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2000-08-03 第149回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年八月三日(木曜日)     午前九時三分開議  出席委員    委員長 原田昇左右君    理事 甘利  明君 理事 金子 一義君    理事 斉藤斗志二君 理事 中村正三郎君    理事 池田 元久君 理事 海江田万里君    理事 原口 一博君 理事 遠藤 和良君    理事 中井  洽君       伊藤 公介君    伊吹 文明君       石川 要三君    岩崎 忠夫君       大原 一三君    奥野 誠亮君       亀井 善之君    久間 章生君       栗原 博久君    小坂 憲次君       塩川正十郎君    砂田 圭佑君       高鳥  修君    中山 正暉君       丹羽 雄哉君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    福田 康夫君       牧野 隆守君    森岡 正宏君       八代 英太君    吉田 幸弘君       生方 幸夫君    金子善次郎君       木下  厚君    五島 正規君       城島 正光君    中田  宏君       野田 佳彦君    日野 市朗君       平岡 秀夫君    前原 誠司君       横路 孝弘君    赤松 正雄君       江田 康幸君    桝屋 敬悟君       鈴木 淑夫君    達増 拓也君       木島日出夫君    志位 和夫君       春名 直章君    矢島 恒夫君       辻元 清美君    横光 克彦君       山本 幸三君    井上 喜一君       小池百合子君     …………………………………    法務大臣         保岡 興治君    外務大臣         河野 洋平君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    文部大臣         大島 理森君    厚生大臣         津島 雄二君    農林水産大臣       谷  洋一君    運輸大臣         森田  一君    郵政大臣         平林 鴻三君    建設大臣         扇  千景君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 西田  司君    国務大臣    (内閣官房長官)    (沖縄開発庁長官)    中川 秀直君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 相沢 英之君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    金融再生政務次官     宮本 一三君    北海道開発政務次官    橋本 聖子君    経済企画政務次官     小野 晋也君    環境政務次官       河合 正智君    法務政務次官       上田  勇君    外務政務次官       浅野 勝人君    大蔵政務次官       村田 吉隆君    文部政務次官       鈴木 恒夫君    厚生政務次官       福島  豊君    農林水産政務次官     石破  茂君    運輸政務次官       泉  信也君    自治政務次官       中谷  元君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (金融庁検査部長)    西川 和人君    政府参考人    (法務省刑事局長)    古田 佑紀君    政府参考人    (大蔵省主計局長)    林  正和君    政府参考人    (水産庁長官)      中須 勇雄君    参考人    (日本道路公団副総裁)  村瀬 興一君    参考人    (株式会社新生銀行代表取    締役会長兼社長)     八城 政基君    参考人    (元日本長期信用銀行頭取    )            安齋  隆君    参考人    (株式会社日本興業銀行取    締役頭取)        西村 正雄君    参考人    (日本銀行総裁)     速水  優君    参考人    (預金保険機構理事長)  松田  昇君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員異動 八月三日  辞任         補欠選任   伊吹 文明君     吉田 幸弘君   奥野 誠亮君     森岡 正宏君   小坂 憲次君     岩崎 忠夫君   仙谷 由人君     前原 誠司君   赤松 正雄君     江田 康幸君   志位 和夫君     矢島 恒夫君   井上 喜一君     小池百合子君 同日  辞任         補欠選任   岩崎 忠夫君     小坂 憲次君   森岡 正宏君     奥野 誠亮君   吉田 幸弘君     伊吹 文明君   前原 誠司君     仙谷 由人君   江田 康幸君     赤松 正雄君   矢島 恒夫君     春名 直章君   小池百合子君     井上 喜一君 同日  辞任         補欠選任   春名 直章君     志位 和夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  予算実施状況に関する件     午前九時三分開議      ————◇—————
  2. 原田昇左右

    原田委員長 これより会議を開きます。  予算実施状況に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本日、参考人として日本銀行総裁速水優君及び預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として警察庁長官田中節夫君、金融再生委員会事務局長森昭治君、金融庁検査部長西川和人君、法務省刑事局長古田佑紀君、大蔵省主計局長林正和君及び水産庁長官中須勇雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 原田昇左右

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 原田昇左右

    原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤斗志二君。
  5. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 おはようございます。自由民主党斉藤斗志二でございます。  冒頭に、有珠山並び伊豆諸島で大きな被害をこうむられている皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。  私の質問時間はわずか三十分でございますので、テーマを絞ってお伺いをいたしたいと思っています。  最初に、九州沖縄サミットについてお伺いをいたします。  この数日来、国会におきまして、森首相よりも、九州沖縄サミットには大きな成果があった、特に平和の発信、これは力強いものがあったという御報告をいただき、まさしく私ども高い評価をするその一つでもございます。特に、沖縄の悲惨な歴史等々、よく国民に、また世界理解をされたことだと思っているところでございます。  そこで、絞って御質問を申し上げますが、国民の中で、あの施設、例えば万国津梁館、また道路整備下水道整備等々、公共事業を含めて八百億円も経費がかかったという議論があるわけでございますが、その評価は私はいろいろなものがあるかと思います。  ただ、次の展開を考えたときに、これを生かすべきだと考えておりまして、サミット開催というのは七年に一遍、ロシアが今度入ってくるということになると八年に一遍ということもあるかもしれませんが、何回も何回もあの沖縄の地を使うべきだと考えています。例えば、アメリカ大統領クリントン、今回来ましたが、もう次回には来られない方でございます。したがいまして、次回に関しましては新たな首脳が参加してくるということで、より多くの首脳に見ていただくということも必要であるかなと思っておりますし、また基地の役割につきましても、国際情勢を見ながら、また日本周辺情勢を見ながら、そして長期的に世界の軍縮に歩んでいく、それを七年ごとまた八年ごとにチェックしていく、そういう役割も十分果たす立地にあるかというふうに思っております。  したがいまして、次回もし沖縄で開くということになれば、今回投資された公共投資、次はゼロだということで、まさしく公共投資有効利用にもなるわけでございますが、きょうは担当沖縄開発庁長官、お越しいただいておりますが、次回も沖縄でやること、私はぜひともやっていただきたいと思っておりますが、その点の御意見を承りたいと思います。
  6. 中川秀直

    中川国務大臣 お答え申し上げます。  まさに委員指摘のとおり、初の地方開催であった九州沖縄サミットでございますが、特に首脳会談が行われた沖縄の県民の皆さんのすばらしいおもてなしといいましょうか厚いホスピタリティーによって、G8首脳にも大変御満足をいただいたということが言えると思います。スローガンのとおり「世界の目を沖縄へ 沖縄の心を世界へ」と、文字どおり沖縄の豊かな文化や歴史世界発信することができた、このような意味で、今回の沖縄開催は大変な成功であったと思っております。  次回のサミット開催会場沖縄にすべきだ、こういう委員の御指摘でございますが、今回のサミット開催に当たりましても、たしか八カ所だったと思いますが、全国各地から候補地が名乗りを上げられまして、いずれも甲乙つけがたい中で、小渕前総理がもろもろの思いを込めて決断をされた沖縄であったわけでございます。したがいまして、今から次回のサミット開催地について申し上げることは、ちょっと時期尚早というよりも、なかなか難しいことではございますけれども、またそういう場合には全国各地からサミット開催したいと多くの都市が名乗り出ている、そんな状況になっているのではないかと存じます。  しかし、他方委員指摘のとおり、今回の成果、それからまた平和の発信、また国際交流拠点としての沖縄ということ等々考えまして、そういう成果を今後とも生かしていくということは、政府としても大変重要なことだと考えております。  先般、そうしたことも考えまして、閣議を開きまして「国際会議等各種会議沖縄開催の推進について」という閣議了解をさせていただきました。これからさまざまな国際会議をこの沖縄でしていただけるように、国としても精いっぱい頑張っていきたい、また沖縄県を中心とした各種のイニシアチブに対しまして積極的な協力を行っていきたいと考えております。
  7. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 次に、外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。  二つお願いをしておったわけでありますが、一つは、今回、プーチン・ロシア大統領がデビューをされた沖縄サミットでございます。戦後日本外交において、対ロシアそして北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国のこの問題が残されているわけでございますが、北方領土返還並びに平和条約締結、これはワンセットだ、一括だということで、昨日も御答弁が他の委員からの質問でございましたので、これはその旨了解をするということで、時間の関係で次の質問に進みたいと思います。  私は、日ロの交渉の最初原点は、日露和親条約、一八五五年、私のかつての選挙区下田で結ばれたその条約にあるというふうに思っております。その中に、得撫島と択捉島の間に国境線画定するという条項がある。これが原点であり、ここからスタートして、また原点に戻っていかなきゃならないんだという日ロ関係があるというふうに思っております。  私も、長編アニメーションをつくりまして、数年来ロシアで上映をいたしてきておるわけであります。一昨年はサハリン、そして昨年はサンクト並びにモスクワ、ことしはできればクロンシタットへ行きたいというふうに思っておりますが、概して感じられるのは、この日ロ関係について、また歴史的経緯について、国内においても、またロシア国内においても、さらに国際世論においても、まだまだ認識度が低いということだと思います。  先日、北方領土返還正当性を訴えるということで啓蒙書も出されておるわけでありまして、これはロシア国内議員等々に対して約四千冊配付されるという、「日露平和条約締結への道しるべ」という安全保障問題研究会が発行したものでございますが、こういった地道な努力がもっともっと必要なんだというふうに思います。  北方領土返還並びに平和条約締結のための国際世論の喚起ということで、私ども日本はまだまだ努力が足りないと思っておりまして、ぜひとも外務大臣にはその点ただしておきたいというふうに思いますので、御答弁いただきたいと思います。
  8. 河野洋平

    河野国務大臣 北方領土返還のためのいろいろな努力というものの中に、確かに議員がおっしゃいますように、国際世論を喚起して、国際世論の力で北方領土返還をやろうということを私ども考えておりました。  ちょっと急なことで定かに申し上げられませんが、私の記憶では、G7サミットで何度かこの領土問題を取り上げて、日ロ間の領土問題というものも解決しなきゃいけないという趣旨のことをG7の中で議論して、国際社会にその旨を伝えたということが数回あったように思いますが、どうもその後、だんだんロシアG7の中に入ってきてG8になるということになると、今度はG8の中でこの問題が、なかなか議論が十分時間をとってできないというようなことであるのかもしれません。  いずれにしても、議員がおっしゃるように、国際世論に訴えるということは極めて重要なことだと考えておりまして、私どもも、でき得る限り関係国に対しまして、この領土問題、領土の画定ということが極めて重要であるということを申しているところでございます。  議員御承知のとおり、アメリカを初めとして、この領土問題は明らかに日本主張が正しいということについて理解をしてくれている国もたくさんあるわけでございますが、議員の御指摘もございます、ますます国際社会に対する訴えかけに努力をしたいと思っております。
  9. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 次に、外交外交でも、対米の問題について御質問をさせていただきます。  これは郵政大臣平林さんにお願いをいたしたいと思いますが、沖縄サミットの前に、日米間におけるNTT事業者間接続料の問題が決着をいたしました。主な内容として、三年間で二二・五%引き下げ、これが柱になっているわけでありますが、私は一つ決着がついたということについては評価をいたしておきたいと思いますが、その背景等々についてただしたいと思います。  と申しますのは、アメリカ側から出された要求根拠、これが長期増分費用方式というものに基づいているということでございまして、この問題につきまして、米連邦通信委員会FCCというのが決めた通信回線接続料現行算定法を、実はアメリカの高裁が違法と判断しているわけでございます。これは、法律違反をしている根拠日本に押しつけたと解釈できるわけでございまして、大変残念なことだな、遺憾なことだなと思っております。  また、去る七月十八日には、いわゆるホリングス法案というのが通過をいたしております。これは、外国政府出資企業、これは二五%以上でございますが、それによる米国通信メディアへのFCC免許付与等を禁止する法案ということでございます。こういうことになりますと、一九九八年に発効したWTOの基本電気通信合意に違反してくるのではないかと思います。  私どもから見るとフェアな対応の仕方ではないというふうに思っておりますので、アメリカに対してしっかりとした日本主張をこれからも続けていかなきゃならないというふうに思っておりますので、その点、郵政大臣お尋ねをしたいと思います。
  10. 平林鴻三

    平林国務大臣 初めに、日米規制緩和協議の懸案になっておりましたNTTの接続料問題についてでございますが、これは八代大臣から非常に努力をされておられて、私が引き継いだ問題でございます。早速に佐田総括政務次官常田政務次官とともに各方面との連絡に当たりまして、方針として、サミット前に次官級折衝までで決着をするという方針を立てまして、各方面の御協力、御努力をいただきまして、その方針どおり決着をいたしました。与党はもとよりでありますが、民主党からも御意見をいただきました。決着に至りましたことを感謝いたしております。  もともと郵政省といたしましては、電気通信分野における競争促進を通じて、市場活性化、料金の低廉化サービスの向上を図ってきております。我が国自身の問題としてこのような課題に取り組んできたところでありまして、さらに、この主体的な取り組みについて米側に誠意を持って説明してきたというのが経過でございます。他方米国に対しましては、双方向性原則、お互いにやりとりをするという原則に基づきまして、これまでも規制緩和対話等の場におきまして、米国市場における参入障壁撤廃等の要望を行ってきたところでございます。  米国での長期増分費用方式は違法かどうかということにつきましては、判決が出されたという新聞報道がございますが、これはさらに控訴するかどうかという問題が残っておるようでございます。  これはともかくといたしまして、御指摘ホリングス法案は、このたび、御指摘のとおり、外国政府が二五%以上出資する企業に対して連邦通信委員会による免許付与等を禁止するという法案でありまして、上院の委員会を通過したことを受けまして、私からUSTRバシェフスキー代表に対して懸念を表明する書簡を七月二十六日付で送付いたしまして、USTR代表が必要な行動をとることを強く要請いたしたところでございます。  郵政省といたしましては、今後とも、我が国情報通信分野における諸課題につきまして、みずからの問題として取り組んでまいるとともに、米国政府に対しましては、より一層の透明かつ公正な市場を実現するように求めてまいりたいと存じております。
  11. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 電気通信料国民サービスに直結する問題でございますので、低廉にしてかつ良質なサービスを引き続きつくっていただくように努力をまたお願いもしたいというふうに思います。  次に、選挙関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  この秋に国勢調査による人口異動が数値として調査されて、また年末ないし来年早々には速報値も出てくるというふうに聞いておりますが、今回、小選挙制度のもとで選挙をやりまして、さらに、人口変動によりまして選挙区の定数も変えなきゃならないということが想定をされます。そうしますと、小選挙区の線引きをさらにいじってくるということになりますと、細切れがさらに細切れになる可能性もあって、限界を来すのではないかと心配をいたしているわけであります。  例えば、これは仮定の話でありますが、私は静岡県で、現在九の小選挙区がございますが、県として一つ定数を減らせという国勢調査の結果が出た場合、これを八にするというのは至難のわざだというふうに思っておりまして、こういう場合どういうふうな対応をしなきゃならないのかな。さらに細切れにしていくのか、小さな町を分割しちゃうのかということになるかと思います。  そうなりますと、その都度、国勢調査が出るたびにそういう事態が起きるということは、選挙制度信頼性ということが著しく欠如してくるというふうに思っておりまして、この小選挙制度限界というのを国勢調査とともに考えなければならない。私は、長期的に安定した、また、そんなに大きな選挙区が変わらないという制度も模索しなければならない、そういう点で、もう一度、中選挙区または他の、小選挙区ではない選挙制度の導入も考えなければならないというふうに思っておりますが、担当大臣、お答えいただきたいというふうに思います。
  12. 中谷元

    中谷政務次官 区割りの問題につきましては、衆議院選挙画定審議会設置法に基づき、本年の国勢調査人口最初に官報で公示された日から一年以内に区割り改定案の勧告を行うというふうにされております。  その際、選挙区画最大人口格差が二倍以上とならないようにすることを基本とするとともに、行政区画、地勢、交通等の事情も総合的に考慮すべきことが規定をされておりますが、いずれにしましても、この作成は第三者機関である同審議会に全面的にゆだねられているものでありまして、政府としては、その決定を尊重すべき立場であるということが決められておりますので、それに従って行うものでございますが、この見直し等につきましては、議会政治の根幹にかかわる問題でありますので、各党各会派で十分論議されるべきであるというふうに考えております。
  13. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 しっかりとした議論が必要かなというふうに思います。二十世紀が終わり二十一世紀に入っていく中で、議院内閣制限界というのも感じているところでございます。私は、議院内閣制国民投票による首相の直接選出ということの組み合わせが二十一世紀日本のあるべき選挙制度ではないかなというふうに思っております。もうこれ以上、これは議論をいたしません。  次に、国家公安委員長お尋ねをいたしたいと思います。  昨年の神奈川県警における不祥事以来、全国警察不祥事が相次ぎました。国民から警察改革が強く求められているところであります。先般出された警察刷新会議緊急提言を受けまして、今後、警察に対する国民信頼を回復するために、警察改革に真剣に取り組んでいただきたいと思いますし、私は、特に監察制度の再構築、さらに市民、国民に親切なお巡りさん、そのようなことをしっかりと確立していただきたいと思っておるわけでございますが、警察改革にどのように取り組んでいくのか、国家公安委員長のお考えをお伺いしたいと思います。
  14. 西田司

    西田国務大臣 お答えをいたします。  今、日本社会は大きな変化を来しております。その中で、御指摘のように、良好な治安というのは国家社会発展の基盤であるわけであります。良好な治安を維持し、国民が安全で安心をして生活できる暮らしを実現するためには、警察には、まず第一番目に国民警察に対する信頼を取り戻していく、このことが第一だと考えております。  去る七月十三日、御指摘のように警察刷新会議から、警察刷新に関する緊急提言が提出をされたところであります。私どもは、いただいた御提言につきましてはこれを重く受けとめ、関係方面の御意見伺いながら、国家公安委員会並び警察庁において十分に検討を進めていく考えであります。  警察法改正警察改革案の速やかな具体化と取り組み、このことが国民信頼を回復していく最も大事なことだ、こういうことを基本に置いて今後懸命に取り組んでいく覚悟でございます。
  15. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 現場の警察官大変御苦労も多いかというふうに思います。例えば相談業務の中に一一〇番有効受理件数という一つの指標がございまして、かなりの部分行政部分にかかわる問題だということもお聞きいたしております。例えば、ごみの処理をどうするのか、犬がいなくなったので捜してくれとか、男女間の金銭のもつれ等々、こういうことまで警察官がやらなきゃならない。気の毒だなと思いながらも、ぜひとも信頼回復のために努力を重ねていただきたいと思います。  次に、森田運輸大臣お願いをいたします。  御案内のように、自由民主党では、精力的に公共事業抜本見直し検討会というのが開催をされ、議論を積み重ねているところでございます。そこで、原則として、事業採択から五年を経過した時点での未着工の事業などについて公共事業の再評価を実施する方針検討されている、そういう状況下にあるわけでございますが、運輸大臣は、港湾等々多くの公共事業もお持ちでございます。  また、今回の伊豆諸島におきましても、外部との交通網等々は港湾でなきゃならない、そういう寸断された状況の中で、新たな公共事業も必要だというふうに思っておりますが、公共事業の再評価についてどのような姿勢で臨まれるのか、大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  16. 森田一

    森田国務大臣 ただいまお話のありました公共事業見直しの問題につきましては、大臣就任のときから再三にわたって申し上げておるところでございます。鉄道、空港、港湾等の効率性、透明性ということを考えていく上におきまして、事業の再評価というのは、最初のときからも、また採用された後もぜひとも必要なわけでございます。  そして、今自民党の方におきまして公共事業見直しがなされておるわけでございますが、これらの何らかの方針が出たならば、その方針にのっとりましてさらに厳正に見直しを進めていく。また、お話のありました必要なところへはぜひともつけていく、このような態度で臨んでいきたいと考えております。
  17. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 次に、通告では教育改革なんですが、先にそごうの問題をさせていただきます。  そごう問題については、与党初め関係方面での説明が十分行われていない、したがって社会が混乱をしているというふうに私は認識いたしておりまして、このような批判もあるわけでございますが、この批判について、金融再生委員会、また委員長として、どのようなお考えなのか、どのように国民理解を求めていくのか、御説明いただきたいと思います。
  18. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 お答えします。  御案内のとおり、そごうの問題等につきましては、瑕疵担保を初めといたしまして、技術的、専門的にわたる問題も多く含んでおりまして、なかなか国民の一般的な御理解を得ることは難しい点もありますが、今後とも、再生委員会といたしましても十分にその点に関しまして経過、内容等の説明をするとともに、さらに御理解を得られる努力を続けてまいりたい、このように考えております。
  19. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 時間がないので、残念でありますが、次に法務大臣お尋ねしたいと思います。  現在のそごうは長年にわたり債務超過に陥っておりまして、粉飾決算した疑いもあるわけでございます。また、水島前会長は、この十年間に四十四億円もの所得があったと言われています。これらは、水島前会長の国民に対する裏切り行為ともいえ、国民感情としては納得できないものがあると思います。そごうの水島前会長に対し、粉飾決算を視野に入れた刑事責任を追及すべきではないかというような声も国民の中にあるわけでありますが、法務大臣の御認識を伺いたいと思います。
  20. 保岡興治

    ○保岡国務大臣 斉藤議員が御指摘のように、そごう問題は非常に国民の関心も高くて、しかもこの国会でもいろいろな角度から種々御議論があっているところでございます。  今、議員の御指摘の点も承ったところでございますが、ただ、具体的にどういう犯罪の嫌疑があるかということで捜査を始めるかということは、あくまでも捜査機関が判断するところでございますので、法務大臣としては発言を控えさせていただきたいと存じます。ただ、一般論として、あくまでも一般論でございますが、検察当局としては、いろいろな情報に触れて、法と証拠に基づいて刑事事件として立件すべきものがあれば、これは所要の捜査を遂げて、適切、厳正に対処するものと承知いたしております。
  21. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 時間がなくなって、最後になります。教育改革、大島大臣お尋ねしたいと思います。  まず現状認識でありますが、学力の低下、体力の低下、社会規範の低下、学校における教育力の低下、家庭における教育力の低下、すべて悪い事象があらわれている。十数年前にアメリカで、ネーション・アット・リスク、危機に立つ国家という中で教育改革が進められて、今アメリカはその復興の成果を享受しているわけでございますが、時間がないので、二つ。  一つは、学力の低下が叫ばれ、問題視されている中で、学習指導要領の改訂、これはさらに学力を低下させる内容だということが識者の中で指摘され、私もそうだと思う。授業時間を減らしていくんだから。なぜ学力の低下を招くようなことを進めていくのか、私は納得できないんですよ。断固これは中止、白紙に戻し、そして新たな国民教育の中での構築を図るべきだという、この点が一つ。  時間がないのでもう一点。今、中高一貫というお話、悪い話ではないがなというふうに思っていますが、しかしながら、二つ欠点がある。  一つ、現在の小学校は六年制、これはもう長過ぎると思います。制度と実態がミスマッチした状況で、小学校は五年でも十分だというふうに思っておりますし、また、中学三年は短過ぎるので、中学校は四年ぐらいあって、現行の義務教育九年は変えないで、教育改革に最初に取り組むべきだという考えを持っておりますが、ちょっと粗っぽい質問で申しわけない、時間の関係で。  その二点について、文部大臣よりお尋ねいたしたいと思います。
  22. 大島理森

    ○大島国務大臣 学力低下という点については、実は、今の子供たちはそんなに低下いたしておりません。特に理科と数学においては、国際比較をしても決して劣ってはいないと思います。  ただ、新しい指導要領は、基本的に詰め込み過ぎだという非常に大きな批判と問題提起がなされまして、一つは、基礎はきちっとやりましょう、その後は、まさにその人の習熟度に合わせていろいろな対応をしていきましょう、それで最後には、高校を終える段階では今のレベルとは落としていませんという意味で、今各識者からの御指摘があることも踏まえまして、新しい学習指導要領を変えるという方針はとりませんけれども斉藤委員の御心配の点も踏まえまして、実態を把握するために、来年度それから翌年度を踏まえまして、小中高の全国的な今の知識の程度を調べることをやりたいと思っております。御指摘の点を踏まえながら、新しい学習指導要領の中でどう生かすか、考えてまいりたいと思っております。  それから、自来の先生の御主張でございます。まず中高一貫教育をしっかり定着させながら、そして、その上に立って小学校のあり方も試行的にいろいろ議論して、先生の御主張の点がどういう効果があるのか、それが中高一貫教育とどういうふうになるのか。  いずれにしろ、今の日本の子供たちに知識はありますけれども、それを生かす力、あるいはそれを対応させる力が足りないという意味で、いわば生きる力を育てるということにしっかり私どもはこれからも頑張っていきたいと思いますし、委員の御指摘の点もしかと踏まえてこれからも努力してまいりたいと思っております。
  23. 斉藤斗志二

    斉藤(斗)委員 終わります。ありがとうございました。
  24. 原田昇左右

    原田委員長 これにて斉藤君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  25. 原田昇左右

    原田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団副総裁村瀬興一君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 原田昇左右

    原田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  27. 原田昇左右

    原田委員長 次に、前原誠司君。
  28. 前原誠司

    前原委員 民主党の前原でございます。  まず、今委員長から、道路公団の副総裁参考人として呼ぶということでありました。私が今回質問するに当たりまして、参考人としてぜひ呼びたいとお願いしたのは、藤井総裁であります。  今まで予算委員会理事会の場でかなりの議論があったと伺っておりますけれども、私は、中尾元建設大臣の問題に絡んで、行政の側でも、無理やりというふうに言われておりますけれども、無理やりとはいえ、一たんお金を受け取った形になった人がいる、そしてまた、絵画をもらう、あるいはもらいかけたという言い方が正しいのかもしれませんが、そういう人がいる。そういう、つまりは税金というものを使って公共事業が行われているわけで、それに対して国民信頼を著しく傷つけるようなことがあれば、国会が自浄能力をしっかりと発揮をして、そしてそれをみずから明らかにしていくということが私は大切だと思いますけれども、与党の理事さんは、なぜか知らないけれども、藤井総裁を出してこようとしない。これはおかしい話だと私は思います。なぜ藤井さんを隠すのか。なぜ出さないのか。もっともっと表に出てきて、ちゃんと言ってもらったらいいじゃないかと私は思うわけであります。  私は、やはり与党の体質、姿勢に問題があると。やはり、国会全体が与野党かかわらず自浄能力を発揮するという意味で、疑惑を持たれている人がいれば出してくるというのが当たり前の議論じゃないですか。それが、数の論理で、しっかりとした議論ができない、そういう人を呼べないということは、私は、この予算委員会がうまく機能していないということを非常に不満を感じるわけであります。  そういう意味で、私は、藤井総裁参考人要求というものを改めて委員長に対して申し上げていきたいと思いますし、今回のことに対しては、やはり与党の理事さん……(発言する者あり)聞いていますよ、ちゃんと。与党の理事さんに対しては、自浄能力をしっかり生かすということで、しっかりと私は対処していただきたい、自省を促していきたいというふうに思います。(発言する者あり)与党の理事が出さないからそう言っているんだ。  委員長にそのことを私は強く申し上げて、質問に移らせていただきたいと思います。
  29. 原田昇左右

    原田委員長 委員長から申し上げます。  前原君、理事会でこの話は議論をし、決めた話でございますので、そのようにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  30. 前原誠司

    前原委員 私は理事からちゃんと聞いていますよ。つまりは、決めたわけでない、与党の反対によって呼んでこられないだけだということを聞いています。今の委員長の仕切りはおかしいんじゃないか。
  31. 原田昇左右

    原田委員長 いいですか。それでは、何か、決めたということについて御異存があるということでございますので、別途協議と決めたわけでありますから、それをよく理解して御発言いただきたいと思います。
  32. 前原誠司

    前原委員 よく理解して発言をしています。だから、自浄能力をこの予算委員会として、国会として発揮をして、ちゃんと呼びなさいということを申し上げているわけです。だから、ちゃんと協議してください。うちの理事はちゃんと要求をしています。  そのことに基づいて質問をさせていただきたいと思います。  藤井さんに聞きたかったことは中尾元建設大臣の汚職の問題に絡んでのことでありましたけれども、副総裁には政策の議論を私はお伺いして、またあした私、建設委員会で一時間質問をする時間もありますし、そのときは小野事務次官が出てこられるということでありますので、事件絡みのことについては小野さんに私がしっかりと問いただしていきたいというふうに思っています。  私が今回質問する道路公団の問題というのは、今回の総選挙でも一つの大きな焦点となりました公共事業の問題に絡んででございます。私は今回の選挙でも自分の選挙で強く訴えてきたわけでありますけれども、やはり公共事業の問題が多くて、それに対してしっかりと政治がメスを入れていかなくてはいけない。そして、その一つの大きなポイントとして、個別事業もさることながら、日本道路公団の今の経営状況というものを私は独自に選挙の中で訴えてまいりました。  非常にグッドタイミングなんですけれども日本道路公団経営改善委員会というのがございまして、意見書の提出というものが七月の二十八日、つい先日でありますけれども、なされております。いろいろな識者の方々から、JHの経営改善を図るためにということで答申が出されているわけであります。これについては、評価できるところとできないところがあるんですね。  まず、評価できるというか同じ認識の部分について申し上げますと、整備計画区間というのがあります。これは九千三百四十二キロメートル。これは高速道路で、公団によって現行のプール採算のもとで整備されるものということで、これについては整備をやっていくことは可能であろうということが書かれております。ただし、前提条件がついていまして、完成時期の問題や国費負担、あるいは収入見込みなどが当初の予定と狂えば、それについての実現は困難である。そしてさらに、高速道路の全体計画一万一千五百二十キロメートルについては、公団がやっていくことについては実現は困難であるということをはっきりと言っているわけであります。  整備計画は今の前提であればできるけれども、一万一千五百二十キロメートルという全体計画については、今の前提でも無理だということはそのとおりだと私は思いますけれども、甘いと申し上げているのは、この整備計画も、私は、とてもじゃないけれども実現が不可能ではないかというふうに見ているわけであります。  ちょっと詳しく、委員皆さん方にも含めて聞いていただくために数字を申し上げたいと思うわけでありますが、今のその全体計画というものがどういうものかというと、これは、一般国道の自動車専用道路を含めた高規格幹線道路の全体計画というのは大体一万四千キロあるんですね。そのうち高速道路としてやろうとしているものが一万一千五百二十キロメートル。その一万一千五百二十キロメートルの中で整備計画区間と位置づけられていますのが九千三百四十二キロ、そのうち六千六百キロがもう供用されている。そして、一万一千五百二十キロのうち、後で申し上げますけれども、高速自動車国道に並行する自動車専用道路ということで、かなり国費が使われて有料道路になっている、そして残りの約一千二百キロメートルについては着工の見通しが立っていない、こういう話であります。  まず私が道路公団の副総裁お尋ねをしたいのは、この経営改善委員会意見書、つまりは、九千三百四十二キロメートルというのは今の前提であれば大丈夫でしょう、しかし全体の一万一千五百二十キロメートルについては無理ですよ、こういうことが言われているわけでありますけれども、この経営改善委員会の答申についてどういうふうに考えておられるのか。そのとおりだと思われるのか、いや、できますよというふうに思われるのか。その点、いかがですか。
  33. 村瀬興一

    ○村瀬参考人 お答えをさせていただきます。  先ほど先生がおっしゃいましたように、七月二十八日に日本道路公団経営改善委員会から意見書をいただいております。  その内容について先生おっしゃいましたけれども、九千三百四十二キロを超える部分については無理だというふうに先生おっしゃいましたけれども、ちょっとそこは不正確でございまして、その答申で言っておりますのは、現在のやり方では九千三百四十二キロを、今までのやり方で整備するのは困難であるというふうに言っておりまして、その中で、今後のやり方としては三つの選択肢があるというふうに言っております。  一つは、現行の制度、条件による整備は、おおむね現在の整備計画区間、九千三百四十二キロでございますけれども、によるネットワーク程度と考えるというのが一つの選択肢。それからもう一つは、国の整備目標時期、二十一世紀初頭でございますけれども、からは整備の完成時期が大幅におくれることとなるが、現行の制度、条件のもと、償還可能な投資計画の範囲で九千三百四十二キロメートルを超える区間も逐次整備を進めるというのが二番目でございます。それから三番目でございますが、現行の制度、条件に加え、国民負担を強化するなど、制度、条件の拡充を行い、目標とされる完成時期の達成を目指すというのが三番目でございます。  三番目につきましては、これらの重要区間の扱い、あるいは早期整備、厳しい財政状況等の課題を考慮し、国全体として今後の整備をどうするかということとあわせて結論づける必要があるということもあわせて言っております。また、最終的には国民のコンセンサスが得られるように進めていくことが重要で、広く国民意見を反映しつつ、審議会等公開の場で議論を進め、最終的には国会等を通じて決定するということが望まれるというようなことを言っていただいております。  したがって、現行のやり方ではもちろん困難でございますけれども、今の三つの選択肢の中で、全体の議論として選択をしていただいて、その結果が得られれば、私どもとしては、その方針に従って全力を挙げて私どもの責務を全うしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  34. 前原誠司

    前原委員 現在の条件のままでは目標とする整備の実現は困難だというのは、そのとおりであります。  私が言いたいのは、現状の制度、条件のままで、一万一千五百二十キロメートルどころか、整備計画区間の九千三百四十二キロメートルも無理だというのが私の申し上げたいことなんですよ。  どういうことかといいますと、今は九千三百四十二キロのうち六千六百キロ余り、六千六百十五キロが供用されておりますけれども、道路公団の試算というのは、私から言わせるとかなりでたらめなんですね。どうでたらめかといいますと、次々と前提を変えていくわけですね、年度がたつにつれて。それが社会情勢の変化といえばそのとおりなんですけれども、どんどんどんどん条件を変えていくわけです。  例えば、事業計画への疑問ということで申し上げると、プール制というのがありますね。平成六年の料金値上げのときは、まず、換算の起算日というのを平成四年に置く。つまり、平成四年から何年までプール制の中で料金徴収期間を満了させるか。つまりは、これからつくる高速道路も含めて、プール制のもとでいつ料金徴収期間を満了しますよという平成六年時の予定では、その料金徴収期間満了日が平成四十四年なんですよ。つまり、四十年間でトータルとして返していきますというのが平成六年のときなんですね。  今度は平成十一年に見直しを行っているわけですよ。どういう見直しを行っているかというと、今度は、また始める日を変えちゃっている。換算の起算日を平成十一年にして、今度、料金徴収期間満了日をいつにしているかというと、平成五十六年にしているんですよ。つまりは、五年前、平成六年ですから、今からいうと六年前においては四十年間で、最後が平成四十四年で満了ですよと言っていたのが、去年の見直しでは、新たにまた平成十一年から始めて四十五年間で返します、そして返す最終というのが平成五十六年ですということで、だんだん先延ばしになっているわけですよ。この中で生きている人たちが何人いるかという話なんですね。つまりは、五年でもはや計画が大きく変わっているわけであります。  しかも、この平成十一年の見直しのときの需要見込みというのは、二〇〇七年から二〇四〇年で一四%ふえるだろうと見ているわけです。しかし、皆さん、私が申し上げるまでもなく、日本人口というのはいつピークになるか。二〇〇七年がピークで、減っていくわけですね。ということは、二〇〇七年から二〇四〇年で需要見込みが一四%ふえるだろうというような前提で、しかもまた先送りをして、甘いこういう事業計画を立てているということであります。  こういう計画を立てていて、九千三百四十二キロの整備計画区間が今の前提でもできるのかという話なんですね。また変えるんじゃないか、そういうふうに思うわけですけれども、今の私の指摘に対して、副総裁、お答えください。
  35. 村瀬興一

    ○村瀬参考人 お答えをさせていただきます。  九千三百四十二キロというのは、正確に言いますと、整備計画が出ておる区間でございまして、具体的には、建設大臣からその整備計画が出たものにつきまして施行命令をいただいて、施行命令をいただきますと、私どもが実施計画の認可を建設大臣からいただいて実際に仕事を始める、その実施計画をいただいた区間につきましてプール制に入れるということでございます。  したがいまして、実施計画をいただく延長がふえてまいりますと、そのプールの内容も変わってまいりますし、それから、最終的にいつ償還するかということも、先生おっしゃいましたように、当然変わってくるわけでございます。そういうことで、実施計画の認可をいただいた区間が変わってまいりますと全体が変わってくるということは御理解をいただきたいと思います。  そういうことでございますけれども、先ほどの経営改善委員会の答申でもそこら辺について若干触れている部分がございまして、整備計画は、現在の料金水準、それから国費の負担、償還期間などの前提条件を置けば、現行のプール制のもとで公団による整備が可能だというふうに言っておりますが、ただ、収入見込みということにつきましては非常に長期間を見通しているわけでございますので、その辺につきましては、現在見通している収入見込みが万一下方修正するようなことがあれば、年間工事費を縮小するとか、あるいは完成時期を先送りするとか、あるいは国費の部分的な拡充といったようなことも検討する必要があるのではないかというようなことを言っております。  現在までのところは償還は順調に進んでおりますけれども、今後も常に採算状況あるいは償還の状況をチェックして、適時適切な対応をすることが重要であるということを指摘いただいているところでございます。
  36. 前原誠司

    前原委員 今副総裁がおっしゃったことで、二つ問題点があるんですね。  一つは、国費の部分的な拡充ということをおっしゃったんですね。道路公団というのは、これは特殊法人ですね。特殊法人で、今までの道路建設費用というのは財投から借りて、そしてつくっていっているわけです。しかも、今までは道路一本ずつの単独償還であったのを途中でプール制に変えて、つまりは、東名高速道路や名神高速道路なんかは非常に黒字でありますけれども、その黒字を言ってみればプールして、そして赤字あるいはこれからつくるところに回すというふうな方針に変えていったわけです。私は、これは、今の日本の高速道路の道路網の整備については一定の寄与があったということで、評価はするものであります。  ただ、問題は、今おっしゃったように、今までは、特殊法人というのはつまり独立採算なわけですよ。しかし、それをどんどん、道路だからということで国費の部分的な拡充ということになれば、そうしたら、特殊法人をやめたらいい、特殊法人でいるのを。国が全部やればいい。つまりは、国有林野のように、独立採算という建前がもう全然にっちもさっちもいかなくなったから国でやりますというふうに変えちゃったらいい。つまりは、独立採算制というものを度外視するというふうな話になるんだったら、今の日本道路公団という特殊法人はやめた方がいいんじゃないですか。それがまず私が申し上げたい一つ。  もう一つは、償還は順調だとおっしゃったけれども、果たしてそうなのか。これは、私は大きな疑問があります。  これは道路公団の試算でありますけれども、平成十年で、プール制のもとでの借入金の総額が十八兆六千八百九十億円、そして平成二十六年の借入金総額見込みが三十一兆四千六百三十四億円ということで、かなりふえるわけです。しかも、これは多分もっとふえるでしょう、さっき申し上げたように五年ごと見直していっているわけですから。しかし、借入金はふえても今収入は横ばいですね。年間一・八兆円ぐらいしかない。そういう中で本当に償還は順調だと言えるのか。  今の償還は順調だとおっしゃった中身は、さっき私が申し上げたように、国費の部分的な拡充ということで、本来独立採算であるべきこの道路公団というものの本質を外れて、国のお金を入れてもらって順調だとおっしゃっているのか。その点、どうなんですか。
  37. 村瀬興一

    ○村瀬参考人 今の御質問にお答えする前に、私から申し上げるのもなんでございますけれども我が国道路整備の全体のやり方ということでございますが、先生御承知のように、私どものやっております道路は、先生もおっしゃいましたように、私どもがいろいろ借り入れをいたしまして、基本的には利用者の御負担いただく料金によって回収するという仕組みでございます。例えば国道というのがございますけれども、それにつきましては、国費と地方費、地方の負担もございますけれども、その両方でやっているというのが現状でございます。  私ども、今申し上げましたように、利用者の負担でということでございますが、それは、御承知のように、戦後、我が国の道路事情が非常に悪いという中で、少ない国費といいますか、国費も十分にはないという中でどうしたらいいかということで、当時の関係者の方々、国会の御議論も踏まえていろいろ検討した結果、有料、料金をいただいて、しかも、私どものような特殊法人をつくって効率的な整備をすることがよかろうということで現在のような姿になっておりまして、相当の進捗が図られてきておるところでございます。  ところが、基本的な法律の建前といたしましては、私ども担当しております高速国道についても本来は国がやるということになっておるわけでございますけれども、今申し上げましたような事情で現在のような姿になっておる。  したがって、私ども、国費、出資金等の国費をいただいておりますけれども、それは、よく世間で言われておりますような、私どもの経営がうまくいっていないからそれに対する補助金というふうな性格では私どもはないと考えております。その本来の性格は、直接利用される方々と、それから国民全体といいますか、道路特定財源であるガソリン税等を納めていただく方がどういう負担関係で負担をしていただくかということではないかというふうに考えております。  したがいまして、国費をいただいておりますけれども、その国費は、私どもの道路を御利用いただく利用者の負担を余り高くならないようにしようという国の政策判断のもとで私どもに国費が投入されておるというふうに考えておるところでございます。
  38. 前原誠司

    前原委員 私が聞いたのは、要は、償還は順調であるということについて、先ほど平成十年度、平成二十六年度の借入金の、これは道路公団の試算ですよ、試算を申し上げたのです。しかし、収入は横ばいですねという話をした。だけれども、さっき副総裁は、償還は順調ですとおっしゃった。それは国費で賄うから。一・八兆円という料金収入が今もう上がっていない。借金はどんどんふえていっているけれども、料金収入は上がっていないけれども、償還は順調ですというふうにおっしゃることは、国の金を入れるからですかというふうに私は聞いているわけです。
  39. 村瀬興一

    ○村瀬参考人 その点についてお答えをさせていただきます。  先ほど先生もおっしゃいましたけれども、私ども、平成十年度末の状況でございますけれども、営業中の高速道路の総資産額が二十六兆二千五百八十五億円ございます。これに見合う借入金もあるわけでございますけれども、そのうち、償還準備金と言っておりますが、これは毎年の料金収入等の私どもの収入から費用と借入金の利息を差し引いた残余を毎年積み立てておりますが、その積立金の総額が七兆五千六百九十四億円ということで、先ほど申し上げました二十六兆二千五百八十五億円の二九%に相当する数字でございます。  したがいまして、高速道路についての借金というものが十八兆六千八百九十一億円ということでございます。先ほど申し上げました平成十年度の二九%という数字が毎年逐次ふえてまいっております。そういう意味で、償還の状況が現時点では順調であるというふうに申し上げたわけでございます。
  40. 前原誠司

    前原委員 ですから、今申し上げたように、償還準備金、つまり積立金が順次ふえているから償還計画は順調ですということはおかしいのですよ。つまり、どういうことかというと、財投の金を借りていて、そしてそのお金についての利子も返していかなくてはいけないし、何よりも、さっき申し上げたように、道路公団のいわゆる事業計画というものがどんどん先送りになっていっているわけですよ。  平成六年の時期には、平成四年から平成四十四年までです、そこで満了しますということだったのが、平成十一年の見直しで、平成十一年からまた起算をし直して平成五十六年までにしますということで、また先送りになっているわけですよ。そんなことをしていったら、それは順調ですということは言えるでしょう。だんだん返す金額を減らしていく、あるいは計画を先送りしていくということであれば、どんどんそういうスパンを広げていけば問題はないというふうな言い方はできるかもしれませんけれども、本当にそうなのかということなのですね、申し上げたいのは。  例えば、さっき申し上げたように、事業計画そのものを変更しているという前提で、道路公団の前提の甘さというものが随所に見られるわけです。一つ二つちょっと個別事例を申し上げましょう。  東京アクアラインというのがありますね、十五・一キロ。これは、建設費が当初の計画を三千億円ぐらいオーバーして、結果的に一兆四千四百億円かかったのですね、独立採算で。通行料金は、当初、償還を三十年でやりますということで五千五百円という通行料金を設定したけれども、開通時には四千円に下げた。なぜ下げられたかというと、償還期間を四十年にしたからです。また延ばした。そして今度は三千円にするという話。三千円にするというトリックはどこにあるかというと、京葉道路と千葉東金道路とを一緒にして、プール制にするという。  つまりは、東京アクアラインというのは、九八年でどれぐらい赤字が出ているかというと、年間三百二十億円の赤が出ている。そして、京葉道路と千葉東金道路というのは合わせてどれだけの採算かといえば、百三十五億円の黒字が出ている。これをプールしようという話なのです。でも、これは合わせたら百八十五億円の赤なのです。つまりは、京葉道路や千葉東金道路、これはプール制に入っていなかったのです。プール制に入っていないということは、償還期間が終われば料金も減ってくるし、ただになるという道路だったのを、東京アクアラインに抱きつかれてしまって、そして償還期間が、つまりは通行料金を払い続けなければいけない期間がますます長くなるわけですよ。  つまりは、京葉道路、千葉東金道路を利用する人のお金を、ある程度先延ばしをし、取り続けることによって賄おうという話で三千円にするという話なんです。ということは、百八十五億円というものの赤が単年度ごとに出ているわけですから、これも本当にうまく計画がいくのかどうかわからない。こういう道路公団の見方の甘さというのがまずこの東京アクアラインであるわけです。  通行量の見込みでは、当初は三万三千台一日に通るだろうと。しかし、開通時期には下方修正して二万五千台。しかし実際は一万台も通っていない、こういう状況なのですね。ですから、一事が万事でありまして、こういうような計画を立てて償還計画を立てている。そして、それがうまくいかないから五年たったらまた長期計画を見直しするというようなことで、問題をどんどん先送りしていっているわけです。  それで、私が申し上げたいのは、問題を先送りして、本当に、百歩譲ってちゃんと償還する年が来ればいい。来ればいいけれども、来なくて、収束ではなくて拡散していく可能性があるわけです、借金がどんどん。こうなれば第二の国鉄になるのはもう間違いない、こういう話になるわけですね。その要素というものを今はらんでいるわけです。こういう状況のものをこれから経営状況としてどうしていくのかということを、道路公団一つのみならず、建設大臣や官房長官にもお伺いをして、全体の計画の中でやはりこの問題というものを考えていかなくてはいけない話ではないかと私は思います。  扇大臣、今まで話を聞かれて、日本道路公団は、建設省、建設大臣所管の特殊法人です。特殊法人というのは、本来財投から金を借りて独立採算でやりましょうということだったけれども、今の副総裁の話だったら、もともと国がやる話だったのですと。だから、国費を拡充していって、そして国の金をたくさん入れていってもいいんですということ。そうしたら、どっちかにした方がいいんじゃないですか。独立採算でやると言って、しかし企業会計でやっていないから、今私が申し上げたように、償還期間を先送りしても収束して返せるんだったら本当にいい。第二東名なんて、一キロ百五十億円から二百億円ぐらいかかるんではないかと言われているのですよ、建設費が。しかも、厚木とか東京の間ではまだ全然どういうふうになるかという、一番込むところのめどが立っていない状況ですね。  今の話だったら、もう国がある程度この道路公団というものを抱えていかないといけないような状況になるし、私はどっちかにすべきだと思う。独立採算だったら、もう民営化して企業会計のような明確なものにしていくか、国が全部運営まで含めて見ます、そして足りない部分についてはこうこうこういう理由で税金を入れます、こういうふうにした方がいいと思うのです。中途半端じゃないですか、今の道路公団のあり方というのは。大臣
  41. 扇千景

    ○扇国務大臣 私は、今前原委員がおっしゃいますように、やはり根本的な日本の道路行政、あるいは国土全体でお互いに高速道路のあるところとないところ、一般道もまだ補修できていないところ等々の格差があってはならないと思います。すべからくみんなが共通の利益を得られるように、平等であるように、それが私は原則であろうと思います。  その上に立ちまして、今いろいろお話を、るる聞いておりましたけれども、今まで道路公団が計画しておりました、今るる御説明がありました高規道の一万四千キロメートル、私はそれを目標にしていると思いますけれども、高規道も先ほど数字をおっしゃいました。  これは、御存じのとおり、道路公団の諮問機関が、経営委員会として、きちんとした経営委員会としての答えを出してくれたと思いますし、また、これは道路公団の総裁とか副総裁とか道路公団職員全部ではなくて、民間の、御存じのとおり諸井さんを初めとした委員会皆さん提言をしていただいて、今委員がおっしゃったような、国と地方と民間と、総力を挙げて道路行政に関しての答申というものを、諮っていって、政策に反映したい、このように私は思っております。  今仰せのように、国にするべきか、あるいは道路公団を独立採算制にすべきかということになりますと……(前原委員「独立採算制なんですよ」と呼ぶ)ですから、独立採算制ですけれども、今の場合は国費を出したらどうだというお話でございましたけれども、その目標の達成のためには、確かに今、本年度道路公団への出資金というのは政府は約三千億円でございます。これをもっとふやしてやったらどうだということになりますと、高速道路に、道路整備、御存じのように揮発油税等々で、今特定財源とおっしゃいましたので、やっておりますけれども、それは三兆四千億円なんですね。  それで、これを今は活用しておりますけれども、今委員がおっしゃいましたように、国費でもって全部早くしたらどうだということをおっしゃいましたけれども、これは、一般財源からそれを高速道路に充ててしまいますと一般道路の財源が減りますから、一般国道あるいは一般の道路、それを各地方自治体は、高速道路を先にするのか、一般道路を先にするのかという地方自治体の選択が迫られるというのが現状なんです。  ですから、一般財源にそれを補完して持っていって早くしなさいとおっしゃるお気持ちはよくわかりますけれども、一般財源を高速道路に充ててしまいますと一般国道等々は——地方自治体はそういう選択を、どっちを先にするかというのは地方自治体の御意見を聞かなければならないと私は思います。  そういう意味では、今の高速道路関係に関しまして、あるいは一般道も関係しまして、地方自治体との整合性をよく考えて、国民がすべからく平等だということを、今、来年度に向けて、国土交通省が発足いたしますにかけて、本年度中に全国マップをつくりまして、国民皆さん方に、自分のところはこれがおくれている、こっちはこれが進んでいる、下水道は進んでいるけれども道路はおくれているというようなマップを皆さん方にお示しできるようにしております。  今おっしゃいました、日本道路公団の体質改善というようなこともおっしゃいましたけれども日本道路公団の今まで果たしてきた役割、そして今、御存じのとおりこれだけの交通網ができまして、今皆さんの住んでいらっしゃる、全国どこからでも三時間で大都市あるいは中都市にどれだけ行けるかというマップもつくっておりまして、全国交通網の整備に当たっているというところでございますので、先生方の御意見等々を勘案しながら、新しい二十一世紀交通網というものを確立していきたい、そのように思っております。(発言する者あり)
  42. 前原誠司

    前原委員 全然明快じゃないですね。全然わからない。  官房長官、お答えいただきたい。ちょっともう一遍私の論理をお話ししますから、聞いておいていただきたいと思います。  まず事実認識から建設大臣がちょっと間違っておられる部分があるのは、つまりは、道路公団というのは独立採算なんです、建前は。建前は独立採算なんだけれども、さっきおっしゃったように、出資金なんかもあるし、私が今から問題にするように、かなりいいかげんなことをやっている部分もある。  例えばどういうことをいいかげんかというと、公費で九割方つくっておいて、あとの一割を道路公団につくらせて有料道路にしているというのがあるのです。そういうやり方がある。つまりは、九割は税金。十割税金を使えばただですよ、その道路は。だけれども、九割まで税金でつくっておいて、あとの一割を道路公団にやらせるから、それが有料道路だ、こういうやり方をして、道路公団の負担を軽くしてやろうというようなやり方をしている部分もあるのです。これは私はおかしな話だと思うのですね、国民からすれば。つまりは、年間三千億の出資金以外に、いろいろなところでいわば国費の負担、公費の負担というものが実は行われているんだということなんです。  私が何を申し上げたいかといえば、独立採算が建前、しかし、計画がその都度その都度変えられていって、償還期間がどんどん先送りをされていく。つまり、プール制のプールがどんどん水が多くなる、池が広くなっていくわけですよ。そのことによって、この道路公団というものは本当に採算がとれるのかどうなのかという全体像が見失われてきている中で、そして国費が使われているということに私は大きな問題があると言っているわけです。  つまり、独立採算で完全にやってしまうのか。それであればもっと明確な、道路の交通量とか建設費なんかの見積もりというのもできると思うのですね。さっき申し上げたように、アクアライン一つとっても、全然交通量の見込みも違うし、通行料金だってどんどん下げていって、そして、しまいにはほかの道路とプール制にしてようやく赤字を減らしているなんということをやっているわけです。  官房長官、おわかりいただけましたでしょうか。つまりは、特殊法人の問題というのは一事が万事で、企業であるのか、国でやっているのかというのがあいまいなんですね。もし企業であれば独立採算で当然やっているわけでして、そこで不明朗な部分、あるいは国からのサポートなんかがなければとうにつぶれていますよ、道路公団は。だって、資産があるといったって、道路の資産を売れるかという話になりますよね。  つまりは、この道路公団というものが、しかも道路がどんどんふえていく中で、目に見えないような借金が膨れ上がってしまって、償還計画は立てたけれども、どんどんそれを先送りしていって、さっき申し上げたように、収束するならいい、何年かかっても、何十年かかっても。収束するならいいけれども、拡散していっているんじゃないか。拡散したことがわかったときには第二の国鉄じゃないですかと申し上げているわけです。
  43. 中川秀直

    中川国務大臣 基本的にはこれは私の所管の話ではないので、私がお答えするのはどうかとも思いますが、前原委員指摘の点は、理解はいたします。  独立採算制と同時にまた国の行政の効率化、スリム化という問題も他方ございまして、じゃ、全部そういうものを、独立行政法人まで起こしていこうというときに、またそれを国の直轄の事業にしていくということが果たして国民理解が得られるのかという問題もあります。他方全国に高速交通網の整備を望む声は、多分恐らく民主党選出の国会議員の地元でも非常に強いものがある。  そういう中で、現実の問題として、下は公費でやり、そして上は、施設部分は公団でやる。つまり、用地買収と下の、基礎工事というものは公費でやるというようなケースが、現実の道路公団の今後を考えながら行われているということも私は承知もいたしております。  しかし、そういったいろいろな側面のある中での議論を私もかつてしたことがございますし、第二の国鉄になるのではないかという心配を申し上げたことも、実は予算委員会でございます。  そういう中で、与党においても、行財政のプロジェクトチームで、この特殊法人の問題について根本的な議論をしなければならぬという御認識もございまして、そういうような作業をお始めになっておられますし、また政府も、行政改革推進本部においてあすからまた新しい作業に入りたいと存じておりますが、そういう中でまたこの特殊法人の問題についてさまざまな角度からの議論はしていきたいと存じます。  しかし、限られた、国の将来の財政構造改革ということも踏まえながら、そしてまたスリムな行政というものも踏まえながら、なおかつ、現実にある高速交通体系の整備という国民的なニーズにこたえていく、そういう中でどういう答えが出していけるのか、一概にこの時点でどうかということを私は即答はまだできない、こう思います。しかし、問題点がそのようにあるということは認識をいたしております。
  44. 前原誠司

    前原委員 問題点は認識をしていただいているということで安心をいたしましたし、本来ならば、総理がおられれば、総理が内閣としての決意というものを示していただかなくてはいけないし、特殊法人改革の中で、別に道路公団だけを私はやり玉に上げるつもりは全くありません。ただ、なぜ道路公団を挙げたのかというと、額が大きいんですよ、これは。非常に額が大きい話なんですね。  一説によると、不良債権総額、この額というものが二十兆とか三十兆とか、その償還計画、今、平成五十六年、二〇四四年をいわゆる満了の期限にしていますけれども、それを途中、これから修正せずにそういったとして仮定した場合には二十兆から三十兆円の不良債権が、今のやり方を道路公団として続けていくと出てくるんじゃないか、こういうことが言われているわけでありまして、そのことについては、相当やはり私は重く受けとめていただかなくてはいけないと思うんですね。  ですから、先ほど扇大臣の御答弁にもありましたように、単に国費でやろうという話であれば、今まで有料制度あるいは財投から金を借りてこれたから逆に高速道路というものを整備ができてきたわけで、もしこれが公費であれば何分の一かじゃないですか、やれた規模というのは。  だから、私は、道路公団のやってきた意味というのは大きいけれども、しかし、用地の取得代も高くなりましたね、あるいはいろいろな問題の中で、また公団というものの、独立採算でありながら公的な部分というのがほかの特殊法人よりも大きいという中で、国の金が入ってきている。さっき申し上げたように、九割は国がつくって、上の一割だけ公団がやって、それで有料道路にしているなんていうケースが出てきているわけですね。  こういうわかりにくいものではなくて、新たなやはり道路公団のあり方というものを、私は、今の特殊法人改革の中で、より企業会計とか情報公開を進める中で抜本的に見直さないと、一日も早くやらないと、額が大きいだけに大変なことになるというふうに思うわけでありますが、扇大臣、この大臣所管の特殊法人の改革についての決意、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 扇千景

    ○扇国務大臣 冒頭に申しましたように、すべからく日本国民が平等で、早くなおかつただで走れれば、私は理想だと思っております。高速道路はお金を取られるということも、外国のように早くフリーウエーにしていただきたい、もちろん私もそう思っておりますけれども、今おっしゃいましたように、日本道路公団は今の、現状の特殊法人という立場にあるからこそ、全国から高速道路料金を徴収して、大体一年に一兆八千億、高速道路の料金が集まっております。  ですから、今申し上げましたように、国の出します国費の投入は三千億で済んでいるというのは、特殊法人として料金を取っているからでございまして、今おっしゃいましたように特殊法人も道路公団も全部やめちゃって、単独で国がやったらどうだというお話でございますけれども、そうなると、あるいはもっと料金も上げなきゃいけないかもしれないし、あるいは全国早く、皆さんの御要望どおり一点集中で全国網羅をして、そして事業予算というものを組んで、道路は道路だけで全国に早くしてしまうと建設費も安くなるということもあるやもしれませんけれども、ほかのものを全部カットして道路だけをつくっているという国の体系ではないものですから、限られた中での配分の中で、みんなで知恵を出し合って、より公平にということをしております。  先ほど申しましたように、全国の道路行政のあり方、あるいは御要望どおり、どこからでも私も今、余り陳情を受けちゃいけないと言われておりますけれども、ここは早くしてほしいという陳情も受けております。その中で、いかに公平に、早く、国民皆さんに利用していただいて、なおかつ今おっしゃいましたような廉価で利用できるような、そういう政策をとっていきたいという基本的な姿勢は持っております。
  46. 前原誠司

    前原委員 私がお聞きしているのは、企業会計にして透明度を上げる中で、また情報公開をして透明度を上げる中で今の道路公団としての問題、つまりどんどん見えなくなってきて、償還期限を先送りして、将来的に、ふたをあけたらたくさんの不良債権を抱えるようなことになっているんじゃないか、それをとめるためにはまず第一歩として企業会計制度の導入と、そして情報公開が必要じゃないですか、それが特殊法人改革、道路公団改革の第一歩じゃないですかということを申し上げて、その決意を求めているわけです。
  47. 扇千景

    ○扇国務大臣 今私がお答えしたところも同じことでございまして、その中で整合性をいかに持っていくかということでございます。  そして、今度の、御存じのとおりの経営改善委員会というものからお答えをいただきましたのも、今前原委員がおっしゃった、いかにこれを経営上も改善、改革をしていくかということでの御答申でございますので、もちろんそれを私ども考えながら、でなければ委員会は要りませんので。こういう大事なお話をいただいておりますので、それに努めていきたいと思っております。
  48. 前原誠司

    前原委員 時間も限られてきましたので、それでは次の質問に移らせていただきたいと思います。  農林水産大臣に来ていただいております。  今自民党さんの中で、また政府協力をしながら、公共事業見直しというものが精力的にやられているということでありまして、我々、個別事業見直しを行ってきた民主党としては、与党としてもそれを精力的にやっていただくということは大いにやっていただいて大変結構なことだというふうに思っております。  その中で、これはこれから議論される部分もあると思うんですけれども、中海の干拓の話をちょっと個別に取り上げて、そして全体の議論にしていきたいと思っております。  この中海の干拓事業、島根県知事から、澄田さんの方から中国の農政局に対して凍結の申し出、凍結ということははっきりおっしゃらなかったと私は農水省の方からお伺いをいたしましたけれども、事実上凍結の申し出というものがあって、その方向でお願いをしたいという話があったということであります。これをどうしていくかということももちろん聞きたいわけでありますけれども、そういった背景というのはどこにあるのかなということをちょっと僕は大臣議論してみたいなと思うんですね。  つまりは、私が申し上げるまでもなく、ずっと町会議員からたたき上げでこられた農水大臣、昭和二十九年からこの中海の干拓事業というものが行われて、四つの工区についてはもう完成をしている、残っているのは最大の本庄工区だけだということはおわかりだと思っております。ただ、その中で一番面積の大きいということがありますけれども、この議論が進まなくて、また地元から凍結を含めた見直しをと言われてきている背景には、農水行政を預かられる大臣として、どういう変化があるんだろうか、あるいは干拓事業に対してどういう社会の要請の変化があるんだろうか、その二つの観点から御見解を披瀝していただきたいと思います。
  49. 谷洋一

    ○谷国務大臣 お答えいたします。  ただいま問題の島根県の中海問題につきましては、マスコミが先行いたしまして、私ども農林水産省といたしましては、七月の三十一日に島根県知事が中国四国農政局長をお訪ねになりまして、お話を伺ったのが当初の話でございます。  そういうことで、私は、一昨日の朝、中国四国農政局長からそのときのいきさつをお聞きしたわけでございますが、知事自身は、凍結という言葉は一切使われなかったそうでございます。そして、これは既定どおりやっていただきたいという気持ちには変わりないけれども、農業情勢等々が大変変化してきておるので、これを今やるということは非常に難しい段階になったと。そこで、島根県議会並びに団体の方々、あるいは市町村長初め、その市町村の議会の方々にも十分お話をして、その結論を持ってまたお伺いしたい、こういうお話だそうでございますので、私は、知事が十分根回しをしてお話をされるということだそうでございますから、その結果を農政局長から聞いて最後の判断をしたい、こう考えております。  また、自由民主党の政調会において抜本改正をやるというふうなことを、これもマスコミを通じて聞いておりますけれども、この問題と我が農林省の考えは、まず地元の知事のまとまった意見を聞いてから我々の意見を申し上げたい、こう思っております。
  50. 前原誠司

    前原委員 大臣、私がお尋ねしたのは、その経緯もさることながら、そういう話が出てきたいわゆる農政上の変化、つまりは食糧の問題も含めて、米の問題も含めて、減反の問題も含めてでありますけれども、その変化と、あとは干拓そのものに対してどういう社会状況の変化が起きているのかということ、その中でこういう話が出てきたんだろうというふうに思われるかということを伺っているわけです。  この経緯を御説明いただいたのはそれはそれで結構でありますけれども、なぜこういう変化が出てきたのかというところの二点、つまり、干拓そのものと、それからいわゆる食糧の需給状況の変化とか、そういうものの見解をお伺いしたいということを申し上げているわけです。
  51. 谷洋一

    ○谷国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、我が国の食糧自給率は四二%と言われておりますし、今や四〇%台に下がっておるとさえ言われております。こういう人口の多い国で、ここまで近代工業国家になっておる日本が、ここまで自給率が落ちておるということは非常に遺憾なことだと思っておりますので、新しい農業基本法におきましては、この自給率を高めるということに全精力を挙げてやりたいと思っております。  しかしながら、知事がおっしゃるとおりに、農業情勢は極めて、今申し上げた自給率の低下等々を初めとして厳しい段階になっておることもまた事実でございますので、それらの情勢を踏まえて、入植者等々がその価格において、その価格を満足のいく価格として認めていただいて、そして受け入れるということも知事のお考えにはあろうかと思っておりますので、そういう点、地域の実態を踏まえて我々が考えていくのが当然かと思っております。  干拓問題につきましては、これは、もう一番大きな工区が残っておるというだけで、相当工事も進んできたわけでございますが、最後のとどめのような話でございますから、知事の地元の意見というのを十分参考にしなければ我々は決断しにくい、こう思っておりますので、農林水産省の立場としましては、先ほど来申し上げておりますように、島根県知事並びに議会の声、団体あるいは市町村の声を総合的に判断された知事の意見というのを十二分に尊重していきたいと思っております。
  52. 前原誠司

    前原委員 私がお伺いしたかったことがお答えをいただけません。  つまりは、食糧自給率の問題はおっしゃいました、自給率が低い、四二%あるいは四〇%台に落ちてきていると。しかし、知事がおっしゃった厳しい状況であるから凍結の方向でということと、自給率が低下をしているということは、むしろ反対なんではないかと私は思うわけであります。  つまり、もしそれを上げていくという農政をするんであれば、今の減反政策はどうなのか。あるいは海を埋め立ててももう一度やるんだということも、それは方針としてあっていいのかもしれません。そこの中で、厳しい状況だから地元と相談してということになれば、国の農政を預かられる方の主体性というのが全く見えてこない。また、私は干拓そのものについての意義というものを聞いているわけでありまして、別に中海に限ってお話を伺ったわけではありません。  時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。運輸大臣には、お越しをいただくということでお願いをしたのに、ちょっと質問まで行かなくて、申しわけありませんでした、一時間も座っていていただいて。おわび申し上げまして、私の質問を終わります。
  53. 原田昇左右

    原田委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。  次に、五島正規君。
  54. 五島正規

    ○五島委員 四十五分から官房長官は記者会見があるそうでございますので、まず官房長官にお伺いしておきたいと思います。  予算関連法案の健康保険法の改正案、これは当然、前国会において議論されなければいけなかったわけですが、それが結果的に前国会では審議が一回もされない。そして、この国会においてもこの法案は出されておりません。結果的には、あるんでしょうが、秋の臨時国会までこの予算の関連法案が審議されないままに先送りされています。その結果、今回の健康保険法の問題は、介護保険が実施されたということもありまして、国民の負担その他との問題において非常に大きな問題が起こってきています。  これの処理、すなわち、予算関連法案が国会において審議をされていない、半年以上もおくれるというふうなことによって起こってくるところの問題の処理というものは、決して、国民に対してそのしわ寄せをしたり、あるいは国民に対して無理な犠牲を強いるということになってはならないというふうに思っているわけですが、まず、この予算関連法案の健保法の改正という問題がここまで先送りされ、この国会にも出されていない、この問題に起こってくる問題の処理について、内閣としてどうお考えなのか、お伺いしたいと思います。     〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
  55. 中川秀直

    中川国務大臣 委員指摘のとおり、さきの通常国会に提出しました健康保険法等改正案は、まさに平成十二年度予算の唯一残された予算関連法案でございます。衆議院の解散に伴いまして廃案となりましたが、これが成立いたしてまいりませんと、実施がどんどんおくれてまいりまして、御案内のとおり、国費が、また別途の支出が必要であるということになってまいります。  そういった事態を考えましても、次の国会には必ず再提出をして、ぜひとも早期の実現を図りたいと考えておるのが政府の立場でございます。野党におかれましても、何とぞの御協力お願いいたします。
  56. 五島正規

    ○五島委員 官房長官、記者会見があるそうですから退席していただいて結構でございます。その問題については、厚生大臣と少し議論をさせていただきたいと思います。  次の国会でこの審議をしてもらいたいと。結果としては、半年以上予算関連法案がおくれるわけですね。その結果、今起こってきている具体的な問題は何かといいますと、介護保険料。特に、二号保険者の介護保険につきましては、健康保険法の改正がされておりませんので、結局、現行の法律のもとにおいてその上限が決められております。  例えば、健保組合でありますと千分の九十五という上限規定がございます。あるいは、政管健保であれば千分の九十一というのが決まっております。これを、介護保険を上乗せして徴収しようとした場合に、徴収は四月から始まっているわけですが、現状において、健保組合の四〇%、そして政管健保はこの上限枠を超えてしまうということで、本来徴収しなければいけない介護保険の一部しか徴収されていませんね。例えば、健保組合の場合は、千分の八ぐらいの介護保険料、健康保険料といいますかが徴収できないままに現在経過しています。  したがいまして、この健康保険法が改正されますと、当然、未収部分といいますか、徴収されていない部分についてさかのぼって徴収することになるかと思うわけですが、そういうことになりますね。まず厚生大臣、その辺。
  57. 津島雄二

    ○津島国務大臣 おっしゃるとおりの問題がございます。
  58. 五島正規

    ○五島委員 そうしますと、例えば千分の八もの未収がある。これを仮に十月、仮定の話をしても仕方がございませんが、半年おくれでこの法案が通ったとしても、これをそこからさかのぼって徴収するとした場合に、どれぐらいの期間でこの半年間以上の未収部分を徴収される予定なのか、お伺いします。
  59. 津島雄二

    ○津島国務大臣 今の御質問に答えます前に、健康保険法の改正案が通らなかったことは厚生省としてもまことに残念でございまして、その結果からくる問題について、その処理に大変に苦慮をしておるところでございます。  これをどのように将来処理するかというのは、これから検討しなければならない課題だと思っておりますけれども、何はともあれ、この改正案を早く国会に提出させていただいて、その御審議を経て成立をさせていただきませんと、どのように将来処理をするかということについても、明確な方針を打ち出すことが難しいという我々の立場も御理解をいただきたいと思います。
  60. 五島正規

    ○五島委員 そもそもこの問題は、この介護保険の成立の状況において、老人医療費は大体において千分の四・二ないしは四・五ぐらいは下がるであろう、したがって、介護保険を導入したとしても現行の健康保険法の枠の中でいけるだろうという厚生省の予想のもとで、現行のまま介護保険が成立しました。しかし、現実にはそうはならないということで、前国会において提出され、今国会では提出されていない健康保険法の改正案によりますと、健康保険の問題と介護保険とは別枠で徴収するというふうになったわけでございます。  そして、別枠になった結果として、今申しましたように、健保組合あたりで千分の八ぐらいの未収が生まれてきている。これが、もしこの法案が通った後、直ちに半年、一年で未収部分を回収するということになりますと、恐らく千分の十二、十三、十四というふうな数字の保険料を一時的に、例えば一年間なら一年間徴収しないと、この介護保険の財政のつじつまは合わなくなってくる。これはまさに、こうした法案を先送りした結果、企業と二号保険者にとっては大変大きな犠牲を強いる内容になってしまうわけでございます。ということを大臣はよく承知のはずでございます。  一方、介護保険につきましての財政の仕組みというのは、御案内のように、三年間トータルの保険料収入と給付の問題を決定していく、三年ごとにそれを整合していく、調整していくという内容になっています。今回の処置によって未収が大きく生まれてきているその原因は、間違いなく政府にあります。  その部分についてこれからどうするかということを検討すると津島大臣はおっしゃいましたが、本来で言えば、今年度から発足した介護保険は、平成十四年度中にこの当初の予定どおりの保険料が納入されるならばバランス的にはいいという仕組みになっているわけですから、これを、半年とか一年の間に非常に大きな負担を押しつけるのではなく、この三年、残り二年半になるかもわかりませんが、その中において調整するというふうなことをお考えいただけますか。
  61. 津島雄二

    ○津島国務大臣 確かに、御指摘の問題、つまり、徴収することが困難になっているという問題については、一年間納付猶予ということで、当面の糊塗だけしております。  しかし、基本的な問題は残っておりまして、これを最終的に解決するためにどのようにするか、これは、健康保険法の改正案の早期の成立とあわせて、私どもはぜひとも検討しなければならないと思っておりますが、その際、今御提案のような、短い期間にこれを取り戻すというようなことはやはり無理があるんだろうなということで、委員のお考えも参考にさせていただきまして、これから検討してまいりたいと思います。
  62. 五島正規

    ○五島委員 介護保険法の仕組みからいって、平成十五年度まで先延ばすことは許されないわけでございますが、そういう期間の中で処理すればいいという仕組みに介護保険の方から見ればなっているはずだということを指摘申し上げまして、そして、国民のそういう負担に対して、政府の責任において起こってきた問題が非常に過重な負担にならないような配慮というものを十分にしていただきたいというふうに思います。  あわせまして、この健康保険法の提出が非常におくれた、現在まだ出ていないということの中で、四月から実施されました介護保険法との間において非常に整合性がとれなくなってきているという部分がございまして、結果において、介護保険そのものもゆがめられているという側面がございます。  例えば、在宅介護の中で一つの非常に重要な柱でございます訪問看護、これが現在、老人保健のサイドで訪問看護を受けますと、たしか一回当たりの自己負担額は二百五十円。それに対して、介護判定を受けた人は介護保険の給付になります。介護判定を受けた人がこの訪問看護を受けますと、八百三十円の自己負担になる、そういう状況になっていますね。  したがいまして、訪問看護を受けている方々にとってみますと、これまで受けてこられた方々あるいは必要な方々にとってみますと、介護判定を受けると非常に負担が、もう二倍にも三倍にもなってしまう、三倍近くにもなってしまうという問題が起こってきています。同じ行為を受けることによって、いわゆる介護判定を受けることによって、このような矛盾が起こってきている。これは、まさにこの健康保険法の改正ができていないということの結果であるというふうに厚生省は言っています。  ただ、診療報酬に属する問題ですから、ことしの四月から実施されております現在の診療報酬も大臣の告示行為でやられているわけですよね。なぜ介護保険との間において整合性がとれるような大臣告示行為をしなかったのか。恐らく、しなかった理由は、前通常国会においてこの健康保険法の改正ができると厚生省はお考えだったからされなかったんでしょう。  しかし、それがこのようにおくれた。そのことが介護保険に対して、非常に受給者にとって混乱を起こしているという状況であれば、この告示行為の追加を行うなり、あるいはこの国会で健康保険法を提出するなり、いずれかをするということが当然厚生省としての義務だったと思うわけですが、その辺、大臣、どうお考えでしょうか。
  63. 津島雄二

    ○津島国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘のような問題でございまして、老人医療における訪問看護の患者負担と、それから介護保険における標準的な負担額との間に格差が生じているということは事実でございます。  もとより、議論といたしましては、訪問看護の場合は、老人医療との関係で、例えば難病の方とか末期がんの方とかいう方々を対象とする。一方、介護保険の方は介護認定を受けた方を対象とするということで、多少の違いはあるという議論はございますけれども、しかし、今のこの格差は、御指摘のとおり、やはり合理的ではないというふうに思っております。  これを解消するために、私どもは、是が非でもまず健康保険法の改正案を立法府においてお認めをいただきまして、それに基づいて格差の解消を図りたい、かように考えておるところでございます。
  64. 五島正規

    ○五島委員 ちょっと大臣の認識が違うかもわかりませんが、現行において、介護判定を受けていない、すなわち介護保険の適用でないお年寄りに対しては、疾病上、訪問看護の制限があるわけではございません。同じお年寄りでも、介護判定を受けないことによって老人医療からの訪問看護を受けられる、そこのところで非常に問題になっているということであるということを指摘しておきます。  そして、こうした格差の問題というものは、実は、今国会には出されておりませんが、前国会出されました健康保険法の中においても、介護保険との間でどう考えても整合性のとれない、無理な点がございます。  例えば、わかりやすい例として、介護保険適用者、そして老人医療適用者の自己負担の限度額、特に外来における、あるいは在宅における自己負担ということについて見てみますと、現状におきまして、介護保険の場合も老人医療の場合も、老人医療は、政府の前国会出された案に沿うて申し上げますが、いずれもが自己負担一割、こうなっている。にもかかわらず、その上限額は、介護保険の場合は、低所得者、生保ぎりぎりの人、その人たちで、一月の自己負担の限度額は一万五千円になっています。一方、老人医療の方は、お年寄りの財産、所得と関係なしに、二百床以上の病院は外来の限度額は月に五千円、それ以下の病院、診療所では一月の限度額は三千円、こうなっているわけです。  在宅で介護を受けた場合に、その限度額は一万五千円。これが低所得者の場合。そして、老人の医療費の限度額は五千円、三千円。この格差というものは、なぜそういう格差を設けなければいけないのか。  しかも、この三千円、五千円という二段階の老人医療の負担限度額、一割をやりながら、実際上の実質給付からいえば、ほとんど現状と変わらないような制度を導入したことによって、例の薬の外出し負担の問題、その問題については非常にややこしい。これはもうきょうこの場において議論しても、前国会でもさんざん混乱しましたので、あすの厚生委員会でまたやりますけれども、同じ治療、同じ薬をもらって、患者さんの負担額は八通りにも変わってくる、そういうばかげたものを導入せざるを得なかった。  もちろん、介護保険と医療とは違います。介護の方は、ヘルパーサービスその他含めてより頻回のサービスがあるでしょう。したがって、給付の総額も高いものになる、その結果コストが高いんだというのは、ある程度わかります。  しかし、この限度額の格差というのは非常に問題がある。しかも、限度額三千円ということは月額三万円、限度額五千円ということは月額五万円を超えた人の場合の問題になってまいります。これはほとんど、それを超えるような医療というのは、頻回受診をされるか、あるいは非常に大きな検査をいろいろお受けになるか、あるいは先ほど大臣おっしゃったように、ターミナルの医療を在宅でお受けになるというケースになってくるんだ。  そうだとすると、こういうふうな格差を設けることが患者さんの側にとってどれだけのメリットがあるのか。制度を複雑にしたこと以外、余りメリットがないんじゃないか。もう少し、介護保険料とそれから老人医療の自己負担について整合性のとれたものに変えていくお気持ちはございませんか。
  65. 津島雄二

    ○津島国務大臣 お答え申し上げます。  確かに、介護保険制度で定率一割、月額の負担上限が一万五千円である、それに対して、現在の老人医療費の場合には、一部負担は、薬剤一部負担を廃止いたしました上、老人医療の定率負担制度が導入されるという前提の健康保険法改正案がまだ認められていないということから、非常にアンバランスになっていることは事実でございます。  また同時に、これまでの健康保険法改正に伴う自己負担の上限については、御指摘のように、極めて細かい分類に応じて個別に決められておるものですから、特に外来の場合は一体このバランスをどう考えるかという御議論は、これはもう、前の国会で五島委員から専門的な立場から御指摘をいただいた問題点は、私もよく承知をいたしております。  基本的に言えば、こういう大きな格差というのは解消をする方が望ましいというお考えであろうと思いますし、それはもうよく理解をしておりますが、同時に、その一方で、初めて今度は老人医療費に一割の自己負担をお願いするということで、その負担の激変をできるだけ避けるということであの上限を設けたということからきている問題もございまして、この件については、また委員会その他で専門家の先生とよく議論をさせていただきたいと思っております。  ただ、将来の方向として、余り大きい格差はない方がいいというお考えは、私は理解ができると思っております。
  66. 五島正規

    ○五島委員 これは、単に自己負担額の数字が違うということだけではないのですね。  介護保険の場合は、介護というものを受ける場合に、さまざまな介護提供サービス業者から受けても、そのトータルの自己負担を一万五千円に低所得者の場合、抑えているわけです。医療の場合は、頻回受診をして、それぞれの医療機関ごとの限度額でして、そういう意味においては仕組みから違う。果たしてそれがいいのかどうか。また、逆に、ここのところ、実態的にはほとんど患者のメリットにならないような形でありながらこういう制度を残した結果、当初予想されているよりもはるかに老人医療費の伸びは鈍化しないという原因にもそこはなっている。そのあたりについて指摘をして、この議論については、またあすに残したいと思います。  話を変えますが、前年金法のもとにおいては、昨年度中に基礎年金の公費負担五〇%への引き上げというのが附則で書かれておりました。昨年度の年金法の改正によりまして、これがまた平成十六年度までに公費五〇%引き上げというのが附則に書かれています。  ただ、丹羽前厚生大臣は、基礎年金の公費五〇%の移行の時期について、可能な限り前倒ししていくという努力をしたいという意向を表明しておられました。この点について津島大臣、どのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  67. 津島雄二

    ○津島国務大臣 私も、就任のときにも申し上げましたが、この基礎年金の国庫負担の問題については、丹羽前大臣のお考えを大切にしなければならないと申し上げております。  また同時に、そのようなお考えに沿って進める場合には、膨大な財政負担をどうするかという問題を解決いたしませんと国民に十分な説明ができないということもございまして、私どもは、厳しい財政状況の中で恒常的な財源をどのようにして確保するかということとあわせて、今後検討していくべき課題である、こういうふうに受けとめております。
  68. 五島正規

    ○五島委員 この問題につきましては、財源をどうするかという問題を含めて、一体いつごろまでにこの基礎年金の公費五〇%への移行が考えられる、どの時期にはそれができるようにするというふうにお考えなのか。これは大蔵省とも関係する問題でございます。大蔵大臣厚生大臣、この具体的な時期について、ひとつ御意見をちょうだいしたいと思います。
  69. 津島雄二

    ○津島国務大臣 時期でございますが、御案内のとおり、年金改革法におきましては、当面平成十六年度までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引き上げを図ると書かれておるわけでありますが、丹羽大臣の御意見は、それを待たずしてできるだけ早く実現すべきではないか、こういうことであろうと思います。そのお考えを大切にするということは、今申し上げたとおりでございます。     〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 五島委員が御指摘のとおり、この問題は財源をどうするかということに帰着せざるを得ません。ただの財政の問題というよりは、我が国の将来に向かって非常に大きな問題でございますし、ますます財政的には難しくなる、経費的には難しくなる性格の問題だろうと思いますので、私も、いわば高みの見物をしていればいいというような気持ちは持っておりません。何かの形で、厚生大臣がいろいろお考えになられまして、御相談があるかもしれない。そのときには親身にお話に応じなければならないと思っておりますけれども、問題の将来に向かっての規模、財政の立場から申しましても非常に大きなものでございますので、十分そこは慎重に御相談をさせていただかなければならないと思っております。
  71. 五島正規

    ○五島委員 国民は年金問題に対して今大変不信を持っているわけですね。特に、基礎年金につきましても、五年前の法律改正のときに、昨年度中に公費負担五〇%にするというふうに法の附則にまで書かれたことが実施できなかったということで、大変な不信を持っています。このことが国民年金に加入する国民が減ってきているという問題にもつながっているだろうと思います。  こうした年金離れというものが進んでまいりますと、高齢社会を迎える日本にとっては大変なことになってくるわけで、この点については、期日をはっきりされませんが、津島大臣も、平成十六年度ということに対して、丹羽前大臣がおっしゃったように、可能な限り前倒しとおっしゃっている。前倒しと言う以上は、平成十五年か平成十四年かという話になってまいります。  この問題は、引き続きましてまた厚生委員会ででも議論させていただきたいと思いますが、この基礎年金の公費負担に伴って必要な公費の負担増というのは、約二兆四千億必要になっていく。そうした中で、その財源をどこに求めるかというのは非常に重要な問題ですが、あわせまして、基礎年金というものの性格、基礎年金というのはそもそも何なのか。これは従来、高齢期の基礎的な支出を賄うもの、こうなっていたわけでございます。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕  今回、介護保険制度ができ上がりました。そして、一号保険者からも介護保険の保険料を年金からの徴収という形で徴収するようになりました。そうしますと、介護保険料というのは高齢期の支出に当たるわけです。この必須の支出の中における基礎的な部分というのはどこなのか。例えば、介護保険の中におきましては、世帯非課税の方が第一段階、これが標準額の大体半額。半額、七五%、そして一、一・二五、一・五倍でしたか、このような形の五段階に分かれています。  この基礎的な支出というものをどこに持っていくか。世帯非課税の方が払う保険料というのは、平均してみますと、大体月額千五百円ぐらい。本来からいえば、この基礎年金の上に最低でも月額千五百円を上乗せする、そして保険料から徴収する、そういう方法が当然とられてしかるべきだと思います。  何か、半年間徴収しない、次の一年間は二分の一と、わけのわからない緊急措置をとられたわけですが、その前に、基礎年金そのものを、そういう高齢期の基礎的な支出というこの部分に着目して基礎年金を上乗せしていく。仮に月額千五百円基礎年金を増額するとした場合、必要な財源は三千億ですね。公費の負担が五〇%になったとして千五百億。そして、二千四百億の保険料の引き下げの部分の中から千五百億が減る。すなわち、二兆二千五百億の保険料の軽減になるという計算になるわけですが、この基礎年金に介護保険の保険料、一定額を上乗せしていく、こういう考えはとれないか。特に生保については、生保の給付額に介護保険を上乗せしてそこから徴収するという方法は、既に実施されています。  そういう点から考えるならば、制度全体として、全年金受給者に対して、この千五百円の基礎年金上乗せによってこの問題を解決していくという方法は、当然検討されてしかるべきだというふうに思いますが、厚生大臣、どうお考えでしょうか。
  72. 津島雄二

    ○津島国務大臣 五島委員指摘のとおり、確かに、基礎年金の水準というものは老後生活の基礎的消費支出をしんしゃくして決めるという趣旨でございますから、そこに新たに介護保険の負担が入ってきた場合にどうかという御議論は、御議論としてあり得ると思います。ただ、私どもとしては、二つのことを考えなきゃいかない。  その一つは、基礎年金を支えておられるのは、実は高齢者というよりも、むしろ現役世代が支えておられるわけでありますから、したがって、この高齢者特有の介護保険というものが出てきた、その負担が出てきたから、それでは基礎年金をそのまま見直して、そして若い働いている人たちの負担にそれを持っていくということについてどうかいな、これが一つの問題であります。  それからもう一つは、この介護保険の負担というものも、別に基礎年金だけを当てにして負担をお願いしているのではなくて、恐らく多くの高齢者の方は基礎年金以外の所得もお持ちでございますから、そのことをやはり頭に置いて今の制度ができている、つまり保険料負担が決められているとすれば、そこをかっちり連動させて、こっちがふえたから基礎年金をふやすというのは、お考え方としてはあり得るかもしれないけれども、私どもは、制度の立て方として適当ではないというふうに今考えておるところであります。
  73. 五島正規

    ○五島委員 時間がないので、その問題もあす続けてやりますが、ただ、津島大臣がおっしゃっているのは若干の誤解があると思います。  まさに、今若年者がこの年金問題に対して不信を持っているのは、一体年金をもらえるのかどうか、その年金というものは将来全然わからないというところに不安がございます。基礎年金と言いながらも、高齢期の基礎的支出を賄うためと言いながら、それが全然わからないというところに対して若者の年金離れがあるということを考えた場合に、そこのところはきちっとやっていかざるを得ない。まさに基礎年金ですから、その基礎としてきちっとやっていくということは必要だろうと思いますが、この議論は、もう時間がございませんので、あすに譲りたいと思います。  最後に、雪印中毒事件について質問して終わりたいと思います。  今回の事件の原因究明、その他もろもろの問題につきましては厚生委員会でやることにいたしまして、この再発防止という大きな枠の中で一番大事な問題は、食品衛生監視というのは基本的には保健所あるいは保健所政令市の仕事、こうなっています。しかし、今回問題になりました雪印の事件の問題、あるいは乳業関係でいえば、四十年前の森永の砒素ミルク中毒事件の問題等々を含めましても、原材料を全国から仕入れ、シェアが全国に広がっていく、そして製造工程が巨大なプラントでもってつくられてきている、こうした食品工場といいますか、そうしたところに対する監視の業務あるいは指導の業務、これは正直言って、保健所の現状においてすべて賄えるものではございません。  そういう意味では、HACCP等を導入される、そういう大きな企業に対する監視あるいは指導の体制というもの、保健所をバックアップするためにも、そういうシステムがないと無理なのではないかというふうに考えておりますが、厚生大臣、その辺いかがでしょうか。
  74. 津島雄二

    ○津島国務大臣 委員指摘のとおり、食品の製造加工技術が大変高度化しておりますし、それから流通が極めて広域化しておるということから申しますと、食品衛生行政というものがこの広域的な実態に対応できなければならないと、体制として十分かと、そのとおりでございます。  そこで、私どもとしては、機動的に広域かつ専門的な監視が行える体制を整備するように、都道府県と協力し、また指導しながら充実を図ってまいりたいと思います。  ただ、一言申し上げますと、規制緩和の流れの中で、この公衆衛生行政というもの、保健所の行政というものを法定事務として地方にはっきり法律上差し上げてございますから、それを前提として、これまで以上に厚生省と地方との間の連携を強化する努力が必要であろう、これだけ付言させていただきます。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 五島正規

    ○五島委員 終わります。
  76. 原田昇左右

    原田委員長 これにて五島君の質疑は終了いたしました。  次に、平岡秀夫君。
  77. 平岡秀夫

    ○平岡委員 本日は、私は、安定的な経済成長を我が国にもたらすとともに、財政の健全な運営を願う者として質問を申し上げたいというふうに思っております。  今回の総選挙におきましては、財政再建か景気回復か、どっちだというようなことがよく言われておりましたけれども、先日ちょっと新聞に、七月二十九日付の各紙でございましたけれども、自民党の野中幹事長が、この総選挙に関連して、六百四十五兆円の長期債務残高があって財政再建は大変だという大蔵省のささやきが国民不安を増幅したというようなことを言っておられるわけでございますけれども、この点に対して、大蔵大臣はどのようにお考えになっておりますでしょうか。
  78. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 結論といたしましては、非常に大きな債務を国、地方も背負っておりますけれども我が国の現在の国力あるいはこれから将来に向かっての国力から申しますと、楽観をすることはできませんが、極めて憂うべき将来であるとは、私は必ずしもそう思っておりません。  ただ、非常に大きな国の経済、それに伴います債務の金額も非常に大きゅうございますから、国民皆さんに実態がなかなか、無理もないことですが、おわかりにならない。ならないまま心配をされる方と、ならないので何となく人ごとのように思われる方と、そういうのが現況であろうと思いますので、財政当局としては、やはり具体的になるべくその実態を国民にわかっていただくということが必要だということは痛感をいたしております。
  79. 平岡秀夫

    ○平岡委員 こうした国の財政状況についてマクロ経済的に見ると、これからの経済活動といいますか日本国民経済について、どのような位置づけにあるというふうに考えたらいいんでしょうか。経済企画庁長官にお答え願いたいと思います。
  80. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 日本経済は、平成十年の大不況がございまして、とにかくデフレスパイラルを回復しなければいけないというので、かなり大胆な財政出動をしてまいりました。その結果、ようやく政策効果、アジア経済の回復等でやや景気は明るい兆しも見せておりますけれども、なお雇用の問題、あるいは消費が横ばいであること、さらにここ三、四カ月は倒産件数が高い水準にあり、また債務残高も多いというような状況で、必ずしも楽観できる状況、自律的回復と言える段階には達しておりません。  このデフレスパイラルを回復するためにかなり財政が厳しくなって、委員指摘のように六百四十五兆円になるような負債を抱えることになりました。しかし、ここでやはり経済回復がなければ財政の再建はあり得ない。経済がしっかりして、それで税収も上がり、よき回転が行われないと財政の再建というのはあり得ないと考えております。したがって、まず今は景気回復、そして経済の自律的回復から新しい産業構造、経済構造をつくることに軸足を置きまして経済を運営していかなければならないと思います。  もちろん、その間に財政の効率化、あるいは来年から始まります省庁再編成に対応した財政の融合化といいますか、そういったことは大胆に進めていかなければならない。こういう状況の中で、財政の問題を一日も忘れることなく経済の改善を進め、そしてこれが新しい発展になりましたときに大胆な財政再建に取り組むというのが順序ではないかと考えております。
  81. 平岡秀夫

    ○平岡委員 今、経済の回復をした後に財政の再建というようなお言葉がありましたけれども、私は、短期的な景気回復というのは今のような考え方でもあるのかもしれないのですけれども、ただ、やはりこれからの本当の意味での景気回復、つまり安定的な経済成長というものを考えたときには、国民皆さん日本のこれからの財政がどのようになっていくのかというような姿がある程度見通せるようなことを政府としてしっかりとしていかなければ、本当の意味での民間の人たちの投資あるいは消費というものが進んでいかないのではないかというふうに考えております。  それはさておきまして、財政再建について後でちょっと議論したいと思いますけれども、その前に、やはり財政の現状がどうなっているのかということは、先ほど宮澤大蔵大臣もちょっと言われました。実態が国民によくわかっていないんじゃないかというようなこともちょっと触れられましたけれども、財政の実態がどのようになっているのかということについて、ちょっといろいろ聞いてみたいと思います。  先ほどの野中幹事長のお話の中にも、六百四十五兆円の長期債務があるんだということを大蔵省がつぶやいておったというような話がありますけれども、この六百四十五兆円の長期債務というのは、何らかの公表された数字であるのでしょうか。また、その数字の内訳というのはどのようになっているのでしょうか。
  82. 林正和

    ○林政府参考人 お答え申し上げます。  六百四十五兆円の内訳ということでございますが、国分が四百八十五兆、地方分が百八十七兆、両者の重複分を調整いたしますと六百四十五兆円程度となるということでございます。  この数値につきましては、他の一般会計、国の全体の財政事情とともに、広く国民に御理解いただけるように、いろいろな手段を通じまして、例えばインターネット等も通じまして広く公表させていただいているというところでございます。
  83. 平岡秀夫

    ○平岡委員 かつて、国の財政運営をしているときに隠れ借金という言葉がございまして、先日、私ちょっと説明を受けたんですけれども、かつて隠れ借金と言われたものが今でも四兆四千億円強あるというような説明を受けましたけれども、この隠れ借金というのは、先ほどの六百四十五兆円の中ではどういう位置づけになっておるんでしょうか。
  84. 林正和

    ○林政府参考人 いわゆる隠れ借金と言われているものでございますが、一般会計から特別会計に繰り入れる等、そういう措置、これが一般会計の事情が非常に厳しいためにやむを得ざる措置として行われてきたものでございます。  ただ、御案内のとおり、これまでも返済をするなどその解消に努めてきているわけでございますが、現時点におきますいわゆる隠れ借金と申しますと、一つは、国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化措置に係る特例についての繰り延べ、これが約四千四百億……(平岡委員「中身は結構です。六百四十五兆円との関係」と呼ぶ)よろしゅうございますか。それから、厚生年金、自賠責、地方財政、政管健保等にございます。これらについては、皆それぞれ性格が違いますが、仮にトータルいたしますと八兆円ちょっとということになろうかと思います。  これについては、それぞれの制度、施策をめぐる状況等からこうした措置をとったものでございまして、いわゆる先ほど申し上げました国、地方の長期債務残高には入っておりません。それとは別でございます。
  85. 平岡秀夫

    ○平岡委員 こうした隠れ借金の本来的な意味を考えますと、一般会計と特別会計の間の融通といったような形で、本来は特別会計で必要であるものを一般会計の状況に応じて持ってきたということであって、本来的な財政運営としては、やはりこれはちゃんと借りるべきものは借りる、政府の外から借りてくるというような形での財政運営でなければならなかったのではないかというふうに思うわけです。  そうなると、この六百四十五兆円というのも実はもっと大きな額、それほど大して大きくはないかもしれませんけれども、もっと大きな額になってしかるべきものであったというふうに思うわけですけれども、そういうことを考えますと、野中幹事長が長期債務六百四十五兆円というようなことで大蔵省が厳しい厳しいということをつぶやいたということに対して大蔵省を批判したとは逆に、大蔵省は、やはり国の財政の状況についてもっと国民に透明度を高める、国民にとって公表されたものとして、開かれたものとしてもっと国民に知らしめる、そういう努力をすべきではないかというふうに思うのですけれども、その点について大蔵大臣、いかがでしょうか。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 隠れ借金といいますのは文字どおり隠れ借金でございますから、困ってやりくりしているだけで、何も理由はありません。困っているというだけでございます。したがいまして、その金額は、今お尋ねがございまして八兆ということを主計局長が申し上げましたが、これはもう隠すことなく国会にも申し上げております。  確かに隠れ借金には違いありませんから、国民に隠してはならないことであるし、できるだけ少しずつでも入れておりますけれども、しかし、やはりそのぐらいのものがございますので、これはもう国民に正直に申し上げるべきことであります。
  87. 平岡秀夫

    ○平岡委員 当時の財政事情のやりくりということで起こったことだとは思いますけれども、私が言いたいのは、そういうやりくりではなくて、やはり国が本来負担しなければならないものということで、例えば税金で賄わなければならないということであれば税金で、それが足りなければ国の外からの借入金で、そういう形で、国の財政状況をきちっとわかるような仕組みで予算の編成をしてほしい、こういうことでございます。  それはともかくとしまして、財政の透明化を図るという観点からいいますと、せんだって、あるところでちょっと聞いたのですけれども、今大蔵省の中で、国の公的部門の財産、資産、負債の状況を貸借対照表、あるいはバランスシートと言うべきなのかもしれませんけれども、こうしたものをつくって国の財政の状況を明らかにしていこうじゃないかということで、研究会を開催して行っているということをちょっと聞いたのですけれども、今この研究会の検討状況というのはどのようになっているのでしょうか。
  88. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点につきましては、国会でも以前から御指摘があり、平岡委員よく御存じのことですが、かなり長いこといろいろ議論をいたしました。  理屈を言えば、国は商売でございませんから事業会計のようなことができないとか、あるいは川はどうするとか海岸はどうするとか、そういうものは財産であっても収益力はないし、売れるわけではない。議論はいろいろございましたけれども、しかし結局、これはできるだけ、あるだけのことでやってみるしかないということに既になっておりまして、その作業はかなり長いことやっておりました。  したがいまして、試作品と申し上げておるわけでございますけれども、この秋ごろには、ともかく御批判は覚悟の上でその試作品をつくりまして、国会にももとよりお目にかけて、御批判を受けて、もともと基本的にバランスシートというものは厳格な意味ではできないのかもしれませんが、それに対する接近というものはしなければ申しわけない。したがいまして、やがてお目にかけまして御批判を仰ぎたい、こう思っております。ことしの、もちろんこの秋ぐらいということを考えております。
  89. 平岡秀夫

    ○平岡委員 ぜひ、財政の透明化を図るという観点から、よりよいものをつくっていただいて、国会にも報告していただければというふうに思っております。  そこで、先ほどちょっと触れました財政再建の目標といいますか、目途ということでちょっとお話を伺いたいと思います。  これまでも大蔵省あるいは政府は、いろいろ財政が困難な状況のときには財政健全化の目標ということで、例えば昭和五十一年に五十五年度特例公債脱却目標といったもの、あるいは昭和五十四年には昭和五十九年度特例公債脱却目標といったような、財政再建の目標あるいは目途というものを示してきたのですけれども、今現在、我が国にはこうした財政再建目標あるいは財政再建の目途というものはあるのでしょうか。大蔵大臣、いかがでしょうか。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 ただいまございません。  御承知のようなことで、国の税収そのものの見積もりが全くつかない状況でございますから、したがいまして、財政がよくなるためには経済成長があってということでございますので、三年目に初めてわずかな成長をしたというような状況ではきちんとしたことを申し上げられない。まことに気持ちはせきますけれども、申し上げる時期になっておりません。  ただ、私自身がささやかにただいま思っておりますことは、平成十三年度の予算編成をいたしますときに、いろいろ不明確な事情はございますけれども、少なくとも前年度よりは国債発行額を幾らかでも減らしたい。せめてそのぐらいなことを今思っておるところでございます。
  91. 平岡秀夫

    ○平岡委員 先進諸外国もかなり困難な財政事情を抱えていたということもあったと思いますけれども、こうした先進国において、財政について、財政再建の目標なりあるいは財政健全化の目標を持っていない国というのはあるのでしょうか。
  92. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 おっしゃいますように、ヨーロッパの新しい通貨が誕生いたしますときに、各国がノルマをみんな持ちまして、達成いたしました。そのことは私は実は内心非常に驚いておりますが、ともかくみんなああいうノルマを達成いたしました。  その以前からアメリカは一番大きな財政赤字を持っておりましたが、OBRAであるとかペイ・アズ・ユー・ゴーであるとか、成功いたしましたのと、やはり何といっても経済がうまく動き出したのと国防費が減ったのと、うらやましいようなことを言いますが、とにかくかなり強い意思でもってやったのでございますから。ヨーロッパの国々もああいうふうに新しい通貨に入るときにいたしましたので、イタリーもできたということでございますので、やはりみんなやったということでございます。
  93. 平岡秀夫

    ○平岡委員 先ほど私が申し上げましたように、やはり国民は、政府が本当に財政をこれから健全な姿に持っていくことができるのかということについて大きな不安を持っているわけです。この大きな不安が、やはり投資とか消費とかを活発なものにしていかないという大きな原因になっているのではないかというふうに私は思っているわけですけれども、そうした財政の健全化の目途を政府が示さないことによって国民はいろいろな不安を持っているわけです。  ちょっと質問をしたかったのですけれども、時間がないので、私が思っていることだけをちょっと申し上げますけれども一つ国民負担率の問題でございます。  国民負担率については、五〇%程度ということが将来的な目標として掲げられておりましたけれども、現在、財政赤字を含めて考えると、平成十二年度には既に四九・二%の国民負担率が生じている、こういう状況になっています。この状況がずっと続いていきますと、世代が交代していったときに、今度は本当に、昔予定していた五〇%の負担をしなければ的確な行政サービスが受けられないという状態になったときに、現在我々が財政赤字で抱えてしまった国民負担率というもののツケが回ってくることになるわけです。  そうしますと、我々がかつて計画していた五〇%の国民負担率というものが、なし崩し的にそれを超えてしまうような状況が出てしまうということで、本当に国民は、自分たちが耐えられるような国民負担率でこれからの行政サービスの提供があるのだろうかということに対しても大きな不安を持っているのではないかというふうに思っております。  それからもう一つは、この六百四十五兆円という長期債務残高でございますけれども、これを大蔵省の試算で出たものをちょっと見ますと、対GDP比一三二・九%という金額になっております。これは、九〇年代以降先進諸外国の中で、イタリアがかつて一二四%の対GDP比を出したのが最高でございます。これを大幅に超える債務の状況になっているわけでございます。  そういう状況になりますと、本当に国民経済がこれから財政が発行しようとする国債をきちんと消化していけるのだろうか、あるいは今度、民間経済が自分たちの資金を必要としたときに、必要な資金が調達できるのであろうかといったような不安を持ってくるという意味において、やはり政府としても財政健全化の目途を示していかなければならないのじゃないか。  それからもう一つは、これは経済白書にも書いてあることでございますけれども、経済白書には、国債の残高が累増していることについて、「注意すべき点は、ストックとしての債務は簡単には減らないため、特に金利が上昇したときに利払い費の負担が増加して経済を圧迫するという懸念がある」ということを書いてあります。  当然のことながら、今金利状況は非常に低い状況にありますけれども、これが、私が勝手に試算したものでいきますと、一%上昇すると平年度ベースで七千五百億円の金利負担の増加になります。今の状況をちょっと、発行利回りが一・七%程度で、これを平成元年度の平均利回りで、六・一六%ということで比較してみますと、そういう状態になると一気に利払い費が三・四兆円もふえてしまうという非常に苦しい状況になりまして、この利払いをするためにまた国債を発行していかなきゃいけないというような悪循環に陥ってしまうんではないかといったようなことをやはり心配しているわけでございます。  そういう心配が、私だけではなくて国民の多くの人たちが持っている、その不安がやはり本当の意味での景気回復あるいは安定的な経済成長の阻害になっているというふうにも思いますので、ぜひ財政再建の目途を国民皆さんに示していっていただきたいというふうに思います。  それから次に、ちょっと話を移りますと、せっかくきょうは建設大臣厚生大臣にも来ていただいております。実はせんだっての総理の所信表明演説でございますけれども、ここにこういうふうな表現がございます。財政構造改革については、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。こういうくだりがございます。  そこで、この財政構造改革という言葉の意味なんですけれども、私、先ほどから財政再建あるいは財政の健全化ということを言ってまいりました。これはこれで、先ほど来からお話がありますように、景気回復との関係でどのような時期でどういうふうに示すかという問題は政府の方々と我々とはちょっと違うと思うんですけれども、私、この財政構造改革という言葉、この言葉の中身にもよると思うんですけれども、やはり国民の税金を使って行財政サービス、行政サービスをしているということからいけば、常に税金の使い方としては効率的、効果的に使っていくという努力政府がしていかなければならないというふうに私は思っているわけです。  大蔵大臣、この行財政改革という言葉ではないのかもしれませんけれども国民の税金を使って行われる行政サービスについての効率的な、効果的な実施について不断の見直しをしていくということについてはどのようにお考えになりますでしょうか。
  94. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 できるだけ短く申し上げますが、今お読みになりました総理の言っておりますことの意味は、これから我々新しい二十一世紀に入っていく、どうもアメリカを見ていても、新しい経済社会が出てくると思わなきゃなりませんので、したがって、責めを他に帰する意味でなくて、財政改革といっても、一歩着手すればそれは税制になり、地方と中央の行財政の再配分になり、あるいは社会保障政策の再検討になり、全体、マクロモデルを必要とするような、その中での国民の選択というものがどうしてもありませんと全体は完結しない、非常につらい仕事と思いますが、総理が言いました意味はそういう意味だと私は思っています。  それは、少し大きな、少し先の話ですが、当面として、例えば、今、来年度の予算編成の中で公共事業の抜本的な見直しを私どもの党でも既に始めましたが、しようとしたりしておりまして、いわゆる本当に有効に納税者の金が使われているかということを厳しく、いわゆるそれはコストベネフィットの分析なども用いておりますし、後からの実績追跡もしておるんですが、そういう意味での予算及び予算の執行の過程における努力ということが小さい意味での財政改革だと思います。
  95. 平岡秀夫

    ○平岡委員 ちょっと時間がなくなりましたので、やはり歳出といいますか、行政サービスという意味でいくと、社会資本整備それから社会保障がこれから大きな課題になっていくと思いますけれども、行財政改革を進めていくという観点から、それぞれ大臣に、今後の方針について簡単に触れていただければと思います。  まず厚生大臣から。
  96. 津島雄二

    ○津島国務大臣 委員指摘のとおり、社会保障のあり方は国民の将来の安心につながるわけでありますから、安定した社会保障制度があるかないかは、非常に当面の経済活動あるいは消費の動向にも影響があります。  また、これに加えて、少子高齢化の進展に伴って、今後社会保障に関する費用の増大が当然見込まれるわけでありますから、税負担とあわせて、社会保障の負担、将来世代の負担が過重にならないようにするということも、これは要諦でございます。  そこで、総理は所信演説におきまして、社会保障制度の新生ということを経済の回復、新生と並んで大きな柱にしておられるし、また、この問題について早期に結論を出すために有識者会議を開いて、基本的な議論をしていただいているわけであります。  そこで、一言だけ私の印象を申し上げますと、八〇年代、アメリカは大変な三つ子の赤字で苦しんだ、それは委員御承知のとおりですね。これが今こういうふうになってくるに当たって、政府が予想した路線で財政改革ができたという証拠はどこにもないんです。やはり、経済そのものが当時予想されなかったような大きな転換をした、パラダイムシフトを起こした、そのことが今のアメリカの経済、財政の回復につながっているわけでありまして、社会保障基金まで黒字になっちゃった。そういうことも私どものこれからの検討の大事な参考にしていかなきゃいかぬ、かように思っておるところであります。
  97. 平岡秀夫

    ○平岡委員 済みません、建設大臣に来ていただいたんですけれども、ちょっと申しわけありません、時間がなかったので、また今度。
  98. 原田昇左右

    原田委員長 これにて平岡君の質疑は終了いたしました。  次に、達増拓也君。
  99. 達増拓也

    達増委員 今の日本にとりまして最も重要な問題、課題、テーマの一つ、ITについて、IT担当大臣でもある中川官房長官に伺いますけれども、まずは、官房長官自身にまつわるバーチャルリアリティーの問題といたしまして、ペーパー政治団体について伺いたいと思います。  中川長官の資金管理団体としては秀政会というものがあるわけですけれども、それのほかに、未来経済研究会、耕道会、そして育秀会という三つの政治団体が、しかし、これは全然活動をしていない、何のための団体かよくわからない団体であります。その三つの団体を利用して特定の個人からの政治献金、これをその政治団体に分散させることによりまして、最終的に政治資金規正法が上限と定める額の三倍近い献金を個人から取ってしまった。  これは、政治家個人の資金管理団体は一つにする、そして個人からの献金は上限百五十万円に定めるという法の趣旨に全く反することで、非常に理解しがたいことでありますけれども、そもそも、もう献金の通過以外に何の収支もなく活動もしていない、そういう政治団体は、これは何のためにあるのかを伺いたいと思います。  最後の育秀会については、これは平成八年の通常国会で、予算委員会で新進党が、ある住専の大口貸付先からの献金があった政治団体として育秀会は問題にしたわけでありますけれども、今、この三つの団体というのは一体何のための団体なのか、伺いたいと思います。
  100. 中川秀直

    中川国務大臣 今委員が御指摘の私の政治資金団体、あるいはまた私を支援する政治団体に関連するお尋ねについてお答えをさせていただきます。  委員御承知のとおり、政治資金規正法が変更になる前は、政治団体あるいは後援会、そういった政治資金団体は複数設置が認められていたことは御案内だろうと存じます。それぞれの団体、三団体とも、設立年月日も皆違う、そして代表者もおる、会計責任者、そういうものもおる、相当以前に設立された団体でございました。新法に変わりましてから、資金管理団体が一団体に限られましたが、政治団体はそのまま残すことは法律上認められていたわけでありまして、そういう意味では政治団体が残った、そういう形であったわけであります。  したがって、かつては、私を後援する方々がそれぞれの、また自由な意思でそういう団体をおつくりいただいて応援していただいたということで、それなりの活動もしていたわけでございますが、資金管理団体一本になりましてからは、そういう政治団体が事実上活動をとめておったという状況にあったわけでございます。  さてそこで、法律のことを先に申し上げますが、個人が企業献金じゃなくて個人献金として複数の政治団体に寄附することは、それぞれの一団体について百五十万という上限でありまして、それを幾つかの団体に寄附することは現行法上でも認められていることでございます。それからまた、そういう団体が公職にある議員の資金管理団体に、そういう受けた寄附を政治団体から一つの資金管理団体に寄附することも現行法上では認められているわけでございます。  個人献金ということで、いささかこちらの処理も甘かったと思っております。寄附していただいた方は、地元の、本当に若いころからの支援者であり、目いっぱい応援してやろうということで、そういう申し出を受けて、個人献金だから、法律でも認められていることであるからよかろうということで、複数の団体、それぞれの団体の上限百五十万の範囲でそれをお受けした。そして、しばらくおいて、それを資金管理団体に法律にのっとって移管をした、こういうケースでございました。  しかし、考えてみれば、それぞれの団体がそれぞれの活動をしていただいて、そして私を支援していただくということであるべきところ、事実上、本当にもう大した活動もしていらっしゃらない、そういう団体だけ形に残っておった。そして、法律では適法ではございますけれども、政治資金管理団体の方にそれがすとんといわばパスするような形で来たということは、立法の趣旨ということからするとやはり御指摘の点もあろう、こう思いまして、これは本当に十分これから気をつけなきゃならぬという気持ちでおります。  同時にまた、その三つの団体も、それぞれ代表者の方々にお願いをいたしまして、直ちに解散手続をとっていただくようにお願いをし御了承いただいた、こういうことでございます。
  101. 達増拓也

    達増委員 法律違反でなかったということを強調されていましたけれども、立法趣旨にかんがみるとよくない。  それで、最初質問は、何のための団体だったのかというのを伺いたかったわけですけれども、まず、残っていたということでありますけれども中川長官の秘書さんがそれぞれ会計責任者を務められているわけでありまして、支持者の皆さんにつくっていただいたとは言うけれども、そこには中川事務所としても目が届いていたはずであります。そういうところで、献金の通過以外にもし何もやっていない、活動がないのであれば、まさにそれは献金通過のために残しておいたということで、そういう法の趣旨に反することを意図的に行っていたということだと思うのですが、そうじゃないのですか。
  102. 中川秀直

    中川国務大臣 今申し上げましたように、それぞれ設立時期が、ちょっと今資料がございませんが、私も昭和五十一年に当選して以来、その今おっしゃった団体の一つはすぐつくっていただいた団体であったり、その他のものもそれから数年してつくっていただいたり、それぞれ応援をしようということで後援会のような形でおつくりいただいた。  しかし、これは誤解なきようにお願いしたいと存じますが、これは自治省に全部届け出てきて、そして、かつては複数の団体を持つことは認められていたわけですから、それぞれ活動しておったわけでございます。この事務所が、私も十分承知しておりませんが、確かに経理処理の方はうちの事務所でやったようでございますけれども、実際はそれの代表者の方々がいらっしゃって、そしていろいろな活動をかつてはしていた。またいつか再開するかもしれないということで残していたのかもしれません。  しかし、いずれにしても、それを残したということについて、意図的にやったということではない。また、政治団体としてそれぞれの議員を応援する団体は認められていることでございますから、そういう形で、また活動するかもしれないということで残しておったのではないかと存じます。  しかし、法改正になりまして、やはり個人献金についても一本化をしてやっていくべきであろうという趣旨といいましょうか、法律はそうなっていないんですけれども、趣旨は御指摘いただくような点があると思いますから、先ほど申し上げたような措置をとった、こういうことでございます。
  103. 達増拓也

    達増委員 ITの世界は、三カ月単位で新技術が商品化されていくような目まぐるしい変化の世界でありまして、そういう中で、古いものをそのまま残しておくとか、そういう感覚でこのIT担当大臣をやっていかれるということについては、非常に問題を感じますし、さらに言えば、この日本という会社の大番頭である官房長官として、そういう不透明な、趣旨不明確なやり方でいろいろなことを処していくということは、非常にこれは問題であるということを指摘したいと思います。  そういう中川長官が指揮をとって、今度IT政策を政府全体で進めていくわけでありますけれども、そういう変化も早い分野であります、また、今現状では各省庁に所管が分散し、一方では新しい分野について激しい省庁間の争い、競争もあると聞いておりますが、どのような体制で臨んでいくのでしょうか。
  104. 中川秀直

    中川国務大臣 余り長い答弁ではいけないと思いますが、確かにITの世界的規模で進んでいる大きな変化というものは、委員、三カ月とおっしゃいましたが、ドッグイヤーなどという言葉もございますように、本当に日進月歩と言うよりも秒進分歩と言っていいぐらい大変な変化でございます。  また同時に、それは経済のみならず、社会全体にも大きな変化をもたらすものでございまして、そういう意味で、その変革に対して果断な挑戦、そしてスピードが大切でございますから、総理を本部長とするIT戦略本部、かつてこれは総理を本部長とする高度情報通信社会推進本部という本部でございましたが、これをIT戦略本部に改組いたしまして、各閣僚にも全部入っていただいて本部を立ち上げました。そして、そのもとに、民間有識者を含みますIT戦略会議を設けさせていただいたところでございます。  官民の総力を結集して施策に反映していく。何か報告書を何カ月か、何年かかけて出していただくというのではなくて、その会議で出たテーマを即刻施策に反映させていく、そういう体制で臨んでいきたいと思っておりまして、既に先般、第一回目の会合で出た規制改革の分野においては、直ちにこれを秋の国会にも取りまとめて提出できるような、そういう指示を出しておりまして、具体的なことは申し上げませんが、それぞれ作業に入らせていただいておるわけであります。  そういうものを取りまとめていくために、内閣官房にITにかかわるスタッフ機能を強化することにいたしまして、具体的には、私のもとに官民から優秀な人材を得ましてIT担当室というものを立ち上げる。来週にもこれはスタートができると思っておりますが、そういうことで、既にある個人情報保護の担当室、情報セキュリティーの対策の担当室、こういうものも含めまして、総勢約四十人を超えるぐらいの規模の担当室にしてまいりたいと思っております。このような省庁縦割りを超えた、内閣官房を中心とする体制のもとで施策を実現してまいりたい。  ただ一点、一、二申し上げますと、やはりこの世界というのはデファクトスタンダードといいますか、先にいろいろなものが進みまして、法律あるいはさまざまな制度は阻害要因をなるべく取り除いていくという形で進んでいくべきものである。制度、箱物を先につくるのではなくて。そういう考え方でこの変革が生じてきているということも十分認識をしながら、柔軟に対応していけるような、そういう作業にしてまいりたい、こう考えております。
  105. 達増拓也

    達増委員 IT革命を成功させるには組織改革が非常に重要なのでありまして、このITという観点からの行政のあり方の大きな改革をやっていかなければ、成功いたしません。  経済企画庁さんが編集協力しているESPの八月号「座談会」の中で紹介されている話ですけれども、MITのブライオフソンという学者さんの調査によれば、IT投資と一緒に組織改革を行ったところは成功するけれども、IT投資はしたけれども組織改革を行わなかった会社は、IT投資も組織改革も何もしなかったところよりもひどくなっている。つまり、何百億円、何千億円のIT投資をやっても、それに見合う組織改革、我が国でいえば、行政の改革をきちっとやらなければ、何もしないよりもかえってひどくなるということになりますので、そこはゆめゆめ怠りなくやらなければならないということを指摘したいと思います。  次に、我が国のアジア外交について外務大臣質問させていただきます。  二〇〇〇年に入りましてから、アジアの動き、非常に目まぐるしいものがあります。今までにない大きな動き、中台関係でありますとか北朝鮮の動き、それに対応する韓国の動き、またプーチン大統領になったロシアの動き。そうした中で、やはり我が国としても明確なアジア外交の原理原則というものを持ってやっていかないと、いたずらに振り回されて、昔、戦前のスローガン、バスに乗りおくれるなで、安易なくっついたり離れたりに巻き込まれて失敗をする危険性があるのではないか。  そういう意味で、私からは、まず、アジアにおいては自由市場経済と民主主義を発展させていくのだ、日本としては、アジアにおける自由市場経済と民主主義、これは当然人権も含むわけですけれども、それの発展を目指すということを原則とする、そして日米同盟による戦略的安定というものをアジアにおいて維持してその安定を図っていく、そういう原理原則を持つことによって、不用意なくっついたり離れたりということを免れると思うのでありますけれども、この点いかがでしょうか。
  106. 河野洋平

    河野国務大臣 考え方として私も同じような考え方を持っております。大事なことは、民主主義、基本的人権の尊重あるいは自由経済、そういったものを大事にしていく、そして相互が話し合いによって問題を解決する。今のARFの考え方などは一つ非常に重要な場を提供してくださっている。この場を使ってできる限り話し合いによって問題を解決するということが大事だと思います。  ARFの考え方が成功するためには、お互いが、例えば防衛政策その他透明度を上げて、防衛白書その他をできるだけ公表し合うとか、そういったことによって信頼醸成措置を高めていくということが重要だと思います。  考え方はそういうことだと思いますが、乗りおくれるな、くっついたり離れたりというのは少し乱暴なお話でございまして、やはり今この時期、一つの潮目だと思いますから、我々もまた朝鮮半島の動きなどはやはり十分注視して、注視するだけではなくて緊張緩和への動きをバックアップするということと同時に、我々にとってもまた朝鮮民主主義人民共和国との関係というものについて、これを正常化していくという努力は必要になってくるだろう。  もちろん、今議員お話しのロシアとの関係というものも非常に重要で、プーチンという新しい若い大統領が登場して、どなたかもおっしゃっておられましたけれども、プーチン大統領の時代というのは相当長く続く可能性もあると思うのですね。ですから、こうしたプーチン時代とでもいうのでしょうか、ロシア日本との関係というものをやはりきちっとしていく、そういうこともまた重要ではないかと思います。
  107. 達増拓也

    達増委員 今我が国における少年を取り巻く社会問題は、これはもう危機管理の域に達していると思います。戦後日本社会のあり方あるいは教育のあり方という長期的な観点からのアプローチも必要ですけれども、今ここにある危機という認識で、今地域社会は何ができるのか、そして警察としては何をすべきなのか、これについて、自治大臣そして国家公安委員長として西田大臣伺いたいと思います。
  108. 西田司

    西田国務大臣 昨今の青少年の凶悪犯罪の増加等は、委員指摘のとおり大変憂慮すべき深刻な問題だと考えております。それらに対しまして、地域の総合的行政主体である地方公共団体の役割は極めて重要、私はこういう見方をいたしておるわけであります。  そこで、自治省といたしましては、次の世代を担う青少年の健全育成のために、地方公共団体が行う青少年の自然体験あるいは生活体験の促進、青少年を取り巻く社会環境の整備、家庭教育への支援等の取り組みに対し必要な財政措置を講じておるところでございます。  また、国家公安委員会警察庁としての質問がございましたが、繰り返しになりますけれども、最近、社会を本当に震撼とさせるような青少年事件が相次いで発生をし、まことに憂慮すべき状況にあると私は認識をいたしております。  警察におきましては、現在、全国に少年サポートセンターを設置するなど、関係機関、団体との連携も強化しながら、重大な非行の前兆段階での的確な対応に全力を挙げて取り組んでいるところであります。  また、悪質な犯罪に対しましては、これまでも厳正な捜査に努めてきたところでありますが、さらに、今般、都道府県警察に少年事件特別捜査隊を設置することにいたしております。事件捜査力の強化を図ると同時に、事前にできるだけこれらを阻止していかなければいけない、こう考えております。  最後に一言つけ加えたいのでございますけれども、一方でそういう対策、対応をとりながら、少年が健やかに成長するということも極めて大事なことでございまして、今後とも青少年非行対策の一層の充実強化を図るため、警察当局を指導督励してまいりたいと考えております。
  109. 達増拓也

    達増委員 終わります。
  110. 原田昇左右

    原田委員長 これにて達増君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  111. 原田昇左右

    原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。
  112. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。  本日は、私、取り上げたい問題が二つありまして、一つは新日中漁業協定にかかわります問題、それから社会保障の分野の問題、この二つに絞って議論させていただきたいと思います。  最初の、新日中漁業協定にかかわる問題であります。  実はこの問題は、特に西日本、私、地元は山口でありますが、山口から九州一帯にかけて、漁業関係者に大変大きな関心を呼んでいることでございます。なおかつ、我々が選挙をやっております真っ最中に、実は六月の一日、漁業協定が発効した、こういう経緯がありまして、何分にも我々、選挙を現場でやっている最中でありまして、その経緯といいますか、不案内なところもありまして、そうした点もぜひ確認をさせていただきたい、こんな思いで質疑をさせていただくわけであります。  今申し上げましたように、本年六月一日、新日中漁業協定が発効したわけであります。長い間西日本の漁業関係者にとりまして懸案でありました中国の刺し網漁船あるいは底びき網漁船が、排除あるいは制限をされたということはまことに大きな成果でありまして、一時期は大変大きな喜びとともにこの発効が迎えられたわけであります。  しかしながら、よくよく水産庁の説明を聞きますと、山口県から沖縄県海域に中国のまき網漁船の入漁を認めたということがわかるに伴いまして、地元の漁業関係者は、ある意味ではだまされたような気持ちを持っておられます。選挙が終わりまして、私どものところへ、おまえたちも知っていたのではないかというような大変大きな怒りの声が寄せられているわけであります。  したがいまして、まずは、きょうは水産庁をお呼びしておりますから、この協定発効の経緯、特に、五月の十五日から十八日に日中漁業協議が行われた、そして十八日にプレス発表されたその内容、そして、月が明けて六月になりまして現場に説明があった内容。どうも一部に、本当に現場に対する痛みを伴うような内容は隠されていたのではないかというふうに思われているわけでありまして、そうした協定発効の経緯を、最初に水産庁から簡単に御説明をいただきたいと思います。
  113. 中須勇雄

    中須政府参考人 お答え申し上げます。  新しい日中漁業協定につきましては、日中両国が平成八年に国連海洋法条約に加盟をしたということに伴いまして、それまで古い日中漁業協定におきましては、それぞれの領海は別でございますが、領海の外については公海扱いということで、原則として自由に操業できるという枠組みであったわけであります。それを新しい海洋法条約の沿岸国主義という考え方に基づいた協定としてつくり直さなければならないということで、交渉いたしまして、平成九年十一月に新しい協定に署名をいたしました。  ところが、新しい協定に署名をいたしましても、実際になかなか双方の水域でどういう操業をするかという内容が決まらないことによって、大変漁民の方々にも御迷惑をかけたわけでありますが、新しい協定が発効しないという事態がございました。ほぼ二年数カ月たってということでありますが、長く厳しい交渉を経て、ことし六月一日からようやく発効の運びとなった、こういう経緯でございます。  私ども、前年に発効いたしました日韓漁業協定と並びまして、この二つの協定によって日本周辺の海域における海洋法に基づく新しい秩序の基礎ができた、こういうふうには考えているわけであります。ただ、ただいま御指摘がございましたように、他方で、明年の中国のまき網漁船の入漁を認めるという問題でいろいろ問題がございました。  率直に申しまして、交渉事でございますから一定の制約はあるにせよ、私ども、漁業関係者の皆様方と十分意思疎通を図るという点において欠けていた、率直にそう思っております。そういう点におきましては、こうした入漁交渉がこれから毎年繰り返されるということでございますので、漁業者の声を十分酌み取ってこれからの交渉に生かしていきたい、こういうふうに反省もしておるところでございます。
  114. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の御説明で、国と国との交渉事でありますから、現場の漁業関係者との意思疎通が欠けていたということは率直にお認めになったわけでありますけれども、どうしても伺いたいのは、当初、地元の漁業関係者が大変に喜んでおった、中国船の刺し網あるいは底びき漁船が排除された、あるいは制限をされたということは、歓迎すべき大きな出来事だというように思っているわけでありますが、どうもそれと引きかえに、逆に中国のまき網漁船が一部入ってくるということが交渉材料として使われたのではないかというような憶測も呼んでいるわけであります。  それで、今の御説明でもうちょっと詳しく御説明をいただきたいのは、当初、五月十八日のプレス発表では、注意書で、日本海の一部にも中国のまき網船を入漁受け入れというようなこと、あるいは括弧書きで、百二十隻なんというようなことがあったようでありますけれども、その場所でありますとか水域とかということは、どうもプレス発表のときには明らかにされなかった。それが、月が明けて六月二日あるいは六月八日、九日、現場説明会でよくよく聞いてみると、A、B、Cの海域に入ってくる、こういうことがわかったわけで、逆に中国の排他経済水域に我が国のまき網漁船が入るということも、もちろん交渉事としてあるようでありますけれども、その辺の経緯というのを、もう一回水産庁長官、御説明をいただきたいと思います。
  115. 中須勇雄

    中須政府参考人 先ほど申しましたように、この問題、その発表の仕方を含めて、私どもに不手際があったというのは事実だと思っております。  ただ、言いわけという意味ではなくて、どういうことかということで若干詳しく申し上げますと、本来、今回の合意、五月の交渉によって日中双方合意をした、その内容は、基本的には、ことし十二月までの操業条件をどうするか、こういう問題でございまして、それに関しましては、今お話がございましたように、刺し網は禁止をする、それから、底びき網についてもかなり狭い海域に限定をする、そこを決めたということでございまして、あとほかにイカの問題がございますけれども、ちょっと離れた海域でございます。  まき網についてはことしは中国は操業をしない、こういうことで合意をされまして、ただ、明年は操業したい、こういうふうに中国が、向こうの方からお話がございました。そういうことを受けて、では、明年認めるけれども、一定の海域、一定の隻数だけは一応取り決めておこう、ただし、具体的な操業条件、いつからいつまで操業できるかとか、漁獲割り当て量を何万トンにするかとか、そういうことについては決めずに、この年末にそれは決めようではないか、こういうことで別れてきている。中途半端な形で別れてきた、こういう経過がございます。  そういった意味でございまして、私ども、明年まき網の操業があるよ、まだ海域は一定の、今先生がお話ししたとおり、言葉で日本海の一部とかそういうことで、十二月段階で最終的に、期間だとか割り当て量とかそういうものと一緒にして、漁業者の皆さんに詳しく御説明すればよろしいのか、こういうふうに思っていたことが、今御指摘のような誤解を生んでしまったということでありまして、その点はまことに申しわけなく思っておりますが、経過としてはそういう経緯がございました。  それからもう一点申し上げておきたいのは、これまでの中国の漁船の我が国水域における操業で最大の問題は、やはり底びき網漁船でございました。多数の底びき網漁船が船団を組んで操業をする。そうすると、もう我が方、操業ができなくなってしまう、日本の漁船が。そういうことで大変な脅威を感じておりましたし、資源に与える影響でも、底びき網漁業、大変大きな問題があるということで、そこをとにかくできる限り排除をするというところに力点を置いた。それは交渉経過において、やはり重点的な項目としては一点あったということは間違いない事実でございます。  まき網につきましては、そういうことでまだ条件もすべて決まっていないわけでありますが、実は日韓の新しい漁業協定で、韓国のまき網漁船について、日本水域での操業を認めております。その操業水域より中国の方がむしろ狭いくらいでございまして、韓国のまき網漁船の操業では特段の問題が起きていないということから、類推的に、中国についてもと、こういうふうに考えてしまった、そういう経過があったのもまた事実でございます。
  116. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 今の御説明で、特に後半部分でありましたように、確かに、ただいままで大変に漁業関係者が苦しんでまいりました中国の底びき漁船、ここの一定の制限をすることができた、そこに力点を置いて交渉をされたということは理解ができるわけであります。  しかし、韓国と中国は、韓国の事例があったからという話もありましたけれども、私は、中国のまき網について、確かに近時、入漁実績がないわけでありますから、そこは私も、水産庁さんの御説明を聞いて、そうかな、こういう理解もしたわけであります。  しかし、現場の漁民の皆さんの声を聞きますと、やはり中国のまき網漁船の入漁を認めるということになりますと、中国側がどのように今後動いてくるのか全くわからないわけであります。中国が食糧確保を目的としてまき網漁業の振興を図る、ここに絞ってくる、重点を置いてくるということも当然可能性はあるわけでありまして、協定を結んだ以上は、むしろ入ってくるということも想定をしなくてはならぬ、このようにも思うわけであります。  聞くところによりますと、入漁させる中国のまき網漁船、これは日本国内法では認められていない相当大規模な二百トンクラスの船である、あるいは灯船の明かりも大変明るいものを持っているという話を聞いているわけであります。  さらに操業区域、これはブリでありますとかフグ、マグロ、カツオあるいはスルメイカ等の回遊魚の産卵、育成場であるわけでありまして、日本周辺の水産資源の供給源となっている東海あるいは日本海の南部水域であるわけであります。  このため、中国船が入ってくるということになりますれば、漁業秩序が乱れるだけでなくて、日本周辺水域全体の水産資源にも重大な影響が生ずるのではないか、このようにも思うわけであります。  操業区域は、実は、私の地元の山口県の見島沖の八里ケ瀬、有名な、大変広大な自然礁、天然礁があるところでありますけれども、こうした大変すばらしい漁場も含まれているわけであります。  そういうことを考えますと、今後、中国船が入ってくるということを前提として考えますならば、九州、山口各県の各種漁業との競合を招くことは必至ではないか、このようにも思うわけであります。  現場の漁業関係者の声を聞いてみますと、国の方針では今まで、過剰な漁獲努力量の削減が必要、このように言われてきて、そうした方針に従って日本の漁業の漁獲努力量を削減してきた、そして、育てる漁業あるいは管理型漁業で水産資源の回復を図ろう、こういう努力をしているときに、漁獲能力の高い中国の大型まき網船が入ってくる、それを認めること自体問題ではないか、こうした思い、声があるわけであります。  大多数の零細漁民を無視して、大規模漁業の目先の利益のみを考えた今回の協定ではないのか、措置ではないのか、こういう声もあるわけでありまして、このA、B、C海域についての入漁を認めた今回の措置について、ぜひとも白紙撤回をしてもらいたい、こういう強い声が私どものところにも寄せられている、地元の議会でも意見書が採決をされたという話も伺っているわけであります。  こんな声がありますけれども、谷大臣におかれては、丹波篠山でありますから、余り海は関係ないかもしれませんけれども、こうした声があるということをぜひ、日本海ありますね、失礼いたしました。谷大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  117. 谷洋一

    ○谷国務大臣 大変お気を使っていただきまして、ありがとうございます。私は、昔の国でいえば但馬の国でございますから、日本海漁業は私の本場でございますので、よろしくお願いしたいと思います。  日韓漁業につきましては、いろいろと先輩の皆さん方の御苦労を煩わせまして、無事完了いたしました。しかしながら、日中漁業につきましては、長い間かかりまして、なかなかめどがつきませんでした。前農林水産大臣である玉沢さんの方が努力努力を重ねまして、駐日中国大使館、大使あるいは中国にまで働きかけられまして、積極的な姿勢をとっていただいた結果、やっとこの解決のめどができたわけでございますけれども、確かに今御指摘のとおりに十分なものではないと思っております。明年のまき網の海域と隻数につきましては確定しておりますものの、本年いっぱいにそのほかの問題については交渉を重ねて解決しなきゃならぬと思っております。  そういうことでございますので、先ほど水産庁長官の方はその点は落としておりましたけれども、今後、本年中に解決するというめどをつけまして、今御心配の点はないように最善の努力を払っていきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。
  118. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 確かに今後の課題というのは、もちろん今から申し上げます、ありますけれども、現場の漁業関係者の声は白紙撤回を求めている、これぐらい強い声であるということをぜひとも御認識をいただきたい、こう思います。  その上で、どうしても国と国との協定でありますから、これから作業が進んでいくということであれば、先ほど水産庁の長官からもお話がありました、今後の漁業水域、そして期間、さらには漁獲量の割り当て、こうした諸条件についても大幅に制限をしてもらいたい、こういう声があるのも確かであります。強い声であります。  さらには、二〇〇二年以降の次なる漁期においても、中国まき網漁船は我が国排他的経済水域には入れない、こういう姿勢でぜひとも今後の交渉に当たってもらいたい、こういう強い声をいただいているわけでありますが、長官、もう一回今後のことについて御決意を伺いたいと思います。
  119. 中須勇雄

    中須政府参考人 残された課題として、明年の操業条件ということでも残された問題がございますし、今お話の出ました八里ケ瀬の扱い等をどうするか、こういうのも、私ども年末の協議で中国側と協議をしたい、こういうふうに思っております。それと同時に、さらにその後、二〇〇二年以降をどう扱うかという問題もございます。  いずれにいたしましても、私ども、今回の新しい日中漁業協定というのは、しっかりと日本水域において資源の保護を図っていく、そして日本の漁業者が安心して操業できるような体制をつくる、そこにやはり一番の力点があるということだと思っておりますので、漁業者の意向を十分踏まえて最大限の努力を払っていきたい、今御指摘の点につきましてそういうふうに考えております。
  120. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひとも現場の漁業関係者の声を大事にしていただいて、今回のような協定、国と国との交渉事ではありますけれども、国と国の交渉と同時に、地元の、我が国の漁民の理解を得るという姿勢もあわせて大事なわけでありまして、そごがないようにぜひともお願いを申し上げたい。  とともに、やはり今八里ケ瀬の話がありましたけれども国内法では随分地元の県当局におかれてもさまざまな規制措置をとっているということもあるわけでありまして、そうした国内問題が今回の国際協定によって新たな局面を迎える、そして影響を受けていくということもあるわけでありまして、きょうは農水委員会ではありませんからそこまでやりませんけれども、ぜひともそうした現場の声を、実態を認識の上、作業を進めていただきたい、このように思うわけであります。  いずれにしても、新協定発効のため今回こうした措置がとられたわけでありますけれども、やはり日韓と同じように、広大な暫定措置水域が設定された上にさらに中間水域が設置されたということでありまして、東海の水産資源の早急な回復が場合によっては望めなくなる、こうした事態も想定をされるわけであります。東海を操業水域とするフグあるいはアマダイ、はえ縄漁業等の関係漁業の操業ができなくなるということも考えられるわけであります。  そして、先ほどから御説明がありましたように、新協定署名後、発効までに二年半かかってきた。今日までも、底びき船等を中心に随分と地元の皆さん方は苦労をされてこられた、被害も大きかったわけであります。さらには、今後中国がどういうふうに動くかということはわからぬわけでありまして、こうした推移をしっかりと見守った上で、私は、さまざまな事態に対応するために、日韓と同じように、例えばあの日韓のときには、二百億ですか、基金を積まれて、地域の漁業の構造再編というようなことも含めてさまざまな対策をおとりになった。私は、今後の状況を見てぜひともそうしたことも検討いただきたい。  大臣、そういう声が地元にあるということをぜひ知っていただいて、大臣の御見解を最後にもう一回承りたいと思います。
  121. 谷洋一

    ○谷国務大臣 ただいまお話がございましたように、日韓漁業協定につきまして、この裏づけといたしまして基金制度をつくったことは御指摘のとおりであります。日中漁業協定につきましてはこの問題はなかったわけでございますけれども、ただいまいろいろと地元の事情を詳細にわたってお話がございました。そういう点を含めまして、今後の日中の漁業協定の発効並びに今後の折衝等々を踏まえまして、十分検討していきたいと思っております。
  122. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ぜひともお願いを申し上げておきたいと思います。  時間もありませんから、次の話題に移りたいと思いますけれども、社会保障の分野の話であります。  きょうは、大蔵大臣いらっしゃいますので、平成十三年度へ向かって、平成十三年度の大変厳しい財政の中で社会保障の当然増をどうするか、こんな議論もしたいわけでありますけれども、ぜひともきょうはこの場で介護保険制度について一点だけ厚生省の見解を承っておきたい、このように思います。  この四月から介護保険が始まりました。四、五、六、そして今七月でありますから、三カ月、四カ月運営をされてきたわけであります。私ども理解でも大混乱があるかという心配もして、当時の与党三党で特別措置もとったわけであります。そうした成果もありまして、比較的円滑な制度導入ということが行われたのではないかと思っておりますけれども、しかしながら、さまざまな問題が出ているのも確かではないか、このように思っております。  きょうは、厚生大臣いらっしゃいませんが、総括政務次官いらっしゃいます。介護保険が始まって三カ月たった状況をおまとめになっているというふうに私は理解をしておりますので、介護保険が始まってから三カ月、どういう状況で進んできたのか、そしてその中でどういう問題が出てきていて、どういう対応をされようとしているのか、ぜひともこの三カ月の状況を振り返って御報告をいただきたいと思います。
  123. 福島豊

    ○福島政務次官 お答えをさせていただきます。  四月から実施をされました介護保険制度でございますが、サービス現場や市町村の皆様の多大な御努力によりまして、現在まで順調に実施をされてきているというふうに考えております。サービスの利用者の数、そしてまたサービスの提供量ということでございますけれども、この両者につきましても拡大が制度実施後認められておりまして、制度導入によるよい結果があらわれている、そのように考えております。  具体的には、本年四月には厚生省が調査を行いまして、七月には全国老人クラブ連合会が調査を行っております。直近の七月の調査の結果を御紹介したいと思いますが、サービスの利用者に関しましては二九%の増加を見ております。また、従来のサービス利用者の皆様の二九%の方がサービスの利用量、サービス量が増加をしておるという結果となっております。  また、利用者の皆様がどういう受けとめ方をなされておられるのか、これについてもアンケート調査を行っておりますけれども、その中で目立った御意見としましては、例えば、通所サービスによりまして外出機会がふえて毎日の生活に張りが出てきたとか、そしてまた介護負担が軽くなったことによって家庭の中の雰囲気が明るくなったとか、そしてまた措置制度から利用者の利用制度に変わったわけでございますけれどもサービスに対してのさまざまな苦情というものが言いやすくなった、このような意見が寄せられております。  また、サービス提供事業者の皆様についての調査でございますけれども、従来から地域に密着をしまして利用者の皆様と信頼関係を築いてこられました事業者に関しましては、おおむね順調にその事業が実施をされているというふうに承知をいたしております。営利法人につきましても、四月以降引き続き参入が進んでおりまして、ホームヘルプサービスを含めまして指定を受けた事業所の数は増加をいたしております。  具体的には、指定事業所の指定件数でございますが、総数としましては、四月の段階では五万四千八百二十六件でございましたが、七月には五万八千四百四件と、三千五百七十八件の増加を見ております。  この中で、内訳でございますけれども、営利法人に関しましては、四月に一万三千四百五十件でございますが、七月には一万五千五百四十一件と、二千九十一件の増加を見ております。NPO法人についても同様でございまして、四月に五百三十九件でありましたものが、七月には六百七十二件と、百三十三件の増加を見ているわけでございます。  今後とも、厚生省としましては、現場の御意見というものを真摯に受けとめさせていただきまして、課題があれば柔軟に対応することによって、国民の皆様と一緒になりましてこの介護保険制度をよりよきものとして育ててまいりたい、そのように考えております。
  124. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 福島政務次官はいいことばかりおっしゃったけれども、問題があるわけでありまして、私は問題もあわせて伺いたいというように尋ねたわけであります。  厚生省、介護保険を今日までやってきて、問題点があるというふうには理解をされていないんですか。もしあれば、こういうことが問題だというふうに把握しているということであれば、幾つか出していただきたいと思います。
  125. 福島豊

    ○福島政務次官 現在までの調査の中で、さまざまな指摘がございます。  例えば、要介護認定につきましても、痴呆性高齢者の方の要介護度が現在の判定ソフトではどうしても低く出るのではないかというような御指摘もございます。そしてまた、介護報酬の請求に関しましても、さまざまな制度見直しということもございまして、事業者の皆様方に大変な御負担をおかけしたというようなこともあったかと考えております。そしてまた、ショートステイに関しましても、ベッドの利用数というものが従前に比べると低下したのではないかというような御指摘もございます。  こうした一つ一つ課題につきましては、厚生省としましても、できる限り早く適切な対応をしてまいりたいということで現在も準備をいたしておるところでございます。
  126. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 ありがとうございます。  今確かに、おっしゃったような問題が我が党にも寄せられているわけであります。  四月から始まりました介護保険、利用料の一部負担の請求が利用者に届いたのが五月末ということがありまして、今まさに負担と給付の関係で大きな問題が出ているのではないか。利用抑制につながっている、一割の利用料が負担できずにサービスの抑制につながっているということも我々は聞いております。さらには、十月から高齢者保険料の徴収が始まるわけでありまして、恐らくさまざまな問題がこれから介護保険で出てくるのではないかと私は思っております。  今政務次官が言われましたさまざまな問題も含めて、ほっておきますと、介護保険は次の法律改正、次の見直しの段階までは手をつけないという嫌いがあるわけであります。加えて、全国的なシステムを組んだものですから、少々の手直しでは済まないということがあって、問題を次の抜本的な改革まで待とう、こういうことが出てくるのではないか、私はこう思っております。  今から概算要求等の作業にもなりますけれども、必要なことは、微調整はどんどんやっていくという姿勢が必要ではないか。私ども公明党としてはさらに、党内の対策本部を中心に、さまざまな介護保険の今の進みぐあいをしっかりと把握していきたい、そうした提言をまたどんどん政府にさせていただきたい、こう思っておりますが、今後の取り組みの姿勢を、もう一回政務次官に決意を伺って、終わりたいと思います。
  127. 福島豊

    ○福島政務次官 桝屋委員の御指摘というものをしっかりと受けとめさせていただきたいというふうに思っております。  先ほども申しましたように、要介護認定のソフトに関しましても、さまざまなデータの積み重ねということが必要でございまして、それにつきましては、適切な改善を行うための基礎的なデータの収集を開始いたしたところでございます。  そしてまた、ショートステイ、そしてまたデイサービスの利用枠の一本化ということにつきましても、これも適切な対応を図るための作業を進めさせていただいたようなところでございます。一つ一つ柔軟に対応してまいりたいと思っております。  そしてまた、利用者の負担が大きくて、サービス利用というものに一定の制限がかかるのではないかというような御指摘もございます。  現時点で私どもの手元にございます調査の結果でございますが、これは茨城県の日立市の調査でございますけれども、介護保険導入に伴ってサービス量が減った方がどのくらいおるのか。この調査では、全体で六百九十三名の調査でございますけれども、七十三人、一〇・五%の方が減ったという答弁をいたしております。そして、その理由としまして、利用料を支払うのが困難であったということを挙げておられる方が九人おられまして、全体としましては一・三%ということで、極めて限られた形での減少ではないかというふうには認識をいたしております。
  128. 桝屋敬悟

    ○桝屋委員 これで終わりますが、一・三%は小さい数字ではないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  129. 原田昇左右

    原田委員長 これにて桝屋君の質疑は終了いたしました。  次に、小池百合子君。
  130. 小池百合子

    ○小池委員 保守党の小池でございます。  与えられた時間は十分。五人の大臣にお越しいただいているので、お一人たった二分という計算になりますが、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず、金融問題でございます。参考人の方々もこの後いらっしゃるんですが、私は、むしろ今問われているのは金融行政の一貫性ではないかというふうに思いますので、金融再生委員長であられます相沢委員長の方にお聞きをさせていただきます。  ついせんだってまで与党の金融プロジェクトチームの座長をお務めいただいて、その仲間でやらせていただいていたわけでございます。せんだっても、この与党のプロジェクトチームの方で、日債銀の譲渡に関しましてのいわゆる瑕疵担保特約、この見直しについてはしないということを確認したわけでございます。民民の契約、もちろんこれに政府は絡んでいるわけでございますが、やはり契約というものの考え方を踏まえますと、今ここで変えるなどという話は到底難しいというのが現実だというふうに考えるからでございます。  そしてまた、今問われていること、それは金融行政に揺らぎがないということを、明確にメッセージを伝えることではないかと私は考えているわけでございます。  現実に、そごう問題以来、株式市場は大変荒れまして、またアメリカの金融市場の問題もあるわけでございますけれども、時価総額で申しますと、株価で約四十兆円ばかり吹っ飛んだ計算にもなるわけでございます。ここはやはり、金融行政の揺らぎを見せない、そしてまた大所高所からの決断ということが必要になってまいりますし、法治国家としてのクレジビリティーということ、そのメッセージを明確に出すということが今最大求められていることだと私は考えているわけでございます。  ということで、金融再生委員長に御就任になられましたばかりの相沢委員長に、そのあたりの決意をお伺いさせていただきたいと存じます。
  131. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 どうも立場が入れかわりましてから、今度は御答弁をするようなことになりまして恐縮でございます。  おっしゃるように、金融行政に揺らぎがあることが、これはもう日本国内のみならず外国の、日本の金融あるいは金融行政に対する不信の原因となるおそれがございますから、事態が非常に急変をする、あるいは事情が変更することを除きましては、一遍決めたことは極力これを変更しないということが必要だろうというふうに考えているのでございます。  つけ加えて言いますと、金融システム改革におけるフリー、フェア、グローバルの三原則にもあるとおり、国際的なルールとの整合性、ルールの明確性、透明性、一貫性に十分注意していくことが肝要と考えております。これまでもそのような観点を踏まえ、我が国の金融システムの再生と安定のために取り組んでまいりましたが、今後とも、明確なルールに基づくところの、公正で透明な金融行政の徹底を目指して努力してまいりたい、このように考えております。
  132. 小池百合子

    ○小池委員 ぜひとも揺るぎのない姿勢というのを貫いていただきたいと存じます。  また、金融を担当している議員といたしましても、そごう問題が起こる前に、実は丸井今井の話はそのまますうっと通っていたわけでございまして、このあたりの整合性、またポピュリズムに流されないという私どもの姿勢というのも重要であろうというふうに考えております。  続きまして、外務大臣に伺わせていただきます。忙しいのでございます。  沖縄サミットも無事終了いたしました。御苦労さまでございました。盟友のオルブライト国務長官が中東和平の方にとられて、結局来られなかったということでございますが、この中東和平につきましては、私も何年かかかわってまいりました。サミットは毎年行われるのに比べて、中東和平の問題は二千年やっているわけですから、この際、クリントン大統領にはそのまま頑張っていただいてもいいななんて、政府のことは考えずに一瞬思ったりもしたわけでございます。  さてそこで、沖縄サミット、一体沖縄から我が国は何を発信できたのか、そのあたりの総括をお願いしたいと思います。
  133. 河野洋平

    河野国務大臣 私から申し上げれば、いろいろございますけれども、二〇〇〇年最後のサミット、二十一世紀を視野に入れて、二十一世紀がこの世界の中でどういう世界になるかということをいろいろ御議論いただいて、その中から、今後の世界の繁栄のかぎはIT革命であろうということになって、IT憲章というものを発出するということになりました。このITは、もちろん、先進国と途上国との間にデジタルデバイドという現在大変大きな問題がございます。この溝をどうやって埋めていくかということも重要な課題考えます。  さらに、二十一世紀には、世界の人々の心の中に不安がたくさんあるだろう、この不安をどうやって未然に防ぐか、あるいは取り除いていくかということについて、先進国の首脳は御相談、御議論になりました。この不安の中には、例えば食糧の安全、食品の安全の問題でございますとか、あるいはHIVの問題でございますとか、そうした問題がございます。これらの問題解決のために、先進国はできる限り率先して努力を当然のことながらしなければならぬだろう。  そして最後、一番重要なことは、いかに世界の平和を構築していくか、紛争を未然に防いでいくかということが重要だという御議論になりました。その議論の中で、世界の地域情勢について御議論がありまして、その地域情勢の中に中東問題が大きなテーマ、あるいは朝鮮半島問題が大きなテーマでございました。いずれも首脳たちは、これらの交渉をサポートする、そして話し合いによって問題を解決してもらう、そのためにはできるだけの支援をしよう、こういう合意ができた次第でございます。
  134. 小池百合子

    ○小池委員 その意味でいえば、私は、バラク首相そしてアラファト議長を沖縄まで連れてきちゃえばよかったというふうに思っております。そもそもの中東和平をつくった原因と結果が、それにかかわるメンバーがすべているわけでございます。ドイツを含めてそうでございます。そして、代理戦争をしていたアメリカ、旧ソ連もいるわけでございます。そして、それとある意味では距離のある日本というのがその場を提供するというのは、実は最大のチャンスだったんじゃないかなというふうに思ったりもするわけでございます。  三番目の質問に参らせていただきます。  景気の方は自律的回復と申せども、まだまだそのあたり、揺らぎといいましょうか、確実なところではないというのを私も感じているところでございます。そこで私は、やはり一番の個人消費を刺激するという意味でも、住宅建設というのが一番広がりがあり、かつみんなが求めていることではないかと感じるわけでございます。  これまでの住宅政策といいますと、結果として核家族化を進めてきた。私は、最近の社会の不安などを考えますと、今政策を大家族制に大きくUターンさせるべきではないか。そのためには、床面積を広げる、容積率などの規制を緩和する、そういったことと税制、つまり贈与税そして相続税の問題も今出てきているわけでございますが、相続税、贈与税、それを単に資産を次の世代に名前を移しかえるだけでは、経済の足しにも何にもならないわけでございます。  よって、こういった総合的な政策として、また保守党の党首であられる扇建設大臣が今建設大臣をお務めになっておられる、そういった意味で、相続税、贈与税の見直し、そしてまた個人住宅をこういった大家族制という大きな政策転換をする、そしてまた、それが個人消費にどのようにプラスになるであろうか、まとめてお三方からお答えいただきたいと存じます。
  135. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 御指摘のように、個人消費の回復には住宅建設というのは大変大きな役割を占めます。建設が需要になるだけではなしに、いろいろ、家具その他入れかえもございますので、非常に大きな役割を占めると思います。  現在のところ、大体年間で百二十万戸台のベースを保っておりまして、比較的好調でございますが、来年六月入居の段階までで税制特例が切れるという問題がございます。これがどういう影響を与えるか明確には分析はまだ進んでおりませんけれども、やはり、これにかわる何らかの方策をとらないといけないのではないかと私どもは思っております。  また、住宅建設の考え方でございますが、今委員指摘のございましたように、大家族化ということも一つでございますし、また、医職住の混合、特に、歩いて暮らせる町づくりというようなものを推進いたしまして、町全体で、お年寄りも若い人も、男女共同参画の方々も暮らせるような方式をとっていきたい。その中には、住宅も商店街も文化施設も医療施設もすべて包含されているような仕組みをとっていくべきではないかと思います。  また、流通関係ですね。住宅の流通関係、リフォーム、そしてどんどんと家族の構成等に、変化に応じて住宅がかえられるような、相続税の問題、贈与税の問題、あるいは登録税の問題、そういった問題も総合的に今考えるべきときに来ているのではないかと考えております。
  136. 扇千景

    ○扇国務大臣 お時間だそうでございますので、なるべく簡単に答えさせていただきたいと思いますけれども、今おっしゃいましたように、おかげさまで私ども、戦後、日本人の寿命は世界一になりまして、男性は終戦後二年で五十歳だったのが今七十六歳、おかげさまで女も五十二歳だったものが今八十四歳という高齢社会を迎えまして、これは、統計によりますと、二〇五〇年は日本人の平均寿命が百歳という国際的なものも出ております。  そうなりますと、ますますお年寄りが多くなって若者の負担が多くなるという日本の現状でございますけれども、そのために、私は、少なくとも、今おっしゃいましたような、住宅というものを考えざるを得ない。そして、今お話ございましたように、少なくとも同居、二世帯、三世帯同居のおうちを建てることによって、あらゆる面で、税制面も含めて緩和することによって、今日本で一番お金を持っているのは六十五歳以上でございますけれども、老後の不安があるからお金を使わない、消費が伸びない、ですけれども、子供と一緒に住むから、そこで免税措置がとられたり贈与税の拡大があれば、六十五歳以上が、子供たちと一緒に住むからおうちを建てようということになるんじゃないかということで、ぜひ私はそれを進めていきたい。  また、今の現状では、それぞれのおうちをお建てになっても、あるいはバリアフリーとかあるいは耐火性の住宅とか、そういうものをいろいろ勘案しながら、皆さん方とともに、新しい住宅のあり方というのは、二〇〇〇年の住宅のあり方、二世帯同居、三世帯同居を考えながら、あらゆる面で皆さんとともに新しい世代のおうちづくりをしていきたいと思っています。
  137. 原田昇左右

    原田委員長 これにて小池君の質疑は終了いたしました。  次に、海江田万里君。
  138. 海江田万里

    ○海江田委員 民主党の海江田でございます。  きょうは、参考人お三方、わざわざお忙しい中をお越しいただきましてありがとうございます。今、この問題は大変国民の注視の的でございますので、どうか、本予算委員会の審議に御協力をいただきたいと思います。  まず、せっかくお越しいただきましたお三方の中で、八城さんにお尋ねをしたいと思います。  昨日あたりから私も新生銀行の年報を見せていただきまして、ディスクロージャーでいろいろな情報が盛り込まれておりますけれども、その中で、「役員及び個人主要株主等への関連当事者との取引」がございまして、この中で、昨日の報道あるいは当予算委員会での答弁などによりますと、御行は、このうちのリップルウッド・ホールディングス・マネジメントLLCとJCFマネジメントLLC、この二つに対する支払いをやめようじゃないかというような決定をなされたということでございますが、私はもう一つ、ニュー・LTCB・BV、およそ二十七億円、正確には二十六億九千百万円でございますが、この支払いもやはり御行がおやりになるのは少し不自然ではないだろうかという気がしておるんですが、御行がお支払いをやめるということはどうでしょうか。そういうお考えはありませんか。
  139. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  私の答えは、これは新生銀行が払うべき性質のものだと思います、もしも理由を申せといえば申し上げますが。  これは、昨年、ほぼ一年ぐらい前から、新生銀行、旧長銀の買収に当たりまして投資側がいろいろ使いました会計事務所であるとか法律事務所、さらには投資銀行等々がございます。これは日米両国にまたがっておりますが、その中で行われた仕事というのは、現在の新生銀行の今後の経営にとって非常に貴重な資料がたくさん入っております。その対価としてこれを払ったものでありまして、すべてちゃんとした請求書がニュー・LTCB・BVというところを通じて私どものところに参っております。膨大な資料でございます。  さらに詳しくちょっと申し上げますと、一例を申し上げますと、例えば会計事務所については、新生銀行、旧長銀の会計処理がどういうふうに行われていたか、あるいは税務上どういう問題があったか。法律事務所の場合には、例えば税法上の問題の取り扱いがどうなっていたか、過去に行われたことが適正であるかということもちゃんと検証をしております。さらには投資銀行につきましては、今後の新生銀行の経営に当たって、例えば損益のモデルをつくっております。いろいろな変数を入れることによって、将来どういうふうな絵をかくことができるか、あるいは事業内容を変えることについてのアドバイスもいろいろ入っております。これはすべて個別のインボイスがございます。
  140. 海江田万里

    ○海江田委員 今ちょっと私聞き漏らしたんですが、そういう会計事務所なり弁護士さんなりと、当然そういうアドバイスをお願いします、資料提供をお願いしますというオファーをするわけでございまして、恐らく契約書をつくっていると思うんですが、契約書をつくりましたのは一体どなたでいらっしゃいますか。そして、できたらその日付がいつぐらいのものかということを教えてください。
  141. 八城政基

    ○八城参考人 私の記憶では、たしか十七ぐらいの相手がございます。それぞれは契約書がありましても、みんな日付も違いますし、守秘義務がございますので中身を一々申し上げるわけにいきませんけれども、第三者との契約であります。ですから、ちゃんとした契約に基づいているものもありますし、中には、例えば翻訳業務というのがたくさんございますから、そういうものも入っております。  量にしましたら、例えば一つの例ですけれども、会計事務所については、約七十人の人間が十カ月にわたっていろいろな作業をしております。
  142. 海江田万里

    ○海江田委員 私が今お尋ねをしましたのは、契約を結んでおるでしょうから、その契約を結んでいるこちら側はどなたですかということと、それから、大体時期的に、一つ一つについてのお尋ねじゃありませんで、おおよそいつぐらいですかということだけをお尋ねしております。お答えください。
  143. 八城政基

    ○八城参考人 契約の当事者はニュー・LTCB・パートナーズでございます。しかし、名前は最初からニュー・LTCB・パートナーズと呼んでおりませんが、実体はニュー・LTCB・パートナーズが契約者であります。  そして日付は、ほぼ去年の二月ぐらいから始まっているかと思います。
  144. 海江田万里

    ○海江田委員 そういうお話を聞くと、私は、新生銀行が払う性格のものではないというふうに思うんですが、これを払うということを決めたのは一体いつでございますか、取締役会を開いているはずでございますから。私の記憶では取締役会は三月二日だと思いますが、それ以外の取締役会であれば、その日付も教えてください。
  145. 八城政基

    ○八城参考人 これはアメリカで行われていることでございますけれども、いわゆるプライベート・エクイティー・ファンドなんです、性格的には。これは、企業の買収をするときに、買収をする主体が、投資家との話し合いによって、最初から契約が投資家の間にできています。いわゆる経費的なものについては、通常の場合は、買収をされた相手の企業が払うということが一般的に行われております。
  146. 海江田万里

    ○海江田委員 どこかその辺に座っておっていただいた方がいいかもしれませんが。  八城さんともあろう非常にクレバーな方が、何で私がお尋ねをしておることに短い時間できちっとお答えをいただけないのか、僕はちょっと心外なんですが、今私がお尋ねをしましたことは、これを新生銀行が、御行がお支払いをするということを決めたのは一体いつの取締役会ですかということをお尋ねしたんです。それはいつですか。
  147. 八城政基

    ○八城参考人 済みません。三月二日の取締役会で支払いを承認してもらいました。それ以外の取締役会では承認を受けておりません。
  148. 海江田万里

    ○海江田委員 もう皆さん方よく御存じだろうと思いますけれども、三月二日というのは、まさにこの新生銀行が誕生したその日でございますね、これは。  それまで、三月一日までは、これはもう御案内だろうと思いますけれども、三月一日に当行の、当行というのは新生銀行ですね、旧長銀でございますけれども、この普通株式がパートナーズ社へ一括譲渡され、そして特別公的管理が終了したのが三月一日。そしてそれを受けまして、三月二日が、経営陣の改選を実施し、新銀行としての営業を開始した。  ですから、ここで選ばれました、たしか十四名でしたか、新しい取締役会が、第一回のまさに取締役会を開いて、そこで、これまでの一年以上前の契約、しかもその契約の相手方というのは、今お話を聞きますと、ニュー・LTCB・パートナーズだという。これはまさに投資の会社でございます、投資グループでございますよ。これが契約をしましたのを何でやらなきゃいけないんですか。私は、どう考えてもおかしいですね、これは。おかしいです。
  149. 八城政基

    ○八城参考人 企業が買収をするという場合には、これは、その会社を買収しました投資家が株主でございます。これは日本ではなかなか理解されない向きもありますけれども、株主がその会社を持っているということでございます。したがって、その会社が払うことは適正であるということについて、弁護士さんにも相談いたしました。それで、適正だという答えをいただきましたので、取締役会に提示しまして、取締役会で承認を受けたという経緯でございます。
  150. 海江田万里

    ○海江田委員 まあ平たく言えば子会社なんですね、新生銀行というのは、その意味では、パートナーズにとってみては。よくアメリカ企業買収なんかで、まさに子会社が買うというような話があって、それがそういう意味では子会社になるわけですからそういうケースがあるようなんでしょうけれども一つ忘れていただいてはいけないのは、やはりこの新生銀行には公的な資金が入っているということですよ。  これはほかの国の、アメリカの例をお持ち出しになりますけれどもアメリカでは違うわけですよ、アメリカの一般の企業買収の話とは。だから、まさにそれがありますから、恐らくこの二つのケースでも、これは若干成功報酬的な色合いもあるということがあるわけでございますが、私は、ここのところの費用というのは、まさにこのニュー・LTCB・パートナーズがこれを買うための必要な情報であって、そういう情報が得られたから買ったわけですから、平たく言えば買うための必要な経費だったわけですよ。  これまでも全部新生銀行に押しつけてしまったら、しかもさっきおっしゃったように、通訳ですとか翻訳ですとかそういうところの費用もこの中に入っているというのですから、じゃ、LTCBの経費というのは何があるんですか。全くそれは負担なしに買っていることになりはしませんか。  私は、これはだれが考えたって、まさに三月二日、新しくなって、これまでの契約について、それを、しかも契約の主が新生銀行じゃないんですから。やはりおかしいですよ、これは。
  151. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたしますが、これによっていろいろ研究をいたしたことの結果は、新生銀行の経営にすぐに役に立つものでございます。投資家が入ってきても、新生銀行の中身を全く知らないで経営はできないわけでありますから。  さらに、公的資金は、要するに新生銀行のバランスシートがいわゆる正味資産ゼロになるところまで公的資金が三兆六千億円入っているわけで、それから次の経営をすることについては、全く資金がなくては経営ができませんから、そこで千二百億円という新たな普通株の取得が行われたわけでございます。  銀行の経営をするということは、これだけ破綻をしたものですから、その中身がどうなっている、これからどうするかということについて、かなり正確な知識と情報を持ちながら経営をするということであって、それは新生銀行の将来にとって非常に価値のある情報である、こういう判断であります。
  152. 海江田万里

    ○海江田委員 百歩譲りまして、新生銀行の経営にとって役立つ資料がその中にあるとは私は思いますけれども、だけれども、まさにそういう翻訳料だとか何だとか、あるいは通訳料だとか、これは何の役に、もう消えてなくなってしまったものでしょう。  私は、それだったらば、この中の、会計事務所でありますとか弁護士事務所でありますとか、あるいは今おっしゃったような翻訳や通訳の料金でありますとか、こういうものを全部出していただいて、本当にこの中は適切ですよ、将来の、これからの、まさに新しくスタートした新生銀行の経営に資する当然の費用であるというふうに、やはりやっていただきませんと。  これは、今本当に国民が注視しておるところで、その意味では、こういう形での年報もお出しになったんだろうと思いますから、やはりそこまでやる以上、必ずやっていただきませんと、本当に全部が必要なのか、全部必要だということを言い切ることができますかね。  私は、これは確かにアメリカではそういうやり方もあるかもしれないけれども、今回のこの日本の新生銀行の場合はそれとは大分事情が違いますよということを、むしろ八城さんなんかが、日本アメリカの事情に詳しい、そして国会に何度もお出ましになって、国会の皆さん方、やはり国民を代表する皆さん方ですから、皆さん方の皮膚感覚というものを感じていただいて、率先をしてそういう取締役会で、やはりこれは無理だよということをアメリカの方たちにおっしゃっていただかないと。  この取締役会に、アメリカの非常勤の方々ですけれども、このお二人も当然いらっしゃったんでしょう。どうですか。そして、そういうところでそういう意見は出なかったんですか。みんながそうだそうだということで、これは当然だということで、それこそ本当に判こを押して、サインをして、もうこれはいいよ、当然だということだったんですかね。
  153. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  取締役会ですから、非常勤取締役として出席はいたしておりましたが、この件につきましては、当事者であるので、その決議には参加いたしておりません。  それから、前の、先生からのコメントでありますけれども、それについて、私は、これは新生銀行の経営上非常に重要な知的資産だと思っております。これは新生銀行の経営にとって大事なものなので、それを払うことは全く正当である、法的にも何ら問題はない。そして、我々の責任というのはこの銀行の経営をよくすることが大事であって、そういうふうに思っております。
  154. 海江田万里

    ○海江田委員 これは契約の主体が新生銀行でも何でもないわけですよ。  それから、もしそれであれば、この時期からいえば、新生銀行はまだないわけですから、国有化の時期ですから、旧長銀の、きょうは安齋さんお越しになっていますけれども、この時期に何か旧長銀の方でそういうような動きをしたとか、そういうことはあるんですか、これは。
  155. 安齋隆

    ○安齋参考人 お答えします。  全く私どもの要請その他ありません。
  156. 海江田万里

    ○海江田委員 これは、旧長銀がやったのならば、その意味では、まさにこの新生銀行ができたところで引き継がれても、そこのサインがあれば、これはいたし方のないこと、あるいは当然のことだと思うんですけれども、まさにそのニュー・LTCB・パートナーズが一方の当事者であるわけですね。それでもって、そういう情報をいろいろな形で集めて、それで、よし買おうということになって、そしてまさに、さっきもお話ありましたけれども、そういう契約をやったのが二月ぐらいの段階という話ですからね、これは。まさに買おうということになって、そして買ったわけですから、それは、今そういう、買ったことによって結果的に子会社の関係になったからといってそこが払うということは、これは全く問題なしなんですかね。私は問題あると思うんですけれどもね、それは当然のことながら。どうですか。
  157. 八城政基

    ○八城参考人 二月というのは昨年の二月でございます。そのころから始まっております。ですから、一年かかって旧長銀の内容を精査し、たまたま私は翻訳料と申しましたが、これは非常にわずかなお金でございまして、その中のほんのわずかでございます。大部分のものは、七十人ばかりの例えば会計事務所の者が新生銀行、旧長銀の中を見て、これは、買う者からしてみますと、どういう銀行であるかということを知る必要がありますけれども、同時に、そこで得た情報というものは、すべて知的財産として書類の形で全部もらっております。  ですから、三月二日は、これは旧長銀ではございません。新生銀行になりまして、新生銀行の役員会で、これは買う価値のあるものだということで決議をしていただいたわけでございます。
  158. 海江田万里

    ○海江田委員 これは買う価値があるということで判断したんですか。そうですか、本当に。
  159. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  そのとおりでございます。
  160. 海江田万里

    ○海江田委員 そうすると、さっきから話していたのとちょっと違いますね、これは。当然のことながら、その関係が引き継がれて、そして、これはそこで支払いを決めたという話ですから、一たん買うかどうかということであれば、それは、まさにその意味では、それまではこのニュー・LTCB・パートナーズが負っておる負債になっているわけでしょう、これは。そうですよね、これは。その個別の会計事務所なんかとの間に行っておる契約ですから、片一方の方に債権があって、こっちは債務があるわけです。債務ですね。その債務をでは引き継ぎますよという形で契約をやったんですか、取締役会で。
  161. 八城政基

    ○八城参考人 最初の契約は、これはニュー・LTCB・パートナーズですが、その果実は我々のところに来たわけでございます。  したがって、新生銀行として、名前はまだ当時は新しい銀行に変わっておりませんでしたけれども、資産は、知的財産は全部私どものところに参っております。それが有益なものだという判断で買ったということでございます。
  162. 海江田万里

    ○海江田委員 こんな問題でこんなに長く私はやるつもりは全然ありませんで、もっと普通に軽く、軽くというか短い時間でお話がいただけるものだと思いましたら、本当にちょっと予想外なんですが。  やはりいろいろおかしいといいますか、普通、常識的に考えまして、それは、そのニュー・LTCB・パートナーズがまさに昨年の二月、二月というのはことしじゃないですね、昨年の二月にそういう契約をおやりになって、そして、まさにこれから役立つ部分もあるだろうけれども、一番役立ったのは、まさにこのLTCB・パートナーズが旧長銀を買うに当たっての情報として一番役立ったわけですよ。確かに、残っている情報もあるでしょうけれども、それはいわばレモンの搾りかすみたいなものなんですよ。それに対してこのLTCB・パートナーズは、では払っているんですか、そのお金を。いろいろ役立てたわけですから、そういう意味では。  そういうことならばそれはそれでいいでしょうけれども、全然払っていないでしょう、契約をしたことに対して。契約を結んだことによる、その意味では債務関係が出てくるわけですから。役務の提供を受けているわけですから。御行だけが、新しくなった新生銀行がそういう利益を受けたのなら、それは払っていいです、そういう労働に対する対価として。だけれども、まさに御行は、この三月二日にスタートしたばかりじゃないですか、新しい経営陣ができて。その新しい経営陣というのは、つまり、これから役立つかもしれないけれども、少なくとも今のその段階では全く、その意味では、その資料というのは、それを利用して何か経営の指針にしたとかいうことがないわけじゃないですか。
  163. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  そこで出てきた資料を使って現在の経営の方針をつくり、ビジネスモデルをつくり、今後どういうふうにすることが新生銀行の経営にとってプラスになるかということについては非常に重要な情報であります。
  164. 海江田万里

    ○海江田委員 そこまで言われるのでしたら、では、その中身をひとつ、申しわけありませんけれども、少し精細に見せていただきたいと私は思います。ここに出ております二十六億九千百万円の内訳をぜひ教えてください。まず一点。  それからもう一点は、これももっと詳しくやろうと思ったのですが、時間がありませんので、これも含めてでございますけれども、損益計算書の中でその他の経常経費というのがあるわけですね。三百七十九億円というのがございます。この三百七十九億円の中に恐らくこの二十七億も入っておるのだろうと思いますけれども、できましたら、これをもう少し、その他の経常費用の中身を詳しく教えていただきたい。この中には、恐らく、皆さん方の報酬ですとかそういうものも入っているのだろうと思いますから。個別の報酬は幾ら幾らということはおっしゃっていただかなくても結構です。  ただ、八城さんなんかは、いろいろなテレビなんかの番組で、私は四千四百万円もらっている、これはちょっと少ないんじゃないかみたいなお話も聞いておりますが、田原さんと一緒になって少ないとか多いとかいうお話ありましたけれども、私はちょっと不謹慎だと思います。  それから、これには当然のことながら成功報酬が入っていますね。ただ四千四百万じゃありませんで、成功報酬が入っていますね。うまくいったときの成功報酬。それから、そのほかの外国の方たちのそういう報酬がどのくらいで、成功報酬がどのくらい入っているのか、それも教えていただかないと。御本人の成功報酬については今おわかりになるはずですから、今お答えください。それから、外国の方の成功報酬がそういう契約になっているのかどうなのかということも教えてください。
  165. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  契約の内容についてはお答えできません。これは守秘義務がございます。  したがって、これは相手のあることでございますから、どういう契約をしてどういうふうになっているかということを細かく申し上げるわけにはいきません。これは御容赦願いたいと思います。  二番目ですが、給料の問題でありますけれども、これは確かにテレビで私は話しましたけれども、これも一人一人の個人の給料内容については、やはり開示することは困難だと思います。しかしながら、一言申し上げられるのは、非常勤取締役で私よりか多い者はおりません。  それから、成功報酬というのは、全くわからないことであって、将来銀行がどういうふうな業績をおさめていくかによって決まるものでございますので、これも御容赦願いたいと思います。
  166. 海江田万里

    ○海江田委員 だから、そういう成功報酬の契約があるわけでしょう、報酬の体系の中で。これはあって当然ですよ。だから、それがあるのかないのかということと、今非常勤については承りましたけれども、では常勤の方の場合で、八城さんより上の方があるかないか、これだけ教えてください。
  167. 八城政基

    ○八城参考人 常勤の役員の中には、私よりか高い給料の者はおります。それが一つでございます。  それから、あとは成功報酬の中身でございますけれども、これは長銀との、現在の新生銀行との契約ではございません。投資家との契約でそういう成功報酬というものがありますけれども、これはどういう価値を持つかはわかりません。
  168. 海江田万里

    ○海江田委員 本当にこれは、確かに、これからの新生銀行というのはまさに民間の金融機関になるわけですけれども、やはりこれまでの経緯、ここには大変大きな国民のお金が使われているわけですから、やはりこれは情報は公開しなければいけないと思う。  それから、私が今言ったお話というのは、移るところの契約の中身というのは、別に一本一本の契約を全部お話をしろということではありませんで、会計事務所に幾つあってこれだけで幾らとか、これはまさに移るところの話ですから、まさに契約をやったのが去年の二月でありますから、これはぜひ出していただきたいと思いますし、もし出していただけないというお話であれば、これは委員長お願いをして、しっかりと国政調査権でもってこの資料をとるように、いいでしょう、皆さん、どうですか、出してくれますか。
  169. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  二月ということを申し上げましたけれども、二月ごろから始まったので契約はいろいろございますから、日にちについては、二月に全部始まったわけではございません。  それから、中身について、これはお客様との契約の中身ということもありますし、ずっとお客様、銀行のお客様との契約の中身、あるいは第三者との契約については相手の承認が得なければなりませんし、国政調査権というお話でございますけれども、それは現在の段階ではお話、私どもとしては出すわけにはいかないということでございます。
  170. 海江田万里

    ○海江田委員 二月というのは別に、そんなことを言っているんじゃありませんで、出す意思がないということでいらっしゃいますね、これは。わかりました。それだけ教えていただければ結構でございます。ありがとうございました。  それから、では続きまして、日本興業銀行の西村さんにちょっとお尋ねをしたいと思います。  西村さんも何度も当院の、予算委員会は初めてですが、大蔵委員会などにお越しをいただいておりまして、本当に御苦労さまでございますが、その会議録なんかを読ませていただいておりまして、これはいろいろな質問がありますので、そのいろいろな質問にいろいろな形でお答えをしておりますが、そごうの問題に対して、日本興業銀行は共同責任はないよというようなお答えがあったやに思っております。どうですか、全くないのか、それとも多少はあるけれども、その重みというのが、そごうが一〇〇だとすると興業銀行は五〇ぐらいだよとか、そこまで言えるかどうかわかりませんけれども日本興業銀行にもそれなりの責任はあるんだよということ、とりわけ西村さんはいろいろな形で、今もちろん頭取でいらっしゃいますからその頭取として、あるいは西村さん御本人がいろいろなかかわり方がありますけれども、そごうの問題なんかとかかわってこられた、これは私なんかが言うよりも御本人が一番よく御存じなわけですから、そういう来し方なども振り返りながら、どうでしょうか、その辺は。
  171. 西村正雄

    ○西村参考人 ただいまの海江田先生の御質問でございますけれども、共同責任がないと申し上げましたのは、これは先般の大蔵委員会の議事録をごらんいただければ書いてございますけれども、そのときの御質問が、興銀と水島前会長と二人三脚で乱脈経営をやった、そういう共同責任があるのではないか、こういう御質問だったわけでございますから、そういう意味における共同責任というものはございません、そういうふうにお答えをしたわけでございます。  それで、責任ということで申し上げますと、私どもは当然株式会社でございますから、すべて株主に対する責任というものは負っているわけでございます。したがいまして、このそごうの問題につきましても、先月、六月二十八日の株主総会におきましても何人かの株主さんから御質問がございました。当時はまだ民事再生法を適用する前の段階だったわけでございますけれども、私がそれに対して直接お答えを申し上げまして、御了解を得たわけです。そういう意味では、私どもの責任というものは、当然株主に対する責任ということでは考えます。  それから、そういう責任という問題とは離れまして、やはり反省材料といたしましては、一つはバブル期の、これは銀行全般の貸し出しに関しまして、やはり右肩上がりの経済というものを、あるいは土地神話というものを信じてわきが甘くなった、こういう反省がございます。  それから、そごうの問題に関しましても、特に九八年以降の金融システム不安でございますとか、不況の長期化でございますとか、それから、何よりも準メーン銀行の長銀の破綻というようなことがございまして、抜本的処理をとることがおくれざるを得なかったということが結果論としてあるわけでございますけれども、それにつきましてもやはり大きな今後の反省材料である、このようには考えております。
  172. 海江田万里

    ○海江田委員 反省というお言葉を使われまして、ただ、やはり責任があるから反省もするわけでございますよね。だから、そこは責任はお感じになっているんだろうと思いますが。  きょう、お手元にも行っておると思いますが、そごうの、これはそごう本社、そごう本体の方でございますが、短期借入金の推移を表にしてみました。  これはおわかりだろうと思いますが、ただ、そごうというのは大変関係が入り組んでおりまして、複雑でございます。それから、本当は長期の資金で見るといいのですが、そごう本体の方は長期の資金というのは余り借りておりませんで、短期の資金を随分借り入れをしているわけですよね。  これを見ていただければおわかりになると思いますけれども、昭和の五十年代、一九八〇年代に入って最初のころは、興銀の融資の額というのは大体三位から五位くらいのところを行ったり来たりしていた。ところが、まさに九四年、九四年に入りましてから興銀の貸し出しがぐんと膨らんだというところがありますね。これは何ですか。
  173. 西村正雄

    ○西村参考人 お答え申し上げます。  九四年から、実はそごうは言ってみれば銀行管理に入ったわけでございます。それで、九四年に、あそこは二月決算でございますから、五月に興長銀から副社長が入りまして、実態把握をするとともに、それで、あと、リストラを完璧にやらせるということになったわけでございます。  そういう状態でございますから、その再建計画の中の一環としまして、すべての新規のプロジェクト等は凍結をしたわけでございますけれども、したがいまして、興長銀以外の銀行については一応残高の維持をお願いしたわけでございますけれども、どうしても必要やむを得ない資金というのがございます。  例えば、ちょうど九五年に阪神の大震災がございましたので、あそこは神戸店が一番稼ぎ頭でございます。その神戸店の復旧資金もございます。それから、社債の償還資金というのもございました。それから、リストラをやりますから、当然割り増し退職金というような資金もございます。それから、錦糸町、これは特別な事情がございますけれども、そういったような資金もございまして、そういうものは、一応ほかの銀行さんには残高の維持をお願いしておりますので、興銀と長銀で大体五五対四五の割合でもってお出しをしたわけでございます。  したがいまして、私どもは、メーンバンク、準メーンバンクといたしまして、そごうの第一期の再建計画というのが九四年、九五年、九六年、この三年間、第二期は九七年からでございますけれども、そういう再建期間中のやむを得ざる新規のものに限ってこれをお出しをした、結果的に私どもの残高がふえたということではございます。
  174. 海江田万里

    ○海江田委員 当院の大蔵委員会での参考人のお話で、まさに九四年に、名取さんですか、常務を副社長に送り出されて、そこで内部の情報がいろいろ入ってくるようになったから、グループ全体としてどうもこれは債務超過に陥っているんじゃないかなというような認識を持ったということでございます。グループ全体でということですから、特に上場しておりますそごう本体ということではないわけでございますが。  ただやはり、九四年にそういう認識を持ってからの融資というのは、ただ再建計画があるからとかいう話だけでなしに、これはよほど慎重にならないと、私は、それこそ今日のようなことになるということは、当然予測されるわけでございます。  だけれども、にもかかわらず、これは幾つか、何でこんなに膨らんだのかということのお話はありました。九五年に阪神・淡路大震災があったとかリストラだとかありましたけれども、非常にやはり大きな強い勢いで、まさに融資をしゃかりきになってというんですか、しまくっているということ、このことに対してやはり、まさにこのころは副頭取から頭取の時期でありますけれども、これは今にして思えば間違っていた、あるいはそういう懸念というのはなかったのか、どうですか。
  175. 西村正雄

    ○西村参考人 ただいまの御質問でございますけれども、決してしゃかりきに出したわけではなくて、九四年以降二〇〇〇年まで、やむを得ず必要最小限度で出した純増額は三百五十億でございます。特に後半は、先ほどの五五対四五の四五を分担していただいている長銀さんから出せなくなったということもございます。  その中身は、先ほど申しましたような、神戸の復旧資金とかリストラ資金とか錦糸町の資金ということでやむを得ないものでございますけれども、そういうものについてはきちっと一件一件審査をいたしまして、そのとき自体のフィージビリティースタディーをやりまして、しかも担保をしっかり徴求をして、そして出しているわけでございますから、決してやみくもに出したわけではございません。  それからもう一つ、債務超過というお話がございまして、先生のような専門家にこういうお話をするのは大変恐縮でございますけれども、やはり債務超過にも二種類あると思います。  一つは、本当に営業利益も赤字である、あるいはキャッシュフローも赤字である、そして債務超過になっている、これはまさに破綻をする企業でございますから、そういうときにはニューマネーは出せないわけでございますが、結局、創業赤字ということがございますね。例えば、百貨店とかホテルとかオフィスビル、こういうものはどうしても創業赤字がございますから、実際に営業的に黒字が出ますのは早くても三年から五年ぐらいになりますし、それから、実際に繰越損失がなくなるのは大体十五年から二十年と言われています。そごうの場合には、やはりそういう創業赤字というものがありましたために債務超過になっておるわけでございますけれども、店ごとに見ますと、それなりに営業利益は出ておりますし、あるいはキャッシュフローも回っているわけでございます。  ちなみに、現にその後、金融監督庁からいろいろ債権分類に関するマニュアルも出ているわけでございますけれども、その中で、やはり創業赤字に関するものにつきまして、それなりの、全くの債務超過の会社とは区分して記載をされています。そして、業種の特性というものを考えたようなマニュアルの記載になっておりますので、創業赤字ということと、債務超過だから何でもかんでも金が出せないということではなくて、やはりデパートの特性ということもお考えいただきたい。  大変専門的な先生にこんなことを申し上げて大変恐縮でございますけれども、御質問がございましたのでお答えいたしました。
  176. 海江田万里

    ○海江田委員 恐縮ですが、もう一つ。  九五年の例の錦糸町の融資でございますが、個人保証をとっておるということで、きょうあたりの新聞には、個人保証の、裁判所に対して申し立てをやったというようなことも出ておるわけでございますが、これは何で個人保証をとったんですか。これは極めてまれですよね、一部上場の企業に、個人保証というものは。
  177. 西村正雄

    ○西村参考人 お答え申し上げます。  確かに、錦糸町のプロジェクトにつきましては、当時の水島会長の個人保証をとっています。本件は、土地建物を担保としてとっているわけでございますけれども、そういう担保として水島氏の個人保証を徴求したわけです。  なぜかというその理由でございますけれども、これは、特にリストラ期間でございますから新規出店はすべて凍結をしたわけでございますけれども、この場合には、九〇年度に墨田区と約束をした契約に従いましてその負担金を払っていなかった、そのために差し押さえがあるというような事情がありました。  そこで、これは特別のプロジェクトということで、千葉そごうを中心とするそごうグループ全体としての経営責任をより一層明確にするということを主目的としたものでございます。ですから、担保という形では、決して個人保証だけではなくて、むしろ土地と建物が担保でございまして、その時分の評価としましては、十分貸出額をカバーできるものでございました。ですから、オーナーとしての経営責任をより明確にするというようなことが趣旨でございました。
  178. 海江田万里

    ○海江田委員 千葉そごうのオーナーとしての経営責任を明らかにするということですが、興銀の千葉支店というのはどこにありますか。あれは千葉そごうのビルにありますよね。  それで、経営責任、前にもそういうふうにお答えをしているんですけれども、わかりやすく言えば、要するに、まさに土地と建物の方は担保に入るけれども、区の方から差し押さえられる可能性があるよという話でしょう。そうすると、区の方から差し押さえられるよとか、あるいは個人保証をどうしてもとらなきゃいけないというのは、要するに、この場合は、さっきお話をした創業赤字の、創業のコストじゃないわけですからね、ここのところのお金は。そうすると、ここの事業がうまくいけばこれはきちっと返ってくるわけですよ。創業だったら消えていってしまう話ですけれども、そうではありませんから。  そうなったら、やはりどう考えたって、果たして本当にここでもってこういう設備投資をやってきちっと返ってくるのかなということに対する不安といいますか、それがあったと見るのが普通だろうと思うのですが、それはどうですか。
  179. 西村正雄

    ○西村参考人 お答え申し上げます。  これはやはり出店を一切しないときということでございますから、千葉そごうといいますか、そごうグループ全体の責任者である水島前会長の個人保証を経営責任のあかしとしてとったわけでございます。  実際問題として、これはかなりフィージビリティーが厳しかったのは事実でございます。私どもは審査をいたしました。しかし、そういうようなこともございましたので、結局、保留床と申しますか、これは開発組合買い上げの保留床とか、あるいは家賃をかなり大幅に引き下げることに交渉が成功いたしまして、そういう出店コストの節約、それからそごう自体のコスト削減努力ということによりまして、審査の結果も、当時の結果としては、なかなか厳しいけれどもこれはいずれは回収可能である、いずれと言うとちょっとあれですけれども、当然、やや長期化するけれども回収可能である、そういう審査をしておりますし、担保についても、その時点におきましては、担保価値が保証とは別にあったということでございますから、厳しかったけれども、そういう自助努力もありまして、何とかフィージビリティーのあるものに仕立て上げた、そういうことでございます。
  180. 海江田万里

    ○海江田委員 あと、今、水島氏の預金の差し押さえを裁判所にお願いしておるということでございますが、個人の資産というのは把握するのがなかなか難しゅうございます。不動産などの表現資産ならすぐわかるわけでございますけれども、預貯金なんというのはなかなかわからないのですけれども。  一つはっきりわかるのは、例えば、御行の割引債あるいは利付債をお買いになっているということは非常にはっきりすぐわかるわけでございますが、大体全体で六十億円ぐらい、この方の個人の金融資産があるんじゃないだろうかということが言われておりますが、その中で、御行の割引債あるいは利付債にかかわる部分は大体どのぐらいあるのですか。
  181. 西村正雄

    ○西村参考人 今、私ども、おっしゃるように差し押さえの手続をしておるわけでございますけれども、資産の状況につきましては、現在全容解明に努めておりまして、実は、今後の手続遂行に差し支えもございます、あるいは、今の割引債等は確かに私どものことでありますけれども、これはやはり個人の財産に係る問題でございますので、これ以上の御回答はこの場ででは御容赦いただきたいと思います。
  182. 海江田万里

    ○海江田委員 確かに個人の財産にかかわるものでありますけれども、やはりこれはそのうちわかる話なんですよ。だから、それはやはりおっしゃっていただいた方がいいんじゃないですかね。それでしかも、これも何度も言うようで、先ほどの八城さんも本当に、理解がどうもいただけなくて大変残念だったんですが、やはり今の、まさに興銀もそうでありますけれども資本注入もございますし、もうちょっとやはりガラス張りにしていいんじゃないですかね、これは。どうですか、西村さん。
  183. 西村正雄

    ○西村参考人 先生のおっしゃる御趣旨は大変よくわかるわけでございますけれども、ただいま申しましたように、現在資産の状況についてはまだ全容を把握しているわけではないわけでございまして、現在解明中でございますので、これは弁護士とも相談はいたしましたけれども、今後の手続遂行にも差し支えがあるということのようでございますので、何とかこの場での回答は御容赦いただきたいと思います。
  184. 海江田万里

    ○海江田委員 これも本当に全く納得がいきませんですね。  特に御行の場合、百十億円の個人保証をつけたわけですから、これはどう考えたって、家だとか土地だとか、御本人名義のあれですから、せいぜい七億だろうとか八億だろうとか十億ぐらいの話ですから、すると百億ぐらいやはり足りないわけですよね。しかも、個人保証を履行するという話になれば、持っている株券なんかは、そごう関係の株券は全部紙くずになるわけですから、やはり金融資産がかなりなきゃいけないわけですよ。だから、個人資産の裏づけがやはり把握できていないと、そういう意味では保証を受けられないわけですよ、これは。普通の場合は、銀行預金があったらその預金を保証するわけですから、出すわけですから。  だから、それはその意味でいうと、仮に不動産関係十億だとしても、やはり百億ぐらい不足するわけですよ。やはり、かなりそれに近い金融資産を持っているというような感触を得たから、これはおやりになったわけでしょう。  その感触を得るというのは、長銀との間ではこれはそれぞれ連絡ができると思うんですけれども、やはりその他の金融機関というのはなかなかこれは難しいものもありますから、そうすると、やはりかなりの額を持っていなければ、例えば御行の割引債なりを持っていなければ、そんな個人保証できるはずがないんですよ。
  185. 西村正雄

    ○西村参考人 先ほど申し上げましたように、もし個人保証だけを担保に貸し出しをする場合でございましたら、その時点で資産の内容というものを十分吟味して貸し出しするのが当然でございますけれども、先ほど申し上げましたように、この場合には、土地建物を担保にして貸し出して、特殊の例ということで、経営責任という意味において、水島個人の保証を極度で二百億、興銀が百十、長銀が九十億という形で徴求をしたわけでございますから、そういう経営責任という意味でございますから、貸し出し時点においては、その資産の中身というものはもちろん把握はできていなかったわけでございますし、把握しようと思っても困難であったわけでございます。  そして、しかしながら、現在、やはりこのような状態になりまして、経営責任の追及ということが必要になってきております。私どもも全く同感でございますので、経営責任の追及という意味においてこの個人保証の履行の請求をしているというわけでございますから、新聞などには例えばどのくらいあるというような推測も出ておりますけれども、これは現在調査中でございますし、とりあえず多少財産を保全する意味において仮差し押さえの手続をしたということでございます。  今六十億とおっしゃいましたけれども、この六十億というのは、別に六十億あるからということではなくて、保証の極度額は百十億でございますけれども、弁護士がいろいろ訴訟技術的なことを考えた上で六十ということでやったというように伺っております。
  186. 海江田万里

    ○海江田委員 これも本当にこれからわかっていく話でありますが、やはり私は、大先輩の西村頭取に本当に恐縮なんですが、私も興銀に友人なんかもおりますけれども、興銀マンの仕事というのは、これは八城さんなんかのバンカーの考え方とは恐らく違うんだろうと思いますけれども、やはり企業を育てていくことだ、とりわけ企業の経営者を育てていくことなんだということをよく聞かされたもので、私はそのとおりだなと思って、その意味では、経営者を育てるということでいうと、この水島さんという方、御本人も興銀の出身者でありますけれども、いっときはやはりかなり、二人三脚という言葉がいいかどうか、言葉を選びませんとすぐまた答弁で揚げ足をとられますので、もうそんな時間もありませんので。ただ、やはりかなり、その意味では一緒になってやってこられたということは、もうこれは非常にはっきりしておるわけですよ。ところが、それがやはり失敗をした。  今答弁をお聞きしていましたら、水島と呼び捨てにしておりましたけれども、やはり何かそういう意味では、本当はきょうは水島さんにも来ていただいてお話を聞いて、それで本当は真相がはっきりするわけでございますが、それが大変残念なことでありますけれども、その意味では、どうですか、西村さん、やはり水島さんという経営者を育てることに失敗をしたということでの反省というのですか、これはあってもいいんじゃないですか。どうですか。
  187. 西村正雄

    ○西村参考人 実は私、決して呼び捨てはしておりません。水島氏と、ちょっと言葉が少なかったので、決して呼び捨てはしていません。  ただ、これも前回申し上げたのであれでございますけれども、決して、興銀出身ということでかなりいろいろなことが言われているわけでございますけれども、あの方はあくまでもそごうの板谷家ということで、オーナーの御一族でございまして、興銀をおやめになって、たしか昭和三十三年にそごうに入られて、そして三十七年に社長になって、その当時のそごうを再建された方でございます。  それで、ある意味では大変なカリスマ性がございまして、組合も含めまして完全に、一種の水島教といいますか、求心力を発揮されたわけでございます。お年も八十八歳の方でございますから、ちょっと教育をするという対象ではなくて、むしろ私が水島氏に対していろいろ申し上げましたのは、特に九四年以降、要するに水島商店的な経営というものをはっきり改めて、もっと近代的な経営に脱皮していただきたいということを、これはくどいほど申し上げたということでございます。これは決して教育というようなおこがましいことではございませんけれども、やはりそごうを立派な会社にするためにはその辺を十分考えていただきたいということは、何度も何度も申し上げました。
  188. 海江田万里

    ○海江田委員 私は野党でありますが、どうも質問が生ぬるいようでありまして、与党席から、はっきり言ってそんな、二人三脚じゃない、ぐるだというような声もあるくらいなんですよ。私はそれでも、せっかくお越しいただいたんですから、本当に敬意を持って、なるべく真情を吐露していただきたいということでいろいろ質問をさせていただいておったんですが。  本当に、西村さん、例えば、昭和五十七年六月に総合企画部長をおやりになって、それから昭和六十年の六月には常務取締役業務部長でしょう。業務部長というのはどういう仕事の中身ですか、おっしゃってください。
  189. 西村正雄

    ○西村参考人 業務部長というのは、国内の営業本部でございますから、国内の営業方針、営業戦略あるいは収益計画、そういうものをやる。あるいは、現在違っておりますけれども、ALM、これも当時の業務の所管ということでございました。
  190. 海江田万里

    ○海江田委員 本部の営業方針の策定だというお話ですけれども、営業と言うけれども融資でしょう。そうでしょう、これは。
  191. 西村正雄

    ○西村参考人 これは、個別の融資の案件につきましては、私どもの規定上は、それぞれ部店長の選考という分野と、部店長と業務部長で協議をする分野と、それから常務会決裁、こういう分野に分かれております。さらに、かなり大きな問題につきましては、別途審査部というセクションがございまして、そこで個別のプロジェクトについて審査をして、そこでフィージビリティースタディーをやる、こういう建前になっておりますから、業務部というのはあくまでも本部でございまして、それぞれの取引先と個別に接触するような場所ではございません。個別に接触するのはあくまでも営業部、そのラインでございます。
  192. 海江田万里

    ○海江田委員 私は何もそんなことを聞いていませんよ、個別の融資は。  私は、営業というのは融資でしょうということを言っているわけで、そうでしょう、それは。個別は確かにそれぞれの部店で、店舗でやったり、あるいはそれぞれの、例えばそごうは十一部とかあるわけです。そんなのはわかっているわけですよ。だけれども、それを本部で、本店でもって取りまとめをするのが、それはあなたの仕事でしょう。しかもそれは、全国の問題会社の融資の取りまとめの責任者でしょう。
  193. 西村正雄

    ○西村参考人 全体の取りまとめということの責任であるということでございますが、例えばこれから伸びる業種、どういう業種が伸びる、そういうところに戦略的に融資を傾斜するとか、そういうような、むしろ全体的な戦略を中心とする、こういうように考えていただきたいと思います。  それから、先ほど申しましたように、融資だけでなくて、ALMというようなこともやっております。非常に、ある意味では幅の広いところでございます。
  194. 海江田万里

    ○海江田委員 だけれども、本部の融資の責任者であることは確かなんですよ。そうでしょう。もう一回言ってくださいよ。
  195. 西村正雄

    ○西村参考人 そういう、おっしゃる意味におきましてはそのとおりということで結構でございます。
  196. 海江田万里

    ○海江田委員 最初からそういうふうに言えばいいわけですけれども。本当に、どうやって日本の経済を立て直すか、とりわけ金融のところを立て直しをするかということでみんないろいろな議論もするし、実際に携わった方からのお話も聞いてということでやっておるわけですから、何かなるべく自分に関係のないふうにしようとか——これは証人喚問でも何でもありませんから、そういうふうにやっていただかないと、せっかくお越しいただいても全然話が前に進んでいかないんですよ。これは八城さんだってそうですからね、申しわけないけれども最初から私が聞いたことに対して全然答えていないですからね。  西村さんには恐縮ですけれども、どうですか、もうそろそろ若い方にかわられた方がいいんじゃないですか。いや、本当に。みんな若返りをやっていますよ、どこの銀行でも。若い方にかわって、そしてもっと本当に興業銀行というものをしっかりしたものにしていくというふうにしなきゃいけないんじゃないですか。どうですか。
  197. 西村正雄

    ○西村参考人 なるべく全般的に若返りを図っていくというのが私の方針でございますから、できるならばそういうふうに考えたいと考えております。
  198. 海江田万里

    ○海江田委員 どうもありがとうございました。
  199. 原田昇左右

    原田委員長 これにて海江田君の質疑は終了いたしました。  次に、池田元久君。
  200. 池田元久

    ○池田(元)委員 池田元久でございます。参考人の御三方、御出席ありがとうございます。  ここに、金融再生法の出発点となりました民主党の金融再生計画がございます。前文は要するに、問題先送りの政治、行政、国民への負担転嫁と隠ぺい、公的資金を大盤振る舞いをうたっています。  第二部の金融再生計画の冒頭、こういうことが書いてあります。「日本の金融の危機的状況を正確に把握し、不良債権を早期に完全処理して金融機関の再生を進めて行く。その際には納税者、国民理解をうるために情報公開を徹底させた上、以下の五つの確固としたルールの下に再生計画を実行してゆく。」一つ、預金者保護。二つ、市場原理にのっとり劣悪銀行は破綻させる。三つ、銀行の決済機能の維持。四つ、破綻処理コストの最小化。五つ、計画の完了期限は二〇〇一年三月とする。この再生計画が金融再生法になったわけです。そして、ここのところが再生法三条の金融機関の破綻処理の原則に反映されたわけであります。  この中でも、金融機関の実態、正味の実力を把握し、それを公開、ディスクロージャーしていくことが極めて重要である。その意味で、金融再生法の運用で何が大事かといえば、破綻した銀行の資産査定がかぎになると私は思います。  初代の柳澤金融再生委員長は、国会で、金融再生法は再生委員会による資産判定に依拠する制度である、こう述べております。ロスシェアリングというスキームは採用されなかったとも言っております。資産判定が公正、厳密であれば、アメリカで九一年から二、三年やりましたロスシェアリングも、まして問題のある瑕疵担保条項などは必要ないということだと考えております。  さて、その資産判定は長銀と日債銀についてどのような基準でやったか、その辺からお尋ねをしたいと思います。  九八年の十一月二十日、総理府告示で、資産判定基準というものが定められました。これでやっているわけですね、再生委員長
  201. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 さようでございます。
  202. 池田元久

    ○池田(元)委員 破綻銀行の貸出債権を、たびたび出ておりますように、正常債権はその銀行が保有するのが適当であるとか、つまり保有が適当な資産と不適当な資産を仕分ける基準であることは言うまでもありませんが、一番問題なのは要注意先等でございまして、要注意先Aはいわゆる適、保有が適当な資産、Cは不適当な資産。問題はそのどちらにも入らない要注意先Bというものでありまして、そこにはこういうことが書いてあります。判定時から二年までの期間に貸し出し条件の正常化、延滞の解消などが実現可能であると判断される場合には、保有資産として適当とする。  判断される場合というところですね、まずこれからお聞きしたいんですが、これにはかなり裁量の余地が入ると思うんですが、いかがでしょうか。
  203. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 今の、ちょっと私正確に把握いたしておりませんので、参考人に答弁させるようにしますか。
  204. 池田元久

    ○池田(元)委員 この法律をつくったときの金融安定化特別委員会委員長は相沢再生委員長でございました。まずその点、では事務局、どうぞ。
  205. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の判定基準の要注意先Bのところでございますが、二年後の期末までにいわば要注意先Aに移行する見込みがあるなら適当というところに裁量的なところがあるかないかということでございますけれども、実際の委員会での判定におきましては、当該債務者の種々の財務諸表を取り寄せまして、いろいろ議論いたしまして、その結果、AなりBなりCなりというふうに判定しておりまして、そこは五人の委員の相当客観的な判定であると考えております。
  206. 池田元久

    ○池田(元)委員 判定であるということをおっしゃいましたが、客観的かどうかは人が判断することであります。  また、その後の破綻懸念先、実質破綻先、破綻先に対する債権は原則として不適当、「原則として」というのが入っているわけですね。そうですね。  それで、さらにいえば、前も委員会でたしかおっしゃったと思うんですが、基準の全体にかかる基本的な考え方というのがあるのですが、そこにはこう書いてあります、債務者が特殊事情に基づいて将来の収益や債務の履行が見込め、これが合理的なものと認められる場合には、その事情も考慮する。合理的なものと認められるという、また「認められる」というのが入っている。ここでも裁量が入ってくるということですね。ですから、破綻懸念先や実質破綻先や破綻先に対する債権は原則として不適だから、逆にいったら適にする場合もある。それが全体にかかって、将来の収益や債務の履行が見込め、これが合理的なものと認められる場合には、その事情も考慮する、これは非常に裁量が入る余地が大きいですね。これが基準と言えるでしょうか、委員長
  207. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 もちろん、そういう判定の基準を決める場合に、できるだけ詳細に、かつ客観的に決めることが望ましいわけでありますが、最終的には、今お話がございましたように、例えば二年以内にAに移る可能性があるというようなことにつきましての判断については、それは当然その判断の問題でありますから、おっしゃるようにその判定者の意見に、もちろんそれは客観的な判断のもとにでありますけれども、よる点はあるわけであります。
  208. 池田元久

    ○池田(元)委員 それは判断がゼロとは私は言っていませんよ。だけれども、非常に裁量の幅が広いということを申し上げているわけで、これではもう融通無碍になっちゃう。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕  例の悪評高い佐々波委員会がやりました十三兆円の金融安定化法、あの基準も、担当者は何というか、乱反射という言葉を言っておりましたが、結局いろいろな条件があって、わけのわからぬうちにどこかに当てはめる、こういうことを関係者が言っておりましたけれども、あれほどではないのですが、これは基準と言える代物かどうか。こういうものによって資産判定をするというのは大変危なっかしいと私は言わざるを得ません。  資産判定は金融再生法によって厳密、公正さが求められているわけですから、そもそもこの基準からいって、そういうあいまいといいますか、裁量の入る余地の非常に大きい基準であると言わざるを得ません。  さて次に、資産判定を具体的にどのように進めたか。きょうは国有長銀の安齋前頭取にも来ていただいていますので、まず、この資産判定は再生委員会が主体となって行うのですが、長銀はどのようにかかわったのか、手短にお答えいただきたいと思います。
  209. 安齋隆

    ○安齋参考人 お答えします。  金融再生法で一番重要な案件がこの資産の判定、あと経営の合理化ということと、出口を探す、それから旧経営陣の責任追及、この四つが大きな仕事でございます。その中で、私どもがやるのと、最終決定が再生委員会。先生おっしゃるように、この案件は再生委員会でございます。しかし、資料その他、あと取引先と接している情報、これは私どもが持っておりますので、我々はその情報を集めて、機械的に再生委員会に御提出してございます。それで、判定は再生委員会の結果でございます。
  210. 池田元久

    ○池田(元)委員 九九年一月から二月にかけて、長銀の貸出債権について判定をしたわけですが、丸い数字で約七千社、十五兆八千億円を仕分けしたわけですね。その結果、六千二百三十社、十一兆一千億円を適とした、八百五十三社、四兆七千億円を不適としたわけです。それでいいわけですね。そして、正常先は当然適ですが、再生委員会は、正常先を除く約千二百社、これを中心に査定、判定をした。  そして、作業の手順として、融資継続が適当、要するに適ですね。融資を継続せずにRCCに売却。もう一つあるわけですね、保留と。この三つのグループに分けて判定をしたということですが、そごうなど大手流通やゼネコンはこの保留分に入っていたと思われますが、いかがでしょうか。
  211. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  結論を言えば、保留分というものはありません。適と不適と、あとは判定までに回収が終わったもの、この三つでございます。したがって、回収が終わっているものは当然適、不適の対象から外れますので、適、不適、二つだけでございます。
  212. 池田元久

    ○池田(元)委員 最終的には適と不適しかございません。作業の手順でそういうものがあったのではないかと私は申し上げているわけであります。  では、この資産判定をやる場合、今安齋さんがおっしゃったように、資料を長銀がまとめて出す。また、個別の企業の状態等についても説明はされたわけですね。資産判定をする場合、やみくもにやるわけじゃないですから、原案があった。そういう原案はあったわけですね。
  213. 安齋隆

    ○安齋参考人 お答えします。  私も、ちょっと記憶が定かでないのですけれども、ですから、適の、本当にいいというのはもうだれが見てもわかるのですけれども、そこについて我々自身ではっきり意見を述べないケースはあったというふうに記憶しております、我々にその権限がございませんので。  しかし一方で、情報、あるいは企業側からいろいろな再建計画等を徴求することも始めて、その再建計画との関係で再生委員会で御判断いただいた、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  214. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  基本的に、当然資料をそろえ、またいろいろ情報を集めるのは長銀の方たちでございまして、そういう方たちに、委員会に上げる前に当委員会の事務局がいろいろヒアリングいたします。その過程において先方よりいろいろ参考意見として、そういう先生のおっしゃるような意味での原案と申しますか、こう思うということはあったと思います。
  215. 池田元久

    ○池田(元)委員 資産判定の、今言う原案では、一部の大口融資先は不適とされてRCCに売却されていることになっていたんですが、再生委員会は、判定作業の大詰めで、問題企業とそのメーンバンクにきちんとした再建計画や支援計画をつくれと促したと言われておりますが、どうでしょうか、再生委員会
  216. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  例えば、大変財務の状況が落ちているのをどう考えるかという場合、このままでは破綻懸念先だと考えられるというものにつきまして、このままでは破綻懸念先、すなわち原則不適ということになりますねという確認は長銀側にいたしまして、その結果として、一般論で申して、私、個々の企業のことが頭にあるわけじゃないのですが、例えばメーン銀行の強固な支援の約束をとってくるとか、そういうことはあったのではないかと思います。
  217. 池田元久

    ○池田(元)委員 今の答弁でそのまま私も、何となくといいますか、ある意味ではっきりしたと思うんですけれども、不適とされるべきものを、結局、そのまま判定したのではなくて、やはり何らかの意図が入り込む余地があった、それで適としたものがあるのではないか、そういうことが容易に考えられます。  資産判定の結果、そごうを初め大手流通、ゼネコンなど大口融資先の大半は適とされて国有長銀に残されたわけです。これはそうですね、安齋さん。
  218. 安齋隆

    ○安齋参考人 お答えします。  先生の今の御質問は、業種によって網羅的な言い方をされておりまして、私、それにはそういうことはしておりませんと答えざるを得ません。
  219. 池田元久

    ○池田(元)委員 それは要注意の、絞ったところの話でしょう。全体の、七千社を全部業種別にこうだと言っているんじゃなくて、問題企業の、といいますか、要はよく観察しなければならないところの中では、いわゆる大手流通やゼネコンなど、今言われている大口融資先の大半が適とされて国有長銀に残ったのではないか、このように述べているわけです。
  220. 安齋隆

    ○安齋参考人 ちょっと逃げているのではないんですけれども、具体的なことでどこどこについてとおっしゃっていただければ、それは要注意だけれども適になったんだねと、要注意でも適のものはございます。  ですから、そごうについて言いますと、あの時点では赤字から黒字に変わるという決算になっておりましたので、これは当然要注意ですけれども、適という判定をしました。しかし、それから半年後には、その判定をした時点の決算の内容が出てきます。それが出ると同時に金融界が逃げていきます。そういう中で、我々の資産判定はさらに厳しくなっていきました。こういう具体的事例でちょっと御理解いただきたいと思うのです。
  221. 池田元久

    ○池田(元)委員 私は再生法とか金融システムの話をしているわけでありまして、ゼネコンのどこだとか、こういうことは言うこともできますけれども、あえて申し上げません。要するに、長銀の大口融資先の大半は国有長銀に残ったわけです。そして、メディアは一斉に、異口同音に景気への影響を考慮したと報道したわけです。根拠のないことじゃありませんね。  この資産判定とは何か、私は大変疑問を持ちます。再生委員長お尋ねしたいと思います。
  222. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 資産判定というものは、おっしゃるとおりなかなか難しい点があるのでありますが、その資産の判定の前提として、当然にいろいろと自己査定も行われているわけでありまして、その財産の中の区分に従いまして、最終的にはそれが適、不適という判定になるわけでありますけれども、その判定をする際に、先ほどちょっと私は、例えば二年後の期末までにAに移行することが適当というようなものも当然BからAに、適債権というふうに判定することを申し上げましたが、ですから、考慮すべき事情の中に、おっしゃるような点も全くないということはないと思います。
  223. 池田元久

    ○池田(元)委員 今の最後の一言はよくわかります。  要は、結局、その資産判定基準も非常にあいまいというか融通無碍、そして資産判定作業も大変に裁量といいますか、そういうものが入り込む余地が多い。景気への配慮とかそういう考慮もあったでしょう。私は、ここに今日の問題の出発点があると思わざるを得ません。  我々は、長銀を円滑に売却するためには、我々のプランに従えば、不良債権を切り離してきれいさっぱりとしたものにして、つまり、貸出資産を健全化する必要があったわけです。しかし、そうはしなかった。つまり、資産判定を公正、厳密にやらなかったことが問題の根源であると私は思っております。売却交渉が円滑に進まなかったのも、ここに原因があると言わざるを得ません。  次に、その売却交渉についてお尋ねをしたいと思います、八城さんに来ていただいておりますので。長銀の買収に当たって、買い取り対象の調査、いわゆるデューデリジェンス、価値を査定評価しなかったのか、お尋ねをしたいと思います。
  224. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  英語で言うデューデリジェンスですが、私どもはいたしておりません。許されませんでした。
  225. 池田元久

    ○池田(元)委員 しからば、普通は商品を見ずに買うことはありませんよね。八城さんもそうですよね。見ないでやみくもに買うことはないと思うのです、お金がいっぱいあればそうじゃないと言うかもしれませんが。買い主の立場からデューデリジェンスが必要と思われなかったんですか。
  226. 八城政基

    ○八城参考人 買い主の立場からはデューデリジェンスが必要だと思いましたが、それは許されませんでした。国が判定をして、国の評価でやると。
  227. 池田元久

    ○池田(元)委員 では、国はどうかということですが、売却に当たって、再生委員会は買い主に二つの要求をしたと、最近の国会答弁で再生委員会が答弁しておりますが、一つは、適資産を全部買ってほしい、もう一つは、デューデリジェンスは国がする。買い主がすることは考えていないわけですね。許されませんでしたと今話がありました。  なぜ一括譲渡で、買い主のデューデリジェンスもさせないのか、明確な答弁を求めたいと思います。
  228. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 先ほどの、ちょっと私の答弁が言い足らなかったんじゃないかという気がしておるので補足をさせていただきますが、つまり、裁量の余地の範囲が非常にあるかのように思われますと、大変にその辺は誤解を招くおそれがありますので、申し上げますと、そごうに関しては十年の二月決算ベースを基礎にして自己査定が行われておりますが、その時点ではそごうは債務超過ではありませんし、債務の履行も約定どおり行われたことから、要注意先のAに該当するものとして区分したということでありまして、私のさっきの答弁が、何か非常にアローアンスのあるように受け取られるといけませんので、ちょっと補足させていただきます。  それで、デューデリジェンスの問題につきましては、これは期限が切られているということもありまして、またデューデリジェンスを行うためには最低相当の期間を要します。そういったこともありますものですから、これはおっしゃるとおりに、適という判定のもとに瑕疵担保条項をつけての売却ということに相なったわけであります。
  229. 池田元久

    ○池田(元)委員 長銀といえ、日債銀といえ、銀行の売却はMアンドAの一種ですよね。その場合にはデューデリジェンスをやるのが常識。そして今、お役人はよく言うのですが、デューデリジェンスは時間がかかる。しかし、そうでしょうか。大銀行の自己査定でも一カ月から一カ月半。そして、日本でも北海道の銀行の破綻をめぐってデューデリジェンスをやった。債権が二百本で一カ月ちょっと。ちょっと動員すれば二、三カ月でできるわけですね。そんなことないわけですよ。なぜデューデリジェンスをやらないのですか。別の理由があるんでしょう。
  230. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 私が当時担当になったわけじゃございませんので、いささかなんでありますけれども、事務当局の説明を受けましても、当時、期間が限られているということもありまして、デューデリジェンスを行うためには大変に処理がおくれるということがその理由になっていると思っております。
  231. 池田元久

    ○池田(元)委員 期間は限られておりません。有効に使えばいいわけです。我々は二〇〇一年三月まで、当初、我々のとおりにやれば早期処理ができたのですが、この場合でも九九年の二月に資産判定をやったわけですね、それで二〇〇一年三月まで、二年間あるわけですからね。ですから、デューデリジェンスはできたわけです。できるわけです。  しかし僕は、別の理由があるのではないか。適資産は全部買い取ってほしい、デューデリはやるな、国がやる、買い主は必要ない。なぜ一括譲渡で、買い主のデューデリもさせないのか。もう一度答弁をお願いします。
  232. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 その当時の経緯に、事実に関しますことでありますので、ちょっと参考人に答弁させます。
  233. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  適資産一括ということは確かに条件にいたしました。それはやはり、当委員会でその企業の回復の見込みありということでいわば判定したものでございますので、中小企業も含め、もちろんそういうものを生かす形で銀行が再生していってほしいという気持ちを込めての全適資産の承継ということを、どの候補者に対しても提示したことは事実でございます。  それから、デューデリをさせる、させないの話でございますけれども、これは早期処理ということを重点に置きましたので、大臣が申しましたとおり、基本的にはデューデリなくて瑕疵担保でということを申し上げたのは事実でございます。  ただし、候補者の中には、守秘義務協定を結んでおりますので、当方は、当方といいますか、長銀の借り手にどういうところがあるかということは知りたいということで、それについては、例えば大口から数えて五〇%ぐらい見せるとか、そういうことはもちろんしているわけでございまして、そういう中から、いわば一〇〇%のデューデリではないけれども、ある程度中を判定して、自分の方は瑕疵担保なしで引当金でいきたいという候補者もございました。そういうことでございまして、瑕疵担保を必ず押しつけるということではございませんでした。  それから、もう一言言わせていただきますと、大きい銀行のデューデリというのは、期間ばかりではなくて相当なお金が、恐らく何億以上の金がかかるということで、むしろ、必ず買えるのならデューデリしますけれども、必ず買えるかどうかわからない段階でデューデリすることに対して、一般的に候補者は消極的だったということは言えます。
  234. 池田元久

    ○池田(元)委員 金額の点は、買い手が先ほどから出ているとおり四十七億円とか、いとも簡単に払うというような印象を私持っておりますので、ちょっと違うのではないか。  それで、再生委員会は、初め一括譲渡は目標にするものの、最終的にはRCCに行く債権が出てくることも予想していたわけですね。九九年二月十九日、森事務局長は会見で明言をしております。つまり、買い主が資産査定をすれば売却できない債権が出てくることを予想していたわけです。  だが、それでは、せっかく適にした大口融資先の一部が延命はできない、さらに資産判定が甘かったことなどが露呈する。その結果、一括譲渡と買い主にデューデリジェンスをさせないことになったのではないかと私は思います。反論してください。
  235. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  先ほども申しましたとおり、中小企業を含め、これから経済がよくなっていこうという企業を適と判定した以上、できる限り全部承継してもらいたいという気持ちが再生委員会にあったことは、そのとおりでございます。  ただ、買い手、候補者に対して、先ほども申しましたとおり、守秘義務のもとに五〇%以上の中身を見せております。したがいまして、どの候補者も、先生のおっしゃるような意味での問題企業がこの銀行にあることは、しかもどれくらいのエクスポージャーを持ってあるかということも承知の上で手を挙げているということだけ、一言付言させていただきます。
  236. 池田元久

    ○池田(元)委員 いずれにしても、そういう企業を抱かせて売ったというところに問題があるわけです。  それで、やり方として、理由は別としても、要は一括譲渡、そしてデューデリジェンス、事前の買い取り調査もやらない。だけれども、これは重大なことですよ。買い手に、目をつぶって丸ごと買ってくれ、言いなりで買ってくれと日本政府といいますか再生委員会が言えば、買い手の方から足元を見られるのは当たり前じゃないですか。違いますか。
  237. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 できるだけ、全体として適の判定をしたものについては、まとめて売却をするという考え方のもとにやりましたわけであります。  そういうことでありますが、ただ、それは相手方の言いなりになるというわけじゃありません。これは複数の相手方があったわけでありまして、それでその中から一番政府側にとりまして有利なものを選んだということでありますから、足元を見られると言っても、全く見られていないかどうかは知りませんけれども、そんな御心配は余りないのじゃないかと思っております。(発言する者あり)
  238. 池田元久

    ○池田(元)委員 本当に甘いと思うのですね、資産判定からして甘く始まりましたから。  こんな、目をつぶって丸ごと買ってくれ、言いなりで買ってくれと言えば、足元を見られるのは当たり前。再生委員会は決定的に不利な立場に自分を立たせたわけですね、追い込まれたわけです。関係者といいますか、よだれの出るような取引だと言っていますよ。  そして私は、金融再生法、この金融再生法の考え方は、先ほども言いましたが、不健全な金融機関、企業は存続させないのを原則としております。不健全で経営不振の企業を存続させようとするから、無理が生じるわけですよ。国と納税者を犠牲にして、瑕疵担保条項なるもの、このような極めて不利益、不当なものが出てくるわけです。金融再生法の考え方に沿ってやれば、資産判定は公正、厳密にやる。少しはうみが出るかもしれませんが、構造改革を促して、金融システムと経済の安定に向かうことになると私は確信をしております。今は間違ったやり方をしていると思います。  じゃ、長銀や日債銀の売却を適正に行うのはどうすべきであるか。八城さんは買った方で当事者ですから、もう成約しているわけですから聞きにくいのですが、再生委員会はまず貸出債権の資産判定をしっかりと行う、買い手にとってわかりやすい査定を行うべきである、それがまず出発点、一つ。次に、買い手は資産負債について一定期間、いわゆるデューデリジェンス、事前の買い取り調査、資産判定を参考にしながらやる。三番目、その結果、買い手はそれぞれの判断でビッド、入札をする。要するに、MアンドAで普通に行われているやり方でやればいいわけですよ。そうすれば、それが市場原理にもかなう。  我々の金融再生計画では、要は、きれいにして売却し、その売却した代金も入ってきておつりが来る、こういうふうにしてあるのですが、売る資産が優良債権のみであったら高く売れる。関係者が言うとおり、むしろプレミアムがつくだろう。そして、現状の資産判定をもとにしても、再生委員会が買い手に正確な事実を提供すれば、買い手のデューデリジェンスの結果、資産に見合った適正な価値が出てくるものと思います。これが市場原理に基づいた売却じゃないのですか。だれも文句を言えない公正な形でやる売却ですよ。  安齋さんにちょっとお聞きしたいと思う。
  239. 安齋隆

    ○安齋参考人 お答えします。  私、こういう金融システムのあり方ということについてちょっと持論があるんですけれども、それは、何でも効率的であってほしいと。そのとおりで、ですから効率を目指します。ですから、だめなものは脱落させる、それが原理原則です。  しかし、あの金融システム全体の混乱が起こってきますと、みんなが不安で、経済取引をしぼませていました。そうすると、ここに、セーフティーネットの枠組みを充実させないといかぬ、こういう声があったと思います。  しかも、世界は我々のやり方を見ていました。そういうことをしないと、日本のダウはあのとき一万二千円に落ちていました。アメリカ・ニューヨークのマーケットの話では、日本のダウは八千円、七千円に落ちるよ、日本経済はメルトダウンだよということです。ということは、やはりリングの上で戦いをしたのを、倒れるのを待っているというのではなくて、そこにタオルを投げるという、そういう行為が必要になるんです。それの再生法だったと私は思っております。  したがって、私は、国家の信用においてみんなの不安を消すということを主眼とさせていただきました。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  240. 池田元久

    ○池田(元)委員 九八年の五月、六月、七月、八月の状況は、まさに安齋さんのおっしゃるとおりでありまして、簡単に言えば、その対応策、残念ながら自民党や大蔵省が出してきたブリッジバンク法案では、大手銀行、マネーセンターバンクの危機に全く対応できない。途端にデフォルトになる。我々は、この一時国有化の方式を自信を持って提案したわけです。  別に途中で変質したことも全くありません。自由党が言っているように、初めからすべて整理なんだというものはなかった。私が提案者ですから。一時国有化でこの危機に対応する。その一つの選択肢といいますか、そこで整理があったことは事実であります。それは自由党さんの意見なんですよ。変わったことはないんです、野党ですからこれ以上申し上げませんが。  要するに、今言ったようなちゃんとした適正な手続をとる、そうすれば市場が決めてくれるわけですね。これがまさに市場原理に基づく売却でありまして、我々は、金融行政はかくあるべしと従来から言ってきたことをこの点でも一つ具現させなければいけないと思っておりました。  私は申し上げたいと思います。今からでも遅くありません。瑕疵担保条項なるものを見直して、そして資産判定もやり直して、公正な売却を行うべきである。それが金融再生法、金融再生計画に沿った売却であり、国民負担を減らし、モラルハザードを防ぐ方法であると確信を持って申し上げたいと思います。  あと四分、五分ありますので、質問をさせていただきますが、長銀、日債銀の売却にかかわるファイナンシャルアドバイザリー契約の開示はどうなったか、一言でお答えいただきたいと思います。
  241. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  理事会での御要請を受けまして、先方に同意を慫慂はさせていただいておりますけれども、いまだ同意するという回答は得ておりません。  また、当方といたしましても、行政目的遂行という観点からは、やはりFA契約の内容というものを開示いたしますれば、将来、国がFAを使うというような局面が仮にあった場合に、FAの候補先が果たして出てくるかという問題もあろうかと存じております。
  242. 池田元久

    ○池田(元)委員 これは民間同士の取引ではなくて、国がもちろんそのフィー、料金を出すという重要な取引でありまして、取引といいますか依頼といいますか、FA契約ですから、ぜひ先方に開示をできるように働きかけていただきたいと思います。  最後に、これに絡んで、ゴールドマン・サックスという会社がありますが、長銀の場合は売り手側のFAをやったのですね。日債銀の場合は買い手側のFAをやっているわけですね。確認をしたいと思います。
  243. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  そのとおりでございますが、一言言わせていただきますと、いわばゴールドマン・サックスのMアンドA部門といっても広うございまして、その中にきちんとファイアウオールを設けて、長銀の際のFAとして働いたことについての守秘義務協定を守りながらやっていると認識しております。
  244. 池田元久

    ○池田(元)委員 それは、ファイアウオールを設けるとか、コンフィデンシャリティーアグリーメントですか、秘密保持契約があるから大丈夫ですよということは言うでしょうけれども、別にゴールドマン・サックスばかりがそういう会社じゃないわけですね。普通は警戒心を持って、売り手のアドバイザーをやって手のうち全部わかっているわけですから、それが買い手側に回ったら、買い手の方は強いですよね、売り手の方は弱いですね。それはもう注意義務といいますか、警戒心を持たなきゃいけないですよ。  我々は、国の利益といいますか、そういうことにかかわっているわけでしょう、まさに直接的には、日債銀の売却で。買い手側が売り手の手のうち全部わかったらどういうことになるのですか。何か片仮名の契約とかなんとかはどうでもいいのです。警戒心を持てば、当然これは私は忌避すべきだと思いますよ。どうですか、金融再生委員長
  245. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 おっしゃるように、同じ会社について、あるいは利益相反の関係があるんじゃないかと思われるような点もあるかもしれませんが、先ほど事務局長が答弁いたしましたように、向こうは非常に大きな組織でございまして、過去におきましてもそのようなケースにおいてはしっかりしたファイアウオールを設ける、お互いに機密は守るというようなことでもって処理して、そういうことについての心配はない、このように私どもとしては承っておりますものですから、そういうことで考えていくよりしようがない、こう思っております。
  246. 池田元久

    ○池田(元)委員 その点でいえば、もっと警戒心を持っていただきたい。これは、そんな単にファイアウオールがあるとかなんとかという問題じゃないですよ、しかも選択できるわけですから。  そういう点で、再考をお願いしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  247. 原田昇左右

    原田委員長 これにて池田君の質疑は終了いたしました。  次に、鈴木淑夫君。
  248. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 自由党の鈴木淑夫でございます。三人の参考人の皆様、きょうは大変御苦労さまでございます。昨日に続きまして、自由党を代表して、そごう問題を中心に質疑を行わせていただきたいと思います。  早速ですが、初めに八城参考人お尋ねいたします。  これはいいとか悪いとかいう質問ではないのです。淡々と事実関係に即してお答えいただけばいい話なんですが、そごう問題は、御承知のようないきさつで民事再生法を申請したわけですね。これは裁判所に受理されまして、恐らく十一月ごろには再生計画が関係者の間でできて、来年一月ぐらいには裁判所の決定がおりると思うのですね。  民事再生法というのは、中小企業を頭に置いて私ども去年の秋につくった法律なものですから、非常に簡略された形で、スピーディーに再生計画が出てまいります。また、和田さんという大変立派な社長さんがお見えになりましたが、こういう経営者がそのままずっと残って債権者と一緒に再生計画をつくりますので、どんどん進むと思います。  その場合、これは法的整理でありますから、債権者平等の原則で、プロラタでいくだろうというのは極めて常識的な判断ですね。裁判所は、プロラタじゃない、特に国に甘くするとか、そういうことはまずやらないだろうと思うんですね。  そういたしますと、当初の私的整理の案、金融再生委員会に出てきたあの私的整理の案では、国の負担が九百七十億、債権放棄九百七十億となっていますが、あれは興銀さんが自分の債権を目いっぱい放棄するという形で相当かぶって、プロラタ以上に興銀さんの方に負担がかかって国が軽くなっていたのですが、恐らく民事再生法でいきますとそういうことはなくて、プロラタでいきますから、最低二百三十億ふえて千二百億の国の債権放棄になるだろうというふうに思うわけです。そうすれば、当然、新生銀行さんのそごうに対する債権、二割以上減価しちゃうということになりますね。  そごうだけじゃなくて、例えばライフにしても第一ホテルにしても、これは会社更生法の方ですが、適用を申請して、更生計画が進んでいます。ここでも、ちょっと再生法より時間がかかるとは思いますが、プロラタ方式で債権放棄額が決まってくる。これがおたくの銀行さんの債権の二割以上の減価に相当すれば、これまた同じように、瑕疵担保特約で、国に最初の簿価で買い取ることを請求することができる。それ以外にもまだあると思います。某ゼネコンに対する新生銀行さんの債権、かなり大きなものがございますから、これがまた会社更生法ないしは民事再生法の適用申請となれば、同じような問題が起きると思いますね。  そのようにして、裁判所が決定した再生計画あるいは更生計画の結果として、おたくの銀行さんの債権が二割以上減価するということになれば、これはやはり瑕疵担保特約に基づいて、国に簿価で買い取りを請求する、先送りはされましたが、最終的にはそういう格好になってくるだろうというふうに私は見ておりますが、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  249. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  私どもが持っております債権の中で、瑕疵担保条項に、その条件を満たして、しかも債権の価値が二割以上減価した場合には、解除権が成立します。解除権が成立した場合に、解除権を行使するかどうかというのは私どもの経営判断である部分もございます。  しかしながら、先生御指摘のように、会社更生法あるいは民事再生法で裁判所が入って最終的な決定がなされた場合には、これは最終的には行使をすることになるだろうと想像しています。  しかしながら、そうでない、解除権は成立していても、もしも再建できるなら、必ずしも解除権を行使することにならないと思います。私どもとしては、できるだけそういうケースが出てくることを望んでいるわけでございます。
  250. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 極めて正確なお答えだったと思いますね。  恐らく、裁判所の決定が出ても、新生銀行さんの判断では、こんな債権放棄で、こんな計画でやらなくても再建できるんだ、そんな判断が仮にあれば、請求しないというのは当たり前ですが、普通は、それだったら、再生計画なり更生計画なりをつくる過程で、特に民事再生法の場合は債権者が中へ入って経営者と相談してやりますから、そういう御意見は当然入っていくわけですよ。  だから、普通は、決定が出て、その結果、おたくの債権が二割以上減価するということになれば、瑕疵担保条項に基づいて国に買い取りを請求する、そうなるというふうに私は判断いたします。普通はそうでしょう、おっしゃるようなケースだったら、裁判所の決定に行く前に八城さんの意見がどんどん入ってみんなで協議できるんですから。そうでしょう。
  251. 八城政基

    ○八城参考人 先生も御承知のように、解除権の成立要件がございます。解除権が成立したらすぐそのまま裁判所に行くわけではございません。多くのものは、依然として企業としては経営が継続されている。ですから、本当のリストラクチャリングが、リストラが行われて経営が健全化されるなら、最終的に解除権を行使するということはなしで済ますことはできるということもございます。
  252. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 済ますことはできるというのは私も承知していますよ。だけれども、常識的に考えれば、民事再生法だって会社更生法だって再建型の整理なんで、再建の計画なんだから、それに新生銀行さんがかんでいれば、再建する方向で新生銀行さんの債権者としての意見も入っていくわけですから。これ以上のことは言いません。原理原則をおっしゃっているというのはわかります。  それで、普通は、私は、そごうに限らず、まだ幾つかの債権が、瑕疵担保条項に基づいて国に買ってくれ、こういくと思うんですね。  そこで、金融再生委員長にお伺いいたしますが、裁判所が決定した更生計画ないし再生計画の中身として、国に対して債権放棄を要求している、こういうものが回ってきたときに、国はそれを受け入れますか。それとも、森内閣は、安易な債権放棄はすべきではない、こう言っているから、裁判所が決定しても国はけ飛ばすことができるんですか。け飛ばしたらどうなるんでしょうね。何年かかかって回収するんだといって一人で頑張ったら、裁判所が決定した計画は壊れますね。国はどういう態度をおとりになりますか。
  253. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 裁判所がそういうような決定を下したケースについて十分検討いたしておりませんが、ただしかし、いずれにいたしましても、それを受けるか受けないかということについての政府の判断はあるというふうに思っております。
  254. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 法務大臣にお伺いいたします。  裁判所が決定した更生計画あるいは再生計画の中に債権者としての国の債権放棄がプロラタ方式で入っているというときに、国はそれをけ飛ばすことができますか。裁判所とけんかすることができますか。
  255. 保岡興治

    ○保岡国務大臣 再建計画というのは、債権者が集まって一定の要件のもとに議決する、それに裁判所が認可する形で決まりますが、そういう再建計画が決まればそれに沿った対応をするというのが全部の債権者を拘束するということになるのではないかと思います。
  256. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 今の法務大臣のお答えが極めて正確だと思います。したがって、先ほど金融再生委員長、その段階で国がどうするか考えると言っておられましたが、これは、考える余地なしに裁判所の決定した再生計画ないし更生計画に従わざるを得ませんから、債権放棄せざるを得なくなります。  ですから、私は、昨日申し上げましたように、私的整理の形で債権放棄を国に請求してきた、そごうのケースでは九百七十億だった、だけれども、これは法的整理で裁判所にゆだねていったらそれより大きくなっちゃうという可能性は大いにあるし、また額の大小に限らず、これから先を考えると、裁判所の決定によって国が債権放棄せざるを得ないというケースがそごう以外にもどんどん出てくるというのが当然予見されるわけです。再生委員長、いかがですか。
  257. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 ちょっと私も知識がおぼろげでありますけれども、私が申し上げた趣旨は、その再建計画なるものが完全にそれに関連するところの賛成を得て決定されたということであればおっしゃるとおりだと思いますけれども、その過程において、国が賛成しなくとも、その計画が、割合は忘れましたけれども、過半数ですか、何分の一ですか、そのことによって決定されることがあり得るというふうに私は承知しておりましたものですから、もしそれが、国が不賛成であっても決定された場合におきましては、必ずしもその決定に従わないで、無論そうなればまた訴訟問題になるかもしれませんけれども、そういうことはあり得るんじゃないかということを申し上げたわけです。
  258. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 ちょっと金融再生委員長は誤解をしておられますね。(発言する者あり)元法務大臣も違う、違うと言っておられます。  それに、御注意申し上げますが、裁判所で民事再生法のもとで再生計画をつくったり、会社更生法のもとで更生計画をつくっているとき、国はまだ債権者ではない。債権者は新生銀行です。だから、口を差し挟む余地はないです。国は口を差し挟めない。そこで決まった計画に基づいて瑕疵担保条項を使うから、そのとき初めて国が債権者になる。そのときはもう裁判所の決定は終わっていますから、これは従わざるを得ないんですよ。  ですから、けさの一部の新聞もその辺誤解しておって、将来国は債権放棄するかどうかわからないよ、しないかもしれないよみたいな解説記事を書いている某新聞がありまして、そんなことはあり得ない。  国の債権放棄額というのは、そごうの九百七十億円のケースについてももっとふえてくるし、それから他のケースがまだほかにも幾つか出てきまして、いかに森総理が国は安易な債権放棄はしないと言っても、これは安易じゃないですよ、裁判所の決定に基づいているんだから。したがって、血税の投入によって私企業を救う結果になるというのはもう避けがたいですよ、法律的に。  そこの点、確認しておきます。別にお答えいただかなくてもいいんですけれども
  259. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 私がちょっと一般的なあれと考え違いしておったかもしれませんけれども、法務大臣意見を聞きますと、そういう場合にはそれに従うよりないということでありますので、それならば、私の先ほどの発言は訂正させていただきます。
  260. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 結構でございます。  さあ、そうであるがゆえに、私、きのうはっきり森総理に、森内閣は、引くも地獄進むも地獄というか、進退きわまっておりますぞと申し上げたんです。  それは、私的整理で出てきた債権放棄に対して、森内閣は安易に債権放棄するわけにはいかないとおっしゃって、亀井さんが電話か何か裏からあれして自主的に取り下げさせた。これは一つの御判断であったと思いますね。ああいう形で債権放棄をしますと、我々中小企業市場経済の鉄則どおり借金が返せないときは泣く泣くつぶれていっているのに、大企業だから救われるという不公平感とか、あるいは大企業はこういう手を使えばうまくいくのかというモラルハザードが大企業の経営者に出るとか、あるいは国際的な信用の失墜、日本はちゃんとした市場経済じゃないな、何か国が介入してきて私企業を助けるな、こういう誤解だって生まれちゃうかもしれない。そういうさまざまな大きな社会的コストを考えれば、あの森内閣がおやりになったことは、私はその面に関する限りは理解できるんですね。  だけれども、今度は、そういうことをやって、私的整理じゃなくて裁判所の方へ回してみたら、結論は今確認したことですよ。先送りして時間が先になるだけであって、間違いなく国民の血税を投入して私企業事業会社を救わざるを得ないという事態は起きてきます。しかも、その額は、当初のそごうについて九百七十億であったのが、少なくとも千二百億になるであろうし、まだほかにも出てくる可能性があるのですね。そういう意味で、森内閣は進退きわまっているというふうに私はきのう申し上げたわけですね。  なぜそうなっちゃったかということなんですが、これは私、きのう、テレビが入っていましたから国民皆さんに向かってはパネルを、閣僚や委員の皆様方にはペーパーを配って申し上げましたが、私は、二年前の金融国会における当初の野党案、それと、政府・自民党がお出しになったブリッジバンク法案というのは、本来の目的が違っていたと思うんですね。  当初出した野党案というのは、破綻した金融機関を整理して市場から退出させることを原則にしているんです。もちろん、どこかに受け皿銀行がいて手を挙げれば、喜んでそっちへ回しますよ。だけれども、受け皿銀行がない、そういう破綻金融機関については整理しよう、これが野党案だったわけです。民主党と公明党と我が自由党と三党で出した、共同提案、仲よくね。池田さんは民主党、自由党は私、公明党は石井さんかな、仲よく出したわけです。  そのときの仲よく出した法律は、基本的には、破綻した金融機関は整理しましょう、どこかで受け皿銀行がうまいこと出てこない限り整理しましょう。その整理の方法に二つある。一つは、法的な管財人を置いた整理です。もう一つは、ちょっと信用秩序への影響が大き過ぎるというようなときは、その金融機関の株を有無を言わせず買って、公的管理の下に置いちゃって整々と整理をしていこう、この二つの案だったのですね。  それに対して、政府・自民党はブリッジバンク法案を出してきた。これは、整理しちゃおうじゃなくて、きれいに化粧直しをして、もう一回何が何でも受け皿銀行を見つけて市場へ戻そうという案ですね。  三カ月もんだあげくに、くたびれ果てましたが、政府・自民党さんが、野党案丸のみと称してこの二つの案をがちゃんこんと一緒にする、こういうことを御提案なさって、それで議論をして、それで今の金融再生法ができたわけですが、きのうも申し上げましたように、ここででき上がった金融再生法は、当初の野党案と比べると完全に変質した。当初の野党案は整理を原則としていた。ところが、でき上がった金融再生法は、生きたまま化粧直しをしてまた市場へ戻す、国営ブリッジバンクを可能にする形に変質したわけですね。  ここに私は、上に今の金融再生法、下に当初の野党案を書いたペーパーを持っています。非常にもうクリティカルなところで変更が起きています。  まず、目的について、野党案というのは、金融機関の破綻の処理の原則を定める、銀行の特別公的管理の制度を設けること等によって信用秩序の維持と預金者等の保護を確保する、これが目的だと言っているのですね。ところが、金融再生法は、それと並んで、破綻した金融機関の業務の承継、ブリッジバンクですよ。それから、銀行の特別公的管理並びに金融機関の資産の買い取りに関する緊急措置の制度、これはもう完全に資産を買い取る。当初の我々野党案には、資産買い取りなんというのはない。ましてや、これは先の方へ行くと出てくるのですが、受け皿銀行として手を挙げた、今の新生銀行さんみたいなところに対する資本注入とかその他の資金援助の条項まで入ってきちゃっているのですね。もう完全に変質した。  私は、当初の我ら三野党の共同提案をしたあの法律でいけば、今のように森内閣が進退きわまるような事態にはなっていないと思いますよ。それは整理を原則にしていますから。ところが、変質しちゃった今の金融再生法では、何が何でも受け皿銀行を見つけて渡さなければいけない。そこから、さっき池田委員が言っていたような、いろいろな無理が出てきているのですね。  一番わかりやすい無理は瑕疵担保特約だけれども、もう一つは、デューデリをやらせないでこっちでやるよと言ってみたり、時間がないんだからとか言ってみたり、さまざまなことでかなり無理をして出していったんだと思います。  さあそこで、なぜそんなことをしたんだろうかということですね。  それは、政府・自民党さんが何が何でも旧日長銀と旧日債銀を整理したくなかったんだと思いますね。それは、格好のいいことを言えば、余りにも経済に対する影響が大き過ぎるだろう、金融パニックが起きているじゃないか、二年連続マイナス成長じゃないか、それを起こしたのは政府・自民党さん自身の政策の失敗だと私は思っていますが、とにかくそういう状況じゃないか、だから何が何でも生かしておきたいんだよと。  生かしておくために、野党案丸のみと称しながら、実は野党案の性格をばっと変えたものにして、それで、これを使って長期信用銀行を生かしたまま化粧直しして、瑕疵担保特約をつけるとかデューデリはこっちでやるとかいろいろなことを言いながら、とにかく八城さんのところに買ってもらった。その無理が今一斉に噴き出してきていると思うんですね。  そこで、私、一つ質問をさらにつけ加えたいんですけれども、あのときに本当に旧日長銀、旧日債銀を、これは公的管理で整理するわけですから整々と整理できるんですよ。我々野党案は、株だけ買って公的管理にしちゃって料理していくわけですね。これは時間がないよなんという話じゃない、二〇〇一年三月までかかって整々とやればいいんですからね。これをやって本当に経済が大混乱しただろうか。  三十四年間の私の日本銀行の経験、七年間の野村総合研究所の経験、そして多くの友人との議論もしました。私は、必ずしも、旧日長銀や旧日債銀を公的に管理して整々と整理したら大混乱が起きたとは思っていないんですよ、やれたと思っています。悪い部分はもちろん整理回収銀行に回すんですよ。いい部分は、ちゃんとデューデリをさせてでも、ばらして売っていくわけですよ。海外との取引が一番難物ですが、これはまとめて、きのうも言いましたけれども、当時の輸出入銀行に渡すという手だってあった。そういうことを現実に、興銀さんの私と仲のいいエキスパートも言っていましたね。そういう手はあるなということは言っていました。  ですから、私の知識を総動員して判断すると、そういう手はあった。だから、当初の野党案はワーカブルだったと思いますよ。  それで、ちょっとお立場上、そんなことを聞かれても困るなと思うかもしれませんが、西村参考人、私が今言っている意味はおわかりいただけると思うんですけれども、とにかく金融再生法というのができて、それに基づいて最善の努力をされたと思います。だけれども、仮に、金融再生法じゃなくて、もうしようがない、信用秩序に影響を与えないよう、日本経済に影響を与えないよう、国が管理して整々と旧日長銀を整理していくということになった場合に、それは可能だったという感じはありますか。というのは、僕以上に中身をよく見ていらっしゃるから聞くんです。  安齋参考人にもお伺いします。さっき、安齋参考人は、そんなことをしたら日本経済はひっくり返っちゃうというようなことを言ったけれども、本当にそうかということですね。  これは個人的見解です。どうぞ安心して、西村参考人
  261. 西村正雄

    ○西村参考人 ただいまの御質問でございますけれども、なかなか個人的発言といってもお答えにくい問題でございます。  ただ、当時の状況を振り返ってまいりますと、九八年のちょうど金融国会をやっていたころというのは、その前の夏のアジア危機から始まりまして、九七年の十一月の日本の金融システムの危機、そして九八年になりましてから、ロシア、ブラジル、あるいはLTCMといったようなことがございまして、この間、宮澤大蔵大臣が一番御事情を御存じだったと思いますけれども、ルービンも、戦後最も危険な危機状態であると。  まさに日本だけではなくて、世界的にもう金融恐慌一歩手前の状況だったわけでございますから、いろいろなやり方があった、理屈があったと思いますけれども、ともかく非常に世界的に一触即発の状況でございましたし、日本の方も十月になりましてから、株価がたしか一万二千八百円台まで戦後最低記録をやった時代でございますから、理屈は理屈としまして、ある程度現実的な対応ということも必要ではなかったか。  ツー・ビッグ・ツー・フェールといいますと、その言葉自体がいろいろまた御批判を受けるわけでございますけれども、現にアメリカでもコンチネンタルのときはそういうようなこともあったわけでございますので、今になってみますと、あのときこうやっておけばよかったというようないろいろな御意見はあると思いますけれども、まさに私はあのときちょうどワシントンで、十月四日に出ましたG7の、非常に日本の金融システムを心配して、日本が一刻も早く健全行に対する公的資金を注入するような法的な処理をとるようにといったような、ある意味では内政干渉的なG7の声明が出たときにちょうどワシントンにおりましたので、まさに世界的な金融恐慌一歩手前であるということを耳にしておりましたので、お答えになっておりませんけれども、そういうような客観情勢ということも振り返ってみる必要があるのではないか、このように思っております。
  262. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 安齋参考人のお答えを聞く前に、念のため申し上げておきますが、二年前の金融国会で私どもは六十兆円の金融安定化の枠組みをつくったわけですよね。十七兆円は預金者保護です。それから、二十五兆円は金融健全化法。これは、与党になりつつあった我が自由党と自民党さんと一緒につくった金融健全化法で、これは破綻金融機関でなくて、不良債権を処理して資本がどんと落ちたけれども大丈夫だというものに資本注入して健全化する方ですね、これをつくった。そして、十八兆円のところが金融再生法に絡んでいるわけですね。  それで、金融再生法に絡んでいるこの部分に、私が質問しているのは、国営のブリッジバンクで生かしておかなければ、この十八兆円を用意していても、なおかつ海外は日本の金融システムを信用しなかったかという質問をしているのですね。この六十兆円の枠組みは、どっちにしてもあるのです。ただ、十八兆円の部分について、何が何でも生かしておかなければいけなかったのか。それとも、公的管理、国の管理のもとで整々と、絶対システムに悪影響が行かないように、世界的な金融パニックの引き金にならないように公的管理、国の管理で整々とやっていくという枠組みだって私は大丈夫だったんじゃないのかと。大丈夫だったと思っているのですね。  だから、いずれにしても手は打つのですよ、野党案でも。六十兆円の手は打つ。二十五兆円の部分は嫌だと言う民主党さんもいますが、我々はやはり六十兆円の手は打つのです。ただ、十八兆円の部分について、何が何でも化粧直しして民間に出すというのは、そうじゃなくたってよかったじゃないかということを言っているのですね。  時間ですが、せっかくお越しいただいていますから、安齋参考人。     〔委員長退席、甘利委員長代理着席〕
  263. 甘利明

    ○甘利委員長代理 安齋参考人、簡潔にお願いします。
  264. 安齋隆

    ○安齋参考人 私は、忠実な法の執行者として申し上げますと、評論家風に、こうできたであろうというお答えはできません。私は、忠実に法を実行させていただきました。  それから、長銀は生きたままとおっしゃっていますけれども、これは死んだのです。経営者がいなくなりました。株主がいなくなった。残ったのは債権債務。これを、混乱を起こさないように買ってもらった。(鈴木(淑)委員「そういうのを生きているというのです」と呼ぶ)これは生きているのではないのです。そういう考え方でさせていただきました。
  265. 鈴木淑夫

    鈴木(淑)委員 時間でございますので、これで終わります。ありがとうございました。
  266. 甘利明

    ○甘利委員長代理 これにて鈴木君の質疑は終了いたしました。  次に、木島日出夫君。
  267. 木島日出夫

    ○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。  三人の参考人皆さんには大変御足労をかけましたが、時間の関係で、私は、長銀売却の売り手である安齋参考人と買い手である八城参考人に一問だけ、端的に聞いておきたいと思いますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。  今、長銀の売却問題、特にそごう問題が出てきまして、何で一デパートの破綻に国民の税金をつぎ込むんだ、ここに国民の怒りは集中しています。その一番のポイントであるのが、売買契約の中に瑕疵担保特約があったということであります。  そこで、その問題について聞きます。既に昨日の当委員会の質疑でも我が党の志位委員から明らかにしたんですが、このような瑕疵担保特約というのは、いわゆるアメリカでプットバック特約と言われていまして、アメリカでは九一年にもうこういうやり方はやめている。やめた理由が主に二つある。一つは、こんな特約を入れれば、受け皿銀行の方は、いい債権、優良債権だけつまみ食いしてしまうという問題。二つ目には、こういう特約を入れればどうなるか。受け皿銀行は債権回収の努力を怠るわけですよ。一生懸命債権回収をして、八五%まで債権回収努力をしたら、一五%は受け手の損失になるんです。その努力をやめて、七五%までの債権回収でやめてしまう。債務者が破産した方が、そうしたら一〇〇%プットバックで戻して、国から金がもらえる。要するに、銀行業界にとって、銀行家にとって最悪の、債権回収の努力を怠るという意味でモラルハザードになる。この二つの大問題が指摘されて、アメリカでは九一年にもうこういうやり方はやめようということになった、そういう瑕疵担保特約ではないか。  そこで、一点。売り手である安齋さん、買い手である八城さんは、アメリカではもう十年前にこういうやり方はやめたんだ、その理由は今言った二つが中心だ、そういうことを承知しておったですか、今度の契約をつくったときに。イエスかノーかだけで結構ですから、答えていただきたい。
  268. 安齋隆

    ○安齋参考人 お答えします。  私、就任のときに、あそこにロスシェアというルールがないことはもう承知しておりました。したがって、非常に難しい、これも知っておりました。しかし、それにかわるものがなくて本当に整々と私の仕事が終えられるのであろうか、私はそういう不安でした。そういうことも再生委員会に申し上げました。(木島委員アメリカでやめているという話は知っていたか」と呼ぶ)知っております。したがって、ロスシェアルールにかわっていきました。
  269. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  私は存じませんでした。
  270. 木島日出夫

    ○木島委員 八城参考人がそんなことを知らなかったというのは、私にとっては大変な驚きでありますが、聞いておいて、もう時間の関係参考人に対する質疑は終わります。お三方には退席していただいて結構であります。ありがとうございました。  金融再生委員会の問題について、相沢委員長お尋ねをいたします。  相沢委員長のホームページを開いてみましたら、こういうことが出ておりました。「活動報告」の中に、これはホームページの間違いだと思うのですが、「昭和五十九年の初当選以来、」これは昭和五十一年だと思うんです。昭和五十一年の初当選以来、「議員有志諸君ときさらぎ会、新政経フォーラムなどの政策研究会や、数多くの議員連盟を作り、活動いたしております。」こうあります。  そこでお尋ねしたいんですが、このきさらぎ会また新政経フォーラムというのは、どのような組織であり、どのような活動をしてきたのか、簡潔にお答えいただけますか。
  271. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 五十一年の十二月、当選いたしました議員仲間十数名が集まりまして、ひとつ一年生、若手の同志で勉強会をつくろうということでつくったのがきさらぎ会でございました。これは、当初十数名でありますが、一番多いときは六十何人おったと思います。これは自民党の議員であります。  それから、その議員の連中と、それからそれに学界、学者の方々十人ぐらいでしたか、それから官界、役所の総務課長や局長クラス、各省庁ほとんど一、二名出してもらいました、それから財界が、最初はたしか四、五十社あったと思いますが、それでもって新政経フォーラムというのをつくったのであります。  きさらぎ会は毎月第二水曜日の夜、それから新政経フォーラムは第四金曜日の朝八時からということで、通例講師を招いて勉強会をしておったのでございます。  そういう実態であります。
  272. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  実は、大臣が責任者といいますか会長をしております新政経フォーラムの方なんですが、現在もありますね。
  273. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 新政経フォーラムは、当初四、五十社ありましたけれども、世の中景気も悪くなりますし、だんだん減ってまいりまして、たしか十社以下になっておると思いますけれども、現在もございます。
  274. 木島日出夫

    ○木島委員 私のところに、前回の総選挙、九六年十月ですか、その直後に、相沢大臣の名前で新政経フォーラムあるいはきさらぎ会の加入の呼びかけの文書を私持っているのですが、それを見ますと、新政経フォーラムの会員名簿、財界のところを見ますと、いろいろあるのですが、これは九六年ですから平成八年十一月五日付になっておるのですが、二十六社あります。この中に金融機関は三社なんですが、その中の一つに大阪に本社を置く株式会社幸福銀行、社長は頴川徳助さんというのですか、これも会員の一員として名を連ねているのですが、それは間違いないでしょうか。
  275. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 既に退会されております。
  276. 木島日出夫

    ○木島委員 ですから、いつ退会したのですか。九六年十一月五日付の文書は前回の総選挙の直後なんですが、そのときはまだ正式な会員だったのか。現在退会されているということですか。それと、いつ入会されたか、もう古い話で恐縮ですが、御記憶があったら御答弁願います。
  277. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 幸福銀行は、昭和六十年に入会をいたしまして、平成十年に退会をいたしております。
  278. 木島日出夫

    ○木島委員 新政経フォーラムは、毎月一回、赤坂プリンスホテルですか、借りて、朝、勉強会をやっていたようですが、幸福銀行の会長さん、頴川さんの出席状況というのはどんなものだったか、御記憶ありますか。
  279. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 こういう会の常として、熱心な方はよく出られますけれども、ほとんど頴川さんは出ておられなかった、出ておられた記憶の方が乏しいのです。
  280. 木島日出夫

    ○木島委員 九六年の十一月の名簿を見ましたら、財界名簿はそうそうたるところ、新日鉄、旭化成、ソニー、東京電力、トヨタ、戸田建設、野村証券、松下電器、関西電力、アラビア石油、こういうそうそうたる企業なんですが、金融機関は三つで、一つは第一勧銀、そして一つは株式会社福岡シティ銀行、地銀ですね、そしてもう一つが株式会社幸福銀行。そうそうたる財界の幹部が名を連ねている中にあっては、恐縮ながら、失礼ながら、株式会社幸福銀行というのは規模がちょっと違うな。何かこの銀行が新政経フォーラムに入っている特別の理由というのはあるのでしょうか。
  281. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 特別な理由と言われるとあれですけれども、私は近畿財務局長を、あれは昭和四十年でしたか、一年間しておりました。その間に、大阪方面の銀行の方々とは顔を合わせることがよくございました。そういった御縁ではないかと思っています。
  282. 木島日出夫

    ○木島委員 なるほど、よくわかりました。  実は、幸福銀行というのは、御存じのように、昨年破綻をしたわけであります。そして、金融再生法に基づいて、これは管理人が派遣されているわけですね。金融整理管財人という正式名称ですが、金融整理管財人が派遣されたわけです。大臣、御承知ですね。
  283. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 そういうこともあったのが退会の理由かと思っています。
  284. 木島日出夫

    ○木島委員 実は、その前に幸福銀行というのは、一九九七年十月、事実上経営が破綻していた京都共栄銀行の営業譲渡を受けております。その受け皿銀行となったわけです。京都共栄銀行も、事実上、幸福銀行と同じように、代表者である頴川さんたちの一族経営。こういうことは当時御存じでしたでしょうか。
  285. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 よく存じておりませんでした。
  286. 木島日出夫

    ○木島委員 よく御存じでなかったと。しかし、大問題になって、新聞に大変大きな問題として連日のように大見出しで記事は出ているのです。あなたが近畿財務局長のとき以来のおつき合い、そして、あなたの主宰する勉強会にも入っておられる。そうすると、会費は、財界の方は二万円とのことですね。政治家は会費一万のようです。官僚は会費免除という規約のようですね。知らなかったというのは信じられませんが、本当ですか。ある程度は知っていたんじゃないですか。
  287. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 別に隠すつもりはございません。承知しておりませんでした。
  288. 木島日出夫

    ○木島委員 とても信じられませんね。  実は、幸福銀行が、事実上破綻した京都共栄銀行の営業譲渡を受けて受け皿銀行になった。そのために、幸福銀行というのは、そのとき預金保険機構から四百五十六億円の公金投入を受けているのです。有名な話ですよ。本当に知らなかったのですか。
  289. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 存じませんでした。
  290. 木島日出夫

    ○木島委員 とても信じられません。  一つ、資料だけ示しておきます。  これは、九九年五月二十七日の読売新聞の記事であります。とうとう幸福銀行も破綻をいたしました。そのときの解説記事であります。「「場当たり行政」検証を」と書かれております。要点だけ述べてみます。   金融監督庁の検査で、幸福銀行は九八年九月末時点で四百六十四億円という巨額の債務超過だった。ワンマン経営によって、行内の経営監視が働かなかった結果といえる。   しかし、そのわずか三か月前の九八年六月に、大蔵省は幸福銀行を「適格」な健全銀行と認定している。やはり頴川一族が経営し、九七年十月に破たんした京都共栄銀行の受け皿銀行に、幸福銀行がなることに伴うもので、その後、預金保険から四百五十億円の公的資金が投入された。   監督庁の浜中秀一郎次長は「大蔵省は九八年三月期の幸福銀行の決算から適格と認定した」としているが、監督庁によると、大蔵省は九五年八月時点 もう三年も前です。  九五年八月時点で、幸福銀行の回収不能債権が自己資本とほぼ同額の八百四十九億円もあることをつかんでおり、大蔵省が幸福銀行を意図的に健全銀行にみなしたとの疑いが出てくる。 本当は幸福銀行だって事実上破綻しているのに、もう一つ破綻していた京都共栄銀行を、債権譲渡を受けるという名目で、国から四百五十億円の公的資金をもらったじゃないか、そして、それを大蔵省は、もう三年も前に幸福銀行の経営だって破綻しているというのを知っておきながら、健全銀行というお墨つきをつけて、受け皿銀行になることを認めて公金投入を受けさせた、こういう記事ですよ。恐るべき金融行政のひどさかげんがこの読売新聞によって指摘されたのです。  あなたの研究会の会員でしょう。しかもその後、九六年のまた資料を持っているのですが、わずか財界からの会員二十六社ですよ。そのうちの一つでしょう。知らないなんということは、とてもじゃないけれども信用できません。本当ですか。
  291. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 私本当に、うそを申しませんが、よく知りませんでした。
  292. 木島日出夫

    ○木島委員 その後、幸福銀行が破綻をいたしました。昨年、九九年五月二十二日に金融再生法八条に基づいて、さっき述べましたが、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分がなされて、今、金融整理管財人が選任されて、公的管理下に入っているわけであります。こうなったので、幸福銀行はあなたの研究会から去っていったのでしょう。  そして、今どうなっているか。幸福銀行あるいは京都共栄銀行の事実上のオーナーだった頴川一族など幸福銀行の旧経営陣は今、商法違反、特別背任罪、強制執行妨害、財産隠しです、これらの罪で逮捕、起訴され、刑事被告人としての立場にあります。御存じですか。     〔甘利委員長代理退席、委員長着席〕
  293. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 そのことは承知いたしております。
  294. 木島日出夫

    ○木島委員 既にもうその事件の第一回公判を終わり、検察から冒頭陳述もなされております。ここに冒頭陳述を全部持ってきております。読売新聞の、先ほど私が読み上げた記事がほぼ全面的に論証されています。冒頭陳述ですから、証拠に基づく陳述であります。  それをかいつまんで御披露いたしますと、幸福銀行というのは、平成四年、一九九二年八月十八日を基準日とする大蔵検査では、分類債権は貸出金の一五%を占めていた、大変な状況にあった。平成七年、一九九五年八月十八日を基準日とする大蔵検査では、分類債権は貸出金の三〇%を占め、異常な事態であったということが記されております。平成五年、一九九三年、既に赤字、実質破綻と指摘されたと書かれております。  そしてさらに、驚くべき事実がこの冒頭陳述に書かれております。平成八年、一九九六年、頴川親子はもはや会社更生法しかないと事実上協議していた、親子で。そして平成八年、一九九六年から平成九年、一九九七年三月にかけて、この幸福銀行経営陣は、日銀や大蔵省近畿財務局にも相談を持ちかけていた。そして、速やかに破綻処理が必要と考えていた。しかし、破綻処理するには勇気がなかったのでしょう。ずるずるいって、結局、平成十年、一九九八年末、金融監督庁から検査があり、昨年、一九九九年五月十四日、法に基づく早期是正措置があり、五月二十一日、銀行業廃業へと転落していったわけですね。  ずっとあなたの研究会の会員ですよ。たった三社しかない金融機関の一つですよ。ずっと全部御存じだったんじゃないんでしょうか。そして、要所要所では、どうしたらいいか、つぶすべきか頑張るべきか、公的資金の投入をもらうべきかどうか、そういう大事な部分についても私は相談を受けていたのは当然じゃないかなと思うんですが、邪推でしょうか。
  295. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 先ほど幸福銀行との関係につきましては申し上げましたが、大体、そんなことを申すのはなんでありますが、私は大蔵省三十年の間ほとんど主計局で暮らしておりまして、金融界、金融行政との関係もほとんど、財務局長の一年間を除いてはございませんでした。そのようなことで、その辺のことに関しましては、御相談を受けるような立場にもありませんでしたし、事実、全くそんなことはありませんでした。
  296. 木島日出夫

    ○木島委員 特別背任と、事実上の財産隠しですね、強制執行妨害が具体的にどんなにひどいものであったか、私はきょうは述べません。この冒頭陳述に詳しく書かれております、何億円という財産を隠してしまった、持ち出したと。  こういう幸福銀行は、今どういう状況になっているかといいますと、金融整理管財人による業務、財産の管理がずっと続いていて、いよいよ最終段階になっている。だれかこの銀行をもらってくれる受け皿銀行があれば営業譲渡する、そういう大事な段階になっている。どう処理するかの最高責任者は、相沢金融再生委員長、あなたですよね。そうなるんでしょう、法律上。どうですか。
  297. 原田昇左右

    原田委員長 事務局にまず答えさせますから。(相沢国務大臣「その問題については、私もまだ就任……」と呼ぶ)金融再生委員長、ちょっと待ってください。委員長は指名していませんよ。(木島委員「答弁しているんだから、いいじゃないですか。事務局なんて関係ないですよ。指名してないですよ。そういう立場におられるんでしょうということだけですから」と呼ぶ)  森事務局長。(木島委員「では、答弁、要らないです。そういう状況にあるというのは事実ですから」と呼ぶ)ちょっと待ってください。委員長が指揮権ありますから。
  298. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  幸福銀行は、先生おっしゃるとおり、五月二十二日に金融整理管財人による管理の命令を出しまして、金融整理管財人が譲渡先を探した結果、既に基本合意も結ばれ、近々最終契約という段階まで来ております。
  299. 木島日出夫

    ○木島委員 要するに、受け皿銀行が見つかって売却になる、どういう条件で売却になるか。まさに今、先ほど来ずっと問題になっている、どういう条件で売却されるか、非常に大事な分野ですよね。公的資金がもうつぎ込まれているんですからね。国民にとっても重大な問題です。どういう形で売却して、それを認めるかどうか、その最終決定権限は金融再生委員会、その委員長が相沢大臣。  どうでしょうか。私は、ふさわしくない。勉強会にどのくらいまじめに顔を出したかどうかを問うものじゃありません。しかし、ずっとこの間、少なくとも勉強会の会員の一人。会費も二万ずつもらっている。そして、こういう勉強もし続けている。破綻したので退会していっただけの人間。それが今、こういう運命にある。その最終権限はあなたが持っている。私は、とてもこういう立場では金融行政の最高責任者である立場におつきになり続けるのはふさわしくないんじゃないかと思いますが、相沢大臣の所見を求めます。
  300. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 いや、私、先ほど申し上げましたように、そういうようないきさつからフォーラムのメンバーになっていただいたのでありますが、その後、格別な関係があったわけではもちろんございませんし、先ほど申し上げましたように相談も受けたわけでもありませんし、それから、今最終的な決定段階にあるという話も、まだ私は就任してから四、五日でありますし、事務当局からも何も話も聞いていない状態でありますから、今ここでどういうふうに思うかと言われても、私は、過去のメンバーになっていたことと、私がこれから公正に職責を実行することとは直接の関係はないというふうに判断しております。
  301. 木島日出夫

    ○木島委員 金融再生委員会というのは、我が国の金融行政に対する検査監督の総元締めであります。それだけでなくて、破綻した金融機関に対する処理のあり方を決める生殺与奪の権限を持ちます。金融再生法のもとで、今、七十兆円の国民の税金投入の決定権限も事実上持っておるわけであります。我が国金融行政の最高責任者であります。  記憶に新しいところでありますが、越智元長官が地銀に対する手心発言をしたと、事実上更迭をされました。また、久世前長官が特定の金融機関からの利益供与問題で辞職したばかりじゃないですか。私は、金融再生委員長というのは、監督される立場にある金融機関との癒着は絶対にあってはならぬ、過去にも指摘されるようなことがあってはいかぬ、そういう立場だと思います。  そのことだけ述べて、時間がもう迫ってきておりますから、この問題はやめます。相沢大臣はお引き取り願って結構であります。  中尾建設大臣の受託収賄汚職事件に関連してお聞きします。  中尾元建設大臣は、本年七月二十一日、若築建設から三千万円、実は一千万円は有価証券であります、二千万円が現金でありますが、これの受託収賄罪で東京地裁に起訴されました。わいろの授受は九六年十月九日、前回の総選挙の公示日の翌日でありますが、そこでなされた請託、お願い事、どんなものであったか、保岡法務大臣から答弁願います。
  302. 保岡興治

    ○保岡国務大臣 お答えいたします。  お尋ねの公訴事実においては、中尾元建設大臣が、建設省職員に対する早期退職の勧奨に際し、若築建設株式会社を再就職先としてあっせんされたい旨、工事請負業者の競争参加資格審査に際し、同社の競争参加資格の等級区分をより上位にする取り計らいを受けたい旨、同省発注工事の指名競争参加者の選定に際し、同社を選定されたい旨、同省発注工事の元請負業者に対し、同社を下請業者に選定するようあっせんされたい旨の各請託を受けたものとされております。
  303. 木島日出夫

    ○木島委員 ありがとうございました。  同じく中尾元建設大臣は、同日、本年七月二十一日、三千万円の受託収賄容疑で再逮捕されております。今度は三回にわたるわいろの授受であります。最初は九六年六月中旬、一千万円、二回目は同年八月下旬、一千万円、三度目は同年九月下旬、一千万円。それらの三度にわたる請託の内容はどのようなものだったでしょうか。  最初の九六年十月九日、実は時期的には最後なんですが、今法務大臣が述べた四点と全く同じでしょうか。同じなら同じだけで結構ですが、答弁願います。
  304. 保岡興治

    ○保岡国務大臣 同じでございます。
  305. 木島日出夫

    ○木島委員 この事件は現在進行形でありますが、現職の建設大臣が、その職務権限の中核である公共事業の発注に関して、個別具体的な事業の発注ではなくて、全体的な発注量をふやしてほしい、こういう請託であります。建設業者からこういう全体的な発注量をふやしてほしいという請託を直接受けて、今表に出ているのは六千万円という多額のわいろを収受したという汚職事件であります。私はまことに大胆不敵な贈収賄事件と言わねばならぬと思います。  それで、扇建設大臣にお聞きします。  我が国の建設行政の歴史の中で、このような疑獄事件、個別、この公共事業の入札に口をきいてくれというのじゃなくて、全体としての受注量をふやしてくれ、ランクもアップさせてくれ、こういう一般的、包括的な請託、こんな疑獄事件というのは、日本の建設行政、建設省の歴史の中でかつてあったのでしょうか。御存じでしょうか。それだけまず聞いておきます。
  306. 扇千景

    ○扇国務大臣 お答えいたします。  私も一九七七年から国会に来ておりますけれども、それが本当であれば、これほど大がかりになったということは聞いたことがありませんけれども、今おっしゃった中で、請託を受けたことと、建設省がそれによってどうこうしたことということではなくて、私も新聞で拝見して驚いております。
  307. 木島日出夫

    ○木島委員 請託を受けた後どうなったかは、時間の許す限り、これから私が一つ一つ丁寧にお聞きしたいところであります。  このような受託収賄事件が発生したということは、私は建設省にとってもまことに重大だと思うんです。個別具体的な特定の公共事業を受注したいという建設業者からの請託にこたえて、わいろをもらって便宜を図るというのは、これまでも事件としてはたくさんありました。それは、それを実行することはそれほど困難じゃないからであります。特定の一部の人たちだけの関与で実行できるからなんですよ。  しかし、一般的に、ある業者に対する発注量を全体としてふやそうとすれば、これは組織を挙げてやらなければなりません。そうだと今扇大臣からも反応がありましたが、それは大変なことなんです。だから、六千万円をもらった中尾元建設大臣が若築建設のために実際どのような便宜を図ったのか、図らなかったのか図ったのか、建設省として省を挙げてこれは徹底的な内部調査が求められている問題だと私は思います。  とりわけ本件は、収賄の直前の九六年五月と七月の二度にわたって、中尾建設大臣、藤井建設事務次官、竹下元総理を初め当時の建設省の最高幹部が、こぞって贈賄側の建設業者から料亭での接待を受けていたのは事実なんですから、なおさら建設省は、本腰を入れてこの真相の全容の徹底解明をしなければならないと思います。中途半端な調査では何にも明らかにできないし、それでは国民の建設省、建設行政、公共事業行政、政治に対する信頼を回復することはできないと考えるからであります。  そこで、建設大臣には、実際、若築建設のためにどんな便宜が図られたのか、省を挙げて、大臣を先頭に徹底的な調査で解明する決意はおありでしょうか。
  308. 扇千景

    ○扇国務大臣 少し、私が就任以来調べたことを御報告させていただいてよろしゅうございますか。  私が就任しましたのは、まず、今先生がおっしゃるようなことを明快にするために就任したのだと思っています。それでなければ建設行政というものが前に進まないと私は認識しております。そのために私が就任しまして……(木島委員「できるだけ短く」と呼ぶ)はい。就任しましたのが四日でございまして、私は省を挙げてそれを調べるようにと、今おっしゃいました、受注がふえたのかふえないのか、金額がふえたのかふえないのか、あるいはランクアップがあったのかないのか、そういう四点について私は調べました。  そのときに私が調べました中で、七日の日に省を挙げて——私は本来は、申しわけないですけれども、就任します前に、建設省から八十箱の段ボールが押収されるのをテレビで見ておりまして、私、ある人に、就任したときに言われました。扇さん、調べようと思っても無理ですよ、書類を全部持っていかれてそんなことわかるわけないでしょうと私は言われたのですけれども、役所に調べるようにと申し上げました。  そこで、私に、七日の日に省を挙げて調べてくれた中では、皆さん御存じのとおり、まず入札の件数がふえたかどうか、それは入札は自由にふえるわけですから、入札に入るだけですから、これは数が……(木島委員「短くしてください」と呼ぶ)はい。平成七年から五年間ございます。ですから、入札の参加数というのはふえておりません。それから、指名の件数も五十一件から三十四件と五年間で減っております。それから、受注の金額でございますけれども、受注金額も平成七年の四十……(木島委員「短く。あと四分しか」と呼ぶ)はい。ああ、そうですか。では、これも全部ございません。  そういう意味で、金額、それから受注件数、そういうものは、私に報告があった段階ではすべてふえていない、影響が建設省にはなかったというふうに私は現段階で確信しております。
  309. 木島日出夫

    ○木島委員 わかりました。私も、「サンデープロジェクト」でしっかりそう主張されているのを拝見いたしました。  そこで、委員長のお許しをいただいて、資料を配付していただきたいと思うのです。よろしくお願いします。もう時間が迫っておりますから、早いところ配付してください。  若築建設株式会社に関する「建設省直轄工事にかかる指名選定参加、指名実績、受注の各件数の推移」、「受注実績の推移」、これが1と2であります。それは、今扇大臣が答弁したようにふえておりません。私の調べもぴったり同じだと思うのです。  ところが、3と4を見ていただきたい。「日本道路公団にかかる指名選定参加、指名実績、受注の各件数の推移」であります。そして、同じ「日本道路公団にかかる受注実績の推移」が4であります。  特に、その4を見てください。驚くべき数字が指摘されます。4若築建設株式会社に関する「日本道路公団にかかる受注実績の推移」。贈収賄があった九六年の前の年、一九九五年が二十三億二千四百万円、これを一〇〇といたしますと、問題の年の九六年は何と一九五・五、四十五億四千三百万。九七年は三十五億五千四百万、一五二・九。それから、九八年は二倍以上であります。五十一億三百万円、二一九・六。九九年は五十一億五千万円、二二一・六であります。  要するに、建設省の最大の外郭特殊法人である道路公団からこのような仕事が大量に若築建設に発注されているという問題が事実として出てきました。  それから、ランクアップの問題でありますが、5と6を見てください。  今、ランクアップはないと大臣はおっしゃいましたが、そうではありません。5を見てください。建設省直轄工事における若築建設株式会社の等級推移状況であります。これは建築工事というランクであります。そして、建設省は地方建設局ごとにランクづけしておりますが、問題は中国地方建設局であります。平成七、八年度、これがCであります。ところが、その贈収賄事件のあった翌平成九、十年度、十一、十二年度はBにランクアップしております。  そして、6を見てください。日本道路公団における若築建設株式会社の等級推移をごらんください。日本道路公団は全部です。日本全国、平成七、八年度はBであります。平成九、十、十一、十二、Aランクになっております。  建設省本省の直轄工事だけを見ていたのではだめだ。日本道路公団などを徹底して調べ上げなければ、どこで若築のために便宜が図られているか本当のところは出てこないということを、この資料は示しているんじゃないでしょうか。  それで、時間ですから、最後の結論です。ぜひ道路公団についての発注状況、そしてランクアップの有無、その理由、この贈収賄とかかわりがあるのか、どういうからくりでこんな状況が生まれたのか、徹底して全容を明らかにして、また、建設省についても直轄だけじゃなくて補助事業もあるわけですから、全容を大臣の責任と権限で徹底的に洗い出して当委員会に報告していただきたいということを求めますが、御答弁願って、終わります。
  310. 扇千景

    ○扇国務大臣 今御説明いただきまして、資料をちょうだいいたしました。資料をちょうだいいたしまして、先ほど一番重要なところを見てくれという御説明をいただきまして、4が一番重要だ、私にぜひ見ろというお話で、私も拝見させていただきました。これは一九九五年、要するに平成七年から、七、八、九、十、十一と、五年間の資料を今私も拝見させていただきました。  建設省の方は過去五年間の資料しかございませんけれども、道路公団は過去七年間にわたる資料がございまして、私は、道路公団に関しましても資料を全部いただきまして、過去七年間の資料を拝見させていただきました。  先生からお出しいただきました4の五年間の資料、一九九五年の金額が少ないという二十三億円から、翌年は四十五億円に増加している、こういうふうに数字が出ております。けれども、これは規模が大きく、客観性の強い第一の、要するに一般競争入札の工事でございます。ですから、これは道路公団が細工してできるものではなくて、この四十五億円といいます先生のお出しいただいた資料の中の数字は、これは一般競争入札による受注が二十三億円から四十二億円に増加しているんです。ですから、金額は多くなっておりますけれども、御存じのとおり一般入札はすべて皆さん方に出していただいていますので、七億五千万以上はすべて一般競争入札になっておりますので、金額がふえたということは自助努力なんだろうということしか今の段階では申し上げられませんけれども、ぜひその辺のところは私も再度勉強してみますけれども、資料をいただいた段階では、今の4に関してはそれだけ御説明させていただいておきます。
  311. 木島日出夫

    ○木島委員 ですから、今すぐこれの理由を説明しろなんて、そんな乱暴な質問じゃないんです。こういうのがあるから徹底して外郭団体にも調査の手を広げて、当委員会に報告してもらいたい。そういう答弁がありましたから、終わります。
  312. 原田昇左右

    原田委員長 これにて木島君の質疑は終了いたしました。  次に、辻元清美君。
  313. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。  まず最初に、そごう問題から西村参考人にまずお聞きをしたいと思います。  日本興業銀行が東京地裁に水島前会長の預金六十億円凍結の仮処分申請をしていたということは事実でしょうか。
  314. 西村正雄

    ○西村参考人 事実でございます。
  315. 辻元清美

    辻元委員 私は、本日、水島前会長がこの場にいらっしゃらないということは非常に残念というか、国会は国民の代表ですので、水島さんが出てこられて御自身の言葉で経緯を説明するということがなされなかったことは、非常に怒りを感じると言わざるを得ないと思うんです。  そこで、西村参考人は、以前一緒に仕事をされてきた仲間とは申しませんが、カウンターパートナーであったわけですね。というお立場で、今回のこういう仮処分申請もされている中で、経済人のモラルという点から、この水島前会長についてどのようにお考えでしょうか。
  316. 西村正雄

    ○西村参考人 お答えいたします。  ただいまのカウンターパートというお言葉がございましたけれども、これはあくまでも銀行と取引先のトップとの関係ということでございます。決してカウンターパートということではありません。  特に、私がこの問題に関係いたしましたのは、九四年のそごうが業績が悪くなりまして銀行管理下に入ってからということでございますので、絶えず水島前会長に対しましては、再建計画、リストラ計画の完全な実施、それから経営体制の刷新ということを常々申し上げてきたわけでございます。  どういうふうに感じているかという御質問でございますけれども、率直に申しまして、水島前会長は、そごうの実際のオーナーであり、非常に求心力の強かった方でございます。仕事に関しましては非常に熱心な方でございまして、多分ゴルフはされなくて、休日も各店の食料品売り場まで足を運んで従業員と十分会話をされていたというようなことでございますので、組合員も含めて非常に信頼されていたということであります。  ただ、実際問題としては、オーナーでございまして、私どもは、その経営に対してはもっと近代的にすべきであるということを常々申してございましたけれども、それにつきましては、最後まで耳に入れていただけませんでした。
  317. 辻元清美

    辻元委員 一般国民は、そごう問題に関しまして、今単なる取引先の銀行というように興銀のことを見ていないと思います。やはりそういう金融にかかわる方々が、それぞれの会社が倒産した場合とか、社会現象になるわけですから、一体とは申しませんけれども、やはり国民の目から見た場合には、単なる取引先だったということでは済まされる問題ではないと思っているのです。私は、そういう認識でお聞きをしております。  さてそこで、そうしますと、西村参考人自身も、社会問題となりましたそごう問題の役者の一人といいますか、そういう役割を演じていらっしゃいますが、御自身としまして、このプロセスでの反省点、今後に生かさなければなりません。御自身の役割として、どういう反省点があるとお考えでしょうか。
  318. 西村正雄

    ○西村参考人 初めにちょっとお断り申しておきますけれども、いろいろそのように思われる面もあるわけでございます。といいますのは、水島前会長はもと興銀におられたものですから、興銀から派遣をしたというあれがあるのですけれども、それは全く違うわけですね。興銀とは縁が、おられたのは事実ですが……(辻元委員「さっきの御答弁でも伺っています」と呼ぶ)そうですね。ですから、そこのところはかなり、興銀から派遣された、だからというようなことでもって思われている面がございますが、違っております。  それで、今回の反省点ということで申し上げますと、それは一つは、私どもがメーンバンクであったことは事実でございます。それから、長銀さんが準メーンバンクであったわけでございまして、それで非常に多店舗展開をしたわけでございます。殊にバブルの時期に多店舗展開をしたわけでございまして、そのときに私どもも一店一店審査をして、それ自体としては、それはそれなりに有効なプロジェクトであるということはありましたけれども、やはりバブル時代の右肩上がりの経済というものを、あるいは土地神話というものを信じて、当時の融資あるいは審査の体制というものが甘くなったという点は反省点の第一でございます。  それから、もう一点の反省点というのは、先ほど申しましたように、銀行管理になった後に、私どもとしては精いっぱい、先ほど申しましたようなこの会社の一番の問題点というものは水島体制ということにあるわけでございますから、それを一刻も早く脱皮するようにということは何回も申し上げていたわけでございますけれども、それは結局できなかったということで、その点は確かに力不足であったということではあろうかと思いますけれども一つの銀行としての限界ではあったわけでございます。  その二点が反省点ということでございます。
  319. 辻元清美

    辻元委員 審査が甘かったという点を一点目におっしゃいました。私は、これはちょっと見過ごせない発言だと思うのです、今後の反省点としては。  そこで、ちょっと観点を変えますが、八城参考人にお答えいただきたいと思うのですけれども、先ほどから他の委員も、今回の新生銀行の社外役員報酬についての質問が出ておりました。そこで、それに関連いたしまして、一、二お聞きします。  まず、二〇〇〇年三月期に二人の外国人社外取締役が経営するコンサルタント会社二社に支払った五十億円程度のうち、二十一億円は買収したアメリカのリップルウッド・ホールディングスを中心とする欧米の投資組合の負担に切りかえると発表されましたね。どうして切りかえることになったか、経緯を説明してください。
  320. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  欧米の場合、欧米ではMアンドAという形で企業を買収したときに……(辻元委員「それはわかっているのですけれども、一回決めたのになぜ切りかえたかという点だけで結構です」と呼ぶ)そうでございますか。  それは、余りにも新生銀行に対するバッシングが始まって、将来の新生銀行の仕事に、現在も既にかなり影響しているという判断でございます。そういうリスクを、そういう一種のクライシスマネジメントと申しますか、そういうことで、これはそういう選択肢があるものですから、その投資家グループに支払いを要請した、そして合意を得ることができたということでございます。
  321. 辻元清美

    辻元委員 金融再生委員長にお聞きします。  この社外役員報酬について、金融再生委員会から見直しを促されたというように聞いておりますが、それは事実ですか。
  322. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 もともと、それは会社の経費の一部でありまして、直接私どもとしてどうということは……(辻元委員「事実かどうかだけを言っていただけますか」と呼ぶ)わかりました。  それは、私どもとして、新聞等で拝見しましたから、事情をお聞きいたしました。
  323. 辻元清美

    辻元委員 事情をお聞きしたと。どういう事情ですか。
  324. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 五十何億でしたか、その中身について伺いました。私ではございません、事務当局が伺いました。
  325. 辻元清美

    辻元委員 見直しを促したということはないわけですか。
  326. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 公的資金をつぎ込んでいる銀行でありますから、巨額の成功報酬というものはいかがであろうかというような意見を述べたかと思います。
  327. 辻元清美

    辻元委員 今の経過を伺っていますと、金融再生委員会からいかがなものかという話があり、金融再生委員会は、いかがなものかという見直しをお伝えになったのは、世論で問題になったからですか。
  328. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 会社からありました経費の中身につきまして、今言いました両社に対する報酬問題等についての詳しい説明といいますか内訳はなかったわけなんですね。でありますので、新聞等で承知をいたしましたので、その中身について話を承ったということであります。
  329. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、支払いの中身について話を承ったと。ということは、この二十一億円相当については、新生銀行が支払うに値しないという判断なんですね。
  330. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 冒頭に申し上げましたように、本来会社が責任を持って支出している金でありますから、それに対してどうこうということはありませんが、ただ、公的資金をつぎ込んでいる銀行でありますから、それに対して我々の方としてもそういう意見を申し述べるということは差し支えないと思っています。
  331. 辻元清美

    辻元委員 ちょっともう一度お伺いしますが、この中身について、そうしますと、これとこれとこれについては見直した方がいいのじゃないかというふうに細かく見られたのでしょうか。それとも、今批判があるから見直した方がいいよというのを受けて新生銀行の中で吟味されて、ではこれとこれとこれはやめておこうか、返してもらおうかというようにお決めになったのでしょうか。どちらでしょうか。八城さんで結構です。
  332. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  私どもの方は、このディスクロージャー誌、新生バンクの二〇〇〇年の年報に記載しています。それで……(辻元委員「いや、どちらかだけ言ってください。金融再生委員会が細かくこれとこれは見直した方がいいよとおっしゃったのか、そこだけで結構です」と呼ぶ)そうですか。  これは、私どもの方で検討しているときに、月曜日の朝でございますけれども、再生委員会から問い合わせがありました。そのときに私どもの結論を持って再生委員会と話をいたしました。そのときに再生委員会では、説明を求められ、かつ、これはどういうふうにするのかということを聞かれました。そのときに既に私は結論を持っていました。
  333. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、一たんは妥当性があるとお支払いになったものを、二十一億円については変えるという、決定変更をされたわけですね。その結論を持って再生委員会と話をされたということですが、そうしますと、妥当性はあるが、世論も受け入れられそうにないから一部は見直しておこうという結論ですか。
  334. 八城政基

    ○八城参考人 二つの理由があります。  一つは、この費用については、投資家グループが持つこともあるし、もう一つは、買収されました企業が持つというのが一般の慣行であります、これはアメリカの場合でありますけれども。どちらでもいいということになっています。  私は、最初の判断では、当然これは銀行が持ってもいいということで、取締役会に付与いたしましたが、その後、やはり問題がいろいろとある、なかなか理解されないだろうということで、みずからこれを投資家に対して交渉いたしました。そして、私の要請を受け入れてくれたという経緯でございます。
  335. 辻元清美

    辻元委員 今、投資家が持つ場合もあるし、買収された側が持つ場合もあるとおっしゃいましたけれども、朝から出ていますけれども、それを買収された側が持とうと決めていらっしゃったわけですよね。そこが私は納得できないですね。その他の残額についても、朝から海江田委員質問されていまして、まだ納得しておりませんが、午後か、失礼しました。納得しておりませんけれども、今のお話だと、新生銀行がいろいろな支払いなり契約をする際の基準というのが、一たん決めているけれども、突き進まれるんだったらいいですよ、情報開示をして、これはこういうふうにお金を使って、正当性があるんだと。情報公開もせずに、一部報道されてバッシングを受けたからまた方向転換をする。そしてその理由が、これは投資家が持つ場合もあれば、買収された側が持つ場合もある。そういう態度そのものが今問題にされているんじゃないですか。八城さん、どうですか。
  336. 八城政基

    ○八城参考人 物事には判断がございます。どちらでもとれるというときに、最初したことについて、これが世間に受け入れられがたいという判断をした結果、変えたということでございます。
  337. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、その他の部分も世間に受け入れられないんじゃないですか。もう一回再考されたらどうですか。
  338. 八城政基

    ○八城参考人 先ほど先生がおっしゃった、開示していないというようなニュアンスのお話がありましたが、これに全部書いてあります。したがって、その細かい内容については、先ほどの御質問にも答えましたが、開示は細かい内容についてはできないと。しかしながら、その中で言っていることは、例えば法律事務所であるとか会計事務所だとか、すべてやった仕事は我々の財産であり、これからの経営をする上で非常に重要であるということで、これは銀行が持っている財産でありますので、買い取りました。
  339. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、返却される二十一億円については、それほど大事でもないということですか。
  340. 八城政基

    ○八城参考人 お答えします。  二十六億九千万円は第三者への支払いであります。二十一億円は投資家グループへの支払いであります。これは投資家の代表したゼネラルパートナーが持っているコンサルティング会社に払うので、これは当然通常の慣行どおりにやったということでございます。しかし、これは投資家が持ってもいいと最終的に同意をしたので、彼らに持たせることにしたわけでございます。
  341. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、そのパンフレットに書いてあるとおっしゃいますけれども、今回の、一般の国民の視点と皆さん方が物事を決めていらっしゃる視点が随分ずれているように私は思うんですね。今そのまま進まれるんだったら、これは正しいんだ、何を言うかと言ってはねのければいいのに、バッシングがあったら、いや、いろいろ後で文句を言われたり、営業に差し支えたら困るというふうにして、この二十一億円のように方向転換されるという姿勢そのものがいかがなものかと申し上げているわけですよ。実際、そういう行動をおとりになったわけですよ、あなたが。あなたたちがとっているから、これは変更されたわけでしょう。  ですから、これから情報開示をして、今までの長銀の体質もそうだったんじゃないですか、文句を言われたらちょろちょろ情報を出して、情報を開示せずに進んできた体質と変わっていないというように、この一件を見ても、私は思うんですけれども、いかがですか。
  342. 八城政基

    ○八城参考人 お答えいたします。  私どもがこれだけ情報開示をしたのは、新生銀行、新しい銀行としてできる限り情報は開示したいという趣旨でしたのであって、すべての企業がその費用の内容を明らかにするということはないだろうと思います。そういう意味では、私どもは情報開示については非常に真剣に受けとめています。
  343. 辻元清美

    辻元委員 投資家が持つか、買収された側が持つか、どちらでもいいものも引き受けていらっしゃったわけですから、それも役員会に参加されていた方の会社でしょう。そこで決めたわけでしょう、この人たちに払うということを。  普通考えまして、それは別であるからとかおっしゃっても、そういう意味では、二十一億円を今回返されるという判断をされる、それはいろいろな世論もかんがみてということであれば、最初の時点からやはりそういうことは受け入れられる余地がないというように私は思っています。  さて、これはまた続きは改めてさせていただきたいと思うんです、ちょっと時間の関係で、他の問題もありますので。  一つは、ここからはそごう問題ではなく、警視庁から個人情報が漏えいした可能性がある問題についてというように移らせていただきます。  きょうはこれがメーンだったんですよ。ただ、先ほどのやりとりをしていて納得できなかったのです。ですから、そごう問題はまたやりますよ。水島さんには出てきてもらうように要求しましょうよ。  さて、この問題についてはきのうも報道されています。警察不祥事が続発して、これもモラルの問題ですね。七月十三日には警察刷新会議警察刷新に関する緊急提言が出されたやさきにまたこんな問題が出ていますが、田中長官、きょうはいらっしゃっていますか。  田中長官にお伺いしますが、警視庁内で調査中と聞いておりますが、いつ発覚したのか、いつから調査を開始したのか、どの部署で調査をしているのか、まずお答えください。
  344. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の、新聞あるいは週刊誌等で報道されておりますところの個人情報の漏えいに関する事案でございますけれども、御指摘の事案につきましては、実は、今年の六月の上旬に警視庁あてに匿名の投書がございました。警視庁におきましては、それ以来、監察部門が調査を開始しておるところでございます。  調査内容につきましては、犯歴と警察の保有いたします個人情報が漏えいされた事実があるかどうかという観点から、監察部門が関係者からの事情聴取等、事実関係を解明するための必要な調査を行っているというふうに警視庁から報告を受けております。
  345. 辻元清美

    辻元委員 参考人の方と再生委員会委員長は、お引き取りいただければ結構です。
  346. 原田昇左右

    原田委員長 この際、一言御礼申し上げます。  安齋参考人、西村参考人……(発言する者あり)
  347. 辻元清美

    辻元委員 まだまだありますよ。
  348. 原田昇左右

    原田委員長 参考人は結構だというふうにおっしゃったから。
  349. 辻元清美

    辻元委員 まだ別の質問者がいますよ。時間がもったいないから、委員長、やらせてください。
  350. 原田昇左右

    原田委員長 それでは、続行します。
  351. 辻元清美

    辻元委員 そうしましたら、長官にお聞きしますが、今回問題になっていますのは、皆さん御存じですか、きのう大きな新聞記事に出ました。キムタクとか浜崎あゆみと言ってもわからない方がいらっしゃるかもしれませんが、物すごく今、若者に影響力がある人たちの個人情報も漏れていたということで、大きな問題に発展しています。その件についてです。  それで、今回問題になっていますのは、株式会社東京シークレット調査会という興信所であると承知していますけれども、長官、いかがですか。
  352. 田中節夫

    田中政府参考人 今回報道されておりますところの会社は、東京シークレットサービスという御指摘の会社だと思います。
  353. 辻元清美

    辻元委員 これは元警察OBが設立した会社ですね、長官。
  354. 田中節夫

    田中政府参考人 先ほど東京シークレットサービスと申しましたけれども、正確には東京シークレット調査会という会社でございますが、この社長は、元警視庁の警察官でございました。
  355. 辻元清美

    辻元委員 堀内孝一という人物であるかと思いますが、この人物はいつからいつまで警視庁にいたのか、担当部署はどういう仕事をされていたのか、お答えいただけますか。
  356. 田中節夫

    田中政府参考人 この御指摘の東京シークレット調査会の社長、堀内孝一さんと申し上げますけれども、この方は、昭和五十一年に警視庁に採用されまして、主として地域部門あるいは捜査部門で勤務いたしまして、警察署の捜査係長をいたしておりました平成九年に警視庁を辞職しております。
  357. 辻元清美

    辻元委員 長官、辞職理由は何ですか。
  358. 田中節夫

    田中政府参考人 この堀内さんの辞職理由でございますけれども、これは本人からの辞職の申し出によりまして退職をしておるという報告を受けております。
  359. 辻元清美

    辻元委員 田中長官に引き続きお伺いしますが、私も今ここに、調査受注記録というものを入手しました。警視庁もこれをもとに調査されているのですか。いかがですか。
  360. 田中節夫

    田中政府参考人 警視庁におきまして、現在関係者からの事情聴取あるいはさまざまな関係資料の収集等を行っておるというふうに報告を受けておりますけれども、今委員指摘の、お示ししていただきましたその資料、それが入手しているかどうかを含めまして、どのような資料に基づいて、あるいはどのような資料を集めているかにつきましては、この場でお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  361. 辻元清美

    辻元委員 六月に資料が送られてきたというふうにおっしゃいましたよね。これは、今私が指摘しました東京シークレット調査会の中で、興信所ですね、どういうものをだれがいつどういう形で調べてほしいと依頼し、その中にはさらに、受注日、依頼の種別、依頼者、それから対象者、担当者、金額、備考という資料です。これは警視庁にも送られているはずですね。  この中で、特に担当者という欄がありまして、ここが警察関係者ではないかというように報道でも出ておりますし、この件を取材した記者にも私会っていろいろ聞いてきましたけれども、長官、今ここにそのときの文書もついております、この受注記録が送られた際の、警視庁に送られたと言われている文書も私も入手いたしましたけれども、これをもとにしているのか、していないのか、あるんですか、ないんですか、警視庁の中には。
  362. 田中節夫

    田中政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたけれども、大変恐縮でございますけれども、具体的にどのようなデータを警視庁が収集し、持っておるかにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
  363. 辻元清美

    辻元委員 それは、そうしますと、六月からどのような調査をされているのですか。
  364. 田中節夫

    田中政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、関係者から事情聴取、またさまざまな資料を収集しておるということでございます。
  365. 辻元清美

    辻元委員 これを見ますと、どういう項目の調査依頼が来ているか。免許、それから犯罪歴、電話番号、銀行のこれは口座ですね、外国人登録、風営法届け出、それからナンバーと出ているのですが、これは通常民間人が照会できない軽自動車も含んでいるようです。約百五十件の記録で、これは、特に犯罪歴については約八十人が調査依頼をして、調査をしております。  さて、そこで長官にお聞きしたいのですが、犯罪歴の管理はどのようにされているのか、犯罪歴というのはどこが管理しているのですか。
  366. 田中節夫

    田中政府参考人 個人の犯罪歴に関するところの資料でございますけれども、これは警察庁において一元的に管理しておるところでございます。
  367. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、警察以外のところから漏れるということはないわけですね。
  368. 田中節夫

    田中政府参考人 警察が保有しておりますところの犯罪歴につきましては警察庁で一元的に管理しておりますけれども、これは法務省においても、ある種の犯罪歴と申しますか、それにつきましては管理されているというふうに我々は承知をしておるところでございます。
  369. 辻元清美

    辻元委員 例えば、この受注記録を見ると、犯歴の調査というのを依頼している依頼主が、七月十三日に受け付けて、七月十四日に回答ということになっています。一日で結果が出ているんですね。これはどう見ても警察情報の内部から日常的に流出しているのではないか、一日で調べて通知しているわけですから。これの信憑性についても、これを取材した記者が、それぞれ、流出されて被害者に当たるわけですが、確認をしているわけです、いろいろな意味で。非常に信憑性が高いものなんですね。  となると、この一日で結果を出している、私は警察内部から個人情報が漏れているとしか考えられないと思いますけれども、その可能性は非常に高いと思うんですが、長官、いかがですか。
  370. 田中節夫

    田中政府参考人 冒頭に申し上げましたように、そういうことも含めて調査をしているということでございます。
  371. 辻元清美

    辻元委員 例えば、それ以外にも、先ほど申し上げました、今非常に注目されていますタレントや人気歌手の名前も出てくるわけです。  今、一方で、ストーカーの防止についての法案をつくったりしまして、その人が特定できるおうちや電話番号、個人情報を隠している人も含めて、ストーカー対策ということを国会でもやっておりますが、一方でこのように個人の住所や電話番号を、大体物すごく廉価で、一万円ぐらいで調べているわけですよ。そして通知しているわけですね。となると、特に有名無名を問わず、そういうことを調べてストーカー行為を働くというようなことの悪循環、これの一翼をこれが担っているという可能性は大だと思うんですね。  そうすると、一方で警視庁ではストーカー対策と言っていますね。しかし、一方で情報が漏えいしているというような、厳しい認識で調査してもらわなきゃ困るんですが、長官、いかがですか。
  372. 田中節夫

    田中政府参考人 今御指摘のように、犯罪経歴等の個人情報の管理というのは、これは厳正を期してやらなければいけないことは当然でございます。したがいまして、今お話しのように、一方ではストーカー行為等の防止につきまして、国会でも大変な御議論をいただきまして、こうやって法律もつくっていただきました。その適正な運用を図っていくのも警察の使命でございます。  そういうことから考えましても、警察に対する信頼を失いかねないようなデータの漏えいというものがありました場合には、これは大変な問題だというふうに私どもは認識しておるところでございます。
  373. 辻元清美

    辻元委員 それでは、法務省にお伺いしたいんですけれども担当の方で結構ですが、警察官などが個人情報を漏えいさせた場合、どのような罰則がありますか。
  374. 古田佑紀

    古田政府参考人 一般論で申し上げますと、地方公務員につきましては、その職務上知り得た秘密に対しまして守秘義務が課せられております。これに違反した場合には、罰則が設けられております。
  375. 辻元清美

    辻元委員 具体的な内容をお願いいたします。
  376. 古田佑紀

    古田政府参考人 地方公務員につきましては、まず地方公務員法第三十四条第一項で「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。」という禁止規定が置かれてございまして、これに違反した者は、同法六十条で「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」ということになっております。
  377. 辻元清美

    辻元委員 軽いでしょう。「一年以下の懲役又は三万円以下の罰金」ですよ。長官、こういう罰則ですね、今のところ現行法では。これで、警察の内部で、特にこの間個人情報の漏えいというのはひどいものがあります。長官御承知のとおりです。個人情報関係については、これは罰則もちょっと考えざるを得ないんじゃないかと私は考えていますけれども。  関連で、法務大臣もいらしていただいていますが、きょうの新聞です。「受刑者リスト流出」。名古屋の刑務所から千九百人分の受刑者のリストが安易に漏えいしていたというような状況もある中で、法務大臣いらっしゃいますか、これは刑罰も軽いし、今回のこの漏えい事件も、これは法務省の管轄だと私は思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
  378. 保岡興治

    ○保岡国務大臣 秘密漏えいに対する罪は、国家公務員法あるいは地方公務員法、今刑事局長からお話ししたようにございますが、その他にも、入手した情報を管理する規制がいろいろあって、それに違反した場合の処罰が決まっている法律がたくさんあります。  したがって、国家公務員、地方公務員の場合も、行政機関の保有する情報の公開に関する法律、いわゆる情報公開法ですね、この適用除外の情報を漏らした場合、個人情報のみならず、こういった秘匿すべき情報一般について罰則をどうするかという関連もありますし、また、それぞれの法律に基づいて、罪質や他の刑とのバランスあるいはその被害の程度、内容などを総合的に考えて決めていかなきゃならないので、一概にここで私から軽いというようなことは言える立場ではないということを御了解いただきたいと思います。(辻元委員「受刑者リストの流出は、これは法務省ですよ」と呼ぶ)
  379. 原田昇左右

    原田委員長 もう一つ、受刑者リストの流出について、それちょっと答えてください。受刑者リストの問題。
  380. 保岡興治

    ○保岡国務大臣 名古屋の刑務所から、受刑者に関する個人情報というのですか、受刑者に関する情報が漏えいしたということについては、非常に重大に受けとめております。したがって、今いろいろ、この流出した情報に関する資料がどういうふうに管理されていたか、保管されていたか、あるいはどういう経緯で流出したか、あるいはまた、施設においてどういうふうにチェックしていたかなどを含めて徹底的に調査をするようにいたしております。二度とこういうことがないように、厳正に対応してまいりたいと思います。
  381. 辻元清美

    辻元委員 徹底的にしていただきたいと思います。  田中長官、引き続きまして。  興信所というのは、警察のOBが経営されている場合が随分多いと聞きます。今問題になっております興信所のパンフレットを取り寄せますと、弊社は刑事警察の第一線で活躍し、刑事、民事に精通した警視庁OBグループが活躍すると書いてあったり、すべての特殊調査は事件現場で実際に活躍した元警視庁刑事の調査員がいたしますというのをうたい文句にしているわけですよ。興信所と警察OB、今回も警察OBがいるから、現役警察官とかつてのつながりがありますね、そこから情報が漏えいしているという可能性が随分強いのではないでしょうか。ですから、長官にお聞きしたいのは、興信所について、警察官のOBが働いていることをどういうふうに把握されているのかというのが一点。  それから、一番最初は週刊プレイボーイという雑誌で報道されたところからこれは端を発しているのですが、この記者に聞きますと、取材最中に古賀一馬という元警視庁巡査部長から、記事を取りやめろというような電話が入っているわけです。というように、これはどう考えても一体化して個人情報で商売しておるとしか考えられないわけですが、長官、その点が一点。  そしてもう一点は、盗聴に対する依頼も来ています。これは百万円程度で請け負っているようですけれども。八月十五日から通信傍受法案、盗聴法案が施行と聞いておりますが、こういう状況の中で次から次に出てくるわけですよ。私たちも、各党こぞって、衆議院に明日この通信傍受法案、盗聴法の廃止という法案を提出いたしますけれども、私はこういう中で施行するというのはいかがなものかと強く思いますが、その二点についてどうですか。
  382. 田中節夫

    田中政府参考人 御質問の興信所につきまして警察のOBが出資をしている状況がある、それについてどう思うかというお話でございますけれども……(辻元委員「いや、把握しているかどうかです」と呼ぶ)興信所そのものにつきましては、私どもは直接把握するすべは持ちません。例えば許認可とか、そういう対象ではございませんので、これは把握してございませんし、また、今回問題になりました堀内孝一さんがこの会社を経営するに至った経緯も、我々としては全く把握していないところでございます。  それから、取材中に警視庁の警察官が、この雑誌社に対しまして、具体的な、行為をしたといいますか、取材の掲載の取りやめについて依頼をしたようなお話がございました。それにつきましては、私ども事情を把握しておりませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。  それから、通信傍受法の施行のお話がございました。これは大変国会でも御議論がございましたけれども、私どもは組織犯罪に対決するためにはぜひともこの法律が必要であるというようなことで、お願いし、成立を見たわけでございます。ただ、この法律の運用につきましては、厳に公正な運用がなされるよう努力してまいりたい、かように考えているところでございます。
  383. 辻元清美

    辻元委員 調査の結果はまた改めてお知らせいただくようにお願いして、時間が参りましたので、終わりたいと思います。
  384. 原田昇左右

    原田委員長 これにて辻元君の質疑は終了いたしました。  次に、山本幸三君。
  385. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 21世紀クラブの山本幸三です。きのうに引き続いて御質問したいと思います。  まず最初に、八城参考人と再生委員長にお伺いしたいのですが、新生銀行、そごう問題に絡んで一番問題になっている瑕疵担保特約の問題があります。  これはいろいろ議論が行われてきたわけでありますけれども、契約もされちゃっているわけです。これはいろいろな見方がありますが、どうしても、やりようによってはつぶしてしまった方が新生銀行は得をするというふうに世間から見られるわけですね。第一ホテルにしろライフにしろ、そういうことも巷間言われちゃってしまっている。私は、このことは余り新生銀行御自身にとっても好ましいことじゃないんじゃないかというふうに思っています。もともと、私個人としても、こういう処理をするときには通常のリスクは当然買い取る銀行は負うべきだという主張をしておりまして、その意味で瑕疵担保条項は問題がある。  日本の銀行はやはりたくさんリスクのある債権を抱えて苦吟しているわけですね。そういうときに、リスクがゼロという状況にあるというのが批判される対象になるので、これは契約されちゃって、どうするかというのは難しいところがあるのですが、これからそういうリスクは、日本の銀行と比べてみたらより軽い方だから、もう自分のところで負担しましょう、自主的にそういう買い取り請求はやらない、そういうつもりはございませんか、八城社長。
  386. 八城政基

    ○八城参考人 瑕疵担保条項は、長い間の交渉の結果、政府側から提起をされたものでありまして、実はそれ以外にも、これは聞くところでありますけれども、複数の買い手の中からは、引当金をもっとふやして、多額の引当金が欲しいというところもあったように伺っております。もしもこの瑕疵担保条項がなければ買収はしなかったと思います。  したがって、今後の運用でありますけれども、先ほどもほかの先生の御質問にお答えいたしましたが、瑕疵担保条項のもとで解除権が成立しても直ちに行使するということは全く考えておりません。既に行使した件は一件だけでありまして、そごうだけであります。それ以外に既に成立しているものはたくさんございます。これは、やはり我々としても、銀行として協力をしながら再建に協力をしたいと考えているケースが多々ございます。  以上でございます。
  387. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 私は、八城社長を大変尊敬しているんですが、ぜひそういう御努力お願いしたいと思います。  金融再生委員長、そういう八城社長の御意見も踏まえて、次の問題が出てきているわけですね。  今、契約が一カ月延びているんですが、これについては、やはり通常のリスクというのは当然買い取る銀行はとるべきじゃないかという観点から、そういう瑕疵担保条項のついた契約はやめて、もしそれで買い取り先が嫌だと言うんだったら、最終的に整理回収銀行で処理するというようなことのお考えはございませんか。
  388. 相沢英之

    ○相沢国務大臣 こういうような売買をいたします際に、御承知のように、ロスシェアリングの方式もありましょうし、引当金を積み増すという方式もありますが、いろいろ検討した結果、やはり瑕疵担保特約をつけて売るのが一番いいのではないかという判断でそうしたわけであります。  これは、そういう処分をするときに当然のことで、費用最小の原則という考え方があります。引当金を積むということになりますと、その他の買い取り候補については、相当巨額な、瑕疵担保条項つきでの引当金の倍を要求するというようなこともありますし、ロスシェアリングに関しましては、これは住専には規定がありましたが、今度の再生法にはございません。なぜなかったかということについては問題がありますが、そういうことでありますから、民法五百七十条、それから商法五百二十七条でしたか、その瑕疵担保条項の規定を援用いたしまして特約を付したということでありまして、これは既に契約の中身になっていることでありますけれども、これが一番よかったんじゃないかというふうに私も思っております。
  389. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 それでは、八城参考人、金融再生委員長、結構でございます。ありがとうございました。  それでは、日銀総裁に引き続き金融政策についてお伺いします。できればちょっと近くに、時間がないものですから、来ていただければありがたいんですが。  きのうの議論で大変重要な問題が明らかになりました。それは、総理の考えている経済政策の方針と日銀総裁方針が違うということです。総理は、日本経済は必ずしも景気回復の軌道に乗ったという見方を私はしていない、非常に微妙な段階だ、したがって、こういう大事なときこそやはり景気を本格的に回復するという基本的なスタンスをとっていきたいと言っています。つまり、今はまだ微妙な段階であるから、景気回復にそごを来すような政策はとるべきでないと、はっきりと経済政策の指針として述べられました。それに対して日銀総裁は、今や経済情勢は回復傾向が明らかになってきている、したがって、ゼロ金利解除の条件はもう整ったという判断をしているという発言をされました。  私は、これは非常に大きな問題があると思っています。なぜならば、日本銀行法第四条に、日本銀行の政策というのは政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるように努めなければいかぬと書いてある。これに反する。このことが私は金融政策の運営上非常に問題があるというように思います。  そこで、ではどうしてそういう判断をするんだという日銀総裁のロジックを私なりに分析してみますと、総裁は、要するにデフレ懸念の払拭が展望できる状況になったという判断をする理由は、これはその定義ということで説明されたんですが、物価の低下があったとしても、技術革新とか流通の合理化、そういうものによって起こったものはデフレ的なものとは言えない、そういうものはあってもいいんだ、あってもデフレ懸念の払拭を展望する状況だと判断できるんだという考え方を示された。  それからもう一つは、ゼロ金利を解除しても、これは引き締めじゃないんだ、したがって心配する必要はありませんよという趣旨の発言をされました。これは全く私には理解できません。  それからもう一つは、不確実な状況がある、不確実なときにはむしろ金利を上げていっても、つまり金融緩和の程度を微調整するという言い方なんですが、要するに金利を上げていっても健全な経済発展に資するんだというロジックを展開されました。  私は、こうしたロジックはすべて日銀の勝手な思い込み、勝手なロジックじゃないかというふうに思います。  まず第一に、技術革新とか流通合理化によるものだったら物価が下がってもいい、本当にそうか。私は、それは状況によって違うと思います。  今は好況にあって、アメリカみたいに好況で、これからむしろインフレが過熱するかもしれないという状況のときには確かにそういうものが非常にいいでしょう。しかし、逆に不況のときにそういうことが起こった場合に、物価というのは不断にそういうことが起こって、競争によって下がるという圧力が働いているわけですね。それが不況のときにあったらどうなるかというと、何が起こるかというと、供給曲線が下がるわけでしょう。供給曲線が下がって、そして企業は競争にさらされて、負ける企業はどんどんつぶれていきますよ。失業率は上がりますよ。(発言する者あり)ちょっと、わかったから。今は技術革新と流通合理化によって起こる物価下落のことを言っているんだから。  それで、そうなるとまさに不況の縮小均衡が始まる。もう総裁はよく御存じのように、フィリップス曲線というのがあって、物価と失業率は関係していますよね。物価が下がれば失業率がどんどん上がりますよ。したがって、総裁のおっしゃるのは、この不況下においてまだまだどんどん失業者をふやしてもいい、あるいは企業をどんどん倒産させてもいいと言っているように私には聞こえます。これは問題だ。  それから、ゼロ金利を解除しても引き締めじゃない、そんな議論は聞いたためしがない。世界の中央銀行総裁で、金利を上げてこれが引き締めじゃないなんと言う中央銀行総裁がいたら教えてほしい。  だって、ゼロ金利を解除するということは、金利を、〇・何%にするかは微調整という定義次第だと言うかもしれませんが、少なくともゼロから〇・二五ぐらいに上げるということでしょう。そうすると何が起こるかといったら、すべての金利に波及して上がっていきますよ。預金金利も上がるかもしれないけれども、同時に有利子負債、企業の貸付金利が上がって企業は困難に陥る。これこそまさにデフレを起こすというような政策じゃないですか。  個人消費がよくなるかという議論は……(発言する者あり)答えられたらやりますけれどもね。個人の預金が上がったら個人消費が上がる、そんなことないんです。そんなものは、所得の中で個人の利子所得というのは四・三%しかないんです。雇用所得は七四%なんです。だから、これはもう圧倒的に関係ない。  それから、インフレリスク、何か心配しているんだけれども日本経済は、どこに今そんなことを心配する必要があるんですか。先行き不確実なときには金利を上げた方がいいというように言えるけれども、逆じゃないですか。今金利を上げるというような、総理が言っているようにこの微妙な段階に金利を上げるというようなことをやろうとする動きがあるからこそ不確実な状況がどんどん高まっている。日銀の姿勢が不確実な状況を高めているんじゃないですか。  以上のことから、まとめてお答えいただきたいと思いますが、まず第一、総理の経済政策の方針と違うということについてどう考えられるか。第二、不況下において技術革新とか流通の効率化によって価格が下がることは問題ないと言うけれども、不況下においては、私は、それはデフレのもとにおけるデフレ政策になる、問題だと思うけれども、いかがですか。第三番目に、要するに、ゼロ金利を解除して金利を上げるということは実体経済にいい影響を与えるということを我々がはっきり示さなきゃ、そんなことをやっちゃいけないんですよ。どこがよくなるんですか。さっきおっしゃったように、利子所得が上がって個人消費がふえるということを証明するんですか。それから第四番目に、日本経済のどこにインフレリスク、そういうものがあると言うんですか。  この四つについてお答えをいただきたい。
  390. 速水優

    速水参考人 時間がございませんので、なるたけ簡単にさせていただきます。  まず第一に、政府と、総理と考え方針が違うんじゃないか、日銀法の三条と四条の関係のことをおっしゃいました。  四条は、おっしゃるように、「政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない。」と書いてございます。三条には、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。」とも書いてございます。新日銀法では、政府との密接な意思疎通を図りながら、日本銀行の責任と判断において金融政策の決定を行うように求められております。  今後とも、この法律の趣旨を踏まえて、毎回の金融政策決定会合におきましては、金融情勢を十分に検討した上で適切な政策判断に努めてまいりたいと思います。今、情勢判断等につきまして政府と見方が違っているということはほとんどないというふうに思っております。  それから、第二の御質問にございました物価の問題でございますが、これはやはり、新しい構造改革あるいは技術革新、流通合理化あるいは規制の緩和、撤廃というようなことが行われまして、最近では、こうしたものによる物価の低下というのがかなり進んでいるように思います。  これは、こうした動きが同時に経済活動の活発化とか企業収益の増加をもたらしておりますし、その限りでは、物価と景気との悪循環といったようなものにつながるものではないと思っております。  こうしたことを踏まえまして、日本銀行では、複数の物価指数の動きとか、それらを取り巻く経済環境などを丹念に点検しまして、安定的な経済発展と整合的な物価の安定とが持続しているかどうかということを常によく見て判断していくように努めております。  それから、三つ目の、引き締めではないかというお話でございますが、私どもが昨年の二月以来ゼロ金利政策をとってまいりまして、その目的は、金融面から景気をサポートするということにあったわけでございます。  景気の現状を昨年の初めごろと比較しますと、回復傾向が明確になっております中で、企業収益が大きく改善してきております。このような景気回復の状況に応じて金利水準が微調整されても、金融が大幅に緩和され、したがって景気をサポートする役割を果たすという状況には変わりはないと思います。金融政策を決定する政策委員会においては、金融が緩和された状態を維持して、これを通じて景気をサポートするという考え方が大勢の判断でございます。  先生御記憶と思いますけれども、御参考までに、九四年の二月にアメリカが利上げを行いました際は、FFレートをまず三%から三・二五%に引き上げております、オフィシャル・ディスカウント・レートはさわらないでですね。そのときにFRBは、FOMCでグリーンスパンが、ア・レス・アコモデーティブ、金融緩和を弱めるんだ、こういう表現を使って、最初の引き上げをやっております。これなどは私ども考え方が共通するものだというふうに申し上げていいかというふうに思っております。  あと、インフレリスクということでございますが、確かに、現在インフレの兆候は明確に見えているわけではございません。しかしながら、経済の回復傾向が明確化しているもとで、ゼロ金利政策という極端な金融緩和政策を続けますと、いずれ、経済、物価情勢の大きな変動をもたらしたり、より急激な金利調整が必要となるというようなリスクが増大すると思います。経済の改善状況を確認しながら金融緩和の程度を微調整することが、長い目で見て健全な経済発展に資するものと考えている次第でございます。皆がわかってから手を出したのでは手おくれになるということでございます。
  391. 山本幸三

    ○山本(幸)委員 総理の方針を、全く違わないと勝手に解釈されている、これは大変問題だと思いますし、そのほかも日銀独自の勝手なロジック、思い込み以外の何物でもないと思います。私には全く説得的ではありません。アメリカはマネタリーベースも含めてマネーサプライが十分に伸びているのですから、そういうことと全く違います。  しかし、時間が来ましたので、本当は二時間ぐらいやりたいのですけれども、終わります。
  392. 原田昇左右

    原田委員長 これにて山本君の質疑は終了いたしました。  この際、申し上げます。  国会法第百十九条は、「各議院において、無礼の言を用い、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」と規定しております。この趣旨を理解し、議院の品位を汚し、議院の権威を失墜させることがないよう、昨日の亀井静香議員に関する発言にかんがみ、本委員会における発言には十分注意願います。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十七分散会