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2000-07-19 第148回国会 衆議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年七月十九日(水曜日)     午前九時五分開議  出席委員    委員長 宮路 和明君    理事 岸本 光造君 理事 西川 公也君    理事 二田 孝治君 理事 松下 忠洋君    理事 安住  淳君 理事 鉢呂 吉雄君    理事 丸谷 佳織君 理事 一川 保夫君       逢沢 一郎君    石破  茂君       今村 雅弘君    金田 英行君       北村 直人君    熊谷 市雄君       小島 敏男君   田野瀬良太郎君       浜田 靖一君    保利 耕輔君       松岡 利勝君    村岡 兼造君       森山 眞弓君    佐藤謙一郎君       首藤 信彦君    筒井 信隆君       手塚 仁雄君    中津川博郷君       中村 哲治君    永田 寿康君       長妻  昭君    長浜 博行君       漆原 良夫君    高橋 嘉信君       中林よし子君    松本 善明君       菅野 哲雄君    山口わか子君       金子 恭之君    上川 陽子君       藤波 孝生君     …………………………………    農林水産大臣       谷  洋一君    農林水産政務次官     石破  茂君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局    経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君    政府参考人    (文部省体育局長)    遠藤純一郎君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君     ————————————— 委員の異動 七月十九日  辞任         補欠選任   楢崎 欣弥君     首藤 信彦君 同日  辞任         補欠選任   首藤 信彦君     楢崎 欣弥君     ————————————— 七月六日  一、農林水産業振興に関する件  二、農林水産物に関する件  三、農林水産業団体に関する件  四、農林水産金融に関する件  五、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件(酪農・乳業問題)     午前九時五分開議      ————◇—————
  2. 宮路和明

    宮路委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省畜産局長樋口久俊君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君、文部省体育局長遠藤純一郎君及び厚生省生活衛生局長西本至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 宮路和明

    宮路委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 宮路和明

    宮路委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松下忠洋君。
  5. 松下忠洋

    松下委員 私は、自由民主党の松下忠洋であります。  今回の雪印食中毒事件発生以来、直ちに党で酪乳業安全対策本部を立ち上げて、その幹事長としてこの問題に取り組んでまいりました。そういう立場もあわせて、御質問を申し上げることにいたします。  全国国民皆さん方に、一万五千人にも達する今回の食中毒事件被害に遭われた方たちがおられます。心からお見舞いを申し上げますとともに、早い回復を心から願っている次第であります。そのことをまず冒頭、申し上げておきます。  今回の雪印食中毒事件は、被害に遭われた消費者方々のみならず、乳業界酪農経営に携わる農家方々牛乳販売店方々など、多方面に影響を及ぼす重大かつ深刻な問題と認識しております。早急に事態収拾を図り、国民皆さんに安心して牛乳乳製品を食していただき、また、酪農家皆さんには安心して経営をしていただくことが大切だと考えております。この観点から、農林水産省厚生省文部省に御質問をいたします。  まず、厚生省お願いいたします。  今回の食中毒事件そのものについてでありますけれども食品衛生行政責任厚生省にあると考えております。雪印からの報告が不正確であったり遅かったりしたという事情もあったかと思いますけれども厚生省説明を聞いていると、どうも他人事のような対応をしているのではないかと思わざるを得ないこともあります。  このような大規模な食中毒事故が生じたことについて厚生省はどのような責任を感じているのか、厚生省食品衛生行政についてどのような責任を負っているのか、まずお聞きいたします。
  6. 西本至

    西本政府参考人 食品衛生行政を担当いたしております厚生省といたしましては、今回の雪印乳業株式会社大阪工場による食中毒発生につきましては、まことに遺憾であり、事件重大性を真摯に受けとめているところでございます。  御承知のとおり、食品衛生法におきましては、食品製造施設の日常の監視指導等都道府県知事等に委任をいたしておりますことから、監督官庁といたしましては、事件発生当初から、被害拡大防止を図るよう大阪市に指示をいたしますとともに、関係自治体間の原因究明に関する協力体制構築等を行い、現在も、再発防止策徹底を図っているところでございます。  今後とも、事態早期収拾再発防止に向けて万全の努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  7. 松下忠洋

    松下委員 その食品衛生法についてでございますけれども、今回、雪印説明が二転三転したことが消費者信頼を一層損なう結果になった、こう考えております。このような雪印虚偽報告食品衛生法に抵触すると考えておりますけれども、この辺はいかがでしょうか。簡潔にお願いします。
  8. 西本至

    西本政府参考人 お答えいたします。  雪印乳業報告が、混乱の中で結果的に事実と異なるものがあったのか、あるいはまた、明確な故意に基づいて虚偽報告を行ったのかを見きわめる必要がございまして、警察並びに大阪市の調査の推移を現在、見守っているというところでございます。報告につきましては、都道府県知事等は、食品衛生法第十七条に基づき、営業者等から必要な報告を求めることができるとされておりまして、故意虚偽報告を行った場合には、同法第三十二条の罰則の対象となるところでございます。
  9. 松下忠洋

    松下委員 ここは厳密に対応してもらいたい、そのようにお願いをしておきます。  また、今回の事件の中で、毎日骨太といった牛乳ではない加工乳、あるいは乳飲料原料として出荷された製品を再利用していた事実が明るみに出ました。聞くところによりますと、このことは従来、厚生省は認めてきたと聞いております。さすがに問題を重視したのか、先般、厚生省加工乳加工乳原料として使用することはできないとの見解を出しましたけれども、これまでなぜこのような再利用を認めてきたのか、このことについての見解を求めます。
  10. 西本至

    西本政府参考人 再利用の問題につきましては、製造者管理のもとにありまして十度C以下に保存される等の衛生管理がなされており、かつ品質保持期限内のものであれば、直ちに食品衛生法上の問題になるというものではございません。ただ、食品衛生法に基づく乳及び乳製品成分規格等に関する省令、いわゆる乳等省令と呼んでおりますが、これによりまして加工乳原料として加工乳使用することは認められておらないところでございます。  また、一度店頭に並ぶといったような衛生管理状況が不明なものを回収いたしまして再利用することは、食品衛生上支障のない原材料を使用する観点からは認められないということでございまして、その由関係者に通知をしたところでございます。今後、さらにその徹底を図ってまいりたいと考えております。
  11. 松下忠洋

    松下委員 賞味期限の切れた、そういう返品を利用したということも考えられるわけですから、これについての対応はしっかりとしていただきたい、そのように注文しておきます。  今回の問題の二点目ですけれども、いわゆるHACCP食品衛生法に基づく総合衛生管理製造過程における安全管理でございますけれども、このHACCP承認してきた工場でこれだけの事故が生じたことが挙げられるわけであります。  我々は、消費者ニーズ対応して、高度な衛生管理が必要であると考え、食品業界にこのHACCPの導入を推進してきました。しかしながら、このような事態を見ると、HACCP運用というものがいいかげんなものだったのではないかという疑問を感じざるを得ない。先日の厚生省調査結果でも、かなりの数の工場が記録を残していないなどの、その運用に問題があったと考えております。  このHACCP運用について、厚生省監督指導が不十分であったのではないか、そのように考えていますけれども、いかがですか、率直にお願いします。
  12. 西本至

    西本政府参考人 HACCP承認審査におきましては、まず、私どもにおきまして、申請者から提出のありました書類につきまして、適切な衛生管理手法が記載されているかどうかを審査いたします。次に、厚生省担当官もしくは都道府県等職員現地調査実施することになっておるわけでございます。  承認後の問題でございますが、都道府県等が行います一般の食品監視の一環として、このHACCP過程についても監視を行ってきたというのが実情でございまして、今回の事故を踏まえ、監視指導及び現地調査体制の改善を図ってまいりたいと考えております。  具体的に申し上げますと、一つは、承認審査資料に、例えば設計図の原本の写しを添付させる、あるいはまた、当面、すべての承認申請につきまして、私ども厚生省職員が直接、現地調査実施する、それから、平成十三年一月より設置されることになっております地方厚生局担当職員を配置いたしまして、承認審査指導及び監督実施体制を強化していきたい、このようなことを考えているところでございます。
  13. 松下忠洋

    松下委員 厚生省みずからの姿勢が問われているわけですから、重大かつ深刻と考えてしっかりと対応してもらいたい、そのようにお願いを申し上げておきます。  次に、農林水産省石破総括政務次官にこの問題の酪農家への影響についてお伺いをいたします。  今回の事件で一番心配されるのは、消費者牛乳乳製品離れでありました。これによって酪農家が搾った生乳の引き取り手がつかなくなるということを、農家方々が不安な面持ちで事態を見詰めておるわけであります。雪印向けに出荷されていた生乳が、当面、生産者団体乳業メーカー努力で円滑に配乳調整が進んでいるというふうに聞いております。これは高く評価するところでありますけれども牛乳乳製品消費全体はどのようになっているのか、また今後どのように見込まれるのか、お伺いいたします。
  14. 石破茂

    石破政務次官 お答えを申し上げます前に、先ほど委員からも御指摘がございましたが、今回の事故によりまして被害に遭われた皆様方に、私からも心からお見舞いを申し上げる次第でございます。また、委員におかれましては、党の対策本部幹事長として適宜適切な御指導を賜っておりますことに対しましても、心から厚く御礼を申し上げたいと存じます。  御指摘の、今後の消費への影響いかんというお話でございます。これは、既に報道等ででも出ておりますが、ことしは殊のほか暑い夏であるということで、現段階におきましては、むしろ逼迫ぎみ需給状況にあるというふうにも承っております。また、一部の量販店からは品不足であるというようなことも聞き、なお消費も堅調である、かように承知をいたしておるところでございます。  しかしながら、この後、消費がこのまま堅調でいくか、それはなお予断を許さないところでございます。そういうような場合に配乳がこれから先もうまいぐあいにやっていけるかどうか、私どもも日々状況情報をとりながら万全を期しておるところでございますが、第一には、安全であるというようなことの確認をどのように行うかということ、それも含めまして、そういうようなことの指導徹底してまいるということであろうかと存じます。  なお、加工に回るという部分が出たような場合に、まさしく委員指摘のように、何の責任もない、全くの被害者である酪農家方々に御迷惑がいかないように、その辺はきちんと指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 松下忠洋

    松下委員 これは、党の安全対策本部でもしっかりと対応を考えてまいりますけれども、きちっとよろしくお願いしたいと思います。  文部省にお伺いいたします。  今回の事件の遠因として、消費者ニーズの名のもとに利益を追求し過ぎる企業姿勢があったのではないかと考えております。一方、食料農業農村基本法、新しく制定いたしましたけれども、この法律では、国内農業生産増大基本とするというふうにうたい上げております。すなわち、国産物基本とすることが掲げられているわけであります。そのことも踏まえて、国産農産物消費拡大観点から、学校給食においてはできるだけ地産地消、すなわち、その地域生産されたものをその地域消費していくということが大切だと考えております。また、そのような教育が必要だと考えているけれども文部省はどのように対応し、どのように考えているのか、お聞かせ願います。
  16. 遠藤純一郎

    遠藤政府参考人 学校給食につきましては、特に米飯給食を導入するように、こういうことで、米飯給食の教育的な意義というものを教えながら、また、その地域地域特産物を使いながらきちんと実施をするようにということで、各実施主体でございます市町村の方に指導している、こういう実情にございます。
  17. 松下忠洋

    松下委員 私の質問に答えておられませんね。国内農業生産増大基本として、国産物をきちっと消費拡大していくという観点が大事だと申し上げておりまして、その地域生産されたものはその地域消費していくということで、きちっとした指導が必要だと考えているわけですから、そこをもう一度きちっと答えてください。委員長、しっかり答弁させてください。お願いします。
  18. 遠藤純一郎

    遠藤政府参考人 御指摘のように、郷土色を取り入れて学校給食を進めるようにということで指導をしておるところでございます。
  19. 松下忠洋

    松下委員 これは党の安全対策本部でもしっかりと監視し、きちっとした結果を見届けていきたいと考えていますから、しっかりとお願いをいたします。  農林水産省石破総括政務次官にお伺いいたします。  酪農家影響を与えないためにも、重要なことは消費者信頼回復することだと考えます。そのためには、早急に牛乳乳製品安全性確認して、そのことを国民PR、広報すること、風評被害を引き起こさないように関係各方面に正しい情報を周知させることが重要だと考えております。  このことについて、政府としてどのように消費者信頼回復対策を講じようとしているのか、考え方をお聞かせいただきたい。
  20. 石破茂

    石破政務次官 これは、政府としてというお尋ねでございますが、あるいは厚生省の方からお答えをする部分もあるかもしれません。  私どもといたしましては、いち早く対策本部を省内にも設置をいたしまして、対応をしておるところでございますが、まず、どのように立派なマニュアルがありましても、きちんとそれが運用されていなければ、それはないに等しい。それが雪印というトップメーカーによって行われたというようなことに対して国民が持った不信感というのは、相当深刻なものがあるというふうに私は認識をしておるところでございます。委員指摘のように、風評被害というものもございますけれども、やはりトップブランドが引き起こしたということについて国民が大変強い不信を抱いておる、これを払拭していくのは容易なことではない、このように認識をいたしておるところでございます。  したがいまして、現在、安全点検等々が行われておるところでございますが、それを踏まえました上で、牛乳乳製品、これは雪印に限らず、なべて牛乳乳製品という意味でございますけれども、この安全のPRというものは、相当念入りに、効果的に行っていかねばならぬだろう、そしてまた、消費拡大対策も行っていかねばならぬだろう、そのように考えておるところでございます。  これは、いかなる形でそれを行うのが一番国民皆様方に御認識、御理解をいただけるか、その点につきまして、今政府でも鋭意検討中でございますが、牛乳乳製品消費をすることが本当に健康にもいいんだというようなことをよく御理解、再認識いただきますために、万全を尽くしてまいりたい。  いずれにいたしましても、安全性確認ということが第一だ、このように認識をいたしておるところでございます。
  21. 松下忠洋

    松下委員 風評被害を防ぐための国民に対するPR厚生省も大事な役割を担っております。どのように対応するのか、厚生省考え方もお聞かせいただきたい。
  22. 西本至

    西本政府参考人 この種の問題が発生いたしましたときに、私どもがやはり一番気にいたしておりますことは、風評被害拡大ということでございます。したがいまして、いつ、どういう形で安全宣言を出すかということは非常に重要な問題と考えております。  ただ、ある程度科学的な根拠をきちっと固めた上で出すということがさらなる信頼につながるということでございますので、私どもは、現在、調査をいたしております会社の自主点検、それの後を受けまして、さらに、私ども担当官を派遣してきちっとした点検を行った後に、いわゆる安全宣言的なものを出して風評被害拡大を防いでいきたい、このように考えておるところでございます。
  23. 松下忠洋

    松下委員 しっかりと、しかも迅速に徹底するように対応していただきたい、このことを切に要請しておきます。  農林水産省石破総括政務次官にお伺いいたします。  今回の雪印大阪工場事件、これは低脂肪乳毎日骨太といった、分類上では牛乳ではない、加工乳乳飲料といった、純粋な生乳を使わずに脱脂粉乳原料とした製品製造過程で生じたものであります。国民の多くの方々は、純粋な生乳を使った牛乳も危ないのではないかと思っておられるのではないかと考えておるわけですけれども、これは安全なわけですよね。  今回の事故を反省して、脱脂粉乳を使った加工乳乳飲料、いわゆる牛乳のまがいもの、そういうものから生乳を使った本当牛乳に極力転換するように指導すべきだ、そのように考えますけれども、どのように考えているでしょうか、お聞かせください。
  24. 石破茂

    石破政務次官 委員既に御案内のことだと存じますが、私どもといたしましても、かねてから生乳を使うようにというような指導をいたしておるところでございます。  ただ、これはもちろん委員先刻御案内のことでございますが、今回、加工乳であったからこのような事故が起きたということでは決してないわけでありまして、加工乳であろうが、生乳であろうが、衛生管理徹底をしていなければそういうような事故は必ず起こるわけであります。  でありますから、私どもといたしましては、生乳を使うようにこれからも指導してまいる所存でございますが、いずれにいたしましても、衛生管理をきちんとするということを徹底をするのは、もちろんのことでございます。  もう一つは、表示の問題をどうするかということがございます。それは、実際に消費者ニーズというものがいわゆる機能性飲料、低脂肪牛乳等々にあるということも一面事実でございます。そしてまた、季節変動によります生乳不足に対しましては、脱脂粉乳使用した加工乳生産も必要とされる場合があるということもございまして、これを全面的に加工乳がだめだと言い切ることはいかがなものかというふうには思っておる次第でございます。  しかしながら、本当成分が全部生乳であるというものを消費者方々がなお求められる傾向が今後出るであろう。そしてまた、そのことが国産生乳優位性を保つという意味からも、そしてまた、食料自給率の向上という意味からも、これは非常に有効であるというふうに考えておることもまた事実でございます。  同時に、この特定乳製品製造というのは、もちろん、税金を財源とする補給金を使っておるわけでございまして、これをまた、補給金を使ってつくったものを改めて液状に戻してやっていくということは、経済的にどういうことなんでしょうねという問題もございます。それが生産者乳業者及び消費者にとってどのようなことであるかということを考えながら、生乳使用というものを指導してまいりたい、このように考えておるところでございます。  以上申し上げましたとおり、これから先、消費者牛乳乳製品に対する正しい知識の普及を図りつつ、生乳使用拡大について指導してまいりたい、このように考えております。  繰り返しになりますが、生乳であれ、加工乳であれ、きちんとした衛生指導ということをやっていくことが第一でございますし、今委員はまがいものという言葉をお使いになりましたが、これは加工乳ですよということをきちんと明示をするということも現在、法律によって義務づけられておるわけでございます。そのことが本当消費者にきちんと認識をされておるかどうか、これも私ども委員の御指摘を踏まえて検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  25. 松下忠洋

    松下委員 結局は、消費者に提供している中身品質がどういうものなのかということがしっかりと消費者にわかるように店頭に並んでいること、それが大事だと思うんですね。牛乳を飲みたい人は本当牛乳生乳として求めて飲む。それが加工乳なのか飲用乳なのかがわからないような表示であってはならないし、中身も大事だということですから、これは我々も党の方でも必死になっていろいろ議論してきて、表示の問題をまとめてまいりましたけれども、さらに踏み込んだ、店頭での表示をどうするか、しっかりと議論をしてまいりたいと思っておりますし、政府の方でもよろしく対応お願いを申し上げます。  最後に、農林水産大臣にお伺いをいたします。  北海道の酪農家の声を聞いていただきたいと思うんです。今回の事件で、このように述べておられます。  我々が衛生管理に神経をすり減らしているのに、企業安全管理を怠ったことが情けなくて仕方がなかった。我々が生乳を卸す際にはサンプルをとられ、衛生基準の達してなかった酪農生産者納品禁止などの厳しいペナルティーを受ける。ふだんの衛生管理も厳格で、十日に一回は立入検査が入る。雪印黄色ブドウ球菌が出たっていうけれども、我々酪農家でそんなものが出たら、その牛はつぶさなきゃならぬのだ。そういう厳しい衛生チェックメーカーは我々に強いていながら、工場でこんなことをやっていたんじゃ、やっていられない、これが本当の気持ちであります。  そういうことの中で、今回の事件対応をどうしていくか。農林水産省、そして厚生省文部省政府を挙げてきちっと対応をしていく責任がありますし、我々、党としてもそこはしっかりと議論をして対応策をつくっていきたい、このように考えております。  そこで大臣、今回の食中毒事件によって酪農家は非常に不安を感じておりますし、怒りを感じております。酪農家には決して負担が回ってこないように万全の対策を講じることが必要だと考えておりますし、大臣からの決意をお聞かせいただき、国会の場で全国酪農民に対して心配するなということをしっかりと伝えていただきたい、そのように考えておりますけれども、いかがでしょうか。
  26. 谷洋一

    谷国務大臣 このたびの森内閣の成立に当たりまして農林水産大臣を拝命いたしました谷洋一でございます。農林水産委員会委員皆さん方指導、御鞭撻をよろしくお願い申し上げます。  ただいま御質問がございました点についてお答えしたいと思います。  このたびの雪印問題につきましては、我々、想像を絶すると申しますか、想像できないような事態発生したわけであります。我が国のトップメーカーと言われるメーカーが、こんなずさんな経営をやっておったのかということに唖然とせざるを得ないような事態でございました。  しかしながら、こういうことを二度と起こさないようにするために、所管の厚生省並びに農林水産省が一体となってやるべきであるということを十分認識いたしまして、我が農林水産省におきましては、私の就任後、一日置きまして直ちに対策本部をつくり、農林省としての責任を全うするために努力しておるのがきょうの気持ちでございます。  二度とこういうことが繰り返されないように、しかも、我が国民皆さん方から信頼していただく乳業であるために、また、牛乳並びに牛乳製品がこの事件によって非常に減退の傾向になるということは、まことに国民の栄養源の確保のためにも残念なことでございますので、ぜひともこれを防ぎたいという考え方を強く持っております。  また、管理等の関係についても、厚生省と十分連絡をとりながら、この措置につきましても全力を尽くしてやっていきたいと思っております。そして、国民皆さん方が安心して飲める牛乳であることに我々は当面、全力を挙げていきたい、こう考えておりますし、できるだけ早く安全宣言を発表するようにしたいとも思っております。国民皆さん方信頼にこたえる農林水産省として頑張ることを私どもお誓いして、全力を挙げて頑張ることを皆さんにも表明申し上げます。
  27. 松下忠洋

    松下委員 一日も早く安全宣言をして、国民に対してその信頼回復していくという努力をしていかにゃいかぬということが一つです。そしてもう一つは、生乳を供給している酪農家に対しては、何の、一つの瑕疵もないわけですから、その人に対して、先ほども申し上げましたように、そういう悲痛な怒りと情けなさの気持ちでおるわけですから、それに対するしっかりとした対応を間違いなく実行していくということを政府お願い申し上げますし、我々自由民主党も安全対策本部議論の中でしっかりと対応をしていきたい、そのように考えております。  終わります。
  28. 宮路和明

    宮路委員長 次に、中津川博郷君。
  29. 中津川博郷

    ○中津川委員 民主党の中津川博郷でございます。  まず冒頭、委員長にちょっとお伺いしたいんですが、民主党は前回、理事懇談会でも雪印乳業、参考人招致を強く要求して、理事懇談会では参考人招致、責任者の参考人招致でまとまっていたにもかかわらず、これはなぜ実現していなかったのか、委員長の御答弁をお願いしたいと思います。
  30. 宮路和明

    宮路委員長 ちょっと予定外の御質問でございますが、参考人招致の件につきましては、先般の理事の懇談会においてお話がありまして、各党それぞれ協議をいたしたところでありますが、各党の意見の一致を見るに至らなかったところであります。このため、委員長といたしましては、参考人招致、従来から各党の、全党の意見の一致を見て対処する、こういうことになっておることから、この際、参考人の招致について今回は見送る、そういう決断をいたしたところであります。  これは、さきの理事会において、八時五十分から開催された理事会において、私の方からしっかりとその旨答弁を、答弁というか回答をさせていただいたところでございます。  以上であります。
  31. 中津川博郷

    ○中津川委員 実はきのう、私も含めて我が党の対策本部が東京の雪印本社を訪問いたしまして、笹島副社長にお伺いしたところ、この委員会の招致を聞いていない、こう答弁しておったんですね。委員長、どのような努力をしたか、ちょっと答弁願いたいんですが。
  32. 宮路和明

    宮路委員長 私は、各党のそれぞれの、先ほど申し上げておるように、意見の一致を見た中で参考人招致の問題は処理をする、そういう方針であるわけでありまして、私自身が雪印乳業とどうこうするという問題ではなくて、各党の意見の調整、意見の動向をしっかりと見きわめた上で対処するということで臨んできたわけでありまして、残念ながら各党の意見の一致を見るに至りませんでしたので、先ほど申し上げたような方針のもとに処理をさせていただくことにいたした、かような次第であります。
  33. 中津川博郷

    ○中津川委員 今回、大変大きな食中毒事件でありますし、こういう正式の国会の場で雪印乳業責任者の考えというものを聞くのは大変必要だ、国民も多くそれを望んでいる、こんなふうに思っております。私もそんなことでそういう質問を用意しておったんですが、残念です。  では、質問に入ります。  今回の雪印乳業の中毒事件、先ほど、会社の話、二転三転、これはもう四転、五転、六転、七転で、対応のまずさが被害拡大にもつながっていると言っても過言じゃないと思うんですね。特に、私も寝ていないとかいう社長の発言、消費者は無視、経理畑の社長のためにコスト至上主義あるいは営利至上主義、こんなのが原因だと思っているんです。  そこで、厚生省にお伺いしたいんですが、六月二十八日水曜日二十二時五十五分、大阪市が雪印製造自粛、回収、社告を指示しましたね。それから、翌六月二十九日十六時になって、大阪市がマスコミに発表する。大変時間がかかったわけなんですが、これはもっと早く迅速にやっていれば、その間の被害も少なかったと思うんですが、この間に牛乳を飲んで食中毒になった人たちの人数、これを把握していらっしゃったら答弁願いたいのです、厚生省
  34. 西本至

    西本政府参考人 私どもが初めて今回の事件を探知いたしましたのが六月二十九日の早朝でございました。企業雪印というトップブランドメーカーである、あるいはまたその食品が牛乳という非常に日常的なものであるということを重視いたしまして、直ちに雪印乳業株式会社本社に対しまして、被害拡大防止のため、事件を公表するよう、また自主回収の徹底というものを指示したわけでございます。  ただ、その発生日ごとの患者数につきましては、今後、大阪市の調査の中で明らかになるということでございますので、現在のところはっきりいたしておらないというのが実情でございます。
  35. 中津川博郷

    ○中津川委員 その間、厚生省雪印に対して一分でも早く国民に知らせるように指導はされたのですか。
  36. 西本至

    西本政府参考人 まず、この事件の発表に対する進め方でございますが、大阪市の方と私どもの方が連絡をとり合ってやるということでございますけれども、私どもの方は、大阪市を通じて情報をいただくという形になってございまして、先ほど申し上げましたように、初めて情報をいただきましたのが六月二十九日の早朝ということでございました。したがいまして、直ちに、同日に、雪印乳業に対しましては、事件を公表するように、また自主回収をするようにということを私どもは直接そうさせていただいた、こういうことでございます。
  37. 中津川博郷

    ○中津川委員 厚生省の中でも、雪印乳業食中毒事件対策本部の設置が、たしか事故がわかってから十日ぐらいおくれて七月七日に設置したというふうに聞いているのですが、これはちょっと余りにも遅いのじゃないかというような声があるのですが、いかがでしょうか。
  38. 西本至

    西本政府参考人 対策本部の設置につきましては確かに七月七日ということでございます。  ただ、食中毒事件全国からいろいろな形で年がら年じゅう寄せられているわけでございますが、私どもといたしましては、明文化はいたしておりませんけれども、やはりその事件重大性、特に複数都道府県にまたがるようなケース、あるいはまた、先ほど申し上げましたような非常に影響の大きい企業から、日常生活に非常に普及している食品等々、そういうケースの重大性をかんがみて対策本部を設置するという形をとっておりましたので、いろいろな推移の中で七月七日に設置をしたというのが実情でございます。
  39. 中津川博郷

    ○中津川委員 それにしても遅いなという感じはいたします。  次に、HACCPについてお聞きしたいと思います。  これは平成七年五月に鳴り物入りで日本でも取り入れたわけですが、HACCP承認は国が行って点検は保健所が行う、こういうふうになっているわけですが、今回の事件で、このHACCPそのものあるいは制度の信頼性が非常に失われたということだと思うんです。  このHACCP承認どきの審査のあり方、あるいは承認後のフォローアップ、これは非常に不十分だったのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  40. 西本至

    西本政府参考人 今回の雪印乳業大阪工場の件に関しましては、戻し乳のラインあるいは屋外における調合作業等々、申請資料に記載されていなかったということも確かに多くございました。  しかし、今議員お尋ねの本制度そのものに問題がなかったのかという御質問に対しましては、私どもも率直に、今回の事件を通じまして、HACCPのいろいろな盲点と申しましょうか、手直しすべき点というものをはっきりと自覚をいたしております。  したがいまして、第一回の対策本部でもこれは大きな議論になりまして、例えば承認審査のときに、先ほど申し上げましたが、もう少し、設計図の原本を出させるとか、あるいはヒアリングをするときももっときちっとやるべきじゃないか、詳しくやるべきじゃないかとか、あるいはまた直接職員が行くべきじゃないかとか、いろいろな点が指摘されたわけでございます。その点につきましては今後の課題として早急に対応してまいりたい、このように考えているところでございます。
  41. 中津川博郷

    ○中津川委員 このHACCPというのは、いわゆる性善説に基づいて、企業の自主的な判断、申告にゆだねる、その要素が大変強いというふうに聞いているのですが、実はここに平成十一年の職能研修、保健所の担当の者たちに与える資料が手元にあるのです。時間がございませんので、全部内容を紹介はできないのですが、非常によくできた内容なんですよ。  これは、もちろんHACCP意味とか、それから衛生管理のポイント、社内体制の整備、マニュアルを死蔵させてはいけないとか、それから記録の重視というのも書いてあるのです。日本人は口頭で一伝えたことを相手に十理解してもらおうとする傾向がありがちであるが、十を的確に伝える、そのために文書も残しておかなきゃいけないとか、あるいは透明性の確保とか、それから基本実施という中でも、整理整とん、清浄・清掃、こんなものは当たり前だというようなことも詳しく書いてありまして、そしていわゆる性悪説の導入ということもここで書いてあるのですね。  これは厚生省がつくったマニュアルだと思うんですが、すべてが本当にすばらしいのですが、最後に、行政の役割として、食品衛生監視員の役割は、第三者的立場に立って、施設の衛生管理が適切に行われているかを監視指導することであり、HACCPが導入された工場監視指導については、まず、記録等により、内部チェック体制が機能しているかどうかを確認することが重要である、こうしっかりと書いてあるのですよ。  このとおりやっていれば、これが十分に機能していれば、絶対にこんなことは起こらなかったと思うんですが、いわゆる検査体制が非常に不十分じゃなかったかとつくづく感じているのですが、いかがでしょうか。
  42. 西本至

    西本政府参考人 御指摘の点は一々ごもっともな点がございます。先ほども松下先生の御質問に対してお答えをいたしましたように、実際の食品衛生監視という作業は都道府県の食品衛生監視員にお願いをしているというのが実情でございます。したがいまして、今後、その食品衛生監視員に対する指導体制あるいは研修等もさらに徹底していかなければなりませんが、もう少し緻密にやれる方法はどういうものがあるかということも含めて検討していかなければならない、このように考えているところでございます。
  43. 中津川博郷

    ○中津川委員 食品衛生監視員にお願いしている、こういうことでありますけれども、例えば、こういうマニュアルを出したり、今回、HACCPを遵守しないというところに対して、ではHACCPを取り消す、それで何か厚生省の仕事が終わったというような印象を与えているわけですよ。  とにかく保健所を指導し、監督し、フォローアップして、このHACCPというものを有効に生かすために、この事件を契機に、そのシステムそのものを再構築していく。そのシステムの責任体制も明確にすべきだ。厚生省がマニュアルをつくって、ほっぽって、あとはやってくれ、こんなことだから今回の事件が起きた非常に大きな原因があると僕は思うんです。いかがでしょうか。
  44. 西本至

    西本政府参考人 たびたびお答えいたしておりますように、HACCPの問題点につきましては、当初から、私ども対策本部でも具体的に指摘されております。それらにつきましてこれから積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  45. 中津川博郷

    ○中津川委員 具体的に答弁を聞きたいと思うんですが、例えばこの新しいシステム、虚偽の申告をしたらHACCPを取り消す、注意するじゃなくて、これは罰則も入れるとか、そのくらいまで気合いを入れてやらなければいけないと思うんですよ。いかがですか。
  46. 西本至

    西本政府参考人 HACCPを導入いたしました経緯におきまして、これは罰則規定を設けるという形にならなかったということがございますので、現在は承認を取り消すという対応しかできないといいますか、それをしているわけでございます。  したがいまして、今後、それを法的な義務づけという形にするかにつきましては、各国もさまざまな状況でございまして、私どもの方ではまだその義務づけをしていないということがございますので、罰則という形になり得ないということでございます。
  47. 中津川博郷

    ○中津川委員 このHACCPについては、もうたくさんお聞きしたいこと、また提案したいこともあるのですが、とにかく今私が申し上げたようなことを十分お考えいただいて、これをこれから本当に生かすように、ひとつ大いに知恵を出してやってもらいたい、こんなふうにお願いしておきます。  最後に、この雪印乳業、昨日から始められております、一班大体二名から三名、五班編成で現地調査をしているということなんですが、普通考えて、こんな少人数で確実に正確に、そしてスピードが要求されますから、迅速に行えるのかどうか。お役所仕事はいつものんびりしているというような批判もある中で、これで一体できるのか、そして、いつごろを目安にその調査を終了する予定なのか、厚生省にお伺いします。
  48. 西本至

    西本政府参考人 雪印乳業株式会社の乳処理施設二十工場に対します現地調査実施いたします担当官につきましては、これまでHACCPに関する書類審査とか現地調査等を実際に経験してきた、いわゆる経験豊かな実務担当者を中心に構成しておりまして、一班二ないし三名という、これは全体の数の制約もございますが、私どもは、この一班二ないし三名という構成であっても、十分に、確実にかつ迅速な調査ができるというふうに判断をいたしております。  それから、調査日程でございますが、最初にまず十工場を対象に調査をいたしまして、七月二十三日までに調査を終了したい。その結果を、七月二十四日、二十五日の両日に開催されます専門評価会議、昨日起こしましたが、ここで安全性評価を行うことといたしております。それから、残りの十工場につきましては、七月三十一日までに調査を終了いたしまして、八月一日、二日の両日に開催されます専門評価会議において安全性評価を行う、こういう予定でございますので、全部が終了するのは、今申し上げましたように八月三日か四日ということになろうか、このように考えております。
  49. 中津川博郷

    ○中津川委員 ぜひしっかりとした安全宣言安全宣言した後にまた安全でない事件が起きたら、これはもう話にもなりませんし、販売店の皆さんもまた消費者も、一日も早く安全でおいしい牛乳を飲みたいとみんな願っているわけですので、一日も早く、正確に、迅速にやってもらうことを重ねてお願い申し上げます。  農林水産省質問いたします。  今回の事件生産者酪農家皆さん、そして流通ルート、販売店、それから消費者皆さんたち、みんなに大変な迷惑をかけているわけでありますが、酪農家に対しては、きょうの新聞等の報道で、収入減、雪印が補てんとか、国の方も一生懸命やっているというように聞いておりますが、販売店ですね。これは、今大阪の方ではある程度進んだというふうに聞いておりますが、全国がどうなっているのか。近畿ではたしか三十店が休廃業した。大変かわいそうな、気の毒なことでありますけれども全国では一体どうなっているのか。それから、販売店に対する支援、それについての見解を聞きたいと思います。
  50. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答え申し上げます。  雪印乳業大阪工場での事故以来、同社に対しまして、私どもとしては、お話がございましたように、販売店の状況をやはりきちっと把握をして、早急に対応しないといけないのじゃないかということで指導しておりまして、販売店の経営状況について同社から報告を受けております。  お話がございましたように、近畿二府四県で雪印乳業の系列販売店が四百九十八店舗ございますが、十六日現在で二十九店が販売をしていないという状況になっております。また、ほかの地域の販売店の状況につきましては、現在調査中ということで、私どもの方で報告を受けている段階ではございませんが、早急に報告をしてほしい、それを取りまとめて全国レベルの状況についても把握をしたいと思っております。  いずれにしましても、販売店に対する支援につきましては、今回の事態が同社の不手際によるものであるということでございますので、販売店の不利益の解消でございますとか営業継続のための必要な支援等については、迅速にかつ誠意を持って実施するようにという指導をいたしておりまして、それとあわせて、今度は消費者牛乳乳製品を供給するという方面でも不都合が生じないよう、乳業者の間での商品の融通といいますか、そういうものもきちんとやるようにということで、関係乳業者皆さん指導しているところでございます。
  51. 中津川博郷

    ○中津川委員 知り合いの販売店、雪印の方ですが、千八百軒宅配の顧客がいた。事件発覚から、もう早い時期に六百三十人が断ってきた。しかも、幼稚園とか老人ホームとか、施設に、雪印は、もうあのマークはだめだということで、他社のものを涙ながらに持って配送している。三週間こういう状態が続くともうやっていけないんだというような悲痛な声を聞いております。量販店とかコンビニからは、いわゆる雪印はもう消えていますね。本当に最後のとりでですよ、これは。販売店に対してはぜひ、これは会社の責任だと今おっしゃいましたけれども、それはそうですけれども、農水省としてもできるだけひとつ手厚い対応をしていただきたいということをお願いしておきます。  次に、消費者が、私なんかもそうですが、牛乳加工乳、この区別がつかない。みんな生乳だと思っているという都会の消費者がたくさんいるわけなんですが、これを、これからやはり表示についてはっきりして、そしてだんだんとおいしい生乳を普及していくという必要があるのじゃないかというような感じを持っているのですが、農水省の見解を聞きたいと思います。
  52. 石破茂

    石破政務次官 先ほど松下委員の御質問にもお答えをして、重複になったら恐縮でございますが、これは委員指摘のように、生乳を飲みたい、こういうニーズはあるだろうと思っております。  これは表示をごらんになるとおわかりになろうかと存じますが、加工乳加工乳という形で、その商品名の三分の二の大きさで書かねばならない、こういうふうに決まっておるわけでございます。ですから、もう虫眼鏡で見なきゃわからないような小さな字で書いてあるわけではございませんで、これは加工乳でございますよということが書いてあるわけですね。  ただ、御指摘のように、それは普通の人にはわからない、普通の消費者が見たって、これが加工乳なのか生乳なのかよくわからないというようなことが、今回のことを契機にまた承っておりますので、これは、表示をどのようにするかは、私どもの方としても、政府全体で考えていかねばならないということだと思っております。  しかしながら、ローファットミルクでありますとか、そういう加工乳、低脂肪乳を飲みたい、こういうようなニーズも一方においてあるわけです。これは確かに一方においてある。そして、先ほど答弁の中で申し上げましたように、生乳生産の調整等々がございまして、一種のそれがバランサーになっておるという面もありますから、加工乳はすべてだめだとか、加工乳であるから今回の事故が起こったというふうにやりますと、論理がかなりおかしくなって、議論が混乱するのではないかというような印象を私は持っておるところでございます。  いずれにいたしましても、消費者皆様方にこれがどのようなものであるかということをきちんと御認識をいただくということにつきましての努力は、私どもの方としても万全を期してまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  53. 中津川博郷

    ○中津川委員 今、政務次官の答弁、理解はしたわけでございますが、今回、加工乳を使っているのではないか、あるいは店頭にある返品をまた使っているんじゃないだろうか、加工乳が非常に悪者になっておるわけでございますが、この信頼回復するためには、かなりPRもしなければいけないし、説明もしなければいけないと思うのですが、いかがでしょうか。
  54. 石破茂

    石破政務次官 それは御指摘のとおりでございます。  ですから、そういうようなマニュアルに反したことが行われるなどというのは、これは加工乳がいい悪いのはるかに以前のお話でございまして、そういう言語道断なことは認めるべきではないし、きちんと責任をとってもらわねばならぬ。失った信頼回復するために、これは私どもとしても、人ごとではないわけで、行政の責任としてそれは万全を期すということだと思っております。  恐ろしいのは、加工乳だからこんなことが起こりましたねというのは、加工乳であれ生乳であれ、衛生管理がだめであればどっちだって起こるお話なのでございます。そこのところの議論をきちんと仕分けしながら、いずれにしても、消費者皆様方に安全なものを提供する、そしてまた生産者の方に御迷惑がかからない、そして牛乳販売店の方に御迷惑をかけない、この三つのことを実現するのが私ども責任であると認識をしておる次第でございます。
  55. 中津川博郷

    ○中津川委員 最後にお伺いしたいのですが、今回の雪印問題というのは、いろいろな角度からそれぞれが反省しなければならない警鐘を含んでいると思うのですね。特に、今回、コスト重視とか、品質安全性を軽視して、とにかく安いものを、生産性を上げる、そういう考えでこういうような事件が起きたと思っているわけなのです。  実は、牛乳でも、私の調べた範囲では、一般的にリットル大体百八十円ですけれども、安売りですと百四十円がある。それで、スーパーとか量販店で、お客さんに来てもらうために、お豆腐などでも通常一個、お豆腐屋さんだと百三十円ぐらいする、これが二丁七十八円とか、あるいは卵なども、普通二百円近いんだけれども、ワンパックで九十八円というようなことが行われている。私もチラシで見たことがあります。  こういう中で、今回のこの牛乳の問題、流通全体のこの辺の、安ければいいんだ、ところが今度、安ければまた安かろう悪かろうというような問題、これも含まれていると思うのですよ。ですから、乳業業界に対しても、農水省として僕はしっかりこれは指導すべきだ、牛乳だけはこうなんだと。多分、消費者は、では安いとどうなんだろう、お豆腐安いのどうなんだろうか、卵どうなんだろうか、こういうような考えを持つのは自然だと思うのですが、農水省として、そこのところをひとつ毅然と指導をしてもらいたい、こんなふうに思っております。
  56. 石破茂

    石破政務次官 今回起こりました事故雪印が起こしておるわけです。もちろん森永ですとか明治とか、いろいろなことがその後出ておりますが、今回の大きな食中毒というのは、厚生省が一昨日中間報告を出しましたが、ほかのメーカーにおいてはきちんとした衛生管理が行われておったということもまた事実でございます。ですから、乳業界全体が安全性を無視してコストをどんどん下げていってこういうようなことが起こったという言い方は、必ずしも正鵠は射ていないのかもしれません。  ただ、安売り安売りということは、確かに乳業メーカーもそうなんですが、私どもとしては、それでは量販店、スーパーでありますとかコンビニですとか、そういうところはお客さん集めのためにとんでもないディスカウントをしてやっている、コンビニなんかはなかなかやらぬかもしらぬですが、それによって安全性が損なわれていることが仮にあるとすれば、それは乳業メーカーだけの責任ではない。それは食品流通業界、全部合わせて考えていかねばならないことですし、あわせて消費者皆様方にも、これはまたそういうのにひっかからないような、そういうようなことも、自覚というものはもちろん大勢の方がお持ちだと思っております。  ですから、安いものを提供するというのもまた大事なことですけれども、何にしたって、それによって安全性が損なわれていることであれば言語道断、お話にならない。安全はすべてに優先をするのであり、品質は食品の命であるということをもう一度きちんと徹底することが、これはメーカーも、そしてまた卸も小売も生産者も、すべてが再認識をせねばならぬことだというふうに認識をしておる次第でございます。
  57. 中津川博郷

    ○中津川委員 質問を終わります。
  58. 宮路和明

    宮路委員長 次に、永田寿康君。
  59. 永田寿康

    ○永田委員 まずもって、大きな事件になりまして、被害者皆様方、今でも苦しんでおられる方がたくさんいらっしゃいます。この方々に心からのお見舞いと、そして一刻も早い御回復をお祈りしたい、このように申し上げたいと思います。  さて、私の質問の冒頭、前置きといたしまして二点ほど指摘をいたしたいと思います。  一つは、この雪印乳業食中毒事件によって明らかとなった、第二次森内閣の閣僚人事、これにかかわる問題でございます。大変重大な問題です。  さきの通常国会末に野党は内閣の不信任案を提出しました。しかし、これは採決されませんでした。そして内閣の不信任案が突きつけられておったこの内閣が強引に国会を解散し、そして、不信任案を突きつけられていながらも、この内閣が一手に国家の危機管理を担ったのであります。その期間はおよそ一カ月間。この一カ月間の間に、私たちの記憶にも新しい化学工場の爆発事故、あるいは今回の雪印乳業食中毒事件、こういった事件が起こったわけでございます。  不信任案が突きつけられていた内閣がこうした問題に対応いたしました。果たしてこれが正常な姿と言えるでしょうか。また、新しい内閣になった後も、果たして、新大臣、新内閣のメンバーを見ますと、それまで曲がりなりにも何とかこの問題を扱ってきた旧内閣の人たちを閣外にほうり出した森総理大臣、全くの新しいメンバーとして新内閣に担当閣僚を迎えました。また改めて説明をしなければなりません。  このような体制で、危機管理をやっているとまじめに言えるのか。国民は大いなる不安を抱いているものと、内閣総理大臣森喜朗さんにはぜひ御認識をいただきたい、このように私は指摘をいたしたいと思います。  第二に、今回の事件については、先ほどから委員のお話やあるいは答弁にもありますとおり、雪印乳業の会社としての責任が非常に大きいということは、これは明らかであります。しかし、本日の集中審議を見てください。その当事者はいないのです。  今回の事件は、厚生省に対してHACCP虚偽の申請をしたというこのこと、雪印乳業の問題は、責任は重大であります。そして一方でそのことを見抜けなかったという、厚生省を初めとする政府の側の責任もこれまた重大でございます。この両者の過失、あるいは故意かもしれませんが、ほとんど犯罪的行為とも言えるこの二つの、政府雪印乳業があたかも車の両輪のように回って起こった事件が今回の事件でございます。であるならば、政府の答弁だけでは事実の解明、責任者の追及、そして再発防止に向けた取り組みは全く不十分と言わざるを得ません。  ここで先ほどから委員長にもお話をいただいたとおりの経緯はございましたが、しかし、雪印乳業の当事者のお話がないような状態で集中審議をしても、これは全く意味をなしません。国会の一機関として位置づけられているこの農林水産委員会は、その責務をどのように果たしていくのか不安であります。  この雪印乳業の幹部をぜひお招きしたいというお話を私どもからしたときに反対をした皆様方、果たしてどうやって国会議員としての職務を全うしていくつもりなのか、ぜひ御再考と反省をいただきたく、今後は雪印乳業の幹部の皆さんにぜひお越しいただいて再審査お願いいたしたく、関係各者の協力を要請するものであります。  前置きが大変長くなりましたが、ぜひこの問題、重大なので、皆様に御検討いただきたいと思います。  感想がありましたら、委員長の方からも一言お話をいただきたいのですが、答弁というのも変ですが、一言だけ委員長からお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  60. 宮路和明

    宮路委員長 先ほどこの件はお話を中津川委員に対して行ったとおりでございまして、また今後理事会において処理をしてまいりたい、かように思っております。
  61. 永田寿康

    ○永田委員 この問題、引き続き長く続くと思うので、今後の関係各者の協力を改めて要請して、質問に移りたいと思います。  まず最初に、厚生省農林水産省に同時に質問をしたいと思います。  今回の雪印乳業食中毒事件、一万四千人という未曾有の被害者が出ています。この原因にやはり初期体制、被害拡大防止のための取り組みが著しく遅かったことが挙げられると思います。六月二十七日に被害者から大阪市への第一報が入ってから、雪印乳業食中毒のおそれがあるということを広告し、そして自主回収を行うまで、実に数日を要しています。  乳製品というのは、非常に消費のサイクルが速いわけですね。皆さん店頭から消費者方々が買ってから消費をし切って、飲み切ってしまうまで、非常に短い時間、平均して七日もかからないような商品でございます。  こういったものの場合、まず第一歩として、被害拡大への手をどのように打つか、これが大切だというふうに理解しています。当然、今回の事件の内容そして規模を考えれば、大臣が陣頭指揮をとっていくのが適当であると考えました。しかし、果たしてこの陣頭指揮をとるべき大臣、いつこの事件を知ることとなったのか。市やあるいは役所の官僚の方々が第一報を受け取ってから大臣に第一報の説明が入ったのはいつのことなのか、お話を伺いたいと思います。厚生省農林水産省お願い申し上げます。
  62. 西本至

    西本政府参考人 六月二十九日に、早朝大阪市からファクスが入りまして、直ちに私ども雪印に対しまして事件を公表するよう、また自主回収をするよう指示をいたしました。翌三十日、金曜日でございましたが、その翌日から土、日と休みが続くということもありましたので、その日のうちに担当官二名を現地に派遣をいたしまして、関係府県市の担当者会議を開いたわけでございます。そして、七月一日には大阪市とともに現地調査をした、こういうことでございます。  お尋ねの大臣に対する報告でございますが、旧大臣に対しましては、六月三十日金曜日、第一報を入れて御説明を申し上げました。その後、事態の進捗状況に応じまして、随時説明を行ってきたところでございます。  それから、新大臣につきましては、四日が組閣、夜でございましたので、七月五日に今までの対応状況について御説明を申し上げ、その後も進捗状況について随時報告をするということで大臣の指示を仰いできたところでございます。
  63. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  農林水産省では、六月の二十九日、正確に記録はしておりませんが、午後四時前後だったと思いますが、雪印乳業から第一報を連絡いただいて入手をいたしております。その後、担当の課で直ちにその問題に対します事実確認情報収集等を行いまして、夕刻に官房長へ詳細を報告すると同時に、当時は前大臣でございますので、三十日の朝に大臣には報告すると同時に、担当官大阪へ派遣いたしております。  また、現谷大臣に対しましては、七月四日、組閣直後に、幾つかあります緊急事項の一つとして、本件について報告をいたしております。  以上です。
  64. 永田寿康

    ○永田委員 しかし、このような甚大な被害をもたらした事件に対して、余りにも遅い大臣への第一報、そしてその後の対応が余りにも遅い。七月四日に組閣が行われたのはわかります。しかし、その瞬間にも、これは安全だと思って牛乳を飲んで、倒れていく方々、救急車で運ばれる方がたくさんいらっしゃる。このような被害拡大に対して、それは組閣が遅かったからだ、あるいは大阪市からの一報がおくれたからだ、そのようなことで果たして被害者皆さんが納得すると皆さんはお考えなんでしょうか。非常に大きな疑問と不安を抱かせる答弁であったことをここで指摘をいたしておきたいと思います。  そして、この遅い対応ではありますが、しかし、さらにその前段階として、実はこの問題を厚生省がしっかりしていれば防げたのではないか、この事件を未然に防ぐことができたのではないかという国民の強い思いがあるわけであります。  具体的には、厚生省質問をいたしますが、HACCPの問題でございます。  問題となっている、新聞などで報道されている仮設パイプあるいは逆流防止弁、こういったものはHACCP承認の申請の際には図面に記載されておらなかったということが新聞などで報道されております。仮にこれが事実であるならば、つまり雪印乳業が行ったHACCPの申請が、言うなれば虚偽の申請であったということであれば、それは雪印の問題は大きいでしょう。  ですから、私ども雪印方々にもお話をお伺いしたい、そう申し上げているわけです。しかし、雪印の人は残念ながらここにはいません。ですから、車の両輪のうち片っ方だけに御質問を申し上げます。  厚生省の方、この虚偽の申請を見抜けなかったのはなぜですか。国民に納得のいくように、被害者に納得のいくように御答弁をいただきたいと思います。
  65. 西本至

    西本政府参考人 HACCP承認審査におきましては、申請者から提出された書類について審査をした後、厚生省もしくは都道府県の職員現地調査実施するということは、再三申し上げているところでございます。  審査に当たりまして、申請者が、製造あるいは加工の工程を正しく申請をしていただくというのがまず条件になっております。したがいまして、それに基づいて立ち入りを行いました際にも、申請者が適切に説明をしていただいて、こちらがそれを確認する、こういうことになっておるわけでございます。  ただ、今回は、申請資料には、問題のバルブあるいは仮設ホースを含む戻し乳のライン、あるいは屋外における調合作業等々、全く記載がされておらなかった、現地調査の際にも説明がなかったということが確認されております。  さらに、工場に立ち入った時点では、稼働しておりませんライン等については、発見するというのは一般的に極めて困難でございまして、発見できなかったということでございます。
  66. 永田寿康

    ○永田委員 それで、今の答弁にありますとおり、書類の審査の際に発見できなかった、書類の審査は行ったというお話でございましたが、であるならば、厚生省は、HACCP承認をする機関であるなどと仰々しいことは言わず、書類の審査をする機関である、そのようにおっしゃった方が適切なのではないのかなと私感想を持った次第でございます。書類の審査をして、丸のみして、HACCPオーケーと言うだけだったら、何もHACCP承認をするなんて仰々しいことを言わなくたって、単なる書類の審査機関であると国民の前に明らかに公言なさった方が適切なのではないかなと思います。  また、工場に初期の段階で立ち入りの検査をしたときにも、当事者、雪印側から適切な説明がなされていなかったことが確認されております、このようなお話でございます。しかし、見せたくないものは見せたくないというのは人の心ではないでしょうか。適切に説明がなかったからといって、それでオーケーと言ってしまうのではほとんど検査の意味がないというふうに考えて、そのことは後の質問に反映させていきたいと思います。まず今の答弁に対する私の感想を申し上げた次第でございます。  続けて、厚生省質問をいたしたいと思います。  今回事故を起こした雪印乳業大阪工場に対する法定の検査回数、おおむね年間十二回程度となっていることと思います。  最近の検査回数は、過去をさかのぼって見ていただきますと、一体どのようになっておりますか、御答弁をいただきたいと思います。
  67. 西本至

    西本政府参考人 雪印乳業株式会社大阪工場に対します大阪市の立ち入り監視回数でございますが、平成十年度は八回、平成十一年度は六回でございます。うち、HACCPについての立ち入り監視回数は、平成十年度は二回、平成十一年度は一回ということになっております。これはいずれも法定監視回数を下回ってはおります。  この監視回数というのは、あくまでも努力目標として基準を定めたものであると理解されているところでございますが、私どもといたしましては、各自治体に対し、今後とも、食品等の安全性確保に万全を期するため、食品関係営業者に対する監視指導の内容の充実の指導をしてまいりたい、このように考えております。
  68. 永田寿康

    ○永田委員 今、努力目標というお話がございましたが、ちょっと確認をしたいのですが、ということは、これは十二回の法定検査回数、この努力目標を下回った場合であっても、検査をする保健所ないしはその受ける方の雪印には何ら罰則は科されない、別に違法状態ではないということを御答弁いただいたと思いますが、それを確認したいのですが、よろしくお願いします。
  69. 西本至

    西本政府参考人 努力目標でございまして、これは、これをもし守らなかったとしても罰則にはならないということが裁判で判定が出ております。
  70. 永田寿康

    ○永田委員 このような努力目標というものがいかなる意味を持つものか、国民皆様方の前に今明らかになったと思いますので、ぜひ国民の皆様にはしっかりと考えていただきたい、このように思う次第でございます。  また、努力目標を下回るというこの状態、この回数で果たして検査水準を保つことができるのか、衛生水準を保つことができる、十分なものであるというふうにお考えなのかどうか、厚生省に改めてお伺いしたいと思います。
  71. 西本至

    西本政府参考人 今回の件につきましては、先ほど申し上げましたように、努力目標値を下回っていた、そういうところからこういうことが出たということは、事実は厳粛に受けとめざるを得ないというふうに考えております。  この数字をどうするかということにつきましては、今現在はっきりお答えできるような対策をまだ考えておりませんので、今後の研究課題とさせていただきたいと思います。
  72. 永田寿康

    ○永田委員 さらに続けて厚生省に対して御質問を申し上げたいと思います。  今回の雪印乳業大阪工場に関するHACCPの定期検査あるいは通常の保健所による衛生検査、これは当然スケジュールというものは役所の方あるいは保健所の方で組まれたと思います。このスケジュールを当該工場に事前に通知していたというお話が私の方に漏れ伝わってきておりますが、果たして当該工場は事前にそのスケジュールを知ることができたのか、御答弁いただきたいと思います。
  73. 西本至

    西本政府参考人 HACCP承認後の監視指導の問題でございますが、その施設を管轄する都道府県、市等が食品衛生法第十七条に基づく臨検、検査を行う際に、承認されたHACCP製造過程が確実に実施されていることについてもあわせて確認することでございます。  事前に通知をするかということの問題でございますけれども、やはり立入検査をいたします場合に、衛生管理状況の聴取あるいは記録書類の確認ということが不可欠である場合が多うございますので、前もって施設側に対し連絡するというのが一般的でございますが、実際に稼動している製造過程監視する場合には抜き打ちで行うということもございます。  大阪市の雪印乳業大阪工場に対する立ち入りにつきましては、事前に連絡をしていたと伺っております。
  74. 永田寿康

    ○永田委員 このようなことがたびたび繰り返されて、私たち国民の怒りは頂点に達しているのです。政府があるいは保健所が、あるいは大蔵省でもいろいろな事件が起こりましたけれども、検査をするときに事前にそのスケジュールを通知したら、隠したいものは隠してしまうのが普通の心理じゃないでしょうか。そんなことでどうやって実効性を担保していくと考えているのか、お考えを伺いたいと思います。
  75. 西本至

    西本政府参考人 施設側に対する立入検査の事前の通告につきましては、品質管理責任を持つ担当者からの衛生管理状況の聴取あるいはまた記録書類の確認というのが不可欠であると先ほど申し上げました。一方、御指摘のように、都合の悪いものを隠してしまうという可能性もあるのも事実でございます。したがいまして、私どもとしては、監視の目的によりまして、事前通告を実施する場合、あるいは抜き打ちで監視をする場合等について適宜適切に判断して行われるよう各自治体を指導してまいりたいと考えております。  ただ、先ほど申し上げましたように、これは法律で義務づけたもの、あるいはまた罰則規定を設けているものではございませんので、通常は、私どもが調べたいものについてのいろいろな準備をしていただくということで、事前通告制度をとってきたということでございます。
  76. 永田寿康

    ○永田委員 今二つ重大な答弁があったことをここに指摘いたしたいと思います。  私たちが知りたいものを調べるために検査をする、その際には当然スケジュールを事前に通知したいんだ、これが一つ。  もう一つは、隠したいものは隠してしまう可能性があるということを認めた御答弁が、今お言葉に上がったことと思います。隠したいものは隠してしまうという可能性を認めておきながら、本当は隠したいものを見つけることが職務ではなかったんですか。その実効性はどうやって担保するつもりなんですか。可能性を認めていたんだったら、そこをつぶさなくちゃいけないじゃないですか。何のために国民の税金を使って検査をやっているんですか。そこのところを御答弁いただきたいと思います。
  77. 西本至

    西本政府参考人 今回の雪印乳業の件で、こういう申請時に申請していない事実がわかったということでございまして、従来こういうことはございませんでした。したがいまして、先ほど調べたいということを申し上げたのは、例えばHACCPの申請時の稼働ラインがちゃんと動いているかどうかということをチェックに行く、こういうことでございますので、私ども、知りたいというのはそういう意味で申し上げたわけでございます。
  78. 永田寿康

    ○永田委員 重大な問題でございます。HACCPの稼働ラインがきちっと動いているかどうかを確認したい、このようなお話でありましたが、しかし、さかのぼっていけば、二十分ほど前のお話では、めったに動かない仮設のラインについては確認することが事実上難しいということをお認めになっていると思います。  では、どうやって確認するんですか。そうやって仮設で時々しか動かないもの、あるいは雪印は隠したいと思っているもの、こういったものを見つけるのが仕事なんじゃないですか。そのために国民はなけなしのお金をはたいて税金を払って、何とか衛生検査をしっかりやってくださいと市にも厚生省にもお願いをしているのです。その思いを裏切ったということに対して、あるいは一万四千人もの被害者が今でも苦しんでいるということについて、そんなことで言いわけが立つと思っているんですか。しっかりした御答弁をもう一度お願いしたいと思います。
  79. 西本至

    西本政府参考人 いわゆるHACCPの申請の段階で、故意か、相手方がこれはHACCPの条件というか、これに余り適合しないということで申請をなさらないものを、こちらはチェックのしようがないというのが正直なところでございます。もしそれが書かれておりましたら、当然のことながら、私どもも稼働しているラインの中でそこを重点的にチェックしていくわけでございますけれども、ないものについてどうチェックをするのか、これは非常に私どもも難しいと思っております。  したがいまして、先ほどどなたかの御質問お答えいたしましたが、例えば、今まで設計図だけであったのをブループリントまで出していただくとか、あるいは聞き取りのときに、ここにないものでたとえ臨時的でも使うようなものはほかにありますかとか、いろいろなことについて今後は詳しい聞き取りもやらなきゃいけない。  さらにまた、現地調査につきましても、やはりできる限り我々厚生省のいわゆるプロが直接に行ってそれを拝見してチェックする、こういうことをやらなきゃいけないということを考えているということでございます。
  80. 永田寿康

    ○永田委員 時間もなくなってきつつあるので、この問題について引き続き委員会の場で皆様方には御質問させていただきたく、念頭に置いて今後の委員会の活動に反映させていただきたいと思います。しかし、全くもって不十分な回答、国民がこれで納得するとは全く思えない、被害者本当にかわいそうでたまらないというような御答弁であったことをここで指摘をしていきたいと思います。  最後に、やはり今後の対策、改善について短く御答弁をいただきたいと思います。  何しろ、国民が食品の安全を判断する上で全幅の信頼を置いていたあのHACCPがかくももろい砂上の楼閣であったということが判明したわけでございます。ですから、今後の再発防止に向けての取り組み、徹底的にやっていただきたいと思います。  もちろん、隠したいものは隠してしまう可能性があるとお認めになったんですから、そこの部分もしっかりとつぶしていただけるような、その可能性を御認識いただいているんだったらそこはしっかりとつぶせるような、国民が納得するような再発防止策をここに御答弁いただくことを希望いたしまして、私の最後の質問といたしたいと思います。厚生省さん、よろしくお願いします。
  81. 西本至

    西本政府参考人 HACCPにつきましては、幾つかの段階でこれから改善を検討してまいりたいというふうに考えております。  まず最初の段階は、申請時における段階でございます。これは、先ほど申し上げましたようなより精密な申請の手続ということを考えております。  それから、次の段階は、そのHACCPが申請時どおりきちっと動いているかどうかというフォローアップ、チェック体制の検討でございます。  それからまた、申請後に新たに変更が生じたり、あるいはまた別のものを取りかえたりというようなことがございましたものについては、必ずこちらの方に義務づけて再度説明に来ていただく、そういうようなものを考えております。  それから、現地調査のあり方につきましても、やはりできる限りプロを養成いたしまして、専門職種を養成いたしまして、そういう人たちによってきちっと点検できるようにしたい、このようなことを考えている次第でございます。
  82. 永田寿康

    ○永田委員 まだ五分ほど残っているという話だったので、ここの再発防止策について、更問いを幾つかお願いしたいと思います。  まず、今の現地調査の改善について、しっかりとしたプロを養成してやっていきたいというお話がございました。しかし、どんなプロがやっても、スケジュールを事前に通知してしまっては意味がないんじゃないかと私は思うわけでございます。今後もこのスケジュールの事前通知制度は維持していくお考えですか、御答弁いただきたいと思います。
  83. 西本至

    西本政府参考人 事前通知制度につきましては、一応現段階では完全になくすということは考えてございませんで、物によって、やはり事前にこういうことで伺いますということを申し上げる。しかし、今回のような事件もございましたので、抜き打ち、臨検、こういったようなものをどの程度拡大するか、どの頻度でやるかということについては十分検討したいというふうに考えております。
  84. 永田寿康

    ○永田委員 どの程度臨検あるいは抜き打ち検査をふやしていくかについては検討をしていきたいというお話でございましたので、国民はその答弁をしっかりと胸に刻みつけていると思います。改善策がしっかりまとまって、おれたちはこんなにしっかり臨検も抜き打ちもやっていくんだというお話がまとまりましたら、委員会あてに御報告をぜひいただきたいと思います。そうでなければ国民は絶対に納得しないでしょう。  事前に通知をして、その制度もある程度維持をしていかなきゃならないというお話がございました。しかし、私が一つ指摘をいたしたいのは、検査をする段階で隠したいものは隠してしまう、あるいは、常時動いておるわけではない、今回問題になった仮設パイプのようなものは見せない、動かさないでおく、こういうような状態で、検査官の方々、プロかもしれません、その人を案内して、雪印乳業が、検査はこことこことこういうふうにやってくださいというお話をするのは、これはHACCP虚偽の申請と同じぐらい重大な問題だと思うんです。つまり、うそをついているわけですから、検査官に対して都合の悪いものを隠してしまうというのは、これは実態を役所に対して見せないという点において、やはり虚偽の申請と同等の悪質さを持っているというふうに私は理解しておりますが、そのことについて今後罰則を設けるようなおつもりはありますでしょうか、御答弁いただきたいと思います。
  85. 西本至

    西本政府参考人 二つの課題をクリアしなければならないと思います。  もしも罰則規定を設けるということでございますと、任意制といいましょうか、現在は会社が自主的に出していただくHACCPの申請というものを、全職種にするかあるいは一定規模以上の職種にするか、あるいは食品ごとに区分するかは別といたしまして、諸外国の一部でやっておりますように、これは義務としますというふうにいたしますれば、当然そこに罰則規定が設けられる。したがって、これを守っていなければ法律違反である、こういうようなことになりますので、非常に、いわゆる公権力の実施によってそういうことをチェックできるようになろうかということがございます。  それからもう一つは、御存じのように、現在は仮にHACCPをとっておろうがおるまいが営業に対しては何ら問題なくできるということでございます。それよりもさらに高度な衛生管理をやっていきたい、やりたいから承認してくださいというのが現在のHACCP制度でございますので、今回の場合はHACCP以前の衛生状態の管理というようなものの不手際等もかなり関与しておりますが、そのあたりも、ある程度信用して、そういうことは当然やられてHACCPを出してこられたものだというふうに私どもは解釈をしておったというところがございます。  したがいまして、これからは、言葉は適切でございませんが、相当疑ってかかるような、仮に法的義務化をしないでも、そういうような観点をかなり持たなければならぬのかなという感じがいたしております。
  86. 永田寿康

    ○永田委員 最後にコメントをつけたいと思います。  やはりここでも明らかになったとおり、起こるはずのない事故が起こった、こんなことは予想だにしなかった、そういうろうばいぶりが見えたと思います。厚生行政を預かるトップとしてこのような答弁を恥ずかしく思わないのか、本当に私は不安に思います。  もう一つ、やはり今回問題になりましたのは、めったに動かない仮設パイプあるいは逆流防止弁についてチェックをするのは難しい、こういうお話がございました。であるならば、動く可能性のあるものは全部動かして、その工程を見せろという立場で検査をするのが今後の改善策としては適当ではなかろうかと思います。このことを御提案申し上げて、ぜひ改善策の中に盛り込まれることを切に要請をいたしまして、私からの質問を終わりにいたしたいと思います。  御協力ありがとうございました。
  87. 宮路和明

    宮路委員長 次に、丸谷佳織君。
  88. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 公明党の丸谷佳織でございます。よろしくお願いいたします。  私の地元の北海道、もう御存じのように酪農の占める割合が非常に大きくございまして、もちろんその役割も非常に重要です。北海道は、ことしの五月に口蹄疫の問題が十勝の方で起こりまして、それがようやく落ちついたころに雪印のこの問題が上がってきた。どちらも酪農家の方の責任ではないものを受けて、非常に北海道の酪農家、今回の雪印は北海道だけではございませんけれども酪農家の方への悪影響が非常に大きく出ているという点に関しまして、酪農家皆さん本当に一生懸命搾乳をしていらっしゃった皆さん、まじめに働いてきた分だけ非常に怒り心頭であります。しかしながら、雪印というところは札幌を発祥の地としておりますから、当然このスノーブランドは私たち北海道民の一種の誇りでもございましたし、怒りと同時にまた今回の事件に対するやるせなさ、むなしさという感情もあるというのが現実でございます。  今回は、なぜこのような雪印の問題が起こるに至ったのか、その原因と、また現在起きています諸問題に対する対応、また今後予想される対策、課題等、この三本に絞ってお話をお伺いしたいというふうに思います。  まず、なぜこのような事件が起こったのか。これは今回の委員会の中でも審議をされてきたわけなんですけれども、私個人の意見では、根本的なところには、雪印企業の体質としまして、国民に視点を向けていたというところから利益第一主義に走っていた企業の傲慢さが若干あったのではないかというふうに思うわけなんです。この際、汚染源の特定、事故原因の究明、また責任の明確化というのを迅速に行い、またもちろん情報に透明性を持たせることも非常に重要であるという認識に立ちまして、今回の事故原因というのがどこにあるのか、そして牛乳乳製品品質管理衛生管理の現状はどうなっているのか、あわせて今までの体質に不備な点がなかったのかどうか、もし不備な点があったのであれば、今後改善していくという旨の決意も含めて、厚生省にお伺いしたいと思います。
  89. 西本至

    西本政府参考人 お答えいたします。  今回のような事故を通じまして痛切に感じておりますのは、やはり各企業内における危機管理体制のあり方、特に食品を扱っていただきます企業につきましては、衛生面での危機管理体制というものを整備していくことが非常に重要な課題であるというふうに考えております。  私どもも、今回の事故を踏まえまして、もちろん乳業関係者を対象にいたしました研修会等、さまざまな職種に対しましても、食品関係業者に対しましては危機管理体制、特に衛生管理の危機管理体制の整備を十分に行っていただくよう強く指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、雪印乳業株式会社の食中毒の原因でございますけれども、現在、まだ警察の方にかなりの物件が押収されておりまして、まだはっきりした最終的な原因というものは大阪市を通じて出されていないというのが実情でございます。  ただいままでわかっておりますのは、一つは、従来から言われておりました、手洗浄で逆流防止弁のバルブを洗浄していた、しかもその頻度が非常に少なかった、これが一点でございます。それから、通常使わない仮設ホースというものを実はかなり多用して、それもしかも洗浄不足であった。第三点は、脱脂粉乳溶解機を屋外で使用して調合作業を行っておった。第四点は、品質保持期限切れのおそれがある製品の再利用、これはまだはっきりと断定はされておりませんが、その可能性もあるということ、このあたりがどうも原因になったのではないか。そのことによって一時的に黄色ブドウ球菌が大量に繁殖をいたしまして、その産生する毒素エンテロトキシンAによってこのような被害がもたらされたものというふうに理解をいたしております。
  90. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 今の御答弁を聞いていますと、非常に雪印のずさんな製造過程が明らかになってくるわけなんですけれども、例えば検査体制というところに触れさせていただきたいんですが、七月の十一日に、札幌工場を含めまして全国工場で第三者機関による工程の点検を行うことを決定しました。  札幌工場では、十二日に牛乳乳飲料生産を停止しまして、予定では翌日、十三日より第三者機関による安全確認の検査を予定していたんですが、検査機関がなかなか見つけられないという事態発生しました。札幌市の保健所の方にも要請をしたんですが、既に一度工場に立入検査をして安全を確認したということを理由に断られてしまった。結果的には、十四日に北海道の薬剤師会公衆衛生検査センター職員が立ち会ったわけなんですけれども、一刻も早い検査が必要だというこの時期に、時間のロスというのは問題になってくるのではないだろうかというふうに指摘できると思います。  今回のような事件再発防止におきまして、農水省、厚生省、そして自治体等関係各位の連携を密にしまして、乳業工場における厳格な衛生管理徹底、そして情報公開を含めた危機管理体制の強化というのは必要だというふうに思うんですけれども、さきに挙げました指摘も含めて、この点に関して、検査体制の監督指導強化も含めて、厚生省見解をお伺いします。
  91. 西本至

    西本政府参考人 現在、雪印関係は、札幌工場も含めまして、自主点検実施されているところでございます。これの終了次第、私どもが直接現地に入りまして、各工場ごとにその安全体制が十分であるかどうかということを確認させていただくということで、八月の前半をめどに安全宣言を出していきたいというふうに考えております。  しかし、これですべて終わったというふうに私どもは考えておりません。その他の八百六十ございます全国の乳処理工場につきましても、せんだってその結果を発表したところでございますが、ここから浮かび上がってまいりましたいろいろな危機管理の問題点につきましては、私どもの重要な課題としてこれから継続的に検討を進めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  92. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 今回の事件を受けまして、自治体も非常に大きな努力をされています。  例えば北海道の宗谷支庁なんですけれども、宗谷酪農HACCP計画というのを独自に策定しようという決定をしました。この内容を若干説明しますと、宗谷管内の農協ごとに乳質などの目標値を設定しまして、そして消費者衛生管理の進捗状況をホームページなどで公表していくことで管内産生乳のイメージアップを図っていくというような、これもまた慎重に進めなければいけない計画ではございますけれども、こういった努力をして、今、牛乳そして乳製品信頼回復に一生懸命努めているところでありますので、本当に、衛生管理そして危機管理体制というのは、今回のこの事件を機に、しっかりとまた見詰め直すところは直していっていただかないと困るということを言っておきたいというふうに思います。  続きまして、現在の対応についてなんですけれども、先日、北海道に戻りまして酪農家の方にお話をお伺いしたところ、現在では、雪印の市乳工場の停止に伴いまして、雪印買い入れの予定分につきましては、関係各位の皆さんの協力によりまして、比較的スムーズに配乳調整が行われているというお話でございました。  日ごろ余乳発生の抑制に努めていらっしゃいます酪農家の方たちが安心して経営ができる環境づくりとして、現段階では、この配乳調整というのが非常に大きな対応策になってまいります。この配乳調整というのは、今現在どういうふうな状態になっていらっしゃるのか。また、配乳先の変更によりまして、例えば北海道では、配乳をする、牛乳を載せたタンクカーが夜中じゅう走り回っているという現状がございますけれども、こういった遠距離輸送に関します送乳経費の負担増というのが当然考えられますが、こういった対応はどのようにしていかれるおつもりなのか、お伺いします。
  93. 石破茂

    石破政務次官 お答えを申し上げます。  委員の北海道の現状に基づきますお話、私どももよく認識をしながら努力をしてまいりたいと思っております。  御指摘の件でございますが、生産者団体全国連及び乳業メーカー三者の連携によりまして、現在のところ、配乳調整はほぼ一〇〇%うまくいっておる、このような認識を持っております。私どもといたしましては、地域別に、そしてまた日ごとにそのような情勢をフォローしながら万全を期してまいりたい、このように考えております。  また、いわゆるかかり増し経費の御指摘かと存じます。この部分につきましては、何にしても生産者酪農家の責めに帰すべきことでは全くないわけであります。ただ、これは契約内容が生産者の負担、そしてまた工場渡しということになっておりますことも御案内のとおりでございまして、そうしますと、みずからの責めに帰すべき事由でないにもかかわらずそのようなお金を持たねばならぬ、これは極めて不合理なことだと考えております。  したがいまして、これは雪印としてきちんとして誠意を持って対応する、不当な損害を与えないということで私ども雪印指導してまいりたい、いやしくも生産者方々にこのようなことで御迷惑をかけるようなことがあってはならぬ、このように思っておる次第でございます。
  94. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 配乳体制、配乳調整を最大限の努力でやっていただく、そして余乳発生を抑制する、これは今取り組んでいただくべき最大の対策なんですけれども、今後の安全宣言をいつ発表するか、こういったことによりまして、牛乳乳製品消費の動向というのは残念ながらまだはっきりとは見えてこない、その概要が見えてこないというのが現状でございます。  したがって、余乳処理体制については今後の重要な課題となってくるわけなんですけれども、例えば、余乳が大量に発生をしまして加工に回されたような場合、加工向け乳価というのは飲用向け乳価よりも約二十円から三十円安くなってくる。そういうことが生じますと、酪農家の手取りというのは減少してきますし、経営に大きく影響してきます。また、余乳があるからといって減産するような方向があれば、一度減らしたものをまたもとに戻すようなことは非常に難しいということから、こういったケースにおいて、安定した酪農経営ができるようにしていく対策というのはどのようにお考えになっているか、この点をお伺いします。
  95. 石破茂

    石破政務次官 加工向けに回った場合にどうするかということであります。もちろん、先ほど申し上げましたように、配乳調整によりまして、そういうことを極力避けるべく私どももやってまいっておるところでございますが、ただ、この後消費がどのように振れるか、これはなかなか予測しがたいものがございます。  そこで、加工に回りましたときには、委員指摘のように、差額が生じるわけでございまして、その補てんは、第一義的にといいますか、当然雪印が負うべきものだ、このように考えております。その部分雪印が誠意を持って、責任を持って対応していくように指導してまいりたい、このように考えております。
  96. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 続きまして、時間も余りございませんので、今後の課題としまして、どのように消費者信頼回復を図っていくかというところについて質問させていただきたいと思うんですけれども、実際に酪農家の方あるいは牛乳販売店の方が一生懸命幾ら努力をしても、すぐにはそれが直接的に牛乳乳製品への信頼回復にはなかなか結びついてこないという点が、実際には関係者の皆さんのいら立ちの声だというふうに思います。本当に、信頼を失うのは一瞬で失うことができますが、それをもとに戻す、築き上げるというのは一生かかっていくような問題ではないかというふうに思うわけなんですけれども、時間はかかるでしょうが、時間をしっかりとかけて、また同時に多角的なアプローチというのを講じていく必要があるというふうに思います。  一つの視点としまして、牛乳表示の明確化という点があるのではないかというふうに思います。  今回の事件では、低脂肪乳などの加工乳、また毎日骨太などの乳飲料について中毒事故が生じたわけなんですけれども、私自身もそうでしたが、消費者にとって白いものは牛乳だという認識がまだ多く残っているのが現状だというふうに思います。ただ、誤った認識牛乳乳製品全体の消費の低迷につながっては困るという点が一点あると思います。  牛乳表示につきましては、昨年の末に、飲用乳表示に関する公正競争規約におきまして、加工乳及び白物乳飲料については、生乳を五〇%使っているものに関して牛乳という表示をするということになっておりますけれども、さらに商品の特性というのを正確に理解してもらうことによって消費者の方がきちんと選べる視点を持てるわけですね。そしてその信頼回復にも一役買うというふうに思うわけなんですけれども、さらなる牛乳表示の改善を図っていく、この考えについてはいかがか、農水そして公取にもお伺いします。
  97. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  お話がございましたように、昨年、公正競争規約が修正をされまして、生乳使用が五〇%超である場合に限って牛乳の文言の表示が認められるということでございまして、私どもとしては、これを消費者にお知らせをして、よくわかっていただく、それがまず第一歩だと思ってやっております。  お話がございますように、それでも消費者皆さんはなかなか表示について十分な理解が得られないということは、私どものその前の調査でもございましたので、そのことは念頭に置かないといけないと思います。  今回の問題についても、やはり信頼回復するために、表示をもう一度きちっとわかってもらう、これは大変大事なことだと思っておりまして、今回の事故を契機にしまして、さらにどういう形で表示をした方がよかろうか、いろいろな勉強をしないといけないと思っておりますが、とりあえずは、とにかくきちっとした正確な情報をお伝えする、これに最大限の努力を注いでいく、そういう観点から、生乳使用割合の表示、これをどうしたらいいかということで、今まさに検討をしているところでございます。
  98. 楢崎憲安

    楢崎政府参考人 先ほど農水省の方から御答弁がございましたけれども、先生御指摘のように、昨年の十二月に、従来は、加工乳につきまして牛乳という表示ができるのは、一定の成分規格を満たしている場合であったわけですけれども、さらに牛乳という文言を使うためには、原材料である生乳を五〇%超使用しなければならない、そういったものだけを牛乳というふうな表示ができるように改正したわけでございます。  私どもといたしましても、公正競争規約の運用団体でございます全国飲用牛乳公正取引協議会に対しまして、加工乳につきましては、成分生乳使用割合の表示も含めて、より一層の明確化のための方策としてどのようなものがあるかどうかということを検討するように促しているところでございまして、消費者に対する適切な情報提供という観点から、こういったことも取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  99. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 最後の質問になると思うのですけれども、実際に今後消費者に対する信頼回復を図っていくときに、やはり検査体制も含めまして、情報の透明性というのは欠かせないというふうに思います。また、消費者がきちんと選択できるような情報の提示というものも必要になってくると思うのですけれども、逆に、この信頼回復を図っていく際に、やはり工場等の徹底検査による安全宣言の発表はもちろんなのですけれども、流通関係者に冷静な対応をとるような指導またはPR活動というのも当然必要になってくるというふうに思います。  私たちが一番恐れますのは風評被害なわけです。口蹄疫のときもそうだったのですけれども、余りヒステリックな、過剰な反応をしてしまうと、本当関係のない分野まで被害が及び、ひいては北海道全体の経済にも大きく影響を与えてくるわけです。今回の原因は雪印にあったというその責任は明確になってきているわけですから、これはしっかりと時を見つつ、今回もこの雪印の問題は農水委員会でしっかりと審議をしているわけですから、余り過剰な反応はするべきではないというのが実は私の意見でございます。  酪農家の方、お話をお伺いしましたところ、一生懸命品質管理をして、搾乳をして、そして毎日搾乳をするたびにきちんと細菌の数を調べ、それを工場の方に提供する。その際に、もし品質が少しでも劣るようなことがあれば厳しいペナルティーを受けるというような中で、今回の雪印の問題が起こったことに対しまして、本当に憤りはもちろん感じております。  また、雪印乳製品を飲んで体を壊された方の憤りというのも当然なわけなのですけれども、これに今後どのような形でしっかりと対応していくのかということを話し合うのが、審議をするのが今回の農水委員会の目的であったというふうに思います。また、雪印責任等については今後の議論になってくるというふうに思いますし、また、現在のこの状況に対します対応は、農水さんの方にしっかりとしていただきたいというお願いを申し上げて、私の質問を終わります。  以上です。ありがとうございました。
  100. 宮路和明

    宮路委員長 次に、一川保夫君。
  101. 一川保夫

    ○一川委員 自由党の一川保夫でございます。  今回のこの問題、きょうの今までの質疑で大分出尽くした感がございますけれども、私の方から再確認の問題も含めて質問させていただきたいと思います。また、若干、通告の中身とずれるところもあるかもしれませんけれども、ひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  先ほどもいろいろと話題に出ておりましたけれども、今回の集団食中毒原因究明という問題は、まだちょっと最終的にははっきりしていない部分があるわけです。整理の意味でもう一回お尋ねするわけですけれども、今回のこの食中毒原因究明状況というのですか、そのあたりを再度御説明お願いしたいと思います。ひとつよろしくお願いします。
  102. 西本至

    西本政府参考人 今回のこの事件の原因でございますが、直接、症状をもたらしました原因は、黄色ブドウ球菌の産生いたしますエンテロトキシンAというものの作用でございまして、嘔吐あるいは下痢というようなものが中心でございます。  では、その黄色ブドウ球菌がどういう形で大量発生したかということにつきましては、当初は、先ほどから申し上げております逆流防止弁に黄色ブドウ球菌が繁殖して、それが、菌自身は殺菌されましたけれども、毒素が残ったということではないかということになっておりました。したがいまして、私どもも当初はこれが真の原因であるというふうに報告も受けておりましたし、そのように理解をいたしておったところでございます。  その後、警察が関係の資料あるいはまたふき取った検体等を押収いたしまして独自の調査を進めていくということの中で、小出しに市を通じて次から次へといろいろな原因に関する情報が出てきた。これが先ほど申し上げましたように、一つは移動タンクの問題でございますとか、仮設ホースの問題でございますとか返品の問題、つまり再利用の問題、こういったようなことが出てまいったということでございます。  したがって、その都度その都度、これが原因です、これが原因ですということを申し上げるのは大変危険であるということもございましたので、私どもは、最終的にすべての報告が出されるのを待って、はっきりこれが原因であったということを申し上げたいと思いますが、当初のように単独の原因でなかったということだけは、現在、ほぼ確実ではなかろうかというふうに考えております。
  103. 一川保夫

    ○一川委員 幾つかのことが想定されるということなんですが、先ほども八月の上旬をめどに云々というような話もあったと思いますけれども、大体そのあたりをめどに最終的な整理を行いたいというふうに理解してよろしいのですか。八月の何か上旬とかいうお話がありましたけれども安全宣言も含めて、今の原因究明の問題。
  104. 西本至

    西本政府参考人 まず、原因の最終的な結論と申しますのは、これはちょっと私どももはっきりわからないと申し上げるしかございません。しかし、そんな何カ月もかかるということは考えられませんので、できるだけ早く大阪市を通じて警察の方にも捜査の結果について報告していただきたいということをお願いするしかないというふうに考えております。  それから、安全宣言につきましては、雪印乳業のおやりになっている自主点検を追うような形になりますが、私どもが、私ども独自の見地からいろいろな点をチェックさせていただきまして、それらがすべて終了いたしましたら、これは二段階に分けて行います、十と十と、そして最終的には八月一日か二日に評価委員会を開いて、そこでもし何もなければ、もう安全であるということを申し上げたいというふうに考えているわけでございます。
  105. 一川保夫

    ○一川委員 今の御答弁の中でちょっと気になりますのは、原因究明というものが明らかになればそれにこしたことはないのでしょうけれども、それがはっきりしない段階でも、今おっしゃったように自主点検なり、あるいは厚生省点検なり、またそれを踏まえての専門的な方々の意見を聴取した上で安全宣言を出したいということにお聞きするわけですけれども原因究明安全宣言というのは、ある面では原因究明が十分されなくても安全宣言というものはなされるというふうに理解していいわけですか。
  106. 西本至

    西本政府参考人 このような事件を起こしておりますのは雪印乳業大阪工場でございますので、これにつきましては、先ほどから申し上げました幾つかの原因というものが想定され、そして恐らく、それらも含めてこれが複合的原因であったということになろうかと推測はされます。  しかし、現在やっておりますほかのところにつきましては、事故が起こったというわけではございませんで、やはりこの際、自主的に御点検されるいろいろなポイントについて、私どもも独自にそれをチェックさせていただくということでございますから、何も起こっていないところを念のために、確認のためにやっているということでございますので、大阪工場以外につきましては問題はないのではないかというふうに考えます。
  107. 一川保夫

    ○一川委員 そうしますと、私が今聞いた限りの理解では、大阪工場については、今回の集団食中毒の原因というものの究明がなされない限りは、安全宣言は出さないというふうに理解してよろしいのですか。
  108. 西本至

    西本政府参考人 大阪工場につきましては、雪印側のお話では、この工場自体を廃止するということでございますので、原因が究明されましても、操業が再開されるということにはならないのではなかろうかというふうに思います。
  109. 一川保夫

    ○一川委員 ちょっと素朴な疑問なんですけれども大阪工場でこういう事態発生したわけですけれども雪印乳業が会社の姿勢を正すという意味で、それ以外の工場も操業を停止したということなんですが、私も個人的には、若干ちょっと行き過ぎみたいな感じもせぬでもないわけです。  各工場ともそれなりにいろいろ切磋琢磨をしてお互いに衛生面についても十分管理をしながら、各工場ともお互いに競い合っているという面が、一つ企業の中であってもあり得ると思うのです。これは企業の判断ですから、ここでとやかく言うことでもないわけですが、大阪工場以外の工場が操業を停止したという一つの判断、それからまた、それを今の自主点検なりいろいろな厚生省点検を踏まえて安全宣言をした後に再開をするという一つ考え方があるわけですけれども、どうもそれは雪印だけでいいのかねという感じもいろいろとするわけです。ほかのメーカーであっても、当然、そういう点検なりいろいろな問題も含めて、雪印大阪工場以外が工場の操業停止をしてまで頑張っているというときには、ほかのメーカーもそれくらいの気構えがあってもよさそうな感じもしないでもないわけですけれども、そのあたりはどういうふうに理解したらよろしいですか。
  110. 西本至

    西本政府参考人 雪印以外の施設、これは八百六十でございますが、ございました。これは、かなり早い段階で都道府県にお願いいたしまして点検をしていただいたということでございます。その結果が七月十七日にまとまりまして、中間報告として出させていただいております。  なお、その結果の中で幾つか再点検をする必要があるというところも出てまいりましたので、これらにつきましては、確認作業を再度お願いいたしておりまして、七月二十四日に最終報告が出せるという状況でございます。
  111. 一川保夫

    ○一川委員 今、夏場を控えて、いろいろな面で食品衛生という問題が関心を持たれる時期であるわけでございまして、今回のこの問題を教訓にして、さらにしっかりとした行政の指導お願い申し上げたいと思っております。  そこで、厚生省にちょっとお尋ねしたいのは、現在、食品衛生に関する法制度面の、いろいろな法律に関連した制度があるわけですけれども、今回のこういった事態を踏まえて、今、既存のいろいろな法制度等につきまして、何か反省点あるいは今後の課題、そういったものについての問題意識はどのように持っていらっしゃいますか、そのあたりの見解をちょっと聞かせていただきたいと思います。
  112. 西本至

    西本政府参考人 今回の事件を通じまして一番感じておりますのは、日常の我々の監視体制のあり方、強化という点でございます。  通常の食品監視につきましては、これは法定受託事務ということで都道府県にお願いいたしまして、定期的に食品工場等を含めて食品監視に入っていただいております。  HACCPにつきましては、国の制度でございますが、国の職員が直接行って日常の監視ができないというか、やっていなかったというのが事実でございます。これもあわせて都道府県の食品衛生監視員の方にお願いをしておったということがございますので、これらにつきましては、もちろん、研修等の技術の錬磨ということもございますが、そもそも人員そのものがこれで適切かどうかということも含めて、例えば増員要求をするとか、そういうような形で私ども自身の監視体制の強化を図らねばならぬということを痛切に感じておるところでございます。
  113. 一川保夫

    ○一川委員 では、ちょっと農水省の方にお尋ねするわけですけれども、今回、この問題が発生した後の生産酪農家等のいろいろな不安感、心配に対する対応というのは、それなりに農水省も対応してきているというふうな感じで私は受けとめております。先ほど来の、これから安全宣言的なものがあるタイミングでなされていくといったときに、それから正常な状態に戻すまでの、いろいろな行政的な指導も含めて、また、関係する諸団体のいろいろな動きがあろうかと思うのですけれども、そのあたりに対する基本的な考え方はどのように考えていらっしゃいますか。政務次官、ひとつよろしく。
  114. 石破茂

    石破政務次官 安全宣言が出て、それでよかった、よかったということですぐ消費が戻るかどうか、それはもう予測ができません、正直申し上げて。  ただ、一方で、先ほど来申し上げておることの繰り返しになりましたならば失礼なことで、お許しをいただきたいのですが、ことしは非常に暑い、ほかのメーカーのものは大変売れている、かなり逼迫状況だということもあるわけでございます。  ただ、これは予測は不可能でございますが、何にいたしましても、安全宣言が出た以降は、本当にこれがいかに安全なものであるか、そしてさらに、きのう厚生白書にもそういうような記述があったように私は記憶をいたしておるのですけれども、健康にもいいものであるか。その点は、メーカー、団体とも一体となりまして、あるいは政府も費用負担をいたしまして、PRみたいなことをやっていかねばならぬだろうというふうに思っております。相当の努力をいたしまして、万全を期してまいりたいと考えております。
  115. 一川保夫

    ○一川委員 今回、この配乳問題対策としては、割と円滑にいっているというふうにお聞きするわけです。  では、これが今、安全宣言がなされ、雪印サイドもそれなりに操業を再開するということであれば、当然ながら、もとのルートでまた配乳されていくと思いますけれども、そのあたりに対して行政側はどの程度関与をされておるのですか、ちょっとお聞きしたいと思うのです。
  116. 石破茂

    石破政務次官 配乳につきましては、適切に変更がなされるように指導をしておるということでございます。  先ほど答弁の中で申し上げましたが、九九%、ほとんど一〇〇%、配乳の変更が今のところ円滑にいっておる、このような認識でございますし、その実情は、日々正確なデータを私どもは取り寄せて、万一そこに配乳の狂いがないかどうか見ておるわけでございます。  なお、これも余計なことかもしれませんが、これから先、雪印が操業をする、そうなった場合にどうなるかというようなこともよく認識をしていかねばいかぬのだろうと思っています。ただ、それが生乳ではなくて加工に回った場合にどうしましょうかねということまで、全般的には視野に入れてやっていかねばならない。  ただ、これは、第一義的な責任というのでしょうか、とにかく雪印責任があるわけです。ですから、私どもとしては、雪印に対しまして、生産者皆様方であるとか販売店の皆様方であるとか、とにかく御迷惑をかけることがないようにと、この指導をしてまいるというスタンスでございます。
  117. 一川保夫

    ○一川委員 では、今後の問題になるわけでございますけれども、先ほどもちょっと厚生省にお尋ねしましたが、今回のこういった問題の経験の中で、農林水産省としまして、酪農乳製品関係を扱うという農林水産省一つの大きな、行政の中の柱でもあるわけですけれども食品衛生というような問題に関連しまして、いろいろな教訓があろうかと思います。特に今、農水省としてのいろいろな法律あるいは制度面で、今回のこういう事態を踏まえて、今後こういうことをちょっと再検討したらどうかとか、あるいは点検しながら見直すところは見直していきたいというようなところの問題意識があるのかどうか、そのあたりをちょっとお聞きしたいんです。
  118. 石破茂

    石破政務次官 今回のことが、今行われております法体系、また制度、それに起因をしておるとは、私は認識いたしておりません。今まで酪農をめぐりますいろいろな法制度、委員案内のとおりであります、それに起因したから今回の事件が起こったという認識はいたしておらぬので、これは全く別物だというふうに認識をいたしておるわけでございます。  しかしながら、あえて申し上げますと、消費者皆様方に安くておいしくて安全な牛乳を提供する、これが一つあります。生産者皆様方に対しましては何をお願いしなければいかぬかというと、これはもう経営の安定ということをお願いしていかねばならぬであろう。そしてまた、メーカーに対しましては、これがあるいは教訓なのかもしれません、当たり前のことですが、衛生管理水準のさらなる向上、そして、やはり経営体質というものも上げていかねばならぬであろうというふうに思っております。  それは、今回のこと云々とはかかわらず、私どもは追求をしていかねばならぬことでありまして、そういうことを目指しながら、この三つの目標を全部達成いたしますように、引き続き努力してまいりたい、このように思っております。  なお、先ほど来御指摘がございますように、表示はどうなんだいということは、あるいは今回の教訓の中で制度として検討すべきものなのかもしれません。しかし、今申し述べましたことは、今回のこととかかわりなく、私どもは今までも進めてまいりましたし、今後も鋭意努力をしてまいる所存でございます。
  119. 一川保夫

    ○一川委員 今の御答弁で農水省のこれからの取り組み姿勢というのは大体わかっているわけですけれども、再度確認意味で御質問するわけです。  今回のこの問題が、直接、農林水産省酪農関係、畜産関係の行政の方向づけを変えるというものではない、それは私も十分理解できますけれども、例えば、今回、こういうことによって乳製品等に対する需要の動向の見通しが若干不安定さを増してきたのかなという感じもしないでもないわけですし、当面、そういう面では需要が落ち込む危険性もあるわけです。そういうことをいろいろと考えますと、もともと、農林水産省の行政の中でも、酪農、畜産関係あるいはこれに関連する関連産業といったものは決して万全なものとして動いているわけじゃないと私は思うんです。  そういう面で、今回の問題を一つのきっかけにしまして、酪農、畜産関係農林水産省の行政をもう一回点検しながら、本当に、生産者側も乳業者方々も、あるいは消費者皆さん方にも安心していただけるような、そういう一つの施策の展開に向けてしっかりとした取り組みをしていただきたいと思います。そのあたりの決意のほどをもう一回お聞かせ願いたいと思います。
  120. 石破茂

    石破政務次官 繰り返しのお答えになりましたら、お許しをいただきたいと存じます。  先ほど申し上げましたように、生産者皆さん方、そして乳業者方々消費者方々、この三つの方々に御納得いただけるようなことをやっていかねばならぬわけです。しかし、それが全部きちんと成就をするかというと、相矛盾する場面も出てくるわけですね。みんながみんな丸くおさまってうまくいくなんという話は世の中に余りないわけでありまして、その辺をどうしていくのかなということを考えていかねばならぬ、そこは今回の課題だろうというふうに思っております。  牛乳消費というものはふやしていかねばならぬ、そして、バターの消費というものも拡大をしていかねばならぬということでございますけれども、それが、生産者の手取りがどうなっていくのか、メーカー経営がどうなっていくのか、消費者にきちんとした選択の機会を与えるのか、そのこと一つ一つ点検をしていかねばならぬというふうに思っております。  一つだけがいいという話は世の中にはございませんで、これは今回、加工発生してバターがたくさん余った、それではどうするのということから、では生乳をふやしましょう、そうすると、経営はどうなるの、生産者の手取りはどうなるの、そういう問題が全部連関をしてくるものだというふうに考えております。  委員各位の御指導を仰ぎながら、全般的には本当にいい方向を目指してまいりたい、そのように思っておる次第でございます。
  121. 一川保夫

    ○一川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  122. 宮路和明

    宮路委員長 次に、中林よし子君。
  123. 中林よし子

    ○中林委員 私は、質問に入る前に、先ほどから参考人の問題が挙がっておりますが、委員長に重ねて、やはりこの委員会姿勢が問われるだろうというふうに思います。だから、雪印側の役員の方、責任ある方、そして、今酪農方々、大変困難ですから、当然この農林水産委員会というところでは、生産者団体などの御意見をお聞きする。きょうそれができれば本当によかったというふうに私は思うのですけれども、とても遺憾だと思いますので、委員長に、引き続き、ぜひこの委員会雪印側の責任者の方あるいは生産者団体の方にお話をお伺いする機会をつくっていただくよう御努力を願いたいと思います。
  124. 宮路和明

    宮路委員長 ただいまの御指摘の問題につきましては、引き続き当委員会理事会において協議を進めさせていただきたい、かように思っているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  125. 中林よし子

    ○中林委員 それでは質問に入りたいと思います。  日本共産党は、七月七日に大阪工場関係者らから事情聴取するなど、調査を行ってまいりました。そして、それに基づいて、七月十一日には内閣に対して五項目の申し入れを行いましたので、それを踏まえて質問をしたいというふうに思います。  まず、厚生省質問いたしますが、戦後最大の食中毒事故大阪工場は引き起こしたわけで、今回の食中毒事故を起こした雪印乳業企業責任は重大です。その社会的責任を果たさなければならないことは言うまでもないわけですけれども、二度とこういう事故を起こさないためには、事故の原因の解明が必要です。  大阪工場の実態は、食品衛生以前の驚くべき状況が明らかになっております。例えば、みずから定めたマニュアルさえ守らないで、二、三週間もバルブの洗浄をしてこなかったとか、返品された製品を再利用するため、開封作業を手作業で、配送委託業者に行わさせていたという問題。それから、期限が一カ月以上過ぎていたものもあって、作業前に手を洗う習慣もなくて、作業員が飲み切れなかったものもそこに注ぎ込んでいた。しかも、その注ぎ込む小型タンクには冷却装置もないというありさまでした。HACCP認定工場でこんな食品衛生以前の行為がなぜ行われていたのか、それを明らかにしなければなりません。  報道では、過酷な労働実態の中で安全面がなおざりにされてきた、あるいは、高温殺菌で最終処理するから多少不衛生であっても大丈夫なんだという過信があって、衛生感覚が麻痺していたのではないか、こういう指摘があるわけです。  そこで、厚生省は、これらの事実をどのように把握しているのか、そして、それをどう分析しているのか、まずお答えいただきたいと思います。
  126. 西本至

    西本政府参考人 直接人体に与えた影響につきましては、黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンAの作用であるということでございます。それを引き起こした要因というのがございます。それが今、先生がいろいろ御指摘なさいました点、これは警察から大阪市を通じて私どももお伺いをいたしております。  繰り返しになりますが、手洗浄で行っている逆流防止弁の洗浄のまずさ、頻度の少なさ、それから仮設ホースの洗浄不足、あるいは脱脂粉乳溶解機による屋外での調合作業、また品質保持期限切れのおそれのある製品の再利用等でございます。これらを食品衛生監視の段階で発見できなかったということになりますと、これは、私ども大阪市に対して委託をいたしております食品監視ということで、食品衛生法上の問題が生じるわけでございますので、これらについては率直に反省をいたしまして、このようなことが二度と起こらないようにやっていかなければならないというように考えております。
  127. 中林よし子

    ○中林委員 今のお話ですと、警察の報告あるいは大阪市の調査の結果でというようなことになるわけですが、厚生省自体としてはこの事実確認は行っているのですか。
  128. 西本至

    西本政府参考人 初期の段階のバルブの洗浄不備という点につきましては、私ども大阪市と一緒に現地に立入調査をいたしましたときに確認はさせていただいております。  しかし、それ以後につきましては、何度も申し上げますが、警察の方で押収をされておるということでございますので、私どもは直接伺っておらないということでございます。
  129. 中林よし子

    ○中林委員 これは、私、重大な問題だと思います。  例えば、返品されたものもとても聞くにたえないような実態があったわけです。それは、厚生省自体としても食品衛生観点から事実関係はきちっとつかんでいく必要がございます。これは報道でございますし、従業員の投書が載っていたわけですが、労働強化の中で、とてもじゃないけれども、そういうマニュアルなど守られるような状況ではないということになれば、その点も今後の改善策に生かさなければならない、そういう観点だと思いますので、厚生省自身、国の機関として事実関係を当然把握すべきではないのか、このように思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  130. 西本至

    西本政府参考人 何度も繰り返すようで恐縮でございますが、ある段階でもう警察の方で立入禁止という形にされておりますので、初期のバルブの洗浄の確認作業までは私ども、できましたけれども、それ以降については直接私ども原因究明をするということができない、あるいはまた、作業員の方々を直接我々が尋問するというようなこともできないということでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
  131. 中林よし子

    ○中林委員 私は、今回、これだけ、一万四千人を超える、戦後最悪の状況を引き起こした、厚生省としての取り組みとすれば極めて不十分だというふうに思います。  そこで、事実関係確認したいというふうに思います。  食品の安全性が最も高度に確保されなければならないHACCP認定を受けた施設で起こった大規模な食中毒事故であるわけですから、私ども大阪調査したときに、雪印乳業は、雪印乳業大阪工場HACCP認定の申請の際、細菌が増殖したとされる製造ライン、T47という低脂肪乳のタンクに接続するラインを管理ポイントから外して、隠したまま申請したことを大阪工場責任者が明らかにしています。  一体、なぜこのようなことが起きたのか。大阪工場関係者は、余乳を予備タンクに戻すことはどこの乳業メーカーでもやっている、温度管理もされていたことからあえて管理ポイントには載せなかった、また、仮に管理ポイントにすると、膨大な書類が必要だからやめたんだ、こういう説明をしております。  厚生省としては、なぜ添付書類からこれが落ちたのか、あるいは、T47のタンクを含め、すべての製造ラインは添付書類の中には含まれていたのではないかというふうに思うんですけれども、この事実関係はいかがでしょうか。簡単にお答え願います。
  132. 西本至

    西本政府参考人 雪印乳業HACCPに係る承認平成十年の一月十九日に行っておりますが、その際、今回問題となっております四十七号タンクにつきましては、製造機器の仕様書及び施設の平面図ともに具体的な記載はございませんでした。そして、接続するパイプラインも記載をされておらなかったということでございます。また、仮設ホース、移動式の脱脂粉乳溶解機につきましても承認申請には含まれていなかったと承知いたしております。
  133. 中林よし子

    ○中林委員 雪印乳業の方はすべて添付書類の中に、これは事前に厚生省にお聞きしたら、ちょっと印みたいなものがあるような、何か図面みたいなものはあったというふうにお伺いしたんですね。それは仮設トイレかなと思ったんだというようなお話もあったんですが、ただ、申請書類のチェックポイントの添付書類にはそこは故意にやはり落としていたということは明らかです。  これを、どこの乳業メーカーもやっていることだということになれば、厚生省承認を与えるときにこれがないということは不思議だと思わなければならない、そういうことだと思うんですね。だから、申請の審査の際に現場も点検するわけですから、そういう重大なものが落ちていたということは、私は厚生省側のミスであろうというふうに思います。  そこで、厚生省の、審査するときの専任の人間がわずか一人だ、兼務している人が五人で、六人しかこの審査の体制がないということで、体制面から考えてみてもざる的なやり方をしていた。  これは、平成十年一年間の、どういう承認をしたかというのがすべて出ているのがあるんですが、物すごい件数ですよ。それを、専任は一人、兼務は五人、あとは都道府県に委託をしているんだということでは、とてもじゃないけれども、厳密な審査など、HACCPというのは、これで衛生は万全だということで、いわばその工場の売りになる、一番大切なところですよね、そこの、一番責任ある政府の所管のところが、こういう弱体な体制では当然やっていけないのじゃないかというふうに思います。厚生省として、今回、このHACCP承認をめぐっての責任をどのようにお考えになっているのか。  それから、これまでの審議の中でも明らかになりましたけれどもHACCP後の検証の仕方、これもちゃんと通達で検証するようにはなっているんですけれども、これもまたずさんだったということが明らかです。それをやっていれば今回のような事態にはならなかった、早目に発見できていたということが言えると思うので、その点について厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  134. 西本至

    西本政府参考人 HACCPにつきましては、導入時点から、それぞれの製造者が自分たちで定めたより高度な衛生管理をみずからやるという前提に立っておりましたので、承認の際にも、私ども、正直申し上げまして、申請者側に一定の信頼を置くということを前提として行ったことは事実でございます。  したがいまして、今回のようなことが起こりました以上は、やはり、審査の体制、承認後のチェック、あるいはまた、実際に今御指摘がありましたような、審査員も非常に少ないというような実態も踏まえまして、いろいろな角度から改善をしてまいらなければならないというように考えておるところでございます。  詳細につきましては先ほど申し上げましたようなことでございますが、例えば現地調査をもう少し厳しくやるとか申請書類をもう少し厳密にするとか、いろいろな点があろうかと思いますが、そのようなことを考えておるところでございます。
  135. 中林よし子

    ○中林委員 HACCP承認の見落とし、それからその後の点検の仕方のずさんさ、そういうことが、そのツケが結局、国民に対してこれだけの被害を与えたという責任政府としても十分認識をしていただかなければならないし、今後の厳しい方針も出てこないんだろうというふうに思います。  そこで、今回明らかになった点で、もう一つ重要な問題は牛乳の返品問題です。雪印乳業大阪工場のみならず、ほかのメーカーも含めて、多くの工場加工乳原料に返品の加工乳を使っていたり、スーパーからの返品牛乳をタンクに戻したりしているわけで、今回、この返品牛乳が汚染源になっていた可能性が指摘されております。この問題を厳格に考える必要があるというふうに思うんです。  例えば、温度管理がきちんとされていたとしても、スーパーなどの店頭に並んでいる牛乳パックは不特定多数の人の手で触れられているわけで、さまざまな雑菌が混入する、そういうおそれがあります。だから、その牛乳パック表面が汚染されているようなものを開封してタンクに投入するなどということはもってのほかだ。現に食品衛生法違反だということだと思うんです。  厚生省は、加工乳等の製品の再使用についてということで通達は出されてはいますけれども、これではまだ不十分だ。一たん製品として出たものをもとに戻すことはしてはならないという厳密な通達が、重ねてメーカー側に必要なのではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  136. 西本至

    西本政府参考人 食品衛生法に基づきまして、御指摘のように、乳及び乳製品成分規格等に関する省令というもの、いわゆる乳等省令と呼んでおりますが、これによりまして、牛乳使用を促進するという観点から、加工乳原料として加工乳使用するということは認めておりません。  それで、一度店頭に並んだ牛乳、そういったものは、もう明らかに衛生管理状況が不透明である、不明であると言わざるを得ません。このようなものを回収して再利用するというようなことは、食品衛生上支障のない原材料を選択する観点から申し上げて当然のことでございまして、私どもとしては、これは改めて通知するような問題ではないように思っておるのが正直なところでございますが、とにかく何かの形で徹底はしていかなければならないというふうに思っているところであります。
  137. 中林よし子

    ○中林委員 日本共産党のこの対策のプロジェクトチームの一員が京都工場を訪れました。このときに、一たん出たものが返ってくるんです。確かに温度管理はされているんですけれども、返るのは当然だ、返品はということを言っているんですよ。それだって、人の手に触れるおそれというのは非常に濃厚だというふうに私は思います。  だから、私は、今回、雪印乳業のこういうずさんな衛生管理の問題が明らかになったんですから、あえてここは厚生省として厳密に、一たん製品として出たものを再利用することはだめだということを要求しなければだめだというふうに思います。  第一、厚生省が七月十日にすべての工場を検査した。大阪工場を除いては安全だったということを表明されました。これは、私は決して安全宣言だとは思いません。  しかし、雪印乳業は各販売店に対して、本日厚生省より、大阪工場を除く全国の市乳工場すべての安全宣言が出されました、御安心してお買い求めいただけることを御報告いたします、こういう大々的なことをやっているんですよ。だから、私は、厳密な厚生省指導が必要だというふうに思いますが、重ねてもう一度お答え願います。
  138. 西本至

    西本政府参考人 七月十日の保健所職員によります点検の結果を公表したことについてでございますが、この段階では、実は東京の日野工場あるいは静岡工場につきましては、やはり洗浄の問題あるいは記録が不十分であったという指摘をいたしております。したがいまして、全雪印工場に対して安全宣言をしたというわけでもないわけでございます。  この段階では、初期の原因であると言われておりましたバルブの洗浄の問題、これが非常に大きな問題でございましたので、保健所の職員皆さん方には、この点を中心に厳しくチェックをしていただきたいということを特にお願いしたわけでございまして、それ以外につきましては、他の、先ほど申し上げた二工場以外については安全であったということが言われたのが実態でございます。  それから、改めて、いわゆる一たん店に出たものを再利用してはならないという通知を出すかどうかという問題につきましては、検討させていただきたいと思います。
  139. 中林よし子

    ○中林委員 時間が来て、農水省の方に、販売店の補償の問題、それから、酪農家に対してこれ以上負担をさせない問題。簡潔にですけれども、農水省としての、販売店は本当にノイローゼになるような状況なんですね。だから、販売店から、いろいろ融資だとか、そういうのはあるんだけれども、補償がないということでは、農水省がやはりしっかりした対応をしていただかなければならない。  それから、酪農家に対してはやはり被害の補償はしっかりやっていただかなければならない。雪印側に農水省として強い要望をしていただかなければならないというふうに思うのですが、いかがでしょうか、大臣
  140. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいま御指摘いただいた問題は大変重大な問題だと受けとめておりますけれども、やはり雪印乳業自身がどこまでの誠意ある態度を示すかということが問題でして、政府がすべての責任を負うということはおかしいと思うのです。やはり会社が企業負担として責任を負うのが当然であり、その当然な責任雪印がどういう形で、どういう立場で負うかということを我々に示してもらいたい、こう思っております。  ですから、今のお話については、私どもは非常に関心を持っておりますけれども、その関心は、ただ政府責任を持つという関心でなしに、企業責任に大きなものがあるということを前提として、その上で我々も責任を感じなければならないというふうな気持ちでございますので、よろしく御判断いただきたいと思います。
  141. 中林よし子

    ○中林委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、当然、第一義的には雪印ですよ。そこにちゃんと農水省が窓口になって対応していただきたいという点です。  それから、きょう麦価審議会をやっているのですね。大臣に最後に、自給率を上げていくためにはやはり麦価の引き上げ、これがなければできないと思うのですね。その点についての、大臣の引き上げ方向の決意をお聞きしたいというふうに思います。
  142. 谷洋一

    谷国務大臣 ただいまの問題につきましては、いろいろと御意見があろうと思いますが、私どももやはり現在、麦価の問題を取り上げておりまして、米価審議会で審議をしておるわけでございますが、当委員会があるために、私どもは、この委員会が終わってから顔を向こうに出したい、こういうつもりで当初からその連絡をさせていただいております。  そこで、私どもは、やはり主食の米以外に麦とか大豆、そういうものを十分主食代用に役立てるということは、日本の食生活の特性から考えまして当然なことでございますから、そういう問題についても真剣に私どもは取り組むことが当然なことだ、こう思っております。
  143. 中林よし子

    ○中林委員 済みません、時間が過ぎまして。終わります。
  144. 宮路和明

    宮路委員長 次に、菅野哲雄君。
  145. 菅野哲雄

    ○菅野委員 社会民主党の菅野哲雄でございます。  今回の雪印乳業の問題によって一万五千人もの食中毒患者が発生したことはまことに遺憾なことと思っております。被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。それとともに、国民に大きな不安を与えた事態を、私どもも含めて深刻に受けとめていかなければならない大きな問題であるという立場に立って、これから幾つか質問をさせていただきたいと思います。  そして、農林水産委員会ですから、私は、基本的に酪農の問題、今回起こった酪農の問題あるいは加工メーカーの問題、そして消費者の問題、トータルに考えて、この業界全体を本当に、陥れるのではなくて、維持発展させていくためにどのような形で今後やっていかなければならないのか、農林水産省の考えをきちっと聞いておきたいというふうに思うのですね。  一つには、このように一度に一万五千人もの食中毒患者が起こったことについて、起こるべくして起こった事態ではないのか。先ほど各委員から、厚生省原因究明については質問されましたからその点については私は触れません。ただ、効率性を余りにも追求するがゆえに、一極集中という形を、牛乳生産団体も含めて、各メーカーも含めて、農林水産省として農業食料基本法の中にも明示しながらそういう方向を追求してきたがゆえに、一回に一万五千人もの方々食中毒一つ工場から遭われる、そういう姿になっているのではないのかなと。一つ工場から一万五千人にも及ぶ食中毒患者が発生するという事態は、私は効率性を追求してきているがゆえに起こる事態ではないのかなというふうに思っています。  それで、この点を少し明らかにしておきたいと思うのですけれども農林水産省にお聞きしたいと思うのです。これまでの生乳価格の実態、ここ数年さかのぼって推移を教えていただきたいし、そして、牛乳の価格がこの数年どういう価格、値段をたどっているのか、この点についてまず答弁をお願いしたいと思うわけです。
  146. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  まず小売価格でございますけれども、この五年間ほどを見ますと、若干の変動はございますが、リッター当たり、まず、いわゆる牛乳でございますけれども、百八十八円だったものが百八十三円、それから加工乳につきましては、百六十一円から百五十一円という傾向をたどっているところでございます。五年間と申し上げますのは、平成七年の四月から平成十一年の三月のデータでございます。  それから生産者の手取り、これは何で示すかというのは、いろいろありますが、一つは、私どもの方の統計情報部で公表いたしております総合乳価というものがございます。これには飲用乳価とか加工原料乳価等の乳代のほか補給金、奨励金等が含まれておりまして、これはその時々の仕向け先がどうなるかということで非常に短期間でも上下いたしますが、五年間の長いレンジで見てみますと、キログラム八十五円程度から八十二円ほどになっているところでございます。  なお、いわゆる乳価と呼ばれているものがございまして、これにつきましては、近年、飲用乳価の方は据え置きということで推移をしておりますし、加工原料乳の保証価格は、保証価格本体は低下をいたしておりますが、関連対策を講じておりまして、生産者の実質所得という面は確保されているという状況にございます。
  147. 菅野哲雄

    ○菅野委員 小売の値段、百八十八円から百八十三円、そういう推移をたどっているということ、このことはどこに原因が、先ほど民主党の委員さんも質問しているのですが、要するに、長いスパンを見ると、価格上昇をしていないのが卵や牛乳であるということはみんな承知しているわけですね。そして、そのことが、流通段階、小売段階あるいは消費者ニーズも安くということが追い求められているという実態だと思うのですね。  そうしたときに、こういう消費者ニーズがあるわけですから、それにこたえるために生産者の所得補償も保障していかなければならない。そういうときに各メーカーがどういう努力をしなければならないのか。これは、先ほど政務次官が答弁しているのですが、安全というものは絶対に守らなければならないという大義、絶対的な危機管理条件にもかかわらず、この部分が今脅かされてきつつあるのではないのかなということを私は指摘しておきたいと思うのです。  そういう意味においては、そういう状況にあるから一度に一万五千人もの食中毒患者が出た、そう考えたときに、もう一回、消費者も含めて、この価格体系というものを総洗いする必要があるのではないのか、そして、安全性を重視するがゆえに、この寡占性というものを農林水産行政の中で見直していく必要があるのではないのか。  農林水産省からいただいた資料の中には、集乳量でいうと、雪印、明治、森永、三社計で集乳量で四一・四%という状況になっているのですね。地方でつくって、その他の部分が五八・六%という資料に基づいています。この部分をやはり地方の乳業メーカー、中小の乳業メーカーも育てていって、そしてそこから、地域生産されたものが地域消費されるような体制を再構築していく必要があるというふうに、今回の雪印乳業の問題が私たちに示しているというふうに私は思えてならないのですけれども、これらを今後どのようにしていくのか、答弁をお願いしたいと思います。
  148. 石破茂

    石破政務次官 あるいは、委員の御質問を十分理解できずに御答弁申し上げたらお許しをいただきたいと存じますが、私は、今回、一万五千人の方々が患者として発生をされたことが、政策に起因するものだとか制度に起因するものだとか、そのようには理解をいたしておりません。  それ以前の問題であって、何にしても、大きかろうが小さかろうが、大メーカーであろうが中小零細メーカーであろうが、安全をきちんとやるというのは当然のことなんです。大きなメーカーで利潤を追求してコストをどんどん下げてきた、結果としてこのようになったというようなことは、もう言いわけでも何でもないわけであって、そのようなメーカーは言語道断であります。それは当然、消費者の裁きを受けることにもなるのでありましょう。  それから、そういうようにしてきた結果としてこのようなことが起こったというような議論は、私はいかがなものなのかな、それ以前の問題ではないかなというふうに思っておるわけでございます。  しかしながら、委員指摘のように、地方の乳業メーカーを育成していかねばならぬ。これは、地方の乳業メーカーだから安全だとか、そういうようなお話ではないのだろうと思っています。地域でつくった牛乳地域の人たちで消費をできるように、生産者消費者が目で見えるようなつながりを持たねばならぬ、こういうようなお気持ちではないかというふうに拝察をいたすわけでありまして、それはそれで大事にしていかねばならぬ。  私どもは、再編の計画を今立てておりまして、推進をいたしておるところでございます。それは、地域乳業の経営体質の強化でありますとか品質の向上でありますとか、そういうものを目的としながら、地域の実態に即して乳業の再編合理化をやっていきたいということをやっておりますけれども、それがそのままそういうようなものを排除するものでも何でもございません。それはそれできちんとした健全な発展をしていただきたいと思っております。しかしながら、同時に経営も強化をしていただきたい、安全性も高めていただきたい、それで再編合理化をしておるわけでございまして、それらの目標はそれぞれ矛盾をするものではございません。
  149. 菅野哲雄

    ○菅野委員 私が言うのは、一度に一万五千人も食中毒患者が出るという実態は、一メーカーの問題ではなくてシステムから起こってくる部分もあるということだと思います。  それで、雪印が今、問題になっているのですけれども、明治や森永乳業においてもどんどん小売価格が下がっている実態が明らかになりました。これも今後、小売価格が上がっていく、消費者に負担を求めていく傾向にあるというのであれば、私はここの心配はする必要はないと思います。生産者も所得補償が十分になされていく、その中で、中間のメーカーが自助努力経営効率を上げなければならない実態に今置かれているのじゃないでしょうか。  そして、小売価格の低下をもたらしている原因というのがどこにあるのかということも含めて、農林水産省としてこの原因究明を、実態把握をする必要があるという立場に私は立っているのです。その価格形成がぴしっと正常な形でなされているということであれば、こんなことは問題にしません。これからの、量販店も含めて、どういう形で牛乳の末端価格、小売価格が形成されていくのかも含めて、大きな議論を私は要するところだというふうに思っています。  そういう立場に立つならば、今後二度と起こらないというところを、農林水産省としてきちっとしていく体制をどうつくるかといったときに、私は、今、政務次官がおっしゃったように、地域生産されたものが地域消費されるような、流通体系も含めて、メーカー体系も含めて再構築する必要があるのではないのかなという主張をしているわけです。この点を十分理解していただいて、今後の農林水産行政の展開を図っていただきたい。この辺についての再度の見解をお聞きしておきたいと思います。
  150. 石破茂

    石破政務次官 乳価の決め方は、先ほど局長の方からも御説明を申し上げました。委員案内のとおりでございます。  乳価がどのようなものであれ、安全性に万全の配慮をしますのは、メーカーとして最低の義務だというふうに思っております。しかし、現在の乳価のやり方は、私は私なりの見解を持っておりますけれども、それは、極めてきちんとした計算式に基づきまして、支払い可能乳代があって不足払いをしておることも御案内のとおりでございます。  ですから、そういうようなものの中で、これから先、再編も含めどのように考えていくか、また新しい価格の決め方というのも議論をしておるところでございます。そういうような中で、委員の御指摘も踏まえながらやっていきたい。しかしながら、安全性を確保するというのは、それ以前の問題であるというふうに考えております。  御指摘は踏まえながら、今後の議論にさせていただきたいと存じます。
  151. 菅野哲雄

    ○菅野委員 最後になりました。  私は、こういう事態発生したことによって、生乳生産体制に大きな影響を及ぼす、今後及んでくるというふうに考えざるを得ないのですけれども、そこを乗り越えて、維持発展させていくような農林水産行政の展開を強く望んでおきます。先ほどから多くの方々から議論がございましたけれども牛乳販売店の人たちが今困っているわけですから、そこにどのような支援策をしていくのかも含めて、農林水産行政の今後の展開に混乱のないように、そして、生産者本当に、こんなことになってということを言われないように、きちっとした体制をつくっていただきたい。このことを最後に要望申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  152. 宮路和明

    宮路委員長 次に、上川陽子君。
  153. 上川陽子

    ○上川委員 21世紀クラブの上川陽子でございます。  今回、選挙で静岡一区から初当選をさせていただきました。農林水産委員会に所属させていただきましての初めての質問でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  牛乳は、赤ちゃんからお年寄りまで、健康の糧として、学校、家庭、職場で毎日飲まれている一億人の健康食品です。今回の雪印食中毒事件では、被害者が一万五千人にも達し、健康の源であるはずの牛乳が逆に国民の健康を害してしまう結果となりましたことは、多くの消費者に少なからぬ衝撃を与えました。とりわけ、今回、事件の加害者が、これまで長く信頼の代名詞でありました雪印ブランドであったこと、そして、事件の原因が、食品業界のイロハでもあります衛生管理上の初歩的なミスによってもたらされましたことは、衝撃をさらに大きなものにしました。  しかし、問題の雪印大阪工場が、食品製造工程の安全性を国に保証されたいわゆるHACCP承認工場であったため、今回の事件は、単に雪印だけの問題にとどまらず、食品衛生管理に関する国の姿勢が問われていることを意味しています。  私の地元静岡市でも、雪印の静岡工場が閉鎖されました。夏場の需要期でもあり、また、学校給食が昨日終わった時期でもあり、生乳を供給する酪農家皆さんからは、九月の需要期に向けて問題の早期解決を希望する声が聞かれます。問題が長期化しないように、一日も早い安全宣言が期待されるところでございます。以上を踏まえまして、御質問をさせていただきます。  まず、厚生省にお伺いいたします。  雪印事件発生し、食品の衛生管理のずさんな取り扱いが明らかになるにつれ、消費者は、雪印製品のみならず、あらゆるメーカー牛乳乳製品安全性についても疑念を感じています。現在、国による検査が実施されていることではございますが、最終的に安全宣言はいつごろの時期に出されるのか、再度お伺いさせていただきます。
  154. 西本至

    西本政府参考人 全国八百六十カ所の乳処理施設の点検結果につきましては、七月二十四日に最終報告を出すことといたしております。これは確認のために行っているものでございますので、恐らく、これに何ら問題がないということが判明いたしますれば、これが事実上の安全宣言になろうかと思います。  また、問題のありました雪印乳業株式会社につきましては、八月三日ないし四日にすべての私どもによる調査が終わりますので、この段階で安全宣言が出せるかと考えております。  なお、現在、流通いたしております牛乳については安全であると私どもは考えております。
  155. 上川陽子

    ○上川委員 これから問題が長期化しないためにも、そして、風評被害が起こって消費者牛乳離れが生じないためにも、本当に一日も早い安全宣言を必要とするわけでございますが、農林水産大臣としては、この問題に対しましてどのようにお考えなのか、一言お伺いさせていただきたいと思います。
  156. 谷洋一

    谷国務大臣 今回のこの雪印問題が起きまして、大変私はショックを受けております。大メーカーがこんな状態なのかという、ある意味では大変我々自身が反省をしなきゃならぬ問題もありましょうし、また、乳業メーカーもこれをもって反省を特別にしていただきたいという気持ちを持っております。  また、それと同時に、生産者酪農家皆さん方も、的確に良質なものを消費者に供給するという原則をあくまでも曲げることなく今後も続けていただきたいなということを考え、いろいろな問題をいろいろな方面にわたって反省をするいいチャンスじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  今回の事件を契機といたしまして、より酪農界が発展をし、そして消費者皆さんが、牛乳離れあるいは牛乳関連のものから遠のくということでなくて、むしろ積極的に国民の健康管理のためにこれをお飲みいただき、また使っていただく、こういう方向に持っていくように今後、努力していきたいと思っております。
  157. 上川陽子

    ○上川委員 今回の問題が本当に早期に解決するように、一致団結して取り組んでいただきたいというふうに思っております。  次に、雪印乳業大阪工場製造過程におきましては、厚生大臣からHACCP承認を受けているということでございまして、先ほど申し上げましたとおりでございますが、にもかかわらず、ずさんな衛生管理によりまして今回の事件発生いたしました。  承認を与えた厚生省としましては、このHACCPそのものについて、どのようなところに問題があったとお考えなのか、そして、もし問題があったとするならば、それをどのように改善しようとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  158. 西本至

    西本政府参考人 HACCP承認施設であります雪印大阪工場からこのような事故発生いたしましたことにつきましては、担当しております厚生省といたしましては、まことに遺憾であり、その責任を痛感しているところでございます。  このHACCP制度を導入することを検討いたしました平成六年当時、昭和四十七年以来の食品衛生法の改正を検討いたしておりましたが、より厳しい食品衛生法にするよりは、当時の規制緩和の流れを受けまして、自主的に企業の方が行っていただける高度な衛生管理の方式を採用した方がいいという意見がございまして、それでこれを導入してきたという経緯があるわけでございます。  したがいまして、HACCPを導入いたしますにはそれなりのコストもかかるということで、これを一斉に義務化するというのは現実的ではないのではないかということがございまして、少なくとも食品衛生法の基準等は完全にクリアしていることを前提条件とした企業についてHACCPがやはり申請されてくるであろうというふうに私どもも考えておったわけでございまして、その前提となる食品衛生法の違反が今回いろいろ出てきたということに、強い衝撃を受けているわけでございます。  したがいまして、今後は、仮に大企業であれ、HACCP承認申請が出ましても、その以前の食品衛生管理がきちっとできているかどうかということも疑って承認をしていくということが必要になろうかと思います。その意味で、先ほどから再三申し上げております幾つかの具体的な改善点を今後は検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  159. 上川陽子

    ○上川委員 次に、酪農家生乳生産過程安全管理についてお伺いしたいと思います。  酪農家皆さんは、日ごろメーカー側が酪農家に対しまして大変厳しい安全管理を要求してくるということでございまして、本当努力をしているという現場の声をよく聞くところでございます。  現在、農林水産省としましては、酪農家生乳生産過程の安全に関しましてどのような取り組みをなさっていらっしゃるのでしょうか。将来的にHACCPのような制度をこれら川上の段階にも導入する計画がおありなのか。もしあるとするならば、ぜひとも酪農家にとりまして負担が重くならないような配慮をしていただきたい、こんなふうに思うわけでございます。この点につきましてお答えいただきたいと思います。
  160. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答え申し上げます。  生産段階での安全確保対策ということでございますが、生産段階で生乳の安全確保をどうしているか。これは、各県で実施をしております家畜衛生技術総合推進事業というのがございまして、これで畜産局長が定めております家畜衛生技術指導実施基準というものがございまして、これに従いまして、具体的には現地にございます家畜保健衛生所というところで畜産農家衛生検査をする、あるいは巡回指導をしまして、生産段階での衛生状態を管理しているということでございます。  お話にございましたように、最近では、安全でかつ良質な食品を提供してほしい、そういう消費者の志向は高いわけでございまして、生産段階でも安全性の確保対策、こういうものに意を用いるということは必要でございますし、かつ、なかなか避けられないだろうということもございます。ただ片方では、負担になってはいかぬということもございますので、そういうのをどうやったら重点的、効果的に実施できるかということで、私どもの方では、HACCPそのものではございませんけれども、どの地点をどういうふうに管理をしていくか、そういう考え方を取り入れました衛生管理ガイドラインというもののモデルみたいなものをつくりまして、現在、現地で実験的な管理をしております。その結果によりまして、今の計画でいきますと、十三年度に具体的なそういうガイドラインをつくってみようじゃないかということを進めているわけでございます。これがそのとおり作成をされました場合には、各農家でこれを利用していただいて衛生管理をやっていただく。  重ねて申し上げますが、そのことで決して負担になるというようなことではなくて、むしろそのことでどこを重点的にやればいいかということになるわけでございますので、そういう形での普及をしたいという計画はございます。
  161. 上川陽子

    ○上川委員 酪農家皆さんにとりまして、そうした検討が、結果が出てからではなくて、十三年の前にも絶えず情報が公開できるような形でぜひとも御努力いただきたいというふうに思います。  雪印製品製造中止に伴いまして、独自にミニプラントを持ちます酪農家につきましては、独自ブランド製品に対しましての需要がふえ、生乳が不足しているというような声をたくさん聞きます。そうした酪農家生乳ニーズに対しまして、農林水産省としてはどういう姿勢で取り組んでいらっしゃるのか。仮に、生乳の供給余力を持ちます北海道のような地域からの生乳供給を円滑化させるような手だては考えていらっしゃるのか、いないのか。もし、考えていらっしゃらないとするならば、その理由は何なのかということについてお願いいたします。
  162. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答え申し上げます。  現在、いわゆる配乳調整をいたしておりますけれども、それにつきましては、まず、酪農家皆さんができるだけ手取りを確保できるということを念頭に置く必要があるということで、地元のものを地元の乳業者のところへ回すということを中心に、生産者団体、それから全国連の皆さんによって調整を行っていただいているわけでございます。これは何度かお答えを申しておりますが、全体としてはうまくいっているというふうに思っていますし、そういう評価もいただいているところでございます。  その中で、ごく最近の需給状況を見ますと、夏場の飲用需要は当然好調になるわけでございますが、特にことしの場合は、暑さもございまして、全体としてやや逼迫ぎみではないかというような感じを持っておりまして、例年、ミニプラントあるいは大手を問わず、乳業メーカーはこの時期になりますと、なかなか自分のところの、思うとおりの十分な生乳供給がなされない面があり得るということは事実でございます。  ただ、農林水産省としてどうしているかという話でございますが、指定生乳生産者団体にまずはそういう需給調整をどうしてもらうかということをお願いしているわけでございます。私どもとしては、冒頭申しましたように、まず、酪農家の手取り乳価の確保を念頭に置いて、地元でとにかく配乳調整をしてもらうということを念頭に置きながら、それから次に、お話にございましたように、北海道から必要に応じてといいますか、そういう調整の中で十分埋め切らないところは内地に入れて調整をするということを、関係の団体で相談をしていただいているということでございますので、そういう状況をよく説明をしないといけないと思っております。  したがって、私どもが持っておりますいろいろな考え方なり情報を、大手はもちろんでございますが、ミニプラントの皆さんにもよくよく説明をしてお話をしたい、そういうふうに考えているところでございます。
  163. 上川陽子

    ○上川委員 ミニプラントを用いながら自主ブランドの製品をつくっている、一生懸命企業努力をしている皆さんに対しまして、今のような状況の中で生乳本当に十分に供給できるように、ある意味では、今までの物の考え方ではなく、緊急的な措置ということでぜひとも厚く回していただきたいというふうに思っております。  時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  164. 宮路和明

    宮路委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後零時八分散会