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2000-07-18 第148回国会 参議院 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年七月十八日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月十一日     辞任         補欠選任         渡辺 秀央君     戸田 邦司君  七月十七日     辞任         補欠選任         川橋 幸子君     福山 哲郎君      市田 忠義君     宮本 岳志君  七月十八日     辞任         補欠選任         福山 哲郎君     千葉 景子君      益田 洋介君     山下 栄一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         真鍋 賢二君     理 事                 河本 英典君                 須藤良太郎君                 溝手 顕正君                 山崎  力君                 小川 敏夫君                 直嶋 正行君                 日笠 勝之君                 笠井  亮君                 山本 正和君     委 員                 市川 一朗君                 岩城 光英君                 上杉 光弘君                 景山俊太郎君                 木村  仁君                 佐々木知子君                 鈴木 正孝君                 世耕 弘成君                 中川 義雄君                 中島 眞人君                 日出 英輔君                 星野 朋市君                 松村 龍二君                 森田 次夫君                 浅尾慶一郎君                 海野  徹君                 勝木 健司君                 福山 哲郎君                 齋藤  勁君                 櫻井  充君                 千葉 景子君                 羽田雄一郎君                 峰崎 直樹君                 簗瀬  進君                 浜田卓二郎君                 益田 洋介君                 森本 晃司君                 山下 栄一君                 池田 幹幸君                 小池  晃君                 宮本 岳志君                 大脇 雅子君                 戸田 邦司君                 西川きよし君    国務大臣        大蔵大臣     宮澤 喜一君        国務大臣        (金融再生委員        会委員長)    久世 公堯君    政務次官        大蔵政務次官   七条  明君        金融再生政務次        官        宮本 一三君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 成宣君    政府参考人        金融再生委員会        事務局長     森  昭治君        金融庁監督部長  高木 祥吉君        法務省民事局長  細川  清君        中小企業庁長官  中村 利雄君        労働大臣官房審        議官       鈴木 直和君        労働省職業安定        局長       渡邊  信君        自治大臣官房総        務審議官     林  省吾君    参考人        預金保険機構理        事長       松田  昇君        株式会社日本興        業銀行取締役頭        取        西村 正雄君        株式会社新生銀        行代表取締役会        長兼社長     八城 政基君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○金融問題及び経済活性化に関する調査  (そごう向け債権の取扱いに関する件)  (売買契約における瑕疵担保条項等に関する件  )  (そごう再建計画及び経営責任に関する件)  (債権放棄及び法的処理との関係に関する件)  (そごう社員の雇用問題に関する件)     ─────────────
  2. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十一日、渡辺秀央君が委員辞任され、その補欠として戸田邦司君が選任されました。  また、昨十七日、市田忠義君及び川橋幸子君が委員辞任され、その補欠として宮本岳志君及び福山哲郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融問題及び経済活性化に関する調査のため、本日の委員会金融再生委員会事務局長森昭治君、金融庁監督部長高木祥吉君、法務省民事局長細川清君、中小企業庁長官中村利雄君、労働大臣官房審議官鈴木直和君、労働省職業安定局長渡邊信君及び自治大臣官房総務審議官林省吾君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  金融問題及び経済活性化に関する調査のため、本日の委員会預金保険機構理事長松田昇君、株式会社日本興業銀行取締役頭取西村正雄君及び株式会社新生銀行代表取締役会長社長八城政基君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 金融問題及び経済活性化に関する調査を議題といたします。  西村八城参考人には、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。  本日は、委員質疑にお答えいただくという形式で御意見を伺いたいと存じますので、よろしく願います。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 民主党・新緑風会の直嶋でございます。  西村頭取、そして八城社長、きょうは私ども審議のためにお忙しい中御出席をいただきまして、ありがとうございました。  早速、八城さんの方に御質問をさせていただきたいと思うのでありますが、きのう衆議院大蔵委員会でもさまざまに議論されていたわけでございますが、今回、新生銀行さんの持っておられたいわゆるそごう向け貸出債権約二千億でございますが、このうち九百七十億円の債権放棄要請があったわけでございますが、この件についてまずお伺いしたいと思うんです。  それで、今回の結論が出される前に、これは六月十三日付のある新聞インタビューでこの問題を聞かれて、この債権放棄要請された場合の対応ということで聞かれて、八城さんは、「(その企業が)再建可能かどうかが最も重要な判断基準になる」と、こういうふうに述べておられます。また同時に、この中で、「再建に成功するのであれば、預金保険機構に買い戻しを請求する必要はない」、こういうふうにもおっしゃっておられます。  今回、要請を断られたのは、そごうのつくりました再建計画実現性が低くてやはり追加負担が出るおそれがあったと、こういうふうに御判断されたのではないかというふうに受けとめておるのでございますが、まずこの点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  9. 八城政基

    参考人八城政基君) ただいまの直嶋先生の御質問に対してお答えいたします。  新聞インタビュー記事というのは、そごう問題について特に申し上げた私の回答ではございません。一般的な話として、銀行として債権放棄を求められた場合まず考えるべきことはという意味で、その結果としてその企業再建できるならその債権放棄というのは生きるお金であるという意味で申し上げたわけでございます。  それで、そごう問題については、私どもへ対して債権放棄要請がありましたのは四月の上旬でありますけれどもそごうに対して持っております債権、総額では約二千億円でありますけれども、九百七十億円の債権放棄要請を受けまして、これをどう扱うべきかということについては非常に真剣にそして慎重に検討いたしました。  もし九百七十億円の債権放棄をした場合に残存債権についてはどのような引当金を立てる必要があるかというのは、金融検査マニュアル、それに従ってできております自己査定に従わなければなりません。そうしますと、そごう債務超過が解消するのに約十二年かかるということでございますので、十二年ということは残存債権についてはこれは要管理債権になると。要管理債権については、私ども自己査定で決めております、これは金融検査マニュアルに従ったものでありますけれども引き当て率二八・三%になります。そうしますと約三百億円の引当金残存債権に対して立てなきゃならないと。ところが、三百億円の残存債権のうち約四十億円は引当金を使わないで済む分がございますので、ネットで申しますと正味二百六十億円の引当金を新たに積み増しをするということになります。これは健全化計画で出しております二〇〇〇年度の私ども業務純益百九十億を上回ります。  したがって、債権放棄に応じてそして残存債権に対して必要な引当金を立てるということになりますと、初年度から赤字になります。ということで、私ども体力ではこれはできないという判断をいたしたわけでございます。
  10. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 そちらへかけていただけますか、遠いものですから。  ということは、今のお答えからしますと、この債権放棄再建計画そのものについては特段検討されなかったと、こういうことでございますか。その点いかがでしょうか。
  11. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  私どもは、再建計画については日本興業銀行さんとそれからそごうさんでおつくりになったということで、その再建計画については参画をいたしておりません。しかしながら、そごうさんの方から債権放棄を求められたときに資料はいただいておりますので検討はいたしましたが、先ほど申し上げたように、十二年という、債務超過を解消するのに十二年かかる、あるいは三十年、債務返済と、この三十年は長いとは思いますが、むしろ最初の方の債務超過が十二年かかるということについては、これは本当に債権放棄をしていいものかどうかという、その前の体力の問題とあわせて、それも多少は影響いたしましたけれども、私ども債権放棄を謝絶した理由体力の問題でございます。
  12. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 今、体力の問題と、いわゆる引き当て基準社内引き当て基準との関係引当金を積み立てることが難しいので断ったということなんですが、これはあれですか、契約上、法的処理、今回民事再生法の申請ということになったんですが、この法的処理の場合はやはり同様にこれは預金保険機構に買い取ってもらうと、こういう契約になっていたんですか。
  13. 八城政基

    参考人八城政基君) 契約の八条がいわゆる瑕疵担保に関する条項でありますけれども、その中の一つに、会社整理であるとか会社更生法、今度できました民事再生というのは言葉としては出ていませんが、それに類したことが起きた場合にはこれは瑕疵があったというふうに規定されております。
  14. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで、今のお答えから推測しますと、結局、預金保険機構はいずれにしても、法的整理になっても、あるいは債権放棄を今のように新生銀行さんはどうしてもとれない、社内引き当て関係でとれないということになるわけですから、これはもう買い取らざるを得ないと、得なかったということになるわけですね。もともとこれは無理な話だった、新生銀行さんが債権放棄に応じることは無理な話だったと、こういう理解でよろしいんですか。
  15. 八城政基

    参考人八城政基君) 最初から債権放棄ができないということを決めたわけではなしに、これは慎重に検討いたしまして、一つ一つそごうグループ個社についてどういう状況にあるか、それぞれの個社に対して持っております私ども債権がどういう状況になっているかということについて瑕疵担保条項にちゃんと適応しているかどうかということを我々自身が精査し、それを監査法人に詳しく精査をしてもらう必要があります。その精査の結果を受けて、これは瑕疵担保条項瑕疵条件に合っていて、しかも二割以上の減価になっているということで解除権が成立したと。全部ではございませんが三十八社については解除権が成立いたしております。
  16. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この件に関してもう一点お伺いしたいんですが、先ほどのお話の中で、直接の理由ではないけれども一応再建計画検討させてもらったと。それで、十二年間にわたって、十二年近く債務超過状態が続く、これについてはコメントはございましたが、私もいろんな会社再建計画というのを拝見しますが、法的処理のケースを除くと、十年以上も債務超過状態が続く再建計画というのは非常に珍しい、こう思うんですけれども経営者としての御判断から見てそういう長期にわたってこういう状態が続くというのは、やっぱりどんな判断をされたんですか、それをごらんになって。
  17. 八城政基

    参考人八城政基君) 私として、個人的にも会社としてもその再建計画について判断をする以前に、既にこれは債権放棄を受けられる状態にないという判断をいたしましたので、それで私ども回答は出たということでございますので、再建計画そのもの精査してこれがいいとか悪いとかという話ではございません。
  18. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 続きまして興業銀行西村頭取にお伺いをいたしたいのでございますが、どうぞこちらへお座りいただけますか。一々歩いていただくのも大変でございますので、どうぞ。  それで、そごうが、当初は預金保険機構債権放棄に応じてと、そういう予定だったんですが、御承知のとおり、与党の方の働きかけもあってということかもしれませんが、急遽民事再生法の申し立てということになったわけでございます。  それで、そのときに、これは日本興業銀行の方から私の方にもちょうだいをした見解ペーパーというのをいただいています。これを拝見いたしますと、国民の批判の高まりの中で、特に中元商戦に深刻な影響が出ていると。結局この中で、結論としては、今次再建計画はその前提条件が大きく崩れ、事実上遂行困難となったものと判断せざるを得ないと、こういう見解でございます。  私がお伺いしたいのは、一つ民事再生法の提出というのは実にこれは素早かったんですけれども、もう一つは、今もちょっとお話あったように、今回の再建計画というのは十二年間にわたって、しかも債務返済は三十年をかけてやる非常にロングラン計画でございます。このロングラン計画を立てたことと比較いたしますと、中元商戦といいましても本当に六月からこの七月にかけてでございますから、ごく短期状況でございます。この短期状況再建計画が難しいという判断をされたということは、もともとこの再建計画というのはかなり実現が厳しい、一種のそういうガラス細工的な再建計画だったんじゃないかなと、こう思うんですけれども、この点はどうなんでしょうか。
  19. 西村正雄

    参考人西村正雄君) お答え申し上げます。  今回の再建計画そごうと私どもでかなり時間をかけてつくり上げました抜本的な再建計画でございまして、それにつきましてはあるいは後ほど御質問が出るかもしれませんけれども、私どもはその実現可能性にはかなりの確度で自信を持っておりました。  ところが、六月三十日に最終的に再生委員会預金保険機構債権放棄が認められた後、税金で一企業を救うのかといったような声が非常に高まってきたわけでございます。そこで、聞いてみますと、いろいろその後、抗議の電話が殺到したとかあるいは不買同盟の動きも出てきたと。現実問題として中元商戦に大きな影響が出てきているということでございます。  それで、再建計画の場合に、売上高伸び前提は、残した店につきましてそれぞれ基幹店中規模店小規模店に分けておりますけれども、初めの二年間はマイナスでありますけれども、三年目以降は年間一%程度の伸びと。しかも、一%というのも高過ぎるんではないかという御批判もあるかもしれませんけれども、ベースの売上高は大体横ばいということになっておりまして、その伸びる分は設備投資によって店内を改装するとかあるいは営業時間、日数を延長するとか、そういうことによって伸ばす。それで、二期から基幹店で一・五%、決してそれは無理な伸びではないというふうに思っていたわけでございますけれども、しかし、何といっても百貨店というのはお客様が一般大衆の方でいらっしゃいます。それで、今回のことを御説明して本当にわかっていただけるかというと、これは非常に長銀さんが破綻をしたときから始まりまして瑕疵担保条項の問題からすべてを説明いたしませんと本当のことは非常にわかりにくい話でございます。結局、最終的に一般大衆理解するのは難しいと。  そうなってまいりますと、一般大衆を敵にして百貨店経営は成り立たないんじゃないか。つまり、初め立てた売上高というものの予測というものがこれは恐らく大きく崩れざるを得ないんではないかな、こういうことをそごうさんとしても、あるいは私どもとしても非常に心配をしていたわけでございますけれども、たまたま、たしか先週の火曜日だったと思いますけれども、御承知のように、そごうさんの方に政調会長の方から、この際自発的に預保に対する債権放棄を取り下げることを検討してはどうかというようなお申し出があったようでございます。  もちろんそのときに、そごうさんとしましては一存では回答はできないわけでございますから、直ちに山田社長が私どものところに参りまして、今こういう御依頼があったんだけれどもどうしたものかと。これは私ども大変重要な問題でございまして……
  20. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 済みません、手短にひとつ。
  21. 西村正雄

    参考人西村正雄君) 済みません。  結局結論的に申しますと、両方で、今現在非常に中元商戦が落ち込んでいるという問題よりも、長期的に見てやっぱり一般大衆の御理解なしで百貨店というのは成り立たないと。こういうことになっていくと再建計画の根幹が崩れることになりますので、結局この際、それでは自主的にこれを返上せざるを得ない、こういうような結論に至ったわけでございます。
  22. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、これは大衆の反発といいますか、感情をよく理解していなかった、そこが盲点だった、こういうことじゃないかと思うんです。  それで、あとちょっとそごう経営についてお伺いしたいんですけれども、きのうの衆議院議論で、たしか頭取は、九四年ですか、以降、いろいろやりとりはあったんですが、概要を申し上げますと、そごうグループとしては実質債務超過状態であった、こういうふうにおっしゃっていました。  九七年二月の時点ですか、やはり監査法人が調べてグループとしては債務超過状態だった、こういう情報もちょっとマスコミで報道されていました。  つまり、そういうことで考えますから、今回の債務超過に陥った二〇〇〇年の二月期決算、これを振り返りますと、これは監査法人の方からいわゆるグループ内の貸付金に対する引き当てをきちっと積むように指導されて、それが結果的にこの債務超過につながったと、こういうことを伺っております。そうすると、結局、もう五、六年前からグループとしては債務超過状態であって、しかも当初は監査法人指摘されるまではそごう経営者の方はそれをそんなに引き当てを積まない予定だったようでありますから、これはある種でいいますと一種の粉飾決算を意図したのではないかなと、こういう感がするわけでございます。  まず、この点について頭取の御見解をお伺いしたいと思います。
  23. 西村正雄

    参考人西村正雄君) お答え申し上げます。  私どもそごうの全体を把握いたしましたのはおっしゃるとおり九四年ごろからでございます。今度も株式会社そごうが、会計士指摘によりまして債務超過に陥ったのは株式会社そごうでございます。  グループ全体がそれ以前から債務超過であったのが粉飾ではないかというような御指摘でございますけれども、確かにそういう面は、粉飾ということではなくて、グループ全体の債務超過という実態があったわけでございますけれどもそごうの一応公認会計といたしましては、株式会社そごう決算書においてはそのことは特に注記をせずにやってきたということでございますから、必ずしも、そういう意味では会計士の承認を得た決算を公表してきたということでございます。
  24. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 それで今、そういう株式会社そごうについてお話があったんですが、昨年の決算、九九年二月期の決算もやはり監査法人から指摘されて、その引当金の問題をどうするかでかなり協議があったというふうに伺っております。  そうしますと、頭取おっしゃったように、グループ全体で債務超過状態になっていて、しかも巷間言われていますように、いろいろ報道されていますように、そのグループ相互間でこれは貸付金だとか債務保証だとか入り組んでいるわけです。そういう状態で考えてみますと、昨年のそういう決算といい、やはりこれは株式会社そごう決算そのものもかなりそういうつくられた危険性があるんじゃないか、私は、もちろん断定できないと思うんですが、そういう可能性が高いんじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないんですけれどもグループ全体の経営状況も考え合わせますと。  それで、預金保険機構にお伺いしたいんですが、今回のこの債権放棄検討の中で、こういうグループ全体の状況だとか、あるいはそごう決算がそういういきさつがあっていろいろ議論を呼んできたということについてはどのようにしんしゃくされたんですか。
  25. 松田昇

    参考人松田昇君) 委員、御指摘のとおり、非常に複雑な資本関係になっておりまして、原則として一店一会社という非常に複雑な構成になっております。資本関係も入り組んでおりますし、それから融資、それから保証関係も入り組んでいるというふうに承知しておりますが、要するに私どもとしては、最終的に本年の二月の決算でこれまで含み損になっていたものが顕在化する、それからあわせて不採算の店舗の撤退を決めてその損失処理をするということで大幅な債務超過が出るということを認識いたしております。
  26. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 二〇〇〇年の二月期決算債務超過というのはもちろんこれも公表されている話でございますから、じゃその数字が本当に正しいのかどうか、今申し上げたように過去にさかのぼって本当にその決算が適切になされたのかどうか、こういう御検討はされていないんですか。
  27. 松田昇

    参考人松田昇君) それは、それぞれ監査法人意見をつけてずっと来ておりますので、その一つ一つにわたって詳しくはやっておりません。  いずれにしても、今度の抜本的再建計画のもとになっている決算状況についてはもちろん調べております。
  28. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 これは、そごう債務超過であるということを発表したときに、本当に債務超過の実態が、あの数字が正しいのかどうかというのはいろいろ議論があったところであります。これは再生委員長にちょっとお伺いしたいんですけれども、大丈夫ですか。  私は、こういう経営実態を考えますと、再生委員会なりあるいは金融庁、今度は金融庁になるわけですが、としても本当に国民の税金を使って処理する債権でありますから、やはりその経営の報告が適切になされていたのかどうかきちっとお調べになる必要があると思うんですが、それをお願いしたいと思うんですけれども、いかがでございますか。
  29. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 私どもは、預金保険機構債権放棄についての考えを承りましてそれを了承したわけでございますが、預金保険機構としてはこの興銀の再建計画についてつぶさに検討をされた上でこの結論に達したわけでございます。  もちろん私ども興業銀行がおつくりになりました再建計画についてはいろいろと検討させていただきまして、かつその上で預金保険機構の方がつぶさにこの再建計画を調べられて、そして債権放棄の意思決定をされたわけでございますので、その考え方をお聞きをいたしまして、それを了としたわけでございます。
  30. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 確かに手続上は今、委員長のおっしゃったとおりかもしれません。  しかし、もう申し上げるまでもなく今回の発端は、長銀を三兆六千億のお金をかけて処理をして、そしてその残った債権、つまり国民の税金を使った債権であります。その債権債権放棄に応じるか否かを議論する、検討するときに、そごう経営についてはもう数年前からさまざまに言われているわけであります。西村頭取もおっしゃったように、もう五、六年前からグループとしては債務超過状態であった。このことは私は検討する上で極めて重要なことだと思うんですよ。今松田事長お話を聞いていると、二〇〇〇年二月のその数字をきちっとお伺いして、それをもとに再建計画検討したと、こういう話なんです。  私は、大事なところが抜けているんじゃないかと思うんです。でないと、こんな債権放棄を私は議論できないんじゃないかと思うんです、決断できないと思うんですよ。それを、いともあっさり、私は非常にそういう意味で言いますと乱暴な検討の結果、決断をしたというふうに申し上げざるを得ないんですけれども松田さん、どうですか。
  31. 松田昇

    参考人松田昇君) 私どもは抜本計画そのものの合理性と実現可能性について検討いたしまして、そのとき最も大事だったのは、今回幾ら債務超過を出して、それをどのように再建していくか、そういうことでございましたので、そこに中心、焦点を当てて調査し、結論を出したと、このようなことでございます。
  32. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから委員長、私が申し上げたように、今の松田さんの答えは私の申し上げたことと全然違うんです。きちっと議論してないんです、調べてないんです、そごうそのもののありようについて。私はこれはぜひおやりになるべきだったと思うんですが、どうでしょう。そうすべきじゃなかったんでしょうか。
  33. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 先ほども申し上げましたように、私ども金融再生委員会の立場といたしましては、預金保険機構が、興業銀行が多角的な見地からこのそごう再建計画についてつぶさに検討された結果、その結果として債権放棄をせざるを得ないという結論に達したわけでございますので、私どもといたしましてはこの預金保険機構の決定というものを了承するという形で決定をいたしたわけでございます。
  34. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 つまり、根拠があいまいなまま再生委員会としては了承したと、こういうことになるわけですけれどもね、そういうことで申し上げますと。  これは監督官庁は金融庁になるんじゃないんですか、こういった金融機関の。どうなんでしょう、こういう問題をもっと精査されるべきだと思うんですが、政務次官どうですか。
  35. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 預金保険機構の監督官庁は、私ども金融再生委員会でございます。金融庁と申しますのは、私ども金融再生委員会の下にございます外局としての金融庁でございまして、かつ私どもの、金融庁に関する監督権限は持っておりますけれども、大幅に事務を委任しているわけでございます。
  36. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、委員長の御答弁だと、役割分担上、預金保険機構結論をイエスかノーか言うしかない、これが金融再生委員会だ、こういうことですから、そうじゃなくて、事は税金を使った、処理をした債権の問題なんで、行政府のしかるべき監督庁、監督をするところがきちっともっとお調べになるべきじゃないですか、このように申し上げているんです。それはお調べになるべきじゃないんですか、もっと。
  37. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 先ほども申し上げましたように、私ども金融再生委員会、またはその事務局が預金保険機構からよく話を承り、また私どもといたしましても非常に膨大にわたるそごう再建計画というものを検討させていただきました結果、預金保険機構のお出しになった結論は了といたしまして承認を、承認といいますか了解をさせていただいたわけでございます。
  38. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 ですから、委員長は、その手続の話をされているんです、手続の話を。私は、そもそも検討するときに、過去数年間もうグループとしては債務超過状態だったんだから、しかもこれは税金を使って処理した問題ですから、これは場合によったら、経営責任論がいろいろありますけれども、ひょっとしたらさまざまな問題をはらんでいるかもしれない、そういうことを私は申し上げているわけです。それは行政官庁としてきちっとお調べに、精査をされるべきじゃないですか、もしおやりになっていないんならそれを改めておやりになるべきじゃないんでしょうかということを申し上げておるんです。これは当然のことだと思うんですが。
  39. 松田昇

    参考人松田昇君) 先ほど、本年二月の決算を中心に抜本計画精査調査して結論を出すと申し上げましたけれども、もちろん再建計画そのものの中には、過去十年間、二度にわたる再建策についての数字はすべて入っておりますので、私ども、全体の流れの中ではそれは承知しておりました、売り上げについても、あるいは経費の縮減についても。  ただ、その中で特に重要視したのは、今回どういうような策で債務超過を脱却して赤字体質を黒字体質に変えていけるかという点を中心に私たちは検討したわけでございまして、過去の今までの経営状態について全く等閑視して今回だけ見たというわけでございません。補充させて発言させていただきます。
  40. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 この件は、私は本当に行政庁として、税金を使って処理をした債権の問題でありますから、もっときちっと精査をされるべきでありますし、そこにやはり何らかの問題があればこれは摘発をされるべきだ、こういうことをもう一度申し上げておきたいと思います。  これ以上ちょっとやっていますと私の時間なくなっちゃいますので、次の問題に移りたいと思うんです。  これは久世委員長にお伺いしたいんですけれども、きのうの衆議院大蔵委員会でも、九百七十億円の債権放棄をお決めになった、このことは費用最小化の原則からいっても正しかったんだ、こういうふうにおっしゃっておられます。これは、やはり一日たって、きょうもそのように思っておられますか。簡単で結構ですから。
  41. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 本件につきましては、私ども金融再生委員会は金融再生法が定めております費用最小化原則、国民の負担が一番最小になるようにするという原則でございますが、この原則を基軸としながら、さまざまな観点から慎重に審議を行いました。その結果といたしまして、今預金保険機構の方から出されておりますところの債権放棄要請というものを受け入れた方が費用の極小化と申しますか費用がかからないで済む、費用と申しますのは国民の負担でございますが、かつ社会的混乱も回避することができる、こういうようなことを考慮いたしまして債権放棄要請を受け入れることもやむを得ないという結論に達したわけでございますが、前委員長のときに非常に苦渋の決断としてこの決断をいたしたわけでございます。  しかし、先ほど来お話がありましたように、そごうはその後世論からの厳しい非難を受けまして、企業イメージが大幅に傷つくということで再建計画前提条件が大幅に崩れる、そして再建計画の遂行が事実上困難になるというようなそごうを取り巻く最近の環境というものの変化を踏まえて、それまでの再建計画を断念いたしまして、七月十二日に民事再生法の適用を申請したわけでございます。そごう民事再生法の適用を申請いたしました七月十二日に……
  42. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 結論だけで結構です、結論だけで。きのうと変わらないかという質問ですから。
  43. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) それは全く変わりません。
  44. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 随分使っちゃいました。  それで、ちょっと私、不思議なことがあるんです。ずっと、預金保険機構もそうなんですが、残った約一千億の債権について、これは再建計画は合理的だから国民負担のこれ以上の増加にはならないんだと、こういうふうにおっしゃっている。しかし、これは十二年先の話ですよ。普通はこういう債権を買い取ったら、きちっと引き当てをして現在価値に置きかえるというのが基本じゃないんですか。なぜそれをやらないんでしょうか。それと法的処理の比較しかされていないんですよ。これはインチキじゃないですか。
  45. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 既に一千億円の引当金が積まれていたわけでございますし、また今この十二年の問題でございますが、これは普通にやりますと三十年ぐらいかかるのを、これは興業銀行がメーンバンクとしていろいろ努力をされた結果、三十年かかるものを十二年で処理できると、そういうようなことからこういうような結論に達したわけでございます。
  46. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私が申し上げているのは、最初引当金の一千億ではなくて、残りの残債一千億に対してきちっと引き当てをすべきじゃないですか。皆さん方は民間の銀行に対してそういう指導をされているじゃないですか。  債権放棄に応ずればこれはもう実質破綻先になります。さっきの新生銀行八城社長お話ですよ。そうするとどうなるんでしょう。担保つき債権以外は全額引き当てをして償却するというのがルールですよ。十二年たって余分に担保つき債権以上のものが返ってくれば、それはそれでそのときに胸を張っていただければいいですよ。今の評価をするときにそういう引き当てをしないで、損害はゼロでございます、これはおかしいじゃないですか。人に指導していて何で自分たちはやらないんですか。
  47. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 残債権千億についてなぜ引き当てをしないのかという御質問だと思いますけれども預金保険機構銀行免許を持っておりませんで、銀行経理の引き当てをすることにはなっておりません。したがって、引き当ては、預金保険機構債権が帰属した場合には引き当てはしないことになっておりまして、したがって残債権ほぼ一千億というものを十二年で回収するということになるわけでございます。
  48. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 しかし、あなた方は銀行免許は持っていないけれども取引をしているんですよ。取引でしょう、これ。二千億の債権を一千億で買い取ったんですよ。買い取ったものをこれから回収していくわけでしょう。当然引き当てすべきじゃないですか。  それを説明をせずに、少なくとも説明のときにはルールで言いますとこれぐらいの引き当てが必要になります、だから現在確実なのは六百億なら六百億ですと、こういう説明をしなければいけない。非常に自分たちに都合のいい説明をしているんじゃないですか。
  49. 松田昇

    参考人松田昇君) 処理方式の比較の件でございますけれども、要するに私どもは国民のためにできるだけ回収の最大化、極大化を図るという点で、どちらの方式がすぐれているかということが中心でございました。そこで、いろいろ処理のシミュレーションをいたしましたけれども、その結果、仮に私的整理のままで再建計画が順調に推移しますと、順調に推移することが前提でございますけれども、それを前提にしますと、まず残債権については千六億という全額が回収できる計算になりましょうと。  それから一方、法的整理に移れば確実に、債務超過企業でございますから債権者平等の原則で働きますので、そこで起きる確実と見込まれる国民負担、新たな国民負担、それが顕在化するのであろうと。それが破産の場合と会社更生の場合と二つと、それから私的整理の場合と分けまして、国民負担の大小の点から比較をしたということでございます。
  50. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 私はそんな説明聞いていないんですよ。だから、そこにあなた方数字のレトリックがあるんですよ、国民に説明するときに。  だって、銀行にはちゃんと引き当てをしなさいと、こういう指導をしていて、なぜあなた方は現在価値でそのことを国民に説明しないんですか。十二年後に回収をされれば確かに一千億円です。これはマスコミ報道を見ていてもそうなんです。債権放棄をすれば損害は一千億、残りの残債回収できます、法的整理すればさらに損害が二百億ふえますとか四百億ふえますとか、こういう話なんです。  しかし、金融再生委員会なり金融庁は、銀行に対しては債権放棄をした債権はきちっと引き当てなさいという指導をしているわけですよ。だからさっき八城社長は、買い取れなかったんですよ、引き当てできないから買い取れなかった、放棄を応じられなかった、そうおっしゃったわけです。  ですから、同じ価値基準で国民に説明しないと、それはだれが見たって少ない方がいいというのは当たり前ですから、それを費用最小化というのは私は数字のレトリックだと言っているんですよ。  それともあれですか、十二年で必ず返しますという興銀さんから何か裏書きでももらっておられるんですか。どうなんでしょうか。
  51. 松田昇

    参考人松田昇君) 今度の私的整理における私たちの回収につきましては、担保からの回収が一つありますし、それからキャッシュフローからの回収があります。ただ、それだけでは十二年で私どもは完済を見ませんので、通常は三十年で全債権を回収することになっておりますけれども、興銀との交渉の結果、我々の公的立場について理解を示していただいて、それで興銀が一般債権から獲得する三百億、三百一億について、それは預金保険機構の弁済にお回ししましょうと、興銀は後回しにして結構ですということで、それをいただくことにいたしました。  なおかつ、十二年になりますと残債が当然計算上残るわけでございますが、それについては興銀の方でリファイナンスして、しかるべき方法でアレンジして必ずお返しするようにいたしますと、こういうことでございましたので、三十年の回収計画が十二年に短縮されたと、ほぼ全額回収できる見通しになったと、こういうことで私どもは回収の確実性もその意味では増したと、このように判断をしたところでございます。
  52. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 回収の確率が増したから損害はゼロですと、こういうことを言っていいんですかと私は言っているんですよ。一〇〇%保証ないでしょう。十二年たった時点で興銀さんは確かにリファイナンスしてくれるかもしれない。しかし、その前にとんざするかもしれないじゃないですか。  だから、あなた方は債権放棄をした銀行には、債権放棄に応じた銀行にはその債権の相手先は破綻先だと思って引き当てなさいと、こういう指導をしているじゃないですか。人に指導をしていて何で自分たちは全然別の物差しで計算するんですか。そういうのはやはり国民に対するごまかし行為ですよ。  私は、これからのやり方の上で、必ず現在価値で評価をしてきちっと国民に示す、このことを私はぜひ再生委員長、おやりになるようにお願いしておきたいと思います。  それで、もう私の時間ちょっとこのやりとりで終わっちゃいましたので、最後に一点だけ、済みません、大蔵大臣に二、三問お伺いするつもりだったんですが、一つだけちょっと最後に大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思うんです。  結局、今回の処理のてんまつなんですが、最初再生委員会債権放棄に応じられたと、しかし、国民のいろんな意見があってそれを与党の政調会長が直接お電話をされて、そして自主的に債権放棄の要求をそごうがお取り下げになって法的整理に移っていったと、こういうことなんですが、きのうもこの件は衆議院の方で随分やりとりがありました。それを聞いていまして、やはり一つ申し上げたいことは、これは議院内閣制でございますから政府と与党は一体であります。今回のような処理がもしされるとすれば、はっきり言いまして金融再生委員会の機能というのは全く必要なくなるわけですよ。むしろ機能が麻痺しちゃっている、そう思います。  例えば、これからサミットがあります。サミットで内閣がお約束されたことを与党の責任者が仮にそれを覆すと、そういうことが起こっても、今回のケースと同じだと思うんですよ。  ですから、これは、政府と与党との関係でいえば、政府と与党が一体であるということで考えれば、与党の皆さんが検討された、今回の債権放棄、今回の件でいえば債権放棄について、応じるべきか応じるべきでないか、認めるべきか認めないかということは、与党の皆さんが検討されて、ある結論が得られたら私はこれは政府に物を申す。直接民間企業に言うんではなくて政府に物を申す。そして、政府が判断をして、きちっと正規の機関で受け付けて結論を出しているわけですから、そこで再検討をすると。これが本来あるべき姿だと思いますし、こういうことを続けていくということは、日本の政治をおかしくしていく、こうつながると思うんです。大蔵大臣、総理も御経験されたし、今回のこともそうですが、一連の金融問題を御担当されてきたわけでございますが、そういう意味で御見解を伺いたいんですが、私はここは非常に大事な部分だと、こういうふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  53. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 詳しい事情を存じておるわけではございませんので、そのままで感想を述べよとおっしゃったと承りました。  私は、今度の問題は、当初の段階におきましてシステムは間違いなく働いたと考えております。そごう日本興業銀行もそのシステムを利用しようと考えられましたし、預金保険機構判断も間違いありませんでしたし、再生委員会がそれにつれて判断をされたと。  そこまではシステムが私は働いたと考えておりますが、その段階におきまして、そごうという非常に大衆消費に近い、しかも人によっては問題のあると言われる会社を納税者の金で救ったという理解が国民の間に生まれた。それは果たしてどういう意味であったかというのは、実はきょうまで深く議論されておりませんけれども、とにかくそういう印象が生まれました。それへの非難が高まった。  しかし、本来、国民からいいますと、預金保険機構というようなことは聞いたことがありませんし、どうして預金保険機構そごう債権を持っているのか、その説明に至ってはなお難しいわけでありますし、いわんや、その預金保険機構債権の一部を放棄するとかえって返ってくる金が多くなって、納税者はそれによって損失を免れるという説明もなかなか国民には難しいことであったろうと想像いたします。そうなりましたときに、システムが機能をすることをやめて一種のヒートアップをしてしまったと思っております。  その場合、総理大臣としては、事態を憂慮してその解決策について与党の政調会長に指示をされることは、これは私は政党政治で不思議でないと思いますし、また与党の政調会長は友党との相談をされた。そして恐らく、聞くところではその意見そごうに言われたと思いますけれども、大事なのはそれがプレッシャーになってそごう日本興業銀行再建計画をやめたのではなくて、ここが大事なところだと思いますが、大衆にこれだけ密着している機関が大衆からそれだけ反感を受ければとても商売はできない、現に売り上げが下がりましたから、そういう状況のもとに御自分の利益から考えてこのシステムに乗ることは不利である、こう判断をされましたから取り下げをされたんだと、私はそういうふうに考えております。  すなわち、システムがヒートアップして動かなくなったときにこれをシステムの中で救うことができませんので、総理大臣はそういういわゆる非常ベルを鳴らして事態の解決を考えられたが、結果としてはそごう興業銀行もそのゆえではなくて御自分の利害関係からその再建計画を取り下げられたと、私はそういう事態だと思っていまして、一言で申しますと、せっかく国会の立法もあり、長いこと考えられてきたシステムがそのような国民の一種の反応によって動かなかった、このことは私は反省材料であるというふうに思っています。
  54. 直嶋正行

    ○直嶋正行君 もうこれで私の質問を終わりますが、ちょっと今の大蔵大臣の御説明にも納得いかないところがございますので、また予算委員会でも機会があれば議論をさせていただきたい。  では、同僚の浅尾議員の方に移らせていただきたいと思います。
  55. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 長銀のそごう向け債権、九九年二月に金融再生委員会で資産判定をされたと思いますが、そのときは要注意先のAということで、また多くの関連会社も要注意先であったという理解だと思います。  それから、それが二〇〇〇年の譲渡時の資産区分では破綻懸念先になっていたと、こういう理解でよろしゅうございますね。
  56. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) そのとおりでございます。
  57. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 そうすると、なぜ破綻懸念先の債権を引き継いだまま長銀に譲渡をしたんでしょうか。
  58. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  旧長銀が一昨年の十月に破綻し、十二月に金融再生委員会ができましてすぐに法律に基づきまして資産判定作業というものをしまして、約二カ月かかりまして適資産すなわち受け皿にそのまま承継するのに適当な資産とそうでない資産に分けたわけでございます。  そごう債権について絞って申し上げれば、その際、そごうにつきましては、再生委員会におきまして一昨年の二月の決算に基づきまして、その後の金融監督庁の検査も踏まえた上のものを国が選任した経営陣のもとで長銀が自己査定をいたしまして、そこで出てきた資料等に基づきまして再生委員会が判定し、要注意先Aとしたわけでございます。その際の……
  59. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いやいや、破綻懸念先。
  60. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) はい。  その後、受け皿探しをしたわけですけれども、ではなぜ資産判定をし直さなかったかといえば、やはり一刻も早く譲渡をしなきゃいけなかったこと、さらに資産判定して破綻懸念先イコール不適というわけではございません。破綻懸念先であっても親銀行等の支援があれば適になるわけでございまして、そういうことをし直すこと自体が基本的には早期譲渡ということとは相反する方向にありましたもので、譲渡時におきましては破綻懸念先としてデューデリいたしましてそのまま相手に引き継いだわけでございます。
  61. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今の森さんの御答弁、ちょっと納得できないところがあるんですが、譲渡時に破綻懸念先ということを判定したわけですから、もう既にそこで資産判定を、手続をしていないだけであって、実際にはやっているわけですね。間違いないですね。
  62. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  資産判定はあくまで再生委員会がすることになっておりまして、譲渡時での国側の監査法人のやるものは基本的に国側のいわば資産査定及びそれに対する適切な引き当てでございまして、資産判定ではございません。
  63. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 資産査定をして、そごうの場合は百八十億円ぐらいだった引当金を国側の税金として一千億円ぐらい積み増したということは事実ですね。長く答えると時間がありませんから。
  64. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 破綻懸念先につきましては担保アンカバー分の七〇%でございまして、結果的に一千億になりました。
  65. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 どうぞ資料をちょっとお配りいただきたいと思います。    〔資料配付〕
  66. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 実は、今お配りする資料でお話をさせていただきますが、平成十一年の三月の段階では、そごうというのはこのお配りする「一般貸倒引当金」というところの中で百八十億円ぐらい引当金が積まれていたということだと思いますが、「予備的基準日貸借対照表」と書いておりますけれども、いわゆる譲渡時点での査定では個別貸倒引当金になっている。個別貸倒引当金というのは、申すまでもありませんが、破綻の懸念があるあるいは実質破綻をしているところに対して積む先であります。そごうがここに千億ぐらいふえておるということだと思いますけれども、そうすると、去年の平成十一年の三月の末時点では大丈夫だったというところが、譲渡の直前になると大分危なくなっている。総額でいうと五千億弱ぐらい個別の貸倒引当金がふえているわけです。五千億というのは、これは税金なわけです。  この詳しい個別の貸倒引当金を積んだ先について明らかにしていただきたいと思います。
  67. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  従来も御答弁させていただきましたとおり、総額としてはこのように出させていただきました。ただ、これを件数、基本的には先生の御指摘は件数で出せということかと思いますけれども、それはそのグループとしてはかなり数が限られてしまいまして、個別の企業の信用に与える影響等も考えまして開示を控えさせていただいていることを御理解いただきたいと思います。
  68. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は、実はこの問題が最初は資産判定を甘くして、そして譲渡直前に引当金を積むのではないだろうかという懸念もあったものですから、昨年の七月九日の当委員会において、そういうことはないんでしょうね、仮に個別企業に対して引当金を多く積むということになったら、それについてその個別の事情についてはっきりお答えいただけますねということを当時の柳沢大臣に御答弁をお願いしたわけであります。  そのお配りしました資料の二枚目についておりますが、読み上げさせていただきますと、「その理由をその段階では個別のそのときは適とされた企業がなぜ悪くなったのかということを含めて明らかにしていただきたいと思いますので、その確約の御答弁をお願い」しますというふうに言いましたところ、「当然のことと心得ております。」と柳沢さんはおっしゃっておりますので、ぜひ答えていただきたいと思います。
  69. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 当時、この答弁につきまして事務方としてはもちろん今言ったことになりますので気になりまして、元の委員長に真意を、この「当然のことと心得ております。」という真意を私確認いたしましたが、個別の一件一件の企業についてどう、例えば要注意先から破綻懸念先におっこったという意味ではなくて、ただいまお示ししたようないわばマクロの個別貸倒引当金の額とかそういうものは事務方で出せるだろうと、そういう意味でおっしゃられたんだというふうに確認しております。
  70. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 大臣の答弁ですので、大臣、この答弁をどういうふうに考えるか。
  71. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) ただいま事務局長が申し上げましたとおりでございます。(発言する者あり)
  72. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この議事録にはっきりと「当然のことと心得ております。」というふうに書いてあるわけです。
  73. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 今すぐ議事録が出てこないのでございますが、(発言する者あり)当時の、当時の元委員長はほかの場では、個別企業のことについては開示は差し控えさせて、できませんということを申しております。(発言する者あり)
  74. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ちょっと待ってください。やりますから、ちょっと待ってください。  森事務局長、答弁を読んでいないという、議事録を読んでいないという答弁はないと思います。再度答弁願います。
  75. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 事前にこの議事録は読んでおります。  私が申し上げましたのは、その当時からこの議事録は取り寄せて読んでおりまして、その当時お答えになられました柳沢大臣に御真意を確認したところ、いわばこういうマクロの数字で出すという意味であって、個別の企業とかそういうことを出すという意味ではないと、そのようにおっしゃっておられました。(発言する者あり)
  76. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 個別に柳沢さんに森さんが確認されたこととこの議事録に書いてあることとは全然関係ないんです。
  77. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  ここで書かれております国務大臣の答弁、「当然のことと心得ております。」という内容は、私はややあいまいな点があるのではないかと思っております。(発言する者あり)
  78. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私は直接柳沢大臣に質問をして、柳沢大臣が当然答えますと言っているんですから、その約束を果たしていただきたいと申しておるだけでありますので、ぜひ久世委員長答えていただきたいと思います。  時間をとめてください。委員長、時間をとめてください、時間をとめてください。
  79. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) この点は個別の事案に関することであり、その内容を公表することで新生銀行に取引先との関係で不測の事態を招くおそれがあることから、答弁は差し控えたいと思います。
  80. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私がなぜこういうふうに柳沢さんに聞かせていただいたかというと、税金を多く使うことになるからその理由について答えてくださいと、そうしたらちゃんと個別のことについてそういうことはないと思いますが答えますよという判断、御答弁をいただいているわけであります。今の答弁では納得できません。  ちょっと時計をとめてください。
  81. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) それでは、速記をとめてください。    〔午前十一時四分速記中止〕    〔午前十一時二十分速記開始〕
  82. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) それでは、速記を起こしてください。  ただいまの浅尾君の質問に関しましては、時間の推移もございますので、その経過報告を金融再生委員会の森事務局長にお願いし、他の問題につきましては後刻理事会でお諮りをさせていただきたいと存じます。
  83. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  浅尾先生の昨年の二月時点で要注意先そして譲渡時のことしの二月で破綻懸念先についての内容の開示の件でございますけれども、我々といたしましては、ぎりぎりできることとして、その個別貸倒引当金、千二百二十三億から五千八百九十九億になりましたという点と、そして資料にはございませんけれども、これに相応する債権の額面が約五千八百九十九億に対応するものとしては一兆六百億円、これは金融再生法の開示基準、危険債権というところでとりますとそういうことになりますということは開示させていただきます。  ただ、具体的な中身につきましては、企業名等も含めまして破綻懸念先としても今生きている企業でございまして、そのようなことを開示いたしますと企業の信用あるいは新生銀行の顧客基盤の毀損ということにもつながると考えまして、新生銀行の御同意が当然得られないものと思いまして、それを差し控えさせていただきたいということをお願い申し上げる次第でございます。
  84. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が去年の七月九日に柳沢大臣に質問をさせていただいたこの議事録、るるあるわけでございますが、その流れを申し上げますと、資産査定というものを厳密にやるというのが今回の金融再生法の趣旨であり、したがって後段、三枚目にも出ていますけれども、ロスシェアという考え方はだからとらないんだというのが柳沢大臣の考え、哲学であったわけであります。  だとすると、資産査定をとりあえず甘くやっておいて譲渡時に少し厳しくすると税金を多くつぎ込まなければいけないということも当然想定されるわけですから、そういうことはないんでしょうね、仮にあった場合にはなぜそれだけ多く積まなければいけなくなったかということを個別企業名も含めて明らかにしてくださいということで質問させていただいて、それに対して「当然のことと心得ております。」というふうに柳沢大臣が御答弁いただいたわけでありますから、今の森事務局長の答弁は全く納得ができないわけであります。  それで、もう少し別の角度から言いますと、そごうに一千億円、これは今私が追及しなければわからない、そごうの一千億円はたまたまそごうがああいう状況になりましたから明らかになったわけでありますが、残りの四千八百九十九億円ですか、はどこの企業に隠れた損失補てんをしているかというのがわからないわけであります。  今回のそごうの問題で一番問題になっているのは処理の不透明性ということでありまして、これは要するに個別名を言えないということは逆に言えばその個別の企業に対して隠れた税金のプレゼントをしている、そういうふうに解釈できると思いますが、その点はいかがでしょうか。隠れた税金のプレゼントだということです。
  85. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 経緯のあることでございますので、事務局長に答弁をさせていただきたいと思います。
  86. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  確かに五千九百億のうちの千億、残り四千九百億は幾つかの企業に属しておりまして、それについてはその引当金そのものが税金であることは確かでございます。  ただ、これを積みましたのはあくまでセーフティーネットの中の預金者保護、全額保護という趣旨で、これが国民の税金が使われているというその趣旨を強調させていただきたいと思います。
  87. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 別の観点から聞きますと、資産判定のときに破綻懸念先あるいは実質破綻先で規模の小さいところは、これはRCCに送っておられるはずなんです。大きいところは、これは問題があるからということで、多分最初は要注意先Aにしておいた。そうはいっても、これは実際よく調べてみると危ないということで破綻懸念先に落として税金を四千億円強積み立てたということだと思います。  それはどういうことかといいますと、逆に言えば規模の小さいところと大きいところで扱いの不公平があるということも言えると思うんです。
  88. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  資産判定基準につきましては、一昨年の十二月十五日の再生委員会で議決いたしました告示がございまして、それはもう浅尾先生中身は御承知のとおりでございます。これにつきまして、相手先の規模という点は勘案されてございませんし、再生委員会の場におきましても大きいのはとりあえず要注意で、あるいは小さいところは破綻懸念、そういうような判定は全く事実に反しております。
  89. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは伺いますが、今おっしゃった資産判定の基準に従いますと、債務超過というのは不適当なんです。そごうを何で引き継がれたんですか。
  90. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  そごうと一言で申しましても、いわゆるそごう本体と申しますものは上場会社であるそごうとそれ以外のグループ会社に分かれます。グループ全体としては確かに債務超過になっておりますが、まずそごうそのものについて判定いたしまして、それは債務超過ではございませんし、繰欠もございませんし、延滞等もございませんし、条件緩和もございません。したがいまして、要注意先Aとしたわけでございます。そして、その他のグループについては、いわば親会社と一体という判断のもとでやったものでございまして、グループのほかの中には正常もございますれば確かに破綻懸念もあったかと思いますが、親会社と一体ということで判定いたしました。
  91. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が伺っておりますのは、譲渡直前に破綻懸念先にされたのは、明らかに再生委員会としてもそごうがやはり債務超過であるということをその段階で一年たったらわかったということなのではないかということを申し上げておるわけでありまして、同じような会社が、同じような企業グループ群が幾つかある、それが四千八百九十九億円になっていると。これは逆の見方をすれば、あえて資産査定のときには甘くしておいて、そして譲渡直前に多目に税金を積んだと言われても仕方がないのではないかということであると思います。  それで、先ほど資産判定というお話が出ましたが、資産判定は金融再生法に基づきますと預金保険機構から政府に対して要求することができるわけになっております。預金保険機構としては当然、今回の長銀の売却の当事者でありますから、貸倒引当金が多く積み増されているということは資産判定にそごがあったということが判定ができたわけであります。にもかかわらず、なぜもう一回資産判定の要求をしなかったんですか。
  92. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生御指摘の資産判定についての求めというのは、御案内のとおりでございますけれども、金融再生法の七十二条の三項にございまして、これは預金保険機構が当該特別公的管理銀行の株式を取得しましたときに、その「特別公的管理銀行貸出債権その他の資産の内容を審査し、その保有する資産として適当であるか否かの判定を行うよう求めなければならない。」と書いてございまして、これで一度行ったわけでございます。それによって先ほど来の資産判定が行われたわけでございますが、再生法そのものを見ますと、私どもが資産判定について求めねばならないのはこれ一回だと、このように認識をいたしております。
  93. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 確かに、ねばならないのは一回かもしれませんが、国民の税金を少なくするあるいは効率的に使うという観点からは求めていくというのが善良な預金保険機構の理事長としての立場ではないかなと私は思います。  さて、その資産判定の話についてなぜこれだけ詳しくさせていただいたかといいますと、金融再生法というのはロスシェアの概念を含まない、あるいは逆に言えばロスシェアのかわりに資産判定を厳しくしてその適とする資産と不適という資産をしっかりと分けるというふうにも柳沢委員長はお答えをいただいておるわけであります。したがって、ロスシェアの概念を入れなかった。  私は、去年の七月の段階で、もしそういうグレーのものを引き継ぐのであればロスシェアというものを入れたらどうですかということも提言をさせていただいております。にもかかわらず、ロスシェアを入れられなかったその理由というのをお答えいただきたいと思います。
  94. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 最初からロスシェアリングの問題につきましては、こういう問題については必ず考えなければいけない問題と理解をいたしております。  現にアメリカにおきましては、これは保険等の約款かもしれませんが、そういうところにこのたぐいの契約については入っておるわけでございますので、我が国においても当然それは考えるべき問題ではありますけれども、だから先般の預金保険法の改正におきましてロスシェアリングの規定が入ったわけでございます。このときにやはり法律的な根拠が必要であるということから、金融再生法の中にそれを入れるべきであるかということは当時も議論の対象になったようでございますが、やはり旧長銀という大型の破産管理になりましたこの銀行におきまして、これをやはり一定の期間、できるだけ早くこれを処理しなければいけないという当時の要請から、ロスシェアリングの規定を入れるための金融再生法の改正を行っている到底時間がないというところからこのロスシェアリングの規定を入れなかったというふうに承っております。
  95. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 実は、ロスシェアリングは法律の制定がなされる前から、政府は例えば住専の処理のときにロスシェアリングの概念を入れております。したがって、法律を新たに制定する必要もないということも当然再生委員会としては理解をしていたんだと思います。  にもかかわらず、ロスシェアという概念を入れなかった。入れないということは、今申し上げましたように適資産と不適資産をしっかりと分けるという、そういう考え方に基づいて行政を行わなければいけなかった、また行うという決意も過去の議事録からは読み取れるわけでありますが、それをやられなかった。やられなかったというのは、結果として適とした資産が、そごうもそうでございますが、第一ホテル、ライフと次々と破綻をしていくわけでございます。  この責任、その資産判定の責任については再生委員長どう考えられますか。
  96. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 今御指摘のありました適の資産が時間を経過する中において不適の資産になるということはあり得ることでございまして、それがまたメーンバンク等がそう指定をした企業につきましていろいろ配慮することによってそれがまた劣化が進んだものがまた価値が上がるということだってありましょうから、そういうことにつきましてはやはりそれは全体として考えなければいけない問題だろうと思っております。
  97. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 この九九年の資産査定をしてからことしまで、日本の経済はようやく実質で〇・五%プラス成長しております。にもかかわらず、さっきもお配りした資料でありますように、大変不適の資産がふえている。ということは、もともと変なものが入っていたとしか言いようがないんではないかなと。もともと適資産に該当しないものを甘い資産査定をやったか、あるいはもともと適資産じゃないけれども、それをあえて入れるために資産査定を甘くしたかというふうにしか考えられないというふうに思います。  私は、再三ロスシェアということを入れていったらどうですかということを申し上げたんですが、あえてロスシェアはされなくて、瑕疵担保特約という形をとられたわけでありますが、これは瑕疵担保ということは、損が出た場合には国が引き取りますよということなんです。だとすれば、瑕疵担保でやっている限りにおいては、本来引当金は必要がないはずなんです。なぜかというと、破綻をした場合には国が補償をするわけですから引当金は要らない。にもかかわらず、なぜ引当金を積んでおられるのでしょうか。
  98. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  まず、瑕疵担保というものがどういうふうに、まあ当方から考え出して提案したわけでございますが、先方はいずれにしても二次ロスの補てんということについて何かなければ交渉は難しいということでございましたので、当方は瑕疵担保という民法の法理念を使ったものを提案いたしました。そのときの考え方は、先方に対しては適資産全部を一括譲り受けることというのを一つ私らは条件としていました。もう一つは、デューデリジェンス、資産査定及び金融検査マニュアルに基づくそれに対する適切な引当金、こういうものも国の監査法人にさせていただく。そちらについてはそれをそのまま受け取ってほしいと。こういう二つの先方からすればリスク、大きなリスクを当方はいわば強いたわけでございます。  それに対するものとして、売り手と買い手の立場を公平にするものとして我々は瑕疵担保条項というものを提案したわけでございますが、その意味するところは、二次ロス全部ではなくて、売り手の責めに帰属するものについてのみ担保しますということを言ったわけでございます。売り手の責めとは何かと申しますと、資産査定の根本になる資産判定、これは国がやっておりますので、国の見込みに違いがあれば解除して引き取らせてもらう、そういうことを約束したのが瑕疵担保責任でございます。
  99. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私が聞いておりますのは、瑕疵担保ということで、もしその債権瑕疵があった場合には国に売り戻せるわけです。だとすれば、そこに引当金というのは要らないんじゃないですかということを申し上げているわけであります。
  100. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 最終的に譲り渡す貸出金というものは、資産判定基準をごらんいただければおわかりのとおり、単に要注意先A以上、つまり正常先と要注意先Aのみならず、最初の項目で仮に破綻懸念先になりましても、親の保証とかあるいはメーンバンクの強固な支援とかがあれば適資産にできるわけでございます。したがって、破綻懸念先を先方に譲り渡すということは十分想定されるわけでございまして、譲り受け先といってもいわば旧長銀がそのままの形で株のオーナーがかわるだけでございまして、そのまま銀行として生きるときに、破綻懸念先に引当金を積んでいないということは、銀行経理からいって、あるいは新しく生きる新生銀行からして余り考えられないことだと思った次第でございます。
  101. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 森事務局長、いい御答弁いただいたんですが、国の保証がついているんです、瑕疵担保というのは。国の保証がついているものは破綻懸念先じゃなくて正常先というふうに考えるんじゃないですか。
  102. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 先生、百も御承知かと思いますけれども、先ほど申しましたとおり、瑕疵担保条項というのは二次ロスのすべてを我々が責任を負うわけじゃございません。売り手の責めに帰属するものだけでございます。したがって、譲渡後に追い貸し等によって、あるいは融資管理が悪くてその分ロスが出ましても、当方といたしましてはその解除に応じるわけではございません。
  103. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 譲渡後の損失のために引当金を積んだとすると、譲渡後の損失は新生銀行が責めを負って引き当てを積むはずなんです。関係ないわけです。  今申し上げているのは、国が瑕疵担保、損が出た場合には国が全部保証しますということは、これはいわゆる正常先の債権でない限りおかしいわけであります。にもかかわらず、その引当金を多く積んでいるということがおかしいんじゃないですかということを質問させていただいております。  逆の言い方をしますと、そごうが持っている債権は三年間は国が全部保証しているわけです。国が全部保証しているということは、それに対して引当金を積むということ自体がおかしい。九千億円強の税金をプレゼントしたということ、それと同値なんではないですか、同じことなんではないかということを言っているんです。
  104. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) それは瑕疵担保の決め方かとも思いますけれども、我々が決めましたのは実質価値で二割まず瑕疵というものに当たるかどうかを一つの要件にいたしまして、例えば債権放棄要請があった場合は瑕疵と推定するというのも入れました。いずれにしても、瑕疵であるかどうかという要件とともに二割減価しているかどうか。その二割減価の定義を実質価値、すなわち額面マイナス引当金で考えたわけです。  したがって、破綻懸念先をたとえ譲り渡したといたしましても、そごうのように二千の額面に対して千の引当金がついている場合は、売ったときの実質価値は千でございます。その千が八百以下になったときに解除して引き取りますということを約束しているのが瑕疵担保条項でございます。
  105. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、きょうは新生銀行八城頭取も来られていますので、別の観点から八城さんにも含めてお伺いをさせていただきます。  これは個別の融資契約にプットオプションをつけたようなものなんです。国の保証をつけたようなものですから、その契約の組み方によっては、当然三年間は国が全額保証しているんだから、新生銀行の責めに帰すべき事由は別ですよ、もともとあった融資債権について、それは戻ってくるというふうにすれば引当金はなしでできたんじゃないですか。それでもよかったんじゃないですか、八城さん。
  106. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  銀行経営というのは、先生も十分御承知のように、どんなに健全な銀行であっても引当金が必要であります。
  107. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ですから、国の保証がついている債権引き当てる場合、その結果としての引当金は積まれますか。
  108. 八城政基

    参考人八城政基君) 三年間の間、国の保証があっても、三年後にゼロの引当金という経営は全く考えられません。
  109. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう一度念のために確認しますが、三年間は引当金はあるということであれば、三年後にある程度の引当金が来ればそれは同じことだという理解でよろしいですね、今の答弁。イエス、ノーで結構です。
  110. 八城政基

    参考人八城政基君) 違います。その理解は間違っていると思います。
  111. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、どう違うか。
  112. 八城政基

    参考人八城政基君) なぜかと申しますと、私ども銀行は現在は民間の銀行であります。そして、金融検査マニュアルによって自己査定をすることを義務づけられています。したがって……
  113. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 国の保証がついている場合は。
  114. 八城政基

    参考人八城政基君) たとえ国の保証がついていても、三年後にどうなるかということは先ほど申し上げたとおりであります。
  115. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 三年後にお金が戻ってくれば。
  116. 八城政基

    参考人八城政基君) いえ、そのお金が戻っているじゃなしに、すべての資産についてちゃんとした引当金が三年後に新たに出なければならないということであります。その引当金は利益から出すことになります、その場合には。
  117. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、すべての引当金について、三年後に新たに引当金が積まれれば全く問題ないという理解でいいわけだと思うんです、今の御答弁で。
  118. 八城政基

    参考人八城政基君) 理屈の上ではそうですが、その……
  119. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、理屈の上ではそうだというふうにおっしゃいました。なぜそういうことを……(「だめだよ、それは。ちゃんと答えようとしているんだから」と呼ぶ者あり)今、理屈の上ではそうだというふうにおっしゃったんですが、なぜそういうふうにしなかったかということを再生委員会にお伺いしたいと思います。  というのは、国が三年間保証したということは、三年間国が保証しているわけです。その後に引当金相当額を新生銀行に振り込んだ方が国の負担としては当然少なくなるはずであります。なぜかというと、三年間の間に回収される部分というのはそれだけ引当金を積まなくて済むはずであります。それをなぜしなかったのかということを伺います。
  120. 真鍋賢二

  121. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 いや、八城さんじゃなくて。
  122. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 委員長が指名した人に答弁願います。八城参考人
  123. 八城政基

    参考人八城政基君) 重ねて申し上げますが、先ほどは先生からそれでいいということで十分説明ができませんでしたが、どんな銀行であっても、それは国営銀行であろうと民間銀行であろうと、引当金というのは常識であります。常識のない銀行はその日から、たとえ国の保証があっても、国の保証は通常債権であって、やはり〇・五%とかそういう引き当てをしますから、引当金は絶対必要なんです。
  124. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 正確に言うと、〇・五%積まれるということは、今、長銀の資産に対して一一・何%積んでいるというのは国の保証から考えれば積み過ぎだという理解になるんではないかなというふうに思います。再生委員会事務局長に伺わせていただきます。
  125. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 引き渡す資産が譲渡時で、最後の譲渡時において国側の監査法人が正常先として引き渡すのでしたら浅尾先生のおっしゃるとおりだと思いますけれども、先ほど来申し上げましたとおり、破綻懸念先を破綻懸念先として先方、譲り受け先も承知の上で渡すわけでございますので、それは適正な会計に基づいて国の監査法人が資産査定し、破綻懸念先であるとするならばそれに対してアンカバー分七〇%を積んで引き渡す、それが正当だと思うわけでございまして、その後の瑕疵担保と申しますのは、そのときの実質価値よりか二割さらに下がった、あるいは実質破綻先になった、そういう場合に当方がいわば解除という形で当初の契約がなかったものとして引き取るということを定めたのが瑕疵担保条項でございます。
  126. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私がなぜこういうことを伺わさせていただいているかということは、費用最小原則で今申し上げたようなクレジットを期間に応じて分けるというのは、これは当然の考え方としてあるわけであります。そういうことを政府は、ゴールドマン・サックスというところを雇って当然アドバイスとして出てくるはずなんです、彼らは専門家ですから。出てこなかったということはおかしいんじゃないですかと。今申し上げたようなことは二十分、三十分考えればすぐわかる話なんで、それが出てこなかったというのは、私は、ゴールドマン・サックスのアドバイスというのはちょっとどういうものなのかなと。  再三再四契約書というものを開示してもらうように要求をさせていただいておりますが、改めて当委員会におきましてその契約書の開示を要求させていただきますとともに、専門家であるゴールドマン・サックスの持田さんを当委員会参考人として招致することも委員長に要求をさせていただきます。
  127. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまの件に関しましては、後刻理事会においてお諮りをいたします。
  128. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それで、ゴールドマン・サックスの関係者であります元パートナーであったフラワーズさんという方は、今、新生銀行の社外取締役でいらっしゃるということは事実でございますか。
  129. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  事実であります。一昨年の十一月二十七日までゴールドマン・サックスにおりましたが、その時点で辞任をしておりまして、この新生銀行の買収については全くゴールドマン・サックスとも関係はございませんでした。
  130. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 売り手と買い手と両方にいたということだと思いますが、そのコリンズさんあるいはフラワーズさんの関係で、デリバティブの専門家を新生銀行が譲渡、旧長銀の時代ですね、譲渡直前に雇われているというふうに聞いておりますが、デリバティブの外人の専門家の方を雇われているかどうか、イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
  131. 八城政基

    参考人八城政基君) 全く事実ではございません。
  132. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ということは、デリバティブの専門家を雇われていないということですか。
  133. 八城政基

    参考人八城政基君) デリバティブの専門家は雇っておりません。ゴールドマン・サックスに限らず、日本人も外国人もデリバティブだけの専門家は雇っておりません。
  134. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 デリバティブをやっておられる方はいると。  別の観点から質問させていただきますが、それでは、譲渡の前にデリバティブの取引というのは国有化されて、基本的には縮小していくことだと思いますが、縮小をしないで少し新しい取引をされたことはございませんか。
  135. 八城政基

    参考人八城政基君) デリバティブの取引は特別公的管理のもとで非常に減りました。金額的には二種類ございまして、一つは格付がA以上の相手との取引であります。これは主として外国銀行であります。あとは日本の事業法人でありますけれども、これは想定元本と申しますが、これは三兆円弱であります。これは普通の銀行に比べますと十分の一、二十分の一であります、規模にいたしまして。またすべて旧長銀が行ったものであります。したがって、それに伴う信用リスク、顧客の信用リスクによって考えられる損失は全体で二十億円ぐらいです、二十五億円ぐらいです。契約の中では五十億円までは新生銀行が全部持つことになっております。
  136. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 時間が参りましたので、同僚の櫻井議員と交代させていただきます。
  137. 櫻井充

    ○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充でございます。  委員会での質問、やりとりを聞いていて、素朴な疑問なんですが、長銀をなぜ売らなければいけなかったのか。まずその点についてお答え願いたいと思います。長銀を売却しなければならなかった理由です。
  138. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 長銀につきましては、金融再生法の法律自身が特別管理銀行ということでそういう規定を設けましたのも、それは当時の情勢として、旧長銀それから日債銀という大型で破産した銀行というものを対象にすべく法の枠組みというものをつくったわけでございますので、それに従って売却をするということになったわけでございます。
  139. 櫻井充

    ○櫻井充君 確かに五十二条のところに、要するに「特別公的管理銀行の営業の譲渡」もしくは「特別公的管理銀行の株式の譲渡その他の処分」ということがございまして、必ずしも譲渡しなければならないというふうに定めているわけではございません。  ですから、まずその時点で長銀を譲渡しなければいけなかったのかどうか、なぜそれを譲渡しなければいけないと決めたのか、その理由についてお答え願いたいと思います。
  140. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 金融再生法の規定は、御承知のとおり、明年の三月三十一日までということになっておりますが、これは営業の譲渡あるいは株式の譲渡によってこの特別公的管理を終えるものというふうになっております。  そして、先ほど申し上げましたように、この長銀というものを処理する場合におきまして、国民負担というものをできるだけ少ないものにするという観点から、できるだけ早期に、そしてこの仕組みの中においてこれを売却するということになっていたと承っております。
  141. 櫻井充

    ○櫻井充君 国民負担が最小になるようにというお話でしたけれども、こういう形でどんどんまた税金がつぎ込まれていっている中で、果たして本当に国民負担が最小になったのかどうかわからないんだと思うんですね。  もう一度お伺いしますが、こちらに「その他の処分」とございまして、長銀本体を全部譲渡しなくてもいいわけであって、解体しても構わなかったと思うんです、その時点で。なぜその解体を選ばなかったのか、その理由についてもう一度御説明願いたいと思います。
  142. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  金融再生法ができましたときに「営業の譲渡」または「株式の譲渡その他の処分」という、「その他の処分」は何を意味するかということで、法律専門家に我々も聞きました。明確にこれは清算は入っておりません。代物弁済等、すなわち営業譲渡と株式譲渡に類似する何か方法ということでございまして、全く清算してしまうという概念をここに入れるのは無理であろうという返事をいただいております。
  143. 櫻井充

    ○櫻井充君 では、仮に譲渡するとしてですけれども、じゃなぜ、何回もこれは委員会で出ている問題ですが、LTCB・パートナーズに決めなければいけなかったんでしょうか。その点について御説明願います。
  144. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 長銀の譲渡先につきましては、当時多角的な検討をしたわけでございますが、確かにこれは相手方は投資会社と申しますか、外国の投資会社でございますけれども、投資会社だからといって銀行経営というものについては、これはそれなりの見地から、すぐれた知識とそれから経験というものを持っていると当時から言われておりまして、当時再生委員会といたしましてもいろいろと検討いたしました結果、そして調査もしました結果、ここに相手先を求めたわけでございます。
  145. 櫻井充

    ○櫻井充君 今投資会社という話が出ましたけれども、世界で投資会社銀行を譲渡した例はございますでしょうか。
  146. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 一件あると聞いておりますが、これは韓国に一件あると聞いておりますが、詳細につきましては事務局長から答えたいと思います。
  147. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  世界は広うございますのでなかなか調査行き渡らないんですけれども、昨日我々の調査した範囲では、直近の例として、九九年九月、韓国政府が米国の投資会社でございますニューブリッジ・キャピタルに対して韓国第一銀行の政府保有株を売却したという例を聞いております。
  148. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つ、リップルウッドに関してですけれども、リップルウッドの投資手法というのは、こちらに書いてあるんですが、インダストリアルパートナーという投資手法を採用していると。そして、どうするかといいますと、当該事業分野に精通した専門家であるインダストリアルパートナーと一緒になって対象事業を絞り込んで、投資して、そして経営に当たって、事業を拡充します。インダストリアルパートナーとともに核となる企業を買い取って、これを基盤として、買収や内在する経営資源を活用して、成長を図るためさまざまな戦略を展開するというふうにございます。  しかし、銀行法の第一条に定めております銀行の業務というのは、まず公共性にかんがみ、そして「もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」というふうにございまして、リップルウッドの会社経営の目的と銀行法の目的というのが全然違うんじゃないか。ですから、普通は投資会社に売るというようなことはしないんじゃないかと思いますが、その点についていかがでございましょうか。
  149. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  その点も再生委員会では十分審査した点でございますけれども、リップルウッド一般のポリシーというものはちょっと別にいたしまして、当該長銀を買うポリシーといたしましては、この長銀の譲渡契約の前文に書き込ませてございますとおり、十年なり十五年、さらに長期にわたって保有して、立派なあるいは効率的なあるいは魅力ある銀行に育てるということのいわば表明をいただいております。  そしてさらに、その具体的なものとしては、三年間、承継した資産については急激な回収は行わない、適切な融資管理をして持ち続けるということも契約の中に書いてある次第でございます。
  150. 櫻井充

    ○櫻井充君 リップルウッドのポリシーは別にしてと今おっしゃいました。別にして売ることができるんでしょうか。
  151. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 表現が適切でございませんでした。撤回させていただきます。  今、櫻井先生がおっしゃったことが何か私が言ったことと矛盾することのような感じもしたものですから思わずそう言ってしまったわけで、撤回させていただきます。
  152. 櫻井充

    ○櫻井充君 私は、リップルウッドはこの方針に沿って今新生銀行経営していると思っております。  その例を一つ申し上げますが、ライフに関してです。ライフが倒産いたしました。それじゃまず、ライフが倒産した原因についてどうお考えでございましょうか。
  153. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  ライフは実は旧長銀がメーンバンクでありまして、ライフの経営を直して会社を、ライフを再興しようということは、ライフの経営陣がかなり努力をしていたということは、私は新長銀に参りましてそのことはよく承知しておりました。  その時点でライフから報告がありましたのは、ライフの再建についてはGEキャピタルが中心になって資本を投入し、同時に新たなる融資をすると、総額において約一千億近くだったと思いますが、そういう話が進んでおりました。その数字は、ちょっと正確ではありませんが、両方合わせて一千億ぐらいの規模の話であったかと思います。  ところが、ことしになりまして、二〇〇〇年三月期の決算の前に実は監査法人が新たに監査をしたところ、債務超過額が急激にふえたと。これは恐らく監査法人の監査の仕方が厳しくなったんだろうと思います。もう一つ理由は、会計原則が変わりまして、いわゆる厳しい会計をするとか、あるいは子会社を全部連結決算するというようなことも起きたのが一つの原因かと思いますが、当時聞かされていたのでは、債務超過が倍になった、これも表に出ていなかったものでありますけれども、出てきたと。そこでGEキャピタルは完全に手を引いてしまった。そして、ライフとしてはどうしようかということで困って、私どもも随分相談に乗りましたけれども、余りにも債務超過額が多いのでこれは通常の形では救うことはできないというので、ライフ自身の判断会社更生法による申し立てをしたわけであります。
  154. 櫻井充

    ○櫻井充君 しかし、そのライフを今GEキャピタルが買い取ろうとしているんじゃないですか。
  155. 八城政基

    参考人八城政基君) 多くの場合に、最大の債権者というのは会社再建に当たってもできる限りの協力をするということになります。GEキャピタルは、会社更生法によって公的法的処理が行われるなら、自分たちは興味があるというので手を挙げているということは聞いております。
  156. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうすると、非常に都合がいい状況が見えてくるんですが、もう一つは、GEキャピタルというのはLTCB・パートナーズの出資者でもありますよね。それは間違いないですか。
  157. 八城政基

    参考人八城政基君) 間違いございません。
  158. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、GEキャピタル自体がライフに融資して危険を冒すよりも、まずライフを倒産させて、ライフを倒産させた上でまず安く買える、買収することができる。しかももう一つ新生銀行はどうかといいますと、倒産した場合には国から補てんされるから何の被害も受けないというような状況から見れば、まさしくリップルウッドが目指しているやり方そのものを実現しているような気がいたしますが、いかがでございましょうか。
  159. 八城政基

    参考人八城政基君) たびたびリップルウッドあるいはニュー・LTCB・パートナーズの出資者との関係について、先生からその点についてコメントはいただきましたけれども、私どものニュー・LTCB・パートナーズは、譲渡前では私は関係をしておりましたけれども、現在は関係がございません。  それはどういうことかと申しますと、新生銀行の代表取締役でありますから、今どういうことになっているかという、私の現在の新生銀行社長の立場から申し上げます。すべての投資家との間には完全なアームズレングスの契約しかいたしません。したがって、ライフについて、ライフの買収をGEキャピタルがするからといって、長銀に投資をした投資組合の一員であるGEキャピタルに有利なことをライフがするとも思いませんし、我々から影響を及ぼすことは全くございません。
  160. 櫻井充

    ○櫻井充君 有利になっているんじゃないでしょうか。  そしてもう一つ、では第一ホテルは一体どうなったかということでございます。  第一ホテルが破綻いたしまして、今度はマリオット・グループが手を挙げていると。これは、マリオット・グループはたしかリップルウッドが出資しているところかと思いますが、結局のところ、今新生長銀が抱えている、融資している先がどんどん倒産しても、新生長銀は結局は国から補てんされて被害を受けずに、そして今度はしかも倒産した企業、破綻した企業をリップルウッドが出資しているところ、その企業が安く買い取っていく、こういう構図が見えてまいりますが、それは私のうがった見方でございましょうか。
  161. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  これは大変失礼でありますが、うがった見方だと思います。それがお答えになります。  説明申し上げます。  第一ホテルの場合には、実は私ども債権放棄要請がございました。それで、いろいろ第一ホテルの幹部の方、もともと旧長銀におられた方ですから、事情をよく聞きました。  当時の経営者は、第一ホテルについてはヒルトン以外のすべてのところから話がある、買収したいと。しかし、これも同じように、従来考えられていた以上に多額の債務超過が出てまいりまして、ほとんどの買いたいと言っていたところは、あるいは参加をしたい、投資をしたいと言っていたところは手を引きました。その中には実は阪急も入っております。阪急は出資をして自分の傘下に置くということを言っておられましたけれども、この話はとうとうできませんでした。理由は、債務超過理由であります。その結果、第一ホテルとしては法的な更生を図る以外にないということで更生申し立てを申し立てたということでございます。
  162. 櫻井充

    ○櫻井充君 それでは別な観点からお伺いしますが、基本的に新生銀行というのは国営銀行から譲渡を受けて何かリスクを背負っているんでしょうか。今の契約書の中で新生銀行が背負っているリスクというのはあるんでございましょうか。
  163. 八城政基

    参考人八城政基君) リスクはたくさんございます。  第一に申し上げたいのは、新生銀行になりましたが、現在の行員の数は二千人をちょっと出ているだけです。ピーク時には三千八百人おりました。それから事業法人は、七千社の取引がありましたが、現在では四千五百ぐらいかと思います。そして事業規模は、二十五兆の資産が約十兆、十二兆ぐらいでございましょうか、約半分以下になっています。  ところが、非常に大きなリスクというのは、銀行の規模が半分以下になったにもかかわらず、過去における旧長銀が融資をした先の一件当たりの融資額は非常に大きいということでございます。  したがって、四十兆、五十兆の規模あるいは三十兆でもいいかと思いますが、その規模と同じぐらいの融資を私企業、一企業グループに出しているというリスクがございます。これは、先ほどから何回も御質問ございましたいわゆる瑕疵担保でその点はカバーされるわけでありますけれども、三年間であります。将来についてはその保証は全くございません。  それから、やはり特別公的管理に入った結果として、銀行への信用が非常に落ちたと。優良企業は離れていっていて、残った企業はどちらかというと問題のあるところが多く残っているというのが現状であります。
  164. 櫻井充

    ○櫻井充君 済みません。今の御答弁で、問題のあるところが多く残っているということと、それから先ほどライフのことに関してですけれども債務超過が表に出ていなかったという八城社長からの御答弁がございました。金融再生委員会、この点についてどうお考えでございましょうか。
  165. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) ただいま八城社長が問題のあるところが多いという、その表現はちょっと我々とは違うと思うのでございますけれども、確かに引き当て率を見ますと、例えば他の大手の銀行の総貸出債権分の総引き当て額を見ますと、恐らく三%弱ぐらいじゃないかと思います。それに対しまして、旧長銀、これが今新生銀行になっているわけですけれども、譲渡時におけるそういう意味での引き当て率、すなわち総貸出資産分の引き当て額というのは九千億でございますけれども、大体一一%ぐらいだったと思うのでございます。  それをいわば言葉でどう表現するかということでございますけれども、しかし私らは、日本経済が回復していく中で中小企業も含めたそういう企業が再生して、十分新生銀行の工夫によって効率性のいい銀行になることを期待しております。
  166. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つお伺いしたのは、先ほどライフの債務超過が表に出ていなかったと、それよりもはるかに多い債務超過であったということでございましたが、その点についていかがでございましょうか。金融再生委員長。
  167. 八城政基

    参考人八城政基君) 私がお答えいたします。  私の申し上げたことを取り上げられたのでお答えいたしますが、御承知のように二〇〇〇年三月期からいわゆる連結決算が始まっています。どんなに大きな日本の企業であっても、単体では利益を出していても連結をすれば非常に業績が悪いところは事業会社でたくさんございます。私の知っている幾つかの大企業にしても、七百、八百という子会社を持っていてもかなりの部分は利益を出していないと。これは今までの会計原則が連結を求めていなかったということがございます。これも一つの原因であります。
  168. 櫻井充

    ○櫻井充君 それではちょっとお伺いしたいんですが、もしそういう債権が表に出ていたとしたならば、それは引き取りにならなかったんですか。
  169. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  先ほど再生委員会の森事務局長から御答弁がございましたように、私ども買い手側としては、いわゆるデューデリジェンスと英語で言っておりますけれども、資産の内容について精査をすることは私どもは機会を与えられませんでした。しかし、その反面、瑕疵担保条項というものが入ってきたということでございます。
  170. 櫻井充

    ○櫻井充君 そうしますと、その資産の査定は自分たちではやれないけれども、要するにその資産の査定に関して信用できないから瑕疵担保の特約をつけてくれと、そういう要求をしたわけでございますか。
  171. 八城政基

    参考人八城政基君) これは我々が要求したことではございません。再生委員会側から多くの、多くといいますか、再生委員会から提案があったものでございます。
  172. 櫻井充

    ○櫻井充君 再生委員会の方で、なぜ、くどいかもしれませんけれども瑕疵担保特約をつけなければいけなかったんですか。
  173. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答えを申し上げます。  第一に、今の受け皿に限らず、どこの受け皿も二次ロス対策というものを交渉の過程で要請してきました。それに対応するのにどうするかというときに、最終的にこちらとして考えたのは、やはり民法の法理を援用した今のような瑕疵担保、これでは、この範囲なら民法の趣旨に反しないだろうということをしたわけでございますけれども、そこの根本は、ただいま八城社長も申しましたように、当方は二つのことを要求いたしました。  一つは、適資産全部を受け取ってくださいと。これは、やはり善意かつ健全な借り手ということで、いいとこ取りをされまして残りがRCC行きになりますと、もちろんその場合は五十三条の適資産としての買い取りになるわけですけれども、それにしても回収一本やりになって、善意かつ健全な借り手が場合によっては破綻に追い込まれる、こういうことはあってはならないということで、資産判定で適としたものは全部受け取ってください、これが一つ条件でございました。  もう一つは、ただいま八城社長がお答えされたように、デューデリジェンスは国にする、その反対側として、国の判定にいわば見込み違いがあるならば瑕疵担保で二割減価したものは引き取る、こういうふうに売り手と買い手のいわば立場を公平に持っていくためのものとして我々はこれは正当なものだということで、単に八城さんのところだけではなくてほかの譲渡先にも同じことを提案いたしました。
  174. 櫻井充

    ○櫻井充君 今ので、ほかの譲渡先にもそういう提案をしましたということは、これからもまた日債銀についても同じように税金がどんどん投入されるということになるわけですよ。  しかし、こういうことを見てみますと、結果的には、少なくとも三年間は譲渡を受けた債権に関して何らリスクを背負わないで、少なくとも三年間はそのリスクを背負わないで、そしてどんどん倒産していってくれれば、しかも公的資金を補てんしてもらって引き受けた先の銀行だけが、銀行か投資会社かわかりませんが、そういうところだけがどんどん資産がふえていくようなそんな感じがいたします。  今のような本当にやり方がいいとお考えなんでしょうか。今回の契約書に関して内容に全く不備がなかったと金融再生委員会はお考えなんでしょうか。
  175. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  瑕疵担保に関していえば、仮にそういうものを、今、先生がおっしゃったようなものを瑕疵担保を避けて考えるとしたら二つの方法なんだろうと思います。  一つは、いわば入札方式と我々は言っているわけですけれども、例えば候補者が四つあれば四つある中で引当金を積ます、いわば入札をして、瑕疵担保つきで今九千億で新生銀行に行ったわけですけれども、その九千億がどれくらい多くなるか知りませんけれども、一番低いところに落とすと。これは、そういうことを考えた受け皿候補先もありました。そういうものの交渉として私が感じておりますのは、九千億の倍に近いものになったと思います。これを国民負担としてどう考えるかというのが一つの問題かと思います。  もう一つの問題は、いわば全適資産を一括して譲渡するのではなくて、ばらばらにしていいとこ取りをされるということですけれども、これは先ほど言ったような理由でできないと。それで、百歩譲って、では例えばそごうみたいなものを仮に不適資産だと判定したらどうしたかとなれば、それは今RCCの手元にあります。RCCというのは国でございます。結果的には今日のそごうと不適資産としてRCCに回したのと事態は全く同じになったと思って、私が申し上げたいのは、何も瑕疵担保をつけたからそうでない場合に比べてより国民負担を多くするようなことをしたというふうには感じておりません。  ただ、最後の御質問ですけれども、我々交渉に当たった者として一〇〇%この契約が満足したものかといえば、そんなことはないので、やはり正直申しまして、娘一人に婿の候補がいっぱいいるという状況じゃないわけでございまして、そういう苦しい中での交渉でございますので、もちろん譲るべきところは譲らねばならないところはございました。  しかし、ただ、最終的に少なくとも売り手と買い手とが公平な形のものにはなったんじゃないかというふうに私は確信しております。
  176. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、売り手と買い手と同じ条件と言いましたが、果たしてそうか、ちょっと疑問が残ります。  そしてもう一つ、先ほどばらばらにまずできない、今の答弁の中でばらばらにできない、それからRCCに回せば同じだという話がございました。しかし、そうでしょうか。今どんどん債権自体が劣化している時代において、早期に処理すること自体が大切なことなんじゃないですか。今見ていたって、結局だらだら延命させて、そして先送りにしてその後に処理するか、もしくはその手渡す時点できちんと処理するかの差だけなんじゃないですか。いかがでしょうか。
  177. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答えを申し上げます。  仮定の議論なのでなかなか正確なあれはできませんけれども、私が申し上げたかったのは、RCC行きになった場合には、基本的には融資管理の姿勢も違ってくるでしょうし、基本的には債務者にとってはより不利な方向の融資管理になるであろうということでございます。今、先生の御指摘は、そのようにしてどんどん回収して、むしろつぶしてしまった方が国民負担は安かったというふうに、もし私どもの誤解でしたら申しわけないですけれども、私はそうであったかどうかというのはよくわかりません。
  178. 櫻井充

    ○櫻井充君 今、構造改革を早く推し進めなければいけないという話もありますし、それからモラルハザードの問題もあって、そういう思いでどんどんつぶせと言っているわけではありませんが、しかしながら、ある意味で退場していただかなければいけないところはきちんとしたところで退場していただくような、そういう線引きも必要なんじゃないか、そういうことを申し上げたいのでございます。  もう一つ、この瑕疵担保特約に関してはゴールドマン・サックスには御相談されたんでしょうか、そしてゴールドマン・サックスに御相談されたとしたらどのような御返事をいただいたのか、その点について教えていただきたいと思います。
  179. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  瑕疵担保スキームの中身につきましては、専ら委員会の中で議論し法律専門家も交えてつくったものでございまして、ゴールドマン・サックスと相談するとか、そうしたことは私の記憶にございません。  ただ、でき上がったものをこういうものだという説明はゴールドマン・サックスにはいたしまして、いわばゴールドマン・サックスの役割というのはいろいろな受け皿の相手方に、候補先に対しましてこちらの条件の説明があるわけですから、当然瑕疵担保のことについてよく理解してくれていないと彼らの役割は果たせないわけでございますから、そういう意味においてよく説明はいたしましたけれども、彼らと相談したということはございません。
  180. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つ確認事項なんですが、そのゴールドマン・サックスが長銀のアドバイザーになった時期にはフラワーズ氏はゴールドマン・サックスに在職していたんでしょうか。
  181. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  私は正確には知りませんが、一昨年の十一月二十七日にゴールドマン・サックスをやめておりまして、そして長銀の買収について私に相談がありましたのは翌年、つまり昨年の二月ごろだったと思います。したがって、買収の交渉が始まったのはほぼその辺ではないかと思います。  私どものみならず、ゴールドマン・サックスがいろいろな金融機関に対して打診をしているということはうわさに聞きました。しかし、その時期はもう……
  182. 櫻井充

    ○櫻井充君 通告してあったので答えていただけるはずですから。わからないということであれば……
  183. 八城政基

    参考人八城政基君) わかりません、それはちょっと。
  184. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 当方で調べましたところでは、フィナンシャルアドバイザー契約を締結したのは十一年二月一日でございますが、パートナーズ社の代表者であったフラワーズ氏は平成十年十一月には既にゴールドマン・サックスを退社していたと聞いております。
  185. 櫻井充

    ○櫻井充君 もう一つお伺いしたいんですが、このフラワーズ氏というのはニュー・LTCB・パートナーズを立ち上げるためにゴールドマン・サックスをおやめになったのかどうか。もう時間がありませんのでもう一つ。それから、今コリンズ氏、フラワーズ氏に対して新生銀行が支払っている役員報酬は幾らなのか教えていただきたいと思います。
  186. 八城政基

    参考人八城政基君) 最初の御質問に対するお答えは否であります。長銀を買収するためにそういうものをつくったことは後になってからのことであります。  それから二番目の、報酬については、社外取締役でありますけれども、この個別の個人についての報酬については御容赦いただきたいと思います。
  187. 櫻井充

    ○櫻井充君 時間が来たので終わりますけれども、果たして本当にこれで長銀を譲渡した方がよかったのかどうかというのは国民の方々の大きな疑問なのではないかというふうに思っています。国民の方々が納得できるぜひ税金の使い方をしていただきたい、そのことをお願いして、質問を終わります。
  188. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ─────・─────    午後一時十七分開会
  189. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、益田洋介君及び福山哲郎君が委員辞任され、その補欠として山下栄一君及び千葉景子君が選任されました。     ─────────────
  190. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 休憩前に引き続き、金融問題及び経済活性化に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  191. 山崎力

    ○山崎力君 自由民主党・保守党の山崎でございます。  今回のそごうの問題を中心として金融再生委員会委員長その他の皆様方からお話を承りたいと思います。民間からは興銀、新生銀行の代表の方においでいただきました。忌憚のない御意見、御感想を伺えたらと思っております。  まず、いろいろ世間を騒がせたといえば今回そごうについての問題、物議を醸したということは事実だろうと思いますが、今回のそごう債権放棄要請からそれを取り下げて民事再生法で行くよと適用申請に至った、こういった一連の経緯について、大臣、再生委員長の御感想といいますか、今の所感をお伺いしたいと思います。
  192. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 今回の問題でございますが、これは前大臣のときに、金融再生法が定めております費用最小化原則を基軸としながら債権放棄要請預金保険機構の方から受け入れることもやむを得ないということでこれを了承したわけでございまして、いろいろと熟慮の末の苦渋の決断であったと承っております。  ところで、その後、そごうが自主的な経営判断といたしましてこの債権放棄要請というものを取り下げたことによりまして、金融再生委員会の了承は実質的にはなかったものと同じになったところでございまして、今はそごう債権問題が民事再生法のもとにおいて順調に進むということを期待しているわけでございます。  今回の問題を通じて、今後債権放棄の問題がもし起こるとすれば、これにつきましては慎重の上にも慎重な判断をしなければいけないというふうに考えております。また、その判断の基準はどうかということもたびたび聞かれておりますけれども、これはよくいろんな方面の御意見というものを拝聴いたしまして慎重に真摯に検討をしたいと思っております。  また、今回のそごう問題、きょうの午前の質疑にもございましたように、資産の評定とかあるいは瑕疵担保責任の問題とか、非常に法律、経済、会計を通ずる技術的、専門的な要素がたくさんございます。それだけに、なかなかこの問題というものを各方面にも国民の皆様にも正確にお伝えするということが非常に難しい問題でございますけれども、しかし、やはり行政というものは広く開示を行うことによって多くの方々の意見を承ることが肝要かと思うわけでございます。  したがって、今後はできるだけ情報の開示に努め、かつわかりやすくこれをあらゆる手段を通じて行うことによって広く国民の声というものを聞きたいと考えております。  以上でございます。
  193. 山崎力

    ○山崎力君 今、大臣の方から、今回の措置は専門的な要素が多くてという御答弁がございました。  確かにそういう面はございます。ただ、国民の立場からすれば、それはそれとして、大づかみの流れでもどうなっているんだろうかということをやはり理解してもらう必要はあると思います。専門知識を持った人間しかわからないというのであれば、これはなかなか国民相手の行政、政治というのはできない部分がございます。  そういった意味で、今回の一連の事柄について、マスコミ等で私自身も見受けましたし、一般の方とのつき合いの中でも聞いたことがございます。その端的な表現は、要するに、債権放棄をするということから民事再生法適用申請になったときに、おい、そっちの方がおれたちの税金を余計に使うのかよという率直なというか非常に正直な感想を私自身も聞きました。  これ自身の前提として、今回のそごう、非常にけしからぬ、処理がけしからぬといったときによく言われたのは、新たないわゆる国費、税金投入で一民間小売業であるそごうを救うのかと、こういう表現、あるいは我々の税金でそごうを助けるのか、こういう表現がございました。これはある意味では正しいところがございますけれども、正確に言うと、先ほどの疑問が、そういう声が、先ほど申し上げた声が出るように、誤解に基づく、誤解を前提とするそういう考え方が国民の間にあったということも私は否定できないと思います。  その辺について、特に税金投入で新たな本来は使わなくてもいい税金をそごうのために使うんだという印象を国民が、全部とは言いません、かなりの部分が持ったんではないかと考えても不思議はないような報道、そういったあるいは雰囲気というものが私はあったと思います。  その辺について実はこうなんだということで、そこの辺が誤解されていたんではないか、言葉をかえれば、政府側、金融再生委員会等の方の発表あるいは公表の仕方がそこのところが足りなかったんではないかということがあれば、率直なところをここで御披露願いたいと思います。
  194. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) ただいま御指摘の点でございますが、私どもは金融再生法第三条に掲げております費用の最小化の原則、午前中にも申し上げましたが、国民の負担をできるだけ少なくするというのがこの金融再生法の趣旨に沿ったこの債権放棄の場合においても一番基軸にしなければいけない原理でございまして、私どもはそれに沿って今まで対処をしているわけでございます。  したがって、そごうを救おうというような目的では全くありませんし、大企業だからそれがどうだとか、中小企業だったらそれがどうでないとか、あるいはまた大規模な、あるいはまた関連するところがデパートのように非常に多角的だとか、そういうような基準は一切ございません。  判断の一番の基軸は、国民の負担ができるだけ少なくなるようにと、こういうような配慮からこの債権放棄を受け入れたわけでございまして、そごうの場合につきましても、もしそうでなかったならば、最初から公的な手続に移るならば、例えば民事再生法でありますとかあるいは会社更生法でありますとか破産法でありますとか、破産法制に乗っかっていくとすれば、どう考えましてもこの債権放棄を受け入れるよりは二百億とか四百億とかそういうような範囲で国民の税金が割り増しになるわけでございます。  そういうようなところからこのような判断をしたわけでございまして、今回、民事再生法にのっとってやるということになりますと、国民負担の面からいうとプラスになるわけでございますけれども、これはそごう自身がそういう決断をしたわけでございますから、できるだけこの民事再生法による場合におきましても国民の税金が少なくなるように私どもも努め、またそうやっていきたい、このように考えております。
  195. 山崎力

    ○山崎力君 そこのところのまず答弁はそれで結構だと思うんですけれども、私がむしろ事務方の方にでもお伺いしたいのは、要するに、そごうは、今回の当初のスキームというもので余計に税金というかそういったものを使うことの、そういう仕組みだったのかどうかということなんです。そこのところを国民がある意味では誤解しているんじゃないかという意見もあるわけです。その辺のところをはっきりさせておくのがまずこの問題の前提だろうと思ってお伺いしているわけですが、いかがでしょうか。
  196. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  今、先生の御趣旨は、具体的に国民がわかるようにという趣旨だと思うのでございます。  そういう観点から振り返ってみますと、旧長銀が一昨年の十月に破綻しました後国有化になりまして特別公的管理銀行になりまして、その間にそごう債権も含め資産判定をし、そして民間銀行となる旧長銀がそのまま引き継いでいく資産として判定をし、さらにことしの二月に実際に、三月一日に譲渡されたわけでございますけれども、二月二十九日で最終的な資産査定をいたしました。その際、そごうにつきましては破綻懸念先でございました。  と申しますのは、端数をはしょって話させていただきますけれども、額面二千億に対しまして引当金千億積む債務者であったわけでございます。これは、債権の価値といたしましては二千億マイナス引当金の千億で、千億の価値として新生銀行に引き継いだわけでございます。この千億の引当金を積むということは、基本的に銀行の会計からしてそれだけリスクのある債務者だということで、そのリスクに見合う引当金を積むわけでございます。この引当金はどのお金で積んだのかといえば、これは要するに国民の税金で積んだわけでございます。  こういう七千ほどの債務者を新しい新生銀行に引き継いだわけですけれども、こういう引当金の合計は九千億でございますし、そのほか、実は不適資産としてRCC行きになった資産が膨大ございます。それやこれや全部合わせまして国民の税金は三・六兆円、三兆六千億使われたわけでございます。  これは何で使われたかといえば、あくまでペイオフを凍結している時代に預金者、長銀の場合は金融債の保有者が多うございましたけれども、いわば債務全額保護という大方針のもとに三・六兆円旧長銀については国民の負担がかかったということでございまして、そごう引当金の一千億もこの三・六兆円の一部でございます。この時点で既にそごうにつきましては一千億費やされているわけでございます。その後、新生銀行に行きました後で、結局新生銀行と国との契約によりましていわゆる瑕疵担保条項というものがついていたわけでございます。  今回、そこの経緯は少しはしょって申しますと、瑕疵担保条項に該当するということで、二割債権の価値がおっこちているということでいわば解除、これは解約されたと同じでございます。すなわち、そごう債権について、実質価値千億円で行ったものが、千億円払ってまた国、実際は預保の金融再生勘定に戻ってきてしまったわけでございます。戻ってきたのは実質価値千億円でございまして、これは額面二千億と引当金千億そのままになっております。  今回、債権放棄要請ございましたのは九百七十億でございまして、したがいまして引当金の範囲内でございますので、これで債権放棄要請を受けた場合には当面、当面といいますかその段階では、追加的に国民の税金を一銭も使わないで済むわけでございます。預金保険機構及び当委員会はいろいろ議論いたしまして、やはり我々がよって立つのは金融再生法三条にございます破綻処理費用の最小化の原則と、今の段階で一銭も税金を、追加的にと申しますか、追加的に使わないで済むならやはりそれによらざるを得ないんじゃないかという判断を下したわけですけれども、もちろんこれには大前提がございます。すなわち、そごうがまた一、二年たってつぶれたのなら結局そっちの方が費用が大きくなるということもあるわけでございまして、そういう観点から、再建策の実現可能性あるいは合理性ということが大前提になるわけでございます。  これにつきましては、メーンバンクとそごうが練りに練った策を預金保険機構精査し、それを預金保険機構から当委員会が報告を受けた次第です。そして、六月三十日の段階では、当委員会としてはこの再建策には合理性があるという判断をしたわけでございまして、そういう判断をする以上、当面一銭も税金が出ていかないならやはりそれによらざるを得ないんだろうということで、預金保険機構の案であります債権放棄に応じる案を了承したわけでございます。  その後の七月一日以降のあらしのような国民の批判を受けたわけでございます。それにつきましては、当方の説明不足つくづく反省もし今後に生かしていきたいと思っているわけですけれども、十分反省はしております。ただ三十日の時点では、やはりこれが一番法律にのっとった最善の策だと当委員会は考えた次第でございます。
  197. 山崎力

    ○山崎力君 今の御説明、経過、私はわかるんですが、ただ私のような立場からでも言わせていただければ、今の説明で国民がそれじゃわかるかといえばまずわからないだろうと。反省をもししていると言うのであれば、今の答弁で国民がわかるような答弁をしているというのが本当の反省じゃないかと私は思うわけです。やっていることとそれを説明することとはまた別のことですけれども、その説明が十分でなければ、やっていること自体が国民に理解できない、支持を受けられない。今回のそごうの反省する点はまさにこの点じゃなかろうかと私は思うわけです。  例えて言えば、もし仮にそごうの今回の債権放棄のスキームで、旧長銀、新生銀行債務でなくてそれがほかの銀行債務であったならば、そしてほかの銀行が、例えばどこでも、名前を出してもいいです、三菱でも富士でも、そういう有名な銀行債権をそこが持っていて、そこが債権放棄に応じたら今回のような事態にはなったんですか、ならないんですか。ならないでしょう。いかがでしょうか。
  198. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  私がお答えするのが適当かどうかあれでございますけれども債権放棄自体は民民の世界では回収額の極大化という観点から通常とられている手法、もちろん通常とられているのはと申しますのは、決してとられていない措置ではないという意味で通常とられていると申し上げているのですけれども、ただその際には各銀行とも株主代表訴訟が常に念頭にあるわけでございまして、債権放棄に応じる場合はぎりぎりの判断をして、やはり放棄に応じた方がかつその再建策が実現可能だからということで債権放棄に応じているんだと思います。  当委員会とのかかわりで申し上げれば、昨年三月七兆五千億の資本注入をほとんどの大手行にしたわけでございますが、その際当委員会は三つの原則を立てました。経済合理性、すなわちその方が回収が大きくなるという点。第二としては経営責任の明確化、すなわち債務者の経営陣は退いてもらうということ、プラスいろいろなことがあるかと思います。第三が、結果として社会的混乱がそれで避けられるという点。そういう三つの要件を再生委員会の基本的考え方として話しまして、そして資本注入行に対してはそれを守ってもらうという意味におきまして、経営健全化計画にはその銀行債権放棄に応じる場合はこの三つの原則を守って応じますということを書き加えていただいて、それを我々はフォローアップでチェックしている次第でございます。
  199. 山崎力

    ○山崎力君 御丁寧に御答弁いただくのはいいんですが、幾ら与党とはいえ質問のことにのみ答えていただいた方が話が進みやすいと思いますので。  今の質問からいけば、そういうことはあり得ることでしょうと。私がなぜこういう質問をしたかというと、もし仮に新生銀行債権でなければ、それが預金保険機構に移っていなければ、そういう普通の一般銀行の、今回のそごうのあれだって、同じスキームでやったとしても、税金を投入するんだとか、新たな税金をどうこうするという話にはならないでしょうと。そういう意味で私御質問しているわけです。  ですから、それは、私の方から言っても、幾ら素人とはいえその程度はわかると思いますけれども、要するに今回のこのそごう問題というのは、どういうことでそごう再建するのか倒産させるのか、その辺のところに、本来ならまさに金融機関同士のいろいろの話し合いの中で決まるべきところの金融機関の一つ預金保険機構というものが入って、その横並びで預金保険機構銀行として一民間銀行と同じ横並びの中でその一企業をどうやって救済するかしないかということをする羽目になってしまった。ここに私は一番の制度的な問題があるんじゃないかなと。  預金保険機構の能力がどうかわかりません。金融再生委員会の能力がどこまであるかわかりません。しかしながら、それをなりわいとする銀行業、それで生きている銀行業とは違う性格の機関だと私は思っております。それが今度のそごう問題に関して見れば、全く本来ならば銀行と同じ判断をする、一企業のために判断をする、そのことによって債権放棄する。そのことが国民にとっては、新たな自分たちのお金を勝手に使われているんじゃないか、こういう直接に誤解とは言えない部分はあると思いますけれども、そういうふうな皆様方からすれば不本意な評価を受けることになったのではないか。それがこの問題をここまで持ってきたのではないかと私は思っているわけでございます。  そういう点からいきまして、いろいろな責任があろうかと思います。貸し手側、借り手側。それから本当にそごう再建のときにぎりぎりのことをやったんだろうかという素朴な疑問も当然出てくるわけでございます。  しかしながら、いろいろな今までの討議の中で、それでは、国民に損をさせないと言いながらも、これは実質的には損はさせていないんですが、少なくともそごうに対して約二千億の債権を持っていたわけです。その部分の約半分を放棄すると。これはもうそごう経営状況からいって戻ってこない不良債権だから実質的な損害には当たらないとは言いながらも、これは得べかりき債権なわけですね、不良だとはいえ。それをそごうをやるために捨てて、いいところの千億を残した形でそごう再建してもらいましょう、そういうスキームをそごうと興銀さんとでつくった。さあそれで新生銀行さんそれに乗ってやってくれませんかというときに、新生銀行さんは、自分のところではとても体力的にそれは耐え切れない、思えば二〇%以上のこれは損害に当たる、受け継いだ資産からいっても損害に当たる。それは瑕疵担保責任の特約だから、それは国の方に買い戻してもらうことができる。だから、それでもって預金保険機構に買い戻してくださいと。それで買い戻されて、預金保険機構が今回のそごう救済スキームの一員となった、こういうことだろうと私思うわけです。  その点でいきますと、まず、せっかくおいでで恐縮なんですが、新生銀行社長、会長、どちらでお呼びしていいのかちょっとあれですが、社長と呼ばせていただければ、今回のそごう債権について御相談が当然再建策について債権者側の金融機関としてほかからあったと思うわけですが、それを受けて、債権放棄要請があったという時点で、そごうはこれはもう抱え切れない、二〇%の要請に応じ切れないというふうに判断されたのか。それとも、それ以前から、そごうというのはどうもまずい債権である、約束どおり国側にいつかは折を見て買い戻してもらうことになるであろうというふうに御認識されていたのか、どちらでございますか。
  200. 八城政基

    参考人八城政基君) 債権放棄の御要請があるまではそういう判断はいたしておりません。  債権放棄の御要請をいただいてから、我々として、そごうグループそごうグループの中の個社について、債権の内容と、それからどのくらいの引当金が必要になるか、午前中御説明いたしましたことを全部精査いたしました。
  201. 山崎力

    ○山崎力君 それで、申しわけないんですが、これは将来のことで、今回のことで長銀からのいわゆる債務といいますか債権というものがどの程度良好なものであるか、ほかにもたくさん不良債権があって今後何かがあれば国に買い戻してもらうというケースが出てくるんではないかという点は、当然のことながら国民サイドからすれば注目しているわけでございます。  もちろん、いつごろどこどこのあれを幾らくらいで幾らの債権を国に買い戻してもらうよと今この時点で言うというのは、これは経済人としては非常識なことだとはわかりますけれども、当然のことながらそれが急に何かの拍子でまた出てくればまたこういう物議を醸すわけでございますから、午前中の質問で民主党さんからもう少し具体的に言えと、個別に言えということを政府側といいますか金融再生委員会の方に言っております。  ここで、非常に恐縮ですが、まず新生銀行も、商売道徳と言うとおかしいんですが、企業倫理としてそれは現時点で新生銀行としては言えないというのならばそのことを明言していただくことと、それからもう一点、ただこの間のようにそごうみたいにこういうスキームが来て、これに乗れるかどうかということで初めてこれはまずいということで国側に買い戻しといいますか、買い戻しというのは正確じゃないのかもしれません法律用語からいけば、引き取りという形で戻すということがあり得る債権というのは、当然金融機関としてはこれからは事前にやっておくべきことであろうと思うわけです。これからどんどん、その再建計画がある程度できました、やりました、そのときにこれじゃだめだというので買い戻しを預金保険機構にお願いしますというのが続けば、これはやはり金融機関としての独自性といいますか自律性が損なわれるんではないか。  やはりこういったことがあった以上、ある程度自発的に本当に二割以上の損害が高ずる、約束どおりの瑕疵担保契約を履行してもらうということが予想されるんであれば、確実になるんであれば、これ三年というこれからのあれはありますけれども、時期を見て当然その辺のところをきちっきちっとやっていかれると思いますので、その辺の現状について、言える範囲で結構ですから、ここで御披露願えたらと思います。
  202. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  私ども金融検査マニュアルに準拠いたしまして自己査定を半年ごとにいたしております。  その中で一例を申しますと、二〇〇〇年三月期の決算ベースで、金融再生法でどれだけのものが破産更生債権であり危険債権であるかとかあるいは要管理債権であるかということはちゃんと把握いたしております。それから同時に、それに対する引当金も把握いたしております。  ですから、債務の内容については確実に把握をしているつもりでありますけれども、同時に問題が起きまして既に破綻をした場合には、これは先ほどから話題になっております瑕疵担保条項に従って預金保険機構への買い戻し、あるいは解除権というのが正式な名前でありますけれども、行使する可能性ありますけれども、まだ、既に再生を図っているという場合もございます。したがって、そういうプロセスにあるところについて直ちに解除権が発生していても行使をしないというケースがいろいろとございます。
  203. 山崎力

    ○山崎力君 ということで、なかなか旧長銀から引き取った新生銀行債権そごうだけではないなというような感じの受け取り方ができる御答弁をいただいたわけでございます。  この瑕疵担保の問題、この契約がよかったのか悪かったのかさんざんいろいろなことで言われてまいりました。ここで改めて私の方から取り上げたいとは思いませんが、今回もう一点考えてみて、国民が非常に反感を持った背景、私なりに考えてみたところでこういう点があろうかと思うんですが、これはどちらからでも結構です、興銀さんでも新生銀行さんでも結構でございます。  要するに銀行自体がつぶれるという事態が現実のものとなって、それに伴う大きな影響が社会的に予想される。これは何とか食いとめなければいけない。金融システムは守らなきゃいかぬ。そのためには、国民の税金は多額であっても使わなきゃいかぬという合意のもとに今のスキームというものができた。これは、よしあしは別として現実にそれを選択したわけでございます。それと同時に、やはり国民はそこまでは理解したとしても、ところどころで出てくる報道、情報でもいいわけですが、要するに資本注入を受けて体力をつけた銀行が、いわゆる経済の金融システムを守るというためで体力をつけた銀行が、国民の税金で体力をつけた銀行が、ところどころでそごうのように要するに債権放棄をしてその企業を存続させているではないかと。体力がない時代だったらとても債権放棄をしてその企業を存続させ得ない、つぶれてもらわざるを得なかった企業をそういうふうな形で救済しているのではないか。それは、ほとんどが大企業である。大きいところは銀行が借金棒引きして救ってくれているよね。それに反して中小は大変な取り立てだよね。貸し渋りもあってなかなかそれどころじゃない、金をよく貸してくれぬと。こういうふうな社会的な考え方が今回のそごうへの反発ということの背景に私はあったと思うんです。  その点について、そういった雰囲気といいますか気分というと非常にこれアバウトなことでございますが、国民の世論の背景にそういった感覚というのがあるんじゃないかということをお感じになっておられるでしょうか。その辺のことについて、それでは今度は西村頭取の方からちょっとお考えを伺えればと思います。
  204. 西村正雄

    参考人西村正雄君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、実は、公的資金といいましても税金の入っている場合とそうでない場合と二つございます。  長銀さんの場合には、先ほど森事務局長が言われましたように、たしか三兆六千億の国民の税金が入っているわけでございますけれども、昨年三月末に行われました資本注入は、これは税金ではないわけでございます。税金の場合はもらいっ放しで返さなくていいわけでございますけれども、私どもの場合には、結局金融システムを安定する、円滑な資金供給をするということで入ったわけでございますから、私はあの後の再生委員会の後の記者会見で、公的資金が入ったことは重く受けとめますけれども、これをなるべく政府に有利な形でお返しするように経営努力しますと申し上げたわけです。現に昨年度、九九年度で私どもは利息と配当金で七十億、これを預金保険機構にお払いしております。また優先株、これを三月末の私ども株価に換算いたしますと今お国に千百億程度の含み益が出ているわけでございます。  したがいまして、私どもは公的資金は確かに入れてございます。これは税金でございません。なるべく、これから経営努力をして株価を上げて、そして政府に有利な形でお払いするというような形を考えております。  したがいまして、今税金とおっしゃいましたけれども、税金という御質問でございましたら私でなくて新生銀行の方に聞いていただきたいと思います。
  205. 山崎力

    ○山崎力君 一般の金融機関からすればそういうお考えになると思います。  そこでなんです。要するに同じ銀行、金融機関といいながらも、興銀さんと新生銀行さんとでは性格が違う債権ではないだろうか。だからこそ預金保険機構に移ったのではないだろうか。そこのところは非常に不正確ですけれども、やはり税金をという感覚が国民に出てきた。しかもそれが私の言った、これ直接にはお答えになられませんでしたけれども、要するに体力をつけた、これは返す金だから別に税金をもらったわけじゃない。それはおっしゃるとおりですけれども、そのお金は何らかの保証のもとに国の方から来たお金であることも事実でございます。  ですから、そういった点で、今回のときに、先ほども言ったような横並びの形で、金融再生委員会の承認のもと、債権放棄のスキームの方へ持っていくというところにやっぱり国民が違和感を感じてもしようがない点があったんじゃないのかなという気が私するわけでございます。  時間の関係もあって私の方から言わせていただきますが、要するに、先ほどもちらっと話が出ましたけれども債権放棄するしないというのは、一般銀行にとってみれば、株主代表訴訟あるいは株主総会、そういったものに耐えられるかどうかというのがもうまず発想の第一にあろうかと思うんです。  ところが、預金保険機構あるいは金融再生委員会、これは株主に相当するあるいは株主代表訴訟に対応する、そういった機関というものは、それを考えるところというのはどこかあるんでしょうか。その辺をまずお伺いしたいと思います。
  206. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答えを申し上げます。  当委員会も行政組織そのものでございまして、法の枠内での運用、それに尽きると思います。
  207. 山崎力

    ○山崎力君 その法の枠内ということで、お立場、与えられた道具としてといいますか働かれる根拠となる法律以外に我々によって立つものはないんだ、そのところで我々としては忠実にその職務を果たしたつもりであるというのが皆様方のお立場だろうと思うんです。  ですから、そこのところで、逆に私なんぞそういったことをわきから見ているという非常に申しわけないんですが言い方からすれば、そういう全体を見たときに、今度のそごうの救済スキームをつくったこと自体、すなわち新生銀行そごうに対する債権をほかの一般銀行債権と同一視した形でいわゆるそごうの再生計画をつくったということ自体がある意味では問題があったのかなというふうに感じております。そこは、先ほどその問題同じと言うことができないというのは、先ほどのお話にあったように、興銀さんのお金と新生銀行さんのお金、そのよって来る時点が違ってきているということもあるんですが、その辺いかがでございましょうか。
  208. 西村正雄

    参考人西村正雄君) そのよって来るところが違うということではなくて、今度のスキームの場合には全部で債権放棄要請しているところが興長銀を除きまして七十二行あるわけでございます。債権放棄というのは全社の合意が必要なわけでございます。通常、日本で行われております債権放棄は、その場合は主力銀行が多く負担すると。それでなければほかの銀行はとても、先ほど言われたように株主代表訴訟の問題がありますから、応じません。  そごうに関しましては、長らく興長両行で主力、準主力というような形で来た、これはもう天下周知の事実でございますから、それが長銀さんから新生銀行に変わりましても新生銀行さんが準主力であるということには変わりないわけでございますから、この主力と準主力の債権放棄をするウエートを高くしなければ全体がまとまらないわけでございます。  したがいまして、私どもは一定の計算で、恐らく一番合理的な形でもって、私どもは千八百九十三億の放棄をいたしましたところ、新生銀行さんに九百七十億ということで、大体プロラタの割合に比べて一般行の負担をやや減らしました。そういう形でございます。  したがいまして、信用部分に対するカット率は私どもで九九%、新生銀行さんで八五%、それからその他行で五〇%と、そういう割合でやったわけでございますから、新生銀行さんの債権放棄がなければこのスキームはそもそも成り立たなかったわけでございます。
  209. 山崎力

    ○山崎力君 おっしゃりたいことはよくわかります。ただ、その新生銀行が、先ほども言ったように、ほかの銀行であったら違っていたよと。違っていた可能性が十分あるよと。ただし、長銀がつぶれた形で新生銀行になった時点で三兆六千億国費といいますか税金がと言っていいと思うんですが入った時点で、この銀行の性格が違ってきているんじゃないかなという見方がやっぱり国民の中にあったんではないだろうかと。  逆に言えば、きょうせっかくおいでですからお伺いしたいんですけれども、要するに買い取り、瑕疵担保の国への引き取り、これがなかった場合、新生銀行としてそごう債権放棄銀行マンとして応じましたですか、応じませんでしたですか。
  210. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  応じることは非常に困難だったと思います。  少し説明してよろしゅうございますか。  と申しますのは、新生銀行の背景にありますのは、破綻をして、そして預金者とそれから長銀債の保有者を守るために、負債と資産の比較で見ますと、負債は残っているけれども、つまりこれは預金であり長銀債の負債が残っております、資産の方は非常に減価しておりまして、その最後のツケが三兆六千億ということになって、そこで左と右、負債と資産をバランスさせたわけでございます。  銀行といえども全く資本を持たない銀行であります。そうなりますと、ゼロの資本で銀行経営はできませんので、そこで新たに普通株として千二百億、それから国から優先株の形で二千四百億をいただいたと。さらに、長銀が持っておりました株式の処分によって得た利益の中の二千五百億円を資本としていただいたということで、形としてはちゃんとした銀行として再生できたわけでありますけれども。  それから、その時点から先につきましては、かつて二十五兆円の規模の銀行が二分の一になり、そして持っているのは非常に大きな債権であると。  そこで、どのくらいの体力があるかと申しますと、含み益は全く今ございません。二番目には、一年間の収益として予想されています業務純益はわずか百九十億である。それに対して引当金を新たに追加するというときに三百億の追加が必要になるということになりますと、もうこれだけでことしから赤字が始まるということになります。  そういう理由で、恐らく瑕疵担保条項がなければ、解除権がなければやはりお断りせざるを得なかったということになると思います。
  211. 山崎力

    ○山崎力君 という債権預金保険機構解除権契約で引き戻すと。そこのところで一つの、本来のバンカーはこれはもうそのスキームに乗るのは無理だという判断債権、今お話しになりました、それを引き取っておいて、それでその最初のスキームに乗せていくということの判断、これは独自になされたということであろうと思うんですけれども、そこのところの説明というものがいま一つ見えてこないということは、やはり我々にとってもなかなか、どうしてこういうふうな判断をしたのかなと。費用最小化原則という言葉はわかります。ただしこれも、本当に費用最小かどうかというのは結果を見てみなきゃわからない、理屈の上だけでございます。  もう一つ言えば、今回よかったなと、ある意味でいえば。もし仮にそごうが後で興銀さんの方というか、そごうさんの方でみずから、どこからかのアドバイスもあったようですけれども、みずから引き下げたように、悪名をこうむって売り上げが予定よりも何倍も落ちる、これは予想外のことですけれども、金融あるいは事業、商売の世界ではこれはあり得ることでございます。そういった場合の責任を一般行の場合は株主から当然突き上げられる。業務は悪化する、そのときの判断はどうだということで株主総会で突き上げられる。そういったことでの結果責任は制度的に負うシステムになっております。  ところが、預金保険機構の場合は、いや、あのときはこれで計画どおりいくと思いましたけれども、しかし一般消費者の方から悪者視されて、そごうが売り上げが全然、予定の半分も行かない、そういったことでとてもやりきれない、こういったことも考えられたわけでございます。  私は、預金保険機構あるいは金融再生委員会というのは、そこまでの経営者としての、一経営者としての対応策というか責任もそうですし、制度もそうだし、あるいは法的な与えられた権能もそうだし、そもそも無理だったんじゃないのかなという気がしておるんですが、いかがでございましょうか。
  212. 松田昇

    参考人松田昇君) お答えいたします。  先ほど来、先生の御指摘をいろいろ伺っておりまして、非常に身にしみると申しますか、そういう感じが非常にしております。  一つは、どうしてもわかりづらいスキームであるということです。  まず最初に、なぜ我々預金保険機構がこの債権の回収に当たらなければいけない立場になったのかということをごく簡単に申し上げたいと思います。  これは、金融再生法によりまして、旧長銀が破綻しました折にこれを国有化銀行にいたしました。それでその際に、法律の規定によりまして私ども預金保険機構が株主ということになりました。いよいよ処分が今度新生銀行に移るということになりました。株式の移動ではございますけれども、こういう銀行買収の実態からいいますと、資産の譲渡に同視できるわけでございます。  そこで、株式譲渡契約の中に瑕疵担保条項を入れた契約ができました。それによって新生銀行に一定の引当金をつけたままお渡しをいたしました。その引当金の中身は先ほど来申し上げておりますように預金者等保護のための穴埋め、これはもう行って返ってこない重大なお金であります。それはしかし、そういう制度を守るための話でございますからやむを得ず我々も出しているわけでございますが、それが一たん新生銀行に参りました。  ところが、このたびいろいろな経営判断で、新生銀もいろいろ悩まれたと思いますけれども瑕疵担保条項をお使いになるということになりまして、そこで我々としてしたことは二つございます。  一つは、本当に契約上の瑕疵担保条項に当たるんですか、新生銀言うとおり当たるんですかと。それは双方の公認会計士を使いまして金融マニュアルをよくよく見まして、どうもこれは当たりますと。当たる以上は契約上の義務から引き取らざるを得ません。  そこまではいいんですが、その後我々は一体どうなるかと申しますと、今の金融再生法では、我々預金保険機構それ自体が債権を回収する立場になっていて、直接は整理回収機構に丸投げの形と申しますか買い取り委託で投げられないという形になっていて、それで残ってしまっているわけですね。しかし、我々は、法令の中の私どもの仕事でございますから、そこで考えましたのは、第一に国民の二次ロスを、前に三・六兆も使っていますから、今度二次ロスをできるだけ出さないで回収する方法は何かと、そういうこと、その一点が必要最小限度の条件でございます。  その意味でいろいろ調査しシミュレーションしますと、公的整理に移りますと、少なくとも今の時点で損害の発生は間違いない、国民の二次ロス負担は起きますと。一方、私的整理は、興銀初め金融団のいろいろな協力、支援があれば何とか、内容を見ましたけれども、それでやっていけるという判断をしましたので、興銀と交渉して三十年のところを十二年に縮めて、それで完済できる目当てをつくって、これならばむしろ二十九億、計算でございますけれども、二十九億国民に還元できるという立場からやったわけでございます。それが預金保険機構の立場でございます。  ただ、そのスキームがなかなか、私も新聞記者にも話すんですが、話した人はこの長銀の破綻から始まってきて一連の流れの中のこういうことなんですねとわかってくれるんですが、キャッチフレーズになるとどうもそこのところが、税金使って一私企業救済、こういうことになります。  ところが、よく考えてみますと、あらゆる貸出債権の多くは、銀行で貸したのはみんな私企業なんです。それがたまたま一見こう戻ってきて、国のいわば公的立場をもって我々のところにあるものですから、そこのところがいろいろそういう何というか説明のなかなかしづらい、国民の自然な感性にすぽんと入っていけないものを生んで、それがいろんな副作用といいましょうか反作用になったんではないかなと。その点我々も今後考えなきゃいけないんですけれども、我々の立場はそういうことでございますので、法の執行機関としては最善の努力を尽くしたと、このように思っています。
  213. 山崎力

    ○山崎力君 改めてこういったことで言うのも何なんですけれども、公的なお金というのは非常にかたいといいますか、きつい管理というものが要望されておりまして、民間といわゆる政府のお金が債権やその他でぶつかったときは、公の政府のお金の方を優先するという基本的な考え方がございます。これは財政法にも書かれておって、法律によらなければ勝手に政府のお金を放棄できない、そういった規定もございます。  そういった意味で、優先するところが、法律的にといいますか、与えられた仕事の中で全く民間金融機関と横並びの債権者として預金保険機構が今回の場合なってしまったと。これはなられた方としてはたまったものじゃないという、苦渋の選択をせざるを得ないというのはよくわかるんですけれども、だけれども、そのことは同情するとしても、このやり方が今後とも続くのがどうも健全だとは思えない、国民に納得してもらえるとは思えないというのが私個人のみならずかなりの方がそういうふうに思っていると思うわけでございます。  そういった意味でいえば、これは先ほどのお話で無理だとは思っておりますけれども、九九%不担保債を全部興銀さんは放棄してこれ以上はとても放棄できない、もし仮に担保債の方まで放棄して新生銀行さんの方の放棄の穴埋めをしたら、これはもういわゆる株主代表訴訟を起こされたら完全にアウトだと、そういった立場だということもわかるんですが、先ほどもそういった点新生銀行さんの方がおっしゃったように、自分のところの体力がもたないよと、だから瑕疵担保のあれがなかったらその時点でそごう救済のスキームはもうないんだというふうに判断できなかったのかどうなのか、その辺のお考えはいかがでございましょうか。
  214. 西村正雄

    参考人西村正雄君) お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、準メーンの新生銀行の負担が大きくなければこの債権放棄は成り立ちません。それで、九百七十億でございますけれども、大体千億程度の既に引き当てを積んでいるということは私ども承知しておりましたので、その範囲内であると。あと、新生銀行さんがその体力あるいはこれから日本で営業をやっていく場合に日本の金融慣行というものをどういうふうにお考えになるかと。これはまさに新生銀行さんの御判断でございますから、その時点で債権放棄を応諾されるのか、その時点でお断りになるのか、あるいは今度のように預保の方に瑕疵担保条項でお譲りになるかと、この三つの方法でございます。これはまさに新生銀行さんの経営判断そのものであったわけでございます。  したがいまして、私どもとしては、もし新生銀行さんが預保にお移しになる前にこれはもう無理だということであれば、その時点でこの話というものは、これはこのスキーム全体が難しくなると。したがって、そこで直接法的な民事再生法に行くというやり方になったかもしれない、そういう感じがいたします。
  215. 山崎力

    ○山崎力君 もうそろそろ私の時間の方のめどが見えてきたので締めくくりの方に入らせていただきたいと思います。  今回いろいろなことが言われております。金融庁の方おいでになると思いますが、そういった貸し手側の責任、御当人、代表者として西村頭取おられてちょっと聞きにくい部分もあるんですけれども銀行がそういった形でどんどん貸していっている、それで焦げついている。そういったところが、貸出先の今回でいえばそごうみたいな企業があるわけですけれども、その辺のところの何ていうんでしょうか監視と言うと言葉は悪いんですけれども、その辺本当に適当な金融機関として貸し手であったかどうかというような検査あるいはそういうふうな判断というのは金融庁としてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
  216. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  金融庁は確かに銀行監督当局でございます。そういうことで日々監督をしておるわけでございますが、それは金融機関の経営の健全性確保とか、そういった観点から、例えば大口融資規制だとかいろんな監督をやっているわけでございます。  ただ、今、先生お尋ねのような個別の企業経営破綻の責任だとかあるいは個別金融機関による個別の融資政策につきまして、金融庁としては申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思います。
  217. 山崎力

    ○山崎力君 それからもう一つ、ちょっと細かい話になっていくかもしれませんが、借り手の責任はそごうという形でいいんですが、株主というものがあるわけでございます。これは興銀さんにもあればそごうさんにも株主というのは当然ある。その辺のところが、こういったそごうにお金をたくさん貸して、逆に言えばバブルに乗っかって、いろんな経営判断のミスもあったんでしょうが、間違えてこういう事態に陥った、そういう経営陣を容認してきたそごうの株主さん、あるいはそれを助長してきたとは言いませんけれども、そこまでは言いませんけれども、結果的に見ればそれを後押しした形のメーンである興銀の株主さん、今回一番多く債権放棄しなきゃならぬという意味からいけば、そういう点、責任追及という意味で最終責任を負うそういった株主さん、そういった方たちにも、もし仮にそごうを本当に残してやりたいという気があるとすれば、それで国民のそういった負担というものの納得を得るとするならば、その辺の責任も何らかの形でとっていただく、目に見える形でとっていただく再生の方法があったんではないかなという気もするわけですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。  先に預金保険機構の方から。
  218. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生御指摘のとおり、こういう場合には減資をするということができればそれにこしたことはないと思います。ただ、一件一件異なる様相の整理でございますから、本件に即して申し上げますと、そごうの株主はグループ会社が一四%、持ち株会が八%、金融機関が二二%、取引先が三%、一般株主が五二%でございました。それで、そういう状況を考えますと、特別決議の存在が必要ですので、現実の問題として早急に減資の手続をとることができるだろうか、こういう疑問が一つございました。とりあえず、そういうことで現実的な難しさが一つあるねというのが一つでございます。  それから、翻って考えてみますと、株主の中の金融機関とか取引業者というのは、この再建計画に賛同をして協力をしていただかなければいけない立場、それにさらに追い打ちをかけて減資までやれるんだろうかという問題もございました。  それにもちろんそごう最大の責任者でこの問題の最大の責任者である水島さん、彼がお持ちになっているそごう関係の株式については全部出していただく、これが条件でございますし、現に出していただいております。  さらに加えて、再建計画によりますと、デット・エクイティー・スワップによりまして既存株主の権利が一般的に二倍ぐらいに希薄化するという現象が起きます。実質的には減資と同様の効果がなされているのではないか、こういう判断を全部いたしまして、これについては事実上株主責任についても明確化が図られているという判断のもとに今回の再建計画に賛同した、こういう立場でございます。
  219. 山崎力

    ○山崎力君 確かにそういうふうな説明を聞けば、よくやられているなというのはわかるんですが、ただそのことが、何回も繰り返しになりますが、このことに対して、そごうの処理スキームに対して国民の理解が得られなかったという結果から振り返ってみますれば、その今の説明で、おい株主は何にも今度のどじに、どじと言うと言葉は変ですが、失敗に損をしていないじゃないかと。一般の株主という意味です、そごうの株主でもいいわけです。あるいは、それを支える興銀さんの株主でもいいかもしれない。彼らが、そういう株主の人たちがはっきりとした形でよそ様というか、ほかの人たちから見て彼らも損をしたんだ、もちろん株価が下がるとかなんとかというのはありますけれども、今回のそごうの問題について損をしたんだな、負担をしたんだなということがわかれば、何らかの形で国民の同情もわいたんだろうと思う。ところが、それがない。そういった点を今の説明で、いややっているんですよ、こういうことで実際はできないんですよと幾ら説明してもなかなか専門的な知識のない方には御理解いただけない。それが相乗効果として、もともとそれなりに専門家の方がちゃんとできるよというつもりでやったいわゆる債権放棄による再建というもの自体が、もう既に購買額の低下ということでもう成り立たないということをそごう自体が認めざるを得なくなって今回民事再生法になってしまった。このことは極めて私は重大に受けとめなければならないと思うわけでございます。  もう一点、制度的な問題でいえば、今回の金融再生委員会、追認といいますか、預金保険機構のやること、決めたことはいいだろうと、こういうことになったわけですが、これは三条委員会でございます。そうすると、この委員会結論、もし仮にそごうが引き下げないとすれば、仮に森総理がやっぱり政府としてもこれはどうもまずかったと、決めたんだけれどもまずい、変えなさいと言った場合、これは変えられる制度なんでしょうか。例えば当時の谷垣委員長あるいは今の久世委員長が、これはほかの委員さんがいいよと、だけれども私は政治家として議院内閣制の立法府からこの責任者として送り込まれた者としてどうもちょっと国民の理解が得られないからまずいんじゃないか、このままではと思っても、もし仮に反対しても、一たん多数決で決められてしまったら、政府でこの制度というのは判断を覆すということはできるんでしょうか。その辺のところをお伺いしたいと思います。
  220. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) ただいま御指摘の点でございますが、金融再生委員会は、今、委員が御指摘になりましたように、三条委員会、行政委員会の中でも特に中立公正をモットーとする極めて独立性の高い委員会でございます。  ただ、この金融再生委員会は五人の構成でございますが、四人の委員はそれぞれ法律、経済、金融の専門家でございまして、委員長である私が国務大臣ということで内閣の一員でございます。したがいまして、この内閣の一員であるということは、そこが結節点でございまして、議院内閣制における内閣の一員が三条委員会委員長になることによって三条委員会の構成としては、これは中立公正を旨とするものでございますけれども、同時に、絶えず政府との調整をそこでとるという形で委員長国務大臣になっております。  そこで、今御指摘の点でございますが、既に今回の問題につきましても預金保険機構からの御提案によりましてそれを三条委員会で慎重審議をした結果、これを了承するという結論になりました。この結論につきましては、これはだれといえども変えることができないわけでございます。その議論した過程においていろいろと政府と相談するということは幾らでもあり得ますけれども、一たん三条委員会が決めたことにつきましては政府といえども変えることができない。  ただ、もし、そこにおいて全く事情の変更が行われる、例えば今回のはもともとなかったものになるわけでございますので、そもそもそごうの方で自主的に取り下げた、取り下げたから物はもうなくなってしまったんだから、ここでもし別な判断を加えるというならこれは事は別でございますけれども、そういう大変革のような事情の変更がない限りにおきましては、それは決定を変えることはできないと思います。
  221. 山崎力

    ○山崎力君 それでは、ちょっとこれは私としての最後の質問になると思います。これは感想を述べながら申し上げます。  やはりどう考えても預金保険機構あるいは金融再生委員会、これが一銀行としての、民間銀行としての同じ作業を、幾ら費用最小化の原則といいながら、そこのところの判断をずっと続けていく、例えばもし今回そごうの問題が当初の方針どおり決まっていれば、あと十何年間にわたってそごう経営状態が本当に当初の予定どおりに債権の回収ができるような経営状態なんだろうかということを見守っていかなきゃいかぬ部分がございますね。そういうふうなことは、私はやはりそういった国の機関としてそれを同じ立場でやるのは無理だろうというのが正直なところではないかと思うわけでございます。  そういった点から考えまして、今回、幸か不幸か、そごうさんの自主的な判断でそういうふうなことはやらないことになりました。現実なことでいえば、ある意味でいえば、前に置いて申しわけないんですけれども新生銀行さんが判断したこと、すなわちこのままでは我々としてはそごうの再生ができない債権だ、それをもう一回ばば抜きみたいに預金保険機構が引いてきて、もう一回それで相談して、これでできるのできないのという形をやるということのスキームは、僕は当初、先ほどもちらっとおっしゃっていて、そちらの方からは言えないと思うんだけれども最初のスキームはそこまで予想していなかったんじゃないかと、こういう事態になるのを、経営判断をしてそれをちゃんと追っかけていくというのは。  というふうなことは、ある程度お立場上できないかもしれないけれども、私からすればもうそろそろ、こういったことが出た以上、目の前に置いて申しわけないんですが、新生銀行さんがいろいろなこれからも問題、先ほどもないわけじゃないということですから、出てきたときに、これはとても私ども銀行屋としては債権放棄に応じられるような債権ではありませんと、そういったことで、二割以上の損害があるので、瑕疵担保のあれで引き取ってくださいという債権については、慎重の上にも慎重にという言葉をそろそろ取り下げても実質的には影響ないのではないかなと。もっと具体的に言えば、まずそのときには新生銀行さんの債権を省いた形で、それをどこかが負担する形でほかの銀行の方たちが処理をするかしないかということをまずスキームとして考えるべき時期に来ているんじゃないんだろうかと。  一部報道によれば、新生銀行さんの持っている某企業債権を某銀行が肩がわりすることによってその会社の再生を目指すという報道も既になされております。その辺について、どの程度までお立場上現時点で踏み込めるかどうか私もわかりませんが、将来展望、将来についての方針について最後に大臣にお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  222. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 預金保険なり再生委員会一般銀行と同じ土俵で債権放棄判断を行うということについての御質疑だろうと思いますが、金融再生委員会は御承知のごとく金融再生法の枠組みの中で行動をいたしております。  したがいまして、本件の場合につきましても金融再生委員会は、金融再生法が定める、たびたび申しております費用最小化原則を基軸としながら債権放棄要請を受け入れることもやむを得ないと判断をしたわけでございます。そこで、そごう再建計画の合理性につきましては関係者も十分に検証したところであり、金融再生委員会もまた預金保険機構から十分な説明を受けた上で判断を了承したわけでございます。  今後の預金保険機構債権放棄につきましては慎重の上にも慎重に対処すべきでございますが、ただいまの場合につきましても再建計画というものが基本にあるわけでございますが、それに対する結果責任というものは必ずしも明らかではございませんが、再建計画を審査する専門性について申し上げますと、預金保険機構というのは私どもが監督をしている機構でございますが、これはイコール国でございまして、各省庁あるいは日銀、金融機関等から多くの人材が出向しておりますし、その中にはこのような再建計画の分析に通じている要員も非常に多いわけでございます。これらのスタッフを中心に再建計画の内容について詳細に検討を行った結果が今回の結論でございまして、この債権放棄と申しますのは非常に重要な問題で、それぞれの事案について検討を進めなければいけない問題でございます。  これからは、この債権放棄問題については安易に認められるべきではなくて、慎重な判断のもとに対応してまいりたいと思っております。
  223. 山崎力

    ○山崎力君 終わります。
  224. 星野朋市

    ○星野朋市君 保守党の星野でございます。  本日は西村頭取、それから八城社長、御苦労さまでございます。多少今の山崎議員の質問とダブるところがあるかもしれませんけれども、それは御了承いただきたいと思います。  まず最初でございますけれども、費用最小化の原則からすると今回の民事再生法での処理、これは追加負担が生じるということでございますけれども、再生委員長、それについてはどうお考えでございましょうか。
  225. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) これまで再生委員会といたしましては費用最小化の原則について判断してまいったわけでございますが、今回はそごうが自主的な判断によりまして、民事再生法による措置ということに自主的な判断によって判断をしたわけでございますが、民事再生法による場合、またこれは御承知のごとくできたばかりの法律でございますし、施行もこの四月一日からでございましたもので、どのくらいこれによってお金がかかるかということはまだ細かに積算はできていないわけでございますが、いずれにしても今まで以上に費用がかかることは間違いないわけでございます。    〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕  これがどのくらいかかるかにつきましては現時点においては不明でございますが、間違いなく現在より多くかかることは推測がつくわけでございますので、私どもとしてはこの計画においても費用ができるだけ少なくなるような処理を期待している次第でございます。
  226. 星野朋市

    ○星野朋市君 西村頭取にお尋ねをいたしますけれども、今度の債権放棄によるそごう再建のスキームというのは、興銀さんがメーンバンクでございますから興銀がメーンになってこのスキームをおつくりになったと思うんですけれども、そのときに、いわゆる債権放棄ならば一番費用が少なくて済む、民事再生法ならばそれより若干多い、会社更生法ならばもっと多い、この金額をどういう形で算出なさったのか。そのことを預金保険機構に申し述べたと思うんですけれども、それは興銀がつくって預金保険、それとお話をなさったんじゃないんですか。
  227. 松田昇

    参考人松田昇君) コンピューターその他は興銀のを使いました。また、原資料の細かな資料は興銀の資料を使わせてもらいましたけれども、いろいろ前提を置く考え方、それから数値、それから例えば会社更生の試算のときにも、四十社ぐらいあるわけですから、それを一つ一つ会社更生の方が回収額が多くなるのか破産の方が多くなるのか選別をいたしまして、それからいろいろイメージダウンによる売り上げの低下とか、そういう条件は全部こちらで指示しまして、計算だけをやってもらった、そういう経過にございます。
  228. 星野朋市

    ○星野朋市君 興銀さんの方はいかがですか。
  229. 西村正雄

    参考人西村正雄君) 興銀でも一応そういうような試算はいたしております。結果的には預金保険機構の計算された数字とそれほど大差がなかったと、このように聞いております。
  230. 星野朋市

    ○星野朋市君 私が聞いておるのでは、会社更生法によって追加負担額はある程度決まっておるけれども民事再生法による追加負担の額というのは、おおよそはわかってもまだ正確にわかっていないということですけれども、そのとおりですか。
  231. 松田昇

    参考人松田昇君) 私ども法的整理の類型として、破産の場合、全部破産の場合とそれから会社更生、中に一部破産を含んでおりますけれども、それを選びましたのは、過去に実績がございまして、それによって前提に考えられる一事柄がある程度合理性を持つということでございます。  ところが、民事再生は四月一日施行でまだ現実にどこまでの回収があったのか、その点実績値がないものですからすぐにつかめないので、あれこれ定性的なことを考えますと更生法でやるのととんとんかなという感じはするんですが、さて今度はそごうが出された民事再生の手続を見ますと、私どもの試算よりも再生の手続で出しておられる機関数の方が多いようでございますので、そうしますと、裁判所が最終的にお決めになることですけれども、どのくらいの負担額になるのかちょっと今のところはっきりしない、申し上げられない、こういう状況でございます。
  232. 星野朋市

    ○星野朋市君 いずれにしても、民事再生法による追加負担額の額というのはまだ決まっていないと。ただ、多くはなるだろうと、債権放棄より、ということだろうと思っております。  そこで、民事再生法になって、そごう再建策というのが前の債権放棄のときと大分異なってきたと思うんです。それで、そもそも、流通業界に詳しい人に聞くと、そごうはおおよそ三十店舗のうち十店舗はまあまあやっていける優良、それから十店舗はどうかわからない、十店舗はもうだめだ、こういうようなおおよその仕組みがなされているようなんです。  それで、今回の民事再生法によって、長野それから木更津それから多摩ですか、この三店舗は閉鎖されるということで、従業員の解雇の問題というのが直ちにクローズアップされてきた。労働省、来ていますか。  その三店舗の従業員の解雇の問題とそれからそれに対する労働省の対処の仕方、これについて御説明願いたいと思います。
  233. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 今御指摘のありましたそごうの三店舗、これの中で株式会社木更津そごう及び株式会社長野そごうにつきましては、全従業員に対しまして七月十二日付で解雇を行っております。また、多摩そごうにつきましては、解雇は行われておりませんで、七月十一日付で従業員を横浜そごうに転籍させた上で、多摩そごうにおいて閉店に向けた残務整理を行っているという情報を得ております。  従業員の解雇を行った二店舗につきましては、労働基準法に定める解雇予告等の手当、一カ月分の賃金相当額が支払われることになっておると聞いております。こうした解雇に当たりまして、基準法等の問題が適切に守られるように指導していきたいと考えております。
  234. 星野朋市

    ○星野朋市君 それは三店舗についてですけれども、いずれにしても、これからのそごうの店舗の閉鎖もしくは売却というのはかなりシビアなものになると思うんです。そうしないと今言ったような形でやっていけないと。労働省はそういう対応をして、どういう対策をとられようとしているのか。
  235. 渡邊信

    政府参考人渡邊信君) そごうの雇用問題、大変大きい問題であろうかというふうに認識をしておりまして、先般、省内にそごう雇用問題連絡本部というものを設置したところであります。  ただいま、木更津そごう、長野そごうお話ございまして、既に解雇者も発生しておりますが、既に解雇者の発生したところにつきましては、現地と連絡をとって、これから離職票の提出等の手続が行われるということでございますので、再就職対策に万全を期したいと思っております。  そごう本体の雇用問題につきましては、これから再生計画が作成される中で検討されるということでございますから、これは注目していきたいと思っております。  なお、そごうについては関連店舗が大変多うございまして、いわゆる連鎖倒産といいますか、こういったものを防ぎますために雇用調整助成金の適用の決定をいたしまして、今月の二十一日よりそごうの関連企業については雇調金の適用をするというふうにいたしております。
  236. 星野朋市

    ○星野朋市君 再建計画についてもう一つお伺いをいたしますけれども、これは西村頭取にお伺いいたします。  六月三十日に金融再生委員会で再生委員長が例の債権放棄のスキームが完成した後の記者会見でこういうことを言っているんです。記者が、そごう再建計画そのものについて、この再建計画で大丈夫だというような議論はこれからするのですかという質問に対して、委員長は、報告をよく聞いて我々としても考えなくてはいけない点がありますが、本来、再建計画の合理性というのは、民間主導による和議といいますか、再建計画をつくり直しているわけですから、どこまで行政機構がそういうことを判断すべきか、判断せざるべきかという問題も他方あると思います。しかし、我々としては、そういう問題もあるわけですが、同時にこの問題を議論するときに国民負担を最小化していくという要請は当然ありますから、砂上の楼閣のような議論にくみするわけにはいかないということはあると思いますと言っているんですね。  今度の民事再生法の適用についてもそごうと深くかかわったと思います興銀さんとしては今のような委員長の発言に対してどういうふうにお感じになっておられるか。
  237. 西村正雄

    参考人西村正雄君) お答え申し上げます。  先ほども事務局長からお話ございましたように、あの中にはちょっと入っておりませんけれども債権放棄の私どもの三条件の中に再建計画の妥当性というのがあるわけでございます。したがいまして、債権放棄というものはあくまでも例外的な措置でございますけれども、そこで本当に再建できるかどうかというのがポイントでございます。  したがいまして、このそごう再建計画についてはいろいろなことが言われているわけでございます。一応あれだけの六千三百九十億円の債権放棄をしてもまだ千三百五十億の債務超過が残るじゃないか、あるいは一兆円の借入金が残るじゃないか、その債務超過がゼロになるためには十年かかるじゃないかとかいろいろ言われている。それから、売り上げの伸びがどうであるとか、高島屋と比較してどうだとか、あるいはまた百貨店の将来性の点とかいろんなことが言われております。  確かに、そごうから一般的に配られておりますわずか数ページといいますか、それの数字を見ただけではそういったような御疑問が出るのはもっともなところであろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、そごう再建計画委員会をつくりましたのが昨年十一月でございまして、それからかなりじっくり時間をかけて検討をして四月のたしか四日に発表したわけでございます。そのときにやはり各店別にそれぞれ数字を積み上げたわけでございます。  それで、今度の再建計画のポイントといいますのは結局三つございまして、一つは水島体制から完全に脱皮した新しい経営体制になる、それからもう一つは不採算店あるいは不採算事業というものを徹底的に整理する、三つ目が債権放棄によって過大債務を解消する、この三つでございます。  その中で実は、この数字にあらわれていない最初経営体制の刷新でございます。これが、本当は一番大きいわけでございまして、従来分社経営をとって各店ばらばらな経営をやっていたわけでございますけれども、これを一体的に経営していく。ちょっと長くなって恐縮、もう少しよろしければ、先ほどいろいろな店舗のお話が出ましたけれども、現在民事再生法に適用していくのは二十二店でございますけれども、結局そごうの場合には、収益店とそれから営業赤字も出ない店と、営業赤字は何とか出ている、あるいは若干赤字だけれども苦労すれば営業赤字が出る。しかしながら、過大債務のために経常的には赤になっている。そういったようなことに分類いたしまして、そして営業赤字も出ない店はこの際全部売ってしまう。それから、経常が過大債務状況によって何とかなる店はこれはこれから生かしていくと。  生かしていく行き方としましては、そごうの中で大体売り上げが年間千億ぐらいの大きな店は四つございます。一つは横浜、それから千葉、それから広島、神戸でございます。この四つの店を中心にしてそれぞれいわば対策店というものを一体的に運営をしていく。  それから一方、有楽町の店は、これは今既に交渉中でございますけれども、ファッションビルの方に業態転換をする。それで、船橋店、これも専門店に業態転換する。  そういうようなことでもって店別にやっておりますが、結局従来全く分社経営でできなかったことが一体的にできるようになりますから、あの数字だけごらんになっていますと本当にこんな数字でできるのかなということかもしれませんけれども、結局それは可能であるというように私どもはあるかなりの確度でもって申し上げるということができると思います。  まだいろいろ細かいことは時間がかかりますのでこの程度でやめておきますけれども、そういうことでございます。
  238. 星野朋市

    ○星野朋市君 八城社長一つだけお伺いをいたしますけれども預金保険機構に要するに瑕疵担保条項に基づいて二割以上減価したという形でこれを解消されたその根拠ですね、これについてお聞かせ願いたいと思います。
  239. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  債務者区分から申しますとそごうは破綻懸念でございまして、そのために引当金は無担保分について七〇%引き当てております。これが、私ども債権放棄に応じなかったということから再建ができなくなるだろうということになりますと実質破綻になります。そこで、実質破綻に対する引当金は無担保分の一〇〇%ということになります。  そこで、そごうグループ一つ一つの個店について果たして二〇%の価値の減少、減価が起きたかどうかということを詳しく精査いたしました。その結果を監査法人に回しまして、正式な確認書をいただきました。  その結果、全体ではございませんが、三十八の店についてそういう瑕疵担保と同時に価値の減少が起きたということで解除権が成立したということを証明していただいております。
  240. 星野朋市

    ○星野朋市君 八城社長に追加してお尋ねをいたしますけれども、貸倒引当がそごうの場合一千億と、これはもうほぼ決まっておる。  大体、けさからも問題になっておりますいわゆる新生銀行の貸倒引当金というのは約九千億あって、そのうち六千億は個別の引き当てを積んでおって、残りが一種のパーセンテージで引き当てたと私はそういうふうに聞いておるんですけれども、その個別に引き当てた内容、これはけさも問題になって明らかにされないわけですけれども、その中に、要するに今度の債務の免除というのが行われたときに、次にこういうような問題の会社も引き続いて同じような行動をとってくるんであろうと、それがモラルハザードにつながるんだということが一つの焦点になっていると思うんですね。そのことは当事者としてお認めになりますか。
  241. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたしますが、先生のおっしゃるモラルハザードということの意味を十分理解していないかもしれませんが、我々が安易に債権の買い戻し、つまり解除権を行使するのではないかと、そういう御質問かと思いますが、それは私どもとしてはございません。  と申しますのは、債権が解除するということは収益の源泉をなくしていくわけですから、現実に担保に瑕疵があって、しかも二割以上の減価が起きたという場合に、解除権そのものは発生いたしますけれども、その時点で直ちに解除権の行使ということには移らないわけでございます。  お客様がどういうふうな、その後再建計画をお立てになっているかということ等も十分配慮しながらいたしますが、契約を守ることは、原則的には契約に従わなきゃならないというふうに思っておりますけれども、それでよろしゅうございましょうか。
  242. 星野朋市

    ○星野朋市君 そごうの問題につきましては、実はこの委員会で私は五月八日の日に谷垣委員長にこういう質問をいたしまして、谷垣委員長は私の質問以上に突っ込んだ答え方をされておるんです。「そごうが金融機関に対して六千三百九十億の棒引きをしてくれと、こういうふうな頼み方をしておる。さらに、西洋環境開発、これは西友系のあれですけれども、これが三千億。もうそれだけでほぼ一兆円になるじゃないか。ただし、そごうの方が質が悪いんですね。その中に、日債銀に対して八十億円、これがある。谷垣大臣はもちろんそれはお断りになっているはずなんですが、そういう事実がある。それから、問題は、日本長期信用銀行に対して九百七十億円、これは興銀に次ぐ第二位の棒引き金額ですけれども、この要請があるということは事実ですか。」と質問をいたしました。  谷垣大臣は、「まず、個別の要請をしているかどうかというのは、私たち必ずしも承知しておりません。」と答えたんですね。そして、その後、非常に突っ込んだ返答をしております。「一般論で申し上げますと、この前も御答弁したことでありますが、」、これは何か勘違いされているんですが、「債権放棄要請があるというのは、契約条項に言う瑕疵に当たるわけですから、ですから当然あとは二割減価したかどうかという判断になってまいりまして、これは一般論でございますが、ただ債権の価値というのはどれだけ担保で覆われているかによって変わってまいりますから、担保でうんと覆われている場合には二割減らない場合があるということ、これはこの前の繰り返しになろうかと思います。 それから、特別公的管理の銀行については、この前も御答弁申し上げたとおりでございますが、」、これも何かの勘違いなんです。「特別公的管理下にある銀行債権放棄に応ずるというのは、これは原則としてなじまぬだろうと私は思っておりまして、今までもそういう例はございませんけれども、特別公的管理下の銀行についてそういう要請があった場合には、これはなじまぬということで対処をしなきゃいかぬのではないか、こう思っているわけであります。」、こう言っておりますけれども、これについて、委員長、どういうふうにお感じですか。
  243. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 前委員長の御答弁でありますので、私はその経緯をよく存じませんので、政府参考人に答弁させたいと思います。
  244. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  五月八日時点におきましては、谷垣前委員長が申していましたとおり、その時点におきましては解除権の行使ということは預保の方からは何も聞いておりませんし、恐らく預保の方も存じない段階であったと思います。そういう段階での御答弁であるということが一つと、それから特公管銀行、例えば、例えばではございません、もう一つしかないんですけれども、日本債券信用銀行については、これは委員会でのプリンシプル、原則として、債権放棄には応じないことにしております。
  245. 星野朋市

    ○星野朋市君 まだ金融監督庁、金融庁ですけれども、昔の体質がなかなか変わっていないと私は思うんですね。ということは、聞かれなくちゃ答えない、自分の方から何かを明らかにするということがない。  一例を挙げますと、銀行債権放棄というのは去年だけでもこれは相当あるんですね。主なところでも二十ぐらいありまして、これが一兆六千億。さらに、全般ですと約六十社ぐらいに債権放棄をしております。  これらは、去年、主要行が要するに不良債権の償却をした中にほとんど、貸倒引当金を積んで償却をした金額の中におさまると思うんですけれども、金融庁、そのときは金融監督庁ですね、これは、ことしの四月の末でさえその償却額は中間期における償却見込み額二兆八千億円という答え方をしているんです。  去年の三月に主要行に七兆五千億の資本注入をして、そのときの健全化計画というのがあったはずなんですから、どうなっているかというのは注意深く見ていかなくちゃならないのに、何と当初の計画に対して中間期で二兆八千億、最終的には四兆四千九百億、これの償却をしている。当初の三倍なんです。それにもかかわらず、四月の末の時点に至ってもまだ二兆八千億という数字で何とかつじつまを合わせようとしている。  こういう体質がまだ残っていると思うんですけれども、そこら辺を改めないと、特に今、金融関係の問題で数字的に後から出てきてどうだと、今度の問題も説明不足と言うけれども、まさしく同じことだと思うんですね。委員長、どうお考えですか。
  246. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) ただいま御指摘になりました説明責任、いろいろのことが推移の中においてもっとこうすれば展開が違っていたろうというような御指摘につきましては、今度の件につきましての私どもの反省点の一つでございます。  きょう午前にも御答弁申し上げましたように、やはりあらゆる行政について多くの方々に、特に国民の皆さんに対してできるだけわかりやすいように説明をこの経過とともにやっていくということは極めて重要なことでございますが、今度の問題は非常に複雑であり、またいろんな推移があり、そして専門的、技術的な要素が多いもので、これを適切な説明をするということは非常に難しい問題でございますが、これからはこういう問題を乗り越えて、御趣旨に沿ったようなアカウンタビリティーということを念頭に置いて行ってまいりたいと思っております。
  247. 星野朋市

    ○星野朋市君 時間調整のために質問はこれで終わらせていただきます。    〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕
  248. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。  まず、いわゆるそごう問題でございますが、私ども、この問題が惹起されてから党内でも相当議論いたしました。与党三党の政策責任者会議でもいろいろ議論させていただきました。  私ども公明党の考えは、いわゆる国民負担の最小化といいましょうか、経済合理性を選ぶか、そうではなくてやはり法的処理という公正、透明性を保とうとするモラルの確立か、どちらかが今問われているんだと。ちょうど二十一世紀までもうあとわずか半年もないような中で、これがまさにこれから日本の経済構造、社会構造も変え得るかもしれない、そういう問題じゃなかろうかと、こういう認識のもとに種々議論いたしまして、結果といたしましては、御承知のように国民のモラルハザードはノーであると、こういうふうな世論の圧倒的な力も相ありまして、雇用の問題であるとか中小企業の連鎖倒産の問題があろうかと思いますが、少々血を流してでも外科手術すべきであろうと、こういう国民の声、これが今日のそごう自身が自主判断でいわゆる東京地裁へ民事再生手続の申し立てをしたという経過になっておるんだろうと思うわけでございまして、我々はこれを了としておるところでございます。  そこで、二十一世紀の日本の社会経済構造そのものを、これが契機となって、トリガーとなって変え得るかもしれません。俗に言う資本主義でございますから負け組が市場から退場していくと、こういうのも今後の痛みを伴う日本経済構造改革ということにもなろうかなと、こう思っておるわけでございます。  そこで、そごうグループといたしまして東京地裁へ民事再生手続の申し立てをいたしたわけでございますが、国民的には余り聞きなれない倒産法制でございますが、現在どれぐらいの事件数になって受け付けておるのか、法務省、いらっしゃればお聞きしたいと思います。
  249. 細川清

    政府参考人細川清君) 民事再生法は昨年十二月の国会で成立しまして本年四月一日から施行された法律でございますが、最高裁の統計でございますと、本年の四月から五月末日までの申し立て件数は百三十七件でございます。
  250. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 大体この民事再生法は、中小企業をターゲットに考えたと、こう言いますが、日貿信なんかは三千億円ぐらいの申し立ての金額になっておるわけでございますが、負債額になっておるわけでございますが、今回はちょっとけたが一けた違うわけでございますが、そこで、その問題については後ほどやりますけれども、こういうスピードということ、非常に大切なわけでございまして、こういう手続の申し立てをしたということについては了とするわけでございます。  さて、私のところには全国のいろんな方々からそごう問題についていろんなお問い合わせが来ておりまして、いわゆる一消費者、また一社員の方々からでございますが、そのうちの一、二お伺いをしておきたいと思います。  それは、まず、そごうグループ各社が発行いたしました商品券でございます。この商品券、御存じの東京地裁の出しました保全命令を見ましても、この商品券は使えるということになっておりますが、私、委員長そごうのじゃございませんが、よそのデパートでございますが、ちょっと手元にございませんでしたので、お持ちしました。これ、ちょっとよろしいですか。金融庁、どうぞ。どうぞ持っていってください。後で返してくださいね。そのうちプレミアムがつくかもしれませんからね。(資料を手渡す)  これはそごうの、この際、破産手続や特別清算いたしました木更津そごうだとか長野、多摩そごうが出したものもございます。しかし、これはデパート共通券ならどこのデパートでも使えるということでございますが、今お渡ししたものは、裏を見ていただくと、そのお店でしか使えないいわゆる商品券です。商品お取りかえ券なんというのはもうそのお店しか使えないということでございます。さすれば、今申し上げた三つのデパートが発行した商品お取りかえ券などは今後どうなるのかということでございます。お聞かせ願いたいと思います。
  251. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  一般的には、今、先生おっしゃったように、そごうグループの発行いたしました商品券は、全国のデパート券、全国百貨店共通商品券も含めまして使用可能となっておりますが、今、先生御指摘の商品お取りかえ券とか、あと二種類ございましたが、そういうその店舗でしか使えない商品券、前払い式証票でございますが、こういう発行したものがございます。  これにつきましては、その取り扱いについて現在そごうグループで対応を検討中と聞いておりまして、当局といたしましてもその検討状況を今見守っているという状況でございます。
  252. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それにしてはあれですね。これは金融庁に渡しています。委員長にも御許可いただいてきょう金融庁の方にお渡しをすると申し上げておきましたが、そごうグループの広告を見ますと、「すべて券類に記載どおり、今後もご使用いただけます。」と、こうあるわけですね。  じゃ、この広告のコピーはうそだったということになるんですか。お取りかえ券については、これは今検討中で、今のところ使えませんと、こうなるんでしょうか。「すべて券類に記載どおり、」と、こうありますが、どうなんでしょうか。  それから、お取りかえ券なるものがそれぞれ幾らあるか、残高ももしわかっておればお知らせ願いたいと思います。
  253. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  確かに今先生おっしゃったように、ちょっとこの新聞ですか広告で見ますと、「すべて」と書いてございますので、若干誤解が生ずるおそれがあると思います。  ただ、私ども聞いたところによりますと、いずれにしても早急に今検討しているというふうに聞いておりますので、それを注意して見ているということでございます。  それから、その残高でございますが、必ずしも正確な数字を把握しているわけではございませんが、木更津、それから多摩あたりで数百万の規模じゃないかなというふうに考えております。
  254. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 このそごう問題は、きのうもきょうも取引業者の方の説明会があったとか、後ほどもお聞きするかもしれませんが、中小企業庁、労働省、いわゆる雇用の問題いろいろと手を差し伸べておられるということは、先ほど申し上げました、これは是とするところでございますが、これは消費者の方々のこともしっかりお考えいただかないといかぬのじゃないかということで御喚起申し上げておるところでございます。  それで、もう一つ、先ほど申し上げました長野そごうであるとか木更津そごうであるとか多摩そごうが発行した、そこのデパートが発行した商品券、これはそごう内であれば使えると、こういうことでしょうか。
  255. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) 申し上げます。  先生のおっしゃったとおりでございます。
  256. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、もう一つ最後に、沖縄の山形屋というのが店を閉店したときに、沖縄の山形屋で発行したすべての商品券は沖縄三越で使える、こういうふうにしたということでございますが、先ほどのお取りかえ券なんぞも近くのデパートでも使える、こういうふうなことをぜひ配慮していただきたいなと、こう思いますが、いかがでしょうか。
  257. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  私の立場から確たることは申し上げられないんですが、いずれにいたしましても、そごうグループでは前向きに検討しているというふうに聞いております。いずれにしても、その動向をよく見ていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  258. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 次は、従業員の方からのお問い合わせは社内預金のことでございます。  一般論でお聞きしますけれども社内預金を従業員の方で五百万以上超えて持っていた場合はこれはどうなりますか、労働省さん。
  259. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 社内預金の取り扱いについてでございますが、今回の東京地裁の決定によりますと、五百万円を超える金額について地裁の決定がございました。そうしますと、社内預金につきましては、本人の意思によって預金するものでございまして、賃金債権等とは異なりまして一般債権ということになります。  そういうことになりますと、五百万円を超える金額を預金している労働者の社内預金につきましては、全額が凍結される可能性もあるというふうに考えております。
  260. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 今おっしゃっていることは、じゃ六百万円ある方は、五百万円控除で百万円はだめだけれども五百万は返ってくるということなのか、根っこからだめと、こういうことですか。
  261. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 五百万円を超える金額を分割するということは一般的には認めておらないわけでございますから、全体についてということになるというふうに考えております。
  262. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ですから、根っこからですよね。だから、五百万以上はもう根っこからだめと、こういうことで、四百九十九万九千円の方はオーケーと、こういうことになるわけですよね。  社内預金といいましても、強制的じゃないといいましても、いろんな将来のことを考えて社内預金をされたんだろうと思うんです。ある方は将来の結婚のためと、こういうようなことも言われておるわけでございます。  そこで、社内預金は会社更生法とか破産法ではどうなっておるかわかりますか、どうぞ。
  263. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 社内預金の取り扱いでございますが、これは社内預金についてどういう保全措置をとっているかということによっても違ってまいりますが、通常は一般債権の取り扱いということになると考えております。
  264. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 ちょっと質問の観点が悪うございましたでしょうか。  要は、賃金の支払の確保等に関する法律第三条「貯蓄金の保全措置」というのがございますね、そういう意味から申し上げておるわけですが、貯蓄金の保全措置、これはどういうふうな法律ですか。
  265. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 社内預金の保全措置でございますが、今御指摘ありましたように、法令によりまして四つの保全措置の規定がされております。  具体的に申し上げますと、一つは払い戻しに係る債務、これについて金融機関において保証するそういった契約を結ぶ、それから払い戻しに相当する金額について信託契約を結ぶ、それから三点目が質権、抵当権の設定、四点目が社内に労使から成る保全委員会をつくりまして、その保全委員会によって預金の管理状況をチェックしていく、そういう四つの規定が設けられております。
  266. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 千葉そごうというデパートは社内預金が今おっしゃった信託預金方式ですから全額保証されると、広島そごうの場合は何もないので裁判所の民事再生の申し立ての決定によってどうなるかと、こういう同じそごう内でも社内預金一つとりましてもいろいろあるようでございます。  ちなみに、株式会社そごうの従業員預かり金というのは有価証券報告書なんかを見ますと三十六億八千五百万もあるわけですね。これはどこに預けられておるのか知りませんけれども、メーン銀行か準メーン銀行か知りませんが。要は社員の方々の社内預金については、雇用に関することについてのいわゆる保全命令の主文がございますけれども、再生債務者とその従業員との雇用関係により生じた債務、給料の未払いとかいうんでしょうけれども、雇用関係があるからこそ社内預金というのはあったんだろうと、こういうふうにも理解をしてさしあげたいなとは思うんですが、これは裁判所に聞かなきゃわかりませんが、いずれにいたしましてもこの社内預金の払い戻しについてはこれはもう優先すべきだろうと、こういうふうに思いますが、今後どのように対応されますか、お伺いしたいと思います。
  267. 鈴木直和

    政府参考人鈴木直和君) 社内預金の保全措置、今、先生の方からも御指摘ありましたが、私どもそごうグループ全体がどうなっているか今調査中でございます。保全委員会形式の保全措置が多いというような情報も得ております。早急に全体の情報を収集しながら、再生債務者等に対しましても社内預金の保全等についていろいろ要請をしていきたいと考えております。
  268. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 零細な社内預金をされた方々への配慮も特段要請をしておきたいと思います。  それでは、取引先企業への対応でございますが、いろいろ新聞報道を見ていますと、きのうもきょうも説明会があったようでございますが、何か現金取引に今後すると、こういうことをきのう渋谷でありました取引業者の方々の説明会の後それに参加された方々がテレビのインタビューでおっしゃっておりました。  そのほかにも、メーンバンクの興銀さんの保証小切手がほしいとか、ならば取引しましょうとか、いろいろ言われておりますが、興銀さんいかがなんでしょうか、今後の取引業者への支払いの問題についてはいろんな御意見や御要望が来ていると思いますが、どのような御所見を持っておられるかお聞きしたいと思います。
  269. 西村正雄

    参考人西村正雄君) 私どもといたしましては、七月十二日に対外的に声明文を発表いたしまして、それはそごうを通じてそごう債権者に配られたということでございますけれども、その骨子を申し上げますと、興業銀行民事再生法の手続の枠組みの中で速やかに再生を果たすべく円滑な営業継続による事業基盤並びに企業価値の維持に向けて協力を行う用意がございますと。  具体的には、第一に、当社の事業継続に不可欠な資金につきまして、裁判所または監督委員の許可を得た上で対応させていただく用意がございます。第二点といたしましては、また人的支援につきましても今後の再生手続の円滑な遂行に必要となるスタッフ等の人材派遣にも積極的に対応いたします。第三点といたしましては、さらに今後関係各方面との調整を図りつつそごうグループの事業再建全般につきまして最大限の協力をいたします。こういう文書を流しております。
  270. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 さらにちょっと何点かお伺いしたいと思いますが、中小企業庁、来られていますか。  いわゆる取引業者一万社と言われておりますが、どういうふうな中小企業への対策を考えておられるか、例えば融資の問題であるとか、対応策、支援策をお伺いしたいと思いますが、中小企業庁。
  271. 中村利雄

    政府参考人中村利雄君) そごうには非常に多数の中小業者が取引を行っているわけでございますけれども、連鎖倒産を防止するあるいは関連中小業者への悪影響を軽減するために通産省としましては、相談窓口の設置、金融措置の活用等によりまして万全の対策を講じているところでございます。  具体的に申し上げますと、第一に、政府系の中小企業三金融機関の各支店、各都道府県信用保証協会、主要な商工会議所及び都道府県の商工会連合会等におきまして相談窓口を設置いたしました。昨日までに相談件数は合計で三百三十四件に上っているところでございます。  二番目に、そごうへの売り掛け債権等を有する中小業者に中小企業金融公庫、国民生活金融公庫から資金を別枠で貸し付ける中小企業倒産対策貸付の実施を行っております。  第三に、関連中小企業者が別枠で信用保証を受けられる倒産関連保証の対象への指定を行っておりまして、これは十九日の官報に告示予定でございまして、これは民事再生手続等の開始申請時に遡及して適用されるものでございます。  それから第四に、中小企業倒産防止共済に加入しております関連中小業者への融資の迅速化ということで特別なプロジェクトチームを設けているところでございます。  今後とも関連中小業者の動向を注視しまして、これからの施策を通じて関連中小業者への対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  272. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 きょうは興銀の西村頭取新生銀行八城会長兼社長の両参考人、暑い中本当に御苦労さまでございます。ちょっとお二人にこれから何点かさらにお伺いをしたいと思います。  先に興銀の西村頭取にお伺いしたいと思います。  これから申し上げること、プライバシーに関係していることであれば御答弁結構でございますが、一つは、西村頭取は水島廣雄さんというそごうグループの前会長とどういう面識といいましょうか、関係といいましょうかでございましょうか。
  273. 西村正雄

    参考人西村正雄君) お答え申し上げます。  水島そごう前会長は興業銀行の大先輩という関係でございまして、いわば先輩と後輩という関係でございます。  ただ、仕事の面につきましては、九四年の五月に水島氏が社長から会長に退きまして、興長銀から常務がそれぞれ副社長で入りました。そこから第一次リストラ計画が始まったわけであります。それで、その九四年十一月に当時の興銀の黒澤頭取と日長銀の堀江頭取と水島会長の三者会談がございまして、そこでリストラの完遂と、それから経営会議というのを設置いたしましたので、その経営会議には水島さんは出ないということで、岩村社長以下の新しいメンバーの経営会議中心でこれから経営刷新をやってほしいと強い申し入れをやったわけです。そのころ私が頭取に呼ばれ、当時私は副頭取だったんですけれども、担当ラインは別途常務以下ございましたけれども、その担当常務などをいろいろ助けてやってくれといったような特命がございまして、頭取になるまで一年半ですか、ビジネス面ではかかわりがございました。  もちろん頭取になってからは、当然最高責任者でございますから、そういう意味では引き続きそのビジネスの関係頭取としての関係があったと、そういうことでございます。
  274. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そうすると、いわゆるビジネスパートナーであったわけですが、なぜそういう御関係なら、そごうグループ資本関係のこの複雑な入り組んだ一覧表を見させていただくと、何でこんな年間一兆円以上も売り上げのある、御本人も日本一のデパートとおっしゃっているようなところがこういう資本関係、上場、非上場があって、いよいよ連結決算だというようなことで俗に言う債務超過というものが浮上してきたのかなと思うんですが、そういうややこしいというか、もう一覧表を見ただけではどこがどうなっているか一遍にはわからないような、そういう複雑な資本関係そごうグループというものを是正したらどうかとか、もう少し対外的にも社会的にもいろんな意味で、未上場のところも、もちろん上場の資格が要るわけですが、上場したらどうかとか、ごく普通に考えればそういうふうなことを思うのでございますが、そういうふうな今の複雑な資本関係を整理といいましょうか整備といいましょうかというようなことのアドバイスはされたんでしょうか。
  275. 西村正雄

    参考人西村正雄君) もちろんしております。  当然御存じのことだと思いますけれども、ちょっとつけ加えさせていただきますと、水島前会長は確かに興銀出身でございますけれども、これはそごうに興銀から派遣されたのではなくて、彼はそごうの一族だったわけです。三十三年にそごう経営がおかしくなりまして、一族の要請で興銀をやめていったわけです。そして、副社長で行きまして三十七年に社長になりました。したがいまして、興銀と取引が始まりましたのは、当時ゼロでございまして、たしか四十六年から興銀との取引が始まったわけです。  先ほどちょっとビジネスパートナーという表現がございましたけれども、私どもは必ずしもそういうことではなくて、むしろ水島氏はそごう再建に成功されまして、それから多店舗展開を始められたわけでございます。あの方は博士号を持っていたんではないかと思います、たしか法学博士。非常に法曹界でも有名な方でいらっしゃいますので。そこで千葉そごうを実質的な持ち株会社というような形にしまして、株式会社そごうというのは別にあるんですけれども、これは東京と大阪と神戸の三店だけでございまして、千葉そごうを中心としてあとほとんどの店を展開されたわけでございます。それで分社経営をやってきたわけです。そういうような非常に複雑な資本関係で、完全に株式会社そごう以外の店は水島氏の株の支配下にあったわけでございます。  ちょうど八〇年代の後半はバブルの時期でございまして、非常に景気もよかったし、地価も上がっておりましたし、その多店舗展開が一時的には成功しまして百貨店業界のトップの売上高になったというようなことであったわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましても、株式会社そごうというのは当然上場しておりますから実態はわかりますけれども、それ以外の店につきましては、取引をしている店はある程度非上場であっても資料はありますけれども、取引をしていない店も三分の二ございますのでそれは入らない。それで、一体的にこれを把握する必要は絶対にあるといろいろ努力はしたわけでございます。  そごうの一番の特色というのは、今申しましたように水島氏がオーナーであるということと、もう一つは求心力が非常に強いということですね。一種のカリスマ性と申しますか、あるいは非常に人情の機微といいますか、そういうことで組合も全部完全に水島氏が掌握をされていたわけでございます。  それで、九三年に業績がおかしくなりまして、先ほど申しましたように九四年から興長銀から副社長を派遣いたしまして、そこで初めて私どもある程度グループ全般の数字をつかむことができるようになったわけです。それと同時に、相当、先ほどビジネスパートナーという言葉が必ずしも適当ではないと申しましたけれども、それ以後かなり水島氏には厳しいことを申し上げたわけです。  先ほど申しましたように、経営会議に水島会長が出てきたのでは従来と少しも変わらないから、経営会議にはあなたは出ないで経営会議は社長以下で全部やるようにしてほしいというふうに申し上げましたし、それから人事権についても岩村社長に完全に一任するようにしてほしい、あるいはまた海外につきましても興銀から行きました名取副社長に全権をやる。ともかく経営会議中心の経営体制というものをやってほしいということを随分申し上げた。  それから、引き続きいろいろ新店舗の開設、これにもまだ執着をされている面がございましたけれども、そういうことにつきましては私どもとしてはお断りしていたわけでございます。  一例が、立川の例で申しますと、これはJRとかなり話が進んでいたわけでございまして、水島氏はそれに相当執着をされておりましたけれども、ある日、当時のJR東日本の社長が私のところに参りまして、あなたを信じたらいいのか水島会長を信ずればいいのか、どっちだと言うので、それは当然私を信じろということでもってその立川の店はできなかったと。そういうふうなことで非常に厳しいことを言った。  ただ、例えば九五年の一月の神戸大震災、これは神戸というのは一番のもうけ頭なんです。そういうときになりますと、やはりああいう方は、八十歳を超しておりましたけれども、これはちょうどダイエーの中内さんもそれと同じようでございますけれども、物すごくやっぱり中心になってやるものですから、ここでまた、かなり経営会議中心になりかけてきたところに、またぐっとそっちの方に求心力が移ってきたというようなことでございまして、私どもといたしましては、できる限りはそういうことを申しました。  しかし、やはり銀行の限界がございまして、千葉を中心とする非常に複雑な株式関係、これを完全に整理してくださいと言っても、これは本人がイエスと言わなければできないことでございます。ですから、そこのところは結局、私どもとしては、そこまでやった上でなければ完全に新しい体制にならないということではありますけれども、遺憾ながらそれはできなかった。そういう意味では、私ども力不足といえば力不足ではございますけれども、ある意味では銀行の限界であったということを御理解賜りたいと思います。
  276. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 そこで、さらに一つ二つお伺いしたいと思いますが、現在、興銀への水島氏の個人債務保証というのがあるようでございますが、いかほどございますか。担保はあるんでしょうか。その審査はどうされたんでしょうか。
  277. 西村正雄

    参考人西村正雄君) 個人保証の経緯といいますのは、これは錦糸町の出店の関係でございまして、これも、これは銀行が出店は反対をしていたわけでございますけれども、たしか墨田区の開発組合にもう九〇年ごろから加盟をしておりまして、分担金といいますか、それがずっと未納になっていたわけですね。  それで、神戸の地震を契機として、その建設をやめるということを申し入れましたところ、墨田区の方から、都市開発法に基づいて、たしか百二十五億円の分担金を支払え、支払わなければ差し押さえると、こういうことになりまして、その段階で、百何十億差し押さえられれば相当信用にも傷つきます、全くむだになりますから、それならば、うんと建設コストとか運営コストを安くして出店させると。しかし、その場合には水島氏の経営責任を明確にする意味で個人保証をとろうということで、そのときにとったのが個人保証でございます。  それで、たしか額は総額で二百億でございまして、興銀が百十億、長銀が九十億でございますから、その九十億分につきましては現在新生銀行の方から預金保険の方に譲渡されている、こういう状況だと。だから、両社で個人保証を請求する権利を持っているというのが現状でございます。
  278. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 請求をされるんだと思うんですが、そんないわゆるお金がない場合は個人破産まで申し立てをされるんでしょうか。
  279. 西村正雄

    参考人西村正雄君) 水島前会長の私財提供の問題につきましては、もうこれは既に大きな世論になっておりますし、既に会社側からもその私財提供の要請をしております。それから今度民事再生法の適用になりますので、これは当然監督委員のもとこのものが図られる。さらに、預金保険機構要請によりまして、会社の中に第三者の弁護士やら公認会計士で組織されますそういう経営責任調査委員会というのがありまして、そこで責任を追及するということでございます。  それからまた、私ども保証があるわけでございますから、それらを総合的に勘案いたしまして、特に保証の徴求につきましては預金保険機構様とも十分協議をさせていただきながら厳格に対応してまいりたい、このように思っております。
  280. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 厳格ということは、不足があった場合は個人破産を申し立てることも一つの選択肢であると、こういう理解でいいんでしょうか、しつこいようですけれども
  281. 西村正雄

    参考人西村正雄君) どの程度の財産がおありかということはわかりませんけれども……
  282. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 選択肢の一つとして。
  283. 西村正雄

    参考人西村正雄君) はい。その選択肢の一つであると思います。
  284. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それから、私財提供ということで株式の無償譲渡をされましたが、無償譲渡をするというときの、その時点での価値はどの程度あったんでしょうか。今はどういう価値なんでしょうか。
  285. 西村正雄

    参考人西村正雄君) そのときの市場価値といたしましては、ありましたのは株式会社そごうの株でございまして、たしか私の記憶ではそのときの時価と掛け合わせたのが三千万程度だったと思います。  それで、その他の、千葉そごうを中心としてほかの会社の株式につきましては、大体債務超過会社が多いわけでございますから、純資産価値で評価をすればゼロではございますけれども、ただ、これは金額的にはゼロということではありますけれども、冒頭申し上げました、先ほども申し上げましたように、支配している関係会社の株を全部株式会社そごうに譲渡させるということは、完全に水島体制がそこで終わるということでございますから、これは金額以上にはるかに大きな価値があるということでございます。
  286. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 さらに、これは日経ビジネスですかね、四月十七日号に水島廣雄さん御本人の、「そごう会長激白」という、当時まだ会長だったわけですね。  これを読みますと、「私は、そごうを率いた四十年で六千億から八千億円くらい使いました。それが一兆七千億円の有利子負債にまでなったのは、利息が嵩んで倍になったからです。過去の銀行による貸し出し競争の遺物ですね。私が利息をまけろと言ったことがあるか、要らんと言ったのに借りてくれと言われて、銀行はどれだけの利息を取ったのか、一体そごうの借金を多くしたのは誰だ──。」、こういうふうな激白というので、インタビューでしょうかね。これを見ますと、しっかり融資した銀行さんにも利子でもうけさせてあげたではないかと。開き直りは開き直りでしょうかね。要らぬと言ったのに借りてくれと言ったから借りてやったんだと、こういうふうなお話もありますが。  どうなんでしょう、要らないと言うのに実際貸したんでしょうかね。
  287. 西村正雄

    参考人西村正雄君) その以前の問題として、その記事がちょっとやみの中でございまして、実はちょうど債権放棄で各行を回っている最中でございますから、こんな記事が真実とすれば、各行ともとんでもないということになるわけでございます。  そこで、私どもといたしましても、そごうさんに本当にこういうインタビューをやったのかということを確かめたわけでございますけれども、御本人はこれは、やっていないということを、否定されているわけでございまして、そこのところは確かめようがないわけでございます。
  288. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 やっていないのにやったように書くというのもまた……。  そこで、西村頭取に最後のお伺いをしたいんですが、みずほファイナンシャルグループ構想、第一勧銀さん、富士銀行さんと九月末には共同持ち株会社設立と、こういうスケジュールがあるかと思うんですが、このいわゆるそごう問題での影響はないと、こういうふうにお考えでしょうか。
  289. 西村正雄

    参考人西村正雄君) 結論だけ申し上げれば、全くないとお考えいただいて結構でございます。
  290. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それでは、お待たせしました。八城新生銀行会長兼社長さんに何点かお伺いをしたいと思います。  瑕疵担保条項ということが、衆議院においても当参議院においてもいろいろと議論されております。この瑕疵担保条項を消させてください、削除させてくださいと、こういうふうにもし言われたらば、どういう影響が、ハレーションが起こるんでしょうか、八条か何かのいわゆる。
  291. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  午前中の金融再生委員会の森事務局長の御答弁にもありましたように、これは長い時間をかけて交渉した結果、私ども買収側には資産について精査をするいわゆるデューデリジェンスの機会を与えられないと。そこで二次ロス問題が出たわけでありますけれども、その結果として、瑕疵担保条項というものが政府側から提案され、それを我々が受け入れたという形でございます。  したがいまして、午前中も出ましたけれども、いわゆる投資組合というものは、現在ではアメリカにはプライベート・エクイティー・ファンドという名前で、いわゆる上場されている株式の約一割は投資ファンドが持っている未上場の株であります。私どものファンドには欧米の金融機関が入っております。名前は申し上げませんが有力金融機関がほぼ十前後の数で入っておりますが、それぞれの投資家は非常に細かい精査をいたしまして、投資の条件というものを私どもから引き出しております。その条件の上で初めて投資の決定をいたしておりますので、この契約を根本的に変えることは極めて困難である。しかも、この株式売買契約というのは再生委員会の指導監督のもとに預金保険機構と行ったと。政府が相手でありますから、そういう意味ではそれを根本的に変えるということは極めて難しいと思います。
  292. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 国際的にもいろんな係争事案が起こるというようなことなんでしょうね。どうでしょうか。
  293. 八城政基

    参考人八城政基君) 必ずそうなるということではございませんが、日本という非常に先進的な国で行われた契約であるので、大いにそれに信頼を置いて結んだということでございます。
  294. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 それで、もう一つ八城会長兼社長さんにお伺いしたいんですが、そごう山田社長が、民事再生申し立て手続をとる、こういう記者会見をされたときに、こういう民事再生法の適用申請をしたのは、そごう山田社長いわく、その原因は新生銀行のせいなんだと、こういうふうな記事があちらこちら報道されておりましたが、どのようにこれに対して御所見をお持ちでしょうか。
  295. 八城政基

    参考人八城政基君) 山田社長の御発言は新聞で拝見しましたけれども、けさほどの大蔵大臣の御発言にもありましたように、システムとしてはこれは動いたはずのものであると。つまり、解除権の行使によって、そごうに対して持っております私ども債権と同時に引当金を預保に買い取ってもらうということで、システムとしては動いたんだけれども、それがよく理解をされなかった、あるいは国民の方からの非常に強い反発が出てきたということで、自発的に最終的にはそごうさんが民事再生法による法的処理を望まれたというふうに理解しておりますので、私どもは私どもなりにできる限りの努力をし、体力の範囲内でできることはどうかという判断をいたしたわけでございます。
  296. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 時間もあとわずかですから、預金保険機構の方にお伺いしたいと思います。  預金保険機構はパートナーズ社との契約書の瑕疵担保条項、三年以内に二〇%の減価、こういう契約になっておりますが、どうして三年以内で二〇%なんでしょう、その根拠ですね。五年でもいいんじゃないかなと思いますし、二〇パーじゃなくて二五パーでもいいし、一五パーでもいいと思うんですが、この三年、二〇パーという瑕疵担保条項の根拠、これについてお伺いしたいと思います。
  297. 松田昇

    参考人松田昇君) 契約の中身を実際に主導的にやられたのは、特別公的管理銀行でございますので、条文にもございますように金融再生委員会でございました。ですから、私としては、最終的にサインしたのは私でございますけれども、その条件について考えてみますと、私なりに理解しているのは、やっぱり三年というのは交渉の経過でとてもいい数字だろうと思います。それから、二割は、例えばロスシェアをすると大体二割ぐらいが買い取り側の方の損失を負担する部分なので、多分そういうことの兼ね合いもあって二割という数字にしたのではないかなと、私なりにそう理解をいたしております。
  298. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  三年につきましては今松田事長のおっしゃるとおりかと思います、初めから三年ありきじゃなかったんですけれども。一方、先方は承継した資産を何年間持ち続けると表明するかという問題と瑕疵担保が裏腹になっておりました。それで、何年にするかということで、初めから三年ありきじゃなかったんですけれども、結果的にはその三年という線になったということでございます。  二割につきましては、先方からすれば瑕疵担保なんだから少しでも傷があったら返させてほしいということを主張いたしました。当方の方は国民負担を少しでも減らすべく二割で、最初から二割を提案し、最後まで二割で頑張りました。
  299. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 わかりました。交渉事だからそうなったということでしょうね。  そこで、預金保険機構きょうは松田事長がいらっしゃっていますが、預金保険機構の本来的な業務といいましょうか使命といいましょうか、何か私どもは預金者保護であり金融システムの安定というものが本来的なお仕事かなと。預金保険法を見たり預金保険機構定款ですかを見ても大体そういう感じなんですが、今回のような債権放棄の交渉に当たってそごう再建計画なんぞが出てくるわけですね。その再建計画が適か不適かを預金保険機構の方で審査というか調査というんですかしなきゃいけませんね。そういう権限はこの預金保険機構にあるのかなと、こう思うんですが、預金保険法何条なりまた定款のどこにそういうことが出ているんですか。
  300. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生ただいま御指摘のとおりでございまして、預金保険機構は名前のとおり預金保険をもともと預金者保護のために扱うということで昭和四十六年にできた組織でございますけれども、平成八年に住専問題が起きましたときに不良債権の回収をどこにするかということで私どもの子会社に整理回収機構をつくりまして、それで不良債権の回収という仕事が一つ付加的に入りました。  そのほかに資本増強のときの手当てをするとか、それから最近の金融再生法の制定によりまして、金融整理管財人になって破綻した金融機関の整理をしながら売り先を見つけるという仕事をする。それから、特別公的管理銀行ですね、長銀、日債銀のような場合はその株主になる、それから資金の援助をする。それから最後に、こういう債権の引き取りを契約によって引き取る。これはいずれも私ども理解では、金融再生法に書いております長銀の破綻処理にかかわる附帯業務だということになっております。  おっしゃるとおり、私どもの組織は出向者が多うございますので大変でございますけれども、私は法の決められた条件の中で最大限の努力をするということで、幸いと申しますか当組織の中にデパート業界の審査等にすぐれた者がおりましたので、そういう者を中心に法曹資格者それから公認会計士の人たち、そういう人たちを集めながら精いっぱい努力をして審査した、こういうことでございます。  私どものシンボルマークは四つのピースになっておりまして、最初一つ預金者保護だけだったんですけれども、今、預金者保護に不良債権の回収に金融破綻の責任追及、それに今の金融再生業務を足したような、非常に私も複雑な関係でございまして本当に悩みながら一生懸命やっております。
  301. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 じゃ最後に、金融再生委員長にお伺いしたいと思います。  今回のそごう問題は、いわゆるモラルを確立する方が優先すべきだという国民世論の圧倒的な声で結果的に民事再生の道を選んだんだろうと思うんですが、さはさりながら、先ほど松田事長お話にもありますように、今後不良債権というものの処理については全然ゼロじゃないんだろうと思うんです、瑕疵担保条項がございますから。そうなりますと、どのように国民にアカウンタビリティーで説明をしながら納得いただきながら、まずそのルールといいましょうか基準といいましょうか、こういうものがなくては、その時々の再生委員長のさじかげん一つでこれはオーケーとか、かわって今度また次の委員長はだめだとか、こういうことでは行政の継続性はありませんし、またいろいろな関係者の方から見れば、その時々で変わってしまったのでは、一つのルールというものがなければ前へ進めないわけです。  ですから、今後の債権放棄受け入れをするとした場合にどういうルールをつくるべきか、お考えがございますればお聞きして終わりたいと思います。
  302. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 今回の債権放棄の問題につきましてはいろいろと考えた末の苦渋の結論だったわけでございますが、今回の問題につきましては、たびたび申し上げておりますように、金融再生法三条に定められた費用最小化原則、すなわち国民の負担をできるだけ少なくするという原則を一番の基本としながら、実は預金保険機構の方で四つの原則を定めておりますが、それにのっとりながら、かつ私ども金融再生委員会におきましてもこれとほぼ同じような三つの原則を立てておるわけでございます。  それに従って今回は措置をしたわけでございますけれども、なおその後の世論なりあるいは各方面のいろんな御意見も拝聴いたしましたし、昨日は衆議院、きょうは参議院におきましていろいろと御意見を承ったわけでございますが、さらにこれから各方面の意見も徴して、これからあるいは出てくるかもしれない債権放棄問題に対してやはりあるべき基準というものをつくらなければいけないとは思っております。  ただ、基準を明確化できるかどうか、いろんな困難な問題もありまして、またこういう債権放棄というものは何と申しますか安易にこれは絶対にやるべきものではないということも確信しておりますし、ただその中において起こり得るかもしれない問題についてその基準というものをつくるべく、これからも努力をしてまいりたいと思います。
  303. 日笠勝之

    ○日笠勝之君 終わります。
  304. 笠井亮

    ○笠井亮君 日本共産党の笠井亮です。  朝以来議論がありましたけれども、バブル期に異常な出店を繰り広げるような乱脈経営をした一百貨店、そういう意味では公共性もない一私企業に対して税金が使われることに国民の怒りが集中しております。  午前の質疑の中で興銀の西村頭取が、預金保険機構による債権放棄が認められた後で、後で税金で一企業を救うのかという声が高まって中元商戦影響が出た。一般大衆の方で今回のことを説明して本当にわかっていただけるかと。長銀の破綻のときから始まって、瑕疵担保条項の問題まですべての説明をしないと本当のことは非常にわかりにくい話だと。最終的に一般大衆理解するのは難しいというふうに言われました。私は、国民がきちんと理解できていないからあたかもそごうが破綻したと言わんばかりのお話だったと思うので、大変に遺憾に思って伺いました。  私、全く逆だと思うんです。国民がこの事態を知れば知るほど、そして説明を聞けば聞くほど、税金が使われるそごうの乱脈経営と、それから先ほど来いろいろな形で言いわけをされたと思いますが、そのそごうをメーン行として支えてきたあなた方興銀への怒りは国民的にもっと広がるというふうに思います。  そこで、私一点だけ西村頭取に伺っておきたいんですが、つい先ほど午後の質問の中でお答えになりまして、資本注入を御自身の銀行が受けていらっしゃることについて、国に対して利息や配当を与えている、あるいは優先株で含み益を出しているということでいわば得々とお話をされた。あなたは、一面的なことを率直に言って言われたと思うんですけれども、じゃ私中小企業向けの貸し出しは興銀の場合はどうなのかと伺いたいと思うんです。  興銀は、ことし三月末の中小企業向け貸し出し計画、私もいただいておりますけれども、八兆四千三百十億円だったわけですけれども、実績は七兆七千五百七十五億円ということで未達成であります。公的資金で資本注入を受けながら、御自身で立てられた計画も達成されておらない、できていない。  先ほど得々と語られたというふうに私申し上げたんですが、興銀としては、頭取としては、公的資金注入の重みをきちっと感じておられるのかどうか、その一点明確にお答えいただきたいと思います。
  305. 西村正雄

    参考人西村正雄君) お答え申し上げます。  当行といたしましては、公的資金の注入をいただいたことを踏まえまして、中小企業向けの融資の拡充を図ることを経営の最重点に位置づけて最大限に努力してまいりました。  具体的には、昨年の六月に中小企業向け営業を推進する専担部を本部内に設置いたしまして、中小企業のあらゆるニーズをきめ細かくフォローしサポートできる体制を整備いたしました。その結果、昨年度中に約二百社の中小企業のお取引先と新たにお取引を開始しております。  第二には、中小企業向け特別貸出枠の設定でございます。貸し出し条件の厳しい優良な中小企業の資金需要に積極的に対応するため、柔軟に対応する特別枠を設定し、きめ細かくフォローした結果、十二年三月末に約千五百億円の実績を上げることができたわけでございます。  また、第三番目といたしましては、中小企業向け貸し出しを重点営業項目に位置づけまして、全行を挙げて中小企業向け貸し出しに取り組む体制を整備するべく、中小企業向け貸し出し実績を営業部店評価制度の対象とし、貸し出し実績に応じた一定額を部店収益として加算評価する仕組みを導入いたしました。  第四番目といたしましては、ベンチャー企業に対する取り組み強化でございます。平成十一年十二月にベンチャー企業やアーリーステージの企業に対しまして、当該企業の事業成長性を投融資の判断基準とする特別枠を設定し、旺盛な資金需要に対して積極的に取り組んでおります。  また、第五番目といたしましては、中小企業のための新たな資金調達手法の開発でございまして、当行は直接中小企業に対して貸し出すことのみならず、新たな資金調達手法を提供することにも積極的に取り組み、昨年度には東京都が打ち出しました中小企業向け債券市場創設構想に対して直接金融市場から資金調達を行うスキームとしてローン担保証券スキームを提案するなど対応してきております。  当行といたしましては、こうしたさまざまな施策を講じることによりまして、平成十一年度に中小企業向け貸し出しを四百八十億円増加させることができました。しかしながら、大変遺憾ながら、企業の資金需要が弱かったために当初計画に対しましては未達になったわけでございまして、これは大変遺憾に思っております。  この原因でございますけれども、私どもは全体の店舗が本店を含めまして全国で二十四店舗でございます。大体都銀の十分の一以下であります。結局、中小企業向け貸し出しの中身でございますけれども、大企業の関連の中小企業のウエートが四八%ほどを占めているわけでございますが、最近、大企業の資金調達を効率化するために、それぞれの関連会社ではなくて大企業が直接に調達をするようになったため、九九年度では大企業関連の中小企業というものが約三千億ほど純減をいたしたわけでございます。したがいまして、これは多少都銀さんと業態の違っております当行の特色でございますけれども、そういったような非常に厳しい資金需要の中でともかく四百八十億円の純増を達成したということを御理解賜りたいと思います。
  306. 笠井亮

    ○笠井亮君 かなり、五点にわたって言いわけをされたわけですけれども、これみずからお立てになった計画ですよ。当行の特色とか言われましたけれども、興銀としてみずからの特色わかった上で計画立てられて、この健全化計画を出されて達成状況をやったと。ところが、みずから立てた計画に対して中小企業向け貸し出しの達成率が、大手行、一覧表を私持っていますけれども、一番悪いのが興銀ですよ。二六%しか達成していないんですよ。御自身で立てられた計画ですよ。  結局、注入した公的資金が中小企業に回っているのかと。そうではなくて、あなた方の不良債権処理に消えていっている。こう言われても、これについてはそういう問題としてとらえられている問題ですよ、国民からは。あなた方の責任を厳しく問うておきたいと思います。  さて、そこで金融再生委員会委員長に伺っていきたいんですが、政府はこれまで民間企業救済に国としては関与しないということを明言されてきました。そして、歴代の金融再生委員長は一時国有化中は債権放棄はしないんだということを繰り返し言われてきた。その理由は何ですか。
  307. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 最近の経済のもとにおきましては、できるだけ自由経済のもとにおいて行政を進めることはそれは一般的にはそう言えると思いますけれども、国が全く民間に関与しないということはございませんで、必要に応じてそれは関与をしているわけでございます。できるだけ規制緩和を進めて関与を少なくするということについては、ここ数年来政府が一貫して計画のもとに実施をしているところでございます。  なお、前委員長がそのことをおっしゃったかどうか私は存じませんので、お答えをすることができません。
  308. 笠井亮

    ○笠井亮君 だめですよ、こんな基本的な方針ですよ。しかも、私が伺っているのは、企業関係に関与しないとか企業の問題で経済の問題に関与しないと言っているんじゃないんです。民間企業救済に関与しない、これはもう明確に歴代言われていますよ、大蔵大臣の時代を含めて。そして、これは国会での答弁です。例えば柳沢委員長が九九年三月九日参議院財政・金融委員会、こういうことをきちっと言われているわけですよ。この基本方針について聞いていないから言えない、そんな話はだめですよ、これ。なぜなんですか、理由
  309. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  特別公的管理になっておるときに債権放棄要請を受けてそしてそれにこたえるということは、いわば税金を直入する世界になりますので、当再生委員会としては、そういう私的整理の段階においては債権放棄要請には応じないということを決めております。
  310. 笠井亮

    ○笠井亮君 そのぐらいちゃんと引き継いでおいてくださいね。  そうしますと、今私的整理の段階と言われました。一時国有化中ならば債権放棄できないけれども、なぜ今回決定されたように預金保険機構に来たものなら債権放棄できるとしたんですか。これはどうですか。私的整理ですよ。
  311. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  旧長銀は新生銀行として民営化されました。そして、その際に譲渡契約におきまして瑕疵担保条項というものを結びまして、そしてその履行として、結果として預金保険機構に返ってきたわけでございます。そして、預金保険機構からすれば、これは債権の回収という問題から見まして、その回収極大化をするのにどういう道がいいのかということを預金保険機構として判断したわけでございます。
  312. 笠井亮

    ○笠井亮君 引当金の九百九十九億円も公的資金じゃないですか。直接に公的資金で賄われる。税金であることには変わりありません。一時国有化なら税金は使わないけれども、一たん譲渡、売り飛ばして、特約で戻ってきたら今度は私的整理の段階でも使う。こんなおかしな理屈があるんですか。どう説明するんですか。
  313. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 同じことの御説明になるかと思いますけれども、あくまでもう既に民営化した銀行と国との契約の履行によって債権がたまたま預金保険機構に戻ってきた。そして、預金保険機構は、その債権の回収の極大化という観点から債権放棄というのもその一つの手法として考えたということかと思います。
  314. 笠井亮

    ○笠井亮君 では、これまでの原則からしてどうしてそんな契約を結んだのかという問題になりますよ。あなたの最初の説明は、税金を直接使うことになるからと。これはだから、一時国営化のときだってそれは直入になる。しかし、それがたまたまいろんな経過の中で預金保険機構に来たものだ、戻ってきたものだと、そうなった段階では税金だけれどもこれ使っていいというのは理屈にならないじゃないですか。経過があるようなことだけでは説明できないでしょう。  あなた方の言ってきた原則というのは違うんですよ。私、あえて細かく言いたくなかったですけれども、宮澤大蔵大臣も九八年十二月十日の参議院の委員会の中で、私企業間の問題に政府あるいは政治が救済というためにそれ以上関与することについてはよくないと言われているわけですよ。それ以来一貫して政府はそういう立場をとってきた。どうしてそういうことについて、私的契約の中で経過があるから、こういうことだったらいいでしょうなんということが勝手に出てくるんですか。これは国会に対して政府が繰り返し答弁してきた責任ある原則でしょう。それを私的契約の中でねじ曲げてやっていいということがどこにあるんですか、これは。再生委員長、どうですか。
  315. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 金融再生委員会といたしましては、当時の状況の中におきまして、これは旧長銀が金融再生法のもとにおいて特別管理体制に入っておるわけでございますので、そして今、事務局長が申しましたように国と銀行との間の一つ契約でございまして、それには瑕疵担保責任もついておりますので、それをやはり忠実に実行するということがこの手続でございますが、その一環として預金保険機構の方で債権放棄という方針をお出しになったわけでございますので、その経緯に従って措置をしているわけでございます。
  316. 笠井亮

    ○笠井亮君 だめでしょう。だって、国が政府として持ってきた原則があるのに、それが契約があったら今度はそっちが優先しちゃうと。原則から見ればそういうことは認められませんよということをはっきり言うのが再生委員長の仕事じゃないんですか。再生委員会の仕事でしょう。  それはこういう原則をとってきた、私企業に対して救済になるような税金の使い方をするとこれはまずいと。やってこなかったし、今回の経過の中でも、谷垣委員長の時代に、つい四月、日債銀については一時国有化だからこのそごう再建計画の中でやれないんだ、なじまないということを、さっきもありましたけれども、あったと。一貫してそういうことをやってきたわけですよ。  ところが今度は、私的契約の中でそれがある、だからそれをやるのが当然仕事なんだと。これは本末転倒なんじゃないですか。
  317. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) これは既に何度か申しておることでございますけれども金融再生委員会といたしましては、金融再生法三条に掲げている国民負担をできるだけ最小化するという原則がございますので、それを基本にしながら、それだけではございません、いろんな審議の末、結果として、預金保険機構に対して、そごうからの債権放棄要請をもし了承しないならば、そごうというものを法的措置で処理をしなきゃいけないわけでございます。それよりは債権放棄を受諾した方が国民にとって負担を最小化することができる。また、付加的なことといたしまして、数多くの取引先が倒産したりあるいは従業員が失業するといったような社会的困難をも回避することができる、こういうようなさまざまの要素を考慮いたしまして、債権放棄要請を受け入れることもやむを得ないという結論に達したわけでございますので、それが谷垣前委員長判断された苦渋の中における判断でございます。
  318. 笠井亮

    ○笠井亮君 社会的困難とかいろんな問題、あれこれ理由をつけたらこの問題は原則変えていいなんという話じゃないんですよ。しかも、今大臣は三条の話をされました。  しかし、まさに今言ってきたように、一私企業の処理に国民の税金を使わない、これが政府の立場であり原則だったわけです。だから、そごうの処理を私的整理というふうにやるかあるいは法的整理でやるかはそれは変わったとしても、国民と預保の関係というか、この関係で見れば、税金を使うかどうか、国民に負担を押しつけるかどうか、ここが問題になるわけでしょう。費用最小化、国民負担の最小化ということでもし本当に言われるんでしたら、そういう筋の問題については負担はゼロとすべきでしょう、この問題でですよ。再生委員長はその立場こそ貫くと言うべきなのに、なぜ国民に負担を押しつけるのかということなんですよ。
  319. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 法律の三条に定められておりますところの費用の最小化と申しますのは、国民の税金をできるだけ少なくするということでございまして、必ずしもゼロということではございません。できるだけ少なくする。そのためには、先ほど申しましたように、法的な処理をするよりは債権放棄をすることによってよりこれを少なくすることができるという決断に達したわけでございます。
  320. 笠井亮

    ○笠井亮君 三条の趣旨というのはこういう私企業の処理に当たる原則じゃないでしょう、もともと。私たちは再生法に反対しましたよ。しかし、これはいろんなシステムの問題とか預金者保護とか、あなたがた理屈をくっつけて、そしてその問題でどうやって国民の世論との関係でおさめどころをつくるかみたいな形でやったのが最小化の話でしょう。  私がゼロと言ったのは、一私企業に対して救済ということで税金を使う、これについては負担が最小化なんという議論じゃなくてゼロが本来ですよと。それが政府のとってきた立場じゃなかったんですかと。それを一私契約があるからということで、何で国会の答弁も全部ないがしろにして変えるようなことをするんですかと。そういう問題ですよ。
  321. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  再生委員会議論いたしましたことは二つございました。  まず、資本注入行が債権放棄を受けた場合の原則、これは先ほど申しましたように三原則。これは資本注入行につきましては投融資でございまして、何も資本注入行が債権放棄したからといって税金直入の話じゃ全然ございませんで、資本注入行が立派に強固になって我々の投融資した金を返していただければいいわけです。  もう一つ議論になりましたのが、特別公的管理銀行について債権放棄要請があった場合はどうするかという議論でございました。法的整理になった場合は、これは裁判所からの強制カットの要請でございますから、これは受けざるを得ません。私的整理の場合はどうするかということをしましたけれども、私的整理の場合については、これはやはり税金直入だから受けることはできないだろうと。  そして、今先生御指摘の、それでは今回いわば国の私契約の結果として国に戻ってきた債権をどうするかというのも同じではないかとおっしゃられますが、預保あるいは預保の下部機関であるRCCというのは債権回収を一つの大きな目的とした機関でございまして、そのときにはやはり回収の極大化という側面が出てまいります。今回につきましても、もう再建策はつぶれてしまいましたけれども、仮に再建策がうまくいった場合には、追加的な税金を一銭も払わずに回収できるという仕組みでございました。  そういうことを考えまして、かつまた既に北拓の不良債権処理の過程でRCCが受けた債権については債権放棄という形で回収の極大化を図ったという実例もございますし、それ以外にも国が債権放棄をしたという実例はこれまで幾つもございます。  そういうことで、回収という局面で物を考えるのと、特別公的管理という状況の中での債権放棄要請を受けるかどうかという話は、当再生委員会においては別の形で議論しておりました。
  322. 笠井亮

    ○笠井亮君 それが問題なんですよ。資本注入行に対する問題というのも我々は問題だと思ってきた。それはまた指摘してきたし、問題にしてきました。しかし、この問題というのは、もともと九百九十九億円だって公的資金なんですから。そして、それがこういう形の中で使われていくと。  そして、国民の一番の怒りは、最初にも言いましたけれども、一私企業が乱脈経営をやって、銀行がいろんな形でそれを応援してきて、そしてこんな結果になったことに対して何で国民が税金を払ってしりぬぐいしなきゃいけないのかと、ここにあるわけです。それが世論なんですよ、国民の意思なんですから。  それに沿って解決を考える、国民の負担にならないようにこの問題でどうしたらいいかというのを考えるのが再生委員会の仕事でしょう。それを新生銀行との関係、私契約関係、それとの方ばかり見ているから、銀行業界ばかり見ているからこんな話になっちゃうんじゃないですか。  久世委員長銀行の支援をさんざん受けてきて破綻したそごうの勝手放題のやり方、これはもうあっちこっちで今指摘をされております。御存じなのかどうか、本当にその辺の実態をどれだけ御存じでこの問題に対処七月に入って御就任以降されてきているのか。私本当にそのことを問いたいと思うんです。  私たち自身も銀行ほど、当事者じゃないですから、そんなに詳しくわかりません。しかし、いろいろ各店についての、そごうについてのいろんな実態を短期間の間ですけれどもいろいろ調べてみました。  例えば、ことし二月に閉店した茂原そごうというのがあります。ここを見ますと、八年前の進出に当たってさんざん地域経済と当該自治体を食い物にしてきました。  ここにそごうと市当局のやりとりの文書があります。これを見ますと、立ち退きなど多くの商店が犠牲になった上に、市当局はそごうの依頼で約十億円もかけて駐車場を建設する、固定資産税を五年間にわたって減免する措置をとってきました。さらに、今度は経営が困難になると、平成十年四月十三日付で市長に四項目の支援要請書を出している。税金の減免延長や駐車料金減額のほかに、物資購入・発注、つまり市役所にそごうで買い物しろということとか、市内の案内掲示板を設置しろということを次々要求する、一私企業がですよ。  再生委員会は、委員長はこういう実態を御存じですか。全国至るところにあるんです。知っていらっしゃいますか。
  323. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 私も就任以来そごうにつきましてはいろいろと実態を知るべく、新聞や雑誌が多いと思いますけれども、それなりに努めてまいりました。  今委員が御指摘になりましたのはその一部かもしれませんけれども、今おっしゃったのを聞いておりまして、やはり地方自治体としては、ちょうど昭和二十年代、三十年代においてはできるだけ工場が来てもらいたいということで税金を減免したり、そういうような措置をとって誘致をしたことも実態でございましょうし、それからある時期におきましては流通業の大型の流通拠点、これはデパートもその一つだろうと思いますが、それなりの措置をとっているのはそれぞれの地方自治体の考えだと思いますし、それはやはり住民のことを考えての措置だろうと思っております。
  324. 笠井亮

    ○笠井亮君 そんな一方的な話をされない方がいいですよ。今、本当に国民は、各地のそごうの周りでは商店街の方、国民の方はいろんな怒りを持っているんです。全国的にも怒りが広がっているんですから、余りそういうことを片っ方だけ見て言われない方がいいと思うんです。  さらに言いますと、茂原の場合、進出するときにはいわば乗り込んでやるという形でかなり威張って、いろいろ支援しろとあれこれ地元や市長に要求を言った。今度はいよいよ行き詰まりますと、一方的に撤退を通知してきて、またその段階で、撤退するときにあれこれ要求してくる。  昨年十一月五日付の市長への要望書を見ますと、五階、六階のフロアについては十八億円ですか、たしかどこかほかに書いてありましたが、市が買い取ってほしい、固定資産税を二五%減免からさらに半額に減免してほしい、併設駐車場を売却するので公共駐車場を値下げせよと。とことん理不尽な要求ですよ。誘致とか地元のためじゃなくて、撤退するんだけれども減免しろと。  今、委員長言われたけれども、その話ともっと違うんですよ。そこまでやって、地元の商店街の会長さんは、余りに一方的だ、大型店といえども社会的責任をとるべきだと。進出のときにも多くの商店が犠牲になって、今度は自分たちだけの都合で撤退する、そしてそのときまた要求してくると。これでは企業としてのモラルがないじゃないか。これが怒りです。  茂原だけじゃありません。全国各地でもう至るところでそういうことをやられている。九州の黒崎でも地元商店街の相当部分がやめちゃいました。たしか地元の売り上げの三二%がそごうになったという状況をつくって破綻をするということで、それでどんどん出店も広げながら結局は破綻したわけでしょう。  こんな勝手放題やって破綻したそごう処理のために、何で国民が、あれこれ仕組みが難しいとか説明が足りないとか言われるけれども、税金を出すということになるのかと。そしてそれを救済。  今度は、民事再生法でいえば再生計画の中で債務免除に応じるという形で税金が使われる。一体ここのどこに道理があるのか。委員長、こういう問題だと思うんですよ。いかがですか。
  325. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 先ほど来申しておりますように、私どもは国民の皆さん方の声を公平に、そして広く承りたいと思います。国民の声というのは、その一部をある目的に沿って集めたら一つのそういうことが出るかもしれませんが、私どもはできるだけ客観的にそして広く公平に国民の声を聞きたいと思っております。
  326. 笠井亮

    ○笠井亮君 今のはちょっと重大な発言ですよ。  私が今紹介した問題、今の声、地元の実態、それからもうそごうのあの問題以来テレビ、新聞、投書欄を見てくださいよ。テレビの世論調査を見てくださいよ。何で私の言ったことが公平じゃなくて一部の意図的にある目的に沿って言ったような発言だと、国民の声だと。根本的にあなたは国民の皆の怒りがわかっていないですよ。今の発言は撤回してください。国民は怒っている、それは間違いないでしょう。公平じゃないと私が言ったことが、広い声じゃないとおっしゃったんですよ。取り消してください。
  327. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 私も、この就任以来でございますが、そのもちろん前からも一般の国民としては新聞そごうのそこを読んでおりますが、特に就任をいたしましてからは金融再生委員会におきましても毎日膨大にわたる新聞記事を私に送ってくれます。そういうものを客観的に私は見ているつもりでございますが、それはおっしゃるとおり国民の声としてそごうに対して反発を訴えているのは多いわけでございますが、中には、きのうも読みましたけれども、自分はもう子供のころからそごうで買い物をしている、今そごうがこういうあらしの中にいて非常に複雑な気持ちでいるというような投書もありました。いろいろの立場の投書というものをできるだけ広く私は見ていきたいと考えております。
  328. 笠井亮

    ○笠井亮君 委員長先ほどから三条があって最小化だとかいろいろ言われていますけれども、国民から見たら、今の委員長の答弁の対応のされ方、私は、七十兆円を預かるそういう立場、税金を預かる金融担当大臣として、国民から見たら不安でしようがないですよ。国民としては使ってほしくないと思っているけれども委員長としては、いや、そういう声もあるけれどもいろんなことも考えてと。国民もあるけれども、いろんな企業の話もある、銀行の話もあると。それでは、もともと多くの国民が銀行への税金投入の仕組み、反対ですよ。だけれども、それを預かっている委員長がそういう御認識では毎日毎日国民が不安でしようがないと、私はそう思います。  次の問題に行きたいと思うんですけれども新生銀行八城会長・社長がお見えになっているので伺っていきたいんですが、預金保険機構とパートナーズ社の間に結ばれた最終契約書というのがあります。この中に、ずっと議論になっておりますけれども瑕疵担保条項、特約というのが八条でしたかという中であるわけですけれども、その対象となり得る債権、これは一応考えの整理なんですが、新生銀行が譲渡を受けたすべてだというふうに言って間違いないのかどうか。その点いかがでしょうか。
  329. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  対象は全部の債権でございます。二つに分かれておりまして、正常債権と要注意債権、それ以下のものというふうに二つのグループに分かれています。
  330. 笠井亮

    ○笠井亮君 別に個別案件ということじゃないんですが、そうしますと、すべてというと全体何件ぐらいで総額はどれぐらいのものになるんですか。
  331. 八城政基

    参考人八城政基君) 現在、総資産が十兆円でございますが、そのうちの約八兆弱が貸出債権であります。それが正常債権、要注意、要管理等々に分かれているわけでございます。したがって、正常債権であれば、今お話がありました瑕疵担保条項に、それに適用されることはまずないと考えていいかと思います。
  332. 笠井亮

    ○笠井亮君 件数はどれぐらい。
  333. 八城政基

    参考人八城政基君) 件数は覚えておりませんが、お客様の数が大体四千五百社でございます。
  334. 笠井亮

    ○笠井亮君 そうしますと、今そごうが問題になっているわけですけれども、それ以外の融資先の債権について、正常先の話を今されましたが、そういう債権についても三年以内に瑕疵ということで二割以上の減価ということが出た場合には譲渡解除権を行使するということがあり得るのかどうか。
  335. 八城政基

    参考人八城政基君) 簡単なお答えはあり得るということでございますが、しかしながら、例えば債権放棄を求められたという場合に、その債権放棄を求めているお客様の持っている再建策が十分再建できるであろうということになれば債権放棄に応じることもあります。  それから同時に、もう一つは、私ども体力から見てそれができるかどうかということになりますと、条項に書いてありますように、債権放棄に応じた場合には解除権は消滅いたします。
  336. 笠井亮

    ○笠井亮君 そうしますと、一般論として伺った場合に、そごうだけが特別の特例ということではないと。新生銀行債権放棄を求められるようになった場合に、その相手先について判断をされると、可能性についてですね、これは一貫して言われていることですけれども。そういう結果として、特約を使って預保に戻す、解除権を行使するということがあるということですよね、それは。
  337. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  そういうことはあり得るんですが、条件は厳しく、例えば第一は、瑕疵が発生したということを満たす条件契約の中には書いてあります。第二は、価値が減価をしたということについての計算の方法。それからさらに、監査法人による検証というものが要求されております。
  338. 笠井亮

    ○笠井亮君 厳格にという話がありましたけれども、いずれにしても、そういう形でいうと、そごうの場合も厳格にやられたんでしょうから、結果としてそういう判断としてなるということが出てくる。  久世委員長、そうしますと、特約があるということになりますと、これは第二、第三のそごうが起こり得るということになりますよね、それは。結局そういう場合については、言われたら預保で引き受けると、こういう形になりますか。
  339. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 先ほどから何度か申し上げておりますように、今回の債権放棄というようなことは、これは非常に慎重に取り扱わなければいけないわけでございまして、これは安易には決して受けられないことだと私は思っております。  したがいまして、もし今後において類似のようなケースが出ましたときには、十分慎重にこれは考えなければいけない、慎重の上にも慎重を期して考えなければいけない問題だと思っております。  しかし、先ほど日笠委員も御指摘になりましたように、何かしたがって基準づくりをやらないかということにつきましても私ども検討しているわけでございまして、これも各方面の意見を公平に承った上で、難しい問題かもしれませんけれども、取り組んでまいりたいと思っております。
  340. 笠井亮

    ○笠井亮君 委員長、ずっと一貫してあの判断は正しかったと、そして今後については慎重の上にも慎重にという御答弁をされているんですが、それならそごうについては慎重でなかったのか、安易ではなかったかという問題がどうしても出てきます、これは。だから、今後は慎重に慎重にと言われているのは、結局やらないとは一言も言われていない、何も言っていないのに等しいと言ってしまうとちょっと過言かもしれませんが、そういうことですよ。  瑕疵担保条項の対象が新生銀行の場合に、先ほど全体十兆ぐらいあるうちの八兆と、そのぐらいのオーダーの話をされました。ということですから、最大限、これはもう理屈の上での話ですが、それらをこの特約があるということで一つ一つ新生銀行も慎重に判断されるというふうにおっしゃいましたけれども、結果として、体力関係でそれらについてはいずれもやっぱり無理だ、特約でやってもらうしかないというようになりますと、それだけのオーダーの話が今度はこちらの方に来るということになりますよね、理屈の上では。要するに、それが国民の負担で処理されることになっていいのか、理屈の世界はこういうことになると思うんですよ。こういうことになるのも、私、本来民民でやるべきところを再生法という法律をつくって一時国有化、税金投入の仕組みをつくったというところに大きな問題があったというふうに思います。  旧長銀に三兆七千億円も税金をつぎ込んで不良債権の穴埋めなどをするということで身ぎれいにいわばしてあげて、その上に本来国民に返ってくるべき二千五百億円の含み益なる株式をつけて、さらに二千四百億円という資本注入で持参金までつけてあげる。それだけ至れり尽くせりの手当てをした上に、このロスの債権についても買い戻しをさせるという形で、いわば公的資金投入の百貨店というのが今回のケースに端的にあらわれていると思うんです。  破綻銀行を一時国有化して、一日も早く譲渡先を見つけて買ってもらわなきゃならないから、相手がさまざま条件をつけてきたら最大限条件をのむようになる。破綻しそうな債権があるから特約をと言われれば、そうせざるを得ないわけです。デリバティブの損失も埋めろと言われれば、盛り込まざるを得なくなってしまう。まさに相手側の要望といいますか要求といいますか、それをのんで、そして結果的にはわずか十億円で譲渡すると、こんなことになってしまうんだと思うんです。  去る六月三十日に契約書を結んで、同じように瑕疵担保条項もつけた日債銀についても、同じようなことが言えると思います。三兆二千億円も使って不良債権を穴埋めして、二千六百億円の資本注入を行うことになっている、その上ロス債権も買い戻させると。  再生委員会は国民負担の最小化などとおっしゃいますけれども、こうした特約がある限り、旧長銀や日債銀の民間企業銀行の不始末のツケが結果的にはどんどん国に回ってくる、国民に回ってくる。私はこれはとんでもない契約だと思うんですけれども、再生委員長、いかがですか。
  341. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 今委員がるるお述べになりましたことにつきましては、私は全く反対でございます。私の考えとは全く相入れない結果でございます。  また、先ほど御指摘になりました、今のそごうについての決定というものが慎重でなかったのかと、決してそんなことはございません。たびたび私が申し上げておりますように、谷垣前委員長はこの問題についていろんな角度から検討をされて、特に再生法三条に定める費用最小化という、国民の税金をできるだけ少なくする、そして先ほど局長が詳しく答弁をいたしましたように、もしあのまま計画予定どおりいっていたならば国民の負担というものをこれ以上ふやさないで結果を出すことができたわけでございますので、それは私がたびたび申しておりますように、この決定につきましても極めて慎重な過程をとってかつ苦渋の決断をしたのがこれでございます。
  342. 笠井亮

    ○笠井亮君 委員長自身が今後は慎重の上にも慎重にと、安易にやっちゃいけないと言われるから、それは逆に言えばそういうことでしょうという話をしたんですよ。今後はこれ以上ふえない保証はどこにあるんですか。国民の負担がこれ以上ふえないと言われましたけれども、そんな保証はないでしょう。そういう問題なんですよ、これは。
  343. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) あのままいっていたらと申し上げました。
  344. 笠井亮

    ○笠井亮君 今、国民の声にこたえる道というのは、私やはり、いろんな状況があるが、当たり前のルール、自分がつくった借金は自分で返す、自分がつくった焦げつきは自分で処理するというルールに戻す、それ以上そういうことについて責任のない国民にかけるなという問題だと思うんです。私は、いかに国民の税金を使わないようにするか、道があると思います。政府も、前国会でもさんざんこの場でも議論しましたけれども、いわばあの時代の金融危機というのは去ったということで言われている。そう言うんだったらば、あの非常事態にやったことを見直すべきときがやっぱり来ていると思うんです。  その点でまず伺いたいんですが、今回問題の長銀処理に使われている金融再生勘定というのがありますが、これは全体として今借入残高は幾らになっていますか。
  345. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  本年六月三十日現在で金融再生勘定の借入金残高は四兆三千二百四十三億でございます。
  346. 笠井亮

    ○笠井亮君 この勘定の借り手はだれになるわけですか。
  347. 松田昇

    参考人松田昇君) 預金保険機構でございます。
  348. 笠井亮

    ○笠井亮君 保証をつけているのはだれになりますか。
  349. 松田昇

    参考人松田昇君) 保証は国でございます。
  350. 笠井亮

    ○笠井亮君 幾らつけていますか、今。
  351. 松田昇

    参考人松田昇君) これは枠でございまして、それぞれ勘定によって違っております。
  352. 笠井亮

    ○笠井亮君 再生勘定。
  353. 松田昇

    参考人松田昇君) 再生勘定の枠は十八兆円でございます。
  354. 笠井亮

    ○笠井亮君 そういう関係だと思うんです。借り手はあくまで預金保険機構で、借りたものは返すのが借り手としての当然の責任と。将来この金融再生勘定を閉じる際、余っていれば国庫に返すことになる。しかし、欠損が出たときどうやって穴埋めをするか。これはちょうどあの金融国会でこの場でも私質問して、十月六日だったと思うんですが、その問題を提案者と議論したことがあるんですけれども、欠損が出たときにどうやってこれを穴埋めすることになりますか。
  355. 松田昇

    参考人松田昇君) まだ詳細は決まっておりません。
  356. 笠井亮

    ○笠井亮君 つまり、決まっていないというのは、借り手である預保が責任持って銀行業界の金で返すのか、あるいは政府保証を履行して税金を使うかどうかがその時点で改めて問題になるということだと思うんです。  まだ決まっていないなら、本来預金保険機構の費用は銀行業界で負担する、これが原則ですから、少なくとも最終的には銀行業界の負担で清算をすると。税金は使わない原則を私ははっきりさせるべきだと思うんです。  こちらの方の質問は金融庁になりますか。大手十六行のことし三月期決算業務純益というのは全体として幾らになりますか。
  357. 高木祥吉

    政府参考人高木祥吉君) お答え申し上げます。  ことしの四月一日に中央と三井が合併しておりますので、十二年三月期は大手十七行になりますが、その十七行の業務純益、これは一般貸倒引当金繰り入れ後でございますが、これは合計で約二兆九千八百億円でございます。
  358. 笠井亮

    ○笠井亮君 ゼロ金利の問題もあって、銀行もさまざま利益を上げるということができて空前の利益になっていると。そうすると、状況は二年前ともう違ってきているというふうに政府の側も思っていらっしゃると思うんですが、体力もつけて、そして引き当ても積んできていると。  現在の預金保険機構で預金保険料の収入というのは年間五千億ぐらいだと思ったんですが、九〇年代初めのアメリカの預金保険料率と比べて、これも何回も議論がありました、三分の一のままであります。私はこういう問題についても、将来こうやって閉じていくときどうするかと。国民負担の最小化ということをしきりに言われるわけですけれども、こういう問題についても結局預金保険料の引き上げということも考えながら時間をかけて、何も一気に何倍にとか何十倍にという話じゃないです、十分に返済できる。そうすれば税金による不始末の穴埋めをなくすことができる、今後やらないだけじゃなくて。こういうことになると思うんですけれども、いかがですか。
  359. 松田昇

    参考人松田昇君) 先ほど御説明申し上げましたけれども、若干説明不足でございます、もう一度詳しく申し上げますが、金融再生勘定というのは保険料が入らない仕組みの勘定で……
  360. 笠井亮

    ○笠井亮君 知っていますよ。
  361. 松田昇

    参考人松田昇君) 御存じのとおり、そのとおりでございます。  じゃ、約四兆三千億あるうちで何があるかというと、これは全部赤字になっているわけじゃございません。長銀から買った株式もございますし、それからこれまで資本注入をした優先株もございます。したがいまして、もしそれらがうまく戻ってきて、場合によっては上場した後にうまく売れた場合にはキャピタルゲインも入りますから、かえって最終的にはプラスになって国庫に戻るという可能性を秘めた勘定でございます。
  362. 笠井亮

    ○笠井亮君 いや、戻ってくるかもしれないという話はあるんでしょう。それはもうさんざんやっているんですよ。ただ、もう既に損失になった長銀の三千四百八十七億とか、それからそれ以外にもあるんじゃないですか、長銀、日債銀の優先株、これはもうゼロになっているから千九百十億とか、こういうやつについてはどうやったってもうだめなんですよね。そういうお金もあるわけです。  ですから、全体として佐々波委員会以来の話がある。もうかったらその分プラスになるかもしれない。これもさんざん議論しました。しかし、マイナスになったときどうするかというのは当然これは出てくるわけです、閉じる時点で。じゃ、マイナスになるまではいつまでも閉じないというやり方もありますよ。しかし、そこのところは当然そういう判断ができるではないかと。  そうすると、それをずっと先まで引き延ばして税金投入という状態をつくっておくんじゃなくて、金融再生勘定について言えば、保険料が入っていないのを私知っていますけれども、それをじゃ一般勘定に移すという、そういう形で後で最終的に保険料で賄っていくとか、それはそれで工夫の仕方、探求の仕方があるではないか、そういうことも考えないんですかと。つまり、これだけいろんな問題が起こってきている中で、国民に対してはかぶってくれと、最小化だからとにかくこれで我慢してくれという話でしょう、先ほどから委員長が言われているのは。  銀行に対してはどうしているのかと。西村頭取も責任については昨日来もいろいろ言われていますけれども、しかし責任はないとは言われないんですよ、それは。いろんな意味であるとは言われる。そうなったとき、全体としてそういう結果が起こった問題について、国民には税金という話になるけれども、しかし銀行にはこれ以上は求めませんというままではだめなんじゃないですかと。そういうことだって今後考えていく、今考えていく。今後だけじゃなくて、あわせて今どうするかということについてやれば、これだって、国民との関係だってなるほどとなる。もう入れちゃったと。こんなことはあってはならない、政府の責任重大だと、こう追及しますよ。しかし、もう入れちゃったものについてどうするかと。返ってくるということだってできる、努力しないんですかという話を私はしているんです。  再生委員長、どうですか。これはもう最後ですから、私。
  363. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) それでは、松田参考人、それから久世委員長
  364. 松田昇

    参考人松田昇君) 先生、今の御議論でございますけれども、まずこのたびの我々の最初考えておりました私的整理案では、税金を使うというのはもともとの引当金の対象になった最初の部分でございまして、あれはもう使ってしまったんですね。あれは特例業務勘定から出ていまして、あれは本当に穴埋めで使ったんですよ。
  365. 笠井亮

    ○笠井亮君 でも、税金なんですよ。
  366. 松田昇

    参考人松田昇君) いや、税金ではありますけれども、もう使っちゃったんですよ。今目の前にあるのは、戻ってきた二千億の債権ではあるけれども価値が一千億しかない債権をどうやって回収して、国民に負担をかけないかという観点なんです。  それで我々は、一番かからないのは私的整理で、興銀にも頑張ってもらい、我々も頑張って、かえって三十億ぐらい国に返したいなと、国民のために返したいなと思ってあの案をつくったわけです。  ですから、九百七十億を債権の放棄をしても直ちにロスは出ないんです。それは税金を使うことじゃ全くありません。そこのところがまず一つ違うように私は認識をいたしております。
  367. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 私どもは金融再生法の趣旨を十分に尊重してこれからまいりたいと思っております。
  368. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 時間が参りました。
  369. 笠井亮

    ○笠井亮君 要するに、どうするかという話があなた方からないんですよ。使っちゃったと、これはもう仕方がないんだという話でしょう。しかも、今後の部分だってこれが本当に最小になるなんて何もどういう保証もない。  一企業に対して国が救済のために使っちゃいけないという原則をつくってきたのが国なんですよ、その政策でやってきたんだから。預金保険機構理事長がそんな言い方をしたらだめですよ、本当に。国民は納得しませんよ、これは。私は、本当にモラルハザードの根を絶つという点では、今のような形できちっと問題を政治が責任を持って解決する、これこそ必要だということを申し上げて、質問を終わります。
  370. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。  今回のそごう問題は、新生銀行預金保険機構との間に交わされております契約の中に瑕疵担保特約条項というものがありまして、その発動によって解除されたそごう債権預金保険機構に戻り、その預金保険機構がそれを債権放棄したということが発端であります。  今までの議論を聞いておりますと、この瑕疵担保条項それ自体が果たして適正なものであるのかどうか、法的に有効であるかどうかということは余り検証されておりません。  今までその導入の経過を見てみますと、買い手側から申し入れたわけではない、これは法律家も交えて再生委員会検討して提案をしたと。しかし、本来、破綻銀行の譲渡の問題で起きる第二次ロス対策の問題と民法による瑕疵担保の法的な性質というものは、政策目的が私は全く違うものではないかと思います。  民法に言う瑕疵担保というのは、隠れた瑕疵について無過失責任を問うというものであります。瑕疵の存在が初めから明らかであったり、あるいは容易に知り得る場合にも適用されるのかどうか。この瑕疵担保条項というのはどのように解釈されるのかということが私は重大であろうと思います。  したがって、導入の経過についてお尋ねをいたします。まず、再生委員会の森事務局長にお尋ねいたしますが、こうした政策目的の全く違う問題に瑕疵担保のフレームを持ち込んできた論議についてお尋ねいたします。
  371. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  法律の専門家であられる先生に足がすくむ思いでございますけれども、経緯を申し上げれば、やはり受け皿候補そんなに多くない先で、その受け皿候補との交渉の中で先方が一番固執しましたのは二次ロスをどうやって担保してくれるのかという問題でございました。    〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕  二次ロスには売り手責任、買い手責任、あるいは不可抗力、いろんな二次ロスがあると思いますけれども、そんな中でこれをどう解決するのかということを再生委員会自体で論議し、もちろん先生御承知のとおり再生委員会の中には法律の専門家も交じっておりまして、議論いたしました結果、やはり先方のリスクというのは、もちろん千二百十億円投資するということ、それから七千も取引先がございました、それについて先方にデューデリの機会を与えないということ、そしてもう一つは当再生委員会が適資産としたものを一括引き受けてもらうこと、これが向こうのリスクでございました。  そういう中で、買い手と売り手の立場を公平にするという観点からどういうことが考えられるかという中で、やはりこれは銀行の譲渡といっても銀行の資産の中の一番の根源は貸出資産でございますので、貸出資産を譲渡するというみなし規定を置いた上で、置いた上で基本的には民法の瑕疵担保責任条項一般的には適用になるわけでございまして、もちろんこれはそのものではございません、その民法の趣旨を逸脱しない範囲でどこまでやれるのかということを検討した結果、こういうものになったわけでございます。
  372. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 私が言いたいのは、民法による瑕疵担保というものの枠をはるかに超えてこの条項がつくられた結果、このような社会問題が起きたんだと思うわけです。  まず第一に、三年と二〇%という一つの要件というものがありますが、初めから回収がとまるのではないかという非常に明らかな瑕疵、あるいは容易に知り得る場合に適用するということになれば、これはもう瑕疵担保の精神を超えるわけでありますし、株式の売買契約書を見ますと瑕疵の推定という条項がずっと並んでいるわけですよ。  この瑕疵の推定というのはまるで拡大の一途、こんなに拡大して、推定というのは立証責任を転嫁するわけですから、もうあらゆるものがその中にほうり込まれていて、本当に債権の回収の努力とかあるいは意欲というものを新生銀行に起こさないというようなほどに瑕疵の推定が行われてた。  それから、二〇%で解除権行使しながら買い取るのは簿価主義。これは一体どういう不公平なのかということであります。  第二次ロスの問題であれば、グローバルスタンダードというものを参考にして、やはりロスとプロフィットのシェアリングという基本的な国際ルールを契約の中に入れるべきであるにもかかわらず、これではまるであらゆる負担金、持参金をつけて銀行に渡したもので、さらに国民に対して極度額がない連帯保証をさせているような条項として機能するんだと。  大蔵大臣は、精緻なシステムなのに熱を帯びたというふうに衆議院委員会で言われましたけれども、熱を帯びるのは私は当たり前、これは限度を超えた瑕疵担保条項の規定だというふうに思うわけですが、久世再生委員長はいかがお考えでしょうか。
  373. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 先ほど森事務局長答えたのが趣旨でございますけれども、私どもは、民法そのものの瑕疵担保条項からきているわけじゃございませんで、やはり民法で定められている瑕疵担保条項のいわば法理とも言うべき、およそ私法に通用する瑕疵担保条項というものを私どもの場合に適用したわけでございまして、契約条項には瑕疵の推定いろいろ書いてございますけれども、私どもは、決してこれは拡大解釈ではなくて、今回の場合に一番適応する瑕疵担保条項だと思っております。  先生御指摘になりましたように、あくまでもグローバルスタンダードとも言えるこの二次ロスをどうやって処理するのか、ロスシェアリングの一つの方式としてこれを採用したわけでございます。
  374. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは新生銀行の方にお尋ねしますが、この瑕疵担保条項について買い手の方からの何か意見を言われましたか。そして、瑕疵担保条項がなければ銀行は買われなかったということが言えますか。それから、新生銀行そごう経営問題を、これを引き受けるときにどこまで知っておられましたか。お尋ねいたします。
  375. 八城政基

    参考人八城政基君) 瑕疵担保条項再生委員会から提案がございまして、私どもはそれを受ける立場にございました。その前の段階でいろいろ我々自身では考えておりましたが、例えばロスシェアリングという問題についても、現在の法律の枠内ではできないということは聞かされておりました。したがって、これ以外の方法はないということで、私どもが非常に懸念を持っておりました二次ロスについて提案されたものでございますから、それを受けて検討したということでございます。  もしも二次ロスについて何らかの規定がなければ、私どものみならず旧長銀の買収について関心を示したところは買わないというふうに当時は聞かされておりました。ですから、私どもも同様に恐らく契約を結ぶことはなかったろうと思います。  それから、そごうの問題でございますけれどもそごうの問題については先ほど午前中にもありましたが、九九年二月の自己査定のときにはたしか要注意のAということに入っておりましたが、私どもが買収するときには破綻懸念というふうな分類になっておりましたので、破綻懸念であれば当時得ていた情報ではまず恐らくこれは問題はないだろうという判断を事後的にしたわけでございます。これは私ども自身がやったわけではありませんで、政府、旧長銀が行った自己査定の結果でございます。
  376. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 それでは再生委員会事務局長にお尋ねしますが、これ以外に方法はないと相手に言ったというのは、これはやはり法律上、金融再生法にはないけれども、私的な契約では国と買い手との間では当然そんなことは正当な妥当な国際基準に従ったシェアリングの規定を置くということができたのに、この瑕疵担保をどうぞどうぞと言ってまるで国民の税金負担を恒常化するような形で提案したというのは、これは国民に対する背信行為ではないかというふうに思うわけです。  法律というのは、法律もそうですし契約もそうですけれども、私たちが心しなければならないのは、常にてんびんに乗せたときに公正であるということ、そして正邪を切る剣を手に持っていなければならないということ、したがって権利乱用とかそういったものは許さないということであります。これはギリシャ神話にありますテミスという法律の女神がそういう形をしているわけでありまして、私たちはいつも心して契約書をつくり、それから法律をつくるときにはそういう精神を酌むわけでありますけれども、余りにも枠を超えた国民負担というものをこのスキームでつくってしまったということについての政治的な責任というものについてお尋ねをしたいと思いますが、再生委員長、いかがでしょうか。
  377. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) 大臣の前にお答えさせていただきます。  もちろん、契約自由でございますから、契約自由の原則というのが一方にございますので、いろいろな方法は考えてみました。その中で、例えばロスシェアリングはいかがかとか、そういうことも考えてみました。  ロスシェアリングにつきましては、当時の柳沢元委員長が国会で答弁されていますように、住専法の際にロスシェアリングはきちっと規定してある、再生法の際にはむしろ何も規定していない。そう考えれば、反対解釈ということで、やはりロスシェアリングができないではないか、こういうような意見委員会の中では強うございました。そんな中で、民法の法理を利用したこの長銀譲渡契約にある瑕疵担保条項というのはやはり民法の趣旨の範囲を超えないということで、委員会の中の法律専門家もそう言い、かつまた預金保険機構の弁護士のリーガルオピニオンもとってございます。  もちろん、ポイントは瑕疵とは何かというところでございまして、今たまたま債権放棄要請瑕疵の推定ということになるわけですけれども、根本は瑕疵とは何かといえば、我々が注目しましたのは、再生法の枠組みの中で資産判定という、つまり善意かつ健全な借り手であるかないかという判定を再生委員会自身、国自身がやっておるということでございます。そして、それは善意かつ健全な借り手であるということに対してやはり我々は売り手としての責任を持つということでございます。我々は、善意かつ健全な借り手であると認定する際には何か必ず理由をつけていますので、譲渡後、その理由が変更した、真実でなくなったときには瑕疵だ、こういうふうにみなす考えをとったわけでございます。
  378. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 日本側のデューデリジェンスという手法も信用されなかったのかなと。余りにも不平等条項で余りにも国際的にひどい条項だと私は思うので、やはりこれはでき得る限り私は撤回すべきだ、白紙に戻すべきだと思うんですが、それができないとするならば、この運用の厳格化というものを図って、契約条項をでき得る限り国民の負担にならないように減縮していくということが必要だと思うわけです。  まず、厳格化ということについてですが、金融再生委員長はきのうからきょうにかけての委員会審議で、債権放棄は原則しないというふうに衆議院で言われながら、今は何かケース・バイ・ケースであるようで基準を新しくつくるというようなことを言っておられるわけですが、私は、債権放棄ということも含めて、このいわゆる予備軍というのがまだいっぱいあるわけですから、この契約に基づいてさまざまなことがこれから起こり得ると思います。  九千億円も引当金が出してあるのですから、一兆六百億というのは当然追い銭として必要ではないかということも言われておりますが、こういう類似案件の対応策に対して、政策として国はそういう負担を債権放棄についてはしないということを言明されるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  379. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 私が昨日衆議院において答えましたのも、そういうような基準というものを検討してはどうかという質疑がございましたのでそれに答えたわけでございますが、私は、一義的には今後の預金保険機構債権放棄につきましては安易に認めるべきでないというのは当然だということも同時に申しているわけでございます。しかし、いろんな事案がこれから考えられていることから、具体的には、債権放棄を一切認めないと現時点で言い切ることはなかなか難しいと思うんです。  したがいまして、安易にこれは認めるべきではない、かつ具体的な問題については慎重な上にも慎重にこれを検討しなければいけないということを申しているわけでございます。
  380. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 そうすると、衆議院と参議院の経過の中で何か軸足が基準づくりに移ってきたような印象を受けたことは間違いで、あくまで安易に債権放棄というのはしないということについて御確約いただけますか。
  381. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 昨日も、私は衆議院におきましても安易に認めるべきではないと言い切っております。しかし、そういう質疑がございましたので、その点については、今後、基準について大変難しいと思うけれども、一応いろんな方の御意見を聞いて対処したいということを申しております。
  382. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 安易に認めないということになると、今回のそごう問題はやはり安易な決定であったというふうに思わざるを得ないわけであります。したがって、私はそれに対する政治的な責任というものは担当者にしっかりととっていただきたいというふうに思うわけです。この点について何か御意見ありますか。
  383. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 今回の問題につきましては、前に申し上げましたように、前委員長の段階におきまして大変慎重に検討した結果、苦渋の決断として下したものでございますが、その後、この案件がそごうが自主的にこれを取り下げたことによりましてなくなったわけでございますので、今はそういう状態でございまして、決して安易にやっているわけではございません。
  384. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 第三条委員会に対する政治的な判断の介入という大きな問題については、多くの人たちから批判がありましたので、私も同意見であります。  しかし、私は、ともかく新生銀行解除権行使についてやはり、ただあれは二日か三日でうんと言って余りにもこの履行について問題を考えていない。これを忠実に実行したという意見がありますけれども、私は新生銀行にも申し上げたいんですが、確かにこれは瑕疵担保条項にありますけれども、事は税金でありまして、債権回収努力あるいは意欲というのはこの条項によって低下するという致命的な欠陥があるし、また預金保険機構債権回収をするというのは本来筋違いだと私は思っているんですね。やはり民間銀行などで、そこでやることがそのインセンティブをかけるということにもなるんだと思うんです。それを全然、この瑕疵担保責任があるために全くそういう基本が崩れてしまった、政策をゆがめてしまったということに対しては、関係者の方たちには十分に私責任を考えていただきたいというふうに思います。  第二に、スキームの改善が果たしてできるかということです。今度、経営責任者の追及ということがマスコミで取り上げられておりますけれども、モラルハザードの問題は重要な論点でありましょう。しかし、これからさまざまな業種や企業債権問題について金融再生法のスキームというものが問題になるわけで、そして今度は預金保険法でロスシェアリングのルールができることになったということになりますと、この日債銀と長期信用銀行の問題というのは特異な事例ということになるわけですから、これは本来の政策の目的に合った形でこのスキームを法的に私は新生銀行やあるいは今度問題になっている日債銀の関係においても正していかなければいけないというふうに思います。    〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕  民間銀行の経済的合理性にかなって、そして民間の努力をそぐということではない、そういう方向でやるとすれば、簿価で買い取りのスキームというのは直ちに見直すべきではないか。やはり現価で評価してそれをロスとプロフィットでシェアをするという新しいきちっとしたルールづくりをやられないと、不良債権のこれからの処理というもの、それからそういう企業の倒産や銀行の破綻というものに対して大変大きな問題があると思います。  この簿価で買い取りのスキームの見直し、大体おかしいですよ。三年で二〇%減価、二〇%減価がロスシェアリングの妥当なものではないかなどと言いながら、契約書がなぜ簿価なんですか。やはりそれはシェアをするという基本的なところに立ち戻って契約を直されるべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。これは新生銀行再生委員会にお尋ねをいたします。それから、預金保険機構の御意見も伺いたいと思います。
  385. 八城政基

    参考人八城政基君) お答えいたします。  長銀の買収につきましては、いろいろな問題が交渉の中で出てまいりまして、時間的にも膨大な時間を使って交渉が行われたわけであります。そして、いわゆる瑕疵担保条項と申しますか、これについても議論が行われまして、全体のスキームとして、投資家グループとしてはこれならば買収ができるということで条件を出したわけでございます。  したがって、ほかにも恐らく長期信用銀行の買収に興味を持ったいろいろな金融機関があったと思いますが、その中で再生委員会がどれが国の立場から見て最も望ましいかということで決まったわけでございまして、この契約は、午前中も申し上げましたが、再生委員会の指導と監督のもとに預金保険機構契約者になっているわけでございますので、この根本的なスキームを変えることは非常に困難だろうというふうに思います。
  386. 森昭治

    政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。  先生、百も御承知かと思いますけれども、我々はあくまで民法の瑕疵担保責任に根っこは置いたわけでございますので、やはり民法五百六十六条の瑕疵担保責任の具体的な手法としては損害賠償かあるいは解約どちらかということでございますので、損害賠償の場合は簿価の基準からそのときの現在価値までどれぐらい減ったかをお金でぶち込むわけでございますけれども、その後もし向こうが回収に成功した場合には利益が向こうに行ってしまう。そういうことも頭に置きながら、むしろ解約して預保の方に持っていってもし回収がうまくいけば利益は国の方に出るということも頭に置きまして、いわば解約すなわち解除権行使という方の仕組みを選んだわけでございまして、瑕疵担保を基軸にする限りやはりスタートになるのは簿価、簿価で解除するということを考えたわけでございます。
  387. 松田昇

    参考人松田昇君) 預金保険機構の立場は定められた法令の中で執行機関として最善を尽くすということでございますけれども、この問題についてやや個人的に申し上げてみますと、とにかくこの瑕疵担保のスキームは、損害賠償ではなくて原価で戻すというスキームになっておりますのは、やはり民法の瑕疵担保の法理を見習ったものでございますので、一番素直な自然な形ではないかなと、そのように思っております。
  388. 大脇雅子

    ○大脇雅子君 時間がありませんが、その原価で戻す、それから利益を得たときにはまた国に返すというのは、まるで砂上の楼閣のような議論であろうと私は思います。  私は、民法の瑕疵担保責任の枠を越えてこのような条項を結ばれた政治的な責任というのは非常に重大だということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  389. 戸田邦司

    戸田邦司君 自由党の戸田でございます。大分時間もたってまいりましたし、私の持ち時間は十分ということですので、二、三の点についてお伺いしておきたいと思います。  まず第一の問題でありますが、もう経緯は申し上げるまでもないことでありまして、今回の問題につきましては、金融再生委員会債権放棄の方針を承認した、これについてあちこちから相当の反論が出てきたというようなことで、亀井政調会長が七月十二日に直接そごう社長に電話をされたと、そういうような経緯になっております。  これまでの議論を聞いておりますと、これは、そごうはあくまでも興銀と相談の上で自主的な判断債権放棄を取り下げたということを皆さんおっしゃっておられますが、しかし私は、少なくとも天下の公党、与党第一党の政調会長が直接民間の会社に電話をして、それで強く要請されたという点については、甚だ問題が大きい、こう考えております。亀井政調会長のことですから、幾ら静かにお話しになられたところで相当の圧力を感じざるを得ないと、こういうことではないかと思います。  問題は、議院内閣制で政府・与党一体となっていろいろ議論しながら政策を進めていく、これは当然のことでありますが、しかし、政治サイドから政府を飛び越えて行政サイドと法の適用についてやりとりをしている民間会社に直接そういうような要請をする、これは私は行政権に対する侵害ではないか、こう考えております。厳しく言えば憲法上の規定にも抵触する、そういうようなことではないかと思っておりまして、その事のよしあしは別にしまして、そういったことが行われたこういうプロセス、これが非常に大事ではないかと思っております。  党が直接民間企業に、そういったことで民間企業判断に介入した、こういうようなことは厳に慎むべきことではないかと思いますが、この点について、宮澤大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  390. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 具体的な事実を私は必ずしも存じませんけれども、けさ申し上げましたように、要するにシステムとしてはよく考えられておってそれがうまく利用されるところであったわけですが、何ゆえかこれは税金による企業の救済である、その企業が、必ずしも国民が十分に理解しておらなかったかもしれませんが、そういうことになってしまったためにシステムとしてはヒートアップして動かなくなってしまった。そこで総理大臣は、システムの中で解決を求めることが動かないものですから難しい、何か考え方がないものかといって自分の党の政調会長検討を指示されたんだと思うんです。そこはよくあることでございます。  それから後でどういうことが起こったか私は存じませんが、どれだけプレッシャーがあっても、そごうとしても日本興業銀行としても、自分に不利なことをプレッシャーがあるからするというようなことは私は考えられないと思います。つまり、国民にそれだけ不信を受ければ業態が業態でございますから売り上げがますます落ちてしまう、そういうシステムに乗るわけにはいかないというのがそごうの声明の趣旨であったし、日本興業銀行も同様なことを言っておられたわけですから。  そういう意味では、どう言おうと、一応そういう世論がこの事態を承知しなかったということであったのであって、政府の行政が政党の力によって曲げられたということでは幸か不幸かなかった。つまり、システムが動かなかったということで、それはやっぱり世論が事態を受け入れなかったということでございますから、そこについての世論に対する理解の説得が成功しなかったということではなかったかと思います。
  391. 戸田邦司

    戸田邦司君 宮澤大臣は昨日からそういう御見解を述べておられますが、私が指摘している点は、政党から直接民間会社にそういう介入があったこと自身が問題である、結果がどうあったということを申し上げてはおりませんが、あったこと自身が問題である、そういうことはあっちゃいけない、こういうことを申し上げております。あっちゃいけないということについては、宮澤大臣も今うなずいておられますので同じ考え方ではないかと思いますが。  この問題をもうちょっと考えてみますと、例えば、例えばといいますか、森首相が亀井政調会長に何とかならないかということを相談された。それは、自分の内閣で金融再生委員会に閣僚もいて決定された事項を何とかならないかと言ったことになるわけでありまして、自分の内閣で決定したことを否定しなければならない、そういう結果になってしまったということではないかと思っております。  ですから、そういう意味では私は、金融再生委員会委員の皆さん、委員長がおられますが、委員の皆さんはこんなことをたびたびやられたらばかばかしくてやっていられないというようなことになりはしないか、そういうような問題でもある、こう思っております。  金融再生委員長がおられますので、そういう点について御所見をお伺いしたいと思います。
  392. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 今回の問題は、あくまでそごうが自主的な判断においてこれを取り下げることにしたわけでございます。  私は推論いたしますのに、これはいろいろ新聞等に書かれていることでございますが、一夜にしてそごうがそういう決定をするわけはございません。民事再生法でいくのか、会社整理法でいくのか、破産法でいくのか、既に十分いろいろ検討していたに違いないわけでございまして、それは、一番最初そごうの記者会見のときに既に日本における破産関係の第一人者と言われる弁護士もそこに並んで記者会見をしているくらいでございます。  ですから、世論のいろんな声やいろんなところの意見会社の内部からの反響、それからそごうデパートの近隣の人々、そういうような意見というものを総合的に見た結果、考えておりました。たまたま与党の政策責任者の一人の発言というものが引き金になったかもしれませんが、それが動かしたとは決して思っておりません。  また、再生委員会は厳正中立のものでございます。もちろんその接点として国務大臣である委員長がおりますけれども、これは議院内閣制の中においてそこが結節点になっておるわけでございますので、その決定によって、そういうことによって再生委員会の独立性というものが動かされることはないと思います。
  393. 戸田邦司

    戸田邦司君 私、これも、そういうことをやられたことが問題だと、こう申し上げているんです。結果に影響を受けたかどうかについての問題じゃないんです。それは、自分の内閣で決めたことを自分で否定するようなことになったから問題だということを申し上げているわけです。  次の問題、もう時間もありませんから一方的にお話だけさせていただきますが、金融再生法につきましては自由党は反対しておりました。これはやはり市場で失敗した者はその市場から退出してもらわなければならないという原則がこの法律の中では不可能であるというようなことで自由党は反対しました。  金融再生法を見ますと三条の原則のところに、破綻金融機関は存続させない、こう書いてあるわけです。それについてきのう衆議院鈴木淑夫委員大蔵大臣に御質問しましたら、二十年ぐらいしたら御高見をお伺いしたいというような答弁をされておりましたが、あれは私は、大蔵大臣鈴木委員指摘はそのとおりだと、こういうふうに受けとめられたんじゃないかと思いますが、この点いかがですか。
  394. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) ちょうど二年あれからたつわけでございますけれども、お尋ねで、これ深入りを私はすべきでないと思いますが、小渕総理も私も、長銀というものは、住友信託銀行との合併の話がございましたので、総理公邸に関係者に来ていただいてその合併の道を探る方がいいのだろうと私どもは考えました。  しかし、いろんないきさつがありまして、それが長銀救済であるというふうに誤解をされて、実は長銀はなくなるわけでございますから、合併ですから、そうでないと申し上げましたけれども、なかなかそういうふうに国会の御議論が展開しなかったという事実がございます、御記憶のように。しかし、だからといって今何か私が申し上げるべきでないと思うので、もう少しそういうことを長い時間がたちましたらお互いに自由に議論できますかなという程度のことを申し上げたわけでございます。
  395. 戸田邦司

    戸田邦司君 時間オーバーして大変申しわけありませんが、これで質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  396. 西川きよし

    西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。  私の方からもそごう問題における経営責任の明確化についてお伺いをいたします。まずは、金融再生委員長にお伺いをしたいと思います。  金融再生委員会では、金融機関の債権放棄に当たりまして、借り手企業経営責任の明確化、これを要件としております。六月三十日の預金保険機構の理事長談話におきましても、再建計画において、旧経営陣の退陣などを初め、その影響力排除と責任の明確化に向けた取り組みが認められると。まず、この点につきまして、経営陣の退陣だけで経営責任が明確化されると言えるのだろうか、この点について私の周囲でも随分不満な声が聞こえるわけですけれども委員長にお伺いしたいと思います。
  397. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) 今、委員指摘になりましたように、そごうの内部におきましても経営責任調査委員会というものを設置されていろいろと経営責任の明確化に向かって取り組んでおられるということは伺っております。  私も、委員長に就任しましてから、新聞会見等のあるたびごとに、やはりこのモラルハザードという観点からも経営責任の明確化をより厳しくやってもらいたい、その中には私財の提供も含む、水島さんなんかの私財の提供も含むそれをやっていただきたいということをたび重ねて申し上げている次第でございまして、きのうも興銀の西村頭取がその点についても触れられておりますけれども、やはりそういう一つの決定をしていただくことが非常に大事なことと考えておる次第でございます。
  398. 西川きよし

    西川きよし君 今御答弁をいただきましたその水島前会長のお話になるんですけれども、実質的なオーナーだったわけですけれども、私財の提供、この要請については前任の谷垣委員長、当委員会でも諸先生方も質問なさっておられましたけれども、その中で、法的な問題では必ずしもないと、こういうふうにおっしゃっておられました。  そして、水島前会長は経営危機が表面化いたしました九四年度以降も毎年三億六千万円から五億円の所得を役員報酬、給与として得ていたわけですけれども、これだけの放漫経営を行ってきた企業の取締役の責任、そしてまたこのような企業に対して漫然として融資を行っていた銀行の責任は、これは僕はやっぱり重大なものであると思います。  そもそも今回のそごう問題のもとをつくりました長銀あるいは旧経営陣に対する刑事上の追及の現状は一体どうなっているのか、その状況をお伺いしたいことと、また私財の提供は要請額の五分の一程度しかということは皆さん方もよく御存じだと思いますけれども、五分の一程度しか満たされていないということですけれども、民事上の責任の追及の状況について再度委員長にお伺いをしたいと思います。
  399. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) そごうが十二日に自主的な判断に基づいて取り下げをしたわけでございますが、それまでも、先ほど申し上げましたように、経営責任委員会をつくるなど内部においても行い、また私も含めて外部からもその点を厳しく追及してまいったわけでございますが、十二日に自主的に取り下げになりますと民事再生法に同手続が移るわけでございまして、民事再生法によりますと今度は、刑事責任それから民事責任、これを法律上の手段としてとり得ることになっております。したがいまして、その中において法的な手段によってこれを追及すべきだろうと思っております。
  400. 西川きよし

    西川きよし君 こうした方々に対する高額な退職金は、企業の役員としての相当の経営責任に対する高額な報酬であると思います。もちろんのことですけれども、それだけに経営責任の追及を会社の内部の調査委員会にゆだねたのでは、長銀、日債銀の例を見ましてもそうですけれども、十分な成果が上がらないのではないかなというところが正直なところであるというふうに思います。  例えば、アメリカの金融破綻の場合でしたらFDICです、アメリカの預金保険機構が中心になりまして、その訴訟によりまして経営責任を追及しておるわけですけれども、今後日本におきましても、金融再生委員会預金保険機構自身が国民の代理人として、きょうもいろいろ保証人の話なんかも出ておりましたけれども、国民の代理人として法的手段によりましてその責任追及をしていただくべきではないかと思います。  これもたくさんの方々、全国の方々からいろいろと私も聞くわけですけれども、そこで再度委員長預金保険機構理事長にもこの御見解を御答弁いただきたいと思います。
  401. 松田昇

    参考人松田昇君) まず、私の理事長談話で申し上げましたのは、経営陣の水島色の排除というのが第一、刷新をするということ。同時に、責任追及に対する取り組みをきちっとするということでございます。  一つは、水島さんはもう退職をされてもちろん退職金はもらっておりません。それは確認をいたしておりますし、持っていた株は全部出してもらったと。これで彼の水島色の払拭といいますか、新しい経営陣の刷新はまずできただろうと。  しかし、それだけではとても足るまいということで、三十日に理事長談話を出した日に、当時の山田社長に直接もっと私財提供をきちっとしてやってもらいたいということを強く申し入れまして、翌々日でしたですか、文書で水島さんのところにその要請文を送っているわけでございます。  さらに、もっと一日か二日たった後に、私の方からまたそれなりにそごうの副社長あてに、これはあなた方だけに任せているととてもだめかもしれない、世間の理解も得られないかもしれない。そうであれば、独立した内部の調査委員会をおつくりになったらどうでしょうかという提案をしまして、それをつくられると、こう言っておられたところです。  ところが、そこで急転しまして、七月十二日に再建計画は取りやめるという御連絡がございました。今度そうすると民事再生法の枠組みの中に入ることになります。  私どもは、先ほどちょっと私どものロゴマークの話をしたんですが、破綻金融機関に対する責任追及は職務としてやっているんですけれども、これは債務者の関係でございますので、これからかかわっていくのは債権者の立場になります。  そうすると、まずもって民事再生法の枠の中では、新しくそごう経営陣になられた方々が内部で旧経営者について損害賠償に値するような事実があるかないかを調査する、そして裁判所に報告書を出す、こういう仕組みになっておりますので、当然ながら新しい経営陣はそのことに全力を尽くすと思います。その結果を債権者とよく見守りながら、例えば先ほど申し上げました調査委員会などを設置していただいて、その活用も図りながらそれを側面から見ていくことにしたいなと、こう思っております。  その問題とはちょっと別に、我々が債権者として持っている権利として、例えば水島さんに対する保証債務の問題があるわけです。それは、実際に条件が成就しているかどうかということで、請求権が発生しているかどうかいろいろ法的に微妙な問題もありますので今後いろいろ検討していかなきゃいけないんですけれども、その問題も含めて適切な処置はとっていきたい、このように思っております。
  402. 久世公堯

    国務大臣(久世公堯君) モラルハザードという言葉が新聞紙上多く出回るようになりましたのは住専国会以来ぐらいだったと記憶をいたしておりますが、非常に新しい一つの倫理でございまして、これは経営責任というものを非常に重んじなければいけないという一つのあらわれだろうと思います。  今、西川委員はアメリカ等の例からして果たして日本においてどれだけ実現できるかという点を御指摘になったわけでございますが、一般的に問題は、そういう背景というのはあると思いますけれども、このモラルハザード絡みの問題というのはここ二、三年の日本の実態を見ておりますと着実に行われつつあるという気がしてならないわけでございます。  今回の問題についても、まずそごうが自主的に判断をしてその問題を追及していくと。それから、今松田事長がおっしゃいましたように、預金保険機構としてもこれに対して万全の体制をしいておると。加えて、今度は民事再生法の法律上の措置がとれるわけでございますので、先ほども申し上げましたように民事、刑事の責任も含めて、そして民事再生法においては旧経営陣の一部が、一部といいますか、残っていい仕組みになっておりますが、山田社長は既に社長を退任してただの取締役で、しかし前の事情をよく知っておるものでございますから今執行体制には加わっておりますが、これまたこの旧経営陣に対していろいろ追及することも法律上も可能でございますので、そういうあらゆる手段を使って、今委員指摘になりましたような線に従って前向きで対応したいと考えております。
  403. 西川きよし

    西川きよし君 ありがとうございました。  ちょうど時間になりまして、もう一問お伺いしたかったんですけれども、じゃ、もうこれで。西村さんにぜひ私は……
  404. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) どうぞ。
  405. 西川きよし

    西川きよし君 よろしいでございましょうか。恐れ入ります。御迷惑をおかけいたします。  現在、そしてまた過去、未来、もう大変皆さん不安に感じておられます。そして、ここでしっかりとお伺いしておきたいということで、先日も公的資金を注入されている住友銀行が取締役四人に計八億円の退職慰労金を支払いまして、そしてまた年間役員報酬の最高額が四千五百万円、平均三千万円という報道でございましたけれども、例えば興銀におかれましては退職慰労金、役員報酬、どのような状況にあるのか、ぜひこれをお伺いして、そしてまた貸し渋りの解消をするために公的資金で支援を受けた銀行のこのような実態について再生委員長にもぜひこの内容をお伺いして終わりたいというふうに思います。  委員長、ありがとうございます。よろしくどうぞ。
  406. 西村正雄

    参考人西村正雄君) 私どもは、九九年の三月に公的資金を導入以来経営健全化計画に基づきまして懸命にリストラをやっておりますけれども、実はそれ以前からリストラをやっておりまして、例えば役員賞与につきましては九六年度から五年間連続ゼロにしております。また役員報酬につきましては、九八年度から大幅にカットしておりまして、現在では会長、頭取は四〇%のカットというようなことにしております。また退職金につきましては、昨年度から四〇%のカットというようなことでございまして、特に役員が率先いたしまして賞与額もゼロということになっており、報酬の方も多目にカットしておるということでございます。
  407. 西川きよし

    西川きよし君 どうもありがとうございます。
  408. 真鍋賢二

    委員長真鍋賢二君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  両参考人には、御多忙中、本委員会に御出席いただき、御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十八分散会