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2000-08-29 第149回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年八月二十九日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  八月九日     辞任         補欠選任      佐藤 泰介君     松崎 俊久君  八月十日     辞任         補欠選任      松崎 俊久君     佐藤 泰介君  八月二十九日     辞任         補欠選任      郡司  彰君     円 より子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鎌田 要人君     理 事                 鹿熊 安正君                 月原 茂皓君                 南野知惠子君                 高嶋 良充君     委 員                 岩城 光英君                 佐々木知子君                 佐藤 昭郎君                 中島 啓雄君                 中原  爽君                 松田 岩夫君                 朝日 俊弘君                 川橋 幸子君                 郡司  彰君                 佐藤 泰介君                 佐藤 雄平君                 菅川 健二君                 円 より子君                 海野 義孝君                 大森 礼子君                 福本 潤一君                 阿部 幸代君                 緒方 靖夫君                 八田ひろ子君                 田  英夫君                 福島 瑞穂君                 岩本 荘太君    国務大臣        法務大臣     保岡 興治君        大蔵大臣     宮澤 喜一君        文部大臣     大島 理森君        厚生大臣     津島 雄二君        農林水産大臣   谷  洋一君        通商産業大臣   平沼 赳夫君        労働大臣     吉川 芳男君        建設大臣     扇  千景君        国務大臣        (内閣官房長官) 中川 秀直君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    相沢 英之君        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君        国務大臣        (防衛庁長官)  虎島 和夫君        国務大臣        (経済企画庁長        官)       堺屋 太一君        国務大臣        (環境庁長官)  川口 順子君    政務次官        外務政務次官   荒木 清寛君        大蔵政務次官   七条  明君        農林水産政務次        官        三浦 一水君        建設政務次官   田村 公平君        金融再生政務次        官        宮本 一三君        防衛政務次官   仲村 正治君        防衛政務次官   鈴木 正孝君         ─────        会計検査院長   金子  晃君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        島原  勉君    政府参考人        警察庁長官官房        長        石川 重明君        金融庁検査部長  西川 和人君        金融庁監督部長  高木 祥吉君        総務庁行政監察        局長       塚本 壽雄君        防衛庁長官官房        長        守屋 武昌君        環境庁企画調整        局環境保健部長  西尾 哲茂君        外務省条約局長  谷内正太郎君        大蔵大臣官房審        議官       木村 幸俊君        大蔵省主計局次        長        丹呉 泰健君        国税庁徴収部長  井野 拓磨君        厚生省生活衛生        局長       西本  至君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  岡澤 和好君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        食糧庁長官    高木  賢君        建設大臣官房長  小川 忠男君        建設省河川局長  竹村公太郎君    説明員        会計検査院事務        総局次長     小川 光吉君        会計検査院事務        総局第一局長   増田 裕夫君        会計検査院事務        総局第二局長   関本 匡邦君        会計検査院事務        総局第三局長   白石 博之君        会計検査院事務        総局第四局長   渡辺 孝至君    参考人        日本道路公団理        事        辻  靖三君     ─────────────   本日の会議に付した案件平成年度一般会計歳入歳出決算平成年度  特別会計歳入歳出決算平成年度国税収納金  整理資金受払計算書平成年度政府関係機関  決算書(第百四十七回国会内閣提出)(継続案  件) ○平成年度国有財産増減及び現在額総計算書(  第百四十七回国会内閣提出)(継続案件) ○平成年度国有財産無償貸付状況計算書(第  百四十七回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  平成年度決算外二件を議題といたします。  本日は全般的質疑第一回を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 十年度決算審査全般的質疑トップバッターとして質問いたします。なお、決算的な視点から財政政策評価について総括的にお尋ねしたいと思います。  まず最初に、十年度決算評価についてでありますが、平成年度一般会計予算は当初七十七兆六千六百九十二億円でありましたが、三次にわたる補正予算の編成により、最終的な規模は十兆三千二百二十三億円増の八十七兆九千九百十五億円となりました。  その決算においては九千五百八十六億円の純剰余金が発生いたしましたが、その背景には三十三兆九千九百九十九億円に上る公債発行があります。これにより決算ベース公債依存度は四〇・三%となり、建設公債制度が導入された昭和四十一年度以降最も高い割合となりました。  このような十年度財政運営及び決算について宮澤大蔵大臣はどのような評価をされておられますか、御所見をお聞きしたいのであります。
  4. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 冒頭に、御審議背景になります十年度予算をめぐる問題について御指摘がございまして、まだそんなに日にちがたっておりませんのに御指摘のように大変大きな経済にも財政にも変動がございましたために、御記憶になかなか十分に曲折を鮮明にしていただくのにやや問題が困難のある年でございましたので、簡単にそれを申し上げた方が御審議の便になるかと思いますので、お答えを申し上げます。  平成年度ぐらいには我が国の経済は好調をたどるような何となく予測がございまして、現実平成年度実質経済成長率は四・四%でございます。そういう背景の中で、時の内閣は、これは今や財政構造改革をすべきであるという判断、世論にもそういうことがございましたわけでございますが、したがって経済は好転しているという判断もと平成年度におきましては財政構造改革のためのいろいろな手が打たれておりまして、現実消費税引き上げでありますとか、特別減税が今までございましたのをやめる、また医療保険改革負担の増といったようなことを財政としてはいたしまして、いわばこれで九兆円の引き上げになったというふうに言われたのが、それがその平成九年の前半に何となく考えられており、また遂行されてきた財政であったわけでございます。  しかるところ、御記憶かと思いますが、その年の七月にタイ、インドネシア等々の、七月を初めといたしまして通貨危機が始まりまして、そして十一月になりますと三洋証券が会社更生法適用を申請した、あるいは北海道拓殖銀行、山一証券、これはもうお互いが覚えておりますが、それがその年の十一月でございますので、最初政府が考えておりました経済あるいは財政方向というものと全く逆の問題が年の途中で起こってまいりました。  したがいまして、政府・与党の間でもそのような対応をせざるを得ない、年末にかけまして。たしかお正月の十二日か何かに国会をお願いいたしまして金融措置などの御審議をいただいたわけですが、そういう状況でございますので、政府としても十年に入りましてからいわば従来の経済政策というものを転換せざるを得ない、しかし現に予算の御審議をいただいておりますからなかなかそういうことは簡単にできないというような非常に複雑な状況になりまして、そして参議院選挙がございまして、非常に国民の批判が高くなりまして、内閣は辞職をし、やがて夏には新内閣が成立をいたしまして、今度は財政改革ではなくて、逆にこのような深刻な事態にどう対処するかという全く逆の方向政策をとらざるを得なかった、こういう年でございました。  そういうことが今、鹿熊委員のおっしゃいました財政の方にもあらわれておりまして、したがいまして平成年度の当初予算税収見積もりは五十八兆でございました。結果といたしましては四十九兆になったわけでございますから、ほぼ十兆近い税収の減があった。  その間、政府は何とか補正をいたしますけれども、補正をしてもなお足りずに、最終的に税収そのものは七千億円の欠損が出ました、四十九兆四千億円でございますが。しかし、税外収入歳出不用額がございましたために、辛うじて先ほどおっしゃいましたように剰余金としては九千五百八十六億円が出た。しかし、それはそういう結果出たのでありまして、他方に、おっしゃいますように公債発行をいたしまして、公債依存度は非常に高く、四〇・三%ということになったわけでございます。  長く申し上げましたが、実はそういう大変複雑な経過をとりましたために、純剰余金が九千五百億円あったということはまことにその実態をこれほど反映していない、剰余金が出たということは大変にミスリーディングなような結果でございますが、実態はこの年の財政経済も全く途中で方向転換をいたしまして、対応に大わらわであったわけでございますけれども、しかし不況に落ちていく日本経済について、今日に至りますまで十分対応し切れていないというそのもとの問題が九年から十年のときに起きたと、こういうのが御審議をいただきますための背景と申し上げることができるかと思います。
  5. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 今ほど大臣から大変詳しく御説明いただきまして、ありがとうございました。  私、大体、関連もありますが、七条大蔵政務次官にお尋ねしたいと思います。  十年度決算で特筆すべきは税収落ち込みであります。当初予算における税収見込み額は五十八兆五千五百二十億円でありましたが、特別減税が行われたり収納実績が思わしくないことから補正予算において減額したりしたものの、決算額は、今ほどの話にもありましたが四十九兆四千三百十八億円となり、当初見込み額を七兆六千百七十一億円下回るなど、大幅な減少となりました。  主要税目別に見ても大部分税目決算額予算額を下回っておりますが、税収が大きく減少した理由は何であるか、ひとつ七条大蔵政務次官から再度御説明をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  6. 七条明

    政務次官(七条明君) 今、鹿熊先生からのお話のとおり、平成年度税収決算額、非常に大きな落ち込みがあった、四十九兆四千三百十九億円となりました。当然のことながら、平成年度税収決算額にいたしましても、五十三兆九千四百十五億円という形もありまして、平成九年の決算額から見ましてもまだ四兆五千億余りの減少という形になったわけであります。  この理由いかんということでございますけれども、理由一つにつきましては、十年度税制改正における所得税特別減税あるいは法人税率の引き下げということもありましたし、もう一つは、平成十年四月の総合経済対策におけるいわゆる所得税追加特別減税等実施というような制度的な要因があったことも事実であります。  さらにもう一つ申し上げますと、大きな要因一つといたしましては、平成年度決算額から九年度決算額に対して大きく減少した要因は、景気低迷が反映し、法人税収などが低調であった。特に、先ほど大臣からもお話がありましたように、歳入補正をした後にまだ歳入の中で減額をせざるを得なくなった。特に、税収が大きく落ち込んでしまった原因が起こったことを考えてみましても、やはり景気低迷という形が大きく影響しておるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  7. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ただいまもいろいろと説明いただきましたが、要するに、税収実績見込みを大幅に下回った背景には、税収見積もり基礎にある政府景気見通しが楽観的過ぎたと考えざるを得ないのであります。事実、十年度当初段階の政府経済見通しでは成長率は二・四%とされておりましたが、実績マイナス二・〇%で、大幅な見込み違いとなっております。  税収見積もり基礎にある経済見通し見込み違いとなったとはいえ、主要税目税収は第三次補正予算と比較しても軒並み減収となっており、税収見積もりのさらなる精度向上が望まれるところでありますが、この点に関して、宮澤大蔵大臣からその御見解を再度お伺いしたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御指摘の問題は常にあることでございますが、今回の場合には、おっしゃいますように、平成年度というのは政府はプラスの成長見通しをしておったわけでございますから、一・九%の当初見通しでございますが、実績マイナス二%でございますから、方向が全く間違ったのみならず、その間違いが大変に大きな規模であった。  それは、先ほど申しましたように、その前の年までは景気がいいだろうから財政を少し締めようと言っておったところが、とんでもない内外金融不安と東南アジアの為替、全く違う状況が訪れたわけでございますから、責めを負うべきものは政府全体であって、税収見通しもその責めを担わざるを得ないというような状況であったと思います。  したがって、この場合には、もとの見方が間違っちゃった、対応の仕方を誤ったというもとにございますが、それにいたしましても、税収見通し成長率もとに前年の税収実績ベースにして計算いたしますものですから、反対の方向経済が動いたわけでございますから、どうしても見積もりが誤ったということになりますが、しかし常に申せることは、税収見通しは普通前年度の、今日までの実績、いわゆる発射台と称するもの、その上に政府の定めた成長率等々を企業の状況なども勘案しながらやるものでございますけれども、常にそれは古いデータを使ってやらざるを得ないということがございますものですから、今の経済状況はどう動いているかということを的確に見積もりに入れることはなかなか、御了解もいただけるでしょうが、難しいことではあるけれども、しかしそれをやっておきませんと過去のトレンドに大変にとらわれやすいということが一番の反省点だと考えます。
  9. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ありがとうございました。  ところで、平成十一年度決算は七月三十一日に主計簿が締め切られ、次に会計検査院検査を経た後、来年の通常国会に提出されることになりますが、現時点においてその計数は確定しているはずでありましょう。大蔵省から概要を御説明いただきたいのです。  なお、一兆三百二十七億円の純剰余金が発生しているが、二十四兆円以上の特例公債発行しており、税収は四十七兆二千三百四十五億円と昭和六十二年の水準、すなわち四十六兆七千九百七十九億円に近い落ち込みであるわけであります。  それでは、ひとつ大蔵省からお願いいたしたいと思います。
  10. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 詳細は政府委員から御説明申し上げますが、その際、その前に今公債金お話がございまして、この十一年度の場合には結果として税収が、一遍減額補正をいたしましたが、結果として当初見通しに届くことになりましたので、年度最後公債金発行を一兆一千億円だけ発行せずにいたしました。そういう経緯がございます。なお、計数参考人から申し上げます。
  11. 丹呉泰健

    政府参考人丹呉泰健君) お答え申し上げます。  ただいま大臣からも御説明がございましたが、十一年度決算概要でございますが、まず歳入につきましては全体として九千二百五十一億円の増収となっております。  その主な内訳でございますが、税収法人税が増加したこと等によりまして補正予算に対しまして一兆五千五百六十四億円の増収となっております。また、税外収入日本銀行納付金等が増加したこと等によりまして四千七百十一億円の増収となっております。また、特例公債につきましては、今、大臣から御説明がありましたように、一兆一千二十四億円発行しなかったことによりまして公債金収入がその分減額となっております。  次に、歳出の方でございますが、予備費を初めといたしまして全体として六千百一億円の不用が生じております。  この結果、歳入歳出増減を合計いたしますと、全体として一兆五千三百五十二億円の剰余を生じますが、地方交付税交付金等特定財源増収分が四千九百五十億円ございますので、これを差し引いた一兆四百二億円が純剰余金となる見込みでございます。  なお、この純剰余金は、財政法六条の規定によりまして、二分の一を下らない金額につきまして翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないということになっております。  以上でございます。
  12. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 それでは次に、十年度決算報告特徴についてお尋ねいたしますが、会計検査院検査報告に関して二点お伺いいたします。  検査院平成年度決算検査報告を拝見しますと、七百四十七ページに及ぶものであり、その充実ぶりがうかがえます。十年度は、新たに検査方針を掲載し特定検査状況を十項目掲載するなど、工夫の跡がうかがえますが、検査院として十年度決算力点を置いた事項及び検査報告特徴会計検査院長から御説明をお願いいたします。
  13. 金子晃

    会計検査院長金子晃君) 平成年度会計検査報告において、検査院力点を置いた点及び検査報告特徴についてお答え申し上げます。  平成年度会計検査報告における検査基本的な方針及び検査報告の主な特徴として、次の点を挙げることができると思います。  まず第一に、検査活動状況をできるだけ明らかにして検査のアカウンタビリティーをより一層果たすべく、会計検査基本方針を掲載いたしました。この検査方針に基づいて行われました検査結果についての特徴でございますけれども、以下の諸点を挙げることができるだろうと思います。  まず第一に、国民関心の高い問題の検査に引き続き積極的に取り組みました。  その結果、消費税の滞納の防止策不動産所有権移転登記に係る登録免許税税率適用に関する事態など、税負担の公正、公平性の問題を初めとして、また金融システム安定化金融機関の貸し渋りに対する国の施策の実施状況、あるいは少子化が進行する中での義務教育費国庫負担金現状などの問題を掲記いたしました。この点をまず第一に挙げることができるだろうと思います。  第二に、公共調達透明性競争性の確保が求められております。この点からの検査を行いまして、入札契約手続の執行に対する検査をいたしました。  その結果、自衛艦検査、修理の契約において、競争入札による利益を得られない状況となっていて適切を欠く事態など、そういう事態が判明いたしましたので掲記をいたしました。  第三に、公共構造物安全性に関する関心が高まっております。その整備状況や設計の検査を行い、堤防等整備に着手できない状況となっている河川改修事業や、車いす利用者等の安全かつ円滑な通行に支障を生ずるおそれがある歩道の車両乗り入れ部構造などに関する事態指摘しております。これも今回の検査報告特徴として挙げることができるだろうと思います。  第四に、行政改革等に寄与する検査が求められておりますので、この点からの検査も行っております。経済性効率性のほか、特に有効性の観点からの検査に力を入れたわけでございます。  この結果、国が農林漁業信用基金に出資し、これを財源として造成された全国低利預託基金の大部分が活用されていない事態並型魚礁設置事業効果が十分発現されていない事態など、多数の有効性に関する指摘事項掲記しております。  最後に、会計経理基本である合規性検査についても、その一層の徹底を図り、海上自衛艦地域通信情報システム整備に当たり、正規の調達手続を経ることなく装置を搬入させるなどして国の会計制度基本原則を逸脱していた事態など、不適切な事態を多数指摘しております。  以上が特徴として挙げられる点だと考えております。
  14. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  次に、河川改修事業に対する建設省対応についてお尋ねをいたします。  十年度決算検査報告には、「特に掲記を要すると認めた事項」として、不動産所有権移転登記に係る登録免許税についての指摘及び河川改修事業実施についての指摘が掲載されております。  登録免許税については検査院指摘により登録免許税法が改正されるなど指摘効果があらわれましたが、秋田県旭川ほか全国六カ所、合わせて七カ所になりますが、この河川改修事業指摘についての建設省対応はどうなっているのか。また、水害の発生防止をし国民の生命、財産、身体を守るために行われている河川改修事業が進捗せず、その目的が十分に達成できていないとすれば、極めて遺憾であります。  災害防止目的河川改修事業について検査院指摘を受けたこと自体問題であると思いますが、こうした指摘を受けたことについて建設省はどう認識をしておられますか、承りたいと思います。よろしくお願いします。
  15. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、会計検査院指摘に対する建設省対応いかんというお話でございましたけれども、会計検査院から、全国の四百八の河川について検査をした結果、七河川について地権者等協力が得られないために事業進展がしていないという、河川改修が進んでいないという御指摘をちょうだいしました。  これを受けまして、建設省としては、河川事業改修必要性について、関係者の理解と協力が得られるようにということを働きかけまして、関係地方建設局及び県に要請をいたしました。その結果、指摘を受けました七河川につきましては、関係機関との協定の締結、それから地権者との協議の結果、すべて、計画の見直し等も行いましたけれども、いずれの河川事業進展を見たというのが現状でございます。  今、建設大臣として所見について重ねての御質問がございましたけれども、河川改修は、御存じのとおり長期間を要するということもございますし、それから用地買収等関係者が多いということもございまして、短期間で完成ができないというのも先生の御理解が得られるところであろうと思いますけれども、これは、少なくとも私どもは、このような中で、河川全体を見回しながら、今、先生指摘のございましたような、本当に安全と安心のために何としてもこれを進めようということで、特に緊急性の高い河川からこれを行うというふうに努力をしているところでございます。  今後とも、先生も御指摘のように、水害から沿岸の住民あるいは生命、財産を守るというその基本的な治水事業の重要性を私どもは認識しまして、新しい河川法に基づいて、この河川法の精神を私たちは生かしながら、積極的に住民参加の理解、そして河川改修必要性について協力をいただくというように、これからも鋭意努力して皆さん方の御期待にこたえていきたい、そのように考えております。
  16. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  次に、河川改修事業について七河川事業の進捗状況が掲載されておりますが、このうち、町づくり計画との調整を必要としている直轄事業の宮城県旧北上川と、都市化の進展により整備が困難となっている補助事業の秋田県旭川について建設省対応はどうなっておりますか、お尋ねいたします。
  17. 竹村公太郎

    政府参考人竹村公太郎君) 具体的に二河川につきましての御質問がございました。  まず、宮城県の旧北上川の河口にございます石巻市の改修の件でございますが、ここは古来より港町として栄えてございまして、海と町、そして川と町との一体感が大変大事な町でございます。そして一方、高潮の被害を防止しなければいけないという二つの町づくりの中における河川改修事業のあり方ということがテーマになって時間がかかっているところでございます。  私ども建設省は、そのために地域の方々の御理解を得るために、一部試験のための堤防を二百二十メーターほど築堤いたしまして、この程度の高さになるんですよというようなことをわかりやすくお示ししたり、ことしの六月から河口地域整備検討会、建設省、県、市から成る検討会を設けまして、町づくりと調和がとれた河川改修事業のために地域の方々のコンセンサスを得るために努力しているところでございまして、着実に関係者の理解が進んでいるという状況に至ってございます。  もう一点、秋田市内を流れる旭川でございますが、この川も市街地のど真ん中を流れておりましてビル等が大変密集している川でございます。この川を拡幅するのは大変容易なことではございません。  この容易なことではないという前提を踏まえて安全な町にするにはどうしたらいいかということで検討していたわけでございますが、この旭川の支川、太平川というところの上流に、秋田市の郊外に遊水地の候補地がございます。この遊水地を新たに計画に盛り込もうということで現在検討しておりまして、この検討を今年度中に終わりまして成案ができたら直ちにこの旭川の遊水地を含めた河川改修に取り組んでいくということで、地元で調整そして協議が進んでいる状況に至ってございます。
  18. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ありがとうございました。  次に、金子会計検査院長にお尋ねをいたします。  昨今、検査院の調査官の奇行、暴言がマスコミに取り上げられましたが、強力な検査権限を持つ検査院職員であるから調査に当たっての言動には慎重さと節度が求められます。検査院として的確に調査し、厳正に対処する必要があります。同時にまた、真摯な態度で調査をしている他の多くの調査官の士気に悪影響を及ぼさないような善後策も必要であります。  今回の問題に対して、検査院の調査の現状と、こうした事態に対する会計検査院所見をお伺いいたします。
  19. 金子晃

    会計検査院長金子晃君) 先般、新聞等で報道された調査官の言動に不適切な点があったことについて、会計検査院職員としてまことに残念なことである、特に会計検査院の重要性及び国民の期待が高まる中で会計検査院に対する受検側あるいは国民の信頼を損なうものであり、まことに遺憾に存じております。  本職員は国家公務員として適切な行動をしなければならないことは当然のことであり、特に本院が国の唯一の財政監督機関であることから、実地検査時の調査官の言動につきましては従来から通達を発して繰り返し注意を喚起してきたところでございます。  今回の件につきましては、一連の行動について遺漏がないように事実関係を調査しているところでありますが、当該職員が国家公務員として不適切な言動をした事実を確定した段階で厳正に対処したいと考えております。  また、受検側と基本的に緊張関係にある会計検査に当たる調査官に対しましては、従来から各種の研修の際に、本院職員としての自覚を踏まえて行動することが必要である旨を厳しく指導してきているところでありますけれども、今回の件を契機に、改めて職員の指導監督の徹底を図ると同時に、今後適切な検査のあり方についても検討をしてまいりたいと考えております。
  20. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ただいまはどうもありがとうございました。しっかりまたよろしくお願いいたします。  次に、租税の滞納の解消策についてお伺いいたします。  私は、昨年の十月、この決算委員会消費税の滞納についての質問をいたしましたが、今回は国税の滞納状況とその解消策についてお伺いいたします。  すなわち、十一年度消費税を含む全税目の新規発生滞納額は減少しており、前年度に比較し八七%となっております。しかし、整理済み額、いわゆる滞納がその年度に解消された額は前年度に比較し九二%と前年を下回っております。整理済み額が少なかったとはいえ、滞納の新規発生額が減少したため滞納残額は前年に比較して九八%と減少しましたが、現在、二兆七千六百六十一億円の高い水準にあります。  十一年度に滞納の解消が進まなかった理由についてお尋ねいたします。
  21. 井野拓磨

    政府参考人(井野拓磨君) 今、先生指摘がございましたように、滞納でございますが、全税目で滞納整理中のものの額でございますが、対前年比一・七%減ということになっております。実は、これは昭和三十九年度以来三十五年ぶりに前年に対してマイナスとなった数字になっております。ただ、消費税の滞納整理中のものの額でございますが、これにつきましては、対前年比二・九%増と若干増加しておりますが、これも消費税導入以来最も低い伸びにとどまっております。  したがいまして、滞納整理が進まなかった理由ということでございますが、私どもは、これから申し上げますような気持ちで滞納整理、滞納の未然防止を進めているところでございます。  まず申し上げたいのは、滞納は期限内に納税している大多数の納税者の方々の立場に立てば許されるものではないということから、国税当局といたしましては、その未然防止及びその整理促進に努めているところでございます。特に消費税につきましては、預かり金的性格にかんがみまして、国民の皆様の信頼を損なうことのないよう厳正に対処してきているところでございます。  そこで、どういった対策をやってきたかということを申し上げます。  まず、未然防止策について申し上げたいと思います。滞納を未然に防止するために、期限内納付意識を高めるための広報を充実し、個々の事業者の方々に対しまして国税局、税務署を挙げて納付期限の前後に徹底した納付慫慂を実施するなど、各種期限内収納対策を実施してきたところでございます。これに加えまして、消費税滞納未然防止のため会計検査院の意見表示もございましたが、そういうことも踏まえまして、まず第一点目でございますが、ポスター等を通じまして、消費税が預かり金的性格を有する税であることを事業者の方々に認識していただけるよう努めてまいりました。  それから、第二点目でございますが、国及び地方公共団体に対しまして、入札参加資格審査に対し、消費税納税証明書の活用を依頼してまいりました。その結果でございますが、本年五月までにすべての国の機関及び地方公共団体から協力をいただけるとの回答をいただいているところでございます。  三点目でございますが、納税貯蓄組合、間税会等関係民間団体に対しまして、納税資金の備蓄の推進について協力要請を行ってまいりました。その結果、本年六月末現在、全国三百二十二の金融機関におきまして消費税積立預金等が商品化され、納税資金の備蓄環境の整備進展が見られております。  次に、滞納となった国税の整理促進策について申し上げます。  滞納となった国税に対しましては、速やかな保全を行うとともに、滞納者個々の実情に即したところで厳正、的確な滞納整理を実施してきているところでございます。特に消費税に対しましては他の税目の滞納より優先して着手する、それから滞納の多発時期における集中整理を実施するなどによりまして、早期かつ確実な徴収に努めるとともに、納付に誠意が認められない滞納者に対しましては、法律に基づいた手順を踏んだ上で財産の差し押さえを行うなど、厳正な滞納整理を実施しているところでございます。  以上の結果でございますから、先ほど申し上げたような数字になっているわけでございます。今後とも、このような施策を一層充実して、滞納の未然防止及びその整理促進に努めてまいりたいと考えております。
  22. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  それでは次に、十三年度概算要求についてお尋ねをいたします。  さて、いよいよ来年一月から中央省庁等改革による一府十二省の新体制が発足いたしますが、平成十三年度予算は新体制での初の満年度予算となることにかんがみ、従来にも増して施策内容を総点検した上で編成されるべきであります。  そこで、政府は、十二年八月一日、次年度概算要求に当たっての基本的な方針について閣議了解が行われました。  とりわけ、二十一世紀における経済社会の新生に資する施策に特段の予算配分を行うこととし、公共事業関係費を除く経費について日本新生特別枠を設定し、総額二千五百億円の予算措置を講じることを初めとして、生活関連等公共事業重点枠として三千億円予算措置することとされておられます。  日本新生特別枠の趣旨、目的について宮澤大蔵大臣から所見をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  23. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) おっしゃいますように、十三年度予算というものは大変に大事な性格を持っておると考えておりまして、一つは、長く続きました不況を脱出するこれが最後の決め手とならなければならないという問題と、次に、しかし二十一世紀における、このように世の中が世界的な規模で変わってまいります中で、我が国が二十一世紀においても世界の中で立ちおくれないような国でなければならないという、そういう問題意識。そこへしかも、おっしゃいますように、官庁の再編成ということが加わってまいりましたので、したがいまして十三年度予算案を編成する際に、今申し上げましたようなことを総合的に考えなければならない。その一つが、今の新生と言われる新しい時代に対応するための諸施策、四つの問題を取り上げておりますけれども、を大事に考えたい。  一つは、それは各省庁が統合するという立場において、今までセクショナリズムで同じ問題をばらばらにやっておったというようなことを、この際統合の立場から考えられないものか、そういう予算要求をしてほしいといったようなこと。  それからまた、技術としてはおっしゃいましたように、これは総理大臣の特別枠にして受け取るならば、今までの、昨年あるいは昨年までの過去と一応切れました新しい施策として要求もできるし審査もできますから、そういうことにしたいと考えましたのが、今おっしゃいましたような特別枠といったようなものの考え方でございます。
  24. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 十三年度公共事業予算の編成のあり方についてお尋ねいたします。  現在、公共事業の見直し論議が活発に行われておりますが、国民生活の上から不可欠な環境対策や災害対策、少子高齢化社会に対応した施設整備など、必要な公共事業は積極的に推進すべきであると思います。次年度からは建設省、運輸省、国土庁、北海道開発庁の統合による国土交通省が誕生し、巨大な公共事業官庁となりますが、四省庁統合を踏まえて次年度の公共事業予算の編成について、宮澤大蔵大臣からその基本的な方針をお示しいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 先ほど申し上げましたことの延長になるわけでございますが、いわゆる新生プランというようなものが、ITであるとかあるいは今おっしゃいました環境または高齢化、都市基盤整備等々でございまして、これらのものがかなりお話しになりましたように統合をする省庁に関係をしておるものでございます。したがいまして、これらについては特に特別枠も設け、要求側も統合の立場でこれらのテーマに従って要求をしてほしい、こういうふうにお願いをしておりますし、またそういうふうに各省庁も心がけて予算要求をやっていただいております。  間もなく概算要求の締め切りになりますが、それから現実に暮れの予算編成までの間そういう整理をさらに進めていかなければなりませんで、私どもの期待としては従来のような縦割りでなくこういうテーマ別に統合された形での各省庁という立場でこれからの予算折衝を続けてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。また、要求側にもそういうお願いをいたしてございます。
  26. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ただいまはどうもありがとうございました。  次に、農業者年金と国民年金についての質問と私の要望を申し上げたいと思います。  本院では、平成年度決算に関して国民年金の未納保険料の解消に一層の努力を払うこと、また、六年度決算に関して農業者年金財政の健全化を図ることとの警告決議を行っております。  まず、農業者年金については、その財政は厳しい状況に直面しており、八月二十四日、給付額の見直し、財源の徴収方法の再検討、国庫負担のあり方等について方針が示されましたが、今後の議論において農業者に一方的なしわ寄せが来ないように強く要望いたします。農林水産省はこのたびの農業者年金制度の見直しについて、いかなる方針もとでどのような措置を講じようとしておられるのか、谷農林水産大臣にお尋ねいたします。
  27. 谷洋一

    国務大臣(谷洋一君) ただいま御指摘の農業者年金につきましては、確かに苦しい立場に追い込まれております。それは、農業者の皆さん方が非常に農業離れをされたというふうな現実もございますし、当初考えたより大変少ない皆さん方がお入りいただくというふうな結果になっておりまして、なかなか難しい段階になっておりました。  そこで、我々自民党の中におきましても、この問題について真剣に討議をしようということで過去二年三年にわたりまして討議をしておったわけでございますが、農水省の方の立場としましてもこれは見逃すことのできない重大なことであるというふうな観点で私どもも強く申し入れたわけでございますが、その結果におきまして農業者年金の今後のあり方について農水省の方も考え方を示していただくことになっておりました。  そういう段階を経まして、今回この問題についてメスを加えるということにしたわけでございまして、これは将来の農村問題、将来の農業者の考え方等々、十分参酌した上でこれらの問題について討議しようということにしておるわけでございます。
  28. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。  次に、国民年金については、その未納者は数百万人に上ると見られており、年金保険料の収納状況をあらわす検認率は毎年度低下しており、過年度未納保険料は一兆円を超えております。これは国民皆保険制度の根幹を揺るがしかねない事態であり、未納保険料の解消に向けて万全の方策を講じるなど、社会保険庁の一層の努力を望むとともに、この点について津島厚生大臣所見をお伺いいたします。よろしくお願いします。
  29. 津島雄二

    国務大臣(津島雄二君) 委員指摘のとおり、また過去において本院から御指摘いただいておりますように、公的年金制度の安定的な運営を進め、国民の年金権を確保するために、国民年金の第一号被保険者を中心とする未加入、未納の解消は大変重要な課題でございます。  御指摘のとおり、なかなか未納あるいは未加入が減少しないというその理由実態調査で調べてみますと、公的年金そのものに対する信頼度と申しますか、将来どうなっていくんだろうという気持ちが背景にあることは否定できないわけでありまして、その裏腹になりますが、その評価が必ずしも十分でないときに保険料はどうも気になるな、経済的に払うのがおっくうだ、そういうことが原因になっておることは間違いないわけでございます。  これまで、未加入、未納対策として加入の促進、それから口座振替の促進、それからまた地方の御協力を得まして専任徴収員による徴収というような努力をしてまいりましたし、納付督促等も実施してまいりましたが、これまで以上に国民に公的年金制度への理解を深めていただくということが必要であり、制度そのものの周知、広報の実施、それからまた将来の公的年金制度を担っていく若い方々、中高校生に対する年金教育の充実などもしていかなければならないと思います。  委員指摘のとおり、今後とも未加入、未納の解消に向けて、これまでの施策の推進を初め幅広く対策を講じてまいりたいと思います。
  30. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 ただいま万全の方策を考えておるということでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、政策評価のことについてお尋ねをいたします。  中央省庁改革に伴って導入される政策評価一つの目玉であり、時宜にかなった施策として評価したいと思います。新設される総務省は、総務省みずから政策評価を行うとともに、各府省が行う政策評価をチェックすることとなりますが、行政情報が一層開示されるという点で国会審議、特に決算委員会の審査に寄与するところ大であります。  しかし、現在行われている行政監察に加え政策評価が行われることになるにもかかわらず、現行の総務庁行政監察局の体制がおおむね総務省行政評価局に移転するものとされており、実施体制の実質的な拡充は行われないものと承知しております。  政策評価実施するには人員と予算の拡充、評価手法の開発など、その実施体制の充実が必要となると思いますが、十分な体制また整備ができるのか、総務庁の見解をお尋ねいたします。
  31. 塚本壽雄

    政府参考人(塚本壽雄君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、省庁再編後の総務省行政評価局が府省の枠を越えた政策評価機能等を十分に発揮していくという点では、人員、予算等の実施体制の確保が極めて重要と考えておるところでございます。  このために、既に平成十二年度予算におきましては、十三年一月の省庁再編対応措置といたしまして、行政評価局の発足と同時に政策評価・独立行政法人評価委員会を設置するということ、また行政評価局としましての政策評価及びその他の行政評価監視の対応のための組織体制を整備する、この手はずを整えたところでございます。さらに、政策評価実施のための調査経費の確保、それから政策評価手法の開発を担当する職員の増員というものも本年度予算で行いました。  引き続き、来年度予算の対象となります十三年四月以降でございますが、これにつきましても必要な体制の確保のために、まず組織体制につきましては、政策評価に関する統一的研修の実施のための体制確立のため組織整備を行う。また、人員につきましても、専門知識を有します民間人の任用ということも含めまして、政策評価業務等に従事する本省行政評価局の要員の段階的な拡充を図りたい。また、予算につきましては、政策評価・独立行政法人評価委員会経費の増額、また評価技法の向上のための調査研究、行政評価局職員の能力の一層の向上のための研修、さらに評価関連データの収集整備、整理、検索等を効率的に行いますデータベースの構築、こうした点につきまして客観的、効果的でかつ質の高い評価実施するというために必要になる予算を概算要求に盛り込ませていただきまして、その確保に努力していきたいと考えておる次第でございます。
  32. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  次に、防衛、警察など機密保持を必要とする府省の政策評価についてお尋ねをいたします。  総務庁から政策評価に関するガイドライン案が七月三十一日に示されました。各省庁はそれに沿って実施要領を検討されていると思いますが、その中で、防衛庁や警察庁など機密保持が必要なところについてはどのような政策評価のための方針を検討されているのか。政策評価を行う以上、実効性の上がる評価が必要でありますが、情報公開法の趣旨もあり、機密保持との関係では一定の制約が課せられることになると見られます。  防衛庁、警察庁では、政策評価を行うためにどのような点に留意され、その手法を検討されているのかお尋ねいたします。
  33. 守屋武昌

    政府参考人(守屋武昌君) 防衛庁ですが、お答えいたします。  防衛庁におきましては、官房に政策評価準備室を設けまして、お示しになりました標準的ガイドラインをも参考にしつつ、実施の要領について検討している最中でございます。  ポイントでございますが、政策事業の意図、目的必要性、適正性の評価、達成効果、達成時期等を可能な限り具体的に明らかにすることが国民の理解と協力を得る観点から防衛行政の大きな柱でございますから、重要なポイントの一つではないかと考えておるところでございます。  他方、防衛庁における政策評価につきましては、例えば侵略の未然防止のために我々は防衛力を整備しておるわけでございますが、この有効性を平時におきまして定量的に評価するということについては限界がございます。また、その評価の中には例えば装備品の性能とか他国との装備品等の性能比較とかということでございまして、公表になじまないものもございます。このため、防衛庁としましては、評価の方法や公表の仕方等については今後十分な検討を行う必要があると考えておるところでございます。  いずれにしましても、防衛行政の遂行に当たりまして国民の理解と協力は不可欠であると認識しておりまして、政策評価の結果等の公表に際しましても、国家の安全と利益に直結するという防衛庁の情報の重要性との調和を図りながら適切に対応してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  34. 石川重明

    政府参考人(石川重明君) 警察庁におきましては、平成十三年の一月から長官官房に政策評価・情報公開企画官を設置いたしまして、全庁的に政策評価実施していくことにいたしております。現在、先ほどお話のございましたガイドラインの案を参考といたしまして、その実施要領あるいは実施計画の策定作業に取り組んでいるところでございます。  ただ、委員指摘のとおり、警察庁の政策の中には、新たな捜査手法の開発など、その詳細を公にいたしますと公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれのあるものがございます。このような政策評価につきましては、情報公開法の考え方に基づきまして、評価結果の公表のあり方を工夫することなどによりまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。  また、先ほど防衛庁からも御答弁がございましたけれども、警察庁におきましては、犯罪の予防、鎮圧等を目的とした政策のように評価手法が必ずしもまだ確立していない分野、あるいは定量的評価になじみにくい分野、あるいは政策効果との因果関係が必ずしも明確でない分野といったようなものもございます。こうした分野の政策評価につきましても、今後、調査研究を進めまして可能な限り積極的に対処をしてまいりたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、効率的で質が高く国民的視点に立った成果重視の警察行政の実現を目指してまいりたい、このように考えている次第でございます。
  35. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  それでは最後に、補助事業事業評価に対する地方自治体と農水省の関係についてお尋ねいたします。  政策評価を先取りする形で、農林水産公共事業については事業評価制度の導入を図ってきておりますが、さらに今般、農林水産公共事業透明性効率性のより一層の向上を図る観点から、事前評価、再評価、事後評価から成る体系的な事業評価及びその公表のあり方を定める農林水産公共事業事業評価実施要綱が策定されております。公共事業の主たる事業主体は地方自治体であり、補助事業についても事業評価が必要となりますが、補助事業についての地方自治体と農水省の事業評価関係はどのようになるのでしょうか。谷農林水産大臣からお言葉をいただきたいと思います。
  36. 谷洋一

    国務大臣(谷洋一君) ただいま御指摘の農林水産省におきますところの市町村、団体、あるいは都道府県等々の問題についての御指摘と思いますが、これらの問題につきましては、公平適正に公共事業が執行されますように考えまして、今後適切な公共事業の配分と同時に、また農林水産省といたしましても的確にそれを証明することが必要だろうと思いますので、改めましてこの問題については省内にその部局を置きまして検討したい、こう思っております。
  37. 鹿熊安正

    鹿熊安正君 どうもありがとうございました。  終わります。
  38. 南野知惠子

    南野知惠子君 自由民主党の南野知惠子でございます。  まず、決算審査の意義に関する問題から始めさせていただきたいと思います。  予算は国政の運営計画であり、決算は国政の運営実績と言われております。参議院が決算重視の立場をとっていることは大蔵大臣も御承知のことと思っておりますが、予算執行の結果が決算ということになり、予算編成や執行を批判、評価、そしてそれを次の予算に反映させるということで重要な意義を持っているということは当然のことだと考えるからであります。  国民、企業にとりましても、決算等の数字はその企業の業績はどうだったのか、体力は十分あるのかといったような情報も入っているところでございまして、当該企業を資金面から支える株主にとりましても大事なものとなっております。  国の決算も同じことであろうかと思っております。税金を出している国民から見まして、決算は妥当なものだったのか否か。不適切なものがあったら、反省材料として次の予算に反映させる必要があるのではないか。  国の財政は相当厳しいものになっておるというようなことでありますが、その財政をお預かりいただいている大蔵大臣といたしまして、この点に関してどのような御所見をお持ちなのか、まずお伺い申し上げます。
  39. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 政府といたしまして、国会で御審議、決定をいただきました予算を執行する責任を持っておりますが、決算の御審議というのは、その予算の執行が所期の目的を間違いなく実行しておるか、実践しておるかということに御審議をいただくわけです。  ただその際、もちろん法規的に誤りを犯しているといったようなことはあってはならないことでございますけれども、御審議をいただく私どもの立場から申しますと、ある時点が過ぎた後で決算の御審議をいただきますと、時間が移ってまいりますと、予算のとおりやってはいるんだが、それが本当に国として適当なことであったのか、それを適当にやってきたのか、法規的な誤りという意味ではなくて、時間がたちますと決算の御審議でそういう御指摘を我々はいただいていろいろに実は反省をすることがございます。これは、予算をつくりましたときはこうやるつもりでございますと申し上げてそうやっても、時間がたってみると、それが必ずしもいいことだったかというようなことはどうしてもこの委員会で御指摘があって私ども反省をするので、その点私どもとしては非常に大事な問題だと。  会計検査院の御指摘もとよりでございます。それについてはできるだけ早く私どもの決算をして会計検査院の御審議をお願いいたしますけれども、国会ではそのことのほかに、全体のそういう予算というものは果たして必要であったのか、果たして適正にと申しますか、妥当に執行されたものかといったような御審議が私どもにとっては大変に大事である、こう考えております。
  40. 南野知惠子

    南野知惠子君 今、大臣が仰せになられましたこと、そのとおりだと思っております。我々決算委員会のメンバーにおきましても、会期外にこのように熱心に頑張っていることもお酌み取りいただきたいというふうに思っております。  次は、会計検査院は憲法上の独立機関でありまして、会計検査院法も「内閣に対し独立の地位を有する。」と規定しておられます。その意味で重要な機関であります。  金子会計検査院長は民間出身の院長であられますが、就任時、本委員会において、国及び国民からさまざまな要請、期待を受けてきている、これらの要請も年々強まり、またその内容も変化してきているとされ、これらの期待、要請にこたえていきたい旨を御発言されておられます。金子院長とされまして、具体的にどのようなお気持ち、あるいはどのような手法をもってこれらの期待、要請にこたえていこうとしておられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
  41. 金子晃

    会計検査院長金子晃君) 我が国国内及び国際的にも、社会、経済、文化、あらゆる面で非常に大きな急激な変化が起こりつつあると認識しております。また、それに伴って国の組織や事業、事務のあり方についても見直しやさまざまな改革の動きが見られます。こうした変化や動きを受けて、会計検査院も国及び国民からさまざまな要請及び期待を受けているというふうに考えております。  会計検査院としても、予算が適切に執行されているか、会計法令上問題はないかという検査にとどまらず、さらに政策や事務事業が社会のニーズと一致したものとなっていて効果を上げているかといった制度上の問題に積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。  また、国の機関の一つとして、本院の検査活動もできるだけ明らかにしてアカウンタビリティーを一層果たすと同時に、質の高い信頼性のある検査活動を行って、国民の期待、国の要請にこたえてまいりたいというふうに考えております。  そのためにも、国会、特に当委員会と密接な関係もと検査を遂行してまいりたいというふうに考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
  42. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  お考えどおりに展開されますように御期待申し上げております。  そして、平成十三年度から政府におきまして導入されようとしております政策評価制度につきましても検査院として強い関心を示しておられることは平成年度決算検査報告に記述されております。本年の七月に出されました政府政策評価に関する標準的ガイドラインは検査院にとっても重要な資料となるものと思いますが、事務事業政策評価をどのようなスタンスでなさろうとしておられるのか、今までも有効性検査力点を置くなど努力はされておられるということでございますが、どのような評価を志向されようとしておられるのか、お伺いいたします。
  43. 金子晃

    会計検査院長金子晃君) 会計検査院におきましても、会計経理に関連する幅広い分野において不正、不当な事態に対する検査を行うことはもとよりのこと、さらに事務事業の業績評価を目指した有効性の観点からの検査を充実していくことを会計検査基本方針といたしております。そして、各省庁等において行われる評価の中には、事業目的の明確化、数量化、評価方法の明確化などを行うものもあると理解をしております。したがって、このような評価手法は、本院の有効性検査の前提として活用できるものと考えており、今後、会計検査院としても、目的評価方法の妥当性、またそれを使っての評価の結果などについて検査に取り組むようにしてまいりたいと考えております。  その前提といたしまして、今、議員御指摘のとおり、会計検査院は、昨年、平成年度決算検査報告において、各省庁等における評価制度の策定の状況評価の手法等、制度の導入状況を調査し、その結果を掲記いたしました。  内閣から独立した専門の検査機関として、会計検査院は、今後とも各省庁等における評価制度の実施、運用状況等を把握するとともに、各省庁等における評価方法を視野に入れて、専門的知識と現場主義に基づいた事実に基づく検査により、事務事業評価を志向した検査に努めていきたいというふうに考えております。
  44. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  次に、先ほど鹿熊理事の方からの御質疑でも取り上げられましたが、調査官の検査活動のあり方が問題になっております。調査の結果のよしあしにはかかわらないと思われますが、報道されるということは決して好ましいことではないというふうに思っております。今後の検査の適正なあり方に指導を徹底していくことが重要とお考えになっておられます、先ほどのお言葉をお聞きいたしましたが、このような報道により他の調査官の検査活動が後退するというようなことがあってはならないというふうに思います。検査の相手方への誤解を招くような検査活動をしないということをしっかり念頭に置くとともに、不適正な事実に対しては厳正な検査を行うということが重要と考えます。  この点に関しまして、金子院長の所見をお伺いいたします。
  45. 金子晃

    会計検査院長金子晃君) 議員御指摘の点を踏まえまして、なおその上で、本院は国の唯一の財政監督機関であるということで、従来から国民の信頼にこたえるべく検査を行ってまいりましたけれども、今回の事件について反省すべき点は十分反省しながらも、今後も引き続き厳正な検査を行ってまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  46. 南野知惠子

    南野知惠子君 どうぞその点、国民からも注目されておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、国のバランスシートの作成状況でございますが、現在、大蔵省におきましては、日本の正確な財政状態を客観的に把握するということを目的としてバランスシートの作成に取り組んでおられます。  日本財政状況は危機的な状況にあるということでございますが、このような危機的状況を回避するためには、正確な財政状況を把握することで実効性のある財政政策を行うためのツールとでもなるのでしょうか、バランスシートは大変重要なものであると思います。  今後、これを活用していかなければならないとも考えております。その意味では、できる限り早急にかつ正確なものを作成する必要があると思われますが、国のバランスシート作成の進捗状況は現在どのようになっているのでしょうか。新聞紙上では、今秋公表へというふうな見出しで取り上げられておりますが、その作成状況、公表の目途及び作成の際の問題点などに対して、大蔵大臣、お答えいただきたいと思います。
  47. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この問題は長く以前からそういう問題についての御指摘がございまして、正直を申して、私ども財政当局としては、やはり国の公的な会計というものは利潤を生むことを目的とする私企業、企業の会計とは基本的に違うということを、事実そうでございましょうが、理由に問題を取り上げることを戸惑っておった長い時間がございます。しかし、そうも言っていられない、こういうことになりますと、殊に財政の問題もあるしということで、実はしばらく前から本格的に取りかかりました。  しかし、もうおわかりのように、例えば、企業の財産、資産というものと国の河川であるとか道路であるとかいうものは、資産といってもどう評価するのか、処分することはできませんしといったような問題は依然踏まえたままで、それはそれとして私企業とは違うけれども、しかし似ている面を何とか取り上げてでもこの問題についての試算をすべきではないかということで、かなり作業は煮詰まってまいりました。  したがいまして、公表のことはそういう本来的にある問題についての御指摘はもう覚悟の上で、この秋ごろにはひとつ試作品をお目にかけたい、その上でまた御指摘があって少しずつでも改善されればいろんなことの御審議なりあるいは御検討の上にお役に立てられるのではないかと、こう考えております。  したがいまして、問題としては従来から取り上げられている問題ではあるけれども、それを知っての上で、秋ごろと存じますが、試作品をお目にかけたいと、こんなスケジュールでございます。
  48. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  宮澤大蔵大臣でなければできない大きな難題の課題であろうかと思いますが、ぜひ秋ごろの試作品を楽しみにいたしておりますので、よろしくお願いいたします。  次は、企業会計におきまして、企業集団全体の正確な財務状況を把握する観点から、二〇〇〇年三月決算期より親会社と子会社、関連会社を連結した連結財務諸表を作成するということになっておりますが、国の会計におきましてもできる限り正確な国全体の財政状況を把握するために一般会計、特別会計、各省庁の特殊法人すべてを連結した財務諸表の作成について検討を行うべきではないでしょうか。  先ほどの御答弁にありました大変難しいということもありますが、国のバランスシートについて公表内容を検討しておられるということも存じておりますが、今後、連結財務諸表の作成に対する大蔵大臣の御所見を再度いただきたいと思っております。
  49. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) このことは実はさらに問題がややこしゅうございまして、もう申し上げるまでもない、先ほど国は貸借対照表を今試作していると、試案を考えていると申し上げましたけれども、その場合には、いわゆる国の公的な会計でございますので、特殊法人などの会計は企業会計でございますものですから、その基本的な原則が違っております。違っておることを比較することはもちろん容易でございますけれども、それを連結するということになりますとこれはクローニングよりももっとややこしい話になりまして、どういうふうに連結できるかということは十分わかっておりません。  しかし、それもきっとやがては、そうはいっても、一緒にすることはできないが、何か比較するというようなことはまた将来、問題に役立つかもしれないとは思っておりますけれども、連結することについてはどうもそういう問題があるように存じます。
  50. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございます。  大蔵大臣はお金のマジックをいろいろと見せていただいているように思いますが、この難しい連結もそのマジックのとおり成功するものだと思っております。  次は、津島先生、よろしくお願いしたいんですが、このたび厚生大臣として再度御就任おめでとうございます。厚生行政の問題、課題というのは大変難問山積しており、余人をもってかえがたい津島大臣の御登壇と、これまた心うれしく思っております。  少子高齢社会の今日、人々が支え合う家族のきずなを持って、心身の健康、安心、安全な暮らし、それを目指しながら、さらに医療、看護等々の医療行政を安定した姿で二十一世紀の扉を開いていきたいと思っている一人でございます。  本日は、介護保険制度に関しまして、実施後の課題などにつき、お伺いしたいと思っております。  国民の願いを込めてスタートした我が国の介護保険制度は、高齢者と痴呆の方々、御病気を持っておられる方々を対象としている点では他の国から高い評価を得ているところでございます。この保険制度は、人口の高齢化、家族介護の中心となっている女性の介護問題、また老人福祉制度と老人保健制度の対応の限界などを背景として策定されたわけでございますが、本年四月のスタートは、六十五歳以上の一号保険者の保険料を六カ月猶予し、さらに十月から保険料をも二分の一にするなどの施策がなされております。  スタートしましたときには、制度導入がうまくいかないとか、あるいは混乱しているというような報道もなされておりましたが、既に実施後五カ月を経てこの制度がうまく機能しているのか、どのようになっているのか。また、十月から今までの保険料を猶予されていた一号被保険者の保険料徴収も始まるわけでございます。そういう意味では第二段階に入ろうとしているのかなと思いますが、それをうまく軌道に乗せなければならないと思っております。  制度導入に携わった一人として大変気になる課題でございますが、津島厚生大臣現状と今後の所見をお伺いしたいと思います。
  51. 津島雄二

    国務大臣(津島雄二君) まず最初に、専門家として日ごろ厚生行政に大変御協力をいただいております南野委員に心からの敬意を表したいと思います。  御指摘のとおり、介護保険制度、国民的な議論の上で四月から実施をされたわけでございますが、何と申しましても全く新しい制度でございますから、私どもも非常に緊張しながら、また何とかこれをうまく国民に支持、理解をされる制度に育てていきたいという願いを込めてこれまで四カ月ほどやってまいりました。幸い、サービスの現場や市町村を初めとする方々も大変努力をしていただきまして、全体として見ればおおむね順調に実施されているなと考えております。  そのためにいろいろ世論調査などもやっておりますけれども、何をおいてもサービスの利用者はやっぱりどの調査を見てもふえておりますし、それから今度は利用者の方は過半数の方がサービスの提供量がふえたと、こういうふうに見ていただいておることをうれしく思っておるわけであります。しかし、委員指摘のとおり、いよいよ十月から高齢者の方々を含めて保険料を徴収するわけでありますから、そういう時期になって初めてこの制度の成否が問われることになろうと思います。  介護保険は、申すまでもなく現役世代に支えてもらいながら高齢者の方々もみずから助け合うというシステムでありますから、そういう制度の趣旨を正しく理解していただいた上、やっぱり導入してよかったと言っていただけるように、私どもは虚心坦懐にあらゆる御要望や御批判に謙虚に耳を傾けながらこれからも最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
  52. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  法律をつくったのは我々でありますし、我々もそれを協力していいものに育て上げるのが国民の方々との共同作業ではないかなと、そのように思っております。  介護保険制度につきましては、行政監察や総理の私的諮問機関であります社会保障構造の在り方について考える有識者会議などで議論がされているようでございます。よりよい制度をつくるために厚生省を初めとする政府の努力を期待したいと思いますが、少し気にかかっておりますことは、利用がいま一つ伸びていないとか、これはケアマネジャーの対応や介護の質がよくないことが影響しているのではないかなどとも仄聞することがございます。  この点につきまして、厚生省当局の対処ないしはお考えをお尋ねしたいと思います。
  53. 津島雄二

    国務大臣(津島雄二君) 御指摘のとおり、これまでの実施状態、またそれに対する御意見の中で幾つかの問題点が浮上してきております。  それを簡潔に挙げてみますと、第一に、介護支援専門官、つまり介護認定をいたす一番大事な方々、ケアマネジャーとも言われておりますが、この方々が現場で期待されるような役割が十分果たせているのか。特に、制度発足間もないわけでありまして、非常に多忙でおられたことは間違いない。こういう方々が、これから制度が定着されますとともに、十分期待される役割を果たせるように、支援会議を設置するとか、それから各地方団体においても十分バックアップをしていただくように我々も努力をしてまいりたいと思います。  二番目に、委員が御指摘になりましたように、介護の質、中身の話がございます。それで、特によく指摘されておりますのは、訪問通所サービスと、それからいわゆるショートステイと言われる短期入所サービス、これをもう少し利用しやすいように組み合わせができるようにしてもらいたいということでございまして、この点は確かに当初の制度に改善の余地がございますので、今改善のための準備検討を進めているところでございます。  それから、三つ目に言われておりますのは、いわゆる家事援助の話でございまして、これは今でも党内外で議論が行われているところでございますけれども、訪問介護の中で一番大事な身体介護を中心にする場合と、それからケースによっては家事援助が中心になる場合、それから両方の組み合わせと、いろいろございますけれども、その中に必ずしも適正でないという事例があるという御指摘もございまして、これもしっかりとその実態を見きわめながら対応していかなければならないと思っております。  それから、もう一つは、痴呆の方の介護認定がどうも実態に沿わないんじゃないかという御指摘もございまして、これも工夫が要るところであろうと思います。  いずれにいたしましても、制度がだんだんと普及、浸透してまいりまして、そして介護サービスの利用者数や提供量がふえていって、これによって充実した介護保険制度が実施できるように私どもも努力をしてまいりたいと思います。
  54. 南野知惠子

    南野知惠子君 ありがとうございました。  実行する側も利用する側もぼちぼちと、だんだんとといいますか、熟していきながら、いい法律であったと思っていただけるようなものに我々つくり上げ、歩いていきたいというふうに思っております。ありがとうございました。  次は、日本道路公団のことに関してでございますが、高速道路事業についてお伺いいたします。  平成十一年四月、日本道路公団に関する調査結果報告書が総務庁から出されました。日本道路公団は、有料道路を建設、管理する公団として高速道路事業、一般有料道路事業を行っておりますが、特に高速道路事業につきまして近年収支の悪い路線の建設が目立っているというふうに言われておりますが、今後の道路公団の財政状況の悪化を回避するためには、適正な交通量の見通しに基づいた正確な収支見通しを踏まえた適切な建設を行う必要があるのではないでしょうか。  その点に関しまして理事の見解をお伺いいたします。
  55. 辻靖三

    参考人(辻靖三君) 先生今申し上げられたように、先日、総務庁から勧告が建設省に出されまして、道路公団も受け取ってございます。  高速道路の全体の採算状況でございますが、特に道路公団の中では高速道路が非常に大きなウエートを占めているところでございます。  高速道路の全体の採算状況について御説明申し上げますと、現在の決算報告は十年度になってございますが、十一年度決算は近々取りまとめまして建設省に報告して公表することになりますが、十年度決算で申し上げますと、営業中道路に係ります収入は一兆八千三百九十二億円でございまして、管理費三千七百七十二億円と金利七千四十六億円の合計額であります費用は一兆八百十八億円でした。収入と費用の比率であります収支率で見ますと五九%で、収支差の七千五百七十四億円は償還準備金として借入金の返済に充当してございます。  これまでの高速道路の償還の累計で見ますと、営業中の高速道路の資産総額は二十六兆二千五百八十五億円に対しまして、償還準備金は七兆五千六百九十四億円となっております。道路資産総額と償還準備金の比率であります償還率は、平成年度は二七%でございましたが、平成年度では二九%となってございまして、採算状況としては順調に進んでいるところでございます。  十一年度決算も、現在、見通しでは、申し上げました収支率五九%もより一層改善される見通しでございますし、償還率も二九%がさらに進む見通しとなってございます。  このように、現在のところ、高速道路全体としては償還は順調に進んでいると考えてございますが、しかし、これから全体の長期にわたる見通しでございますが、現在整備計画が出されております全区間九千三百四十二キロの将来の採算の見通しにつきましては、利用者の負担の軽減を図るための政府出資金、利子補給金を前提としまして、業務執行の効率化、また建設費、管理費の節減を図りつつ、現行料金水準のもとで採算性が確保できる見通しとなってございます。  しかし、この償還計画は非常に長期にわたるものでございますので、常に最新の経済状況やお客様の利用動向等を踏まえて採算性を常にチェックしていくことが重要であると考えてございます。全体ももちろんそうでございますけれども、委員申される個々のいろいろな路線についてもそれぞれチェックをしていくことも大事であると考えてございます。  今後とも償還の達成状況を確認しつつ業務執行の効率化などの経営合理化に努めまして、採算を確保して着実な高速道路の建設と管理に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  56. 南野知惠子

    南野知惠子君 ぜひ採算性が合うように御努力をお願いしたいと思うところでございます。  次に、扇大臣は女性初の建設大臣として御就任以来約二カ月の間、建設省そして公共事業がさまざまな形で国民の注目を浴び、また省庁再編成を目前に控えたこの激動の時期に貴重なまた的確にこの役割を果たしておられる、その御活躍は際立っているなと思っております。  特に御就任当初、国民日本に暮らしていてよかったと心から思えるような夢のある二十一世紀をつくり上げるためにしっかりとした道筋をつけることが大臣の役目と述べられました。スピーディーな政策決定、徹底した情報公開など、常に国民の視点に立っておられるというふうに思っております。さらに、高度情報化に対応した光ファイバーネットワークを家庭にまでつなぎ二十一世紀の豊かな住まいを実現しようとおっしゃったことは、新鮮な提案として心に響くものでございます。  一問お伺いしたいと思いますが、一部新聞の報道などによりますと、全国の高速道路計画のうち整備見通しの立っていない約千二百六十八キロメートルにつきまして、一般道路同様、国と都道府県が税金により建設費を負担する方針を固めたと報じられております。現行の高速料金プール制のもとでは今後の高速道路整備を進めるのには限界があるという考えに基づき税金による建設費負担を検討されたことと思いますけれども、受益者負担の原則の観点からすれば議論の余地があるのではないかなと新聞紙上でも見聞いたしております。  税金による建設費負担に関しまして、大臣の御所見があればお伺いしたいと思います。
  57. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 同じ国会議員として御活躍の南野先生に私もあやかりたいと思っておりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。  少なくとも今、南野先生から御質問がございましたように、高規格幹線道路一万四千キロメートル、昭和六十二年でございますけれども、策定されました第四次の全国総合開発計画において位置づけられたものでございますけれども、その中でも、先ほども道路公団からお話ございましたように、骨格を占めるものというのは、高速道路の国道一万一千五百二十キロメートルにつきましては段階的な料金の改定等を念頭に置きながら全国の料金のプール制ということによって整備を計画しておりました。ところが、その後の建設コストの増大、それから料金が、今の社会状況等々かんがみまして料金を値上げすることができないということによって、今後の計画どおりに高速自動車国道として整備することが困難になったということは先生も今おっしゃったとおりでございますし、現状を認識していただいております。  ところで、ちょっと簡単にごらんいただければ一番わかると思うんですけれども、こういう簡単なポンチ絵を持ってまいりまして、これが一番よくわかると思うんですけれども、要するにこれからは、これ一般国道でございますけれども、並行しているところに高速道路を計画しようということを、もともと原型があるわけでございます。(資料を示す)けれども、それが遅々として進まないということでございますので、その並行します一般道路とこれからしますこの高速道路、これを一部代替させる手法、これを導入した方が早いのではないか、そしてまたより便利になるのではないか、そういうふうに思いまして、この手法では、高速道路予定地、ここが高速道路、トンネル通っておりますけれども、それと並行しておりますこの一般国道、これをつなぎまして、これを公費でやっていこう、そしてやがて高速道路ができたときにはこれを高速道路に移行しようということで、高速道路計画と一般道とが並行しておりますところに関しましては、今、南野先生が御指摘のような国費でやっていこうではないか。国の直轄事業としてこれを整備する。そういうことにしますと、より早くより便利に、そしてよりコストが、国費ということでございますので事業の進捗が早まるのではないかということでこれを併用させていただいて、これが、正式の高速道路ができるまでは一般国道と並行して、それを国費ですればより住民の皆さん方に貢献できるのではないか。  そういう考え方でこれを今申し上げたところでございますので、このような手法にいたしますと、これからの高速道路としての整備、それから管理の一貫性を確保することが困難になるということも言われておりますので、一般国道としては国の高速自動車道の整備にかえて高速自動車道を国道として、そして国の直轄事業整備することとして、これは、大蔵大臣がいらっしゃいますけれども、平成十三年度の概算要求としてこの工事を盛り込ませていただいたということでございます。  そういうことでございますので、この新たな整備手法を使用することによりまして高速道路とのネットワーク、それが早期に整備が可能になるということで、今後これを随時採用していって、国民の皆さんが、より早く、よりスピーディーに、経済効果も上げて、喜んでいただけることの一助にしていきたいという、その手法を御説明させていただきました。
  58. 南野知惠子

    南野知惠子君 図示いただきまして大変わかりやすかったと思いますし、今後また解決すべき課題もいっぱいあろうかと思いますが、国民の期待にこたえられる建設行政、先生の手でぜひ推進していただきたいとお願い申し上げます。  次は、平成十二年八月八日、総務庁から高速道路に関する行政監察結果に基づく勧告が出されました。これによりますと、現在、アクアラインの交通量は低迷しております。それを受けて、先日、アクアラインの通行料金の値下げが行われました。平成年度について見ますと、実績交通量が一日九千九百九十六台であるのに対し、償還計画上の収入額の基礎となる計画交通量は一日二万八千七百二台と、実績交通量は計画交通量の三四・八%と著しく下回っているところでございます。大きく計画交通量を下回っている要因につきまして、道路公団においてはどのように分析しておられるのでしょうか。  また、このように見通しが不十分なまま建設に至ったアクアラインの今後の採算確保に向けた具体的な取り組みについて、再度、理事にお伺いしたいと思います。
  59. 辻靖三

    参考人(辻靖三君) 御指摘いただきましたように、東京湾アクアラインの交通量は供用前の計画に比べて利用実績低迷しております。  この低迷要因の主なものを私ども検討しておりますが、一つにはいろいろ景気低迷の非常に大きな全体の経済低迷要因一つ大きくございます。それで、首都圏におきましても前年度比交通量需要の減という事態も生じたところでございます。このような関係一つ大きなものであったと思ってございます。  それからもう一つは、アクアラインの料金がやはり割高感があったということもこの利用の低迷要因の主なものの一つであると考えてございます。
  60. 南野知惠子

    南野知惠子君 なるべくいい方向で展開しますようにお願いいたしたいと思っております。  次は、警察改革の行方、または警察刷新会議の提言についてお伺いしたいと思います。  今もなお警察の不祥事が続発しております。悲しい限り新聞に報道されておりますが、当委員会の平成八、九年度決算委員会におきまして、神奈川県警を初めとする一連の警察不祥事に対する警告決議がなされました。その後、新潟県警の不祥事を受けて設置されました警察刷新会議での多くの議論を得て、七月十三日に警察刷新に関する緊急提言として国家公安委員会に提出されました。  イギリスやアメリカでは、捜査の民主化、公正化の観点から、外部の識者を中心とした外部監察組織を設けるなどのさまざまな警察改革が行われておりますが、これ以上の不祥事を防止する意味でも、諸外国の警察改革、今回の提言を受けて、今後具体的にどのような方向で実効性ある警察改革を進めていく方針にしておられるのか、特に外部監察についてどのようにお考えなのか、警察庁にお伺いいたします。
  61. 石川重明

    政府参考人(石川重明君) お答え申し上げます。  ただいまお話しのように、国家公安委員会と警察庁におきましては、警察刷新会議から先般いただきました警察刷新に関する緊急提言というものを重く受けとめまして、国民の信頼を回復するための方途につきましてさまざまな検討を行ってきたわけでございますが、このたび警察が当面取り組むべき改革施策を警察改革要綱として取りまとめたところでございます。  この要綱は、警察行政の透明性の確保と自浄機能の強化、国民のための警察の確立、新たな時代の要請にこたえる警察の構築、警察活動を支える人的基盤の強化といった四本の柱建てになってございまして、これから警察が取り組むべき施策の全体像を明らかにしたものでございます。そういう性格のものでございます。  この要綱に盛り込まれました具体的な施策の中には法令の改正を要するもの、あるいは予算措置を必要とするもの、あるいは組織改正を必要とするもの、あるいは既存の制度の運用の改善を必要とするものと、もろもろのものがございます。  この中におきまして、警察法の改正案につきましては警察刷新会議からも提言をされておるわけでございますけれども、公安委員会の監察点検機能がさらに実効的に機能する仕組み、あるいは警察職員の職務執行に関しまして苦情の申し出制度等を設けることが適当であろうというふうに警察庁としてもあるいは国家公安委員会といたしましても考えているところでございまして、速やかに改正案を取りまとめるように今現在取り組んでいるところでございます。  また、例えば警察職員の教育の充実といったような観点で予算措置を必要とする事項につきましては、平成十三年度の警察庁予算概算要求に可能な限り盛り込みたいということで作業をしているところでございます。  このほか、第一線における運用の改善を要する事項につきましては、都道府県警察の意見も十分に聞きながら指導してまいりたいというふうに考えております。  また、今お尋ねのいわゆる外部監察の点についてでございますが、これにつきましても刷新会議でも御議論がございました。  緊急提言におきましては、警察の組織や業務に精通している者が当たらなければ実効ある監察とはなり得ないこと、職員の不祥事の調査は捜査活動と密接に関連する場合も少なくないことから、警察以外の組織に行わせることは必ずしも適当ではないこと、それから厳正な処分を行い、業務運営上の問題点の解決を図るためには監察と人事の緊密な連携が不可欠であること、また個別的、具体的な監察指示権の付与といったようなことによりまして、公安委員会が第三者機関的に監察点検機能を十分に果たし得ることといったような観点から、この刷新会議の提言におきましては、いわゆる外部監察は必要はないというふうにされたところでございまして、私どもといたしましても、その結論は妥当であるというふうに考えているところでございます。  いずれにいたしましても、この改革要綱の実現を初めといたします警察改革に全力を尽くすということが必要でございまして、この警察改革の意義、背景、内容等につきまして、第一線の個々の職員に至るまで十分に理解を浸透させまして、意識改革の上に立ってこの改革の実効性を上げていかなければならない、このように考えているところでございます。
  62. 南野知惠子

    南野知惠子君 いろいろな仕事におきましては、いろいろな職場の専門性につきまして、他者から見られることにより、その職場を尊敬し、そして職場が専門性をなお深く進行していくことによって安心、安全というものをそれぞれの領域において展開されるものだというふうに思っております。今のお言葉を拝聴いたしましたが、さらにこれらの問題がいい方向に改善するようにぜひとも御努力いただき、国民の目に見えるような形でのあり方というものをお示しいただきたいというふうに思っております。  次は、少年犯罪の凶悪化、低年齢化の現状についてでございます。  ここ数年、凶悪な少年犯罪が目立っております。ゲーム感覚とでも言うのでしょうか、倫理の欠如、生命の軽視、社会規範の欠如などによると言われておりますこれらの行為が未来ある子供たちより発生しているということは大変心苦しい限りでございます。  具体的な事例としましては、もう既に御承知のことだと思いますが、小学生による殺人事件、バスジャック事件、一家殺害事件、バットによる殴打事件、さまざまな事件が挙げられますが、こうした少年犯罪が凶悪化、低年齢化し、激増している現状及びその原因についていかがお考えでしょうか。青少年の健全育成に情熱を傾けておられる大島文部大臣及び文部行政に詳しく法律の専門家である保岡法務大臣にお伺いいたします。
  63. 大島理森

    国務大臣(大島理森君) 実は昨日、小学校、中学校、高校の現場の先生方と約二時間半お話ししました。そして、特に生徒指導の先生方とお話をしました。私どもは今、総理のもとでの私的諮問機関でございます国民会議、あるいはまた文部省のそれぞれの立場でいろいろやっておりますが、そこでは知り得ない生々しいお話をたくさんちょうだいしました。  私はそこで二つのことを感じました。  一つは、南野先生もまさに看護学校の先生もおやりになられ、子供たちの成長に従って、子供たちにさまざまな問題が起こっている。その変化に対して肉体的、精神的に、大人社会の我々が家庭でも地域でも学校でも、しかとその変化に対応して受けとめてやるという、そういう姿勢が本当に必要だ。子供を単なる客観的に対象と見るだけではなくて、そういう成長とともにいろんな自我が出てきたり、体の変化があったりしていく。その子供たちの思いが大人に伝わらないというところに、いわゆる切れるとか、あるいはまた自分たちの思いが逆に閉じこもったりしておかしくなっている。それが一点でございます。  第二点は、子供たちの仲間づくりのネットワークづくりが、多様性がなくなっているということをよく聞かされました。  それは、携帯電話とかそういうものがあるものでございますから、極端に言いますと、中学校時代の仲間がそのままずっと続くんだそうでございます。クラスがえしても、新しい仲間づくりがどうもうまくいかない。そこのところに孤の世界が広がっておるという気がいたしました。  そこで私たちは、まずこれは、学校の現場、それから地域、それから家庭というものが一体となってそういう事実をしっかり受けとめなければならない。そういう中でやはり、今、先生お話しされたように、まず文部省としては、体験学習を中心として、そして子供たちが社会性をより一層身につける。そういう中には奉仕活動もございます。子供たちに、自分以外の社会というものがあって自分があるということを、本当に体験として教えるということが一つ大事だろう。  家庭においては、いいこと、悪いことをしっかり教え込むということが大事であろう。この家庭の教育力の低下というものにどのように対応していったらいいか。文部省として家庭の中まで入るということは大変勇気の要ることでございますが、しかし、両親に対して、やはりそこはしっかりしてもらわなきゃならぬ。それからコミュニティーとしての社会がそういうものにしていかなきゃならぬ。  そういうこと等々を政策の中で、例えば子供の地域活動づくりのための概算要求でございますとか、学校においてのカウンセラーの増員でございますとか、あるいはまたその態様によって先生をふやして一対一でお話をさせるとか、そしてそういうことを総合的に私どもは、社会性を身につける、つまり生きる力を身につけるために本当に今真剣に取り組まなけりゃならぬ、こういう思いで頑張ってまいりたいと思っております。
  64. 保岡興治

    国務大臣(保岡興治君) 南野先生決算委員会の意義について冒頭にお触れになりました御見解とか、日ごろ青少年の教育の問題に一生懸命頑張って、元気印で一生懸命努力されていることに日ごろ本当に敬意を表させていただいております。  今お尋ねの少年犯罪の現状でございますけれども、少年刑法犯の全体の検挙人員なんですが、これは昭和五十八年の三十一万七千人以降は次第に減少しておったんですが、平成七年を境に増加の傾向に転じておりまして、数字でいいますと、平成十年には二十二万一千人となっております。また、凶悪犯というものも、強盗を中心にして平成七年を境に増加の傾向に転ずるということになっております。低年齢化については、少し長いスパンで見ると年齢層別人口比でふえたり減ったり、こういう伸び縮みがあるんですが、最近四年ほどは少し低年齢化の傾向があらわれているような時期に差しかかっているように見えます。  いずれにしても、最近は世間の耳目を集めたり驚愕させたりするような、そういった重大、凶悪な事件が相次いでいるということは事実でありまして、非常に憂慮すべき事態であると考えております。  このような少年による犯罪情勢の悪化の原因についてお尋ねでございましたが、これは先ほど大島文部大臣からもお話があったとおり、家庭とか学校とか社会環境とか、あるいはいろいろ社会の変化、こういった多くの要因が複雑に絡み合っていて、関連し合ってあるように思います。  また、個々の事犯についても、それぞれケースによっていろんな特色が見られて一概に原因を明確にするということはなかなか難しいわけですけれども、一般的に言えば、最近の少年犯罪の特色というんでしょうか、少年の特色は、規範意識が著しく低下している、悪いことをやっても処罰されないというようなことをあからさまに言う者もいるというような状況で、また対人関係が非常に希薄で、先ほど文部大臣お話にもありましたが、個に閉じこもるというんですか、そういう他人との関係の希薄性というのが顕著でございます。  それから、切れるというお話もございましたが、抑制力が不足している、あるいは短絡的な行動の傾向が非常にはっきりしていて、どうしてそんなことをやったんだろうと、余りにも簡単なことで重大な、特に人をあやめるような事件が起こっていることを非常に重大視しているところでございます。  そういうふうに、私も個人的に言えば、そういう中からやはり文部大臣が言われましたとおり、個と公の関係ということを日本は戦後もう少し重視して、人間はどちらかというと個人中心になりがちな本性を持っているわけですから、他との関係において深い意味のあるそれをいろんな角度から教育で教える、そういったことが規範意識のしっかりした社会の免疫力、抑止力、抑制力につながっていくんではないだろうか。そういう点は将来の日本を考えると非常に重要なテーマで、憲法のあり方あるいは教育基本法のあり方が議論されていますが、そういう国の向かうべきところに本当に重要な要素として、我々がよく国政にあって対応をきちっとしていかなければならないんではないだろうかと思っております。  それと、もう一つは命の大切さ、このことについて、やはり取り返しのつかない結果であるということを子供たちにどうやって教えるかということが非常に重要なテーマではないかと思っております。
  65. 南野知惠子

    南野知惠子君 両大臣、ありがとうございました。我々もいろいろと考えていかなければならないと思いますが、保岡法務大臣にもう一問だけお願いしたいと思います。  最後に、先ほどの質問と関連いたしますが、少年法改正問題についてでございます。  少年法第二十条によれば、刑事処分対象年齢は十六歳とされておりますが、加害者少年の中には犯罪を犯しても死刑にならないという意識を持ちながら犯罪行為に至っているケースも少なくないというふうに言われております。  少年犯罪の凶悪化、低年齢化を防止し、少年の健全な育成を図るためには、刑罰を科されることもあるという法的規範を示しながら、年少者にあっても自己の行為に対する責任を自覚させる必要があるのではないかと思います。  そこで、刑事処分対象年齢の引き下げを含めた少年法改正についてどのようにお考えなのか、一言お聞かせいただきたいと思います。
  66. 保岡興治

    国務大臣(保岡興治君) 先生も御案内のとおり、少年法の改正については前国会で提出をさせていただいたんですが、遺憾ながら解散等の状況の中で廃案になりまして、この法案が目的としておりました内容は、簡単に申し上げれば、事実認定の手続の一層の適正化を図るということと、被害者に対する配慮を実現することが非常に重要だということを内容とするもので、この必要性については今でもますます高まっていると考えております。  それから、今、先生が御指摘の、刑事処分可能年齢の十六歳を十四歳までに引き下げるべきであるという御意見があることは承知しております。そして、今度我々も、選挙中に多くの方々から、少年の規範意識をどうやって高めるかということについて、少年法の持つ意味、意義というものを十分踏まえて、新しい国会では少年法のいい見直しを考えてほしいという強い御意見があったのも事実でありまして、この問題は非常に刑事司法全般について少年をいかに取り扱うべきかという根幹にかかわることでございますが、ただ、おっしゃるように、先ほど起こった十五歳の少年による大分における一家六人の殺傷事件というものなどを見ますと、やはり十六歳で刑事処分年齢を形式的に区切っていいのかどうかということについては十分検討して、今度の臨時国会において、与党でも今、一生懸命協議をしていただいているようですが、各界各方面の御意見をよく聞いて、そういった的確な少年法の改正に努めていかなければならないと存じておるところでございます。
  67. 南野知惠子

    南野知惠子君 本当に大変難しい課題でございます。よろしくお願いしたいと思います。  犯罪被害者の権利擁護または少年審判手続の見直し、それらは法務省として検討すべき課題が多いんだろう、大変難しい課題だろうというふうに思いますが、今後ともさらなる御検討をいただき、御期待申し上げながら、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  68. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 保守党の月原です。  問題は、北朝鮮に対する米の支援に焦点を絞って質問をしたいと思います。  まずお尋ねしますが、我が国の対北朝鮮人道支援のうち米支援について、実施年月日、実施規模、内容について御説明願いたいと思います。
  69. 荒木清寛

    政務次官(荒木清寛君) お答えをいたします。  我が国の対北朝鮮米支援につきましては、九五年六月、無償十五万トン及び延べ払い輸出十五万トンの計三十万トン、同年十月に延べ払い輸出二十万トンの支援を実施しましたほか、九七年十月及び本年三月には世界食糧計画、WFPを通じ、それぞれ六・七万トン及び十万トンの政府米を支援いたしました。  なお、九六年六月にはWFPに対し五百二十五万ドルを拠出し、それによりWFPは約一・五万トンの食糧を調達し、北朝鮮に支援を行いました。  以上でございます。
  70. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこでお尋ねいたしますが、直接支援五十万トンの内訳は、今のお話にもあったと思いますが、無償十五万トン、延べ払い三十五万トンと、こういうふうになるわけでありますが、延べ払いの契約当事者と、その返済条件について御説明願いたいと思います。
  71. 高木賢

    政府参考人高木賢君) 北朝鮮に対する米支援の当事者ということでございますが、我が国が北朝鮮と国交がないということから、北朝鮮が国交のない西側諸国との間の貿易の窓口としております北朝鮮国際貿易促進委員会、これが相手でございます。  それから、契約の条件でございますが、十年据え置き、その後二十年で償還をするということで、利息の利率は据置期間中が二%、償還期間中が三%、元本は均等年賦で返済。それから、支払い通貨は円建てということでございます。
  72. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこで、現在、支払い状況はどのようになっておるか、御説明願いたいと思います。
  73. 高木賢

    政府参考人高木賢君) 現在の支払い状況でございますが、最初の十年間は利息のみの支払いということでございますが、一年目に当たります平成八年につきましては、平成七年に六月三十日付で契約した分につきましては履行されております。三千七百万余でございます。それから、もう一つの十月三日付の契約分につきましては、同じく平成八年の第一年目の支払い分が四千五百万余を支払われておりますが、一部の千五百円が未納付となっております。  それから、平成九年以降は二つの契約分とも支払いがなされていないという状況にございます。
  74. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこで、その支払いがされていないということを放てきしているわけではないと思いますが、どのようなことをだれに対して行っているのか、御説明願いたいと思います。
  75. 高木賢

    政府参考人高木賢君) 未納分につきましては、北朝鮮国際貿易促進委員会あて、具体的に担当の書記さんにこちらの食糧庁の歳入徴収官、総務部長の名前で現在まで四十一回にわたり督促状を送付しております。
  76. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 その督促状に対する返答というものか、あるいはそのほか誠意、このような事情によるというような説明でもありますか。
  77. 高木賢

    政府参考人高木賢君) これまでのところ、特にございません。
  78. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 同時に無償援助というようなものもしておる関係で、向こうはそのぐらいのつもりでおるのかもわかりません。しかし、これは外務省はタッチできなかったわけでありますが、やはり食糧庁という我が国の国家のものとしてちゃんとした契約をしている以上は、ちゃんと督促されていることは大変立派な態度だと思いますが、向こうの返答がないということに対しては、どのようにこれからさらに、ただ紙を送るだけだということではいけないんであって、どのように対処しようとしているかということを腹を決めておかぬといかぬと私は思いますが、いかがですか。
  79. 高木賢

    政府参考人高木賢君) そこで、先般行われました八月二十一日から八月二十四日までの例の日朝国交正常化交渉、その会議の席上におきましても、外務省さんの御理解と御協力を得て、その会談上、債務の支払いについて督促発言をしていただいております。
  80. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 ちゃんとした手を打たれておるというので安心いたしましたが、外務省もこういう状況を頭に入れて対交渉をやっていただきたい。これは国民関心を持っておることだけに、向こうの誠意度がどのようにあらわれていくかということはその他もろもろについてのシンボルである、私はこのように思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  さて次に、WFPの緊急食糧アピールに対して政府米で支援すると、こう決めておられるわけでありますが、これは我が国の政府米で支援するというようなことは、どのようなところで、どういうふうに決まったのかということをお尋ねしたいと思います。
  81. 高木賢

    政府参考人高木賢君) 先般の北朝鮮への米支援に当たりましては、外務省など関係省庁と連携、協議した上で決めております。  なぜ政府米を使ったかということでございますが、一つには、支援の緊急性ということからいたしますと、北朝鮮への輸送距離が短く、港頭在庫にも、倉庫にも相当程度の在庫があるという、効率的な引き渡しが可能であるということと、迅速性ということから政府米を使ったという面が一つございます。  それからもう一つは、現在、政府米は適正備蓄水準を超えた在庫を保有しておる、ゆとりがあるということが一つでございます。  それから、負担面につきましても、食糧管理特別会計の負担という部分もあるわけでございますが、あらかじめ想定している食糧支援の予算の範囲内で対応が可能であると、以上の理由からでございます。
  82. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 高度の政策的な判断で、今お話しのようにいろいろなところで決まったこと、それはそれといたしまして、私はさらにお尋ねしたいんですが、平成九年及び十二年のWFPに関係する政府米の支援について、外務省はいかばかり負担されたのかということ、まずそれをお尋ねしたいと思います。平成九年、平成十二年度にそれぞれ政府米を我が国が支援したわけでありますが、外務省負担分は幾らであるかという金額をお尋ねしたいと思います。
  83. 高木賢

    政府参考人高木賢君) 平成九年分が二千七百万ドル、これはドル建てでございまして、日本円に直すと約三十三億円ということになろうかと思います。それから、平成十二年度分が約三十八億円ということでございます。
  84. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 そこで、今、食糧庁の方からお話がありました点で、私は新聞等を見ておると、外務省が負担した金額のみが普通報道されているわけでありますが、高度の判断、高度というよりもいろんな判断によって政府米を輸出するということは、要するにそこに国際価格と政府米との差額が出てくるわけですね、当然のこととして。そうすると、食管の、今お話しの、支援する予定の金額だというふうに言われておりますが、我が国の国民の観点から立てば、北朝鮮の立場ではありませんよ、我が国の国民の立場から見れば、外務省の負担と言われている以外に我が国が食管で負担する部分が出てくると、こういうふうに思われるわけであります。  もちろん、その負担分については、純粋に国産米であるのか、あるいはガットの関係で我が国に入っている米の部分もあるでしょう。その割合とか、そのことについて私はお尋ねしません。しかし、この二つの点について、要するに、二つというか、平成年度と十二年度、今お話しの外務省負担分約三十三億ですか、日本円にすれば、そして十二年度は三十八億と、こう言われておりますが、そのほかに食糧庁として負担している、食管として負担しているプラス分があると。それは幾らに換算されるでしょうか。
  85. 高木賢

    政府参考人高木賢君) 食糧管理特別会計の負担分が、平成年度におきましては約六十五億円であります。また、平成十二年度におきましては約六十億円でございます。
  86. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 私の要望ですが、国民の観点から見れば、食糧支援ということが外務省のODAの特別枠であるか、そこのところを私はつまびらかではありませんが、少なくとも国民に知らされているときには、日本政府米として国産の米、要するに食糧庁から出ていく米というものを使うときには、それ以外に今食糧庁の方の説明負担があるということは私は国民にはっきり知らせておくべきだと、こういうふうに思うわけであります。その点、今後そういうふうなことを守っていただきたい、このことについてお答え願いたいと思います。
  87. 三浦一水

    政務次官(三浦一水君) 委員指摘のように、また食糧庁長官も御答弁申しましたように、食糧庁が政府米をWFP等に国際価格で売却するに当たりましては、今まで答弁いたしましたような売買差損が発生をするわけでございます。この点につきましては、これら北朝鮮に対します米支援について要した経費、これらのものにつきましては使用する米の種類あるいは産年、生産した年でございますけれども、さらに輸入の年度、国際相場等によって異なってまいります。  食管会計の負担につきましては、これまでも一定の条件下で試算した金額を明らかにしてきたとおりでございまして、先ほど来申しておりますが、九年度分につきましては六十五億円、さらに十二年度分につきましては食糧庁負担額が六十億円ということで一定の公開をしてきているところでございます。
  88. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 今、三浦政務次官からのお話、十分わかりました。  私がお願いしたいことは、そういうことを十分把握されて、そして高度の判断政府米を使っておるということ、それからそういうことを含めて食管というものを考えておるということは十分わかりましたが、国民の側から見たらそういう点が外務省の負担だけでできているんだなと、こういうふうに思っているだけに、私はその透明性というか、はっきりそのことを示すことが大切だと。  今、一部既に公表もされておるということでありますが、そこの点を国民に今後、支援する場合には外務省の金はこれだけですよ、しかし政府米を出す関係でこういうふうになりますよというようなことは明らかにしていただいた方がいいんではないかなと。とかく北朝鮮の問題については誤解を生じやすいだけに、はっきりしたことを示しておいていただきたいなと、こういうお願いであります。  そこで最後に、あらかじめちょっとお話し申し上げていなかった点ですが、米の調査団を出されたというのがマスコミに報道されておりましたが、これについて既に発表されておるのかと思いますが、派遣人員三名だったと、こう記憶しておりますが、調査対象の米はどういう米を対象にしておったのか、そしてその結果はどういうふうな感触を得て帰ってきたのか、このことをお尋ねしたいと思います。
  89. 荒木清寛

    政務次官(荒木清寛君) 先般、八日から十二日までの間、外務省アジア局参事官を団長とする三名の政府調査団が訪朝いたしまして、我が国による対北朝鮮食糧支援に関する調査を実施いたしました。  今回の調査の対象は、我が国が本年三月に決定したWFPを通じた十万トンの食糧支援の実施状況についての調査でございます。平壌市を起点に南浦市、平安北道、平安南道、黄海北道を訪問いたしました。調査対象は、我が国の支援米が届けられる各地の穀物保管倉庫、食糧配給所に加え、幼稚園、託児所、孤児院等の最終配給先といたしました。  制約のある三日間の調査でありましたが、調査した限りでは北朝鮮の配給システムはよく機能しており、少なくとも今回の調査対象においては日本の支援米の配給が所期の目的どおり行われていることを確認いたしました。なお、訪問先の幾つかについては、到着後、現地で視察場所の変更を申し入れる等、できる限り今次調査の質の向上を図りました。  また、WFP側よりは日本の支援米の配布につき百九十七回のモニタリングを実施してきており、一定の制約下でのサンプリングではありますが、WFPとしては、移送に伴う一%程度のロスはありますが、米が末端まで届いていると確信をしているという説明がございました。  なお、今回の日本による米支援につきましては、WFP、北朝鮮側責任者、各地の末端の最終受益者は北朝鮮の食糧不足の最も厳しい時期に差し伸べられた支援として高く評価をし、繰り返し感謝の言葉を述べておったということでございます。  以上でございます。
  90. 月原茂皓

    ○月原茂皓君 よくわかりました。  これは人道支援として行っているだけに、外務省がそういうふうな手を打って国民の方に、本当に人道支援として使われているんだと、他国を信用しないわけではありませんが、とかくいろいろおもしろおかしく言われているだけに、そういう点をはっきりさせていただいたことはいいことだと思いますが、今後も適時そういうふうに国民の人道支援であるということを国民が本当に理解できるような努力もしていただきたいと思います。  以上をもちまして私の質問を終わります。
  91. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ─────・─────    午後一時二十二分開会
  92. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、郡司彰君が委員辞任され、その補欠として円より子君が選任されました。     ─────────────
  93. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 休憩前に引き続き、平成年度決算外二件を議題とし、全般的質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 菅川健二

    ○菅川健二君 民主党の菅川健二でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  建設大臣が予定がおありのようでございますので、まず建設大臣からお聞きいたしたいと思います。  扇大臣には、かつて私と同じ党の幹部でいらっしゃいまして、御就任以来、大変その言動につきまして注目させていただいておるわけでございます。当初、何か戸惑いもあったようにお見受けするわけでございますが、今や大変手ごわい大臣だということで、一般の評価も変わってきておるようでございます。多分、森総理が原稿ばかり読まれておられるという状況に対しまして、扇大臣は御自分の言葉で、また御自分の意思をはっきり国民の前に言っておられるというお姿が好感を持たれておるのではないかと思うわけでございます。きょうもひとつ率直な御意見を拝聴させていただきたいと思います。  まず、一番当面の問題といたしまして、元の建設大臣の不祥事に端を発しました、それ以前から問題はあるわけでございますけれども、とりわけ元大臣の関連におきましてあっせん利得罪の問題があるわけでございまして、所管の建設大臣とされましても、また保守党の党首でもいらっしゃるわけでございます。既に民主党初め野党はこの法案について国会に提出いたしておるわけでございます。もとより、野党案に賛成いただくのも結構でございますし、より厳しい案をおつくりいただいても結構でございますけれども、与党として今いろいろ作業を進めておられるというふうにお聞きいたしておるわけでございます。  きょうの何かある新聞によりますと、もう与党も観念をして法案が大体大筋においてまとまったやにも聞いておるわけでございますが、大臣、ひとつこの点につきましては、ぜひ次の臨時国会で与野党合意のもとに法律が成立するように御尽力いただきたいと思うわけでございますが、現状と今後の取り組みの件につきまして御決意のほどをお聞きいたしたいと思います。
  95. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、菅川先生の御質問順序があっただろうと思いますけれども、きょうはまた三宅島でるる情報が変わりまして、十二時十五分に災害特別本部を設置いたしまして、二時から第一回の会合をいたしますので、質問の順序を変えていただいて先に御質問いただきますことをまず冒頭に御礼を申し上げておきたいと思います。  今御質問のございました、あらゆることから皆さん野党四党であっせん利得罪を簡単に言いますとお出しになりました。大変私は今の時宜を得たときに野党四党でお出しになったと敬意を表しております。  けれども、一方、私ども与党といたしましても、今、菅川先生から党首としてもどうだというお話がございましたけれども、菅川先生と党を御一緒させていただいたときにも私どもは平成十年に入札干渉罪というものを法案に出させていただいて、残念ながらその当時廃案になったわけでございますけれども、今回は、新たに枠組みをしました政府・与党三党としては、野党の皆さん方がお出しになっている現法案、あっせん利得罪法案と一緒に何とか審議できるようにというふうに努力をいたしまして、私どもは、もちろん保守党としては当然のことを、前回入札干渉罪を出した経緯がございますので、その方向で、今野党のお出しになっている法案よりもより厳しくという、もっと枠を広げよということで、本人のみならず地方自治体の皆さん方を一緒に枠にはめさせていただこうと。  というのは、先生御理解いただいておりますように、今地方分権というのが大変叫ばれておりますけれども、私どもは地方分権で、ある一定の予算をその地方に差し上げて、その地方、地域の中でそれぞれが公共事業のあり方を、地域の中で県主体にして首長さん、県会さん、皆さん御一緒にその地方の公共事業のあり方もそして順序も配分も地元でお決めになっていただきたいというのが真の地方分権だと思いますけれども、その枠がありませんと、ある地方では丸投げという言葉が使われておりまして、予算をとったら丸投げして全部下請にあれしちゃうんだなんということが全国の中になきにしもあらずでございますので、そういうことも含めて私どもは最初に申しました国も地方も含めた入札干渉罪的なものをぜひつくっていきたい、それをより厳しくしたい、そして公平を期したいと。  しかも、発注者責任というものが入っておりませんと丸投げなんということが、それが入っていますと今後できなくなりますので、そういうことも含めたことを、より野党の今お出しになっているものよりも厳しいものにして、そして次回の臨時国会では必ず成立を期するという決意で、私どもは昨日も政府・与党連絡会議におきまして与党としては再確認をいたしまして、次国会、臨時国会に必ず出すということで意見の一致を見まして、現段階は法案の成立を促進しているというのが現状でございますので、ぜひ菅川先生が今お話しになりました野党四党の案とそして政府・与党三党の案と両方相交えまして、より厳しく、より将来の二十一世紀の基本になるようなものを次国会で成立させていただきたいということも、私ども最大の努力もいたしますし、菅川先生におかれましても前回からそういう御意思でございますので、ぜひこれは与野党の壁を越えて私は協力して成立せしめるべきものだというふうに感じております。
  96. 菅川健二

    ○菅川健二君 与党の皆さんがより厳しいということについては野党も大賛成でございまして、与党の了解さえ得られれば野党はそれに全く異議はないということでございますので、ぜひ次期臨時国会には早期に成立するように御尽力のほどをよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、かねてから民主党が公共事業のあり方についていろいろな御指摘を申し上げておったわけでございますが、この前の選挙におきまして、与党の方は、どちらかといいますと自民党が中心でございますけれども、公共事業のばらまきが何が悪いんだという開き直りをされておったわけでございますが、選挙の結果、どうもこれは風向きがおかしいなということで慌てられたのか、その原因はわかりませんけれども、急に方向転換をしまして、与党でも見直しをやられて三党合意が昨日成ったやに聞いておるわけでございます。  この点については政治ベースの話でございますけれども、行政ベースの話でちょっと振り返ってみますと、建設省など関係各省は九八年度から自主的に公共事業の再評価をすることを決定しておられるわけでございまして、建設省は九九年度予算では再評価対象事業五千七百二十四件のうち中止が十件、休止が二十九件にとどまっておる。これは極めてわずかな数字でございます。恐らくお茶を濁した程度ではないかと思うわけでございます。それがまた今度与党の作業ということになってみますと、これはかなり無理して件数を上げたんだろうと思うんですが二百三十三件、そして二兆八千億余りの残事業費をカットするというような案でございました。  それにつきまして、与党の案に対する建設大臣の見解といいますか、それをお聞きいたしたいと思いますし、なぜこれまで、扇大臣の就任前からずっと続いておるわけでございますが、これまで役所が本来やらなければならない仕事をサボり、あるいはそれを忌避することによって予算のむだ遣い、大きなむだ遣いが出ておったのではないかという反省をやはり求めなければならないと思うわけでございますが、この点について今回の与党案に対する大臣の見解と、これまでの建設省対応の仕方について大臣の率直な御意見をお伺いいたしたいと思います。
  97. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、菅川先生がおっしゃいましたように、私が建設大臣であれ建設大臣でなかったにしろ、どっちにしても私は公共事業に対するあり方というものは、公共という字、まさにそのとおりで公に共にするということですから、国民すべからくが公共事業をしてもらってよかったなとそう言ってもらえるものが公共事業であろうと思います。  本来そうあるべきものが、今御指摘ございましたように、マスコミの皆さんにも、もちろん野党の皆さんは国会でも何度も追及していただきましたけれども、人から預かっている税金をより有効に使うのである。  そして、私は神戸生まれでございますので、御存じのとおり、阪神・淡路大震災のときにも多くの皆さん方が、六千人を超える死者を出しましたけれども、逃れて命からがら助かったのよと言ってくださった方は、私もすぐ行きましたけれども、大体助かった方は公共事業で建物を建てた箱物の中へ逃げ込んで助かった方が大勢いらっしゃいました。  それこそまさに公共事業の効用でございまして、公共事業の優劣、まあ劣と言うのは失礼ですけれども、少なくとも候補にしても年々新しい候補ができますし新しい需要もできてきますので、見直しをするということがいかに大事かというのはもう菅川先生おっしゃるとおりでございますし、私ども、国民の皆さん方に対しても本当に公共事業でこれだけよくなってありがたかったなと思われるものが本来の公共事業であろうと思っておりますけれども、今、菅川先生おっしゃいましたように、建設省自体でもその再評価を行いますために事業主体に再評価するための事業評価監視委員会という委員会を開いておりまして、そこで必ず審議をするということにしているんですけれども、菅川先生も御存じのとおり審議会というものはなかなか審議の結論が出ませんで、審議していただいている時間にもう時代が変わっていくというようなこともございまして、実際には今事業評価監視委員会、これが少なくとも事業に関しましては中間も事後評価もというふうにしてはいるんですけれども、なかなかそれがはっきりしません。  そして、きのう皆さん方にお見せしましたように、きのう与党三党でお出ししました中で、建設省としましてお出ししましたのは百二事業ございます。その中で個別名をお出しできましたのが、十事業名をきのう公表いたしました。  それは御存じのとおり、本当は百二全部事業名が公表できればよかったんですけれども、与党三党の今回の基準というものがございまして、五年たっているもの、あるいは十年たっても事業事業化できないもの、二十年たっても事業が完成していないものという四段階の表がございまして、それに合致する数字を出せと言われましたので、その四の設問に対して機械的に出したものが百二あったということでございまして、それが先週の金曜日でございました。  もう土日がございますので、地元の皆さんにやっぱり一言でも私は、今度こういうことで皆さん方の事業がこの名前を出すところに載るんですよというごあいさつもしないで、今まで地権者もさんざん協力してくださっていますので、土曜、日曜、きのうの午前中まで地元の皆さんに、県知事さんあるいは地方建設局等々が手分けをいたしまして、皆さん方にこれは今度の評価に名前を載せますよと一方的な通告、了解ではございませんけれども一方的に通知させていただいたのが十でございました。  それで、きのう個別名を十出させていただいたというのが現状でございまして、本来の百二に対する評価と、今後百二を全部どうできるかということはこれからの作業で、一応百二というものを建設省は挙げて、今までの反省も含めて建設省が率先して出させていただいたというのが現状でございます。  長くなると申しわけない、あと一言つけさせていただきますと、私は、建設大臣に就任しまして七月に、八月いっぱいで建設省独自で見直すべきものを出してくださいということを要請しておりました。その途中に与党の方からの話し合いで百二を出しましたけれども、もうきょう、あす、あさってでございますので、今月いっぱいで建設省独自にこれに上乗せをして何らかの形で評価した数を、私は三十一日か一日には改めて建設省の姿勢を発表できると思います。そうしますことが私は、多くの疑惑を建設省が持たれたことに対する建設省の姿勢をお示しする、私はそれは一丁目一番地の重要なことになるというふうに建設省を奨励して今作業中でございます。  以上です。長くなりました。
  98. 菅川健二

    ○菅川健二君 新聞記事によりますと、扇大臣はなかなかいいことを言っておられるなと感心いたしたんですが、と申しますのは、私らは建設省というのはまないたのコイなんだと、コイを料理するのに他人様に料理してもらうより自分のコイは自分で料理すると。  私は、他人というよりも、政治家というのは素人でございますので、素人がコイを料理しますと本当に恐らく食ってもまずい、実際に食えるかどうかもわからぬような料理になるんではないかと思うんです。建設省はまさにもうプロの集団でございますから、プロがきちっと料理人としてきれいな料理をつくって、おいしい料理をつくって、ひとつ国民に喜ばれるように、大臣が今言われましたように建設省はさらに上乗せして頑張るんだと。それならもう少し今まで頑張っておってくれたらいいのにと思うんですが、まあしかし、それは今さら言ってもしようがありません。将来に向かってぜひ大臣の手腕を期待いたしたいと思います。  そこで、個別の公共事業案件につきましては、私はそれはそれとして個別具体に判断しなければならないと思うわけでございますが、システム改革につきまして、私はぜひ二つの点を申し上げたいと思います。  一つは、これはよく言われておるわけでございますが、全公共事業につきまして費用効果分析を行うということと、その分析の結果を公表すること。それともう一つは、私も役人を長くやっておったからわかるわけでございますが、例えば道路、先ほど話がございましたように、道路の推定交通量なんというのはかなり鉛筆をなめて水増しすることがあるんですね、役人がやりますと。どうしてもつくりたい場合はそうやるんです。だから、やはり専門家による第三者機関の評価機関をぜひ設けて、その客観的な判定をやっていただきたいということが一つでございます。  それからもう一つは、先ほど大臣も若干申されましたけれども、これからは地方分権の時代、公共事業というのは基本的に地域の問題でございますので、道路にしてもダムにしても、公園にしても住宅にしても、すべて地域の問題でございます。ただ、国策として国際空港をどうするかとか、あるいは国土幹線道路をどうするかという問題はございます。それはもうわずかな部分でございます。その直轄事業は直轄事業としてできるだけ縮減しつつ、あとは地方の判断に任せていく、地方自治体に任せていくということをぜひ行うべきだと思います。  そのためには、補助事業というのは私は直ちに廃止すべきである。したがって、直轄事業でやるのか地方単独事業でやるのか、その二つでもって事業を整理する。そこによって地域に必要なものは必要な優先順位に応じて地方団体が実施するということでございますので、むだもなくなるわけでございまして、効率的な公共事業の執行ができるわけでございます。建設省の目から地方の市町村道まで行政効果を判定するというのはこれはまさに困難でございますし、そういう問題はやはり地域の問題として地域が判断すべき問題であろうと思うわけでございます。  その二点につきまして、大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  99. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、菅川先生がおっしゃいましたように、費用効果というものがどれほどあるんだろうかということは、私はやっぱりどの会社でも、国であろうと民間であろうと、先ほども大蔵大臣が国のバランスシートのお話をなさいましたけれども、私ども建設省としましても、かかった費用とその効果というものが那辺にあるかということはこれは完全に評価していかなきゃいけないし、またそれをすることによって次の工事がいかに公共事業として国民の皆さんに役に立つかということのこれはもう大事な一点だろうと思います。  私どもの建設省、第三者によるというお話も今なさいましたけれども、平成十年から新規採択事業からは原則としてすべて所管事項について費用対効果の分析というものを必ずしているようでございます。私、就任前でございますけれども、その表も見せていただきました。けれども、この費用対効果分析というものが果たしてどうなるのかということで、算定手法ですとか分析結果については統一的な運用指針を求めてこれは公表するということにすれば、私は今、菅川先生がおっしゃったようなことがより国民の皆さんに多くわかってくるのではないかと思っていますので、今申しましたようなことを必ず皆さん方に、これは運用指針を定めて公表するということ、今していますけれどもなかなかお目にとまらないというのが状況のようで、これは建設省の広報の下手さだろうと思いますけれども、これは私ぜひこういう委員会でも皆さん方に公表して見ていただいて、そしてより前向きなものに移していくというふうにさせていただければいいんではないかと思います。  それからもう一点、今、菅川先生からお話ございましたように、直轄事業というのをなるべく少なくして地方分権にふさわしいようにしていくべきではないかというお話がございました。私、全くそのとおりでございまして、先ほどもちらっと分権の話をしましたけれども、私は費用も含めて分権することが一番いいことであって、ただ直轄事業というのがどの程度あるかというのも私も大臣に就任して初めてわかりまして、直轄事業がそれほどたくさんないということがわかりました。  例えば例をとりますと、吉野川、きのうもちょっと問題になりました徳島県の吉野川の問題も、これ話題になったわけですから簡単に言いますと、取り上げるとわかりやすいと思うんですけれども、吉野川というのは全長百九十四キロあるんですね、川全部が。その中で、直轄事業建設省が百九十四の中で直轄で持っていますのは八十キロしかないんですね。そうしますと、国ができるのは四一%だけ、吉野川の全域の中で四一%だけが直轄というような割合があるんですね。  それから、私も調べまして、直轄事業というのでいろんなことがございますけれども、今、先生が補助金のことをおっしゃいましたね。総合補助金の総額というのが一兆二千六百九十億円ございます。これトータルでございます。その一兆二千六百九十億円のうちで、国費で、直轄で補助金出していますのが五千六百六十七億円でございます。よろしゅうございますか。それくらい私は直轄事業というものの量が、きっと菅川先生が思っていらっしゃるよりもはるかに小さいなと今お思いになっていると思います。私もそう思ったんです。  私は調べますまでこれの率がわからなかったものですから、すべてが国の事業でやります場合に、もっと責任を持って大々的にカットできるんじゃないかと思いまして調べましたのが今申しましたようなことで、これやりますときにも地方分権推進委員会というのがございまして、七名だそうでございますけれども、これは平成七年からこの地方分権推進委員会というのを七名でやっておりまして、必ず分権していこうということをかなり強力にやっているそうでございます。けれども、まだまだ今おっしゃったように、私自身も建設省に入りますまで、これがもっと進んでもいいのではないかと思っていたぐらいでございますので、ぜひ今おっしゃったようなことを踏まえまして、私どもはこれからも直轄事業につきましても全国的な見地からこれを必要とされるものに対して果敢に挑戦していかなければいけないし、また、直轄だからといって安易に手を出すのではなくて、地方の意見を尊重してということを私は二重に担保をかけながら、地方分権推進委員会の御意見と、そして地元の意見と、これ両々相まって最後建設省としての態度というものを今後決めていかなければならない、そのように思っております。
  100. 菅川健二

    ○菅川健二君 直轄事業か補助事業かにつきまして、これはいろいろ論議があるわけでございますが、論議は別にいたしまして、補助事業というその守備範囲の部分というものを私は補助金で賄うんではなくて、一括交付金で賄うことによって地方単独事業、地方の判断と責任と財源で行うようにすべきであるということが私の重点でございますので、ひとつその点をよろしく御理解いただきたいと思います。  建設大臣最後にちょっと提案をいたしたいのでございますが、道路財源のあり方につきまして、現在、地方では道路栄えて鉄道滅びるというような状況になっておるわけでございます。幸い、来年から建設省と運輸省が合体して国土交通省ということになるわけでございまして、道路と鉄道を一括して管理する省になるわけでございます。そうしますと、おのずと個々の地域においては鉄道をより強化すべきかあるいは道路をより強化すべきかという代替交通手段としての最適交通システムというのができるわけでございます。  そのために、私は、財源もやはり道路財源というものの弾力的な活用によりまして、より鉄道が栄えなくちゃならぬ部分は鉄道にそれを鉄道財源として使っていくという、そういう弾力的な財源の活用方法を、柔軟な大臣でございますので、その辺の道を開いていただければ地域の住民は大変、特に鉄道を利用しておるのは子供とかお年寄りでございますので、そういった方に大変朗報になるんではないかと思うわけでございます。いかがでございましょうか。
  101. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今おっしゃいましたように、私はどっちがどっちというのでなくて、すべて国民が便利になればいいというのは基本であろうと思いますけれども、今までも御存じのとおり、交通体系というのは受益者負担というのが原則であると、これは今までずっと役所がとってきたものでございます。  御存じのとおり、その受益者負担の原則に基づいて、そしてまた交通網というもののそれぞれの機関の競争というもの、それはお互いに利用者に便利になるように競争の原理を導入して、そして受益者負担が少しでも少なくなるようにというのは当然の社会的な問題ではございますけれども、私は、今、特に特定道路財源を幅広くという菅川先生の御意見はごもっともだと思いますけれども、今まで役所の考え方では、全くそれは受益者負担という基本的な精神からは受益者に、国民に納得されないというふうな原理で役所としてはおこたえしてきているんですね。  けれども、今回、今、菅川先生がおっしゃいましたように、国土交通省になって、運輸省そして建設省が一緒になりますと、例えば駅周辺の整備といいましても、線路とあるいは周りの道路と、これが一体に立体化して、そしてより駅前の、あるいは駅の使用も広範囲に広げるということで共同事業をしますと、これは今申しました特定道路財源はこっちだけだということではなくて、そういうことで国土交通省になりますときには、よりスピーディーに、より安く、そしてより皆さんに喜んでいただける事業が多く出てくる。そのための行政改革の一環の国土交通省であろうと私はいつも申していますし、大蔵大臣がここにいらっしゃいますけれども、そういうことによってコストが削減できて、そしてより国民は立体的なそういう構造をつくることによって利用しやすくなる。そこへきちんと皆さん方のお気持ちを入れて、立体の交通体系というものを成立させることによってより住みやすい町づくりというものができる。  それには、新しい事業で新交通システムというものを平成十三年度予算に入れますけれども、これが運輸省と建設省が一緒になれる、道路と鉄道が一緒になっていくということでは大変意味のあることであろうと思いますので、道路交通財源をここだけにということではなくて、新交通システムというのは広範囲に拡大利用できるというふうに御理解いただければありがたいと思いますし、ぜひそうしていきたいと願っております。
  102. 菅川健二

    ○菅川健二君 最後に言われましたように、広島ではアストラムラインという新交通システムが通っておるのでございまして、その地上部分というのは道路事業でインフラをやっておる、地下に入ると軌道法で要するに運輸省の補助金でやっておるという、同じものが地下に入っちゃうと運輸省の所管になり、地上に出ると建設省の所管になっておるわけでございまして、まさに今でも親戚になっておるわけでございますから、それをもう一体にして御判断いただければ大変国民にとって幸せになるんじゃないかと思います。  以上、建設大臣はひとつ今後とも御活躍のほどをお祈りいたしたいと思います。  それでは、大蔵大臣でございますけれども、宮澤大蔵大臣は郷土の偉大な政治家でございまして、私の少年時代からもう既に政治家をやっておられたわけでございますので、まことにいろいろな形で御質問するのもはばかられるわけでございますが、とりあえず、八十歳になられても元気で国政の最重要課題に取り組んでおられることに対してまず敬意を表したいと思うわけでございます。  最近の新聞で私は知ったんですけれども、大臣は志賀直哉の「暗夜行路」を買って愛読しておられたように聞いておるわけでございまして、今はまさにそのような暗夜行路の時代ではないかと思うわけでございますが、いつまでたっても暗夜行路では困るわけでございます。  大臣に御就任以来もう二年数カ月たたれるわけでございますが、その言動を少し拝見させていただきますと、例えば介護保険料の徴収猶予とか、ペイオフの解禁延期とか、当初予算とか予算編成等に見られますように、当初、大蔵大臣としては大変明快な見解を出されるわけでございまして、私どもの方も拍手喝采をその時点ではするわけでございます。ところが現実には、結果を見ますと、同じ郷里の党の方ではございますけれども、亀井政調会長さん等を初めとしまして党の圧力がどんどんかかってきちゃって、それで結局は大臣とは違った方向に結論が行っちゃうという、恐らく大臣もそれにはいろいろ内心はじくじたるものを持っておられるんじゃないかと拝察はするのでございますが、結果としてそうなっておるという。  最近また、酒類販売免許の規制緩和をめぐりまして、これはたしか大蔵省所管だと思うわけでございますが、大臣の顔は写っていないわけでございますが、いずれにしても先ほどと同じような構図でもって自民党の方から圧力がかかって、一度閣議決定したものをまたひっくり返して、持ち回り閣議で今度はやり直して時期を四カ月間延期するというような決定をつい昨日やったやに聞いておるわけでございます。  大蔵大臣といたしましては、この一つの具体例もそうでございますが、これまでの一連の政治姿勢について思いのたけがございましたらひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  103. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今のお酒屋さんのことは規制緩和ということで総理府総務庁長官の御所管でございましたので、大蔵大臣の立場を、本来ならば自分のところの業界、そういうようなことになるわけでございますので、それを大事にするかというような妙な話になるわけでございますから、今回私は別段どうということは申しませんと、そのことはもう総務庁長官にお預けしてありますからと、こう申し上げて一貫いたしました。何か自分のところの業界だけかばうようなことになっても、これは行政としてはよくないと思っておりました。  いろいろ御指摘がありまして、政党政治と申しますか民主主義と申しますか、なかなか思うとおりいかぬこともおっしゃいますようにいろいろございますが、なるべく大事なことだけは曲がらないようになと心がけてはおります。  菅川さんからごらんになって、あんな大事なことが曲がっているじゃないかという御批判はきっとあるのかもしれませんけれども、言ってみて、当面はこの不況をどういうふうに乗り切っていくかということですが、それよりも日本が民主主義体制を崩さずに二十一世紀にうまくちゃんとやっていけるか、そこのところが一番私は大事なことだろうと。  それにしても随分大きな借金をしょっていくことになりますので、うまくここを抜けられましても大きな借金が残っていきまして、これをさあ国民の御同意を得てどういうふうにしていくかというのはどうしても後に残る問題で申しわけないと思っていますけれども、これはしかし、今回借金をせずにこのピンチを切り抜ける方法はどうもなかったように思いますので、できれば早くそういう規制緩和というものを進めていって民主主義らしい日本、そして二十一世紀に今競争に負けずに入っていくことが大事なことだというふうに心得ております。
  104. 菅川健二

    ○菅川健二君 ひとつ新世紀を開く暗夜行路であってほしいというふうに期待いたしたいと思います。  ただいまもお話がございましたけれども、御就任以来二年数カ月のうちに、これはちょうど平成年度決算の途中で七月に御就任なさっておると思いますけれども、それ以来、今年度の当初予算を含めまして約百兆近くの国債を大臣もと発行しておられるわけでございます。  また、昨年度のGDPが〇・五%成長したと。それは今まで余りにも谷が深かったから、それだけでも山に、少しでも水面上に出るのは大変だったんだよということではあろうかと思いますけれども、その裏には国、地方を通じまして百兆円以上の借金をふやしておるんですね。それで、GDPが〇・五%といいますと二兆二千億余りになろうかと思うんですけれども、百兆円の借金をしてたった二兆二千億のGDPをふやしたことにしかならないのかと。  これはまさに背景もいろいろあろうかと思いますけれども、やはりその中には財政投資の使い方についていろいろな面での非効率性があったんではないかと。また、時代の変わり目もありますけれども、そういった面での財政投資の非効率性という点について、これまでの在任期間を振り返られまして、財政運営をされてこられた二年数カ月間の総括をひとつおっしゃっていただければありがたいと思います。
  105. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは、大変率直に申しまして、長い年月がたちました後で検証していただかないとならないことだろうと思っておりまして、今わかるぐらいならそれは避けられたことだったかなと思うぐらいでございますから、後になってここがやっぱりまずかったなということがいろいろ出てくるのだろうと。ですから、公共投資の中に、いろいろお話がありますように、期待していたほどの公共投資効果が、投資乗数効果がなかったかどうかといったようなことも検証しなければなりませんし、財政としてはやっぱり意外に金融秩序の維持に金を使っております。  預金者の全額保護という制度を持っておりました結果として大銀行が幾つかつぶれた、それが全部納税者の負担になったというあたりのことは、やっぱり財政としては非常に大きかった。つぶさなければそういう問題は起こらなかったのだろうと思いますが、しかしここらのことも、これは国会でも非常に御議論になったことでございますから、今簡単にあれをこうしたらといったような議論はなかなかできないことでございますけれども、財政とそういう信用の面で一工夫できなかったかなということは、今の時点で思っておりますけれども、もっと先になりましたらいろいろきっと御批判を受けることになるだろうと思っています。  いずれにしても、我が国の経済がちゃんとしますれば、国民の資質から見て将来に向かってしょって歩けないような荷物をしょっていくとは思いませんけれども、しかし早くそういうふうになってもらいませんといけないなというふうに思っております。
  106. 菅川健二

    ○菅川健二君 財政運営の中で、大臣も触れられましたけれども、やはり公共投資が現実にどの程度機能してどの程度景気刺激としての役割を果たしておるかという、この検証はぜひこの機会にやっていただかねばならないと思うわけでございますが、いずれにしても全国津々浦々、もちろん必要な公共事業も進んでおるところはおります。しかしながら、これはどうかなと首をかしげるような公共事業というのも全国各地に散らばっておるわけでございまして、そういった中で与党が、民主党を中心とする公共事業のあり方についての指摘について重い腰を上げられたというのはそれなりの評価をしなければならないと思うわけでございますが。いずれにしても、これから現実に、実際にそれを実行するのかどうか。既に二兆八千億これからの削減額というのは事業見積もりとしてあるわけでございますが、既に六千億近く金を使っておるんですね。じゃ、六千億というのは全くむだ金であったかということにもなりかねないわけでございまして、大蔵省というのは各省の公共事業を初めとする予算査定というものを優秀な官僚がやっておるはずなんですけれども、どうもそれが、十分予算査定が機能しておったのかどうかということも大変疑問に思うわけでございます。  いずれにいたしましても、公共事業の見直しについて、いろいろな指摘の中で、来年度予算に向けて大蔵大臣としてどのような点を留意されようとしておるのか、よろしくお願いいたしたいと思います。
  107. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) まず最初の点でございますけれども、二兆八千億円というものを今後使わずに済むということを言おうとしても、その前に六千億近いものをもう使っちゃったじゃないかと、そういっておしかりを受けることに間違いはないんですけれども、それはそうとしても、それでも二兆八千億のむだを防ごうというのならそこはやっぱり褒めてやろうと、こういうふうに言っていただくとみんな励みがつくんだろうと思うんですね。  私が思っておりますのは、今のところは二百何十カ所ですか、そういうことなんですが、これからああいう三党でできました推進母体が年末までの間にもっと手近な問題についてこれからどういうふうにやっていかれるかということを、私どもとしては、ぜひ入り用があれば一生懸命必要な資料なりなんなりはノウハウは差し上げて、そして、ここでもう今までの公共事業予算のあり方というものを将来に向かって、済んだことはもうこれで済むとしまして、そしてここで変える、そうでないと二十一世紀にも間に合わないしと、そういう動きにしていきたいというのが私にとってこれから年末までの一番大きな課題でございます。
  108. 菅川健二

    ○菅川健二君 先ほども建設大臣に申し上げたのでございますけれども、公共事業の大半というのは、地方団体が補助事業として実施しておる面が大半でございます。ところが、御案内のように補助事業というのは、やはり地方から見ますと単独事業よりも補助事業の方が地方の持ち出しが少ないということでつい補助事業の方に、優先度が低くてもそちらを採択するということがよくあるわけでございます。私も県で財政課長とか総務部長をやっておりましたので、しょっちゅうそういうことをやっておりましたけれども。  いずれにしても、補助金の害悪というのは非常に大きいものがあるわけでございまして、私は、ぜひ公共事業の補助事業というのは廃止すべきだと思っておりますし、それから国庫補助負担金の中でも、例えば義務教育費の国庫負担みたいに国と地方が責任を分担するよというものは別としまして、いわゆる奨励的な国庫補助金というものは一切廃止すべきだというふうに思うわけでございます。  大蔵省は毎年毎年見直しをしておるよといって、件数をいろいろ見せてもらっておるんですけれども、どうも見直しておる割合には金額はどんどんふえておるんですね、補助金の金額は。どうもそこに真剣味が足りないんじゃないかと。それがこのたびの地方分権推進委員会の指摘にも私はあらわれておると思うわけでございまして、私は、補助事業について、これは地方税財源の充実と相まってやらなければなりませんけれども、いずれにしても、その中において補助金をもっともっと精査すべきではないかと思うわけでございます。その点、いかがでしょうか。
  109. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) そう思っておりまして、実は財政の再建をしなければならないということはどなたも御指摘になっておられますし、その時期はそんなに遠くまで待ってはいられません。そのときには、国の財政はもちろん、税制も、地方と国との行財政の再配分も、それからどうも私は社会保障は不可避だと思うんですが、そこまでを含めて本当にこれはマクロモデルでもつくりまして、国民がどういう選択をしていくかということとしてとらえなければならないのだろうと思っておりますが、そのときに今の問題はやっぱり避けて通れない。  国と地方の財政だけではございません。これはもう行政の再配分ということ、今ありますような地方分権ということも含めまして、全部そういうことを国民に選択してもらいませんと、財政の再建そのものというものは実はそういうことの結果であるわけだというふうに思っておりますから、そのときには、またそれが日本が二十一世紀にどういう社会になっていくかということのプランになるのだろう、青写真になるのだろうと。私は、そういう日は来ざるを得ないし、そんなに長いこと待っていられないというような感じがいたしております。
  110. 菅川健二

    ○菅川健二君 これまでの大臣の発言にもあったわけでございますが、一応私の方でこれから財政構造改革をしなければならないポイントにつきまして幾つか申し上げますと、一つは、何といいましても景気回復の名のもとにおいて財政依存体質をますます深めてきたんではないかという、そういう流れの中で経済を自立するためにどうすればいいかという、そういう誘導政策により重点を置くべきじゃないかと。そのためには、規制緩和等の構造改革を、余り現状にとらわれ過ぎちゃって憶病であってはならないと思うわけでございます。そして二つ目は、公共事業の抜本的な見直し。それから行政改革等によって税金のむだ遣いをなくするということ。そしてもう一つは、地方の補助金依存体質というものをなくする。そういうことによって地方を自立させていくための地方税財源の充実をしていくというようなことがポイントとして挙げられるんじゃないかと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、景気回復がより優先課題だと言われつつも、財政構造改革というのがおざなりにされてきた。来年度予算につきましても、何か積極財政を引き続き続けるんだというふうに言われておるわけでございますが、いずれにいたしましても二十一世紀を迎えるわけでございまして、また二〇〇七年からは人口も減るわけでございます。ここ七年のうちに財政再建も見通しを立てなければならないと思うわけでございますので、財政健全化への道筋を大蔵大臣のときにぜひつけていただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  111. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 同感でございます。私自身は何度も、この種の予算景気刺激的な予算平成十二年度をもって打ち切りにしたいということを何度も申し上げてまいりました。  それは、この秋ごろにいわゆる官需から民需へのバトンタッチができるだろうということをしばらく前から期待をして申し上げておったことでございますが、九月の初旬には四—六のQEが出る。そこらあたりで、今、菅川委員のおっしゃっていらっしゃいますこれからの補正というものがどういうことになるかということになるわけでございますが、本来としては私はここで、そういう景気刺激的な大きな補正というものはもうここで、基本的には、将来へ向かっての入り用ならば、そういう性格の補正ならともかく、従来の繰り返しはもうやめていいし、やめられるだろうということを思っている人間でございます。  それについても、しかし、世の中にはいろんな御議論があります。ですから、四—六を見ませんととは申し上げながら、大勢としてはもう来るべき年度平成十三年度公債発行額はもうどうしても平成十二年度よりは減らしたいと思っている。  それはもうけちなことでして、そんなことが財政再建なんて言えることではないんですが、まずその辺からできなければ財政再建なんて言っても言うだけのことでございますから、まずここで、これだけ大きな予算はここで終わったというような、そういう何とか財政運営、また経済の運営をしていきたいというふうに今思っていまして、菅川委員の言われます先の目標からいえばまだまだ何でもないぐらいなことでございますが、国債発行額が減らせないようではそういうことも言ったって余り世の中に信用できないなと、だからそれをまず何とかやりたいなと、今としては、第一歩としては思っております。
  112. 菅川健二

    ○菅川健二君 ぜひささやかでも偉大な一歩を踏み込んでいただきたいと期待いたしたいと思います。  それでは、文部大臣にお聞きいたしたいと思います。  今、教育改革国民会議等でいろいろ議論されておるわけでございますが、その前に文教予算の確保についてお聞きいたしたいと思います。歳出を削れと言いながら歳出をふやせと言うのもいささかあれでございますけれども、私は文教は大変重要だというふうに認識いたしておりますのでお聞きしたいと思っておるわけでございます。  OECDの調査によりますと、GDPに占める初中教育への日本の公財政支出は二・八%で、アメリカの三・五%、イギリスの三・八%などを下回っておりまして、また高等教育におきましても、日本が〇・四%に対してアメリカが一・一%、イギリスが〇・七%、大きな格差があるわけでございます。我が国は教育立国だと言われながらも、どうも高度成長期を経てから教育予算というのが非常に薄くなってきたんではないか、忘れられてきたんではないかというふうに私は印象を持っておるわけでございます。  文部大臣には、このような貧弱な教育予算実態についてどのように認識しておられますか。率直なお考えをお聞きいたしたいと思います。
  113. 大島理森

    国務大臣(大島理森君) 委員が今御指摘いただきましたOECDの調査は、事実としてそのことを認識いたしております。私も、文部大臣になりまして、各国の教育の比較論をずっと勉強をしまして、この数字を見ましたときに大変残念であるというのが私の所感でございました。  今、大蔵大臣財政論をいろいろおやりになられていながら、委員のおっしゃりたいことは、何となく公共事業を減らして文教予算にうんとつけろということを主張しておられるのかなと思ったりもしたのでございますが、いずれにしても、OECDのこの調査をそのままそのとおり、数字としてはそのとおりですが、各国のいわば教育の内容、例えば子供の数であるとかそういうふうなものの差異はあるにしても、一つの数字として、また日本の場合私学が非常に多いということもあって、いずれにしても平成十三年度の概算要求もまとめました。  予算獲得につきましては、獲得にというか、御理解をいただくためには、大臣みずから先頭に立って与党の皆様方、また内閣の皆様方もそうでございますが、民主党の皆様方にも御理解をいただいて頑張りたいと思っております。
  114. 菅川健二

    ○菅川健二君 この点につきまして、大蔵大臣、何かお考えはございますでしょうか。
  115. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 今、文部大臣の言われたことだと思いますが、教育ばかりはもうこれで十分ということはございませんから、おっしゃっていることは私は大変共感して伺っています。
  116. 菅川健二

    ○菅川健二君 特に今、義務教育、高等学校段階においてまだ四十人学級のすし詰め教育が行われておるんですね。これは先進諸国では恐らくないんじゃないかと思います、こんな学級編制というのは。したがって、学級崩壊とかいじめとか不登校とかいろいろ問題が噴出しましても、四十人もおりますと、しかもどんどんいろいろな個性を持った子供がふえておるわけでございまして、なかなか教育をしにくいような学校現場がどんどん出ておるわけでございます。私は少なくとも三十人以上の学級はなくすべきだというふうに思っておるわけでございますが、文部大臣、いかがですか。
  117. 大島理森

    国務大臣(大島理森君) 午前中もちょっとお答えを申し上げたんですが、実は昨日、現場の先生方の意見をお伺いしたんです、小学校、中学校、高校。学級の人数のあり方をどう思いますかと伺いましたら、その学年とそれから教える内容によって必ずしも少人数であればいいということでもありませんと。例えば体育とかそういうものは必ずしも人数が少なきゃいいというわけでもありますまい、人数が少ない方がいい場合もありますと。  そこで、我々は来年から五年計画で、本来四十人学級を前提にして教員の定員を考えますと二万五、六千名減らさなければならないという数字が出てまいります。これをぜひそのまま残して、そしていわば、四十人学級を基本といたすことは変えませんが、二十人クラス程度の学習集団をつくって、そしてそれをそういう例えば一人一人に対応できるような授業に充てるとか、あるいはまたグループティーチングを行うとか、そういうことをすることによって、先ほど先生お話しされた欧米とのいわば対子供と先生の割合というのはほとんど等しくなる。こういうふうにして、四十人を基礎としながらもその教える内容によって柔軟に対応していく。  クラスというのは教育の集団の場所でもあると同時に生活の集団の場所であるという意味で、特に知識を教えるというところには柔軟にそういうふうなことで対応して考えていこうということで、平成十三年からまさに先生お話しされたような予算獲得に向けて全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。
  118. 菅川健二

    ○菅川健二君 いろいろ工夫をされておるということはそれは是とするわけでございますが、教科ごとにそれぞれ習熟度に応じて学習集団を変えるということも重要でございますが、しかしながら学級の一つの単位としてホームルームをしたり、そこを一つのグループとして生活をしていくということになりますと、やはり四十人というのは多過ぎるんですね。これはしたがって、その単位そのものをやはり三十人以下にしていくということは私は極めて重要であろうと思いますし、また教員の増員につきましても、お聞きしておりますと結局自然減は自然減にせずにそのまま補充していくよという非常に消極的なお考えですよね。むしろふやすという発想があってもしかるべきじゃないかと私は思うんですけれども、その辺はぜひ御努力をお願いいたしたいと思います。  それから次に、生涯学習につきまして注目すべき答申が、去る六月の大学審議会の、高等教育のあり方について報告が出ておるわけでございます。それは生涯学習ニーズへの対応として、正規の学生としてパートタイム学生という、パートタイムという新しい学生の概念をつくりまして、それを受け入れる。しかも、その受け入れ先としては、今いろいろ施設、人員面で余力がどんどん出ております短期大学を活用するとか、あるいは高度なものにつきましては大学院を活用するということになろうかと思いますが、新しい生涯学習時代において、学校教育で生涯学習の単位を認めていくということは大変画期的なことではないかと思うわけでございまして、この点につきましてはぜひ積極的に対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  119. 大島理森

    国務大臣(大島理森君) 委員御承知のように、今も大学、大学院における社会人受け入れのシステムはいろいろございます。そういう状況の中におきまして、今大学審議会の審議概要の中で、今、先生お話しされたようなパートタイム学生の受け入れについてという議論をしております。  私といたしましても、その結果を見つつ、どういうふうな方向が最終的にどうなるかわかりませんが、新しい一つのあり方だというふうに考えて、積極的にそういうふうなものが出てきた場合に研究し対応してまいりたい、このように思っております。
  120. 菅川健二

    ○菅川健二君 特に、短期大学などは既に施設それから人的の余力がございますので、ぜひ早く取り入れていただきたいと思うわけでございます。  それから、教育基本法の関係についてお尋ねいたしたいと思います。  森総理は、所信表明演説の中で教育基本法の抜本的な見直しを表明しておられるわけでございます。何遍か本会議その他で私も総理の御発言をお聞きしておるわけですが、どうもお聞きしておると、戦後五十年以上、教育基本法ができてからも五十年以上たっておるんだから見直ししたらいいじゃないかというような、単純に時が経過しておるから検討したらどうかというような意味だろうと思うんです。  ただ、抜本的に見直しをするということを言っておられる以上そんな消極的ではない、むしろ五十年たって、こういった点が矛盾が出てきた、こういった点が足りないから、これをこうするために抜本的に見直しをするということでなくてはいけないと思うわけでございますが、文部大臣としてはこの問題についてどうお考えですか。
  121. 大島理森

    国務大臣(大島理森君) 昨日も、実は総理の私的諮問機関でございます国民会議に私も二時間出ました。私として、このように考えております。  まず、昭和二十二年のときと今の時代を考えますと、委員も御承知のように、例えば経済の豊かさにおいても全く違う状況が生まれてまいりました。例えば、少子化という問題をとりましても人口構成の動向を考えますと当時と今は違うでありましょう。例えば、国際社会の中における日本の存在というものも違うのでありましょう。  そういう状況の中で、今のさまざまな子供の環境を考えましたときに、やはり我々は日本という国の中で生きて誇りを持って将来に立ち向かっていくということについて一体どうであろうかとか、国際社会に対して我々はどういうふうなポジションを持ちどういう姿勢で向かったらいいのであろうとか、あるいは私はよくいろいろさまざまな少年犯罪、あるいは子供たちと会って考えますと、とってもいい子たちです、いい子たちですが、いわば孤立、個人の個ではなくて孤立の孤の世界が一方に広がっているような気がします。それは、IT化、情報化という世界の中で、あり余る情報の中で主体的にその問題をどうとらえるか、そういうものに悩みながら生きているなという感じもします。  そういうふうにいたしますと、教育というのは、一方において普遍的な人間像というものを期待すると同時に社会の要請にある意味ではきちっとこたえていく、あるいはこれから進むであろう新しい社会を見据えて、そういう中に頑張ってもらおうとするならば、社会の変化というものを見据えて新しい教育という問題を考えていくということは私は当然あってしかるべきであろう。  そういう中で、いろいろな議論をして、教育基本法も大いに議論していただきながら、やっぱりあるべき姿を一つの結論として得た場合は改正することにやぶさかではありますまい、このように私は思っております。
  122. 菅川健二

    ○菅川健二君 今、教育基本法の問題について、一つは普遍的な理念といいますか、それと社会の要請の変化と二つ挙げられたわけでございまして、どちらかといえば教育基本法そのものが普遍の理念なり原理をうたったものでございまして、これについてはいまだ私は有効性を失っていないと思うわけでございます。むしろ、そういったことが現実にきちっと教育の現場で行われておるのかどうかということを検証することが重要ではないかと思うわけでございます。  次に、社会の要請でございますが、社会の要請、なるほどいろいろな時代の変化によって、例えば生涯学習という概念が出てきたんじゃないか、それから民族とか伝統とかそういったものもあるじゃないかといろいろ言われるわけでございますが、私は、基本に戻ることも重要でございますが、今教育が抱えている当面の課題というのは余りにも多いんですね。いじめの問題とか不登校の問題、学級崩壊の問題、その他少年非行の問題、物すごい取り巻く環境というのが急激に変化いたしておるわけでございますので、私はそれに対する対応というものを早急に結論をまとめて実行しなければならないんじゃないかと思うわけでございます。教育基本法は基本法として検討することは私はやぶさかでないと思うわけでございますが、余りにも教育基本法を検討すればすべて教育の問題が解決するんだというような、こういう印象を与えるというのは私は決して好ましいことじゃないと。むしろ、当面の問題については当面きちっと有効な政策を打っていくということが重要ではないかと思うわけでございます。  そこで、優先すべき課題と中長期的に検討すべき課題というものを分けて文教行政を進めていただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  123. 大島理森

    国務大臣(大島理森君) 今、総理の私的諮問機関の中で教育国民会議が行われておりますが、私は常々にこう申し上げております。  あの議論は、まだ中間報告も正式にこれからいただくんだろうと思います。しかし、数々のいろいろな議論の経過を見ていますと、概略的に、すぐ手をつけるもの、そして中期的に検討するもの、長期的にやらなければならないものがあるなという思いの中で私はあれを見詰めておりますし、そういう中で、先ほど来申し上げたように、今子供たちに何が必要か、それは私は社会性を身につけることだと。  そういう中で、来年から具体的に何がやれるかということは、まさに先生がおっしゃるようにすぐにやるべきこと、これをやりながらも、教育基本法を変えることがすべてを解決するというふうに私は申し上げてはおりません。やることと、教育基本法というのは国民全体でみんなで考えて、そういう中で一つ方向性を見つけることですから、両面にわたってさまざまな議論をしながら解決してまいりたい、努力してまいりたい、こう思っております。
  124. 菅川健二

    ○菅川健二君 いずれにいたしましても、この教育基本法の問題というのは国民的コンセンサスを得るということが非常に重要だと思いますので、拙速にせず、ひとつじっくり腰を据えてやっていただきたいと思うわけでございます。  次からは、円委員にバトンタッチさせていただきます。
  125. 円より子

    ○円より子君 民主党の円より子です。  まず、金融再生委員長にお伺いしたいんですが、経営破綻した国民銀行がこの八月十四日、八千代銀行に営業譲渡されました。吸収合併されたような形なんですが、この営業譲渡によって、八月一日から八月十三日の間、旧国民銀行は新たな手形割引には応じないことにして、八千代は八月十四日に従来の割引枠のままで取引を行うことにしましたが、割引に応じるか否かの稟議に一週間を要する旨の通告を取引先にしております。  経営破綻から営業譲渡となるとき、こうした手続は当然銀行にとっては必要だと思いますけれども、生きた経済の中で商売をしている取引先には多大な迷惑がかかると思うのですが、こんなことでいいのかどうかをちょっとお伺いしたいと思います。
  126. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) お答えを申し上げたいと思います。  今、先生指摘のように、非常に中小企業、今苦しい状況にありますし、またそれだけに不渡り手形等の問題が出ますと大きな影響を受けるわけで、その点は非常に我々も憂慮をしているわけでございますが、金融庁といたしましては、銀行による手形の取り扱い等につきまして、銀行業務の健全かつ適切な運営を確保するという観点、こういう立場で銀行の監督を行う立場にあるわけでございまして、御指摘のような不渡り手形が生じた場合に、銀行による救済といいますか……
  127. 円より子

    ○円より子君 まだ不渡り手形のことは聞いておりません。先にそこだけで、今の質問だけで結構です。
  128. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) はい。
  129. 円より子

    ○円より子君 まだ不渡り手形のところまでお話ししておりませんので。こんなことでいいのかどうかだけをお聞きしたんですけれども。  ここにSという会社がございまして、長年国民銀行と取引がありました。手形割引額を二千八百万有しておりまして、八月十五日、つまり営業譲渡され、八千代という新銀行になった翌日時点でも六百万円の手形割引額を残していたんですが、この日、取引先からの入金おくれがありまして、手形決済の資金残高に三百万円ほどの不足が生じました。そこで、当然必死で資金集めをしたんですが、調達が数時間おくれてしまいました。新しく来た支店長でしたので、全く今までの取引先の支店長とは違う人になったんですが、その支店長は一応五時までは待ってくれたんです。しかし、それ以上は無理ということで、資金不足を理由に不渡り届を出しました。  そこで、Sという会社は、翌日九時半までに取り立て銀行でありますあさひ銀行から手形を買い戻して、そうしましたところ、あさひ銀行はその際に、八千代銀行に資金不足を錯誤という形にしてもらえばうちは不渡り届を出さないと言ってくれましたので、八千代に飛んでいったわけです。ところが、八千代の支店長は私にも生活があると言いまして絶対に応じてくれませんでしたので、仕方なく翌日あさひ銀行も不渡り届を出した。そして、八月十八日、各銀行に不渡りの公表となりまして、取りつけ騒ぎが起こり、二度目の不渡りが八月二十一日に出て、八月二十四日には銀行取引停止、そして事実上の倒産をしたわけです。このケースは私は氷山の一角かもしれないと思っております。  そこで御質問なんです、今お答えくださったことなんですが、不渡りが出そうなときに、八千代銀行は、通常は三時ですが、五時までは待つと言ってくれたんです。五時まで待てて六時半は待てないという、ここにどういう基準があるのか、教えていただきたい。  それから、翌日買い戻して、だれにも迷惑がかかるわけではないわけです。倒産になるのは忍びないから、取り立て銀行も、また手形交換所も八千代に資金不足を錯誤にしてもらえば不渡りになりませんよと言ってくれたわけです。それを八千代は、本部がだめと言っている、私の生活がかかっているの一点張りでした。手形交換所の規則六十八条によれば、取り扱い錯誤で不渡りの取り消しができるとなっております。これは不渡りに対する一種の私には救済措置ともとれるんですが、これについてもどういう基準になっているのか、先ほどの一回目の質問とこの三つをお答えいただければと思います。
  130. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) お答えいたします。  確かに、今、先生指摘のように、当日の三時までが通常の期限でございます。それまでに入金ができない場合はやはり不渡り、こういうことになるわけでございますが、銀行側もできるだけそうした状況を勘案いたしまして、五時まで、さらにまた五時半まで、そして六時までというふうに、最終的には六時半まで待ったように私たちは承知いたしております。  そういった努力はぎりぎりまでやっているんですけれども、手形交換所の問題については、やはりその交換所ごとのルールというのがございます。もちろん、手形法によるルールもありますけれども、交換所ごとに、大勢の集まりですからその場所場所で若干のニュアンスの違いはありますけれども、一つのルールをつくりまして、三時なら三時、五時なら五時というふうに、そういう範囲で可能な限り慣行上許されるところまではやってきたということが第一点。  それから第二点……
  131. 円より子

    ○円より子君 じゃ、基準はないわけですね。基準はそちらにはなくて、手形交換所のルールだとおっしゃるわけですね。
  132. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) そうですね。それを我々としては監督しているということでございます。
  133. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 円さん、私語は困ります。
  134. 円より子

    ○円より子君 はい、ごめんなさい。今言おうと思ったんですが。  今のお話ですと、基準を教えていただきたいと言ったんですが、基準は手形交換所のルールだということなんですね。そうしましたら、手形交換所とそして全銀協の方で、銀行同士のルールだということですので、その方たちを、民間の方ですから理事会でぜひお呼びいただくような協議をしていただきたいと思います。  委員長、いかがですか。
  135. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 後で、理事会で相談します。
  136. 円より子

    ○円より子君 お願いいたします。  金融検査のマニュアルがここにあるんですけれども、金融機関とその経営者等が遵守すべき具体的な法令等について、手形法も入っているんですが、三時を遵守せよ、錯誤ではなかったときに錯誤には絶対にするなというような指導は行っていないということですね、そうしますと。
  137. 宮本一三

    政務次官(宮本一三君) お答えいたします。  錯誤については、これはそういう事態があれば当然に修正をいたします。ただ、錯誤というのは非常に、純粋に本当に事務的に間違って、内容的にはちゃんとできているんだけれども事務的に何かでミスがあった、こういうときは確かに錯誤として対応はする形になっております。しかし、やはり錯誤という以上、やや厳しくといいますか、本当の錯誤だねということでないと、錯誤らしいからこれでというわけにはいかない、そんなところでございます。
  138. 円より子

    ○円より子君 このマニュアルに、「マニュアルの適用にあたっては、金融機関規模や特性を十分踏まえ、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要」というふうに書いてあるんです。  今おっしゃった答弁の内容からいきますと、手形交換所に任せてある、そこのルールに従ってほしいということでしたが、手形交換所は錯誤にしてあげたらいいんじゃないかと言っているんですね。それはおかしいなと思いますし、そうすると、「機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要がある。」と書いてあるにもかかわらず、どうも大きな銀行と地銀と同じような検査マニュアルでやっているのではないか。そうしますと、銀行は、もし金融庁がやっていらっしゃらなくても、金融庁の検査マニュアルによって私は萎縮してしまっているのではないかというそういう気が今回のケースで思うんですね。  ということは、国民の方には顔を向けずに銀行はどうも金融庁の方に顔を向けてしまっているような気がいたしまして、大変大問題だと思っております。  このケースは幾つかの不運が重なっておりまして、どうも金融庁も後から大慌てでそちらに問い合わせて、八千代の方に問い合わされて今おっしゃったようなケースになったみたいですが、六時半までに持っていったんですがだめだったわけです。それで、今基準も教えていただけませんでしたが、この不運といいますのは、取引先の国民銀行が八千代に営業譲渡された翌日のことであったということ、そして手形の割引枠の利用に応じてもらえず現金調達がおくれたということ、そして破綻した国民銀行から抜てきされた支店長で営業譲渡でどうもうろたえていらしたのか、支店長の裁量を発揮するといういとまもなかった、そういった不運が重なったと言えるんです。  そこで、金融再生委員長に今度はお伺いしたいんです、政務次官ではなくて申しわけありませんが、委員長にお伺いしたいんですが、八千代と国民銀行に投入された公的資金は金銭贈与が千八百三十七億、資産買い取りが三百四十三億と聞いております。このように公的資金が投入された銀行が、自分だけ助かって取引先は切り捨てるということをどう思われますでしょうか。  また、通産大臣にもお聞きしたいんですが、通産省は中小零細企業のバックアップをしてくださっていると思うんですが、このような営業譲渡された側に取引のあった会社の救済についてや、また中小零細企業のこういう状況について把握なさっているかどうか、また銀行や金融庁へ何か忠告などなさっているのかどうか、続けてお答えいただければと思います。
  139. 相沢英之

    国務大臣(相沢英之君) 今の御質問の点の個々のケースにつきまして、具体的に今どういうような事情にあったかということについて、それが適当であったか否かということを申し上げるのもいかがかなという気がしないでもないんです。ただ、やっぱり手形法なり手形交換所の規則なり、あるいは銀行が定めているところのルールなりに従ってそれが適正に行われているか否かということになりますと、これは当然金融庁としてもその監督責任があろうかというふうに思うんです。  ただ、おっしゃるようなケースを、私もこれ、話を聞きました。聞きましたけれども、その錯誤ということでもってやれば何とかなるのにそうしてくれなかったというような話になりますと、これは本当に錯誤であればともかく、そうでないのにそういう形を取り繕えば何とかなるじゃないかというようなことについて、そうしなかったからといってどうも行政機関としてそのやり方は不親切じゃないかとか適当じゃないとかと言うことはちょっと無理なんじゃないでしょうか。そんな気がしませんか。  そこで、国民と八千代とのこれの統合といいますか、問題に私は直接このことは絡んでいるというふうには承知していないわけです。ですから、この件の取り扱いに関して、私は当然に、どうも金融機関が中小の企業に対して必ずしも親切じゃないじゃないかというような事例は私どもも耳にしないこともありませんけれども、どうもこのケースに関して言うと、どうもおっしゃるように統合ということがその引き金になっているようにも思えませんし、それから繰り返しになりますけれども、本当に不適切なことが行われた、監督がどうなったか、しているんだという問題としての取り上げ方は少し無理じゃないかというふうに思っています。
  140. 円より子

    ○円より子君 通産大臣の前にちょっと一言だけ。
  141. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) ちょっと待ってください。通産大臣はいいですか。
  142. 円より子

    ○円より子君 いえいえ、その前に一言よろしいですか。  これは個別の問題ではなくて、私は錯誤のことやそれから不渡りの時間の基準をお伺いしたんですが、基準はじゃ手形交換所に任せていると、それから支店長の裁量というものが今まであったんですが、そういったことも金融マニュアルではしてはいけないというふうに、そういう御答弁というふうに解釈してよろしいんでしょうか。  いや、もう時間がありませんので結構ですが、ぜひそういった機械的、画一的な管理はなさらないでいただきたいなということを要望しておきます。  通産大臣、お願いします。
  143. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをさせていただきますけれども、中小企業、今の事例で大変不幸な形で倒産に至った、こういうことであります。現在、倒産の主な原因というのは、販売不振でありますとか掛金回収などの、非常にそれが困難だというようなことに起因されておりますけれども、今御指摘のようなケースもその倒産の中に入っていると思います。  私どもといたしましては、やはりきめ細かく対応しなければならない、こういうことで一連のことをやらせていただいておりますけれども、そういったケースも我々よくテークノートさせていただいて、これから連携を密にしてそういうケースが起こらないような、そういう事態もちゃんと確保するように努力はしていきたい、こういうふうに思っています。
  144. 円より子

    ○円より子君 ありがとうございました。  大蔵大臣にお伺いしたいんですが、このSという会社に限らず、私は余り個別のことで言っていたつもりはないんですけれども、どの中小零細企業も今はバブル崩壊後で、政策不況に加えて銀行が貸し渋りや貸しはがしをしてまいりました中で、大変資金繰りに苦しみ続けてきていると思います。  そこで、金融システムを健全化しようということで大量の公的資金が銀行に投入されたわけですが、国民経済は余り助かっておりませんし、私は健全化も余り行われていないのではないかというのが私の考えなんですが、国内銀行の貸し出し伸び率が九八年にはマイナス〇・九、それから九九年はマイナス四・一%になっているんですね。これを特殊要因調整後で見ますと、九八年十二月で前年比マイナス一・五%、九九年十二月で前年比マイナス二・二%となっておりまして、九九年に入ってマイナスが拡大しております。それで、国内銀行の国債保有率の方は、九八年に二千九十二億増、前年比プラス〇・七%、それが九九年には前年比プラス四一・九%と十三兆千百四十三億円もふえております。これは異常だと私は思います。  九九年三月に七兆四千億円もの公的資金が健全行に資本注入されましたが、これはどうも国債を買うだけに回ったような気がするんですね。金融機関は借り入れ需要がないから国債を買い続けているとおっしゃっていますが、私はどうも違うんじゃないかと思います。銀行は民間に貸しませんし、貸したくない。それは不良債権がふえるのを恐れて、自己資本比率が下がるのも恐れているんじゃないか。だから、リスクテークがゼロの国債をどんどん買っているというふうに私は思うんですが、これでは全然銀行に公的資金の投入をしても民間企業は貸し出しをしてもらえず、先ほどのような会社が大変資金繰りに困るという、こういった状況はたくさんあると思うんですね。  こういった状況について大蔵大臣はどう思われるか。これでは私は中小零細の民間企業は浮かばれないんじゃないかと思うんですが。
  145. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 御自分で最後に分析されたことがそのとおりじゃないかと思うんです。  つまり、貸し出しがどうもやっぱり危ない、国債ならまあ間違いない、こういうことがあって、国債のせいじゃなくて、貸し出しがどうも健全な資金需要というものがもう一つなかなか出てこないという期間が、これはいつまでも私はそんなことではいかぬので、それは必ずそういう期間は過ぎると思いますけれども、金融機関ももうひどい目に遭ったばかりですから、そして監督は金融庁はなかなか厳しく監督をされるが、しかし中小企業向けの枠はちゃんとしてちゃんとやれよと言っていらっしゃるんですから、これも言われる方もなかなかつらいところも私はあると思うんですね。それでも一生懸命やっている、金融機関は。しかし、そうかといってそれだけ健全な資金需要があってというわけでもない。それで国債を買っちゃっているというのが私は本当におっしゃるとおりじゃないかと。  いつまでもこんなことがあってはいけないと思いますし、だんだん健全なITを中心の資金需要も出てきまして、いわゆるクラウディングアウトということが起こって、だから国債が民間の資金需要の邪魔をしているということになったらこれはもう潔く引き下がればいいことなんで、なかなかそこまで行きませんが、やがてそう行くようにしなきゃならないし、金融庁としてもそういう中小企業向けの貸し出しをかなり厳しく金融機関に言っていらっしゃるように思います。
  146. 円より子

    ○円より子君 もう最後になりますが、私の分析がそのとおりだと褒めていただいてもしようがないんですね。  それが本当に国債に回っておりまして、それも七兆四千億円だけじゃなくて、その国債保有率がふえた背景は、銀行の自主的判断だけではなくて、どうも政府が買えと言ったんじゃないかというような話もございまして、これは次回の予算委でも追及させていただきますけれども、でも本当に宮澤さんが今おっしゃったように、国債ばかり買っていて中小企業の方に回らないような状況は、やがてこれは何とかしなきゃいけないんじゃなくて、今現実に生きた経済の中で本当に苦しんでいる方が大勢いらっしゃるわけですから、すぐにも何とかしようということで、分析だけしてよかったというふうにはやっていただきたくないということを要望して、私の質問を終わります。
  147. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。  先ほど菅川委員の方から、大蔵大臣、郷土の大先輩ということがございまして、子供のときから政治家で活躍されているということですが、私の方は赤ん坊のころから大蔵大臣御活躍になられた長年の実績もとに、私も初めて決算委員会質疑させていただきますので、よろしくお願いいたします。と同時に、重ならないように、重複は避けてやりたいと思いますので、若干質問が飛ぶようになるかもわかりませんけれども。  先ほどの、平成八、九年度に貸借対照表の作成というお話がございまして、大蔵大臣、秋にはできるだろうということでございました。これは、大蔵大臣みずから財政事情について国民に対する説明責任を向上させるということで、非常に国民への説明責任を果たせられるものとして考えておられるなというふうに思います。  そこで、これが当初夏にできる予定のはずのものが、会計学や財政学、公認会計士等の方々が報告書までまとめて鋭意努力されたにもかかわらず、こういうふうに秋にまでなってしまうその難しさはどういうところにあるのか、そこを最初にお伺いしたいと思います。
  148. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) それは私は正確にはお答えできないかもしれませんけれども、御承知のとおり、もともと公会計、国の財政について私企業の会計のような貸借対照表というものはなかなかできない、財産目録もなかなかできないということはすべての人が、福本さんはもとより御専門でいらっしゃいますからなおさらのこととして知っておられるが、いや、それでもやっぱり何かのシミラリティーというのは求めてやってみるべきじゃないかというお声が強くて、それでということで始めたわけでございます。  それで、試作品をと心がけていながら、だんだんだんだん詰めていくとやっぱり当初にあった問題が、これはなかなか違う話だねと、それを踏み切って貸借対照表なんて言えるかねと。それは川とか道とかいう話は一番だれでもわかる話で、それより詰めていけばいくほどこれはなかなかどうも思うようにいかないなと。  ですから、私はある程度思い切らなきゃしようがないと思うんです。きちんとできていないじゃないかと、いわばそれはもともと承知のことでございますと。しかし、それでもやってみろとおっしゃるのでいたしましたと。試作品でございますから、それで御批判を受けて少しでもいい方向に行けばいいと。こういうことであるところで思い切れと言っておりまして、それが夏から秋になった理由と申せば申せるんだと思いますが、もうここは思い切って秋には御批判を覚悟の上でお目にかけようと。それはしかし覚悟の上のことでございます。
  149. 福本潤一

    ○福本潤一君 その難しさの理由、さまざまあるんだなということでございますが。  ここで具体的に、大蔵省でそういう当局、担当されておられて、例えば国有財産台帳に登録されていない道路とか河川、そういう資産を、さらには年金白書に記載されている年金債務、これは五百三十兆円、平成十一年であるそうでございますが、どういうふうに計上されようとしておられるか、ここをまず、公表の前でございますが説明いただければと思います。
  150. 丹呉泰健

    政府参考人丹呉泰健君) お答え申し上げます。  今、先生指摘がございましたように、例えば道路とか河川につきましては、現在、政府は定期的に国有財産増減及び現在額の総計算書というのをつくっておりますが、道路とか河川といった公共用の財産はこの対象になっておりませんです。したがいまして、こういった公共用の財産につきましては、今回、貸借対照表に計算するに当たりまして、原始取得されたものについては、そもそも計上すべきかどうか、さらに、計上する場合にどういった金額で計上したらいいかということについて専門家の意見を伺ったりしております。  また、御指摘がございました年金につきましては、御案内のように我が国の公的年金の財政は、毎年の保険料収入、それから、これまでの保険料の収入のうち、支払いに充てられなかった形として残っている積立金がございます。その積立金の運用収入、さらには国庫負担で運営されております。  一方、被保険者であります国民の年金につきましては、社会保険方式のもとに、負担と受益という考え方で、各年の保険料の納付の実績に応じて年金権が発生するというような形になっております。  こういった仕組みのもとで、年金の債務についてどういうふうに考えたらいいかということにつきまして専門家と勉強しているわけでございますが、幾つかの考え方があるということでございまして、一つは、政府が現在保有している積立金につきまして、その運用額を資産計上する。一方、その見合いとして、預り金を負債として計上するという考え方。他方、保険料の納付に従いまして受益である年金権が生ずるという考え方に立てば、これらの過去の納付期間に対応いたしました将来の年金支払い額の現在価値につきまして負債とする考え方もあるようでございます。そういったことで、貸借対照表の作成に当たりまして、いずれの考え方によるのかということを検討している状況でございます。  このような検討課題につきまして、外部の専門家の意見を聞きながら現在取りまとめを行っておりまして、先ほど大臣がおっしゃられましたように、秋には試案として取りまとめるべく作業を行っているところでございます。
  151. 福本潤一

    ○福本潤一君 これは国民が国家の財政を正確に把握するときに非常に大切なものでございますし、これが財産目録になるのではないかという心配も出ておりますので、ぜひとも鋭意努力して、素人でもわかるある意味ではバランスシートをつくっていただければというふうに期待して、与党としての要望をさせていただきたいと思います。  と同時に、先ほども菅川委員のときに大蔵大臣お答えになっておりましたけれども、財政再建、今は景気浮揚だということでございます。公明党は財政再建に関しまして、本年度中は民間主導の景気回復だと。これは大蔵大臣と同じ意見でございます。二〇〇一年度から二〇〇二年度にかけて景気回復軌道を安定的なものとする。と同時に、六百四十五兆円という大きな赤字、これに関しては二〇〇三年度から五カ年計画単位で本格的に財政再建に取り組むという形で考えておるところでございますので、大蔵大臣、今景気浮揚だという中でも、将来展望としての財政再建、何年度を目途に計画されておられるか、さらには、我が党のこういう財政再建の検討に関する基本計画に関してコメントをいただければと思います。
  152. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) この点は政府部内でも本当の議論はしたことがございませんので、私がかねて思っていることをぜひお聞き取りいただいて御批判いただきたいんですが、財政再建ということを始めますと、これはもう直ちに税制の話に入らざるを得ないだろうと思います。そして、中央と地方の行政、財政の再配分ということもすぐについてこなければならない問題であるし、それから、幸か不幸か、社会保障の長期計画のことが平成十六年といいながら何にも決まっておりませんので、これもどうするかはやっぱり考えなければならない。そういうものを全部含めたマクロモデルみたいなものをつくって、その中から幾つかの選択を出して、そして国民に、ひいては国会にその中から選んでいただきませんと、結局、財政再建ということの答えも出ない、私はどう考えてもそういうふうに思う。  二〇〇三年から仮に長期債務をどうするかということ、それも私も一番の関心でございますが、そのときに税収はどうなるの、社会保障はどうなるの、地方財政はどうなるのということが決まっていなければ決めようがないという思いがいたしますので、そういうことの同時決定というようなモデルがやはりあって、その中から選択が行われるということでないと、二十年ぐらいを展望した財政再建のあれはできないんではないか。しかし同時に、それが二十一世紀の日本経済社会のある姿をそこでかくことになるんではないかと思っております。それが第一です。  それは、しかし、今始められることではございませんが、今としては、私は、少なくとも来るべき平成十三年度というものが十二年度よりは国債発行額が少しでも下がったと、そのぐらいの心意気がなければとてもとても財政再建はできないと思いますのは、私は、どうも平成十二年は、租税の見積もりは、多分歳入欠陥は生まれないだろう、今までずっと取れたことはございませんが、今度は取れるだろうという気持ちが、取れるという言葉は悪うございますが、歳入が落ちないだろう、欠陥がないだろうということを前提に、それなら十三年度は十二年度よりは国債発行額が下げられるんじゃないか、せめてその辺から始めたいという気持ちを持っております。
  153. 福本潤一

    ○福本潤一君 今の財政再建に絡む話としてまた公共事業の話を先にしようと思っておりましたけれども、建設大臣も官房長官も三時十分以後ということでございますし、三宅島の噴火が思ったより大変な状況になる可能性も出てくるということで、そちらに対応していただいて、先に、その後に予定しておりましたPCBの方の問題を対応させていただければと思います。  公明党は環境問題、かなり精力的に対応してまいりまして、一九九九年にはダイオキシン特別規制法、議員立法で進め、通りましたし、二〇〇〇年におきましては循環型社会関連基本法、関連六法とともに通ったわけでございます。そのときに焼却炉というのに非常に大きな予算がつきました。一九九八年の秋の補正予算で千百五十億円ついたということが具体的に起こりました。  そこで、焼却炉の解体作業に伴う労災被害のような状態が起こっている問題を先にお伺いさせていただければと思います。  ダイオキシンが発生しないために高温高圧で、例えば八百度以上でするような焼却炉、かなり補正予算、また国の予算に基づいてたくさんできましたけれども、と同時に小型焼却炉、またさらには、能勢町のように旧焼却炉では大変な問題が起こっておるので、解体作業が入ってきているという段階が起こっています。と同時に、予算がついたために焼却炉の談合問題も起こったりしましたけれども、むしろ健康被害におきましては、千百五十億円に基づいてついた予算のときは、解体作業、能勢町で行われたときに、高温で作業をされたために血中濃度が大変な濃度で検出されたという具体的な例が起こっておりまして、こういう状態に対して労働省としても、その解体作業に対してどういうふうな手当てをしていくのかということも今後の大きな問題になってくるだろうと思われます。  ですので、最初労働大臣、そういう解体作業に基づいてダイオキシンを吸収して大変な事態が起こっている例が何例も出てきたということに関して対応策をどういうふうに考えておられるか、これを最初にお伺いしたいと思います。
  154. 吉川芳男

    国務大臣(吉川芳男君) 福本委員の御質問にお答え申し上げます。  本年の七月十二日に大阪豊能郡美化センター解体工事関係労働者の一部から高い濃度の血液中ダイオキシン濃度が検出された件では、関係事業者に対しまして同様の解体工事の自粛をまず要請しました、私から。そして、同様の事案の再発を防ぐために、現在、労働者が安全に解体作業ができるように対策委員会を発足しておるところでございまして、現在までに二回行いまして、恒久問題とそれから現在の対策というふうに分けまして、現在の対策については来月四日には結論を出そうとしておる段階でございます。
  155. 福本潤一

    ○福本潤一君 こういうダイオキシンが高温になったときに揮発性があるということは、環境化学、ダイオキシン、PCBを扱っておる人間にとってはある意味で常識の話でございますので、解体作業という段階でも深刻な問題が発生しないような作業マニュアルのようなものをつくって提示していくということを労働省に求めておきたいと思いますし、今後それが日本で、焼却炉からダイオキシンが検出され、また解体作業においてそれが付着していたものもまたさらに健康被害を起こすことがないような形で対応できる道だと思いますので、よろしくお願いいたします。  と同時に、ダイオキシン等規制法ができましたときに、法案の中に、従来はPCBという形で別個のものとしておりましたけれども、コプラナPCBはダイオキシンと同じ毒性があるということで、法律上PCBもダイオキシン類の中に入ってまいりました。としますと、魚等にもコプラナPCB、よく保存というか残存していきますし、ダイオキシン以上に解体、自然には分解しませんので、現在、PCBのように人間が目的を持ってつくったものとダイオキシンのように不用意にできてしまったものとは違うわけでございますけれども、PCBに対してもさまざまな形で保管状態が悪いと。基地の中にもかなり保管されている等々の問題が起こっておりますので、この現在の保管状態、また不明、流出がかなり多いという状態で進んでおりますので、その理由、また、なぜ未報告の事業所がこんなに多数あるのかということをお答えいただければと思います。
  156. 津島雄二

    国務大臣(津島雄二君) 委員指摘のとおり、PCB廃棄物の保管が難しい問題になってございます。最近、調査をいたしましたけれども、これまでの調査で紛失のケースがかなりあるということもまた事実でございます。  なぜそういうことになっているかと申しますと、どうしてもこれは処理が難しいものでございますから、保管期間が長期に及んでおると。その長期に及んでいる間に、例えば保管担当者がかわるというときにきちっと引き継ぎをしないというようなケース、それから建築物の中にPCB廃棄物を含んだものが組み込まれているわけですけれども、その回収、解体に際して、PCB含有物であることに十分注意せずに、場合によっては気づかずに廃棄するというケースもあるようでございます。  これからも相当このPCB廃棄物の処理の問題が課題として残るわけでありますけれども、これ以上PCB廃棄物の紛失が進むことは大変に心配なことでございますから、その処理を実施するため総合的なPCB対策の枠組みづくりを進めることが重要だということで、今、熱心に取り組ませていただいております。  この処理体制が確立されるまでの間、PCB廃棄物が適正に保管される必要がございますから、先般取りまとめられましたPCB廃棄物等の保管状況等調査において未報告であった保管事業所を中心にフォローアップ調査をやりまして、さらに実情をしっかりと把握をするということで、都道府県を通じて事業者に対する周知徹底も図ってまいりたいと思っております。
  157. 福本潤一

    ○福本潤一君 処理が難しいという表現をされましたけれども、これ、処理が難しいという以上に、民間企業が持っていた、民間企業が製造したトランス等々の物質の中に入っているときに民間企業が処理をしないといけないという難しさがむしろあるというふうに私の方は理解しておりまして、例えば日本のカネミ油症、PCBだとは言われながらコプラナPCBで、本当はダイオキシンであったという、今で言うとダイオキシン類であったということに現在の研究段階では進んでおるわけでございます。  これ、具体的に鶴見川等々で河川工事をやったら地下に大量なPCBがあって、それが保管状態が悪いのでとんでもない状態が起こっているというようなことが具体的に記事になったりいたしますね。そうしますと、保管状態というのは極めていいかげんな状態になっているんではないかというのが現実に起こっていますので、これ、廃棄物処理法の中で特管物の保管義務というのがございますけれども、その法律違反にはならないのかというのをお伺いしたいと思います。
  158. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) PCB廃棄物の保管に関するお尋ねでございますけれども、廃棄物処理法におきましては、廃棄物の保管について、廃棄物が運搬されるまでの間、生活環境保全上支障が生じないよう適切に保管しなければならないという規定を設けておるところでございます。  PCB廃棄物につきましては、現時点では処理を行う体制というものができ上がっていないということがございまして、現時点では処理が行われるようになるまでは排出事業者の責任で適切に保管がされる必要があるということでございます。したがいまして、排出事業者がPCB廃棄物として保管を行わずに、PCB廃棄物の処理の方法等を定める処理基準に違反して処理等を行った場合には改善命令や罰則の対象になるというふうになっております。
  159. 福本潤一

    ○福本潤一君 違反でないように改善命令ができるということでございますが、これは報告結果を私、見ますと紛失、不明、未報告、日本は余りにも多過ぎるんではなかろうかと。これが例えば管理義務はないで改善命令はできるということになりますと、それが自然界に、管理者がいいかげんなままの状態で、また管理者がかわったり保管者がかわったりしたままで、今は製造禁止になっておりますけれども、自然界にこれが一たん出ていった場合、コプラナPCB等々あるわけですから、ダイオキシンに換算してTEQ、等価値でいうとどれぐらいの量がそういう今現在保管されたり紛失されたりの中であるのか、換算したらどれぐらいになりますか。
  160. 西尾哲茂

    政府参考人(西尾哲茂君) 紛失、不明のPCBの量のお尋ねでございますけれども、厚生省の調査結果によりますと、紛失、不明とされています高圧トランス、コンデンサーというのは合計約一万一千台程度、こういうことになっています。これに含まれるPCBの量をうまく把握するというのはなかなか困難であるわけでございますけれども、高圧トランス、コンデンサーの総台数を四十万台、そこに使用されているPCBを約四万トンぐらいというふうにしますと、紛失、不明とされておりますPCBの量は年間ベースで約四十トンぐらいではないか。これをダイオキシンの毒性に換算するという場合のコプラナPCBの量は、これまでの分析例でございますと大体これの四万分の一から四十万分の一の範囲というようなことでございますので、以上のような前提で大体において仮定計算をいたしますと、紛失、不明分のPCBのダイオキシンに換算した場合の毒性の等量というものにつきましては、年間百グラムから千グラムといった程度になるのではないかと計算されます。  ただ、このうちどの程度が実際に環境に排出されているかということにつきましては、これは推定はなかなか困難であるというふうに考えております。
  161. 福本潤一

    ○福本潤一君 危険側をとって一キログラムとした場合、ベトナム戦争でダイオキシン、枯れ葉剤とともにまかれたのは百四十キログラムですよね。毎年一キログラムなら十年で十キログラムぐらいの大きさになっていくわけでございます。  今、地球上でほとんど、世の中に、海洋中にも出たりしたときに最も自然分解しないのはPCBと言われておるわけですから、こういったものがこのまま放置されたり、海外のように適切な対策、対応をしていなければダイオキシン被害はPCBの方からも大変な危険があるということも考えられるわけですので、ぜひともこれは、私もこれからも質問をさらに続けていきますけれども、普通だったら即時に、一年間でもう物理的に燃焼処理も含めてやれば解決できることなんですよね。それを事業者に、保管して管理しろ、もう製造はされていないという形で任すことによって不安を長期間日本国内に温存しているという気が私はいたしますので、対応策を進めていただく必要があると思いますが、その前に通産省、電気絶縁物処理協会をつくって処理を進めるというふうに明確に言われておったんですが、処理が進まない理由はなぜでしょうか。
  162. 平沼赳夫

    国務大臣(平沼赳夫君) お答えをいたします。  御指摘のように、通産省といたしましては財団法人の電気絶縁物処理協会、これをつくりました。昭和五十年から昭和六十三年にかけて高温焼却処分の実証実験を実施するなど技術的な検証を重ねながら、設立当初より地方自治体などに対してPCBの高温焼却施設の建設を実現すべく鋭意働きかけを行ってきたところであります。  具体的には、全国で三十九の建設候補地において地元の住民及び自治体と処理施設建設の同意を得るための関係者が交渉の努力を重ねてまいったわけでありますけれども、残念ながら最終的に建設の同意を得ることができませんでした。したがいまして、施設建設を断念せざるを得ない、そういう事態に立ち至ったわけであります。  その原因といたしましては、先ほど先生がちょっと御指摘になられました。これは、地元住民及び自治体の皆さん方の同意が得られなかったのは、PCBを安全に焼却処理する技術がほぼ確立されていたにもかかわりませず、昭和四十三年に発生したいわゆるカネミ油症事件等によりPCBの有害性が広く国民の皆様方に知れ渡った、地元住民にPCB及び廃PCB処理施設に対する忌避感が大変強いものがあった、こういうことで、財団を設立して鋭意やってきたわけでありますけれども、なかなかその実現ができなかった、これが実態でございます。
  163. 福本潤一

    ○福本潤一君 それは、ある意味では住民は危険なものだということで反対したりすることがあると思いますけれども、私は、どうも考えたら逆に、それだからこそ国も、民間団体がつくったものとはいえ早急に本気で取り組むのが逆に通産省の望ましい姿ではなかろうかというふうにも思います。  ですので、厚生省、他省庁ではございますが、化学処理、どのぐらいのコストでどういう方法があるかというのをむしろ通産省にもお教えしておいていただければというふうに思います。
  164. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 御指摘のPCBの化学処理ということでございますけれども、PCBを化学的に無害化する技術というのは、PCBに含まれる塩素を外しましてPCBではない構造の、脱塩にするような脱塩素化分解法とか、あるいは高温高圧水中の超臨界状態における酸化反応によりましてPCBを分解する超臨界水酸化分解法というようなものがほぼ実用化されております。  こうしたPCBの処理技術の安全性評価につきましては、平成五年以来、環境庁、通産省、厚生省が連携して進めておりまして、それぞれの専門家から成る委員会等を置きまして、技術的に評価を行ってこうした技術の確実性、安全性というものを評価してその実用化を図るということにしているところでございます。
  165. 福本潤一

    ○福本潤一君 基本的に処理はもうできますし、もう短期間で私は一斉にした方がいいだろうと思うんです。というのは、もう地球上の水の循環等々を、生物の循環また渡り鳥の動きやなんかをつかまえるときに、PCBの体内に蓄積する量の多さ少なさでどこにどういうふうに循環しているというのを調べるぐらいのところがありますし、それぐらいPCBは分解しませんので、民間企業に任せてやっていますと、事業者の責任者がかわったという段階で、後で、あれ、大変なものらしいけれども何か倉庫の隅に眠っているという状態がいつまでも続くわけです。  そこで、私も厚生省、環境庁、通産省に申し入れいたしました。これは基金をつくってでも、民間企業に任しておったらいつまでも進みません、これ。もう国が取り組んで対応しない限り責任は、民間企業もいいものだとしてつくって、コンデンサーとして有用だったのに、急に危険だというので中止されては困るというような形の意識もございますので、国民の安全のためには、また中小企業、零細企業等もありますので、国も含めて基金を設けて官民が一体になって早急にやれば、短期間でこれはもう対処できる技術はあるわけですので、本気で取り組んでいただきたいというふうに思います。  これは要望しましたけれども、環境庁、どういうふうにお考えでしょうか。
  166. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 先生から、委員からちょうだいしました要望、申入書は拝見をいたしております。  おっしゃられますように、PCBの無害化を図るということが環境保全上非常に重要でございまして、それもできるだけ早く無害化を図るということが大事だというふうに私も考えております。  それで、基金でございますけれども、平成十三年度の環境省の予算に、PCB廃棄物の保管事業者の処理費用に対して必要に応じて助成を行うということで、これは産業界の協力も得つついたさないといけないと考えておりますが、概算要求をさせていただいております。  以上でございます。
  167. 福本潤一

    ○福本潤一君 概算要求していただいておるということで、と同時に来年環境省になりますし、循環型社会法という大きな法案もできたわけですので、ぜひともこれは省になった一番大きな柱の仕事であるというぐらいのつもりで取り組んでいただければと思います。  という段階で、これだけ続けておるわけにいきませんので、先ほど扇建設大臣、三宅島の噴火の方、緊急な話で対応されていたということでございますので、そちらの方の公共事業の話を伺わせていただければと思います。  今、中海の干拓中止という報道をされておりますし、二十四公共土木事業中止という形で進んでおりますし、先ほどほかの委員からもございましたこういう大きな国家プロジェクトが中止となったときに、今後いろいろな形で出てくると思いますので、国と地方等々の中止した後の費用分担のルールというのはつくっておかないといけないんではないかというふうに私の方は思います。四国の徳島の第十堰等々の話もありますけれども、中海干拓の中止を契機にそういうルールをどういうふうに考えておられるか、これをお伺いしたいと思います。
  168. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 先ほどから、非常災害対策特別本部を設置して留守いたしまして、大変失礼いたしました。第一回の会合を開いております最中、二時四十分にもまた小噴火をいたしまして、やっぱり第一回の会合のお時間いただいてよかったなと思っていますので、感謝申し上げます。  今御説明のございました公共事業の中止に関する国と地方自治体の負担の割合の話でございますけれども、これは本当に大きな問題で、中止したから即そのまま中止というのを本当に受け取って中断してほっておいていいのかという、大変人道的にも、あるいは皆さん方の御期待に沿って用地買収も大変協力していただいた方々、そういう方に対しても、例えば途中で事業を中断してそこで切ってしまって、それを切っていることによって後で逆に住民に危険を及ぼすような中止の仕方というものは、それは私はあり得ないと思いますので、今おっしゃったような国と地方自治体との公共事業中止による費用の負担の割合というものは、今後その事業事業によって、やっぱり用地買収に協力したとかあるいは特別に何か協力していただいたという、るるその事業によっての経緯がございますので、今後その事業を中止するということの検討の基本的なことになろうと思いますので、個々の事業について別々の考え方があろうと思いますので一括してお答えするわけにはいきませんけれども、大変重要な部分であるということは認識しております。
  169. 福本潤一

    ○福本潤一君 今後、与党三党で公共土木事業見直しと、ある意味では画期的な時点がやってきたなというふうに私は思います。  そこで、過去のケースで、今までの公共土木事業、国家プロジェクト、農水省、建設省、大きな事業をさまざま全国展開されております。ですので、建設省と農水省に、今まで大規模国家プロジェクトのような事業で計画を建設完成後に変更したもの、また工事が推進途上で変更したもの、どの程度あるのかというのを両省に具体的にお伺いしたいと思います。
  170. 小川忠男

    政府参考人小川忠男君) お答えいたします。  私どもが所管している事業で、完成後他の用途に転用されたという状況については掌握いたしておりません。ないかと思います。
  171. 渡辺好明

    政府参考人渡辺明君) 国営干拓事業では幾つか例がございまして、他の大規模事業が例えばそこで実施されるというふうな事例としては、佐賀県の国造干拓、これは面積が二百四十ヘクタールありますけれども、その後、佐賀空港の建設に転用いたしました。それから、中海の干拓事業は五工区で行われておりますけれども、そのうち揖屋工区、ここでは三百二十三ヘクタールの干拓の後、六十三年に十九ヘクタールが工業用団地に転用されております。  全体的に申し上げますと、割合からいうと数%というところがこれまでの干拓の他用途転用の事例でございます。
  172. 福本潤一

    ○福本潤一君 というふうに、時のアセスというのもございますし、ある事業が進んでいて大転換するということは、省庁を超えても当初の目的がありますからなかなか難しいわけでございますけれども、例えば中海の干拓等々でございますと、農水省の予算で農水省がやったと。と同時に、これは他用途で使われる、例えば佐賀で空港に使われ出したというような形で、省庁を変えて転換するというのはなかなか工事途中には難しいわけですね。  中海の干拓やなんか、この前も「報道二〇〇一」ですか、テレビで竹村さん、国民的な見地で、税金を使っておるんだから工事を中止してやるよりもあれはハブ空港にしてやっていくとか、そういう大規模転換ができないかというようなことを言っておられました。  国民の税金という考え方で考えたときに、そういう省庁を超えたダイナミックな政治主導の形での運用というのができるような方向性というのも考えていく必要がある。そういう公共土木事業のストップとかあり得ると思いますので、総理にお伺いしたいところではございますが、官房長官、ぜひともこういう大転換を政治のドラマ、ダイナミックなことができるような形の運用方法についてどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
  173. 中川秀直

    国務大臣(中川秀直君) ただいま政府参考人からも御答弁がありましたとおり、今、福本委員がお尋ねになった干拓事業でも佐賀空港あるいは大学農場用地で昭和四十七年に佐賀県に国営代行のこの国造干拓事業が用地を供しておる、有効に活用していただいたという事例がございますし、また、中海干拓事業でも揖屋工区で東出雲町開発公社に転用して、昭和六十三年にそういう事例があるわけであります。  もとよりそれぞれの事業にはそれぞれの事業目的がございまして、国営干拓でいえば優良な農地を造成することを目的にしておるわけでありますが、一方で、経済情勢、社会情勢の変化によって公共や公用の施設用地などへ利用を図ることの方が周辺の土地利用状況から見ても適切である、こういうふうに判断される場合、そしてまた、地方公共団体、道路公団やその他でもいいわけでございますけれども、そういうことからの要望に応じてこれまでもそのような有効活用の事例があるわけでございまして、ただいまの委員のような、政府の大方針でそうするという方針を改めて決めなくとも、今後ともそういった造成地を取り巻く地域の実情に応じて、別の事業における利用も含めて具体的な御要望があれば、その適否を判断した上で的確に対応していくというのが当然のことであろう、このように考えております。
  174. 福本潤一

    ○福本潤一君 という政治の主導も必要でなかろうかという御提案をさせていただいて、最後総務庁長官、今のように行政評価または公共土木事業に関しましても大きな予算を使うわけでございますので、いよいよ行政評価法を制定しようという動きがあると思いますので、それに向けての決意をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
  175. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 行政評価制度の法制化につきましては、これまでも衆参両院の附帯決議を踏まえ検討の前倒しに努めてきたところでございます。  この問題につきましては、去る七月十四日、総理から早期の法制化について直接御指示がございまして、また与党行財政改革推進協議会におきましても検討課題となっております。これらを受けまして、八月四日でございましたけれども、行政改革推進本部におきまして、総理から法案の国会提出を行政改革大綱の検討項目として盛り込むように御指示もございました。  このため、総務庁としては、法制化について万全の検討体制を整備することとし、去る八月十日、行政監察局に政策評価制度法制化担当室を設置したところでございます。さらに、今後、九月早々にも政策評価法制の大綱に関する検討を行うための研究会を開催することとしております。  今後、こうした体制のもと、早期に成案を得るべく最大限の努力を払い、次期通常国会に法案の提出を目指すことにしております。
  176. 福本潤一

    ○福本潤一君 では、頑張ってください。よろしく。
  177. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。  初めに、公共事業の見直しに関して質問したいと思います。  昨日は、与党の方からも公共事業の抜本的な見直しに関する三党合意ということで発表がされました。全国で二百三十三事業ですか、見直しというか中止の対象にするということですが、これをどう評価するということでは、全事業の二%程度ですし、事業費という意味でいえば年間五十兆円ぐらいの公共事業費の〇・五%程度ということで、これでは抜本的な見直しにならないというのがけさの新聞各紙の評価だったというふうに私思います。  そこで、抜本的な見直しのためにどうしたらよいかということで、きょうは二つの問題を質問したいと思います。一つは公共事業費総額、額の問題です。もう一つ事業評価の問題です。  初めに、来年度の公共事業費の問題ですが、公共事業の見直しには期待の目も寄せられていると同時に、大変厳しい監視の眼も注がれていると思います。例えば、朝日、八月九日付社説では、「「抜本見直し」というなら」「公共事業予算の総額を圧縮すべきだ。国と地方の財政を悪化させた大きな原因である公共事業に大胆に切り込む。それは、財政健全化への一歩となり、日本経済政策への信用を回復させることにつながる。 公共事業の見直しを掲げる一方で、政府・与党が早々と来年度予算の公共事業費の据え置きを決めたのは、理解に苦しむ。」、こういうことを指摘しています。  それから、東京新聞八月二十五日の社説では、「納得できないのは、来年度の公共事業費の総額を削らず、本年度並みとしていることだ。」、「公共事業費削減につながらないなら、一体何のための見直しなのか。」、こういう指摘をしています。  抜本見直しのいわば初年度に当たる来年度の公共事業費を削減するのは当然ではないかと思うんですけれども、大蔵大臣、ちょっと順序が違ってしまったんですけれども、どのようにお考えでしょうか。
  178. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 一、二のマスメディアにそういう批評があるのは、私も読みました。それは批評家から言うとそういうことが言えるんでしょう。  ただ、国会でそういう御議論があるのは私は残念だと思うのは、とにかく今までああいうことをやったことがなかったわけでございますから、これだけのことを三党が一緒になってやったということは、それはやっぱり私は評価をされなきゃいけないと思うんです。その上で足りないところはこうやれああやれと言うべきものだろうと思いますし、あれだけのことをやったからすぐ来年度金が浮くわけではございません。これはおわかりのとおりなんで、だから、あれをやったけれども予算がちっとも変わらないなんという批評は、実はいろいろ言いたいことがある。  正直を言えば、今まで効率の悪いものをもうやめましょうと言っているので、効率のいいものはまたほかにやるかもしれないので、それを、今の公共事業費がちっとも変わらないからあれは何の意味もないというようなことは、ちょっと考えればわかることで、私は、ああいうことが始まって次の段階でこれからどういうものを採択するかというときに、費用対効果の分析をしたり二十一世紀に何が入り用かを考えたり、そういうものの中から選ぶのがいいのであって、それを選んだら今までの金額よりふえたって一向構わない、入り用ならば。  ですから、そこは、あれを第一歩にしてこれから何をするかということを、やっぱり国会では行政府を監視していただくということが大事なんじゃないでしょうか。
  179. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私は、大蔵大臣には財政担当の大臣として期待していたんですけれども、今の答弁ではまるで公共事業担当大臣のように私には思えました。  次に、毎年の公共事業費のいわば大もとにある公共投資基本計画、これをどのようにするかということで、経済企画庁長官に伺います。
  180. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 公共事業基本計画では、一度六百三十兆円の公共事業総額というのを決めたことがございます。その後、財政事情等がございまして、平成何年でしたか、これを三カ年延長することにして縮小したこともございます。  今のお話でございますけれども、新聞がいろいろと公共事業のことについては書いてくれます。過去の例を見ましても、例えば平成九年に朝日新聞は、公共事業の圧縮をしないのでは財政再建元年が泣くというようなことを書いておりましたが、すぐその後大変な不況になったというような例もございます。  日本の公共事業というのは、いろんな面で必要なところ、また近年大分よくなってまいりましたけれども、おくれているところもございますし、また日本の国土は、非常に守っていくのに、火山もあれば急峻なところもあれば大雨も降るというようなことがございまして、諸外国に比べて公共事業費がかなりかかるというのはいたし方ないことだと思っています。  そういう意味で、六百三十兆円を大きな数字として決めまして、財政状況に合わせてそれを本来よりも延期して現在やっておりますが、もともと平成七年から十六年のものを平成七年から平成十九年までという格好にしてやっておりますが、一たん決めたことを変えないというのではなしに、状況に応じて弾力的にこの基本計画を進めてきたというのは評価されていいんじゃないかと思っております。
  181. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私が公共投資基本計画を問題にしたいのは、社会資本整備の内容についての記述は極めて一般的、概論的というんでしょうか、それに比べて額の方は六百三十兆円と具体的に明記をされているんですね。  それで伺いたいんですが、この額というのはどのようにして決められたものなんでしょうか。
  182. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) これはもともと公共事業基本計画として定めたものでございました。それをさらに「財政構造改革の推進について」という平成九年六月三日の閣議決定におきまして、二十一世紀初頭に社会資本がおおむね整備されることを目標として、ある程度の延期を定めました。そして、少子化、高齢化の時代に対応して、それまでに日本の社会資本を相当程度充実させておく、そういう前提でこの金額を定めたものでございます。
  183. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 よくわからないんですが、私も生活型、福祉型の公共事業というのを一律に否定しているわけではなくて、その議論と総額六百三十兆円はどのようにして決まったのですかというのとは別問題なんですね。これは具体的な公共事業の積み上げによって算出された数なんでしょうか。
  184. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) その当時といたしましてはある程度具体的なものも検討したようでございますけれども、それぞれにつきまして、治山治水あるいは港湾その他いろいろのものを考慮したようでございますが、やはり時代に応じてこれを展開して、例えば現在でございますと情報通信に偏るとかあるいは都市基盤を強化するとか、そういう弾力的な運用はしていく、当初決めたときには一つのそういう想定はあったようでございます。
  185. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 基本計画の中には具体的にどういう事業で幾らというのは一切書いてありません。総額六百三十兆円という数だけなんです。今までのお話で、個々の事業を積み上げて六百三十兆円というその額が出てきたのではないということを私は確認したいと思います。  次の質問なんですけれども、この公共投資基本計画に基づく投資実績の推移です。毎年、幾らぐらい使われてきたのかということで、九五年、九六年、九七年の額を教えていただけますか。
  186. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 九五年は公共投資額が五十二兆円でございます。九六年が四十九兆円、九七年が四十六兆円、九八年が四十六兆円、九九年が四十五兆円、二〇〇〇年度が四十七兆円ということになっておりまして、六カ年を合計いたしますと二百八十五兆円ということになります。したがいまして、六百三十兆円の進捗率から見ますと、大体四五%ぐらいという数字になります。
  187. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 実績で確定しているのは九五年が五十二兆円、九六年が四十九兆円、九七年が四十六兆円だと思いますね。それで、三カ年間で百四十七兆円です。残る四百八十三兆円を残る十年間で使うということで計算しますと、年平均四十八・三兆円になるんですね。  進捗状況という言葉を先ほど長官はお使いになりましたね。まさしくその進捗状況という言葉遣いにあらわれていると思うんですが、財政状況にかかわりなく、まるでノルマのように年ごとの公共投資が実施されていく、いわばその根拠にこの六百三十兆円、総額先にありきの公共投資基本計画がなると思うんですね。  この際、こういう仕組みは見直したらよいかと思うんですけれども、もう一度、長官、どう考えますか。
  188. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 決算として確定しておりますのは、おっしゃるように九七年までの百四十七兆円だけでございまして、あとはまだ決算ではございません。先ほど申し上げたのは予定でございます。  全体の見通しというものを一応立てまして、先ほどどういう計画があったかということが言われましたけれども、下水道は何%まで、道路はこの程度というようなそれぞれのものを出しまして、そして一応の目標計画として立てております。  ただ、これで毎年の予算がこれに拘束されて決定しているというわけではございませんで、その年の需要、経済情勢、そういったものを見ながら年々の予算は立てておりますから、これがあるからどうだ、来年度予算がこうだ、拘束されているということは必ずしも言えないと思います。
  189. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 では、総額六百三十兆円という枠組みを取り払うということですか。
  190. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) そうではございません。長期計画として六百三十兆円というものはやはり一つのめどとして持っておるわけでございますが、年々の予算をそれで輪切りにして何ぼずつというふうに平均的に割り振るというわけではございません。
  191. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 大蔵大臣に伺いたいんですけれども、公共事業というのは、本来、必要性、採算性、環境問題など総合的に勘案して必要な事業を積み上げていって予算を立てていくものだと思います。それが、六百三十兆円という総額が先にあって、そしていわばそれが保証になっているわけですよ、毎年毎年五十兆円近くの公共事業費、トータルとして。そういう仕組みになるのは、冷静に考えれば本末転倒の形になっていると思います。この六百三十兆という公共投資基本計画、今の財政破綻という状況からも、これを聖域にしないでこの枠を取り外して見直す、そういう決断が求められていると思います。  財政再建、それから建設公債特例公債の歯どめのない発行にストップをかけていく財政節度の回復、こういう観点からも私はこれが必要だと考えるんですが、大蔵大臣、どのように考えますか。
  192. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) お話があったので思い出しましたのですが、その六百三十兆円というお話は、そのときの背景は、日本が非常に輸出をどんどんしておりまして、そのころ言われたことは、ウサギ小屋に住んでいて輸出ばっかりしないで、もう少しちゃんと自分のうちをしたらどうなのというのが背景でそういう話ができてきたんです。  ところが、これはもう一昔前で、世の中もこう変わりまして、今、阿部委員が言われましたので私もそのことを思い出しましたのですが、そういうことは、日本のインフラは依然として貧弱だということは事実だし、一生懸命それはよくしたいということもそのとおりで、少しまだ輸出が過剰ぎみだということも本当なんでしょうけれども、しかし、今こういう不況を脱出して大変なときに六百三十兆という話は、私も実はちょっと失念をしておりまして、やがて日本のインフラはよくしたいと思っていることは間違いございませんが、別にそれに今何か財政が大変にここでできるとも思わないし、しなければならないとも思っておりません。
  193. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 この六百三十兆円という枠組みは日米経済構造協議の中から生まれてきたと思うんですね。最初四百三十兆円が二百兆円積み増しされたんですよ。そういう額でしかないんですよね。  それで、この公共事業の大もとにある六百三十兆という公共投資基本計画は取り払わないとおっしゃるんですね、お二人とも。これでは本当の抜本改革にもつながらないし、財政再建ができないというふうに私は思います。  このことを指摘して、二番目の問題に入ります。事業評価の問題です。  森総理は、さきの臨時国会で、私どもの山下議員の質問に対する本会議の答弁の中で、公共事業評価制度について、既に新規事業採択時の評価実施中の事業について再評価実施するとともに、事後評価の試行にも着手しており、今後ともこれらの改善を図りながら事業評価制度の確立に努めていくというふうにおっしゃっています。  そこで、きょうは今現に行われている公共事業の再評価など評価制度について質問します。  総務庁がことしの五月に、九八年度から実施されている公共事業評価制度について調査結果報告書を出しています。  そこで、総務庁にお聞きしたいんですけれども、今関係省庁が実施しているこの再評価は公共事業全体を対象としたものでしょうか。
  194. 塚本壽雄

    政府参考人(塚本壽雄君) お答え申し上げます。  ただいま委員指摘の公共事業の再評価システム等でございますけれども、これは公共事業全体を対象といたしておりますけれども、ただこの再評価のシステムそのものは、これは、平成十年三月に公共事業関係官庁が関係閣僚懇談会に報告した再評価実施する事業の考え方によれば、一定のもの、すなわち事業採択後五年間を経過した時点で未着工のもの、あるいは事業採択後五年間から十年間の一定期間を経過した時点で継続中の事業等ということでございますので、その限りでは全部が対象ということではございません。
  195. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 次に、この再評価実施したうち中止、休止、計画変更など事業を見直したものはどのくらいあるのでしょうか。これも総務庁に伺いたいんですが。
  196. 塚本壽雄

    政府参考人(塚本壽雄君) 私どもの調査結果その時点におきましては、公共事業関係官庁が平成年度に再評価を行った事業実施箇所は八千二百七カ所ということでございました。このうち事業を見直したものは百七十五カ所。内訳を申し上げますと、中止することとしたものが三十四、休止することとしたものが七十五、計画を変更することとしたものが六十六という状況でございます。
  197. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 つまり、今進められている事業評価というのは、再評価一つとっても、計画されたものの長期にわたって着手されないとか、それから完成予定を過ぎても終了しないものとか、こういうものを対象としている。いわば、ちょっとにっちもさっちもいかなくなったようなもの、それに近いものですね、こういうものを対象としていて、公共事業全体を対象としていないわけです。またその中で、中止、休止、計画変更など事業を見直したのも極めて限定されていて、見直しは二・一%、中止は〇・四%ですから、比率でいうと。  そもそも再評価の対象に上がらない事業の中にも見直しの必要なものがあるのだと思います。  例えば、これも朝日新聞八月九日付の社説ですが、「全国には、つい先日着工された岐阜県の徳山ダムや、付帯工事がかなり進んでいる熊本県の川辺川ダムなど、必要性や妥当性に強い疑問が出されている事業が少なくない。」、にっちもさっちもいかない、長期間工事着工しないとか完成予定より長期間ずれているとか、そういうものじゃなくてもこういうのがあるだろうと言っているわけです。「これらも見直しの対象に加えなければならない。」、こう指摘しているわけです。  また、事業採択後五年間未着工というものについて言いますと、そもそも「事業採択までの何年もの準備、調査期間を経てなお五年間も未着工という事態は民間企業では考えられない。したがって五年未着工は原則すべて中止、休止、事業の縮小のいずれかにするなら、まさに政治決断であり、「抜本見直し」の看板に偽りなしである。」、これは日経ですが、こういう指摘もあるわけです。  これらを見ても、九八年から実施されている再評価など事業評価というのは本格的な公共事業事業評価とは言えないと思うんですけれども、これは建設大臣に伺いたいと思うんですが。
  198. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 建設大臣、お答えになりますか。
  199. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 今、阿部委員からお話ございました公共事業評価制度というものは、私は大変大事なことであろうと思いますし、また今までもそのようにしてまいりましたし、今、総務庁長官お話しになりましたように、総務庁において再評価制度というものを確立しようということをしていらっしゃいますので、私は大変基本的なことだろうと思います。  ただ、今までも、建設省におきましても、事前に、最初に新規に工事に入りますときには必ず評価をしておりますし、事業の最中でもこれは再評価をしています。そして、工事ができ上がりましたときにも事後評価というものもいたしておりますので、各省庁でそれぞれの評価をしておりますけれども、今、阿部委員がおっしゃいますように、すべてその評価によっていかに、評価したからといって必ずしもその時代に合っているとは思わないものもあるんですけれども、私は今回の、余分ではございますけれども、昨日与党三党で決められました工事につきましても、政府としてはそれを重視し、また建設省としても、与党三党でのきのうの公共事業見直し案というものも百二の事業建設省は出しております。けれども、それらについて私は、それぞれの評価委員会というものもございますので、公共事業評価委員会等々にかけて、いかにそれを公正公平、また迅速に、今、阿部委員がるるおっしゃいましたけれども、私は公共事業は必ずしもむだ遣いばかりではないと。  いかに公共というものに対しての国民の認識があるか、また真に国民のための公共事業ができるかということに対しては、評価制度は大事な手続の一つであると認識しております。
  200. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 私の質問にもうちょっとストレートにお答えしていただきたいんです。よく聞いてほしいんですが。  総務庁が九八年度に、日本の公共事業関係六省庁が実施している再評価など評価実態について調べて、その報告書を出しているんです。    〔委員長退席、理事鹿熊安正君着席〕  それによると、結局、再評価の対象にしたのは公共事業の全部ではありませんし、それから再評価してみても、結果として見直しは二・一%、その中で中止は〇・四%程度だったんですね。これでは抜本的な見直しとは言えないと、これから抜本的な見直しを目指す立場からいえば言えると思うんですね。  今実施している建設省などの再評価など事業評価は、本格的な公共事業事業評価とは言えないのではないかということをお聞きしたんですが。
  201. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 基本的には今私がお答えしたとおりの体制で建設省は臨んでいるわけでございます。  また、御存じのとおり、総務庁からのお話でパーセントが少ないというお話もございましたけれども、公共事業評価につきましても、私が先ほど申しましたように再評価もしておりますし、新規採用時にも、これも評価に当たって環境への影響、それから住民の意見等々を聞くということを今既に実施しております。  ですから、そういうことに関してはすべて評価に盛り込んでしておりますけれども、この評価制度というものがまだ実施される前に着手した事業で、住民の皆さん方の理解が得られないで中止せざるを得ないという事業も既にあることも御承知のとおりでございますし、特に著しく環境に影響を与えるというようなことに関しても、私は、建設省としてもすべての省庁と連絡をしながら環境への影響、環境影響評価法ですね、それにも私たちは検討材料として評価制度をそのようにしておりますので、少なくとも私どもは環境への影響、特にマイナス面というものを大きくしながら環境影響評価法というものも対象にしながらやっておりますから、評価法そのものに関しては、建設省はすべてそれにかけているということを再度お答えしておきます。
  202. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 巨大公共事業省に来年なりますから、今現に行われている再評価など事業評価を厳しく見る必要があるというふうに私は思って質問したんですが。  ちなみに環境影響評価法ですけれども、日本の環境アセスメントというのは実施することが前提になっての影響評価ですから、これは諸外国と比べると全然お話にならないぐらい不十分なものです。本格的な公共事業事業評価をするために、総額の圧縮という問題とあわせて、やはり評価の仕方が問題になるというふうに思います。  質問をしたいんですけれども、現に進めている再評価システム等について質問しますが、総務庁です。  初めに、住民参加という点で評価実施しているところはあるんでしょうか。
  203. 塚本壽雄

    政府参考人(塚本壽雄君) お答え申し上げます。  私どもの調査いたしました例えば再評価実施でございますが、先ほど申し上げました公共事業官庁の方針の中で再評価の第三者機関を設置するということが行われております。    〔理事鹿熊安正君退席、委員長着席〕  そうしたものの構成メンバーを見たわけでございますが、国の行政機関、それから公団施行の事業で公団がそうしたものを置く場合、二通りございますが、私どもが見ましたところでは、これらの第三者機関におきまして広い意味でいわゆる住民代表に属すると見られる者を構成メンバーとするというのは公団に一例ございましたが、その他においては見られなかったという状況でございます。
  204. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 再評価に当たっていわゆる第三者機関というのを設置しているところもあるんですけれども、住民代表がそれに加わっているのは公団で一例があるだけです。  住民参加のない事業評価では、自分の事業を自分で評価するというお手盛りの評価になっていくということだと思うんです。実効性がない評価になっていくというふうに思うんです。私はこの住民参加を制度的に保障していくべきではないかと思うんです。  建設大臣、この事業評価に住民参加を制度的に保障していくべきではないかと思うんですけれども、どのようにお考えになりますか。
  205. 扇千景

    国務大臣扇千景君) 公共事業はすべからく国民のためになる公共事業というのが原則でございますから、今おっしゃったように住民の意見を聞くというのは、それはもう国民のための公共事業のはずでございますから当然のことだとは思いますけれども、建設省におきましては、先ほども申しましたように、事前に評価あるいは都市計画法等々決めてありますから、それによって私どもは所定の手続に基づいて住民の意見を聞くということ、それは既にしておりますし、環境に著しい影響を与えるというのは、公共事業の環境影響評価法に基づいて知事や住民の意見ももちろん今までも聞いておりますし、そして今回は、先ほど私も申しました法律で、総務庁できちんと法制化しようというふうになすっていますから、私どもは、その政策評価を法制局で法制化するということに対しては全面的に協力もし、建設省独自でも評価はしております。  件数はいろいろ申しませんけれども、これは参考人から聞かせていただいても結構ですけれども、建設省としましては、新規採用時の評価、あるいは先ほども申しました事業途中での再評価、そして工事ができ上がりましたときの事後評価等々事例を幾つか持っております。例えば平成十一年、これは十一年度予算ですから十年ですけれども、中止したものも十事業ございますし、休止しましたのも二十九事業ございますし、そういう意味では、建設省としては各公共事業に対しては評価制度というものを実施中でございます。
  206. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 その評価制度の中に住民参加を制度的に保障していただきたいという要望でした。  次に、各省庁が再評価に当たっての視点を定めていると思うんですけれども、総務庁に質問しますが、その中に環境への影響を大きな柱として設定しているところはありますか。
  207. 塚本壽雄

    政府参考人(塚本壽雄君) 私どもの調査におきましては、再評価という形で行われております評価の視点、この中に環境への影響というようなことが明示的に含まれている場合があるかというところを見たところでございます。  この場合に、視点の下にあります指標レベルでこれを見たところでございますけれども、その中には、指標の中に事業をめぐる社会的経済情勢の変化に関する指標として、明示的に自然環境条件というようなものを挙げているものが二十六のうち八つ存在しております。
  208. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 評価に当たって大きな視点として環境への影響ということを置いているところはないんですね。ただ細目の指標の中に出てくるだけなんです。  それから、もう一つお聞きしたいんですけれども、新規採択時評価について、費用対効果分析マニュアルを策定していると思うんですが、その中で環境への影響を盛り込んでいるのはどれだけありますか。
  209. 塚本壽雄

    政府参考人(塚本壽雄君) 御指摘の新規事業採択時評価でございますけれども、これに関連いたしまして建設省等の三省が策定なさっているマニュアル、二十一ございます。そのうち環境への影響というものを便益要素として盛り込んでおりますものは九ということでございます。
  210. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 問題は、評価する大きな柱の一つとして環境への影響が据わっていないということだというふうに私は思いました。  新規採択時評価の費用対効果分析マニュアルについて見ると、今おっしゃられた九つのマニュアルのうち八つのマニュアルはプラス面だけ考慮することになっています。一つのマニュアルだけが環境便益を総合的に把握するよう努めることとしていて、例示的にプラス面とマイナス面の両方を記述しているんです。こういう状況です。  公共事業実施するに当たって、環境問題は避けて通れないと思います。今問題となっている大型公共事業のほとんどは環境破壊が大きな問題となっているわけです。あれこれの評価一つ部分的に取り入れるのではなくて、公共事業のすべてについて評価する大きな角度、視点の一つとして環境への影響を据えるべきだと思います。  きょうはもう一つ質問をしたいので、残りの質問をちょっと省略いたします。  ダイオキシンの問題について質問いたします。特に系統的な測定の必要性について質問したいと思うんですけれども、ダイオキシンの排出を減らし、それから人体への摂取を減らすために、現在行われているダイオキシン測定をより系統的なものにしていく必要性が専門家はもとより地域の住民からも指摘されています。  まず、排出削減対策に生かされるべき廃棄物処理施設からのダイオキシンの測定についてですけれども、これは一般廃棄物を処理する市町村であろうと産業廃棄物を処理する業者であろうと、一週間とか二週間くらい継続して運転している状況、つまりふだんどおりの運転による測定ができない、そのことが指摘されているんです、それができないと。  というのは、ダイオキシン類対策特別措置法上は、設置者が毎年一回以上、つまり一回でも測定されればよいということになっているんです。これでは実態がつかめないという不信感があるわけです。この住民の不信感というのは当然だというふうに私は思うんですけれども、厚生省、どのように思いますか。
  211. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 御指摘のように、焼却施設からの排ガス中のダイオキシン類濃度の測定につきましては、平成九年の十二月から年一回以上の測定を義務づけられたところでございます。ダイオキシン類濃度の測定データの信頼性を確保するためには、ダイオキシン発生に関係が深いと考えられます燃焼ガスの温度とか排ガス中の一酸化炭素濃度についても基準を定めておりまして、これらにつきましては自動的に連続して測定できる装置により測定し記録しておくことという規定を設けております。  その二つをあわせますと、排ガス中のダイオキシン類濃度が通常の運転状態において測定されたデータであるかということについて確認することができるわけでございますので、ダイオキシンだけのデータを取り出してそれがどういうデータかということではなくて、運転状況のデータとあわせて見ることによって、それが一般的な運転状態におけるダイオキシン類濃度だということを判断することができますので、そういう意味ではこの目的から見て一応妥当な規定を設けているというふうに考えております。
  212. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 それじゃ甘過ぎるんです。年間一回以上、一回でいいというのはやっぱり住民の不信感がぬぐえないんです。  特に産業廃棄物の処理施設について言いますと、民間業者が毎年一回以上自主的に測定業者に委託するなどして行っているんです。その結果、都道府県知事に報告することになっているわけです。通常運転中の施設煙突の煙道から本当にダイオキシンを採取しているのかも含めて、精度管理に疑念がつきまとうわけです。自治体が抜き打ち検査を含めた立入検査ができるようなそういう体制づくりに向けた支援策も含めて対応策が必要ではないでしょうか。
  213. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 産業廃棄物の処理施設につきましては、維持管理上の基準というものを設けておりまして、その基準に適合するように運転しなければならないという義務が課せられております。そうした中にダイオキシン類等の検査につきましても事業者みずからが検査をするということが義務づけられているわけでございます。  しかし同時に、廃棄物処理法におきましては、都道府県知事とか保健所設置市の市長は産業廃棄物処理施設のある土地等に立ち入って、排ガス中のダイオキシン類の測定や燃焼ガスの温度、一酸化炭素濃度等のデータを確認することができることになっておりまして、こういうみずから検査するということとあわせて、行政的に第三者が検査することでそれを補完して、運転が適切に行われているかどうかについて確認することができるというふうに考えております。  ダイオキシン、地方自治体が立ち入り等に必要となる分析機器等については環境庁で一部機器整備が行われておりますし、私ども厚生省といたしましても、技術的な支援を行ってこうした自治体の行政検査というものが的確に行われるようにはしてまいりたいと思っております。
  214. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 次に、人体へのダイオキシンの摂取の削減のために食品のダイオキシン測定の系統性の確保について伺いたいんですが、まず農産物、畜産物、水産物並びに個別食品のダイオキシン測定の実情についてどの程度実施しているか、検体の数だけでもいいので教えていただきたいと思います。
  215. 三浦一水

    政務次官(三浦一水君) ダイオキシン対策は安全な食糧の供給を確保する観点から大変重要でございます。農林省としましても、ダイオキシン対策関係閣僚会議で決定されましたダイオキシン対策推進基本指針に基づいて、農作物、畜産物、魚介類等への影響実態の把握に努めております。その数は平成十二年度で農産物約四百検体、畜産物約百四十検体、魚介類百五十検体について調査を実施する予定でございます。
  216. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 厚生省。
  217. 西本至

    政府参考人(西本至君) ダイオキシンの汚染実態調査のことについてのお尋ねと思いますが、私どもは平成年度から魚介類等の個別食品中の汚染実態調査を実施してまいっているところでございます。さらに、平成年度からは、これに加えまして通常の食事から取り込むダイオキシン類の量を把握するために、一日摂取量、いわゆるトータルダイエット調査と申しますが、これを実施いたしているところでございます。平成十一年度につきましては、七地区十六カ所に調査地域を拡充いたしまして、よりきめ細かなデータの収集に努めているところでございます。
  218. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 具体的にお聞きしますと、今測定をやっているということ自体貴重な取り組みだと思うんですが、それをより充実していっていただきたいということになるんですけれども、昨年三月一日の予算委員会で、我が党の岩佐議員の質問に答える中で厚生省は次のようなことを言っているんです。コマツナのダイオキシン濃度が一グラム当たり〇・〇五八ないし〇・三四九ピコグラム、ホウレンソウが〇・〇四四ないし〇・四三ピコグラムの範囲というようにばらつきがある原因として、試料の採取場所あるいは時期、あるいは栽培の方法等が異なることが考えられるが、現時点ではサンプル数が少ないために的確な判断をすることは困難、こういうことを言っているんです。  私は、的確な判断ができるようなそういうサンプリング、それが必要だというふうに思います。つまり、食品を通してダイオキシンを摂取するということを減らしていかなければいけない。トータルダイエット調査でとにかくTDI、一日四ピコグラムよりも少ないからいいんだとかいうことではだめなわけです。減らしていくというそのために生かされるような測定が必要だというふうに思います。  そのためにモニタリング、常時監視、測定、特定の場所あるいは時間による変化、それを比べることができるようなモニタリング調査が必要だということが指摘をされています。そのことによって初めて農水省の測定値が厚生省の食品行政に生かされ、さらにそれが環境行政にもフィードバックされるし、逆に環境庁の測定値が安全な食品行政に生かされる、こういう体制ができていくんだというふうに思うんですが、そのようにしていく必要があるのではないでしょうか。  これは厚生大臣環境庁長官に伺いたいと思います。
  219. 津島雄二

    国務大臣(津島雄二君) 一般論で申しまして、阿部委員指摘のとおりモニタリングをできるだけやる、検体数もふやすし箇所もふやす、それが望ましいこと、これは私もそのとおりだと思います。  そのために、これはそれなりの体制なりいろいろ要るわけでございますけれども、一般論として申しますと、今厚生省の考え方は、平成十一年九月に行った、人が摂取しているダイオキシン類の調査の結果によりますと、ダイオキシン一日摂取量の平均については、体重一キログラム当たり二・〇ピコグラムでございました。これに対して、昨年度見直しを行った耐容一日摂取量は四・〇ピコグラムであり、耐容、つまり受け入れられる限度が四・〇ピコグラムであり、通常は調査結果の平均値はこれを下回るものであるということで、偏りのない食生活を維持することによって四・〇ピコグラムを上回って摂取することは考えられないというふうに今は考えております。  しかしながら、ダイオキシンについて実態を把握することは重要であり、今後とも、今、厚生、農水、建設各省でやっているというようなこともありますから、それぞれの密接な連携をとりながらダイオキシンについての調査を推進してまいりたいと思っております。
  220. 川口順子

    国務大臣(川口順子君) 委員おっしゃいますように、ダイオキシンのようにその影響が各般にわたる問題につきましては、各省庁連携をいたしましてモニタリングをきちんとやり、その結果をお互いに連携し合って、フィードバックし合って行政に反映していくことが非常に大事だというふうに私も考えております。環境庁といたしましてもそのようにいたすつもりでおります。  以上です。
  221. 阿部幸代

    ○阿部幸代君 どうもありがとうございました。
  222. 田英夫

    ○田英夫君 きょうは、河野外務大臣が中国を訪問しておられて御不在ですけれども、あえて中川官房長官においでをいただいて、外交・防衛問題を取り上げたいと思います。  実は、外交・防衛問題は最近、予算委員会でも決算委員会でも余り議論の対象にならないのが大変残念でありまして、じゃ世界じゅうに問題はないのかというと全くそうではなくて、逆に、冷戦構造が崩壊して、新しい世界の枠組みがどうできていくかという状況の中で問題は極めて多い、また重大であると思います。  現に、去る六月十三日、朝鮮半島で南北首脳会談が行われました。まさに二十世紀最後の年に歴史に残る大きな状況の変化が生まれているわけでありますが、こういう状況の中で日本がどう対応したらいいのかということ、これはもっともっとこの国会で行政府の皆さんと我々が議論をする必要があるし、また政党間でも議論をする必要があると思います。  そういう意味で、お互いに新しい二十一世紀といいますか冷戦構造が崩壊したそういう中で、外交戦略をそれぞれ出し合って議論をする、こういう態度が必要じゃないかと思うんですが、そこに行くには到底まだ私どもも準備不足かもしれませんが、そういう前提を目指しながら議論をしてみたいと思います。  結論を申し上げると、私は、日米基軸という、日本とアメリカという一国、この結びつきの中で、つまり二国間の安全保障条約、しかもそれは、もちろん経済の問題も書いてありますけれども、主として防衛問題といいますか軍事問題に力点を置いたそういう関係を続けていていいのかという疑問を持っております。  そうではなくて、世界は既に変化を始めている。早い話が最近の例でいえば注目された朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮がARFに参加をしたという変化ですね。ARFというのは名前はASEAN地域フォーラムでありますけれども、ASEANが中心になって今度は北朝鮮も入った、日本はもちろん以前から出席している。ASEANを取り巻く主要国はほとんどそこに顔を出して、しかも安全保障といいながら主としてむしろその地域に住む人たちの生活の安全といいますか、そうした問題まで含めて議論をしているという新しい時代の一つのモデルではないかと思います。  さすがにヨーロッパは既にもうそれをやり始めている。二国間ではない。むしろ、ヨーロッパの場合はそれがさらに国境の壁まで低くしているという、こういう状況が生まれているわけであります。  先週、二十五日に韓国を訪問して金大中大統領と会っていろいろ話をいたしましたが、そのときに金大中さんが提起した新しい問題は、韓国と北朝鮮とアメリカと中国と四者会談をこれから活発に進めていきたいという、こういう提案をいたしました。ちょうどその日に新聞記者に対しても彼が話したようでありまして、向こうの新聞には大きく取り上げられておりました。これもまた四カ国で話し合いをしながらその地域の総合的な安全保障の問題を話し合おう、こういうことであります。  社民党は、実はそれと同じように、この日本を中心にして考えて、南北朝鮮とそしてその北にモンゴルがありますね、それを取り巻いて大国として中国、ロシア、そしてアメリカも入れよう、さっきのARFの北東アジア版とも言える北東アジアの地域のフォーラムというべきものを構築していく、そういう努力を始めるべきじゃないか、こう思って実は金大中さんに会いに行き、九月には北朝鮮、そしてモンゴル、こういう国々を歴訪しようと思っているのであります。  官房長官、こういう考え方に対して御意見を伺いたいんですが、実は韓国に行く前に森総理にお会いをいたしました、あるいは河野外務大臣にもお会いをしてこの構想をお話ししました。  それぞれの反応がありました。森総理は、やはり日米基軸というのを大切にしないわけにはいきませんと、こういうお答えであります。河野さんは、確かに世界が変化していることに対応する必要があるということは私どもも考えていますと、こういうお答えがあったことを御報告しながら、政府としてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  223. 中川秀直

    国務大臣(中川秀直君) 委員初め所属される社民党が北東アジア総合安全保障機構ということで、モンゴル、カナダも含めた政治、経済、安全保障を協議する、そうした機構の創設を目指しておられる、また先般、韓国にも御訪問になったということは私も報道等で承知をいたしております。  我が国も、北東アジアの平和と安定の確保という観点から、従来より、域内諸国間の信頼醸成を促進するために、二国間のみならず多国間のさまざまなレベルでの対話を促進すべく努力をいたしておるところでございますし、今後ともさらなる努力を継続していくべきであろうと、こう考えております。  お触れにございましたARF、ASEAN地域フォーラムにおいて、今般、北朝鮮も参加をされ、そしてまたアジア太平洋地域の政治、安全保障問題について率直な対話、意見交換をしたということも画期的なことであろうと、このように考えておりますし、このARFについても政府としては一層の進展のために努力をしていきたいとは考えております。  また、小渕前総理がたしか二年かそこら前に御提案をしたことがございますが、日、米、中、ロシア、そしてまた韓国、北朝鮮の六者が参加した対話の場を設定しようという御提案をなさったことも多分委員は御承知だろうと存じますが、このような話し合いの場は、他の関係国等々の意向もあり、必ずしもそんな簡単にできることではないかもしれませんけれども、今後ともその実現に向けて政府としては努力を傾注していきたいと思っておるところでございます。  総理にもお会いいただいたようでございますけれども、総理がおっしゃることは、基軸ということと同時にもう一つ、やっぱりこれらの枠組みが今直ちに日米安保体制というものに取ってかわるものということは、政府の立場としてまだそこまでは考えていないと。日米安保体制というものは極めて極東の平和のためにもまた大切である、日本の平和のためにも大切であると、こう考えておるわけでございまして、先ほど来申し上げたような、また委員も御主張なさっておられるような枠組みが恐らくそうした二国間の枠組みを補完する、そういうものとして発展していくということが現段階では非常に重要なのではないか、このように認識していると、そんな認識を申されたのではないか、このように私は思っております。
  224. 田英夫

    ○田英夫君 私どもも、今申し上げたような新しい枠組みがそう簡単にできるとは思いません。各国の事情もありますし、国内の皆さんの御理解も得ていかなけりゃいけない。  私どもがこの北東アジア総合安全保障機構をつくろうというその最初の取り組みとして実は考えているのは、核兵器の問題であります。  既に南半球は、南極大陸を含めて全部の陸地が非核地帯になっていると理解しています。一九六八年にできた中南米非核地帯条約、トラテロルコ条約を皮切りにして、アフリカ、南太平洋、そして南極は南極条約によって完全に非核化している。  残念ながら北半球にはまだありません。その北半球の最初の非核地帯として、まさに唯一の被爆国である日本、非核三原則を持っております。南北朝鮮は、実は対立が続いておりましたが、一九九二年にこの朝鮮半島を非核地帯にしようということで南北が合意をしております。それを先日の六月十三日、両首脳によって確認をしております。それから、モンゴルは、一九九二年に単独で非核国家宣言をして、九八年にそれを国連総会が承認している。こういうことで非核の地位というものを国連によって与えられている。四つの国がそれぞれ非核ということを形は違うけれども主張しておりますから、理屈の上ではこの四つの国はもうすぐにでも非核地帯になれるという条件をそろえている。  この場合、アメリカと中国、ロシアというのがこの地域を取り巻いているわけですから、その核保有国はこの地域に対して核を持ち込まない、それからこの地域に対して核攻撃はしないということをこの条約の附属議定書によって約束してもらうと。これは中南米以来、南半球の条約は皆そうなっております。この影響は実は極めて大きいと私どもは期待をしているのであります。  一方で、今、官房長官が言われましたように、日米基軸ということが冷戦構造の中で、はっきり申し上げてソ連を一種の仮想敵といいますか、そういう対立する相手と考えながらできてきたことは事実であります。しかし、それが変化をしてきた。そういう中でいつまでも日米基軸という考え方でいいのかということを、外交の専門家の間では既にそうではないという意見が極めて活発に出ておりまして、あえてお名前を申し上げますが、松永信雄元駐米大使、今も政府の外交にかかわっておられますけれども、松永さんははっきりと日米中トライアングルということを考えるべきだと、こう既に数年前から言っておられます。  日米新ガイドラインが問題になったときに、当時私どもは与党におりましたが、与党三党の議論の中でそういう意見を言っておられたのを覚えておりますが、このことは、ひとつ官房長官初め、宮澤さんも長い、外務大臣の御経歴もありますから、各党の皆さんもこれはぜひ視野の中に入れていただきたいと。日米中トライアングルというのを軸にして先ほど申し上げたこの地域の各国が協力をする、そういうことを想定している、構想しているのであります。  そういう中で、実は中国との関係が、新聞などもぎくしゃくしているとかいろいろ書いておりまして、それを今修復するために河野外務大臣はおいでになっていると思っておりますが、きのう早速、唐家セン外務大臣との話し合いの中でいい方向に向かい始めていると。私どもも喜んでおりますけれども、どうもこの中国との関係という中で心配がありますね。  日本の中で、宮澤さんを仲間に引き入れては悪いかもしれませんが、私どもの世代はやはり戦前、中国というものを、あるいはアジアというものを視野の中に入れる、そういう中で育ってまいりました。戦後はまさに日米基軸で、多くの皆さんはアメリカを向いて育ってきたんじゃないか、アメリカの文化を吸収しながら育ってこられたんじゃないか。民主主義といえばアメリカだと、こう思っておられるんじゃないかという気がして。  私に言わせれば、教育問題もけさから出ておりますけれども、日本の教育が今非常に危ない、これは私も同感でありますけれども、その一つの原因は、戦後、アメリカ民主主義という名のもとにアメリカの物差しが日本の物差しになってしまった。アジアの伝統的な、あるいは東洋の伝統的なよき習慣あるいは道徳というようなものが軽視されたんじゃないか、家庭における教育の中でもそういう傾向が非常に強いんじゃないかと。アメリカは、私はそういう意味では決して先進国とは思いません。  それよりも、韓国や朝鮮の人とつき合うと、お父さんの前では絶対に息子さんは、成人していても先にたばこをのんだり杯に手を出すようなことはしませんよ。親に対して、あるいは目上の人に対して、目上というのは年齢の上の人に対して、あるいは先生に対して、絶対に礼儀正しい。こういうものが日本では失われてしまった。アメリカはヘイという調子でだれとでもつき合ってしまっている。これが日本の教育の中に悪影響を及ぼしているんじゃないかと私は思っているんです。  話がそれましたけれども、中国との関係ということを考えたときに最近心配なのは、中国の艦船あるいは調査船が日本の周辺をうろうろする、けしからぬと。  先日も、この前の臨時国会のときに、外交・防衛委員会で自民党の方と公明党の方が相次いでこのことを批判されました。しかし、本当にそれは、確かに人の家の前を通るときに近所づき合いなのにどうもと言って声かけないで通るのはけしからぬということは言えるかもしれない、まあ声ぐらいかけなさいよと、こういう程度のことじゃないですか。これ、国際条約的に言うと、例えば中国の軍艦が対馬海峡を通って津軽海峡を通って大隅海峡を通った、けしからぬと。これ、けしからぬと言えますか。  外務省、国際条約的に言って、日本は五海峡を国際海峡に指定して、そこは沿岸から三海里を領海にして真ん中のところはEEZにして航行の自由を認めていると私は理解していますけれども、したがって、そこを通ることは自由だと、批判されるべきものじゃないと思いますが、いかがですか。
  225. 谷内正太郎

    政府参考人谷内正太郎君) 御指摘の五海峡は国際海洋法条約上の国際航行に使用される海峡に当たると考えられます。  先生指摘のように、我が国はこのような国際航行の要衝たる五つの海峡につきまして、領海の幅を三海里といたしまして、その間の領海以外の水域は排他的経済水域としておるわけでございます。この我が国の領海における排他的経済水域の部分につきましては、国連海洋法条約三十六条の規定がございますけれども、航行の自由が認められるところでございます。
  226. 田英夫

    ○田英夫君 今の海峡の問題もそうですし、あるいは領海内といえども無害航行権というのがこれはもう海洋法条約で認められて、昔からですけれども、ここは通ってよろしい、航行してよろしいということになっています。  昨年の不審船の問題、これはまた別の意味でまさに不審船でありまして、防衛庁長官もこのことについては頭から離れないと思う。確かにそうですけれども、領海に入ってきたのはけしからぬとは言えないですね。あのときも漁業法違反だということでチェックをした。  あれで驚いたのは、あの問題があった直後に、野党第一党の指導者の一人が、領海侵犯罪をつくれと、こういう発言を公の席でされたんですね。領海といえども無害航行権というのは国際的に認められているというこの大前提を知らないで言われたとすれば、これは勉強不足と言わざるを得ない。  こういうことで、やはり国際的な基本のことはわきまえた上で、中国に対してももうちょっとやっぱりお互いに礼儀正しくやりましょうよという話をすべきじゃないですか。事実、河野外務大臣はきのうそういうことで話をされて、中国側も科学調査、海洋調査の場合は事前に通告する制度をお互いに相談してつくりましょうということになったということは大変結構なことだ、そういうことだと思いますよ。  中国側も世代交代が進みまして、昔の周恩来総理とか寥承志さんとかという人たちは日本で学んだこともあるし日本のことをよく知っていた。今の江沢民さんや朱鎔基さんはそういうことがありませんし、時代が変わって戦争の体験だけが残っている。こういうことの中で、日本の側も、さっき申し上げたように若い方はアメリカを向いて育ってきたというようなことでしょうか、私の理解で言えば。どうも中国の方に親しい目が向いていないという気がいたします。こういうことは私どもの責任かもしれません。  防衛庁長官に今度は厳しい問題を伺いたいんですが、いわゆるTMD、NMDの問題です。これはやはり日本の今防衛問題を考えるときに一番注意して議論をしていかないといけない問題だと思います。  アメリカは事実、NMDについては御存じのとおり実験に失敗をしている。それはそうですよ、この宇宙といいますか大気圏外を飛んで、大陸から大陸へ飛んでいく大陸間弾道ミサイル、そのミサイルの頭をこっちからミサイルを飛ばしてこの頭で撃ち落とそうというんですから、大砲の弾が飛んでくるのを大砲の弾で撃ち落とす。TMDは、ピストルの弾が飛んでくるのを、ピストルを撃ってピストルの弾で撃ち落とすと言ってもいいぐらいの、速力からいっても事実そうですよ、そのくらいの難しさのあるものを、アメリカのNMDは日本のお金にすると六、七兆円かかるだろうと言われています。TMDも二、三兆円はかかるだろうと言われています、研究して実戦配備するのに。これはもう研究費がついておりますけれども、防衛庁長官、このままお進めになるつもりですか、TMDを。
  227. 虎島和夫

    国務大臣(虎島和夫君) 申すまでもありませんが、私どもは専守防衛という立場をとっておるわけでございます。そういう中で、急迫不正の攻撃があった場合にはこれをきちんと処理するというのがまた私どもに課せられた使命であるという認識をいたしております。  そういう立場から申しますと、今お話のありましたTMD関係については、引き続き研究を日米共同して続けたいという考えを持っております。
  228. 田英夫

    ○田英夫君 日本がアメリカと共同で研究を進めるというのは、海のイージス艦を使ったTMDだというふうに理解をしておりますけれども。  話が飛んでしまいますが、一九六一年にアイゼンハワー大統領が大統領を辞任するときに、世界で初めて軍産複合体というものの存在を認めて、これが肥大化することを私は憂える、心配するという演説をしてやめたのでありますが、それまで、話が大きくなりますが、マルクス以来、産軍複合体とか軍産複合体というのは常にそういう議論になりました。しかし、資本主義国家側はその存在を認めなかった。ところが、一番の大将の、しかも軍人出身のアイゼンハワーさんがそれを認めた。私はそういう構造があると思わざるを得ないと思っています。  これは、防衛庁に対しては厳しい話ですが、事実ですから仕方がありませんが、NECの問題が起きました。これは要するに防衛関係のあれを、過払いになっていたというのを返還する、三百億返すというような話になって、今そこまでは来ているわけですけれども、こういう問題を見てみますと、TMDも恐らくそうなるであろうと思うんですが、TMDのある部分などは特定の企業しかつくれない。NECのあの明るみに出た問題も事実ですけれども、NEC一社しかつくれない、そういうものが防衛関係のいわゆる兵器の中にはあるわけですね。  そうなると、一体幾らなのかということが勝手に決められても対比するものがないんですよ。これ一種の軍産複合体的なそういう構造の中で防衛庁と関係企業が一つになってしまっていくという構造ができたら、憲法を持っている我が国にとって重大なことだと今考えざるを得ない。このことは、私は、非常に大きな問題とお互いに考えて事を進めなければいけない、配慮をしなけりゃいけないということだけ申し上げておきます。これはまた外交・防衛委員会などで議論をさせていただきます。  同じような意味で、もう時間がありませんからこれも一方的に申し上げますけれども、次期防の問題、もう来年から始まりますね。それに関連をして、現在までの中期防の中でP3Cを百機という体制をとってこられました。これなども大いに反省をしていただきたいんですけれども、この間ロシアの潜水艦の事故がありました。あのソ連全盛期に、アメリカがソ連の原子力潜水艦を日本海で発見するために日本と手をつないでというか、日本の自衛隊、P3C百機体制ということになったと言われているわけで、事実だと思います。  それで、当時、私どもも大変問題にいたしました。政府の御答弁は、P3Cは専守防衛の飛行機だ、潜水艦を発見する飛行機だから、攻撃するものじゃないからまさに日本にふさわしい、こう答弁をされた。ふさわしいかもしれないけれども、百機は世界一ですよ、圧倒的に。それまで四十九機だったものを五十一機ふやして百機にした。費用が百二十億の五十機で六千億という巨額のものを投じた、そういうP3Cですよ。今何に使うんですか、これは。そういうことになってしまう。  今、ロシアの原潜はもう全盛期の何十分の一に減っております。この間事故を起こしたものは、その残った数少ない中の一つです。そういうことも含めて、決算委員会だから申し上げるわけではありませんけれども、防衛費というのは一つ一つが巨額なものになります。今度、空中給油機の問題も、防衛庁長官、私はぜひ御再考をしていただきたい。これは昨年も同じことを申し上げました。私どもからすれば、幸いにして与党の中から反対が出て見送られました。来年度予算に一機分二百億を概算要求で要求されるということを聞いております。  P3Cは数もありましたが、そういうことも含めてひとつ外交・防衛委員会で改めて議論をさせていただきますけれども、本当に新しい時代の、本当に話し合いで平和なうちに近隣諸国と共存していくというそういう中で、もちろん防衛庁長官言われるように、防衛庁のお役目があることは理解をしながら──残念ながらゼロという数字になってしまいましたから、御答弁をいただくことを次の機会に残念ながらさせていただきますけれども、そういうことだけ申し上げて終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  229. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 無所属の会の岩本荘太でございます。本日最後でございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  ただいまは国際関係、外交、防衛、大変高邁な御議論でございましたが、私の質問はまた国内の方に目を向けさせていただきたいなと、こう思っている次第でございます。  一つは、きょうも朝から会計検査院の問題ございました。鹿熊先生、南野先生もそれを話題にされていろいろ御質問されたわけでございますが、その点につきまして、衆議院の決算委員会でもあるいは農水委でも取り上げられて、会計検査院それなりの御答弁をされておりますから、あえてさらに取り上げるということも何かと思いますが、私なりに感じた点から御質問させていただきたいのですが、私、これ新聞報道等を見まして、実は非常に身につまされたというのが本当の私の気持ちでございます。  といいますのは、私もかつてそういう検査を受けた立場におりまして、副長と机を間にしてやった経験もあるわけでございまして、そういう面から新聞記事が本当であれば、ああいうような態度をされたときに私は実際どう思うかなというふうなところに思いが行ったわけでございますけれども、何というか、やり切れないなという気持ちになったんじゃないかなというようなのが印象でございます。  正直に言いまして、この件についてはいろんな角度から御質問がございますけれども、受ける側からいたしますと、やっぱりこの決算委員会も似ているかもしれませんけれども、自分でやってしまったこと、やったことに対して検査をされるというのは非常に緊張を伴うことでして、何か間違いを起こしたということがなくても、起こしたんではないのかなという気持ちにいつもさいなまれているのが本当のところでございます。そういうときに、あるいは検査院の方もいろんな、まともに当たったら出てこないようなことをいろんな角度から引き出さなきゃいけないという手法の問題もあるかもしれないんですが、我々受けた側からいきますとそういう点が非常にあったということ、この辺をひとつ会計検査院の方で十分お考えいただきたいなというふうに思っております。  事実関係の調査をされているということですが、これ、何かもう謝罪されたというふうにお聞きしておりますので、その点はもう事実をお認めになったのかなというような感じがいたしますが、私は、一調査員の問題ではなくて、やはり国民に対してしっかり、税金を使っていることに対していかに真剣になってお互いに緊張感を持ってやっているかということを印象づけるためにも、会計検査院として、特に院長、しっかりと重く受けとめていただきたいな、こんな思いを持っているわけでございます。  それで、先ほど来御答弁ございましたけれども、調査というのは大体どんなふうにしていつごろ終わるのか、それで院長としてはどんなふうにこの問題をお取り扱いになるのか、その点だけひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
  230. 金子晃

    会計検査院長金子晃君) ただいまの議員の御意見、重く受けとめております。  当委員会、午前中の審議で、鹿熊議員、南野議員にお答えしましたけれども、本件につきましては会計検査院としまして大変残念、遺憾に存じております。今、議員御指摘のとおり、会計検査院の重要性、それから会計検査院に対する国民の期待が高まっているときだけに、今回の事件、極めて遺憾であるというふうに考えております。  本院職員は国家公務員として適切な行動をしなければならないということは当然でありますし、さらに、本院が国の唯一の財政監督機関であるということから、実地検査時の調査官の言動については慎重に対応しなければいけないということで、従来から通達を発し、繰り返し注意を喚起してきたところであるわけで、そういう中で起きたということで、これまた非常に残念だというふうに思っております。  今回の件につきましては、一連の行動につきまして遺漏がないように事実関係の調査をしているところでございますけれども、当該職員が国家公務員として不適切な言動をした事実をできるだけ早く確定できた段階で、速やかに厳正に対処したいというふうに考えております。  また、受検側と基本的に緊張関係にある会計検査に当たる調査官に対しましては、従来から各種の研修の際に本院職員としての自覚を踏まえて行動することが必要である旨を厳しく指導しているところでありますけれども、今回の件を契機に、改めて職員の指導監督の徹底を図りたい、同時に、今後の適切な検査のあり方、ただいま議員の御質問にもありましたけれども、会計検査院として検査のあり方等についても十分に検討を加えて対処をしていきたいというふうに考えております。
  231. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 よろしくお願いいたしたいんですが、先ほどちょっと言い忘れましたけれども、これは、例えば検査のたびにどこかへ行って公務員にあるまじきことをしたということでなくて、仕事そのもののやり方であるということから、これは検査院としてもしっかりと受けとめていただきたいな、このように思っている次第でございます。  それともう一つ、ただいま言いましたように、こういう決算委員会にしても、こういうような検査、やってしまったことをやる、審査するということに対して、検査院の方々の今回のことも踏まえて、他山の石として私自身は反省するところもあるかなと思っているんですが、やはりこの国会での議論というのは正直なところを話して正直なところをお聞きするというのが一番大事なところではないのかな、こんな感じがするわけです。  そういう意味で、ちょっと古い話で、これは正直でないという意味じゃございませんが、私、昨年十二月十日に国民年金法等の一部を改正する法律案等につきまして代表質問させていただきました。この法律はもう通りましたから法律をどうこう言うわけではございませんが、実はそのときから、もう半年前で寒い時期でございまして、今こんな暑いときに堺屋大臣に来ていただくのは恐縮なんですけれども、そのときにどうもひっかかっていることがございまして、今回、大臣に御質問できる機会を得ましたので御質問をいたしたいと思うんです。  私は、国民年金、これは言うなれば値切るわけでございますけれども、やはり日本の国の経済規模といいますか、これどうやってとらまえていいか非常に難しい問題であると思いますけれども、経済規模が将来どうなるかということと国民負担、年金の負担がどうなるかということは大いに関係するんだろうと。こういう観点から、将来例えば経済規模が変わらないとすれば、日本の国は今人口は伸びない、逆に減ると言われているわけですから、その老人というか年寄りの年金を値切るということは、逆に言えば、マクロな角度から見れば、全体の経済規模の中で残りのものはほかの方に行くと、そうすると不公平が逆に起こるんじゃないか。したがって、将来の経済規模ということを見据えることが非常に大事じゃないのかなということで実は御質問させていただいたわけです。  端的に、大臣にもう失礼ながら議事録をお渡ししておりますが、「もし現在と同規模を維持するとするならば、人口が横ばいであることを考慮すれば、年金を値切った分は年金受給者以外に回されることになり、今より不平等になると思われますし、もしGDPが減少するならば、景気回復によって国債の累積債務を減少させるという今の政府の言は信用できないことになる」と、今余分なことを言いましたけれども、そういう両刃のやいばみたいな関係にあるということで申し上げて、したがって大臣のお考えをお聞きしたんですが、御答弁が「将来の経済規模、GDPが現在より落ち込むようになれば、年金給付が値切られることによって国民の所得の配分の不公平が拡大するのではないか、我が国の将来の経済規模、GDPをどう見ているかという御質問がございました。」と、こういう御答弁を受けまして、食い違いがありまして、これがどうも気になっておりました。  実際に大臣にお聞きしたのは将来の経済規模ですから、その前提となることについてのお答えはそのときになくてもよかったのかもしれませんけれども、私自身としてはそことの関連でどうなるのかなということを考えたわけでございまして、その辺、今できれば前のこの代表質問のときよりも踏み込んで、将来の経済規模と年金との関係、その辺を御答弁いただけたらと思います。
  232. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 委員指摘のように、日本の人口は二〇〇五年ごろから減少に転じるんではないかと、こう見られております。しかも、それは若い方で減少に転じますから、高齢者がふえて働く人が減るという心配は確かにございます。  そういうときに日本としてどんな道があるかということでございますが、第一は、やはりなるべく高齢の方まで働いてもらえる、そういう社会をつくりたいと思っております。森総理の所信表明演説にも七十歳まで働くことを選べる社会をつくりたいということがございました。できることなら皆さんが元気で七十歳ぐらいまでは働けるようになると、この年金の問題でもかなり違った表情が出てくるんじゃないかという気がいたします。  第二番目の問題として、人口が減っても経済規模を落とさない、それだけ生産性を上げていかなきゃいけないということであります。昨年発表いたしました経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針の参考資料におきましては、二〇一〇年ぐらいまで人口の方は減少ぎみになってまいりますけれども、実質国民所得は二%ぐらいの成長率を確保したい、そういうことによりまして、高齢者に対してもそれなりの年金が支給できるような経済規模を維持したいと考えております。  私、この問題につきまして、過去、いろいろ歴史を調べて、人口が減って経済が成長したというような例がどこにあるかというようなことも調べてみました。そうしますと、十五世紀のイタリア半島というのはかなり急激に人口が減るのでございますけれども、その間にどんどんと、当時でございますから生産性の向上もそんなに大きくありませんが、百年ぐらいの間にルネッサンスが起こって向上して、一人当たりでは非常に高くなったというような例もございます。  だから、人口が減るから絶望的だとは言うべきではございませんで、日本もIT革命を初めといたしまして技術の革新によって効率のいい社会をつくっていけば、人口がふえなくてもいい世の中がつくれるのではないかと期待を持っております。
  233. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもありがとうございました。  ただ、今のお話で、人口が減ったら経済が成長しないかどうか、これは私、専門でないからわかりませんけれども、視点はそういうことでなくて、人口が減って経済規模が例えば維持できたとすれば、何も年金を値切らなくてもいいじゃないかというところに発想があって今みたいな御質問をしたわけでございます。その辺、もし何かお話がございましたら。
  234. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 人口が減ってもどんどんと経済が成長すればいじらなくてもいいという可能性もありますけれども、経済成長はいたしましても、やはり上が大きくなる、高齢者がふえる、下が小さく、働ける人が小さくなる、そういうことを予想いたしますと、今いろいろと検討されている、これはかなり高い水準で検討されているように私は思うのでございますけれども、そういう将来に合わせたものは必要になってくる、年金の見直しあるいは確定拠出型の問題を入れるとか、そういった年金の多様性というものも必要になってくるんじゃないかと思っております。
  235. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 私もこの問題、いろいろと人にも聞いているんですけれども、どうも素人考えのようだと言う人もおりますし、あるいはそういうこともあり得るかなと言う人もおるので、まだこれから勉強させていただきますが、将来の人口減についての経済のあり方といいますか予想については、経済企画庁に何か人口減少下の経済に関する研究会というのがあるようでございまして、その中間報告のポイントというのを私いただいたんですが、もう中間報告がなされているようです。  それを見ても、今、大臣が言われたことと近いと思いますが、人口減少による経済マイナス効果、これはマイナス効果があるという分析をされているわけでございますけれども、それは将来、女性、高齢者の就業率が高まることや、IT革命の推進等による経済の生産性上昇により打ち消すことができるであろうというようなことを書かれておるわけでございまして、これを見ますと、余計なことかもしれませんけれども、やっぱり人口というのは増でないとプラス効果というのは素直に期待できないのかなというような、景気に対してのプラス効果というのは素直に期待できないのかなというような感じがいたします。  それと、今、大臣も言われました。先ほどの答弁でも、やはり経済マイナス方向に持っていっちゃいかぬ、プラスの方向に持っていかなきゃいけないと。確かにそうだと思いますが、行かなきゃいけないのと行っちゃうのとはわけが違うんだと思うんですね。イタリアの例ではそういうふうなものはあったかもしれませんけれども、大体が人口増がプラス要素に動いているというのが実態ではないかなというような感じがいたすんです。  大臣もいろいろ言っておられますが、ひとつ大臣、やっぱり事業実施官庁でないというお立場があって、そういう点でいろいろと将来に対してお見通しをされると思うんですが、そういうことを具体的に将来に向かってどのように対応されていくのか、大臣が理想とされる方向にどういうふうに対応されていかれるのか、その点ひとつ御答弁をお願いします。
  236. 堺屋太一

    国務大臣堺屋太一君) 大変難しい問題でございまして、長期的に今の出生率がずっと続いて、五十年、六十年先になりますと大幅な人口減少になってまいります。そのときでも大丈夫かというとこれは非常に難しい問題で、やはり出生率の回復を長期的には考えざるを得ないと思うんですが、今、出生率が回復いたしましても、その人が働けるようになるのは二十年先でございますから、これからしばらく労働人口が減少するのは避けがたいということになります。そういたしますと、一人一人の人が効率よく働ける、そしてむだなことをしなくて済むという世の中をつくらなきゃいけない。  それで、一つは、情報革命を進めて効率いい情報化を進めようというのが一つでございます。  それから二番目には、先ほど申しました高齢者の方も楽に働けるようなそういう職種、職場、それから機器ですね、そういった技術開発も進めていく。  それから三番目の問題といたしましては、やはり都市が、「歩いて暮らせる街づくり」と呼んでおりますけれども、通勤距離がうんと短くなって、保育もできれば男女共同参画の方々も非常に楽に暮らせるようなそういった町づくりに変えていかなきゃいけない。この規格大量生産の時代には住居と職場をうんと離して、その間の通勤距離はどんどん伸びましたが、こういうのもやはり考えていかなきゃいけない問題だろうと思います。  そして最後に、過疎地帯対策でございますが、これは日本の村落といいますか、農村地域の再編成をして、いろいろと公共施設がございます、郵便局も駐在所も学校も診療所もございますが、そういうものの再編成を長期的には考えていかざるを得ないだろう、こう考えております。  そういうことによって社会全体の人口の配置を効率的にしていくという長期的な展望を、経済財政諮問会議などが発足いたしましたら、そういうところで検討していただきたいと思っております。
  237. 岩本荘太

    ○岩本荘太君 どうもいろいろありがとうございました。  まだ一分ございますけれども、あしたもございまして、あしたは大蔵大臣にまた御質問させていただきますので、きょうはこれでやめさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  238. 鎌田要人

    委員長鎌田要人君) 本日の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は明三十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会