○阿部
委員 福島政務次官もようく考えてくだされば、今の御
答弁は、単純に言えば、世の中が不
景気になったから
高齢者医療費が思ったほど下がらない、むしろ高騰した。こんな、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな論法では、やはり
国民は納得できません。
結論的に申しませば、
医療の
構造改革に踏み込まないから、いつまでたっても
医療費の高騰要因はそのまま据え置かれるわけです。そして、その結果を
国民負担に持ってくるなということが、先ほど来私どもの何人かが同じような
質問をしていた理由です。
この点は、どちらが先かという論議は大変重要でございます。
さきの自社さ連立政権時代にも
合意されました
医療の
構造改革は、踏み込んでやるべきだ。そのめどは二〇〇〇年でありましたが、先ほどから
平成十四年にずれたようではありますが、その中では決して本質的な解決ができませんし、
国民の納得する解決ができません。
あわせて、重ねて申し上げますが、
医療の
構造改革をまず先んじて、青写真、
国民へのお約束を出すべきです。
政治家は約束を出してこそ
国民に信頼されます。また、それが万が一うまくいかなかった場合は、きちんと
自分たちの反省点を出してこそ前に進みます。あいまい、うやむやにしたままで重ねて
国民負担をこのように強いる今の
厚生省行政は、何度も申しますが、これは失望、絶望以外のものではございません。私は、日本の国が、戦後これまでとやかく言われながらも世界一の長寿国、そして、乳幼児死亡率が低い状態に導き得た
厚生省行政を評価しております。その点からいっても、今回のことは再度御勘案をお願いしたいと
思います。
引き続いてもう一点。実は、先ほど来の論点の一つに、
高齢者にも
負担してもらおう、なぜならば、御
高齢者も今どきは貧しくないのだよ、若者と比べても遜色のない収入があるじゃないか。大変平易な言葉で言わせていただきますが、これが厚生白書等々でも
指摘されております。また、昨日
報告の出ました
有識者会議の
報告でも、変な英語が使われておりましたが、フローとストックがあって、ともに若年層と変わらないのだよという分析でございました。
この厚生白書にはいろいろな統計操作上のうそがございます。どういうことか。まず、
高齢者世帯とその他の世帯の比較をいたします場合に、実はその他の世帯にも
高齢者が含まれているのです。
高齢者だけの世帯と、
高齢者を含んだその他の世帯を比較したり、あるいは五人家族で一千万円の収入、この五人の中には赤ん坊が入って、赤ん坊が二人、大人が三人、そうすると、一人の所得は二百万。
高齢者も二百万。だから、若い層と
高齢者は変わらない。ゼロ歳、一歳、二歳の子まで入れて平均すればそうなるでしょう。やはりここも実相を見ていただきたい。
とりわけて、私は二十六年間
医療現場におりまして、
医療にかかられる
高齢者の実相は、この白書ではとても及びもつかない現状でございます。ここでなすべきは、あえて言えば、
医療高齢者白書というのをつくってください。
厚生省がつくっている今の厚生白書では、
医療にかかっておられる御
高齢者の実態、どれくらいの現金収入がおありか、ストックの
部分はどれくらいか、そして御自由にできるお金がどれくらいおありか。このことは随分
認識が違ってまいります。
そして、その点は先ほどの瀬古
委員の御
質問ともオーバーラップいたしますので、
厚生大臣に私のきょうのお願いでございますが、
医療にかかられている御
高齢者のプロフィールをきちんと分けてつくっていただきたいと
思います。それなくしては、老人が金を持っている、持っていないという論議の一般論にすりかえてしまったら——実は
医療弱者である御
高齢者、大体六十歳以上で一生の
医療費の六二%を使うわけです。圧倒的に出が多いわけです。頻度も多いです。また、
高齢者世帯は、一番多い層が世帯収入で二百万前後。その次の層でも、実に五七%が三百万円以下の世帯収入で暮らしておられます。ぎりぎりの低所得者層にはならずとも、そのすぐ上にたくさんの層がいて、そこが
医療に来やすいシステムにしておかないと、逆に言うと、これは
国民に非常に大きな
意味の貧しさを生みます。
あわせて、今の厚生行政で示すべきは、
厚生省としてとるべき理念だと
思います。このことが
国民に見えないから、例えばこの国で老いるとはどういうことか、
自分たちをどう扱ってくれるのか、そのことがきちんと伝わらないと、やはり大きな不幸のもとになると
思います。
医療高齢者白書について、
津島厚生大臣の御見解を伺います。