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2000-08-04 第149回国会 衆議院 運輸委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日平成十二年七月二十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 赤城 徳彦君    理事 木村 隆秀君 理事 菅  義偉君    理事 橘 康太郎君 理事 中馬 弘毅君    理事 高木 義明君 理事 玉置 一弥君    理事 赤羽 一嘉君 理事 工藤堅太郎君       奥山 茂彦君    実川 幸夫君       林田  彪君    保利 耕輔君       堀内 光雄君    松宮  勲君       御法川英文君    望月 義夫君       米田 建三君    渡辺 具能君       赤松 広隆君    奥田  建君       今田 保典君    永井 英慈君       伴野  豊君    前原 誠司君       高木 陽介君    大幡 基夫君       日森 文尋君    森田 健作君       二階 俊博君 平成十二年八月四日(金曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 赤城 徳彦君    理事 木村 隆秀君 理事 菅  義偉君    理事 橘 康太郎君 理事 中馬 弘毅君    理事 高木 義明君 理事 玉置 一弥君    理事 赤羽 一嘉君 理事 工藤堅太郎君       奥山 茂彦君    実川 幸夫君       林田  彪君    保利 耕輔君       堀内 光雄君    松宮  勲君       御法川英文君    望月 義夫君       米田 建三君    渡辺 具能君       赤松 広隆君    奥田  建君       今田 保典君    永井 英慈君       伴野  豊君    前原 誠司君       高木 陽介君    大幡 基夫君       日森 文尋君    森田 健作君     …………………………………    運輸大臣         森田  一君    運輸政務次官       泉  信也君    運輸政務次官       実川 幸夫君    政府参考人    (運輸大臣官房長)    小幡 政人君    政府参考人    (運輸省運輸政策局長)  岩村  敬君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省自動車交通局長) 縄野 克彦君    政府参考人    (運輸省航空局長)    深谷 憲一君    運輸委員会専門員     長尾 正和君     ————————————— 八月四日  ペースメーカー装着者公共交通機関による移動の自由の保障に関する請願(玉置一弥君紹介)(第一〇七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  航空に関する件  観光に関する件     午前十時三分開議      ————◇—————
  2. 赤城徳彦

    赤城委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため  陸運に関する事項  海運に関する事項  航空に関する事項  港湾に関する事項  海上保安に関する事項  観光に関する事項  気象に関する事項 について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 赤城徳彦

    赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。      ————◇—————
  4. 赤城徳彦

    赤城委員長 陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、運輸大臣から、運輸行政基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。森田運輸大臣
  5. 森田一

    森田国務大臣 第百四十九回国会に臨み、当面の交通運輸行政の諸課題に関し所信を述べ、赤城委員長を初め委員各位の御理解と御支援を賜りたく思います。  最近の我が国経済は、厳しい状況をなお脱しておりませんが、緩やかな改善が続いており、自律的回復に向けた動きが徐々に強まっております。今後は、一日も早く我が国経済自律的回復軌道に乗せることを目指して、二十一世紀の新たな発展基盤となる経済社会構築を図る必要があります。  運輸省といたしましても、来るべき国土交通省への再編を見据えつつ、二十一世紀発展基盤となる陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と、安全の確保基本とした安定的で質の高い交通運輸サービス提供を図ることを通じて、日本経済新生に積極的に貢献してまいります。  まず、交通運輸分野においては、安全の確保を図ることが第一の課題であり、運輸省が一丸となって事故防止最大限努力を払ってまいりたいと考えております。さきの地下鉄日比谷線事故につきましても、事故調査検討会検討結果を踏まえ、一層の原因究明を図るとともに再発防止に万全を期してまいる所存であります。また、三宅島など伊豆諸島の火山・地震活動につきましては、関係省庁と密接な連携を図りつつ、観測監視、緊急時の対応に万全を期してまいります。  一方、新内閣の最重要課題であります日本新生につきましては、二十一世紀の新たな発展基盤を築くIT革命推進環境問題への対応高齢化対応都市基盤整備の四分野中心に、具体的な政策展開を図るため、最大限努力を払う所存であります。  このうち、IT革命推進につきましては、交通分野情報化が、安全性向上都市交通円滑化物流円滑化効率化のために欠かすことができないものであるため、高度道路交通システム、ITSを活用した自動車交通安全性向上や、総合交通情報提供システム活用した都市交通円滑化等施策を積極的に進めてまいります。また、IT技術活用した行政サービス向上を図るため、許認可等オンライン化セキュリティー対策などを進めて電子政府実現を図ってまいります。  環境問題への対応につきましては、環境に優しい交通運輸実現を図るため、自動車交通グリーン化次世代技術活用による海上輸送新生、国際的な協調のもとでの地球環境観測体制の強化といった施策を通じて、地球環境及び都市環境改善を図るとともに、静脈物流システム構築使用済み自動車のリサイクルなどによって循環型経済社会構築推進してまいります。  高齢化対応につきましては、高齢者障害者などの移動制約者公共交通機関を安全で、かつ、身体的負担の少ない方法で利用できるよう、鉄道駅におけるエレベーター、エスカレーターの設置、ノンステップバスの導入の促進など、公共交通機関バリアフリー化推進してまいります。  都市基盤整備につきましては、都市交通利便性向上等を図るため、都市鉄道整備、低床式路面電車システム、LRTの整備バス利用促進施策推進などを通じて公共交通機関整備改善推進してまいります。また、混雑箇所の解消や公共交通機関への転換を通じて自動車交通量が適切に調整され、道路混雑改善されるよう取り組んでまいります。  また、これらとともに、都市交流基盤である整備新幹線大都市圏拠点空港、中枢・中核国際港湾等の二十一世紀に向けた国家プロジェクト推進新幹線在来線直通運転を可能とするフリーゲージトレーン、超大型浮体式海洋構造物メガフロートといった新技術の開発及び実用化推進訪日外国人の倍増に向けた施策等観光振興への取り組みなど、二十一世紀の新たな発展基盤となる経済社会構築に向け、全力努力してまいります。  以上申し述べましたとおり、運輸行政をめぐる課題は山積しておりますが、国民行政に対する信頼確保しつつ、全力を挙げてこれらの課題の解決に取り組んでまいる所存でございます。しかしながら、これらは申すまでもなく、委員各位の深い御理解と御協力を必要とする問題ばかりであります。終わりに当たりまして、委員各位に、重ねて御支援をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)     —————————————
  6. 赤城徳彦

    赤城委員長 この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として運輸大臣官房長小幡政人君、運輸省運輸政策局長岩村敬君、鉄道局長安富正文君、自動車交通局長縄野克彦君及び航空局長深谷憲一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 赤城徳彦

    赤城委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  8. 赤城徳彦

    赤城委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅義偉君。
  9. 菅義偉

    ○菅(義)委員 自由民主党の菅であります。早速質問をいたします。  ただいま大臣より所信表明があったわけでありますけれども、まさに来年には国土交通省再編をされるわけであります。そういう中で、陸海空という交通利用者のすべての統括をする責任者として、その安全確保を第一にしながら、運輸行政、山積する課題に対処していきたい、そういう決意でありましたけれども、どうぞ大臣の御活躍を心から御期待申し上げる次第であります。  基本的な問題について何点かお尋ねをしてまいりたいと思いますが、まず最初JR完全民営化についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  国鉄民営分割というのは、まさに我が国戦後の行政改革の中で最大の事業であった。そして、現在のJR各社経営状況あるいはそのサービス、そうしたものを考えるときに、国民の多くの皆さんが、この行政改革というのは大成功であった、そういう評価を与えているということは、私が申し上げるまでもないと思うんですね。  そこで、いよいよこの国鉄民営分割JR完全民営、そこまで私はこぎつけてきていると思いますが、このJR完全民営化についての大臣基本的なお考え方をまず最初お尋ねしたいと思います。
  10. 森田一

    森田国務大臣 JR東日本JR西日本JR東海、この本州三社につきましては、一九八七年の国鉄改革以降、各社サービス水準向上事業運営改善に努めてこられて、経営も順調に推移していると思います。これに比べて、JR四国、JR九州、JR北海道、JR貨物は非常に厳しい状況でございます。  また、国鉄改革の大きな課題であった二十八兆円に及ぶ長期債務処理について、一九九八年の国会でその処理方策が決着したところであり、JR完全民営化国鉄改革の中に残された大きな課題であると認識しております。そして、この完全民営化については、数次にわたりいろいろな機会確認をされておるところでございます。  運輸省といたしましては、できるだけ早期完全民営化実現していくことを方針としているところであり、自分としても、このような方針にのっとり、鋭意環境改善に努めてまいりたい、このように思っております。
  11. 菅義偉

    ○菅(義)委員 ただいまの大臣基本的な考え方、よくわかりました。  前の二階運輸大臣は、ことしの通常国会完全民営化のための法案を提出したい、そういう強い意欲を持って取り組んでこられました。記者会見でも何回か述べられております。しかし、衆議院解散とか、いろいろな環境の中で今日まで至っておるわけであります。  この法案提出の時期、次の臨時国会が、九月下旬とか中旬とか言っていますけれども、そういう中で始まろうとしております。そういう中で、時期について大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
  12. 森田一

    森田国務大臣 この問題につきましては、前大臣から引き継ぎを受けておるわけでございまして、前大臣からの取り組みの中で、鉄道ネットワーク維持JR会社地域社会に及ぼす影響安全性確保など、完全民営化に当たって検討すべき課題が浮き彫りになっているところでございます。  本件は、国鉄改革という大問題の取りまとめをどうするかという、国民も重大な関心を持って注目している問題であると認識をいたしております。  運輸省としては、できるだけ早期完全民営化実現することを方針として、以上申し上げましたような諸問題を含めて環境整備に努めてまいる所存でありますが、いずれにいたしましても、私の代に決断をいたしたい、このように思っておるわけでございます。
  13. 菅義偉

    ○菅(義)委員 非常に微妙な御答弁でありましたけれども、私は、環境というものはもう完全に整っていると思います。できるだけ早い機会ということを大臣もおっしゃいましたけれども、私は、やはり今度の臨時国会にこの法案を自信を持って提出すべきじゃないか、こう思いますけれども、いかがですか。
  14. 森田一

    森田国務大臣 この問題につきましては、今ちょうど検討中でございまして、本州三社のうちのJR東海などは全部引き延ばすべきであるというような主張をされておるわけでございます。まだ意見を聞いたわけではございませんが、仄聞するところによると、そういう主張でございます。そして、JR東日本、西日本との間で完全民営化についての意見が違っておるというような状況でございます。  そして、完全民営化に当たりましては、鉄道ネットワーク維持JR会社地域社会に及ぼす影響安全性確保などについても、JR東海の言うように問題があることは事実でございます。そのことは十分に承知しております。  しかし、運輸省としては、できるだけ早期完全民営化実現していくという方針でございまして、これらの意見を踏まえてJR三社から近く公式に会ってその意見を聞きたい、このように思っておるところでございます。
  15. 菅義偉

    ○菅(義)委員 今大臣が述べられましたように、確かにこの本州三社、この民営化に関して足並みが必ずしもそろっていない、そういうことを私も承知をいたしております。そういう状況の中で、例えば、三社がそろわなければできないのか、あるいは民営化を望んでいる、環境がそろったところは先にやるのか、そういう問題も出てくると思いますけれども、この点については大臣どのような御見解でしょうか。
  16. 森田一

    森田国務大臣 私は、就任のときの記者会見で、できるだけ三社の意見をそろえたいというふうなことを申し上げたわけでございますが、ただいまの立場は少し違いまして、そろえるかどうかも含めて検討しなきゃいかぬ、積極的に検討しなきゃいかぬ、このような立場でございます。
  17. 菅義偉

    ○菅(義)委員 私がこれにこだわっていますのは、来年からはいよいよ国土交通省になるわけですよね。運輸省皆様方がこれは大変な努力をされて、あと一歩までこぎつけてきておるわけでありますから、できれば今世紀中に森田大臣のもとで総仕上げをしてほしい、私は実はそういう気持ちが強いのであります。  それと同時に、これからやはり、さまざまな特殊法人民営化というものも国民皆様は強い期待を持っていると私は思います。そういう中で、国鉄改革、そのまさに成功例として完全民営化というものを早い機会に仕上げていくのがやはり私どもの仕事ではないかなというふうに思います。  この点について、もう一度大臣決意を伺いたいと思います。
  18. 森田一

    森田国務大臣 国鉄完全民営化に対しては、古くは昭和六十年、国鉄再建監理委員会意見として、経営基盤確立等条件が整い次第、逐次株を放出して、できる限り早期に純民営化に移行するということが意見として表明されております。  それから、同じく六十年に、国鉄改革のための基本方針についても、やはり同様の趣旨で、できる限り早期に純民間会社とするとされております。  平成七年の閣議決定におきましては、特殊法人整理合理化について、できる限り早期に純民間会社とするということがうたわれております。  平成十年の閣議決定におきましても、日本国有鉄道清算事業団の解散に伴う日本鉄道建設公団による特例業務の実施及び職員の再就職についてというところでも、株式の処分については市場の動向を踏まえつつ適切に実施すると。  このように再三の意見が出されておるところでございまして、これらを踏まえて早期民営化に対する取り組みをしていきたい、このように思っております。
  19. 菅義偉

    ○菅(義)委員 大臣の御英断を強く御期待申し上げます。  次に、八月一日に答申がありました運輸政策審議会、この中で、初めて線路とか駅というものを公費で整備しよう、いわゆる上下分離方式、このことが提唱をされました。  昨今の経済情勢を考えるときに、やはりこの方針というのは極めて評価されるべきものであると思いますし、多くの住民が待ち望んでいる鉄道整備というものは、これで拍車がかかるのではないかなと私は思いますが、この方式についての基本的な見解をお伺いしたいと思います。
  20. 実川幸夫

    実川政務次官 今、菅議員お話がございましたように、八月一日に運政審答申がございました。その中の一つ鉄道整備でございますし、特に都市鉄道整備水準を明らかにするとともに、新たな整備支援方策として出てまいりましたのが、今指摘されました上下分離方式でございます。急速な高齢化社会の到来あるいはまた地球環境問題の顕在化等経済社会情勢の変化の中で、新世紀におきます中長期的な鉄道整備基本方針、これがしっかりと明示されております。  特に今御指摘がございました上下分離方式でございますけれども、これは鉄道施設整備主体、また運行主体を分離いたしまして、鉄道整備公的主体が関与する方式でございます。これまでの方式では政策的に重要な整備が進まない場合には、この方式により運行主体が過重な資本費負担から解放される等、今後の鉄道整備を進める上で大変真剣に検討すべき方式一つだというふうに思っております。  運輸省としましても、この答申で示された貴重な提言でもございますので、来年度予算に向けまして積極的に反映しながら、また二十一世紀におきます鉄道整備を着実に進めるためにもさらに推進をしていきたい、このように思っております。
  21. 菅義偉

    ○菅(義)委員 今、実川政務次官からお話を伺ったわけでありますけれども政務次官千葉県でも、この方式によって整備推進するところがかなりあると思いますし、今まで答申をされた路線、特に都市部路線については、この方式でなければなかなか整備が進まないのではないかなというふうに実は思っておりますので、私は、この運政審答申というものを高く評価すると同時に、ぜひこのことを積極的に活用して、既存の今まで発表されている路線整備というものを行っていただきたい、このことを強く要望させていただきたいと思います。  次に、空港問題についてお尋ねをいたします。  いわゆる首都圏の第三空港でありますけれども、九六年から二〇〇二年の間に首都圏に第三空港整備する、そういうことが既に決まっているわけでありますけれども、現在どんな状況になっているのか、お尋ねをしたいと思います。
  22. 泉信也

    泉政務次官 委員初め諸先生のお力添えによりまして、羽田、いわゆる東京国際空港沖合展開が順調に進んでおるところでございまして、首都圏航空需要に対して、ここを中心対応していくということを考えてまいっております。  しかし、航空需要が格段に増加をしておる中でございますので、いわゆる首都圏の第三空港というものを現実のプログラムにのせなければならない時期が目前に迫っておる、こういう認識を持っておるところでございます。
  23. 菅義偉

    ○菅(義)委員 この首都圏第三空港については、今までもいろいろな議論がされてきました。しかし、いまだに具体的なことというのは一つも明らかにされていないわけでありまして、今総括政務次官から、その必要性についてはありましたけれども、私は、もう時期的に最終判断をしなければならない、そういう時期に来ているのではないかなというふうに実は思いますが、これについてはどうですか。
  24. 泉信也

    泉政務次官 私どもの方も、十二年度、今年度から調査費をいただきまして、学識経験者あるいは地方自治体、その他関係者の御意見を承りまして、複数の候補地を挙げて具体化取り組みたい、こういう準備を今しておるところでございまして、委員の御意向も十分体してこれから懸命に取り組ませていただきたい、このように思っておるところでございます。
  25. 菅義偉

    ○菅(義)委員 一つだけ確認をしておきたいのでありますが、東京都が、羽田沖、これの再沖合展開というものを実は調査するということも発表しています。首都圏第三空港千葉だとか東京もそうでしょう、私ども神奈川もそうです。いろいろなところで候補地が出ていますけれども、この羽田の再沖合展開、これはその候補地の中に入るのかどうか、その点についてはどうですか。
  26. 泉信也

    泉政務次官 現在のところ、まだ白紙でございますが、羽田のさらなる沖合展開について、大変可能性があるのではないかという関係者からの御意見もあることを私ども承知いたしておりますので、一つの重要な候補地として今後検討させていただきたい、こんなふうに思っております。
  27. 菅義偉

    ○菅(義)委員 非常に景気低迷の中でも、いわゆる航空需要だけは伸びているのですね。特に海外と比べると、国内の航空需要というのは非常に少ない。特にアジアはおくれているわけでありますから、そういう中で、将来的にも極めて大事なことであると思いますので、私はぜひ早急に、余り延ばさないで結論を出して御努力をしていただきたいというふうに思います。  羽田空港国際化についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  今日まで工事費、約一兆五千億ですか、羽田空港に投入している。そういう中で、さまざまな条件があろうかと思いますけれども、これだけの事業費を投入して、さらに海外から三十三カ国ですか、乗り入れ希望国がある。そういう中で、羽田のあいている時間を、深夜から早朝にかけて使わないのはやはりおかしいだろう、こういう声が大きいということも皆さん承知かと思います。  実川政務次官がいて非常に言いにくい話でありますけれども千葉県の成田空港等の今日までの歴史、そういう中でも、やはり私は共存というものも可能ではないかなというふうに思いますが、羽田国際化についての御見解を伺います。
  28. 泉信也

    泉政務次官 羽田基本的な役割というものは、運輸省としましては依然として守ってまいりたい、このように思っておるところでございます。  しかし、深夜あるいは早朝という時間帯をもっと活用できないか、せっかくの国民の財産の羽田空港をもっと多面的に使えないかという委員指摘のような意見もあるわけでございまして、航空局長を座長といたします羽田空港有効活用検討委員会というものを設けまして、各方面の意見も踏まえ、また、今省内で議論をさせていただいておるところでございます。  しかし、私どもとしましては、羽田空港基本的な機能というものは、従来のものを守りながら多面的な利用を考えるというこの立場でしばらくいかせていただきたいと思っておるところでございます。
  29. 菅義偉

    ○菅(義)委員 ぜひ千葉県の皆様方のさまざまな環境整備することに、当局も、また私ども政治家もこれは努力をしますので、そういう環境を整えながら、やはりアジア周辺の国は羽田、長距離は成田、そういう形で国際化をし、共存できるようなことになりますように、強く要望をいたしまして、質問を終わります。
  30. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、高木義明君。
  31. 高木義明

    高木(義)委員 民主党の高木義明でございます。  新しく大臣に御就任されましたこの委員会におきまして、時間の限りがありますから、所信の中から絞って、関空の地盤沈下の問題、また整備新幹線に臨む姿勢についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  今まさに我が国時代的要請の中で、財政の再建あるいは景気の立て直し、こういう命題の中、そして同時に、公共事業について、その評価をしっかりとしていく、より効率化をしていく、また公共事業信頼性を高めていくということが、何よりも大事な政治的な課題であろうと私は思います。特に最近でも、公共事業の抜本的な見直しがうたわれておりますけれども、その一環として、私はどうしても最近の看過できないいわゆる具体的な事例、まさに関西国際空港の不等沈下の問題、これに触れざるを得ません。  既に御承知のとおり、この関空の空港島は、水深が十八メートル、それから約三十三メートルの高さまで埋め立てた、土砂の量が約一億七千八百万立方メートル、こういう規模でございます。私は、我が国空港整備、そしてさらなる空港ニーズにこたえるために、関西国際空港にはさらなる期待をしておるわけであります。特に現在、国内二十七都市、毎日七十三便、世界は三十カ国の七十一都市、毎週六百六十便。国内と世界を結んで、まさに二十四時間空港、重要な役割を果たしておるわけです。  ところが、去る三月十六日の関空会社の調査では、従来からの予測を超す地盤沈下が起こっておる。この七月の報道でも明らかになっておりますが、旅客ターミナルビル本館から延びる南北の両ウイング、それから本館周辺の建物群、また貯油タンク付近等々で、不等沈下の影響が大きく響いておると言われております。傾きが大き過ぎて、ジャッキアップの限界を超えた柱も出てきておる。建物には計約千百本の柱があると言われておりまして、南北両ウイングでは、ボルトの余裕が三十センチしかないところで四十センチの段差が生じて、ボルトの応急的な継ぎ足し工事を施しておる。一九九四年の開港から一年半で、建物の北端と南端で約二十五センチの段差が生じた。当初の二十センチから七十センチまで持ち上げるようにボルトでやりましたけれども、九七年には、それぞれ許容範囲の二十センチを大きく超えたため、ボルトを七十センチまで継ぎ足した。既に約五十センチまで柱を持ち上げておる。こういうことが言われております。  まさに、これは空港安全性にかかわる問題でありますし、また信頼性にかかわる問題であります。したがって、この状況をしっかりと把握してきちっとした対応をしなければ、先ほど申し上げましたように、空港整備公共事業信頼性が揺るぐのではないか、私はこういう思いを持っておりますので、まず、この点についてどのように把握をして点検されたのか、その辺を示していただきたい。
  32. 森田一

    森田国務大臣 まず第一に、関西国際空港というのは、そもそも地価が上昇しておるときに計画されたものでございまして、しかも、成田の反省に立ってつくろうとしたものでございまして、あのような反対があったのではうまくいかないということで、沖合五キロの大水深に建設された海上埋立空港でございます。したがいまして、当初から、地盤沈下ということは想定して、必要な調査検討を行い、最新技術を駆使してきたところではございます。  これは何といっても世界にも前例のない工事でございまして、一九九〇年における地盤沈下の見通しや、今回の地下水対策につきましては、高木先生のおっしゃるように、完全な予測を行うことが困難であったわけでございます。これが公共事業信頼性を損なうということになったら大変でございますが、しかし、やむを得ない面も十分にあったということを御理解いただきたいと思うわけでございます。  これからは、空港島の地盤沈下や不同沈下に対する監視を継続的に行うことによりまして、空港機能に支障が生じないようにしっかりとやってまいりたい、このように思っております。そのような方向で関空会社を十分に指導してまいりたい、このように思っております。
  33. 高木義明

    高木(義)委員 この不等沈下は、まさに地盤沈下です。そのために、まさに人工島の地表と海面の距離が当然小さくなるわけですから、地下水も比較して相対的に上がってくる。このことによって、空港ビルの地下構造、あるいは貯油タンク、こういったところに新たな応力がかかって、高波が護岸を越えたり、あるいは空港施設に多大な被害を及ぼす、こういうことになるだろうと私は思うのです。  したがって、今言われました実情を踏まえて、これをどのようにとめていこうとしておるのか。また、この事業は当初一兆円から始まったのですが、たびたび事業費を見直しております。一体幾らぐらい今回の対策によって事業費がかかるのか、この点についてお聞きをしておきます。
  34. 深谷憲一

    深谷政府参考人 御説明を申し上げます。  関空の地盤沈下につきましては、もともとあそこが沖合五キロの場所で、水深十八メートルという深いところでございます。地盤も軟弱な地域ということで、なかなか自然条件の厳しいところということでございました。当初からかなり相当な沈下が発生するということは見込んでおったわけでございますけれども、先生御指摘のように、そういう関係で、例えば旅客ターミナルビル等につきましての不同沈下対策として、建物の柱の部分にジャッキアップシステムを取りつけて建物の勾配を修正するというふうな仕組みをとっておるところでございます。  御指摘のジャッキアップシステムの点につきましては、ジャッキアップシステムのボルトが不足するような場合にはボルトの継ぎ足しというふうなことで対応可能な構造をとってきております。従来からそういった対応をしてきておりますので、今後の不同沈下対策に対しても十分それで対応していけるものというふうに考えております。  それから、これまでのいろいろな事業費お尋ねをいただきましたけれども、関西空港の第一期の建設事業費、これは当初、一九八四年二月の関係閣僚会議におきましては約一兆円ということで了承をいただいたところでございますが、その後、一九八七年度、昭和六十二年度予算編成時におきまして、それを精査いたしまして、一兆六百七十六億円というふうな数字が出たわけです。  一九九一年度、平成三年度でございますが、その予算編成におきまして、事業費を見直すこととなりました。それは、沈下予測の見直しに伴う土量の増大あるいは旅客ターミナルビルの規模増加等の旅客サービスレベルの維持向上というふうなことで見直しをしまして、事業費は一兆四千三百億円ということになりました。  その後も、一九九三年度、平成五年度でございますが、補正予算から、一九九五年度、平成七年度の予算編成までの期間に、駐車場でございますとか複合管理棟の整備、こういうことを追加いたしまして、事業費は一兆四千五百八十億円となったところでございます。  現在におきましては、開港後の需要動向に対応したエプロンの増設等、既存施設の能力増強、こういったことで、二〇〇〇年度、平成十二年度までに予定しております出資対象事業費は一兆五千二百四十三億円ということになっております。  また、補足でございますけれども、先ほど先生の御指摘の止水壁の関係でございますが、いわゆる旅客ターミナルビル周辺地区あるいは給油タンク地区、ここにおいて局所的に予想以上の不同沈下の発生等が判明したということで、早急に地下水位を低下させるための対策が必要となったということで、その関係の事業費は二百七十億円を見込んでおりますけれども、これは既定の総事業費の中で対応をするというふうな考え方で現在おります。
  35. 高木義明

    高木(義)委員 今話がありましたように、当初この事業は一兆円と見込まれておったのですが、昭和六十一年の十二月時点で一兆六百七十六億、平成二年十二月の時点で一兆四千三百億、平成六年十二月の時点で一兆四千五百八十二億。そして、今回こういう状況になりますから、当然また増嵩していくわけですね。  これは、一体どこまで果てしなくつながっていくんだろうか。国民は、どんどんどんどん際限なく地盤沈下に対してこういう後追い工事をやっていく、これでは納得できませんわね。やはり全く見通しが甘かったんじゃないか、予測が甘かったんじゃないか。  もともと十八メートルという深いところに、しかもこの海底は、厚さ約二十メートルの粘土層から成る沖積層と、その下に、粘土と砂れきが交互に堆積をする洪積層が四百メートル以上続いておる。もちろんボーリングは岩盤まではいっていないのですけれども、造成後三カ月で沖積層が約六メートル、約五十年間に洪積層が約五・五メートル沈んだ後、沈下は終息するであろう、こういう見込みがあったわけです。  これから当然そういう沈下の防止の工事をやるのでしょうけれども、まず、一体原因をどう見ておるのか。原因をはっきりつかまないと、これは際限なくこういう後追い工事をやって、地盤沈下によって空港機能そのものに影響が出てくる、私はこのように思います。  原因はどこにあるんですか。原因は何があると思っているんですか。その辺をちょっと……。
  36. 森田一

    森田国務大臣 確かに、関西空港の旅客ターミナルビル周辺地区と給油タンク地区におきましては、空港島の透水性が非常に高くて、予想しておった以上に島内の地下水位が高くなったことは事実でございます。また、両地区において局所的な不同沈下が発生したことも事実でございます。  しかし、これらに対応して、今後は後年度における費用負担削減に留意しつつ、所要の対策を講じてまいりたいと思っております。
  37. 高木義明

    高木(義)委員 着工当時、これは六十二年の一月ですけれども、関空会社が沈下データの解析結果と対応策を発表いたしております。  五十年後の予測沈下量を当初の八メートルから十一・五メートルに修正、埋立土砂量を一億六千六百万立方メートルから一億八千三百万立方メートルにふやすことが必要だと判断をした。最終的には一億七千八百万立方メートルになっておると聞き及んでおります。  これを見ても、確かに、埋め立てという工法を使って、それは物差しではかるようなことにはならぬと私は十分承知しながらも、当時からこの問題については大きな懸念が抱かれておった。  例えば、これは私の先輩でございます、昭和五十五年三月七日、本院の運輸委員会におきまして、当時の民社党の岡田正勝先生がこの問題について指摘をしておるのです。  どういう質問かといいますと、この空港に対して、埋め立てに際し行うボーリングは浅いもので百メートル、深いもので二百メートル、岩盤へ到達しない途中でなぜやめたのか、岩盤にきちっとボーリングを打ち込むべきじゃないかという質問。  これに対して運輸当局からは、専門用語が入りますが、地耐力を示すN値が三十から五十あれば相当の構築物に耐えられる、百メーターから二百メーターの深層ボーリングでそれが確認された、ポートアイランドでもそれほどやっていない、ボーリングは岩盤まで届かなければならないということではない、こういうことを答えるのです。  これに対して岡田議員は、海底の地層が不等沈下を起こすことがない、いわゆる平たんなものじゃないんだ、海底というのは非常に入り組んでおる、そういうことを指摘しております。  さらに、埋め立てに際して運輸省から調査研究を委託された京都大学の赤井浩一教授が当時の講演で、関西国際空港の人工島は多くの疑問が残っておる、まさに豆腐の上に金塊を載っけたようなもの、こういう発言をしておることも当時指摘しておるのです。  また、同じサンドドレーン工法ででき上がった米国のボストン空港、十年ごとに改良工事をしなければ維持できない、こういった事例も取り上げた。  また、我が国の、近いところで兵庫県の尼崎市。火力発電所が地下水をくみ上げたことによって海に沈んだと言われる尼崎市の大谷重工の例を挙げて、自然を侮ってはならないと警鐘を鳴らしておるんです。そういう議論もきちっとなされておる。  ところで、昭和五十八年、関西新空港土質研究委員会が、これは先ほど述べた赤井浩一教授が委員長ですが、運輸省に提出した報告書で、さまざまなモデルを設定し、最小九メートル弱から最大十三メートルの沈下を想定していた。大阪湾の洪積層には厚さ一メートルに満たない砂の層がおびただしく挟まっており、沈下の予測値にもかなりの幅があった。  そういう中で、関空会社は、事業費を抑制するためでしょう、その配慮は理解するところもありますが、下限に近い八メートルの沈下を想定して埋め立てを始めたんです。このことは後に、阪神・淡路大震災のときに、ポートアイランドでもそうですからいいですよと当局が示した、そのポートアイランドがこの大震災によって液状化現象を起こして地盤沈下があった。これはもう事実ですね。  こういうことがあっておるのに、この関西国際空港の地盤の問題について予見できなかったということはないと私は思うんだ。こういう見通しの甘さが今出てきたのではないか、私はそのように思います。このことについて、大臣、御所見、どうでしょう。
  38. 森田一

    森田国務大臣 先ほど申し上げましたように、高木先生の御指摘を聞きながら痛感いたしますのは、関西国際空港というのは成田空港の反省に立ったわけでございますが、ある意味ではそれが若干行き過ぎまして、非常に深いところにつくるということになったわけでございます。そして、予測をしておったわけでございますが、旅客ターミナル周辺地区とか給油タンク地区においては、予測よりも透水性が高くて、予想以上に地下水位が高くなってしまったというようなことでございます。  このようなことから、これから対処してまいらなきゃならぬわけでございますが、細部につきましては航空局長の方から答弁させていただきます。
  39. 深谷憲一

    深谷政府参考人 補足説明をさせていただきます。  関西国際空港の位置につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、そういった場所を選定いたしましたけれども、いろいろな技術的な観点を検討いたしまして、沖積層、洪積層を含めて、一期事業につきましては、そういった地盤沈下の予測を含めて地盤改良工事を行うことによって、地下のそれぞれの層の水を抜くことによって地盤が固まり、開港後十年あるいは開港後五十年、そういったタームでは沈下が収れんするというふうな予測のもとに事業を実施させていただいたものでございます。  また、二期事業を現在進めておりますけれども、こういった一期事業につきましての貴重な経験を、当然のことでございますが、生かしながら、他の事例の調査研究、あるいは新しい技術導入のための調査研究等に最大限努めながら、二期事業を円滑に推進していきたいというふうな観点で考えてございます。
  40. 高木義明

    高木(義)委員 関空については、私は、今経営状況も厳しいというのを承知いたしております。この経営問題については、きょうは会社もおりませんし、これは時間がありませんから、また後日に回したいと思いますが、特にこういう公共事業についての観点から私はお尋ねをしておるわけです。  一期工事に際して、昭和五十五年九月一日、もちろんこれは航空審議会で工法について審議をして答申したんです。当時、関空の空港島の埋め立てについてはかなり大きな懸念があり、問題もありました。だから、当然、その対案として浮体工法というものがあったんです。浮体工法にするか埋立工法にするか、相当な議論があったことを私は聞いております。結果的に航空審議会は、建設技術空港機能、経済性、環境に与える影響環境に与える影響は私は浮体空港がよっぽどいいと思うんだけれども、地元経済社会に対する貢献度、工期等の見地から総合的に判断をし、経験豊富な埋立工法によることが適当とした、こういうことがあるんです。  今考えてみると、本当にこの判断が正しかったのか。こういう経過を見て。昔のことを言っても始まりません。したがって、今からどうするのか。二期工事は既に進んでおります。今後、羽田空港にいたしましても、これは、程度さえ違え、沖合展開事業をやって、現在のターミナルビルにも改良工事が行われております。これは地盤沈下もあっております。これからは、さらにこれを拡充していこうとしておる。  今、既に中部国際空港は着工が始まった。そして今後は、神戸空港等も一つのプロジェクトとしてある。この問題を、私はしっかり今検討し直す必要があるのではないか。だから、こういった空港整備のための埋め立て等については、浮体工法も重要なテーマとして見直す必要がある。したがって、航空審議会を開いて、関空の現状を把握した上でもう一回新たな議論をするお気持ちはありませんか。そういう諮問をするお気持ちはありませんか。
  41. 森田一

    森田国務大臣 私が運輸大臣になって事務当局にいたした最初質問が、まさにメガフロートの大型のものができないかどうかということでございました。ジャンボが着陸できるようなメガフロートができないかどうかということでございました。  私は、一九九八年度から、メガフロート技術研究組合において一キロメートルの浮体空港モデルが横須賀沖に設置されておるということを知っておりました。そして、飛行機の飛行実験を行う等の調査研究が今進んでおるというわけでございまして、近く私はここを見に行くわけでございますが、航空局におきましても、一九九八年度から二〇〇〇年度の三カ年計画で、メガフロートの空港利用の可能性についていろいろな面からの調査を実施中でございます。  しかし、事務当局の私の質問に対する答えは、具体的な空港計画におけるメガフロートの適用につきましては、現在実施中のまさに研究開発の動向等を見た上で、建設コスト等も考えて決めなきゃいかぬ問題であって、大臣のおっしゃるように、すぐにジャンボが飛べるようなメガフロートをつくるというわけにはいかないんですというのが、事務当局の答えでございました。  しかし、大規模な空港を建設するということになりましたら、建設工法も含めて、必要に応じて航空審議会の意見を聞くことになるわけでございまして、高木先生のお勧めに従って、このような航空審議会の意見を聞いてまいりたい、このように思っております。
  42. 高木義明

    高木(義)委員 ぜひ関空の現場も視察をされ、そしてメガフロートも視察をしていただきたい。そして、これは既に二十年、こういう議論の中で今日があるわけでして、まさに研究の段階から、今実用化の段階にあるんです。この実用化というのは、むしろ政策誘導によって実用化をしなければ、研究ばかりしておっても、民間企業がそんな研究ばかりしておったら採算に合いませんから。これは、大変苦しいんですよ。だから、まさに実用化というのは、こういう事例もありますから、その辺もひとつぜひ肝に銘じていただきたいと思います。決意を。
  43. 森田一

    森田国務大臣 私も高木先生と全く同じことを考えて、運輸大臣に就任しての第一の質問をしたわけでございまして、今後ともそのようなことを十分に念頭に置いてやってまいりたい、このように思っております。
  44. 高木義明

    高木(義)委員 時間も限られておりますので、あと一点の問題。  これは整備新幹線についての対応について、所信でも明らかにされておりますが、大臣は、二十一世紀に向けたこの国家プロジェクト推進努力をする、こういう話がありました。既にこの整備新幹線の問題は、昭和四十八年に整備計画が策定されて以来、もう二十五年、四半世紀以上過ぎるわけですね。これがこのまま、そういうやるかやらぬかで毎年政争の中で漂っておるわけですが、まさに政治決断以外ないのだ。もちろん財源は必要です。  そういう意味で、この四半世紀の中で大きく変わったのは、もちろん財政状況あるいは世の中の社会構造が変わりました。同時に、鉄道技術も変わってきたのだ、フリーゲージトレーンという研究開発も大きく進んでまいりました。  したがって、例えば長崎ルートは、もうフル規格ではなくてスーパー特急でいいんだ、まさにこのフリーゲージトレーンを使ってできる限り早期に着工してほしい。長崎ルートの場合は、今日まで御承知のとおり、収支採算性が確保されておる、建設費当たりの時間短縮効果が大きい、これはJRも認めておりますように、沿線人口も比較的多くて距離も短いものですから投資効果は高い、こういうことは前から言われておるのですけれども、なかなか全体的な形で進んでいかない。  したがって、こういうフリーゲージトレーンというものの技術ももう確立をしておるのですから、こういうものをどんどん使っていく、このことがまさに効率的な公共投資、二十一世紀に対して国土の均衡ある発展、そして交通体系の確立という意味では私は大切なことだろうと思っております。  この点について、大臣決意認識をお伺いしておきます。
  45. 森田一

    森田国務大臣 これまた、私の就任のときに地元に帰りましたときの第一の質問がフリーゲージトレーンでございます。四国の方もフリーゲージトレーンの導入の可能性があるということで、大変な関心を寄せておることでございます。  ただ、今後の整備新幹線整備につきましては、本年四月に政府・与党整備新幹線検討委員会というのが設置されておりまして、ここで検討されることになっております。したがって、そこで安定的な財源の確保や収支採算性やJRの同意等の基本的な条件確認などをすることについて基本的な検討がなされておるわけでございまして、私の一存でどうこうというわけになかなかいかないわけでございます。  この検討委員会における検討結果に従いまして、適切に対処してまいりたい、このように思っております。
  46. 高木義明

    高木(義)委員 時間が来ましたから、これで終わります。ありがとうございました。
  47. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、今田保典君。
  48. 今田保典

    今田委員 民主党の今田保典でございます。  きょうは、せんだっての通常国会で成立いたしました道路運送法の改正について、幾つかの重要なポイントについて御質問したい、このように考えております。  その前に、一点だけお尋ねしたいわけでありますが、実は皆さん御案内のように、中尾栄一元建設大臣、あのようなことで大変残念に思っております。その中尾栄一前建設大臣と絡んで、福本邦雄氏がおられるわけでありますけれども、その方が音頭をとっていろいろな会をつくったというふうに報じられておるわけであります。その中に、亀鑑会というようなものがあるそうでございますが、その亀鑑会の中に、当運輸委員会にかかわりのある運輸省の事務次官がメンバーの一人として入っておられる、こういうことが、一部の週刊誌でありますが、報道されております。  しかし、私は、この週刊誌がすべて正しいんだ、正しい報道だということで質問するわけではございませんで、そのことをもとにして調査をさせていただきましたところ、メンバーに入っているのではないかというようなことを確信したところでございます。  しかし、私は、この事務次官という立場の方がこういった会に入っておるというのは極めて、それぞれの政治に対する不信というものが国民から出てくるだろう、こういうことでありまして、そんなことを私は本当に事務次官としてやっているということは思いたくないわけでありまして、そういう意味で、ぜひこの場に来ていただいて、御本人の意向というものをお聞きしたかったわけでありますが、きょうは残念ながら、私の質問通告の不手際もありまして、出席できなかったようですが、このことについて、もし大臣の方に情報が入っておるならば、お聞かせをいただきたいと思います。
  49. 森田一

    森田国務大臣 そのことにつきましては、けさ事務次官と会いまして話を確かめました。全く聞いたことも見たこともない会だそうでございます。
  50. 小幡政人

    小幡政府参考人 先ほど大臣から申し上げましたように、事務次官に先ほど、質問通告の後、私の方から御本人に確認させていただきました。その内容は、亀鑑会という会の名称そのものについても心当たりはないという話でございました。  ただ、今先生おっしゃられましたように、先生の御調査の結果としてもその可能性があるという話でございますので、その調査内容等について我々教えていただきながら、さらに確認をさせていただきたいと思っております。
  51. 今田保典

    今田委員 今ほどの話は、御本人でないものですから私もちょっと信用しがたい面もあるわけですけれども、ただ、大臣にそういうお話があるということであれば、そういうことだろうというふうには思いますけれども、私どもには、大蔵省の官僚、それから建設省の官僚も入っておるというようないろいろな情報が入っているわけでありまして、やはりこういったものが本当に事実とすれば、私は非常に政治に対する不信あるいは各省庁に対する不信というものが国民から向けられるだろうというふうに思います。  したがって、このことについては大臣からも大蔵省関係の皆さんに、一個人の何とか会というものにのこのこと顔を出すということはいかがなものかと思いますので、十分気をつけていただきたい、このように思います。  なお、私どもも再度いろいろなところで調査をさせていただきたい、このように思います。このことを申し上げて、この質問は終わらせていただきます。  次に、先ほど言ったように、幾つかのポイントについて、規制緩和の問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、バスとタクシーに共通する問題として、事業の許可基準における事業者の資格要件についてでありますが、これについてはこれまでの延長線上で考えるのではなく、新たな角度で厳格な資格要件をすべきではないかというふうに私は思っているところであります。  そのねらいとするところは、言うまでもなく事業者の資質の確保であります。参入は自由にやっていただいて結構なんですが、公共性の観点から、安易な参入は許されるべきではないという私は考え方を持っているわけであります。当然、経済的規制は緩和しながらも、社会的規制というものをきちっと確立していかなければならないのだろうというふうに思うわけでありまして、このことについて具体的にどのように基準を定めるかという問題があるわけであります。  これについて何か御検討されたことがあるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  52. 森田一

    森田国務大臣 経済的規制を廃止した後に社会的規制をどうやっていくかということは、非常に微妙で、かつ重要な問題でございます。需給調整規制廃止後においても、乗り合いバスやタクシーにつきましては、輸送の安全と利用者の便益の確保ということは非常に重要な課題でございまして、これらに事業参入しようとする者がいる場合には、その資格要件を厳しく審査していくことが必要であると考えております。  そして、これらの者の事業参入の許可をするわけでございますが、その許可に当たりましては、実際に許可した後、運行管理の体制がどうなるのか、あるいは車庫等の確保ができておるのかどうか、保険に加入しているのかどうか、こういうような点について厳正な審査ということが必要であると考えております。  この需給調整規制の廃止という新しい制度は平成十三年度中に施行されることになっておりますので、具体的な審査基準については、関係者皆様方、先生の御意見も十分に伺った上で、施行までの間に検討してまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  53. 今田保典

    今田委員 今大臣のお答えの中で、特に私が申し上げたいのは保険なんですよね。これは大量輸送なものですから、利用される方は非常にこのことについて神経を使っている部分もあるわけでありまして、一たん事故が起きたら補償もできないというようなことでは困るわけでありまして、ぜひこの点については厳しくチェックしていただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  次に、バス関係の地域協議会のあり方についてお尋ねをしたいと思います。  法的な根拠は持たないままにスタートとなったわけでありますけれども、このことについては私も非常に疑問が残るわけでありますが、いずれにしろスタートをしたわけでございます。その地域協議会は地域の主体性のもとに運営されるものでありますけれども、地域ごとにばらばらでは困るということで、運輸省は協議会の枠組みのモデルについて示されております。もう既に各都道府県、運輸局、それからバス協会とか、そういったところに運輸省から流されているようですけれども、このモデルについては自治省との調整がきちっと行われたのかどうかであります。ばらばらでは問題があるわけでありますけれども、このことをきちっとしなければ問題は解決しないということにもなるだろうというふうに思うわけでございます。そのモデルの中身についても、協議会の位置づけ、何かいま一つはっきりしないわけであります。さらに、地元の利用者あるいはそこで働く労働者、もちろん従業者、そういった方々の代表もこのメンバーに入るべきではないかというふうに私としては思っているわけであります。  いずれにしろ、この地域協議会、法案成立後に早期に開催するということになっておったわけでありますけれども、これについてどうなるのか。  実は、私はせんだって山形県の県知事とちょっとお話をさせていただいたのですが、全くまだ認識がないのですね。私も怒って、そんなことでは困るよ、早急に立ち上げてくださいということをお願いしてきたのですが、私は、山形県だけではなくてほとんどの都道府県がまだその認識といいますか、立ち上げをやっていないのではないかというふうに思うわけです。そのことについてちょっとお尋ねをしたいと思います。
  54. 縄野克彦

    縄野政府参考人 お答え申し上げます。  地域協議会の設置、運営につきましては、基本的には、都道府県を初めとする関係者によってその運営の考え方を決めるということが適切であると思っておりますが、ただ、余りに不適切にばらばらであるということも困りますので、先ほど先生からお話しのように、六月二十九日付で関係都道府県に私どもから通知をし、関係の団体にも連絡をしたところでございます。この内容につきましては、自治省と十二分に調整をして、その了解を得て通知したところでございます。  構成の問題でございますけれども基本的な構成員でございます県、市町村、私どもの出先はこれは当然でございますが、必要があると認められるときにはその他の方を加えることができるというふうに私どもとしても示しておりまして、これによりまして、御指摘のような問題につきましても、それぞれの県、地域の御判断によって対応できるものというふうに考えております。
  55. 今田保典

    今田委員 ぜひひとつ、今後も各都道府県の状況を見て十分チェックをして、早急に立ち上げをやっていただきたい、このことをお願い申し上げておきます。  次に、生活交通の関係の補助制度についてお伺いをしたいと思います。  ここでまずお尋ねしたいのは、何をもって生活交通というのかという問題であります。何か一つの認定基準というものをつくっておられるのかどうかであります。これは当初から課題となっておったわけでありますけれども、もう一つ見えてこないというものがあるわけでございます。その補助制度は地域協議会の制度と一体のものなのかどうか。あるいは、両制度の関係がどうも理解しにくいという面もあります。協議会で決定されれば、補助制度は制限のない単なる財布の役割なのかどうかという御指摘をされる方もおるわけであります。この関係についてわかりやすく御説明をいただきたい、このように思っております。  さらに、この補助制度における国と地方公共団体との役割分担が課題となっておりましたが、この問題のめどがついたのかどうか。また、必要であれば、財源確保についてめどがどのようになっているのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  56. 縄野克彦

    縄野政府参考人 お答え申し上げます。  生活交通の確保のための支援のあり方につきましては、私どもとしましては、今まで以上に地方公共団体が中心となって対応をする、言いかえれば、国からの支援、補助は広域的、幹線的な輸送サービスに重点化していく方向で検討しておるところでございます。具体的に国がどういう路線、輸送サービスに補助をし、自治体がどのような役割を担っていただくかにつきましては、概算要求を前にして今、自治省を初め、私どもとして関係のところと調整をし、明らかにしていかなければならないというふうに思っております。  協議会での協議内容との関係でございますけれども、協議会は、地域の実情に応じた生活交通の確保策を地域の自主的な取り組みとして決定をしていただくことを私どもとして期待しております。それに対して国からの支援考え方というものを重ね合わせまして、私どもとして、十分な対策がとれるのではないかというふうに思っております。  自治体の自主的な財源の手当てにつきましても、国からの支援措置、補助措置と同じように、自治省との調整を経て、概算要求を前にして、私どもとして考え方をお示ししていかなければならないというふうに考えております。
  57. 今田保典

    今田委員 この点については大変皆さん注目しているところでございますので、ぜひひとつ取り組みをしていただきたい。  次に、タクシー関係なんですが、緊急調整措置というものがこの前、道路運送法で成ったわけでありますけれども、この措置のポイントは社会に支持される発動基準であるというようなことでありますけれども、そのためには、基準の透明性、客観性というものが強く求められるのだろうというふうに思います。もう一つは、これが機動的に発動され、その実効性が確保されることだというふうに私は理解しております。  その発動基準について、作業の進捗状況、またこの段階での問題点などがあればお答えをいただきたい、このように思っているところであります。  つい先日、各運輸局のまとめによりますと、平成十二年度の需給動向の判断結果なるものが発表されました。それによりますと、全国的に引き続いて供給過剰の状態であり、特に東京、大阪がひどい状態だというふうに理解をしております。  そこで、東京を例とするならば、もしこのまま供給過剰状態であるとすれば、東京ではすぐ改正法の施行と同時に緊急調整措置の発動というものにつながるのだろうというふうに理解をしているのですが、この点についてどう思われるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  58. 縄野克彦

    縄野政府参考人 お答え申し上げます。  緊急調整措置の発動につきましては、法案の審議のときにも私どもの考えを述べさせていただきました。著しい供給過剰状態、こういうものがあるかどうか、これにつきまして、実車走行キロ、実車率、実働率、こういうものを指標として取り上げ、それらの絶対値だけではなくて経年変化にも着目したい。さらにその上で、輸送の安全、利用者の利便の確保が困難となる、そういう状態であるかどうかということにつきまして、事業者の法令違反件数、あるいは利用者からの苦情件数というものを判断材料として、私どもとして求めたいというふうに思っております。  これらは当然地域ごとに異なっておりますから、先ほどお話ございましたように、現在それぞれの地域ごとのデータの収集と分析を行っているところでございます。  お話がございました現在の制度における需給の判断でございますが、現在の法制度では、御承知のように、行政側が需給状況を判断する、それによって免許、増車をするということでございます。従来の私どもの需給調整のやり方によって現在判断したところでは、そういう余裕が極めて少ないという判断をしたところでございます。  私どもとしましては、現在の制度による需給判断に加えて、緊急調整措置につきましては、著しい供給過剰状態であるかどうかということを要件にしたい、さらに輸送の安全と利用者の利便の確保が困難となるということを要件にしたいということでございます。  蛇足でございますけれども、例えば主要駅とか繁華街におきましては、タクシーの車両はごらんのように集中をしております。ただ、東京におきましても、周辺部の住宅地でありますとか、天候によっては、常に供給過剰であるかどうかということについては、お客さんによってはいろいろな意見があると思います。地域全体の状況をよく分析をして正しい発動基準を定め、これを実施していく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  59. 今田保典

    今田委員 時間になりましたので質問はこれで終わらせていただきますが、もう一点ちょっとお聞きしたかった点があるのです。ちょっとお許しをいただいて、タクシーの適正化について。
  60. 赤城徳彦

    赤城委員長 質疑時間が終了していますので、簡潔にお願いします。
  61. 今田保典

    今田委員 いろいろあるわけですけれども、この問題については、この前の通常国会で、衆参で附帯決議ということでつけた点がありますので、十分これについては検討していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  62. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、赤羽一嘉君。
  63. 赤羽一嘉

    赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。  本日は、限られた時間でございますが、運輸大臣所信表明演説に対しまして、何点かについての質問をさせていただきたいと思います。  大臣所信表明の中で、いろいろなことを言われ、特に今回は日本新生プランということで四つの柱についての言及もありましたが、私はあえてまず最初日本観光業政策について取り上げさせていただきたいというふうに思っています。  観光業をなぜ取り上げさせていただくかというと、どうしても観光というと、日本の中でのとらえ方は、レジャー、余暇活動ということに非常に置かれているような形であります。世界で言うツーリズムという概念からいけば、観光、レジャーは一つ分野にすぎない。第一の分野ではレジャー、サイトシーイング、二つ目の分野としてはコンベンションも含めたビジネス、三つ目にその他、こういった広範な定義をされている中で、どうしても日本観光業は、非常に肩身の狭いというか、何か大事なことの後回しにされてきたというような経緯があったのではないかというふうに思います。  しかし、この観光業という産業は大変な可能性を秘めているということは、既にこれまで運輸省みずからの試算にも明らかであります。その生産波及効果は、これは運輸省調査の結果でありますが、四十八・三兆円、現在でも旅行消費支出は二十兆円を超える、雇用の波及効果については四百十万人、大変な可能性のある産業である。  同時に、日本に対する国際的な理解評価向上も得られるし、また、観光資源が非常に豊富でございます日本の各地の地域の活性化にもつながる。また、現在、経済自体のグローバル化が進んで、世界じゅうの人々が恒常的に国境を越えて交流、活動している時代だ。  こういった状況の中で、日本観光業というものを産業としてどうとらえて、国策としてバックアップをしていくのかということが大変大事な、特に今日本経済状況が非常に厳しい中で、この厳しい経済状況を突破する突破口にもなり得る産業の一つ観光産業であるというふうに私は思っています。  であるがゆえに、今、観光については、運輸省、残念ながら観光局も廃止になり、運輸政策局の中の一部ですか、観光部になっておりますし、世界じゅう観光大臣が存在する中で、観光大臣はおろか局長もいずに、部長がひとりで頑張っている、ひとりというか観光部が頑張っているという状況の中で、何とかこの観光業というものを運輸省の中だけではなくて政府の中でも重要な育成していく産業としてとらえていくべきだというふうに考えておりますが、まずこの点についての運輸大臣の御所見を伺いたいと思います。
  64. 森田一

    森田国務大臣 観光につきましては、二階前大臣が大変力を入れておったわけでございます。私も、観光は大変大事であると思って、二階運輸大臣の後を継いで力を入れていきたい、このように思っておるわけでございます。  また、私は四十四カ国を訪問しておりますが、どこに行っても日本のことをよく知らない。すなわち、日本から出ていく人は多いけれども日本に来る人は非常に少ない、そういうことを非常に残念に思っておったわけでございます。幸い運輸大臣に就任しましたので、そのことについて少しでも我が国の実情が世界の各国の人々に知られるようにしっかりしていかなきゃいかぬということでございます。  運輸省にとりましても観光というのは非常に重要な政策でございまして、おおむね二〇〇七年度を目途に、現在の訪日外国人四百四十万、これに対して出ていく方は千六百万でございますが、これを八百万人に倍増させるというような新ウェルカムプラン21に取り組んで、力を入れておるところでございます。  具体的な政策としては、国際観光振興会を通じて訪日旅行促進のキャンペーンを行ったり、また外国人向けの広域観光ルートを整備することによりまして、外国人が来やすいようにするというようなことが必要であるというふうに考えております。  そして、私は特に注目しておりますのは、来年九月には第十四回の世界観光機関総会がソウル及び大阪において開催されるわけでございまして、二十一世紀最初の総会でありますので、通常の議題のほかに、高度情報化地球環境問題等を討議するミレニアム観光サミットの会合を開催して、大阪宣言を出す予定になっておるわけでございます。  このように、非常に今は大事なときを迎えておるわけでございます。このWTO総会の開催は、我が国観光地としての位置づけを、総会に参加する百数十カ国の観光担当大臣我が国では観光担当大臣がいないのはおっしゃるとおりでございまして、非常に残念でございますが、各国には観光大臣がおりますので、これらに大いにPRをしていきたいというふうに考えておるわけでございます。そして、その成功に向けて万全の体制を尽くしてまいりたい、このように思っておるところでございます。
  65. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今大臣から御答弁いただきましたように、新しいウェルカムプラン21が立てられて、外国からの訪問客を増大させよう、倍増させようという計画に取り組まれているのは承知をしております。ただ、日本は、例えばヨーロッパ諸国なんかと違いまして、島国である、地理的なハンディを背負っておりますし、言語的なハンディもある。かつ、コスト、費用という面でも非常に高い国だという印象が強い。この中で、本当にこの倍増計画を実現することを具体的に考えていくならば、恐らくワールドカップなんかもこの数字の中に入っているんじゃないかと思いますが、こういう一過性のものよりも、私は、今大臣の御答弁がありましたような第十四回のWTO総会、これにどれだけ政府として取り組んでいけるのかということが非常に大事なんではないかと思っております。  WTOというと、日本の大半の人はワールド・ツーリズム・オーガナイゼーションというふうには思わないで、もう一つのWTOだという方が、多分、政治家の中でも大半がそういう認識じゃないかと思っております。来年九月末、ソウルと大阪の両都市で総会が行われるということ自体も、率直に言って、全国の観光協会の中でどれだけ浸透しているのか、また、地方自治体の長がどれだけ理解をしているかということは、まだまだ私はその点の宣伝効果というのは非常に少ないのではないかと思っております。  かつ、このWTOの大阪でやる総会自体が盛り上がる、成功に終わるということが大事だと思いますが、ぜひ私は、せっかく大阪まで来ていただくのですから、加盟国も百三十カ国以上ある、千五百人から二千名の観光関係の要人が来るのですから、都道府県は参加国にぜひ必ずその大阪の後寄っていただくような働きかけをしていく、恐らく各都道府県、姉妹都市とか姉妹交流をしているところを全部持っていると思いますので、そこについては運輸省の例えば観光部全員が担当について、だれは大阪府とかだれは兵庫県とか担当について、全員一回は地方自治体の担当者と運輸省観光部の人間とついて、今回訪日が予定されている参加国に働きかけに行くぐらいの、そういったことをぜひ計画していただきたい。  こういうことを言いますと、ほかの局は、余り観光部に予算を持っていかれると、非常に痛しかゆしのことを思うかもしれませんが、これはせっかく特別枠もあるわけですから、他の局の予算を削ることではなくて、新たな産業、四十八兆円もの産業なんというのは今日本経済の中では考えられないわけですから、そういった具体的な取り組み、本当にこれから一年間は観光部の人たちはこの総会にかかりきりで、日本にいないぐらいの働きかけができるような環境をぜひ整えていただきたいというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  66. 森田一

    森田国務大臣 きょう赤羽先生が観光の問題を取り上げていただいて、WTOの問題を取り上げていただいたことは本当にありがたいと思っております。  私も赤羽先生と同じように、WTOというと、まさか世界観光機関というふうに思う人は少ないわけでございまして、きょうのこの審議によって少しでも皆さん方がこのWTOを理解していただけるということを念願するわけでございます。  また、観光部が全員一丸となってWTOに向けて取り組んで、各地方公共団体等にも積極的に働きかけていくように私からも十分話したい、このように思っております。
  67. 赤羽一嘉

    赤羽委員 それと、観光に関してもう一言だけ、WTOの話ではありませんが。  有珠山がこの三月に噴火しました。今、三宅島、新島、式根島という伊豆諸島が地震、噴火災害で大変御苦労されている状況の中で、両地域とも、その地域の主な財源というのは観光業だということで、大変ダメージが大きいということを心配しております。  北海道についてはかなり運輸省としてもバックアップをしていただいていると思いますが、三宅島、新島、式根島、まだこれは地震の最中ですから、なかなか取り組みは難しいと思いますが、災害が終息と同時に、風評被害等々もかなり出てくると思いますので、ぜひこの点についての御支援についても一言お願いをしたいと思います。
  68. 泉信也

    泉政務次官 大変観光に御理解をいただいて、お力添えをいただくことをまず感謝申し上げたいと思います。  北海道の有珠山の問題につきましては、委員指摘のように、有珠山周辺だけではなくて北海道全体に対する観光の入り込み客が減少しておるという実態でございます。運輸省としても、今日まで「ガンバル、フンバル、北海道」キャンペーン、こういうことで御協力を申し上げてまいりました。  なお、この秋に北海道庁が中心になっていたします集中キャンペーンにつきましては、空港整備特別会計から運輸省としても二億円の支援を申し上げまして、有珠山周辺はもとより、北海道全体の観光振興にお力添えをいたしたい、このように思っております。  また、三宅島等伊豆諸島につきましては、噴火中ではございますけれども、いずれおさまる時期が来るわけでございますので、東京都を初め関係者と今から十分な相談をさせていただいて、観光事業に頼っておられる島民の方々の生活の安定に資するように努力をしてまいるつもりでございます。
  69. 赤羽一嘉

    赤羽委員 どうもありがとうございます。またよろしくお願いいたします。  続きまして、残りわずかとなりましたが、日本新生プランの四つの分野一つであります高齢化対応ということであります。  さきの通常国会で、当委員会でいわゆる交通バリアフリーの新しい法律ができ上がり、今後、だれにでも優しい町づくり、こういったことが具体的に進んでいくものと今期待されているわけでございますが、どうも今の経済状況が大変厳しい中で、例えば駅舎のバリアフリー化を進めるに当たっても大変な予算がかかる、鉄道事業者もそう簡単に、はいそうですかというふうに手を挙げにくい状況でもあるし、また地方自治体も、どこも財政状況が悪いということで、せっかくバリアフリー、大変な予算の枠組みをとりながら、実際なかなか消化ができないような現状が出てくるのではないかということを大変心配しております。  いろいろな事情もありますけれども、これは例えば全国四十七都道府県の県庁所在地の中心駅については、ある意味では具体的にバリアフリーを進めろ、進めないことについては世に公開をするというぐらいのことをやっていかないと、なかなか大がかりなことは進まないのではないか。しかし、県庁所在地の中心駅がバリアフリーが進むということは、それをなし遂げるということは、非常に政府としての顔が見える大事なことではないかと私は思います。  実は私の地元であります新神戸の駅も非常にバリアフリーがおくれておりまして、神戸市長にも再三うるさく言って、どれだけ効果があるかわかりませんが、そういう働きかけをしておるところでございます。どうか、この駅舎のバリアフリー化を具体的に進めていくことについてどのようにお考えか、お答えをしていただきたいと思います。
  70. 森田一

    森田国務大臣 バリアフリー化につきましては、私は運輸大臣になる前から非常に力を入れてまいったわけでございまして、私は香川県の出身でございますが、四国で、香川県の駅は既にバリアフリー化しておるというような状況でございます。運輸大臣になって、四国の他の県においてもバリアフリー化が進められるようにしっかりとしていかなきゃいかぬと思っておるわけでございます。  本年五月十日に、先生がおっしゃられましたように、交通バリアフリー法が成立したところでございます。これが成立いたしますと、市町村が鉄道駅を中心とした一定の地区につきましてバリアフリー化のための基本構想をつくりまして、この基本構想に即しましてバリアフリー化が実施されることになっていくわけでございます。  そして、この基本構想の中心となる特定旅客施設の範囲につきましては、現在バリアフリー法の政令を策定しておる最中でございますが、先生がおっしゃいますように、県庁所在地等は一般の乗降客が多くて、高齢者、身体障害者利用が多いわけでございますので、そのように高齢者、身体障害者利用の多い駅につきましては、その対象となるような方向で検討してまいりたい、このように思っておるわけでございます。  今後は、バリアフリー法の適切な運用とともに、所要の予算を獲得するように力いっぱい頑張り、また、鉄道事業者と地方公共団体とが相協力してバリアフリー化を着実に実施することができますように、運輸省としても積極的に支援をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  71. 赤羽一嘉

    赤羽委員 高齢社会に対応する公共交通機関バリアフリー化を進めるということは地方自治体としての責務なんだ、こういう意識づけを進めていただきますように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  同様に、高齢者に対する、また身体障害者に対する個別の輸送手段として福祉タクシーというのが非常に着目をされておりますが、御承知のように大変な費用がかかるタクシーでございまして、このことについて、昨年は介護保険に絡めて百台以上の補助事業というものが認められたと思います。これは今後、需要というのは非常にふえてくる、ニーズとしてはふえてくるものだというふうに思っております。  この福祉タクシーに対する支援策、タクシー会社というのも大変経営環境が厳しいところが多いと思いますので、その具体的な支援策についてどうお考えか、御答弁をお願いしたいと思います。
  72. 実川幸夫

    実川政務次官 福祉タクシーの支援拡充についてのお尋ねでございますけれども、特に、委員、この福祉タクシーにつきましては大変御熱心だということを聞いております。地域の高齢者あるいはまた障害者の輸送サービスといたしまして、車いすあるいは寝台のまま乗車できる福祉タクシー事業の役割は大変重要であると私ども認識いたしております。  また、現在、福祉タクシーの事業に使用するリフトつき車両の導入につきましては、御承知のように法人税の特別償却制度あるいはまた自動車取得税の際に行います減免措置を講じているところでもございます。  運輸省といたしましても、今後とも民間運送事業者によります福祉タクシーサービスの充実をさらに図っていきたい、このように思っております。
  73. 赤羽一嘉

    赤羽委員 最後の質問として、環境問題ということで、昨年税制改革のときにグリーン税制化ということを運輸省挙げて非常に頑張っていただきました。これは京都会議のCO2削減の約束を守るためにこれをどうしてもやらなければ国際公約は果たせない、こういった意気込みで省を挙げて取り組まれましたが、残念ながら状況はなかなか簡単にいかなかったということがございます。  本年以降について、このグリーン税制への取り組み環境問題についての取り組みについて御答弁をいただき、私の質問を終了させていただきたいと思います。
  74. 泉信也

    泉政務次官 昨年は委員にも大変お力添えをいただきまして、ありがとうございました。残念ながら成功することはできませんでしたけれども、ことしもこのグリーン税制については取り組んでいきたい、このように思っております。  今、委員お話しのように、COP3の約束事であるということだけではなくて、地球温暖化の問題、そして地域の環境改善に大変有益なものだと思っております。  幾つかの手法があると思いますけれども、このグリーン税制についても有力な手段と考えて取り組んでまいりますので、今年もぜひ諸先生方のお力添えをお願い申し上げます。
  75. 赤羽一嘉

    赤羽委員 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  76. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、大幡基夫君。
  77. 大幡基夫

    大幡委員 日本共産党の大幡基夫でございます。  日本の大型公共事業は、事業の目的が不明、採算の度外視あるいは環境破壊の危険など、重大な欠陥が指摘されている、いわゆる欠陥事業が少なくありません。  私は、きょう、今関空で進行している沈下問題と、それへの対応にかかわって、公共事業のあり方について質問したいと思います。  今、資料を配っていますが、まず、この資料一を見てほしいのですが、関西空港が年間の営業収益を上回る二百七十億円をかけて旅客ターミナルビル、そして給油タンク周辺の止水壁の工事をする、そして七月二十五日の閣議でこれに対する公共事業予備費の支出が決定されました。  この関空の文書では、今回の工事を地下水対策事業、こう呼んで、その原因を、空港島の透水性が高く予想以上に島内の地下水位が高くなっている、及び局所的な不同沈下にあると説明をしています。  しかし、埋立地の地下水というのは、透水性に関係なく海面と同じ水位になるというのは常識なんですね。したがって、事態は、沈下が進んでいるから地下水が上がっているという、つまり、私、これを聞いて、関空の地盤沈下が予想を超えて大きく進行しているのじゃないかという危惧を持ったわけです。  そこで、大臣にお聞きしたいのですが、大臣所信の中で、交通運輸安全確保が第一というふうに言われましたが、関空におけるこの沈下の予測と対応は安全にかかわる中心問題、また経営にかかわる大問題という認識をお持ちかどうか、まずそれを端的にお答えいただきたい。
  78. 森田一

    森田国務大臣 関空の問題につきましては、先ほどお話ししましたように成田の反省の上に立ってなされたものでございますが、これがある意味では行き過ぎたと申しますか、非常に深いところにつくるというような運命になったわけでございます。  そして、このような大規模な海上埋立空港でありますから、沈下対策につきましては、非常に重要な問題としてさまざまな措置を講じてきたわけでございまして、具体的には一期工事の沈下の計測や予測、沈下対策を参考にしながら現在まで推移しておるわけでございます。週刊誌等でおもしろおかしく書かれておりますが、まあ現在までの沈下量につきましてはおおむね予測の範囲内におさまっておるのじゃないかなというふうに思っておるわけでございます。  しかし、このように地下水が上がっておりますので、沈下対策につきましては、安全性の面からも問題がありますし、関空会社の経営にかかわる重要な問題でございますので、今後適切な措置をとってまいりたい、このように思っております。
  79. 大幡基夫

    大幡委員 その沈下予測と対応が関空の安全と経営にかかわる大問題、この認識を持っているという点は確認できますよね。問題は、今言われた、関空の沈下がおおむね予測の範囲内にあるのかどうかということなんです。  資料三を見てほしいのですが、この資料三は、一九九二年の四月に関空が、それまでの沈下八メーターという予測を十一・五メーターに修正したときの表です。この一番最後の修正案ですが、つまり埋立地の圧縮〇・五、沖積層の沈下五・五、洪積層の沈下五・五、そして開港十年後で十一・五、五十年後でも十一・五、これがこの当時の沈下予測です。  それで、ことしは開港六年目ですが、この予測に対して現在の沈下量はどうなっているのか。埋立層、沖積層、洪積層ごとの実測値を報告していただきたい。
  80. 深谷憲一

    深谷政府参考人 御説明を申し上げます。  一期島では、埋め立ての当初から、これまでの海底地盤の沈下量を十七の地点で計測をいたしております。無論、場所によってばらつきはございますけれども、平均で十一メートルの沈下の実測値が得られております。  これに対しまして、一九九〇年の予測方法を用いて計算いたしました十七地点の現時点の予測沈下量は、平均で十・九メートルでございます。実測値の平均十一メートルとおおむね一致しております。  御指摘の層別の沈下量につきましては、十七地点のうち一地点につきまして、埋め立ての当初から計測をいたしております。その現状を見ますと、埋立土砂の圧縮につきましては、埋め立て完了後、予測をいたしました〇・五メートルと同程度の圧縮を終了いたしております。また、沖積層の沈下につきましては、予測の六・三メートルに対しまして実測は六・一メートルということで終了をいたしております。さらに、洪積層の沈下は、予測六・九メートルに対しまして実測は七・二メートルとなっております。  全体といたしましては、先ほど申し上げましたように、実測値の平均は予測の範囲におさまっていると考えております。
  81. 大幡基夫

    大幡委員 もう一度確認したいのですが、今言われたのは現状ですよ。埋立土砂は〇・五、沖積層六・一、洪積層七・二というふうに言われたでしょう、今。そうですね。  そうすると、これは合計十三・八メーターの沈下なんですが、間違いありませんか。
  82. 深谷憲一

    深谷政府参考人 御説明申し上げます。  先ほどお話をいたしましたように、これは全体の話ではなくて……(大幡委員「ある地点ですか」と呼ぶ)はい、そうです。申し上げましたように、十七地点のうちの一地点では埋め立て当初から計測をしておる、その数値を申し上げました。
  83. 大幡基夫

    大幡委員 実は今回、全体としてのこの沈下予測に対して、平均はどうなっているのかということについて、関空に対しても資料請求したのですけれども、結局わからない、そういう対応でした。  それで、この資料六を見てほしいのです。この資料六は、先ほど高木委員が紹介された、運輸省が沈下予測と調査を依頼した関西空港調査委員会、この赤井さんと同時に、設立時からのメンバーであった大阪市立大名誉教授三笠さんが三年前に行った講演録なんです。この中に、驚くべきことが紹介されています。  まず、四十六ページを見てほしいのですが、この四十六ページに図二十四というのがあります。この図二十四というのは、「沈下進行の一次修正値と実測値」、つまり、これは関空の九二年の予測に対してどこまでいっているかという報告書です。これは九七年ですから、九五年までの数字がこのように出ています。つまり、存在しないという比較データが紹介されているんです。  それから第二は、その結果です。  この四十五ページの一番最後の行からちょっと見てほしいのですが、こう説明しています。「初めの間は実測値とうまく合っていたので、新聞にもそう発表し、皆さん安心されたと思います。しかし、今の状況はわれわれ専門家が見ますと全然安心できないんです。」少し飛ばして、「実測沈下はほぼ直線的に下がり、予測曲線を超えようとしています。」等々、予測を超える沈下が起きていることを既に指摘しているんです。  それから第三に、この沈下予測と実測に大きな違いが生まれていて、九二年の修正計算式では成り立たない、そのために当時、第二次修正値なるものを計算していたことを紹介しています。これがその次の四十七ページの「沈下進行の二次修正値と実測値」、こういうデータを新たにつくってやっていた、こういうことが言われています。  今、二次修正値が沈下予測の基本データかどうかはわかりません。つまり、その後も予測に合わない沈下が起きると、その段階で修正する。そうすると、予測というのは、その段階でどれだけ沈下しているか、その沈下を解明して予測するわけですから、新しい予測値を出した場合は、二年ないし三年は変わらぬわけですよ。そして、ずれてくると新しい計算式を出す、つまりこういうことがやられている可能性があります。  資料五を見てほしいんですが、この資料は、ともかく沈下の報告を出してくれということを繰り返し言って、やっと出てきた関空からの報告書です。  それから、逆ですが、この前に資料四というのがあるんですね。この資料四というのは、関空が大阪府に出した報告書なんです。この資料四では、左上にマイナス一・一とあるでしょう。これが給油タンク周辺なんです。つまり、給油タンク周辺では、当初予測よりも一・一メーターも沈下しているというのが載っているんです。  ところが、関空が出してきた十七点の沈下量、これには給油タンク周辺もあるんです。ところが、この報告書には、予測からマイナス一・一というのはどこにもないのです。つまり、この予測値とこの予測値が違うんです。  先ほど航空局長は、これについて九〇年の予測値というふうに言われましたよね。つまり、この関空が出してきた十七点の沈下量の予測値は、一九九〇年当初からの予測値というふうにはっきり言えますか。  再度答弁をお願いします。
  84. 深谷憲一

    深谷政府参考人 御説明申し上げます。  今先生御指摘の、いただきました資料の、資料四それから資料五。  例えば資料四の、タンクの地点の御指摘がございましたけれども、実は、資料五の島内十七地点の場所と資料四の十二地点の場所はずれておりますので、必ずしも同一には比較できないかと思いますが、いずれにしましても、予測については同様の手法でやっているところでございます。
  85. 大幡基夫

    大幡委員 再度聞きますけれども、今回報告されているこの資料五の予測値は、九〇年の第一次修正後に何らかの新たな予測をした修正値ではないというふうに責任持って断言できますか。これははっきりしますよ。私は、事前には、これは修正値という話もちょっと聞いたんだけれども
  86. 深谷憲一

    深谷政府参考人 御説明申し上げます。  予測モデルは一緒でございますけれども、その後の荷重等がございますので、そういうものは織り込みました。
  87. 大幡基夫

    大幡委員 つまり、場所は一緒なんだが予測値は違うということなんです。そして、この予測値は違うんだけれども、実測値はほぼ実態を反映しているというふうに私は思うのです。  そうしますと、この十一メーターという沈下には、上部埋立地の〇・五が入っていないのです。したがって、この十一メーターに〇・五を足す十一・五というのがこの平均値での現在の関空の沈下、そういうことなんです。そうすると、さっき示しました、九二年に、十年後及び五十年後に沈下するというふうに予測していたその地点まで既に沈下している、こういうことになるわけです。そして、そのことを認めるわけにいかないから、もともとの予測資料との対比はないのだと。そして、こういう表が出てきているのだけれども、三笠さんの中にはもともとの予測との比較もできている。これは重大な疑惑であります。  そして、関空というのはもともと海面四メーターの設定で、内訳は、満潮、干潮の差一・六、高潮対策一・六、余裕は〇・八なんです。〇・八を上回る、予測を上回る沈下が起きれば、空港の安全機能は麻痺するという危険がある。現在既に十年後の予測値に到達し、去年の沈下は一年間二十二センチです。毎年二十センチを超える沈下が続いているということは、そういう危険があり得るという状況になっている。にもかかわらずに、関空会社は一切の資料を出さない。そういう深刻な事態になっているわけです。  同時に大事なのは、この一期の沈下予測が完全に狂っているのです。ところが、一期よりもさらに深い二期で、一期と同じ方式で工事が始まっているのです。  質問したいのですが、二期の沈下予測の報告書というのがありますが、二期の沈下予測の報告書を公開することができますか。できる、できないだけ、もう時間がありませんから、答えてください。
  88. 深谷憲一

    深谷政府参考人 御指摘の報告書につきましては、これは内部の検討資料だということで御容赦をいただきたい、こういうふうに存じております。
  89. 大幡基夫

    大幡委員 いいですか。二期の工事が既に始まっている。ところが、その前提である予測の調査の報告書が公開できない。つまりこれは、どれだけの沈下があるかわからないということを認めているのと同じなんです。しかもそれは一兆五千六百億円の総事業費がどれだけ膨らむかわからないということでもあるし、安全性確認できない。国民の税金を使う公共事業がこんなやり方で進められているということは絶対に許せません。  私は、二期は直ちに中止すべきだと考えます。同時に、二期に対する態度のいかんにかかわらずに、一期の沈下の状況がいわば隠されている、二期は予測報告書も出てこない。そういう点では、関空の沈下の実態の全面的な解明、そして二期工事にかかわる沈下予測の調査結果等事業計画の再検討を行うという点では意見が一致できるんじゃないかと思うんです。  大臣にその考えをお聞きしたい。
  90. 泉信也

    泉政務次官 先ほど高木委員からもいろいろな御質問がございました。  第一期工事の沈下量につきましては、当時の日本の土質工学の権威の先生方にお知恵をおかりしながら、沈下量の予測をしながら進めてまいりました。しかし、洪積層の沈下については当時の技術力ではなかなか予測できなかった部分があったことは事実でございます。  二期工事につきましては、そうした経験、土質に対する新しい考え方を入れまして、十二分に予測をし、それに対応する工事をやっておるわけでございますので、先生御指摘のような事態には至らないと思っておるところでございます。
  91. 大幡基夫

    大幡委員 もう時間が来ましたので。  沈下予測が崩れているということ自体も問題ですが、しかし、そういう実態が一切発表されていない、隠されている。今の段階でも予測の範囲内でおさまるというふうな根拠は何もないわけです。そういう点では、私がきょう明らかにした関空の沈下の実態というのは極めて重大です。  私は委員長に、関空の沈下の実態とその調査結果にかかわる疑惑を明らかにするために委員会として報告を求めること、そしてまた関空会社の調査を含むこの問題での集中審議の検討をお願いします。
  92. 赤城徳彦

    赤城委員長 審議につきましては理事会で協議いたします。
  93. 大幡基夫

    大幡委員 以上で質問を終わります。
  94. 赤城徳彦

    赤城委員長 次に、日森文尋君。
  95. 日森文尋

    日森委員 社民党の日森文尋でございます。  最後の質問で、大変お疲れで恐縮でございますが、簡潔に御答弁いただきたいと存じます。  最初に、規制緩和と生活路線維持、これについては今田先生から御質問がございましたが、若干重複する部分もあるかもしれませんが、御質問申し上げたいと思います。  地方の交通手段である地方バスの生活不便の問題なんです。  今、地方では、過疎化が進行している、あるいはマイカーが大変大幅に普及をしている、こういう状況の中で、それでなくとも厳しい地方バスというか地方生活路線経営実態になっているわけなんです。その上で、さきの国会で乗り合いバスの需給調整規制が撤廃をされる、こういう結果になりました。これでさらに地方生活路線の廃止あるいは休止ということに拍車がかかるんじゃないか、そういう心配をしているわけです。  同時に、事業者にとっても、これまで内部助成というのでしょうか、もうかったところのお金を赤字路線に回すということもできなくなるという状況の中で、大変厳しい状況になっているんじゃないかというふうに心配をしています。  特にこれは、高齢者あるいは子供、まあたくさんありますけれども、そういういわば交通弱者にとって大変大きな影響を及ぼすというふうに考えられると思うんです。生活の足がなくなるということは、地域のコミュニティーあるいは生活が破壊される、こう言っても過言ではないような状況になるんじゃないか、こういう心配をしているんです。  そこで大臣お尋ねをしたいんですが、この需給調整規制、これを撤廃されて、その後のセーフティーネット、特に地方生活路線についてのセーフティーネットということがいまだ明確になっていないという状況に今あるんだと思うんです。しかし、残念ながら、大臣所信の中で、これだけの文章ですから入れられませんでしたというお話になるかもしれませんが、この問題について一切触れられていない。つまり、もう規制緩和については一件落着、あとはすべてうまくいっているというふうにお考えになってお触れにならなかったのか、同時に、地方の生活交通、これを維持発展させるためにどのような御見解をお持ちになっているのか、最初にお伺いしたいと思います。
  96. 森田一

    森田国務大臣 需給調整規制緩和後、生活交通路線をどのようにして維持していくかということは非常に重要な問題でございます。しかし、非常に微妙な難しい問題でもございます。私はそのことの重要性を十分に認識しておるわけでございまして、きょうの所信表明で触れなかったのは他意があるわけではございません。  これまで、需給調整規制緩和後の乗り合いバスの路線につきましては、先生がおっしゃいましたように内部補助でやってきたわけでございますが、しかし、輸送人員がだんだん減ってまいりまして、内部補助では赤字バス路線維持は既に限界を超えている、このように認識をしておるわけでございます。  そのようなわけで、今後どのように地方住民の生活の足を守るために生活交通の確保を図っていくかということは非常に重要な課題であると思っておりますので、関係省庁ともよく連携をしながら力強く対処してまいりたい、このように思っております。
  97. 日森文尋

    日森委員 大臣のお言葉のとおり、ぜひ早急に検討結果を出していただいて、具体的に生活路線を守るという立場に立った施策を打ち出していただきたい、これを要望しておきたいと思います。  それから、これに関連して、その生活路線確保するための助成措置の問題なんです。  先ほど、今田先生の御質問に対してお話がございました。国と地方、役割分担をして、国は基幹あるいはネットワークの部分でお金を出しましょう、その他の部分については、ちょっと誤解があったら申しわけないんですが、お任せをするまでいきませんが、地方公共団体に主として仕事をしてもらおうというふうな趣旨のお話があったと思うんです。  しかし、それはそれで意味はわかりますが、現在の地方公共団体の財政実態、大変な状況でございます。特に、地域の生活路線を、赤字路線ですね、それを抱えているような自治体というのは、それでなくても大変な財政実態に今あるわけです。特に、経常収支比率なんかがもう一〇〇%近いよというような自治体もたくさんあるわけで、そこに具体的な財政措置をしないでお任せするということは当然できないわけですね。たしか、どの文書だか忘れましたけれども、例えば福祉バスだとか乗り合いタクシーだとか、そういうもので生活路線を守るための代用措置といいますか、代替措置というか、そんなことをやりましょうという話がありましたけれども、実際にそれをやっていくためには金が必要なんです。  この財源措置について、先ほどのお話はわかりましたけれども、どのような話になっているのか。これは運輸省だけでは決められないわけですから、当然、自治省や大蔵省やさまざまな、建設省もそうかもしれません、協議をしながら進めていかなければいけないわけですけれども、実際に、もう既にこれは始まるわけですから、規制措置の撤廃が。そうすると、すぐにでも地方生活路線が危機になっていく。このときに、今直ちに助成措置を行って、引き続き路線確保していくようなことが必要になるわけですから、急いでやらなきゃいけない仕事だと思っているんです。  今は政府内部で協議をされているというふうに聞いていますけれども、この協議の中身、それから将来にわたって基本的にどう考えていくのか、改めてまたお伺いしたいと思います。
  98. 縄野克彦

    縄野政府参考人 御説明申し上げます。  地域の生活交通の確保のための国と地方公共団体の役割でございますけれども、先ほども御答弁申し上げましたが、基本的には、私どもとしましては、国の役割は、広域的、幹線的なサービスに重点化して支援を行っていくということで考えたい。それ以外のサービスにつきましては、先ほど申し上げました地域協議会における議論を踏まえて、それぞれの地域に合ったサービスのあり方というものを地域が中心となって考えていただきまして、それに対して必要な財源の手当てを行うということが私どもとして適切ではないかというふうに考えております。  この財源手当ての内容につきましては、概算要求を前にいたしまして、今自治省とも相談をし、概算要求後、財政当局とも調整をして、この法律の施行は十三年度中でございますので、このような地域の財源手当て、国の補助システム、そういうものの体制を整えた上で施行が図られるように私どもとしてはしたいというふうに考えております。
  99. 日森文尋

    日森委員 そうしますと、今田先生の話と一緒になりますが、むしろ要望になりますけれども、地域協議会ですね、この協議会が一体どんな権能を持っているのかということを明確にしてもらわないと、それは丸投げする格好で、全部地域にお任せしますといういわば無責任な格好になってしまうんじゃないか、そんな気もしているんです。そういう意味で、仕事を急ぐのと同時に、その仕事をする地域協議会の基本的な組織のあり方について、もう少し詰めた中身できちんとしてもらいたいというふうに思っています。  続いて、鉄道事故の調査委員会の法制化についてお伺いをしたいと思います。  大臣所信の中にも触れられておりますけれども、大変な日比谷線の事故がございました。それから、その前にも山陽新幹線の事故などがありました。鉄道というのは大量輸送機関ですから、一度事故が起こると膨大な被害が出るという状況になることは明らかだと思うんです。その中で、特に大臣には、安全こそ第一だというふうに所信の中で表明していただきました。それは大変ありがたいことだというふうに思っています。今は、いわば運輸省にとって安全というのはまさにキーワード中のキーワードというふうに考えても過言ではないというふうに思っているんです。  その意味でお伺いをしたいと思うんですが、最初に、死傷者が出たり重大な事故が起きる、あるいは原因がなかなか特定できない、こういう事故に関しては、その都度、事故検討委員会をおつくりになって対応してきたという経過があると思うんです。この間の三月八日の営団事故についても、事故検討会、これを設置されて対応してきたわけです。これまでそういうふうにその都度都度に行ってきた事故検討委員会、これはやはり問題がなかったのか、あるいは随分反省する点があるんじゃないか、これで本当に十分なのかどうなのかという点も、もちろん運輸省の方でも御理解されていると思うんです。  まずその辺について、特に三月八日の事故検討会、そこの内容について、その活動についてどういう評価をされているのか、あるいはどういう反省点を持っておられるのか、それについてお聞きをしたいと思います。
  100. 安富正文

    安富政府参考人 お答えいたします。  鉄道の事故の調査、あるいは事故原因究明ということについては、先生おっしゃいますように、従来、事故ごとにそれぞれ対応するという形でやってきました。  ただ、これにつきましては、我々としても深く反省して、やはり常設のある程度の機関を設ける必要があるのではないかということで、いわゆる事故調査検討会という形で、これは局長の諮問機関でございますが、常設で、とりあえずメンバーを選んでおくということをやったわけです。これが今回の三月八日の日比谷線事故の場合にはうまく機能しまして、事故発生直後から直ちに現場に立ち入るとか、あるいはその後の現地走行試験等を行うということでも、現在、事故調査検討会のメンバーの先生方、事故の原因究明調査検討ということで精力的にやっていただいております。その結果としまして、先般、六月二十七日に事故調査結果の中間報告について取りまとめを行ったところでございます。  現在、この事故調査検討会において、最終的な事故原因あるいは再発防止対策の取りまとめということで、さらに調査検討を進めていただいているところでございます。  今回のケースで、原因究明に当たって、いろいろな点で事故原因調査のやり方、検討会の進め方について反省点はないかということだろうと思います。  我々としては、これは手前みそになるかもしれませんが、事故発生直後の現場調査あるいは現地の走行試験等においても、今回の場合には比較的警察との協力関係がうまくいった、良好な協力関係が維持できたということで、現在のところこの原因究明等については、全体としては支障なく、滞りなく進んでいるのではないかというふうに考えております。
  101. 日森文尋

    日森委員 新聞の報道などによりますと、原因調査について連携を欠いていて、検討会と営団の方の意見が食い違ったり、そんなことが大分報道されているようなので、それはそれとして、そういう事実が恐らく幾つかあったのでしょう。しかし、基本的な問題は、やはりおっしゃったとおり常設で独立した事故の調査委員会、これを設置するということが今最大の課題になっているというふうに考えているのです。  七月三十一日に、営団事故の検討会の井口先生、座長さんから運輸省に対して意見が出されていまして、その中でも、事故発生時の即応性の確保、事故調査に関するノウハウやデータの蓄積及び事故調査の継続性の確保が必要である、このために常設、専門の調査体制を整備し、再発防止策が講じられる体系を構築することが重要であるという提言がございました。私ども、全くそのとおりでございまして、一日も早くこれを設置するように強く求めておきたいと思っておるのです。  ちょっと時間がございませんが、同時に、これまでもあったわけですけれども、それは信楽の事故なんかで、被害者の立場に立った、事故の原因究明、再発の防止のための施策を講ずるのはそうなんですが、事故に遭われた方々の気持ち、なぜこんな事故に巻き込まれて亡くならなきゃいけないのか、なぜ被害を受けなきゃいけないのか、そういう気持ちもあるわけで、そういうことを基盤にしてNPOなどもできているわけです。これらとも連携しながら、常設、独立の検討会をつくるように要望したいと思うのですが、決意をお伺いしたいと思います。
  102. 森田一

    森田国務大臣 いかにもタイミングがよく質問されるものと感心をいたしております。  七月三十一日に、お話のような事故調査検討会から「鉄道事故調査に関する意見」が出たわけでございますし、さらに本日、運輸技術審議会鉄道部会から「鉄道事故調査に関する提言」をいただいたところでございまして、今後の鉄道事故調査のあるべき姿について貴重なる意見だと思っておるわけでございます。  これらの意見では、専門技術的な立場から事故調査を実施することができる常設で専門の調査体制の整備が必要と指摘されておるところでございまして、私は、これらの御意見を踏まえて、鉄道事故調査をさらに確固たるものとするために鉄道事故調査体制の確立について検討してまいりたい、このように思っております。
  103. 日森文尋

    日森委員 力強い決意、ありがとうございました。私ども社民党も、この事故調査委員会についてはずっと設置を主張してまいりました。  これは要望になりますけれども、その際、もちろん独立性は当たり前、公平性、独立性の原則を持つこと。それから、専門家がいなきゃなりません。学者だけでいいかといったらそうもいかないわけですから、その辺も含めて、専門性。それから公開性、公開の原則ですね。これをきちんとしていただく。それから教訓化、これもデータとしてきちんと積み上げていただく。そういう中身を持った事故調査委員会、そういうものの設置を目指していただきたいということを要望して、この項については終わりたいと思います。  大きな最後の質問でありますけれども、総合交通政策についてお伺いをしたいと思うのです。  大臣所信の中で、大変力強いお言葉がございました。国土交通省、こうなることを見据えて、陸海空にわたり整合性のとれた交通体系の形成と、安全の確保基本とした安定的で質の高い交通運輸サービス提供を図る、これを森田大臣基本的な目標として進めるということで、大変力強い思いがいたしました。  私ども国土交通省、これができると公共事業の七割、八割はここでやるのじゃないかという心配があったり、国民の中で批判があることも承知をしています。もちろん、それはそれとして、しかし、国土交通省ができるのであれば、今まで各交通モードごとにばらばらであった交通政策、これを一気にということはあれかもしれませんが、これを機会に一本にまとめて、系統立った、二十一世紀の国土開発に本当に有効に、効率的に作用するような、そういう総合交通政策をつくらなきゃいけない、いや、その時期に今あるのじゃないか、こう思っているのです。  ですから、プラスに考えて、総合交通政策を何としてもつくっていきたい、いや、つくらなきゃいけない時期に来ている、そう思っているのですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  104. 森田一

    森田国務大臣 ただいまおっしゃられましたように、来年の一月の六日からは国土交通省が誕生するわけでございます。運輸省、建設省、国土庁、北海道開発庁と四省庁が合体いたしまして、道路と自動車と鉄道、こういうものが一体的に考慮できるようになってくるわけでございます。  そういうわけでございますから、巨大官庁という批判はありますが、総合的な交通体系を考慮するという意味におきましては、このような国土交通省というのも大いに意味があるというふうに考えておるわけでございます。  そして、これらの四省庁が一体となりまして、総合的な交通政策の実現に向けて力いっぱい取り組んでまいりたい、このように思っております。
  105. 日森文尋

    日森委員 その総合交通政策をつくるに当たって、どういう体制でやられるかということについては、今お考えがあるのでしょうか。
  106. 小幡政人

    小幡政府参考人 具体的な推進体制でございますけれども国土交通省設置に当たりまして、まず国土交通政策を総合的に推進する機関として、総合政策局、これが当たります。加えまして、総合的な交通体系整備を担当する局長クラスの政策統括官を設置することとしておりまして、これらの機関、組織によりまして、ハード、ソフト一体となった総合的な交通政策の推進を図りたいというふうに考えております。
  107. 森田一

    森田国務大臣 私は、その点につきまして、扇建設大臣と、大臣同士でも密接に協力して、協議していこうということについて合意を得ておるところでございます。
  108. 日森文尋

    日森委員 時間が来ました。  最後に要望です。  これまでも議論になったことなんですが、そういう総合交通政策、これをきちんと効率的にやっていくために、私どもは、ある意味では規制が必要だ、こう思っておるのです。その意味で、交通基本法というのを社民党もずっと提案してきました。これについてもこれからぜひこの委員会でも御検討いただくように、我々の方も大いに意見を出します、余り拒否的にならずに、大いに議論をしながら、法によってもきちんと総合交通政策をやろうじゃないかという体制をつくるために御協力いただきたいということを要望しまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  109. 赤城徳彦

    赤城委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十九分散会