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大畠委員 これは、私よりもずっと先輩である森
総理は政治家として長い経歴をお持ちですが、まさに信なくば立たず、政治というのは信頼を失ったら終わりなんですね。しかし、今、残念ながら、そういう不信という形の国民からのものがずっと広がっている中で、私
たちは与野党を超えて、国民の信頼を取り戻すためにどうしたらいいか。
総理としては国のこともやらなければいかぬでしょう。しかし、自民党総裁としても、自民党のこういう問題についてはきちっとするということをぜひこれからもやっていただかないと、
日本の国がだめになってしまうと私は思うんですよ。
これはもちろん、
日本の国内にも
情報は流れますが、
世界にも流れます。例えば
アメリカでこういうことがあった、ヨーロッパでこういうことがあった、私
たち日本人が知ります。それを逆の立場になったら、
日本に対するイメージはどうなるでしょうか。私は、そういう
意味で、ぜひ自民党総裁としてこういう問題に対するけじめをつけていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
それから、
IT基本法の問題に入りますが、実は
総理もこの
IT問題について非常に熱心だと聞いておりますが、ある
企業の、西新橋の方にあるサイバーガバメント・スクエアというところに
総理も行かれたという話を新聞で読みました。サイバーガバメント・スクエア、日立のショールームというところへ行ったという話を聞いておりますが、私も行ってきたんです。
それで、実はその中でいろいろな話を聞いてきましたが、今回の
IT基本法の基本的な問題は何かというと、よくわからないと。要するに戦略
会議をつくりますというだけで、一体どういう方向に進むのか、あるいはどんな
社会になるのか、よくデジタルデバイドと言われておりますが、
弱者はどうなるのか、あるいはデジタルリストラという話もありますが、
失業者はどうなるのか。国民にとっては本当にいいのかどうかというのがよくわからないというのが実態だと思うんですね。
私
ども、この
基本法についてはどうも実体がないんじゃないかということでいろいろ
議論をしてきました。そして、方向性というものをまず、こうあるべきだというものがあって
基本法というのがなければならないので、こういう
社会にしようというのがない中で、ただ
基本法でまず始めますよというだけでは問題が多過ぎるんじゃないか、逆に国民に不安を与えるだけじゃないかというような感覚を持っていました。
先ほどの
アメリカの例でありますが、
世界的にどんな形になっているかということがある書物にも入っていますが、
世界的に
政府の役割が大きく変貌しようとしている、先進国を中心に
政府の役割は縮小し、過去に果たしていた役割の一部を
企業やNPOなどほかの経済主体に移転するか、あるいは分担して責任を果たすようになってきた。こうした流れのきっかけは、一九七〇年代のイギリスのサッチャー政権、あるいは
アメリカのレーガン政権の流れがそういうものを始めたというのですが、いずれにしても、
政府みずからの支出による需要創出や
産業育成という観点から転換して、大規模な
規制緩和と減税の組み合わせによって市場競争を
拡大させ、経済の活性化を図る
政策へと大きくかじを切ったというのが
世界の流れだと書いてあるんですね。これが、強いて言えば、
IT基本法の目指すべき流れだと私は思うのですよ。
それから、市場競争の主体である
企業は、国家という枠組みを飛び越えて活動の自由を拡張することが必然となる。すなわち、
企業が国を選び始めたという時代になり始めている。結果的に、
政府は、みずからが
企業に対して圧倒的な支配力を有していた
状況が逆転したことを認識せざるを得ないことになる。要するに、
政府が方針を出したり、
政府が救援策をやったり、それで
企業を誘導するという時代はもう終わったんだと。
政府の影響力というのがだんだん少なくなって、
企業が国を選ぶ時代になったという流れだと思うのです。それで、いずれにしても、そういう流れから、国家としての戦略を持たなければ
企業に見放されるというのが私はこれからの流れなんだと思うのです。
そこで、いろいろな話がありますが、デビッド・バラムさんという元商務省副長官が今
アメリカのGSAの長官をされているんですが、この方の話を私はビデオで見たんです。その中で、重要なことは、民も官も客を第一番目に
考えることが重要だ、国民イコール顧客であるという指摘、こういう視点が重要だというのです。
私は、果たして今回の与党の
IT基本法というものの流れの中で、国民がお客さん、いわゆる顧客第一主義、いわゆる
ITを進めることによって国民は非常に快適な
サービスを受けることができるようになるんですよという視点があるのかどうか、それからもう
一つは、そういう
世界的な流れの中で、
日本が戦略的な思想を持ってこの
ITを進めようとしているのか、どうも
日本の国、与党としての戦略が見えないんです。
そこら辺にどうも国民が、あるいは私
たちが不信というか不安感を覚えるんだと思うんですが、最初に、
総理、
日本としての基本的な戦略というものをお持ちでこの
IT化を進めようとしているのかどうか、そこら辺についてお伺いしたいと思うのです。