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武正委員 さまざまな形で通信インフラ整備を行っていこうというような御決意を承りました。また、けさの新聞では、これは自民党さんの方でしょうか、建設国債から非公共部門、この
IT関連もというようなことも出ておりましたので、そういった方向性が徐々に出されているのかなと。ただ、
民主党とすれば、やはり財政再建、財政構造改革ということは堅持をしているわけですので、その分、ほかの公共部門が逆に減っていくべきであろう。
ITは必要だけれども、むだな公共
事業はやはり
指摘をせざるを得ない。これは当
委員会のまた所管ではありませんが
指摘をして、次に移りたいと思います。
さて、生産性の向上を図る上で
ITがかぎになるということであります。ただ、
ITの
推進は、どなたも言われるように失業がふえる、いわゆるアウトソーシング、中間管理
機能が不要となるためにということと、それから
ITに必要な人材が実は不足している、本当に必要な人材が融通されていないという意味では、雇用の流動化こそ進めるべきだ、この二つの
観点が言われるわけであります。
資本の効率的な利用を促すために、資本と労働は相互に補完的な関係にあります。当然、働く人々の仕事の
内容も同時に変えていくようなことが予想されますが、これまでの工業社会を前提とした人づくりから、教育の
内容を変えていこうということでありますね。これは
沖縄憲章でもうたわれていることなんですが、教育制度もカリキュラムの
内容も新しい
IT社会に対応したものに変えていかなければならないということであります。
こういった一般的なこともさることながら、きょうは、労働と
技術の複雑な現実を
一つ指摘をさせていただいて、御所見を
伺いたいと思います。
それは、システム開発ということでありまして、これは例えば
NTTさんから
NTTデータ通信、そこから大中小の
ソフトウエアハウスという流れで、段階的にシステム開発の仕事が受注されているケースがよく見られるんですね。
例えば
NTTデータ通信にシステム開発全体を依頼すると、データ通信はプロパーの社員だけでは大規模システム開発を仕上げる労働力を持ち合わせていないために、下請の上場クラスの
ソフトウエアハウス数社に切り分けて仕事を発注します。
NTTデータ通信と直接取引ができる会社はそう多くありませんので、信用上、過去の取引実績やコネクションなどが必要となるためでありますが、仕事を受注した上場クラスの
ソフトウエアハウスは、さらに仕事を細分化して、中規模の
ソフトウエアハウスに下請に出します。同様に、中規模の
ソフトウエアハウスは、小規模
ソフトウエアハウスに仕事を分配します。このように段階的にどんどんと仕事が切り分けられていく。
そうすると、小規模の
ソフトウエアハウスは一番厳しい
状況にあるわけなんですが、システム開発の一番下流工程であるために、端末を使ったコーディングという人海戦術を一番末端では繰り広げる、それで徐々にその仕事を上に上げていくような形なんですね。人海戦術がとられているわけです。
ですから、小規模の
ソフトウエアハウスは、人材を抱えることができずに、システム開発者をレンタルするなど、苦しいやりくりをしているのが
現状であります。そこで、人材派遣会社に対して可能な限りプログラマーを派遣するよう要請し、人材が来るのを待ち続けるという
状況が蔓延しておりまして、まさしく人材の自転車操業が
ITの下部構造を支配しているわけです。
また、小規模
ソフトウエアの
最後のとりでというべき人材派遣会社は、
ソフトウエアハウスと労働者派遣契約を結びますが、時間労働者の派遣という大前提がありまして、つまり何時から何時まで労働者を現場に派遣しますけれども、生産性には責任は持ちません、あるいは成果物が上がるか上がらないかも責任は負いかねますというようなことが実態でございます。
しかし、
ソフトウエアハウスは成果物に対する責任を負っていますからトラブルが生じることもあると聞きますし、また、日進月歩で進む
技術開発の中で、エンジニアの
政府認定国家資格、これは
情報処理
技術者ですから通産省の所管にはなるんですが、こういった資格が事実上今権威を失っているといった問題とも絡んでおります。
まず、こういった実態を御存じかどうかということを
一つお
伺いするとともに、きょうお
伺いしたいのは、システム開発におけるこうした段階的な下請構造というものが実は
IT化をおくらせる現実的な要因というふうに
考えられるのですが、
IT戦略本部の副
本部長として御所見をお
伺いしたいということが二つ目。
それから三つ目なんですが、大ざっぱに言うと、エンジニアの給料が上から百万円、八十万円、六十万円、四十万円、二十万円という格差でどんどんなってきまして、実際に派遣エンジニアは、
NTTデータ通信という固有会社名を挙げるとあれなんですが、一緒に働いているそれぞれの方の給与を知っていますから、どっちかというと貴重なエンジニアが自分の仕事に、立場に疑問を持って開発現場から離れていくようなことが起こっていまして、現場はますます猫の手も借りたいような
状況なんですね。これはまた労働省の守備範囲かもしれませんが。
人が
技術を支えて、その積み重ねが
ITをつくっているわけですので、この人という問題は非常に大きいということでありまして、こういった構造的な問題についてどのような御所見をお持ちか、副
本部長としてお
伺いをしたいと思います。