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国務大臣(
谷洋一君) 私はこのたび
森内閣の成立に伴いまして
農林水産大臣を拝命いたしましたが、本日は
参議院農林水産委員会を開催していただきまして、まことにありがとうございます。
農林水産省の
重点事項につきまして
お話をさせていただきたいと
思いますが、
委員長以下
委員の
皆さん方のお手元にお配りしておりますので、私は簡潔に説明させていただくことを御了解いただきたいと
思います。
まず第一に、
雪印乳業食中毒事件につきまして、
皆さん方に御報告申し上げます。
この
事件は、我々としては全く想像のできなかった
事件でございましたが、一万五千人に近い
中毒患者を起こしたということは重大なことでございまして、
我が国歴史にかつてないことだと思っております。しかも、
我が国三大
メーカーと言われておりますその
一つの大
メーカーがこういう
事件を起こしたことはまことに遺憾だと思っております。そして、この
患者の
方々が一日も早く回復されることを心から祈っておるわけでございまして、私
どもは、先ほど申し上げたとおり、二度と繰り返さないということを念頭に置いてこれらの
処置について
考えておるわけでございます。
第一に、この
事件が起きたことによりまして
牛乳並びに
牛乳製品の
消費の減退につながっては大変だと
思います。私
どもは、
牛乳並びに
牛乳製品の持つ
国民に対する大きな
責任というものを感じておりますので、その
消費が減退しないことを今後も持続的に継続いたしまして
国民の
皆さん方に、
消費者の
方々に
浸透を図っていきたいと思っております。
また、
中間業者の
方々の
意気阻喪をしてはならないということはもちろんでございますし、また酪農の業にいそしんでいらっしゃる
方々にいたしましても、夢と
希望を持って今後の自分の
事業に取り組んでいただくということが大切だと思っておりますので、これらの問題について厚生省と
十分連絡をとりながら、
一体となってこの
処置に当たっていく所存でございますし、今後もこういう
方向で、業界の
方々はもちろんのこと、
消費者の
方々にも
浸透を図っていくことを
皆さんにも御報告申し上げたいと存じます。
それから、次の
課題は、
我が国の
農政の大きな
課題でございますが、
我が国農政は極めて限られた
農地、そして
山地の多い
我が国の
農業立地条件でございますから、これらの問題を踏まえまして、何としてでも
農業の
振興を図っていきたいと
考えております。
昨年、
国会の議決を賜りまして新しい
農業基本法をつくったわけでございますけれ
ども、この
農業基本法はあくまでも新しい時代に沿って、そして
国民の
皆さんが、生産する
農家の
方々はもちろんでございますけれ
ども、
消費者の
方々も
一体となってこの
農業問題に取り組むことを
考えていかなきゃならぬと思っております。
そこで、我々は、
食料自給率でございますが、
我が国の
食料自給率は、
近代工業国家という
立場だけでなくて全
世界の
国家を眺めてみましても極めて偏重な
情勢に到達しております。
自給率四二%と言われておりましたけれ
ども、今や四〇%台に下がっておる。そういうことを
考えますと、
自給率を高めてやはり
我が国の
国民の
生活に
安心と安定を与えるということが必要だろうと
思います。
その点につきまして、四五%の
自給率の達成を期していきたい、そして同時に、目標を五〇%にまで持っていきたいというふうな
気持ちから申し上げますと、何としてでも
自給率を高めることの
施策を今後展開しなきゃならぬと思っておりまして、
平成十二年度におきましては、小麦並びに大豆あるいは
飼料作物等を取り上げまして、米と同等の
所得水準になるような
考え方で、積極的に
農家の
方々にもお取り組みいただきたいと思っておりますものの、
現実の問題としては容易でないわけでございまして、品種の改良等々の問題を踏まえて十二分に今後も持続的にやっていきたいと思っております。
また、WTOの
関係につきましては、
世界の
情勢が一方的な偏った
情勢ではいけないと
思いまして、
加盟国百三十カ国の
皆さん方が、やはり十二分に我々の
主張も、日本の
主張も十分お聞きいただいて、そして
理解を深めていくことが必要じゃなかろうかと
思いまして、私も八月十六日からフィリピン、
タイ等に出向きまして十二分にそういう点、常日ごろの
浸透を図っていくような努力をしてみたいと思っておりますし、もちろんこれは
農林省、
局長、
審議官等々こぞってこういう
方向で向かって、そして本年末に求められております
集約をしたいと、こういう
考えでおります。どうか御
理解をいただきたいと
思います。
また、
農業者年金等の問題につきましても、本当に
農業者に夢と
希望を与えるためには、この
年金制度というものの拡充をしなきゃならぬと思うわけでございますが、
現実の問題はもう破局の状態になっておることも事実でございますので、このことを
考えてみると、もう一日も置き去りにすることなく、
解決の
方向へと前進したいと思っております。
等々いろんな
課題がございますが、また今後
委員会の席上で十二分に
委員の
皆さん方と
意見の
交換をして、お互いの意思の疎通を図っていきたいと思っております。
次に、
林業につきましては、新しい
林業の体系をつくらなきゃならぬと
思います。
小径木とか、あるいは
間伐材の利用だとか、そういうことも必要ではございましょうけれ
ども、
我が国の
木造住宅の建築に当たりまして一割しか我が
地域材を使わないというふうなことでは、とてもとても
我が国のこの
気候風土に合わせて健康な
国民生活を送ることは非常に至難だと思っておりますので、やはり
木造住宅というもの、そして
厚壁を利用するということ、それは
我が国の島国という
住居環境には最もふさわしいものだと私
ども思っておりまして、我々の先祖が何百年何千年前からこれを利用しておるということはやはりゆえあるかなと思っておるわけでございます。
そういう点で、
地域材の
振興につきましてもいろいろと手配をしてきたわけでございますけれ
ども、今後ともに積極的な体制でもって当たることが必要じゃなかろうか、そして新しい
林業基本法をつくって、これを、山を管理していらっしゃる
方々、管理、所有していらっしゃる
方々や
山地に住む
方々の山に対する
考え方を変えていただきたい、そういう
思いをしております。
今や山はまさに
資産価値を失ったと、私
自身も
山地に住んでおりますのでそういう感を深くしておりますものの、
現実には国土の保全であるとかあるいは大気の浄化であるとか
水資源の涵養であるとか、本当に偉大なると言ってもいいような大変な大きな使命を帯びておるわけでございますから、そういう点での私
どもは大変な価値あるものと
考えざるを得ません。
そういうことを
考えると、やはり
世界共通の大きな
課題としてこの
林業問題を取り上げていくことが必要だろうと思っております。
次に、
水産の
関係につきましては、昨年の末に
水産基本法に相当するものの骨子を固めたわけでございますが、本年度は
法制化をいたしまして
国会に
提出して
皆さん方の
議論を仰ぎたいと、こう
考えております。
我が国の
水産を振り返ってみますと、数十年前には
世界を雄飛する
水産業と言われておりましたけれ
ども、今や五七%の
自給率しかないというところまで低落しておりますので、
海洋法を
中心とする二百海里問題を
考えてみますと、ある意味では、やはりもっと、
従前の
考え方でなくて、これからの
水産業というものに対しましては深い
理解を
国民全体が寄せなければならない。同時に、その
理解のもとに
水産に携わる
方々が意欲を持って取り組んでいただくということが必要だろうと
思います。
そういうことを
考えますと、
農林水産委員会の
皆様方の御
発言を十二分に体しまして、今後の
施策を展開していきたいと思っております。
簡単に申し上げましたけれ
ども、どうか
皆さん方の十分な御
質疑を賜りまして、
農林水産省の今後の運営を期していきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)
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