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阿部委員 私のお伺いしたかったのは直接の動機でございますが、今の
お答えは動機に触れるものではないと
思います。
そして、動機を憶測いたしますと、民主党の
皆さんも提案の中に込められました、ES
細胞が
現実に
ヒトにおいて
作成されるようになったというこの事実は、非常に大きなものがあると
思います。やはり事実認識の上に立って法案の
作成は
考えられなければならないと
思います。
引き続いて、二点目でございます。
その事実認識、
一つは、かかる
研究分野での新たな発見、
技術の進展があったと同時に、さはさりながら、実際に
卵子、精子、
受精卵等々が発生するのは、先ほ
ども申しましたように間違いなく医療
現場でございます。そして、このことを
提供するのも、間違いなく一人一人の個人でございます。
そして、非常に残念なことに、実は
科学技術関連の
会議におきまして、本来、
提出者である、これは法案ではございません、
卵子とか精子、
受精卵の
提出者である御本人
たち、とりわけ体外
受精を経験された
方たちから直接にお話を伺う場がなかったことは、私は非常に、この
審議における、ちょっと差別用語ですが、片手落ちになると
思います。なぜならば、その
方たちがどういうお気持ちで現在の体外
受精医療をお受けになり、また、どういう点に不安ないしは不満をお持ちになり、とりわけ
受精卵の扱いにおいてどのような不安をお持ちであるかということについての認識が薄いように
思います。
体外
受精を経験された
方たちがつくられた患者会がございまして、
皆さんのお手元にもきっとファクス等々で届いておりましょうが、フィンレージの会と申しまして、そこでの諸アンケートを拝見いたしましても——会の方では送られたというふうに私にはファクスがございましたが、もしまだでしたら、
大島科学技術庁長官のお部屋に恭しく持ってまいります。フィンレージの会という、八百五十九人の体外
受精を経験された
方たちの会がとったアンケートでございます。
御自身
たちの
受精卵がどのような形で保存されているか。凍結保存の期間あるいは現状について、約六割はわかっているが、四割の方はおわかりないと
お答えになったり、あるいはまた、産婦人科学会の
ガイドラインによれば、
受精して胎内に戻す
受精卵は三個までという
ガイドラインがございますが、
現実には四個以上戻されている方が四割ございましたり、なかなか医療
現場は
ガイドラインどおりにはいっていない現状がございます。そして、そのことに大変不安を抱いておられます。
この法案が通ったならば、例えば、あなたの
受精卵は人クローン胚の生成に使いますよとか、あるいは
動物の精子とかけ合わすことがあるかもしれませんよとか、あるいは凍結保存してどなたか第三者に譲り渡すことがございますよとかいう
説明をきちんとしてくださいという要望が出されております。
これらは、非常に当然な、いわば自分
たちの遺伝的
情報を持った
受精卵が、あるところでどのように
利用され、また、どなたかに、せんだっての
厚生省の
審議会を経ますれば、これからは凍結卵を違う夫婦に
提供することも可能になったわけであります。
提供した側も知らずして実際にそこに
生命として誕生したり、
提供した側が、例えば本当に
動物との、もちろんそれを胎内に戻しません、キメラ、ハイブリッドではございませんが、胎外でも交雑しますよということに、本当にイエスと言っているか。そのお一人お一人に、あなたの
受精卵、あなたの胚はこう使いますよというふうな
同意がとられる必要があるものだと
思います。
現代という時代は、
人間の身体というものが非常に重要な
意味を期せずして持ってしまった。いいことばかりではない、
受精卵から臓器移植まで、非常に不思議な時代になってしまいました。そして、そのことを幾重にも歯どめしていく上でも、まずは当事者
たちの
同意、それから
社会的な
合意の形成、二段階、かてて加えて大切と
思いますが、実は一段階目も、体外
受精を経験された
女性たちにとっては達成されていないのが現状でございます。こういう中で何かが決まりましても、本当にそれは、先ほど申しました屋上屋を重ねる非常に抽象的な論議、大体この論議は難しゅうございますから、そして
国民には浸透しないという事態が発生すると
思います。
あわせて、
大島科学技術庁長官が指摘されましたように、私は医療
現場ですが、大変情けないことが起きております。と申しますのは、
ヒトの組織等々の
取り扱いにおいてです。
例えばですが、平成十一年五月十九日、八十一病院に調査いたしました
ヒト組織の
取り扱いということにおいて、その中で、例えば、あなたからいただいたこの組織はこういうふうに使いますよという
説明をしているのは、わずか一割から二割ということでございます。これは朝日新聞の一九九九年五月十九日の発表でございます。
あるいはまた、東北大学で、患者さん
たちに無断で、二千五百人から
採取した血液で遺伝子解析を行ったという報道がございまして、これが平成十一年十一月の二十六日。
引き続いて、平成十二年二月三日には、同じように、循環器病センターが地域の患者さんを検査して、フォローアップと称して遺伝子解析をしていた、しかし患者さんには何ら言っていなかったというような報道も、多々ございます。
これがまた医療
現場であることは大変に悲しゅうございますが、はたまた
厚生省にお伺いいたします。
このような御自身の身体、人体に対する
利用について患者側がほとんどインフォームされていないという現状について、
厚生省はどのように認識しておられるのか。
そして、
ヒト胚小
委員会におきましても、同じような記載がございます。これは
ヒト胚を扱う
研究についてですが、産婦人科学会の
ガイドラインどおりに、例えば、
受精後二週間以内の使用、医師による
取り扱い、
研究開始の学会への登録などを
要件として認めているのでございますが、実施状況等のフォローアップはこれまで行われておらず、今後の課題となっておると。
厚生省については、実施状況、産婦人科学会の
ガイドラインがある、ただ、どんなふうにフォローアップされているかは御存じないとみずから吐露しておられますが、このような現状下で、
受精卵の
取り扱いが非常に広く
研究利用されていく可能性があるということについての
厚生省担当官の認識をお知らせいただきたい。