○氏家
参考人 氏家でございます。
御命令でございますので、若干
警察刷新会議の経過を述べさせていただくと同時に、その結論について、私の感想などを申し述べさせていただきたいと
思います。
この
警察刷新会議は、三月二十三日から七月十三日まで十一回行ったわけでございますが、一応、この
会議は
国家公安委員会の諮問と申しますか御下問によりまして
発足した、こういうことになっておりますけれ
ども、私はもともと新聞社の出身でございますから、いろいろな
情報を総合いたしますと、やはり、亡くなった小渕前総理などが本当に一生懸命
警察の問題を心配されまして、それで
発足したというふうに伺っております。
まさにそのとおりでございまして、その当時、一連の、新潟における
警察の
不祥事、それから少し後に起きました埼玉の
桶川の問題、それから栃木の石橋の問題というふうに、相次いで
警察の怠慢と申しますか、弛緩を問題視するいろいろな世論が盛り上がってきた当時でございます。そういうのを受けまして私
どもはこの
会議を
発足させたわけでございます。
まず
最初に、
委員の構成は、実は六人でやったのでございますが、五
委員、一顧問という変則的な形になったのです。何で一顧問というのができたかというと、一顧問というのは前
国会にもおられた後藤田正晴さんでございますが、後藤田さんは、この会の
委員を引き受けるに当たっては、
警察が仮に戦後五十年の
制度疲労を起こしたとすれば、三十年前に
警察庁の
長官をやった私にも若干の責任があるかもしれないから、
委員として
改革のボードに加わるわけにはいかない、しかしながら、私は学識経験者としては確かにいろいろなことを知っているから、意見だけは述べさせていただくというようなことで顧問に引かれておりまして、したがいまして、五
委員、一顧問という非常におかしな形で出発したのです。
この問題は非常に多岐にわたる問題をはらんでおりますので、かなりいろいろなところで議論が沸くかな、かなりの幅で議論が広がるんじゃないかな、こういうふうに私は判断いたしまして、座長としてこれをどういう形でまとめるかということを考えました。
その際、私
どもが考えましたのは、この中の
委員の議論が多岐にわたるということは、
国民の議論が多岐にわたっていることであろう、しかし、その中から最大公約数を選び出すことによって
会議をまとめるのでなければ、この
会議はつぶした方がいい、はっきり言って。そういうのが私
どもの
基本的な信念でございまして、そのために、この
会議においては議決はしません、満場一致でございます、満場一致になるまで徹底的に議論いたしましょう。そのことによって、
国民の皆様が、大きな部分が納得していただける結論をまとめ上げたいと
思います。仮に、もしその議論がどうしてもかみ合わないとおっしゃるのであれば、どうぞおやめになってください、私
自身もそうなったらやめます。それで、やめた理由を天下に公表してやめようじゃないですか。そうすれば、いかに我々が真剣に討議したかと同時に、この問題がいかに複雑な問題をはらんでいるかということが
国民の
皆さんにおわかりいただけるだろうということで始めたわけでございます。したがいまして、時間その他についてはほとんど制限なしということでございます。
それから、大体、この
委員会の顔ぶれ、
委員の方をごらんいただければよくおわかりと
思いますが、多少、審議会あるいは政府関係の
会議の常連でございますので、
言葉は悪いかもしれませんけれ
ども、若干すれているというか得意としているというか、いろいろなところがあると
思いますが、その先生方が後で感想をお述べいただいたし、私
自身もそういう感じを持ちましたのは、この
会議ぐらい
委員が主体的に運営をした
会議はなかったという感想を
皆さんお持ちでございます。私
自身もそう
思います。
それは、
最初に、ここに
警察庁の方もいらっしゃるのでちょっと言いにくいところもありますが、
警察庁から、こういう審議会の
会議の常といたしまして、
事務局という形で案を出されるのです。ところが、
最初のところから、まず議題をどうするかというところから、五つばかり議題を出されたのですけれ
ども、これはこの順序ではやらない、中身はほぼ網羅されていましたけれ
ども、順番がこの順番ではだめだ、我々は我々で自分で議題をつくるということで、まず
最初に
警察組織
刷新会議という名前を御
提出いただいたわけなんですが、それは違う、
警察制度全般だろう、だから
警察刷新会議に改めるということをイの一番に決めさせていただきまして、そして問題につきましても、
情報公開と
苦情処理を取り上げたい。それは、ちょうどたまたま、先ほど申しました幾つかの
事件で非常に問題になったのは、
警察の
情報公開が非常に少なかったということと、それから
苦情処理を安易にさばいてしまったという
問題点が指摘されたことがございまして、まず、それをどういうふうに正していくかということを問題にしようということになったわけでございます。
ただ、現行
制度、つまり、
国家公安委員会という
制度があって、国家
警察組織と地方
警察組織というものがあるという現行
制度そのものに抜本的な手を加えるというようなことになると、極めて大きな作業になって、その間の国家の治安、
国民の安寧というものが維持できないかもしれない。したがって、
制度的な大幅な
改正はちょっと不向きかもしれない。この
制度をきちっと研究してみますと、決して悪い
制度ではないのですね。
そこで、
国家公安委員会というものは、若干
機能していないような感じになったのは、我々の研究調査した結果でございますと、まず第一に手が少ない。つまり、我々ですと社長室というようなものを持っていますから、幾らでも手がありますね、会社では。ところが、
国家公安委員会の方は手が少ないんですよ。それで、何とかしてそういったものを、手になるような、下働きできるような組織をつくればこの組織
自身は
機能する。
五十年前にこの組織ができたときのことを考えますと、それまでは、私も新聞記者になりたてのころで、ちょっと覚えていませんけれ
ども、何か極めて
警察に対して第三者的勢力がいろいろと働きかけることによってゆがみが生ずるというおそれがあったそうです。そこで、そこから独立して働くために、つまり、当時における第三者としての中立、客観の
機能を果たすために
国家公安委員会というものができたそうでございまして、この
基本的な理念というものは今なお生きているだろう、生かすべきであろうというのが我々の
基本的な考えでございます。そこから出発いたしまして、
最初にまず
情報公開と
苦情処理を取り上げたわけでございます。
当然のことながら、非常に意見は中ではありました。しかし、意見は分かれましたけれ
ども、
最初私が申し上げた、全体をとにかく
国民の
立場に立って徹底的に議論して、その上で、共通点がなければもうこの
会議は壊してしまう、共通点ができたとき初めてコンセンサスとしてまとめようという考え方に
皆さん御賛同いただきまして、決してそれぞれが御意見を捨てたりあるいは悪い
意味で妥協をしたという
意味じゃなしに、
国民全体の
立場から、大きな
意味での最大公約数という形でまとめられたと私は確信している次第でございます。
したがいまして、私
自身といたしましては、今の条件、経済条件とか財政上の条件とかあるいは
制度上の条件の中で考えた場合には、これは今の段階では最善の策だった、最善とは言えないものの最良の策ではなかったかと実は自負している次第でございます。
あと、いろいろと話の筋等、及び
会議の間に起こったいろいろなあやはございますが、その辺のところは、きょう幸い
皆さん暇をつくっていただいて、参加していただいていますから、お聞きいただくということにして、私の総論はここで締めさせていただきたいと
思います。ありがとうございます。(拍手)