運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2000-07-26 第148回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年七月二十六日(水曜日)    午前九時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         若林 正俊君     理 事                 亀谷 博昭君                 小林  元君                 須藤美也子君                 谷本  巍君     委 員                 岩永 浩美君                 岸  宏一君                 佐藤 昭郎君                 鶴保 庸介君                 中川 義雄君                 三浦 一水君                 森下 博之君                 郡司  彰君                 羽田雄一郎君                 藤井 俊男君                 峰崎 直樹君                 渡辺 孝男君                 大沢 辰美君                 石井 一二君    国務大臣        農林水産大臣   谷  洋一君    政務次官        厚生政務次官   福島  豊君        農林水産政務次        官        三浦 一水君    事務局側        常任委員会専門        員        山田 榮司君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   楢崎 憲安君        厚生省生活衛生        局長       西本  至君        農林水産省経済        局長       石原  葵君        農林水産省構造        改善局長     渡辺 好明君        農林水産省畜産        局長       樋口 久俊君        農林水産省食品        流通局長     西藤 久三君    参考人        雪印乳業問題全        国団体対策本部        副本部長     宮田  勇君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林水産に関する調査  (酪農乳業問題に関する件)     ─────────────
  2. 若林正俊

    委員長若林正俊君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会農林水産省経済局長石原葵君、同構造改善局長渡辺好明君、同畜産局長樋口久俊君、同食品流通局長西藤久三君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君及び厚生省生活衛生局長西本至君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産に関する調査のため、本日の委員会雪印乳業問題全国団体対策本部本部長宮田勇君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 農林水産に関する調査のうち、酪農乳業問題に関する件を議題とし、政府から報告を聴取し参考人から意見を聴取した後、質疑を行うことといたします。  この際、宮田参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。宮田参考人から酪農乳業問題に関する件について忌憚のない御意見をお述べいただき、調査参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  それでは、まず政府から報告を聴取いたします。谷農林水産大臣
  7. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) このたびの雪印の食中毒問題につきましては、大変遺憾なことと存じております。農林水産省といたしまして、この対応につきましては厚生省十分打ち合わせをいたしまして、両省ともども対応していくということを強く大臣間で話を決めております。  そこで、農林水産省対応につきましては、まず牛乳並びに牛乳製品消費減退につながってはいけないというふうな観点のもとに、そういう施策につきまして全面的に強くバックアップをいたしております。  同時に、第一に問題になりますことは、今回の被害者が余りにも多い、一万四千人を超えるというような状態でございますから、こういう状態を再び繰り返さないように、何としてでも二度と繰り返さないということが第一でございますので、この点につきましてはこの被害者の一万四千人以上の方々に対しまして手厚い保護をしてあげる必要があろうと、こう考えまして、そういう指摘につきましても、両省通じてこの問題についての対応を十分やるようなことを強く雪印当局にも言っておるわけであります。  そして、我々は、先ほど申し上げました牛乳並びに牛乳製品消費減退にならないように、この際徹底的に究明をして、そしてその対応をやっていきたいと考えております。同時に、酪農民方々が安心して生活できるような立場から、この雪印供給していらっしゃった方々、並びにその関連の方々、等々の方々に対しまして、十二分に配慮するよう会社当局に申し上げるのはもちろんのこと、その業界組合に対しましてもそういう指摘をいたしまして、減退につながらないよう、また生産意欲減退にならないよう、そういうことを十二分に配慮しつつ、きょうまでの処置を講じてきたわけでございます。  先ほど申し上げたとおり、厚生省分野並びに農林水産省が受け持つ分野等々がございますので、その点につきましても両省が相提携しながら、積極的に、しかも二度とこういう状態が起こらないようにということを十分念頭に置いてやっておることは申すまでもございません。そういうことでございますので、今後の処置につきましても、最後のところまで、こういう問題について全般的な酪農界全体並びに生産会社全体の立場から、そういうことを強く訴えておるわけでございます。  以上でございます。
  8. 若林正俊

  9. 三浦一水

    政務次官三浦一水君) 雪印乳業食中毒事故に関する農林水産省対応状況について御説明を申し上げたいと思います。  まず、今回被害を受けられました多くの方々に私からも重ねて心からお見舞いを申し上げたいと思います。  食品安全性につきましてはこれまでも必要な指導等を行ってきたところでございますが、今回このような事故発生したことは極めて遺憾であります。  本件につきましては、発症者が一万四千人を超えるという大規模被害となりました。また、その影響牛乳乳製品消費全体へ拡大することが懸念されることから、去る七月六日、省内におきまして雪印乳業食中毒問題対策本部を設置いたし、関係機関団体等連携情報収集を行うとともに、生乳需給調整衛生管理危機管理指導徹底消費者への適切な情報提供等を行っているところでございます。  また、七月十日には石破総括政務次官と私とで現地大阪視察に参りました。現地では、大規模小売店舗牛乳売り場視察乳業及び生産者団体との意見交換等を行いました。この視察により、消費者牛乳に対する不信感及び生産者生産縮小への不安感が大きいことを痛感し、農林水産省としてはこれらの不信感不安感の解消について対応を図るべきであるとの考えを持った次第でございます。  今回の事故に伴う雪印乳業市乳工場操業停止により同社乳業工場への配乳は大幅に減少をしておりますが、他の乳業メーカー工場への配乳変更が円滑に行われており、また現在は飲用需要が好調な時期でもあり、現在のところ生産者に対する大きな影響は生じておりません。  農林水産省としては、これまで随時生産者団体乳業メーカー等に対し円滑な配乳等に万全を尽くすよう指導を行ってきたところであり、今後とも需給動向を慎重に見きわめながら、生乳安定供給に努めてまいる所存であります。  次に、今回の事故により、関係する牛乳販売店消費者から商品を断られたり取扱量減少するなどの事態が起きており、現在雪印乳業販売店団体他社製品代替供給などの対応を進めております。引き続き、販売店への影響を見きわめつつ、乳業者間での協議、協力体制の構築が図られるよう指導してまいる所存であります。  さらに、今回の問題が牛乳乳製品への消費者不信感を招いたことは遺憾であります。今後、今回の問題がその消費減退につながることがないよう、厚生省乳業工場に対する一斉点検の結果等を踏まえ、牛乳乳製品が安全かつ衛生的に供給されていることを消費者に広く周知徹底し、早急に消費者信頼回復に努めてまいりたいと考えております。  今回の事故による生産者販売店への影響につきましては、まずは雪印乳業責任を持って対応すべきものと考えておりますが、農林水産省としても、現在関係者意見を十分聞きながら今回の問題に伴う対応策を取りまとめているところであり、今後関係機関団体等連携を図りつつ適切に対処してまいる所存であります。
  10. 若林正俊

  11. 福島豊

    政務次官福島豊君) 雪印乳業食中毒事故につきまして、事故概要厚生省対応等につきまして、お手元の資料に沿いまして御報告をさせていただきたいと思います。  まず初めに、今回の雪印乳業食中毒事故におきまして被害を受けられた多くの皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。今回の事故につきましては、食品安全性を所管する厚生省としまして、まことに遺憾であると考えております。  事故概要でございますけれども、今回の食中毒事故は、六月二十七日以降、雪印乳業大阪工場製造いたしました低脂肪乳等を喫食した消費者が嘔吐、下痢等の症状を呈したものでございます。現時点での被害状況は、一万四千七百十三人が体調不良を訴え、百九十三人が入院をし、うち七月二十一日現在で七人が入院中となっております。原因物質は、黄色ブドウ球菌の毒素とされております。  大阪市は、低脂肪乳等について回収命令措置を講じるとともに、当該工場に対して七月二日付で営業禁止処分としたところでございます。また、雪印乳業においては、営業禁止処分とされた大阪工場以外の全国二十工場操業を一時停止いたしておりまして、現在自主点検実施中でございます。  今回の雪印乳業大阪工場衛生管理上の問題点といたしまして現時点で判明している内容といたしましては、一、逆流防止弁洗浄不良、二、仮設ホースによる配管の使用、そしてまたそのホース洗浄不良、三、温度管理が行われていない屋外での脱脂粉乳溶解機による調合作業、四、品質保持期限切れのおそれのある製品の再使用、そして五がHACCP虚偽申請が挙げられております。  厚生省対応でございますけれども、六月二十九日、大阪市からの連絡後、直ちに雪印乳業本社に対しまして自主回収徹底等を指示いたしました。そしてまた、担当官現地派遣を六月三十日に行い、政務次官及び生活衛生局長による現地調査を七月七日に実施いたしております。そしてまた同日、生活衛生局長本部長といたします雪印乳業食中毒事故対策本部を設置いたしました。前後いたしますけれども、それに先立つ七月三日に全国乳処理施設の緊急一斉点検の指示をいたしております。そして、この雪印乳業大阪工場に対しての総合衛生管理製造過程HACCPでございますが、この承認の取り消しを七月十四日に行い、さまざまな対応を講じてきたところでございます。  ここで、全国乳処理施設の緊急一斉点検につきまして申し上げますが、七月二十四日に最終報告を取りまとめさせていただきました。  その主な内容は、全国七百四十七施設のうち七百四十三施設については製造自粛指導もなく衛生上重大な問題が認められなかった。そして、製品異臭等の苦情があった四施設についても現在までに改善確認をされております。五百六十一施設については、記録の実施等衛生管理上の指導を行ったこと、ということをこの報告に盛らせていただいております。  今後の対応につきましては、まず第一に、全国乳処理施設安全点検を早急に進め、乳製品に対しての消費者信頼早期回復を図ることが何よりも重要であるというふうに考えております。  雪印乳業乳処理施設二十工場につきましては、自主点検後の厚生省職員による現地調査実施いたしておりまして、今後、専門評価会議での調査結果の評価安全性確認を踏まえ安全宣言をする予定といたしております。その第一弾といたしまして、十工場につきましては、七月二十五日、昨日でございますが、専門評価会議評価が終了いたしまして安全性確認が行われたところでございます。残りの十工場につきましても、八月二日を目途調査結果の評価安全性確認を行うことといたしております。  また、雪印乳業以外の全国乳処理施設におきましても、今回の一斉点検指導いたしました施設につきましては、八割以上の施設改善終了または七月中に改善終了予定でございます。残り施設につきましても八月中を目途改善を終了する予定となっております。  次に、HACCP承認制度につきましては、この一層の充実を図り再発の防止に努めることが必要であるというふうに考えておりまして、このため、承認後の監視、指導の強化について検討することといたしております。  また、加工乳等乳製品の再利用のあり方につきましては、有識者による検討会において検討することといたしております。  以上、御報告させていただきました。
  12. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 次に、宮田参考人から意見を聴取いたします。宮田参考人
  13. 宮田勇

    参考人宮田勇君) 全中酪農委員長全国団体対策本部の副本部長をやっておりますJA北海道中央会会長宮田でございます。  今回の雪印乳業の中毒問題につきましては、生産者取り組み並びに現段階で考えられます生産者としての課題などにつきまして御報告をさせていただきます。  まず、生産者団体取り組みについて御報告をさせていただきます。  本問題につきましては、今後の事態の推移によりましては消費者の不安がさらに拡大し、牛乳乳製品全体の消費減退生乳生産量削減など、真摯に酪農に取り組んでおります生産者への影響が懸念をされます。  今回の問題発生後、我々生産者団体といたしましても、生産者が安心して酪農に取り組めるよう徹底した情報収集提供、的確な対応を図るため、七月七日に全中原田会長本部長に、全中全農全酪連、全共連、農林中金、中央酪農会議など主要な全国連と関係団体による雪印乳業問題全国団体対策本部を設置いたしました。  また、生乳の安定的な供給支障が生じることがないよう、中央酪農会議全農全酪連指定団体などによる体制を確立し、雪印操業低下に伴う円滑な指定団体間の配乳調整などに精力的に取り組んでおります。こうした取り組みを早急に講じたことにより、現在、生産段階におきましては大きな混乱もなく、牛乳乳製品の安定的な供給は確保されていることと考えております。  次に、我々が考えておりますこの問題に関する課題につきまして述べさせていただきます。  生産者はこれまで新鮮で安全な牛乳を安定的に供給することについて努力を傾注してまいりました。しかし、今回の雪印問題により、牛乳乳製品安全性に対する信頼の失墜、全体需要減少加工原料乳処理量の増大など、生産者は大きな不安と危機感を抱いております。  第一点目の課題といたしましては、牛乳乳製品に対する信頼回復取り組みでございます。生産者といたしましては、何よりもまず消費者皆様からの信頼回復につきまして万全を期することが必要と考えております。具体的には、今後二度とこのような事故発生しないよう、牛乳乳製品工場品質衛生管理徹底につきまして政府の強力な指導が必要と思います。また、このような混乱早期に収束させるため、処理工場点検による万全の安全確認を行うとともに、業界全体としての安全宣言をできるだけ早く実施する必要があるものと考えております。  さらに、消費者皆様に対しましては、我が国の基礎的食料であり完全栄養食品であります牛乳乳製品安全性をPRするなど、信頼回復に向けた広報対策実施が必要と考えております。とりわけ乳業者につきましては、このような問題の発生を契機に、安全操業徹底のみならず、酪農乳業界の転機としてとらえ、生乳使用拡大を図り、生乳使用率を明記するなど、消費者生産者から信頼されるような乳業者となるよう改革をしていただきたいと考えております。  第二点目の課題といたしましては、余乳対策など万全の需給調整対策でございます。  酪農の特性として、生産者は牛を飼っている以上どのような事態が生じても毎日牛乳を搾らなければなりません。生産者は、雪印乳業操業停止に伴いまして、この牛乳処理が円滑かつ確実に行われるかどうか、生産経営への影響が生じないかどうか、大変不安を抱いております。生産者団体といたしましては、大きな需給変動が生じないよう毎日配乳調整に取り組んでおりますが、円滑に取り組むことができるよう政府の支援が必要と考えております。  また、現在、乳業生産者団体ともに大量のバター在庫を抱えております。当面はこの処理が大きな課題となっておりますが、本問題によりましてさらなるバターなどの乳製品過剰在庫発生しないように需給対策在庫対策が必要と考えております。  第三番目の課題は、消費拡大対策でございます。  今回の問題に端を発して、雪印乳業のみならず、牛乳乳製品全体の消費減退が生じるのではないかと生産者は大きな不安を抱いております。仮にそのようなことが生ずることになれば、全体生産削減、つまり減産での計画生産実施といった事態になれば、生産者生産経営の安定に大きな支障が生じることになります。現時点は、牛乳需要期であり、天候も良好なことから、目に見えた消費減退は生じておりませんが、今後予期せぬ状況発生することも考えられます。牛乳乳製品信頼回復する対策のほかに、牛乳乳製品消費拡大を図る対策につきましてもこれまで以上に取り組むことが必要と考えております。  最後に、平成十三年度から新たな酪農制度に移行することになっております。新鮮で安全な牛乳を安定的に供給していくためには、新たな制度のもとで今まで以上に生産者乳業者連携をしていかねばならないものと考えております。  この問題は雪印乳業の問題であることは間違いありませんが、その影響を考えますと、一乳業者の問題のみならず、生産者消費者など国民的な問題ではないかと考えております。このため、生産者乳業者が一体となって信頼回復に努めなければならないと考えておりますので、先生方の御指導をいただき、万全を期していただきますようお願いを申し上げまして、私の報告とさせていただきます。
  14. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 以上で政府からの報告聴取及び参考人からの意見聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 中川義雄

    中川義雄君 自由民主党の中川義雄であります。  今回のこの雪印事故、私はそれを聞いて何とも言えない怒りを感じたものであります。  御承知のように雪印乳業というのは、北海道農業の中興の祖と言われている黒沢酉蔵先生佐藤貢先生が、北海道の冷涼な気候の中で米などをつくっていたら北海道の将来はなくなる、気候風土が非常によく似ているデンマークなど北欧の農業、それを取り入れて、何としても北海道農業に活力を求めたい、そのためには幾ら酪農だけを振興してもやはりその販路をしっかりとつくらなければならないということで、生産者がみずからつくった会社なんです。  生産組合としてつくり、酪農の振興のためにつくった会社が、何かこの経過を見ていますと、そういった創業の理念から外れて、もうけることを中心にしてきている。そのためには一番大切なものまで忘れるような、手抜きするような事故ではなかったのか。そんなことを考えますと、私は、北海道ばかりでなくて、ここまで来た日本の酪農の将来を考えたときに、メーカー社会的責任というものをしっかりこの機会に持っていただかなければならない、そう思っているわけです。  ですから、今回のこの事故が、なぜこんなばかげた事故が起きたのか、その要因だけはしっかり押さえなければならないと思いますので、その要因厚生省や農林省がどのようにとらえているのか、まず伺いたいと思います。
  16. 福島豊

    政務次官福島豊君) ただいまの中川先生の御指摘は、深く共感を覚える次第でございます。  食品衛生行政担当いたします厚生省としましては、今回の雪印乳業食中毒事件につきましてはまことに遺憾であると、そのように重ねて申し上げさせていただきたいと思います。  今回の食中毒事件原因につきましては、現在、担当の自治体であります大阪市、そしてまた大阪府警調査中でございまして、両者の究明の結果というものを待たなければならないというふうに考えておりますけれども、現在までに大阪市から報告がありました主な問題点といいますのが、先ほども申し上げましたけれども、手洗浄で行っている逆流防止弁分解洗浄についてその実施頻度というものが不足をしておった、そしてまた仮設ホース洗浄というものも不足しておった、そしてさらに温度管理が行われていない極めて高温な屋外での調合作業というのも行われていた、そして品質保持期限切れのおそれがある製品の再利用もなされていた、こういうところが問題であるというふうに考えております。
  17. 三浦一水

    政務次官三浦一水君) 食中毒事故発生要因につきましてのお尋ねであります。  今回の食中毒事故につきましては、現時点では雪印乳業大阪工場においてバルブホース洗浄不足等、本来の衛生管理がきちんと守られていなかったこと等が主な原因指摘されております。また、今回の問題は、たとえ衛生管理マニュアルがそろっていてもそのことをきちっと守らなければないに等しいということが言えるということであります。さらに、一度事故発生した場合の危機管理仕方いかんによっては重大な事態を招きかねないことを教訓していると言えると考えております。  農林水産省としましては、乳業メーカーが今後とも牛乳乳製品品質安全性の確保について徹底するよう厚生省連携をとりつつ指導してまいりたいと考えております。
  18. 中川義雄

    中川義雄君 今、厚生政務次官のお話を聞きますと、生産工程の中でバルブ等洗浄が行き届かなかった。まさに、私はそれがなぜそんなことになってしまったのかということを考えたとき愕然としたのは、今回の発生した事故というものは、本来牛乳を一般の国民に提供すべきメーカーがほとんどまがいものをつくっていて、そのまがいものをつくる過程においてそういった事故が起きたということを聞いてびっくりしているわけです。  ところで、大阪工場においては実際に牛乳製造していなかったのかどうか。今回、大阪工場から出たものの中のすべてが加工乳だとかまがいものであります。牛乳はつくっていなかったのかどうか、それが肝心なんです。牛乳からは一つも事故が出ていないとしたら、なぜまがいものをつくるときに事故が出てきたのかということを我々は見ていかないとならないと思いますので、その点いかがなものでしょうか。
  19. 西本至

    政府参考人西本至君) 今回の雪印乳業株式会社大阪工場におきましては、ただいま御指摘ございましたように、牛乳それから低脂肪乳などの加工乳と呼んでおります、それからコーヒーなどの乳飲料、それからヨーグルトなどの発酵乳等が製造されていたということでございます。  また、今回の食中毒事故におきましては、加工乳、乳飲料、発酵乳、この対象品目につきまして大阪市が回収命令の措置を講じているところでございます。  原因食品につきましては、最終的には原因究明も含めて大阪市で調査中でございまして、今後の結果を待ちたいと考えているところであります。
  20. 中川義雄

    中川義雄君 このことについては、先ほど要因については生産工程のこういう過程のこういうところであったという表面的な話ですが、私はやっぱりもっと本質的なことを考えると、牛乳牛乳として市民に提供しないで、生産工程を省略しながら、いわば、私もよく知っておりますが、加工乳などというと格好いいんですが、ほとんどは脱脂粉乳を水で溶かしてそれにバターを入れたりして適当につくっているのがそうなんです。  今回も、その脱脂粉乳を溶解したりなんかしてそれをタンクに詰めたりするそういう過程事故が起きたというのは表面的なもので、本来牛乳を売らないとならないメーカーが、安くて利益の大きいまがいものを、それを提供するために懸命に努力した。そんなことが、例えば雪印の宣伝文句を見ますと、「毎日骨太」などといって一般の消費者はほとんど牛乳だと思って飲んでいたのが、実は今回の事故はほとんどまがいもので起きていたということだけはきちっとやはり認識しなければならないと思うわけであります。  ところで、今回の大阪工場はいわゆる総合衛生管理製造過程HACCP承認を受けた工場だと言われております。この承認を受けた工場でこういう事故発生した。これは一般的には、HACCP承認を得るということは、消費者が安心して、国際的にも認知されたそういう工場なわけであります。そこでまた発生したということに私は重大な関心を持っているわけですが、認可した厚生省当局としてこれを事前にチェックできなかったのか、チェックできなかったとしたらなぜなのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  21. 西本至

    政府参考人西本至君) 総合衛生管理製造過程、いわゆるHACCPと私ども呼んでおりますが、これは御承知と思いますが、製造者がみずから定めた製造工程を自主的に管理する、こういうことによりましてより高度な安全性を確保しようとするシステムでございます。その承認の際にも、我々といたしましては申請者側に一定の信頼を置いていた、これを前提としていたというのは事実でございます。  この総合衛生管理製造過程承認審査におきましては、申請者から提出していただいた書類について審査をいたしまして、厚生省または都道府県等の職員が現地調査実施するということになっております。書類審査に当たりましては、申請者が製造や加工の工程を正しく記載いたしますとともに、立ち入りを行う際にも申請者がそのことについて適切に説明するということが前提になっておるわけであります。    〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕  しかしながら、本件の場合につきましては、厚生省が行いました書類審査の申請書類に問題のバルブあるいは仮設ホースを含むいわゆる戻し乳のラインが書かれていなかった、あるいはまた屋外における調合作業といったようなことも記載されておりませんでした。  以上、大阪市が行いました現地調査の際にも、この点についての説明がなかったということが確認されている次第でございます。
  22. 中川義雄

    中川義雄君 その辺がちょっとわからないのでして、一般の消費者は、HACCP承認を得ている、そこでつくられているものは安全だと信じて、そしてそのことによって信頼をしながらやっていた。それはなぜかというと、行政が介入しているから、承認厚生省なら厚生省がしているから、行政がチェックしているから安全だという、そういう裏の中で考えていると思うんです、そういう裏表の関係で。  しかし、それが守られていなかったのか、その工程を省略したのか、または工程に新たな手を加えたのか、それは今回の調査で明らかになっていると思うんですが、その点、何かHACCP承認を受けたときと途中で手をかえてその変更を届けていなかったのか、届けていたが、今言ったように今回の事故はほとんどその書面に出てきた工程にないところで発生しているわけですから、それをチェックできなかったその要因について、もうちょっと明らかにしていただきたいと思うんです。
  23. 西本至

    政府参考人西本至君) 今回のこの戻し乳のラインあるいは屋外における調合作業等は、先ほど申し上げましたように、総合衛生管理製造過程の申請資料には記載はされておりませんでした。また、申請者からも適切な説明がなかったことが判明いたしております。この戻し乳のラインにつきまして、HACCPの一部を承認を受けずに変更したと我々は判断せざるを得ないわけでございます。したがいまして、この点で雪印乳業大阪工場HACCP承認を取り消させていただいた、こういうことでございます。    〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
  24. 中川義雄

    中川義雄君 その雪印の関連企業の中で最もびっくりしたのは、この検査の過程で京都工場、神戸工場でハイファットクリームチーズ、我々は、ハイファットクリームといってバターのまがい品が流通に乗っているんじゃないか、こんなことがあってはいけないという話を随分、農林省当局その他に部会等での議論を通じて、それを押さえぬとならないとこう言っていた。それがこの雪印工場の中で発見されたというのは全くショックなんです。しかも、期限切れのものであったと、それが。そういうことを聞いたとき、そこになぜ置かれたのか、雪印としてはそれを何か利用していたと思うんですが、何に利用していたのか。  バターまがい製品ですから、バターが在庫で困っているときにバターのまがい製品雪印工場の中で発見されたということは、これは重大なことなので、この点について厚生省と、もし農林省にも所見があったらお聞かせいただきたいと思うんです。
  25. 西本至

    政府参考人西本至君) 御指摘のこのハイファットクリームチーズでございますが、今回私ども現地調査させていただきましたその結果によりますと、雪印乳業株式会社京都工場及び神戸工場におきましては、乳飲料の「毎日骨太」の原料に使用していたということが判明いたしております。
  26. 中川義雄

    中川義雄君 農林省の見解がありましたら。
  27. 樋口久俊

    政府参考人樋口久俊君) ハイファットクリームチーズについてお尋ねがございましたので、私どもの現状について御説明申し上げます。  お話ございましたように、ハイファットクリームチーズというのは、現在の関税分類ではチーズということで分類をされておりますが、私どもとしてはそうじゃないんじゃないかということでございまして、世界税関機構というところにHS委員会というのがございます。ここに、これは違う分類にすべきだということで再検討を要請しておりまして、本年の三月末の委員会では、本製品はチーズではなくてバター類似のデイリースプレッドという分類がございまして、ここにすべきであるという決定がされております。  しかし、この判断に対して豪州側から異議の申し立てということがされておりまして、私どもとしましては、この点についての審議がされます秋の委員会に向けて、さらに私どもの主張が取り入れられるよういろんな形で努力を続けているという状況でございます。
  28. 中川義雄

    中川義雄君 今、局長のお話、後から聞こうと思ったやつを先に答えていただきましたわけで、聞きたかったのはそういうことじゃなくて、ハイファット対策じゃなくて、なぜ雪印工場内にそれが置かれていたのか、その辺のことをきちっとしないと。いいですか、我々は再三、農林部会等で、このバターまがい品がチーズという名前で輸入されてきている、実際は使われているのはバターの類似品として使われているのではないか、そう言っていたんですよ。それをしっかり追跡して、それでそういうものをきちっと押さえて国際的な場で議論しなさいと言っていたわけですよ。  ところが、今聞いても、骨太牛乳の中でやはりバターのかわりに入れたと思われていいわけでありまして、なぜかというと、チーズというとほとんどたんぱく質でありまして、脱粉もほとんどたんぱく質ですから、脱粉を溶かしてそれにチーズを溶かす必要がないんです。しかし、どうしても脂肪分が少ないからバターを溶かすんだけれども、バターのかわりに脂肪分としてハイファットチーズを使ったと見るのが私は正しいと思うんです。  その点を農林省や厚生省当局がしっかりと押さえないと、例えば国際会議において、我が国ではこういうふうに使われていたということを立証しないと主張が通らないわけですから、これは調査していなかったら仕方がありませんが、これは今後ともしっかり調査をしていただきたいと思うんです。なぜそこに置かれていたのか、何のために、この使用目的は何だったのか、そういうことを明らかにすることが、私は、将来の国際問題の解決にも役立つわけですから、その点をしっかりしていただきたい、こう思うわけであります。  また、最近の動向を見ますと、平成六、七年ごろはいわゆる牛乳というのが結構飲まれていてピークになって、この四、五年ががたがた低下しているんです。そのかわりにいわゆる発酵乳だとか、または乳飲料といったものがふえてきている。発酵乳については私はそれなりのしっかりした製品であるからいいと思うんですけれども、問題は乳飲料でありまして、これはまがい品であります。  私自身もスーパーなどに行ってみましたが、牛乳といわゆる乳飲料とどこがどういうふうに違うのか、パックを見ただけでは、また飲んでみたってほとんどわからない。値段もほとんど同じということであります。  そういうことで、このまがい品が最近になってずっと伸びている理由はどこにあるのか、農水省の見解を伺いたいと思うんです。
  29. 樋口久俊

    政府参考人樋口久俊君) 近年、牛乳乳製品全体の消費量はほぼ横ばいでございますが、今お話のございましたような状況にございますので、その要因を少し分析してみろということでございますから、私どもが今考えているところをお話ししたいと思います。  まず、牛乳自体の消費量は減少してきております。この要因としましては幾つかございますが、一つは、消費者の脂肪離れというのが一つ背景にあるんだろうと。それからもう一つは、いろんな飲料が供給されるようになってきております。特に最近では小型のPETボトルというものによります普及が消費を伸ばしていると考えられておりまして、例えばお茶とかそういうものまでもPETボトルで供給されているということで、ほかの飲料との競合が強くなってきている。それから三つ目が、学校の児童数が減少してきておりまして、学校給食向けの牛乳消費量の減少ということが牛乳消費量の減少につながっているというふうに考えております。  片方で、乳飲料とか発酵乳、これはヨーグルトなんかが中心なんですが、の消費量が増加をしてきております。この要因は、一つは、乳飲料につきましては先ほどの脂肪離れの逆でございますが、低脂肪のタイプとか、今回いろんな形で話題になっておりますカルシウム等の機能強化をしたもの、そういうタイプのもの、これらなど、健康志向を背景にそういうものを踏まえた商品が消費を伸ばしてきているということでございます。  また発酵乳、これは先ほど言いましたようにヨーグルト等が中心でございますが、大型パックの容器に入った半固形タイプの製品というものが出回るようになってきた。それから、栄養価や効用についてたびたび人気テレビとかそういう番組で取り上げられて、それにいろんな形で消費者が流れていったということ。それから、例えばフルーツを添加するとか、いろんなさまざまな商品開発がされている。  こういうことが乳飲料、発酵乳の増加の要因ではなかろうかと私どもとしては考えているところでございます。
  30. 中川義雄

    中川義雄君 僕は、局長、本質を見失っていると思うんですよ、それは。現象面だけで言っているんです。メーカーも同じことを言っている。あなたの言っているのを聞いたら、メーカーが言っていることをあなたが代弁して言っているみたいなもので、いいですか。  それでは、ちょっと明らかにしていただきたいんですが、例えばこういうまがい品、乳飲料などの生産コストを考えたとき、同じ乳飲料でも牛乳を一〇〇%使っているものと脱粉を一〇〇%使っているものとでは、一リッター当たり二十円ぐらいの製造原価に差があるというんです。いいですか。しかし、私も行ってみましたが、本当の牛乳とこのまがいものとが店頭では同じ値段で売っているんです、同じ値段。そうすると、メーカーはリッター二十円も安かったらそれを売る。これが問題なんです。そして、その売る過程において、「毎日骨太」だとかなんとかと言ってテレビで消費者がそこに向かうように向かうように宣伝し、そして低脂肪牛乳も同じです。脂肪が多いと動物性の脂肪で悪いから脂肪をのけた方がさもいいようなテレビ番組をつくったりして、盛んに利益を求めて行動したことが私はこの要因であって、その末梢の事象だけ、時点だけとらえて言っちゃいけない。  やっぱり問題は、さっき私が言ったように、メーカーが創業の精神を忘れて利益追求主義に行ったことが私は最大の要因だと。そのことを行政当局も肝に銘じてやっていかなければ本質的な解決にならない、これは強く指摘しておきたいと思います。  それからまた一方、量販店にも大きな責任があると思うんです。  私も行ってみてびっくりしたんですが、横にフランス製の水か何か、水も置かれておりました。牛乳と水で、牛乳の安売りをやっていたら牛乳の方がはるかに安い。それを堂々としてお客集めに使っている量販店。どう考えてもあんな安い値段でどうして売れるのかと思われるような、これはかなり量販店がメーカーやその他に無理を言って、期限切れたら返すとか、またはそれを安く売るとか、そしてしかも返していた事実も明らかになっている。返したものですから大阪工場でもその他の工場でも、それをまたつくり直してレッテル張りかえて新しい牛乳にして出すなどという、これはまさにとんでもない、モラルなどどこかへ飛んでいったような利益追求の姿がそこに出てきているわけです。しかし、それもメーカーばかりの責任ではなくて、最近量販店が非常に強くなって、量販店が自由に返せる、そしてまた自由に安く売れる、そういうことが要因だと思われるんです。  その点、公正取引委員会としてこの問題を重大な案件として取り上げるべきと思うんですが、正当な競争を阻害するようなそういうものは排除していかぬとならないと思いますが、公正取引委員会、どういう見解をお持ちでしょうか。
  31. 楢崎憲安

    政府参考人楢崎憲安君) お答えいたします。  今、二点御質問があったわけでございますけれども、第一点は牛乳の特売でございますけれども、私ども公正取引委員会といたしましては、いわゆる不当廉売につきましては周辺の小売業者に対する影響が大きいということで、苦情等が来ましたら迅速に対処するというふうな処理を行っているところでございます。  先生御承知のように、牛乳の安売り、不当廉売の問題は、五十年代の後半ぐらいからスーパー等で非常に安売りが行われて、たくさん苦情が公正取引委員会に参ってきたわけでございますけれども、最近では従来のように安売りだと、不当廉売だという苦情は少なくなってきております。しかしながら、中小事業者に大きな影響を及ぼすということで、苦情がありましたら私どもとして迅速に処理しているところでございます。  また、返品等の問題についても、返品が直ちに問題だということじゃございませんで、独占禁止法上の優越的地位の乱用ということに当たれば対処可能なわけでございますけれども、この優越的地位の乱用の問題については不当廉売のように苦情が来るわけじゃございませんので、公正取引委員会としても、牛乳を含め食料品あるいは衣料品等、大規模小売業者と納入業者との取引の実態がどうなっているのかどうか、優越的地位の乱用があるのかないのかという実態把握に努めているところでございまして、今後とも牛乳等も含めまして取引の公正化と不当な返品がないようにというふうな観点からも調査を行っていきたいというふうに考えております。
  32. 中川義雄

    中川義雄君 本だとかそういうものの再販と違いまして、牛乳には日付がついているんです、賞味期間という。それを知っていて量販店も購入して、だれの責任かたくさん品ぞろえして、こんなに自由に返せるんだから幾ら仕入れたっていいわけです、返せるんですから。そういう不当な取引を許しておいてはいけない。そして、しかもそれが今回の調査で明らかになったように、メーカーがそれを再利用するというような、苦し紛れだと思うんですが、再利用するというような事態が明らかになった以上は。  それから、不当廉売については最近苦情がないと言うけれども、もう恒常化してしまったから、もうあきらめて文句も言いたくなくなったというだけの話で、それだからいいというふうなことではないと思いますので、これを契機にして公取といたしまして毅然とした態度でこの問題を扱っていただきたいと思います。  それからもう一つは、メーカーに許せないことが、先ほどのハイファットクリームチーズと同じような問題ですが、低脂肪志向だと、こう言うわけです。ですから、従来の牛乳からバターをとって脂肪分を低めて加工乳その他で売っているわけですから、そうすると必ずバターができるわけです。  この辺が問題で、バターをとった後の、残って、しかも加工乳を使ったやつは安いわけですから、それが安く消費者提供されていたというんならわかるんです、メーカーもそれだけ安く消費者提供したら。同じ値段で提供しているんです。そうするとどうなってくるかというと、必ずそこの製造過程バターが出てくるわけです。脂を抜くわけですから、脂を抜いたらバターが出てくる。それを、メーカーは平気で出てきたバターバター市場に繰り入れているという事実なんです。だから、バターが在庫で困っている。その大きな要因にこれもあったということが明らかなんです。  しかも、農林省の皆さん方も知っていると思いますが、メーカーは余ってくるといろいろと生産者に注文をつけて生産者に返しているんです、バターを。北海道酪農民で何百キロというバターメーカーから返されて、農家は何ぼあれしても何百キロのバターを、店も持っていない何も持っていない農家に返すようなそういう不当な行動を、メーカー生産者団体を通じてしわ寄せを生産者、農家にやっているこの事実を考えたとき、まがいものをつくるために出てきたバターぐらいは投げるか動物のえさにするか。バターとしてそれを生産者に返すような、こんな仕組みだけはやっぱり農林省の責任でこれはしっかりと排除しなければならないと思いますが、その点の考え方はいかがでしょうか。
  33. 樋口久俊

    政府参考人樋口久俊君) 今回、現在のところは配乳調整はうまくいっておりますが、将来の確定的な見通しは非常に難しい中で、お話しのとおり、本来、飲用に回るべきものが加工に回るという懸念はされているわけでございまして、そういうことがあった場合には生産者の皆さんに御迷惑をかけないような仕組みにしないといけない、それは念頭にあるところでございます。
  34. 中川義雄

    中川義雄君 どうも今のお話だけじゃとても納得できないんです。  私は、やっぱり大臣大臣のこの問題に対する、そのバターの在庫が生産者、要するに農水省としては一番大切にしなければならないのは農業者だと思うんです。農業者を守る角度から、こんなばかげたメーカーの利益追求主義によってできたこういう問題、メーカーはすぐ消費者がそう志向しているからなんて、消費者をそういうふうに誘導しているのはメーカーなんですよ。しかも、それが正しい商品だから高く、安くできているものを結構高く売っているから、メーカーは本来の牛乳をつくるよりまがい品をつくった方がいいということで売っている。そして、それが酪農民に大変なダメージを与えているんですから。  大臣、その点について大臣の基本的な姿勢、これをぜひお聞かせいただきたいと思うんです。決意です。
  35. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) ただいま中川委員の方から大変詳しい地元の問題についてのお話でございますが、確かに今おっしゃることはよくわかる話なんですけれども、現実の問題として、業界がまがいものと等しいものをつくって、それで利益を確保しておるということもあろうかと思います。確かにその点については我々も理解をするところでありますけれども、現実の問題として、それをやはり厚生省と農林省が十分連絡をとりながらそういうものに対応することを考えなきゃならないと、こう思っておりますので、今最後にございました、余ったものができたら引き取り手は酪農家だということになりますと、一方的に酪農家がいじめられておるということしか言えません。  そういうことを考えますと、いわゆる酪農家もそして消費者と直結していらっしゃる製造業者の方々もともに生きるという立場でやっていただかなければ、一方的に酪農家がいじめられたり、あるいは酪農家が、やはり利益追求のために会社がどんどん厳しいことをおっしゃっても無理でございますから、両方が相まってともに共存するという立場でやってもらわなきゃならないと、こう思いますので、そこらあたりの判断を、いましばらく厚生省農林水産省の方で十分連絡調整をとってやらせていただきたいと、こう思っております。
  36. 中川義雄

    中川義雄君 大臣、行政的にいろんなことを考えたら難しいとか難しくないとか、そう言わざるを得ぬのはわかるんです。しかし、大臣としておれはこういうふうに考えるから、それを事務当局に指示する、指示したけれども事務当局の抵抗に遭っていろいろとあったという、そういうことがあって初めてやっぱり我が党から大臣を送ってよかったなということになるわけですから、その点の決意をぜひ明らかにしていただきたいんですけれども。  もう一方、一言、酪農家に返品するなどというような、そういうことはもう絶対させないという決意ぐらいはここで大臣、明らかにしていただきたいんです。どうですか。
  37. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 先ほどの私の話で十分私は御理解いただけたものと感じております。ですから、先ほど申し上げたとおりに、厚生省農林水産省との連携を保って、そして業界に対しましてはっきりしたことが言えるような立場でなければ、お互いがお互いの立場を言っておるようなことではだめですから、やはり両省が話し合いをして、そして業界に厳しいことをきちっと言えると、こういう立場にしたいと思っております。
  38. 中川義雄

    中川義雄君 衛生上の問題だったら厚生省にもあるんです。これは取引上の問題ですから、厚生省は全然関係ないですよ。大臣の決意でできる話なんですよ。厚生省と協議なんかする必要ないんですよ。言っているのは、衛生上の問題を言っているわけじゃないんですから。  バターが余る要因で、こういう不当なメーカーの姿勢が、利益追求の姿勢が、しかも脱粉脱粉といって低脂肪といって売って、それだけコストが安いわけですから、安いものを一般の市場では同じ値段で売る、それはもちろんもうけはそっちの方が多いに決まっているんですよ。それで、そのツケを酪農家に回すというのはおかしいじゃないか、そのことを言っているだけですから。これ、もう一つ大臣、決意。
  39. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 私の考え方は、今、中川委員がおっしゃったのと余り変わらないと思っておるんですよ。  というのは、厚生省の所管の考え方と農林省所管の考え方が一致しなければ、これは両方が、厚生省厚生省だけの考えでおっしゃる、農林水産省農林水産省だけの考えでいくと、これはなかなか話し合いが難しいと思っておりますので、そこらあたり両省で十分話し合いをして結論を出して、その方向でいこうと、こういうことは当然あってしかるべきだと思っております。
  40. 中川義雄

    中川義雄君 時間がもう来てしまいますから、これはまた別な機会で大臣ともゆっくりやらせてもらいます。ちょっと違いますよ、大臣、それは。厚生省には関係ない話ですよ。  それは別にして、私の時間がぎりぎりに来ましたから、それでまとめて言わせていただきます。  一つは表示の問題がある。もう行ってみても何が牛乳でどれが加工乳なんだか、私も相当詳しいと思って店へ行ってみたら、何が何だかわけがわからないわけですよ。どれが本物でどれがにせもので、全然わからない。それは表示がしっかりしていない。一番確かなのは、生乳、生の牛乳が何%この牛乳の中に入っているかという表示だけは、一〇〇%物だとか五〇%とか三〇%とか二〇%というのはきちっと表示していただきたい、せめて、これを契機に。これは公取の問題でもあるし農水省の問題でもありますから、公取と農水省がきちっと協議して、いいものを消費者にきちっとした形で売るという、この形だけはとっていただきたい。  それからもう一つは、大臣、これ最後大臣に聞きますが、メーカーの社会的な責任メーカーというのは、ただつくって売ればいいというものじゃなくて、その創業、特に雪印の場合は創業の精神といったものについてもっと高い次元から大臣指導していただきたいと思うんです。酪農の振興のために、害するようなことはしちゃだめだというようなことを大臣名でも一回アピールしていただきたい。このことについて、もう時間がありませんから、質問して私の質問は終わります。
  41. 三浦一水

    政務次官三浦一水君) 前段の表示の問題につきまして、国産生乳利用拡大、そしてさらに消費者への適切な情報提供を図る観点から、これを推進するという方向を決めております。  生乳使用割合の表示を含めた飲用牛乳等に係る表示のあり方については、今後関係方面とも調整を図りながら十分に検討してまいる所存でございます。
  42. 楢崎憲安

    政府参考人楢崎憲安君) 表示につきましては公正取引協議会というところで公正競争規約という自主的な規約を設けて運用しているわけでございますけれども、昨年十二月には加工乳等について、牛乳という文言を使用する場合には五〇%以上生乳が入っていないといかぬというふうに改めてきたわけでございますけれども、今後とも消費者に対する適正な情報提供という観点から、生乳使用割合、それについても明確化するなど、どういう方策が可能かどうかについて協議会等に検討を促しているところでございます。
  43. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 先ほど来お話がございましたが、私の考えは、確かに農林水産省責任とおっしゃいますし、そのとおりだとは思います。しかし、農林水産省だけの決断では、やはり厚生省の十分な理解がなかったらだめなんですよ、これ。そこに問題があると思っておるんです。ですから、厚生省農林水産省とが十分連携を保って、公正取引委員会もその中に入って十分連絡調整の上で決定をすると。そして、今後、こういうまがいものという表現一つにしても、なかなか意味深長な問題でございますから、そういう点で理解を深めていくということが大事だと思っております。  そういう意味で、私は全体の立場で考えたいと、こういうことを言っておるんです。
  44. 小林元

    ○小林元君 民主党・新緑風会の小林元でございます。  まずもって今回の中毒事故につきまして、被害者の皆さん、そしてまた大きな影響を受けました生産者、そしてまた販売店の皆さんの御心労、心からお見舞いを申し上げたいと思います。  今回の事件でございますけれども、ただいま中川委員からも鋭い御質問がございました。私も、今回の事件につきましての原因等、同じ考えでございます。直接的な原因というんでしょうか、それは例えば、もう二十日間も洗浄していなかった、あるいはそういうマニュアルどおりに行っていないこともあった、あるいはHACCP承認も受けていないような設備というものがあったと。そういうものが明らかになっているわけで、先ほども厚生省から御報告がいただけましたが、もう少し明快に、大阪市あるいは府警が判断をするということも正式にはそうだと思いますけれども、厚生省としてただいまの時点で一体何なのかということをはっきり言っていいんじゃないか。それは断定をするという意味ではなくて、もう九九%固まっているわけですから、だれが何をしたという部分についてはいろいろあるでしょうけれども、どういう原因かということは明らかだと思います。  そしてまた、これは農林省にも厚生省にも全く同じ質問で恐縮でございますが、先ほど来やっぱりこの事件の背景というものをいろいろ中川委員からも指摘がありました。私も全く同感でございまして、雪印乳業の創業者の中心メンバー、先ほど来黒沢酉蔵さんのお話が出ました。黒沢酉蔵さんは茨城県の出身でございまして、一九〇五年に北海道に、常陸太田の出身、梶山さんの御出身でございますけれども、そこから北海道に渡りまして一九二五年にこの雪印組合を創立したということでございまして、その考え方といいますか、まさに先ほどもお話がございましたが、健全なる精神、健全なる体をつくるためには、最も身近にできることは牛乳乳製品の豊富、低廉な生産をすることだと。そして、健土健民といいますか、健康な国土、健康な国民というような姿勢でもってこの事業をスタートしたというふうに、我々地元でも、北海道開拓史に残る人物でございましょうけれども、我々県人としても大変誇りにしているというような人でございます。その精神を踏みにじった、泥を塗ったというような大変な事件だというふうに私どもは受けとめております。ですから、やはり原点に立ち返ってこの問題を厳しく対処する必要があるんではないか。  そういう意味で、社長の記者会見の際に、これは社長が言っているわけでございます、マスコミでも効率第一主義だあるいは利益優先だというような大胆な指摘があるわけでございますが、これは何も独断と偏見でそう言ったわけではなくて、この効率優先、従業員のモラルが変化をしたと。これは社長発言として我々は信じがたい発言でありますけれども、やっぱり従業員のモラルが変化したんではなくて、経営者の考え方がまさに利益優先というようなことで会社の運営をしてきたんではないか。  聞くところによりますと、雪印乳業は大変な優良企業で借金も、借金といいますか借入金も五十億円しかないと。大会社にしては本当に無借金経営というにも等しい財務のいい企業であったわけでございますが、それが今、当世不景気のさなかでどの会社もリストラだ合理化だ、それが悪いことでは決してないと思いますし、そうしなければ企業競争には生きていけないということがありますから、それがすべて悪いということではありませんが、やっぱりそういうものに何とか生き残りを図るということが高じて、そういう考えの中で従業員の意識、経営陣の意識、そういう中でこういう問題が起きたんではないかというふうに、これは行政の皆さんは評論家でもありませんしマスコミでもありませんから、そのような大胆な断定というものを避けて通りたいというふうに考えるかもしれませんが、その辺について大胆な、これまでの事件発生からもう一月以上たっているわけでございますから、どのように受けとめておられるのか。いわゆるこの問題の背景というのでしょうか、そういうことについて、先ほどの中川委員に対する答弁ではどうも何かもやもやとしてわかりかねるんですけれども、その辺、厚生省並びに農水大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
  45. 福島豊

    政務次官福島豊君) 先ほどの中川委員の御指摘、そしてまたただいまの小林委員の御指摘、私もずっと拝聴いたしておりまして、さまざまに認識を深めさせていただきましたことにまずもって感謝を申し上げたいというふうに思っております。  しかしながら、食品衛生管理を所管いたします厚生省としまして、今般の雪印乳業の起こしました大規模食中毒事故、その原因というものは、やはり逆流防止弁仮設ホース洗浄不良、そしてまた温度管理が行われていない屋外での調合作業HACCP虚偽申請と言われたような、そういうずさんな衛生管理がもたらしたものであるというふうに申し上げさせていただきたいと思います。  そしてまた、こうした食中毒事故発生した後に雪印乳業がどのような対応をしたのか。この点につきましても適切な対応がなされなかったのではないか。そして、飲用乳全体に対しての国民の信頼を著しく失墜させることになったことに対してまことに遺憾であるというふうに申し上げさせていただきたいと思います。
  46. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 先ほどの中川委員からのお話並びにただいまの御質問に対しましてお答えしたいんですが、当初から申し上げますと、今回の事件はまさに雪印という会社の体質を物語ったと私は思っておるんです。それは、伝統の会社であるとか由緒のある会社であるとかということは私自身も知っておりました。だけれども、現在の体質はもうこんな状態になっておるのかと唖然とせざるを得ないような現状なんです。そのことを踏まえて、やはり二度とこういうことが起きないようにしようと思えば、我々がやはり厳しいことを決めなきゃやってくれないんじゃなかろうかとさえ私は思っております。  そういうことでございますから、先ほどのお答えに、厚生省と我々農林水産省とが話し合いをやって決めようというのは、私どもが一方的に決めようとしてもこれは無理な話でございますから、そこらあたり十分判断をして、そして従前の線はどうあろうとも、今後こういうことが二度と起こらないようにすることが我々の責任だと。そうすることが国民に対する、また今回の犠牲者の多くの方々に対する責任は、二度と起こらないことが最大の責任である、こう思っておりますので、その点明確に申し上げておきます。
  47. 小林元

    ○小林元君 今の大臣の答弁はなかなか納得ができないんですけれども、私も黒沢酉蔵さんの創業者といいますか、そういう創業者精神を忘れて、そういうものに、創業者精神にこだわって私は雪印を助けてやれとか、そんなことは一切思っておりません。やはりこういう事件を起こした以上は、どんなつらい思いがあってもどんな苦労をしても、本当に地べたからはい上がってこいという気持ちでいっぱいでございます。何よりもやはりこれは消費者に迷惑をかけ、そして生産者にも大きな不安に陥れた、そしてまた子飼いの販売店の皆さんも路頭に迷うような始末になっているということで、本当にこの企業の社会的な責任というのはまさに創業者の精神を忘れた行為だと言わざるを得ないわけですね。それは結果論かもしれませんが、そういう考え方の中でこそ適切なこの事故処理というんでしょうか対応というものが出てくるんではないか。暗に過去の権威にとらわれてどうこうというようなことは一切私は申し上げたつもりもございませんので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。  そしてまた今回の、先ほど来中川委員からも取り上げてまいりましたが、HACCP制度を導入しまして五年たちました。これはアメリカあるいはヨーロッパでこの制度が導入をされた、そういう中で日本でもぜひやるべきだというようなことで来たわけでございます。  今回、七月十日に事故対策本部で、厚生省の方でこのHACCP制度の見直しについての三項目が提示をされたようでございますが、果たしてこれで本当にうまくいくんだろうかという疑問があるわけでございますが、その辺について厚生省西本局長からの御答弁をお願いしたいと思います。
  48. 西本至

    政府参考人西本至君) 議員御承知のことと存じますが、まず食品衛生行政につきましては基本的に食品衛生法というのがございまして、これで食品の規格基準、施設の基準あるいは管理運営基準等を定めておりまして、これを遵守しておることによって最低限の食品安全性が確保できる、こういうことになっております。  一方、このHACCPでございますが、これはより高度な衛生管理手法を行うということで、食品衛生法上は任意の申請に基づく承認制度として現在位置づけているところでございまして、例えばこれを今後の改善といたしましてすべての食品製造業者に義務づけていくというのも一つの考え方かもしれませんが、これには実際のところさまざまな負担を強いるということにもなるわけでございます。  導入時点にもこういう議論がございましたけれども、任意申請、できるところからやっていっていただいてはどうかということで今日のような姿になっているわけでございまして、課題としてはございますけれども、当面はやはり現在の形を守らせていただきたい、このように考えているわけでございます。  また、審査のあり方、あるいは承認後の確認と申しましょうか、承認後の監視体制、こういうものにつきましては早急にやはり一定の改善方法を出さなければならない、このように考えておるわけでございます。
  49. 小林元

    ○小林元君 ちょっと具体的に申し上げますけれども、現在、工場設置の許可というんでしょうか営業許可というんでしょうか、法律上はこれは都道府県がやる、あるいは政令市がやるということになっているわけでございます。  このHACCPは、確かに食品衛生法上の基準以外の制度というふうにとらえるんだろうと思いますけれども、それについては、本来は工場の許可、営業の許可という中には衛生管理というものも当然入っているわけです。要するに、全体の許可の一部であるHACCP承認というのは大臣がやるということになっているわけですね。法律上の構成は、いわゆる衛生基準というんでしょうか、そういうものの例外的な扱いをHACCPというものはやるんだ、だから大臣が直接やるんだというふうなことが言われているんですけれども、それにしては全体の許可は地方に法定受託事務というようなことでお任せをすると。今回の見直しの中でも、従来は地方の職員、都道府県の。今回の一斉点検でもほとんどは、厚生省はそういうような実力がないんではなくて職員の数とか体制ができていない、あれだけの七百何十工場というものの一斉点検をやるというのは大変だ、都道府県ならばその力はあるだろうというようなことで、現実には都道府県に依頼をしたというかやってもらったということなんですね。  ところが、今回の見直しと言いながら、これは逆行するような、西本さんも茨城県の衛生部長をされて十分地元の実態は御承知だと思うんです、地方団体の力というのはどのぐらいあるのか。あるいはもう全然なくてだめなんだ、国が直轄でやるしかないんだというお考えなのか。そういう中で、やっぱりこれは工場許可と一体的でしかも恒常的な監視の目の中に組み込むと。確かに、国がいわゆる基準の例外的な扱いでHACCPがあるんだからその都度承認なんだという考え方もわかりますが、もう一方で地方分権の時代にふさわしいやり方というものもあるんではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  50. 西本至

    政府参考人西本至君) 平成七年に食品衛生法のあるいはまた栄養改善法の一部改正問題が起こりましたときに、今先生御指摘のような形でやるのかどうか、地方分権の一つの大きな流れがございましたのでいろいろ議論をされたわけでございますが、いろいろ議論がございましたが、最終的には先ほど申し上げましたように自主申告制、そして国みずからがこれに対して承認を与えるというような仕組みを我が国としては導入した、こういう経緯がございます。  問題は、日常の食品衛生監視の中で、今現在、HACCPの監視もやっていただいているというところを今度は国直轄でやるべきかどうかという議論が出てきているわけでございますけれども、これも当時といたしましては、やはり地方自治体にそこまでまた御負担をかけていいものかどうか、あるいはまた地方自治体でそれだけの専門家の数が十分そろっているのかというような議論がございまして、かなりそういうことの養成にも時間がかかるということがございましたものですから現行制度になったというわけでございます。  ただ、これを国の承認制度として残す以上、やはり本質的には国の職員が日常監視体制もやらなければいけない、通常の食品衛生監視を都道府県にお任せしているわけでありますから、それに合わせてやっていくかどうかという議論も確かにございます。このあたりは、この件が一段落と申しましょうか、一たん平静化いたしましたら、HACCPの問題として我々検討させていただきたいというふうに考えているところでございます。
  51. 小林元

    ○小林元君 どうぞ地方の職員の実力といいますか、そういうものも十分御承知でございましょうから、ただいまの御提案、十分に検討をよろしくお願いしたいと思います。  それからもう一つ、HACCP制度の手続を導入した企業にとってコスト増など過重な負担とならないよう配慮すべきだと。  先ほどもちょっと御答弁の中にありましたが、こういう安全規制というものが今回の事故ではどうもうまくいっていなかったというような点があるわけです。つまりそれは、いろんな設備の変更とか、あるいはマニュアルの作成というようなものが必ずしも十分に行われていなくて、またそれに対して十分な監視というんでしょうか、指導というものができていなかったというような中で、HACCP承認外の施設の中でマニュアルもなくて十分な洗浄が行われていなかったというようなことはあるんですけれども、HACCP制度そのものが本当に悪かったのか、それは実行性の問題で、執行上の問題でいろいろ問題があったということがあるんではないかと私は思っております。  それから、先ほども答弁ありましたが、質問しようと思ったんですけれども、欧米では中小企業も大企業も例外なくやろうというようなことでやっているわけでございます。もちろんこれは中小企業にとっては負担だと。例えば、高度な技術者を抱えなくちゃいかぬとか、いろんな問題があるだろうと思うんです。しかし、よくよく考えてみれば、これはやっぱり人の健康に直接影響を与える大変な問題なんです。HACCPという手法が本当に正しい、いいんだということであれば、やっぱりこれは多少の負担がかかってもやるべきではないか、中小企業も何も例外なく。  ということは、かつて、昭和四十五年でしたか四十六年に公害問題が提起をされました。そのときにも、産業調和条項というのが公害関係法に入っておりました。産業の調和を図りつつ公害の防止を図るというような規定があったわけでございます。しかし、それではやっぱり国民の健康は守れないんではないか、だからそれは削除しようではないか。つまり、これは大企業どころではなくて中小企業も一切、公害防止というものをしっかりやってもらうんだ、そういうことが出てきたわけでございます。  やはりこれは必要なんだということならば、五年たっていろんな検証をする中で、今回の見直しといいますか、そういう中で考えるべきなんではないか。原則的には一律、しかし、本当に大変だ、容易でないということであれば、企業の規模とかなんとかに応じてそれにふさわしい助成をする、これは国民の健康を守るためにどうしても必要なんだというようなことで別途支援策という考え方をすべきなんではないか。こういうことは大事なんだが、金がないから後回しにするという考え方自体がどうも私は納得できないわけですが、その辺についていかがでしょうか。
  52. 西本至

    政府参考人西本至君) HACCPの先進国であります欧米諸国におきましても確かに食品等に限定して一部義務化と、あるいは企業の規模に応じて一部義務化というようなことがあることは御承知のとおりだと思います。  ただ、先ほど答弁申し上げましたように、一律にすべての規模の業者にこれを義務づけていくということにつきましてはやはり相当慎重な議論が必要かというふうに私どもは認識しておりますので、この事件が一段落いたしました段階で、できるだけこのHACCPのあり方についても検討をさせていただきたい、このように考えております。
  53. 小林元

    ○小林元君 先ほど厚生省の方から一斉点検の話が出ました。そして、そういう中でさらに雪印関係の十工場についてのお話がありまして、十工場につきましてはいずれ再開するだろう、そしてまた来月の二日には残り工場についても結論が出るだろうというようなお話がございました。  これは一体どういう段取りというんですか、ことで安全宣言をするとか操業再開を許可するとか、あるいはHACCP承認をするとかしないとか、そういう問題についてどういう手順でどういうふうに進めるのか、その辺を明らかにしていただきたいと思います。
  54. 西本至

    政府参考人西本至君) 私どもでは今回の事故発生にかんがみまして、現在、雪印乳業株式会社が自主的に操業停止されておられます同社の乳処理施設二十カ所につきまして、七月十九日から担当官による現地調査実施いたしておるところでございます。  先に調査が終了いたしました十施設調査結果につきましては、昨日、雪印乳業株式会社乳処理施設現地調査に関する専門評価会議、ちょっと長い名前でございます、ここにおける専門家による評価を行いまして、今回の専門評価会議で検討した十施設につきましては、HACCPプランにおいて指摘される点はあるけれども、食品衛生上の重大な問題はなかったという結論をいただきまして、操業の再開について申し渡したところでございます。  今後の予定といたしましては、残る十施設につきまして順次現地調査を行いまして、八月一日、二日に開催予定専門評価会議におきまして調査結果を評価し、問題がなければ事実上そこで安全宣言になる、このような予定を考えておるところでございます。
  55. 小林元

    ○小林元君 先ほど中川委員からも御指摘がありました。大阪工場あるいは昨晩発表になりました京都工場においても再利用の問題が指摘をされたと。期限切れのもの、あるいはいわゆる安全管理の枠外になりました流通過程に入ったものを戻すとかというような問題が指摘をされました。  これにつきましては、何といいますか、どういうものが再利用できるのか。確かにその安全基準の中には、こういうものを満たせばよろしいんですよ、だからいつのものはだめだとか、戻ってきたものはどうだとかというような表現はないわけでございます。その辺の再利用の基準というんでしょうか規格というんでしょうか、現在のいわゆる規格基準で十分なのか、そういうものを見直して、これは消費者に明らかに、例えば出荷したものを戻して、どういう管理下にあって戻ってきたかわからないというようなものを再利用、再利用というのか、また売りつけるというようなことについては言語道断だと思うんですが、その辺の明らかな規格基準づくりというものが必要なんではないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  56. 西本至

    政府参考人西本至君) 現在の食品衛生法上におきましては、製造者の管理下にあって十度C以下に保存されているといったような衛生管理がされておるということであれば、品質保持期限内のものであればという条件でございますが、問題にはならないということになっているわけでございます。  ただ、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令というものがございまして、ここでは加工乳の原料として加工乳使用することは認められていないということになっております。これにつきましても、いろいろな意見がございますので、今後有識者から成る検討会を設置いたしまして、ここで議論をさせていただきたい、このように考えております。
  57. 小林元

    ○小林元君 そういうことで、やはり消費者の方から見て非常にわかりやすい基準といいますか、ましてや規格上は、一たん出荷したものが戻ってきてそれを再利用するというようなことがあったようでありますが、そういうものははっきりだめだということで明記していただきたいというように感じております。  それから次、今回の事故は大変な一万五千人にも及ぶ被害者が出たということで、工場の問題は大阪府にあるわけでございますけれども、大阪市ですか、しかし被害者の方は各県にまたがっているというような状況であります。  そういうことで、この事故現場対応として大阪市は一生懸命やったわけでありましょうけれども、それにしましても、それだけでも大変だという中で、この事故規模というんでしょうか状況というものの把握につきましては、何県にも及ぶというようなことで大変だろうと。O157のときには非常に重症患者が出た、死亡者もたくさん出たというようなことで、しかも新しい事故といいますか、なかなかその中毒患者への、中毒患者といいますか発症者への対応も新たにやるというようなことで厚生省が前面に出てやったというふうに国民は印象づけられていると思います。  ただ、今回の事故につきましては、確かに厚生省は六月三十日に担当会議現地でやったと言うんですが、何か全然動いた様子が見られない。専ら大阪市が、いろんな問題は抱えておりますけれども、頑張ってきたというふうにしか見えないわけでございます。しかし、これは今後ともこういうような広域な被害という問題が起きる。起きない方がいいんですが、起きた場合にはやっぱり厚生省が真っ先に、地方分権の時代ではありますが、そういう点で遠慮することはないので、どしどし関係県あるいは市町村、そういうものを集めて情報交換をしてもらいたい、そしてまたそれを公にしていただきたい、こういうふうに思っております。  今回協議をしたと言うんですが、これはどういうものを決め、どういう話題になったのか、その内容をお聞かせいただければと思います。
  58. 西本至

    政府参考人西本至君) 私どもとしましては、この事件の第一報を受けましてから、考えられる限りの対応をとってきたというつもりではおりますが、そこはいろいろと御意見があろうかと思います。例えば、担当官現地に派遣する、あるいはまた担当会議現地で開かせていただく、そして直接雪印に対しても事件の発表、公表、あるいは自主回収をしていただくというようなこと、そしてまた私どもの厚生省内に対策本部を設置して全国にこの事実を周知し、また全国の乳処理工場に対する一斉点検も始めるということで、もう一度やれと言われても同じようなことをやるであろうというぐらいにやってきたつもりではおるわけでございます。  ですが、確かに対策本部の設置の時期でありますとかいろんな問題につきまして、今後検討するあるいは改善する余地があれば改善はいたしたいと思っておりますが、実際に対策本部におきましては、事態早期収拾そして原因究明、そういうところを中心に議論をいたしたわけでございます。
  59. 小林元

    ○小林元君 どうぞ、こういう広域問題につきましては、やはり国の出番というものは国民の方からも期待されているんではないか。私は地方分権の推進論者でありますが、必ずしもそういう問題と抵触をするものではない。権限が地方に移譲してあっても、やはり国は国として大所高所から指導をするということは明らかでありますので、その辺十分に行動をしていただきたい。せっかく政務次官も、また両省政務次官もあるいは局長さんも現地へおいでになったわけでございますから、やっぱり大きな、大きなといいますか、現地方々としっかり情報交換をし、要望を聞き、対策をするということがよかったんではないかなと。大変御苦労だったんでございますが、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  消費の動向、先ほど農林省の方からいろいろお話がございました。そしてまた、宮田参考人の方からも今のところは心配ないというようなお話がありまして、大変力強いわけでございます。  茨城県の場合も、実は私のすぐ近所に小売業者の方が、販売店がございまして、私も雪印牛乳を、生乳の方を飲んでおりますけれども、今、雪印製品はスーパーとかコンビニでは拒否をするというか出荷停止になっている。家庭用でも二、三〇%は飲みたくないというようなことでお断りされている。  茨城県の場合には、先ほどの話もありまして雪印製品がかなりやはり、半数ぐらいは雪印製品が普及をしている。黒沢さんの関係があるのかなと思いますけれども。やはり県当局の話でも、県全体で二五%ぐらい生乳が、生乳といいますか雪印がダウンしている。それはすべて県内にある他社の工場配乳を変えているというようなことでございまして、県全体としては需要も落ちていないし供給も心配はないということで、需給バランスについては心配していないということでございます。全国的な状況も今のところは心配ないということでございます。  仮に、これは農林省にお聞きしたいと思いますけれども、今のところは需給はタイトであるということでございますが、秋になって生産が増加をする、消費が伸び悩むというような状況の中で例年に比べて全体の消費の動向がダウンしなければ結構なんでありますが、こういうことが影響するというような中で加工乳向けの割合がふえるということになることは、これは宮田参考人の方も大変心配をされているわけです。  そういう場合には、農家の不安に対しましてどういうふうに考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  60. 三浦一水

    政務次官三浦一水君) 農林水産省としましては、生乳の需給ギャップにより余乳が増加しないよう、消費拡大対策をまずは効果的に実施して消費減退を食いとめたい、かように考えます。同時に、円滑な配乳調整につきましても引き続き関係団体指導してまいる所存でございます。  さらに、仮に飲用向けに処理予定をされております生乳が加工向けとされた場合に、今回の問題を引き起こした雪印乳業が誠意を持って価格差の補てんを行うよう指導してまいりたい、そのような所存でございます。  先ほどの問いにも若干かかわりますが、今回の事故により余分に発生しましたバターにつきましては、極力生産者に負担をかけないような方法を考えることとしたい、そのように考えております。
  61. 小林元

    ○小林元君 どうぞよろしく、強力な御指導お願いしたいと思います。  そこで、通告をしてないんですが、大変恐縮でございますが、宮田参考人にちょっと一点だけお伺いしたいんですが、今回の大変な事故でいろいろ御心労も多いというお話を伺わせていただきました。いわゆる関係団体といろんなお話をされているように伺いました。  しかし、一番御心配になっているのは末端の生産者酪農家ではないか。その辺にこういういろんな情報が直接伝わっているのかどうか。あるいは農林省、国の方から、自治体の方から、あるいは宮田さんの方から、一軒一軒の農家は大変心配しておられると思いますが、やはり正確な情報をつかむということが一番安心のもとではないかと思うんですが、その辺については御心配はないんでしょうか。よろしくお願いしたいと思います。
  62. 宮田勇

    参考人宮田勇君) 我々生産者立場といたしましては、やはり安全でおいしい牛乳生産していくということが一番の目標でございまして、そういった中で、今回の事故につきましては、今までやはり乳業会社信頼しておったものですから、非常に生産者立場といたしましては驚きが多いわけでありますが、同時に、せっかく我々が牛乳を搾って、そして乳業会社に届ける間の品質管理を十分に吟味しておったわけでございますので、そういった面では、せっかく私たちがここまでやったのにということで、一面で悲しみといいますか、そういった感じも非常に強いのが実態でございます。  そういったことで、先ほど私も報告を行いましたように、これから乳業会社衛生管理徹底した中で、安全宣言をした中での消費回復ということを求めることが大事であると同時に、これからどうなっていくんだろうかということで、傘下の酪農民に対しましてそういった面をどう安心させていくかということが大きな問題であることも事実であります。  そういったことで、全国段階でもいわゆる先ほど申し上げましたような団体を含めて対策会議を発足いたしまして、全国段階の中で全国的な情報収集を的確にやりまして、即都道府県段階にそういった伝達をいたしておるわけでありまして、そういったことで十分末端酪農民に対する情報を伝えると同時に、現在進行しておる対策につきましても十分御理解をいただくように努めておるところでもございます。  具体的な例を申し上げますと、北海道の例を申し上げますと、いち早く、北海道は十二地区ございまして、その代表の組合長で事件発生後すぐ会議を持ちまして、実態把握の中で正確な情報伝達を行いましたし、そういった中で各単協を通じまして各酪農民に対して正確な情報と、もう一つは冷静な対処をするようにということであるわけでありまして、我々生産者立場はやはり冷静な判断の中で今後早期の解決、収束を願うというのが一番でございます。  そういったことで、そういった面も徹底を図ってまいったわけでありますし、以後、酪農、畜産のいわゆる委員会等々を従来よりも密に開催いたしまして、即末端酪農民に対する正確な情報、さらにまたそういった委員会での協議ということの中で行っておりまして、ただいま御指摘がありましたそういった面については特に意を使って混乱ないように、全国段階で、また私の出身である北海道でもそういうことで進めておりまして、今のところ、将来いろんな心配の点はありますけれども、今のところ精神的な混乱も、一応そういった体制下の中では大きな混乱は起こっていないというのが状況でございまして、今後ともそういったことにつきましては十分徹底をしていきたいと考えております。
  63. 小林元

    ○小林元君 もう時間でございますが、最後に御質問させていただきたいと思います。  ただいま宮田参考人から大変御答弁いただきましてありがとうございました。どうぞ、第一線の酪農家にこういう事件があってもどうぞ頑張っていただくように心からお願いをしたいと思います。  そして最後に、雪印の小売業の皆さん、大変、先ほどもお話を申し上げました。茨城県の場合には茨城雪印というのがございまして、これは一応系列会社、別系統になっておりますのでストップにはなっていないわけでございます。しかし、現実には先ほど申し上げたような影響の中で雪の製品が売れないというようなことで、大体二五%ダウンというような状況になっております。やはり困っているわけでございます。  昨日の夕方までに農林省からお聞きした際には、販売店三千二百四十店のうち九十店舗が営業停止、停止というか営業ができないというような状況であるというふうに伺ったんですが、けさの新聞を見ますと五百七十店舗に上っているというような大変な事態のようにお伺いをしました。  雪印の方ではそういう、何といいますか、融資の問題やら運転資金の問題やら、あるいは補償の問題等々についても話があるというふうにも聞いておりますが、どうぞこれに対しまして農林省の方で十分な、これは農林省所管かどうかはわかりませんが、関連のことということで御指導お願いしたいと思いますが、その指導の、指導といいますか、何かございましたら御答弁をお願いしたいと思います。
  64. 樋口久俊

    政府参考人樋口久俊君) お答え申し上げます。  お話ございましたように、雪印と契約を結んでおります販売店全国で三千二百四十店舗、これで七月の十六日の時点の報告を受けておりまして、九十店舗が営業を行っていないということでございましたが、一番最新の報告によりますと五百七十店舗になっていると。  私どもも、ちょっとこれ数が違うんで心配でございまして、どうしたんだろうということで重ねてその点をただしてみましたら、雪印にむしろ、雪印製品を販売したいということで、あっせんをしても、例えばほかのものを売るよりも間もなく再開するはずだからそれを待っていようと、むしろ雪印を売るために待っておられるという方がかなりおられると。これは数がちょっとわからないんですが、そういうような方もおられてふえているんだというふうに聞きましたので、それはそれとして、できるだけそういう経営継続に支障がないようにする必要があるということで私たちは強く指導をしておるわけでございます。  特に、お話ございましたように、雪印自身が現在とっておられる代金決済の期間の延長とか無利子無担保による融資、あるいは返品された商品の買い取り等々のほかに、他社の製品のあっせんということもございまして、ほかの乳業者の方にも協力してもらうようにと、いろんな形で指導しているという状況でございます。
  65. 小林元

    ○小林元君 ありがとうございました。  先ほど来いろんな問題が提起をされまして、今回の問題、大きな災いというふうなことでありますけれども、この際にどうぞ新しい福に転ずるように心からお願いをしたいと思います。いろんな問題が出されたんじゃないか、牛乳乳製品消費拡大といいますか、というような問題から安全の問題まで、やはり前向きにこれに取り組めば将来はあるというふうに信じて疑わないものでございます。  ありがとうございました。
  66. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。  酪農乳業問題に関して質問させていただきたいと思います。  最初に、今回の雪印乳業食中毒事件について質問させていただきたいと思いますけれども、今回の雪印乳業大阪工場製品による集団食中毒事件は、業界トップの企業にしてこのようなずさんな衛生管理がまかり通っていたのかと、消費者の一人として驚きを通り越して背筋が寒い思いがした、そのように感じております。東海村の核燃料加工会社が起こした臨界事故原因となったバケツ操作と同様に、みずからの業務が多くの人々の生命に直結している、その事の重大性の認識に欠けていたということは大変問題である、そのように考えております。そういう意味で、企業のモラルの低下あるいは職員教育の不備というものが非常に問題になるのではないか、そのように思っております。  今回の乳処理施設の一斉点検でも指導を要した施設が多かったことを考えますと、これは単に雪印乳業だけの問題ではないと、そのように私は考えております。この点に関して谷農林水産大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  67. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) ただいま御質問のとおりでございまして、我々は雪印業界のトップメーカーだというふうな意識が非常に強いわけでございますが、しかしながら三大メーカーが四〇%少しばかりでございますから、半分以上は零細企業だと思います。そういう点を考えてみますと、雪印ですらこういうことがあるじゃないか、こういうことを考えてみると、ほかの、他の会社はどうなんだと、こういうふうな声を私もしばしば聞いておりまして、国民の不安というのはそこに一番集中されるかと思っております。  そういうことでございますので、雪印のことはもちろんでございますし、全般の姿勢を正すという意味におきまして、我々は改めて毅然とした態度でやらなきゃならないということを十分考えております。
  68. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回の雪印乳業の事件によって失いました消費者信頼回復することがまず最大の課題だと思います。そういう意味で、農林水産省として牛乳乳製品企業のモラルの向上を図るために今後どのような方針で対応していくのか、その点について谷農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
  69. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) ただいま御指摘のように、私も、私の地元のみならず酪農家の方々のお話を前々からよく聞いておりますけれども、本当に酪農家の方々は心血を注いで頑張っていらっしゃるという感じを受けております。  例えて言いますと、乳質をいかに向上させるかということにつきまして、えさ等の問題についても非常に厳密に自分で判断していらっしゃる、ただ飼料メーカー方々意見だけでなくて、自分自身が実践に応じて、こういうふうなことを考えてみるとこういうふうにしなきゃならないというふうなことを考えていらっしゃるというふうなことを感じますと、やはり酪農家の皆さん方の切実にして真剣なお取り組みがあるにかかわらずなぜ最前線の乳業メーカーがこんなことをやったんだろうという、私も大変な、メーカーの皆さん方のやっていらっしゃることが、実際にこれは雪印だけだろうかと、ほかの会社もどの程度のことをやっていらっしゃるんだろうというふうなことを私自身もそういうふうな感じを持ちました。  そういうことでございますから、何とかこういうことが二度と起こらないように、我々農林水産省はもちろんでございますが、厚生省方々とも十二分に判断をしていかなきゃならぬと思っております。
  70. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、具体的な問題点について質問させていただきたいと思いますけれども、まず厚生省、それから農林水産省関係のところを質問させていただきたいと思います。  先ほど、今回の食中毒の汚染源、生産工程については厚生省のお考え、見解をお示しいただきました。そこで、私、今回考えるには、総合衛生管理製造過程、いわゆるHACCPでございますけれども、その七原則、すなわち危害分析、重要管理点の設定、管理基準の設定、モニタリングの方法、改善措置の設定、検証方法の設定、記録の維持管理、こういう七原則があるわけでございますけれども、今回の食中毒事件ではこのHACCPの七原則のどこに問題があって起きたのか、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。
  71. 西本至

    政府参考人西本至君) 事件発生以来、大阪市等から逐一報告をいただいておりまして、当初は、手洗浄で行っている逆流防止弁分解洗浄について実施頻度不足している、これが大きな原因であろうということでありました。その後、警察に押収されておりました資料から、仮設ホース洗浄不足の問題でございますとか脱脂粉乳溶解機屋外で調合しておったとか、あるいはまた品質保持期限切れのおそれのある製品の再利用といったような問題が次から次へ出てまいったわけでございます。  ただ、これは私ども、HACCPの申請をいただいたときの申請内容からおおむね漏れているものばかりでございましたので、HACCPの以前の問題であるというような感じを非常に強くいたしております。むしろ一般の食品衛生法上の問題であって、HACCPの七原則のどこに問題があったかということになりますとちょっと該当しにくいんではないかというふうな感じをいたしております。  しかし、その後、ほかの工場等についてもいろいろ聞き取りあるいは調査をいたしましたところ、このHACCP原則の七番の記録の維持管理というところについては何カ所かについて漏れがあったという実態を把握いたしております。
  72. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 今回の食中毒の問題で原因になったのが毒素ということでございまして、菌毒素の検出、これに関しまして、今後、厚生省として新たにHACCPの中に加えていくとか、何か対応を考えておられればお聞きしたいと思います。  また、現状ではそういう菌毒素に関して検出方法を求めているというようなことがあったのかどうか、そこに関しても、菌毒素の検出の現状についてもお伺いしたいと思います。
  73. 西本至

    政府参考人西本至君) 現在のところは製品中の黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンにつきましては一般には検査が行われていないというふうに承知いたしております。  エンテロトキシンは黄色ブドウ球菌が増殖する際に産生されるということでございますので、基本的にはHACCPあるいはその前提となる一般的衛生管理を行うことによって温度管理等を適切に行えばエンテロトキシンによる汚染を防止することが可能とされておるところでございます。  ただ、今回のような事件がございまして、昨日、雪印の代表の方とお話をいたしましたときに、雪印の方では製品のエンテロトキシン検査体制をこれから整備するということの報告を受けたところでございます。
  74. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、乳製品の未出荷品や返品を食料原料として再利用していたというようなことが問題になっているわけでありますけれども、先ほども厚生省の方からその点に関してお話がありましたけれども、現在、そういう乳製品の未出荷品や返品を食料原料として再利用する場合、現行法上許される条件としてはどういうものがあるのか、もう一度確認したいと思います。
  75. 西本至

    政府参考人西本至君) 製品の再利用の問題でございますが、先ほど申しましたように、製造者の管理下にあって一定の衛生管理がなされており、かつ品質保持期限内のものであれば食品衛生法の問題はないということになっております。  しかし、一度店頭に並ぶというようなことになりますと、実際は衛生管理状況が不明であるということになりますので、これを回収して再利用するというようなことは安全性確認が極めて困難でございますので適切でないと考えております。  今回の食中毒の原因究明につきましては、不適正な製品の再利用が関与しているかどうかということも含めまして現在まだ府警において捜査中でございますので、今後の結果を待ちたいというふうに考えております。
  76. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 次に、農林水産省にお伺いしたいんですけれども、未出荷品や返品された乳製品の再利用消費者の不安を招いているわけでございますけれども、この現状について調査したデータがあればお知らせいただきたいということで、もしそういうものがなければ、今後そういう実態調査を行う必要があるんではないかと私は考えるわけですけれども、この点に関しての見解をお聞きしたいと思います。
  77. 樋口久俊

    政府参考人樋口久俊君) お答え申し上げます。  まず、そういう実態を正直に申し上げまして私ども承知をしておりませんでしたので、私どもの調査をしたデータというようなものはございません。  ただ、こういうお話が出ましてから、当然関心を持たざるを得ない事項でございますから、メーカーに聞いてみましたら、やはり再利用をしていることはあるということは聞きまして、私どもとしては、厚生省より一定の見解が出ておりますし、それに従ってきちんと製造がされるべきであるということはお話を申し上げました。  なお、今後調査をするかどうかについてはちょっと預からせていただきたいと思います。
  78. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはりできるだけそういう国民の信頼回復するためには、そういう実態があるということがいろいろ新聞報道等で示されたわけでありますので、そういうものはほんのごく一部で、例外的なものであって、一般的にはそういうことはないんだということがわかればまた国民の信頼も得るということでありますので、その点慎重に、適切に検討していただきたい、そのように思います。  それと関連しまして、例の本年の五月に循環型社会形成のための法整備の一環としまして、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律が成立したわけでございますけれども、この法律では食品廃棄物等のうちの有用なものは食品循環資源として位置づけまして、肥料、飼料その他政令で定める製品の原材料として利用することを促進する、そういうことをうたっているわけでございます。  今回、未出荷あるいは返品された乳製品が再び乳製品の原料として再利用されている実態が明らかとなったわけでありますけれども、このような一度製品化されたもので未出荷あるいは返品された食品は本法の食品廃棄物とみなされるのか否か、これが問題であると思います。  私は、これらは食品としてはもう使えないもの、食品廃棄物であると考えるわけでありますけれども、ただし食品循環資源であるので、食品以外の再生利用に回すのが食料・農業・農村基本法の第十六条第一項の国の責務としてうたっております「食品衛生管理及び品質管理の高度化」の精神に沿うものと考えているわけでありますけれども、この点に関しての農林水産省の考え方をお伺いしたいと思います。
  79. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) 返品されました加工乳等につきまして、それはいわば食用に供せずにされるわけでございますので、その廃棄された段階食品廃棄物等に当然該当することになるというふうに考えております。この廃棄物等に関する返品加工乳につきまして、同法に基づきまして一定の再生利用等に取り組んでいただくということになると思います。  ただ、先生御案内のとおり、リサイクル法では食品に係る資源の有効利用と廃棄物の排出の抑制を図ることを目的としておりまして、このような観点から、返品の加工乳等につきましては実際は水分が大変当然のことながら多うございます。そういう再生利用等に困難な面があるかと思いますけれども、肥料等への利活用を含めて適切な再生利用が進むように私どももサポートしていくべきだというふうに考えております。
  80. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 一たん出荷されたものについての返品についてはそのとおりだと思います。ただ、出荷されずに、製品としてもうつくられている、ただし出荷されずに工場内にとどまっている、これを再利用する場合にどのような対応が適切なのか。私は、製品化してもうパックに詰められているようなものは、これをまた戻して次の原料に使うというのはどうも消費者としては疑問点があるものですから、この点に関してはどういうふうに農林水産省は考えておられますか。
  81. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) いわゆる食品リサイクル法で先生御指摘食品廃棄物等の定義をいたしておりますけれども、定義を申し上げて大変恐縮でございますが、食品が食用に供されずに廃棄されたものを食品廃棄物等と定義させていただいておりますものですから、私ども、その廃棄をされるという実態の中で、廃棄物等という形でその利活用を図っていくということで推進せざるを得ないというふうに考えております。
  82. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そうしますと、製品にはされたけれども未出荷であったようなそういう食品は、賞味期限内であれば食品の原料として再利用することも可能だというような見解と考えていいわけですか、今のお答えですと。
  83. 西藤久三

    政府参考人西藤久三君) リサイクル法そのものでは、先ほども申しましたように、食用に供されずに廃棄されたものという形で定義されているものですから、未出荷の状況で、かつ賞味期限内で品質上問題ないものも含めて食品廃棄物等という形でいわゆる食品リサイクル法の中で位置づけていくというのはなかなか難しい問題があるかなというふうに思っております。
  84. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 そこはこれから検討していただきたいと、そのように思っております。  次に、HACCP関係で厚生省の方に確認しておきたいことがございます。  厚生省の方で改善案の一つに、明年一月から設置される地方厚生局にHACCP関係の職員を配置することが挙げられておりますけれども、この人員として何人ぐらいが必要であって、そのための予算として今後どのような要求をされていくのか、この点に関してお伺いしたいと思います。
  85. 西本至

    政府参考人西本至君) 来年一月から発足をいたします地方厚生局に総合衛生管理製造過程承認についての人員を配置するということでございますが、現在はこのHACCP担当衛生専門官というものが私どもの乳肉衛生課というところに一名配置されております。平成十二年十月からは、HACCP担当衛生専門官として五名を増員することといたしております。それから平成十三年一月からは、この増員も含めまして地方厚生局に食品衛生専門官を十三名配置することといたしております。  また、予算につきましては、十三年一月から三月までの間に現地調査等に必要な経費を含めた食品衛生対策費ということで六百五十三万円を確保いたしているところでございます。
  86. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 やはり国もしっかりと、今度のHACCPの国民から信用を失った点に対してこれからきちんと改善していく、そういうことを示す必要がありますので、しっかり取り組んでいただきたい、そのように思っております。  先ほど宮田勇雪印乳業問題全国団体対策本部長からお話をお聞きしたわけですけれども、先ほども現場の雪印関係の牛乳販売店では休廃業されている方が多くなってきたということでございますが、そういう飲用牛乳の流通に関しての現場の声として、もう一度何か国民に訴えたいことがございましたらお話をお聞きしたいと思います。
  87. 宮田勇

    参考人宮田勇君) 現在は非常に、先ほど申し上げましたように、酪農民が今後の推移によって、全く安心をしているかというと、やはり今後の対応次第によっては心配もしているということもまた現実の問題でございます。  今後の影響でありますけれども、現在、生産者団体といたしまして、大きな需給変動が生じないようにいわゆる配乳調整に全力で取り組んでおりまして、今のところ牛乳乳製品の安定的な供給は確保されておりますので、酪農民への直接的な影響はございません。  しかしながら、現時点牛乳需要期でもありますし、また天候も非常に良好であるということから、目に見えた消費影響は生じておりません。しかしながら、今後予期せぬ状態もまた発生しないとも限らないわけでございまして、やはり雪印乳業工場の再開等々がすべてでない面とかありまして、やはりそういった面の問題等々あり、また需要減少等々ありました中で、生乳のですね、そういった中でやはり加工乳へのシフトということもまた想定されるのでありまして、そういったことになりますとやはりバターなどの乳製品在庫の積み増しが生じないとは言えない、そういった面もまた非常に心配な点でございます。  また、間接的な影響といたしましては、牛乳乳製品全体の信頼性の失墜によります全体消費減少、このようなことで、ひいては減産での生産計画の実施など、生産への影響もまた心配をいたしておるわけでございますので、このためには、牛乳乳製品消費拡大政策を充実し強化をした中で、やはり少なくとも今後の消費の、こういった問題が起こる、減少防止していくといったようなことを、やはり我々生産者はもちろんでありますけれども、乳業者、行政と一体となって取り組むことが一番必要ではないかというふうに感じております。
  88. 渡辺孝男

    渡辺孝男君 ありがとうございました。  とにかくきちんと安全点検をして、操業再開について適切に早期にやっていただければと、そのように思っております。  ありがとうございました。
  89. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。  私の近所に父子家庭の親子三人が嘔吐と下痢を繰り返して苦痛を訴えて、二日後に雪印牛乳だったということがわかって本当に驚いた経緯があるんですが、その原因がわかってもう一カ月が過ぎようとしているんですけれども、今日なおこの被害者に対しても雪印乳業は謝罪もしてこないと。本当に消費者の方は今怒りが大きく広がっているという状況の中できょうこの委員会が開催されて、数点質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、参考人で来てくださいました宮田さん、御苦労さまです。私も各地を回らせていただいて酪農家の皆さんにお話を聞かせていただいて、もう目を充血して、まあ今は何とかやっていけるけれども秋からが大変なんだというお話を聞きまして、今のお話の中で直接的な被害全国的にないように思うということをおっしゃったわけですけれども、私は今後の経営に深刻な影響を与えるのではないかという心配をしているわけですが、私たち、北海道の皆さんの意見も聞かせていただきました。  そういう点で数点お聞きしたいんですが、一つは、今は大丈夫だけれども、余乳の発生が伝えられているんですが、その状況はどうでしょうかという点。また、生産調整や加工比率の増大によって農家の手取りが減少するという、今もお話がありましたバター過剰在庫の問題ですね。そういう点で、長期的な影響も含めて今後起こり得る問題で生産者に対する対策と補償等についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞きしたいんですが。
  90. 宮田勇

    参考人宮田勇君) 先ほど申し上げましたように、今のところ生乳需要等も非常に順調にいっておりますので、飲用の方の皆さんの消費者の面で問題はありましたけれども、そういった面で今、雪印乳業以外への、その分のほかのメーカーへの配乳の問題も全国指定団体のブロック化の中で順調に進めておりますので、今のところそういった面の問題はなく順調にいっておりますし、そういった面では酪農民も、十分情報の伝達をいたしておりますので、混乱はないというのが今の現状であります。  御指摘のとおり、今後どうなるのかと、経済的ないろんな諸問題がある中でどう解決していくかというようなことでございました。この問いについては、私ども、全国の今回の対策会議におきましても協議をいたしまして、それぞれ今後起こるべきいろいろな諸問題につきましては、国の方に対してもそういった面の具体的な対策を講じるよう要請をいたしておる経緯にございます。  そういった中で、先日、政府の方からそれぞれ各項目についても具体的な、全部ではございませんけれども、予算づけの中で示されたわけであります。この中では、農水省が、国が財政的なものを含めて行うこと、あるいはまた雪印乳業責任の中で行うこと、あるいはまた私ども生産者団体対応すること等々に分けてそれぞれ示されたわけでありますし、その中身については、私ども対策会議が申し入れ、要請を行った事項とほぼ合致をするものでありまして、そういった対策を具体的に講じてくるということになれば、そういった問題が起きた場合にも対処できるんではないかと、対処いただけるんではないかと思っております。  そういった中で、こういったことが具体的に出ることが今非常に、今後の推移いかんによってはいろんなものが想定されるということで生産自体も心配しておるわけでありますけれども、こういったものがいち早く示されたということは、そういった面で、混乱とかいろんな面での心配といった面に対応する面では非常に早期でよかったと考えておりますし、私どもも地域地域、全国のそれぞれあるわけでございますので、十分また情報の交換をした中で、起こるべき問題につきましては、ぜひ的確に把握をした中で、十分関係と連携した中で対処をしてまいりたいと思っております。  一番大事なことは、早期にやはり安全性を、それに今は全部乳業工場をそれぞれ検査しておるわけでありますけれども、早くすべての施設がそういった検査を完了した中で安全宣言をして、消費者の皆さんに今後は安全なそういった生乳を初めとしての乳製品提供していくという、そういう安心感をまず消費者に与える。そういったものをいち早くしていただき、そういったものが具体化をする中で、いろんな今後の需給面での大きな変動のないよう収束していって、今後とも絶対消費者が安心をし、安全にそういったものを食することができるような体制強化を、さらにまた今回いろいろな問題がありました乳業会社の体質の改善、そういったものも十分していただきまして、今後とも、私ども生産者乳業者、さらにまた国とが三者一体の中で今後の酪農振興が図れますようひとつよろしくお願いをいたしたいと思っていますし、今後の問題につきましても、そういったことで私どもも対処していきたいと考えております。
  91. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 本当に牛乳離れを私たちも心配しているわけですけれども、生産者の努力はもちろん大事ですけれども、やはり企業責任、行政指導というのがあって初めて生産者の努力が報われると思いますので、これから大変だと思いますけれども、御検討をしていただきたいと思います。  次に、農水省の方にお尋ねをしたいんですけれども、最初に酪農家の皆さんへの対策についてお伺いいたします。  今、参考人宮田さんの方から報告がありましたように、本当に今後のことが心配だという点で指摘をされたのは、私も同感でございますけれども、差し迫った問題として、私は、他の乳業メーカーへの振りかえに伴う輸送コストの負担について、それから生産者に負担をさせるべきではないという点が一つですね。酪農家の皆さんの状況は、今言われたように、今は何とか直接的な被害はないけれども、この秋からだという点を具体的にもうはっきりと予想というんですか、指摘をされていますが、その辺の対策ですね。  ですから、多くの農家の皆さんは、私もお聞きいたしまして、ふん尿処理施設をつくって今借金を抱えておるところだという、そういう本当に悲痛な声も聞かせていただいて、そういう負担を抱えている中で今の低乳価の問題も私は厳しい経営を迫られるんじゃないかと思いますね。  ですから、今回の問題によって一切責任のない生産者に私は犠牲を強いることがあってはならないと、この点をしっかりと踏まえて農水省、政府の見解をまずお聞きしたいと思いますが、いかがですか。
  92. 樋口久俊

    政府参考人樋口久俊君) お答え申し上げます。  雪印乳業の食中毒問題に伴いまして、いろんなやらないといけないことが出てきたわけでございますが、これまで生産者団体全国連、それから乳業メーカー、それぞれ連携をしていただいていまして、それぞれの関係者が大変努力をいただいた上で、お話にもございましたように、雪印から他の乳業メーカーへの配乳変更、これは相当スムーズにいっているところでございます。  その結果、当面は、宮田さんからもお話がありましたように、具体的な影響は出ていないんですけれども、その中で、例えば配乳変更が行われた場合に輸送距離が違ってくるわけでございまして、そういう場合の経費のかかり増し、これはもう発生をした部分が一部ございます。  それから、飲用向けとして処理予定をされておりました生乳が結果的に、これはやや今後の問題と仕切っていいかと思いますが、加工向けとされる場合も当然予想されるわけでございまして、これに対する価格差の補てん、こういうものについて事故影響酪農家の皆さんの経済的負担につながらないように雪印乳業として誠意を持って対応してほしいと、こういう指導を行って、もう既にお話をしているところでございます。
  93. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 それはもう本当に万全を期していただきたいと思います。  次に、販売店に対する対応ですが、これも緊急を要するんですね。  補償について、雪印大阪工場関係は補償内容の提示がされました。補償は、操業停止で私は影響を受けた全国販売店を対象とするべきだと考えていますが、一つ、雪印が融資を行っているという項目があります。これは、六カ月据え置きで十カ月払いだという項目があるんですね。もうこれではどうにもならないということをはっきりと販売店の方はおっしゃっていました。六月分の代金の支払い猶予についてもこの八月十三日まで猶予するということになっているんですが、これではどうにもならないということも販売店の方は指摘しております。これらの問題へも、私は、販売店の実情に合わせた対応が必要だということを私は農水省で重ねて指導していただきたいと思います。  私、販売店からの本当に意見の中で悲壮な話が一つあったんですが、五年半前に阪神・淡路大震災で被害を受けた販売店の方は、五年半たってやっと自分たちのお客さんがもとに戻ったと言われるんです。だけど、今回によってお客さんが半分になったと言う。だから、もう地震が二回来たみたいだという悲痛な訴えをされていました。  こういう被害の方もいらっしゃるということですから、私は、本当に今の生活資金も足らないという、そういう実態になって集金にも行けないと、そういう事態ですから、本当に公的な融資を受けていらっしゃる皆さんもいらっしゃいますから、関係機関に働きかけて、私はこの償還猶予なども含めて万全を期すべきだと思いますが、その点について具体的にお聞かせください。
  94. 樋口久俊

    政府参考人樋口久俊君) 今回の事態は、雪印乳業が平たい言葉で申しますとみずからの不手際で招いたものであるということでございまして、雪印乳業に対しまして、販売店の不利益を解消する必要があるのではないか、経営継続のための必要な支援措置を早急に講ずる必要がある、そして販売店の不安解消に努めてほしい、こういう強く指導をしたところでございまして、先生からもお話がございましたように、現在、雪印乳業ではおおむね四つの対策を講じておられます。一つは代金決済の期間の延長、それから無利子無担保による融資、それから三つ目が返品された商品の買い取り、それから他社製品をあっせんして売ってもらうということでございます。ただ、このほかにもいろいろ具体的な事例によっては対応の仕方も個々区々になると思いますので、私どもとしてはその実態に応じて誠意ある対応をしてほしいということをお話をしております。  こういう背景の中で、必ずしも雪印販売店に限りませんけれども、いろんなところからそういう御相談があるかということで、七月の十七日でございますが、都道府県の牛乳販売店の組織で社団法人全国牛乳流通改善協会というところがございまして、ここに雪印販売店対策を対象にして対策本部が設置されておりまして、いろんな相談窓口的な機能もそこで担うということになっておりますので、そこで御相談をされたらよかろうかと思います、具体的な話は。私どもとしましても、その協会と連携を密にして、いろんな本部に寄せられます相談や要請について円滑に解決されるよう雪印乳業やその他の乳業者を適切に指導していきたいと思っております。  なお、農林水産省の中には、冒頭御説明もございましたけれども、対策本部そのものも設置してございますし、それから問い合わせ等が直接私どもの方にございました場合には、私どもの局に牛乳乳製品課というところがございますので、そちらで対応しておりますので、いろんな情報なりを提供するということで対応したいと思っております。
  95. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 具体的にはそういう担当の方へと言うんですけれども、実際は、具体的な項目を見てみましたら販売店の皆さんが立ち上がる要素がそこにないということを私は感じましたので申し上げました。  ですから、今生産者の皆さんが心配しているこれからの牛乳消費力は落ちるという、その窓口が販売店でもありますから、やはり生産者そして販売店消費者の皆さんへ本当に誠意を持って、企業責任、確かにもう雪印です。だけど、そこが悪かったからということで責任逃れを行政の方でやっていただいたら困りますので、ぜひそこは鋭い観点で指導をしていただきたいと思います。  次に、厚生省にお尋ねをいたします。  今回の雪印の事件は、高度な衛生管理の手法としてHACCPを導入して、それを支える労働者の体制いかんで安全管理が私はおろそかになり得ることが明らかになったと思うんです。  新聞への投書で大阪工場の従業員の妻は、事故は起こるべくして起こったと指摘しています。ずさんな衛生管理原因は、毎日長時間の残業を強いられる過酷な労働条件にあると告発もしています。夫は毎日夜の十時、十一時に帰宅し、翌日疲れのとれぬまま早朝に出勤する、疲労が蓄積して安全管理がおざなりになっているということも訴えています。それを証明する事例は現場からも報告がされているんですけれども、体調が悪いのに過激な職場に充てられた、入院していて退院したらすぐに現場のフル勤務につかされたと。糖尿病の人というのはちょっと味が、感覚が衰える場合があるんですが、その人に味見をさせるとか、労働者の健康無視の事例は切りがないということを私はお聞きしたので、本当にびっくりしました。  それに、本当にきわめつけというのを私はきのうの新聞を見て驚いたんですが、この五月末に雪印グループは健康相談やメンタルヘルスに当たっていた健康保険組合の保健婦さん、看護婦さんなど専門職三十一人を一気に解雇し、健康相談室も廃止、閉鎖されたと載っていました。これは本当に、製品の安全衛生確保に寄与していたこういう人たちを解雇するということは、私は、食品製造に携わる企業でありながらいかに健康管理を軽視されていたか、大阪工場の集団食中毒を引き起こした原因に通じる安全意識の低さをあらわしていると指摘せざるを得ません。  二十四日にHACCP工場の工程を見せていただきました。だけど、原料の受け入れなどそういうところにも手作業があります。今問題になっていましたハイファットクリームチーズの解凍も、こういうボックスがあるんですが、そこへ入れて蒸気で解凍するんです。それももちろん手で入れないといけない、洗うのも手でもちろんやらないといけないという状況があるわけなんですね。  ですから、多くの人の、労働者の手を通ってこのHACCPというのは機能を果たしているわけですが、だから本当に厚生省は総合衛生管理過程承認するに当たって、私は、提出されたプランが適切に運用、実施されるような体制であるかどうか、本当に確認しているのかどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  96. 西本至

    政府参考人西本至君) このHACCP制度は、食品衛生法を遵守しているということをまず前提といたしまして、製造者がみずから定めた製造工程を自主的に管理することによってより高度な安全性を確保しようとするということが大前提、大精神になっているわけでございます。これはハード面、例えば設備施設はもちろんのことでございますが、議員御指摘の運用面あるいは実施面というようなソフト面についても、当然その企業自身の自主的な管理体制ができているという前提で私どもは審査に臨んでいるわけでございます。  したがいまして、具体的に申し上げますと、例えばその企業の中に組織されたHACCPチームというのがまずあるのかどうか、それから当該のプランが製造現場で適切に実行可能に策定されているかどうか、そしてまた審査及び現地調査の際にそのプランの試行結果、そういうことについても確認をするということで、実行可能なものであるというふうに確認作業をしているというのが現状でございます。  したがいまして、勤務条件、労働条件等のような話になりますと、ちょっと私どももなかなか及ばないというのが実態でございます。
  97. 大沢辰美

    ○大沢辰美君 私は、HACCP承認を与える厚生省がやはり総合衛生管理生産ラインで働いている人の体制まで把握しないと食品の安全は担保できないということが今回示した事故だと思うんですね。  先ほどもありましたHACCP導入先進国のアメリカで、食品産業の劣悪な労働条件がHACCP導入工場での食中毒の集団発生を引き起こした事例があったと思うんですが、御存じだと思いますが、ミネソタのフットボールチームの選手を初め二十四州、四カ国の千九百人が飛行機で出された機内食のサンドイッチによって赤痢の集団発生をしたという事件がありました。これは機内食の調理施設の一作業員を介してサンドイッチが赤痢菌に汚染されていたそうですね。  ですから、調理施設は安全なHACCPで管理が行われていたけれども、やはり一労働者が手洗いが不十分という初歩的な衛生管理の欠陥があったということですが、調査の中で明らかになったのは、この職場は九十日間働いていなかったら有給の病気休暇もない、そういうふうな状態の中での劣悪な労働条件で働かせていたということがはっきりしたんですよね。ですから、やはり日給分を失いたくないために就業した。こういう条件の中でやはり私は幾ら高度な衛生管理HACCPを導入しても、これはすばらしい工場とは言えないと思うんですね。  ですから、私は、今回の食中毒事件関係者から同様の指摘、告発があるわけですから、従来の記録検証中心の検査、指導だけでは再発防止はできないと思うんです。ですから、厚生省が労働省とも連携をしていただいて労働実態にまで迫る原因調査をしていただきたい。そして、今後のHACCP導入工場に対する監督指導内容も労働条件や健康管理の問題まで踏み込んでやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。  以上です。
  98. 谷本巍

    ○谷本巍君 初めに、厚生省西本局長に伺います。  十九日の衆議院農水委員会乳業への立入調査問題の質問を受け、局長はその中で、抜き打ち検査、臨時検査も十分検討し、相当疑ってかかる観点を持たなくてはいけないと答弁した旨新聞で報道されております。まさしくそのとおりであります。  水並みという異常に安い牛乳が出現してきている。メーカーに言わせると牛乳は大赤字。ドル箱のそれじゃ加工乳の方を含めたらどうなるんだ、トータルすれば赤字ですよという返事がはね返ってきます。  乳業工場の現場はどうなのか。私、雪印の場合について労働省に頼んで調べていただきました。返ってきた返事は、一日四から九時間法定外労働が認められるという話でありました。残業残業、そういう状況じゃないですか、これ。これは手抜き作業が起こるのは当然だなという気が私はいたしました。それだけに行政指導のあり方をしっかりしてもらわなきゃなりません。  HACCP問題でいいますというと、本省の担当役人はお一人でしょう。ことしから五人追加された。これで何がやれますか、やれるのはもう事前指導だけですよね。大事なのは事後指導なんです。そして、局長が答弁するように、時によっちゃ臨時検査やりましょう、そういうふうな状況、やれるような状況になかったというところに私は問題があると思うんです。小さい政府論、結構ですよ。しかし、やるべきことをきちっとやらなきゃ小さい政府論というのは成り立たないんです。それだけに、この先の問題について、検査のあり方と特に事後検査の問題ですね、そして要員確保についての考え方を聞かせていただきたい。
  99. 西本至

    政府参考人西本至君) 食品工場等に対します臨時検査あるいは抜き取り検査あるいは立入調査、こういったようなものは、御存じのように、食品衛生法の中で食品衛生監視員という形で都道府県の受託事務ということで実際はお願いをしているというのが実情でございます。したがいまして、このHACCPにつきましても、事後の監視につきましては、実態はこの都道府県の食品衛生監視員の方にお願いをして実施していただいているというわけでございます。  ただ、HACCPは、再三申し上げておりますように、より高度なものを自主的に求める企業からの申請に基づくという、いわば信頼関係というものが前提になっておりました関係上なかなか、抜き打ちでやるというようなことは実際は余りやっておらないということであります。また、実際に伺いますときには、そのHACCPの部分がどのように稼働しているかということを調べる必要がありますので、事前に書類等整理をしていただく必要もある、準備をしていただく必要もあるということで、大体前もって通告をしてから伺う、こういうことでございます。  ただ、今回のようなことが起こりますと、さきに答弁いたしましたようにすべて信頼してかかっていいのかという問題が出てまいりますので、やはりこのHACCPにつきましても何らかの臨検的なものも考えざるを得ないのかなというのが今の正直な感想でございます。
  100. 谷本巍

    ○谷本巍君 そうしますというと、今想定されているような定員ですね、本省の場合ですよ、それで十分やれるということですか、なかなか難しいということですか。
  101. 西本至

    政府参考人西本至君) できる限り可能になりますように増員要求、増員計画等は立てておりますけれども、現在すぐに、例えばどの程度の頻度で行うかということももちろん関係してくるわけでございますので、十分かと言われれば、現状では十分ではないと思います。
  102. 谷本巍

    ○谷本巍君 政務次官がお帰りになってしまったようですからちょっと申し上げるのが申し上げにくいんですが、局長、その辺のところは、それはもう一生懸命やってくださいよ。どの党も党派抜きで応援をしますよ、これだけ大きな社会問題になってきているんですから。  ということを局長に申し上げて、次に大臣に表示問題について伺いたいと存じます。  四年前、全酪の長岡工場のにせ表示事件、これも加工乳でありました。今度の雪印の中毒事件、これまた主役は加工乳でありました。私どもは四十年間、牛乳牛乳と表示し、還元乳は還元乳と表示していただきたいということをお願いしてまいりました。いかにも国産乳を使って、そこへさらにいろいろな強化剤を入れた高級牛乳であるかのごとき錯覚というのを加工乳は長年消費者の皆さんに与え続けてまいりました。  この際、表示問題について正確を期すようにひとつ大臣お願いしたいのだが、いかがでありましょうか。
  103. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) ただいま御指摘の表示問題につきましては、農林水産省の所管ということははっきりしておりますので、この問題につきましては、こういうことが二度と繰り返されないようにしようという考えからいいますと、今の表示問題が重大な問題だと心得ております。  そういうことでございますから、さきに中川議員に御説明申し上げましたときには厚生省と農水省が十分話し合いの上で決定すると申し上げましたが、ただいまの表示につきましては農林水産省責任でやれる問題だと思っておりますので、それにつきましては、今後こういう支障がないような立場に立って、二度と繰り返さないような立場ではっきりとした態度をとっていきたいと思っております。
  104. 谷本巍

    ○谷本巍君 大臣、これは答弁がいただけなくても結構ですが、あわせてこの際お願いしておきたいと思いますのは、新しい基本法と基本計画は何と言っているか、自給率を上げていきましょうと。その一つの方法というのは国内生産の増大、そしてもう一つは、健全な食生活の確立を通じて国産農産物の消費を伸ばしていくんだというふうに言っております。  そうしますと、牛乳の場合には何を飲用することが最も健全なあり方なのか。輸入の乳製品を原料にして水をまぜて、それをもってつくった還元乳があり方として望ましいのか、それとも国産牛乳が望ましいのか。この辺の論議というのも、既にもう基本法論議で私一度やっておりますけれども、そうした観点をきちっと踏まえて強力にこの点をお進めいただきたいということを、この際、お願いしておきます。よろしいですね、大臣
  105. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 酪農家の皆さん方が生乳品質を向上するためにいかに努力していらっしゃるかということは、私もじかに体験しておりましてよくわかっております。そういうことを考えてみますと、ただいま御指摘になった問題は確かに重要な問題でございますので、私はそういう方向で頑張っていきたいと思っております。
  106. 谷本巍

    ○谷本巍君 ありがとうございました。  それでは次に、公正な競争条件確保についての若干の問題提起をしながら御答弁をいただきたいと思います。  先ほど来申し上げておりますように、水並みの牛乳価格というのは、まさしくこれは異常であります。この異常さを実現したものは何なのか、私は行き過ぎた弱肉強食型市場競争にあったと思います。かつて乳価の形成は、メーカー酪農家とそれから販売店の代表の協議によって決められてまいりました。最近は大型量販店が主導権をとるような形になっております。まとめて買うから安くしろ、安くしなければ他のものも扱いませんよと、ほとんどがそうですね。そういう中から水並みの牛乳価格というのが、原価割れの牛乳価格というのができ上がってきたのではないでしょうか。  かくして市乳は赤字、そして輸入乳製品を主体とした還元乳が生産へと傾斜されていく、牛乳工場は人減らしが続く、安全教育は手抜きになる、作業は手抜きになる、こういうふうな状況というのが続いてきたわけであります。つまり、中毒事件は水並み価格という異常な価格形成が生み出した事件であった、こんなふうにも見ることができるように思います。  また、雪印はそういう中で、安全性よりも効率化、徹底低コスト化、手段を選ばずやった。そしてトップにのし上がったというふうにも見ることができます。こういう異常なあり方は直していかなきゃなりません。直していくのには、公正な競争の関係をどうつくっていくかということであります。このことが私は今一番問われていることではないかと思います。  そういう点では、例えば私どもやそれから酪農団体などでもこれまで提唱してきておりますのは、量販店とメーカーとの取引価格を決める際に、牛乳生産のコストの問題、メーカーがかかっている経費の問題、標準的なものを出し合いながら、これを土台にしながら論議をして価格を決めていくという方法ができないものだろうかといったような問題提起等々を行ってきております。  この点について、まず、きょう御出席いただきました全中の役員の方と、それから三浦政務次官ですか、お答えをいただきたいと存じます。
  107. 宮田勇

    参考人宮田勇君) 水並み、水より安い牛乳が販売されておりますことにつきましては、私ども生産者といたしましては大きな問題であるというふうに認識をいたしております。  牛乳生産するに当たりましては、生産者生産にかかわる費用、あるいはまた乳業者製造あるいは販売コストなど必要なコストをかけて牛乳供給しておるわけであります。生産者といたしましては、生産性の向上にはこれは努力をしなきゃならぬということでありますけれども、やはり再生産ができることが確保できる価格ということが一番大事なことでありますし、また乳業者には安全で良品質牛乳供給できる価格で販売をしていくという必要があるわけであります。  そういった中で非常に、今お話がありましたように、水よりも安い牛乳が出回るということが恒常化してきますと必然的に、我々生産者の場合は生産費を償えないという離農の問題、また乳業者についてはやはり製造コストが賄えないといういろんな大きな問題が派生してくることは当然であります。
  108. 谷本巍

    ○谷本巍君 持ち時間が足りませんので、簡潔にしていただきたいと思います。
  109. 宮田勇

    参考人宮田勇君) ええ。  そういった中で私ども、やはり、今度民間流通に移るという実態の中でそういった指導力が強制的に動くかどうか難しい面もありますけれども、乱売それから廉売の是正など取引のあり方につきましてはやはり政府に適切な御指導お願いをしたい。また、我々生産者団体といたしましても、適正な価格での販売が実現されるよう乳業者に対しまして適正に対応がとれますよう申し入れ等々の取り組みをしていきたいと考えております。  以上です。
  110. 三浦一水

    政務次官三浦一水君) いわゆる量販店によります買いたたきや安売りにつきましては、谷本委員御指摘のとおり、農林水産省としましても、酪農及び乳業の健全な発展や消費者への安定供給という点で基本的に好ましくないと考えております。  さらに、飲用牛乳の市場の適正化を推進する観点からは、飲用牛乳の流通取扱指針を定めております。量販店等における公正な販売方法を指導するとともに、生産者乳業者、さらに販売店によります飲用牛乳流通問題等協議会により不当廉売の是正等の市場改善に努めてまいる所存でございます。
  111. 谷本巍

    ○谷本巍君 終わります。
  112. 石井一二

    ○石井一二君 石井でございます。ラストバッターでございますが、よろしくお願いをいたします。  私は毎朝牛乳を一杯飲むことにしておりますが、けさは飲まずに来ました。これは早朝の会議があったため時間が押しておって飲めなかったわけでありますが、きょう、十二時半から行政監視委員会のバスが出るということで行かねばなりません。今、予定がおくれておりまして、私が私の時間を十分にとると、朝昼抜きで五時に帰ってきてどうかななんて要らぬ心配をいたしております。若干早くやめた場合はひとつそういう意味でお許しを賜りたい、このように思います。  暑い夏になるといろんな食中毒関係の不幸な事件が起きます。六月の中旬でございますが、川越保健所がO157なんということでハムか何かで埼玉でフライングをしまして、せっかく注意をしたけれども間違いだったということで損害賠償を数百億円埼玉県が取られかかっておる。こういうことがあった直後に今回の雪印の事件があったために、ちょっと様子を見ないと、すぐに行政がとか乗り出してということに私はちゅうちょがあったと思うんですが、今後こういった面では過ちを犯すことを恐れずにやはりどんどんやってもらわにゃいかぬのじゃないかというような気持ちでこの一連の事件を見守っておるものでございます。  残念なことでございますが、森永のこういった事件というのは何も今に始まったことではないと思うんです。いや、雪印。森永に対しておわびを申し上げます。  例えば、一九五五年の三月に集団食中毒を雪印が起こして千九百人の学童が下痢とかその他いろいろ問題を起こした。そのときある役員は、その当時の新聞を見てみますと、そんなはずはないという発言のもとにばっとそこで一杯ミルクを飲んだわけでありますが、数時間後にトイレに駆け込むはめとなったと、こういう記事が出ております。私は、そういう意味で、先ほど間違って森永と言っておわびをしたわけですが、ついでにその新聞記事を読んでおりますと、その数カ月後に森永が今度また砒素ミルク事件というのを起こしているんですね。だから、注意をしてやってもらわないと国民の健康という面から大変であるということを感じておるものでございます。  きょうは、宮田さん、御苦労さまでございますが、先ほど同僚の谷本議員から言われました不正表示の件、これについて、あなたは御存じないかもしれませんが、あなたの在職中に全酪連はおわびの文書を出しておられるんですね。  その中では、弊会長工場の成分無調整不正表示云々と書いた後、この事件が今後酪農界に及ぼす影響と社会に対する責任の重大さを痛感いたしておる次第であります。重ねて伏しておわびを申し上げるしかございません。今後このようなことが二度と起きることのないよう、酪農界並びに消費者各位の信頼回復すべく役職員一同みずからを戒めながら懸命なる努力を傾注してまいりますので、御理解を賜りたくお願い申し上げます。平成八年三月十三日。こうなっております。  私は、今回雪印の社長がおやめになりましたけれども、全中のしかるべき方がこの問題が一段落ついたら辞表をお出しになるタイミングをはかっておられるのかななんて思いながら、御家族もおられるし大変だなと御心配もいたしておりますが、そういった面で、今後十分注意をしてやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  本来ならこういった問題について御答弁をいただくわけですが、冒頭申し上げましたような理由で次の質問に入りたいと思います。  谷大臣にお伺いいたしますが、大臣御就任おめでとうございます。私は、谷大臣の農政の基本姿勢について、今までの農政の姿勢を継承してやっていくのか、谷カラーというのをどこに出そうとしておられるのか、ごく簡単で結構ですから基本的なところをちょっとお教えいただけたらありがたいと思います。
  113. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) ただいま石井議員御指摘のように、谷カラーを出せという意味でおっしゃっていただいておると思うんですが、継続ということが根本的な問題だと思っておりますので、従前の我が農政を継続しながら、そして谷カラーを、でき得る限り私の考え方を申し述べながらやりたい、これが結論でございます。しかし、それは言うべくして難しいところもたくさんございますけれども、それを実行していきたいと思っております。
  114. 石井一二

    ○石井一二君 私は、実に憶病な、逆に言うと謙遜された御丁寧な慎重な御答弁であったと思います。  それで、役人連中の皆さんはこういう言葉があるんですね、ミニスターズ・カムズ・アンド・ゴー、ウイ・ステイ・フォー・ロング。言うならば、大臣はころころかわっていくけれども我々はずっとおるんだ、大臣の言うことぐらい何じゃいと。こういうことがありまして、なかなか谷カラーを出そう、あるいはどこかの大臣が新しいことをやろうと思っても難しい面があります。特に農水省は高木さんとかいうワンマンの傲慢無恥の事務次官がおられて何でも勝手に決めるということが新聞によく出ておりますが、そういった中で、あなたは今これまでのやり方を継続していくのが基本であると、こうおっしゃいましたけれども、ここ半年ぐらい見ておりますと、特に農水省で問題を起こしたのは構造改善局なんです。  私はきのうも構造改善局長がこういった厳しい中でどんな顔をして仕事をしておられるのかなと思って部屋までごあいさつかたがた訪問して懇談をして帰ったわけでありますが、こういった反省に立って構造改善局がやり出した一つの画期的な政策があります。それは、今後地方自治体や関係団体に補助事業に関する陳情をお断りしますという張り紙をしたんです。これは補助事業にかかわる構造事業課というところに張ってあるわけでありますが、こういう考え方というのは、もうあなたの段階で、いや、そうではないんだ、どんどん陳情にお越しください、その方が政治献金も集まるし選挙も強くなるしという考え方なのか、こういう考えは、継続してやっていくんだとさっき言われたとおりなのか、その辺はいかがですか。
  115. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 二十六、七年ぶりでございます、石井議員の方からの御質問を受けまして、相も変わらず元気だなと思っておるわけでございますけれども。  私は、先ほど申し上げたとおり、我が国農政は大臣がかわるごとにくるくる変わるのはよくないと思っております。しかしながら、やはり微に入り細に入っては私の考え方を十分そこに組み入れていただくということも当然なことだと思っておりますので、先ほどそういうお話をさせていただきました。  そういうことで、今回の事件につきましては、これはやはり二度と繰り返さないということは普通よく言う言葉でございますが、まさに二度と繰り返さないような措置を十二分に考えていかなきゃならぬというふうに思っております。
  116. 石井一二

    ○石井一二君 いや、入札お断りの張り紙はきょうも今張ってありますが、そういう政策は今後も続けていかれるんですかというのが私の質問ですよ。
  117. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) それは私、張り紙を見ておりませんので、どういう意図でやったのか帰ってから聞いてみたいと思っておりますが、私の意見に反することであれば取り外しをしたいと思っております。
  118. 石井一二

    ○石井一二君 いや、大臣がこのような大事な張り紙をまだ見ていないというのも私はやや不勉強じゃないかと思いますが、それを何、外すとあなたは言われるんですか。ちょっとそこのところもう一度おっしゃってください。
  119. 谷洋一

    国務大臣谷洋一君) 私の職が忙しいということを強調するつもりはございませんが、各局を、各課を回って巡視するということはまだやっておりませんので、そこで見ていないということを申し上げたんです。  そこで、問題は内容の、どういうふうな意味で書いたのかということを聞かなければ十分わからないと思って、そういう意味では的確な答えになっていないかもしれませんが、それが私の本心でございます。
  120. 石井一二

    ○石井一二君 今のようなことは新聞にも載っておりますので、農水族の主流にあるあなたがそういうのを知らなかったということは、それはいたし方ないと思いますが、じゃ一度また御検討いただいて、次の委員会でお気持ち等をお聞きしたいと思います。  そこで、農水省が新しくおやりになっている一つの仕事で私もいいなと思っておりますのが政策評価評価方式というもので、七十九項目を挙げて、それを五年間でチェックしていこうということなんですが、私が驚いたのは、この項目をチェックしておりますと、肝心の構造改善局で、渡辺さん、今の構造改善事業課あたりの項目が一つもないんです。それで、ほかは構造改善局だけで九項目選んでいますけれども、このあたりを踏まえて、局長、今、谷大臣の答弁も含めて、あなたのひとつ意気込みを込めたお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  121. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) 冒頭、陳情お断りということを先生御紹介になりましたけれども、陳情をお断りしているということではなくて、これから役所にお見えになるときには政策提案をしていただきたい、地域の農業をどうするかというふうな、そういう基本的なコンセプトのもとで国が何を分担し地域が何を分担するか、そういう政策提言のもとでやる方がむしろ地域は振興していくだろうと。ですから、単なる一方的な陳情ではなくて、お互いに知恵を出し合いましょうというのが私どもの提案でございます。これは全国の部長会議でも申し上げましたし、皆さんがお見えになるときには要望とか提案とか陳情とか書類を持っておいでになりますけれども、その際、必ずこれからはお互いに知恵を出すという提案型でいきましょうという、お断りということではなくて、むしろこういう方向に新しい農政を変えましょうということを申し上げたわけです。  それから、二点目に政策評価の話でありますが、これは今先生が御紹介ありましたように、七十九の政策分野、他の省庁に先駆けて一年早く農林水産省はスタートさせております。  構造改善局の関係の項目は、構造、経営、中山間等……
  122. 石井一二

    ○石井一二君 簡単に。
  123. 渡辺好明

    政府参考人渡辺好明君) はい。  九の分野でありますけれども、その中には、当然のことながら、中山間地域の振興などは構造改善事業あるいは経営構造対策でやるわけでありますので、当然項目として入っておりますし、それから都市と農村の交流というふうな分野も入っております。  それぞれ数字になじむものとなじまないものもございますので、そういう手法が確立したものを中心に、例えば優良農地の面積の維持の問題なり意欲ある担い手の経営体をどれだけ育てるかという具体的な数字を挙げて、あるいは中山間地域の農業生産額をどこまで持っていくかというふうな提案をしているわけでございまして、手法として構造改善事業とか経営構造対策事業はその中に溶け込んでいるという分野がございますが、大ぐくりに九分野を私の局では選ばせていただいたわけでございます。
  124. 石井一二

    ○石井一二君 数字になじむものと言われましたけれども、一番数字になじむのはやっぱり入札ですから、今後変更する機会があればそういうことも項目に入れる可能性についても御検討をいただきたいと思います。  それから、経済局長、そごうの事件がいろいろ世の中を騒がせていますが、最初に債権放棄ということを決めた、これはやはり農協金融を助けるためだといううわさがよく出ておりまして、具体的に「選択」という雑誌の七月号にも出ていますが、これについて農水省の考え方、そういうことがあったのかなかったのかということを含めてちょっと簡単に言ってください。
  125. 石原葵

    政府参考人石原葵君) 結論を言いますと、そういうような報道は事実無根でございます。  ちょっと説明させていただきますと、そごうグループの負債総額、これは新聞報道によりますけれども、一兆八千七百億円となっております。そのうち農協系統が融資しております額が、これは農林中金、それから全共連、六つの信連がございますけれども、六百六十七億円、約三%ということになります。この六百六十七億円につきましては既に相当程度が担保はとってある、あるいは引き当てが十分してあるということでございまして、今回の問題で農協系統金融機関への影響は限定的なものと考えております。  したがいまして、あのような報道は全く事実無根でございまして、全中初め農林中金、そういう系統としてもこういう報道につきまして断固抗議しているところでございます。これまで一部の新聞では事実上訂正の、修正するような記事が上がっております。その「選択」については、我々抗議しておりますけれども、まだそういう報道はされておりません。
  126. 石井一二

    ○石井一二君 一部の新聞が訂正されたという、一遍、記事を私は見ていませんので、後で届けていただきたいと思います。  それと、数多くの論調はそういうことを言っておりますから、これは根がないところにうわさは立たずだと思うんですが、例えば六月十二日、あしたから総選挙が始まる前の日ですけれども、午後五時九分に総理官邸に原田全中会長が訪ねられて十二分間話をされたわけです。ここで総理の了承をとったというのが専らのその通の話なんです。これもまた私は今調査しておりますので、調べたいと思いますが。  残念ながら私に言われた時間が参りました。腹の虫も鳴いておりますので、これをもちましてとりあえずきょうは質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  127. 若林正俊

    委員長若林正俊君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時九分散会