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2000-10-24 第150回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年十月二十四日(火曜日)     午後四時十分開議  出席委員    委員長 自見庄三郎君    理事 小林 興起君 理事 鈴木 宗男君    理事 西野あきら君 理事 細田 博之君    理事 長浜 博行君 理事 堀込 征雄君    理事 河上 覃雄君 理事 塩田  晋君       荒井 広幸君    岩崎 忠夫君       倉田 雅年君    小坂 憲次君       下村 博文君    高鳥  修君       高橋 一郎君    中馬 弘毅君       中谷  元君    野田 聖子君       林  幹雄君    松宮  勲君       八代 英太君    阿久津幸彦君       加藤 公一君    鹿野 道彦君       鍵田 節哉君    玄葉光一郎君       島   聡君    手塚 仁雄君       松本  龍君    山花 郁夫君       遠藤 和良君    久保 哲司君       中井  洽君    大幡 基夫君       木島日出夫君    児玉 健次君       今川 正美君    北川れん子君       平井 卓也君    小池百合子君     …………………………………    参議院議員        魚住裕一郎君    参議院議員        片山虎之助君    参議院議員        須藤良太郎君    参議院議員        保坂 三蔵君    参議院議員        月原 茂皓君    自治政務次官       中谷  元君    自治政務次官       荒井 広幸君    政府参考人    (自治省行政局選挙部長) 片木  淳君    衆議院調査局第二特別調査    室長           牧之内隆久君     ————————————— 委員の異動 十月二十四日  辞任         補欠選任   桜田 義孝君     倉田 雅年君   木島日出夫君     大幡 基夫君 同日  辞任         補欠選任      倉田 雅年君     桜田 義孝君   大幡 基夫君     木島日出夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案参議院提出参法第七号)     午後四時十分開議      ————◇—————
  2. 自見庄三郎

    ○自見委員長 これより会議を開きます。  参議院提出公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として自治省選挙部長片木淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 自見庄三郎

    ○自見委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小池百合子君。
  5. 小池百合子

    小池委員 保守党の小池百合子でございます。  今回の公職選挙法改正について何点か伺わせていただきたいと存じます。  つい先ほど衆議院の本会議が終わりまして、IT基本法案についての代表質問が終わったところでございます。今回の改正の一番大きな目玉といたしまして、非拘束名簿式導入ということでございますが、その前に、やはりこのIT革命、また、新生日本をうたっている森政権といたしますれば、きのう細田委員の方からも御質問ございました、ネット導入といいましょうか、選挙運動インターネット活用をするには、今回は実は最大のチャンスだったのではないか。党内でこの法案審議をさせていただいたときも、私もかなりその点は申し上げたわけでございますけれども、このあたり、片やIT革命をうたっている、そして今回の、特に全国対象にする選挙でございますし、インターネットというまさにIT革命の一番の中枢の部分を二〇〇一年夏の選挙から活用するというのは、まさにモメンタム、一番いいチャンスではなかったのかな、私はこういうふうに思うわけでございます。  私も何度か選挙に出させていただいて、これはむしろ事務方がやっているわけでございますけれども、まず候補者はそれぞれの選挙管理委員会に行って届け出をして、そしていわゆる七つ道具をもらう。そのときに証紙ももらうわけでございますけれども、実は、この証紙張りというのは一枚一枚、多くの場合はそれぞれの候補者後援会婦人部皆様方がだっと張る作業を一晩かけてやるとか、ITとは一番ほど遠い世界が現在でもあります証紙張りであったり、はがきであったり、それからもう一つ言うならばちょうちんであったりとか、デジタル革命と言っている中で、二十一世紀ITを語る中で、何か十九世紀のものをそのまま引きずっている、そんな感覚もするわけでございます。  一方で、ネット活用ということは、まさに全国ネットでばっと網をかぶせるというような点で、まずこれは一番安価である。それから、ポスターを張るといっても、枚数も限られておりますけれども、張る作業というのは、一枚一枚実は大変な作業であることは、きょうここにおられる委員各氏みんなそうだと思います。  ということで、これはネット選挙をやっていただければいいのではないかと思いますし、また、デジタルデバイドという言葉がありますけれども、これを選挙というまさに民主主義の一番の基本である部分活用するというのは、ネット講習券全国民に配るとかなんとかいう話もありましたけれども、それよりも、これが一番のチャンスだったのではないかな、その点が若干惜しいなと思っているところでございます。  このネット選挙を認めなかった理由ということについてお聞かせをいただければと思っております。
  6. 魚住裕一郎

    魚住(裕)参議院議員 お答え申し上げます。  私、公明党に所属しておりますが、我が党におきましても、情報通信立国ということで、IT革命、また電子政府等を強力に推進をさせていただいているところでございます。また、近年のインターネットあるいはパソコン等の爆発的な普及、さらに、iモードというのですか、それも一千二百万台等々を考えますと、また、放送通信の垣根ももうそろそろなくなってきているのではないか、そういうような時代状況にあることは認識をしているところでございます。  一方、この選挙法におきまして、今までの国会における議論あるいは各党の議論等を見ますと、ホームページのディスプレーにおける表示が現公職選挙法上の文書図画に当たる、このようなルールで推移をしてきているところでございまして、昨日の細田委員の御指摘のありました、先般の東京二十一区における補欠選挙でのルール違反ということが指摘されたところでございます。  私も、今小池先生がおっしゃっているとおりだというふうに考えるところでございます。また、個々人の立候補の自由ということを考えますと、やはり一番安価にできるのがインターネットを使った選挙活動ではないかというふうに考えておるところでございます。  また、若年層投票率の低さ等を考えた場合、さらには今御紹介がございました証紙、印刷するにも大変な費用がかかるわけでございますが、このビラの問題でありますとか、あるいは選挙公報全国で五千万戸というふうに言われておりますが、これに分厚い選挙公報を配布しなきゃいけない、この費用の問題。あるいは、紙資源の問題等々を考えますと、私も、このインターネットによる選挙運動あるいは選挙公報というものを考えたらいいのではないか、さらには、在外邦人のことを考えますと、まさにインターネットでやらなきゃいけないなというふうに思うところでございますが、今先生がおっしゃったように、デジタルデバイドをどういうふうにやっていくのか、あるいは成り済ましというような問題もございました。内容の改ざんということも考えられるところでございます。ひとり参議院比例区の問題だけではないわけでございまして、これから全党的に議論を深めていく問題だというふうに思料しておりまして、今回の改正では手をつけなかったところでございます。
  7. 小池百合子

    小池委員 各国政治関係ホームページもよくのぞいて見ているわけでございますが、折しもアメリカ大統領選、かなりヒートアップしております。ここでやはりポイントになっているのが、インターネット活用ということでございます。  アメリカの場合はそうやってよくわかるわけでございますけれども、各国における選挙選挙キャンペーン、そしてインターネットの法的な運用制度というのはどのようになっているのか、教えていただきたいと思います。
  8. 片木淳

    片木政府参考人 お答えをいたします。  国会図書館のまとめた資料がございます。イギリス、アメリカ、ドイツにおきましては、御案内のとおり、選挙運動につきましては原則として制限がないものと承知をいたしておるところでございます。このような中で、これらの国におきましては、詳細は承知はしておりませんが、インターネットを利用することについて禁止されていないものというふうに承知をさせていただいておるところでございます。
  9. 小池百合子

    小池委員 いずれにいたしましても、私は、全国対象にする参議院選挙においてのネット活用というのはこれからいち早く考えるべきではないか、また、こういった問題については議員立法の形でスピーディーに進めていかなければならないのじゃないかと思いまして、それぞれ各政党方々にもぜひともこのあたりで一致団結してお呼びかけをさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。  さて、続きまして、今回この非拘束名簿式ということで、参議院公職選挙法改正審議しているわけでございますけれども、昨日一巡をしたところでございますけれども、改めて、この法案の一番重要なポイントについておまとめいただければと存じます。
  10. 片山虎之助

    片山参議院議員 御承知のように、戦後我が国は衆議院参議院二院制になりまして、参議院では、職域代表ということで全国区ができて、地域代表ということで都道府県選挙区ができたわけであります。ずっとそれでやってまいりましたが、全国選挙は、これは個人全国を相手にする個人選挙でございまして、いろいろなよさもあるのですが、いろいろな弊害が出てきた。  これでは大変だということで、昭和五十七年に御承知のようにそれを改めまして、拘束名簿式比例代表制度をやったわけですね。個人選挙が大変だったということから、いわば正反対の、政党しか選べない比例代表制度をとったわけであります。しかし、これはとるときから大変な議論があった。顔が見えなくなるよ、参議院政党化が余り進んではいかぬのだけれども、政党化が促進するよという議論がありまして、二回やったら見直そう、こういう議論がずっとあったわけですね。もう言いません、きのうも大分申し上げましたから。平成二年の第八次選挙制度審議会だとか。そこで今回は、顔が見えるように、本来の参議院にふさわしいように、政党の枠の中で人が選べる、有権者が参加して当選順位を決められる、こういういわば、折衷でもないのですけれども、全国区の弊害を直しながら拘束式名簿の欠点も是正するというふうなことで、今の制度導入を我々は考えたわけであります。  そういう意味では、参議院は、衆議院と違う国民の意思を吸収していく、代表していく。そのためには、衆議院と違う制度にする。そういう意味では、党よりも人、人がちゃんと選べる、こういうことにするのがポイントでございます。そういう意味で、来年から二十一世紀になりますけれども、二十一世紀におけるあるべき二院制からいってまことにふさわしい制度だ、そこがポイントだと私は考えております。
  11. 小池百合子

    小池委員 ありがとうございました。  実は何を隠そう、と言う必要もないのですけれども、私が政治世界に入ったときは一九九二年、参議院での選挙が一番最初のスタートでございました。当時、日本新党、一位細川護熙、二位小池百合子ということでスタートしたわけでございますが、告示日の直前になって、この順位づけというのは、本当に生きるか死ぬかみたいな、そういった雰囲気も、その当時は私は全然感じなかったんでございますけれども、後になってみるといかに重要なのかということをつくづく感じましたし、当時のことを思い返せば、下の方のランク、リストが下位に載せられた方は、もうこれでやめるというようなことがありまして、選挙に出ないというような話もございまして、このあたりのどたばたというのは、見ていて、またそれに関与していて、本当に胃の痛くなる思い。まさに選挙がそれで終わる。当時の日本新党はそれがまさにスタートでございましたけれども、そこの内側のバトルというのがそれで終わるというような感じであったことをみずから体験をしたわけでございます。  また、きのう細田委員の方から、友部事件というのも挙がったわけでございますけれども、ここのお金の絡みであるとかなんとかいろいろと裁判の方でうたわれておりますけれども、ちなみに、友部さんは十三位でございまして、その上に日本新党枠で七位で水島さん。今自民党に移られたわけでございます。その意味でいうならば、水島さんの方が上位に来ているというのは、これはどういう意味なのかということはむしろ水島さんにお伺いしたいと私は思っているところでございます。  そのほか、これまでの参議院比例拘束式の場合、先ほど申し上げましたように、上位になった方は、これでもう戦争は終わりということで昼寝をする。それから、下位にリストアップされてしまった人はふて寝をするということで、どっちに行ってもみんな寝ちゃうんだというのが、その制度に伴う心理、運用ということで、その意味ではどの党もそういった問題を抱えてこられたというふうに思うわけでございます。  その意味で、顔が見えるということでございますけれども、やはり個人の、今度選挙に出る個人でございますけれども、実際のところ、運動量であるとか、いろいろな意味でかなりお金がかかるのではないか。国費負担もそうでございますけれども、候補者本人もかなりお金がかかるのではないかと心配をするわけでございます。  もう一度この点について、改めて国費の問題、そして個人負担の問題、これについて伺わせていただきたいと存じます。
  12. 須藤良太郎

    須藤(良)参議院議員 個人投票を行いますので、それだけ今度は金がかかるわけでありますけれども、国費につきましては、今、五十一億、こういうふうに見込んでおります。  これは、平成十三年度の参議院通常選挙予算におきまして、いわゆる名簿登載者合計数を三百五十九人と見込んで予算要求をしていると聞いておりますけれども、これに係る費用の主なものが、自動車使用費一億二千万、通常はがき作成費九千五百万、無料はがき購入費二十一億五千万、ビラ作成費一億二千六百万、選挙事務所立て札看板類作成費が千五百万、それから選挙運動用自動車、船舶の立て札及び看板類作成費が三千八百万、ポスター作成費が二億三千五百万、演説会施設公営費が九千百万、無料乗車券等購入費が十五億、候補者用交付物資が七億三千万、以上で五十一億、こういうふうに予想しておるわけでございます。  候補者側負担の問題でありますけれども、これは、かつての全国区のときに、五十五年でありますけれども、三千八百万円が法定選挙費用であったわけでありまして、今の時価というか単価に換算いたしますとおよそ八千万円、こういうことになります。これに対しまして今回は、いろいろビラあるいはポスター等々削減いたしまして、概算でおおむね五千二百万円ということで法定選挙費用を考えておるわけでございます。この中で、公費負担が約五百三十万ほどありますので、実質的には四千七、八百万というふうに考えております。  昨日も申し上げましたけれども、今参議院の地方区の法定選挙費用は、東京都で五千二百万ほど、それから北海道が一番多くて七千二百万ほど、一般の県ですと大体三千万から四千万、こういう費用でございますので、全国の範囲ということで四千八百万あるいは五千万というのはやむを得ないのではないか、こういうふうに考えておるところでございます。     〔委員長退席細田委員長代理着席
  13. 小池百合子

    小池委員 私も、実際に政治世界に身を投じてよくわかったのは、選挙のときの費用もさることながら、日々の維持経費ランニングコストというのが、一生懸命政治でやろうとすればするほどかかるということだと思うのですね。その意味で、選挙のときだけではなくて、そういうランニングコストのことを考えると、これは個人候補者というのはこれから大変に負担がふえるのではないかというふうに私は危惧をしているところでございます。これからの選挙事務所の数とか、選挙事務所のときは数が限られるわけでございますけれども、あとは日常茶飯事のこととしての、各地域での事務所を設けたりというような話。  それとともに私が心配するのは、本人が知らなくともその関係者が、ひいきの引き倒しではございませんけれども、よかれと思って選挙運動をする、それが結果的に連座制にかかってくる。全国津々浦々、すべてのところにその候補者もしくは当選者が目を通すというのは並大抵のことではないというふうに思うわけでございますが、この法案をつくる際に、こういった点をどこまで配慮されたのか、伺わせてください。
  14. 保坂三蔵

    保坂参議院議員 この点は私から御答弁させていただきます。  御案内のとおり、今回の改正は、参議院比例選挙個人選挙運動が加わることになりました。したがいまして、他の選挙と区別をして連座制もしくは個人選挙運動にかかわる選挙犯罪が免除されるという理由は見出しにくくなったわけでございまして、したがいまして、個人が行います選挙運動における選挙犯罪、これについては厳に慎んでもらう、その意味連座制の適用を考えたわけでございます。  しかしながら、お話がございましたとおり、全国運動をやるものでございますから、旧の全国区と同じように大きな選挙運動が展開される中で、選挙違反が知らず知らず行われるということの懸念がないわけではございません。  しかし、前回から既に二十年近くたっておりますので、有権者の目も極めて厳しくなっております。そんな甘いものではないと思います。また、選挙に携わる方々も、運動に携わる方々も非常にそういう点ではしっかりとした対応を選挙でやられるようになってきた、こう私どもは考えております。  しかし、拡大連座制導入されたことによりまして、候補者といたしましてはこのあたりは十二分に気をつける、こういう選挙が展開される予定でございますので、私は、時代の変化とともに民主主義の真価が試される選挙になるものと期待しております。
  15. 小池百合子

    小池委員 そのためにも、そういった制度の新しいルールを徹底的にPRをする、その時間も必要かと存じます。  また、最後に、くどいようでございますけれども、ネット導入ということ。  日本じゅう、何百人ものポスターがあちこち平素もあふれて、それは環境の問題、紙の問題、コストの問題、そういったことを考えますと、まさにこれからの二十一世紀の姿というのはネットではないか。私は、今回いいチャンスだったのになということを非常に悔やみつつ、これからも前向きにこの問題を取り扱っていきたいというふうに考えております。  時間になりましたので、これで終わらせていただきます。
  16. 細田博之

  17. 玄葉光一郎

    玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。  提案者皆様に二、三質問をさせていただきたいと思います。  この非拘束改正案党利党略という批判がきのうから出ております。なかなかやまないわけであります。どうして党利党略というふうに言われるんだろうか。  私は、一つは、青木自民党参議院幹事長言葉が新聞報道された、率直に言ってこれはあると思いますね。どういうふうにおっしゃったかといえば、自民党比例選出議員からの意見聴取冒頭での発言だということで各紙紹介をされておりましたけれども、来年の参議院選挙は党の運命をかけた戦いだ、負ければ大変なことになる、前回衆議院選挙でも小選挙区の候補者名比例代表での党名の票差が八百万票あった、こう言って説得した、こういう記事が一紙だけではなくて各紙に出ている。余り新聞から引用するのは好まない性格でありますけれども、どうも事実のようだ。これが一つ党利党略というふうに言われるゆえんだろうというふうに思います。  もう一つは、その青木さんの言葉を裏づけるように、四十六条の三項に、いわゆる横流し論というふうに言われるような問題が出てきているということだろうと思います。  なぜ横流しとか有権者へのごまかし、こういう表現がされるのか。私は、安易に横流しという言葉は使いたくないと思うんです。きのうも提案者の方が説明をされていました。ただ、ぎりぎり詰めていくと、やはり横流しだなというふうに思うところがある。  それはどうしてかといえば、比例代表制というものをとりながら、有権者候補者を選ぶ、個人名を選びたい、そのときにその候補者が所属をしている政党を自覚しないまま書いてしまう可能性がかなり高い、あるいはかなりある、こういうことであります。ですから、こういう可能性がかなりある中では、やはり横流しというふうに表現されてもやむを得ぬだろうな、こう思うわけでありますが、だれでも結構ですが、提案者の方、いかがでしょうか。     〔細田委員長代理退席委員長着席
  18. 片山虎之助

    片山参議院議員 玄葉委員冒頭参議院青木幹事長言葉を言われました。記者会見のときは大体幹事長国対委員長は同席するんです。私もおりましたが、まさにどの選挙でも政党にとっては党の命運をかけて戦うんですよ。来年の参議院選挙もそうですし、ことしの衆議院選挙もそうだったわけでありまして、私はそういうことを言われたと思う。  それからもう一つは、最近の風潮は、全体に投票率が低くなっているんですよ。それからもう一つは、マスコミがもてはやしておりますけれども、無党派層がふえているんですよ。ということは、政党離れ、政治離れというのが特に若い人を中心に一般的になっているんですよ。やはりそれは間違いだと私は個人的には思っています。政治政党をもっときちっと評価して、尊重して、そのためには政党政治も変わらなきゃなりませんけれども、もっと国民政治に近づいてくるというのは必要なので、そのための工夫はどうしても必要だと私は思いますよ、これから特に若い人に。そういう意味で、我々は、この制度の方が政党離れ、政治離れを食いとめるのにいいのではなかろうか、こういうふうに考えたわけであります。  そこで、票の横流しなんですが、何度も繰り返しておりますけれども、この制度比例代表制なんですよ。個人選挙じゃないんですね。政党を選ぶ選挙で、何度も同じことを言って恐縮なんですが、政党の中の名簿に党が順位をつける名簿順位をつけなくて投票の多寡によって当選が決まる二つの名簿があるので、有権者が、投票する人が党の自覚なくその人だけ選ぶ、全くないとは言えませんけれども、それはちゃんと、投票所の記載も選挙公報政見放送も、ポスタービラも、あらゆることがそういうことをきちっとやるわけですから。  私は、現在の国民皆さんは大変賢明だと思いますよ。党を全く考えないで候補者だけ選んだなんということは、場合によっては国民皆さんに失礼になる。その党のだれそれ、その党の玄葉さん、こういうことで選ぶわけでありますから、私は、そこはちゃんと国民皆さんはわかって投票していただけると信じております。
  19. 玄葉光一郎

    玄葉委員 それは片山議員願望だと思うんですよ。残念ながら、その願望がこの改正案に具体的にあらわされていない、もっと言えば投票用紙にあらわされていない、こういうことが問題なんだろうというふうに思うんですよ。  どうしてもさっきの、個人名書いた、政党名書いた、八百万票差ある、だから個人票を政党票にカウントできるようにするんだ、だから横流しを認めたんだろうということを言われないためには、例えばですけれども、きのう堀込委員がおっしゃったように、ではまず政党名に丸をつけようか、政党名に丸をつけてから個人名に丸をつけようか。これは比例選ですからね。まさにおっしゃるとおり比例選だからこういうことを申し上げているんですよ。比例選じゃなければ申し上げないんですね。比例選だからこそ政党を自覚できるようにしなきゃいけないということなんですよ。  いや、少しポスターに書いてあります、きのう月原提案者がおっしゃったように、行ったら掲示してありますと。投票用紙には全然掲示されていない。日本人は、もう先生方御存じのとおり、個人名の名前だけ覚えて投票所に行って、そんな掲示なんて見ないで、名前だけ覚えて書く人たちはかなりいらっしゃいますよ。こういうことをどう思われますか。
  20. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 昨日の私の答弁を聞いていただいていて、ありがとうございます。  今玄葉委員のおっしゃったことは、これから政党というものは幾つ出てくるかわかりませんが、相当膨大な数になってくると思うのですね。それで、それを突き詰めていくと、外国でいうと記号式というような形になってくると思うのですが、それは、じゃその政党をどういう順番で書いていくのか。昨日も申し上げたように、最高裁の裁判官の審査のとき、前の方と後ろの方にだけ印が非常に多いわけですね。ですから、その順番をどうするのかという問題もある。  それから、各党の名前を全部書くと膨大な数になってくる、膨大な大きさになる。そういう点からも、そして、今おっしゃったように、これは何かけんかを売るようなふうにとられたらいけませんが、自分が玄葉と書こうと思ったら、玄葉というのは民主党だなと思って出てくると思うのですよ。そして、繰り返しますが、現在もそうなんですが、拘束の場合でも党の部分に名前が全部書いておるわけですから、今度の場合もそういうふうに、各党が示され、しかもそこに立候補している方々名簿がちゃんと出ておるわけでありますから。特に日本の場合は自書式である、そういう背景からいって、また非常に教養も高い人々を背景にしておるだけに、我々はそういうものを選んだわけであります。
  21. 玄葉光一郎

    玄葉委員 さっき申し上げた疑念を晴らすためには、例えば、最初に政党名に丸をつけて、その後候補者名に丸をつけるとか、そういう工夫をしたらいいんじゃないですか。私は非拘束そのものに反対ですけれども、よりよくするためには投票用紙にそういう工夫をしないとなかなか、これは矛盾が出てくるということを申し上げたいのですね。これは若干の建設的提案ですけれども、そういうふうに思います。最低限、投票用紙にそういう工夫がなきゃだめだというふうに思う。どうですか、そういう修正をしたらいいんじゃないですか。
  22. 片山虎之助

    片山参議院議員 我が国は昔から自書式なんですよ。あなたの言われるのは記号と自書を組み合わせとか、二重投票みたいな話なんですよ。我が国は識字率も知識水準も大変高いので、しかも、そんな複雑なことをする必要がないと私は思う。むしろ国民皆さんに、この党のこの候補者、この名簿登載の候補者はこの党です、こういうことは各党が競争でやるわけですよ。各個人も、例えば、玄葉光一郎は民主党です、民主党のエースです、こういうことを皆さんが競争してやるので、それは国民の良識にまつべきなので、そんな丸をつけたり、自書と組み合わせるなんということは、我が国の今までの選挙の伝統ではなかなか適当でないと私は思います。
  23. 玄葉光一郎

    玄葉委員 私は、必ずしもヨーロッパの非拘束の記号を採用している国々が識字率が低いとか教養が低いとは思いませんので、十分このことは検討したらいいというふうに思いますし、現実にやはりどの政党にいても個人を選びたがるという有権者はかなりいらっしゃいますから、やはりこの現実もあわせて踏まえていかないといけないというふうに思います。  もう一つ、これは有権者基本的にわかりにくい、そう思いますね。衆議院はまさに一人二票制だ。小選挙区は個人で選んで、比例はまさに政党で、二票ある。今度参議院は変わりました。今度は個人票が政党票にカウントされて非常に混乱する、わかりにくい、そう思いますけれども、この点はどう思われますか。  多分、私は、ほとんどの皆さんは現時点ではまだこの参議院選挙制度の仕組みを、皆さんが提案されている仕組みを十二分に理解しているとは思えないわけでありますけれども、時間がかかっても、なかなか大変だと思いますが、いかがですか。簡単にで結構です。
  24. 片山虎之助

    片山参議院議員 参議院のこの新しい制度一つもわかりにくいわけじゃないと私は思いますよ。衆議院の方がむしろわかりにくい、一方は個人の名前を書いて、もう一方は政党の名前を書くんだから。今回は、都道府県選挙区は個人の名前、非拘束比例の方は個人の名前を書いていただいてもいいし、嫌なら政党の名前を書いてもいいので、むしろこっちの方が私はずっとわかりやすいと思います。  それから、マスコミの皆さんがこれだけ毎日のように表をつくったり、図をかいていただいてこの制度の解説をしていただいているのですから、私は、我が国の有権者のレベルというのは世界で最高だと思っていますから、その心配はないと思います。
  25. 玄葉光一郎

    玄葉委員 衆議院がおかしいという話もありましたけれども、提案者は、衆議院と比較して、参議院議員はどういう人たちが選ばれなければならないというふうに思っておられるのか、簡単にで結構ですから、お答えいただけますか。
  26. 片山虎之助

    片山参議院議員 衆議院参議院が違うのは、一つは、参議院は解散がないのですね。任期保障があるのです。半数改選なんです。これは長期性、継続性があるということですね。それからもう一つは、御承知のように、被選挙権が、衆議院は二十五歳以上ですけれども、参議院は三十歳以上なんですね。これは、その制度を入れるときの国会のやりとりを聞きますと、やはり年齢の高い方が思慮分別がある、こうなっているんですよ。わかりますか。  参議院の役割は、長期性、継続性、腰を据えて国家の基本的な政策に取り組むということと、どちらかというと、申しわけないけれども、思慮分別のある学識経験者で議論していく。(発言する者あり)いや、いや、それはそのときの国会のやりとりで書いていることを紹介しただけで、私はそんなことは思っていませんよ。衆議院の方がずっと、場合によってはなかなか偉い人が多いと思いますけれども、そういうことで制度ができているので、私はそういう人が選ばれてくるべきだと思っています。
  27. 玄葉光一郎

    玄葉委員 ですから、片山議員、私も思慮分別のある方々、そういう方々が選ばれるべきなんだろうと思いますね。より参議院というのは私は選ばれていいと思います。思慮分別、大所高所から、専門的知識がある方々、そういう方々が選ばれるべきなんだろうと思います。  ただ、問題は、各党の工夫次第だと言うのでしょうけれども、この非拘束名簿方式でそういう方々が広く選ばれる仕組みが担保されているのですか。これはかなり本質的に、慎重に議論しなきゃいけない話だというふうに思うのですね。担保されていると思いますか。
  28. 片山虎之助

    片山参議院議員 これはいろいろな見解の違いもあると思いますけれども、私は、非拘束の方が恐らく候補者名簿登載も幾らか数が多くなると思いますし、国民がいろいろな観点から選ぶわけですから、党が選ぶということは神様でない限り本当に公平な順位づけができない。今までは、今小池委員からお話がありましたが、例えば、友部達夫さんの問題、金で順番を買ったんじゃないか、あるいは民主党の中尾則幸さんの問題、北海道民主は本部に抗議文を突きつけたでしょう、そういうことは必ずどんな順位づけだって不満が残るのですよ。そういう意味で、選ばれる方も選ぶ方も、投票の多寡で順位を決めるということは納得ができるのです。  そういうことによって参議院にふさわしい人が国民皆さんに選んでいただける。国民皆さんが主権者ですから、それが選んだことには我々は文句を言えないですよ。党の幹部じゃなくて。
  29. 玄葉光一郎

    玄葉委員 ですから、友部さんの問題とか久世さんの問題とか、そういうことを出されると、ああ、それが原因で参議院選挙制度を急に変えたのかなというふうに思ってしまうのですよ。結局順位づけが難しいから。でも、これはまさに党の体質の問題ですからね。友部さんもそうかもしれない、まさに党の体質の問題ですよ。久世さんの問題もそうだ。だから、それを選挙制度にすりかえるというのが、よく言われていることでもあるけれども、そういう答弁を聞いちゃうとそう思うわけです。  問題は、結局、ある程度党営選挙だと言いながらも、いわば一言で言えば、無名の良識のある方々、無名の良識の人がこの非拘束名簿に現実に載って、良識の府にふさわしい、しかし無名だ、こういう方々が本当に選ばれる仕組みなのですかと。これは、残念ながらこういう警笛を何回も鳴らしていかないと本当にそうなってしまうから申し上げるのですけれども、業界の代表、いや、もっと言えば労働組合の代表、タレントの府になってしまう可能性は、このままでいけば高いというふうに私は思いますけれども、いかがでありましょう。
  30. 片山虎之助

    片山参議院議員 今もそういうお声がありましたが、国民が選ぶのですよ。無名の人でも実力があって本当にふさわしい人なら、その人の選挙運動のやり方や党の後援の仕方や、あるいは、もう日本は過度のマスコミ社会ですから、マスコミの皆さんがほっておきませんよ。私は、そういう人をちゃんと国民の良識で選んでいただけるのが今回の非拘束制度なので、党の幹部が一定の基準で選ぶよりはずっと公明正大で透明性が高いと思いますよ。
  31. 玄葉光一郎

    玄葉委員 国民を信じるという答えになると、これはある意味では、どんな選挙制度が出てきても、国民を信じる、こう言えばいいわけで、つまり、どちらが、あるいはどういう制度が、より、いわば無名の良識の人も広く選ばれる、そういう仕組みなのかという観点で議論しないといけないのだと思います。私は、少なくともこの非拘束名簿というのは、残念ながら先ほど申し上げたような懸念を払拭できないというふうに言わざるを得ないと思います。  もうほとんど終わりですから、最後に。  きのう、参議院委員会での議事録を全部読みました。私、非常に気になったのですけれども、これは抜本改革ですか、それとも応急措置ですか。特に須藤議員にお答えをいただきたいと思うのですけれども、この改正案は抜本改革ですか、それとも応急措置ですか。
  32. 須藤良太郎

    須藤(良)参議院議員 比例代表制度の中の拘束式を非拘束にするということでありますから、考え方によれば応急措置ということも言えると思いますけれども、個人名を書くという面からいたしますと、今までの拘束式に比べれば抜本的とも言えるのではないか、こういうふうに思っております。
  33. 自見庄三郎

    ○自見委員長 質問時間が終わっておりますので、そこをきちっと厳守してください。
  34. 玄葉光一郎

    玄葉委員 はい。食い込んで結構ですから。  応急措置でいいのですかね。私は、ここにやはり問題があるのだと思いますよ。今までの経過を踏まえていけば、私は、片山提案者はいつも抜本改革だというふうに申し上げてきたのかな、そう理解をしていましたけれども、でも、提案者の中には、応急措置だ、こう言う方もいらっしゃる。ですから、まさにそこからきちっとこれは議論しないとだめだなと。  ちなみに、八次制度審議会の堀江会長さんも、どうも新聞のインタビューなんかには、やや批判的にこの案を見ている。また同時に、平成十二年、つまりことし四月二十六日に、参議院議長の私的諮問機関、ここでも実は答申を出しているのです。ここでは比例代表制廃止も含めて検討したらどうか、こういうことを言っているにもかかわらず、いきなりまた非拘束だと。だからどうしても、本当に残念なことなのだけれども最初の青木さんの言葉に戻ってしまう、こういうことでありまして、私は、この法案は、経過からして、また動機からして、非常に問題があるというふうに言わせていただきたいと思います。  以上です。
  35. 自見庄三郎

    ○自見委員長 手短に御答弁をお願いします。
  36. 片山虎之助

    片山参議院議員 これは玄葉さん、考え方なのですよ。今須藤さんが言われたのは、比例代表の中の拘束を非拘束に直すという意味では応急的、そういうとらえ方もできるけれども、今まで党が決めた順位国民皆さんに直してもらうという意味では抜本なのですよ。  それから、堀江先生は、第八次制度審議会のメンバーで、非拘束がいいという答申の有力な一人であったことを念のためつけ加えておきます。
  37. 玄葉光一郎

    玄葉委員 そこはわかっていますよ、わかっています。わかった上で申し上げている。  以上です。
  38. 自見庄三郎

    ○自見委員長 長浜博行君。
  39. 長浜博行

    ○長浜委員 長浜博行でございます。  時間もきょうは二時間ということで、大変短うございます。私も、後で御説明をしますが、大変参議院制度に対する思い入れが強くて、幾つか問題点があるうちの一つは、なぜ今なのだ、この選挙制度を変えるものの緊急性の問題が一つ。それからもう一つは、旧全国区制の問題とひっくるめて、一体お金がどのぐらいかかってしまうのだろう、これが多分二点目。それから三点目が、片山先生もそうであろうし、私もそうだし、質問者がいつも心の中にひっかかる点は、参議院政党とのあり方という問題が常に頭にひっかかりながら、政党性をなくしていった方が良識の府になるのだと。しかし、今の現状の中においては政党性を持たなければ衆議院参議院意味がないではないか。こんな議論のはざまの中で悩みながら質問をしているのが、あるいは受け答えをしていただいているのが多分実態ではないかなというふうに思っております。  緊急性の問題へ戻りまして、参議院の十月十三日の議論の中で、もちろん自民党議員と発議者の答弁でありますが、その中で、特に参議院で今話題になっている点からすると、どのぐらい国民にこの制度が周知をされているのか。つまり、ここで決めてしまうということは、わかった時点では国民はもうどうすることもできないわけでありますから、国民の中で議論があるのかどうか。これは自民党の議員でありますが、九月の世論調査で、非拘束について賛成は三二%、反対一五%、どちらとも言えないは四七%だったという新聞の報告をされています。  ですから、多分参議院先生方、特に当選回数の古い先生方は、この参議院選挙制度に関してずっと議論をしているから、もう当然わかっているだろう、こういうわなに陥りやすくて、実は衆議院が小選挙区に変わったときもそうでありましたけれども、まだ参議院制度の一体何が問題点になっているのかというのがわかっていないのではないかなというふうに思うわけです。  ですから、これを議論する中において、特に我が民主党などの場合も、今回受かってきた若い議員もいます。私は、最後の全国区のときに辛うじて大学生でありましたので、二十一歳だか二十二歳でありましたので、投票に行きました。ですから、その運動論もある程度は承知をしているつもりでありますけれども、知らないという方々が大変多い。そういう中でいかに理解してもらって議論をしなければいけないかということで、慎重に時間をかけて、衆議院の段階においても公聴会を開き、そして参考人もお呼びして、後から御説明をしますが、前回拘束式比例代表に変えたときは、現職の参議院議員が参考人となって答弁もしておりますので、時間をかけてやらなければいけないのではないかなというふうに私は思っています。  また、この中でも、何と驚いたことに、当時の社会党の佐藤観樹理事とか、民社党の中井洽理事とか、拘束に変えたときの衆議院選挙制度の特別委員会の理事が現実にまたここにもいる。さっきも言ったように、全然全国区なんか知らないよという人もいれば、あるいは、そのときからの議論に絡んでしまって、ですから思い入れが大変強いはずです、ここであれほど議論して変えたのに、またここで変えるのかと絡んだ理事がいるわけでありますから、その状況の中において、時間をとって議論をしていくということが必要ではないかなというふうに思います。  五十七年の当時でありますけれども、七月二十七日に本会議の趣旨説明があり、二十八日それから三十日、四時間、八月三日、六時間。多分これは通常国会の会期の大幅延長があったのだと思います。本会議の可決は八月十八日でありますから、とても普通の通常国会ではない。土曜日を含めて精力的に審議が行われ、中央公聴会と地方公聴会の二回の公聴会が行われ、参考人の意見聴取として現職の参議院議員が意見を述べたというふうにもなっております。  その中での現職の参議院議員というのは、私の大おじでありますところの斎藤栄三郎でございます。私がこだわりを持っているというのは、実は、大学の四年生のときでありましたが、全国区の選挙があったわけです。私の祖母の弟が斎藤栄三郎に当たるわけですけれども、その祖母が身体障害者でありますので、手伝いに行ってくれということで手伝いに行きました。行かなければ今ここに立っていることもないのですけれども、そこへ手伝いに行ったときに、こんな金のかかる選挙をやっていたのでは日本の政治がうまくいくわけがないということで、後で自民党の中で批判があったのかどうかわかりませんが、文芸春秋等々を通じて、どのぐらい金がかかったのかということも議論をしました。  こういった中において、御反論があれば今お聞きをしますが、疑似、全国区制に似た、それでもあえてなお、政党政治参議院との関係から比例代表制と言わざるを得ないこの状況の中において、そしてまた、緊急性を帯びて一日も早くこれを通過させなければいけない、国民の認知度は約五割の人がまだ非拘束制と拘束制も意味がわからない、この状況をどう御説明されるのか、御答弁をお願いいたします。
  40. 片山虎之助

    片山参議院議員 いろいろ今御指摘がございましたが、この選挙は五十七年に入れまして、二回やったら見直そうということを議長所信の形で各会派が合意して、そういう意味では六十一年からずっとやってきているのですよ。何度もきのうも申し上げましたから言いません。  権威ある第三者機関も参議院の超党派も議長も絡んでずっと議論して、しかも、来年は通常選挙になるわけでありますが、定数削減すらまとまらないのです。このまま何にもやっていないということは、二十年近く何をしたか、こういうことになる。我々としては、責任がある与党としては、この際、定数削減を含めてきっちりした制度にして、衆議院と違う制度で二十一世紀を迎えたい、それによって参議院の自主性をしっかりと確立したい、こういう思いなのですよ。  ただ、国民皆さんに物すごく理解が進んでいるかというと、必ずしもそうとは言えないかもしれません。だから国会で開かれた議論国民の前でやってわかっていただくということが必要だということで、私は参議院の野党の皆さんに何度もお願いしたわけでありますが、残念ながらそれがうまくいきませんでした。ただ、与党は一生懸命やりましたから、あるいはその間マスコミの皆さんがいろいろな解説をしてくれましたから、私は理解が相当進んだと思います。  ただ、一般の国民の風潮は、若い人を中心に、何度も言いますけれども、政治離れなのですからなかなかそこは難しい点がありますが、さらに努力をしていく必要があるのではなかろうかと考えております。  また、斎藤栄三郎先生には私も大変お世話になりまして、岡山では私は斎藤さんの後のジェントル会の会長を今やっています。しょっちゅう斎藤さんと一緒に国政報告会、いろいろなことをやらせていただいて、大変尊敬している方です、お亡くなりになりましたけれども。  その斎藤先生時代は、まさに全国区の始まりの時代なのですよ。残酷区、銭酷区と言われた時代なので、そういう反省から拘束式比例名簿になり、さらにそれに対するデメリット、欠陥の是正から現在の非拘束になったわけでありまして、斎藤先生がおやりになった選挙の再現にはならないということをきのうから何度も申し上げております。  候補者個人政党と公営、これをうまく分担して、全体として効率的な選挙をやっていく、そういうのがこの案の考え方でございます。ぜひ御理解を賜りたい。
  41. 長浜博行

    ○長浜委員 今の説明でも、ずっと聞いていてもそうですが、緊急性の問題として、国民が理解をされていないかもしれないけれどもずっと議論してきた、そうだと思います。見ています。ずっと見てきました。しかし、国民の中においての議論が盛り上がらない状態で決めていいのでしょうか。その中でだんだん定着していくよ、これは一時的な変革で、悪かったらまた変えればいいじゃないか、選挙制度を変えればいいじゃないかという議論があるのかもしれませんが、片山先生、それだけ長い年月をかけてきたからこそ、この最後の段階になって、慌てて採決をしようという必要はないと私は思います。  参議院の話をされました。ここは衆議院でありますので、衆議院の場において、十分参考人とか、公聴会を開いて、公聴会をやれば、全国何カ所しかやれないということはないわけですから、全国でやった中においての大事な良識の府としての参議院のこの選挙制度議論にぜひ発議者の先生方も、急いで決めることはないよ、こんな大事なことなんだから、やはり衆議院議論も始まっているし、聞いてやらなければだめだよ、こういうふうにアドバイスをいただきたいというふうにも思うわけであります。  そしてまた、仮に、百歩とか千歩とか一万歩も譲るなという話になるかもしれませんが、譲らずに来年の選挙からもし変わったとして、準備の方は一年ありません。ところが、この制度が決まってしまって、先ほども申し上げたように、まだ疑似全国区的な要素が残っている中において、人間というのはやはり一番になりたいですから、幾ら自民党にエントリーされてあるいは民主党にエントリーされて、一生懸命やれよ、順位国民が決めるから、そんなものは自民党も民主党もあったものではありませんよ、とにかく自分が票をとることだけが頭に入るわけですから。  五十五年、全国区で大おじが五億使ったというようなことを書きましたように、選挙の期間では使わないのですよ。準備期間です。合法的な事前活動あるいは準備活動、今で言えば、政党助成金まで得ていますから、政党活動という名前をかりて、下手をすれば六年間、一番になろうとするために北海道から九州、沖縄までやるわけですよ。これは全国制度とどう違うのですか。
  42. 片山虎之助

    片山参議院議員 我々から言わせていただくと、二十年間ずっと待ってきた。二十一世紀を控えたこの機会に、しかも衆議院選挙制度が小選挙区ブロック制で定着したこの機会に、参議院の自主性を高めるためにも、来年は二十一世紀ですから、ぜひこの制度導入したい。国民皆さんの理解が相当進んできていると私は思いますけれども、なおこれからもその理解を進めるような努力をいたしたい。ここでなお議論だ、検討だということになると四年後に先送りになるのですよ。  私はいつも言っているのです。特に選挙制度の場合には必ず次の次からやろうということになるのです。その次になったらまたその次の次からやろうと。永遠に改革できないのです。だから、本来六十一年にやるべき改革が今日まで延びてきたのです。二十一世紀を控えて我々はこれは待てない、こういう認識のもとに与党がまとめた案でございますので、ぜひ御理解を賜りたい。
  43. 長浜博行

    ○長浜委員 四年間先送りじゃないのですよ。そこまで議論をされたのだから、その間においても、よく十年前からというお話もされますけれども、衆議院でも小選挙区を主体とした選挙制度に変わっていますし、その前の状況と違うのですから。  もっと言えば、きのうの審議にあったかどうかわかりませんが、GHQの一院制の憲法草案から二院制にしてずっと続いている参議院のあり方。衆議院が小選挙区だったら参議院比例区にした方がいいんじゃないか、あるいは参議院では政党性を抜いた方がいいんじゃないか。それだったら、参議院議論の中において、強行採決と言ったら怒られるかもしれませんが、あの採決の仕方がちょっと異常だよと。ああいう採決は異常だから、党議に反するかもしれないけれども私は採決を拒否する、あるいは民主党の中で、あれはやはり出なければだめだよ、議論しなければ、出なければいけないよ、私は出るよと言った議員がいますか。いないのですよ。  ですから、現状としては、政党政治の中においての枠がはまっているわけでありますから、全く意図するところは同じでありますので、良識の府として参議院が再活性化するために、もう少し新しい議員の知恵や何かも入れて、そして国民の声も、二十年の議論というのは物すごくよくわかります、本もいっぱい読みました、それをもとにしながら、もう少し御辛抱いただいて、議論をしてもよろしいんじゃないかなと思うのです。くどいかもしれませんが、よろしくお願いします。
  44. 片山虎之助

    片山参議院議員 私は、この臨時国会冒頭から、この法案を出させていただくので議論を始めましょうと、臨時国会が始まる前から野党の皆さんに提案してきたのですけれども、なかなか受け入れていただけなかった、大変残念であります。  この案は、何度も繰り返しますけれども、平成二年の第八次選挙制度審議会の答申をそのまま制度化しているもので、それは相当な議論を経て、権威ある第三者機関が、当時の内閣に、内閣総理大臣に答申したものでありますから、むしろ、今まで何でおくれたかという議論だ、私はこういうふうに思いますよ。そこで、今までのいろいろな議論を経た中で、我々は、先送りせずに、こういう結論を出しましたので、ぜひその辺は御理解を賜りたい。
  45. 長浜博行

    ○長浜委員 御理解はできませんが、とにかくその慎重審議の中においての、それでは話題を変えまして、例えば無所属の問題。  さっき先生も言われたように、私も政党のあり方を再確認するのが大事だと思います。政党が悪いから無所属対策をするということではなくて、政党のあり方、参議院の中での政党のあり方というのは議論しなければいけないでしょう。しかし、この制度の中において、拘束名簿式のときにもありましたけれども、無所属議員は出られないから出ないという選択をするのか、時代の変遷の中で、衆議院でこの間ありましたけれども、それでは無所属という党をつくろうじゃないか、無所属という党でとにかく一つのまとまりになって、拘束じゃありませんので順番はつけませんから、非拘束の中で、とりあえず出たい人は集まろうじゃないか、そのかわり供託金は自分で負担してね、やろうじゃないか、略称登録無所属、政党名は無所属の党、こういう状況になっていったとき、それはそれでもまた構わないというふうに思われるのでしょうか。
  46. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 名簿提出できるのは三つ、御承知だと思いますが、十名集まればそのことが可能であります。
  47. 自見庄三郎

    ○自見委員長 長浜君、質疑時間が終了いたしておりますので、ひとつ簡潔に。
  48. 長浜博行

    ○長浜委員 はい。  衆議院でも現実に、この間の衆議院の小選挙区の中においての無所属が政党活動ということも行っている部分もあるわけでありますから、るる申し上げましたように、実は制度上のことをいろいろ仲間の議員が質問をしているだけではなくて、衆議院参議院のあり方とか、特に、私が申し上げることではないですが、参議院政党とのあり方とか、大事な問題をすべて含んでいるわけでありますので、二十年間制度論をやってきたからもう通さなきゃあと四年間だめになっちゃう、この議論だけはぜひ慎んでいただきたい。  最後になりましたけれども、十分な審議時間と公聴会、そして参考人等々で、現職の参議院議員を含めて、大おじに話を聞きたいんですが、もう亡くなりましたので今回は無理ですが、そういったことも含めて御検討いただければと思います。  どうもありがとうございました。
  49. 自見庄三郎

    ○自見委員長 塩田晋君。
  50. 塩田晋

    ○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。昨日の質疑に引き続きましてお伺いをいたします。  昨日お伺いした中で、諸外国の制度でございますが、今回出されている公選法の改正案、この中身と同じような制度をとっている国はどこがあるか、世界二百カ国のうちどこかと申し上げたところ、ヨーロッパで何カ国かあるということですが、参議院としての非拘束比例代表選挙をやっているところはノルウェーとベルギーだけだったわけです。それも、ちょっとコメントを後でされましたが、日本のこの案と全く同じではないとおっしゃいました。  そうすると、我が国の今度の改正案というのは、世界でただ一つのものかということでございますが、その辺はいかがでございますか。     〔委員長退席、西野委員長代理着席〕
  51. 須藤良太郎

    須藤(良)参議院議員 確かに、ベルギーの選挙制度というのは非常によくできているというふうに思うわけであります。  この制度は、まず個人名または政党名による投票、これは今回の我々と同じでありますけれども、届け出名簿には政党順位をつけるというのがあります。  二つ目は、要するに個人名投票政党投票を合算して各党に配分する。それで、各党のいわゆる当選人の決定が非常に工夫をしておるわけでありまして、一定の基数以上、この一定の基数というのは計算方法があるわけでありますけれども、要するに、その政党当選人の数の枠に必ず入るという数字でありまして、その政党の得票総数をその政党当選人の数プラス一で割る、それが一定の基数でありますけれども、これ以上の個人票を得た候補者はまず文句なく当選。それから二つ目が、その一定の基数に達しない候補者には、政党がつけた順位に従って、いわゆる政党名で入った票をその基数まで足しまして、それでこれを当選にする。それでなおまだ議席が残っている場合は、これはいわゆる個人得票の多い順にやる。非常に、よく考えているんですけれども、複雑な方式であります。  そういう意味で、日本の場合には、非常にこれはわかりにくい、複雑であろう、もう一つは、やはり順位づけがここでも行われるということであれば、今回言われている問題は起きざるを得ない、こういうことで、今回はベルギー方式は採用しなかったということでございます。
  52. 塩田晋

    ○塩田委員 今御答弁がありましたように、日本の今回の改正案と全く同じものではないということがはっきりしたわけでございます。したがって、より我が国で新しい、世界に先駆けてというか、初めての制度をとるわけでございますから、よほどこれは慎重に審議をしないといけない問題だと思いますし、昨日も申し上げましたように、ベルギーとかノルウェーで行われている現在の方式、それがどのように運用をされてどういう問題があると議論されておるか、また今後どういうふうに直そうとしているか、そういったことについて、現地へ行って調べるべきである、海外調査をすべきである、こういうことを申し上げたわけですが、これは決して、法案審議をおくらせるためとか、そういうつもりで言っておるわけではございません。  非常に急いでおられるということもきのうありましたけれども、そういった重大な問題であるからこそ慎重に、十分に審議をすべきだということを申し上げたわけでございまして、いたずらに審議をおくらせて廃案まで追い込む、こういった考えは我々持っていないわけでございます。十分に審議をして、そして国民にもよくわかり、問題点そして直すべきところは直していくべきではないか。これは競争し合う各党の共通のルールですから、それは話し合いで、まあまあこれなら仕方がない、どうしてもいかぬというところは多数決でもって決めていけばいいんですから、ただ、ただ急げ急げ、すぐにも採決ということではこの問題は済まされない重大な問題であるというふうに認識しておるということを申し上げたわけでございます。  したがって、海外へ行く時間がないということであれば、これは海外のことをよく調べて勉強しておられる学者先生あるいは学識経験者を呼んで、参考人としてここでいろいろとお聞きをする、そして審議の参考にしていくということでもいい、私はこのように考えておりますが、これは理事会等で議論をし決めていくことでございますから、そういう考えでございますので、決してこの法案審議を引き延ばして云々というようなことは考えていないということを申し上げたいと思います。  それから、やはり昨日の答弁の中で明らかになりましたが、候補者の顔の見える選挙制度に変えるんだというお話でございましたが、それも徹底すれば、前の全国区の制度になるわけですね。それがいろいろ問題があるということで、直って、現在の制度になっておるわけですね。そこで、きのうの答弁でも、いや、個人の顔だけれどもそれは個人の所属政党が頭についているんだ、そして政党を選んでもいい、選択制だ、したがって合算するんだ、こういう御答弁がございました。それで、個人の顔が見えると同時に、やはり政党を選ぶんだ、これが基本だというお考えのもとにこの制度をつくったと言われましたが、それでよろしいですか。
  53. 須藤良太郎

    須藤(良)参議院議員 いわゆる政党本位の今度の制度ということは変わらないわけですけれども、いわゆる政党の枠で比例代表になるわけですから、その中で個人を選ぶ、こういうことですから、個人というのはもちろんウエートはありますけれども、政党基本にした制度、こういうふうに考えられるのではないかというふうに思っております。
  54. 塩田晋

    ○塩田委員 それでは、現在の衆議院選挙制度、小選挙区並立制、これを念頭に置いて言いますと、今の参議院のこの改正案でいきますと、政党を選ぶ、したがって選択をして合算をするんだ、結果についての得票は合算するんだというお考えですね。  そこで、現在の拘束名簿方式だと党が個人順位をつける、ここに問題があるということで、それを排除して有権者に決めてもらうということであるわけですね。そうであるならば、現在の衆議院の小選挙区制を念頭に置いてやれば、それは——時間が早くも参りまして、これでは審議は十分ではないと思いますね。これは時間をかけて徹底的にやるべきだと思うのです。  時間も来ましたので、簡単に一つだけ申し上げますが、例えば、個人の顔が見えるということで、この党のこの人は嫌だ、しかし党は入れたい、この場合は、現在の衆議院だとできるわけですね。したがって、党の得票と個人の得票が、同じ党であっても非常に違いますね。現在、現実に起こっていますね。そういったことも念頭に置いてやれば、今度の法案というのは個人は嫌いだけれども党は入れるというようなことの選択の余地がなくなっていますね、それを直すことはできるんじゃないですか。  例えば二票制にして、そして党の得票を決める、そして党内の個人順位は別途個人投票でその多い順番に決めていく。今、衆議院だと惜敗率等でやっていますね。同じような考え方を入れることは可能じゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
  55. 片山虎之助

    片山参議院議員 時間もあれなようですから、簡単にお答えしますが、衆議院の場合には、小選挙区とブロック比例ですね。小選挙区にある党を入れて、ブロック比例は別の党を書くということは当然なんです。参議院の場合も同じでございまして、都道府県選挙区である党の個人の名前を書いて、比例代表でほかの党の名前を書くなりほかの党の候補者を書くというのは十分可能でございますので、それは有権者の選択でございます。
  56. 塩田晋

    ○塩田委員 最後に一言。私は、それは一票制でなしに二票制で党と個人とを両方入れたらできるんじゃないか、党内の順位はその個人で決める、党が恣意的に決めないでやるという方法はあるんじゃないかということを申し上げたわけでございます。  これはまだまだ質問をし、審議を深めたいのですけれども、時間が参りましたので、これで終わります。
  57. 西野あきら

    ○西野委員長代理 児玉健次君。
  58. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  昨日来のこの審議で、この法案が重要な問題点を抱えているということが浮き彫りになってきました。この点について徹底的な審議を尽くす、それが衆議院の責務であり、この特別委員会の責務である、そのことを委員長に私は強く求めておきます。  私は具体的に聞きますから、簡潔に答えてほしい。  まず、問題点の一つです。法案の四十六条の三項、こう書いていますね。選挙人は、投票用紙に公職の候補者たる参議院名簿登載者一人の氏名を自書して、これを投票箱に入れなければならない、ただし、参議院名簿登載者の氏名にかえて、参議院名簿届け出政党等の届け出に係る名称または略称を自書することができる。  十日の参議院議論の中で、月原議員は、非拘束名簿式とは究極的には党に対する投票である、このように答弁されている。昨日も、同様なお答えがあった。  政党に対する投票政党を選ぶ比例選挙であるのなら、どうしてこの言葉が出てくるのか。まず政党名を書く、それが原則、そして、ただし個人名を書くこともできる、ただしというのは例外的、補足的、条件的なときに使う言葉ですね、なぜそうしないんですか。私は、このことの是非は別として、なぜそうしないのか、簡潔に答えてほしい。
  59. 月原茂皓

    ○月原参議院議員 比例代表制の重要性については、御承知のとおりだと思います。  そこで、比例代表制を前提として、今問われておるのは国民との接点、国民がだれを選ぶかということの順位を決めていただくというようなことで、まず名前を書いていただきたい、こういうふうに書いているわけであります。
  60. 児玉健次

    ○児玉委員 では、聞きましょう。これも参議院の十三日の特別委員会で、今月原議員が言われた順位を決める問題について、なぜ今度の非拘束名簿を出してくるのか。候補者名簿への登載、その順位をめぐり問題が生じていると答えていらっしゃる。きのう私たちがこの委員会で取り上げたKSDの問題はまさにそのことです。久世問題もまさにその問題です。  公明党の魚住議員に伺うが、あなたのところではこの久世問題や村上問題のような問題が生じていますか、答えてください。
  61. 魚住裕一郎

    魚住(裕)参議院議員 公明党におきましては、比例選の候補者につきましては、党の理念あるいは実績、識見等を考えて候補者を選定し、そして順位を決めているところでございまして、今御説のようなものはございません。
  62. 児玉健次

    ○児玉委員 保守については、今までの選挙の経過を聞くのはちょっと酷でしょうから、私は聞きません。少なくとも提出者の公明党については、その問題がないということが明らかになった。  そこで、今の月原議員の問題です。なぜこのようにするのかという問題です。本来、月原議員のおっしゃるように、究極的には政党に対する投票である、別の提案者は、第一義は政党というふうに述べてもおられる。そうであるのならば、なぜこういうふうに投票用紙を逆に書くのか。これは、明らかにそのことによって生み出される効果をあなたたちがねらっているからじゃありませんか。  その点について、これは私が意見を言うというよりは、参議院においでになった中央大学法学部の清水教授の十二日の御意見の中で、明白にこうおっしゃっている。「有権者政党よりも個人投票したがるというそういう点でありますが、それにあやかるといいますか、そういう有権者の動向というふうなものを、悪く言うと利用するというのは、政党のあり方としては本末転倒ではないか。」  これは、清水教授の御意見というよりは国民の意見ですよ。本末転倒ではありませんか。どうですか。     〔西野委員長代理退席、委員長着席
  63. 片山虎之助

    片山参議院議員 何度もお答えしておりますように、この制度比例代表制度でありまして、今までは拘束名簿、今回は非拘束名簿にするわけでありまして、各政党名簿を出すわけですよ。非拘束名簿を各政党は出す。比例代表ということは国民周知なんですよ。  我々は、その中で政党を選んでいただいて、その名簿の中では国民投票の多寡で順位を決めたいから、立法技術上そういう書き方をしたわけであります。できるだけ個人を書いてください、個人に適当な人がいない場合には党名で結構ですと。  しかし、これはあくまで比例代表ですよ。比例代表だから各政党名簿を出すんだから、その前提の中で、我々は、できるだけ個人の名前を書いて順位を決めてほしい、国民順位を決めてもらおう、こういうことであります。
  64. 児玉健次

    ○児玉委員 あなたはきのうからそうおっしゃっているけれども、自民党青木幹事長はなかなか正直ですね。自民党内の意見集約で、彼は、拘束式導入で得票が落ち込んだ、衆議院選挙では、自民党候補者名を書いた人と党名を書いた人との間に八百万票もの差があったと危機的状況を訴えた、九月六日、ある全国紙の報道です。この八百万票を埋めるために、悪政によって批判の厳しい自民党では書いてもらえないから個人名で埋めようとする、それがねらいじゃありませんか、どうですか。
  65. 片山虎之助

    片山参議院議員 先ほどどなたかにもお答えしましたけれども、今の国民皆さんは、若い人を中心に政治離れ政党離れというのがあるんですよ。だからそれを、離れていっていただくのはぐあいが悪いので、やはりそういう意味では、国民に親しめる、顔の見える選挙制度をとることが、私は、各政党のある意味では責務だと思いますよ。  だから、どこの党でも、比べてみてください。多寡はありますけれども、候補の立て方もありますよ、皆さんのところみたいにいっぱい立てるところもあるんだから、各政党の小選挙区とブロック比例の得票は乖離がありますよ。だから、我々は、そういう意味で、特に衆議院と比べて参議院は顔の見える、人を選べる制度にしたい、それが国民政治離れを、あるいは政党離れを食いとめるゆえんだ、こう考えているわけです。  しかし、基本は、何度も言いますけれども、比例代表制でありますから、第一義的には政党を選んでいただいて、その中で国民投票の多寡で当選順位を決める、こういうことであります。
  66. 児玉健次

    ○児玉委員 もし本当に比例代表選挙だというのであれば、比例代表選挙有権者政治的な意思を鏡のように正確に反映して、そして皆さんの先輩の言葉を使えば、国民の多様な政治意識が国会において縮図になるような、そのようなすぐれた制度だ。私もそう思う。そうではありません、これは。  どこが問題か。既にこの非拘束名簿式の問題点については早くから明らかにされている。例えば、きのうも議論になった松浦功参議院議員は、一九八二年にこうおっしゃっている。非拘束名簿式にいたしますと、ただ多数の得票をおとりになった平均点以上の余剰の票を少ない方に移譲していく。少ない方に移譲していく、しかもこれはゆだねるんじゃなくて移すと書いていらっしゃる。平均点以上の点を少ない方に横流しするんじゃないですか。どうしてこれで比例代表と言えますか。
  67. 片山虎之助

    片山参議院議員 委員が言われるように、比例代表制と小選挙区を比べたときに、比例代表は鏡のように有権者というか選挙民の意向を反映するということですよ。それはどういうことか、死票がないということですよ。死票がない。小選挙区の場合には、五一%をとればいいんですから、四九%が死票になる。ただし、比例代表は、その党を選んだら、その党の票がそのままスライドして議席にあらわれる、それが比例代表のよさなんです。  だから、今回は、党名を書いても個人名を書いても、例えば日本共産党に入れた票はすべてそれが合算して、議席に反映して、有権者の意向は鏡のようにあらわれる、こういうことでございます。
  68. 児玉健次

    ○児玉委員 有権者が、Aさんは非常に好ましい、この人に入ってもらおうと願う、このように書いた。ところが、その一票が政党というボックス、私は時にはブラックボックスだと思うけれども、そのボックスに入った途端に、その有権者が好ましいと思って当選させようと思った人以外のところの人物を、例えば業界絡みの官僚出身の金権候補を引き上げる一票に使われてしまう。どうしてこれが正当な比例選挙と言えるか。  そこで、私は言いたい。  支持する政党がないから個人をというのは、確かに今多くの国民一つの傾向です。無党派層が三割、四割を占めている。無党派層というのは、そのときそのときの政治状況を見て、自分はどの候補者を選ぶことが一番自分にとって適当かという極めてセンシティブな部分だと私は思うことがある。その方が個人の名前を書くということは、絶対に政党を選ぶということにはつながりませんよ。それが無党派層の今日の特徴です。ところが、皆さんは、一方では個人の名前を書いていただくといいながら、それで集めた票で平均点以上の部分は、政党を通すことによって低い部分を引き上げることに使う。これが横流しでなくて何ですか。こういうやり方は比例選挙の名に全く値しないじゃありませんか、どうですか。
  69. 片山虎之助

    片山参議院議員 きのう来、何度も私は申し上げているんですよ。  裸の個人を選ぶのじゃないんですよ。政党名簿に載った、その政党名簿搭載候補である個人を選ぶんですよ。それは、あなたが言われるように、なるほどその名簿の中にはその人にとって好ましくない人があるかもしれません。今の拘束名簿だって同じですよ。今は順番を党がつけているだけで……(児玉委員「今は政党と書くじゃないですか」と呼ぶ)いやいや、政党と書くけれども、参議院議員を選ぶための名簿政党が出すんですから、その中にあなたの好ましくない人がいても、日本共産党と書いたら、その人は当選するかもしれませんよ。しかも、それは有権者の意思でなくて、党の幹部の意思で当選するんですよ。どこが違うんですか。比例代表というのはそういう制度なんですよ。  また、横流し横流しと、何とかの一つ覚えのように皆さん言われますけれども、個人名政党名を合算して鏡のように議席配分をスライドするのは、これはベルギーだって、オランダだって、フィンランドだって、みんなやっていますよ。よく調べてくださいよ。
  70. 児玉健次

    ○児玉委員 きょう朝日新聞の世論調査が出ましたね。あなたの力説にもかかわらず、今国民はどう思っていますか。非拘束名簿式導入することに賛成九%、反対三八%、どちらでもない四五%、この状況ですよ。  そこで、私は言いたい。  あなたたちがなぜこれをこんなに急いでやろうとしているか。今の非拘束式をこれまでの全国区に当てはめたらどうなるか。これは、例えば朝日新聞が一九八六年の全国区についてシミュレーションをやった。自民党の石原氏が三百万を超した。結果はどうだったか。自民党当選ラインに届かなかった三人が当選して、公明、共産、民社、社会は、当時です、各一議席を失う。  私たちが独自に一九七四年の全国区について試算した。そうしたら、七四年、自民党は十九議席を得たが、もしこれが実施されたら二十五議席ですよ。六議席ふえる。そして、公明、共産、社会、民社はそろって議席減になる。  これ以外にあなたたちのねらいはない。このシミュレーションを来年の夏に実現させよう、それでこうやって必死になって急いでいるんですね。Aさんが好ましいとA候補に投票したら、官僚出身、業界丸抱えの候補者にカウントされる、これが問題なんですよ。  そこで、私は自治省に聞きたい。  これまでの選挙制度の中で、ある候補者が買収、利益誘導等を行う、議員になってそのことが明らかになる、連座をする、失職をする、にもかかわらず、その当選者当選せしめた票が生き続けるような選挙制度がこれまでありましたか。私はなかったと思う。どうですか。
  71. 片木淳

    片木政府参考人 お答えをいたします。  御案内のとおり、従来、連座制個人選挙のみに適用されております。政党選挙であります衆議院比例代表選出議員の選挙及び参議院比例代表選出議員の選挙におきましては適用されないものとされてきたところでございます。  したがって、これまでの制度におきましては、連座制の適用により当選無効となった候補者の得票が問題となることはなかったところでございます。
  72. 児玉健次

    ○児玉委員 もう一つ聞きましょう。  一九六二年の第六回選挙、そのときの全国区の検挙数と、その中で買収、利益誘導によって検挙された方の数、それから第八回、一九六八年の同じく検挙数と、その中で買収、利益誘導によって検挙された数、これを政府参考人、お示しください。
  73. 片木淳

    片木政府参考人 第六回及び第八回の参議院議員通常選挙全国選挙における選挙違反の検挙人員、また、そのうち買収、利害誘導によるものの検挙人員でございますが、まず第六回通常選挙、検挙人員一万四千八百二十人、うち買収、利害誘導による者八千二百五十八人、第八回通常選挙、検挙人員七千六百二十一人、うち買収、利害誘導による者三千七百二十一人でございます。
  74. 児玉健次

    ○児玉委員 参議院審議の中で、拝見していたら、須藤議員が非常にビビッドなことをおっしゃっていますね。「かつての全国区のときに、今おっしゃいますように本当に違反が多かったわけでありまして、当選した議員は任期中ほとんど選挙違反の対応で過ごすというケースも多かったわけであります。」私はそうだと思う。  そこで、魚住議員に聞きたい。  あなたは、非拘束名簿式で、「連座制当選人の当選を失わせる制度でございまして、当選を失った者の投票を無効とする、そこまで及ぶ制度ではございません。」と十日の特別委員会で述べていらっしゃる。これは重大な発言ですね。  連座制とは当選人以外の行為によって当選人の当選を失わせる制度であって、買収、利益誘導など違法な選挙運動による得票を有効得票に加算することは選挙の公正に反するから、さっきの自治省の説明にも明らかなように、失職した議員が得た得票はすべて無効になる。  非拘束名簿式がもし実施されたら、業界丸抱えの候補者が一票でも多く得票する。きのうも同士打ちという言葉があった。同じ政党の中で同じ政党名簿登載者が一票でもふやそうというので同士打ちをする、そういう激烈な選挙をやることは必至ですね。  そういう金権選挙によって当選を失わされても、その得票がそのまま生きるのであれば、繰り上げ当選でその議席が補えるのであれば、金権腐敗を体質とする政党にとって、これほどありがたいことはないじゃありませんか。どんなむちゃくちゃな買収、供応、利益誘導をやっても、その人間が連座制で失っても、次の人間が繰り上がる。しかも、これは一人や二人の例外では多分なくなるだろう。なぜそうなるのか。それは個人に対する得票を政党の得票に読みかえることによって生まれる致命的な矛盾じゃありませんか。  この致命的矛盾を抱えたままこの選挙をやるというんですか。そして、しかも読みかえ、横流しがされた票は生き続ける。こういう制度を、今国民の前に、皆さんは新しくこれでやってくれと言おうとするのですか。魚住議員、答えてください。質問に答えなさい。——参考人を呼んではいない。委員長、それはおかしいよ、参考人は。議員が質問に答えるべきだ。
  75. 自見庄三郎

    ○自見委員長 自治省片木選挙部長。
  76. 片木淳

    片木政府参考人 先ほどの私の答弁に対しまして御言及がございましたので、もう一度先ほどの答弁を繰り返させていただきます。  結論だけ申し上げますが、これまでの制度では連座制の適用により当選無効となった候補者の得票が問題となることはなかったというふうに御答弁を申し上げたところでございますので、誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。
  77. 児玉健次

    ○児玉委員 何を言っているんだ。参考人は分を心得なさい。
  78. 自見庄三郎

    ○自見委員長 委員長が指名いたしましたから。  児玉君、質問を続けてください。
  79. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、これまでの選挙制度では、連座制によって失職した議員、その議員が得た票が、個人投票が中心ですし、衆議院比例代表を含めてこれは政党投票ですから、こんなことが出てくるはずがない。ところが、今度の非拘束名簿ではそれが出てくる。こんなことをやっていったらどうなっていくのかということを皆さん少しでも考えてみたらどうですか。ここのところにこの仕組みの致命的な欠陥がある。そこのところを私はひとつはっきり述べておきたい。  そこで、次の問題です。  それは、顔が見える選挙だとどなたかはおっしゃった。顔が見えるのはどんな人たちだろうか。十八年前、八千万人の有権者が百人を超える候補者の中から広大な日本で一人を選び出す、希薄だと。今度はどうか。有権者は一億四十三万人、選挙期間は十七日、一投票区に貼られるポスターは一・三枚。知らせない、聞かせないの暗やみ選挙で、顔が見えるのはタレントと有名人だけ、そうなってしまう。  自民党の残りの候補者はどうなるのか。その貢献度が得票数によって判然とする中で、業界は死に物狂いになるでしょう。自分たちがどのくらい貢献したかというのがリアルな数字で出てくるわけだから、文字どおりばく進することになるだろう。  そこで、自民党青木幹事長は、非拘束式をぶち上げた後の記者会見で、参議院比例区は団体や組織が自分たちの候補者を出すことが前提で来て職域代表という色彩が強い、党員や後援会の募集をし、全力を挙げてもらうのは当然のことだと、極めてあからさまにこの制度のねらいを語っているじゃありませんか。現に、自民党の第一次公認候補を拝見しましたが、郵政、建設、医療、だあっと業界代表がメジロ押しですね。この業界ぐるみが猛烈な選挙をする。そこに国民の不安があります。この不安にあなたたちはこたえられないでしょう。
  80. 片山虎之助

    片山参議院議員 委員の御見解はお伺いしましたけれども、我々は、何度も言いますように、この制度が現行制度よりベターであるという確信のもとに出しているわけでありまして、あなたは制度も運営も含めていろいろなことを言われましたけれども、今の公選法を初め政治資金規正法は、かつてのようなそういう制度ではありませんね、御承知のように。我々はそういう制度の中で運営も良識を持って粛々とやっていく。  候補者の選び方は、あなたはあなたの言い分があるかもしれません、私は私の言い分がありますよ。だから、それは各党が責任と自信を持って選ぶわけでありまして、その結果を審判するのは国民であります。(発言する者あり)
  81. 児玉健次

    ○児玉委員 あなたは、提出者が提出者の席からそんなことを言うんですか。提出者の席からそんな不規則発言をするのですか。失礼じゃないですか。提出者というのは節度を心得てもらわなきゃいけない。質問になっていないとは何ですか。(発言する者あり)
  82. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御静粛にお願いします。  児玉君、質疑を続けてください。
  83. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、私は言いたい。  こういう多くの問題点が出てきている。そして選挙制度というのは、国民の参政権の根幹ですね。そして議会制民主主義の土俵をつくるものでもあります。日本国憲法の前文はどの言葉から書き出しているか。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」これが前文の出だしじゃありませんか。  まず個人名を書くことを投票用紙では誘導しておいて、そして皆さんは、究極的には政党を選ぶ選挙だと言いながら、投票用紙ではそのようにしむけておいて、そうしてそれが政党投票箱に入った途端に、松浦さんの言葉じゃないけれども、平均点以下の候補者に移譲されて、その部分が浮上してしまう。どうしてそういう人を正当に選出された議員と言えるでしょうか。  これは、皆さん、もう一回真剣に考え直すことが、もしあなたたちが参議院議員、良識の府だとおっしゃるんだったら、そのことを示す具体的なあらわれじゃありませんか。  かつて、衆議院選挙制度、小選挙比例代表、これが衆議院で論議をされて参議院に行ったとき、参議院はその法案について十分な審議をされて、本会議で見事に否決されたじゃありませんか。両院のよさが見事に発揮された。私たち衆議院の野党は、その道を今度衆議院でぜひ歩みたいと考えている。参議院が良識の府であったら、このようないびつな仕組みは引っ込めたらどうですか。いかがですか。
  84. 片山虎之助

    片山参議院議員 きのう来何度も申し上げておりますけれども、二十年の歴史の中で、たび重なる検討を経てこの案を提出いたしたわけであります。その辺は御理解を賜りたいと思います。
  85. 児玉健次

    ○児玉委員 真摯な討議をしようとなさるのであれば、やはりかみ合わせていただきたいですね。こういうふうに、投票用紙では政党を書くことを第一義にしておいて、そして、ただしというのはまさに例外的な場合ですよ、そのとき個人名を書くことができるとしておいて、そして政党を選ぶ選挙だと強弁して、さっきのシミュレーションのように、皆さんの悪政の結果国民の批判が集中する、そこでの得票減をこのような選挙制度によって補う、全くこれは選挙制度の名に値しませんね。  私は、皆さん方が真剣に考えて、そしてこれを短時間でむちゃをやるというようなことは決してしない、提出者としてもそのように努力をしてほしいし、委員長に、せっかく委員長が席にお帰りですから、その立場で委員長の務めを果たしていただきたいということを述べて、私の質問を終わります。
  86. 自見庄三郎

    ○自見委員長 北川れん子君。
  87. 北川れん子

    ○北川委員 社民党の北川れん子といいます。よろしくお願いします。  きのう、きょうとこの特別委員会での御答弁を聞いていますと、ある質問には参議院での政党化が進み過ぎると言われ、ある質問に対しては個人の顔が見えるようにするためと、矛盾したお答えがそれぞれ返ってきているのを聞いていますと、それだけで非拘束名簿式のあいまいさが物語られているのではないかと、委員席にいて思っていたわけです。コインの裏表の拘束と非拘束拘束がだめなら多分非拘束もだめなわけで、順位のランクづけを予備選で市民や有権者に任せた方が透明性が高くなるのではないかと、私などは思ったりするわけです。  さて、この制度導入されて一番不利になるのは、女性やまたマイノリティーな意見を持っている者だと私は思っています。  九五年、北京世界女性会議の行動綱領でも、政策決定分野に少なくとも三〇%は女性が占めるべきというふうになっており、今参議院ではやっと一七%です。  そこでお伺いいたしますが、この方式が導入された場合に、クオータ制の導入は可能になるのでしょうか。どちらかの性が四〇%以下にならないようにするというのがクオータ制なんですが、今の非拘束名簿式比例代表制導入されたら、クオータ制の導入を実現することはできるのでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
  88. 片山虎之助

    片山参議院議員 クオータ制というのは確かにありまして、例えばフランスなどでもその検討がされているようですが、我が国ではやはりいろいろな議論があるんですよ。お考えはよくわかります、私もよくわかるし、参議院に女性議員がふえていただくということは大変私は結構なことだと個人的には思っておりますが、やはり憲法の議論で、例えば思想、信教の自由からいって、政党はそういうことになりますよね。その場合に、全く男性だけの政党というのもあり得るわけです。  そのときに、四割は女性をということが憲法上の解釈として、あるいは法のもとに平等という条文がありますよね、その場合に、性別による平等というのもあるので、あらかじめ何割かをきちっと固定することが憲法上いかがかという議論があるので、私は、考え方としては大変傾聴すべき意見だと思いますけれども、憲法論を含めてなお検討すべき問題ではないか、こういうふうに考えております。
  89. 北川れん子

    ○北川委員 今すべてが男性党なわけですよ。男性党の中に、幾ばくかの時代の近代化の中で女性が含まれている。そういう状況の中で、先ほど私は、男性、女性どちらかの性が四〇%以下にならないのがクオータ制なので、どちらの性にとってもいい制度なわけですね。  それで、私たち市民、有権者の場合に、今、あらゆる政策の決定の場ですので参議院に女性がふえるのがいいというお答えはちょっと残念だったんですが、そのときに、非拘束名簿式だとお願いに行くことができないわけです。少なくとも名簿式で順位が決まっていれば、順位上位に女性を挙げてくださる、そういうお願いを私たち市民は市民の立場でできるという可能性が残されている。非拘束のときにはそこがすべて考慮されないわけですね。  先ほども出ていましたが、組織ぐるみ選挙とかがもっと加速化するということでありますと、余計に女性が出にくくなる。その辺では片山委員は、女性の政策決定の場への進出に対してどのようにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  90. 片山虎之助

    片山参議院議員 私は、先ほど申し上げましたのは、クオータ制を法律上の制度としてきっちり導入することは憲法の関係の議論をクリアしなければならない、こう申し上げました。  ただ、現在の拘束なり、これから我々が導入させてほしいとお願いしております非拘束なりでは、各党の御判断で、拘束の場合にはずっと女性を並べられるんで、非拘束の場合にも、社民党さんは女性議員が多い、党首も女性でございますので、女性の議員を圧倒的に名簿登載の候補にされたらどうでしょうかね。私は、各党のお考えで運用上ある程度対応できるんではなかろうか、こういうふうに思っております。
  91. 北川れん子

    ○北川委員 それは、あらゆる政党が今のクオータ制、女性の政策決定の場への進出を認識されるという、片方の性が女性、それが余りにも少な過ぎるということがおかしいということで議論がこの間高まっているわけですから、あらゆる政党にその意識を持ち込むということは憲法違反でも何でもないと思いますので、ぜひ、非拘束にはクオータ制の導入は無理だということをここで確認させていただきたいと思います。  そして次に、韓国の方では、落選運動が広がり、一定程度実績を上げました。日本でも同様の運動が広がりを見せておりまして、不適格者を公表するという時代に入っているわけです。  落選運動のリーダーの朴常任執行委員長の選定基準というのがありまして、一に不正、腐敗、二に選挙法違反、三が反人権的な意識を持つ人、四が地域間の対立感情を扇動する等々、七つぐらい挙げられているわけですが、これを裏返して言うと、ムードではなく実質的な清潔さ、これは、言葉だけではなくて、公職につく人の情報、人生、すべて公開されるべきだというのが市民の基本的な基準に今はなっているわけです。世の流れがこうなっているというのをぜひ御理解いただき、候補者の条件というのが重要なポイントになってくると思うんですね。  久世問題と同様に、今、KSDの問題では、村上正邦参議院議員や小山議員のお名前が挙がっております。KSD、財団法人ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団が、任意団体KSD豊明会を通じて、政治団体である豊明会中小企業政治連盟、豊政連に資金が流れ、豊政連はKSD会員を本人の了承なく自民党員として、あわせて党費も肩がわりしていたというものでありますね。  なぜ無党派層がふえるのか。これはもう今の、利権、金権から脱却したい。利権、金権から脱却して政党の質を変えるということが政治改革でありまして、政治家を変えることが一番の早道なわけですよ。政治家を変えるということは、候補者の条件を変えるということが重要になってきます。  そこでお伺いいたしますが、自民党参議院比例代表候補者の条件、これは何ですか。そしてまた、今回の選挙制度の改革によって、その条件は変わるのでしょうか。
  92. 須藤良太郎

    須藤(良)参議院議員 今度制度が変わりますと、今までの基準は変わると思います。  ただ、政党の基準というのは、それは戦略的なものもありますから、各党余り公開はしていないところもありますが、私どもは、今回変われば、いわゆる候補になれる基準は党員二万人というような案を自民党は持っておるわけであります。
  93. 北川れん子

    ○北川委員 党員二万人というのは、何も変わらないということになるんじゃないでしょうか。今、党員二万人の問題というのが出てきていますね。では、二万人以上獲得した方が順位が上に行くということでは変わらないということのお答えになるんでしょうか。
  94. 須藤良太郎

    須藤(良)参議院議員 ちょっと誤解があると思いますけれども、要するに、自民党としては、いわゆる比例代表拘束、非拘束で出る場合に、二万人の党員がないような方だとこれは資格がない、こういうふうに考えておるわけでありまして、こういう選挙制度で出るのはそれなりの、いろいろの条件なり環境を持っていなければなかなか難しい、そういう点からやっておるわけであります。
  95. 北川れん子

    ○北川委員 少なくとも一億近くのお金を持っていないといけないということに聞こえてくる面もあるんですが、実は、社民党では、去る十月十九日、二十、二十三日の三日間、中小企業の利権問題と言われているKSD問題のホットラインを開設いたしまして、ファクスや電話で二百件余りの情報を寄せていただきました。実名を出しての内部告発も含まれており、KSD本社の方にも調査団を派遣していく予定です。  多くの会員は取引先の銀行や信用金庫等の勧めで加入しており、融資の条件として入会を強要するなど、金融機関によって半ば本当に強制的に加入をしたケースなどもあったわけです。これは、信用金庫法第五十三条に定められている信金の事業以外の事業である、信金法に抵触する可能性がある、そういうことも含めて問題は深みにはまってきたというふうに思うわけです。  社民党は、KSDの支援を受けていたとされる村上正邦、小山孝雄両参議院議員、そして、古関忠男KSD前理事長、また、信用金庫関係者の証人喚問を要求し、各地での公聴会を要望いたします。ぜひ実現をしていただくようにしたいわけですが、お答えいただけますでしょうか。
  96. 自見庄三郎

    ○自見委員長 後刻理事会で協議をいたします。
  97. 北川れん子

    ○北川委員 ぜひ前向きな協議をお願いいたします。  では、これで終わります。     —————————————
  98. 自見庄三郎

    ○自見委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、明二十五日水曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 自見庄三郎

    ○自見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次回は、明二十五日水曜日理事会、委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時六分散会