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後藤(茂)
委員 それから、いろいろと質問が飛ぶようで申しわけないですけれ
ども、
金融システムの問題についてでありますけれ
ども、九九年三月に、早期健全化法によって七兆四千五百九十二億円という
金融機関への資本増強が行われました。そのことによって
金融システムの不安は
払拭されているというふうに認識をしているわけでありますけれ
ども、しかし、欧米の主要行などを見てみますと、コアキャピタル、いわゆるティア1と呼ばれているものについて言えば、それだけで一〇%近くになっているわけでありますけれ
ども、
日本の主要行については、ティア1
プラスティア2でやっと一〇%ぐらいというような事態になってきているわけです。
今の
日本の
経済の
状況、
金融の
状況を考えたときに、急激なさまざまな対応をすべきだというふうに言っているわけではありませんけれ
ども、しかし、その中で
日本の全体としての
金融の仕組みを考えてみましたときに、九〇年代の
日本の
金融が非常に厳しかったことの
一つの反省として、銀行外の
金融仲介の機能が非常に弱かったという点が、やはり非常に大きな
バブルの傷のもとになったのではないかという反省があるのではないかと思います。グリーンスパンなんかも
日本を名指しで、そういう
意味では批判しているわけでありますけれ
ども、これから
資金調達手段を多様化していくということについて言えば、証券
市場というものの活用がますます必要になってくるわけであります。
しかし、ここで
一つだけ私自身の考えを申し上げると、最近言われておりますベンチャー支援の観点も相まっておるわけでありますけれ
ども、私は、通常の資本
市場だけではなくて、リスクキャピタルのマーケットをぜひつくることが必要であるというふうに考えております。
これまで、ベンチャー
企業が成功するための
条件を考えてみますと、一人のベンチャー
企業を起こす人が
技術もアイデアも持っている、経営能力も持っている。そして、例えば土地を持っているとか、とてもお金持ちの親切な知り合いがいるとか、そういう
条件を満たしていて、そうして本人が会社を起こそうという決断をして初めてベンチャー
企業が起きるわけであります。
しかし、
アメリカの例を見ましても、あるいはこれからの合理的なベンチャー育成策ということから考えてみますと、これらの機能というのは分けることができる。つまり、スニーカーを履いてTシャツを着た学生でも、実を言うと大きなアイデアや
技術を見つける
可能性はあるわけです。しかし、彼がそのままベンチャー経営者として成功する確率は非常に低い。
ハイリスク・ハイリターンを求めるリスクキャピタルも、実を言うと存在しています。ですから、そういう
意味では、新しい
技術やアイデアについて、起業家の成功率をレーティングするような仕組みがあれば、ハイリスク・ハイリターンのリスクキャピタルとマッチすることができる。では、経営はどうするかということになれば、経営能力のある者にストックオプションをつけるなどしてインセンティブをつけて、経営の問題と資本の問題と
技術、アイデアの問題を分離していくことが可能になると思います。そういう
意味では、これからのベンチャー支援の観点も含めて、
資金調達の手段の多様化として、ぜひともこういうリスクキャピタルマーケットを
日本でつくっていく必要があるというふうに考えておるわけであります。
さて、もう
一つ、最後になりますけれ
ども、御質問をさせていただきたいと思います。
ことしの五月三十日に、
日本銀行の
金融研究所翁所長を初め三名の方たちによりまして、「資産
価格バブルと
金融政策 一九八〇年代後半の
日本の経験とその教訓」という論文が出ておりまして、この中にも、これはあくまで個人の
意見であって、日銀としてのサーベイではないという断りが書いてあるわけであります。
しかし、
政策当局にとりまして、例えば
バブル期、
景気の拡大が非常に明確化している中で低
金利が継続されたことによって、低
金利の永続に対する期待が広がって、そのことが
金融政策のいわば資産
価格上昇
効果というのを非常に大きくしたことが
バブルの原因だというふうに言われているわけでありますけれ
ども、しかし、そうした
一つ一つの例えば
経済の事象や、あるいはそのときに
政策当局が
一体どういう気持ちでどういうことをしたのか、あるいはどういう気持ちでどういうことをしなかったのか、その点について丁寧に精査をする、そして二度と同じ失敗を繰り返さないように教訓を学んでいく必要があるだろうというふうに思っております。
このことは決して
バブルの問題だけではなくて、例えば今回のそごうの問題も含めて、
金融再生の間に起きたさまざまなことについても、これは歴史的な大変な教訓でもあるわけですから、そういったものをまとめていく必要があるというふうに思っているわけです。
バブル期の
金融政策、もちろん
バブルが起きていったときの
金融政策と
バブルがはじけた後の
金融政策のいろいろなサーベイをする必要があるように思うわけでありますけれ
ども、そうしたサーベイ、これは銀行自身がやられることであっても、オフィシャルに第三者にまとめさせるものであっても、いかなる形もあるだろうと思いますけれ
ども、そうした
金融政策をサーベイするオフィシャルなリポートをまとめるようなお気持ちはあるか、ぜひそういうものをまとめていただきたいと思いますが、見解はいかがでしょうか。