○阿部
委員 この論議、先ほど来何人かの方も聞かれましたが、結果において平行線のように思います。高額
医療費の
負担ということにおいても働く中堅層が不安を持つような
医療保険システムであるということは、信頼性において大変マイナスであると思いますので、なおよろしく御検討のほどお願いいたします。
また、一昨日の
厚生大臣のさまざまな御答弁の中で、私は
医療現場におりましたが、この問題を論ずるに当たっては一
国民の立場、
医療を利用する立場から論議を進めるべきであるという御
指摘もいただきました。そのような立場に立つといたしますとすれば——実は、私は自分の母親を二十年前、救急
医療のたらい回し七カ所の中で亡くしました。その当時非常に救急
医療はずさんでございまして、このことを当時の社会党の山本議員に国会でも取り上げていただきました、救急
医療の改善に向けて。そして、今回、私が特に看護人員のことを取り上げておりますのには、私の個人的な事情がございます。実は、私は一昨年兄を亡くしました。
今回の論議が一般病床あるいは療養型病床の二つの
区分の中で論じられておりますが、実はどちらの病床においても
高齢化の波は押し寄せております。どういうことかというと、一般病床だから若い人が多い、療養型病床だから
年寄りだというのではなくて、既に一般病床の中に御
高齢者がたくさんおられます。
どういうことかというと、六人のハイケアユニット、高度集中治療室の中に兄は収容されました。そして、そのうち四人が御
高齢者で、三人が痴呆状態でございました。六人の
患者さんを見るのに、先ほど文部省のお答えにもございましたが、この方たちのうちに半数痴呆があれば——申しわけございませんが、二人は呼吸器をつけておられました。チューブも呼吸器もいつ抜くかわからない。そして、骨折をされておりましても、本当に不思議なことに
ベッドからおりようとなさるわけです。今の一般病床にも押し寄せる
高齢化の波の中で、私の兄は一番いい
患者でした、聞き分けがあり、手のかからない。それゆえに、モニターもつかず、看護婦さんの回診の目からも逃れ、死後六時間たって発見されました。
私は、私自身が
医療供給サイドにおり、また、私が一生懸命頑張ってきた
病院、その中で起きたことですので、看護婦さんたちの労働実態も知っております。夜勤三人の看護婦さんが六十数
ベッドを、おまけに呼吸器が五台。これでも基準はちゃんと満たしております。一対二・五以上の看護婦を配置した病棟でございます。これでも、何度も申しますが、うち四人が御
高齢者が入ればてんやわんやでございます。看護婦さんは、それこそ食事をする間も、寝る間も、仮眠などとれるわけもございません。
私はこうしたことを経験しまして、やはりこれは日本における圧倒的な看護婦の不足、すなわち
医療には人手もかけず金もかけずとやってきたことが、私が勧めた
病院で兄を亡くしたもとになったと思いました。せめて死に際には会いとうございました。六時間たって発見された兄を前にして、私は申しわけないとも思いましたし、政治を変えなくてはと思いました。
医療現場で一生懸命頑張りました、看護婦の増員も含めて。しかし、きちんとした
診療報酬上の対応がなければ
病院もこれ以上やっていけません。
そこで、一昨日の
質問に振り返ってもう一度お願いいたします。看護婦の増員の見通しについて、
平成十三年以降についての見直しが行われているとお答えがございましたが、具体的な数値目標について再度お聞かせくださいませ。
そして、これが今
国民の多くが一番求めている
医療の質、きょうも家西さんからも御
質問がございました、質こそ
国民が問うているものでございます。モニターにしろ人手、監視体制にしろ何にしろ人手がネックでございます。幾らチェックリストをつくっても、それをチェックするのは人でございます。その点に関して、
厚生省の増員計画は断固たる増員の見通しをもって、それはもしやして
医療費の多少の高騰を生むかもしれません、しかしながら、命にかえられるものは何事にもございません、その信念を持って進んでいただきたいので、一昨日の
質問に数値をもってお答えくださいますようにお願いいたします。