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2000-11-15 第150回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年九月二十一日)(木曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 赤城 徳彦君    理事 木村 隆秀君 理事 菅  義偉君    理事 橘 康太郎君 理事 中馬 弘毅君    理事 玉置 一弥君 理事 赤羽 一嘉君    理事 工藤堅太郎君       奥山 茂彦君    実川 幸夫君       林田  彪君    保利 耕輔君       堀内 光雄君    松宮  勲君       御法川英文君    望月 義夫君       米田 建三君    渡辺 具能君       赤松 広隆君    奥田  建君       今田 保典君    永井 英慈君       伴野  豊君    細川 律夫君       前原 誠司君    高木 陽介君       大幡 基夫君    日森 文尋君       森田 健作君    二階 俊博平成十二年十一月十五日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 赤城 徳彦君    理事 木村 隆秀君 理事 菅  義偉君    理事 橘 康太郎君 理事 中馬 弘毅君    理事 玉置 一弥君 理事 細川 律夫君    理事 赤羽 一嘉君 理事 工藤堅太郎君       奥山 茂彦君    実川 幸夫君       林田  彪君    保利 耕輔君       堀内 光雄君    松宮  勲君       御法川英文君    望月 義夫君       米田 建三君    渡辺 具能君       赤松 広隆君    奥田  建君       今田 保典君    永井 英慈君       伴野  豊君    前原 誠司君       高木 陽介君    黄川田 徹君       大幡 基夫君    日森 文尋君       森田 健作君    松浪健四郎君     …………………………………    運輸大臣         森田  一君    運輸政務次官       泉  信也君    運輸政務次官       実川 幸夫君    政府参考人    (金融庁総務企画部参事官    )            田口 義明君    政府参考人    (国土庁地方振興局長)  芳山 達郎君    政府参考人    (大蔵省主計局次長)   津田 廣喜君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君    政府参考人    (運輸大臣官房総務審議官    )            洞   駿君    政府参考人    (運輸省運輸政策局長)  岩村  敬君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省自動車交通局長) 縄野 克彦君    政府参考人    (運輸省港湾局長)    川島  毅君    政府参考人    (運輸省航空局長)    深谷 憲一君    政府参考人    (運輸省航空事故調査委員    会事務局長)       中島 憲司君    政府参考人    (建設省道路局長)    大石 久和君    参考人    (首都高速道路公団理事) 北川  久君    運輸委員会専門員     長尾 正和君     ————————————— 委員異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   工藤堅太郎君     黄川田 徹君   二階 俊博君     松浪健四郎君 同日  辞任         補欠選任   黄川田 徹君     工藤堅太郎君   松浪健四郎君     二階 俊博君 同日  理事高木義明君九月十八日委員辞任につき、その補欠として細川律夫君が理事に当選した。     ————————————— 十月二十三日  気象事業整備拡充に関する請願中津川博郷紹介)(第三三一号) 同月二十七日  肢体障害者移動権交通権総合的保障に関する請願日森文尋紹介)(第三八一号)  同(細川律夫紹介)(第三八二号)  同(大幡基夫紹介)(第四二八号)  同(日森文尋紹介)(第四二九号)  公共交通機関におけるてんかんを持つ人たちへの運賃割引制度拡充等に関する請願金田誠一紹介)(第五六二号)  同(小池百合子紹介)(第五六三号)  同(坂井隆憲紹介)(第五六四号)  同(武山百合子紹介)(第五六五号)  気象事業整備拡充に関する請願日森文尋紹介)(第五六六号) 同月三十一日  気象事業整備拡充に関する請願(大幡基夫紹介)(第六五二号)  同(奥田建紹介)(第六五三号)  同(金子哲夫紹介)(第六五四号)  同(児玉健次紹介)(第六五五号)  同(中津川博郷紹介)(第六五六号)  同(葉山峻紹介)(第六五七号)  同(日森文尋紹介)(第六五八号)  同(藤木洋子紹介)(第六五九号)  同(細川律夫紹介)(第六六〇号)  同(筒井信隆紹介)(第七七八号)  同(日森文尋紹介)(第七七九号)  公共交通機関におけるてんかんを持つ人たちへの運賃割引制度拡充等に関する請願三井辨雄君紹介)(第六六一号) 十一月二日  気象事業整備拡充に関する請願赤松広隆紹介)(第八三九号)  同(今田保典紹介)(第八四〇号)  同(佐藤敬夫紹介)(第八四一号)  同(塩川鉄也紹介)(第八四二号)  同(日森文尋紹介)(第八四三号)  同(日森文尋紹介)(第九〇四号)  同(山村健紹介)(第九〇五号)  同(赤嶺政賢君紹介)(第九五三号)  同(日森文尋紹介)(第九五四号) 同月九日  気象事業整備拡充に関する請願日森文尋紹介)(第一〇三三号)  同(前原誠司紹介)(第一〇三四号)  公共交通機関におけるてんかんを持つ人たちへの運賃割引制度拡充等に関する請願古川元久紹介)(第一一三一号)  同(三ッ林隆志紹介)(第一一三二号)  同(山口俊一紹介)(第一一三三号) 同月十三日  公共交通機関におけるてんかんを持つ人たちへの運賃割引制度拡充等に関する請願田村憲久紹介)(第一二一一号)  同(水島広子紹介)(第一二一二号)  同(木村義雄紹介)(第一二八三号)  気象事業整備拡充に関する請願山井和則紹介)(第一二八二号) 同月十五日  気象事業整備拡充に関する請願日野市朗紹介)(第一三四六号)  同(東門美津子紹介)(第一四三六号)  公共交通機関におけるてんかんを持つ人たちへの運賃割引制度拡充等に関する請願堀之内久男紹介)(第一三四七号)  同(桝屋敬悟紹介)(第一三四八号)  同(中川智子紹介)(第一四三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件  観光に関する件     午前十時開議      ————◇—————
  2. 赤城徳彦

    赤城委員長 これより会議を開きます。  まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤城徳彦

    赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  それでは、理事細川律夫君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 赤城徳彦

    赤城委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 赤城徳彦

    赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  6. 赤城徳彦

    赤城委員長 陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として運輸省総務審議官洞駿君、運輸政策局長岩村敬君、鉄道局長安富正文君、自動車交通局長縄野克彦君、港湾局長川島毅君、航空局長深谷憲一君、航空事故調査委員会事務局長中島憲司君、金融庁参事官田口義明君、国土庁地方振興局長芳達郎君、大蔵省主計局次長津田廣喜君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び建設省道路局長大石久和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 赤城徳彦

    赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  引き続き、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として首都高速道路公団理事北川久君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 赤城徳彦

    赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  9. 赤城徳彦

    赤城委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥山茂彦君。
  10. 奥山茂彦

    奥山委員 おはようございます。運輸委員会で初めて質問をさせていただきますので、ひとつよろしくお願いします。  私は京都の出でありますので、関西経済浮沈というものは我々にとっても一番の大きな関心事であるわけであります。特に、この続いた不況で、関西経済は非常に落ち込んでおったわけであります。最近ようやくその明るさが見えてきたところで、その先行きにどうも黒い雲がかかったような、そんなニュースがこのたび飛び出してきたわけであります。  この月の八日の各紙で、関空の二期工事の推進に当たって、特に財政的な見通しが非常に不透明だということから、大蔵大臣が、この事業見直し等も含めて考えるべきじゃないかというような話があったわけであります。関空の二本目の滑走路が既にもう事実上建設事業化に入りつつあるこの中において、このような事業見直し、しかも場合によっては一時事業をとめることも考えていかなければならないのではないか、こういうふうな、関西経済圏にとっても大変厳しい話が飛び出したわけであります。  これは、関空株式会社事業先行きが非常にしんどい状態だということが当然考慮されての話であったわけでありますけれども、関空の社長は、二〇〇七年、二本目が完成した暁には会社経営黒字になるということをおっしゃっているわけであります。  しかしながら、来年度の予算案の編成に当たって、その一番のもとの大蔵省が、事業見直しをするべきでないかと。まさにこれは関西国際空港株式会社のみの問題ではなくして、近畿一円の府県もそれから市町村も全部関空出資をしておって、しかも、これまで大阪国際空港のみが関西空港ということになっておったわけでありますけれども、大阪空港は既にもう事実上は国際空港として使えない状態で、関空にすべて打ち込んでこれからの関西経済圏振興を図っていかなければならない、非常に期待が大きいわけであります。  このような突然の大蔵省並びに大蔵大臣見解が出されたということはまさに我々にとっても重大な問題であるという思いを持っておるわけでありますので、このことにつきまして、大臣並びにまた関係者皆さん方見解をひとつ聞かせていただきたいと思います。  特に、その中で、やはり一番のもとになる関空株式会社経営が非常に悪いと見られたわけでありますから、その点についてもどのように将来の見通しを持っておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  11. 泉信也

    泉政務次官 今委員から御指摘ございましたように、関西空港近畿一円に大変大きな経済効果あるいは関西経済圏の浮揚に役割を果たすということは御指摘のとおりでございます。また、マスコミ等でいろいろな報道がなされ、多くの方々に御心配をおかけしておることも事実でございます。  お尋ねのございました今後の見通し等につきまして少し御説明をさせていただきますと、いろいろな報道がなされておりますが、関西空港開港以来、国際線につきましては、旅客貨物も常にプラスの増加を続けております。絶対値で増加をしておるわけでございまして、特に国際貨物におきましては、過去五年間平均で約一九%というような大幅な伸びを続けております。  また、国内旅客につきましては、九七年、九八年、若干減少を見ましたけれども、九九年度は再び増加に転じておるということでございまして、アジアの経済停滞あるいは日本の経済停滞等はこういうところに影響しておったのではないかというふうに見ておるわけでございます。  空港会社経営全般については、過日発表がございましたけれども、開港後間もなく、いわゆる創業赤字状態であります。しかし、営業損益でいいますと開港以来ずっと黒字でございまして、一九九九年度は二百十五億円の黒字を計上させていただいております。  一方、借入金に係ります金利等を含めた経常損益につきましては二百三十七億円の赤字となっております。しかし、償却前の損益は百二十二億円の黒字でございまして、元本の一部について償還が順調に進んでおるという状況でございます。  今後の需要見通し等につきましては、関空会社の経費の節減でありますとか増収努力、そうしたことと相まって、長期的には経常損益についても好転をしていくという見通しを持っておるところでございます。関空会社からは、遅くとも二期供用前年には単年度黒字に達する、二期供用以降も、かた目の需要予測をいたしました場合でも、二〇一七年には単年度黒字、そして二〇三〇年には累積損失の解消が可能であるという報告を受けておるところでございます。  運輸省といたしましても、この会社見通し一つの見方あるいは分析と認識しておりまして、航空局長のもとに委員会を設けまして、経済の動向あるいは需要見通し、そうしたことを踏まえて今後の二期工事の進め方などを検討してまいる予定でございます。
  12. 奥山茂彦

    奥山委員 それをそのまま大蔵省に言ってもらって、大蔵省が本当にそれで了解をしてくれるかどうかということになるわけでありますが、確かに、おっしゃるように、旅客は二年ほど落ち込んで、貨物はずっと順調に伸びておるということは我々も承知をしておるわけであります。しかし、借り入れが非常に大きいわけでありますから、その金利負担が、少々の営業黒字が出ましても相殺されて、さらにまた赤字が出てくるというのが現在の経営の姿ではないか。  そういうことから、大蔵省の方が、無利息資金の調達を考えなければとても経営的には難しいというようなことを言っているわけであります。しかし、無利息のお金ということになってまいりますと、やはりこれからまたそれぞれ周辺の自治体など府県からの負担とかそういうものを追加でお願いしなければならないということになるのですが、今はそういうことが話としては全く出ておらないわけであります。そういう中において、あえてそういう話も考慮していかなければならないのかということが一つ。  それから、空港着陸料、これがこれまで高過ぎるのではないかということで一部割引をされる、二割程度割引をされるということになったわけであります。乗り入れの航空会社からは、余りにも関空着陸料は高いという意見が出ておったわけでありますし、そしてまた、開業から今五年ほどになるのですけれども、その中で一部のテナントが撤退をしたということが新聞で報じられたこともあります。  こういったことも関空先行きの非常に暗い面を浮き彫りにしてしまったのではないかということがやはり感じられるわけであります。そういった点の対策、それから増収対策、今おっしゃったようなことで、本当に大蔵省がなかなか了解してくれておらないのと違うかなと我々思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  13. 森田一

    森田国務大臣 前段についてお答え申し上げます。  先般、大蔵大臣から、貨幣大試験がある、久しぶりに行きたいんだが、そのときに関西財界との懇談があって、恐らく関西空港のことが出るだろう、そして、ここで自分は、金利負担の大きい資金が非常に大きな部分を占めておるので、今後の金利情勢あるいは経済情勢の変動に伴ってどうなるかということを心配しているんだ、こういう話がありました。  しかし同時に、私の方から、だからといって二〇〇一年度予算を延ばすということになるとますます状況が悪くなりますよと言ったら、自分もその点では賛成だ、事務当局の方からそういう話があるが、二〇〇一年度予算には影響させるつもりはないというふうに大蔵大臣は言われたわけでございます。  そして、ただいま先生お話にありました問題につきましては、私どもとしましては二〇〇一年度予算の問題と長期問題とは分けて考えまして、長期問題につきましては、ただいま直ちに話が出ておりませんが、非常に難しいことと思います。地元負担の問題とかそれから政府負担の問題とか、いろいろ出てこようと思います。これは、昨日から航空局で勉強を開始いたしました。そして、大蔵省に対しては、二〇〇一年度予算に関してはあくまで要求どおりつけていただくように十分な説明をしたい、このように思っておるわけでございます。  そういうわけでございまして、御指導賜ることが多いかと思いますが、私としては、短期と長期の問題をきちんと分けまして、そして必要な予算はぜひとも獲得したい、このように思っております。  後段については、航空局長の方から答えさせていただきます。
  14. 深谷憲一

    深谷政府参考人 先ほど先生の方から、着陸料の件とテナントの件についてのお尋ねがございましたので、それに関しましてお答えを申し上げます。  関西国際空港につきましては、騒音等周辺環境への配慮を十分にしようということで、御案内のとおり、沖合約五キロの海上建設されたわけでございます。このため、建設費用は膨大に上っておりますが、その整備に当たりましては、国、地方公共団体、それから民間、こういうところから出資を行うなど、いろいろな措置を講じてまいっておるわけでございます。そうした費用回収観点から、着陸料につきましては、相応の利用者負担を求めざるを得ないということで現在の着陸料が設定されておるということを御理解いただきたいと思います。  しかしながら、このような厳しい状況の中、関西国際空港国際競争力強化などの観点から、一九九五年の七月に国際線着陸料を一部引き下げ、また、本年から関空会社におきまして、二年間時限措置として着陸料営業割引、これを実施しているところでございます。  このほか、来年度概算要求におきまして、関西国際空港競争力を強化して、航空ネットワークを維持するため、国際線着陸料の一割程度の引き下げを内容とします時限的な措置財政当局に要望しておるところでございます。  また、お尋ねテナントの件でございますが、旅客ターミナルビルの飲食あるいは物販、そういったことにつきまして、開港以来一部の店舗について入れかわりはございましたけれども、現在ほぼ充足されている状況でございますので、御理解いただきたいと思います。
  15. 奥山茂彦

    奥山委員 そこで、将来の見通しを立てる上において、年間の発着の回数、当初は十五万回を今の滑走路一本でこなしていくということでしたけれども、現在のところは十一万八千回にとどまっているわけであります。それ以上伸ばせないのかということを聞きますと、やはりラッシュの時間帯はもう既にいっぱい、昼間とか夜間、夜なんかは比較的あいているという現状の中においては、なかなかこれ以上過密なダイヤは組めないということになってくる。そういう面からいうと、収入をふやすということが非常に難しいわけなんですけれども、そのあたりの工夫、あるいは、貨物は順調にずっと伸びてきておるわけでありますから、貨物なんかは何もラッシュの時間帯におろす必要がないわけでありますから、そういったこともいろいろ考えながら対策を考えていかなければならないかと思いますし、今の滑走路でどこまでいけるのかということが一つ。  それから、成田が今度また新たにできてくるわけでありまして、国際空港はその周辺に、名古屋にも今度また新たにできるわけでありますと、国内的にもやはりその存在価値が問われてくるとともに、韓国とかシンガポールとか香港とか、こういうところとの国際ハブ空港としての役割が、やはり関空は、我々は非常に大きな期待を持っておるんですが、このままでまいりますと地盤沈下を起こしかねない、そういう事態になるわけであります。その点について、これからどういう対策をされていくのか、お尋ねをしたいと思います。
  16. 深谷憲一

    深谷政府参考人 お答え申し上げます。  関西国際空港につきましては、一時的には需要が伸び悩んだ時期はございましたけれども、現時点におきましては、過去最高の需要となっております。  また、先生指摘国際航空貨物につきましては、御案内のとおり、関西国際空港は二十四時間運用の空港でございますので、国際貨物のような分野についてはこの二十四時間空港の特徴をまさに生かせる分野だろうと思っておりまして、今後ともその需要拡大、こういうものが十分期待できるのではないか、かように考えております。  いずれにいたしましても、関西圏、二千四百万人からの人口規模、それから百兆円近い経済規模を抱えておりまして、これはスペインだとかカナダとか、そういう国を上回る経済規模でございまして、今後、年間需要、これは処理能力の限界でございます十六万回に二十一世紀の初頭には達するもの、かように考えております。
  17. 奥山茂彦

    奥山委員 何回も申し上げますけれども、やはり関西経済界浮沈関空の二期目の工事が立派に完成させられるかどうかによって大きく変わるわけでありますから、何としてでも運輸省はこの二期目を当初の予定どおり仕上げていただきたいと思います。我々も、そのためにはやはり周辺府県も協力することはやぶさかでないと思います。  ただ、財政的には非常にそれぞれ市町村が苦しい状態でありますので、この中で負担を新たにということになってまいりますと、これはまた地方財政にとって非常にしんどい状態になりますけれども、しかし、その上ででも、あえてやはり関空の二期目は必ず完成を目指して頑張っていただきたいと思います。  以上で終わります。
  18. 森田一

    森田国務大臣 最後に一言申し上げます。  実は、太田府知事を初め関係府県皆さん方秋山関経連会長などにいらしていただきまして、その必要性についてお話がありました。また、きのうは与党三党の幹事長が総理に申し入れをしたわけでございます。  そういうことを踏まえまして、運輸省といたしましても、関空が予定どおり進みますように全力を尽くしてまいりたいと思います。
  19. 奥山茂彦

    奥山委員 終わります。
  20. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、松宮勲君。
  21. 松宮勲

    松宮委員 おはようございます。  私は、自由民主党の新人の松宮勲でございます。  本日、伝統あるこの運輸委員会で初めて質問席に立たせていただき、大変光栄に存じております。緊張いたしております。  さて、今、奥山先生から関空お話が話題になりましたが、私も地元振興との関係で、高速交通体系の問題、とりわけ整備新幹線問題と地方空港の問題について、限られた時間、取り上げさせていただきたいと思っております。  まず、整備新幹線プロジェクトでございます。  ただいま、本臨時国会で、整備新幹線の促進のために百三十五億円の事業費ベースでの予算が計上され、さらに、来年度の概算要求では、一千五百億円という非常に思い切った要求をしていただいていることにつきまして、大臣以下、運輸省御当局に大変敬意を表させていただきたいと思っております。  私の出身は福井市、福井県でございます。北陸でございます。その意味で、質問はついつい北陸整備新幹線の問題に関連しがちでございますが、その前に、まず前提として、全国的な五つの整備新幹線整備計画につきまして運輸省の考え方をお伺いさせていただきたいと思っております。  御案内のような右肩上がりの時代の終えんとともに、公共事業についても、非常に厳しい内外の目が行政府なりあるいは政界に向けられていることは、百も承知しているところでございます。そして、その中で、整備新幹線につきましても、大変なむだ遣いじゃないか、公共事業見直しのトッププライオリティーとして、整備新幹線についても見直しの対象にすべきじゃないかというような議論も散見されるところでございます。我が同僚の中にも、この前の厳しい衆議院選挙の結果を踏まえまして、大都市部の先生方から、そろそろ足元をじっくり見直して将来を展望すべきじゃないか、こういう議論も漏れ聞くところでございます。  しかし一方では、やはり整備新幹線整備というのは、時間、タイムスパンをどうとるかという大きな問題はございますけれども、基調としては、これは高速交通体系の中で大変大事なプロジェクトである、まずもって国土の均衡ある発展を図る観点からも必須のプロジェクトでありますし、そして安全性、例えば自動車交通ですと、御案内のように、年間百万人を超える死傷者が毎年生じておりまして、これは社会経済的なコストも考えますと大変なものでございます。  この点、整備新幹線、東海道新幹線のスタート以来、実績、安全性については世界に確たる定評のある、我が民族の誇るべきプロジェクトとして、我々は着実にこれまでの地歩を固めてきているところでございます。こういった安全性においても、ほかの高速交通体系に比べて、新幹線の優位性というのはだれしも、万人が認めるところでございましょう。  さらには定時性、時間が非常にパンクチュアリーであるということにつきましても、タイム・イズ・マネーの時代、最近はドッグイヤーどころかマウスイヤーという言葉さえあるような時代にとっては、定時性というのは本当に大変な経済的、社会的価値が増大している時代でございます。その中での整備新幹線整備というのは、従前にも増してその必要性は、国民経済全般の観点から見ても強まっているんだろうというふうに私は考えます。  もろもろ申し上げましたが、そういう中で、まず運輸省御当局、これから厳しい財源の制約というのも承知の上で、整備新幹線の着実な推進に当たっての基本的なお考えというのをお伺いさせていただきたいと思います。
  22. 森田一

    森田国務大臣 整備新幹線については、私は非常に強く心に残っておることがございまして、実は、私は二十年以上前に、何度も大平正芳の秘書官をしたわけでございます。そのときに、四国には新幹線がありませんが、将来、我が国においては必ず新幹線が必要になるということを何度も聞かされたわけでございます。  そういう中で、運輸大臣として就任したわけでございまして、おっしゃいますように、整備新幹線というのは、時間短縮効果による地域間の交流が非常に促進されたり、あるいは沿線地域の開発が進むことによりまして国民の生活の基盤が充実したり、あるいは国土の均衡ある発展、地域の活性化ということにつながったり、そういう意味で非常に重要な問題だと思っておるわけでございます。  そういうわけでございますので、整備新幹線につきましては推進しておるところでございますが、ただ、財源等の問題がありまして、運輸省だけというわけにいきませんで、本年四月に政府・与党整備新幹線検討委員会というのがありますので、ここの検討を踏まえながら、我々としては精いっぱい整備新幹線の着実な整備に努めていく、このように思っておるわけでございます。
  23. 松宮勲

    松宮委員 今大臣から、大変心強い御答弁をちょうだいいたしました。政府・与党整備新幹線検討委員会での検討、これは当然裏腹でございますけれども、ぜひ、その中でも大臣の強力なリーダーシップというのを御発揮いただきたいというふうに思っております。  そこで、直接私ども福井県に関連する、整備新幹線の中の北陸新幹線の整備プロジェクトについてお伺いをさせていただきたいと思っております。  平成元年に高崎—軽井沢間の工事に着手し、そして御案内のような、長野冬季オリンピックの開催を控えて、平成九年の十月には東京—長野間が開通いたしまして、その後、長野—上越間、あるいはまだら着工と言われておりますけれども、富山県にあっては糸魚川—魚津、そして石川県にあっては石動—金沢間が、今着実に工事が進捗しているところでございます。  しかし、それぞれの皆様方、各地方なり、首都圏も含めてでございますが、やはりブロックといいますと、私どものブロックの場合には北陸でございまして、北陸は一つということで、私どもの福井県も、石川、金沢と絶えず競争的共存の中でお互いに頑張っておるところでございますけれども、整備新幹線問題をとってみますと、残念ながら、我が福井県だけはいまだ着工のつち音が聞こえてこないというのが県民の偽らざる感情でございます。何とか一日も早く、整備新幹線、我が福井県についてもぜひとも大きな進歩、前進を見させていただきたい、これが、来年度の予算編成に絡んで、大変今大きなパワーとして私どもにも期待が寄せられているところでございます。  北陸新幹線の場合には、構想が出て以来二十七年間、そして私ども福井県の場合にも、いろいろな関係者の御意見を取りまとめながら、今、南越というちょうど福井県の嶺北地方のあるど真ん中に新幹線の新しい駅をつくるということで、この南越から上越までの間の一括認可の申請をさせていただいているところでございます。恐らく、来年度の予算編成に当たっては、私どもの立場から見ますと、この上越—南越間の工事一括認可申請を認可していただきまして、できるだけ早い時期に工事に着手をしていただきたい、こういうことでございます。(発言する者あり)  ただいま交通部会長のお話もございますけれども、もちろん私どもも、ことしの三月からJR西日本等と協議会をつくりまして、並行的に、当然第三セクターでの存置を前提とした在来線問題についても着実に議論をしていかなければいけないということは、当然、地元、県、そして関係自治体、関係者ひとしく認識をさせていただいているところでございます。  そういうことを前提にしながら、なお県民の悲願として、北陸新幹線の我が郷土上越—南越間の工事認可申請についてぜひとも前向きの措置をお願いしたい、こういうふうに思うわけでございます。これにつきまして、運輸省のお考え方を聞かせていただきたいと存じます。
  24. 安富正文

    安富政府参考人 お答えいたします。  北陸新幹線の整備につきましては、先生お話がございましたように、政府・与党の合意、検討結果等に基づきまして、現在のところ、長野—上越間、それから糸魚川—魚津、石動—金沢間の整備を図っているという状況でございます。  運輸省としては、先ほど大臣からもお話がありましたように、来年度の概算要求においては、昨年十二月の与党三党協議会の取りまとめを受けまして、北陸新幹線についても、既に着工している区間の工期短縮を図るという観点、それから未着工区間である上越—糸魚川の着工を念頭に置いて、概算要求を千五百億ということで要求させていただいているところでございます。  ただ、先ほど先生の方からお話がありました上越—南越の工事実施計画の一括認可ということでございますが、工事実施計画の認可につきましては、いわゆる着工ということを意味するものでございまして、従来より、政府・与党合意の中においても、未着工区間の着工に当たりましては、いわゆる安定的な財源というものがまず大前提として確保されなきゃならないという考え方で進めております。したがいまして、南越までということになりますと、一括認可ということに当たりましては、まず、安定的な財源が確保されるかということが大前提になるわけでございます。  いずれにしましても、北陸新幹線の今後の整備に当たりまして、先ほど言いましたように、政府・与党検討委員会で、いろいろな問題、いろいろな基本条件の確認、並行在来線の問題も含めまして、収支採算性の問題等いろいろな観点から検討を進めております。この検討結果に基づいて、鋭意その推進を図っていきたいというふうに考えております。
  25. 松宮勲

    松宮委員 すべての大きな国家プロジェクトにつきましては財源の裏づけが不可欠であるということは重々承知をいたしておるところでございます。  本日の新聞情報によりますと、新幹線財源絡みで、恐らく来年の一月六日に発足するであろう国土交通省の体系の中での財源の点検ということに関係しているんだろうと思いますけれども、一部期待の持てそうな報道もされているわけでございます。ぜひ、財源問題にも着実な地歩を固めつつ、先ほど来申し上げております一括認可についての早期の実現というのをお願いさせていただきたいと思います。  これ以上新幹線については質問をとめさせていただきますが、交通部会長の橘先生からのおしかりも承知の上で、もう一つだけ申し上げさせていただきます。  一月ほど前に、福井から私の知人が上京するのに、私も今地元との往来で、飛行機と新幹線、そして米原からは北陸本線で福井に戻るということで三時間四十分ほどかかるのでございますけれども、半々ぐらいの利用をさせていただいておりますが、北陸線、そして東海道新幹線を利用させていただいたときに、たまたま偶然私の隣席になったのが、地元で非常に懇意にさせていただいている経営者でございます。社長、どこに行かれるのですかと質問させていただいたら、私、長野ですと。長野だったら、どうしてこんなものに乗るのですか、いや、北陸本線で福井から米原まで利用し、そして乗りかえて東海道新幹線で東京に出て、東京から北陸新幹線の長野まで行かなければいけないのですと。これが、今私どもの福井県の置かれている現実でございます。その辺をしっかりと御理解賜りながら、ぜひとも地元代表として私はお願いをさせていただきたいと思っております。  続きまして、残された時間、これもまた私の地元関係する話でございますが、地方空港整備の問題について御質問をさせていただきたいと思っております。  御承知のような厳しい財政事情のもとで、ことしの夏、与党におきましては、公共事業の抜本的見直しということで、都合二百三十三の事業見直しの対象になりまして、目下、それぞれの所管する省庁と自治体との関係でいろいろ議論がなされております。その二百三十三、運輸省では恐らく六十一と聞いておりますけれども、その見直しのプロジェクトの中の一つとして、私どもの地元の福井空港というのが対象にリストアップされております。  長年にわたりまして地元地権者との調整作業が、知事以下先頭に立って、地元経済界もバックアップする格好で進められてきているところでございまして、正直申しまして、いまだ地権者について関係者すべての同意が得られている状況ではございません。しかし、そういう中で、一生懸命、長年にわたる地元の複雑な状況を何とか、日本海側でジェット化空港のないただ一つの県として、やはり福井県としては、ジェット化の空港整備し、そして東京—地元はもちろん、将来的には、ほかの県なり、環日本海の対岸の諸国との間の往来についてもジェット機を就航させることが長年の県民、関係者の悲願でもある、こういう中で一歩一歩の積み重ねをしており、九仞の功を一簣に欠くという言葉はまだ使いたくありません、しかし、それに近いような状況で、突如として二百三十三の見直し対象に今入っているということでございます。  私どもといたしましては、もちろん地元関係者の理解を取りつけながら、しかし、富士山の登山に例えさせていただきますと、これまで九合目まで来ているのが、ここに来て一律の四つのクライテリア、見直しの対象にひっかかって、これでばっさり中止ということになりますと、やはり県民の悲願としての空港プロジェクトが、政治力によって県民の悲願が消されてしまう、こういうことになるわけでございますので、ぜひともそこは一つ一つのプロジェクトのありようについて御精査いただいて、そして単なる機械的な基準だけではなしに、そして機械的な物差しでの経済評価だけじゃなしに、長きにわたる広い意味でのコストベネフィット、あるいは、空港がないだけに、ここ数年だけでも、大きな全国のコンベンションなり大きな催しが私の耳に入っているだけでも三つほど流れてしまったというような非常にざんきにたえないことも起きているわけでございます。  その辺もろもろ御勘案いただきまして、見直しに当たっては、もちろんこれは政府・与党で、今与党ベースで進んでいることではございますけれども、運輸省さんといたしましても、ぜひ、私どもの気持ちをお酌み取りいただきまして、前向きの御対応をお願いいたしたいと思います。その点についての御見解をぜひともお伺いさせていただきたいと思います。
  26. 森田一

    森田国務大臣 ただいま先生からお話がありましたように、与党三党におきまして公共事業見直しが行われておるわけでございます。そして、お話がありましたように、二百三十三の事業が該当することになったわけでございます。  福井空港につきましての拡張整備につきましては、一九九二年に一たん事業採択になったわけでございます。しかし、先生は御存じだと思いますが、用地問題等で地元の合意が得られなかったために一九九六年度以降予算が凍結しておるわけでございます。そのようなわけで今回二百三十三の一つに該当するということになったわけでございますが、しかし、これを踏まえまして、運輸省の方から福井空港の拡張整備について再評価の実施を福井県の方に要請しておるところでございます。これを地元において鋭意検討しておられるというふうに聞いておりますが、このような再評価が出てまいりましたら、その再評価を踏まえまして、私どもの方としては適切に処理していこう、このように思っておるわけでございます。
  27. 松宮勲

    松宮委員 今、適切に御処理いただくという答弁を大臣からちょうだいいたしました。その適切というのは、ぜひ地元の悲願を込めたポジティブな措置をしていただきたいという願いを込めまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  28. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、細川律夫君。
  29. 細川律夫

    細川委員 民主党の細川律夫でございます。  久しぶりにこの運輸委員会に戻ってまいりまして、先ほどは理事にも選任をいただきましてありがとうございました。この前は環境委員会の方に所属をいたしておりまして、そこで地球温暖化などの地球環境問題、あるいはまた大気汚染などの都市環境の問題などに取り組んでまいりました。それで、きょうはまず、そういった環境の問題がこの運輸部門ではどうなっているのかということを中心にお伺いいたしたいと思います。  地球温暖化防止の京都会議、いわゆるCOP3におきまして京都議定書が採択をされましてから既に三年が経過しようとしておりますけれども、まだ議定書は発効されていないところでございます。一昨日、十三日からは、ハーグで始まりましたCOP6でさまざまな論点をめぐって議論がされることだろうと思います。  我が国の対応といたしましては、CO2の吸収源で有利な算定を目指したり、あるいは排出権取引などのいわゆる京都メカニズムを最大限に利用するとか、そういうような対応ではなくて、日本の国内でしっかりと目標の六%削減を達成するという姿勢でぜひ進んで臨んでいただきたいというふうに思っているところでございます。  地球温暖化の防止というのは、言うまでもなく、一刻の猶予も許されない大変大事な課題でございます。ことしも愛知で集中豪雨が起こりまして、大変な被害が出たわけですけれども、これも既に温暖化の影響だ、こういうふうに言われる学者もいるところでございます。この温暖化によりまして海水の表面が上昇いたしますと、海抜数メートルのところに日本では大多数の人が住んでいるわけでありますから、海面の上昇によります水害というようなこともまた大変心配されるわけでございます。さらに加えて、気候変動によります生態系の破壊とか、あるいは農作物に影響が出るだろう。温暖化による影響というものは、はかり知れないものがございます。  そういう地球環境問題がまずありますし、同時に、都市環境の問題も深刻でございます。大気汚染によりまして、ぜんそくはもちろん、アレルギー疾患も今たくさんふえているわけでございます。ことしの一月には、兵庫県の尼崎、この尼崎公害訴訟に対して、神戸地方裁判所では判決がございました。この判決では、浮遊粒子状物質、いわゆるSPMが健康被害の原因であるということを初めて認め、損害賠償と差しとめ請求まで認めたものでございます。この判決そのものも大変遅いと思いますけれども、国として一層の強力な対策をとらなければいけない、そういう事態になっているだろうというふうに思います。  そこで、今申し上げました地球環境と、それから都市環境、これを結ぶものとして自動車の存在があるというふうに私は考えます。地球温暖化の原因でありますCO2、温室効果ガスの約二〇%、これを運輸部門で占めているわけでございます。そのうちの五〇%を超えるものが乗用車から排出されているということでございまして、この運輸部門における温暖化対策というのは、乗用車から二酸化炭素が排出されるのをどう対策を立てていくかということになろうかと思います。さらに、その乗用車に加えて、貨物自動車を加えますと、九〇%弱が運輸部門の自動車からのCO2の排出ということになっているわけでございます。  さらに、これは都市の車からの排出でありますけれども、都市環境の側から見ますと、ディーゼル車から排出が多いCO2ではなくてNOx、いわゆる窒素酸化物あるいは浮遊粒子状物質と言われるもの、これを減らすということがこれまた大変喫緊な課題でございます。そのためにはまず、燃費の向上とか、あるいはこれの排出を規制するとかいうような、単体としての自動車からの排出を少なくするというようなことが大事であろうというふうに思っているところでございます。  来年度の予算要望の中におきまして、運輸省は環境庁とともにいわゆるグリーン税制を取り上げておるところでございます。この税制によりまして燃費の向上を図ったり、あるいは温暖化ガスや粒子状物質、いわゆるPM、あるいは窒素酸化物、NOxなどの削減をしていこうということは私も大変賛成であります。  そこで、このグリーン税制によってどの程度の効果を運輸省としては予測しているのか、これについてまずお伺いをいたします。
  30. 森田一

    森田国務大臣 まず総論的に、京都議定書におきましては、CO2につきまして、二〇〇八年から二〇一二年の間のCO2の排出量を一九九〇年に比べて六%削減するということが決められたわけでございます。しかし、残念なことに、運輸関係におきましては減というわけにはいきませんで、ほうっておけば四〇%ぐらいになるのを何とか一七%増で抑えようということでやっておるわけでございます。  その一つとしましてグリーン税制も考えられておるわけでございますが、昨年度、実はやはりグリーン税制をやろうとしたわけでございます。しかし、昨年度は関係省庁の同意を得ることができなくて実現することができませんでした。そこで今回は、ぜひとも実現できるような体制ということで、総合的な観点からいろいろな対策を講じまして、その一つとしてグリーン税制を位置づけるというふうになっておるわけでございます。  そして、いろいろな対策があるわけでございますが、グリーン税制というのが重要なことは言うまでもございませんで、これは、環境負荷の小さい自動車、すなわち環境自動車の開発、普及を促進するために、税収中立、全体としてはふえもしない減りもしないということで、環境自動車に係る自動車税を軽減することにいたしまして、同時に、環境負荷の大きい古い型の自動車の自動車税をふやすということにいたしました。この結果、二〇一〇年には年間九十万トン二酸化炭素が減るということを見込んでおるわけでございます。  そして、こういうようなことと同時に、交通システムの改善とか物流の効率化とか道路混雑の解消等の総合的な、いわゆるグリーン税制だけではなくて、自動車交通全体のグリーン化ということも念頭に置いて施策を講じておるところでございます。
  31. 細川律夫

    細川委員 今年度はグリーン税制を導入できなかったわけですから、ぜひ来年度グリーン税制を導入されまして、地球環境あるいは都市環境、両面におきましてよい影響が出るように、私の方でも期待をいたしております。  そこで、特に次にお聞きしたいのは都市公害の問題でございますけれども、ディーゼル車の対策について伺いたいと思います。  東京都の石原知事は、ディーゼルNO宣言というものを発表いたしまして、都心からディーゼル車を締め出そう、こういう発言をいたしております。この知事の発言に対してはいろいろな問題があるといたしましても、私は、東京都が非常に先進的にこの対策に乗り出している、どうも国の方が後追いではないか、そういう印象が否めないわけでございます。  ディーゼルから出ます粒子状物質、PMの中におきましても、特に、ディーゼル排気微粒子、いわゆるDEPというこの粒子状物質は、ぜんそくの原因になるというだけではなくて、発がん性物質を含んでおりまして、肺がんになる、こういう科学的な証明も最近されておりますし、非常に深刻に考えなければいけないのは、このDEPによって男性の精子が減少している、精子の数が減っているということまで科学的に証明されるということにまでなってきております。このことがいわゆる少子化の原因ではないと思うのですけれども、私は、大変深刻なディーゼル被害ではないかというふうに思います。  そこで、国としてはこの問題に対してどういうふうな対策を立てようとしているのか。一昨日は中央環境審議会の最終報告案というのも出たようでありますけれども、自動車のNOx法の改正も含めて、一体どういうふうに国の方はこのディーゼル対策をしようとしているのか、その考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  32. 泉信也

    泉政務次官 先生指摘のように、十三日に中央環境審議会の最終報告案が出されまして、これは年内に答申として取りまとめられる予定であると承知しております。運輸省は、この答申を踏まえまして、環境庁等と当然御相談をして、次の通常国会にNOx法の改正案を提出するということを予定させていただいておるところでございます。  また、これに合わせまして、来年度の概算要求、税制要求の中で、最新規制適合車などの低公害な自動車への代替促進施策及び御指摘のディーゼル微粒子除去装置に対する補助、こういう要望をしておるところでございます。  こうした施策に加えまして、運輸省としましては、技術開発の促進、あるいはディーゼル車から出ます排出ガス規制の強化、さらに従来からやっております点検整備、殊に黒煙の排出低減に効果のあります点検整備をやる、また街頭に出てでもやろうということを考えております。また、都心を通過します交通をできるだけ環状道路の方に回す、こうした施策を組み合わせて、ディーゼル車の排出ガス対策の充実強化に取り組んでいくことを予定させていただいております。
  33. 細川律夫

    細川委員 ぜひ強力に進めて、このディーゼル車からの排ガスの被害というのを早く解決していただきたいと思います。  そこで、今はグリーン税制あるいはディーゼル車対策を聞いてまいりました。これは、いわば自動車そのもの、単体に対しての対策についてお聞きをしてまいりましたけれども、先ほど大臣が言われました、一九九〇年基準全体で六%削減という国際的な公約、運輸部門で見れば、先ほどお話がありましたように、九〇年比では一七%増、こういうことで決まっておりますけれども、果たしてその単体対策だけでその計画が実現できるのかどうか、私は大変疑問に思っているところでございます。  九七年あるいは九八年は一体どういう状況であったかというと、九〇年比で約二一%の増、こういうことになっておりまして、ほかの産業部門あるいは民生部門とか、そういうところと比較をいたしまして、この運輸部門だけがふえ方が突出をいたしております。そういう印象があるわけでございます。しかし、これまでの運輸省対策というのは、九七年のCOP3以前とどうも余り変わっていないように見えまして、果たして九〇年比で一七%ということで抑えられるのかどうなのか、大変心配でございます。  私も、以前この委員会で、これは去年だったかと思いますけれども、質問をいたしましたときに、政策局長の方からは、千三百万トンのCO2の削減が十分可能だ、こういうふうなお答えをいただきました。今、それで変わりはないのかどうか、大丈夫なのかどうか、そのあたりをちょっと聞かせていただきたいと思います。
  34. 森田一

    森田国務大臣 確かに、なかなか難しい問題でございますが、京都議定書における我が国の地球温暖化ガスの削減目標を達成するためには、運輸部門におきまして千三百万トンの削減を実現しなければならないわけでございます。  そして、今どういうふうに考えておるかというと、前にも申し上げたかと思いますが、自動車の燃費向上やあるいは低公害車の普及等の対策によりまして五百万トン。それから、二番目としまして、公共交通の利用促進、物流の効率化、あるいはモーダルシフトなどによりまして四百万トン。それから、ITSの推進やその他の対策について四百万トン。  これはなかなか高い目標でございまして、いろいろな技術革新に期待しなきゃいかぬですし、交通システムの改善やあるいは自家用車の抑制等、国民の理解を得なきゃいかぬ点もございます。こういうような非常に難しい点がありますが、ぜひともこの目標を達成するように力いっぱいやってまいりたい。  そして、先ほど御質問がありましたグリーン税制につきましても、九十万トンということでございますが、その一環でございまして、この達成に全力を尽くしてまいりたい。  確かに、先生がおっしゃるように、非常に厳しい状況でございますが、ほうっておけば四〇%増にもなってしまうような状況でございますので、何とか一七%、千三百万トンを実現する、こういうことでやってまいりたいと考えております。
  35. 細川律夫

    細川委員 昨年も同じようなお答えをいただいたので、どうも私の方は達成できるかどうか不安であります。  確かに、車の単体、これに対するいろいろな対策というのは大事ではございます。しかし、さらに加えて自動車の交通量そのものを減少さす、そういうことをしないと、なかなかこの目標達成は難しいのではないかというふうに私は考えております。前の委員会でもそういうことを尋ねてきたところでございます。  具体的には、交通量を減らす、よく言われます交通需要マネジメント、TDM、あるいは、車から公共交通機関へ誘導していく施策をとるとか、あるいは、特に貨物では、車から鉄道や船というふうに切りかえていく、先ほども出ましたモーダルシフト、これらを総合的に実施していかなければいけない。これは運輸省の方でも、これまでずっと言われてこられました。  ただ、この自動車交通量の削減につきましては、これも東京都の石原知事のお話をまた出しますけれども、知事は、一定の地域に車が入ってくる、そこで通行料を取って車の総量を規制していく、こういうロードプライシングの構想を打ち出したわけですね。そういうふうに、交通量そのものを削減するということに、東京都の石原知事なんかは非常に積極的に見えるわけなんです。  そこで、自動車交通量の削減について、国はどういうような対策をとろうとされているのかお伺いしたいと思います。パーク・アンド・ライドとかバスレーンの確保とか、あるいはオムニバスタウンというようなことはもうずっと今までお聞きをいたしました。そういうことはあれにして、もっと強い効果のある、パンチのきく施策はないのか、あるいはどういうことをやろうとしておるのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  36. 泉信也

    泉政務次官 今先生例示に挙げられましたロードプライシングあるいはパーク・アンド・ライドあるいはモーダルシフト、そういう施策をいろいろ今日まで私どもも進めさせていただいてまいりました。しかし、おっしゃいますように、必ずしも実効が上がっていないということかもしれません。それなりに私どもは成果が上がっておるという思いは持っておりますが、なおこうしたことを続けなければならないという思いでございます。  具体的には、いわゆるTDM社会実験を実施する、あるいは、交通規制や自動車交通量の抑制のための措置を実施する都市、そういう町で計画的ないわゆる環境自動車を導入していくということをやっていかなきゃならない。  ですから、もっと根本的なことを先生はおっしゃっておると思いますが、町づくり自体から車の交通量を減らすような仕組みを今後導入していかなきゃならない、考えていかなければならないという思いを持っております。国土交通省になったからすぐできるわけではございませんけれども、町づくり、都市計画自体そうした観点から取り組んでいく必要があるのではないかという思いを持つものでございます。  なお、十三年度予算につきましては、我々としては、今申し上げましたTDM等の実現を図りますために、必要な予算要求をさせていただいているところでございます。
  37. 細川律夫

    細川委員 先ほど私は、東京都の知事の施策、ロードプライシングの例を出して質問したわけなんですけれども、これは一自治体でやったとしても、周辺の自治体なんかにいろいろ混乱が起こるんではないかというふうに思います。  そうしますと、やはりロードプライシングというようなやり方も、国があるいは率先してやるというようなことでなければなかなかうまくいかないと思うのですけれども、こういうことを国としておやりになる予定があるのかどうなのか、これはどうですか。
  38. 岩村敬

    岩村政府参考人 ロードプライシングの導入につきましては、御承知のように、今東京都の方で委員会をつくっておりまして、その中に、我が方からも、国のサイドからも委員として担当が参っておりまして、いろいろ意見を述べ、また調整をしているところでございまして、決して国が手をこまねいているわけではございませんし、都と一緒になって議論をしているのが現状でございます。
  39. 細川律夫

    細川委員 よく検討していただいて、ひとつ積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。  今の話は、いわゆる自動車の交通量全体を少なくする、削減する、こういうことだったんですけれども、長距離輸送とかそういうものは車じゃなくて鉄道にするとかあるいは船にするとか、いわゆるモーダルシフトによって車から別のモードに切りかえていく、そういうことが必要だと思います。そこは運輸省の皆さんもずっと前からそのことは言われておりまして、前の運輸委員会で私がお聞きをしたときにも、海上輸送について、モーダルシフト船の整備、これに対応した内航ターミナルの整備とか、あるいは次世代の海上輸送システムということで、最も新しい船舶なり新しい港湾、モーダルシフト型というものの調査研究をしていくんだ、こういうようなことをずっと答えられたわけなんです。  整備をするとかというようなことではなくて、具体的にどういう施策を打たれたのか、あるいはこれから打とうとしているのか、もっと具体的に、きちっと結果が出るような、そういう御答弁をいただきたいと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。いわゆるモーダルシフト。
  40. 泉信也

    泉政務次官 これももろもろの施策を講じさせていただいておりますが、特に今、海上輸送について具体的に申し上げますと、いわゆるコンテナ船、それからロールオン・ロールオフ船、こうした我々の言葉ではモーダルシフト型の船の整備をやっておるところでございまして、平成十年度には運輸施設整備事業団への出資によって十隻を具体的に建造しておりまして、北海道—東京航路に高速の長距離フェリーを導入させていただいて、時間の短縮とかダイヤ改定によりまして、鉄道輸送も含めてトラック輸送から海上輸送への促進をより図っておるわけでございます。  また、海上輸送には港がつきものでございますので、内貿ターミナルにつきましてもできるだけ多くの人口をカバーできるような港の整備を進めるということで続けておりまして、陸上輸送半日往復圏という言い方をしますと、そういうもので人口をカバーできる点が十四年度末には八割までになってきたということでございます。  もう一つは、燃費の改善と貨物のスペースをできるだけ大きくとれるように船の積載効率を高めるということで、スーパーエコシップというものの技術開発を運輸省は今進めております。  こうしたことを幾つか重ねて、できるだけ具体的な成果が上がるように努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  41. 細川律夫

    細川委員 私は、このモーダルシフトにつきましては、船舶とかあるいは港湾といった、いわば点のような整備だけではなかなか難しい、進まないのではないか。したがって、やはり道路交通を含めた総合的な政策が必要だろうというふうに思います。  しかし、残念ながら道路の方については、特定財源のもと、地方までずっと道路網が、いい道路が整備をされる、整備されればさらに車はどんどんそこを走るということで、やはり車はふえていく、そういうことになっているんだろうと思うんですね。そういう意味では、やはり総合的な運輸政策というのをぜひ検討して進めていただきたいというふうに思います。  そこで、大臣にちょっとお聞きをいたします。  来年一月からは、建設省と一緒になって国土交通省に移行するわけなんです。これまで以上に道路行政とこの運輸行政というものが一体化して、環境問題もしっかりと前提に置きながら、総合的な交通政策がどういうふうにとられるのか、そういうことについて大臣のお考えがあればお伺いしたいと思います。
  42. 森田一

    森田国務大臣 先生指摘のように、運輸省建設省、国土庁、北海道開発庁が一緒になって、一月の六日から国土交通省になるわけでございます。そして、これまでは道路、鉄道、港湾空港、自動車というのが別々だったわけでございますが、これからは総合的な交通体系が考えられるようになるという利点がございます。もっとも、超大型官庁というような面で不安を抱く向きの方もいらっしゃいますが、そのようなことがないように、不安がないようにしていかなきゃいかぬと思っております。とりあえず現在のところにおきましては、来年度予算におきまして、十三年度要求に六十九の連携施策を盛り込むなどして、総合的な行政の推進について準備を進めておるわけでございます。  例えば、立体化の推進等の踏切道改良による道路交通のボトルネックの解消等でございますが、そのほかに、交通需要マネジメント施策の共同実施をやるというようなことで、鉄道駅とその周辺の総合的な改善とか、都市部の交通混雑の解消とか、あるいは大都市居住者の通勤時間の短縮とか、いろいろ考えておるわけでございます。  これらの問題につきましても、両省、今適宜打ち合わせをしまして、予算要求も共同でやるし、一月六日に国土交通省になったときにいかにしてお互いに連携をとっていけるかということについても、事務的にも打ち合わせをしますし、大臣等の間でもいろいろ連携をしておるというのが実情でございます。
  43. 細川律夫

    細川委員 国土交通省となった機会に、総合的な交通政策をぜひ実現していっていただきたいと思います。  運輸部門におきます環境についての質問は、大体終わりたいと思います。最後に一つだけお伺いをしておきます。  さきの通常国会におきまして、グリーン購入法というのが成立をいたしました。これは正確には、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律という法律でありまして、来年一月の省庁再編とともに一部が施行されて、四月一日から実施をされることになっておるわけなんですけれども、実は、私が環境委員会委員長をいたしておりまして、全会派の御賛同をいただいて委員長提案ということでこの法律が成立をいたしました。したがって、この法律が実施をされ、あるいは効果が生まれるのかどうかということについては、熱い関心とまた責任も感じておりまして、運輸部門におきます温暖化の対策の責任ある政策官庁としての運輸省が、どういうふうにこのグリーン購入法を受けとめて、どういうふうに実際にやっていかれるのか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  44. 森田一

    森田国務大臣 このグリーン購入法というのは大変重要な法律だと思っております。そして、これは実質の面とそれからシンボルの面と両面において、ある意味で画期的な法律だと思っておるわけでございます。  運輸省におきましては、このようなことから、グリーン調達に関する政府の率先実行計画というのがございますが、十一年度までに十四台の低公害車の導入をしておるわけでございます。しかし、十二年度中にさらに十台を購入いたしまして、計画の目標というのは一〇%ということになっておるんですが、百四十八台中二十四台で一六%という低公害車の導入を図っておるわけでございます。ちなみに、運輸政策局長の車もプリウスという低公害車でございます。  今後は、このようなグリーン購入法に基づきまして、物品調達全体につきまして環境に優しい物品の購入を図っていくということを力いっぱい進めていかなきゃいかぬと思っておるわけでございます。運輸省といたしましても、その先頭に立ってしっかりやっていかなきゃいかぬ、このように思っております。
  45. 細川律夫

    細川委員 力強いお答えをいただきました。ぜひ、シンボル的にもあるいは実質的にも、運輸省は温暖化対策、環境面について積極的な施策を進めていっているということをさらに国民、ほかの省庁に対しても自慢のできるようにひとつやっていただきたいというように思います。  それでは、次の質問に移ります。自賠責の問題について質問をさせていただきます。  来年の通常国会に、自賠責の再保険廃止に伴う法律の改正案が提案をされるというふうに聞いております。運輸省の中でも、懇談会を設置いたしましてこれまで議論が行われたようでありますし、他方、金融監督庁所管の自賠責審議会でも一定の方向が出されているわけでございます。  私、この改正に当たっては、いわゆる五原則と言われている中で、その中でも特に被害者保護対策が充実をされるということが前提でなければ、自賠責の再保険廃止という方向に進んではいけないというふうに考えているところでございます。  そこで、最近の交通事情などを見ますと、死亡事故は多少減ってはおりますけれども、事故の件数あるいは負傷者の数というのも毎年毎年ふえております。特に問題なのは、重度の後遺障害者の数が特にふえておりまして、この十年で倍増もいたしておるところでございます。そうした中で自賠責の再保険が廃止になりますと、被害者対策というものが後退をするのではないかということで、大変被害者、いろいろな人も心配もしておりますし、私もその懸念を持つものでございます。  そこで、重度の後遺障害者の救済対策の充実について、運輸省としてはどういうふうにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  46. 森田一

    森田国務大臣 実は、私は大蔵省で保険二課長という損害保険の方を担当しておりまして、当時は死者が何とか一万人を切るということが夢だったわけでございます。それは実現したわけでございますが、しかし、死傷者が百万人に達するというようなことになりまして、先生の御指摘のように、医学の進歩もありまして重度の障害者がふえておるわけでございます。これをどうしていくかということが大きな問題でございます。  現在、政府は自賠責の運用益を生かして被害者救済対策を実施しておるわけでございます。そして、来年度予算におきましても、このような被害者の救済を充実するために要求を行っておるわけでございますが、御存じのように再保険が廃止になります。  その際に、どうしても被害者の保護ということが、先生指摘のように、五条件の一番大事な条件だと思いますが、掲げられておるわけでございまして、このために、政府の再保険の廃止に伴って被害者保護の充実がちゃんと図られるように、重度後遺障害者対策を初めとする被害者対策がきちんと行われますように、運用益等の必要な財源を十分に確保していかなきゃいかぬ、このように考えておるわけでございます。
  47. 細川律夫

    細川委員 わかりました。  それでは次に、金融庁にお伺いいたします。  現在でも、事故に遭った場合、その被害者が保険会社に保険金を請求する場合に、保険会社がその支払いを渋るというような問題があるというふうに聞いておりますし、私自身もそういう経験を持っているところでございます。  そうしますと、再保険によっての国の関与というものがなくなった場合には、それにかわる、いろいろな紛争を処理する機関というものがぜひ私は必要だというふうに思っておりますけれども、そういったシステムをどういうふうにつくっていこうと考えておるのか、金融庁にちょっとお伺いします。
  48. 田口義明

    田口政府参考人 お答えいたします。  自賠責保険につきましては、本年六月に出されました自賠責審議会の答申を踏まえまして、制度改正に向けた検討を現在運輸省と協力しながら進めているところでございます。  ただいま御質問のございました自賠責保険の支払いの適正化のための仕組みの問題でございますが、この自賠責審議会の答申におきましても、平成十年に設けられました審査会でありますとか再審査会の制度を評価する一方で、そのさらなる改善を図るべきだということを指摘してございます。  また、財団法人の交通事故紛争処理センター等が中立的な立場から行っております無料法律相談でありますとか示談のあっせん、あるいは調停等につきましても、さらなる充実が要望されているところでございます。  また、その上で、自賠責保険の支払いに関します紛争処理機関を政府部内に設置する案でありますとか、再審査会の独立性を高める案につきまして、なお十分な検討が必要であるというふうに指摘されているところでございます。  金融庁といたしましても、交通事故の被害者保護の充実は非常に重要な課題であるというふうに考えておりまして、公正かつ中立な紛争処理システムにつきましても、これをどういう形で整備していくことが被害者保護の観点から最も望ましいのかという点につきまして行政部内で検討を行っているところでございます。今後とも、制度改正に向けた検討を鋭意進めてまいりたいと思っております。
  49. 細川律夫

    細川委員 運輸省、何か考えていますか。
  50. 森田一

    森田国務大臣 ただいまお話がありましたように、これをどうやっていくかということは大きな問題でございますが、よく相談をしながら、被害者保護の観点から、最も望ましい形というのがどういうものであるかということを今後行政部内で十分に検討していきたい、このように考えております。
  51. 細川律夫

    細川委員 特に、運輸省としては、具体的にはそういう紛争処理の機関などについては余り考えていないのですか。
  52. 森田一

    森田国務大臣 実は、いろいろな意見を持っておるわけでございますが、政府部内における意見の統一も必要でございますので、この場で運輸省の考え方がこうだと言うことはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先生は専門家でございますので、運輸省の立場については既におわかりになっているというふうに思っております。
  53. 細川律夫

    細川委員 余り運輸省の立場を理解し過ぎてもあれなんですが、いずれにしましても、私は、この事故の被害者の方たちが再保険の廃止によって一体どうなるかという心配をされていますから、そういう不安を感じないようなきちっとした被害者対策、これを立てていただきたいというふうに思います。  それでは次に、昨年の十一月に打ち上げに失敗をいたしましたHIIケットのことについてお伺いをいたします。  運輸多目的衛星MTSATを搭載いたしましたHIIロケット八号機が昨年十一月失敗をいたしました。これによりまして、運輸省あるいは気象庁の事業が大きくおくれるということになりましたことは大変残念でございます。  しかし、報道によりますと、この打ち上げの費用の支払いをめぐって、宇宙開発事業団との間で争いが起こっているということを聞いております。運輸省は、ロケットの打ち上げ費用のうち、百億円を支払うことになっておったのですけれども、未払いの三十五億円についてその支払いを拒否した、そのために、宇宙開発事業団が東京地方裁判所に民事調停を申し立てた、こういう報道になっております。  宇宙開発事業団という特殊法人が国を相手取って紛争の処理を司法機関に持ち込むというのは、余り例がないことだろうというふうに思います。なぜもっと円満にいかなかったのか。こういうふうになったのは、そもそも請負契約という、契約書そのものが不備であったのではないかというふうに思います。  そうしますと、この三十五億円の支払い、この支払いを拒否するということは、私は、そもそも運輸省が払うべき百億円、衛星が軌道に乗らなかったのですから、百億円そのものも払う必要がないのじゃないか、既に支払った六十五億円も戻してもらわなきゃいかぬじゃないかというぐらいに思っているのですけれども、そうしたような場合、責任の所在というのは一体どこにあるのかというようなことについて、運輸省、どういうふうに考えておるのか、ちょっと考え方を聞かせていただきたい。
  54. 実川幸夫

    実川政務次官 先生指摘の、これはもっと円滑に処理すべきではないかという御質問でございます。  先生指摘のように、ちょうど昨年の十一月の十五日でございますから、きょうに当たります、その打ち上げ失敗に伴いましての三十五億円の未払いでありますけれども、その取り扱いに関しましては、航空局また気象庁と宇宙開発事業団の間で協議を行ってきたところでありますけれども、両者の間に契約の解釈に相違がございます。一九九九年度分の三十五億円の支払いを現在も保留しているところでございます。  運輸省としましては、契約上、軌道に投入する業務を行うとなっておりますので、本契約の基本的な性格は請負契約でありますので、衛星を軌道に投入するという事業団の債務が最終的に履行されていない以上、運輸省側は打ち上げ費用を支払う必要はないと考えております。  ただ、先生指摘のように、契約を結んだ当時の運輸省としましては、初の実用衛星の打ち上げであったこと、また、その当時におきましてはHIIロケットの打ち上げがすべて成功しておりました、そういうことから、HIIロケット八号機での指令破壊というような事態を全く想定しておりませんでしたし、結果として、双方の解釈に相違が生じた結果になってきたと思います。  今後は、新一号機の打ち上げ契約におきましては、今回の経験を踏まえまして、双方の責任の範囲に疑義が生じないように明確に取り決めるべく協議を行っていきたいというふうに思っております。  運輸省としましても、MTSATに係る費用のうち、航空局負担分は、管制保安施設等のユーザーである航空会社が支払っている航行援助施設利用料で賄っておるところでもございます。また、予算の執行という面からも、その支出の適正さを確保する必要があることがございまして、公平な第三者による判断が必要であると考えておるところでございます。
  55. 細川律夫

    細川委員 今政務次官の方からお話がありましたように、このお金というのは、いわゆる着陸料なんかから出されているわけですね。着陸料から出されておるということは、これは航空会社が出しておる。航空会社は、恐らく乗客の運賃から出しておるということになりますよね。  そうしますと、運輸省としては、この契約の性格が請負契約だといって、衛星が軌道に乗らなかった、したがって、これは一定の目的を達していないということですから、お金はむしろ返してもらわなきゃいかぬわけでしょう、百億円は。既に払った六十五億円、向こうに三十五億円払ってくれと言われるよりは、むしろ、六十五億円返してほしい、こう言うのが運輸省の立場じゃないかと思うのですけれども、これはどういうふうにお考えですか。調停の中でどういうふうに主張されているのですか。
  56. 深谷憲一

    深谷政府参考人 私どもといたしましては、基本的に請負契約だという認識をしておりますので、全体について、先生指摘のような考え方に基づきまして協議をいたしましたけれども、契約の解釈については意見が一致しませんので、先ほどの調停の状態に至った、こういうことでございます。
  57. 細川律夫

    細川委員 何を言っているのだかよくわかりませんけれども、要するに、運輸省としては、この請負契約の目的を達成してもらえなかったのだから支払うべき理由はない、こういうことですよね。既に支払っている六十五億円も支払う必要はないんじゃないか。そうしますと、運輸省としては、むしろ、六十五億円も返せ、こう言うのが筋ではないですか。そういうふうな考えで了解してよろしゅうございますね。
  58. 森田一

    森田国務大臣 先生のおっしゃるのはまことに理屈があるわけでございますが、正直申しまして、この契約を締結するときには、失敗するということが余り頭の中になかったわけでございます。そこで明確な定義を欠いておりまして、そして双方の間で解釈の違いが生ずるということになったわけでございます。  なお、私の個人的な経験も申し上げますと、大蔵省の法規課というところにおりまして、しょっちゅうこういう問題に対応しておったわけでございます。そして、そのときにはしばしば調停にお願いしたという経験もございまして、今後は、このような調停ということに絶対ならないようにするということを教訓といたしまして、今回は何とか調停をお認めいただきたい、このように思っておるわけでございます。
  59. 細川律夫

    細川委員 では、ぜひこういうことがないように、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  いろいろ予定をしておりましたけれども、では、最後にお聞きをいたします。  大臣、この間、中国に訪問をされましたね。中国に大臣が訪問される前に、中国からは朱鎔基首相が訪日をされました。朱鎔基首相は、山梨のリニアの実験線に試乗をされるというようなことで、日本の鉄道に大変大きな興味を持たれているというふうにお聞きをしたわけなんですけれども、今、中国では、北京と上海を結ぶ高速鉄道をどこの国の技術でやるかというようなことも大変注目をされているわけですね。  私は、日本のすぐれた鉄道技術というのが中国で採用されるということは、今後の日中の交流にとっても大きな意義があるのではないかというふうに考えているわけなんですけれども、今度訪中をされまして、上海—北京の新幹線だけではなくて、いろいろ中国の当局の方とお話をされたんだろうと思いますけれども、どういうようなことを話され、どういうようなことを今後日本と中国でやっていこうというような方向性が決まったのか、そういうことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  60. 森田一

    森田国務大臣 今回、先生お話しのように、十一月の二日から五日まで訪中いたしまして、上海において韓正副市長、北京においては呉邦国副総理、傅志寰鉄道部長、鉄道大臣でございますが、カコウイ国家旅游局長、これは観光大臣でございますが、会談を行ったわけでございます。  そして、朱鎔基総理は、日本に来られたときに、ぜひ北京でお会いしたいと言っておられたのですが、ちょうど私が行った日にロシアの総理が来ておられましてお目にかかれなくて、呉邦国副総理にお目にかかったわけでございます。  まず最初に上海に飛んだわけでございますが、本年三月に、テクノスーパーライナー、一隻だけ我が国に今あるわけでございますが、これが上海へ航路開設に向けて試験の航行をしたわけでございます。そして、テクノスーパーライナーにつきまして実質的に合意をいたしまして、今後、担当局長レベルで定期的に協議を行うということにしたわけでございます。どのくらい先かはまだはっきりはしておりませんが、上海と我が国との間にテクノスーパーライナーが航行するということも遠い先ではないんじゃないかという感触を得ているわけでございます。  それから、呉邦国副総理、傅志寰鉄道部長との会談におきましては、ただいまお話がありましたように、北京—上海間の鉄道につきまして、日中友好のシンボルとなることを期待いたしまして、中国側から要望があれば、我が国としては、リニアではなくて新幹線に対する技術移転について積極的に協力するということを表明したわけでございます。  そして、我が方のこのような気持ちにつきましては十分わかっていただいたわけでございますが、ただ、向こうはまだ、鉄輪方式にするかリニア方式にするかは検討中でございまして、最終的に今回の訪中で結論を得るわけには至らなかったわけでございますが、日中双方のスタンスがはっきりしてまいりまして、そして、向こうの事情も非常によくわかりましたので、これからは交渉が進めやすくなってきたと思うわけでございます。  また、呉邦国副総理、何国家旅游局長、観光大臣でございますが、これは私の方から、西部大開発ということを向こうは非常に重視しておりますので、観光のための現地調査や、実務協議を行うための調査団を派遣しましょうと申しましたところ、非常に評価をして、ありがたいと言っていただいたわけでございます。  今回は、そういうわけで、鉄道と観光とそれから海運、三分野について話をしてきたわけでございますが、大いに成果が上がったと自負しておるわけでございます。
  61. 細川律夫

    細川委員 ありがとうございました。  あと、鉄道事故調査委員会なんかについてもいろいろ聞きたかったんですけれども、時間が参りましたので、これで私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  62. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、伴野豊君。
  63. 伴野豊

    伴野委員 こんにちは。民主党の伴野豊でございます。運輸委員会、本日、私、デビュー戦でございまして、心地よい緊張感の中でやらせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。浅学非才の私がやらせていただくわけでございますが、本日、大臣、総括政務次官、政務次官の諸兄の胸をかりるつもりでやらせていただきたいと思っております。  ボーイズ・ビー・アンビシャス、少年よ大志を抱け、クラーク博士の言葉でございますけれども、このあたりはよく御存じだと思います。やはり、二十一世紀の子供たちに夢を与える運輸というものを、ぜひともきょうは運輸大臣に前広に語っていただければ非常に私の質問する意義が出てくるわけでございますが。そういった中で、まず総論から入らせていただきたいわけでございます。  世界の中の日本というものを意識した中で、二十一世紀の日本の運輸のあり方は今後どうあるべきか。例えば、グローバル化、ボーダーレス化、非常に使い古された言葉ではございますが、今後ますます国際標準による国際競争というのがあらゆる分野で激しくなっていくだろう。  また、森内閣の至上命令でございます、私どもも賛成させていただきましたけれども、IT革命。これは、いわゆる人の情報の伝達のプロセスをカットする技術でございまして、では、ITが進めば進むほど人は会わなくていいかというと、それは逆でございまして、いわゆるインターネットに対するヒューマンネットと申しますか、情報伝達の速さに見合う人の移動の速さというものも必要になってくると思いますし、携帯電話の普及に見られるように、これができたからといって人が会わなくなったかというと、そうではなくて、ますます会うようになる。  例えば、ちょっと古い話でございますが、「君の名は」というドラマがあったわけでございます。橋の上で男女が待ち合わせをした。こんなのは携帯電話があれば起こらないドラマなわけでございますが、逆によく会うようになってきたわけでございます。また、価値観の変化、生き方、ライフスタイルもどんどん変わってきております。交通の手段というとらえ方よりも、例えばドライブに見られる目的、快適な空間での移動というものを非常に皆さん目的化してきております。  先ほど細川議員からありましたように、地球環境の問題、また一方で、今、国家財政の悪化というものを見る場合に、限られた財源の中でいかに有効な投資をしていくか、非常に重要な岐路に来ているんじゃないかと思います。  ぜひとも、そのあたりのところ、非常に漠としてで結構でございますので、運輸大臣のお考えをいただければありがたいかと思います。
  64. 森田一

    森田国務大臣 ただいま先生指摘のように、グローバル化あるいはIT化という時代にありまして、交通インフラをどういうふうに進めていくかということは、非常に難しい問題であると同時に大事な問題であると考えております。  そして、その一つの要点は、投資対象を重点化するということが非常に重要であると考えておるわけでございます。そして、現に、十二年度予算では、空港整備事業の六〇%を大都市圏空港に配意しておるわけでございますし、また、港湾整備事業の七〇%を中枢・中核港湾など重要港湾に重点投資しておるわけでございますが、これは、ただいま申し上げましたような交通インフラを整備する上において、投資対象を重点化するという必要があると考えておるからでございます。  そして、先生指摘のように、二十一世紀を前にしまして、我が国はますますグローバリゼーションの波にさらされておるわけでございまして、これにどうやって適切に対処していくかということは非常に重要でございます。  したがって、運輸省としましては、国際交通需要にどうやって適切に対処していくかということを真剣に考えておるわけでございます。そのようなことを念頭に置きながら、交通インフラ、とりわけ大都市圏における国際交通容量の確保は非常に重要な問題である、このように考えて運輸行政をとり行っておる次第でございます。
  65. 伴野豊

    伴野委員 非常にわかりやすく簡潔にお答えいただきまして、ありがとうございます。  今、お答えいただいた中に重点化というお話が出たわけでございますが、やはり今後、限られた財源と優先順位という問題になってくるかと思うわけでございますけれども、ますます国民の目というのは税金の使い道に厳しくなってきております。  そうした中で、費用対効果の分析というのは、非常に難しい問題かと思いますけれども、しかし、やらなくていいかといえば、やらないわけにはいかないだろう。そういったときに、国民に説明しやすい、わかりやすい理屈なり理論が必要なんだろうと思うわけでございます。  二十一世紀は間違いなくアカウンタビリティーの時代になってまいります。運輸省さんがやっていらっしゃいます旅客地域流動調査の結果、例えばOD交通量、交通機関分担なんかを有効に使って、どれを重点化するか、どれを優先させるかというような、何らかのそういう定量的な尺度と申しますか、評価基準をそろそろ踏み込んでつくっていく必要があるんじゃないかと思いますが、そのあたりの御見解はいかがでしょうか。
  66. 泉信也

    泉政務次官 限られた財源の中で効率的な投資をする必要があるということは御指摘のとおりでございまして、運輸省も十年度から費用対効果分析を基本としたプロジェクトの採択をやっておるところです。  先生御承知のように、定量化できる部分となかなか難しい部分がございまして、この分析だけでプロジェクトの選択をするということは必ずしも適切でない部分があるかと思っております。  しかし、これから国土交通政策全般に係る政策評価制度を確立しなければならないということで、我々といたしましては、国土交通省発足に当たりまして、評価の手順それから方法、そして評価そのものをさらに確立していきたいと思っております。当然これは質の高い行政を実現するということに帰着するわけでございまして、国民に納得していただけるような、そうした尺度を確立していきたいと思っております。
  67. 伴野豊

    伴野委員 ぜひとも、運輸省さんの総力を挙げて、定量的に取り扱えない、いわゆる質的な部分をいかに客観的に説明していくかということが重要かと思いますので、そのあたり御配慮いただきたいと思います。  続きまして、各論に入っていきたいと思います。  国家間輸送のお話でございますけれども、私もちょっと、二、三、いわゆる日本のライバル空港と言われるようなところを見て、調査してまいりました。そんな中でシンガポールのチャンギ空港なんかは非常に共鳴したわけでございますが、日本の関空の二期工事や、二〇〇五年には中部新国際空港開港というようなことが計画されているわけでございますが、いわゆる飛行場から空港へという発想で、今後、空港の国際戦略について、何かお考えがございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  68. 森田一

    森田国務大臣 空港というのは非常に重要でございます。二十一世紀において、経済や文化や社会等の国民生活を取り巻く情勢が一層国際化するわけでございます。それを支えていくためにも航空の意義というのはますます上がっていくというふうに思うわけでございます。  そして、そのような中にあって、ただいま先生が御指摘になりましたように、大都市圏拠点空港整備というのがぜひとも必要でございます。第七次空整におきましても、このような基本的な考え方に従いましてその整備を進めることになっておりますが、成田、関空、中部というのは、首都圏それから近畿圏、中部圏における航空需要に対応していくものとしてぜひとも整備をしていかなきゃいかぬ、そして、これはばらばらではなくて三港が相まって我が国の国際航空需要を満たすということになっていかなきゃいかぬと思うわけでございます。  ただ、先ほどの御質問にもお答えしたんですが、中国に参りまして話を聞いておりますと、第四期計画もあって、将来は六本の滑走路をつくるというようなことを言っておったわけでございます。中国の場合には、ここに滑走路をつくると言うとすぐその住民は移転するそうでございまして、あとはお金の問題だけになるわけでございますが、残念ながら、我が国の場合にはなかなかそういうわけにいかないという点が非常に大きな悩みでございます。  そのような悩みのある中にありながらも、我が国の国際航空需要を満たしていくために力いっぱいやっていきたい、このように思っておるわけでございます。
  69. 伴野豊

    伴野委員 シンガポールは、先日ちょっと残念な事故があったわけでございますが、やはり国を挙げてやっております。国益を守るために国の存亡をかけてやっておりますので、そのあたり、今度国土交通省になるわけでございますし、枠を超えて、国益を守る、国際競争力を高める視点で、ぜひとも御尽力いただきたいと思います。  続きまして、地元の話で恐縮なんでございますが、これを質問しておかないとなかなか地元に帰れないという個人的な事情もありまして御質問させていただきたいと思います。  中部新国際空港、私のまさに地元でございまして、地元では、コーディネーターの不在とか、バス代替輸送の問題とか、救急医療施設の問題とか、いろいろございます。御案内のように、一九九四年、名古屋空港では、中華航空機の墜落事故ということで、非常にとうとい命をなくしております。  そういう意味で、中部新国際空港におけるアクセスの問題やあるいは緊急の救急医療体制等の総合的な整備、これにつきまして、現状と今後の見通し運輸省さんの枠を超える部分もあるかもしれませんが、ぜひともお答えいただければと思います。
  70. 実川幸夫

    実川政務次官 先生の御地元であるかと思いますけれども、先生指摘の中部空港アクセス鉄道建設に当たっての、恐らくバスの代行だと思います。  この件につきましては、先生御存じかと思いますが、既存線の一部であります榎戸—常滑間ですか、これは一・七キロ高架化することになっております。この事業につきましては、当初は仮線を予定しておりましたけれども、地権者との交渉が大変難航しておりまして、空港開港、いわゆる二〇〇五年三月までに整備を終えるめどが立たないことから、事業者と地元自治体との協議によりまして、代行バス方式によることにしたものでございます。  運輸省としましても、代行バス輸送が利用者の利便を著しく損なうことのないように、また地域の道路事情等への悪影響を極力及ぼさないように、地元の方々の声にも十分配慮しつつ、運行計画を作成するよう関係者に指導してまいりたい、このように考えております。
  71. 深谷憲一

    深谷政府参考人 先生指摘の中部国際空港関係で、救急センターの御指摘がございましたので、補足して説明させていただきます。  中部国際空港開港に対応して、救急医療体制等の整備、これはとても大事なことだというふうに認識しております。  空港の設置管理者でございます中部国際空港株式会社、これは空港内での救急医療体制の整備自分で実施する、そういうこととともに、自治体消防なんかと消火救難協定、あるいは周辺医師会と救急医療協定を結ぶなどといったことで、地元関係者とさまざまな協力を行ってまいりたい、こんなふうに考えております。
  72. 伴野豊

    伴野委員 アクセスの問題、医療体制の問題、非常に重要な案件でございます。こういう大きなプロジェクトは地元の協力が必要でございまして、しかし一方で地元も協力しなければいけないわけでございまして、そのあたりはぜひとも御案内いただきまして、とりわけバス代替輸送につきましては安全輸送ということに極めて御配慮いただきたい、そのように思っております。  続きまして、少し国内輸送の話題に触れさせていただきたいと思います。  御案内のように、五全総、二十一世紀の国土のグランドデザインの中にもございますように、「地域が連携し自立的発展を図ることを可能とし、価値観に応じた暮らしの選択可能性を高める交通体系」云々というような文言がございます。そういった意味で、地方分権を積極的に進めるためにも、地域間交通は国が、地域内交通はその地域が主体的に行うべきと考えるわけでございます。また一方で、規制緩和の推進とともに、権限も大幅に移譲していく時代ではないかと思うわけでございますが、そのあたりのところ、大臣見解等々をお聞かせいただければありがたいと思います。
  73. 泉信也

    泉政務次官 地域間輸送あるいは地域内輸送というものに対する国の関与の仕方についてのお尋ねだと思います。  運輸省の基本的な考え方は、地域内交通というような問題については、極力その地域が主体的に取り組むということでいきたい、国は補完的な、支えをするというかお手伝いをするという姿勢でまいりたいと思っております。  しかし、例えば三大都市圏というような非常に大きな分野になりますと、鉄道計画一つとりましても、その流動が広域的であるとか、あるいは補助金等の計画的、効果的な利用をしなければならないとか、あるいは地域計画というか国土計画との関連性というようなものもございますので、こういうところにつきましては、国が計画策定の段階から必要な場合には積極的に関与していきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、地域と国が一体的にそれぞれの立場でいい交通体系をつくっていく、あるいは交通環境をつくるということに努力をしていきたいと思っております。
  74. 伴野豊

    伴野委員 地方分権といいますか、地域主権の確立のためにも、ぜひとも御尽力いただきたいと思います。  続きまして、地域間輸送のお話に参りたいと思います。  多分大臣は御案内かと思いますが、東海道メガロポリス、いろいろな形容の仕方があろうかと思うのですが、そこに約六千五百万人の方がかかわっております。これは国民全体の五〇%であるわけでございますけれども、そういったいわゆる日本の背骨といいますか、かなめの部分の強化、情報伝達速度に見合う人の移動がますます問われるわけでございまして、フェース・ツー・フェースのかかわりというのは非常に重要になってくるわけでございます。  そういった観点で、国家プロジェクトとしてのリニア中央新幹線の早期の実現を望んでいる一人でございますけれども、そのあたりの御所見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
  75. 森田一

    森田国務大臣 ただいま東海道メガロポリスというお話がありましたが、まことにそのとおりでございます。そして、こういう幹線交通というのは非常に重要でございまして、鉄道、港湾空港というようなことが必要になってくるわけでございます。  そして、リニアにつきましても、技術的な開発ということについてはほぼめどがつきかけておるというような状況でございます。あとは、いかにして安くするかあるいは耐久性を持たせるかというようなことにつきまして、さらに実験を重ねなければいかぬということでございます。  私の気持ちとしては、一刻も早くこの線に通せよということは言いたいわけでございますが、まだ地質等も調査をしておりまして、これらを待たなければどういうふうに通るかということも申し上げられないということになっております。その点は残念でございますが、その重要性につきましては十分に認識をしておるつもりでございます。
  76. 伴野豊

    伴野委員 バブルに消えたお金もたくさんあるようでございますので、ぜひともそのあたりのところも御理解いただきまして、今後、全幹法の枠を超えるような思想、哲学があってもいいかと思います。ぜひとも御推進の方で、よろしくお願いいたします。  それから、地域内交通の方へ移りたいわけでございますが、先ほど細川委員の方から、いわゆる交通需要管理、TDMのお話が出ましたので、ここは若干触れるだけにさせていただきたいと思います。シンガポールにおけるロードプライシング、それからイギリスにおけるトランスポートビル、各国は非常にいろいろ考えております。ぜひとも我が国も、需要管理というとやり過ぎなのかもしれませんが、調整、誘導のあたりぐらいまではそろそろ大都市でぜひともやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。この件に関しては、ちょっと時間がないので、お答えは結構でございます。  続きまして、地域内交通の鉄道の方でございますが、昨今、東京圏における鉄道の混雑率の話題なんかもいろいろございます。依然として、その混雑率は一八〇%でございます。計画は、目標値として一五〇%ということでございますが、一〇〇%を定員乗車とすれば、一五〇%というのは肩が触れ合うという目標でございます。それは、物理的な、財政的な問題もいろいろあるわけでございますから、理想ばかり高くてもしようがないのですが、ただ、この一五〇%というのは肩が触れ合うというフィジカルな接触を認めているということでございまして、女性の天敵と言われる痴漢、これは場合によっては男性にも敵になるわけでございます。疑われるということです。ですから、やはり先進国であれば、この混雑率の解消という観点からも、つくるべき新線はつくらなければいけないと私は思います。  そういった意味で、帝都高速度交通営団の民営化のスケジュールとかシナリオについてお聞かせいただきたいわけでございます。必要な新線の建設に支障のないシナリオであってほしいと願う一人であるわけでございますが、よろしくお願いいたします。
  77. 実川幸夫

    実川政務次官 帝都高速度交通営団につきましては、一九九五年二月の閣議決定、いわゆる特殊会社の整理合理化につきまして完全民営化の方針が定められております。その第一段階といたしまして、先生御承知のように、現在建設中の七号線溜池山王—目黒駅間の及び十一号線、これは水天宮前—押上間が完成した時点をめどに特殊会社化を図る、このようにされているところでもございます。  これらの路線のうち、七号線につきましてはことしの九月二十六日に開業いたしておりますし、また、十一号線も二〇〇三年春の完成を目指して現在建設が鋭意進められているところでもございます。  また、民営化後の営団によります新線建設へのかかわり方につきましては、ことし八月の運政審答申におきまして、運行事業者として乗り入れることあるいはインフラ整備主体に対します受益に応じた出資を行うことによりまして関連路線の整備にも関与することを強く期待しているところでもございます。  また一方、同答申におきましては、第三セクターが行う地下鉄整備におきまして、公営地下鉄に対する支援のあり方を勘案して見直すことを提言しております。これを受けまして、現在、二〇〇一年度概算要求において償還型の上下分離方式の本格的導入にあわせまして、第三セクターによります地下鉄整備についても公営並みの補助内容とするとの要求を行っているところでございます。  運輸省としましても、この取り組み方を通じて今後の地下鉄建設が少しでも進展するよう、引き続き努力をしていきたい、このように考えております。
  78. 伴野豊

    伴野委員 運輸行政の側面からも、痴漢撤退の方でといいますか、撲滅の方の活動として、ぜひとも新線建設等にも積極的におやりいただきたいと思います。  では続きまして、違った側面から二、三、質問させていただきたいと思います。  二十一世紀の観光産業のあり方、戦略等についてお聞きしたいわけでございますけれども、御案内のように、国際観光収入の日本におきます国内総生産比は〇・一%にすぎません。諸外国を見てみますと、一つの例として、シンガポールは七・二%、ポーランドは六・〇七%、オーストラリアは五・三八%、香港は五・三四%、スペインは五・〇一%、非常に高い数字があるわけでございますが、これは言ってみれば、まだまだ観光産業というのは日本の場合、受け皿として成長させることが可能であろうというような考えがあります。  ぜひとも、リゾート法の二の舞にならないような方策で、そういう日本の二十一世紀の観光産業の育成に戦略的な方策等々があればお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  79. 森田一

    森田国務大臣 ただいまお話がありましたように、観光というのは非常に重要でございます。ただ、我が国の場合には、外国に出ていくのは千六百万おるのに対しまして、我が国にやってくるのは四百四十万しかいないということでございます。そこで、新ウェルカムプランというのをつくりまして、この四百四十万を倍増しようということになっておるわけでございます。  しかし、外国を見ますと、自分の国の人口より訪問外国人の方が多いという国もあちこちにあるわけでございまして、そういう意味からいきますと、倍増というのではまだ足りないわけでございますが、とりあえず現実的な目標として、この四百四十万人を倍増するようにどうやってやるかということでやっておるわけでございます。  先ほども御報告申し上げましたが、中国に参りましたときに何観光大臣ともお会いしまして、そして中国からの観光客、これまでは認められておらなかったわけでございますが、今回、初めて認められまして、そして来年の春までに大体五千人やってくるということになっておるわけでございます。  そういうように一つ一つを積み重ねることによりまして、この新ウェルカムプランが着実に実施できるようにいろいろ工夫を凝らしてまいりたい、このように思っております。
  80. 伴野豊

    伴野委員 ぜひとも積極的によろしくお願いいたします。  ちょっと時間が迫ってまいりましたので、当初、分けて質問させていただきますことを考えていたわけでございますが、二、三、くっつけて御質問したいと思います。  まず、技術のお話でございますが、日比谷線の中目黒駅における脱線事故、非常に痛ましい事故であったわけでございます。この事故をかんがみるときに、静止輪重のあり方、軌道の平面性のあり方、推定脱線係数比のあり方という非常に難しい言葉を使って最終的な報告をなされているわけでございますが、この調査で終わらなくて、このような事故が絶対に起きないように、ぜひともフォローアップに心がけていただきたいと思うわけでございます。客観的に見まして、対応が困難な鉄道会社も幾つかあろうかと思います。そういう鉄道現場の実態も御配慮いただきまして、さらに、被害者の遺族の気持ちになって、こういう痛ましい事故が二度と起こらないような御配慮をいただきたいと思います。後ほど、これについて大臣の御感想をいただければと思うわけでございます。  そういう技術に付随しまして、少しお尋ねしたいわけでございます。  国鉄が民営化された、いろいろなメリットがあったわけでございますが、負の部分として、やはり技術のまとめ役が本当に今あるのか。JR総研さん、非常に頑張っていらっしゃいますが、やはり各社、経営事情にのっとった、経営戦略に基づいた研究というのを、これは経済原則として優先させてしまう嫌いがございます。  そういった意味で、地道なこういう事故調査とかそれから現場に即したものというのは、特に人の命にかかわることでございますので、こういうあたりは運輸省さんが積極的に運輸の問題、事故調査委員会ができるようでございますが、航空、鉄道だけに限らず船舶、十一日にはオーストリアの観光山岳ケーブルの痛ましい事故があったわけでございますが、こういうようなときに国際協力が進んでできるような体制を運輸省の方で今後整えていただけないか、そんな思いの一人でございまして、よろしくお願いいたします。御感想をいただければと思います。
  81. 森田一

    森田国務大臣 私が十年前に政務次官をやっておりまして、今回、運輸省に帰ってまいりまして非常に感ずることは、規制緩和が非常に進んでおるということでございます。しかし、規制緩和が進んでおる中でどうやって安全を確保していくかということが、非常に重要な問題になっておるわけでございます。本当に日比谷線事故につきましては、痛ましい事故でございまして、心から御冥福をお祈りしておるわけでございますが、我々は、今後、こういうような事故を絶対起こさないということをどうやってやるかということが非常に重要であろうかと思うわけでございます。  そういうことに関連しまして、鉄道につきましても、航空事故調査委員会と一緒にいたしまして、そして鉄道と航空の事故調査委員会を設けまして、事故に至らない、その萌芽であるインシデント等につきましても、十分に検討するというようにやっていきたいと思っておるわけでございます。このために、法律案を来年の通常国会に出すということにいたしておるわけでございます。  また、先生指摘の技術の問題につきましては、これは国鉄が非常に高い技術を持っておったわけでございますが、JRにおきましてもこのような技術がさらに向上するように、また鉄道だけに限らず、船舶やあるいは自動車、各方面における技術の育成ということにつきましては、十分に配意していかなきゃいかぬ、このように思っております。
  82. 伴野豊

    伴野委員 若年層への技術継承という観点からも、ぜひとも御推進いただきたいと思います。  それから、最後に、先ほどもちょっと鉄道の国際貢献の話題が出たわけでございますが、御案内かと思いますけれども、先般、台湾高速鉄道プロジェクトのニュースが飛び込んでまいりました。その一方で、交渉に当たったときの日本企業団の、いわゆる他諸国の団体に比べてコミュニケーションの問題とか、あるいは国が十分にバックアップしていただいていたかどうかというところになると、もっと頑張っていただきたいという観点があるわけでございますが、その台湾高速鉄道プロジェクトの現状と課題、そして見通しについて、さらに、これが今後海外の売り込みのきっかけとなっていくのか、今後の海外売り込みの計画等につきまして、お聞かせいただければありがたいと思います。
  83. 実川幸夫

    実川政務次官 先生指摘の台湾高速鉄道プロジェクトでありますけれども、これは六月に覚書が締結されております。我が国の新幹線システムの採用が実質的に決定されたわけでありますけれども、このことは、同システムの優秀さが国外でも認められたという点では大変意義深いものと認識いたしております。  我が国におきましても、日中共同声明に基づきまして、台湾との関係を非政府間の実務関係といたしまして、民間及び地域的な往来を維持していくこととしておりまして、本件、いわゆる高速鉄道プロジェクトも、あくまで民間企業間の商取引ということで位置づけを行っているところでございます。  このような状況のもとで、高速列車の運行を行うためには相当の専門的な能力が必要であることから、海外の鉄道に関します技術協力に多くの実績を有しますいわゆる海外鉄道技術協力協会が技術的な支援を行っていくと聞いておりますけれども、運輸省といたしましても、我が国の鉄道産業の輸出競争力の強化という観点から、国内の民間グループに対しまして必要な助言を行ってまいりたい、このように考えております。
  84. 伴野豊

    伴野委員 いずれにしましても、国際競争力のある技術は積極的に外へ出していただいて、それを国を挙げて応援していくという体制をぜひともよろしくお願いいたします。  時間も迫ってまいりました。本日は、委員長初め大臣の皆様方の御協力によりまして、非常に有意義な時間を過ごさせていただきましたことを感謝しまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  85. 赤城徳彦

    赤城委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十六分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  86. 赤城徳彦

    赤城委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
  87. 赤羽一嘉

    赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。  きょう与えられました三十分間を関西国際空港の二期事業につきまして御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、午前中の質疑でも出ておりましたが、関空につきましては、関空会社自体千五百億円以上の累積赤字がある、こういったことから、今後二期事業をこれまでどおり進めていいのだろうか、こういった御発言が、宮澤大蔵大臣からもあり、大蔵省の武藤事務次官からもあり、またマスコミ各紙からもある。しかし、マスコミ各紙で論じておりますが、どうも少し考え方を整理しなければいけないのではないか。ある新聞は航空需要の伸び悩みがあるとか、または財務体質のことについて言われているものもあるし、不正確な事実確認の上で一緒くたな議論というのはどうなのかというふうに私は思いますので、きょうは三十分間かけて少し整理をさせていただきながら質問いたしたいと思いますし、マスコミの社説、いろいろ出しますので、運輸省当局としても、大臣、政務次官の皆さんにしても、反論をしたいとしてもなかなかできない場面もあったと思いますので、事実をもって、ぜひ御反論があればしていただきたいというふうに思いますので、まずよろしくお願い申し上げたいと思います。  私の考え方としましては、私も神戸選出、関西選出の議員でありますが、関西経済のために関空は大事だ、これは事実なのですが、そういった発想よりも、経済大国日本におきまして、国際ハブ空港の重要性、なくてはならないものだというふうに思っております。成田の国際空港、それも一本の滑走路ともう一本が暫定の滑走路というような現状の中で、関空が日本のハブ空港の一翼を担うというのは当然のことである、この成田、関空というのは大事なハブ空港であるというふうに私は認識をしている、そういう立場から質問させていただきたいと思います。  まず、千五百億円以上の累積赤字、この原因について。  一つは、航空需要の現状についてどうなのか。航空需要自体が伸び悩んでいる、こういった話がありますが、航空需要の伸びについて、午前中も若干やりとりがありましたが、関空開港以来、国際旅客数、それと国際貨物量の伸び率は日本全体の伸び率と比較してどう比較されるのか、どの程度になっているのかということを聞きたいということが一点目。  二点目は、外国の航空会社が撤退している。どうも関空着陸料も高くておりづらいというようなことで撤退しているという報道もありますが、撤退もあれば参入もあると思いますので、その状況、現状はどうなのかということを聞かせていただければと思います。
  88. 泉信也

    泉政務次官 今日本全体の国際航空の伸び率との比較をまずお尋ねでございますので、この点をお答え申し上げたいと思いますが、日本全体では、一九九五年から九九年までを見ますと、国際旅客数は二・六%、貨物量が六・七%でございますが、関西空港が扱いました量は、旅客数で六%、貨物量で一八・九%、国内平均に比べますとかなり高い伸び率を示しておることでございます。  それから外国航空会社の撤退というお話がございました。  確かにことしに入ってからも若干の動きがございますが、現在五十八社となっておりまして、ことしエア・カレドニアやエア・タヒチなど五社が新規に入っております。一たん撤退しながらまた戻ってきたというようなエアラインもございまして、こういうものを除きまして、純粋に撤退した航空会社は、開港以来でございますが、七社ということになっておるところでございます。
  89. 赤羽一嘉

    赤羽委員 関空における航空需要の現状というのは、今の総括政務次官の御答弁であれば、そんなに悪いものではない、こういった状況があるかと思います。  それでは、なぜこれだけの累積赤字ができたのかといえば、当然考えなければいけないのは現在の財務状況ですね。午前中も御答弁ありましたが、営業損益でプラス二百数十億出ていますね。決算の推移というのは資料を取り寄せていただきました。ところが、支払い利息が四百億以上あるわけです。そうなりますと、営業損益黒字でありながら経常損益自体は逆の、マイナス二百億以上の赤字となってしまう。これは、宮澤大蔵大臣が言われていることなのかもしれませんが、有利子負債のインパクトが余りにも大きい。  そういった意味で、現状の財務状況はわかりますが、今後の財務状況見通し、これについてはどうなのか、お答えいただけますでしょうか。
  90. 森田一

    森田国務大臣 実は宮澤大蔵大臣からこの前に話がありまして、近く貨幣大試験に行くので、そのときに大阪財界との間で関西空港の話が出るというような話がございました。そして、ただいま先生が御指摘になるように、有利子負債のことについて心配しておるのだ、特に今後、金利が上がるというようなことも考えられるしというようなお話がありました。  しかし同時に、二〇〇一年度予算については、事務当局の方からはこれをおくらせるというような話があるけれども、これはちゃんと確保してまいりたい、このようなお話がありまして、これをおくらせますと状況は一層悪くなりますので、その点はちゃんとよろしくお願いしますということを大蔵大臣に申し上げておいたわけでございます。  そして我々としましては、これらの問題を踏まえまして、当面の二〇〇一年度予算の問題と、それからただいま先生が御指摘になりましたような有利子負債をどうするかというような問題を分けまして、そして昨日から航空局におきまして、これらの問題につきましても検討を始めたわけでございます。  ただ、これは必ずしもすぐに結論が出るというものではございませんので、二〇〇一年度の予算の問題とは切り離して、同時並行的ではありますが、予算編成とは切り離して考えたい、私はこのように思っておるわけでございます。
  91. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ありがとうございます。  そういった関空二期工事における宮澤大蔵大臣の御発言、午前中、森田運輸大臣からも何回か御答弁いただいていますのでよくわかるのですが、一方で大蔵省の武藤事務次官からは、ちょっと今までの状況、少しストップして考えた方がいいのではないか、明年度の予算についても少し様子を見たらいいのではないかというような発言もある。この辺、大蔵大臣と事務次官の御発言の内容が、報道を通してでありますけれども、どうも非常に異なっているように思われるのであります。  きょうは大蔵省主計局の次長さんにもいらっしゃっていただいておりますので、この点についての財政当局意見、御発言の真意というのを、いろいろ取りざたされておりますので、御答弁いただければというふうに思います。
  92. 津田廣喜

    津田政府参考人 関西空港の二期工事でございますけれども、これを着工することにいたしましたのは、航空需要が着実に伸びるという前提のもとで株式会社方式で引き続きやろう、つまり独立採算制でやろうということで始めているわけでございます。しかしながら、その後の推移を見ますと、やはり航空需要が当初予定したほどにはいっていないというようなこともありまして、将来については私どもは若干の不安を持っているわけでございます。また、平成十三年度の予算要求の中でも、こうした会社経営状況を踏まえてだと思いますけれども、着陸料の引き下げに対する国の支援を要求しているという今までなかった事情も生じております。こういった諸般の事情を考えますと、将来、二期工事を安定的にやるとしますと、やはり当初との違いをよく踏まえていろいろ議論をしていく必要があるという基本的なスタンスではございます。  一方、先ほど委員がおっしゃった、大臣、事務次官の発言についてでありますけれども、いろいろ報道の仕方はあるのでありますが、いずれにしても、現段階で具体的なことを申し上げる段階にはないということを二人とも前提にした上でおっしゃっております。大蔵省財政当局としても、一つの考え方を具体的に決めてお話をしているということではございませんので、特に食い違いがあるというふうには考えておりません。
  93. 森田一

    森田国務大臣 ただいま津田主計局次長からお話があったわけでございますが、実は、この問題につきましては、私は、報道が先行しておるというような状況になっておると思っております。まだ主計局の方に航空局長の方から詳しく説明をしておらないというような状況でございまして、これから財政当局に対しても実情等につきまして十分に説明した上でさらにこの問題を煮詰めていきたい、このように思っておるわけでございます。
  94. 赤羽一嘉

    赤羽委員 どうもありがとうございます。  それでは、財政じゃなくて、今後の経営見通しというのはどう考えているのか。関空の方でもこれからの長期見通しを早速立てているようでありますが、このことについて、運輸省としてはその見通しはどう認識しておるのでしょうか。
  95. 泉信也

    泉政務次官 先日、関空会社が二期滑走路供用開始後の経営見通しというものを発表いたしております。これは、予測を三段階に分けて、直近の需要の伸びを第一に想定する、そしてもう一つは一番厳しい条件、それと中間の三ケースでやっておりますが、いずれの場合にも、二期滑走路供用開始後においても単年度黒字が達成され、累積損失の解消は可能であるという結論でございます。単年度黒字がケース一の場合は二〇一二年、ケース二が一七年、ケース三が二〇年という時間的なずれはございますけれども、会社見通しとしてはこういう見通しを出したわけでございます。  運輸省といたしましては、航空局長のもとに委員会を設けまして、経済状況需要見通し、そして二期工事における経営状況等を省としてまた検討をしたいと思っておるところでございます。
  96. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今総括政務次官のお答えのように、いずれのケースにおいても単年度黒字、営業ベースでは何とか黒字、やっていけるんだ、こういう見通しがあったわけであります。それが前提じゃないと、大蔵省の御答弁もあり、今後の二期事業の展開というのはなかなか難しいのかもしれません。  ちょっとこのことについて、私の個人的な感想というのですか、意見を言いますと、確かに航空需要が伸びるから空港が必要である、これは当然なんですけれども、必ずしも計画どおり伸びるかどうかというのは、事業ですから、私も三井物産というところでいろいろな事業をやってきましたが、そのときの取り巻く状況の中でそうならないケースも多々ある、それはあってはならないことかもしれませんが。では、航空需要が予想ほど伸びないから関西国際空港自体の必要性が問われるのか、存在自体が問われるのかというと、私は、これはまたちょっと別の問題じゃないか。民間会社としてやっていけないから、ではもう赤字でこのままクローズしてしまえとかそういったことは、まさに関西国際空港というのは日本を代表する国際空港であるわけですし、それは余りにも国としての見識が私は問われるのではないかというふうに思うわけです。  ですから、航空需要については、今言われたように、どんなケースでも単年度黒字が出るという予想もあれば、また、新聞なんかは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを期待して甘い見通し運輸省からも出たなんて、だれが出ているかわかりませんが、そういった報道もある。若干そういう幅というのは当然あるのだと思いますが、しかし、国際ハブ空港をどうしていくかというのは、関空という民間株式会社経営をどうのこうの言う以前に、運輸行政としてどう考えていくかということが私は大事なのではないかというふうに思うわけであります。  そのことについて、十一月十日の毎日新聞ではこんなコメントがありました。「空港を「国家機能の基盤」として位置付けず、場当たり的に対応してきた空港整備行政の欠陥がある。」ちょっとどういう意味で書かれているのかよくわからないんですが、そもそもこういった大きなプロジェクトをつくる場合に、要するに、この文面から読みますと、国が責任を持ってかかわってくるという態度があったのか、民活だからといって民間会社に任せておけばいいじゃないかというようなことがあるのではないかという意味の批判ではないかと思いますが、毎日新聞のこういった批判に対する御反論というものがあればお答えいただきたいと思います。
  97. 森田一

    森田国務大臣 大都市拠点空港整備については、時期を逸することなく、長期的観点で計画的に進めることがぜひとも必要でございます。そして、第七次空整におきましても、このような考え方にのっとりまして進めてまいったわけでございます。そして、成田、関空、中部はそれぞれ、首都圏、近畿圏、中部圏における航空需要に対応するものでありまして、これら三港が一体となりまして、我が国の国際航空需要をカバーしているものと考えておるわけでございます。  そして、関空を株式会社として設立したということにつきましては、いろいろ御批判もあるようでございますが、民間活力の積極的な導入を提言した臨時行政調査会の答申とか、あるいは民間の積極的な参加が望ましいこと、あるいは、国、地方団体、民間が一体となって協力、責任体制をつくることが望ましいという観点から、このような方式をとったわけでございます。  そして、これらの問題につきまして、私が中国に行って感じましたのは、中国の場合は四期計画までございまして、六本の滑走路整備されることになっておるわけでございます。しかし、同時に、ここに空港をつくると言ったら直ちに立ち退きが終わるというような我が国では考えられないような恵まれた条件にあるわけでございます。  そのような中にありまして、我が国の場合には、成田でも大変苦労いたしましたし、関空はまた逆に、成田のことを念頭に置きながら、相当深いところにつくるというようなことになったわけでございまして、いろいろ苦労はありますが、しかし、これらはぜひとも我が国の国際航空需要を満たしていく上において必要なことと考えておりますので、これからも積極的に推進してまいりたい、このように思っておるわけでございます。
  98. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今の御答弁どおり、今後も国際ハブ空港国際空港については、国としてもしっかりとイニシアチブを持ってやっていっていただきたいということを要望しておきたいと思います。  では、今後どうするのかという長期的な検討になるのかもしれませんが、ちょっと繰り返しになりますが、要するに、航空需要は結構見込まれる。これはもちろん、ワールドカップもありますし、来年、私もずっと取り上げてまいりましたWTO総会、世界観光機関総会もありますし、需要をふやすように努力していかなければいけない。現状とか見通しがどうだから必要かどうかじゃなくて、日本の経済を盛り上げていくためにしっかりと、空港がにぎわってしようがないというぐらい、国を挙げて頑張っていかなければいけないというのが基本的な考え方だと思います。  それはさておき、冒頭申し上げましたように、年間、営業利益の二倍もの利払い、この財務体質を変えていく必要が、何かしなければ、なかなか見通しがきかないのではないかというふうに思います。加えて、株式会社の形態というのはどうなのか。民間活力を導入するというのは非常に大事なことだと思いますが、あの膨大な土地をすべて全部民間のやりくりに任せることが、本当に結果として正しかったのかどうか。  当時、民活、民活ということで、そういった話の中で出てきたことだったのではないかと思います。ここからちょっと幾つか、これも毎日新聞の社説で言われていることでもありますので、こんな方法はどうなのかということを聞きたいと思います。  一つ目は、国が今の空港島を買い上げるアイデアとか、または、有利子負債のポーションを下げるために無利子負債の割合を引き上げる、こういった国の支援はどうなのか。また、株式会社自体の今のシステムの転換についてはどう考えるのか。このことについて、ぜひ、運輸省財政当局、御意見があればそれぞれ御答弁いただきたいと思います。
  99. 森田一

    森田国務大臣 ただいまの問題につきましては、大変重要な問題であると思います。ただ、そういう問題を検討するということが直ちに二〇〇一年度予算に響いてくるということになっては、運輸省としては大変でございますので、これから二〇〇一年度予算必要性につきましては、財政当局にも十分に説明をし、また、ただいま御指摘がありましたような問題につきましては、昨日、航空局委員会をつくりましたので、そこでいろいろな問題が取り上げられると思いますが、そこで十分に検討したい、このように思っておるわけでございます。
  100. 津田廣喜

    津田政府参考人 こういう議論のそもそもの原点といいますか、出てくるゆえんは、多分、関西国際空港が当初の想定よりもかなりうまくいっていないといいますか、先ほど委員が累積赤字のことをおっしゃいましたけれども、そういったものが生じているというところにあるわけでありますから、いろいろな打開策は考えていかなければならないと思います。そこは、運輸省、それから地元関係者の方々も含めて、いろいろな議論をしていく必要があると思っております。  ただ、具体的な方策をどうするかということにつきましては、まだこの段階では運輸省も恐らく方向性は定めておられないということだろうと思いますので、余り議論の土俵に制約を設けないで、フランクな検討をこれからお互いにしていきたいというふうに考えます。  ただ、私ども財政当局の者から一言申し上げれば、やはり赤字になったからといって国にすべて負担を移転するというようなことでは、解決策には多分ならないだろうというふうに考えておりますので、皆さんからいろいろお知恵もおかりしながら、あるいはこちらもいろいろ考えた上で、御議論をさせていただきたいと考えております。
  101. 赤羽一嘉

    赤羽委員 どうもありがとうございます。  これも先ほど言いましたが、事業計画どおりいくかいかないかというのは、かなりそのときの状況変化等々、想定を超えたような状況変化というのもあり得ると思いますし、だからといってその事業計画自体をゼロに戻した方がいいのか。そういうケースもあるかもしれませんが、私は、関空の場合は、そういう後ろ向きの議論の中ではなくて、前向きの中でどう知恵を出していくかということだというふうに思っております。航空局長のもとでの委員会の中で知恵を出して、その知恵のもとで財政当局も柔軟に議論、結論をぜひ出していただきたいというふうに思っております。  また、工法なんですけれども、事業費の圧縮を考えて、海面下の地盤に支柱を打ちつけて滑走路をつくるという桟橋方式とか、浮体工法への転換というのは考えられないだろうか。毎日新聞の社説でそういう提言もあるんですが、この辺はどうですか。具体的に、物理的に可能なのか。また、そうした場合に、コストとしてセーブされるものなのか。お答えをいただければと思います。
  102. 泉信也

    泉政務次官 関西空港建設する前に、今先生指摘ございましたような埋立工法、浮体工法そして桟橋工法等、いろいろな分野からの検討をした上で、今日施工しております埋立工法が最も適切であるという結論をいただいて実施しておるわけでございます。  しかし、状況の変化等があって見直すことはあり得ないのかという御指摘かと思いますが、今日までの状況からいたしますと、滑走路そのものは二期工事も埋め立てで実施する、現段階で変えなければならないという要素はないと私どもは受けとめておるところでございます。
  103. 赤羽一嘉

    赤羽委員 これも朝日新聞に、それに関連して書いてあります。想定を超す地盤沈下が続いており、沈下のメカニズムを解明しないまま、さらに沖合を埋め立てて滑走路建設することに疑問の声ありという批判があるということも言われています。これは、私の意見ではなくて、朝日新聞の社説でよく言われています。他の政党で言うところもありますけれども、このことを踏まえても、事業工法の変換というのは考えるには及ばないということでよろしいのでしょうか。
  104. 泉信也

    泉政務次官 今申し上げましたように、我々の現段階の判断は、他工法への転換は適当ではないという思いを持っております。  なお、いろいろな状況の変化は出てまいりましょうから、常にそうした環境問題でありますとか経営に対する問題でありますとか、そうしたことについて評価をしながら進んでいくことは当然だと思っております。
  105. 赤羽一嘉

    赤羽委員 かなり時間が限られてきましたが、他の空港との効率的な役割分担、視点というのも考えていかなければいけないんじゃないか。これも、毎日新聞の社説なんですが、廃止されているはずの大阪空港が存続され、関西国際空港が有効利用されていないのは驚きだというような意見もある。  こういう意見があるわけでありますけれども、私は、伊丹空港をどうこう言うんじゃないんですが、あそこに神戸空港が今度二〇〇五年にできる。そうした場合に、私のかねてからの持論なんですが、今後は同じ湾内で、エアポートについてもやはり一体的な運営というか経営を、恐らく将来の課題でしょうけれども、考えた方がよりよいのではないか。シーポート、港湾についても、神戸港は神戸市、大阪港は大阪市、堺泉北は大阪府ですね、これは、地方分権がある意味ではものすごく進んでいて、そこに余り効率がよくない港湾運営、そういう弊害もあるのではないか。ですから、港しかり、空港しかり。そして、そこに湾岸の高速道路が走っているわけですから。  そういったことも、来年、国土交通省にもなりますし、海また空、陸、これを一体的に考えていくこと、模索していくことが本当の意味でのハブ機能の発揮になるのではないかというふうに思いますので、委員会での長期的な展望の中に、この神戸空港と大阪、関西空港といった視点をぜひ取り入れていただきたいというふうに思いますが、その点についてコメントをいただければと思います。
  106. 森田一

    森田国務大臣 ただいま先生が御指摘のように、来年一月六日からは、運輸省建設省、国土庁、北海道開発庁が一緒になりまして、国土交通省になるわけでございます。この国土交通省は六万八千人という巨大官庁でございますが、メリットがありますのは、道路、港湾、鉄道、空港というのを一体的に検討することが可能なわけでございます。そういう意味におきまして、先生が御指摘になるような全体的な検討ということをぜひともやらなきゃいかぬし、またやっていくべきだと思うわけでございます。  ただ、関西空港は国際、国内両方、伊丹空港は国内、そして神戸空港は神戸周辺航空需要を満たすものでございまして、それぞれ必要と考えておるわけでございます。それらをどうやって一体的に運営していくかということにつきましては、国土交通省全体として、道路も含めて考える必要がありますが、とりあえずは昨日発足いたしました航空局委員会におきまして十分に検討してまいりたい、このように思っております。
  107. 赤羽一嘉

    赤羽委員 最後に、もう時間が参りましたが、大臣も一番言いたいことだと思いますので御答弁いただければと思うのです。  この十一月八日の朝日新聞の社説、「来年度予算は見送りを」、余りにもこの社説はナンセンスだ、「二期工事計画を見直すべきだ」「そうした論議を深めるには二、三年の休止期間が必要だろう」、二、三年休むのには何の意味もないと私は個人的に思っております。  そういったたぐいの関空二期事業に対する批判記事すべてに対して、運輸大臣の御見解というか思いを最後にお聞かせいただきまして、私の質問を終わりにします。
  108. 森田一

    森田国務大臣 建設をペースダウンした場合とか、あるいは中止した場合に大きなデメリットがございます。  まず、ペースダウンさせた場合には、着工から供用開始までの期間が延びることによりまして利払い合計額が増加するわけでございます。また、事業費自体もふえてくるわけでございます。さらに、供用開始がおくれることによりまして投資の回収がおくれるということになって、全体として収支に悪影響を与えるわけでございます。  それから、これを中止いたしますと、関西圏におきまして伸び行く航空需要に適切に対応することができなくなるわけでございます。そして、今も非常に不便な思いをしておるわけでございますが、補修等を行う場合に、大規模補修が今のままではできないような状況になっております。将来的に滑走路等の大規模補修を行い、かつ二十四時間空港で運用していくためにはどうしても二期工事は必要なわけでございまして、そうでなければ、二十四時間空港としての運用が大きく制約を受けることになるわけでございます。  また、中止した場合には、既に投入した資金がむだになってしまいます。私も先般見てまいりましたが、中部国際空港のように海面にはまだ土が出ておりませんが、間もなくそれが姿をあらわすというようなわけでございまして、運輸省の記者会見等でもございましたが、今、途中で中止するということは全く考えられない、このように思っております。
  109. 赤羽一嘉

    赤羽委員 ありがとうございました。
  110. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、黄川田徹君。
  111. 黄川田徹

    黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。  我が国の行政システムは、昨今の複雑多岐にわたる行政課題に直面し、本質的機能が限界を示しつつあると私は思っております。二十一世紀を見据え、創造的で活力ある社会を築くため、より自由でかつ公平な社会を形成するにふさわしい新しい行政システムへの転換が求められているのであります。  そのため、交通運輸分野においても、経済活動の一層の効率化、活性化を図るべく、運輸政策審議会等の審議を経て、運輸行政における事業規制の緩和が順次行われつつあります。  このような観点を踏まえ、これから鉄道、港湾観光の三点を主体に御意見を伺いたいと思います。また、運輸委員会でありますが、発足を間近に控えた新しい国土交通省の広い視野でお答えいただければありがたいと思います。  まず最初に、運輸大臣に、規制緩和の現状とその見通しについて、旅客鉄道事業港湾及び港湾運送事業、そして観光事業の三分野に関してお伺いいたします。
  112. 森田一

    森田国務大臣 私は十年前に政務次官をやっておりまして、今度運輸大臣に帰ってきて感じることは、規制緩和が非常に進んでおるということでございます。そして、この規制緩和というのは、競争促進、サービス向上等の観点から非常に必要なものでございます。ただ同時に、安全を目指していかなきゃいかぬ、あるいは地方の足を確保していかなきゃいかぬという課題を抱えておるわけでございます。  このような規制緩和につきまして、旅客鉄道事業につきましては、本年三月に規制緩和を行ったわけでございます。それから港湾運送事業につきましては、我が国のコンテナ取扱量の九五%を占める主要九港におきまして、本年十一月に新事業制度に移行したところでございます。それから観光事業につきましては、現在は書面の交付ということがぜひとも必要になっておりますが、今国会におきまして、電子的手段によってこれができるように旅行業法の改正を、一括法案の中で改正しようということになっておるわけでございます。  こういうようなことによりまして、一層の効率化、活性化が図られていくというふうに考えております。
  113. 黄川田徹

    黄川田委員 各省庁の中でも運輸省は最も規制緩和を必要としている部署でもありますので、今後ともよろしくお願いいたします。  引き続き運輸大臣に、鉄道事業、特に新幹線開通に伴うJRの並行在来線の民営化についてお伺いいたします。  まず、経営分離の基本的な考え方と現在想定されている経営分離区間はどのようになっているのでしょうか。
  114. 森田一

    森田国務大臣 まず、並行在来線についての考え方でございますが、整備新幹線建設着工する区間の並行在来線につきましては、まず第一に、JRの経営に過重な負担を避ける必要があります。またさらに、第二の国鉄をつくらないという観点も必要でございます。そういうわけで、平成八年十二月の政府・与党合意に基づきまして、沿線地方公共団体、JRの同意を得た区間について、開業時にJRの経営から分離をすることにしておるわけでございます。  そして、現在着工しておる区間における経営分離区間というのは、東北新幹線の盛岡—新青森間におきまして、東北本線盛岡—青森間、それから北陸新幹線の長野—上越間におきましては、信越本線長野—直江津間、それから糸魚川—魚津間では、北陸本線糸魚川—魚津間、それから石動—金沢間では、北陸本線石動—津幡間、九州新幹線の船小屋—西鹿児島間では、鹿児島本線八代—川内間というのがこのような区間になっております。
  115. 黄川田徹

    黄川田委員 次に、民営化について鉄道局長にお尋ねをいたします。  東北新幹線の盛岡—八戸間が平成十四年末に開通するに伴い、その並行在来線はJRから分離され民営化されることになります。  そこで、地元では、民営化にかかわる基本方針が、平成十二年十月二十七日に並行在来線経営計画概要として示されたところであります。それによりますと、幾つかのケースが検討されておりますが、現在のJR運賃をほぼ倍にしないと採算がとれない、そういう状況にあります。  鉄道は、地域住民にとり、地域のシンボル的存在でありますが、当初の激変緩和措置をとるにしても、高運賃化による客離れが激しくなり、将来、経営がますます苦しくなるおそれがあります。かつまた、沿線の各駅の周辺は小さい町村が多く、地元の財政負担も大変であります。  平成二年の政府・与党申し合わせにより、国費助成はないとされておりますが、東北、北海道を貫く幹線であり、地域振興上からも何らかの助成策を強く望むものであります。例えば、採算性、利便性の向上のため、新駅開設の請願がなされた場合など、これに伴う地元市町村で行う起債の償還の一部に地方交付税の充当などが考えられるものであります。  また、一方、JR貨物の並行在来線走行の経費負担について、JR貨物地元第三セクター間で協議中でありますが、それぞれの主張の開きが大きく、話し合いが難航していると聞いております。国の財政支援もなく、厳しい経営が予測される中、大幅な初期投資あるいはまた経営安定基金の積み立て、さらには運賃値上げなどの地元負担により、第三セクターが円滑な経営ができるよう自治体も鋭意検討を重ねております。  したがって、並行在来線において全国的な幹線貨物輸送と地域旅客輸送が共存できるよう、国として抜本的な対策を講じてほしいと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。
  116. 安富正文

    安富政府参考人 先生指摘の並行在来線の問題でございますが、先ほど大臣の方からお話がありましたように、従来から、新幹線の整備に当たって、沿線の自治体の同意を得て経営分離する、その際、並行在来線の経営に当たっては、沿線自治体が中心となって責任を持ってやるということで、同意をしてやっておるわけでございます。そういう意味で、分離後の第三セクターの経営については、地域の力を主体として維持していただくということが基本になるかと思っております。  ただ、我々として、当然、平成八年の政府・与党合意においても、鉄道事業に係る固定資産についての税制上の措置であるとか、あるいはJRに対しての要員派遣、あるいは運行面での協力、技術的な協力といったようなことについて十分措置するように言われておりますし、そのための税制上の優遇措置については我々としても講じてきているところでございます。  それからもう一つ、先ほど来第三セクターの経営に関してお話がございますように、幾つかの点がございますが、その中の一つの大きな要素として、貨物の線路使用料の問題があることは事実でございます。  現在、現実に東北の盛岡—八戸間の鉄道貨物輸送について、青森県、岩手県とJR貨物との間で線路使用料のあり方について協議されている。当然のことながら、JR貨物の方はアボイダブルコストということでお願いしているわけですけれども、現実には、第三セクターの方ではフルコストに近い線路使用料をお願いしているということで、現在まだ調整がついておりません。  ただ、これにつきましては、我々としても両者の調整を早急に図らなきゃいけないということで、適切な線路使用料が決定されるように、その実現に向けて努力していきたいというふうに考えております。  それから、一方、線路使用料がある程度設定された場合に、JR貨物がこうむる損失といいますか、そういうものについて何らかの措置を講ずるべきではないかという点がございますが、その点については、これから我々としてもいろいろ検討してみたいというふうに考えております。
  117. 黄川田徹

    黄川田委員 これは要望となりますけれども、当面、貨物列車が第三セクター線路を走行する場合は、JR貨物会社が第三セクター鉄道に対し適正な施設使用料の全額を支払えるよう、国においてJR貨物に対する適切な措置を講じるよう、よろしくお願い申し上げる次第であります。  次に、この採算計算は、旅客貨物の輸送という鉄道輸送の枠内で検討されているところでありますが、光ファイバーケーブルやガスパイプラインなどのインフラを敷設するなど、より広い視点で検討されるよう、国土交通省的センスで支援すべきではないでしょうか。  特にも、サハリンの天然ガスを海底パイプラインで首都圏に輸送するという事前調査が行われておりますが、北海道、東北の寒冷地を縦貫する陸上ガスパイプライン方式は、地域振興にも寄与でき、安全性も高く、海底方式とあわせて早急に検討すべきではないでしょうか。鉄道局長にお伺いいたします。  なお、お答えいただく前に若干説明を補足させていただきますが、海底方式は、管径は細くなるものの、約二百気圧と高圧で、特殊な鋼材を使うこと、任意な箇所で枝管どりができないこと、万一事故が起きたとき、補修が難しく、被害が拡大するおそれがあることなど、技術的にまだ確立されておらないと思います。  また、一方、陸上方式では、電力、ガス事業の規制緩和に伴う地域分散型の小規模発電へガス燃料を任意の箇所で供給が可能になります。すなわち、環境に優しく、石油に過度に依存しない電気と熱の双方のエネルギーが供給でき、利便性の高いコージェネレーションを可能とするもので、地域活性化に役立ち、技術的にほぼ確立されていると言われております。  また、このことについては、通産省資源エネルギー庁長官にもあわせてお伺いいたしたいと思います。
  118. 安富正文

    安富政府参考人 まず、私の方から光ファイバーの件を中心にちょっとお答えしたいと思いますが、鉄道施設を活用した通信インフラの敷設でございますけれども、これは第三セクターへの経営支援の際に検討すべきではないかという御指摘でございます。  現在のJR東北線の盛岡—八戸間においても、線路わきの管路を用いまして民間通信事業者の光ファイバーが敷設されているところでございます。並行在来線分離後の第三セクターの収入においても、引き続きこの光ファイバー敷設に係る対価を第三セクターとして収受するということで見込んでいると聞いております。  それから、御指摘のような、これからIT革命という形で光ファイバーの敷設が広がる場合に、こういう広い視点から鉄道インフラを活用した関連事業の展開を図っていくべきではないかという点につきましては、我々としても、第三セクターの経営安定、それから地域の活性化という観点から、そういう形で指導してまいりたいというふうに考えております。
  119. 河野博文

    河野政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、天然ガスは、賦存の状態でございますとか、あるいは他の化石燃料よりも地球環境問題への対応の面で優位性があることなどから、なかなか望ましいエネルギー源でございます。  また、御指摘がございましたとおり、近年、サハリンにおきまして大規模な天然ガス田が発見されておりまして、国際パイプラインによって天然ガスを日本へ供給することが検討されているのは、そのとおりでございます。現在、民間企業が海底ルートによるパイプライン敷設の事業実現可能性調査を行っているところでございます。  なお、技術的な御指摘がございましたけれども、海外などのかなり長いパイプラインの実現もございますので、この点は参考になるのではないかというふうに思っております。  また、陸上パイプラインによる供給でございますけれども、これが実現すれば、確かに御指摘のように、地域分散型電源を進展させ、これが地域振興につながる面もあるという点は、私ども承知しているところでございます。  ただ、パイプラインの実現には、他の供給方式との間で価格競争力がどうかとか、あるいはプロジェクトの経済性が確保されることが必須であるといったような点がございまして、こうした点について、事業主体であります民間事業者が判断すべきものというふうに考えております。また、パイプラインのルートそのものにつきましても、やはり経済性を考慮いたしまして、民間企業が中心となって決定するということが基本であろうかと思います。民間企業のこうした調査結果を見ながら、環境整備として必要なことについては政府として取り組んでまいりたいというふうに考えております。  なお、天然ガスのエネルギー政策全体におきます位置づけですとか、あるいは政策の基本的な方向などにつきましては、パイプラインの問題も含めまして、現在行われております石油審議会開発部会天然ガス小委員会の審議を踏まえまして対処してまいりたいと考えております。
  120. 黄川田徹

    黄川田委員 今通産省からお答えいただきましたが、事前調査の主体は、民間主導ではなく、通産省の官主導ではありませんか。通産省資源エネルギー庁石油部開発課が担当の石油公団、そして、その中の石油資源開発が、商社二社を取り込んで参加した調査会社が実施中ではないかと思っております。いずれ、国も積極的に関与して、よろしく御指導をお願いいたしたいと思います。  それでは次に、時間もあと十分ですから、港湾問題に移ります。  効率的な国内輸送体系、すなわちマルチモーダルシステムの構築は、物流コストの削減による産業競争力の強化及び環境負荷低減等に資する極めて重要な課題であります。  私の地元であり、四国とほぼ同等の面積を有する広大な岩手県においても、海と陸の物流の結節点となる港湾の利用拡大を図るためには、企業が集積する内陸部との物流ネットワークの形成が必要不可欠であり、港湾の機能強化、道路との連携を強力に進めていく必要があります。  そこで、国際的に見て、我が国を代表する横浜、神戸等のハブ港湾が、最近、東南アジアの香港、シンガポール等に主役の座を奪われたのはなぜでしょうか。運輸大臣にお伺いします。
  121. 森田一

    森田国務大臣 先生が御指摘になりましたように、近年、シンガポール、香港、釜山等のアジアの主要港が急速にその機能を拡充していることは事実でございます。それを反映いたしまして、我が国港湾へ寄港する基幹航路の割合が減少するなど、我が国の国際的な地位が相対的に低下していることも事実でございます。  その理由はいろいろありますが、ハード、ソフト、両面にございます。まず、港湾施設の整備がおくれておるということでございます。第二に、我が国は非常に労働力が高いというようなこともありまして、サービス水準の問題がございます。また、港湾コストの問題もありますし、その他の諸要因が考えられるわけであります。  しかし、このような我が国港湾への基幹航路の寄港が減少いたしますと、輸送コストが増大いたしますし、また、我が国の産業競争力の低下を招くことになります。そういうようなことになりますと、経済活動が沈滞、空洞化するというようなことになるわけでございます。  そこで、これから、中枢・中核港湾を中心にいたしまして、国際航路の整備、あるいはソフトの面におきましてこれを工夫いたしまして、海上ネットワークを形成するようにしっかりやっていかなきゃいかぬ、このように思っております。
  122. 黄川田徹

    黄川田委員 次に、高規格幹線道路などと連携して整備が進められている地方の重要港湾において、マルチモーダル交通体系と連携した整備事業をぜひとも導入していただきたいと思います。そのため、本県においても、大船渡、釜石、宮古、久慈の四つの重要港湾整備事業の完成年度を早めるなど、運輸省港湾局長にその対策についてお尋ねいたします。  また、あわせて、岩手県は、過去においてチリ地震などによる大津波災害をこうむり、津波・高潮対策のため、湾口防波堤の構築と海岸整備が急がれております。釜石港については先が見えてまいりましたが、久慈港の湾口防波堤の完成年度は平成三十九年度と極めて先のこととなっております。どうすればその短縮が可能か、予算のつきぐあいもありますが、何か工夫はないものでしょうか、あわせてお尋ねいたします。
  123. 川島毅

    川島政府参考人 お答え申し上げます。  まず、一点目の道路との連携でございます。  運輸省としましては、国際港湾空港と高規格幹線道路の計画的、一体的整備におきまして、物流コストを削減するということを目的として、いわゆる国際交流インフラ推進事業、これを平成九年度からスタートしております。全国十三地域を指定して重点整備を行っておるところでございます。この事業につきましては、来年の省庁再編を踏まえまして、国土交通省として、マルチモーダル交通体系連携整備事業として改組発展をさせていきたいというふうに考えております。  岩手県の港湾整備につきましては、県を横断する道路との連携した整備が重要だというふうに認識しております。このため、東北横断自動車道や三陸縦貫自動車道、この整備状況も勘案し、港湾整備を進めておるところでございまして、二〇〇〇年度補正予算、二〇〇一年度の当初予算の確保を図って、できるだけ早期の供用を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから二点目の、久慈の湾口防波堤の完成年度を早めるための手段でございます。  久慈港の湾口防波堤、これは私どもとしてもできるだけ早期完成を図りたいというふうに考えております。現在、整備促進を図るための作業ヤードを拡張して、それだけ施工のスピードアップを図るということでございます。次に、コスト縮減のための設計、施工面での工夫、コスト縮減を図ることによって完成期間を前倒ししよう。さらに、御指摘のありました釜石港の湾口防波堤の完成が間近になっております。この後は、久慈港の湾口防波堤整備に重点投資を図れる可能性もございます。  今後とも、さまざまな工夫をしまして、早期完成に向けて努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  124. 黄川田徹

    黄川田委員 それでは最後に、観光事業に移りたいと思います。  昨年、平成十一年の日本人の海外旅行者は一千六百三十六万人に対し、訪日外国人旅行者は四百四十四万人とほぼ四分の一にすぎません。日本は、地理的条件が悪いことや言葉の問題など、いろいろ理由があろうかと思いますが、極めてアンバランスであります。日本には美しい景色や歴史的な名所旧跡がたくさんあります。また、産業の少ない地方の過疎地にとって、観光産業は地元の物産販売からも極めて重要であります。  そこで、中国、韓国など東アジア地域の近隣諸国との友好親善と観光誘致が大切であると私は考えております。最近、地方では、チャーター便を運航し、台湾、韓国などから活発に観光団を受け入れていると聞いております。例えば、岩手では台湾と、秋田では韓国とであります。  また一方、潜在的に大きな市場を有する中国とは、国際観光振興会の北京事務所を開設するなど、観光交流の促進を図っていると耳にしておりますが、我が国への観光団の受け入れがおくれているのは一体なぜでしょうか。運輸省の運輸政策局長に基本的な見解と解決策をお伺いいたします。
  125. 岩村敬

    岩村政府参考人 先生指摘のように、我が国を訪れます外国の観光客の方が、こちらから海外へ出かけるお客様の四分の一というような非常に低いレベルにございます。これをこれからどうやって大きくしていくかということで、新ウェルカムプラン21ということで、これを倍増して八百万人のオーダーに上げようということで今努力をしているところでございます。  とりわけ、東アジア地域との観光交流というのは極めて重要であろうというふうに思っているわけでございます。今先生から御指摘ありましたように、中国は非常に潜在的にも大きな市場でございます。ちなみに、今御指摘になったように、韓国と日本の間の交流は、韓国から日本へ百万人、日本から韓国へ二百万人というオーダー、これに比べまして、中国から日本へ来られる方は三十万人、他方、日本から中国へ行かれる方は百二十万人、そんな状況にございます。  とりわけ、中国から日本を訪れるお客様が少ないわけでございますが、これには一つ理由がございまして、これまで、中国から日本を訪問する際、親族、知人の訪問、また留学、企業研修というような目的に限られておったわけでございまして、観光目的での来日というのが今まで認められない状況にございました。  運輸省は、中国政府、そして国内の入国管理等の関係機関と精力的に協議を進めまして、観光による訪日ができるようにという準備を進めてまいりました。そして、去る六月に日中間での合意ができまして、長年の懸案でございました中国人の訪日の団体観光旅行が解禁されたところでございます。これに基づきまして、この九月から中国の団体観光客の受け入れが始まりまして、十一月の半ばまでで四百八十四人の中国の方が観光で日本を訪れることになったわけでございます。  先ほども申し上げたように、まだまだ数は少ないわけでございますが、この団体観光客の受け入れを初めといたしまして、これを育てまして、将来、日中間の観光交流が飛躍的拡大をするように努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  126. 黄川田徹

    黄川田委員 地方にとって観光産業は大きな地位を占めておりますので、今後とも積極的な活動をよろしくお願いいたします。  以上で終わります。
  127. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、大幡基夫君。
  128. 大幡基夫

    大幡委員 日本共産党の大幡基夫です。  今、関西国際空港は、経営破綻に加えて深刻な沈下問題に直面をしています。八月四日の本委員会での私の質問で、関空の定点観測十七点の平均沈下量が、既に当初の五十年後の沈下量、沈下予測量十一・五メーターに到達していること、しかも、今なお年間二十センチから三十センチの沈下が進行していること、その上に、関空が予測値を勝手に修正して、その修正した予測値をもって沈下はおおむね予測の範囲というごまかしをしているという疑惑を指摘しました。まず、この問題からお聞きしたいと思います。  本日も資料を用意しました。この資料一は、ことしの八月に関空会社が大阪府に提出した資料で、八月に本委員会に提出した資料に埋め立て沈下の〇・五を加えた数字が紹介されています。この資料の一番下、測点十七点を見てほしいのですが、この十七点の数字は、現在の沈下量が十三・八メーター、そして五十年後の沈下予測を十四・五メーター、この十三・八、十四・五という数字が紹介されています。  次に、資料二を見てほしいのですが、これは、運輸省質問を寄せて文書で回答してもらったものですが、この2です。ナンバー十七は埋立調査工区K点のことである、つまりこれがK点と呼ばれる地域であるということを認めています。  次に、資料三ですが、資料三は、関空が発行した埋立造成工事誌という公式文書からの引用ですが、この一番下の段ですね。K点について、K点の全沈下量は、開港三十年から五十年後には十二・七メーター程度に達して終了すると予想される。つまり、十二・七メーターという予測値が紹介されています。  さらに、資料四を見てほしいのですが、この資料四も、関西空港が一九九三年に正式に出している文書、その中に紹介されているこのK点の沈下グラフです。これは、一番下を見てほしいのですが、五十年後の全沈下予想値というのは明らかに十三メーターに達していません。先ほどの十二・七メーターをグラフ化したもの、こういうふうに読み取れます。  つまり、一九九三年の公式文書で十二・七メーターと書かれていた予測値が、いつの間にか十四・五メーターに変わっているのです。しかも、資料一で、もともと開港後五十年の予測値である十二・七に対して現時点での予測値が十三・七と、現時点での予測値も五十年後よりも上回っているというとんでもないことになっています。もちろん、この十二・七という予測値は、埋立土砂の分が入っていないとすれば十三・二というふうになるのですが。  そこで、航空局長は、八月四日の答弁で、この資料一のもとになった資料を紹介してこう言ったのですね。十七点の現時点での予測沈下量は、平均で十・九メーター、実測値の平均十一メーターとおおむね一致しております、わざわざ現時点での予測沈下量と断って数字を紹介しています。  そこで、この答弁のもとになった数字が、今言ったように、十七点でいえば十二・七が十四・五に変わっているという数字なんですね。航空局長は、K点の予測値にこういう大幅な修正、いわば書きかえがあったということを知った上で、またこの数字を知った上でこの答弁をしたのかどうか、お聞きしたい。
  129. 深谷憲一

    深谷政府参考人 お答え申し上げます。  先生今御提示をいただきました資料一の中で、島内十七地点の沈下量が掲げてございますが、これは、関空島の一期の島の中で十七カ所について沈下板を設置して沈下の状況を観測している地点でございますけれども、資料にもございますように、実測ベースで平均値、十七地点を平均しますと沈下は十一・五メートル。これは、埋立土砂の圧縮量〇・五を含めますとこの十一・五になるということでございますが、八月の答弁はこの〇・五を抜いた答弁をしておりますので、数字が少しずれたものと思いますが、同じ意味合いでございます。  それで、先生今御指摘のK点、ここの資料一でいいますと、十七地点の開港五十年後の予測値が十四・五メートル、こうなっております一方で、先生からいただきました資料三を拝見しますと、先ほど御指摘のように十二・七メートル、こう書いてある。この点についてのお尋ねだと承知をしましたが、この資料三の方の、この資料は平成六年の関西国際空港埋立造成工事誌からの抜粋であると思いますけれども、この予測値につきましては、先ほど先生の御提示の資料一の十四・五メートルの中には、埋立地盤の圧縮量、先ほど申しました〇・五メートルになりますが、それから、洪積層の沈下、圧密以外の沈下として見込んでいた洪積層の沈下、それから、平成四年以降の、ここの十七番目の地点、この周辺地区におきますいろいろなエプロンの工事等をやっておりますけれども、その荷重の増加、こういったものを加味した数字、これが資料一の十四・五メートルでございます。そういう違いだと思います。
  130. 大幡基夫

    大幡委員 要するに、十二・七、仮に十三・二としても、十三・二が十四・五に変わっている。変わっているという理由を、荷重を加味したというわけのわからぬ数字を書いているということが明らかになったわけです。  次に、もう一つの角度からこの問題を解明したいのですが、今回関空は、旅客ターミナルビル等給油タンク周辺の沈下対策、つまりこの補修工事に二百七十億円もかけなければならなくなっている。これは、関空年間経常利益に匹敵するもので、これだけの費用をかけた沈下補修工事が必要になっています。  そこで、改めて聞きたいのですが、関空は構造上何メーターまでの沈下に対して空港の機能、安全性が保てるのか、何メーターだったら大丈夫、その数字を言ってください。
  131. 深谷憲一

    深谷政府参考人 関空島の沈下、どの程度であれば安全性が確保できるかというお尋ねだと思いますけれども、現在の一期島のこれまでの沈下量、おおむね予測の範囲内でございまして、今後も予測と大きくずれずに沈下を収束するというふうに考えておりますけれども、先生指摘のように、仮に沈下が予測と大きくずれたといたしましても、高潮のときにおきます島内の地下水位は外海の潮位より低い。それから、長期的には、維持管理のための滑走路の舗装等のいわゆるかさ上げ、オーバーレイがされますし、施設によりましては、その耐水性や構造あるいは重要度、こういったことによりまして、地下水位の上昇による影響というのは当然異なるというふうに考えておりまして、先生、何メートルかというお尋ねではございますけれども、一概にはなかなか言えないと思っております。  今後、維持管理などを適切にやっていけば、空港機能上の障害はないのではないかと思っておりますが、先生今御指摘のように、いわゆる地下水対策を実施いたしておりますけれども、この旅客ターミナルビル地区、それから給油タンク地区、この部分につきまして、予測以上の透水性の問題、それからいわゆる不同沈下の問題、こういったことがありましたものですから止水壁事業をやったところでございますので、御理解いただきたいと思います。
  132. 大幡基夫

    大幡委員 今、高潮時における島内の地下水位は潮位よりも低減するというふうに言われたのですが、それは雨が降っていないときの話なのです。  大雨が続くと、淡水というのは海水よりも軽いですから、海水の上に浮くという状況になる。そして、その後に台風がやってくると、島内の中央部においても、海面よりも地下水位が上がるということはあり得るのです。阪神大震災のときに、ポートアイランドのところで中央部で水が噴き出したというのもそういう現象、したがって、護岸をかさ上げすれば何とかなるという考えは間違いなんです。そういうことも知らないと、関空への監督責任は果たせないというふうに思います。  私が聞いた話では、去年の台風のときに、旅客ターミナルビルの一室で、海水が一メーターも流れ込んで、ポンプで吸い上げたのだが対応できなかった、こういう事件が起こっているということも聞いているのです。  何メーターまで大丈夫というふうな数字が言えないというのはとんでもないことだと思うのですが、それなら、関空の既往最高潮位の設定についてお答えください。
  133. 深谷憲一

    深谷政府参考人 既往最高潮位の設定についてのお尋ねでございますけれども、関空につきましては、昭和三十六年の秋に発生しました第二室戸台風、その際の岸和田の検潮所での観測値を参考にいたしまして、プラス三・二メートルと設定をしたところでございます。
  134. 大幡基夫

    大幡委員 資料五を見てほしいのですが、これも関空の公式文書ですが、下から十行目にこう書いてあります。  空港島の埋立地盤高は、開港五十年後まで見通した中で空港機能上問題の生じない所定の天端高、つまりCDLプラス三・二メーター以上を確保できるように云々というふうに書いています。このCDLというのは、基本水準面のことなんです。つまり、どの地点でも海面プラス三・二メーター以上を維持するというのが空港機能を保つ上で必要だというのが、もともとの関空の確認であり方針なんです。  そこで、今、旅客ターミナルビルと給油タンク周辺というのは、この基本水準面、つまりCDLに対して何メーターになっていますか。  私が事前に教えてもらった報告では、給油タンク周辺はCDL二・三メーターなんです。つまり、三・二メーターなきゃいけないところに、既に二・三です。したがって、今、満潮時に室戸台風並みの大型台風に襲われれば給油タンク周辺は大変になる。こういうことを隠して、沈下対策というふうに言わないで、地下水対策として二百七十億円の工事が今やられようとしているのです。何メーターの沈下までだったらこのCDL三・二メーターを維持できるのか。この数を幾ら聞いても言わないのですよ。  私なりに計算をしてみたのです。これは八月の委員会質問のときに紹介した関空の公式文書で、埋立地盤の予測沈下量という表があって、この中に、五十年後、沈下十一・五メーターの予測、天端の高さ四・〇というのがあるのです。赤井さんという当時かかわった先生も、関空の設定は、五十年後もCDL四・〇になるように設定している、こういうふうに言っています。  つまり、これは十一・五メーターの沈下に対して四メーターですから、四メーターと三・二メーターの差は〇・八でしょう。したがって、十一・五プラス〇・八、十二・三メーター以上の沈下になると、CDL三・二メーター以上という空港機能上の基準がクリアできないというふうになるのです。これは私の計算です。この計算が間違っているかどうか、航空局長、どうですか。
  135. 深谷憲一

    深谷政府参考人 五十年後の予測の地盤高四メートルということでございますが、これは全島平均の数値でございまして、現在では、十二地点で継続的に地盤高を計測しておりますが、それと直接の比較はなかなかできないのではないかというふうに考えております。  いずれにしましても、局地的な沈下が出ております旅客ターミナルビル、給油タンク、この地区を除きますと、現在、プラス四・三メートル、こういった状況でございます。
  136. 大幡基夫

    大幡委員 ともかく、どこまで沈んだら大丈夫かという数字が言えないぐらい、実は事態は深刻になっているのです。  そこで、関空の沈下の今後の予測について、数字だけでいいですから、簡潔にお答えください。
  137. 深谷憲一

    深谷政府参考人 今後の予測としましては、先生の資料にもございますように、開港五十年後の予測沈下量、埋立土砂の圧縮量を含めまして、平均で十二メートルというふうに考えております。
  138. 大幡基夫

    大幡委員 そうすると、この資料一を見てほしいのですが、この資料一の平均値でいいのです。つまり、現在十一・五、五十年後が十二・〇になっています。去年一年間の沈下が二十二センチですよ、〇・二二。去年一年で〇・二二なのに、今後四十数年間で〇・五、こういう予測数値になっている。これは僕は、常識的にも考えられない、まともな検討が加えられていないというふうに言わざるを得ないと思うのです。  関空地盤沈下調査委員会の責任者である赤井さんという京大の名誉教授は、ことしの九月に論文を発表して、十三メーターまで沈下するというふうに言われています。  この資料六を見てほしいのですが、関空の海底地盤の構造はこうなっている。Acというのが沖積層で、Maというのが洪積層なんです。赤井さんの十三メーターというのは、このMa7という洪積層の上部までの沈下の予想として十三メーターというのを挙げているのです。学者の中には、Ma3層というか、三百メーター、四百メーターという深いところまで沈下するというのがむしろ今の主流で、そういう点では、十四メーター以上の沈下を予測する人の方が学者としては多いのです。  さらに、去年関空で、Ma3層というところで三十センチを超える沈下が測定されたということが言われています。私、関空会社にそれを聞いたのです。関空会社は、いや、それは機械の故障ですというふうに言いました。そのことを学者に言うと、何を言うか、故障という証拠はないんだ、故障という証拠がないんだったら、その事実に対して真剣に対応する必要がある、これだけ科学を無視した態度はないといって学者さんが怒っているんです。今、関空でこういう事態が生まれています。  運輸大臣に聞きたいんですが、私冒頭に言いましたのは、いわば沈下の数字の修正というか操作、書きかえですよ。これはとんでもない。書きかえをして予測の範囲というふうな、国民をだますような行為が行われている。同時に、沈下の実態としてもこのような事態になってきている。私は、こういう事態についての真相の解明と同時に、関空任せにしないで、運輸省には港湾技術研究所がある、そういうところも使って運輸省として責任を持って調査対策を検討する必要がある、こう思うんですが、いかがですか。
  139. 泉信也

    泉政務次官 いろいろ御指摘をいただきました。また、御指摘一つ一つについて必要があれば検討させていただきます。  先ほどお話がございました洪積層の地盤沈下の問題等は、先生も御承知のように、大変経験のない場所であることも事実であります。しかし、多くの先生方の現在の知見を集めて、これで大方間違いないという数値をいただいておるわけです。ですから、一部の先生からいろいろな御意見があることも承知しておりますけれども、それは一つの参考の御意見として私どもも重視してまいりたいと思います。  それから、先ほど神戸のポートアイランドで砂が噴き出したというか水が噴き出したというようなお話が出ましたが、これは全く違う現象を先生はおっしゃっておられまして、地震による揺れがああいう状況をもたらしておるわけでございますので、そこは誤解のないようにしていただきたいと思います。  それから、既往最高潮位の問題、確かに今後とも議論をしなければならないところがございますけれども、この既往最高潮位というのは、最大になるときが数時間という時間帯であることもぜひ先生お考えいただきたい、一応そのように申し上げておきます。  それで、この土の問題につきましては、先生御提言がございましたように、港湾技術研究所の理論を使ってということでございますが、既に研究所の研究員、職員が委員会のメンバーにも入って、蓄積された知見を述べさせていただいておるということも御報告をさせていただきたいと思います。
  140. 大幡基夫

    大幡委員 ポートアイランドのものは、海水の上に雨水がたまっていて、それが地震によって上に出たんですよ。つまり、それ自身はそういうことなんです。  それで、もともと関空というのは一兆円の総事業費でスタートをして、それが九〇年に沈下予測を八メーターから十一・五メーターに変更して、三・五メーターの追加工事をやったんです。この中で事業費が一兆五千億円に膨れ上がった。率直に言って、学者の中には、つまり洪積層の沈下というのは初めての行為ですが、調べれば調べるほど洪積層の沈下が続くということの中で、将来、空港と全体を止水壁で取り囲む必要がある、そうすると数千億円かかるだろうというふうに私に言った学者さんもいました。より深いところを埋め立てる二期工事というのは、今の地質工学の到達点では沈下予測は不可能だというふうに複数の学者から私は聞きました。関空がそういう学者の意見を聞いてくれないということでの不満も三人以上の方から聞いたんです。  そういう意味では、本当に関空経営は完全に破綻しているし、現実に大きなあきもある。外国の航空会社すら、第二をつくっても使えない、今の空港を充実させてほしいという要望がある。  私も大阪に住んでいて関空を使うんですよ。関西空港を二十一世紀にも安全な空港として残すために今何をすべきか。そういう点では、二期の工事は中止、凍結をして、一期の空港島、今の空港経営と安全の対策を抜本的、本腰を入れてやる、このことが必要だと思います。運輸大臣、どうですか。
  141. 森田一

    森田国務大臣 関空につきましては、我々は遅くとも二〇〇七年の二期事業供用開始前には単年度黒字が達成できるものと考えております。それは今後の収入の拡大あるいは経費の節減あるいは固定費の減少によるものでございまして、そのようなことは可能であると考えております。  確かに先生がおっしゃいますように、一期島の安全対策につきましては、予測以上の局地的な沈下が生じている場所がございます。それは旅客ターミナルビル周辺地区と給油タンク地区でございますが、これは、地下水対策事業を実施することによりまして地下水位の低下が可能となりまして、将来とも安全が確保できるものと考えております。  そして、第二期事業をやめるべきだという御意見につきましては、我々運輸省とは見解を異にしておりまして、今後の関西圏における航空需要の増大等に対処しますために二期事業はぜひとも必要である、計画的かつ着実に整備を進めていく必要がある、このように考えております。
  142. 大幡基夫

    大幡委員 私は、もうちょっと沈下問題というのは空港の安全機能にかかわる問題だからまともなやりとりができるかというふうに期待をしたのですが、全くこれでは運輸省の責任は果たせないと思うのです。  改めて私は、関空の沈下問題、それから経営問題も含めて、委員会として、直接の調査、また集中審議を委員長に検討をお願いしたいというふうに思います。
  143. 赤城徳彦

    赤城委員長 改めてまた協議します。
  144. 大幡基夫

    大幡委員 以上で質問を終わります。
  145. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、日森文尋君。
  146. 日森文尋

    日森委員 社民党の日森文尋でございます。  最初に、前回の質問でも見解をお伺いしたのですが、地方バスの補助制度について改めて御見解を伺いたいと思います。  来年の四月から新しい補助制度がスタートをすることになりました。特に国の広域的、幹線的な路線の補助、これだけではなくて、関連する都道府県市町村の補助制度もこれにかかわってくるわけでありまして、これを決定していくのにもう余り時間が残されていないということに今なっているかと思うのです。  八月の質問のときにも、十二月ごろまでをめどに一定の方向を出したいという趣旨の発言が確かにあったと思うのですが、実際には事業者の側も自治体の側も、なるべく早くどういう形で補助が行われるのか示してほしいという気持ちはあると思うのです。  そこで、具体的に、今地方バスの補助制度について検討がどこまで進捗をしているのか、まず最初にお聞きをしたいと思います。
  147. 縄野克彦

    縄野政府参考人 お答え申し上げます。  地方バスの生活路線の維持のための補助制度につきましては、運輸省としては、規制の見直しに合わせまして、来年度の予算要求額として八十七億円の要求を行っておるところでございます。この要求のもとに、私どもの考え方としまして、国と地方の役割分担を地域協議会の協議の中で具体的に維持方策を地域が決めていく、そういうプロセスを経て、具体的な生活路線の維持対策を地域ごとに決めていく、それに対して国が一定の支援をし、自治体が負担をするというふうに考えて今作業を進めているところでございます。  具体的にこの要求の中で私どもが国の補助対象路線として考えておりますのは、広域的、幹線的な路線、地域協議会において必要な路線として認められ、都道府県の作成する計画に基づいて補助が実施されるということを国の補助対象路線として考えておりますし、具体的な広域的な要件ということでは、複数市町村にまたがる一定距離以上の路線でありますとか、一定以上の輸送量があり、県庁所在地、広域行政圏の中心都市へアクセスする路線などを要件として考えておるところでございます。  さらに、今年度、それから来年度も要求をしておりますが、この規制の見直しに合わせまして、従来の二種路線、三種路線、いわゆる路線バスとしての補助などの現行の補助制度にかわる新しい生活交通の確保のためのモデル的な取り組みに対しまして、特別指定生活路線制度ということで今年度補助制度を設けまして、これもそれぞれの地域において取り組みが始まっているところでございますし、来年度につきましても、路線の再編、スクールバス等との一元化などのモデル的な取り組みに対しまして、引き続きこの補助制度の要求を行っているところでございます。  これらに必要な自治体の財源につきましては、国の予算の調整作業とあわせまして、自治省と財政当局によって検討が進められ、来年度の地方財政計画において明らかにすべく、作業を行っているところでございます。
  148. 日森文尋

    日森委員 まだ質問しないことまでお答えいただいてしまって大変恐縮しているんですが、困りました。先を読まれてしまいました。  そうすると、それは要するに地域協議会が責任を持って、基準なり、また、これは広域幹線路線であるとか、これは生活路線であるとかということ協議し決定する。この決定に沿って運輸省は、一定の基準に沿って補助をしましょうということなんですか。
  149. 縄野克彦

    縄野政府参考人 地域協議会における具体的な結論に沿って、それが地域の意思でございますので、それに対して補助をしていこうということでございまして、その中で、先ほど申し上げましたような要件に該当するところは国と地方とで支援をしていく、そうでないところは地方がみずから負担をして支えていく、そういう考え方でございます。
  150. 日森文尋

    日森委員 地域協議会にこだわって申しわけないです。  そうすると、その地域協議会のあり方も少し検討しないといけないんじゃないかという気がするんですよ。事業者とか自治体は入っていらっしゃいますけれども、生活路線なら生活路線で、肝心の本当にそれを利用している利用者、それからそこで働いている労働者というのは、たしか含まれていないんじゃないか。もう少し広範な形で地域協議会をつくっていく、その構成のあり方の問題ですね。  と同時に、その地域協議会がどれだけ具体的な権限を持っているのか。権限というとおかしいですけれども、こういうふうに決めましたということについて、結果としてどれだけ実効性ある結論を出せるのかということがもう少し明確にならないと、地域協議会にいわばお任せしますといっても、ちょっと不安が残るんですけれども、その辺はどうなんでしょう。
  151. 縄野克彦

    縄野政府参考人 お答え申し上げます。  地域協議会の構成員は、当然、県、市町村地方公共団体、それから私どもの出先、それから現在バスを運行しておりますバス事業者。これは必須の要件として考えられ、私どもが示したモデル的な考え方でもそれは示しているところでございますが、これに限定する趣旨ではなくて、都道府県を初めとする、今申し上げましたような当事者の御判断で、今先生がおっしゃられましたような、それ以外の関係者の方を加えることについては、それぞれの協議会の判断でやっていただきたいというふうに私どもは考えております。  それから、確かにこの協議会は法律そのものに基づく組織ではありませんけれども、今申し上げましたように、都道府県、私ども、市町村、バス事業者の発意と判断によってできるものでございますので、当然、その結果を尊重するという判断のもとにこれが設立され、機能するというふうに私どもも考えておるところでございます。
  152. 日森文尋

    日森委員 では要望ですが、地域協議会が、本当にそれらの関係者と言われる人たちをきちんと網羅できるような組織として各地域で確立ができる、そういう指導をぜひしていただきたいと思います。  それから、先に答弁をもらってしまった話でちょっと言いづらいのですが、特に自治体へ助成をする場合ですね。これから自治省とお話をするというお話でした。ただ、今までのように交付税で助成をしますということになったときに、バスが橋に化けちゃうとか、バスが道路になっちゃうなんという話がないとも限らない。そうしたときに、実際にバスの生活路線を守るための助成というか、交付金が別のものに化けちゃうようなことにならないように、何か担保しなきゃいけないという心配もあるんですよ。  本当に生活路線を守るために基準財政需要額として認めていって、そして自治体に出す、しかしそれがバスに使われないでなんということもあり得るわけですけれども、自治省との関係、各市町村関係はどういうふうに調整をされるのでしょうか。
  153. 縄野克彦

    縄野政府参考人 自治体の財源についてのお尋ねでございますけれども、先生おっしゃられましたように交付税措置での財源積算ということは、特別交付税あるいは普通交付税の違いはございますけれども、その積算されたものがこういうものに必ず支出されなければならないということが、その交付税の交付によって担保されるものではないとは思います。  ただ、私どもとしましては、一定の財源が積算をされ、先ほど申し上げましたように、みずからの発意、判断によって協議をいたします地域協議会によって得られた結論は、その自治体として必ずこれを実行するために必要な負担をした上で具体化されていくものというふうに確信をしておるところでございます。
  154. 日森文尋

    日森委員 それはそれで、ぜひそういう指導もしていただきたいと思います。かつて教科書の一般財源化をしたら、橋に化けたというような話を聞いておりますので、ぜひ、そういうことのないように、しっかりやっていただきたいと思うんです。  これは大臣にお聞きしたいのですが、生活路線の維持についてということは、地方分権と言われる中で、自治体の役割が大変今重視をされているわけです。そうすると、自治体の主体的な交通政策、これも確立をしていかないと、実は地方路線というのは確保できないんじゃないか、こういうふうに思っているんです。  そういう意味では、生活交通というのは立派な福祉サービスでもあるというふうに言いかえることもできると思いますし、午前中の質問で、町づくりの最初に交通政策を位置づけるべきだという答弁がございましたけれども、町づくりにも不可欠な施策としてきちんと位置づける必要があるんじゃないか、こんなふうに思っているんですけれども、それについての大臣見解がありましたら、お聞きしたいと思います。
  155. 森田一

    森田国務大臣 私が最近感じますのは、需給規制の緩和ということが行われておるわけでございます。そのときに、同時に非常に考えなきゃいけないことは、安全の問題とそれから生活交通の問題でございます。これを需給規制の緩和の中でどうやって確保していくかということは、非常に難しい問題ではありますが、大変大事な問題である、このように思っておるわけでございます。  そして、ただいま先生の御指摘になりましたように、町づくりということから考えていかなきゃいかぬわけでございますが、乗り合いバスというのは、地域住民の日常生活を支える交通機関として非常に重要な役割を果たしておるわけでございます。そして、乗り合いバスというのは、同時に、乗り合いタクシーやスクールバスや福祉バスなどの活用も含めたところで考えていかなきゃいかぬわけでございます。  そして、公的補助が必要となる場合には、先ほどからお話がありましたように、地方公共団体が中心になるわけでございますが、国も積極的にこれに協力していく必要がある、このように考えておるわけでございます。  そこで、需給規制の緩和の中で、いかにして地域住民の生活交通の足を確保するかということにつきまして心を砕きまして、この点につきましては、関係省庁と連携して必要な施策を講じていく、このように考えております。
  156. 日森文尋

    日森委員 力強いお言葉ありがとうございました。  関連して、今、大臣のお言葉にございましたけれども、地方鉄道の維持について、引き続きお伺いしたいと思うんですが、安全、生活権をきちんと確保しよう、これは生活交通の柱だという趣旨のことを大臣はおっしゃいました。  鉄道事業法が改正をされまして、鉄道の廃止が許可から届け出制に変わりました。結局、地元の同意がなくても鉄道を廃止できるというふうに規制緩和をされたわけですけれども、これが背景にあって、例えば広島のJRの可部線ですか、それを初め、幾つかの線が廃止をされようとしているという話を伺っているんですが、今現実に、鉄道事業法改正後に路線廃止を届けた路線というのはどれくらいあるのか、お聞きをしたいと思います。
  157. 安富正文

    安富政府参考人 お答えいたします。  本年の三月一日以降、届け出制に移行してから新制度に基づいて既に廃止届がなされているものとしては、三件の六路線ございます。  具体的には、石川県ののと鉄道の七尾線の穴水—輪島間、青森県の下北交通の大畑線の下北—大畑間、それから岐阜県内の名古屋鉄道の揖斐線の黒野—本揖斐間、谷汲線の黒野—谷汲間、八百津線の明智—八百津間、竹鼻線の江吉良—大須間の三件六路線でございます。  それから、まだ廃止届は出ておりませんが、鉄道事業者から地元等に対し廃止の意思表示がなされまして現在鉄道事業者が地元自治体等と調整中のものとして、四件五路線ございます。  広島県内のJR西日本の可部線、先ほどおっしゃいました可部線、可部—三段峡間でございます。それから名古屋鉄道の三河線の猿投—西中金間と碧南—吉良吉田間。それから三重県内の近畿日本鉄道の北勢線の西桑名—阿下喜間。それから長野県内の長野電鉄の河東線の信州中野—木島間。  以上でございます。
  158. 日森文尋

    日森委員 ありがとうございました。  かなり地方路線が廃止あるいは廃止に向けた動きが顕著になっている。これも生活路線、地域の生活の足を奪ってしまうという大変な事態になっているんだと思うんです。これを存続させるのか、それともバスに転換するのか、いろいろな地域でさまざまな論議になっていると思うんです。それは地域にお任せしますよと言うだけでは、先ほどの大臣の決意からすると、運輸省はそれだけ言っているわけにはいかないんじゃないか、こんなふうにも思うんです。  そこで、こういう事態に対して、地方鉄道、我々の方としては基本的に維持整備をしてほしいという思いがあるんですが、運輸省として今のような事態に対してどう対応されるのか、お伺いしたいと思います。
  159. 森田一

    森田国務大臣 確かに、需給規制の廃止後におきましても、地域における通勤や通学、通院、買い物を初めとしてどうしても日常的な生活に必要な生活交通のサービスについて、これを維持していくことが必要でございます。そして、これは政策的に行われる必要があると思います。  本年三月に改正鉄道事業法が施行されました。その中におきまして、廃止後の交通の利便の確保に関しまして関係地方公共団体から意見を聴取することということが一つ書かれております。それからまた、運用上は、地元地方公共団体の申し出があった場合には地元協議会を設置して、ただいま先生が御指摘になりましたような代替交通機関の確保に関しまして関係間の調整を行うことといたしております。この調整の結果が尊重されるべきことは、先生の御指摘のとおりでございます。  そこで、このような地方鉄道の安全性の確保とか利便性の向上を図るために、地方鉄道の近代化に対する財政上の支援措置というのを講じておるわけでございますが、これらとあわせて税制上の特例措置も講じておるわけでございまして、これらの助成措置も十分に活用しながら、地方鉄道の経常収支の改善等を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。  余計なことでございますが、JRの完全民営化ということが大方針になっておるわけでございますが、このような完全民営化になってもなお地方の地域の足が奪われないようにどうやっていくかということについて、今非常に苦心をして考えておるところでございます。
  160. 日森文尋

    日森委員 ありがとうございました。  先ほど黄川田先生からお話がございました整備新幹線と在来線の問題なんですが、特に東北線の問題をお話しになりました。私も、女房の実家が岩手だからということで発言するわけじゃないんですが、やはり全国に広がっていくいわばモデルケースになるんじゃないかという気がしているんです。  そこで、先ほどの答弁で了といたしますけれども、一点だけ、先ほど細川先生からもモーダルシフトの話が出ました。東北線は元来大動脈であって、いわばモーダルシフトを実践していくためにはなくてはならない路線。東北線、在来線の方ですね。新幹線で貨物を運んでいただければ結構なんですが、なかなか難しいという話もあるようです。そうすると、それが余り第三セクターに負担になり過ぎても困る。それから、JR貨物、余り線路の借り上げ料が高過ぎて負担になっても困るという状況で、綱引き状態に今なっているわけですよね。  そこで、運輸省としては、例えばそういう幹線路線に対して本当に環境面、モーダルシフトという意味からも何か特別の措置はできないのかという思いがあるんですよ。では、そこは全部船にかえましょうとかいう計画があれば別ですけれども、今でも実際かなりのものが使われているはずですから。そういう観点から、一点だけお答えいただきたいと思います。
  161. 森田一

    森田国務大臣 この点に関しましては、まさに今後の前例となるわけでございまして、非常に重要だと思っております。今何らかの措置ができないかということで一生懸命に工夫しておるわけでございますが、まだ最終的な結論には至っておりません。これが決着すべくこれからも十分に検討して、先生にも御満足がいただけるような結果を得たいというふうに考えております。
  162. 日森文尋

    日森委員 時間がなくなってしまいました。あと五分ということなんですが、引き続き、前回に続いて安全問題。これはもう大臣と私は意見が一致をしているという前提で、安全問題について改めてお聞きをしたいと思います。  八月の質問のとき、その後大臣、記者会見されまして、鉄道事故に関して、航空事故調査委員会を改組して、それを合体させてやっていこうという話になって、予算要求もされているようです。それは、今まで何にもなかったわけですから、私どもとしても一歩前進というふうに大きく評価をしたいと思っているんです。ただ、将来に向けてそれだけでいいのかというと、やや不安があるわけです。  そこで、我々が希望しているというか、あってほしい事故調査体制の姿というのは、アメリカのNTSB、いわば独立をしているし公平な調査ができる、運輸省からも独立をするという格好の組織があって、それがきちんとした事故の調査も行うし、データも蓄積をするし、そういう体制が望ましいというふうに考えているんです。  今すぐというのは当然無理な話でしょうけれども、一たんあった事故を教訓にして二度と大事故を起こさない、特に大量輸送機関ですから一回やったら大変なことになるわけなんで、そういう意味で将来展望についてぜひお聞きをしたいと思います。
  163. 森田一

    森田国務大臣 先生がおっしゃいますように、海外におきましては、米国、カナダのように交通モード横断的な調査機関を設置しておる国があることも承知をしております。それからまた、ドイツや英国のように交通モードごとの調査機関を設置しておる国もございます。これらも十分に参考にしつつ我が国の事故調査体制を考えていかなきゃいかぬと思っておりますが、とりあえずは、先ほどお話がありましたように、航空・鉄道事故調査委員会につきまして、人員体制あるいは予算の充実を含めまして、法律改正を来年度予算要求するわけでございます。  そして、今全般的なことを余り申し上げますとこの法律がなかなか通らなくなるという心配をしておりまして、まず第一に、当面は航空・鉄道事故調査委員会の法律を通していただく、そして、先生が御指摘いただきましたような全般的な問題というのはもう十分に頭に置いておりますので、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  164. 日森文尋

    日森委員 ぜひ、大臣の希望にこたえて、全面的に賛成をしていきたいと思っております。  あと関連して幾つかあったんですが、ちょっと私も疑問に思っていることがありましたので、航空関係について。  例の御巣鷹山で日航機墜落事故がありまして、十五年たったんでしょうか。実はいろいろな週刊誌や新聞などで、そのときの事故の調査資料が処分されたという話が報道されていました。これは、実際のところどうだったのか。これから、事故調査などというのはデータも蓄積してきちんと将来にわたっての対策を講じるための土台をつくらなければいかぬという議論のときに、あれだけの大事故の調査資料が処分をされたということになると大問題なのです。それについて、ちょっと、経過といいますか、どうなっているのかだけお聞きをしたいと思います。
  165. 中島憲司

    中島政府参考人 御説明申し上げます。  事故原因の究明及び再発防止のために、必要なものはすべて調査報告書に記載することにより永久に保存するということが基本的な考え方でありまして、JALの一二三便の事故につきましても同様でございます。この事故のその他の資料につきましては、ペーパー状態の資料、これをそっくりマイクロフィルムに移しかえた状態で保存いたしております。
  166. 日森文尋

    日森委員 ありがとうございました。  もう時間がなくなってしまいました。安全問題、またいずれ議論するときもあると思いますが、安全というのが二十一世紀のキーワードだというふうに私は思っていますし、大臣も同じ気持ちだと思うのです。そういう意味で、軽量化される、あるいは大量化、高速化、いろいろな問題が出ていますけれども、安全ということをきちんと基本に置いた運輸行政を進めていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりにいたします。  ありがとうございました。
  167. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、森田健作君。
  168. 森田健作

    森田(健)委員 21世紀クラブの森田健作でございます。よろしくお願い申し上げます。  改めて言うまでもなく、世界は国際化、日本経済を支える上において、特に首都圏における国際航空需要にいかに的確に対処していくか、これが大変重要だと私は思うのでございます。  さて、それでは我が国の受け入れ間口は一体どうなっているか。成田国際空港におきましては滑走路四千メートル一つ、それから暫定で二千百八十メートルが今建設中である。そして、我が国と航空協定の締結を申し入れている国は三十三カ国。言うなれば、何とか入れてくれよと言って待っているわけですね、三十三カ国。航空協定を締結したけれども、関西は何とか乗り入れできた、ところが、何とか成田に入れろよと待っている国、企業は十五ある。これはやはり深刻だと私は思うのでございますね。  それでは、我が国だけか、周りの国はどうなっているのだ。特に、例えば近隣アジア諸国は一体国際航空需要に対して現在どのように対処し、いや、またどのように対処しようとしているのか。近隣アジア諸国における大規模国際空港整備の動向を調べてみました。  例えば、韓国のソウルは、二〇〇一年開港時、滑走路三千七百五十メートル掛ける二、全体計画といたしまして三千七百五十メートルから四千二百メートル掛ける四でございます。例えば、中国の上海なんかどうなっているのだろう。一九九九年十月開港時、滑走路四千メートル掛ける一、全体計画といたしまして四千メートル掛ける四でございます。シンガポールにおきましても、現在は四千メートル掛ける二で、第三滑走路を計画中だ。  成田国際空港は四千メートル一つでございます。それと、今暫定で建設中の二千百八十メートルです。これはやはり大臣、ちょっとお寒うございますね。  羽田空港がやっと二十四時間になりました。私は、成田がだめだとか羽田がいいとか、どちらがどうだ、そういうことを言っているのではないのです。もちろん、成田空港ができるまでにはいろいろな経緯がございました。しかし、私は、国益を考えた場合において、成田国際空港、これはいいじゃないですか、しかし、今比較したとおり、何とかこれはやはり日本経済を支える上においても、これだけ待っているのですからもっともっと間口を広げようではないか、羽田の二十四時間をうまく利用していかなければならない、言うなれば、成田国際空港の補完をしていかなければならないのではないか。だって、四千メートル級は羽田にはないのですから。羽田は三千メートルが二つと二千五百メートルが一つなのでございますから。何だかんだ言っても、現時点においては、この二つの空港を最大限利用していかなければならない、私はそのように思うのでございます。  では、運輸省見解をまずお聞かせ願います。
  169. 森田一

    森田国務大臣 ただいまいろいろ御指摘がありましたが、確かに私が大臣に就任してみて一番多く、長く顔を合わせておるのが航空局長でございます。しかも、それは羽田の問題、成田の問題、関西空港の問題、この三つが中心でございます。地方空港の問題につきましては、それほど長く時間を割いておるわけではありません。  ただ、首都圏におけるこういう空港の位置づけにつきましては、御存じのように、成田が国際線、羽田が国内線というような拠点空港である、この建前は崩しておりません。そこで、二千百八十メートル、成田の完成ということが急がれておるわけでございますし、また、国民の共有の財産である羽田につきまして、深夜、早朝を何とか利用できないかということで、航空局内で羽田空港有効活用検討委員会というのを設置して議論しておるわけでございます。  ただ、御存じのように、この前、大田区の方でチャーター便を飛ばすと、臨時の一便だけにもかかわらず、千葉県の方から非常に厳しい御指摘がありました。そのような中におきまして、羽田をどのように有効に利用するかということにつきまして非常に苦心をしておるわけでございます。しかし、そのようなことは十分に念頭に置いて検討を進めておるわけでございます。  また、首都圏の空港につきましては、成田、羽田をあわせましても、なお航空需要を満たせないというような時期が遠からず来るわけでございまして、そのようなことに備えまして、首都圏第三空港について検討しておるわけでございます。第三空港といいますから、羽田と成田以外のところに必ずつくるというものではございませんで、羽田も含めまして、第三空港ということを今検討しておるわけでございます。そして、この首都圏第三空港調査検討会というのは、学識経験者や関係地方公共団体が構成員になっておりまして、ここで広く意見を聞いて、鋭意検討を進めておるところでございます。
  170. 森田健作

    森田(健)委員 大臣、ありがとうございます。  でも大臣、千葉県の皆様の言いたいこと、私は本当によくわかるのでございます。しかし、これからは二十一世紀に向けた、国益というものを考えて、やはりこれはやっていかないとまずいのではないかな、そのように思うのでございます。  しかし、私、大田区でございますが、地元住民から強い要望のありました、大田区民のハワイ・アロハフェスティバル参加のための国際チャーター便と東京商工会議所大田支部によるグアム経済界との交流を目的とした国際チャーター便が、それぞれ特例的に認められました。私は、これに対しては千葉県民の皆様に心から感謝するとともに、大臣並びに両政務次官、特に千葉県選出の実川政務次官、運輸省の皆様、それぞれ大所高所に立った御見識と御尽力に対して、地元を代表して心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。  しかし、やはりこの二件というのは特例なんですね。だから、また何か起きた場合、また特例をお願いしますというのでは大変だし、実川政務次官は火を噴いちゃうんじゃないかと思うんです。だから、一般的な取り扱い、この方針をそろそろというかもう早急に定めなければならないんではないか、私はそう思うのでございます。  聞くところによりますと、運輸省においても、それを検討しよう、検討しつつある、そういうふうに伺っておるのでございますが、森田大臣、どうでございましょう。その進行状況と、また大臣のお考えをお聞かせ願います。
  171. 森田一

    森田国務大臣 この問題につきましては、できれば深夜チャーター便を定例化したいわけでございますが、いろいろ千葉県の御意向もございますし、検討しなきゃいかぬ問題がございますので、今すぐ結論を得るというような状況にはなっておりませんが、鋭意勉強しておるところでございます。
  172. 森田健作

    森田(健)委員 ありがとうございます。  私も、森田森田と言うのは非常に言いづらいのでございます。わけがわからなくなってきますけれども。でも、大変親近感を持っております、大臣に対して。  何分時間が少ないものでございますから、十ほど質問を用意したのでございますが、これをはしょってまいりたいと思います。時間が余るようでございましたら、また戻ります。  実は、東京湾横断道路でございます、アクアライン。私、前回一般質疑のときに、これは交通の渋滞緩和、言うなれば首都高速一号線、羽田線、この渋滞緩和を想定してつくったんでしょうと質問したのでございますが、そういうことを想定してやった、そのような御答弁をいただきました。それでそのとき、それにしてもやはり少ないのは料金が高いからじゃないか、もうちょっと安くしたら何とかなるんじゃないですかと私は言ったんです。それで、たまたま運がよく、その後千円値下げになった。ああ、これはいいことだと。  でも、大事なことは、千円値下げになったから実際に利用者がふえたか、それと同時に、この首都高速一号線、羽田線の言うなれば交通渋滞の緩和に役立ったのか。これに役立つならば、もうちょっと、今度は千円を千五百円にしようかとか二千円にしようかとか。新しい道路をつくることを考えれば、またこれは一つの方法かなと思ったのでございますが、その交通状況、変化、その辺はいかがでございましょう。
  173. 北川久

    北川参考人 首都高速道路公団の北川でございます。  御指摘のありました東京湾アクアラインにつきましては日本道路公団が管理しておりますが、日本道路公団からは、東京湾アクアラインの現在の一日の交通量は約一万二千台、昨年の同時期と比較をいたしまして約三千台増加していると伺っております。  それで、首都高速道路につきまして調査しましたところ、この増加した三千台の交通量の大半は、今先生の御指摘のように神奈川地区利用の交通量でございます。残りの千台弱、三分の一弱でございますが、これにつきましては東京方面の利用交通量となってございます。  しかしながら、この付近の首都高速道路の交通量は、現在七万台近くございます、湾岸線の交通量でございます。この七万台の交通量に対して千台の増加ということで、渋滞等についてはほとんど変化はございません。  それで、もう少しこれが内陸部と申しましょうか、もっと北の方に行きますと、ほとんど変化がございませんで、交通量の増減は今のところ認められておりません。  以上でございます。
  174. 森田健作

    森田(健)委員 もう時間がないですから終わりますけれども、交通渋滞の緩和を想定してこれはつくったのでございますから、もう少しちょっと皆さんやはり考えて、渋滞緩和の方向に向かってどういう施策があるかということを議論していただきたい、そのように申し上げます。  どうもありがとうございました。
  175. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、松浪健四郎君。
  176. 松浪健四郎

    ○松浪委員 保守党の松浪健四郎でございます。  朝から長時間、御苦労さまでございます。森田健作代議士の羽田空港地元議員としての熱意あふれる質問をお聞きしておりましたが、私も関空地元議員として熱意ある質問をさせていただきたい、このように思います。  最初に、我が保守党は、関西国際空港二期事業の促進に関する決議を行いました。この決議を朗読させていただきます。   関西国際空港は、我が国初の本格的な二十四時間運用の海上空港として、我が国経済社会の発展のために不可欠な国家プロジェクトである。   関西国際空港は、平成六年の開港以来、国際線・国内線の基幹空港として年間二千万人を上回る人々に利用され、また、年間八十六万トンの貨物が取扱われており、日本の玄関口として重要な役割を果たしている。   二千五百万人もの人口をかかえ、域内総生産額百兆円の経済規模を有する関西圏において、今後とも航空需要は伸び、二十一世紀初頭には年間離着陸回数は現状の一本の滑走路処理能力の限界である約十六万回に達すると予想される。   また、近隣するアジア諸国において複数の滑走路を有する大規模な国際空港整備が集中的に進められる中、関西国際空港整備による国際競争力の強化が必要である。   従って、二〇〇七年の平行滑走路供用を目標とする関西国際空港二期事業の確実な実施は必 要不可欠である。 というものでございます。  それで、まずお尋ねしたいことは、空港は安全でなければなりません。他党の議員から、沈下している、沈下していると、大変な質問がありまして、本当に大丈夫かと。それよりももっと私が心配しておりますことは、その沈下よりも、もし何かが起こったときにと想定したときは、あの空港島に行くには一本の連絡橋しかございません。そこで、何としても南側にもう一本橋を渡す。アクセスの多様化、これらを考えたときには、橋なりあるいはトンネルが必要ではないのかということをずっと主張してまいりました。そして、うれしいことに建設省と運輸省がそれぞれ予算を出してくださり、大阪府、大阪市、そして和歌山県、和歌山市等がお金を出し合って、いわゆる南ルートの調査研究が始められているとお聞きしております。その進捗状況について、まず建設省にお尋ねしたいと思います。
  177. 大石久和

    大石政府参考人 お答え申し上げます。  関西国際空港連絡道南ルートの調査進度についてお尋ねでございます。  この南ルートにつきましては、平成九年度から平成十年度の二カ年にわたり、国土庁、運輸省建設省等により、関西国際空港を活用した広域国際交流圏整備計画調査の中におきまして、広域国際交流圏の整備方策の観点から、その必要について検討を行ってきたところであります。  その後、この調査を踏まえまして、空港連絡南ルートを含めました周辺地域交通ネットワークのあり方について検討するため、学識経験者、運輸省建設省、大阪府、大阪市、和歌山県及び関西空港株式会社等から成ります関西国際空港周辺地域交通ネットワークに関する調査委員会平成十二年三月二十九日に設置し、現在、周辺地域の交通ネットワークの現状及び課題の整理を行っております。  今後、この課題の整理等を踏まえまして、空港連絡道南ルートを含めた周辺地域の交通ネットワークの整備方針につきまして、検討を進めてまいりたいと考えております。
  178. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく継続して調査研究、これを続けていっていただきたいということを強く要望しておきたい、こういうふうに思います。  そこで、関空報道につきましては、地元の議員として、当然毎朝各紙に目を通し、スクラップするものでありますけれども、今月に入りましてから、そのスクラップ量は大変な量に達しております。そのことで運輸大臣も頭を痛められているかもしれませんけれども、過日、大阪府知事を初め関西財界の皆さんがお見えになられ、三党の幹事長に強い陳情を行いました。そして、三党幹事長は、昨日森総理にお会いし、そして陳情させていただいたところでございます。  日ごろから、森田大臣におかれましては、関空に対する理解が非常に深くて、私は心強く思っておるものでございますけれども、この関空二期事業につきましてはいろいろ報道されております。そして、二〇〇七年の供用開始を目指して、平成十三年度予算の確保、おおむね一千二百二十億、こういうふうに言われておりますけれども、運輸省として最大限努力していただけるのかどうか、大臣お尋ねしたいと思います。
  179. 森田一

    森田国務大臣 ただいま御指摘の問題につきましては、実は大蔵大臣から、貨幣大試験がありまして、そこで関西国際空港の話が出るだろうからということでお話がありました。そのときには、今後、金利が上がるとか、経済情勢が変動するとかいうときに心配しているのだというようなお話がありました。  しかし、同時に心強く思いましたのは、二〇〇一年度予算については、これをおくらせるというようなことは考えていない、事務当局にもそのように言っておいたというお話があったわけでございます。我々としましても、大蔵大臣が心配されるような問題につきましては、昨日、航空局委員会を設けまして、そこで長期的問題として検討しようと思っております。しかし、あくまで二〇〇一年度予算は、これと切り離して要求額満額を目指してしっかりやっていくというつもりでございます。  しかし、航空局に設けました委員会におきましては、七次空整におきまして、アジアの金融危機を予測できなかった、あるいは経済不況を予測できなかったということで、七次空整より実際の航空需要が下回って飛ぶ回数が減っておる関係で、あたかも非常にもう撤退が続いておる、あるいは非常に航空需要が下回っておるというような印象を一般国民に与えておるわけでございますが、貨物はどんどん伸びておりますし、また旅客の方も伸びておるわけでございます。ただ、七次空整より旅客の方が下回ったという点が問題点であったので、今後につきましては、十分に勉強して、そして、関西国際空港では予測が出たわけでございますけれども、運輸省としてもしっかりとした予測を持ちたい、このように思っておるわけでございます。
  180. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ありがとうございます。  とにかく関空周辺には、ユニバーサルスタジオができる。そして、大きなアウトレットのお店ができる。そして、二〇〇二年のワールドカップがある。こういうふうに、いろいろな面であの地域も活性化しようとしているわけでありますけれども、お隣の韓国の仁川の空港が二〇〇二年までにすべて完成するとなりますと、成田の五倍以上の面積に五本の滑走路を備えた巨大空港が生まれる。そうはならないのでしょうけれども、やがてそうなる。こうしたときに、関空が、国際競争力、この点について劣っていくのではないのか。  そこで、何としても二本目の滑走路を急がなければならない、こういうふうに思うわけですけれども、関空の国際競争力の強化について、その必要性や方策について、運輸省はどのように考えているのか。総括にお尋ねしたいと思います。
  181. 泉信也

    泉政務次官 関西国際空港は、地域の活性化という面からも大変重要な役割を担っていただかなければなりませんが、先ほど来議論がございましたように、日本の国際航空上、ハブ空港として貴重な役割を持っておるわけです。したがって、国際競争力を強めるということについては、運輸省としても大変関心を持っておりまして、幾つかの手だてをとっております。  一九九五年には、航空保安施設の一部を買い取るということによって、一トン当たりの航空機の着陸料を百円ほど引き下げるということもやりました。また、二〇〇〇年三月からは、二年間時限措置ではありますけれども、新規割引あるいは増量割引、こうした幾つかの営業割引を行いまして、競争力を強化しておるところでございます。  さらに、十三年度、二〇〇一年度概算要求で、今先生指摘になりましたような、韓国を初めアジア諸国の大規模な国際空港が進んでいることにも対応しますために、我々としましては、同空港国際線着陸料を下げるために、新たな予算財政当局要求し、その実現に努めているところでございます。
  182. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく関空の二期事業は、極めて重要であるし、予定どおり二〇〇七年に供用を始めなければならない。ところが、新聞を読んでいますと、見直し論、中止論、先送り論、いろいろありますし、この委員会でもそのような御意見を吐かれる委員がいらっしゃるわけでございますけれども、とにかく必要なんだということ、そして大切なんだということを、もっと国民の理解を得るべく、関空必要性についての説明、あるいは情報開示について、積極的にもっともっと進めていく必要がある、このように考えるのですが、いかがでしょうか。
  183. 森田一

    森田国務大臣 財政当局関係におきましても、大蔵大臣と私との間で先に話がありまして、まだ運輸省事務当局財政当局に対して十分に説明していない段階で議論が巻き起こったわけでございます。  また、関空必要性について十分にPRができていない点につきましては、運輸省としても考えなければいかぬ点があると思います。これからは、その必要性について、あらゆる機会を通じまして、国民の皆さん方に十分に理解していただきますようにいろいろな工夫を講じてやってまいりたい、このように思っております。
  184. 松浪健四郎

    ○松浪委員 今後の需要を踏まえて、関空会社経営の健全性が保たれる必要がございます。そして、関空会社からも、これからこのような形で黒字経営にもっていくんだ、二〇一七年度には単年度の黒字を達成する、三十年度には累損を解消する、おくらせてもそのメリットはないというふうな発表をされておりますけれども、関空の収支採算性については大丈夫なのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  185. 泉信也

    泉政務次官 けさほど来御議論をいただきましたように、開港後間もないためにいわゆる創業赤字という状態にあることは事実でございますが、営業損益で見ます限りは開港以来黒字でございます。一九九九年度も二百十五億円の黒字を計上させていただいておるところでございます。ただ、借入金に係ります利払いを含めました経常損益では二百三十七億円というふうな赤字になっていますが、償却前損益はやはり黒字ということでございまして、元本の一部が償還をされておるという状況を示しておるものと考えております。  今後の見通しにつきましては、関空会社において三つのケースを想定いたしまして、先生お話しになりましたように、いずれも、二期事業開始後も経営は成り立つ、こういう分析結果を発表しておるところでございます。  運輸省も、今回の関空会社経営見通しを尊重しますとともに、運輸省独自で航空局長のもとに委員会を設けまして、経済の動向、需要見通し、その上に立った関西国際空港経営に問題がないかどうかをさらに検討してまいることにいたしておるところでございます。
  186. 松浪健四郎

    ○松浪委員 今月の六日に宮澤喜一大蔵大臣は大阪で、地元自治体や出資企業に対し、増資や利子補給などの追加負担を求める方針を明らかにされました。地元負担経営の抜本的改革を条件に財政支援に応じる、こういう内容であったとお聞きしておりますけれども、地元自治体や地元経済界は二期事業を積極的に進めることを強く要望しているわけですけれども、国としてもこれらの要望を支援する用意があると私は考えておりますけれども、そのように考えてよろしいのでしょうか。
  187. 森田一

    森田国務大臣 その報道がなされたときにまず最初に考えましたことは、このような報道がなされることによって、大蔵大臣はわかっていただけるのでありますが、事務当局、主計局でございますが、主計局が二〇〇一年度予算を削減するという話に使いやしないかということを心配したわけございます。  そこで、大蔵大臣が御心配いただいておりますような問題につきましては、これは長期的問題として、検討は昨日から始めましたが、二〇〇一年度予算とは切り離して、分離して検討を続けることにいたしまして、二〇〇一年度予算運輸省要求のとおり実現していただきますようように、これからも航空局の方から大蔵省の主計局の方に十分に説明をして理解を得ていただきたい、このように思っております。
  188. 松浪健四郎

    ○松浪委員 心強い、真摯な答弁を賜りました。感謝を申し上げたいと思います。そして、地元選出議員として、地元の皆様方にもこのことを御報告させていただきたい、このように思います。  時間がやってまいりましたので、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  189. 赤城徳彦

    赤城委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十四分散会