○佐藤(謙)
委員 実はそのとおりの問題なんですね。ですから、普通の
大臣であれば、これは
国会が決めることとぽんと突っぱねてしまうところなんですけれども、今いろいろと
大臣が御自身のお気持ちをお伝えいただいたことは、大変ありがたいと思っています。恐らく
大臣の
立場で、こういう質問に対して、私も
国会承認が必要だと思いますなんということは到底言えることとは思わない。だけれども、やはりそこに至る
過程のいろいろな思いだとか葛藤だとかをこうやって御披瀝していただいたというのは、私は非常にうれしいことだと思っております。
どうかこれから、つかさつかさという言葉、私はもう
国会審議で嫌というほど聞かされて、ぞっとする言葉なんですけれども、やはりそれを超えた
川口大臣になっていただきたいというふうに考えております。
それで、時間が余りなくなってまいりましたので、次に、遺伝子組み換え作物について一つ質問をさせていただきたいと思います。
これは、
日本が余りにも国家戦略といいますか、哲学というものがないなと
国民の多くが感じている問題なんですけれども、さきのサミットでも、この遺伝子組み換え問題は三十分ぐらい激しい
議論があったけれども、森総理はとうとう一言も発言をされなかったという大変寂しい事態があるわけです。
私は、今WTOと、それから、ことしの一月に生物多様性条約のカルタヘナ
議定書のあのそれぞれのやりとりに、激しいアメリカとヨーロッパの戦略というもののぶつかり合いを見て、背筋が凍るような思いでずっとその
交渉を見守ってきました。
例えば、この問題については、予防原則をとるEUと、この食品が人体あるいは
生態系に影響があるならそれを証明しろというWTOの土俵に乗ったアメリカの戦略とが激しくぶつかってきているわけです。どうも
日本は、こうしたメッセージというのか、そういうものがなかなか伝わってこない。それはそのはずで、どうしていいかわからないわけですから。
私は、これから二十一
世紀の
日本というのは、予防原則というのは非常に大きなキーワードになろう。この予防原則という、おかしいと思ったら立ちどまるという姿勢が、私は、
環境庁が
環境省に昇格したときの一つの背骨になるべきである、そういうふうに考えているわけでありますが、一例を挙げると、
環境ホルモンのカンザス牛をめぐるアメリカとEUの闘い、これは結局、WTOに提訴されてアメリカが勝ったわけですけれども、それにもかかわらず、EUは課徴金を払ってでもそのカンザス牛の輸入を拒否している、そういう強固な意志のようなものをこれから私は
川口大臣に随所でお見せいただければ、そういうふうに考えるわけです。
時間がないので一点だけ。遺伝子組み換え作物については、害虫抵抗性を持たせているわけですが、その遺伝子組み換え作物には毒素たんぱく質をつくる遺伝子が組み込まれているわけですね。実は、この毒素たんぱく質は、哺乳類には影響がないと今言われているわけですけれども、標的とされている害虫以外の昆虫に影響を与えて、絶滅のおそれのある貴重な生物に対する脅威となる、そういうことが指摘されて、去年の五月にネーチャー誌で発表された論文が瞬く間に
世界各国を駆けめぐって、今や輸出国であるアメリカも作付面積を二割減じなければいけないという事態にまでなっているわけであります。
こうした数多くの危険性のある遺伝子組み換え作物に対する
我が国の安全性確保のための
対策は、今は法律による規制ではなくてガイドラインによっているわけですけれども、今後、法律によった規制というものを
検討する用意があるんだろうか。これは
環境庁の問題だけではもちろんありませんから、
大臣の所管としてのお考えを超えてお答えをいただきたい。
また、生きている改変された生物、つまりLMOの国境を越えた移動等に係る、先ほど申し上げましたカルタヘナ
議定書の批准に向けて
国内措置の
整備がどういうふうになっているのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。