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2000-10-24 第150回国会 衆議院 地方行政委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年九月二十一日)(木曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 増田 敏男君   理事 栗原 博久君 理事 田野瀬良太郎君    理事 滝   実君 理事 山本 公一君    理事 中川 正春君 理事 中沢 健次君    理事 若松 謙維君 理事 菅原喜重郎君       荒井 広幸君    小西  哲君       河野 太郎君    園田 博之君       橘 康太郎君    谷田 武彦君       中谷  元君    菱田 嘉明君       松島みどり君    宮腰 光寛君       山本 有二君    河村たかし君       桑原  豊君    玄葉光一郎君       松崎 公昭君    松原  仁君       桝屋 敬悟君    黄川田 徹君       穀田 恵二君    春名 直章君       重野 安正平成十二年十月二十四日(火曜日)     午前九時四十二分開議  出席委員    委員長 増田 敏男君   理事 栗原 博久君 理事 田野瀬良太郎君    理事 滝   実君 理事 山本 公一君    理事 中川 正春君 理事 中沢 健次君    理事 松崎 公昭君 理事 若松 謙維君    理事 菅原喜重郎君       荒井 広幸君    河野 太郎君       園田 博之君    高木  毅君       竹下  亘君    橘 康太郎君       谷田 武彦君    菱田 嘉明君       松島みどり君    宮腰 光寛君       山本 有二君    桑原  豊君       玄葉光一郎君    牧  義夫君       松原  仁君    桝屋 敬悟君       黄川田 徹君    穀田 恵二君       春名 直章君    重野 安正君     …………………………………    議員           桑原  豊君    議員           松崎 公昭君    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 西田  司君    自治政務次官       荒井 広幸君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (警察庁長官官房長)   石川 重明君    政府参考人    (警察庁生活安全局長)  黒澤 正和君    政府参考人    (自治省行政局長)    中川 浩明君    政府参考人    (自治省財政局長)    嶋津  昭君    地方行政委員会専門員   蓼沼 朗寿君     ————————————— 委員の異動 十月二十四日  辞任         補欠選任   小西  哲君     竹下  亘君   河村たかし君     牧  義夫君 同日  辞任         補欠選任   竹下  亘君     高木  毅君   牧  義夫君     河村たかし君 同日  辞任         補欠選任   高木  毅君     小西  哲君 同日  理事中川正春君同日理事辞任につき、その補欠として松崎公昭君が理事に当選した。     ————————————— 十月十三日  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第四号) 同月十九日  警察法の一部を改正する法律案桑原豊君外四名提出衆法第四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  警察法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  警察法の一部を改正する法律案桑原豊君外四名提出衆法第四号)     午前九時四十二分開議      ————◇—————
  2. 増田敏男

    増田委員長 これより会議を開きます。  理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事中川正春君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事松崎公昭君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 増田敏男

    増田委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国政に関する調査を行うため、本会期中  地方自治に関する事項  地方財政に関する事項  警察に関する事項  消防に関する事項 以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 増田敏男

    増田委員長 内閣提出警察法の一部を改正する法律案及び桑原豊君外四名提出警察法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。西田国家公安委員会委員長。     —————————————  警察法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  8. 西田司

    西田国務大臣 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  この法律案は、警察職務遂行の適正を確保するため、国家公安委員会及び都道府県公安委員会等警察庁及び都道府県警察に対する監察指示当該指示を履行させるための委員による点検等警察職員法令違反等報告の聴取、警察職員職務執行についての苦情申し出並びに委員の再任の制限に関する規定を設けることにより国家公安委員会等警察庁等管理する機能強化を図るとともに、警察署における事務処理に民意を反映させる警察署協議会制度について定めるほか、最近の治安情勢にかんがみ、国の重大な利益を著しく害するおそれのある航空機の強取等の犯罪に係る事案についての警察運営に関する規定整備を行うこと等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、国家公安委員会及び都道府県公安委員会等管理機能強化に関する規定整備についてであります。  その一は、国家公安委員会都道府県公安委員会及び方面公安委員会は、監察について必要があると認めるときは、警察庁都道府県警察及び方面本部に対する指示を具体的または個別的な事項にわたるものとすることができることとし、この場合において、国家公安委員会都道府県公安委員会及び方面公安委員会は、その指名する委員に、当該指示の履行の状況を点検させることができることとするものであります。  その二は、警視総監または道府県警察本部長は、都道府県警察職員が、職務遂行するに当たって法令または条例の規定に違反した等の疑いがあると認める場合は、速やかに事実を調査し、当該事由があることが明らかになったときは、都道府県公安委員会の定めるところにより、都道府県公安委員会に対し、その結果を報告しなければならないこととするものであります。  その三は、都道府県警察職員職務執行について苦情がある者は、都道府県公安委員会に対し文書により苦情申し出をすることができることとし、都道府県公安委員会は、当該申し出都道府県警察事務の適正な遂行を妨げる目的で行われたと認められる場合等を除き、これを誠実に処理し、処理の結果を文書により申し出者に通知しなければならないこととするものであります。  その四は、国家公安委員会委員については一回に限り、都道府県公安委員会及び方面公安委員会委員については二回に限り、再任されることができることとするものであります。  第二は、警察署協議会制度に関する規定整備についてであります。  これは、管轄区域内の人口が僅少であること等特別の事情がある場合を除き、警察署に、警察署管轄区域内における警察事務処理に関し、警察署長の諮問に応ずるとともに、警察署長に対して意見を述べる機関として、警察署協議会を置くものとするものであります。  第三は、国の公安に係る事案についての警察運営に関する規定整備についてであります。  これは、国家公安委員会管理する事務として、国際関係に重大な影響を与え、その他国の重大な利益を著しく害するおそれのある航空機の強取、人質による強要その他これらに準ずる犯罪に係る事案で国の公安に係るものについての警察運営に関することを加えるものであります。  その他、国家公安委員会管理する事務として政策評価に関することを加えるとともに、皇宮護衛官について司法警察職員としての職務を行う旨の規定を置く等、所要の規定整備を行うこととしております。  なお、この法律施行日は、一部を除き、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日としております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概略であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。  以上です。
  9. 増田敏男

  10. 桑原豊

    桑原議員 ただいま議題となりました警察法の一部を改正する法律案につきまして、趣旨並びに概要を御説明申し上げます。  この間、神奈川県警新潟県警を初め警察官不祥事が相次ぎ、このまま放置すれば治安維持に重大な支障が生じかねず、早急な警察改革が求められてきたところであります。そしてようやく、警察刷新会議緊急提言を受けて、今次国会警察法改正政府案提出されました。しかし、残念ながら、私どもはこの政府案に失望を禁じ得ません。  一連不祥事警察官綱紀の緩みにあることは論をまちません。そして、そのための警察内部努力自己改革は当然のことであります。しかし、今回の事態では、それだけでは不祥事の背景となった警察閉鎖性や甘えの体質を打破することができないことが明らかになりました。  国民は、警察に対する国民の監視の目を導入すること、そのために公安委員会機能強化やさらなる情報公開を求めております。しかし、政府案ではその視点が極めて弱く、内容的にも不十分であると言わざるを得ません。あえて私どもが対案を提出いたしましたのは、その国民的視点からの改革を提起するためであります。  以下、法律案概要について申し上げます。  第一は、公安委員会機能強化についてであります。  公安委員会は、国民目線で、国民にかわって警察管理する機関であります。したがって、公安委員会に独自の事務局を置くことといたしました。また、国家公安委員会予算に関する事務国家公安委員会事務といたしました。  第二は、公安委員会監察についてであります。  警察綱紀の粛正のために内部監察を行うのは当然でありますが、重大な不祥事警察運営上の諸問題について国民的疑惑が生じているような場合には、公安委員会国民目線で独自の監察を行うことといたしました。このため、公安委員会事務局監察官及び監察部門を置くことといたしております。  なお、政府案警察監察に対する個別的または具体的な指示につきましては、警察刷新会議においても、個別的または具体的な指示国家公安委員会管理に含まれると解されているところであり、新たに規定するまでもないことであります。  第三は、苦情処理委員会設置についてであります。  警察に対する苦情は、一次的には警察署の窓口で受理し、誠実に対処し、解決されるべきものでありますが、この間の一連不祥事において、苦情を聞いてもらえなかった、文書を改ざんされたというような事例が少なからずあったところであります。したがいまして、都道府県公安委員会並びに方面公安委員会に、事務局を有する苦情処理委員会を置き、国民目線苦情処理に当たることといたしました。  第四は、警察情報公開についてであります。  警察情報が、プライバシーや捜査秘密にかかわるものなど公開すべきでない情報があることは事実でありますけれども警察官不祥事に係る情報などは秘匿すればするほど国民警察不信を招くものであります。そうした観点から、警察は積極的に警察情報公開に努めるべきとの訓示規定を置くことといたしております。  第五は、政府案の一部を取り入れたことであります。  政府案のうち、政策評価及びハイジャック等に関する警察庁の指揮並びに情報公開に関する所掌、警察署協議会設置警察官懲戒事由に係る報告義務公安委員欠格要件皇宮護衛官に関する規定については、その趣旨が理解できるものであることから、本法律案にも規定を置いたものであります。  第六は、施行期日についてであります。  本法律案は、予算措置を伴うことから、平成十三年四月一日から施行することとしております。ただし、一部省庁再編とかかわる事項平成十三年一月六日の施行としております。  最後に、本法律案施行経費についてであります。  本法律案の平年度施行経費としては、八億八千万円と見込んでおります。  以上、簡潔に御提案申し上げましたが、何とぞ、慎重審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。  以上です。
  11. 増田敏男

    増田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  12. 増田敏男

    増田委員長 この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官田中節夫君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、自治省行政局長中川浩明君及び自治省財政局長嶋津昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  14. 増田敏男

    増田委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  15. 栗原博久

    栗原委員 自由民主党の栗原でございます。警察法改正につきまして御質問をさせていただきたいと思っております。  昨年九月の神奈川県警におきます不祥事を発端といたしまして、新潟県におきます、小学校四年生の児童が平成二年、私の選挙区でございますが、三条市の小学校から帰宅途中に行方不明になって、九年二カ月後、ことしの一月二十八日に三条から近い柏崎市で発見された。その発見の経緯も、私どもがいろいろ見ましても大変不明朗であるというような形の中での警察不祥事問題、あるいはまた、今ストーカー問題などがいろいろ言われておりますが、埼玉県の桶川市におきます事件など、そういう中で全国的に警察不祥事が世論を沸かしているということは、私は大変残念なことだと思っているわけであります。  しかし、これらを踏まえながらも、一部の警察官の不心得によってこのような事件が発生したと思っておるわけでありまして、毎日、日夜分かたず現場で働いている一線警察官の方々の気持ちを思いますと、私は大変残念に思っておるわけであります。  我が国の司法警察は、世界に冠たる組織力摘発力など、本当に国民がそれに対して信頼をしているわけでありまして、その中でのこのような一連事件については、やはり政にある一人といたしましても残念であり、かつまた、先回の衆議院の解散前に警察法改正が出されておりました。これらの関連する一連事件を踏まえながら、このような警察法改正が実はされたと私は思っておるわけであります。  この三条事件は特に私も身近な事件でありますし、その被害者の家族も私はよく知っておりますし、事件発生の当時、私は田中警察庁長官に幾度も衆議院予算委員会などで御質問し、それに対する対応を求めてまいったわけでありまして、国会の答弁を踏まえながら、私も新潟県警の皆さんも、一生懸命に対応をしていっていると思っています。不幸な三条事件を契機といたしまして、警察がやはり敏速果敢な措置をしているというふうに、県民は実はそれについては理解を示しております。  特に、県警におきましては広報広聴課などを新設して、全部の県下警察署に署の相談室を設けたりして、特にまた、今までは警察職員ですとだれだかわからなかったけれども、名札を示して大変オープンな形で相談に真摯に対応しているということについては、私は一応評価をしているわけであります。  そういう中で、質問に移りますが、これらの事件を踏まえての、先回の警察法改正案とはまた違う意味で、またこれらの関連の事件を重く受けとめての警察法改正提案が出されたと私は思っていまして、ただいま国家公安委員長からも法案趣旨説明があったわけでありますが、この法案改正に対します国家公安委員長としての御所見と御決意のほどをひとつお聞きしたいと思います。
  16. 西田司

    西田国務大臣 さきの通常国会警察法改正案提出した後にもさらに不祥事案が相次いだことから、国家公安委員会は本年三月、警察刷新会議の発足を求めまして、七月、警察刷新に関する緊急提言提出を受けたわけでございます。国家公安委員会といたしましては警察庁とともに、この緊急提言を重く受けとめまして、八月、当面警察が取り組むべき改革施策警察改革要綱として取りまとめたわけであります。警察改革要綱内容は多岐にわたるものでありますが、これらのうち骨格をなす事項について、今回警察法改正案に盛り込むことといたしました。  国民警察に対する信頼を確保し、安全に安心して暮らせる社会を実現するため、断固たる決意を持って改革要綱の実現を初めとする警察改革に、国家公安委員会はもちろんでありますけれども警察庁都道府県ともに全力を挙げて頑張っていく決意でございます。
  17. 栗原博久

    栗原委員 今国家公安委員長から決意のほどを実は御披瀝賜りましたけれども、要するに、このような一連の不幸にして起きました不祥事、これによって国民警察に対して大きな信頼をしていたものが一挙にして瓦解して、それは揺らいだわけでありますが、それをやはり信頼回復するべく今回のこの警察法改正もあると私は思っております。  先ほど私申し上げましたけれども一線警察官治安維持のために、あるいはまた捜査活動のために本当に日夜分かたず額に汗して頑張っているわけでありますから、その頑張っている者に報いるような、こたえるような警察法改正であるというふうに実は私は承っておりますし、また、あわせまして、この警察法改正と同時に、やはり職員意識改革も徹底しながら、着実にこの法案施行されることをまずもって私は望みたいと思っております。  実は私の質問時間も限られておりますので、先ほど、政府提案閣法と同時に野党案も出ておりました。野党案の中で外部監察というような言葉も入っておったようでありますが、私の質問はきょうは一応閣法についてということでありますが、しかしながら野党案からも出ておりましたので、この外部監察についてひとつお聞きしたいと思っております。  それは、神奈川県警事件で、外事課の警部補の覚せい剤の使用に対して、組織ぐるみの隠ぺいが行われたということが問題になっておるわけでありまして、新潟県の事件も、一月二十八日、女性が九年二カ月ぶりに発見されたちょうどそのとき、関東管区警察局長特別監察が行われている日でありました。  それに対して、やはり監察のやり方といいましょうか、管区からの局長みずから監察をせず、担当に任せながら、三川村の温泉地の方に向かった。これは温泉地といいましても、私の前の選挙区でございまして、大した温泉地ではないんです。マスコミがどんどん報道しますから立派な温泉地のように見えますが、これは村の昔の宿泊施設を旅館に改造した程度で、そんなに豪華なところではないのでありますけれども、そこで本部長と一緒に会食をした。それは、会食はしたとしても不適切な中身の会食であったというようなことも報じられておりますが、こういう中で、報道機関を通じまして大変国民の怒りは燃え上がったわけなんであります。  こうしたことから、警察内部では自浄能力が働いていないじゃないかというような指摘があって、第三者機関によって外部監察をやはり導入すべきというような意見も実はあるわけでありますが、野党案はそれを踏まえながらこのような主張をなさっていると思っております。  しかしながら、私は、警察の高度な捜査活動、それは公正な、公明な、あるいはまた公開性も必要と思いますが、やはり一人の人間を罰するためには、当然高度な捜査情報が漏れない中での捜査も実は私は必要と思っています。そういう中で、今回のこの政府原案の中には、法案の中には、外部監察制度というものの考え方が実は取り入れられていないわけであります。  そういうことについて、いろいろ議論された中で外部監察というものは取り入れないという結論に至ったと思うのでありますが、その結論に至るまでの経過と、そしてまたその理由をぜひ、きょう田中長官お越しでございますから、長官からひとつお聞きしたいと思います。
  18. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のいわゆる外部監察というものの考え方でございますが、いわゆる外部監察をやります場合に、いろいろ考え方があろうかと思いますけれども、今委員指摘のように、警察職員の個々具体的な非違非行事案に対しまして、公安委員会を含めました警察組織以外の第三者機関にその監察権限を付与するというのが外部監察の一般的な考え方だろうと思います。  そこで、そういうような考え方につきまして、警察に導入してはどうかという御意見がございます。これはただいま御指摘のように、昨年来の一連警察不祥事案に関しまして、警察自浄機能が十分働いていないのではないかというような御意見がありました。私どもといたしましては、そういう御意見に対しましては謙虚に耳を傾けなければならないというふうに考えております。反省すべきところはしっかりと反省しなければならないというふうに考えて今日に参ったわけでございます。  警察に係るところの監察、具体的に、非違非行に係るところの監察はいかにあるべきかということを考えますときに、まず、監察業務公平性とか公正性、また客観性ということを考えなければいけないことは当然でございます。  しかし、警察業務に係る非違非行事案に対しまして、やはり警察組織業務に精通している者が当たらなければ実効ある監察はできないということ。それから、対象事案調査警察捜査活動と密接に関連する場合が多い、また、その対応についても捜査に発展することを視野に入れなければならないということから、警察以外の組織が行うことは必ずしも適当ではないということ。それから、厳正な措置を講ずるためには監察と人事の密接な連携が不可欠であることなどの点から、警察組織以外の組織に独立した監察組織を設けることは必ずしも適当ではない。警察組織活性化を図る観点からも、公安委員会を初め警察組織自浄能力をさらに高め、国民信頼確保に努めるということが適当であるとの考え方をとるに至ったものでございます。  また、警察刷新会議緊急提言におきましても同様の考え方が示されているところでございます。  そこで、今回の、今提出し御審議をいただこうとしております法案につきましては、公安委員会警察民主的運営を確保する機関である、本来、監察の適正を確保する役割をかなり重いものとして担うべきものである。そこで、今回の改正案では、そういうことを踏まえまして、警察職員懲戒事由に係る事案公安委員会への報告、あるいは具体的または個別的な監察指示、及びこれを実効的に機能させるための監察担当委員によるところの監察の履行状況の実地点検、監察担当委員の命により事務を補助する監察調査官の仕組みを設けることとしております。  また、公安委員会に対しますところの文書による苦情申し出制度の創設によりまして、国民から直接、警察業務運営あるいは警察職員職務執行の問題点に関する情報公安委員会が認知し得る制度整備することとしております。  以上の結果、不祥事案の未然防止、発生時の適正な対応、その処理の両面におきまして公安委員会第三者機関的な監察点検機能が飛躍的に強化される、公安委員会は実効ある管理機能を発揮できることになるというふうに考えておりまして、こういう点から今回、外部監察の必要はない、外部監察よりもむしろ警察組織の中で一層の充実強化を図るという考え方をとるに至ったものでございます。
  19. 栗原博久

    栗原委員 外部監察はそのような観点から制度化しなかったということでありますが、私は、警察行政の透明性を求めるためにも、できる限り国民が求めます情報公開は当然だと思っております。また、これも時代の流れであります。  ただ、すべての行政について例外なく情報公開することは、当然とは思いますが、やはり同時に、犯罪捜査情報が開示されたことによって治安維持に支障が生じるというような点もあるかと思いますので、これらを踏まえながらまたお聞きしたいと思うのです。  今、自民党の内閣部会を中心といたしまして、幹部公務員に関する法律議員立法で検討しております。これはどういうことかといいますと、情報といいましょうか、報告義務ですね。各省庁の局長級の方が抱えておりますいろいろな情報を大臣に報告しなくて国家に大きな損失を与えた場合は、罰則規定を設ける。それは、退職金の没収などを含めて、大変厳しい措置を講ずるというような法案を実は今検討しておるのでありますが、この中で、警察そのものも入れるか、公安委員会も入れるかというようなことで大変議論を醸しております。これは言うならば、今私が申し上げましたとおり、捜査活動について、やはり他の省庁とはまた違う観点で論じなければならぬという中で私は主張しておるのでありますが、そういう中で、特に警察情報公開については留意すべき点も私は当然あると思っております。  そこで、国民が知りたい情報公開と、さらにまた国民の生命財産を守るための、治安維持のための情報公開に対するある種のブレーキというものもあると思うのであります。こういうことについて私は、これをいかに調和を図りながら、国民から理解されるような警察情報公開も、これまた先ほど申したとおり、時代の流れで必要だと思うのですが、警察行政の情報公開について、警察庁はどのようにお考えになっているかということについてお聞きしたいと思います。
  20. 田中節夫

    田中政府参考人 警察におきますところの情報公開についての御質問でございます。  警察情報公開につきましては、警察刷新会議緊急提言におきまして、一連不祥事の背景にあるものとして、警察閉鎖性の危惧、あるいは国民の批判や意見を受けにくい体質があるのではないかという御指摘がございました。そして結果として、警察行政の透明性を確保し、国民信頼を確保するためには、警察情報公開に真剣に取り組むべきであるというふうに御指摘を受けました。私ども警察庁といたしましても、国家公安委員会の御指導をいただきながら、警察改革要綱において情報公開の推進を第一に掲げて、これに取り組むこととしております。  しかし、今委員指摘のように、警察というのは他の行政機関とは異なりまして、捜査権限を有しておりますし、治安維持に当たっておるわけでございます。したがいまして、公にいたしますと犯罪者に対して警察の手のうちをさらしてしまう、そういう情報もございます。そしてその結果、治安維持に支障を及ぼすおそれがあるという情報もあるわけでございます。  そこで、私どもは刷新会議の提言を踏まえまして、このような情報公開警察業務の透明性の確保という観点ともう一つは治安維持、この二つの要請というものの調和を図っていきながら、捜査情報公開できない情報というものがございますけれども、ガイドラインを定めて、そしてその上で積極的に情報公開を推進し、そして警察に対する国民信頼の確保に努めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  21. 栗原博久

    栗原委員 ただいま、情報公開について国民は求めておるわけです。また同時に、警察行政を推進するに当たりまして、現在我々の身近には、警察署を中心といたしまして、交通安全協会とか、あるいはまた各家庭を回りますと、防犯協会が自宅の前に防犯のステッカーを張って、国民が一致結束して防犯に当たるのだ、そういう制度もあるわけでありますが、今回の法律改正案を見ますと、新たに市民と警察の接点をまた設けるということで、警察署協議会というものが設置されるということになっております。  そこで、その中で、先般の桶川の事件のことやあるいはまた栃木県の石橋事件などでは、警察国民の、市民からの相談に適切に対応しておればあのような事件は起こらなかったという指摘も実はあるわけであります。こういうことで、そういう問題について警察が真摯に、また、警察というかたいイメージじゃなくて、市民にやわらかいイメージで親しみやすく接するということが必要だと思うんですね。こういう中で、そういう新しい観点から、警察の中に相談制度ですか、苦情制度を新設したということでありますが、これにつきましてお尋ねしたいのであります。  これは、都道府県公安委員会に対しまして文書によって申し出た者について、警察職員職務執行に関しての苦情が的確に行われているかということについて、その対応をやるという制度だと伺っておりますが、こういう制度を設けたことによってどのような効果が期待されるのか。  あるいはまた、国民、市民が警察に対しての、身近な警察ですね。そしてまた、本当に困ったことについては的確にこたえられる警察。今までよく、民事不介入というようなことで割合と、やはり民事であっても警察対応できるものがあったと思うのですよ。今まで、例えば民事事件相談に行きますと、民事がまた刑事罰になることもあり得るわけですね。ところが、警察の窓口に参りますと、それは民事だからというようなことで、逃げるというわけではありませんが、警察捜査活動も大変忙しいとかいろいろ言って、それを棚上げしておったという点もあると思うのです。  そういうことについて、この新しい制度によってどのような効果が出るかということについて、手短にひとつ御答弁お願いしたいと思います。
  22. 石川重明

    石川政府参考人 今般の一連不祥事案に関連いたしまして、国民と直接接する第一線における問題点を組織的に集約をして必要な措置を講ずるということが求められる、また、警察職員職務執行における責任の明確化というものも強く求められているというようなことにかんがみまして、今般、苦情処理の手続を明確化するとともに、都道府県警察管理機関でございます都道府県公安委員会をこの処理及び処理結果通知の主体とすることによって、苦情処理組織的かつ適切に行われるようにしたい。こういうことで、都道府県公安委員会に対しまして文書により行われました苦情申し出につきましては、委員指摘のように、その処理結果を申し出人に通知をするということを義務づける規定を置くこととしているところでございます。  都道府県警察管理機関でございます公安委員会苦情処理あるいはその処理結果の通知を行うことによりまして、苦情処理の中立性、公平性というものが担保をされることになる。また、公安委員会国民からの苦情に直接接することによりまして、公安委員会としての管理機能強化にも資することになる。こういうような効果が期待できるわけであります。また、処理結果を通知することによりまして、申し出人に対しまして、この苦情処理に関する情報が十分に伝達をされることになる。そして、そのことが救済あるいは不安の解消に資することになる。こういうことにもなろうかと思っております。  さらに、警察職員職務執行の問題点につきまして公安委員会が的確な把握を行うことができますし、また、そのことによりまして、監察を通じたその後の是正というものが可能になる。こういうようないわゆる効用があるのではないか、このように考えておるところでございます。
  23. 栗原博久

    栗原委員 私は、冒頭申し上げたとおり、ことしの一月の二十八日に発覚しました少女の九年二カ月にわたる監禁事件の地元の選出国会議員といたしまして、再度ひとつ御答弁を求めたいのであります。  これは私が言うまでもなく、地元の方々、とりわけ三条市の方々にとっては本当に痛恨きわまりない事件でありまして、まだその後遺症は、被害に遭われた女性はもちろんのことでありますが、その御家族の方々あるいはまた市民の方々も、まだまだその傷跡は深く残っておるわけであります。  この事件を見ますると、言語道断の事件であり、まだ純真無垢な少女を九年も拉致して、そして思いのままに被疑者の自分の自宅に監禁し続けたという、この男については厳罰をもって今後司法の段階で裁かれるべきだと私は思っておりますし、また再びこのような事件が起きてはならないと思っておるわけなのであります。  女性に関しましては、こうして解放されましてもまだ家庭には戻れず、毎日病院で治療をしておるわけであります。九年二カ月もこのように被疑者から反復して脅迫されたり、それも自分だけではなくて家族まで巻き込むというような中での脅迫をされたり暴行を受けたということで、本当に大変な状況だったと、私自身、深く重ねてお見舞い申し上げておるわけでありますが、まだまだ精神的な回復がされていないようでありますし、足腰もまだ弱っているようでありまして、こういうことについて私は、一刻も早くこれが回復されることを念じておるわけであります。  特殊とは言えないけれども、実際このように起きた事件であります。これについて警察として、その後はこの被害者の方やあるいはまた御家族の方に対して、本当に誠心誠意努力をされてきたと私は思います。いつも部落の入り口にパトカーをとめておかれまして一生懸命にその被害家族を保護されておったことも、私もこの目で見ております。しかしながら、今後、この女性がいかにして早く社会に復帰してくるか、あるいはまた小学校五年、六年と学校へ行っておりませんし、中学も行っておりませんし、高校も行っていないわけでありますから、社会復帰へのケアもこれから大いに対応せねばならぬと思うのです。  こういうことについて、これは警察庁のみならず、文部省とか厚生省とか、他の省庁にまたがる対応の案件だと思うのです。警察庁としてできる限りのことはしていると思いますが、この被害の女性に対してどのような対応といいましょうか、手を差し伸べているかということについて、警察庁の枠を超えて他の省庁のこともおわかりになったら、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  24. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘新潟の女性監禁事件につきましては、御案内のとおり大変悲惨な事件でございまして、私どもといたしましても、改めてこの被害女性、そしてまた被害の御家族に対してお見舞い申し上げたいと存じますし、また、被害女性の社会復帰等に向けて御努力をされておられる関係者の皆さん方に心から敬意を表したいと存じます。  そこで、新潟県警察におきましては、被害女性の保護当初から、県の福祉保健部あるいは医療機関等と連携をとり被害女性のケアに当たりますとともに、女性警察官を配置いたしまして、種々の支援活動を行っております。また、御家族に対しましても、支援担当者を定めまして要望の把握等に努め、関係機関等との調整を実施しております。さらに、先ほどお話ございましたけれども、マスコミ等の取材も活発でございますので、これによる心労等に配意して、入院先の病院に対する二十四時間体制の警戒等もやっております。できる限りの現場での支援を行っております。  そのほかに、社会的復帰に向けてのケアでございますけれども被害者の精神的あるいは家族に対する支援をどのように進めていくかということにつきまして、今後、専門医によるところの医療行為を、これは最優先といたしますけれども被害者、御家族の意向を十分確認しながら、連絡協議会の構成機関でありますところの県の福祉保健部を中心といたします県の教育庁、医療機関、それから臨床心理士会等、各界の団体等との連携をもとにして、御家族の精神的サポート、被害者の教育、社会復帰等への支援を警察としてもできる限り続けてまいりたいと思っております。  なお、これまで四回の公判が開かれておりますけれども、裁判所、検察庁との連携のもとで、被害者、家族等に対しますところの支援というものもこれからしっかりとやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  25. 栗原博久

    栗原委員 本警察法改正が早期に図られまして、国民から信頼され、そしてまた国民の生命財産をきっちりと保持する司法警察が確立することを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。
  26. 増田敏男

    増田委員長 次に、松崎公昭君。
  27. 松崎公昭

    松崎委員 民主党の松崎公昭でございます。おはようございます。  西田大臣とは二度目の、対決というのではないのですけれども、頑張らせていただきたいと思います。  まず冒頭に、法案審議に入る前に、ここの場所ではなかなかお答えが難しいかもしれませんけれども、十月二十日のソウルでの森首相の発言、これは警察にも関係あるものですから、ちょっと取り上げさせていただきます。  もう既に、報道はめちゃめちゃな報道ばかりでありますね、あいた口がふさがらないとか。あの発言、第三国で発見されるという方法もある、これはいろいろな、政治でも何でもそうですけれども、裏で交渉していく話を、しかも第三の国の首相に話をしてしまった。これは非常に大きな衝撃を与党も野党も国民も、みんな受けていると思います。  問題は、対象になっていらっしゃる御家族のお立場から見て、この報道について、拉致問題に関係をしている、担当している警察としてどんな受けとめ方をされたか。大臣、よろしくお願いします。
  28. 西田司

    西田国務大臣 御指摘の発言につきましては、総理が過去のエピソードとして紹介されたものであり、私は政府の方針を述べたものではないと理解をいたしておるわけであります。  日本人拉致容疑事案については、警察としては、事案の重大性にかんがみまして、今後とも、外務省等関係機関と連携しつつ全容解明のため最大限の努力をしていくことである、こう理解、承知をいたしております。
  29. 松崎公昭

    松崎委員 この問題は、外交あるいはほかの、あるいはあしたのクエスチョンタイム、いろいろあると思いますけれども、そちらの方に譲るといたしますが、ただ、一つ、やはり対象者の御家族の立場から見ますと、間もなくまた交渉が始まりそうだというところでありました。ですから、非常に心配をしております。そこで、警察庁として、担当部署といたしまして、拉致容疑のこの捜査に今後どういうふうに、同じように立ち向かうのかどうか、これは家族の方のためにも一度明確にしていただきたいと思います。
  30. 田中節夫

    田中政府参考人 今委員指摘の日本人拉致容疑事案捜査に対するところの問題でございますけれども捜査への影響があるのかどうかということでございますが、警察といたしましては、現段階では特に捜査への影響はないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、日本人拉致容疑事案につきましては、警察としては、事案の重大性にかんがみまして、今後とも、外務省等関係各機関と連携しながら全容解明のため最大限の努力をしてまいる所存であります。
  31. 松崎公昭

    松崎委員 よろしくお願いをしたいと思います。この問題は他の部署にお任せをしたいと思っています。  さて、警察法改正の問題に入りますが、ここに一文がございます。国民のために人間の自由を保障する日本国憲法の精神に従い、地方自治の真義を推進する観点から、国会は、秩序を維持し、法令の執行を強化し、個人と社会の責任の自覚を通じて人間の尊厳を最高度に確保し、個人の権利と自由を保障するために、国民に属する民主的権威の組織を確定するをもって、ここにこの警察法を制定する。これは一九四八年の旧警察法の前文であります。  前文がつくというのはなかなか珍しい、教育基本法とともにかなり例外に入るというふうに言われております。これは占領軍によって草案がつくられたというのもありますが、やはり戦前の警察の中央集権的国家体制、これを占領軍は何とか地方自治のもとで推進させたらどうか、そういう考え方でやられたと思うのですね。これはなかなか、憲法と同じで押しつけられた云々ありますが、やはり一つの大きな観点であったことは確かであります。  もう一つ、マッカーサーの書簡が一九四七年九月十六日に出ておりまして、警察改革の根本目的は、憲法に盛られた地方自治の原則にのっとって、警察制度を完全に地方分散することによって最もよく達成することができる。やはり現在、今は中央集権的な体制になっておりますけれども、新憲法の精神及びその意図と入れないのが中央集権だ。ですから、ここで一つの考え方が記されて前の警察法、当初のものができた。これを非常に私は、それなりに警察に対するすばらしい姿勢だったな、そう思っております。  今警察法改正をされているわけでありますけれども、こういう最初の警察法の精神といったもの、こんなことを大臣は御存じでありましたか。どんなふうに感じられますか。
  32. 西田司

    西田国務大臣 現行警察法は、公安委員会制度を存続し、また自治体警察たる都道府県警察が都道府県の議会を通じた住民のコントロールを受けるなど、旧警察法の民主的理念を十分受け継いでおるものと考えております。  また、今回の改正案についても、警察行政の民主的運営を保障し、警察管理する役割を担う公安委員会管理機能強化警察職員職務執行に対する苦情申し出制度の創設、地域住民の意見警察署の運営に反映させる警察署協議会設置等、国民のための警察を実現するためいろいろの改正を行うこととしておると理解をいたしております。
  33. 松崎公昭

    松崎委員 警察学校の教科書の文章を読んでいらっしゃるような感じでございまして、私の質問とはややずれた答弁だと思っております。  もっと、最初の警察法の前文にも盛られたような、分権を中心とした市民警察、そういう概念が今大事だということでこれを言ったわけですね。それを大臣は十分受け継いでいると。であれば、こんな不祥事は起こらない。ましてトップに立つキャリアの方々が、もう個別の話はしませんけれども、こんな問題にならないでしょう。なぜ起こっているかということを今真剣に考えて、刷新会議もつくり、そしてそれを受けて警察法改正をしようと。しかし、この改正は、我々の党といたしましても判断しますけれども、根本的な問題ではないという前提がどうしてもついてしまう。  刷新会議の議論の中で、中坊さんでありますとかかなりの方々がいらっしゃいます。ですから、今まさに地方分権の時代であるということも含めて、この旧警察法の前文にあるような分権の視点、こういう議論があったかどうかお尋ねいたします。
  34. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の旧警察法考え方でございますけれども、これは、今お話しのように、いわゆる戦前の警察の体制、仕組みの反省の上からでき上がったものでございまして、今お話がございました非常に画期的なものであったというふうに思います。  しかし、その過程におきまして、国家地方警察と自治体警察の二本立てというものはなかなか、警察業務遂行という観点から見た場合にいろいろ不都合があるということで、現在のような法制に昭和二十九年に変えられたものでございます。  そこで、そういうような現行の法制あるいは旧警察法との関連につきまして、それが今回の一連不祥事に直接かかわり合いがあるというふうに私どもは必ずしも考えておりませんけれども、今お話しのように、刷新会議警察行政の地方分権について議論があったかどうかというお話でございますけれども警察行政の地方分権については、必ずしもそこをとらえての議論はございませんでした。  警察庁あるいは国の警察組織都道府県警察との関係の基本的な枠組みは妥当であると。しかしながら、むしろ、広域犯罪でありますとか国際的組織犯罪とか、あるいはサイバーテロとかというような問題につきまして、新たな時代の要請にどのようにかかわり合いをしていくのか、どのような組織が妥当であるのか、そういう御議論はございましたけれども、今申し上げましたような、委員の御指摘のような観点からの御意見というのはございませんでした。
  35. 松崎公昭

    松崎委員 後ほど参考人を御招致いたしまして、この委員会で刷新会議のメンバーの方々の考え方というものをお聞きする機会がありますので、そのときにまた明らかになると思います。  その刷新会議のお一人の中坊公平さんは、朝日新聞のインタビューに答えてはっきりおっしゃっていますね。中央集権の組織ではだめなんだ、地方分権がこの警察改革のキーワードだということを最近おっしゃっています。  また、警察OBの佐々さん、テレビでよく発言されますけれども、この方も、刷新会議の提言は、これは緊急性があったからまあまあ妥当なものだろう、だけれども、長期的、抜本的改革という視点に立ったら、現行の警察制度の中央集権の問題、今長官は二本立てが不都合であるというお話をされましたが、この辺の中央集権の問題、それから地方分権をしなければならない市民警察、この辺がまさに不都合というお話がありましたけれども、この妥協の上に今は立脚しているわけですね。だからそこに問題がたくさん起こるわけで、私は、この警察事務は、国の事務であるべきものと地方自治体の事務とやはり、いずれしっかりと分けなきゃいけないんじゃないか、そんなふうに思っております。  私は、刷新会議でそういう分権の視点が余りなかったということであれば、いたし方ないと残念に思いますけれども、しかし、今の日本の社会の時代状況の中では、第三の改革と言われているのは、警察の問題も、このように中央と地方の問題で実は問題点があるわけですね。ですから、そういう第三の改革の今の時期の中で、警察法改正をやる場合に、そういう時代認識は持っていたんでしょうか。大臣そのものが、そういう今の分権、それから中央集権化した、そして問題を起こした警察の問題で、地方の問題、地方の分権という視点で真剣に警察機構を考えなきゃいかぬじゃないか、そんな視点はお持ちでしょうか、どうでしょうか。
  36. 西田司

    西田国務大臣 地方分権に関連しての御発言でありますが、分権の推進については、国と地方との役割分担、これを明確にしながら、一番大事なことは、地方公共団体の自主性、自立性が発揮されることがこれからの社会で求められておる、私はそのように理解をいたしております。
  37. 松崎公昭

    松崎委員 どうも大臣、かなりこれは真剣な、重要なポイントだと思いますね、警察改革の、本当の。  私は、今回の改正は部分改正、あるいは本当にびほう策というふうに我々は見ております。ですから、ここは、まさに五四年の今の警察法の制定で完璧な中央集権化が図られたわけですね。幹部の方々は皆国家公務員であり、そして警察法の十六条では、長官が全部地方の警察本部長を指揮するということになっていますから。ここが、今この時代に、真剣に考えて、国の固有事務と地方と分けますと、例えば国の場合は、さっきお話しになりました、またこの改正でもありましたハイジャック問題、あとカルトの問題ですとかスパイ、あとはインターポールだとか広域の暴力団だとか、それから最近出てくるコンピューターの犯罪だとか科学的ないろいろな犯罪、こんなものは国の警察がやるべきであって、地方の市民生活に関係のある、いわゆる生活安全警察というんでしょうか、その方は地方にしっかり任せていく。最近出てきているストーカーだ何だ、そういう問題はそういうふうに直していく、分けていく、そういう考えが必要ですね。  ですから、その延長線上にはFBIなんという考え方も国の警察としては出てくるのかもしれませんけれども、分権と絡めて、またこれは行革にも関係するんですね。  例えば、私が前回の国会でパチンコ業界の話を分科会でやったんですけれども、この膨大な、二十一兆円で三十万人もいる、一万七千軒もあるパチンコ業界、ここに相当の警察官が検査で、パチンコ台の入れかえのときに一々警察官が行って、たくさんやっているんですよ。膨大な数、交番をおろそかにしたりして。  ですから、こういう問題も行革の範囲ですね。あるいは、交通違反なんかは民間に任せるとか民営化するとか、分権と同時に、そういう今この国の政治のテーマになっている行革の視点、こういう問題も本当は必要なんですね。そういう視点は今回の改正で全く考えなかったのかどうか、あるいは将来考えるのかどうか。大臣、お願いいたします。
  38. 田中節夫

    田中政府参考人 今回の警察改革に関しますところの緊急提言、あるいは、私どもそれを受けましての改革要綱の中での議論でございますけれども、基本的に現在の警察組織というのはどういう組織かという認識でございますけれども、今議員は中央集権的であるというふうに言われましたけれども警察法考え方はやはり都道府県警察組織というのが基本でございます。国の関与は制限的であるというのが基本的な考え方でございます。しかし、そういうような仕組みでこれからいろいろな新しい時代に対応できるのかどうかという議論はございました。ただ、非違非行事案と関連しての議論はございませんでした。  また、現在の組織が、今お話しのように、FBIみたいな組織がどうかとか、あるいはコンピューター犯罪についてどうかというような議論もございまして、国の関与の問題、あるいは国の警察組織あるいは都道府県警察の関係の問題として、これは議論をされました。また、増員の問題もございましたときに、警察業務のありようがこれでいいのか、あるいは業務の徹底的な合理化というものを図るべきではないかという御意見もございました。  私どもはやはり、そういうような御意見、今委員指摘のような問題、一つの例として挙げられたんだろうと思いますけれども、そういう問題につきましても、今後どういうふうにすることが警察業務の適正というのを確保する観点からもいいのかということは、当然にこれは議論していかなければいけないと思いますし、刷新会議の中でも、あるいは改革要綱の中でも、そういう考え方は随所に反映されているというふうに思っております。
  39. 松崎公昭

    松崎委員 今回の改革案を見ますと、確かに背景にはそういう議論、そして刷新会議でももちろんいろいろな議論があった。しかし、あらわれてきた改正そのものは、本当に目先の、こんな言い方をしちゃ失礼ですけれども、かなり目先のことだった。若干、監察なんかは入り口が少し開いてきたかな。あるいは苦情処理も、我々の案ですともっときちっとやっておるんですね。しかし、そういう意味では、改正しないよりはいいという程度には考えられるわけですけれども。  そこで、我々は、それに対案として、自分から予算をつけて、独自の事務局を持って、みずから監察国家公安委員会がやるんだ、そういう踏み込みを、私は、先ほど申し上げました、もっと分権とか行革という視点から、警察の本格的な体質改善に行く大きな改革というのには我々の案もまだいっておりませんよ、それは。今の範囲の中で、刷新会議の提言であるとか今の時代状況、何せこの警察に対する不信感を何とか払拭しなきゃならないという、本当に目先の方法論の中では、最大限、我々の方が本格的な改革案をしているというふうに思い、法案を出しているわけですね。ですから、残念ながら、今回の閣法はまだまだ不十分過ぎる、そういうふうに考えてはおります。  さて、そうはいいましても、実際に法案審議しなければいけないわけでありまして、先ほど、中坊さんの指摘とか、あるいは刷新会議、これの閉鎖性、機密性、無謬性へのこだわりですか、キャリアのおごりとか、こういう問題。そして、やはり構造的だとおっしゃっていますね、中坊さんも。これは、大きく言えば、先ほどから言っている大きな構造なんですけれども、もうちょっと小さい意味でも構造的だ、そうおっしゃっています。  その辺の、私は、刷新会議内容をかなり薄めて改正されたように受け取っておりますけれども、刷新会議そのものの提言を皆さんはまともにしっかりと、細かいいろいろありますけれども、とらえて改正したと思いますか。
  40. 田中節夫

    田中政府参考人 刷新会議の提言は、大変多岐にわたっております。刷新会議の提言を受けまして我々は改革要綱をまとめたわけでございますけれども、この中で、法律措置すべきもの、あるいは予算措置すべきもの、あるいは法律の下位の法令措置すべきもの、さらには運用で措置すべきもの、いろいろございます。しかし、我々は、そういうものを含めまして、刷新会議緊急提言につきましては、これは真剣に対応したものというふうに考えておるところでございます。
  41. 松崎公昭

    松崎委員 これは、意見の相違と、これから審議の中で、どれだけ我が党の案との違い、その突っ込み方ということで、本当に警察そのものを少しでも国民の側に立ったものにするか、その視点の違いがこれからまた出てくると思います。ですから、これはこれからもまた審議をさせていただきたいと思っております。  そこで、ガイドライン、情報公開ですね。先ほどから情報公開の問題が非常に大きく取り上げられております。情報公開というのは、まさにこれは原則公開でなければいけないわけですね。それから、すべてのいろいろな行政、今、時代の流れ、世界の中でもやはり情報公開というのがまさにキーワードになっております。  刷新会議でもガイドラインをつくられておりますが、この情報公開に対して、我々の法案ではわざわざ条項をつくって挙げているわけでありまして、七十五条ですね。これはやはり、今の時代の情報公開をもっと警察に本格的にやってもらいたい、やるべきだ、そういう考えで出ているわけであります。  そこで、今全国で条例改正、つまり、来年の四月に情報公開法が施行されますので、その中に一応警察も対象として入っているということで、各県で相次ぐ条例改正をやられておりますが、今自治法の中では、その中の情報公開審査会に関してはまだ除外になっております。警察公安委員会ですね。その辺の見直しの問題はどうなっておりますか。
  42. 中川浩明

    中川政府参考人 ただいま御指摘のように、現行の地方自治法及び地方自治施行令におきましては、警察事務が機動性を有することなどの理由から、公安委員会には附属機関を設けることができないこととされております。また、公安委員会が例えば知事などの他の執行機関の附属機関に諮問することもできないものと解されているところでございます。  このため、各都道府県におきまして、公安委員会等の情報公開請求に関して住民から不服申し立てが行われた場合に、審査会への諮問が行えないと解されているところでございます。  しかしながら、地方分権を推進する観点から、地方公共団体の自主組織権の拡充を図るべきであることなどから、公安委員会にも附属機関設置することができることとするために必要な政令改正を行うべく、現在作業を進めているところでございます。  この政令改正が行われれば、情報公開につきまして、公安委員会県警本部が実施機関となった場合におきまして、非開示決定等に対する不服審査のための機関を新たに設け、または知事部局の審査会に審査を求めることとすることができるものと解されるところでございます。
  43. 松崎公昭

    松崎委員 これは一歩前進だろうとは思います。しかし、これは後ほど言いますが、大きな争いになっている場所もあるわけですね。  情報公開は、地方分権一括法では自治事務ということになっております、本来的には。ですから、これはどんどん情報公開というものを自治事務ということで、先ほどの分権論ではありませんけれども、尊重をするべきではないか、私どもはそう思っております。ですから、半歩前進というふうに自治法の改正等は私は評価をするわけであります。  さて、それに関連しまして、本部長の第一次的判断権というのは、宮城県も含めて非常にこれから、今も問題になっているわけでありますけれども、これを尊重してくれと、第一次的判断権の尊重をするべきだと、各県の条例に、変わったところは既にほとんど入ってはいるのですが、通達を出した、警察庁として。つまり、宮城県のような形にならないようにという意味でしょうけれども、そういう通達を出したと言っておりますけれども、事実でしょうか。
  44. 石川重明

    石川政府参考人 警察庁におきましては、警察刷新会議緊急提言における情報公開の推進といったようなことも踏まえまして、都道府県警察においても積極的に情報公開を推進することをねらいといたしまして、九月十四日に、ただいま御指摘の通達を発出いたしました。  この通達の中では、本部長の第一次的判断権の尊重規定を条例に入れるようにというような表現の指示はしておらないわけでありますが、情報公開条例の実施機関となっていない都道府県警察にあっては、情報公開法と同様に、個人情報の保護が図られ、警察業務に支障を生じることのない制度であるということを確保した上で、実施機関となる方向で検討を進めるようにということを言っておるわけであります。  これは、先ほど来御議論がございますが、近年、犯罪の広域化等に対処するために、全国警察情報を共有する、そして一体となって活動している例がふえているということから、留意点として触れた、こういうものでございます。  以上でございます。
  45. 松崎公昭

    松崎委員 具体的に第一次的判断権云々ということは述べられていないというふうには言っておりますけれども、いろいろ聞いてみますと、やはりどの県もやっている。今はどんな状態になっていますか、各県の状態は。条例化されているところは。
  46. 石川重明

    石川政府参考人 現在、十七都府県において、警察公安委員会を実施機関とする条例が制定をされているというふうに承知をいたしております。
  47. 松崎公昭

    松崎委員 それで、一番話題になっている、今またこの前の九月議会では改正案があれになりまして、再議権で知事がもう一回、十二月議会に向けて、また本部長と知事さんがやるということになっておりまして、これは非常にポイントだと思うのですね。公開、非公開の判断者を実施機関の長と明記することによって、裁判になったときに非常に違うんだよということを本部長は言って抵抗している。しかし、知事の方は、もう既に条文でも入っているわけですね、長ということは入っていないのですけれども。やはり警察捜査に関係するものは非公開でいいんだというふうに言っているわけですね。  ここの判断の違い、なかなか難しいことだとは思いますけれども、大臣として、あるいは警察庁として、この宮城県問題、どのように受けとめておりますか。
  48. 田中節夫

    田中政府参考人 情報公開の問題は、先ほど来官房長も答弁しておりますように、基本的には、県の場合には県の条例で定めるべきものであるという考え方でございます。  しかし、警察情報につきましては、官房長の答弁にございましたように、広域犯罪等考えました場合に、情報の共有ということが考えられます。そしてまた、本来、警察情報の特殊性ということを考えました場合に、国の場合でもそうでありますけれども、やはり実施機関の第一次的判断権を尊重された、そういう国の情報公開法となっております。  私どもといたしましては、情報の共有、お互いに情報を交換し合ってやっていく仕事が多いということを考えました場合に、やはり情報公開については同じ仕組みが望ましいというふうに考えております。基本的には都道府県で定めることでございますし、またいろいろお考え方もございましょうけれども警察庁の立場はどうかと言われれば、これは基本的には同じ仕組みが望ましいというふうに考えているところでございます。
  49. 松崎公昭

    松崎委員 それは先ほどから言っている、中央集権というのはちょっとなじまないかもしれませんけれども犯罪の広域性とかそういった問題では、何となく理屈はわかるような気がします。ですから、犯罪そのものの問題になるようなことは当然非公開でいいのですよということを知事は言っているのですね。  なぜこれが問題になったかというと、もともと、浅野知事が出られてくる前の、前の知事さんの汚職事件とか、これがやはり情報公開から発端が出ているというふうに聞いております。それから、この前、五月ですか、何か食糧費の問題で非開示ということで裁判になって、無理やり出してきたとしたら、名前とかが全部黒塗りされていた。食糧費とか、そういう事務費の範囲ですよね。そこでもそういう隠された状況がある。これはおかしいじゃないか。幾ら本部長の判断とはいえ、公開すべきものの範囲も警察内でたくさんあるはずだ。たしか、今回の刷新会議でもはっきり出ていますね。食糧費であるとか会議費だとか、あるいは風営法の問題だとか交通規制、こういうふうに、かなり開示しろと言っているわけですね。  ですから、こういう中で、宮城県はそういう歴史的なことがあって知事が頑張っているわけでありまして、これを全国一律、それは犯罪のことはいいですよ。しかし、そうじゃない一般的な、これも予算執行の中には犯罪情報も入っているなんというへ理屈を言っておりますけれども、私はそれは違うのじゃないか。刷新会議だって、会議費だ旅費だというのはどんどん出しなさいと出しているのですね。  そういう中で、やはり本当に出してはいけない問題はこの宮城の条例だってそうなっているのですよ。なっているのですから、別にこれでいいのですよ。ところが、本部長が認める云々、実施機関の長が認める云々なんという言葉が入りますと、宮城県の場合でいいますと、食糧費の問題で隠されているじゃないか。隠さなくてもいいところまで隠すということは、やはり国民の側、市民の側に立った市民警察からいったらおかしいよという時代の流れだよということで宮城の知事は闘っているわけですね。  ですから、ここはこんな通達を出して言葉にあらわさなくたってわかるわけですね。同じように全国一律でやりなさいということは、そういう項目をきちんと入れなさいよということを言っているわけであって、私は、分権の時代ですから、もっと地方に任せたらどうだ、地方の知事さんやら警察本部長に任せたらどうだ、そういうふうに思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
  50. 田中節夫

    田中政府参考人 情報公開の問題、特に県の場合にはすぐれて都道府県の問題であるということは委員指摘のとおりでございます。  今回、具体的な例でお示しの宮城県の場合でございますけれども、私どもといたしましては、私ども考え方を御理解していただくために、現地では相当の努力をしたのだろうと思います。その結果が、結果としては成案を見ませんでしたけれども、一時的には県議会で過半数の賛同を得られたというのは、それなりの御理解を得られたのだろうと思います。  しかし、今お話しのように、個別の情報公開の問題につきまして、必ずしも適当ではないことがあるという御指摘でございました。それは、今回の緊急提言にもございますように、原則として情報公開すべきものは情報公開すべきであるというような御判断につきましては、我々は今後これを尊重していかなければいけないと思っております。  ただ、緊急提言の問題につきましても、ガイドラインに示してございますが、これは国の情報公開法を前提としての判断でございますので、いずれにいたしましても、国の仕組みというものを前提にした上での御判断であるというふうに私どもは理解をしておるところでございます。
  51. 松崎公昭

    松崎委員 これは、今後宮城県もまだ議会でやられるわけです。地方の、いわゆる市民の意見をバックにしながらあそこでそういう議論をしていただくということは、警察そのものに対してよろしいことではないか、私はそんなふうに思います。  実際には、この国会でももっとこれは議論を活発にしなければならない部分だと思います。まさに情報公開が、民主主義と地方分権、住民を参加させるという基本であります。これは、外部からチェックをするということにもなるわけです。ですから、これをしっかりと、浅野さんの闘いというか頑張りを我が党はこれからも支持をしていきたい、そのように思っております。  次に、監察等の中心課題は次の桑原先生がやられますので、私の方は苦情処理の問題等に移ってみたいと思っております。  苦情処理の問題では今回我が方と若干違うわけでありますが、今までの苦情処理というのはどんなふうにされておったのか、お知らせをいただきたいと思います。
  52. 田中節夫

    田中政府参考人 都道府県警察に対します苦情、いわゆる職務執行に係るところの苦情につきましては、いろいろ態様がございまして、現在全国的に統一した基準というのはございません。しかし、各都道府県警察におきまして、行政機関の当然の責務といいますか、苦情に対しては誠実に対応する、そういうような考え方処理しているというふうに考えております。  一般的にどういう形で処理しているかと申しますと、苦情は、第一線警察署によって受理するものがございます。また、警察本部の広報とか広聴部門、そこに寄せられるもの、そういう住民からの要望、意見。それから、警察本部あるいは警察署におきまして住民の方と接するいろいろな場がございます。会議でありますとかいろいろな懇談の場がございますけれども、そういうような中で得られるものがございます。  そういうふうに、苦情を受け付ける機会というのは多うございますけれども、具体的には、その場で処理できるもの、あるいは持ち帰って上司の判断を仰いで処理するもの、そして時には、案件によりましては警察本部長等の指揮を受けて関係の所属長が判断する、こういうような状況になっておるわけでございます。  その結果につきましても、必要に応じて御本人に通知をするというようなこと、通常口頭でなされることが多いかと思いますけれども、一般的に申しますと、現実はそういうような形で苦情処理がなされているということでございます。
  53. 松崎公昭

    松崎委員 今までの事件で、繰り返す必要はありませんけれども警察にいろいろ持ち込んで、それがうまくいかない、無視されて、そしてそれが結果として犯罪になった、あるいは殺されてしまった、そういうような問題がたくさんあったわけですから、ここで刷新会議にも、またこちらの改正案にも苦情処理という問題が当然出てきた。これは、ある意味では開かれた警察でなかったのかという部分も相当見受けられたということで、今回この問題が出てきたわけでありますね。  警察苦情申し出るというのは、今どのくらいあるかわかりませんけれども、なかなか一般の国民は言いづらい。私ども、免許証の書きかえでも警察に行くのは何となく身の引き締まる思いがあるというのは、別に悪いことをしているわけじゃないですけれども、一般的ですよね。だから、それは、何かやはり権威というか、国民になじみにくい、それだけの権限があるからでしょうけれども。  ですから、私たちの党の案としては、苦情処理委員会を、わざわざ事務局を持った委員会を県の公安委員会に置いて、文書でも口頭でもいいですよというオープンな形の法案にしてあるわけですね。ところが、こちらは文書でなきゃだめだ、そういうふうになっております。  具体的に、そちらの法案の中身では、どこでどういう受け付けをして、しかも、事務局公安委員会にはないわけでありますから、処理をするのは警察そのものだということになると、今までと同じではないか。まして、文書というのがなかなか、例えばホームページであるとかそういうものでは、メールはだめだとかファクスはだめだとか、何かそんな話がしてありますけれども、実際に出しやすい形になっているのかどうか。現実的に、この法案の予想しているやり方というのはどういうことでしょうか。
  54. 石川重明

    石川政府参考人 この政府案の第七十八条の二の規定でございますけれども、この規定に基づきまして申し出られた苦情の受け付けと申しますか、受理につきましては、公安委員会の指揮を受けた公安委員会事務担当部署が扱うことを予定いたしております。ただ、申し出人の利便ということも大変大事なことでございます。そういうことで、警察本部あるいは警察署苦情の受け付け窓口を設置する、こういうようなことを今考えておるところでございます。  それから、文書によらないものはどうするのかということもまた別途あるわけでございますが、法律的な仕組みとしては、文書による公安委員会あての苦情というものは、誠実処理をして文書によって処理結果を通知するということを担保いたしておりますが、それ以外に、文書によらない苦情申し出、例えば電話で来るとかあるいは口頭で来るとかいうようなこともあろうかと思いますし、また、公安委員会あてでない、警察署長あてであるとか警察本部長あてであるといったような苦情というものもあろうかと思います。こういうものにつきましても、しっかりした苦情処理を行うようなこと。  いずれにいたしても、第一線でどのような問題が職務執行について行われているか、問題点があるのかといったことが組織的な検討の俎上にのるようなルートというものをきちっと確立するというようなことを今考えているわけでございまして、その苦情処理がきちっとなされているかどうかの点検も組織的に行えるようなシステムというものを考えていきたい、このように考えているところでございます。
  55. 松崎公昭

    松崎委員 今後のいろいろな問題だと思いますが、ただ私は、これは意見でありますけれども、我々の案では、やはり公安委員会事務局をしっかり置いて、各県の公安委員会もそうですね。そして苦情処理委員会も置いて、そこに事務局も置いてしっかりと受けていく。そうしないとなかなか、警察の方が全部やるとなると今までと同じになっちゃうじゃないか。そこで、やはり大きく変えるべきだろうと思っております。  時間が来てしまいましたので終わらせていただきますが、今後もひとつしっかりとした議論を進めさせていただきたいと思っております。ありがとうございました。
  56. 増田敏男

    増田委員長 次に、桑原豊君。
  57. 桑原豊

    桑原委員 久しぶりの質問の時間を与えていただきました。まず、国家公安委員長に御質問申し上げたいと思います。  政府案としては、今回の改正案は刷新会議緊急提言を受けた、そういう内容のものになっておるわけでございますけれども、今回の改正案の最大のポイント、こんな部分が改正点としてありますよということを羅列して答えていただくのではなしに、ポイントは、公安委員長としてどこにその眼目がある、こういうふうにお考えでしょうか。簡単にお答えいただきたいと思います。
  58. 西田司

    西田国務大臣 今回の警察法改正案には、さきに廃案となりました改正案を見直し、新たに次のような事項を盛り込むことといたしました。  まず、公安委員会の行う具体的、個別的な監察指示を実効的に機能させるため、一つは、公安委員会が指名する委員により、当該指示の履行状況の点検をする。それから二つ目、警察庁都道府県警察職員による点検の補助の仕組みを設けることといたしました。  次に、苦情処理の手続を明確にするとともに、組織的かつ適切な苦情処理を図るため、公安委員会における文書による苦情申し出制度を創設することといたしました。  さらに、警察署業務運営に地域住民の意向を反映させるため、先ほどから説明をいたしておりますように、警察署協議会設置するとしたわけでございます。
  59. 桑原豊

    桑原委員 そういう中で何がポイントかというふうにお答えをいただきたかったのですけれども、私はやはり今回のこの改正改革というのは、公安委員長としてのお立場からすれば、公安委員会というものの機能強化、そこが問われていたんだろうというふうに思います。  公安委員会は、ある意味では警察の中立性、公正さといいますか、政治的な中立性、そういうものを担保していく役割もあるというふうに思いますし、また一方では、国民にかわって警察の民主的な運営というものをしっかりお目付役としてやっていく、そういう両面があると思うのです。今回、改革すべきポイントであり、政府の皆さん方もそこに留意をされたのは、言うならばその民主的なコントロールの部分が非常にウエートとして弱くなっていた、そこの機能をどう強化するのかというのが、私は、公安委員長のお立場でしたらそこら辺が眼目だ、こういうふうにおっしゃるのかなと思っておったのです。  改正点を幾つかお述べになったということですけれども、ぜひ私は、公安委員長には、公安委員会機能というところで後からまたお聞きをしたいと思いますけれども、ポイントは何だというところを押さえていただきたいなというふうに思います。  そこで、公安委員会事務局警察に今までのようにお任せするのではなしに、独立をした、自立した事務局というものを設置するとか、あるいは警察内部監察がさまざまな問題を露呈したわけですので、外部からの監察というものを導入するというようなことが、この不祥事が続いたさなかでは、自民党を初めとした各党の改革検討案の中でそういったことがどこもかなり出されてきたというふうに思います。  ところが、先ほどの長官のお答えの中では、そういうこともあったけれども業務の精通性の問題ですとか、あるいは捜査のかかわりの問題、そういったことごとのために、そういう必要は一方ではありながらも、やはりなかなかそういうふうにはならない、こういうようなお答えであったかと思うのです。  私は、刷新会議の中でこれらの問題がどんなふうに議論されたのか、どうも刷新会議の議論も、議事要録を読ませていただく限りは、この問題については余り積極的な、積極的といいますか、その種の意見が出ていないように思うのですけれども、そこら辺、どんな議論をされたのか、長官にお答えいただきたいと思います。
  60. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の、いわゆる外部監察の問題でありますとかあるいは独立の事務局の問題でございますが、これは刷新会議でも大変議論されました。  外部監察につきましては、先ほど栗原委員の御質問にお答えいたしましたけれども、私が申し上げましたように、警察業務に係るところの特殊性、そういうものを考えました場合に、やはり外部監察は適当ではないというかなり激しい議論がございまして、そういう結論に至ったわけでございます。  もう一つ、独立の事務局はどうかという御意見でございますが、これにつきましてもかなり議論がございました。  それで、公安委員会に独立の事務局を置くとする議論につきまして、その独立という言葉の意味がどういう意味かにつきましていろいろ考え方があるわけでございますけれども、いわゆる警察庁あるいは都道府県警察本部の組織と離れて公安委員会のもとに直接事務局を置く、こういうような考え方を独立の事務局というふうに言うんだろうと思いますけれども、この考え方につきまして、基本的には、公安委員会にどのような権限を付与するか、あるいはそれをどのような仕組みで執行するか、あるいは補佐するかというような問題と密接に関連して考えなければいけないだろう、こういうお話でございました。  また、現在の公安委員会制度のあり方というものを考えました場合に、刷新会議におきましては、公安委員会としての基本的な枠組み、先ほどお話がございましたように、警察の政治的中立性、あるいは民主的運営の確保という公安委員会に対する大きな要請、そして個々具体的な職務執行、専門的な事務には携わらないというような基本的な枠組みは維持するという考え方が刷新会議の議論の大前提でございました。  そういうような場合に、先ほど申し上げましたような、事務局というのはどのような事務を所掌するのか、あるいはどのような規模になるのか、そして、非常に独立性が強いという場合に、それは警察組織の二重化を招かないか、また、それは基本的に公安委員会制度趣旨とどういうように調整をするのかという問題がある。さらに、警察業務に精通した事務局職員をどのようにして確保するのか、警察組織以外から求めるとすれば人事のローテーションをどうするかというような、かなり細かい議論もございました。  そして、独立の事務局を置くという考え方につきましては、警察庁あるいは都道府県警察本部との二重構造となる、屋上屋を架す、そういうような結果になりかねないという結論が出されまして、その結果、刷新会議の提言には詳細は記載されておりませんけれども、そういう異論がございまして、独立の事務局を置くのは適当ではないという考え方に至ったというふうに私は承知をしております。
  61. 桑原豊

    桑原委員 どうも、その経過を今お聞きしておりますと、委員の皆さんの議論が、国民的ないろいろな視点というふうに考えていけば、独立したものが必要だとか外部監察が必要だというような意見が恐らく出たんだろうと思うのですけれども、そういうことの中で、事務局にどうかと、こういうふうに聞けば、警察庁の方では、今おっしゃられたようないろいろな理由があってなかなかそれは難しいんだよというような、そんなニュアンスの中で議論が展開されていったんではないか、こんなふうに私は推測をするのですね。  この推測は当たっているかどうか、それはわかりませんけれども、私は一遍、情報公開の問題もそうなんですけれども、刷新会議委員の皆さん方にぜひこの委員会に出向いていただいて、この問題については国民的な関心事でもあったし、それから各政党もそういうふうな意見を述べられた、しかし現実の法改正案ではそういう形にはならなかった、そこが一体刷新会議の中でどんな議論があったのか、それをぜひ刷新会議の皆さんから直接お聞きをしたい、ぜひそういうことを委員長のお計らいで実現していただきたいというふうに思いますので、委員会で御協議をお願いしたいと思います。  それで、もう一つ、情報公開なんですが、この情報公開も、刷新会議の第一回目の会議では、公安委員長さんから提起をされた幾つかの問題がございましたけれども、それよりも、何よりも大事なのは情報公開だ、警察閉鎖性といいますか、そういうものがすべての不祥事にやはり大きな背景をなしている、これをどう打ち破っていくのかということが警察改革の第一歩だ、まず情報公開について議論をしてくれということで、委員の皆さんの積極的な発意で、第一回は情報公開について議論がされた。私は、問題意識としても大変的確であるし、国民の皆さんのいろいろな思いにもこたえられる、そういう議論であったなというふうに思います。  それで、情報公開についていろいろ議論がされましたけれども、残念ながら、法律改正ということではこの情報公開は出ておりません。今お答えになられたように、いろいろな運用あるいは政省令、あるいはガイドラインということで、そこら辺がさらなる情報公開が通知をされておるんだ、こういうことであります。  しかし、そのガイドラインを見ましても、確かにいろいろなことが原則公開すべきだと書いてあるわけですけれども、しかし必ず、犯罪捜査等の個別の捜査活動に支障を及ぼすおそれがあると認められるものは除外されるということで、その判断権は一次的にその実施機関の長にあるということですから警察側にあるということで、結局、情報公開を進めると言いながらも、やはり、そこら辺が悪用されて何でもかんでも隠されるのではないかという疑問は、ガイドラインが出されても常に残ってくるわけですね。  そういう意味では、この情報公開についても、どういう議論がされたのか、どうしたら本当の意味で国民の疑念を払拭できるような透明性を確保できるのか、本来なら情報公開法の改正ということぐらいを、むしろ警察の側からそういう疑念が生じないように提起をする、あるいは、我々の改正案では訓示規定のようなものにしかなりませんでしたけれども、そういったものでも、警察の意欲として、やはり法律改正の中で明らかにしていくということが必要ではなかったのか、こういうふうに私は思うのですけれども長官、その点どうでしょうか。
  62. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の、いわゆる警察情報公開につきましては、今回の刷新会議におきましても、私どもが用意しておりましたテーマについて御議論をいただくというような考え方でお示ししたわけでございますけれども委員の方からまず情報公開が大事だというようなお話で、委員指摘のように、それを最初に取り上げて議論されたところでございます。  第一回会議が三月二十三日に行われまして、やはり閉鎖性でありますとか秘密性だということを言われました。それで取り上げられることとなったわけでございますが、第二回会議におきまして、委員から、今お話しのように、捜査上の秘密等を理由公開すべき情報まで公開していないのではないかとの指摘がございました。そういたしますと、一般的な条項としてはそれでいいわけでございますけれども、個別具体的な情報公開につきまして、どこまでその情報公開していけるのかということにつきまして、やはりガイドラインを作成すべきであるということでございました。  そして、第三回会議、第四回会議におきまして、情報公開法の開示請求を待たずに通達等一定のものは公表すべきであるとか、そういう基準、そしてまた、情報公開施行後、開示請求に対して行う開示の基準、懲戒事案の発表の基準等について議論がなされまして、幾つかのガイドラインが取りまとめられたところでございます。  これは、国の情報につきましての基本的な考え方が示されたわけでございますけれども、県に対しましても同じような考え方情報公開問題に対応するように、こういう緊急提言でございましたし、また刷新会議委員の方の御意見でございました。それを踏まえまして、私ども情報公開条例の実施機関となっていない県につきましては、速やかにその実施機関となる方向で検討しろということで今日まで参ったわけでございます。  そこで、委員指摘のように、法律の中で情報公開について一項設けるべきではないか、あるいは一条設けるべきではないかという御意見でございますけれども、これは、既に情報公開法の四十一条におきまして、地方公共団体における情報公開の拡充という規定がございますので、我々は、その情報公開法の規定をきちっと遵守していく、そして、警察についても情報公開を積極的にやっていくということを具体的に示すということで足りるのではないかというふうに考えたわけでございます。
  63. 桑原豊

    桑原委員 いろいろな意見が刷新会議の中でも出されて、特に捜査の密行性、個人の人権、公共の安全に関する情報収集などを理由公開できない情報があるのはわかるが、これらの観点を強調することで、公開してもよい情報まで公開していないのではないかという疑念が国民の中には広くあるように私は思います。  そういう意味では、それをどう防いでいくのか。今の法律のあり方ではそれはなかなか防ぎ得ないわけでありまして、そういうものを今回法改正の中で考えていくというのが大変重要なことであったのではないかというふうに私は思いますので、その点については改めてまた議論をさせていただきたいと思います。  それから次に、監察指示に関連してお伺いいたしたいと思います。  第十二条の二及び第四十三条の二の関係ということになるわけですけれども公安委員会は、警察の行う監察に対しまして、その監察にいろいろな疑義があったり、注文をつけたりするために指示をすることができる、こういうことになったわけであります。その点は私は、公安委員会の権能の強化ということで評価をしたいと思います。評価をしたいと思いますが、その前提としては、警察が行った監察の結果については必ず公安委員会報告をする、こういうことがなければ公安委員会の方で適切な指示というものができないわけですけれども、そういう結果報告というのはどのようになっているんでしょうか。長官、お願いします。
  64. 田中節夫

    田中政府参考人 公安委員会に対しますところの監察の結果の報告でございますけれども監察に関する規則というものがございまして、これによります定期的な報告はもちろんでございますけれども警察職員非違非行事案が起きた場合につきましては、事案の軽重に応じてでございますけれども、詳細に報告をいたしまして、そしていろいろな御指導をいただいておるところでございます。
  65. 桑原豊

    桑原委員 さて、私は今、監察に対する指示というのは公安委員会機能強化として一定の評価をする、こういうふうに申し上げたんですけれども、もう一つ、法律考え方の根本に立ち返って考えてみますと、こういった指示というのは、私は、政府案のような規定がなければできないものではないのではないか。要するに、警察に対する公安委員会管理という機能の中に、あえて法律にこういうふうに規定をしなくても含まれているものではないのか。  例えば、刷新会議の提言の中でも、管理というものは何ぞやということで大変議論を呼んだところでございまして、それについては一定の考え方を出そうではないかということで考え方が出されておるわけですけれども、刷新会議考え方では、管理に対する考え方として、「警察事務の執行が法令に違反し、あるいは国家公安委員会の定める大綱方針に則していない疑いが生じた場合には、その是正又は再発防止のため、具体的事態に応じ、個別的又は具体的に採るべき措置指示することも、「管理」の本来の意味が上記のものである限り、なんら否定されないものというべきである。」こういうふうに規定がしてございます。  これを読む限り、私は、こういう指示規定を置かずとも管理ができるというふうに理解をするわけですけれども、我々の法案もそういうふうに一応仕組んであるわけですが、この点はどうなんですか、長官
  66. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、警察法に示すところの管理というものの概念につきましては、大変議論のあるところでございます。  国家公安委員会管理につきまして、これは警察法五条二項に掲げておる事務に係る大綱方針を定め、警察行政の運営がその大綱方針に則して行われるよう警察庁を指揮監督するものでありというような考え方でございます。今委員指摘のように、このような大綱方針に反しているような行為、あるいはそういうことがあった場合についての具体的な指示とか是正措置を命ずるということにつきましても管理に含まれるのではないか、こういうような御議論でございます。  大変御議論がございまして、緊急提言の後尾の方に説明が付してございますけれども、ただ、公安委員会制度というのが、委員が一般層の方、社会的良識を代表されるような方、そして警察あるいは検察の経験が一定限度ない方というような方が承認されることを前提にいたしますと、やはり個別の執行には立ち入ることはできないだろう、それは規定されていないだろう。しかしながら、大局的な見地から民主的にコントロールするというような観点からいたしますと、監察に係るものについての指示というものは入っていたのではないかというようなことでございます。  ただ、従来、大綱方針ということが余りにも強調され過ぎていたがために、そういうものが入っていないのではないかというような運用がされてきたのではないかというような御指摘もございまして、基本的な公安委員会制度の枠組みというのは維持しながらも、管理というものを考えた場合に、やはり今回御提出申し上げているような指示というのは入っていたのではないか。  なぜ今回、それならば明確に書いたのかと申しますと、ほかの個々具体的な捜査とかそういうものに対するところの個別的な指示というのは、これは当然に入らないだろう、しかし、大綱方針に反しているようなものにつきましては入るとしても、書いて明確にした方がいい。従来の、入らないのではないかというようないろいろな考え方、あるいは入っているという解釈があるにしても、それが問題として十分に発揮できなかったとすれば、今回立法的な解決を図るべきであるというようなことで、今回お出しした案につきましては、その立法的解決を図るという観点から、指示ということにつきまして具体的に項目として挙げさせていただいたわけでございます。
  67. 桑原豊

    桑原委員 そうしますと、従来、管理というふうに考えてきたその管理の範疇には監察指示は入っている、しかしながら、念を押すというか、そういうことも含めて明示した、こういう意味だということですか。それを確認したいということ。  それともう一つは、これについては、そういうふうに明示をしますと、それ以外の類似のこと、そういうことについてはこれはできるけれども、明文化していないたぐいのものはどうなるんですか。できないということになるんですか、それとも、今のような管理考え方でいけば、そういうものもできるということになるんですか。それはどうなんですか。
  68. 田中節夫

    田中政府参考人 管理の態様でございますけれども管理概念の明確化ということをすべきであるというようなことが刷新会議でも出されました。  それで、警察に関しますところのいろいろな問題につきましては、やはり事前事後の監査を行う。しかしながら、専門的知識あるいは技術的知識が必要とされるような捜査活動、警備実施、そういうものについて直接的に指示をするというようなことは、これは当然できないであろうということでございます。  その線引きをどうするかという具体的な問題につきましては、個別具体的に考えなければいけませんので、この指示以外にもう全く指示に類するものはできないかということになりますと、これはそうではないだろう。やはり今回は、今申し上げましたように、監察についての管理機能の権限行使を明確にする、それほどに監察というものの重要性というものを十分に認識した上での規定というふうに御理解していただければいいのではないか。むしろ、そのほかのことにつきまして、例えば警察庁に対して報告を求めたりとか、あるいは資料の提出を求めたりとかいうことは、これは当然できるというふうに、管理の概念に入るというふうに解しているところでございます。
  69. 桑原豊

    桑原委員 要するに、管理の概念に含まれるものであるけれども、重要な位置づけをしたので明示をし、あるいは例示をする、こういう考え方だと。たぐいのものについては、個別に判断するけれども、これをもってしてそれ以外のものは、類似のものはできないということではない、そういう考え方で整理をしてよろしいわけですか。
  70. 田中節夫

    田中政府参考人 管理の態様につきましてはいろいろございます。先ほど来申し上げましたように、監察というのは、この五条二項の書き方からいたしましても、そのすべてにかかわる大変重要な事務でございますし、従来、いろいろ大変な議論になったところでございますので、管理の概念に入るにもかかわらずその辺が明確でなかったところもございますし、我々もその辺に疑義があったということもございますので、それを立法的に解決を図ったということでございます。  それ以外に、公安委員会警察庁に対して、管理という名のもとにいろいろな措置を講ずることを指示したり、あるいは資料の提出を求めたりというようなことを否定するものではないということでございます。
  71. 桑原豊

    桑原委員 概念的な説明としてはわかるわけですけれども、しかし、この管理はどこまで及ぶのか、どういうことが含まれるのかというのは、公安委員会警察との関係では極めて大事な部分だというふうに思うのです。  ですから、私は、今のような説明だけでは、恐らく、どういうことなのかというのは具体的にはわからないわけでございまして、ある意味では、緊急提言の中で述べられているような、警察捜査活動や警備実施に関する事務など警察運営に関する専門的、技術的知識が要求されるような事務については管理の対象から除外するんだ、こういうふうにおっしゃっておるわけですから、そういうものをある意味では具体的にちゃんと述べられて、これ以外のものは含むんだというくらいに明示をしないと、これはもうそのときそのときだと。考え方はこうだということはわかりますけれども、それだけでは、公安委員会警察との関係というのをしっかりと民主的な管理という形でつないでいくということにはやはりならないのではないかと私は思いますので、そこを重ねてお聞きをしたいと思います。
  72. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、公安委員会がどういうような形で管理をするかということは、公安委員会の果たすべき役割との関連で議論されるところでございますけれども、今私どもが申し上げましたような説明につきまして、明確ではない、あるいは個々具体的な判断ということになりますとそこに問題は生じはしないかという御指摘だろうと思います。  そこで、私どもといたしましては、今回、監察につきましては、法律につきまして規定を設けさせていただくということで御審議をいただいております。それで、その管理のありようにつきましては、これは公安委員会の運営、あるいは公安委員会の具体的な職務執行にかかわるものでございますので、公安委員会規則の段階でどういう形で管理というものを明確にするのがいいのかということにつきまして、今議論をしておるところでございます。  管理の態様と申しますのは、例えば、国家公安委員会規則を定める、監察に関する規則とか教養に関する規則、さらには犯罪捜査規範、そういう形で国家公安委員会管理というものを示しているものもございます。また、個別具体的にいろいろなものもございますので、そこを少し整理しながら国家公安委員会規則の中で明確にしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  73. 桑原豊

    桑原委員 公安委員長にお聞きをいたします。  今、公安委員会警察管理するという、その管理の中身というのは何なのか。監察指示などは、今のお話では管理の中に含まれるんだ、しかし重要だから明示をするために、あるいは例示をするためにそれを入れたんだ、法定化したんだ、こういう考え方なんですけれども委員長はこの点についてどう思われますか。
  74. 西田司

    西田国務大臣 国家公安委員会管理とは、警察法第五条第二項に掲げる事務に係る大綱方針を定め、警察行政の運営がその大綱方針に則して行われるよう警察庁を指揮監督することを意味するものであると思います。  公安委員会制度は、警察行政の民主的な保障と政治的中立性の確保を目的としてつくられておるものであり、事務の個々具体的な執行に立ち入った指揮監督を行うことを意味するものではないと解釈をしております。  警察刷新会議緊急提言は、職員非違行為に関する監察については、個別的または具体的な指示を行うことも理論的に管理の概念に含まれるものとしつつ、他方で、公安委員会監察点検機能強化するため、公安委員会監察について個別的、具体的に指示することができるようにすることを求めており、今回の改正案はこれを具体化したものだと理解をいたしております。
  75. 桑原豊

    桑原委員 管理の問題については、一番核心になると私は思いますので、明確化をどうしていくかということが求められているというふうに思いますので、さらに議論を要する問題ではないかということを付言しておきたいと思います。  そこで、もう一つ、公安委員会事務局の問題がございます。  我々は、事務局は、さきの公安委員会の使命を達するためにも、国民的な目から見て警察を民主的にコントロールしていく、そういう必要性、それから、時の政治勢力から中立であらねばならない、こういう公安委員会の使命、そういうものを考えてみますと、いわゆる管理をされる対象の側の警察庁事務局を兼ねるというのは、やはりどう考えても制度的な矛盾ではないか、こんなふうに我々は思います。  そこで、先ほど来の議論の蒸し返しになりますが、いろいろな業務の精通性ですとか人事とのかかわりとか、いろいろあって屋上屋を重ねることになるから、こういうふうなことで、警察庁事務局を担当するという従来の考え方をそのまま延長しておるわけですけれども、この緊急提言内容を見てみますと、新しく十人から二十人程度の事務局を置くんだ、こういうふうになっておりますけれども、これは具体的にどういう中身なんでしょうか。もう既に内容的には固まっているんでしょうか。ちょっとお答えいただきたいと思います。
  76. 田中節夫

    田中政府参考人 警察刷新会議緊急提言におきまして、公安委員会機能強化の一環といたしまして補佐機能強化する、補佐体制を整備するということが指摘されております。  それで、警察庁におきましては、公安委員会事務担当室、課相当のものを設置いたしましてスタッフを増強する、執務室を整備するということで考えておりまして、現在、所要の予算措置、あるいは所要の人員、それから所要の組織等につきまして平成十三年度の概算要求の中に含ましめておりますし、また施設につきましては、国家公安委員会につきましては十二月初旬に新庁舎に移転が計画されております。その中で、公安委員それぞれのお部屋を確保するというようなことで現在進めております。  そういうことで、緊急提言を踏まえまして、私どもは、この御趣旨に沿った方向で現在準備体制を着々と整えているところでございます。
  77. 桑原豊

    桑原委員 本来なら、公安委員会事務局がそういう形で強化をされるということは、ある意味では大変時宜にかなったことだと思うんですけれども、根本になる、警察庁から独立をした事務局ならいいんですけれども、結局警察庁としてそういう陣容を強化していく、こういうことになれば、やはり管理をされる側が民主的な管理をしていく、コントロールをしていく側の事務局を務めていくという、矛盾の面では逆に拡大をするのではないか、余計に警察による公安委員会へのコントロールというか逆のことが、理由は逆のことのために逆のことが行われる、そういうことになりはしないかと私は大変危惧をするわけですけれども、その点は、どこでそうではないようにするのかということが見えないわけです。  例えば、人事交流をもうしないんだとか、身分的にここをこうするから、これはもう完全に公安委員会の側に立ってやることになるんだとか、そういうものが何もなくて体制だけ強化されたら、そうなるのではないかというのはごくごく当たり前の考え方ではないかと私は思うんですけれども、その点はどうなんですか。
  78. 田中節夫

    田中政府参考人 委員会の補佐体制を増強する、整備するということによって国家公安委員会機能強化、むしろ逆の方向ではないかというような御趣旨の御発言ではなかろうかと思います。  私どもといたしましては、今回、人員、施設等も整備強化いたしますのは、すべて国家公安委員会機能というものをどういうふうにして強化するかというところに一点に絞って考えたところでございまして、この結果、今御指摘のような、かえって我々が今考えているところと異なった結果が出る、あるいはそういうものが結果として国民の皆様から批判を浴びるようなことが出てくるというようなことは決してないように努力してまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  79. 桑原豊

    桑原委員 決意として努力をしたいということと、それを裏づける、こういうふうなことをするからそういうことの危惧はないんだよ、そのこういうことにするからというのは何もないわけですね。そこら辺が、私は、やはり逆に強化をされることによって逆のコントロールが強化をされることになるのではないか、この疑念を払拭するどころか、募るわけですよ。これで本当に改革になるのか。  今公安委員会に求められているのは、決してそんな専門的な、警察の中身に通暁しているとか、あるいは警察の人事の問題にいろいろかかわるから、そこはそこら辺を知っておいた方がいいとか、そんな理屈で公安委員会事務局をどうこうする、そんなことは国民の皆さんはだれも求めていないわけですよ。そんなことよりも、国民的な視点警察をどう見られるか、ある意味では、もうそんなことがない方が警察に対する国民の意向をちゃんと踏まえたコントロールができるんだということで、そういうことを国民の皆さんは求めているのに、それにこたえる内容になっていない。事務局の独立性がなければそれは担保できないというふうに私は思うのですけれども、もう一度お聞きして終わります。
  80. 田中節夫

    田中政府参考人 この公安委員会事務局の独立性という議論につきましては、先ほど委員質問にお答えいたしましたように、刷新会議でも多様な議論があったところでございます。先ほど申し上げましたような理由で、独立した事務局を置くということについては適当ではないという結論をいただいたわけでございます。  私どもといたしましても、その結論というのを重く踏まえまして、そして結果として、国家公安委員会法律上期待される機能というものをどういうふうにして強化していくことが適当であるのか、そういうような法の要請、あるいは、今国民からの要請というお話がございましたけれども、そういうものにこたえていくことができるのかということについて十分考慮し、また、刷新会議のメンバーの方々あるいは国家公安委員会の先生の方々とも十分に御協議をさせていただいた上で、今回、平成十三年度概算要求とか今取り組んでいるような施策というふうになったわけでございます。
  81. 桑原豊

    桑原委員 裏づけのない決意だけのお話では、私は納得はできません。そういう意味では、刷新会議の提言を受けて法制化をしたということですから、改めて、刷新会議の皆さん方がそこら辺をどう考えたのか、私の今申し上げたような疑念をどう考えたのかということをぜひ私はお聞きしたいというふうに思いますので、改めて委員長にお計らいをしていただきたいと思います。
  82. 増田敏男

    増田委員長 理事会にお諮りして、結論を出すように運びます。
  83. 桑原豊

    桑原委員 それでは、時間が参りました。私の質問を終わりたいと思います。
  84. 増田敏男

  85. 若松謙維

    若松委員 公明党の若松謙維です。時間が短いので、端的に、質問通告に従って質問をさせていただきます。  まず、これは長官でしょうか、情報公開法に基づく開示請求に対していわゆる不開示決定を行おうとするときには、当然恣意的な運用を防ぐ必要があろうかと思います。そういう意味で、こういった不開示決定を行ったものについては国家公安委員会報告すべきだと考えますが、いかがですか。
  86. 田中節夫

    田中政府参考人 来年四月に情報公開法が施行されるわけでございますけれども情報公開の開示請求を受けたときの手続につきまして、現在検討を進めております。警察庁におきましては、不開示決定を行う場合には、可能な限り個別に国家公安委員会に事前に報告をする方向で検討をしております。  ただ、情報公開に対する関心が非常に高まっておりますので、相当数の、膨大な情報公開の開示請求が予想されますので、開示決定等が一定の期間内に行わなければならないということを考えました場合に、国家公安委員会の了承を得まして、法施行までに、警察庁の審査基準に基づいて定型的に判断できるものとか、あるいは過去に同じものが何回も請求されているということについての取り扱いというものについては別にするとかということにつきまして、一括的な報告をするというようなことも考えながら今検討しているところでございます。
  87. 若松謙維

    若松委員 公安委員長にお聞きしたいんですけれども、この不開示決定されたもので、先ほど言いました過去何度も請求があったものとか、分類化されて当然警察庁の現場から上がってくると思います。その報告がきちんとされているかというのは、国家公安委員会の立場から、いわゆる抜き打ちなり定期的なり、やはりチェックする必要があると思うんですね。それはされる意思がございますか。
  88. 西田司

    西田国務大臣 今回の警察法改正で、先ほど来議論になっております情報公開というのは非常に大事でございます。もちろんこれを進めていかなければなりません。今御指摘になった問題も今後十分に検討をしながら対処していきたい、こう考えております。
  89. 若松謙維

    若松委員 済みません、突然の質問で恐縮です。  続きまして、これは長官委員長になろうかと思いますけれども都道府県警察の首席監察官、これを国家公安委員会の任命とするというような、いわゆる人事面での警察本部長からの相対的独立性ですか、それを確保すべきと考えるわけですけれども、この点について警察庁としてどのように取り組むかについてお答えいただきたいと思います。
  90. 田中節夫

    田中政府参考人 都道府県警察におきますところの監察客観性公正性を確保する立場から、今委員指摘のように、都道府県警察の首席監察官といいますか、監察業務のトップにある者を地方警務官にする、地方警務官というのは、これは国家公安委員会の任命でございますので、そういう面で本部長からの相対的独立性を確保するというような提言がございましたので、今その方向で、地方警務官にしたいということで、できるだけ多くの府県の監察担当責任者を地方警務官とすることができるように、必要な要求を関係当局に行っているところでございます。  ただ、できる限り既存の人員で賄えるところは賄う、配置転換をするというようなことも踏まえて、必要なところは要求していくということでやっているところでございます。
  91. 西田司

    西田国務大臣 今田中長官からお答えをいたしましたが、私の答えも重なるかもしれませんけれども委員指摘のとおり、監察に関する国の関与を強める観点から、都道府県警察監察担当責任者を国家公安委員会が任命する地方警務官としたいと考えており、現在そのために必要な要求を関係当局に対し行っているところであります。
  92. 若松謙維

    若松委員 明快な国家公安委員会としての答弁、ありがとうございます。  三つ目ですけれども、これも公安委員長にお願いしたいんですけれども、今警察に対してさまざまな相談が寄せられております。特に、いわゆる一一〇番受理件数ですか、平成元年が四百三十万件が平成十一年になりますと七百二十万件とかなりふえているということで、かつ警察官の数はそんなにふえていない、そういう状況で、当然お一人お一人の警察官業務がふえているという結果になろうと思います。  ですから、これらの状況に適切に対応するための一つの方策として、警察のOBを積極的に活用する、こんなことも考えられると思うんですけれども、その点についての御見解はいかがでしょうか。
  93. 西田司

    西田国務大臣 委員指摘のとおり、警察には、国民が切実な気持ちで解決を求めている相談事案が数多く持ち込まれていると承知をいたしております。これらの相談に対し的確に対応するため、警察では、相談業務を担当する職員の増配置等の体制強化に現在努めているところでありますが、委員指摘のとおり、元警察職員の活用も有効な一つの方法であると考えております。この点は、警察刷新会議の提言においても指摘されたところでございます。  このような状況から、このたび警察庁において、財政当局に対し、元警察職員等を非常勤の嘱託として雇用する警察安全相談員について今要望を行っておるところであります。
  94. 若松謙維

    若松委員 ぜひ、そういった警察のOBの積極的活用ですか、まさにこういった点にこそ活用していただきたいと考えるわけですけれども、これにあわせて、これは長官でしょうか、今警察事象が非常に多くなって、かつ複雑化しております。そういう中、特に私どもの埼玉というのが、全国でもいわゆる一人当たりの警察が担当する相談件数が一番多い県、常日ごろ警察官の増員というのは地元からも私どもの立場からも必要と感じているところなんです。  そこで、警察刷新緊急提言がございましたけれども、そこに「警察官一人当たりの負担人口が五百人となる程度まで地方警察官の増員を行う必要がある。」と。私は行革をやっておりますから、余り公務員の増加というのを言えない立場ですけれども、それでも本当に、減少してもいい省、どこどこと言うとまた問題が起きますから言いませんけれども、そういったところを減らしてまでもやはり必要とするところはきちんと増加すべきではないか。そういった点について、長官及びその財政的措置を担当する自治省の財政局ですかに答弁をお願いします。
  95. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のとおり、警察事象は最近、質、量ともに悪化の一途をたどっておりますし、また、ハイテク犯罪とか国際組織犯罪という新しい課題も出てきております。治安情勢、非常に厳しい状況に来ておりますし、それから、御指摘のようなストーカー行為の取り締まりとか、さらにはパトロール、相談業務が非常にふえてきております。  国民の身近な要望にこたえるという観点から体制の増強が必要でございまして、緊急提言におきましても、労働時間短縮の一方で増大する国民からの要望やその質的変化に対応するためには、もはやその内部努力では限界がある、そして、「徹底的な合理化が進められることを前提に、国民のための警察活動を強化するため、当面、警察官一人当たりの負担人口が五百人となる程度まで地方警察官の増員を行う必要がある。」という提言がございました。  私どもは、この提言を受けまして、目下の警察状況といいますか、治安情勢にどのように対応していくかということをよく考えまして、例えば交番の機能強化、あるいはストーカー犯罪、さらには少年事件の問題、被害者対策等々を考えまして、所要の増員をしていきたい。そして、現在、負担人口は五百五十六人でございますけれども、それを五百人にするためには二万数千人という数字が出てくるわけでございますけれども、これはやはり、合理化ということを考えました場合に、この二万数千人という数字をそのまま増員ということは、これは必ずしも私どもとして適当ではない。今お話がありましたように、合理化するところは合理化をする、そして、大体今のところ一万数千人規模、これは一遍というわけにはまいりませんけれども、計画的に増員していく必要があると思いますけれども、そういうようなことを今考えているところでございます。  そして、とりあえず来年度につきましては、もう合理化の限界というようなことに至っているような状況を来している県もございます。そういうような県に絞りまして、二千七百七十五人の増員をお願いしておりまして、現在、財政当局と折衝を重ねているところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、この増員につきましては、国民の理解を得るということが大事でありますので、その辺につきましても努力を重ねてまいりたい、かように考えているところでございます。
  96. 嶋津昭

    嶋津政府参考人 お答えいたします。  今委員指摘警察官の増員につきましては、埼玉県を含む幾つかの県のうち、あるいは議会における御議論等があることは承知しているところでございます。一方で、これも委員御承知のとおり、地方財政平成十二年度以降に向けて大変な財源不足額、十兆円を超えるような財源不足額を生じていること、あるいは、今お触れになりましたように、行政改革の面におきましては、国家公務員につきましては十年間で少なくとも一〇%、当初五年間は五・一三%でございますが、毎年一%強の計画的削減を実施することとしております。今後も、地方公務員につきましても国家公務員に準じた定数削減を考えていかなくちゃいけないという状況にございます。  そういうことも含めまして、警察刷新会議におきましては、まずは警察内部の徹底的な合理化ということをうたわれているわけでございまして、今警察庁長官が御答弁ありましたように、これからの合理化の状況等もよくお聞きして、また国の財政当局あるいは警察庁とよく協議をして、皆様、委員も含めた国会あるいは国民の納得の得られるような結論を得たいというふうに考えているところでございます。
  97. 若松謙維

    若松委員 私も、平成元年と平成十一年度の刑法犯認知、交通事故、一一〇番受理、この三点について比較したんですけれども、いわゆる一人当たりの件数ですか、事件件数ということで、平成元年と十一年を比較して減っているところは、刑法犯認知で、北海道、青森、ちょっと今回強烈な事件がありました新潟、あと大阪、鳥取、徳島、愛知、高知、そして沖縄、これしかなくて、あとは全部ふえているんですね。ほかの省庁もいろいろな仕事をやっている。不必要な仕事もあるでしょうけれども、そういった状況で、これはかなり、先ほど私が数字を申し上げましたような、件数がふえているので、ぜひ自治省としても前向きに検討していただきたいと思うのです。いわゆる行革という、先ほどの定員削減の前提もありながらも、それを乗り越えて最大限の配慮をしていただきたい、改めて要求いたします。  そこで、次の質問に移りますけれども、今度は警察内部の懲戒処分につきましてちょっとお聞きしたいのですけれども平成十年にいわゆる免職、停職、減給、戒告が百三十八件ありました。それが、平成十一年ですと二百七十六件、平成十二年ですと二百六十件。二百六十件というのは半年分ですから、かなりな、いわゆる倍々ペースでふえている。こういう状況で、まずその原因ですね。  またさらに、依願退職もかなりふえておりまして、この依願退職の原因もやはりしっかり分析して、警察としての一つの人事管理として、何が欠点があるのか、何らかの対策が必要かと考えるわけですけれども、その二点についてお願いします。
  98. 石川重明

    石川政府参考人 お答えいたします。  今、全国の懲戒処分者数についてお話があったわけでございます。数字はそのとおりでございまして、平成十二年の上半期の懲戒事案について見てみますと、職務執行に関連をいたしましたものとしては、調書等の偽造、被疑者事項、収賄事案、交通違反事項、不適切な捜査にかかわるものといったようなものがございますし、また私行上のものといたしましては、わいせつ、異性関係、交通事故違反、こういったものが目立っている、こういう状況でございます。  それで、処分別には、平成十年と平成十一年とを比べますと、懲戒免職者数が十九人から三十九人にほぼ倍増している、こういう状況があるのを初めといたしまして、いずれの処分者数も増加をしているわけであります。また、形態別に見ますと、勤務規律違反、交通事故あるいは異性関係による信用失墜行為、それから監督責任というのがございまして、こういうものが合計をすると九十五人の増加になっている、こういうことでございます。  こういったようなことでございまして、懲戒事案の態様がさまざまでございますので、懲戒処分者数がふえた原因について、一概にこれが原因だということはなかなか特定するのは難しいわけでございますが、いずれにしても、今、こういったような状況下で、不祥事案対策について全力を挙げて推進している中でのことでございまして、大変残念なことだろうと思っています。  発生をいたします要因といたしまして、業務管理が十分徹底されていないんじゃないか、あるいは職務倫理に関する教育というものがまだ十分ではないんではないか、こういったような御指摘や私どもの反省もございまして、あらゆる手だてを講じまして、こうした種類の事案の防止につきまして指導を徹底してまいりたいと考えております。  それから、都道府県警察における昨年度の依願退職警察官の総数でございますが、これが約三千三百人でございまして、前年度に比べて四百人増加をいたしております。そのうち、勧奨による退職者が千七百人から約二千二百人に増加をいたしておりまして、依願退職者数の増加というのは勧奨退職者数の増である、こういうふうに見られるわけでございます。  なぜ勧奨退職が増加をしているかということについても、これもまたいろいろな個別の理由があろうと思いますが、警察では大量退職時代というのをそう遠くない将来に控えておりまして、現在の時点で勧奨退職の制度を利用して他の職場に移ろうというふうに考える者がいるのではないかといったようなことを一線から聞いておるところでございます。  それから、勧奨退職以外の依願退職につきましては、転職をするとか両親の介護を行うといったようないろいろな退職理由がございます。個々の退職理由の詳細については私ども把握をしていないわけでございますが、もし仮に、昨年来の不祥事というものが依願退職に影響しているとするならば、これは組織管理上の問題でもございます。今般の警察改革施策の推進を通じまして、やはり職員一人一人が誇りと使命感を持って職務に邁進できるように、活力ある組織運営に努めていく必要がある、そのための対策をとっていく必要がある、このように考えております。
  99. 若松謙維

    若松委員 ぜひ、こういった人事管理、また分析、そして対処方策、これは非常に重要ですので、ぜひ丁寧に、またいろいろな民間のコンサルティング等も使いながら、さらによい警察組織と仕上げていただきたいと念願して、次の質問に移ります。  ちょうど私の選挙区が埼玉県の桶川にありまして、御存じの、大変全国的に有名になりましたストーカー事件がございました、その地域です。  ちょうどそこに、担当が上尾警察署なんですけれども、そのストーカー事件にかかわった刑事二課長ですけれども、本来、この方は検視の経験が長くて、いわゆる刑事の経験が短かったのですね。捜査経験が短い。こんなことで、非常に人はいいということで地元では評判はよかったです。ところが、実際に困っている事件に対しての経験がなかった。ですから、今回のストーカー事件を起こした原因の一つには、まさに、この課長の適材適所の人事配置が行われていなかったのではないか。  もう一つ、それを本来監督すべき警察署長がしっかり指導できなかった。どうも、話を聞いてみますと、課長どまりで署長に上げていなかったということがあるわけですけれども、これは、これだけ大きく騒がれた事件ですので、警察署長も知らないでは済まされないのではないか。そういった署長自身の人事配置もやはり不適切じゃなかったか。  特に、上尾署については、従来、交通出身の方が署長につくのが多いということも聞いておりますし、そういった面で、警察としてはどういう御見解でしょうか。
  100. 石川重明

    石川政府参考人 今委員指摘の、先般のいわゆる桶川事件についての元刑事二課長とそれから署長について、人事配置上問題があったのではないか、こういう御指摘でございますけれども、これまでも、私ども、幹部職員に求められる実務能力あるいは指揮監督能力、管理能力といったようなことについて、やはりきちっとした教養体系のもとで教育をして、本人にその自己啓発を求めるといった形で身につけてもらわなきゃならぬ。また、組織運営の基本はやはり適材適所の人事配置でございますから、例えば、一線捜査の指揮官を指揮官のポストに配置をするように、あらかじめそういう人事の計画的な配置を行うといったようなことに努めなければならないというふうに考えておるわけでございます。  御指摘のように、今回の事案におけるそれぞれの幹部の配置というものを見たときに、その徹底にやはり欠けるところがあったのではないかなということは、率直に考えざるを得ないというようなところはございます。  そうしたようなことも踏まえまして、このたびの警察改革要綱には、教育の充実というところで、いろいろな期間の延長も含めてカリキュラムを考えていく、また能力、実績に応じた昇進というようなことも盛り込んでいるわけでございまして、早急に具体化をしてまいりたい、これも第一線とともにこの問題について取り組んでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  101. 若松謙維

    若松委員 実は、私も公認会計士で、監査法人トーマツというところにおって、いわゆる金融機関専門家としての会計士。それは金融機関をやるときはいいのですけれども、いきなりメーカーに行ったりとかコンピューターソフト会社に行ったりしたら、当然わからない。適切な監査ができない。それと同じように、やはり適切な人材配置というのは非常に大事なんですね。ですから、先ほどしっかり対応するということですので、これは本当に大切にやっていただきたいと思うんです。  ですから、いきなり刑事捜査の経験がない人を課長にするとかをしないで、検視経験でも一、二年は実際現場をやらせるとか、そういった形で責任者をやらせるということをぜひお願いしたいと思います。  そこで、今度公安委員長に聞きたいんです。この桶川事件ですけれども、ちょうどその問題の刑事二課長の下に知能犯担当の部下が四人いたと聞いております。先ほど申し上げましたように、埼玉全体としては非常に事件が多い県でありまして、それは地行の先生方も一緒に視察していただいたわけなんですけれども、その四人それぞれが、従来のいわゆる古い案件というのですか、私も、実は私のポスターが五百枚ぐらい破られて、一向に犯人が捕まらない、そういうことで告訴をした。私も一つのそういう意味の被害者なわけなんですけれども、そういう案件があって、結果的にこういう新しい、かつ重要な事件対応できなかった。そういうことなので、結果的にやはり人員不足というのですか、これは否めない事実であるわけなんで、それをぜひとも早急に解決していただきたいと思うわけですけれども委員長、いかがでしょうか。
  102. 西田司

    西田国務大臣 お答えする前に、近年の我が国の治安情勢は、これは質、量ともに非常に悪化しておる、私はこう考えております。特に、ハイテク犯罪等の新しい治安課題が出現するなど、年々厳しさを増しております。特に埼玉県では、人口の増加に伴い、事故件数も増加傾向にあり、警察官の負担も著しく重くなっていると聞かされております。  このような情勢の中、警察庁では、徹底的な合理化を前提として地方警察官の計画的増員を検討しております。平成十三年度に向かって、業務負担の著しく重い県に対して要求をしておるものと聞いております。  私は、警察が現下の厳しい治安情勢に的確に対処し、国民の要望にこたえるためには、警察力の充実強化が必要であると認識をしておりますが、一方で、国及び地方の財政状況が極めて厳しいことも事実でありますから、地方警察官の増員については、これらの状況を十分に勘案しながら真剣に検討を重ねてまいりたい、こう考えております。
  103. 若松謙維

    若松委員 ぜひ引き続き御努力をお願いしたいのとあわせて、ストーカー事件というのは、あくまでもストーカーする側が悪いということを徹底して、もう一度国民全員が認識しなければ、同じような事件が幾らでも続くと思います。  そういう中、今回、こういうストーカー事件数が多くなっているということで、いわゆるスーパー防犯灯というものを予算要求していると聞いたわけですけれども、このスーパー防犯灯というのは、光が出て、かつそこに、ストーカーに追われたときには、いわゆる緊急アラーム装置がついている、そういうふうに認識しているわけです。まさに埼玉、特に桶川、また近隣の住民は非常にショッキングだったのですね。ですからこそ、こういうスーパー防犯灯をつける場合には、国民警察はしっかり対処している、そういうメッセージを送るためにも、ぜひあの悲しい事件があった桶川にこの防犯灯を設置していただきたいと考えるわけですけれども、生活安全局長、いかがでしょうか。
  104. 黒澤正和

    黒澤政府参考人 お答えいたします。  ただいま委員質問のいわゆるスーパー防犯灯の整備でございますけれども、いろいろな防犯施策がございますが、総合的な防犯対策の一つとして位置づけているものでございまして、今度の予算要求でございますけれども、全国で二十地区の道路そして公園に、警察本部の通信司令室に直接通報可能な緊急通報装置等を備えた防犯灯を整備すべく、財政当局に対しまして要望をいたしておるところでございます。  ところで、この二十地区でございますけれども、経済新生対策におきまして決定をいたしております「歩いて暮らせる街づくり」構想の推進に関するモデル地区でございまして、警察といたしましては、地域の安全確保の観点から、モデルプロジェクトの一部を担おうとするものでございます。整備につきまして容認されました場合には、このモデルプロジェクトを推進いたしますとともに、ただいま委員が御指摘なさいました、大変痛ましい、悲しい事件であります桶川事件等の重要事件の発生状況をも踏まえつつ、全国的な整備について検討してまいりたいと存じます。
  105. 若松謙維

    若松委員 今二十ということですけれども、実際、桶川は入ってないんですよ。ですから、先ほど言いましたように、正直言って我田引水かもしれないですけれども……(発言する者あり)そうなんですよ、だけれども物すごい大事なことなんですよ。まずそういった事件に対して適切に対処したという、精神的なメッセージというのは物すごい大事だと思うのですね。そういった面も含めて、ぜひ設けてもらいたいというのが埼玉県民の思いだと思うのです。再度答弁を求めます。
  106. 黒澤正和

    黒澤政府参考人 私どもも、この桶川事件につきましては大変深刻に認識をいたしておりまして、埼玉県警ももちろんでございますが、各種施策を推進いたしておるわけでございます。このスーパー防犯灯につきましては、需要を踏まえまして、安全な、安心な町づくりを推進するという総合的な防犯対策の一環として、各県警との緊密な連携のもとに、今御指摘ございました地元からの大変貴重な御提言でございまして、その整備につきまして検討してまいりたいと存じます。
  107. 若松謙維

    若松委員 ぜひ御努力をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  108. 増田敏男

    増田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後三時三十四分開議
  109. 増田敏男

    増田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。菅原喜重郎君。
  110. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 自由党の菅原喜重郎でございます。  今回の警察法の一部を改正する法律案について質問させていただきますが、今回の法案提出されました背景には、警察不祥事綱紀の弛緩等を背景にしてなされてきているわけであります。  また一方、一般社会におきましてもいろいろな犯罪、汚職、贈収賄あるいはスキャンダル等の報道のはんらん、それから地域共同体の崩壊等、いろいろ問題が起きておりますし、また凶悪犯の頻発、殊に犯罪の若年化の問題は国家社会の崩壊につながっていく問題であり、これ以上放置できないところに来ているというふうに私は思っております。日本の国民が今本当に、犯罪、こういう問題に対処して、根本的な対応をなさねばならないときに来ているというふうに私は思っております。これは、私の考えで表現するならば、戦後政治あるいは教育の清算というふうな立場から問題を見直していかなければならぬじゃないかなというふうに思っているのです。  そこで、三年ちょっと前に、私が実際に経験したことをちょっと述べてみるのですが、アメリカに在住している方が日本にぜひ行きたいけれども、日本の国がビザを発行してくれないというので、その代理人の方が、何とか口をきいてくれぬかということでした。そこで、私も法務省の方に問いただしましたところ、先生、この方は犯罪者だからビザを発行できないのだと言うのですよ。そんな、犯罪者を知らないで紹介するというのは私もゆゆしき問題なので、一体どんな犯罪なのだと聞きましたら、自由剥奪罪だと言うのです。  そのとき、私、驚きもしたし、反面うれしくもありましたね。文書で自由剥奪罪やなんかは読んでいたのですが、それで、一体自由剥奪罪の内容というのはどんなものなのだと聞きましたら、いや、この方は高額脱税で二年近い実刑犯なのだと言うのですよ。だから犯罪者にはビザを出せないのだと言う。これは私、その代理人の方に、いや、こういうことでは何ぼ頼まれたってだめだということを一応言いまして、断ったのです。  そのとき、本当に痛切に感じたのは、実は民主主義というのは、個人の信頼の中に成り立つ原理原則で、国家社会の安寧秩序を確立していこうとする、そういう制度でございます。ですから、個人の信頼を破るのは何かというと、うそであり犯罪ですから、犯罪者から当然自由剥奪あるいは基本人権停止、ドイツなんかではもう憲法の中にはっきり国籍剥奪までうたわれているのですね。そういう点、どうも日本の刑法はこういう点は全然触れていない。そればかりではなくして、犯罪者の自由を守れとか犯罪者の基本人権を守れとかという、こういうことが叫ばれるのが進歩的発言、学者のようなふうにとらえられております。  私も外国で生活した経験がありますが、こんな犯罪者の自由、基本人権を守れなどといいましても、これは民主主義を破壊する思想ですから、ヨーロッパの民主主義国家では通用しないことが日本では通用しているわけです。ですから、どうも日本の法整備は、こういう点をはっきりしていかないと、どんなに規制だ何だかんだ法律で縛っても、それを守る人間に倫理観が欠如していると守り切れない。これは国家崩壊の兆しだなと思っております。  こういうことを言いますのも、これは私の信念を話さぬといかぬわけなんですが、私は、人間の存在というものは、倫理性を失うと欲望に手足をつけたような存在者だ、こういう信念に立っておりますからこのことを言うのですが、このことについて、国家公安委員長である大臣も出席しております。しかし、今回のこの答弁は、正式に文書をもって通告しておりませんので、私のこの考えに対して、大臣の何かコメントがありましたらお願いいたしたいし、なかったらそれでよろしゅうございます。
  111. 西田司

    西田国務大臣 委員指摘のように、基本的人権は憲法により保障されているものであります。犯罪者といえども、十分にこのことは尊重されるべきものと考えます。  警察といたしましては、憲法の保障する基本的人権を踏まえつつ、法律に基づいて適切に対応すべきであると考えております。  委員指摘の件につきましては、国民各層の意識を踏まえ、諸外国の立法例も参考にしながら、適切に対応していくべきことであると考えております。
  112. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私の質問は、現行法はこれは絶対守らぬといかぬわけですが、その法律をつくるのは立法府の我々ですから、法律内容の充実を図っていく点について、基本的な問題を今提起したと思っているわけでございます。  次に、法案審議の方に入るわけなんですが、この法案は、自由党も与党となっていたときにも一応審議した経緯もあるものでございますので、本質的にはこれには賛成していかざるを得ないというふうに思っております。それで、運営の面でこれからお尋ねしたいと思うわけでございます。  警察署協議会設置されるわけでありますが、警察署協議会委員都道府県公安委員会が委嘱することとなります。この委員の選任の際、政党の党員、準党員にある者は除く、少なくとも委員在任中は政党の党員はやめていただく等の措置をとり、政党色をなくし、公平を期す必要があると考えるわけですが、警察庁の方ではどのような見解を持って運営されようとしているわけですか。
  113. 石川重明

    石川政府参考人 警察署協議会でございますが、これは、警察署業務運営に地域住民の方の意向を反映させるための機関というふうに位置づけているわけでございまして、これを的確に警察の運営に住民の意向というものを反映させていくというためには、公正な人選を確保するということが大変重要なことだというふうに認識をいたしております。  そういう観点から申しますと、警察署協議会が強い政治性を帯びることはいかがか、こういうような観点からの御質問だろうというふうに存じます。  この点に関しましては、警察署協議会委員の委嘱と申しますのは、良識ある市民を代表して、いわば第三者的な立場から警察管理監督する、また警察の政治的中立性の確保を旨とする公安委員会が委嘱を行う、こういうことにしておるわけでございまして、そうした制度上の担保で、一党一派に偏した人選は基本的には行われないだろう、また公正な人選がなされるだろう、こういうふうに考えているところでございます。  ただ、公正な人選を実効的に担保するための措置を条例に規定するということは、各都道府県の判断であり得ることだ、こういうふうに存じます。
  114. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 私たちの要望をぜひかなえられるような運営をしていっていただきたいな、こう思います。  次に、当該委員の選出の際には、選挙違反等の前科がある者を除くことが好ましい、これは私は当然だと考えているわけなんですが、この件に関しても警察庁の見解を聞いておきたいと思います。
  115. 石川重明

    石川政府参考人 ただいまの御質問も、選挙違反等の前科前歴といったことのある方は政治的志向が強いんじゃないか、委員としてそういう意味で好ましくないという御認識に立っておられる御質問かというふうに存じます。  先ほども申しましたように、委員の御認識のとおり、民意を警察運営に反映する上で、警察署協議会が一定の政治性を帯びるということは好ましくはないというふうに考えておりまして、先ほどのような公安委員会による任命という制度をとっているわけでございます。  この、個々の委員に前科前歴があること自体をもってどうとらえるかということは一つ問題でございますけれども、これをもって直ちに、民意を警察運営に反映する警察署協議会趣旨に反するんだというところまでは言えないのではないか。ただ、先ほど申しましたように、一つの政治性というものが大勢を占めるといったような委員の構成あるいは協議会の運営というものについては、いろいろな形で検討していかなきゃならない、このように考えております。
  116. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 やはり、犯罪ということを犯せばいろいろな公民権の特権が剥奪されるんだ、そういう意識を一般の国民にも強く植えつけていかなきゃならぬし、植えついていくようにしなければならないと思っておりますので、こういう質問をさせていただきました。  それから、警察内部改革というよりも、これはむしろ実務的な、実質的な強化策、そういうようなことで質問するわけなんですが、ノンキャリアの警察幹部登用の道を開くため、試験のみではなく、経験と実績を判断基準に加えることを幹部登用の内部規定に具体的に盛り込んでいくべきではないかと私は考えております。そこで、この点についても警察庁の見解を伺いたいと思います。
  117. 石川重明

    石川政府参考人 都道府県警察の警部以下の階級昇任についてでございますけれども、これは平成九年に改正を行いまして、試験昇任制度と、それから試験によらない選抜、あるいは選考昇任制度という三種類の昇任制を定めました都道府県警察官昇任基準要綱というものに基づきまして、各都道府県警察におきまして内部規定を定めて上位の階級への登用を行っているところでございます。  このうち、選抜昇任制というものは、勤務成績が優秀で専門的な実務能力が高い、日常の勤務を通じてその能力が実証されている者を試験によることなく上位の階級に登用する制度でございまして、また選考昇任制度は、長年組織に貢献している勤務成績の優良な者を、その豊富な職務経験による知識、技能を組織内で有効に活用するという観点で、試験によることなく上位階級に登用する制度でございます。  こういうように、試験だけではなく、経験や実績に基づいた制度の運用を行っているところでございますが、昇任制度というのは、能率的で中立、公正な警察行政の運営を確保するとともに、職員の士気の問題にもかかわるものでございまして、公務運営の活性化を図るために重要な制度でございますので、本当に仕事で汗を流した者が一層報われるようなものとなるように、今後とも改善を重ねてまいりたいというふうに考えております。  また、今日、大変複雑化し、また困難化した警察事象に対応していくためには、警視以上の者による適切な組織管理、指揮というものも重要でございます。警視以上の階級昇任につきましても、その制度改善のための指針を定めたところでございまして、そこにおきましては実務能力や幹部適性のきめ細かな評価を行いまして、トップマネジメントを推進できる、管理者たるにふさわしい者を昇任させるように努めているところでございます。  そういう意味で、いろいろな内規とか規定をしっかりつくって、昇任制度というものにきちっとした取り組みをしてまいりたい、このように考えております。
  118. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 次に、このことに関連してなんですが、都道府県警察採用の優秀な警察官で、当該都道府県警察の推薦に基づき警部等の階級で警察庁に中途採用された者の警察本部長等への積極的な登用を図るとしておりますが、これによってノンキャリアの警察本部長及び方面本部長の登用が十分と考えられるのか、また重ねてこの点もお伺いいたします。
  119. 石川重明

    石川政府参考人 ただいま委員指摘の点につきましては、前国会でもいろいろな御議論をいただきました。また、先ほど来長官からも御答弁を申し上げておりますような警察刷新会議における緊急提言におきましても、「いわゆる推薦者の警察本部長への登用などを積極的に進めるべきである。」というふうにされたところでございます。  これを踏まえまして、国家公安委員会警察庁が定めました警察改革要綱におきましても、「I種採用者等の人事管理の見直し」ということを今盛り込んでいるところでございまして、現在、I種採用者であると否とを問わず、優秀な人材の幹部登用に向けて取り組みを進めているところでございます。  いわゆる推薦者についてでございますけれども、現在、警察庁の本庁の課長が二名、それから警察本部長が一名、それから北海道の方面本部長が二名登用されております。また、北海道の二つの方面本部に、北海道警察で採用され北海道警察で勤務をした方が方面本部長として勤務をしている、こういう状況にございます。  今後とも、この推薦制度をさらに活性化させる必要があるというふうに考えておりまして、意欲と能力があるこういった推薦者の警察本部長等への一層の登用を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、推薦者以外の都道府県警察の採用者につきましても、その能力あるいは実績に応じまして、出身都道府県警察の枢要ポストにこれまで以上に積極的に登用してまいりたい。これは、例えば中央人事の固定ポストであるといったような運用ではなく、適材適所といった観点から登用を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  120. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 今回の制度苦情申し出制度を設けるわけなんですが、一方、文書によらない苦情警察本部長警察署長に対する苦情処理はどうするのか、このことについても警察庁の方にお伺いしたい、こう思っております。
  121. 石川重明

    石川政府参考人 ただいま御指摘の、まず警察本部長あるいは警察署長等を名あて人とする文書による苦情でございますけれども公安委員会あてではない警察署長警察本部長等に対する文書による苦情につきましては、公安委員会報告をした上で、その所要の指示を受けつつ警察本部長の指揮下で処理をして、名あて人名義で処理結果を文書により通知をするという運用をしてまいりたいと考えております。  また、文書によらない苦情というものもあるわけでございますが、これは比較的簡便な手続で行われるわけでございまして、処理あるいは処理結果の通知の迅速性が強く求められているといったようなものも多いというふうに想定をいたしております。  したがいまして、現場における迅速な処理になじむ場合には、こうした文書によらない苦情を受理した後、速やかにこれを処理いたしまして、これもまた警察本部長にその結果というものは集約をしたいというふうに考えております。そして、その上で公安委員会報告をするということになると思います。また、そうした処理になじまない場合には、本部長に集約をした上でその指揮下で処理をして、事後的に公安委員会に御報告をする、こういった取り扱いになるんではないだろうかというふうに考えているところでございます。
  122. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 この問題は、一般庶民は文書苦情を申し込む、この文書化するというのは大変苦手なんですよ。電話で、あるいは口頭で申し込む、それを親切に、受けた当該官が文書化してやったり、何かそういうことをしてもらわぬと、文書文書とかたいことばかりで拒否されたんでは、本当に一般庶民にとってはやはり寄りつくことの難しい警察になりますので、むしろこの苦情の問題は、口頭の問題を親切に文書化もしてやるというような配慮を、これは各部署に周知徹底していただいた法の運営にしてもらいたい、このように強く要望しておきます。  次に、同様に、この苦情申し出制度を設けることにより警察職員職務執行が消極的になる、あるいは公正な職務執行が幾らかでもできなくなる等の弊害が生ずる可能性というものに対しては、どのように警察庁は考えますか。
  123. 石川重明

    石川政府参考人 この苦情の問題でございますが、各都道府県警察におきましては、これまでも国民からの苦情に相応の対応をしてきたというところでございますが、現在求められておりますのは、国民と直接接する第一線における問題点が組織的に集約をされて、そして必要な措置がきちっととられることだ、また警察職員職務執行における責任をきちっと明確にするということだ、こういうことだというふうに私ども考えておるわけでございます。そういうことで、従来以上に組織的かつ適切な苦情処理を期するために、警察法にこの苦情処理制度というものを規定するというふうに考えたところでございます。  ただ、委員指摘のように、警察活動を牽制するためなど、いろいろな考えがあろうかと思いますが、苦情申し出都道府県警察事務の適正な遂行を妨げる目的で行われたというふうに認められるような場合には、その処理及び処理結果の通知を要しない旨の規定を置くというふうにしているところでございます。  また、警察職員職務執行の中には、被疑者の逮捕とか証拠物の押収といったような強制力を伴うようなものもあるわけでございまして、それらにつきましては、適法、妥当なものであったとしても、勢い苦情的な、あるいは苦情申し出がなされるということは当然予想されるところでございます。そうしたときに、警察職員がみずからの職務執行に対して苦情申し出がなされることを恐れて正当な職務の執行をちゅうちょしたり、あるいは個人の生命、身体、財産の保護、公共の安全と秩序の維持に支障が生じるようなことがあってはならないということの観点からの御質問だろうと思います。まさにそのとおりだろうというふうに考えております。  そうしたことで、警察といたしましては、職員が正しい法令の知識等を習得した上で、自信を持って職務を執行できるように、教育の充実に努めてまいりたい、これによって御指摘のような懸念が生じないようにしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
  124. 菅原喜重郎

    ○菅原委員 いずれにいたしましても、法を執行するのは人間でございますので、やはり警察官全体が、正義、公平、それに加えまして親切心、そういうものを、常に人間の内面的なものの充実を図っていただかないと、制度そのものを強化していっただけではなかなか本来的な目的を達することができませんので、そういう点での人間育成という面にも力を入れていただきたいことを要望して、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  125. 増田敏男

    増田委員長 次に、春名直章君。
  126. 春名直章

    春名委員 日本共産党の春名直章です。  いよいよ、国民注視の警察問題の大改革警察法改正の議論が始まりました。十分な議論をしていただいて、まさに国民の期待にこたえる改革になるように、委員長にもぜひ、十分な議論を保障していただくということでお願いをしておきたいと思います。  その第一弾の質問として、私は、国家公安委員会改革問題に絞って聞きたいと思います。いろいろなジャンルがあります。外部監察問題もあるし、情報公開の問題もあるし、キャリア制度の問題もあるし、さまざまな問題がありますけれども、私は、そのかなめは国家公安委員会改革だと思っていますので、それに絞ってきょうは議論をしたいと思います。  第一に、警察刷新会議緊急提言の中の第一の「問題の所在と刷新の方向性」という文章の中で、「公安委員会は、警察行政の民主的運営を保障し、政治権力からの中立性を確保するため警察管理する役割を担っているが、国民の良識の代表として警察の運営を管理する機能が十分には果たされていない。」という提言、叙述が出てきます。  ところで、刷新会議のこの認識について、まず、国家公安委員長西田大臣、同じ認識かどうか。つまり、警察の運営を管理する機能が十分に果たされていないということについて、同じ認識かどうか、まずお伺いしたいと思います。
  127. 西田司

    西田国務大臣 一連不祥事を通じて、国家公安委員会のあり方について各方面で御議論があったことは十分承知をしております。刷新会議からいただいた御指摘は謙虚に受けとめる必要があると私も強く感じておる次第であります。  今回の改正法案においては、警察に対する監察指示等種々の規定を設けることとしておるほか、運用面においても、所要の体制の整備公安委員会事務担当スタッフの増強等を図ることとしており、これらの措置により、公安委員会警察に対する管理がより一層実質的なものとなるものと考えております。
  128. 春名直章

    春名委員 長官にも同じ問題をお聞きしておきます。
  129. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、提言では、公安委員会国民の良識の代表として警察管理する機能が十分に果たされていないという公安委員会に対する御意見がございまして、そして、公安委員会の傘の下で警察がやや官僚的、独善的な運営になっているのではないかなど厳しい御意見も出されました。提言の御指摘は私どもも真摯に受けとめる必要があるというふうに考えているところでございます。  公安委員会管理機能の充実強化のため、今回の改正法案におきましては、警察庁及び都道府県警察に対するところの監察指示警察職員法令違反等報告の聴取、警察職員職務執行についての苦情申し出並びに委員の再任の制限に関する規定が盛り込まれておりますけれども、これに加えまして、私ども警察庁といたしましても、運用面で所要の体制の整備公安委員会事務担当スタッフの増強等を図ることによりまして補佐体制を強化してまいりたい。そして今後は、公安委員会の十分な御指導を得ながら、警察改革要綱に列挙されておりますところの「警察行政の透明性の確保と自浄機能強化」「「国民のための警察」の確立」「新たな時代の要請にこたえる警察の構築」などの実現に向けまして全力を尽くす所存でございます。
  130. 春名直章

    春名委員 お二人とも重く受けとめるということですから、中身は同じ認識と受けとめていいかもしれませんが、その先に改善の方向、法案の話をされたんですが、その途中が要るんですね。つまり、機能が十分果たされていないとしたというならば、一体、それが具体的にどのようにあらわれているのか、また、なぜそうなったのか、その原因がどこにあるのか、そこの深い分析がなければ改正案は出てこないわけですね。そこの議論がしたいわけです。  一体、機能が十分果たされていないとしたら、具体的にどのようにあらわれているのか、なぜそうなったのか、その原因をどう考えているのか、それを、現国家公安委員長の認識、意見をお聞きしたいと思います。
  131. 西田司

    西田国務大臣 公安委員会はこれまで、警察の政治的中立を確保するとともに、国民の良識を代表していわば第三者的立場から警察の民主的管理を行ってきたところでありますが、警察の民主的管理という側面では必ずしも十分と言えない部分があったことは否めないものと考えております。  その原因として、一つは、都道府県警察公安委員会に対する報告に不十分なところがあったこと。二つ目は、警察に対する第三者的チェック機関としての公安委員会が強く関与することが適当な、監察についての関与が十分でない面があったこと。それから三つ目は、公安委員会の活動を補佐する体制がいささか不足していたこと等の問題があったのではないかと考えております。  このようなことから、公安委員会による具体的、個別的な監察指示警察職員法令違反等報告の聴取等の規定を設けることとした警察法改正案を初め、公安委員会の補佐体制の充実等管理機能強化のための施策を実施することといたしております。
  132. 春名直章

    春名委員 今三つの中身を言われたんですけれども、私、少し議論をしたいんです。  例えば、三月一日の読売新聞の社説で、二月の「二十八日に開かれた国家公安委員会の緊急会議国民の不満に火をつけた。」「国家公安委員会は、存在価値を示す数少ない機会を逸した」「肝心な時に「お飾り」的な意識から抜け出ることができなかったのだとすれば、機能不全と指摘されても仕方がない。」、「国家公安委員会は、緊急委員会を開きながら、警察庁の言い分をうのみにした。国民の立場から完全に遊離し、実質は警察庁の付属物にすぎないことを暴露した。」これは東京新聞の三月一日付の社説です。日経新聞の社説では「警察庁措置を追認した国家公安委員会の判断も、国民の感覚とずれていると言わざるを得ない。」、こういう厳しい指摘が連日のように出たわけですね。  その指摘が出た直接の原因は、二月の二十八日に緊急国家公安委員会を開いて、二月の二十四日の例の小林本部長そして中田管区局長の処分なし辞職といいますか、こういう処分について、国家公安委員会も開かずに持ち回りでこれを決裁する、それを二十八日に追認するということが起こって、本当に国家公安委員会というのは警察のお飾りじゃないかと。こんな大事な問題で、持ち回りでしかやらない、またその処分を追認する、ほとんど議論もしていないということが白日のもとにさらされて、読売新聞のこの社説によれば国家公安委員会のまさに存在意義を示すチャンスだったのに、逆のことが露呈したということが大きな話題になりました。国民はみんなそう思っているわけですね。  そこで、なぜ機能が十分果たせていないかといったときに、こういう今の国家公安委員会の現状、率直に言って追認機関になっているんじゃないか、丸抱えになっているんじゃないか、だから大事なこういう問題のときにまともな判断が十分下せなかった、ここに対する重大な疑惑、怒りが広がっているというのが姿だろうと思うんです。これにこたえなきゃいけないので、西田大臣は、今そういう責任者として、国家公安委員長としてのいすに座っていらっしゃるわけですので、警察庁の隠れみのになっているとか追認機関というふうな、実態としてなっているということに対する国民の批判、これをどのように、みずからそこの位置に今置かれるわけだから、そういう自覚になっているのかどうか、そういう問題意識をお持ちなのかどうか、そこをきちっと聞いておきたいと思うんですね。
  133. 西田司

    西田国務大臣 過去のことはともかくといたしまして、あなたの御質問に対して率直に私もお答えをいたします。  現在の国家公安委員会は、極めて熱心にいろいろ議論をし、時間をかけして諸問題を整理いたしております。ですから、まことにお言葉を返すようですけれども警察庁の言いなりじゃないかというような雰囲気ではありませんので、それは誤解をひとつ取り除いていただきたい。  今、国家公安委員会にいたしましても警察庁にいたしましても、国民信頼を取り戻して、本当に国民の方々が安心をして日々生活のできる日本をつくっていかなきゃいけないということで、微力でございますけれども、私を先頭にして一生懸命頑張っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
  134. 春名直章

    春名委員 熱心に議論されるのは当然のことでして、同時に、こういう事態が起こって、そして改革提案がこれからされなければならないということなわけですね。  しかし、私は非常に危惧を持つのは、こういう事態に立ち至っているのにかかわらず、国家公安委員会がまさにその役割をいまだ果たし切れていないんじゃないかという疑念を持たざるを得ませんね。疑念といいますか、意見を申し上げたいと思うんですが、例えば、七月十三日に刷新会議緊急提言が出ましたね。その緊急提言が出るまでに国家公安委員長、前国家公安委員長になると思いますけれども会議には出席をされて議論は傍聴されたりしていると思いますが、七月十三日に緊急提言が出されて、その後、現国家公安委員会は、この緊急提言の中身についてみずから深める、みずからの問題としてこれを議論するという点で、一体いつの国家公安委員会で何回議論をされ、どれぐらいの時間これを議論されましたか。この緊急提言そのものの内容について、七月十三日以降。——国家公安委員長に聞いているんです。
  135. 田中節夫

    田中政府参考人 具体的な事実の問題でございますので、私から答弁させていただきます。  七月十三日に警察刷新会議から警察刷新に関する緊急提言を受けまして、八月二十五日に警察が当面取り組むべき施策を警察改革要綱として取りまとめるまでの間、計六回にわたりまして、警察刷新会議の御議論、御提言を踏まえつつ、検討されたのでございます。具体的な期日を申し上げますと、七月十三日、十八日、八月三日、十日、十七日、二十四日の計六回でございます。  当該提言の検討のために何時間費やしたかということにつきましては、時間を計測しておりませんのでお答えすることができませんけれども、この間におきましても、公安委員会のほかに、私どもが国家公安委員の方に赴きまして、状況をいろいろ御説明をしたという経緯がございます。
  136. 春名直章

    春名委員 国家公安委員会のホームページを前国家公安委員長のときからお出しするようになって、これを全部持っていますけれども、七月十三日の国家公安委員会に確かに緊急提言について議論されています。重く受けとめるということがネットで出ていますが、その先、緊急提言内容についてこういう慎重な議論をしたというのが一行もないんですよ。緊急提言が出されて、その中身を国家公安委員会として消化をし、具体化をし、また改善していくということのあらましも何もないんですよ。七月十三日、二十七日、八月三日、十日、十七日、二十四日、三十一日、九月一日、七日、十四日、二十一日、二十八日、一度も提言を議論した形跡がないんですよ。  今長官は、真剣な議論をされていると長官がお答えになるぐらいだから、推して知るべしなんですが、国家公安委員会として、この大事な緊急提言を本当に腹の底から議論をされて、これをどう受けとめるかという議論をどうされたのか全然見えないんですよ。どうなっているんですか。
  137. 西田司

    西田国務大臣 私は、あなたが示されたホームページについては見ておりませんので、お答えができませんが、ただ、先ほど長官説明をいたしましたように、七月十三日に緊急提言を受けてから六回の委員会を開いてそこで検討をいたしました、こういう説明をいたしました。私の説明も同様でございまして、この計六回でございます。  当該提言の検討のために、質問がありましたけれども、何時間使ったかということについては、はかっておりませんので、私自体もお答えができませんが、これは春名委員、この六回の間に国家公安委員会緊急提言問題について真剣に検討をし、意見交換をし、議論をしたことは事実でございます。ここに改めて御報告をいたします。
  138. 春名直章

    春名委員 それでは、その六回にわたる議論のまずテーマ、それから議論の特徴、これを公開してください。資料要求します。
  139. 増田敏男

    増田委員長 理事会にお諮りします。
  140. 春名直章

    春名委員 そういう大事な議論をしているのであれば、あえてホームページをつくっているんですから、テーマとしてそういう議論をしましたということぐらい書いたらどうですか。全くないんですよ。全部見ました。国家公安委員長が見ていないことの方が驚きですけれども、何を議論したかというのが出ているのに。そういう問題ですよ、これは。  つまり、これほど大事な問題で、国家公安委員会自身がどうあるべきかということを今議論の中心に据えなきゃいけないときに、その最も根本の提言について、例えば国会で、あるいは国民に対して、どういう議論を本格的にやったのか。刷新会議の議論は出てきますよ、議事録が出てきましたから。それは見ていますけれども、かなめは国家公安委員会がどう自己改革するかですから、それが今の話を聞いても十分伝わってこないので、私は非常に不安を持っているわけです。  実際、行政委員会ありますでしょう。公正取引委員会、例えば五百名を超える事務局スタッフを持って任に当たっていますよね。毎日議論している。ところが、先ほど桑原委員の議論もありましたが、独自の事務局をほとんど国家公安委員会は持たない。委員も常勤とは名ばかりで、週一回の国家公安委員会出席をして警察庁のいろいろな報告を受けて、熱心な議論は二時間でされているのかもしれませんけれども、議論をされている、そういうことになっている。だから、そんな事態になっているからこそ、新潟県警のああいう大問題が起こっても、その延長線上であのような対応しかできなかったというふうにみんな見ているんですよ。  それが本当に今度変わるのか。私の言葉で率直に言わせていただければ、本格的に、警察庁からある意味で独立をちゃんとして、本当に管理するという役割を名実ともに果たしていくという方向に変わっていくのか、そういう保証があるのかということが、議論を通じても、また改革の中身を見ても法案の中身を見ても、どうも伝わってこないのですね。私はそこに一番の問題意識を持っているわけです。  実態としてそういうことが確立されていかないと、私は先ほどの議論を聞いていまして、今度は管理の概念を明確にして、とりわけ監察については個別的な指示もやってよいように立法措置としてきちっとしますと。しかし、今までもそれはできたのだけれども、やれなかったわけですよ。やれなかったのは、今言ったような問題が横たわっていたから、実際は管理の中身としてできるのだけれども、漫然と過ごしていたということが今までの経験で明らかになったわけです。そこに対して国家公安委員長自身が本当に今メスを入れていくということにならなければ、国家公安委員会監察について個別的な指示をする、そういうことを立法に入れたからといって、実態が変わるという保証が全然見えないわけです。  そこで具体的な話を伺いますが、みずからの手足となる事務局体制を持つことは絶対に欠かせません。改革の柱です。公正取引委員会は五百六十四名、公害等調整委員会は三十九名、中央労働委員会百十七名、金融再生委員会三十八名等々と比較しても、全く事務局を持たないことがいかに異常かがわかります。  先ほどの議論もありましたが、警察改革要綱では、補佐官室というのをつくる。ところが、これは警察庁事務担当部局を拡充して充てるということになる。これでは逆に、国家公安委員会警察庁依存、ある意味での丸抱えがますます進みかねないじゃないかということを危惧するのは当然だろうと思います。  先ほど長官はいろいろ御答弁されていました。私は、そんなことになったら、より一層手足を縛られると言ったら変ですけれども、本当に管理するという役割を果たしていくことができるのか、そのことが非常に疑問であります。国家公安委員長はどうお考えでしょうか。
  141. 西田司

    西田国務大臣 ちょっと、委員のさきの質問に対して補足答弁をいたしておきます。  国家公安委員会のホームページの御指摘がございました。私も極力これから読むようにいたしますので、お許しをいただきたい。なお、これは刷新会議だけの問題でなくて、いろいろなことを今後検討して、できるだけ皆さんにわかりよくしたい、こういう考え方でございますので、御理解をいただきたい。  それから、ただいまの事務局体制の問題でございますけれども公安委員会の独立事務局については、事務局と、それから警察庁警察本部の二重構造はむだと効率の低下を生み出すおそれがあります。屋上屋を重ねる結果となることから、私は適当ではない、こう考えております。  警察刷新会議緊急提言においても、同様の理解に基づき、警察庁及び警察本部内に公安委員会事務担当室を設置し、スタッフを増強するとともに、執務室を整備することなど、真に効果的な補佐体制を確立していくとされておるところであります。  私どもは提言を踏まえまして、警察庁では、国家公安委員会事務局機能を果たす課並びに委員補佐官室の新設を要求しているほか、各委員に補佐官を置くことを検討しているところであります。また、都道府県警察本部においても、所要の体制の整備公安委員会事務担当スタッフの増強等を図ることにより、真に効果的な補佐体制を確立していかなければいけない、こう考えております。
  142. 春名直章

    春名委員 これは、むだだから、非効率だからといって切り捨てるような性格のものじゃないのですよ。そういう次元の問題ではないのです。本当に警察庁から独立をして、国家公安委員会が独自の立場で管理機能を発揮する、それができるかどうかが今問われているんですよ。何がむだですか、何が屋上屋ですか。これはそんな問題じゃないですよ。  本当に管理するという役割を果たすということが、今委員長がそういうつもりでいられるのだったら、自分の手足を持って、自分の思いで、警察法に書かれてあるとおり、国家公安委員会にはいろいろな任務があるわけですから、それを果たしていくために独自の事務局を持つなんというのは当たり前のことじゃないですか。  「コピー一枚から警察の世話になっている現状では、警察に対して独自の立場を主張できるはずがない。」これは三月二十一日付読売新聞の社説ですけれども、こういう指摘、みんな思っているんですよ。  少なくとも、こういう補佐官室を設けて警察庁にまたおんぶにだっこをするような改革の方向ではなくて、独自に持って、きちっと責任を果たしていく、それぐらいの改革をやらないと。私は、そんな体制のまま進んでいったら、より一層依存して大変なことになると思いますよ。委員長、そう思いませんか。私のこの意見はどうですか。
  143. 西田司

    西田国務大臣 あなたは私の答えは理解がいかないかもしれないけれども、私は、現在の警察庁国家公安委員会というものをそれほど見くびってはいけないと思っております。  今、警察庁長官を初めとして国家公安委員でも、すべてですよ。みんなが、どうして国民信頼を取り戻していくか、これは事務局体制とか補佐体制とかというだけの問題じゃないんだ、警察全体の、国家公安委員会意識改革から始まって、今取り組んでおるところでございますから、そのこともひとつ春名委員御理解をいただかないといけない、こう思っております。済みません。
  144. 春名直章

    春名委員 これは、見くびっていないからこそ提案をしていることなんです。本当に国家公安委員会を、その役割を果たすためにどう改革し保証するのかということを真剣に考えたときに、このことを避けて通ることはできない。  なぜ丸抱えと言われるのか。鉛筆一本まで全部警察庁にお世話になる、そういうシステム。本当は行政委員会というのはそういうものじゃなかったのだけれども、公正取引委員会やほかの委員会を見ても全然違って、独自の事務局体制もない中で、依存する以外になかった。その矛盾が新潟や神奈川で、その対処のときに残念ながらあらわれた。だからこそ改革を期待しているわけであって、その処方せんの第一は、独自に国家公安委員会が手足を持っていくということなんかは第一歩じゃないですか。見くびっていないからこそ提案をしているんですよ。  二つ目、常勤体制の問題を聞きます。  二千六百万円の報酬ということも大きな問題になりました。大体、木曜日の朝十時から約二時間議論をされているということだそうです。週一回、二時間程度の会議で、あれだけの大きな課題を、本当に実質に内容のある議論や管理機能を果たすことができるのでしょうか。その点で、私は、少なくとも国家公安委員会は常勤扱いというのであれば、名実ともの常勤にすべきだと思う。そして、都道府県公安委員会だって、少なくとも一名は常勤体制にして、きちっとその責務が果たせるように改善をすることがどうしても必要だと思う。こういう御認識はおありじゃないでしょうか。  私は、それぐらいの改革は今回出てくるかと期待をしておりましたが、ありません。これはどうしてですか。
  145. 西田司

    西田国務大臣 現在の体制というものについて、また何か言いわけをするようでございますが、私はそう肌で感じておりますので、現在の公安委員会、特に国家公安委員会のよい点というものを私なりに考えておりますのは、公安委員警察が直接、警察のトップに対して意見を述べる、直ちに対応を求める、こういうことが今ありますので、そういうやりとりが進んでおりますので、このことについては現体制でもそれほど支障はない、私はこう考えております。  それから、常勤問題ですけれども国家公安委員会にあっては現在週一回の定例会議を行っておりますが、警察問題、警察事象は三百六十五日、二十四時間発生しておりますので、これらの警察の運営を管理する立場にある委員においては、突発事案や重大案件等、夜間、休日も必要な報告をしておるわけでございまして、この点もひとつあわせて御理解をいただきたい、このように思っております。
  146. 春名直章

    春名委員 時間が来ましたので終わりますが、空監察をやって、空会議をやって、空処分をやって、空常勤では浮かばれないわけですよ。そうならないようにしましょうということを提案しているわけなのです。  それで、先ほど緊急突発時にというふうに言いましたけれども、その緊急時というのも、今まで、この事件が起こるまでは昭和天皇が亡くなった際の一件だけ、緊急招集会議をやっているだけなんです。ですから、実態は週一回、木曜日にやっているという状況ですから、本当にそれで管理機能を果たせるのかという問題提起をきょう投げかけました。改めて私は議論をしたいと思います。きょうはここで終わりたいと思います。  以上です。
  147. 増田敏男

    増田委員長 次に、重野安正君。
  148. 重野安正

    重野委員 社会民主党の重野安正ですが、数点にわたり質問をいたします。  まず、質問に入る前に一点しておきたい点があるのですが、今度提案をされております法案については、新しい法律をつくる場合とは違って、既存の法律改正する場合、改正案だけ出されてもちょっと理解しにくい部分が出てくるわけです。現に今度のこの法案の中でも、新旧対照表の五条の二関係の書き方、これは立法技術上は間違っていないのでありますけれども、見る側から見ますと見にくい部分があった。これについては、やはり親切に書いてしかるべきではないか、このように思うのですが、まずその点をお聞きします。
  149. 石川重明

    石川政府参考人 委員指摘のとおり、新旧対照表の現行の部分にあります警察法の第五条二項というのは、さきに公布をされました中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律整備等に関する法律施行後の五条二項の姿を示したものでございまして、これは、このたびの法案におきます五条二項第三号を追加する改正が、同法による改正後の警察法改正するものであるためにちょっとわかりにくいということが生じた。法律のお示しの仕方としては通常の法に倣ったものでございますので御理解を願いたいと思いますが、説明不足だったとしたら御容赦をいただきたいと思います。
  150. 重野安正

    重野委員 そこで、具体的な内容について質問しますが、神奈川県警新潟県警、さらには関東管区警察局の警察官の犯した行為、いずれも警察のトップを含む上層部並びに国家公安委員会都道府県公安委員会の職責の重みというものを忘れた軽率な行動であったと思うんですが、これに対する国民の批判はまことに強いものがありました。本改正案の背景には、こうしたかつてない問題があったことは事実であります。  しかし、私は、これらは現象的なものでありまして、その根っこには、国民との緊張関係を欠いた隠ぺい主義であるとか、あるいは事なかれ主義だとか権力主義だとかいろいろな表現があるんですが、そういうふうな責任の懈怠、そういうふうなものが本質的にはあったのではないか、こういうふうに考えるわけです。  そのように見ていきますと、国家公安委員会警察庁、そこにつながる都道府県公安委員会及び警察本部と国民との間にいかなる緊張関係を制度的に形成していくか、ここからやはり出発していかないと根本的な解決策というものは見出せないのではないか、このように危惧をするわけでありますが、そういうふうに組み立てていったときに、再提案されておりますこの改正案は、そうした制度を形成していくそのものを十分果たしていると考えておられるかどうか、公安委員長の基本認識をお聞きしたいと思います。
  151. 西田司

    西田国務大臣 警察刷新会議緊急提言を受けまして、国民からの厳しい批判を反省し教訓として、国家公安委員会警察庁においては当面取り組むべき施策を警察改革要綱として取りまとめましたが、今回の警察法改正は、その骨格たる公安委員会管理機能強化苦情の適正な処理警察署協議会設置等により御指摘のような問題に速やかに対応しようとするものであります。
  152. 重野安正

    重野委員 私たちはよく、神奈川県警の問題だ、新潟県警の問題だ、愛知県警だ、埼玉県警だと、こういうふうにまくって言うのでありますが、しかし、それぞれの県警で起こった事件の中身はさまざまなんですね。画一的ではありません。いろいろな背景といろいろな中身がある。非常に複雑、重層的な背景がある。  そうなったときに、その解決策はまた重層的でなきゃならぬ、いろいろな角度から喧伝をされていかなきゃならぬ、こういうふうに私は思うのですが、そういう立場から見たときに、今度のこの刷新会議が一応の結論を出すに至る過程が果たしてそういう深みがあったか、時間的な問題も含めて。そういういささかの疑問を私は持つわけですが、その辺は公安委員長はどのようにお考えでしょうか。
  153. 西田司

    西田国務大臣 御質問のポイントが、ちょっとお答えは外れるかもしれませんけれども警察改革の施策は、今回の警察法改正案に盛り込まれた事項に限られるものではないと私は考えております。  世の中も変わってまいりますし、それからいろいろな、先ほど来お答えをいたしておりますように、凶悪な事案というものが起こっております。それからまた国民のニーズも変わってきております。ですから、当面こういう警察法改正をして、そしてお答えをいたしましたように、国民信頼をまず警察に取り戻していく、そして懸命に治安維持し、犯罪を取り締まりしていくようなことにしていかなければいけない、こう考えております。
  154. 重野安正

    重野委員 ちょっと話の視点を変えますが、この改革案を提言したいわゆる刷新会議の位置づけなんでありますが、これは国家行政組織法上の機関でもない、国家公安委員会の求めによる私的な諮問機関。その私的な諮問機関が緊急に提言をした、こういうふうに私は受けとめるのであります。  この刷新会議なるものの性格というものも、私よくわからない部分もあるのでありまして、したがって、その刷新会議の提言に対する警察庁対応、それが果たして我々が期待をする、そういう重層的なものになっているかどうかという疑問がやはりどうしてもぬぐえません。  かなりの部分が運用によってなされるということになっているわけでありますが、果たして、運用によって国民不信が解消されると考えているのだろうか。なぜこれまで、先ほど四つのものを申し上げましたけれども、自浄作用というものが働かずに、そして今日のこの状況をもたらしたか。そういう経過を考えてみますと、自浄作用の強化といっても、厳然として、先ほど指摘をしました隠ぺい主義だとか、あるいは事なかれ主義であるとか権力主義であるとか、そういうふうなものが依然として介在をしているとするならば、その自浄作用というものは非常に難しいのではないか。自己改革力というものが公安委員会警察庁に問われているのでありますが、その点についてどういうふうに認識されておるか、これを聞いておきたいと思います。
  155. 西田司

    西田国務大臣 警察刷新会議緊急提言は、対症療法にとどまらず構造的な問題点を究明し、苦情処理制度など新たな制度を新設するとともに、法改正を必要とする警察の刷新を内容とするものでなければならないとの観点から取りまとめられたものと考えております。国家公安委員会警察庁といたしまして、このことを重く受けとめているところでございます。  提言に盛り込まれた事項は、情報公開の推進、苦情申し出制度の創設、警察における監察強化公安委員会機能強化警察署協議会設置、人事、教育制度改革など多岐にわたるものでありますが、これらのうち、法律改正が必要なものと運用で措置すべきものを十分検討した上で仕分けを行い、それぞれの実現を図ることとしておるところでございます。
  156. 重野安正

    重野委員 ちょっと視点を変えてまた質問したいと思うのですが、本改正案の最も基本的な問題は、警察法規定する国家公安委員会警察庁に対する、先ほど来るる話がありました管理概念、ここに私は尽きるのではないかというふうに思うのです。  刷新会議は、警察法五条二項において用いられております管理概念について、「国家公安委員会警察行政の大綱方針を定め、警察行政の運営がその大綱方針に則して行われるよう警察庁に対して事前事後の監督を行うこと」との見解を示しております。刷新会議はそのように言っておりますが、国家公安委員長も同様の見解か、確認いたします。
  157. 西田司

    西田国務大臣 私は緊急提言を重く受けとめておりますので、今、考え方は同様かどうかという御質問でございますが、私の考え方も基本は変わっておりません。
  158. 重野安正

    重野委員 軽重を問うたわけじゃありません。つまり、刷新会議管理概念について、「国家公安委員会警察行政」云々という先ほど申したこと、「警察庁に対して事前事後の監督を行うこと」という見解を刷新会議は示しています、国家公安委員会はその管理概念について同様の見解ですかという問いなのです。
  159. 西田司

    西田国務大臣 済みません。  国家公安委員会管理とは、警察法第五条第二項に掲げる事務に係る大綱方針を定め、警察行政の運営がその大綱方針に則して行われるよう、警察庁を指揮監督することを意味するものであると理解をいたしております。
  160. 重野安正

    重野委員 そこで、この大綱方針という文言がたくさん出てくるわけです。一体、この大綱方針というのは具体的にどういうふうなものなのか、何が大綱方針なのかという点、正直私もよくわからぬ点があるわけです。したがって、国民の側から見ればそれ以上にわからぬ部分があるのではないかと思うのです。  まず、この大綱方針なるものは、一体どういうものをもって大綱方針というのかということが一つですね。それからもう一つは、国家公安委員会のあり方に関して、かつて我々の先輩であります畠山議員が、国家公安委員会白書をつくれ、こういうふうなことを求めたわけでありますが、最終的には、現行の警察白書に一章を設けるということで今日に至っているというふうに聞いております。情報公開をもって国民不信の解消を強調しておるわけですが、そうであるならば、これからは大綱方針を国会報告をする、そして本改正案で新たに国家公安委員会の任務とされる問題も含め、白書として報告したらどうか。  提案でありますが、この二つの点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  161. 石川重明

    石川政府参考人 私ども国家公安委員会管理を受ける立場で御説明申し上げたいと思うのですが、国家公安委員会が示す大綱方針と申しますのは、警察法五条第二項に掲げる事務処理するに当たりまして準拠すべき基本方針あるいは方向につきまして、国家公安委員会規則を制定するというような形で示されるというのが、私どもに対する大綱方針の一つの示され方でございます。  また、国家公安委員会の開催に当たりまして、私どもからいろいろな御報告を申し上げます。その際に、こういうことについてはこのように考えて基本的な処理をすべきではないかといったような指示国家公安委員会としてなされることがございます。そういったような指示も含めまして、こういったようなことを基本的な物の考え方として事務を進めるべきだというのが国家公安委員会が示す大綱方針である、こういうふうに考えているところでございます。  それから、情報公開との関連で、大綱方針を国民に示すために国家公安委員会白書を作成したらいかがか、こういうような御指摘でございます。  警察行政の透明性の確保のために国家公安委員会で基本的なことが御論議になるわけでございますから、国家公安委員会の活動に関する情報公開というものも大変重要なことだろうというふうに私どもも考えております。そのために、国家公安委員会におかれましても、ホームページの開設等によって広報に努めておられるということは、先ほど来御答弁があったとおりであります。  現在、国家公安委員会の活動を含めた警察行政の全体につきましては、御指摘のように、警察白書を作成いたしまして相当の広報効果を上げているところでございますが、警察活動について、国民の一覧性の便宜、一度に全体が見られる、そういう便宜からいたしますと、現在の形態の白書が適当なのではないだろうか。また、この点について、国家公安委員会においても同様のお考えではないだろうかというふうに承知をしているところでございます。
  162. 重野安正

    重野委員 今説明を聞いてちょっと私は納得できないのですが、大綱方針なるものはあるのですか。これが大綱方針でございますというような、ぴしゃっと文書化されたものがあるのですか。
  163. 石川重明

    石川政府参考人 先ほど、国家公安委員会が私どもに大綱方針を示されるときに、国家公安委員会規則という法令の一形態で示される場合があるわけでございます。それは例えばどういうものがあるかと申しますと、犯罪捜査規範というのが国家公安委員会規則でございまして、犯罪捜査に携わる者は基本的にこのような考え方で、こうした点に留意をして捜査をしなければならないといったような基本事項がそこに規則の形で定められているというものでございます。  それから、今回の一連不祥事案処理をめぐりましていろいろ問題がありまして、国家公安委員会でもいろいろ御議論をいただいた際に、国家公安委員会として私どもに大綱方針を示されたものの例といたしましては、監察に関する規則をきちっと定められた、あるいは警察官の教育をどのような形で行えば職務倫理というものが徹底するのかといったような観点から、以前から警察教養規則という国家公安委員会規則がございましたが、これを全面改正されたというようなこともございます。そういったような形で一つの文章の形で示される場合があるというのが、先ほどの私どもからの御説明でございます。  ただ、大綱方針と銘打った何か簿冊があるかと申しますと、それは私どもとしては、そういった形で示されたことは恐らくないと思います。それぞれの規則の形とか会議における指示の形で、基本的な警察活動はこうあるべきだというものが国家公安委員会から私どもに示される、こういうことでございます。
  164. 重野安正

    重野委員 そうであるなら、大綱方針という文字が盛んに出てきますものですから、我々外側にいる者からしてみると、当然そういう質問が出てくるわけですね。だから、大綱方針という言葉の使い方ですね。もっとわかりやすく、国民から理解される警察行政ということからすると、その出発点は、そういうなかなか素人がわからぬような文字で、自分たちだけわかったらいいというようなことではいけぬ。  だから、こういう難しい、難解な言葉は変えていくべきではないか。もっとわかりやすく、法律専門家が読めばわかるのでしょうが、まず、そうでない一般の国民が読んでわかる、それが国民警察に対する信頼の始まりだ、こういうふうに私は思うので、そこら辺は今後どういうふうにやっていこうかなという考えがあったら、ちょっと聞かせてください。
  165. 石川重明

    石川政府参考人 今の御議論でございますけれども、要は、国家公安委員会警察管理するということについて、その管理がいかなる形態で行われているかにかかわる問題だろうというふうに思います。  この点につきましては、警察刷新会議におきましても御議論がございまして、管理概念というものを明確化すべきではないかと。それにつきまして、私どももそれをそのように受けとめているところでございます。これを何らかの法令の形式、今考えておりますのは、国家公安委員会規則で定めていただくのが適当なのではないかと考えておるわけでございますが、管理という形で警察を監督する場合にはこういうやり方がありますよというような形を、運営規則といったような国家公安委員会規則で定めていただくのが適当なのではないだろうか。それによって管理内容というものが明確になる、そして皆様にも御理解をいただけるようになる、こういうふうに考えているところでございます。
  166. 重野安正

    重野委員 今から聞こうかなと思ったことについてもう既に官房長が言ってくれたのですが、管理概念の内容について聞きたいのです。  刷新会議の答申の中で、「警察事務の執行が法令に違反し、あるいは国家公安委員会の定める大綱方針に則していない疑いが生じた場合には、その是正又は再発防止のため、具体的事態に応じ、個別的又は具体的に採るべき措置指示することも、「管理」の本来の意味」こういうふうにあるのです。  そうなると、国家公安委員会は、大綱方針という管理の基本を示すだけでなく、個別的または具体的問題についても指示することができる、こういうふうに解されると私は思うのですが、こういう考え方というのは、何も新しい見解ではなく、従前の考えを改めて示したにすぎないと私は理解をするんですが、その理解は間違っているのでありましょうか、官房長。
  167. 石川重明

    石川政府参考人 先ほど大臣からも御答弁を申し上げましたけれども警察法五条二項に国家公安委員会警察管理する、こう書いてあるときのこの「管理」の内容でございますが、これは、公安委員会は、捜査等の権力を行使する機関を民主的にコントロールするために、専門家については意図的に排除をすると申しますか、過去五年以内に警察、検察の職歴のない方といったような形で構成をされておるわけでございまして、したがいまして、管理の権限というものも、先ほど申しましたように、大綱方針を定めて、それに則して警察事務の運営を行わせるために警察庁を監督する、こういうことでございます。  したがいまして、この管理というのは基本的に、事務執行の細部についての個々の指揮監督というものは予想していないというのが私どもの解釈であったわけでございます。  このように解されておりますのは、警察運営そのものについて、専門家ではない公安委員会が個別具体の事案に立ち入ることは困難であるということが一つございますし、また公安委員会の役割が、本来、大局的見地から警察運営の適正を図ることにあることからいいましても、個別具体の事項に立ち入ることは適当ではないのではないかという考え方に基づいていたというふうに思います。  他方、今委員指摘のように、監察ということになりますと、これは行政上の監督権に当然内在する権能でございまして、警察運営の適正を図るために警察を監視、監督する役割を公安委員会は有しているわけでございますから、監察を実施すべきか否かとか、あるいはいつ、何について、どういう方法でといったような、監察に関しましては具体的あるいは個別的な指示を行うということも管理の一態様として法律が予定をしておったのではないか、そういうような考え方もあるわけでございます。  ただ、監察に関する規定が五条二項に定められております定めぶりといいますのは、それまでの号を全部ひっくるめまして、それについての監察だということになりますと、先ほど来御説明していますように、非常に専門、技術的な問題が中に入っておる、そうすると、今までの管理概念の中で、ではどこまで具体的にそれが中に入れるのかといったことについて疑義があったことも確かでございます。そういう意味で、具体の問題として、現実の行政運営として、現行警察法が制定されましてから、監察の分野とそれ以外の分野で管理権限の行使態様にそれほどの差というものはなかった、いわゆる大綱方針を示すというような形での管理が実際問題として行われてきたというところがございます。  そこで、今回いろいろな問題も加えまして、この点について立法的な解決を図るべく、新たに十二条の二の第一項の規定を設けて解釈上の疑義を払拭して、そしてこの改正によって公安委員会監察分野における管理機能の充実を図ろうというのが今回の政府案の立場ではないかというふうに考えているところでございます。
  168. 重野安正

    重野委員 それでは、時間が来ましたからやめますが、またあさっての時間もあるようですので、続いてやらせていただきます。ありがとうございました。     —————————————
  169. 増田敏男

    増田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査中、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、人選及び日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 増田敏男

    増田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十六日木曜日午前九時三十分理事会、午前九時四十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四分散会