び価格の安定に関する法律」の規定に基づき、適切に決定する必要があります。   具体的には、平成十三年産米穀政府買価格につきましては、引き続き、自主流通米価格変動率及び生産コスト等変動率基礎として、需給動向市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営が図られる現行方式により算定することとしてはどうかということであります。   また、米穀標準売渡価格につきましては、備蓄運営を的確に行えることを旨とし、米穀需給動向財政事情等総合的に考慮して決定することとし、ミニマムアクセス輸入米は、国内産米価格体系との整合性も踏まえながら決定することとしてはどうかということであります。なお、実際の売却に当たっては、備蓄の適切な運営を図る観点から、標準売渡価格基準としつつ、需給動向等に対応して弾力的に予定価格設定を行う必要があります。  次に、資料番号2の「平成十三年産米穀政府買価格試算」という横長の資料について御説明を申し上げます。御参照賜りたいと存じます。  まず、一ページでございます。  1に「政府買米価算定考え方」を整理してございます。  従来どおり算定方式でございますが、まず、自主流通米価格形成センターにおいて形成されます自主流通米入札価格動向比較により価格変動率を求めます。次に、生産費調査に基づく米販売農家の全算入生産費動向比較により生産コスト等変動率を求めます。この二つ変動率を均等のウエートにより前年産政府買い入れ価格に乗じて算出することといたしております。  なお、政府買い入れ米価について、需給事情市場評価を反映させつつ、安定的な価格運営を図る観点から、自主流通米価格変動率生産コスト等変動率を求めるに当たりましては、二ページにございますとおり、移動三カ年平均による比較を行うことといたしております。  以上、御説明申し上げました考え方に基づく平成十三年産米穀政府買い入れ価格の具体的な算定要領は三ページ以下で御説明をいたしておりますが、その算定結果につきましては、二ページの「2 算定」に示しておりますとおり、六十キログラム当たり一万四千七百八円、前年産価格に対し三百九十六円の引き下げ、率で申しますと二・六%の引き下げと相なります。  なお、この価格は、(注)として書いておりますように、ウルチ一—五類、一—二等平均包装込み生産者手取り予定価格でございます。  三ページ以下、「算定要領」ということで、各算定要素について御説明をいたしております。  時間の都合もございますので、簡潔に説明をさせていただくことをお許しいただきたいと存じます。  基準価格につきましては、先ほど御説明いたしましたように、前年産、すなわち平成十二年産米穀政府買い入れ価格一万五千百四円を用いております。  次に、自主流通米価格変動率でございますが、自主流通米価格の中期的なトレンドを反映させるとの観点から、すべての上場銘柄加重平均価格の直近三カ年平均とその前年の三カ年平均比較することにより求めております。  その結果、自主流通米価格変動率は、九六・四八%と算出され、三・五二%低下をしていることになります。  生産コスト等変動率につきましては、四ページにございますとおり、家族労働費変化率物財雇用労働費等変化率という二つ変化率についてウエートづけを行い、単収の変化率で割り戻すことにより、生産コスト等の全体の変動率を求めております。  これにより、生産コスト等変動率は、九八・二七%と算出され、一・七三%低下をしておることになります。  恐縮でございます、最後に八ページをお開きいただきたいと存じます。  この八ページにおきましては、類別等級別価格の算出について説明をいたしております。  これまで御説明申し上げました方法により算出いたしましたウルチ一—五類、一—二等平均包装込み生産者手取り予定価格基礎にして、ウルチ類一等裸価格を求めます。この価格銘柄間格差等級間格差を加減いたしまして、右の表にあります類別等級別価格を算出いたしておるわけでございます。  以上が、平成十三年産米穀政府買い入れ価格試算についての御説明でございます。  次に、資料番号3の「米穀標準売渡価格改定内容(案)」について御説明を申し上げます。  まず、一ページ目の国内産米についてでございます。  国内産米標準売り渡し価格設定基本的考え方でございます。食糧法のもとで政府米備蓄運営の機能を有するということを踏まえながら、米穀需要及び供給の動向家計費並びに物価その他の経済事情を参酌し、消費者家計を安定させるということを旨として定めることとされておるわけでございます。  次に、標準売り渡し価格設定に際して参酌すべき米穀をめぐる事情でございます。  まず、(1)の「最近の需給動向」でございますが、米穀の全体需給は、近年、大幅な緩和基調で推移してきておりまして、本年十月末の国内産米在庫は、政府米が二百五十六万トン、自主流通米が二十四万トン、合計二百八十万トンと適正水準を大きく上回る状況となっております。  また、十二年産米の作況も一〇三と豊作が見込まれております。  このような中で、緊急に米穀需給稲作経営の安定を図る観点から、米穀持ち越し在庫水準早期適正化、十三年産米生産調整規模拡大稲作経営安定対策についての臨時特例措置などを柱とする総合的な米対策を取りまとめたところでございます。  次に、(2)の「家計費及び物価動向」でございます。  最近におきます家計費及び物価動向を見ますと、米流通主体である自主流通米価格低下等を背景として、家計消費支出に占める米類の割合が低下傾向にあります。  標準売り渡し価格前回改定時であります平成十二年一月と現時点との比較で見ますと、消費者物価指数は、総合で〇・一%の低下米類につきましては〇・六%の低下となっております。  次に、「政府管理コスト」、(3)でございます。  適正備蓄水準を大幅に超える備蓄保有備蓄米保管期間長期化等によりまして、保管経費は、高水準で推移をいたしております。  二ページを御参照いただきたいと思います。  (4)の「政府買価格」でございますが、これにつきましては、先ほど御説明をいたしたとおりでございます。  次に、標準売り渡し価格改定内容でございます。  ただいま申し上げましたような状況を踏まえつつ、政府買い入れ価格引き下げ効果消費者に適切に還元することとし、国内産米標準売り渡し価格につきましては、消費者家計の安定が図られるよう改定するということでございます。  具体的には、平成十三年一月一日以降、水稲ウルチ玄米一—五類、一—二等平均包装込み、六十キログラム当たり消費税額を含みません標準売り渡し価格を百八十八円、率にいたしまして一・一%引き下げ、一万六千三百四十八円とするものでございます。  銘柄別等級別標準売り渡し価格は、四ページに掲げておるとおりでございます。  最後でございますが、二ページの下の(4)でございます。  要するに、実際の政府米売り渡し当たりましては、今申し上げました標準売り渡し価格基準として売り渡し予定価格を定めることといたしておりますが、この予定価格につきましては、最後の二行に記してございますように、需給市場価格変動に対応し得るよう適切かつ弾力的に設定することといたしております。  三ページは、ミニマムアクセス輸入米標準売り渡し価格でございます。  国内産米価格との整合性を踏まえ、平成十三年一月一日以降、水稲ウルチ玄米M3、正味六十キログラム当たり消費税額を含みません標準売り渡し価格を百三十八円、率にして一・一%引き下げ、一万二千四十九円とするというものでございます。  銘柄区分ごと標準売り渡し価格は、次の四ページのとおりでございます。  その他の配付資料につきましては、時間の関係上、説明を割愛させていただきたいと存じます。  以上でございます。
  9. 宮路和明

    宮路委員長 以上で説明は終了いたしました。     —————————————
  10. 宮路和明

    宮路委員長 この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省経済局長石原葵君、農林水産技術会議事務局長小林新一君、食糧庁次長新庄忠夫君及び外務省経済局長田中均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  12. 宮路和明

    宮路委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金田英行君。
  13. 金田英行

    金田(英)委員 おはようございます。  石破総括政務次官には、本当に、激務の中、こうやってまた私どもとおつき合いいただきまして、ありがとうございます。自由民主党を代表して、この委員会での質問をさせていただきます。  ここに一枚の報告書があります。私の選挙区管内で、農家経済の逼迫と将来展望に失望したために発生した犠牲者事例についてということで、ここ一、二年の間に発生した農家経営者自殺事例でございます。四つほどありますので、簡単に述べさせていただきます。  A農協組合員年齢五十歳。七階ビルからの落下事故による死亡とされているが、農業経営的に限界にあり、収支が悪化して、真相は落下事故かどうか不明ということであります。  二点目。B農協組合員。四十二歳。転作によって畑作類の作付に移行したが、野菜価格低迷等が要因で農業収入計画どおりにいかず、その結果、負債が累積傾向となって、将来を思い詰めて自殺。  C農協組合員年齢五十一歳。経営比較的順調にいっていたが、六年前に経営規模拡大とそれに伴い農業機械を購入した。規模拡大による借入金の償還は滞ることはなかったが、農産物価格低迷等農業事情から、将来に失望して自殺。  事例四。D農協組合員年齢三十一歳。経営面積七・五町歩、転作率五〇%。七年前に農業大学を卒業し、農業に従事した。本人自身は、農協青年部活動作物別部会活動に積極的に参加し、将来の地域リーダーになる資質を備えていた青年であった。しかし、二年前に農地拡大し、米と野菜複合経営を展開していたが、米、野菜価格低迷等により二年続けてマイナスの農業収支となった。健全経営状況に立て直すきっかけを見出せず、ことしの春先よりうつ病になるとともに、農業に従事することができなくなり、購入した農地を再度処分しなきゃならない状態となっている。  ちょっと取り上げただけでも、これだけの農家経営自分の命を絶たなければならないというような思い詰めた状況にあるわけであります。特に、こういった米の値下がりあるいは野菜価格低迷等は、兼業農家でなくて専業農家に甚大な影響を与えておるのでございます。  このたび、政府自主流通米価格入札、きょう三回目の入札が行われるわけでありますが、二回目の入札を見てみますと、十一年産通年平均価格に比べて一俵当たり五百五十四円下落して、一万六千三百五十円となっておるわけでありまして、このような価格では、流通コストを差し引くと生産コストを大幅に割り込んでしまいます。  新しい基本法を昨年の七月に決めさせていただきましたけれども、あの基本法の中では、努力した農家が報われる、そういった農政を展開しようということで標榜しているわけでありますけれども、我々の標榜とは別に、現実はそういった状態になっていないというのが残念ながら専業農家の実態でございます。  そして、このたび、政府、そして自民党の中で、今年産米豊作という状態を踏まえて、自主流通米のこのような値下がりに何とか歯どめをかけなきゃならない、そのための総合的な対策をとられたということで、この対策について高く評価させていただいております。まさに、今回の政府の決断は、新基本法の方向に即したすばらしい対策であると考えております。本当に農林水産省の労を多とさせていただきたいということであります。  なぜこんなに褒め上げるか、褒め上げるかというか対策総合的に実施したということを評価するかということでありますが、大体七十五万トンの政府援助枠というのをつくらせていただきました。そしてまた、政府の買い上げを、本来の備蓄ルールだと、売れた分から二十五万トンを減った分だけ買い上げましょうという備蓄ルールを飛び越えて緊急の四十万トンの政府買い入れを決定していただいた。合わせて百十五万トンの米が自主流通米市場から隔離されたという状態にしたわけでありますが、このことは、今の米の約一・五割、それを市場から隔離したという効果を持つわけでありまして、本当に市場ではこんなような大胆な米対策について評価しないわけがないというふうに金田は思うわけであります。  これだけの米を市場から隔離した以上は、本日開かれる市場は、相当の、政府のこういったメッセージを受けとめて、必ずや下げどまりあるいは反転に転ずるであろうというふうに思うわけでありますが、このような取り組みについて、これから逐次、石破総括政務次官のお考えなり所見をただしてまいりたいと思うわけであります。  まず、この米総合対策に取り組まれた政務次官の、短くて結構、簡単に、総括的に、自分として何点ぐらいのできであったかなというような御感想を承りながら、個々に進んでいきたいと思います。
  14. 石破茂

    石破政務次官 金田委員におかれましては、本当に今回の対策を取りまとめるに当たりまして貴重な御示唆をさまざま賜ってまいりました。特に、今御披瀝がございましたが、専業農家方々が、これから先本当に私どもが担い手として育っていただきたい方々が、まだお若い方々が命を絶たれるというような事例を幾つも御指摘をいただきまして、今回の対策ができておるわけでございます。そういう方々のお気持ちに報いますためにもという気持ちで、今回の対策を取りまとめさせていただきました。  今御指摘にありましたように、従来のルールとは相当違ったものを今回設けさせていただいております。これは、政府買い入れ数量につきましてもそうです。援助米についてもそうでございます。また後ほど稲経お話も出ようかと思いますが、それについてもそうでございます。それの思いは、要いたしますに、とにかくこの自主流通米価格が下がるというのを下げどめなければ稲作全体が崩壊をしてしまう。なかんずく専業的に規模拡大やいいものをつくろうという方が真っ先に参ってしまう。そうであれば、いかなる手段を講じてもこの下落をとめねばならぬ、そういう思いでございました。  これは、私どもの方で何点というふうに評価をするのはおこがましいことかというふうに思いますし、国民の皆様方、そして生産者皆様方消費者皆様方総合的に御判断をいただくものと思います。非常に思い上がった言い方かもしれませんが、先生方の御指導よろしきを得まして、私といたしましては九十点に近いもの、百点というのは、それはもう世の中にあり得ないことでございまして、祈りを込めて申し上げますが、九十点に近いものだっただろうと思っております。  すべてができるということはございません。要は、先ほど申し上げましたように、どうやってこれに歯どめをかけるかということでございます。すべてを市場に任せるということになりますと、それによって生ずる不利益は何なのかということを全体的に論じていかねばなりません。要は価格が下がればいいんだ、そういうようなお話には相ならないわけでございます。新しい新農業法というのは、例えて申しますと、我が国がWTOで主張しておりますように、国土の保全でありますとか、環境の維持でありますとか、雇用の維持でありますとか、そういうものを全部目標としておるものでございます。今回の対策もその一環として考えております。九十点というふうに祈りを込めて申し上げさせていただきたいと思います。
  15. 金田英行

    金田(英)委員 この米対策を検討する中でいつも議論に出てくるのが、ことしも買わなければならない細川米七十七万トンでございました。いかにも減反を農家の皆さん方に強いている。そして、国内では米余りの状態である。それにもかかわらず、幾ら約束したこととはいえ、外国から細川米を七十七万トンもお金を出して輸入しなければならない現実、これについて、多くの農家の皆さん方が、何でそんなことになるのかという不満あるいはやりきれなさを感じているのだろうというふうに思うのでございます。  WTOの農業交渉の中で、我々は、日本の農産物の正しいルール、あるべきルールというものを主張し続けて、各国との交渉に今から根回ししながら当たっているわけでございます。それで、新しいこういった理不尽な不平等条約と申しますか、不条理な輸入、有史以来、こんな貿易ルールというのを強制されたことがあったであろうか。そんなことについて大きな、これからの問題になってくると思います。農家の皆さん方、本当にいろいろと不満、不条理を抱えて、何で政府はそんなことをしておるんだ、おれたちの苦労ということを踏まえながら、このWTOに我々は国益をかけて取り組んでいかなければなりません。  これからまだ三年ぐらいの時間はかかるんだろうと思いますけれども、いろいろな形で米対策を講ずるにつけ、WTOにどういうふうに取り組むのか、そして、それを何とか実現していかなきゃならないという基本的な姿勢が国になくてはならないというふうに思うのでありますが、この点についての石破総括政務次官の決意なり、これからの取り組みについて御披瀝を賜りたいと思います。
  16. 石破茂

    石破政務次官 ミニマムアクセス米を中心としたお尋ねでございます。  皆様方の御指導を賜りながら、私ども、この問題に取り組んでまいりました。この国会休会中も、大臣、そしてまた私、三浦政務次官、農水省の幹部、世界じゅうあちらこちら参りまして、我が国の主張というものを訴えてまいりました。要は、多くの国々の御賛同をいただけなければ、どんなに正しいことであってもWTOにおいては成就しないという当たり前のお話でございます。  そこで考えなければいけないのは、食料の純輸入国でありながら生産調整を行っておるというようなことがほかの国において例としてあるのかなというと、どうもこれはなかなか見出しがたい。強いて言えば、台湾における米、台湾で生産調整をしておりますのは委員も御案内のとおりでございますが、これはまだWTOに未加盟でございます。米というものを主食としてというような国は、世界じゅうこれまたどこを探しても余りないわけですね。日本と韓国ぐらいのものでございます。そうしますと、日本の特殊な事情というものをどうやって世界各国に御理解をいただくかということとあわせて、今の委員指摘の点を論じていかねばならないのだろうというふうに考えておるわけでございます。  御高承のとおり、ミニマムアクセス機会の提供といいますのは、八年間ずっと交渉してまいりました全体のパッケージの中の一つといたしまして、従来、輸入がほとんどなかったものについて、まさしくその名が示しますように、最低限度の市場参入機会を与える、そういう観点から、国内の需給事情とは関係なく設定された、こういう経緯がございました。今までほとんど輸入していなかった、しかし、最低限度の参入機会は与えなければいかぬ、したがって、国内の需給事情とは関係ない、こういうような経緯がございます。  今後どうするかということでございます。今まで申し上げましたように、次期交渉においてこのことを論じ、私どもの主張をしていくことになりますが、米や稲作の重要性等にかんがみ、現在でも米の需給価格の安定に支障を及ぼさないよう十分に配慮した関税水準、高い関税を張っておるわけでございます。そしてまた、アクセス水準とするとともに、いわゆる国家貿易制度を引き続き維持する必要がある。この国家貿易制度というのもまた維持をしていかねばならないものでございます。  そういたしますと、今まで議論をずっとしてきたわけでございますが、その成果、そして各国との連携のための働きかけを十分に生かしまして、この年末を目途といたしまして、提案内容を取りまとめまして、支持、理解が得られるように努力をしてまいりたい。これは政府だけでは到底不可能なことでございまして、与野党をあわせまして、先生方の御協力、御理解、御支援もいただきながら、我が国の主張が通るようにしてまいりたい。  今御指摘のように、余っているのに何で輸入するのというのは本当の声なんだろうと思っています。ただ、交渉の経緯におきまして、最低の機会、それは需給動向と関係ないんだということで設定をし、そしてまた、日本の特殊な事情というものもございまして、どうやって多くの賛同を得るか、そのことに向けて努力をし、御指導を賜りたいと存ずる次第でございます。
  17. 金田英行

    金田(英)委員 今回の米総合対策の中で、国家備蓄二百六十万トン、民間備蓄二十万トン、そういった過剰な備蓄を抱えているといった中で、これがいつも市場形成の中で、米はいつでも市場に出てくる、この状況を何とか改善して価格の下落をとめなきゃならないということで、七十五万トンの海外援助枠をつくったわけであります。この七十五万トンの備蓄米は海外援助用であって、国内市場には環流してこない米だということにさせていただいたわけであります。  ついては、政務次官、七十五万トンについて、今、外国に売る当てがあるのか、そこいら辺の見通し、そういった引き合いがあるのかどうか、そのことについてお尋ねします。
  18. 石破茂

    石破政務次官 御指摘のとおり、七十五万トン、隔離をしたわけでございます。この隔離した米につきましては、WFP等の国際機関でございますが、国際機関、食料不足国から要請があった場合、我が国の緊急食糧支援事業による援助に使用する、こういうことになっておりまして、要請がなければこれはできないということでございます。  食糧援助につきましては、国際機関、食料不足国等からの要請に基づき実施されるものでございますが、委員御案内のとおり、先般、WFPから北朝鮮緊急食糧支援アピールということが出されておるわけで、九月から十二月までの間、十九万五千トン足りませんよ、このようなアピールを受けておるわけでございます。このアピールは要請と解してよろしいのかというふうに考えております。これは新聞報道等々いろいろされておるわけでございますが、この発表を受けまして、外務省におきまして、そしてまた関係各方面におきまして、さまざまな観点から検討しておるというふうに仄聞をいたしておるところでございます。ただ、私ども、現在のところ、このような方針であるということが固まったということは了知をいたしておりません。  そのような状況でございますけれども、恐らく現在でも、先般もFAOの地域総会が横浜でございましたが、八億人の人々が飢餓に瀕しておる状況はあるわけでございまして、そのような要請に対して対応するという意味でも、七十五万トンというのがあろうかというふうに考えておるわけでございます。
  19. 金田英行

    金田(英)委員 大分時間がなくなってきましたので、いろいろはしょった質問になって恐縮でございますが、市場から七十五万トンの隔離をやった。そのほかに、従来の備蓄ルールではことしは政府は米を買い入れる状態ではない。備蓄米が売れた分から二十五万トン引いた量を政府は買い上げるんだということにしますと、ことしは政府買い上げはゼロだったはずであります。それなのに政府は、踏み込んで、思い切って、抜本的な米対策ということで四十万トンの政府買い上げを決めていただきました。このことで市場に大きく反応があるだろうと金田は信じているわけであります。  それから、ここ近年の需給関係の緩みっ放しの状態は本質的な問題であろう、何もその時々の天候等々に左右されての問題ではなかろうということで、一反歩の生産量が、従来の政府基礎計算は一反歩から五百十八キロだという数字を基礎にして減反調整面積を計算したり、豊作であるか豊作でないかの指針の基礎にしたりしておりましたけれども、このたびの総合米対策では五百三十四キロに基礎数字を切りかえようということにしたわけであります。  この五百三十四キロという数字に一反歩当たり生産量を取りかえたことによって、九十六万三千ヘクタールがさらなる減反が必要になってきた。需給関係をしっかりと、確固たるというかタイトなものにする必要があるということで、さらに五万ヘクタールの減反の上積みをされた、このような措置も講じさせていただいておるわけであります。また、五万ヘクタールの減反にかてて加えて需給調整田というものをつくって、そこの需給調整田で米をつくっていただくんだけれども、その米については、その時々の需給関係あるいは豊作状況等々を見てホールクロップサイレージにするとかえさ米に回していただくとか、そのための政府の援助措置を手厚く講ずる、そういったことをやっていただいたわけであります。また、稲経についての拡大強化対策も講じていただきました。  こういった総合米対策を講ずることによって、私は人に会うたびに、きのうも議員仲間の集まりの中で、皆さん方、これからは米余りという状況は改善されるでありましょう、来年のお米の値段はきっと高くなりますよ、もしお金に余裕があるのであれば、お米を買って自分の倉庫に入れておいた方が、来年は米が高くなって相当有利になりますよということを推奨して歩いているわけであります。  時間がなくなりましたので終わりますけれども、このたびの政府総合的な、抜本的な米対策に心から敬意を表しまして、私の質問を終わらせていただきます。御苦労さまでした。
  20. 宮路和明

    宮路委員長 次に、筒井信隆君。
  21. 筒井信隆

    筒井委員 民主党の筒井信隆です。  何点か総合対策について質問させていただきます。  ことしの三月に、米穀需給に関する基本計画というのが策定をされました。その内容は、政府米自主流通米、合計して二百十九万トンが十月末で在庫として残る、こういう予定でございましたが、結果として二百八十万トンという大幅な狂いが生ずることになったわけでございまして、これほどの狂いが今までも生じたことがあったかどうか、そして今回のこの狂いがどうして生じてしまったのか、この点について質問をしたいと思います。  この内容を見ますと、供給量に関しては、これは実績ですから、狂いとか何かのものでは起こらない。需要量が、九百三十万トンと見込んでいたところが、それが六十一万トンほど減ったという結果になっているようでございます。  しかし、この需給の見通しというのは極めて重要な問題でして、この需給の見通しに基づいて、生産をどうするか、販売をどうするか、いろいろな方針を立てるわけでございまして、これがこんなに大幅に間違うと、大変な努力を要求されることになります。  先ほど、今回の総合対策について評価する、こういう話がありましたが、私も評価することにやぶさかではありませんが、これほどの総合対策をとらざるを得なくなった原因は、こういう需給見通しの誤りが自分たち自身にも存在するのではないか、こういうふうに考えなければいけない。今後こういうことがないように、なぜ一体こんなに大きな誤りが生じたのか、やはり明確にさせていかなければならないというふうに思っています。  そこで、まず最初に、先ほど申し上げた六十一万トンというこれほど大きな見通しの誤り、今までもあったのか、そして今回のこの誤りがなぜ生じたのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  22. 石破茂

    石破政務次官 これはきちっと合うということは当然ないわけでございまして、新しい食糧法ができまして以来、それぞれの狂いはございます。ただ、六十一万トンというふうな数字になったことは、これは初めてだというふうに私は了知をいたしておる次第でございます。  何も私どもは無謬であるというようなことを申し上げるつもりはございません。私どもに全く責任がないというようなことを強弁するつもりもございません。  ただ、委員御案内のとおりでございますが、一〇三ということになってしまった、これはどうにもこうにもなりません。天気のせいでございます。そしてまた、生産者皆様方が一生懸命、生産調整の中で単収を上げるような御努力をなさったということもこれは当然のことでございまして、これも何も非難をするに値するものではございません。  かてて加えて申し上げまして、なお、米の需要というのでしょうか、これは減少基調が完全に下げどまったとは思っておりません。やはり、お米を食べないという方も、どんどんとは申しませんが、相変わらずかなりの数いらっしゃるわけでございます。  そんなこともございますが、十二年米穀年度末の計画流通米の在庫は、自主流通米につきましては、計画の十六万トンを上回る二十四万トン、政府米につきましては、自主流通米との協調販売の結果、計画の二百三万トンを五十三万トン上回る二百五十六万程度、合計で二百八十万トンとなる見込みとなっておるわけでございます。  今まで申し上げましたように、この要因というのはるるございます。豊作見通しによる先安観によりまして、つまり、この後、先は安いね、きっと値段は下がるだろうね、こういうような先安観がございましたので、卸、小売、外食等各段階におきまして、どうせいつでも買えるんだからということで、手持ちの在庫を減らしましょうという当然の経済行為が起こるわけですね。どうせいつでも買えるんだから手元に持っておかなきゃいいや、自分の手元になるべく持つのを減らそうということが起こっております。  その分につきまして、私どもといたしましては、協調販売、すなわち自主流通米と産地銘柄、同じ政府米は売りません、売るのを控えますということをやってまいったわけでございます。これが御案内のとおりの協調販売の内容でございまして、その結果もございまして、政府米を中心に計画流通米が売れなかったということもございます。そのようなことが重なりまして、こういうような結果になったものというふうに考えておる次第でございます。
  23. 筒井信隆

    筒井委員 協調販売は、政府米自主流通米がどのぐらいの比率で残るかという、その比率の変化には影響するでしょうが、今私がお聞きしているのは、政府米自主流通米を合計した在庫の見通しをなぜこんなに誤ったのかという質問ですから、協調販売はまた別の問題だというふうに思います。  そして、今それ以外に三つの理由を挙げられました。作況指数、豊作一〇三、消費の減少、それから在庫量の減少。在庫量の減少は、卸、小売両方とも指しているのだろうと思うのですが、これはいずれも三月時点で予測できたことじゃないですか。  ほんのちょっとした違いまで全部私は問題にしているわけじゃないのです。六十万トンを超える見通しの誤り、ことしの三月の時点で行った見通しにおいて発生した。これほど大きな誤差があれば、今後の計画に関してだって、やはり余りそれも信用できない。これからの需給見通しを農林省がたとえ立てても、それに基づいて生産計画や販売計画を立てたって、余りそれも当てにならないということになってしまう。これだけ大きな差が、誤りがなぜできたかということを言っているのです。  そして、在庫量の減少に関しても、今までもこの程度の在庫量の減少は何年か前にも起こったことがあるし、また、三月の時点以前にもう在庫量の減少が起こっていますよね。卸に関しては何か統計をとっているようですが、小売に関しては具体的なことはわからないわけでしょう。それはもう推測でしょう、統計をとっていないから。  だから、いずれにしても、今挙げた協調販売の問題を除けば、全部三月の時点で予測ができたことじゃないか。この点に関してはどうですか。
  24. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど総括政務次官の方から答弁申し上げたように、流通在庫変動がかなり大きな要因だというふうに思っております。  ことしの三月の基本計画をつくった時点でございますけれども、その時点では、昨年の十一月末、その時点におきます卸売業者の在庫、これが四十六万トンございました。それから、それが一月末には三十八万トンまで減少したということでございます。それ以降、さらにこれが減少するのか、あるいは卸の品ぞろえのために下げどまるのか、必ずしも予見がしがたかったというところでございまして、そういう意味で、流通在庫の減少を計画にあらかじめ盛り込むことができなかったということでございます。
  25. 筒井信隆

    筒井委員 まず、三月の以前に具体的に大幅な在庫の減少があった、特に卸に関しては。これはもうわかっていたわけですね。そして、先ほど石破総括が言われましたように、消費がずっと減少傾向にあって、米はずっとやはりこれから余るだろうという、それはもう雰囲気としても広がっていた。当然、この三月の前、一月、二月も減っていることが出ているわけですから、その後の減少傾向が見込めなかったというのは全然理解ができないのですが、どうしてそれが考えられなかったか。もう一回だけそれをお願いします。
  26. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 卸あるいは小売の流通在庫でございますが、価格が先高基調になるのかあるいは先安基調になるのか、これによって在庫の保有行動が変わってまいります。そういう意味で、あらかじめ価格動向を見込んだ上で流通在庫がどういうふうに動くのか、こうしたことは三月時点ではなかなか見込みしがたかったということでございます。
  27. 筒井信隆

    筒井委員 一月時点でも大幅に在庫が減少しているわけですが、それらは統計が出ていなかったからわからなかったと恐らく言うのだろうと思うのですが、統計の数字が出てくるまで、実態調査とかなんか、ある程度のものはやろうという姿勢が全くないんじゃないですか。統計の数字が出てくるまで自分たちは知らない、そういう形でもって、直前のそういう重要な状況について、みずから調べて需給見通しを立てる、こういう姿勢がなければ、その直前の何カ月間かのものは統計が出てこないわけだから、今後もまた間違ってしまうんじゃないですか。その点がもう一点。  今後も、今までと同じような、統計の調査結果が出てきてそれを見てという感じでやるのか、それとも、みずから足を運んだりして、直前の実態調査をして需給見通しを立てるのか、この今後の方針に絡めて、もう一回お願いします。
  28. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 私ども、流通在庫状況、卸さんの在庫の保有状況につきましては、毎月御報告をいただいているということでございまして、そういうことで、先ほど御説明しましたように、昨年十一月末の在庫水準、それから、それがことしの一月末には減ってきた、それがさらに減っていくのかあるいは下げどまるのか、ここがなかなかその先を見通ししがたかったということでございまして、必要な調査は、必ずしも十分とは言えないかもしれませんけれども、実態把握の努力はしているということでございます。
  29. 筒井信隆

    筒井委員 そうしたら、三月時点までの実態も知っていたということであれば、当然、一月、二月、三月と大幅な減少をしているわけだから、そして、先ほど言った消費の減退とか、そういう全体的な状況はあるわけですから、その後も続くという予測をしなかったというのはどうしてですか。私みたいな素人でも、当然これはまだ続くだろうというふうに思うのだけれども、何か特別な理由があるのですか、あるいはそういう在庫の減少がとまるかもしれないというふうに判断した特別な理由が何かあるのですか。
  30. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 繰り返しにもなりますけれども、卸さんの在庫についての行動パターンといいますか、そういったものが、価格が先行きどうなるかによっても変わってまいりますので、なかなか見通しがしづらいということがございます。  それと、昨年、緊急米対策、米需給対策というものをやりまして、在庫の縮減の努力もしていたというようなこともございまして、そういった効果、こういったことも考えまして、さらに流通在庫が減り続けるというようなところまでは、私ども、見通し得なかったということでございます。
  31. 筒井信隆

    筒井委員 できなかったということだから、しかし、今後もこういうことが続くと困るので、今後の需給見通しについての正確性担保の決意を総括にお願いしたいと思いますが、どういうふうに考えておられるか。
  32. 石破茂

    石破政務次官 もちろん、実態を把握するのに可能な限りの努力はしてまいりたいと思います。  ただ、これは経済のものでございますから、それが本当に、正確に把握ができるか、それから私どもが読んだとおりにいくかといえば、それはそうではないということもあるんだろうと思うんです。そうしますと、先ほど金田委員の御質問にもございましたが、要は、かなりきつ目に見通していくということも必要なのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。  いずれにしても、価格が上がっていかなければ生産者の暮らしというものは保障ができないわけでございまして、なお流通在庫が減る、そういうようなことを見ていきながら、そういうことが起こらないように、どうやって諸対策を講じていくかということもあわせて考えていかねばなりません。  委員指摘のように、状況を正確に把握するために私ども何ができるかということは考えてまいりたいと思っておりますが、それぞれの限界もございますし、それぞれの意味もございますし、すべてそのとおりになるとは私としては断言がいたしかねるところでございます。
  33. 筒井信隆

    筒井委員 すべてそのとおりに、事実どおりに全部見込めと言っているわけではないんです。ある程度の誤差は当然なんだ。だけれども、先ほど言われましたように、いまだかつてない量の、これだけの見通しの誤り、それで、その見通しの誤りで今在庫数量の減少が見込めなかったと言っているその根拠も、余り私は納得できない。何か特別の大きな変化があって、それでこれだけの量の誤りが生じたのは仕方ない、こういう合理的な理由があれば私も文句を言わないんだけれども、今回はそうではないんじゃないかというようなことを言っているわけでございます。  そして、今後の関係で、この次の需要量は今回と同じ九百三十万トンと見込んで、そのもとで計画は立てているわけですか。
  34. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 先生おっしゃるとおり、九百三十万トンの需要量を見込んでおります。
  35. 筒井信隆

    筒井委員 今回の見通しの誤りは、需要量が九百三十万トンではなくて八百六十九万トンだったということによる誤りだったわけですが、また同じ数字をそのまま使うことに危惧を感ずるわけでございまして、これ自体もう一度精査すべきではないですか。
  36. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 需要量自体は九百三十万トンで変わっておりませんで、先ほど先生おっしゃった数字、これは需要量が八百九十五万トンですか。九百三十万トンの見通しに対して減ったということではなくて、八百九十五万トン……(筒井委員「八百六十九万トンでしょう」と呼ぶ)八百六十九万トン。これは要するに、流通在庫が、かなり市場に吐き出してきたということで、基本計画上の需要が見込んでいた需要に対して少なかった、こういうことでございます。
  37. 筒井信隆

    筒井委員 理由がどういう理由であれ、需要量が九百三十万トンと見込んでいたのが八百六十九万トンになったことが今度の大幅な見通しの誤りが生じた理由、唯一そこに理由があるわけですから、また同じ九百三十万トンの需要量をそのまま見込んではおかしいんではないかという質問なんです。  そして、先ほどの流通在庫調査にも関係するんですが、どうもこの米余りの一つの理由として、輸入米とか加工米が主食用に裏で回っているんではないか、こういう危惧を生産者団体等々も持っているわけです。これに関して、そういうところに回っていないという調査結果をどうも食糧庁ですか、農林省が出しているようですが、その調査のやり方なんですが、これもやはり書類審査だけですね。
  38. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 卸さんあるいは小売さんにアンケート調査をしておりまして、それによりますと、輸入米のほとんどが業務用を中心に、あるいは加工用を中心に回っているというようなことでございます。
  39. 筒井信隆

    筒井委員 今の答えがちょっとよくわからなかったんだけれども、要するに、私が聞いているのは、輸入米とか加工用米で出されたものが主食用に実際に裏で使われているのではないか。そして、それに関して、いや、そんなことはないという調査結果を発表しているようですが、その調査結果、中身を見ると、今アンケート調査と言われましたが、どうも書類の審査だけでもってそういう調査結果を出しているのではないか。  しかし、書類とかアンケート調査、そんなので、回していますなんと言うはずがないので、飼料用に回す場合にはちゃんと、その飼料用に回すところで食糧庁の職員が立ち会ってやったり、やはり現場に行っているわけでしょう。これも、突然の緊急立入調査とか実態調査、実際に現場に行って行う調査、こういうのを広範にやって初めて、いや、主食用に回されていることはありませんという結論が出せるだけであって、今の状況じゃそういうことが言えないんじゃないですか。
  40. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 ミニマムアクセス米でございますが、これは加工用中心に処理するということで、一部主食用に回っているものはございますが、これはいわゆる売買同時入札方式、SBS方式によるもの、数量にして大体十万トン程度、これは一部主食用に回っているということはございますが、これについては、それに見合う分以上のものを援助用に回すというようなことで、国内の需給に影響を与えないようにしているということでございます。  それから、加工用に回っているものでございますけれども、これは適宜、食糧事務所等を通じまして点検をし、検査をしているという状況でございます。
  41. 筒井信隆

    筒井委員 農林省の資料によって私聞いているんですが、調査対象は、変形加工工場と需要者、それから再調整等の委託工場、その三種類のところを調査しているようです。いずれも関係書類等により調査している、こう報告をされているわけでして、私もそこを言いたいんです、今ちょっと次長さんが言われましたが、食糧庁の職員が全国にいるわけですから、書類による審査ではなくて、現場に行って、本当に使われているのか使われていないのか、そういう調査を全国で、広範にやらなきゃいかぬのではないか、こういうことを言っているんですが、どうですか。
  42. 宮路和明

    宮路委員長 加工用米や飼料用米に回されているもののチェックはどうなっているか、そういう趣旨の御質問ですから、その旨きちっと答弁してください。
  43. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 加工用に回るものは、ごく一部の例外はございますけれども、通常の場合、それは破砕しまして加工用として処理する、こういうことになっておりまして、そこは適宜、食糧事務所等を通じましてそのチェックをしているということでございます。
  44. 筒井信隆

    筒井委員 今チェックしていると言われているのは、全国で食糧事務所の職員が現場に行って、現実に現地の調査をしているということですか。
  45. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 すべて網羅できているわけではございませんけれども、全国をベースにそういった調査はしているということでございます。
  46. 筒井信隆

    筒井委員 そういう調査をしているというのは初耳なんで、それは、どういう調査をいつごろからどういう規模でやっているか、ちょっと具体的に報告してくれますか。
  47. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 先ほども説明させていただきましたけれども、すべて工場を網羅できているわけではございませんけれども、幾つかの工場について、実際にそこの現場に行きまして、適正に処理されているかどうか、その点検は行っております。
  48. 筒井信隆

    筒井委員 今、工場に限定して言われたけれども、例えば需要者、これはレストランとかを指すんだろうと思いますが、これが一番数が多い。そういうところで使われている危惧を一番生産者団体は持っているわけですが、やっているとすれば、今現場へ行ってやっているという話なんで、その中身をもっと具体的に、きょうもし名前まで出せないとすれば、去年の時点で、あるいはことしに入ってからどこをどういうふうにやったか、一覧表でもって全部報告出せますか。
  49. 宮路和明

    宮路委員長 資料がなければ後でまた対処することにして、きちんとやってください。
  50. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 加工工場等へ赴きまして検査をしている、調査をしているということは事実でございますけれども、具体的にどこどこというものがお示しできるかどうか、ちょっと検討させていただきたいと思います。
  51. 筒井信隆

    筒井委員 別に、今全部具体的な名前を突然ここへ出せと言っているわけじゃないんです。調べていれば、実際に実態調査していれば出せるでしょう。
  52. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 検討の上、また御報告をさせていただきたいと思います。
  53. 石破茂

    石破政務次官 先生の御指摘を踏まえまして、どこまで正確に出せるか、私の方で指示をいたしまして、先生の方にまた持ってまいりたいと思っております。これは制度の信用にかかわる問題でございますから、私どもの方としては隠し立てをすることとは思っておりません。可能な限り正確を期して御報告を申し上げたいと存じます。
  54. 筒井信隆

    筒井委員 質問を変えますが、政府米在庫に関して、援助用の備蓄に七十五万トンを回すというふうに今度対策で決定された。これ自体は評価するわけですが、その中身なんですけれども、今既に援助用の備蓄米十五万トンありますが、これとは別に七十五万トンですね。一点はその点を確認。  それからもう一点は、市場隔離と言われていますが、だから、この七十五万トンは市場に戻ってくるということはない、完全隔離というふうに理解してよろしいですね。  この二点、ちょっと確かめたいと思います。
  55. 石破茂

    石破政務次官 御指摘のとおり、十五万トンとは別の七十五万トンでございます。市場に戻ってくることはございません。  しかしながら、逆に、国内が不足をした状況ということをまた想定してみることも必要なのではないかと思っております。つまり、国内が足りない状況だがあの七十五万トンは別なのでねというようなことも理論的にはないわけではございません。そういう場合には戻るということが当然ございますが、基本的に別枠、市場に戻らないということでございます。
  56. 筒井信隆

    筒井委員 国内の米が足らなくなるというのは、今、当面はちょっと考えられないと思いますが、国内の米が不足した、国内の国民の主食用の米が不足した、こういう場合以外は戻ってこないというふうにお聞きしてよろしいですね。  それと同時に、もう一点これに関係してお聞きしたいんですが、政府在庫米は全部で二百五十六万トンあるんですが、そこから七十五万トンを今の備蓄用の十五万トンとは別枠で新たに備蓄する。残りの百八十一万トンに関しては今後どう対処する予定か、これも含めてちょっとお答えをいただきたいと思います。  今の一点目は総括、国民の主食用が不足した場合以外は一切戻ってこないという答弁。
  57. 石破茂

    石破政務次官 そのように御理解をいただいて結構でございます。そうでなければこの効果はないというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  58. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 援助用の七十五万トン以外のものがどうなるか、こういうことでございます。  七十五万トンのほか、一つ、十二年産生産オーバー分を主食用以外のものに使うというようなことで、十二年産米政府が持っております古米、これを差しかえて処理する。そのために政府持ち越し米、古米でございますが、これを販売する。これが十五万トンございます。  それから、十一年産の米で、自主流通米でございますが、販売残が十四万トンほど見込まれておりまして、これを政府の持ち越し米と交換をする。これは等価交換でございまして、政府の持ち越し米は古米でございますので、十一年産自主流通米十四万トンに対しまして政府の等価交換の古米が十八万トンになります。そうしますと、差し引き四万トン政府在庫は減る、こういう計算になります。  したがいまして、十二年の十月末でございますが、二百五十六万トン程度政府在庫が見込まれておりますけれども、それから今申しましたような数字、それから援助隔離分七十五万トン、これを引きますと、百六十二万トンが十三米穀年度の方に持ち越す、こういうことになるわけでございます。
  59. 筒井信隆

    筒井委員 この十二年産生産オーバー分は、十五万トンを生産者団体の責任において飼料用の方に回す、こういう方向になったようでございますが、政府の支援策はこれに関してはどういう中身になっておりますか。
  60. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 これは、生産オーバーの分を主食用以外のものに回すということで、実は昨年も同様なことをやっております。昨年十七万トンやりましたが、これは生産者団体の積み立てに対して政府が助成をいたしまして、それによって農家負担の軽減を図っているということでございます。
  61. 筒井信隆

    筒井委員 十七万トンのときと同じ比率というか、金額まで聞きたいんです。どの程度の政府の支援策を考えているかということです。その内容を聞きたいんです。
  62. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 具体的な細かい数字につきましては今後精査していく、こういうことになりますけれども、先ほど昨年の例をちょっと御紹介いたしましたけれども、昨年十七万トンの処理に対して政府の助成額が約九十億円でございます。今回の十五万トンの処理でございますけれども、昨年の例に準じたような格好で助成をしていきたいというふうに思っております。具体的な金額については今精査をしておりますので……。
  63. 筒井信隆

    筒井委員 まだ決まっていないということであれば結構です。  すると、結局、政府の今までの在庫米と援助用の備蓄、これは全部一カ所の倉庫にしまわれているんでしょうか。それとも日本全国に散らばって備蓄されているんでしょうか。それらの点、どうですか。
  64. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 一カ所にすべて集約されているということではございません。
  65. 筒井信隆

    筒井委員 その備蓄の具体的な方法、場所等、どういう形になっているのか、お聞きしたいのです。
  66. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 備蓄の量は今回決めたわけでございますが、具体的に例えば何年産のものあるいはどういう銘柄を食料備蓄に回すかということにつきましては、これから検討の上、決定をしていくということでございます。
  67. 筒井信隆

    筒井委員 私が聞いているのは、現在でいいんです。現在の在庫あるいは備蓄、これはどこでどういう形で具体的にされているのか、それを聞きたいのです。
  68. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 全国に政府所有の倉庫がございます。それから政府指定の民間の倉庫がございます。そういったところに分散をして保管しているという状況でございます。
  69. 筒井信隆

    筒井委員 それは全国に散らばっているのですか。というのは、私がなぜそういう質問をするかというと、もし全国に散らばっているならば各自治体の緊急用の備蓄とか何かは必要ないのかもしれませんが、しかし、何カ所かに集中しているということになれば、例えば神戸の地震とか、そういう各地域に起こる災害の際に、余り遠くにあったところで空輸するしか方法がないような形ではやはり困るので、各自治体の備蓄も考えなきゃいかぬのじゃないか。だけれども、全国に満遍なく散らばっているならばその必要性も余りないかなというふうに感ずるものですから、そこで今の質問を聞いているのです。わからなければ後でまた出してもらっても結構です、これは前もって通告していないんで。
  70. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 米は、先生御案内のように、全国で生産されます。したがいまして、ほぼ全国の生産地、それから主要な消費地、こういったところに倉庫が分散をしてあるということでございます。
  71. 筒井信隆

    筒井委員 それも、現状ではどこにどういうふうに備蓄されているのか、一覧表は出せますね。
  72. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 政府在庫がどういった倉庫に保管されているかという資料につきましては、お求めに応じて提出をしたいというふうに思います。
  73. 筒井信隆

    筒井委員 結構です。  それから、消費拡大に関しても今度の米対策の中で述べられておりますが、一つは、これは皆さんも言っていることなんですが、また農林省の方針でも出されていることですが、学校の給食における米消費の拡大、やはりこれをやるのが一つの大きな柱だろうというふうに思います。その際に、地元産の米を学校の判断でもって出す、学校給食会とか何かの許可とか、そこを通じなくても出す、それでも不利益は一切ないというふうな形にしなければ、特に地元産の米の消費拡大にはつながらないと思います。  今、米を学校給食で使う際にいろいろな制約はありますか。自由に各学校で判断して米を給食で出すことができるという状況になっていますか。その点、どうでしょうか。
  74. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 それぞれの学校で出される米飯のお米、これは制約はないというふうに承知をしております。
  75. 筒井信隆

    筒井委員 個々の点で幾つか聞くものですから今の質問をしたのですが、国において制約がないとしても、各県等々でそういう制約を加えている場合があるやにも聞いているものですから、そういうことがないように、農林省の指導といったらおかしいのかな、そういう方向でもってぜひ努力をしていただきたい、こう申し上げておきたいと思います。  それから、米の消費拡大のもう一点として、農林省の方針の中でもいろいろあるのですが、米を粒として使う、加工用でせんべいにしたりなんかするのはまた別かもしれませんが、そういうのを方針、中心に考えておられるようです。  我が新潟県で、しばらく前ですが、米の微細粉技術というのが開発をされました。米は、麦と同じような形の細かい粉にすることが今まで技術的に難しかった。しかし、どうも私もよくわかりませんが、米の組織を酵素で分解してから粉にするという形によって、そば、小麦粉とほぼ同じような形の粉にする技術が開発された。そこからつくるパンとかあるいはうどん、そば、これらも小麦粉と比べてまさるとも劣らず、こういうふうな状況というふうに聞いております。  ただ、どうもその米粉の活用、パン、そば、うどんへの活用というのが新潟県だけに限定されているというのか、まだまだ範囲が狭いというのか、そういう状況でございまして、これを農林省の消費拡大の方策の重要な柱としてもぜひ進めていただきたいなというふうに考えておりまして、この米粉化による米消費の拡大についてどう考えておられるか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  76. 石破茂

    石破政務次官 具体的な内容につきましてはまた事務方からお答えをさせますが、要は、先生御案内かと思いますが、全国四十七都道府県ございますが、米の消費量というのは都道府県によって物すごく差があるのですね。一番食べますのが、たしか私の記憶では徳島県ではなかったかと思っております、データが古いかもしれませんが。一番食べないのは、食生活の違いもありますが、沖縄県が一番食べない。一割ぐらい差があるわけですね。東京ですとか大阪ですとかそういうような都市近郊も食べません。何でそんなに都道府県によって差があるのかよくわからないのですが、やはりそういうような各自治体別の取り組みというのも必要なんだろうというふうに私は思っております。  また、学校給食について御指摘がございました。例えば新潟県で申しますと、週当たり何回米飯給食をやっていますかというと、三・一回。全国平均は二・七回ということで、新潟県は相当御努力をいただいておるわけでございます。これは先生の選挙区かどうか私は存じませんが、四回以上というところが、新潟県では中里村とか松代町とか清里とか吉川町とかそういうふうにあるわけです。五回という、板倉町というところもあるのだそうでございますね。  先生御指摘のように制約があると私ども聞いておりませんが、もしこういうような制約があるというようなことがあれば、どうか御教示をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。  そしてまた、粉にして使うというのは、私は、十年ぐらい前だったと思いますが、そういう戦略というものが新たに開発された。それは、保存におきましても、どのように使うかということにつきましても、粉にした方が有利であるというような理論があることはよく存じております。  ただ、その場合に、小麦粉と比べまして、これは国産麦の場合もそうでございますが、コストがどう引き合うか、どんなに物があったとしても需要が出なければいたし方ないことでございまして、粉にする技術は既に開発をされ、実用化もほとんどできておるというふうに考えておりますが、それが需要者の側から見てどうなのかということが具体的な課題ではなかろうかというふうに思っております。  詳細につきまして、もし知っておることがありましたら、事務方から御説明をいたさせます。
  77. 筒井信隆

    筒井委員 ちょっと今のにプラスして一緒に答えていただきたいと思います。  今の週四回、五回の給食で挙げられた市町村は全部私の選挙区でございまして、それをさらに進めていかなければいけないというふうに思っております。  それから、米粉化の問題に関して、確かにコストの問題が一番で、現時点では政府の特別在庫を六十キロ六千円で売却していただいて、そしてその米粉でつくったパンやめん類は、小麦粉からつくったものとほぼ一緒のようだけれども、ちょっと高い、そういうような状況のようでございまして、だから、これもぜひ一緒に答えていただきたいと言ったのはその点なのです。  それらに関して、支援する、援助するという観点からも政府の売却価格等々についてぜひ御考慮をいただきたいなというふうに思っておりますので、その点を含めて、ちょっとお願いします。
  78. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 先生先ほど御紹介の新潟県におきます米の微細粉化、これによりまして、米を使ったパン、これは私どもはよく承知をしておりまして、これの試験研究、開発に当たりまして米の無償交付をやっております。それから、新製品ができまして、それが市場に定着するまでの間、値引き販売というようなこともやっておりまして、こういったことを今後とも積極的に進めていきたいと思っておりますし、それから、新たな米を使った製品の用途開発、そのための試験研究、これに対する助成もやっているところでございます。  今御紹介したような事業、これを今後とも積極的に進めていきたいというふうに思っております。
  79. 筒井信隆

    筒井委員 そういうふうにぜひお願いしたいと思います。  次の質問に移りますが、米を含めた農業資源、あるいは緑の資源、これらの工業的な活用に関してお聞きをしたいと思います。  去年ですか、クリントン大統領が、バイオマス、生物資源の活用量を二〇一〇年までに現在の三倍にふやす。現在、農業資源から、トウモロコシや何かからですが、つくったエチルアルコール、これを一割ガソリンにまぜて走らせるとかいう形で生物資源を使っておりますが、これを二〇一〇年までに三倍にする、そして二〇五〇年までにエネルギーや化学製品をつくる際の原材料の半分をそういう生物資源で賄う、こういう方針を、大統領令を出して世界じゅうに衝撃を与えたわけでございます。これは、地球温暖化対策というのももちろんありますが、農業対策という趣旨もあるわけでして、余剰農産物対策という趣旨も含めて出している。  こういう生物資源、植物資源、緑の資源の活用に関しては、今までヨーロッパが一番進んでいたというふうに言われているわけでございますが、アメリカもそれに今急速に追いつこうとしている。今現在、日本が世界の先進国の中で一番生物資源の活用がおくれている、こういうふうに私は考えているんですが、これらの方向について農林省は今どう考えておられるのか、まずお聞きをしたいと思います。
  80. 小林新一

    小林政府参考人 お答えを申し上げます。  バイオマスのエネルギーでございますが、再生かつクリーンなエネルギーであるということから、また地球温暖化対策といたしましても、積極的に開発導入を推進すべき新しいエネルギーというふうに認識いたしております。  先生御指摘のとおり、データといたしましては、統計データは必ずしも十分ではないわけでありますけれども総合エネルギー調査会の資料によりますと、我が国の場合は、バイオマスエネルギーの利用率がエネルギー総供給量の一%弱というふうになっておりまして、欧米の各国に比べまして立ちおくれているのが現状でございます。  私ども、農林水産の分野におきまして、バイオマス資源、多くのものを抱えておるわけでございますけれども農林水産省におきましては、平成十二年度から、プロジェクト研究といたしまして、有機性資源の新たなリサイクル技術の開発というような観点から、家畜排せつ物のメタン生産あるいは木材廃棄物からのメタノール生産などにつきまして技術開発に取り組んでおるところでございます。  なお、お米からのエタノール生産ということにつきましては、技術的に見て可能ではありますけれども、最近の技術をもっていたしましても、コスト面から見て実用性が低いなどの課題がございまして、バイオマスエネルギーの実用化ということにつきましては、有機性廃棄物を対象にして研究開発していくのが現実的であるというふうに考えております。  先ほど申しましたとおり、平成十二年度からプロジェクト研究として取り組んでおるわけでありますが、今後とも、木材廃棄物からのエタノールの生産というようなことなど、バイオマスのエネルギーの変換、利用ということにつきまして技術開発を積極的に推進していきたいというふうに考えております。
  81. 筒井信隆

    筒井委員 コストの点が確かに大きな問題なんだろうと思うんですが、しかし、日本は京都議定書で六%の炭酸ガスの削減を義務づけられている。こういう地球温暖化対策としても、アメリカはそれに国を挙げて取り組むという方向を出したわけでございまして、単にコストの点だけで、賄えないからそっちはちょっとやめておくという方向ではなくて、私は取り組むべきだというふうに思っております。  例えば、ガソリンを使えば炭酸ガスを出すし、石油からつくったビニールやプラスチックは、捨てても腐らないし、燃やせばダイオキシンをいっぱい出す。しかし、植物やアルコールからつくったプラスチックは、生分解性といって、捨てれば微生物が分解してくれるし、燃やしてもダイオキシンを出さない。こういういろいろな点からも、現時点でのコストの問題をたとえある程度度外視しても進めるべき問題ではないかというふうに思っているんですが、その点はどうでしょうか。
  82. 小林新一

    小林政府参考人 先ほど申しましたとおり、バイオマスエネルギーの利用のために農林水産省として積極的な技術の研究開発を進めていく、こういうことにつきましては、申し上げたとおりでございます。  お米につきましてのことでございますが、これにつきましてもいろいろな検討をもちろんしてきておるわけでありますけれども、今日の技術といいますか、最近の技術によりまして計算いたしましてもコスト的には高いということでございまして、技術的にはこれは可能であるということでございます。  研究の目標というか、対象といたしましては、農林水産分野に木質系の廃棄物を初め多くの有機性の廃棄物がございますので、それを何とか実用的にエネルギーとして利用できるように、そういうことにつきまして十二年度から積極的にプロジェクト研究を始めておりまして、十三年度も引き続きこれを拡充、充実させながら取り組んでいきたい、こういうことでございます。
  83. 筒井信隆

    筒井委員 農林省の今の取り組みをさらに強力に進めていただきたいと私自身も思っているわけですが、その内容についてちょっとお聞きしたいんです。  今現在アルコール関係で行っているのは、エチルアルコールの製造とエチルアルコールの製造プラント、この二つということになるんですか。それをそれぞれ別の場所でもって進めている。その内容についてちょっと、そんなに細かいところまでは必要ないですが、大枠を説明していただきたいと思います。
  84. 小林新一

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  有機性資源の新たなリサイクル技術の開発ということでは、十二年度からミレニアムプロジェクトということで、今年度開始しておるものがございますが、その中で申しますと、木材廃棄物などから、そういうバイオマスを直接メタノールに変換する技術ということと、もう一つは、家畜の排せつ物から、乾式メタン方式ということですけれども、メタンを発酵させる新しい技術を開発する、こういうことに取り組むことといたしております。  これから取り組んでいくべきものとして現在考えておりますのが、これまた木質系廃棄物などのバイオマスをもとにいたしましてエタノールを生産していく、そういうふうなシステム、あるいは、セルロース、これも廃材とかいろいろなもの、セルロースを含んでおるものがございますが、そういう多糖類、非常に分解させることが困難な糖質物質、そういうものを微生物を使ってエタノールに変換する、そういうふうなことを技術として開発していきたいというふうに現在考えております。
  85. 筒井信隆

    筒井委員 そのメチルアルコール、エチルアルコール、現在は実験プラントになるんですか、それはいつまでに終了させる予定になっているのか、その点はどうですか。
  86. 小林新一

    小林政府参考人 お答えいたします。  先ほど御答弁申し上げた点につきましては、現在、いずれも技術の研究開発と実証研究というところまで持っていきたい、こういう構想で取り組んでおるわけであります。  現在、具体的に取り組みつつある、そういう実証施設をつくりつつあるというものにつきましては、家畜排せつ物の新しい形でのメタン発酵形式のもの、発酵させる、そういう新技術にかかわる施設というものを建設中でございまして、そのようなものにつきましては、そういう実証的な施設面ということになりますと、これから取り組む、こういうふうなことになっておるわけでございます。  実施期間といたしましては、平成十二年度から十六年度の五年間ということで取り組みたいというふうに考えております。
  87. 筒井信隆

    筒井委員 今、木質系のセルロース等々の説明がありましたが、農畜産系の資源、例えばもみ殻とか稲わらとか、こういうものもエチルアルコールへ転換、あるいはメチルアルコールへ転換する対象として入っておりますね。
  88. 小林新一

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  エタノールに変換する部分につきまして、先生おっしゃったようなセルロースを含むもみ殻というようなものにつきましても、技術的には可能でありますので、対象として含んでおるわけでございます。
  89. 筒井信隆

    筒井委員 最後に確認したいんですが、先ほど申し上げたように、アメリカとかヨーロッパの場合、余剰農産物もアルコール転換の重要な原料として考えている、実際やっているというふうに聞いているんですが、それがそうであるかどうかということと、それから、日本において余剰農産物もアルコール転換の原料として考えられないかどうか、最後にこの二点をちょっとお聞きしたいと思います。  やはりこれだけ地球温暖化等々が叫ばれている中で、それらの問題を解決する一つの重要な手段として、生物資源、バイオマス資源、これを活用するんだということが入ってくるし、それをもっともっと進めていかなきゃいかぬ、そういう意味で、農林省の今のプロジェクト、これを私は何かもっと予算をつけて進めていくべきだというふうに思っているんです。  先ほど申し上げたように、やはりそういう観点から見ると、コストとか何かは別にしてやらなきゃいかぬと思うんですが、その上に、余剰農産物もその原料として使えば余剰農産物対策ということになると思うので、それも原料として対象に含めることができるのかできないのか、その点、ちょっと最後に確認したいと思います。
  90. 小林新一

    小林政府参考人 お答えいたします。  私どもの技術開発という趣旨といいますか、意味におきましては、木材廃棄物であれその他のもみ殻というようなことであれ、いろいろなものがバイオマス利用のための技術開発の対象になるということは、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。  なお、実用化していくに当たりましては、結局バイオマスエネルギーの利用の促進のためにどういう方策をとっていく、そういう視点からも検討されていくべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  私どもといたしましては、先生るるお話しのとおりでございますが、地球温暖化対策などとして、こういうものにつきましては、積極的にこれを支える面での研究開発、技術開発ということに取り組むべきであるという基本的な立場に立ちまして、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。
  91. 筒井信隆

    筒井委員 終わります。
  92. 宮路和明

    宮路委員長 次に、丸谷佳織君。
  93. 丸谷佳織

    丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  今回の総合的な緊急米対策につきまして、高く評価をさせていただきたいというふうに思います。  きょうの私の質問は、農家方々が今回の緊急の米対策によって、何だまた減反か、こういった失望感を抱いていただかないように、また、最近、一部都市部で起こりがちな、いたずらな、なぜ農業だけに多額のお金を使わなければいけないのか、こういった短絡的な批判をいただかないようにという観点から質問をさせていただきたいというふうに思っております。  今回、この緊急の米対策の全貌を見てみますと、どうやって備蓄米を減らしていくのか、余剰米に対してどのような対処をしていくのかというところが入り口論になっているようにも思うわけなんですけれども、実際に計画を上回って残っている在庫を処理しなければ、当然米価が安定しないということですから、どう減らしていくのかということが重要だということは十分理解できるのですが、農業に従事をしていらっしゃる方々にやはり一番感じていただきたいのは、意欲的に希望を持って生産できるような環境づくりをするため、このことを最重要課題としてとった緊急対策だというようなことをまず実感していただかなければいけないというふうにも思います。  この点におきまして、今回の対策農業に従事していらっしゃる皆さんに与えるインパクトと申しますか実際の効果について、総括政務次官はどうお考えになるのか、この点をまずお伺いします。
  94. 石破茂

    石破政務次官 御評価をいただきまして心から厚く御礼を申し上げます。  るる申し述べてまいりましたが、要は、米が下がらない、ずっと暴落基調が続いてきたわけでありますが、これから先、これ以上下がらない、そしてまた、稲作経営の充実等によりまして、仮に下がった場合も所得は確保する、こういうような二つの構造になっておるわけでございます。この二つのことによりまして、生産者方々に、もうだめなんだ、これ以上やってもいかぬのだという気持ちを与えない、そのことが一番重要ではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  かてて加えまして、これから先、担い手というものを中心にして、そういう方々に意欲を持っていただきたい。はっきり申し上げまして、二反とか三反でやっておられる方々は、ある意味、かなり値段が落ちてまいりましても、生産費が償えないようなことになりましても、それが収入の大宗を占めておるわけではございません。農地を保全なさるとか、土地を管理なさるとか、あるいは生きがいでなさるとか、ある意味、コストを無視したという方々もある規模以下になればそれはあるわけでございます。そういう方々と、そしてまた、本当に意欲的に規模拡大をしていこうと思われる方々、それに対します施策は当然別であるべきでございます。特に北海道なんかはそうではなかろうかと思いますが、意欲的に専業的にやっていらっしゃる方々に絶望感を決して与えてはならず、希望を持っていただけるような対策にしたつもりでございます。
  95. 丸谷佳織

    丸谷委員 今まで本委員会でなされてきました質疑録というのも今回しっかり読ませていただきまして、平成六年から連続して全国的な豊作に伴い、米の持ち越し在庫量というのは大幅に増加をしてきて、価格の低迷というのが続いてきている、さまざまな施策をとられてきたわけなんですけれども、本当に今回の対策で余剰米というのが計画どおりに適正量に是正されていくのか。この実効性の確保というのを、もう一度力強い御答弁をいただきたいというふうに思います。
  96. 石破茂

    石破政務次官 私どもとして可能な限りの対策を打ってまいりましたので、この実効性というものは必ず上がるというふうに確信をいたしておる次第でございます。
  97. 丸谷佳織

    丸谷委員 この緊急対策に対します方向性というのは理解させていただきました。  実際に農家方々が直面する問題といいますのは、米の価格の問題、そして所得の安定の問題であろうというふうに思います。北海道のある農業団体の方がこの間こちらの方に陳情にいらっしゃいまして、お話をお伺いしたところ、北海道で調査をしました水稲における経営では、所得の中から減価償却費ですとか土地改良費などを差し引きますと、年間百万円ほどにしかならない、非常に経営が厳しいというお話をお伺いしました。  政務次官もおっしゃってくださいましたけれども、北海道というのは専業農家が非常に多うございまして、四七・七%という比率です。また、北海道では大規模農業化というのを積極的に推進しまして、稲作においても、高品質なお米を低価格で安定的に供給できるようにということで、農業者の方は大変な努力をしていらっしゃいます。  こういった農業に従事していらっしゃる方々にとって、先ほどの年収もあわせて、価格の下落というのは本当に死活問題であるというふうに言えると思います。大規模で効率的な農業を目指すためには、価格、そして所得の安定をイの一番に図っていかなければいけないと思いますが、この点についていかがお考えになるか、お伺いします。
  98. 石破茂

    石破政務次官 これは新しい農業基本法の理念でもあり、食糧法の理念でもございますが、要するに、一言で申し上げれば、価格政策から所得政策への転換ということなんだろうと思っております。  今まで農家方々の所得というものは、消費者の御負担において、ある意味、高い価格に誘導することによって所得を確保するということでございました。しかしながら、それでは構造改善が進まないとか、消費者に負担を押しつけるのかとか、国際的に見てどうなのかとか、そういうような御批判もございます。それは正鵠を射ておる部分も相当ございます。  そういたしますと、所得の確保というものは、価格を高く維持することよりも、それは国民皆様方の御負担によりまして、財政支出によりまして所得政策というものをやっていこう。価格政策から所得政策というのはそういう意味ではなかろうか。今回のいろいろな措置も、そのことを念頭に置きながら講ぜられておるものだというふうに思っております。  あわせまして、委員が冒頭御指摘なさいましたように、都市部におきまして、ある意味、誤解に基づく、いわれなきとは申しません、誤解に基づきます農政批判というものはあろうかというふうに思っております。昨日、予算委員会におきましても、私ども農林省がやっております公共事業についてのいろいろな批判的な御見解を開陳された委員もいらっしゃいました。  しかしながら、例えば公共事業、基盤整備、そういうものがなぜあのように高い補助率が行われておるのかということを考えました場合に、高補助率のゆえんというものは、それによって規模拡大が行われ、コストが下がることによって、消費者皆様方が安い農産物を享受することができるということは事実としてあるわけでございます。  それは何のために行うかといえば、生産者のためというよりも消費者のためという面も多い。生産者の側からしますと、どんどんコストを下げていってもちっとも手取りはふえないじゃないのというような思いもあるわけでございます。これは価格政策においてもそうでございますし、公共事業においてもそうでございますが、都市部と農村部がどっちが得したとか損したとか言っておっても、ちっとも国のためにもなりませんし、国民の福祉の向上にもなりません。その辺の実のある御理解というものを、また御質疑を通していただければ大変幸甚に存じます。
  99. 丸谷佳織

    丸谷委員 そうしますと、生産者の所得安定に向けた施策というのは大変大事だということなんですけれども、実際、今、年間の所得が低いということで陳情にいらっしゃるような方々に対して私から申し上げるべきことは、現在は価格政策から所得政策への移行時期であるというような御説明をすればいいという認識でよろしいですか。
  100. 石破茂

    石破政務次官 これは多くの皆様方、もちろん議会も含めまして御論議をいただきながら、今のところ、いろいろな対策をそれぞれの品目について講じておりますが、これをさらに体系立ったものにしていきたい。その移行期だというふうに御理解をいただいてよろしかろうかと存じます。  ただ、そこにおいて必要なのは、繰り返しになりますが、再生産の確保ということもございますけれども、どういう方々の所得を確保していくのかということ、そしてまた、だれの負担においてそれを行うのかということ、そのような視点が必要ではなかろうかと思っております。  委員指摘のように、本当に専業で頑張っておられる方の所得というのは絶対に確保していかねばならないが、価格が下落をすることによって真っ先に打撃を受けるのはそういう方々であるという認識を強く持っておる次第でございます。
  101. 丸谷佳織

    丸谷委員 政策の過渡期ということでも所得の安定は最重要課題でございますので、今の総括政務次官がおっしゃいましたような根本的な立場から、急いでまた施策のつくり上げというのをやっていただきたいというふうに思います。  私は、十五分という短い時間で最後の質問をしなければいけないわけなんですけれども、WTOについてお伺いしたいというふうに思います。  実際、我が国の農政は、国内の食料自給率の向上という一面と、また国際貿易の中での自由化というはざまにおいて、本当に明確な行方が示し切れていないというジレンマも実際に抱えているのではないかというふうに私は思います。とりわけ、WTOの農業交渉におきましては、加盟国は根本的な解決をもたらすように、助成及び保護を実質的かつ漸進的に削減するという目標を掲げまして、一層の自由化というものが進んできている。また一方、国内におきましては、食料・農業農村基本法に自給率向上というものを掲げまして、しかしながら、ミニマムアクセス米は本年度で三百七十一万トンにも上って、私たちの農政を圧迫しているというのが現状であります。  私たちの日本は、先進国の一員としまして、WTOの精神というのは推進していく立場にはあると思いますが、このWTOの農業協定の議論においては、各国の食料自給率の確保ということをより積極的に主張していくべきではないかというふうに思います。この点について総括政務次官にお伺いします。  また、外務省にお伺いしますけれども、新ラウンドの交渉の開始というのはまだ決まっておりませんが、ウルグアイ・ラウンドにおいては、ことしからの交渉開始が決まっていました農業分野、そしてサービス貿易について既に交渉が始まっております。しかし、これらについては、米国側に有利な分野のみを先行させていこうというような動きがあるのではないかというふうにも思いますし、さまざまな駆け引きが予想されます国際舞台での交渉においては、すべての分野について包括的な交渉を行うべきであるというふうに思いますが、どのような態度で臨んでいかれるのか、この点、最後にお伺いします。
  102. 石破茂

    石破政務次官 WTO次期交渉におきましては、私どもは、農業の持ちます多面的機能とあわせまして食料安全保障、それはケアンズの諸国が主張しておりますように、いいんだ、地球じゅうの食料安全保障はケアンズが担うから、何も日本が安全保障なんて考える必要はないんだという御主張ではなくて、やはりそれぞれの国が安全保障、いろいろな国にいろいろな農業があるべきだ、いろいろに条件は違うわけですから、その主張。つまり、食料安全保障という言葉も、同じ言葉なんだ、フードセキュリティーという言葉なんだが、我々日本が考えておりますフードセキュリティーと、ケアンズが考えているフードセキュリティーと、EUが考えているそれと、アメリカが考えているあれと、同床異夢みたいな形で全部違うわけですね。  日本の主張を本当にきちんと明確にしながら各国の御理解を得てまいりたい、そのように考えております。
  103. 田中均

    田中政府参考人 委員指摘のとおり、WTOの新しいラウンドはまだ立ち上がっていないということ、それから、農業、サービスにつきましては、合意済みの課題として本年の一月から交渉が始まっているということは御指摘のとおりでございます。  一方、各国、多分共通の理解として、新しいラウンドが立ち上がらなければ農業、サービスの交渉も円滑に進まないということであろうと思いますし、私どもといたしましては、関係国の幅広い関心に答えられるような、市場アクセスのみならず、ルールの策定といったことも含めた幅広い課題を有する新しいラウンドの早期立ち上げに努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  104. 丸谷佳織

    丸谷委員 以上です。ありがとうございました。
  105. 宮路和明

    宮路委員長 次に、一川保夫君。
  106. 一川保夫

    一川委員 自由党の一川でございます。  まず、総括政務次官に、細かいお話は省略いたしますけれども、先ほど来のいろいろな質疑を聞いていると、ちょっと印象としまして、今回のこの緊急総合対策、昨年も緊急対策をとりましたけれども、基本的にはこの緊急対策というのは、本来の政策からすれば余りこういう緊急的な対策は講じなくてもいいような、基本的な政策をしっかりとやっていただきたいというのが私の思いなんですけれども、それに対しては政務次官はどういうふうにお考えですか。何かえらい自己評価が高かったのですけれども
  107. 石破茂

    石破政務次官 これは、委員も私ども農水省のOBでいらっしゃいますし、いろいろなことを御案内の上の御質問かと思います。  先ほど九十点というふうに申し上げましたが、これは私、思うのですが、行政として九十点なんて言っちゃいかぬと思うのですよ。そのときそのときに打つ措置というのは、行政としては、これはもう自分たちとして満点であることが国民に対する責任でございまして、ただ、パーフェクトということはあり得ない。ただ、私どもとして、それが満点に近づくべく出すのが当然、行政の責任ではなかろうかというふうに思っております。  しかしながら、御指摘のように、緊急、異例、特例の措置を出しておりますということは、本来、原則とは違うことをやっております。例えて言いますと、政府買い入れ数量についてもそうであります。そしてまた、これが、先ほど丸谷委員の御質問にもございましたが、将来の所得政策というものを確立する上においての過渡期ということもございますが、今まで三年の平均ということでやっておりましたものを固定化するということをやっておるわけでございまして、先駆的とも申しますが、ある意味、過渡的な政策であることも事実でございます。ですから、これから先、これが所得確保という意味において理念的に正しいものであるということで、ぎりぎり考えたつもりではございます。  ただ、先ほど来の御指摘にありますように、見通しが狂って、結果として非常に余ったということは事実でございます。後ほどの御質問にもあるかもしれませんが、備蓄水準をどの程度に置くか、作況をどのように見込んでいくのか、それによって減反の面積はどのようになっていくのか、そして減反政策というものは何のために行うことなのか、そういう基本論というものをもう一度根底から議論いたしまして、消費者の方、納税者の方にも御理解をいただけるような努力が私どもとしては必要ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  108. 一川保夫

    一川委員 政務次官の方から若干反省の弁もございました。私は、今ほどのお話考え方はそれで私も同感ですけれども、今回、昨年と同等のこういった緊急的な対策をとらざるを得ない実情といいますか、米をめぐる事情が、いろいろな面で、先ほどの話のように予測が難しい面もございますけれども、明確に将来を見通したような施策をまだ基本的に打ち出していないというところにあるのではないかという感じがするわけですね。  これは、お互いに知恵を絞って、これからしっかりとした恒久的な政策がとれるように我々も努力しなきゃならないと思いますけれども、そういう面では、こういった緊急対策ということが、大盤振る舞いをしたからこれでいいんだというふうな変なPRをされては困るというふうに私は思っております。  また一方では、農家の皆さん方も、ほぼ収穫を終えた時期でございますけれども、先ほどの政務次官の話にも、農家方々は、勤勉さは当然持続しておりますから、単収を上げるべく頑張っていらっしゃると思うんです。その結果として非常に豊作になってくる。要するに、豊作を心から喜べないというのが今の実情ですね。こういう農業というのは、私は、やはり将来的には非常に不安感があると思うんですね。やはり、一生懸命努力してたくさん農産物がとれた、それを喜べるような農政というものを展開しなきゃならないというふうに思うわけです。  そこで、今のお話にもちょっと関連しますけれども、昨年も生産オーバー分の処理とか政府の持ち越し分を凍結する云々とか幾つかの緊急対策がとられたと思うんですね。それを実施した結果は、どういうふうに総括されていますか、どのように評価されていますか、あれでよかったと思いますか、多少、いやちょっと不十分だったというふうに思われますか。そのあたりの感想を聞かせていただきたいと思います。
  109. 石破茂

    石破政務次官 価格は、低い水準ではありましたが、おおむね下げどまったというふうに私は感じておるわけでございます。それは、低い水準であるからけしからぬというふうにおしかりをいただけば、それはそう言わざるを得ませんが、私は、こういう言い方が正しいかどうかわかりませんが、その対策なかりせばもっと下がったであろうことは事実だと思っておるわけですね。  それでは、もっと政府が買えばよかったのか、もっと処理すればよかったのか、こういうようなお話も出てまいるわけでございます。その場合の財政負担はどれぐらいであったかということをあわせて考えねばなりません。  ことしの、さらに緊急、異例の措置を打ち出しております背景には、やはり昨年のものでは十分ではなかった、いろいろな事情がございますが、低落傾向はとまったとはいえ、なお低位にとまったということの思い、そして、それが生産者方々に与えた影響、将来に対する不安感、そういうものを払拭するためにさらにそれを充実させた。大盤振る舞いというつもりはございません。  大盤振る舞いではなくて、とにかく、この下げをとめる、少しでも上がっていくような、そして生産者方々が何を、つまり、需要に応じたというふうに私どもは常に申し上げておりますわけで、どういうものをどれだけつくれば一番高く売れるか、そういうマインドが生産者方々にメッセージとしてきちんと伝わるような仕組みをあわせ整備しながら、大盤振る舞いを避けつつも、とにかく、これで最低大丈夫なんだという安心感を持っていただけるような政策にしたつもりではございます。
  110. 一川保夫

    一川委員 今、農家の皆さん方の中で、農業にそれなりに魅力を感じて一生懸命農業に取り組んでいきたい、そういう若者も徐々にふえてきていることは、私は間違いないと思います。そういう方々気持ちとして、今回のような緊急対策でその場その場を乗り越えていくような政策については、やはり不安感みたいなものは常にまだあると思うんですね。  これは、当面の所得をある程度カバーしていくということでは必要な措置だというふうに思いますけれども、我が国のこれからの農政なり農業というものを新しい時代に即して体質を変えていく、構造的に変えていくという施策からすると、本当に当面、こういう政策でいいのかという感じを私自身も持つわけです。  そういったときに、幾つかの観点で、現在のいろいろな、従来から取り組んできた考え方にメスを入れて、多少痛みは伴ってでもそれを切りかえていくということを考えなければならない時期に来ているんではないか。特に、新しい農業基本法がスタートして、新しい二十一世紀という時代の節目を迎える時期ですから、これを機会に従来の発想で組み立ててきた制度をしっかりと見直していくということを、ぜひ農林水産省の方でもそういう認識のもとにあらゆる政策に取り組んでいただきたいというのが私の気持ちでございます。  その中の一つとしまして、ちょっと問題提起といいますか、私の考え方でございますけれども、今、米の適正備蓄水準という言い方を、いろいろと説明されますし、いろいろなものに書いてございます。何が適正かということをふと考えるわけですけれども、百五十万トンプラス・マイナス五十万トン、そういう数字が動いているわけですね。  片や、近年のいろいろな現象を見ておりましても、御存じのとおり、異常気象なのか、これが異常でなくなってきたのかわかりませんけれども、自然災害が発生しやすいというか、そういう状況にもありますし、また、現実発生しておるわけです。そういう状況とか、それから、米自体が我が国ではもう過剰基調にあるというのは御存じのとおりですけれども、そのほかにも、最近では海外支援、海外援助米といいますか、そういうような一種の外交的な施策も含めての動きがいろいろと出てきているわけです。  そういうことを考えてみた場合に、適正備蓄水準、百五十万トンという数字が、当時どういう考え方でセットされたかというのは私もはっきりと記憶しておりませんけれども、いろいろな財政事情等々も勘案しての総合的な判断だと思いますが、果たしてこれでいいのかどうかということにつきまして、政務次官はどのようにお考えですか。
  111. 石破茂

    石破政務次官 法律に基づいて申しますと、食糧法の第三条にこういう規定がございますね。「この法律において「米穀備蓄」とは、米穀生産量の減少によりその供給が不足する事態に備え、必要な数量の米穀在庫として保有することをいう。」法律にさかのぼればこういうふうな規定になっておるわけでございます。  さて、これを実際に数字にしようと思うとどうなるか。これはいろいろなお考え方があろうかと思いますが、要は、過去の不作の経験を踏まえまして、平均的な不作が二年続いたとしても円滑な供給が行えるように、これを旨といたしております。  具体的に申し上げれば、戦後五十五年になるわけでございますが、作況が九八以下の不作の平均は何ぼでありましょうかということになると、これは九二ですねということになります。不作の平均は作況指数が九二ということになります。そうしますと、どういうふうな計算になるかというと、先ほども御議論がありましたが、需要量を仮に一千万トンといたしまして、一千万トンに一から〇・九二を減じましたものを乗じます。つまり、一から〇・九二を引きまして〇・〇八になるわけでございますが、一千万トンにその〇・〇八を乗じまして、それに二年分の二を乗ずるということになりますと、ニアリーイコール百五十万トン、こういうことになるわけでございます。  この計算が正しいかどうかということは、この一千万トンがどうなのかねとか、それが二年連続生じてもと、こういう考え方でいいのかということがございますが、私どもは、不作が一年で終わるとは限らないと思っております。二年続くことも三年続くこともあるだろう。そうしました場合に、これは一年では短いかもしらぬ、三年では長いかもしらぬ、それじゃ二年ということで考えてまいりました場合に、こういうような計算を行っておるわけでございます。
  112. 一川保夫

    一川委員 私は、備蓄水準というものは今までのお話のそういう経過があったというふうに思います。米をめぐるこれまでの一つの考え方の中で、例えば、備蓄水準百五十万トンという数字が妥当かどうか、あるいは今後新しい時代に向けてこれでいいのかどうかといったような、今この段階ではごく当たり前の議論になっておりますけれども、そういったことも含めてしっかりと見直しをかけて、例えばこの備蓄水準、場合によってはもっとふやしてもいいじゃないかというようなことも含めて、いろいろな問題をしっかりと議論をしながら、新しい米をめぐる政策を構築していく必要があるのではないかなというふうに思っております。  それで、もう一つ、これは農家方々が一番心配されているというか関心があるテーマですけれども、俗に言う米の生産調整です。  これ自体も大して前向きの政策でないわけですけれども、そうかといってこの生産調整をやらないと、当面農家としても大変だし、いろいろな面で農家の所得が確保されないという見通しの中でこういう政策が展開されておるわけです。従来減反をしてきた九十六万トン余りの面積というのは、もうこれが精いっぱいだ、もうこれ以上だめだというような言い方で、農業団体を初め個々の農家の皆さん方もそういうことをおっしゃいますね。しかし、今回若干またそれをふやしていくという一つの流れになってきておるわけですけれども、どこが一つの歯どめなのかなという感じがいつもするわけです。  やはり実際に米作に適した地域と、米作以外の作物が適した地域をある程度仕分けをしながら生産調整をする、もうちょっとめり張りをつけたやり方を持っていかないと、全国画一的な政策で乗り切っていくというのはもうそろそろ限界に来ておるのではないかという感じがしますけれども、そのあたり、どのようにお考えでしょうか。
  113. 石破茂

    石破政務次官 その点は、実は私もずっと長いこと悩んでおる問題でございます。  ただ、結局、食管法時代におきます生産調整というのは、だれのためにやるかというと、一義的には食管制度を守るためにやったわけですよね。要するに、政府が全量を買わなきゃいかぬわけですから、いっぱいつくられますと、政府在庫がかさみまして、納税者の御負担が過大なものになってということでございます。基本的に食管制度のもとにおきましては、生産調整というのは、政府のために、食管制度維持のためにやるということであったというふうに理解はしておるのです。  しかしながら、食糧法の時代になりまして、もう百五十万トンプラス・マイナス五十しか備蓄を持たないということになったわけでございますから、これはだれのためにやる生産調整かといえば、基本的に日本経済のもとにおいて認められておらないカルテルというものをこの世界においてだけ認めておるわけでございまして、それは生産者方々に対する生産調整という意味合いが強くなってきたんだろうというふうに思っております。  かてて加えて申し上げれば、生産調整をやるということなかりせば、どうやったら需給が均衡するかというと、全部取っ払って、どんどん価格が下がって需給が安定するところまでいけばいいという考え方も極論としてはあるのだろうと思います。そういう御主張をなさる方もあります。  しかしながら、その過程においてはとんでもないことが起こって、最終的には農村は崩壊し、食料の自給率はがたんと下がりということで、生産調整をやめれば当然転作補助金も出ないわけですから、農家なんて所得はほとんどなくなるわけで、稲作農家も倒れれば、畑作農家も倒れ、それが流れ込んできた酪農も倒れ、全部倒れちゃうということになるわけです。  その場合に、ではどういうふうに各県にウエートを置くかということは、基本的に私ども行政も参加をしながら、いわゆる生産者団体の皆様方の間でどのようにやっていくか、今回、いろいろな転作につきましての補助水準も引き上げてまいりました。そして、ことしからやっておりますように、麦をつくり、大豆をつくり、これは、今までのようなばら転ではなくて、本作にしてください、連担化してください、高度な技術でやってください、その場合に限ってお金を差し上げますというような政策にしておるわけで、それぞれの生産者皆様方が、米の生産調整ということとあわせて、麦をつくろうか、大豆をつくろうか、あるいは、新登場というわけではございませんが、ことしから強調しておりますホールクロップサイレージ、これをどのように取り組むか、そのことについて、それぞれが経営感覚を持って御判断をいただき、それに行政も関与をし、御相談に応じてまいりたい、そのように思っておる次第でございます。
  114. 一川保夫

    一川委員 私は、先ほども触れましたように、新しい時代の節目ということもございますので、また、米の過剰基調というのは、日本の今の稲作をめぐる状況からすれば、一つの大きな傾向としてはとまらないと思うのですね。  こういう中にあって、やはり農業に取り組む人、また、特に稲作に取り組む人たちが、俗に言うやりがいのある農業というものをぜひ構築していかなければならないわけですけれども農業という産業は、ほかの産業に比べれば割と効率の悪い部分ですから、しかも、農業の持つ役割を考えれば、私は、絶対にこの世の中には必要な産業であるというふうに思っておりますので、そういう面では公的な支援、しっかりと支えていくということが絶対必要だというふうに考えております。  しかし、そのやり方をもう少し工夫を凝らしていかないと、農業という産業に従事している方々そのものが意欲をなくしてしまう。また、一般の国民が農業に対して偏見を持ってしまう。そういったことを解消するために、私は、従来の施策の延長線上で物事を考えるのではなくて、今この時期に大胆に発想を変えて、多少痛みは伴ってもそれを乗り切っていく、そういう気構えでぜひやっていただきたい、また、我々もそういう気持ちでこれからも引き続き勉強させていただきたい、そのように思っております。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  115. 宮路和明

    宮路委員長 次に、松本善明君。
  116. 松本善明

    松本(善)委員 最初に石破政務次官に伺いますが、先ほど来、皆さんが、立場はそれぞれ違うけれども、日本の農業はこのままでいいのかという立場での御質問だったというふうに私は思います。  政務次官は、今度の緊急総合対策について、多少の弁明もされましたけれども、九十点近いと。けさの日経の社説をお読みになりましたかどうかわかりませんが、米づくりの二十一世紀の展望も見出せない中で、来夏の参議院選挙をにらんだその場しのぎの対応に終始した印象は否めない、今回の対策は、二十九日の自主流通米入札をにらんでまとめたものだ、低価格米志向の消費が定着していることもあって、相場反転の劇的効果を予想する流通関係者は少ないと。政務次官も、上がるということにはならぬ、下げどまりだと、今晩わかることですけれども。この社説の立場は、私どもとみんな一致しているわけではありませんけれども、客観的な評価の一つではないかというふうに私は思います。  それで、私がお聞きしたいのは、話にも出ましたけれども、やはり今、農民は収穫の喜びどころじゃないですよ。冗談ではなくて、豊作を祝う祭りは茶番になるという異常な事態です。自民党の議員の質問でも、自殺者数人の例を挙げていらっしゃった。それから、公明党の委員の質問の中でも、将来の見通しが持てない、行方が示されていない。皆さんおっしゃるのは、もう緊急総合対策ばかりじゃないか、根本的な展望が持てないじゃないかというお話でございました。  これはここだけの話ではなくて、北海道の方が何人か御質問になりましたけれども、北海道の稲作中心の町長さんが、もう地域経済がめちゃくちゃになる、自殺者がさらに出るという心配をしていらっしゃる。それから、秋田県の大潟村で、十五ヘクタールやっている、今まで一〇〇%減反協力という方が、ことしからはもうやめた、共補償その他で二百万ぐらい出しているけれども米価が上がらないから、下がるから、これはやっても仕方がない、もう減反協力はやめたとおっしゃっています。それから、自民党の市町村会議員で、政府の言うとおりやって規模拡大してきたけれども、借金がいっぱいになって、もう首が回らない、それで、田畑も売ろう、だけれども売れもしない。本当に悲鳴を上げていらっしゃる声をいっぱい聞きます。それが県会議員レベルまで上がってきています。  きょうお見えの中、ほかの委員出席されていましたが、宮城の県会議員と宮城県選出の国会議員と懇談がありました。自民党と一緒に会派を組んでいる保守系の議員さんですけれども、ことしは豊作で喜ぶのかと思ったら、みんな困り果てて青息吐息だ、今までやってきたようないじくり方では、失礼な言い方ですけれども、米の問題、農業の問題というのは絶対解決できない、本当に悲鳴のように言っておられましたよ。  私が最初にお聞きしたいのは、今のやり方というのは、青刈り、えさ用の投げ売り、減反拡大で米の供給を減らせば米価が上がるというやり方でしょう。これは無策と言ってもいいですよ。私は、そういうやり方はやはり完全に破綻をしていると。だから、去年も緊急対策でしょう、ことしも緊急対策でしょう。与党の皆さんも展望が持てないでしょう。そういう状態なんですよ。このままでは日本の稲作は成り立たない。日本の農業の中心はやはり稲作ですよ。それが成り立たないということでは、展望が持てない。  私は、最初に政務次官に、一体この現状をそういうふうに認識しておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  117. 石破茂

    石破政務次官 私も選挙区は農村でございます。私は鳥取県でございますけれども、本当に中山間地の典型のようなところでございまして、週末に選挙区へ帰りますたびに、今委員指摘のような声を聞きます。ただ、一番その声はどこで強いかといえば、やはり北海道であり、東北であり、九州であり、本当に専業地帯、専業でやっていらっしゃる方々にその声が強いのだろうというふうに思っています。  さすれば、もう食管制度はなくなっちゃったわけですから、どんなにつくったって政府が買いますというようなこと、そして、財政支出によってそれを買いますということがなくなってしまいました以上は、こういうことが起こることは、ある意味、食糧法をつくりましたときに予想されたことでございます。  今回の対策がすべて場当たり的というふうにおっしゃいますが、例えて言えば、稲経を固定するというようなことは、原則から外れて、今回新しい考え方として打ち出したものでございます。これは、所得を補償するということを主眼に置いておりまして、これを固定する。新しい所得政策が出るまでの間、一年ということにしておりますが、議論の過程の中で、新しい所得政策が出るまでの間、固定するという考え方もございます。そういうような形で、どのようにして所得を確保していくかという考え方。  同時に、意欲のある担い手が、何をどれだけつくれば高く売れるのかというメッセージが本当に生産者方々に伝わるようなやり方はどのようなものがあるだろうか。それで、麦や大豆や飼料作物やそういうものを、転作ではなくて、ばらばらにつくるのではなくて、本作で連担化をして高度な栽培技術をやってください、こういう施策も打ち出しております。  また、ホールクロップサイレージというのは、自給率が低い一番の根本の原因は、えさを外国から輸入しておるというところにあるわけでありまして、この技術はいまだ日本においては確立をされておりません。この技術をきちんと確立することによって、所得も得られる、自給率も向上する、そういうような政策を講じておるところでございます。すべてが場当たりというわけではございません。  加えて申し上げれば、減反政策の意義につきましては、先ほど申し上げたとおりでありまして、この減反政策なかりせばどのようなことが起こったかということも、あわせて私どもはよく研究し、御理解を得ていく必要があるだろうというふうに思っております。
  118. 松本善明

    松本(善)委員 私は、米の輸入の自由化のときに特別委員会委員で、反対をしましたけれども、この間の事態というのは、やはり米の輸入の自由化政策が誤りだった。それを根本的に証明していると思います。  それで、私たちはそれ以来、日本の農業の中心である稲作を守るためには、米価の下支えの仕組みをつくることを一貫して主張してきました。今回の緊急策としては、私たちの主張は、二年前の米価水準を今年度取引の下限価格設定して、値幅制限を復活する。これを実効あるものにするために、備蓄ルールを見直し、先ほどもちょっとお話がありました、買い入れ数量を三百万トンまでふやす。要するに、下限価格でも落札されない場合は政府が買い支えるということを提案しています。  それで、お聞きしたいのは、今度は政府買い入れ数量を四十万トンにとどめて、政府の責任も、私から言えばまともに果たそうとしていない。先進国で、主食の穀物を一〇〇%市場原理に任せて、価格下落をストレートに生産者に押しつけている国は、日本以外にほとんどありません。クリントン大統領は、この六月の農家救済に一兆六千億を支出する法案に署名いたしました。これは、三年連続の農家支援であります。アメリカは、主要作物収入の三〇%から五〇%が政府からの支払いになっております。主要作物の生産者に手厚い補助をやっている。EU諸国では、伝統的に手厚い農産物価格支持が行われて、食料自給率を引き上げてきたことは御存じのとおりです。この二十年間にアメリカの価格補償予算は約十一倍になっています。EUは三・三倍です。日本は逆に半減であります。  私は、この下支えをする、値幅制限を復活するということを、これは本会議で我が党が質問したら、総理は、米政策の基本方向から見て適当でない、何が基本政策なのかわかりませんけれども、これはまさに亡国の政策ではないか。政府米価補てん制度は、市場価格を前提に補てんの基準価格を見ています。価格や下落は市場原理だから仕方がないという態度では、もう農業は守れないと思います。生産費を償う米価、今約一万九千円になりましょうか、償う米価にしなければ、農業の崩壊を放置するということになるのじゃないか。  やはり、この市場原理万能の米政策の基本方向を転換するということこそ、必要ではないだろうか。この点について政府はどう考えているか、お聞きしたいと思います。
  119. 石破茂

    石破政務次官 下支えというものを設けろというような御指摘でございます。これは、下支えというものを設けるというのも、議論が随分あったことでございました。しかし、下支えというものを設けると、とにかくこれ以下は下がらないのだということを恒常化することが、本当にいいのだろうかということを考えてみたわけでございます。それをやりますことは、全面的にとは言いませんが、食管法時代に基本的に理念が戻ってしまうのではなかろうか。  あわせて、消費者皆様方に、これはもう先ほど申し述べましたように、基盤整備も行っておるわけでございます。どうやって安い農産物を、安全な農産物を消費者皆様方に提供するかということも、また私どもの使命でもございます。そこの接点をどのように見出すかということも、あわせて考えていかねばなりません。  そこで、値幅制限を十年産から撤廃するに当たりましては、生産者皆様方の御要望もございました。売り手であります県経済連等が毎回、銘柄別に落札希望価格申し出ることができるということにしたわけでございます。その希望価格を下回って自主流通米価格が形成されることはない、そういうような仕組みにはなっておるわけでございます。  どうやったらば値段が下がらないか。市場原理万能ということになって惹起されるデメリットにつきましては先ほど申し述べたとおりでございますし、生産調整の意義について申し述べたとおりでございますが、下支え機能を持たせるということは、かつての食管法時代の政府米が果たしておった役割でございまして、そのような下支えというものを固定するということにつきましては、私ども、残念ながら同意をいたしかねるところがございます。
  120. 松本善明

    松本(善)委員 食管法時代に戻るとか戻らないとか、そういう議論じゃなくて、今の日本の農業の現状をどう見るか、どうしたらいいのかということを本気で考えるということなんですよ。  ミニマムアクセス米のこともいろいろ議論になりましたが、私は、大原さんが農水大臣のときに、輸入しながら減反というのはナンセンスだと言われて、それを取り上げて予算委員会で追及したことがありますけれども、だれでもわかることですよ。米余りの原因がミニマムアクセス米にあることは、もうはっきりしている。これについては、私どもは、やはり米の輸入を削減し、既に輸入された米は海外援助に振り向ける、国内事業とは完全に切り離す、適正水準を超える政府在庫米も加工用などで処理をすることを提案しています。  これは極めて明白なので、今までは、政府ミニマムアクセス米は義務だと言っていましたが、きょうも政務次官は輸入機会の提供と、これは中林さんが追及した問題で覚えていらっしゃると思いますけれども、輸入しなくても済むわけですよ。政府の対応でこれは削減したり、何かすることができるはずです。  ちょっと時間がありませんから、本当は石原さんに聞きたいところだけれども石原経済局長が出席をした関東農政局主催のWTO農業交渉「意見を聞く会」で、「ミニマムアクセス枠を削減したり、廃止するという提案はしないのか。」という農業団体の質問に対して、農水省の出したものによれば、農水省の態度ということで多分石原さんは答えたんじゃないかと思うけれども、「我々はミニマムアクセス枠の返上、削減の意見を重く受け止め、その方針については正に今年末まで決めなければならない。」ところが総理は、本会議場では、これも米政策の基本方向から見て適当でないと。石原さんはいいかげんなことを言ったのかなと。  私は時間があれば聞きたいところだけれども、ちょっと時間が、委員長が少し超過してもいいと言うのなら聞きますけれども……。
  121. 宮路和明

    宮路委員長 時間は二十分でございますので。
  122. 松本善明

    松本(善)委員 では、時間の関係もありますからまとめてあとの質問もして、もし答えたいというのならば答えてもらいましょう。  さっき紹介いたしました宮城の県会議員も、今八億の人が飢餓に瀕しているじゃないか、それを海外援助でどんどんやってくれと。これは、私は、日本の国際信用も上げるし、それから世界の平和、日本の安全保障にも役立つ、一石二鳥にも三鳥にもなると思いますよ。  これもあわせてお聞きするのと、時間の関係で全部まとめて聞きますから、お答えをいただきたいと思いますが、WTOで議論も出ましたけれども、昨年のWTO閣僚会議の決裂は、いろいろ原因があると思います。アメリカを中心とする食料輸出国の横暴に対する怒りの爆発であることは明白であります。これは、やはり農家生産意欲を生み出して食料輸入国が食料自給率を上げるためは、WTO協定の改定は不可欠だと思います。  この点については、総理は、谷津さんの質問に答えられたんだけれども農業交渉については、農業の多面的機能や食料安全保障の重要性への配慮、輸出国と輸入国の権利義務関係の回復が確保され、各国の農業が共存できる貿易ルールの確立を図るという基本的考え方に基づき、国民的理解を得ながら交渉提案を取りまとめていきたいと思いますというのが、本会議の答弁でした。これは、閣僚会議の決裂の後、超党派の国際議連が発足をして、五大陸、四十一カ国参加をしてこういう方向を出している、それを踏まえた御発言だと思います。  私は、この段階になったら、具体的にやはりどういう提案なのかということを明らかにして、国会で十分論議をすべきだと思う。私どもは、まず米を自由化の対象から外す、二は、各国の生産拡大への助成措置を一律に削減、禁止する条項を削除する、それから、規制の対象外になっている環境保全のための施策にアジア・モンスーン地帯での農業生産の維持を加える、これをやはり入れて交渉をすべきだと思う。真正面から、日本の農業を守るためにはこうしなければならぬということをはっきり国際的に主張していく。それは、多数を得るには努力をしなければなりませんけれども、基本的な主張をはっきりしなければだめだと思います。  そういうことをやるかどうか、これをあわせて、大変たくさんの質問ですが、時間の関係でやむを得なくなりましたけれども、お答えをいただきたいと思います。
  123. 石破茂

    石破政務次官 お答えを申し上げます。  最後の方からお答えをいたしますと、米を輸入自由化品目から除外せよ、それから、禁止条項を削除せよ、アジア・モンスーン地域における環境保全のための規定を追加せよ、こういうことでございます。  自由化対象品目から除外をすることにつきましては、WTO協定というのは、御案内のとおり、農産品全般を対象としておるということにつきまして、国会の御承認を得ておるわけでございます。米も、その中で対処をしていかねばならない、そのように考えております。  価格支持政策の禁止条項の削除につきましては、緑及び青の政策と、削減対象であります黄色の政策に分類をされるわけでございまして、価格支持政策は禁止ではなくて、削減対象の黄色ということになっておるわけでございます。その点をどのように考えるかということでありまして、そのように私どもは実施をしておるところでございます。  さらに加えて申し上げますと、私どもの具体的な提案というものはこれから検討してまいるわけでございますけれども、基本的には、現行の枠組みの中で私どももこれをかなり賢く使いまして、相当のメリットを得ておるということもまた御認識をいただかねばならぬことだと思っております。生産調整をどのように考えていくか、基盤整備をどのように考えていくか、日本独自のいろいろな政策というものを認めていただくという形で、現行の基本的な枠組みの中で私どもも最大限やらせていただいておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今年末、十二月をめどといたしまして、具体的な内容を取りまとめてまいりたいと思っております。  アジア・モンスーン地域の環境保全のための規定を置けというような御主張でございますけれども、このWTOで交渉をいたします際に、これはもう世界、北から南まで、西から東まで全部の地域を対象として議論をしていかねばならないことでございます。それでは、その場合に、アジア・モンスーン地域を対象といたします新しいルールというものができるか、そのような提案を私どもの中に盛り込むことができるかということにつきましては、そもそもWTOの議論になじまないものではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。  そして、ミニマムアクセス米についての御指摘でございます。石原局長参っておりますが、石原局長が重く受けとめたというふうにお答えをしたやに聞いております。ただ、私からしますと、そういうような主張はあるだろう、日本国もそういうような主張をするべきだというお話を私も承っております。  あわせまして、国家貿易品目というものをどのように考えていくか、どのように戦略を立てることが日本国の農業にとって一番利益になるのか、MA米撤廃ということとあわせて、それでは、アメリカ、EU、ケアンズはどのような手で出てくるか、ガットの条文というものを全部読みました上で何が我が国にとって最も有利か、それは、委員皆様方の御協力をいただきながら、これから先、鋭意検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
  124. 石原葵

    石原政府参考人 お答えを申し上げます。  関東農政局で行われました「意見を聞く会」で私がどういう表現をしたかというのは正確に覚えておりませんが、いずれにしましても、ウルグアイ・ラウンド交渉の結果から、非常に我々は反省いたしております。それは、国民合意の上で次の提案というのはまとめなきゃならぬというふうに考えておりまして、その一環といたしまして、「意見を聞く会」あるいはEメールや投書での意見募集をやっておるところでございます。その中でそういう意見が出されたことについては我々、重く受けとめて、この年末までの提案の取りまとめに当たりまして、それを十分考えて対応するということでございます。  なお、ミニマムアクセス米の輸入を削減すべきではないか、今削減することについていろいろ意見が出されましたけれども、我が国は、現在、ミニマムアクセス米を削減するようなことはできない。  よく共産党の先生方から韓国がそのとおりやっていないではないかという御指摘があったところでございますけれども、韓国も、契約と実際の通関、その時点が違うということで、統計のとり方によっては韓国はきちっとやっているんだ、契約ではやっているんだ、通関が若干ずれるだけだということを言っております。しかし、通関ベースではきちっとやっていないということにつきまして、先般の三月及び六月の農業委員会の会合で各国から韓国が批判をされたところでございまして、韓国はこれからきちっとやりますということを答弁いたしておりますので、申し添えたいと思います。
  125. 松本善明

    松本(善)委員 反論したいこともありますけれども、時間もありますのでいたしません。やはり、この六年間、失敗しているんですよ。日本の農業はつぶれかけているんです。基本的な転換について本気で考えなければ、文字どおり日本の農業はなくなってしまうんですよ。それを本当に憂える立場で議論しなけりゃだめだということを主張して、質問を終わります。
  126. 宮路和明

    宮路委員長 次に、菅野哲雄君。
  127. 菅野哲雄

    菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。  米価審議会諮問がされました。私は数点にわたって質問いたしますので、よろしくお願いいたします。  まず、諮問説明によりますと、平成十二年産米穀の作柄及び最近の需給価格動向にかんがみ、緊急に米穀需給稲作経営の安定を図る観点から、米穀在庫水準の早期適正化平成十三年産米穀生産調整規模拡大稲作経営安定対策についての臨時特別措置などを柱とする総合的な米対策を取りまとめた、これが諮問案に状況として説明されております。  私どもといたしましては、きょう配られた、あるいは事前にいただいた資料七ですか、それに基づいて、資料によりましても七項目にわたる総合米対策を講ずるとなっておりますが、政務次官が九十点のものだと言っていますけれども、この緊急米対策総体としての事業費、概算でよろしいですから、どのくらい考えておられるのか、緊急に講じた措置として試算しておられるのであれば、まず冒頭お聞きしておきたいというふうに思っています。
  128. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 このたびの緊急総合対策の必要な予算額でございます。これは現在、財政当局と今後の予算編成の中で検討していく、こういうことになっておりまして、大変恐縮でございますけれども、現段階では確たる数字は申し上げられないということでございます。
  129. 菅野哲雄

    菅野委員 きょう私どもに、具体的な数字として、資料七として配られているんですね。米価全体、米審に諮問した全体のこともありますけれども、これから財政当局との詰めも残っていますけれども、緊急対策を講じた部分として、概算でいいんです、このことを出さなければ、このことをなぜ私は冒頭言っていくのかというのは、今各委員から質問がありましたけれども、毎年毎年、緊急緊急ということでやっているんですよね。このことを恒常的なものとして確立していかない限り、農家は安心して農家経営ができないんじゃないか。そのことを今、概算でいいですから、これからの論議を展開する上においても、まとめるに当たって、概算どのくらいを見込んでいるのか、このことだけははっきりしてください。
  130. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 繰り返しになって大変恐縮でございますが、財政当局と具体的な数値につきまして予算編成の中で検討していく、こういうことでございます。ただ、対策の大枠、数量等決まっておりますので、私どもとしましては、その中で今後の予算編成を通じて必要な額を確保していきたいというふうに思っております。
  131. 菅野哲雄

    菅野委員 平行線なんですが、平成十二年緊急総合米対策、今諮問しているんですね。資料七です。一、二、三、四と書いて具体的数字を挙げているんですよね。「七十五万トンの市場隔離(別枠扱い)を実施する。」と書いているんです。「今年十月末に二百八十万トンと見込まれる」云々と書いてあります。こういう数字を挙げておいて、これに係数を掛けていけば、概算規模、概算予算というのは出てくるはずじゃないですか。これは農林水産省として押さえておいて、後はこれから財政当局と個別具体的に、そして各項目にその予算を散らばして見えないようにしていくんだろうと思うんですけれども、そうじゃないんです。  このことがなければ、私は最後までこのことを要求し続けますけれども、なぜこういうことを質問するかというと、毎年米作農家方々は本当に、いろいろな方からも意見がありましたけれども豊作を願って一生懸命米づくりに励んでいるんです。だれも不作であればいいなんということで励んでいるわけではないんですね。今一生懸命、一年に一度の収穫時期でありますから、常に一年待って期待と不安の交錯する中で農家の人たちは毎日毎日農作業にいそしんでおります。そして、今日の状況を考えるとき、豊作であっても不安に駆られます、豊作貧乏になるんじゃないかと。収穫期の前に米が不作であれば、本当にことしの所得はどうなるんだろうということで不安になります。今の稲作経営の人たちは不安につきまとわれて毎年毎年稲をつくっているんですね。  ことしの作況が一〇三、やや良ということであります。そして、二十六万トン、三十万トンも生産オーバーということが大合唱されておるんですけれども豊作になったときに、今、緊急でなくて恒常的対策として常にやっておれば、農家の人たちが安心して一生懸命農作業にいそしむことができるんだ、農家方々豊作を願って意欲的に米づくりに励めるような対策として、私は、緊急的ではなくて恒常的な部分として今言ったような部分を確立すべきではないのかなというふうに思うんです。  農林水産省の来年度予算に対する概算要求によっても、日本新生特別枠として、公共事業、非公共事業合わせて一千八百億円ですね、日本新生ですよね、新しくしていくということで。農林水産分野におけるIT革命の推進、概算要求の要求ですからこれから議論していきますけれども農家も含めてIT革命、森総理大臣が一生懸命言っていますけれども、それに二百五十一億円を概算要求で要求しているんですね。二百五十一億円ですよ。  私は、日本新生をどう図っていくのかというのは、いかにして第一次産業、国の基幹産業を維持発展させていくのか、あるいは将来にわたって不安のない産業にしていくことが日本新生の大前提ではないのかなと思うのであります。米であれば、豊作であってもみんなが喜び合えるような国の恒常的な施策をつくっておく必要があるというふうに思うのであります。  このことについて、政務次官、どうお考えでしょうか。御見解をお聞きしたいと思います。
  132. 石破茂

    石破政務次官 IT等につきましても予算要求をさせていただいております。  私もいつも役所の中で申し上げておることでありますが、それが生産者にとってどんなメリットがあるのか、それをきちんとしないような予算はあってしかるべきだとは思っておりません。そして、中心的な担い手層にプラスになるような予算でなければ、総花的、ばらまき的なことをやったって何の意味もないわけでありまして、それが体質強化につながるものでなければならないというふうに考えながら、今回の予算要求をしておる次第でございます。  なお、先ほどおしかりをいただきました、この対策に幾らかかるかというお話でございます。これは御案内のとおり、単価は出しておるわけでございますが、それに何を掛けたらいいかということは、相当な変動の要素がございます。したがいまして、それについて今どれぐらい、マックスどれぐらい、ミニマムどれぐらいかということも含めまして財政当局とやっておるところでございまして、いいかげんな、数字を把握しておらないからということではございません。変動要素がございます分で、まだ数字が確定をしておらないということでございます。  大体どのような折衝結果になったか、そのことにつきましては、また先生の方に御報告に上がらせていただきます。
  133. 菅野哲雄

    菅野委員 平行線をたどっていますけれども、私は、農林水産省として、マックス幾ら、ミニマム幾ら、政務次官が言うように、そういう数字でいいんです、概算ですから。例えば百億かかるのか、一千億かかるのか、その辺だって、この資料七を見ただけでは全然わかりません。  そして、こういう対策を講じましたということで、例えば二百億だと二百億を恒常的に計上していくような、これから論陣を張りますけれども、そういう農業政策をやっていかない限り、農家の人たちは経営意欲というものを失ってしまうんじゃないのかなという気持ちがあるわけですね。  今日の米作農家経営実情を、今各委員が質問で議論していますからあえて答弁は求めませんけれども、本当に稲作経営に自信を持てなくなっていっているということです。そして、生産基盤の拡大のためにしていかなければコストダウンを図ることはできませんけれども、コストダウンを図るために設備投資として投資している姿があるわけですね。それを償還していかなきゃならない。その償還すらもできない状況、今日の状況が、大規模農家専業農家の部分です。先ほど政務次官が言うように、兼職農家の部分はそんなに問題じゃない。問題じゃないということは失礼ですが、専業農家ほど今非常に困難に陥っているという実態が先ほどから明らかになっていますけれども、そういう状況を考えたときに、今しっかりとした手を打っていかなけりゃならないと思うんですね。  そのために、それでは毎年緊急緊急とやっているのを、どれくらいの予算があれば緊急でなくすることができるのか、このことを私は議論したいがゆえに、冒頭、額を提出してくださいということを言っているわけですから、もう一回その辺、マックス幾ら、ミニマム幾らで、本当の概算の概算でいいですから、答弁してください。
  134. 宮路和明

    宮路委員長 わかっている範囲で、わかるところで答弁してください。
  135. 新庄忠夫

    新庄政府参考人 このたびの緊急対策、今月中に対策を取りまとめて打ち出すということで、ぎりぎりまで財政当局それから生産者団体等の方といろいろ協議をしてやっと決まった、こういう状況でございます。そういうことで、財政当局との間で具体的な金額も、こうしようとかそういったところまでまだいっていないという状況でございます。  そういったことで、また今後の協議で具体的な数字を出していきたいということでございます。
  136. 菅野哲雄

    菅野委員 本当に正対した議論になりませんけれども平成十二年の総合米対策をもとにして、今、米価審議会諮問をしているんですよね。そして、この中身がこれから新年度予算に盛り込まれていくんだろうと思うんですが、この中身が、この事業をやるために概算事業費もなしに、すると、あれですか、農林省と関係団体とでどんぶり寄せ合ってこれをまとめたんですか。事業費、政治的決着だと称してやったんですか。  これくらいの事業を見込んで、そして全体の国の予算との関係でこれくらいは大丈夫だというのが、きょう、委員会に示されて当たり前じゃないですか。私は確定したものを出してくれと言っているんじゃないです。例えば最低限これくらいと、大体百億から二百億なんですか、一千億なんですか、あるいは三十億なんですか。これすらも出せないということは、これから審議なんかできないんじゃないですか。この七項目、これでよろしいという形に、私、この委員会として、はい、そうですかと引き下がれということなんですか。  この件、ぜひそこで協議して、委員長……。
  137. 宮路和明

    宮路委員長 わかる範囲でちょっと数字、ある程度言えるものと、それから、既に固まっているものであれば固まっている範囲で、固まっていないものは、固まっていないものもあるでしょうから、それはそれとして、今わかるところできちっと答弁してください。
  138. 石破茂

    石破政務次官 大変恐縮でございます。  委員の御指摘は、例えばえさ米に回すということで幾らかかるか、援助米に隔離するということで、それは幾らかかるか、そういうような具体的な、それぞれの項目について示せというようなことではなかろうかと思いまして……(菅野委員「違う違う」と呼ぶ)全体でよろしいんですか。(菅野委員「全体で」と呼ぶ)全体で幾らということでよろしいんですか。  ですから、それは今申しましたように、えさ米に処理して幾らかかるかということについて、私ども要求はいたしておりますが、具体的にどれだけのことができるかというのは、現在、折衝中のものでございます。したがいまして、今折衝中でございますことから、これは余り言いわけにもなりません、おしかりをいただくべきことかと思いますが、今ここに手持ちの数字を実は持っておりません、事務当局も。  したがいまして、早急に出しまして、委員の方に御報告を申し上げたいと思いますが、現在、折衝中のものでございますので、これは変動があり得るということでございます。委員会を軽視しておるとかそのようなつもりは全くございません。
  139. 菅野哲雄

    菅野委員 私はここでぼっこら、事前に当局とやって、この部分だけはぜひ提出しないと私の論点はかみ合いませんよということで言ってあることですから、持っていませんということは、私の質問に対して本当に正対して答弁しようとはしていないという姿を、委員長、私はここで資料七をきょうもらって、きょう質問しているわけじゃないんです。これは事前に一応いただいて、ここのヒアリングを受けて、数字はこれくらい具体的に上がっていますから、これを緊急総合米対策として今後やっていくと内外に発表している数字ですから。委員長、このまま後でという話にはならないと思うのです。休憩してでもその辺よろしくお願いしたいと思います。
  140. 宮路和明

    宮路委員長 ただいまの菅野委員の御質問の件につきまして、ただいまのところ、数字を持ち合わせていない、こういうことであります。  それで、私の方からの提案でありますが、この委員会が終わった後、若干時間をいただいて、理事懇を開かせていただいて、そこで取り扱いについて協議して、今の先生方のそうした御質問に対応していくということで処理をさせていただきたいというふうに思います。
  141. 菅野哲雄

    菅野委員 このことに時間をとり過ぎて、あと二項目ほど用意していたんですけれども、ぜひ総合的に、米も含めた第一次産業というものを、これから具体的に、農地法の改正の問題や新年度における予算案が出てきますから、そのときにまた質問していきたいというふうに思います。  先ほど共産党の松本さんも言っていましたけれども、国際貢献を日本がどう果たしていくのか、そして、そのための食糧援助をどうして今後、世界に向けてやっていくのか。きょう配られた「我が国の米麦をめぐる国際事情」というのの中に、そのことの一歩は示されていますけれども、これから具体化をしていかなければならない。そして、その上に立った、日本における第一次産業、食料産業というものをどう構築していくのかというのは、これから大きな課題だと私どもも認識しておりますので、これは後の機会の質疑に譲りたいと思います。  ぜひそういう立場に立って、本当に、農家も含めて第一次産業従事者、あえて第一次産業と言います、米だけじゃなくて、林業も水産業も大変な状況、危機的な状況になっておりますから、そういう意味も含めて、第一次産業全体を底上げするような、下支えを行って底上げするような農林水産行政を展開していただきたい、このことを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  142. 宮路和明

    宮路委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十三分散会