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清水澄子君 きょうは
長崎の
原爆記念日でございますので、既に
田浦、
入澤、
今井委員からそれぞれこの問題について質問がございましたけれども、私も非常に重要な問題だと
考えておりますので、重ねて質問をしたいと思います。
先ほどもありましたけれども、七月十八日に最高裁で
長崎の
被爆者、松谷さん、この方はやはり
長崎で被爆をして右半身麻痺などの障害を負っている女性ですけれども、そのお方が
原爆症の認定を受けられなかったということで
厚生省を訴えたわけですが、その裁判で勝利しているわけです。これに対して、やはり
原爆症の認定について
厚生省の
考え方というのが、基準が非常におくれているんじゃないかということが先ほどからも
議論があったと思います。
この判決は、一審、二審の判決を支持するというものであったわけです。七年前の九三年にはやはり
長崎地裁で、そして九七年には福岡高裁でこの松谷さんの主張を支持しているわけです、判決は。しかし、
厚生省がそのたびに上告をして、現在まで十二年間引き延ばしたということになると思うんです。
そのことは、
厚生省は、
自分たちの主張がすべてであるという先ほどの答弁を聞いていますと、この問題について本当に
厚生省というのは一体どういう仕事をしているところかなと感ずるほど、人間の命とか人間の尊厳とかについていささかの感情も配慮も持たない役所だなというのをますます実感させてもらっております。上告がなければ十二年前から松谷さんは
医療特別手当を受けられた。そういう意味と、自分の健康に対する不安、苦しみというものからも、そういう意味では自分の主張が貫かれて、私は心はある程度安らいだと思うのですね。
そういう中で、今、
大臣もあくまでもこの判決は個別のケースであるというふうなお答えでありました。そして同時に、
長崎の市や県やそれから当事者たちみんなが要求しているこの健康診断
地域の
拡大という問題とは一切
関係ありませんと余分なことまでおっしゃっているわけです。一言もおっしゃっていないのは、
被害者に対して、本当に長い時間をかけて申しわけなかった、この言葉が先にあっておっしゃるなら、
厚生省の立場というのを言いたいというのはまだ
理解できますけれども、
被害者に対して一言も謝罪をしていない。これが日本の官僚政治といいますか、
厚生省というのは一番人間の健康とか命にかかわる省庁なんですね。それが、今この答弁を聞いていて非常に私は憤慨しております。
現在
被爆者の認定を受けている人というのは二十九万七千人ですけれども、この数は今後ふえては困るわけで、ふえないはずですね。
高齢者が多くて、どちらかといえば減る一方です。その
原爆症の認定を受けた人というのはわずか二千百六十六人、
被爆者の中の〇・七%しかいないというのは、むしろ不自然ではないかと思うわけです。それは、重症の方が亡くなっていったということもあるでしょうけれども、やはり裁判で
指摘されているように、非常に多くの人が私はその対象に当たるはずだと思っても、そういう
厚生省が決めた基準によって人為的な選別が働いてきた、そういうふうにこの数字からも受けとめるわけです。
そこで、もう裁判やそういう経過
報告は要りませんから、
大臣に伺います。
科学的とか合理的とかという基準というのは、これはやはり時代の産物ではないでしょうか。科学がより人間尊重の方向で進歩していくとき、また時代の人権思想が変わっていくとき基準は変わっていくということがあり得ると。この点についてはどのようにお
考えになりますか。その御認識を伺いたいと思います。