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金田(英)
委員 大臣の御
見解、本当によくわかりましたし、一生懸命に取り組んでいただかなければならないというふうに思っております。
そもそも、非常事態法制を検討しよう、そういったときに相当の反論が出てくるのでございます。野党の一部にもそういうお
考えの方があるんだろうと思うのです。
何で非常事態法制を検討しちゃだめなんだというと、そういった非常事態になるということを回避するのは政治家の責任じゃないのかというような
考え方が一つあろうかと
思いますし、また、非常事態法制というのはそもそも国民の自由だとか権利を制約することなんで、そういったことを検討することはまかりならぬという
考え方が一つあろうかと
思います。また、そういった非常事態法制が乱用されることによって権限の集中だとか、権利の乱用があって独裁への道を開く、いわばワイマール憲法の話。そんなことで、こんなことは今やることじゃないとか。また、平和な時期、この平和な時点に、こんな有事だとかあるいは非常事態の法制を検討しようということについては、今これだけ平和なんだから、こんなことを議論することによって国内の混乱を招きたくないというような、遠慮みたいなことがあるんだろうと
思います。しかし、そういった
考え方は、我々政治に携わる者として決してとってはならない態度だと私は思うのであります。
そもそも非常事態、こういったのは、議会制民主主義の枠の中で何とかこういった非常事態をおさめなければならない、それが我々政治家の立場なんだろうと
思います。非常事態ということが出てきた場合に、法律に規定がないからこれは超法規的な立場で措置するんだとか、あるいは、緊急の事態であるからこれは許されるんだとか、法律にいろいろとぶつかり合いながらそれを無視して突っ込んでいくというのが非常事態、そんな
考え方もあろうかと
思います。何としても我々政治家として、立法に携わる者として、法律に抵触する事態を招かなければ自衛隊が行動できない、そういった事態を、常日ごろ、平和のうちに論議して、それを解決しておくことが必要だろうと
思います。
それが何で今こんな形になっているのかというと、やはりこういった非常事態法制に対する慎重論、反対論が国会の中に相当の多数を占めてあったということが一つと……(発言する者あり)うん、出した、出した。自由民主党が参議院選前に出して、それをまた我々もそういった主張をして選挙を戦ってきた者として、その公約を守るために、さらに私も一生懸命にその
実現のためにやらせていただこうというふうに思っています。
そもそも歴史的に
考えてみると、野党の皆さんに聞いていただきたいのですが、昭和四十年ぐらいに国会で問題になった三矢研究というのがありまして、それについて野党の皆さん方から相当の攻撃を食らってしまって、政治問題化されたという事態がありました。それについて、あつものに懲りてなますを吹くような状態が以降現出しておりまして、
先ほど長官からも
お話しされました、有事法制の研究はやらなきゃならないんだよというようなことでも、五十二年ですか、そんなことになった。福田総理から三原
防衛庁長官になったんだけれども、三原
防衛庁長官から、有事法制について勉強しなさい、研究しましょうと。ところが、やはり国会のあつものに懲りてなますを吹くような状態があったものですから、一定の枠の中で研究を始めざるを得なかった。これはシビリアンコントロールのもとでやるんですよとか、あるいは現行憲法下でやるんですよとか、これは今後の立法に対する準備ではありませんよ、これは単なる
防衛庁の研究としてやるんですよと、随分と腰が引けた、そういった形での有事立法の勉強になったわけであります。
そんなことでありますので、今
防衛庁長官からも
お話があったように、もうそろそろ国民の皆さん方がこういう有事法制をつくることについて大方御
理解をいただける状況が既に現出しているんだろうというふうに思うのでございます。
先ほど言われましたように、第一分類、
防衛庁所管のものについては昭和五十六年に既に公表されていて、こういうところが問題なんだよと。第二分類、他省庁の所管の分野については昭和五十九年に、こんなところを直さないと自衛隊は動けないよ、超法規的な行動をとるというのかな、法律にぶつかって自衛隊が円滑に動けなくなるよということが既に公表されているわけであります。その公表から、五十九年、第二分類からはもう十六年もたっている。それなのに、現実問題として立法化の動きが出てこない。第一分類については公表からもう十九年もたって、それは研究のスタートが、これは立法の準備ではないというような、及び腰な研究体制から始まったというところに原因があるんだろうなというふうに
思います。
しかし、これは及び腰だということで責めてばかりもいられないのでありまして、現実の問題であります。多分できるでしょう。いろいろな緊急事態があったときに、超法規的な措置だ、これは国民の皆さんに多分許されるだろうというような、国民に一定のその緊急の事態の中で許される行動だという形で、超法規的な行動として、あっちの法律、こっちの法律を踏みにじりながら危機管理に当たるということは、我々いかがなものだろうというふうに思うわけであります。野党の皆さん方にも聞いていただいて、ぜひ協力をいただきたいと思っておるものですから。そんなことで、有事法制については、これから相当の真剣な覚悟で——要するに、結局、議会制民主主義に対する危機が発生するということです。そんなことであります。
そういったことで、再度、この法制は急がなければならないんだというようなことについて、確かに立法の準備ではないんだという研究の
前提ではあるんですが、支障があるということはもう既に明らかにされているわけでありますので、これからどんな形でこの有事立法に取り組んでいくのか、そこいら辺についてもしお
考えがあるのであれば、
防衛庁長官、もう一度、申しわけないんですが。