○赤羽
委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
まず、質問に先立って、今般の
東海豪雨災害、また、全
島民が離島を余儀なくされております
三宅島の
被災者の皆さん、またその他の、
新島、
式根島、
神津島の、
噴火、
地震災害で大変な
被害を受けられた
被災者のすべての
皆様に、心よりお
見舞いを申し上げる次第でございます。
きょうは、限られた時間でございますが、先ほどからの御質問のやりとりを聞いておりましても、今の法律の中でいろいろな問題点が指摘をされておるところでございます。
今し方、民主党の方の質問の中で、
被災者生活再建支援法、
全壊、
半壊の
基準、
床上浸水で
被害を受けられた方にこれを認定してほしい、こういう御
要望もありましたが、私は、それは立法府の問題であって、現状の法律の中で、
床上浸水の方の一部しかこの
適用を受けることのできない法律の現状だということを認識しながら、我々立法府の仕事として、その法律の問題点をどうしていくのか、こういったことが必要なのではないかというふうに思っておりました。
私も、その観点で、扇
長官も神戸の御出身で、五年前の阪神・
淡路大震災、特段、
現地の事情をよく御理解いただいておると思いますし、私もあの震災で住む家を失った
被災者の一人として、あれから五年余りの
経過の中で、きょうは三十分の中で
被災者生活支援法に関することについて議論をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、質問に先立って、扇
長官におかれましては、御就任早々今申し上げましたようなありとあらゆる自然
災害に直面され、大変な御奮闘をされていることに心から敬意を表する次第でございます。
また、ちょっと脱線しますが、公共
事業の見直しとか入札方法に関しましても、この臨時国会、大臣の御英断で新しい法律が提案をされる段取りとなりました。まさに政治的なリーダーシップ、政治的な決断というものが、今の法律で問題が出た場合、まさに政治的なリーダーシップが必要なんだなということを扇
長官の今回の闘いで非常に実感をし、感銘もしておるところでございます。
その観点から、この
被災者生活再建支援法につきましても、現状私が感じている問題点について指摘をさせていただきたいと思います。それが大臣の答弁となりますと、役所の方も、後ろからまあまあと言ってそでを引っ張るような局長もおらないと思いますが、非常に難しい話で実のない議論になってしまうと思います。修正をするならするで、それは我々の仕事としながら、この
噴火、
地震災害、
豪雨等々、こういったことについて、これからどうしていくべきなのかという
建設的な立場に立って率直な御意見を聞かせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
まず、阪神・
淡路大震災のときに、個人補償ができないのか、こういった大変な議論がずっと引きずりました。
その個人補償を求める声の論拠となっていたのは、実は
災害救助法という法律がございまして、二十三条の一の項目の七番にこういう文があるんです。生業に必要な資金、そして器具または資料の給与または貸与ができる、生業に必要な資金の給与または貸与ができる。こう言って現金支給が
災害救助法で担保されたにもかかわらず、実は厚生省の次官通達というものがございまして、
災害弔慰金の支給法の資金貸与制度の運用で
対応するんだ、ただし現金は支給できませんよ、こういった
政府の主張があったわけであります。
〔
委員長退席、
稲葉委員長代理着席〕
その中でどういったことが起こったかといいますと、雲仙・普賢岳とか奥尻とか、義援金の配分が一
世帯当たり一千万近くあったところは、実はその義援金に加えて自己資金で自己再建ができていった。しかし、残念ながら神戸の場合は、これは
被災者が二けたぐらい違いましたから、
全壊でも三十万円
程度だったと思います。私もその
程度はいただきましたが、三十万円
程度ではなかなか再建ができない。職業、生業を失った
被災者の皆さんは、実はなかなか自宅の再建ができずに、大変な数の公営住宅に移ることになった。こういった
状況がありました。公営住宅も、十万近い公営住宅をつくりまして、結果としては、神戸市の
財政が今後どうなっていくのか、もう暗たんたる
状況になったという、非常に矛盾もあるということであります。
難しい質問は局長に任せていただいて後で聞きますが、もう一つ、ちょっと笑い話みたいな話なんですが、
災害救助法にかかわって、
避難所で毎日毎日お弁当が出ていたわけです。食中毒が怖いものですから、フライ物が毎日出ているんですね。高齢者の人が食べられない。二カ月ぐらいしますと、ぼちぼち神戸市のお店もやり始めたんです。皆さん、神戸市にあるお店を開いても、お客さんが来ないから、商売もなかなかうまくいかない。
実は、神戸市議会で我々の公明党会派が、食券を配るべきだ、千円ぐらいのお弁当を用意するんだったら、それに見合う、神戸市内の店舗で使えるような、商品券じゃありません、
地域振興券ではない、食券を配るべきだ、こういうふうな提案をしましたが、市長というか市側は、それは気持ちはよくわかるけれども、今の法律ではそういうことはできません、税金というものはその使い道まで責任を持たなければいけないんですと。ですから、現物支給、現金にかわる支給はできないんだというやりとりの中でお弁当が配られた。食べられなくなる
被災者がいっぱいいる。同時に、お店もなかなか
復興しない。私は、こんなばかげた話はないな、何ゆえにここまで現金支給はできないということにこだわるのかな、こういった思いもいたしました。
しかし、ちょっと翻りますと、アメリカの場合はどうか、こういう議論も随分ありました。個人の自立をとうとぶアメリカ、若干
状況は違いますが、アメリカの法律では、みずからの意思によらず自立の基盤が奪われた
被災者に対しては、財産補てんの意味合いを含め
支援する枠組みがありまして、最高二万二千五百ドル支給される、こういった制度があるんです。アメリカではそういったこともあるのに、
日本は、防災行政なのかどうかわかりませんが、個人の財産補償につながるような現金支給は頑としてしてこなかった。これは非常にハードルの高い議論でありました。
しかし、その中でも、個人の家の解体をどうするのか。解体も、個人の家の解体なんだから自分たちでやるべきだ、当初そういう議論があったんですが、これをやっていきますと全く
復旧が進まない。これが判明しまして、恐らく、それを放置することが著しく公益に反する、こういった大義名分を立てて、これは画期的だったと思いますが、現金支給ではありませんが、個人の家の解体についても、あのときは、小里
地震担当大臣がこの
災害対策特別
委員会の議論を受けて、本当に政治的な英断で、史上初めて、すべて国費で解体処理を負担した。これは一つの、あの阪神・
淡路大震災でブレークスルーした大きな施策だったというふうに思います。
それに加えて、
被災者生活再建支援法、これは議員立法でありましたけれども、時間もかかりましたが、これも個人補償ではないかもしれませんが、具体的には現金支給、こういった法律ができ上がったわけであります。あのときの、要するに法律ではできなかったことが、いろいろな教訓、体験を通して具体的に新しい法律ができ上がったということであります。
ですから、今回の大変な大
災害、こんなに五百何ミリも雨が降るような
豪雨も予想できませんでしたし、全
島民が
避難する、こういった話もあり得ない、想像ができない
被害でありましたが、今回の
被害を分析して、今、国としてできること、また法律の限界性というものを見きわめながら、手直しができるところは手直しをしていくべきではないかというふうに思っております。
その一つは、先ほどからの指摘もありました
東海地方の今回の
豪雨水害については、
全壊世帯三十
世帯、
半壊も七、八十と聞いておりますが、恐らく
半壊は解体要件が必要ですから、この中で
被災者生活再建支援法の対象になる方は極めて少ない。現実に、いまだに二百名以上の方たちが
避難所に
避難をしているわけでありまして、なかなか自分の
生活基盤が回復しない方がいる。しかし、今の法律はなかなか機能しない。
先ほどのお話にもありました西枇杷島町、これは有名になりましたけれども、ここについても五千
世帯近い
床上浸水があった。しかし、そこは実は一
世帯も
全壊、
半壊がまだ認定されていない。今回の
東海地方の
豪雨災害でも、全部で二万七千
世帯以上の
床上浸水がありながら、実は
全壊認定されているのは三十
世帯足らずだ、こういった現状があるわけです。
三宅島については、これはもう法律上しようがないんですが、全
半壊の確認がとれない。ガスがあれで島に近づけない。しかし、もう既に昨日で全員離島して一カ月たった。一カ月たって、極めて不自由な
生活をしているわけです。そういった人たちに対してこの再建
支援法が発動できない。これは、やはり今の法律に限界があるというふうに思っております、後ほどまたゆっくり話したいと思いますが。
生活基盤というのは、家がなくなる、住んでいる家がどうか、こういった議論でありますが、恐らく
三宅島の方は、
漁業、農業と自営の方ばかりでありまして、
観光業も含めて、そういった人たちが生業がやられた。家がどうなっているかわからない上に、生業はもう完璧に、今収入の道は断たれているわけですね。そういう人たちに対して今の
被災者生活再建支援法は発動することができない、こういう事実があるということだと思います。
そこで、
被災者生活再建支援法の目的というのを読みますと、こうなっているんです。これは、自然
災害によってその
生活基盤に著しい
被害を受けた者が対象になりますよ。その人たちが経済的理由等によって自立して
生活を再建することが困難なものに対しまして、その自立した
生活の
開始を
支援することを目的にした法律ですよ。ですから、
生活基盤がなくなりました、当然、家具も何も失いました、その人たちが新しい
生活を再建するに当たって、なべかまを初めテレビや電気洗濯機や冷蔵庫を買うに十分とは言えないまでも、足してもらうような現金支給をしましょう。こういった目的があるわけであります、そこに幾つか問題があるんですが。
被災世帯というのが定義されているわけです。この法律の対象となる
被災世帯というのはどういうことかというと、その居住する住宅が
全壊した
世帯もしくはそれと同等の
被害と認められる
世帯。要するに、
半壊して解体した
世帯もしくは
全壊した
世帯、こういう認定だったんです。阪神・
淡路大震災のときは、
地震の結果ですから、
床上浸水とかという話はありませんでしたので。
ただ、ここが矛盾のまず一つでして、要するに、
全壊したのは私の資料では十九万
世帯だったんです、阪神・
淡路大震災のときに。ところが、
全壊した
世帯がすべて解体しているとは限らないんですね。消防庁の調べでは、十二万
世帯が解体している、七万
世帯は修繕したまま何とか
生活していくと。ですから、
全壊認定を受けていても、その家を修繕して住み続けている
世帯が実は七万
世帯あった。しかし、その人たちはこの
被災者生活再建支援法の
指定は受けているんですね。
一方、
半壊はもっと多いんですが、
半壊した
世帯では解体しないとだめですよと。それは一義的にはわかるんです。解体するほどひどいダメージを受けたところはそうでしょう。ところが、やはり例外が出てきまして、住めないような
状況なんだけれども、実はこれは大家さんの持ち物で、大家さんは再建できる経済能力がない。そういうところが結構多かったんですね、持ち家の話だけじゃありませんから。そうすると、解体はできないよ、こうなった場合には、そこに住めないから、その人たちは賃貸住宅を出ているわけです。その人たちはこの例から漏れるわけです。これを見て、非常にここに不公平感が出たというのが
被災者生活再建支援法の一番の問題だったというふうに僕は思っております。
これは
地震の直後で、何とか国民の要請にこたえなきゃいけないという議員立法ですから、それは落ち度があってある意味では当然だというふうに思います。すべて万能な法律じゃなかった。その中でやはり一番問題だったのは、認定要件がどうか。
全壊並びに
半壊の解体、こういったことが実は結構
被災者の中で大変な不公平感を生んだ。
それに加えて、今回は
床上浸水という概念をどうするかということが非常に問題なんじゃないかと思うんです。
床上浸水でもすごく幅があると思うんですね。壁が腐ってなくなった、実質的には
生活基盤を失ったという
状況の方に対してどうフォローしていくのか。この
床上浸水についてどう
考えるのか。
今の法律では、
半壊になったのか、
半壊で解体するような
状況になったのか、
全壊なのかということにこだわらなければいけないんです。しかし、これは率直に言って、私たちが当時、私も衆議院議員でしたけれども、この法律をつくったときが阪神大震災の教訓を生かしたということで、
地震災害の教訓として、罹災証明が
全壊、
半壊、こういったことから出てきた、やはり欠落した視点ではないかというふうに思うわけです。
ですから、ここは、今どうしろということではありませんが、現実には、
床上浸水でありながら、もう一月近くたっても
避難所にしかいることができない、自分の家に戻ることができない人たちがいるわけでして、こういったところ、全部が全部じゃありません、二万数千
世帯ありますけれども、そういった人たちは多分ごく一部、二百数名ですから、そういった人たちに対してもカバーできるような知恵を
考えていかなければいけないんじゃないかなというふうに思います。
その点について、大臣の御感想というか、その部分についてどう思うか、まあお答えにくいかもしれませんが、きょうは大臣に御理解をしていただくということが主なんで、何かしっかりした答弁をということではないんですが、そこの点についてまず。