○鈴木(淑)
委員 私はその
金融再生委員会のコスト
最小化原則の
解釈は狭きに過ぎると思います。社会的なコストに考えが及ばないというのは、特に政治家としては私は非常に問題だというふうに思いますが、これは見解の対立でございますので、先に進みたいと思います。
最後に、例の
瑕疵担保の
特約、民法の中にある
瑕疵担保特約を引っ張ってきた、欧米でもコストシェアリングがある、こういう話でありますが、これが、
新生銀行あるいはこれから旧債券信用銀行を買い取るグループ、現に大変なモラルハザードを発生させている、それは御存じのとおりだと思うのです。それは、
新生銀行にとって取引先が倒れちゃった方が得するという、とんでもない結果を招く。
欧米の場合は、これはシェアリングですから、一方的にそんなになっていないでしょう。これが日本では、シェアじゃなくて、ただ国がかぶる格好になっていますから、
新生銀行は、問題取引先
企業が倒れた方が得する。関連の、そこに貸している
金融機関やあるいは取引先なんか、それと国がかぶっちゃうというこの
瑕疵担保特約の援用というのはもうとんでもない話で、こんなものは
契約から外せと私は
主張したいところです。
主張したいが、
契約しちゃったものは簡単に直せないかもしれないが、できることなら、こんなものは外せと言いたいところです。
そもそも、なぜこんな無理な形で何が何でもあの大きな旧日本長期信用銀行あるいは債券信用銀行を外へ売り出さなきゃいけなかったのか。これは私は、さかのぼりますと、
金融再生法の欠陥だと思います。二年前の
金融国会のときです。あのときも既に宮澤
大臣が
大蔵大臣で、そのときの
政府の
責任者でございました。私はその当時野党で、民主党と公明党と自由党が野党として野党案を出したのですね。
野党案というのはどうなっていたかといえば、破綻した
金融機関は
原則として整理する。その整理の仕方として
二つ、
一つは
金融整理管財人が整理しちゃう、もう
一つはずうたいがでかかったり、その影響が大き過ぎるようなときは、しようがない、株を全部国が買い上げちゃって、そして管理する。こういう思想、
二つの整理の仕方が入っていた。だから、野党案というのは、本来は破綻した
金融機関は
原則として整理するよ、整理の仕方に
二つあるよという野党案。
それに対して
政府は、ブリッジバンク法案というのを出してきたのですね。これは整理じゃないのですよ。破綻した
金融機関を、資産を買って、それで整理して、いいところを元気にしてまた出す。生きたまま入れて、生きたまま出すというブリッジバンク法案。
この
二つが相対して
金融国会でやんやんともんだ。あげくの果てに
政府・自民党は、野党案丸のみと称してこの
二つをがちゃんと一緒にしたのですが、実は何をつくったかというと、我々は整理を
原則としていたのに、何と、がちゃんと一緒になったときには、我々野党案の国営銀行を、整理するための国営銀行を国営ブリッジバンクに変質させた。その法律を出してきたのですね。
それで、私どもは、これは
長銀を生きたまま入れて、お化粧して、いいところだけ残して、生きたまま受け皿銀行を探して出す法案だ、これはだめだと言って、宮澤
大臣は御記憶だと思いますが、党首会談で私ども自由党は、これはだめだ、整理しなきゃだめなんだ、生きたまま出すといったらいろいろな問題が起きちゃうと言って、党首会談決裂。それで、我々自由党だけが、この合体した今の
金融再生法に反対票を投じたのですよ。共産党も反対。だけれども、そのときに、野党三党の中で私たちだけが抜けたのですね。そのときの危惧が私は当たったと思います。
とにかく、資産買い取りなんというのは入れていなかった。それから、受け皿銀行に資金援助してよろしいなんというのは野党案にはないのですね。それをどんどん忍び込ませてきた。最後に、覚えておりますが、津島議員が自民党さんの総務会で、これは生きたまま
長銀を国家管理にして、治して、生きたまま出していく仕掛けを上手に埋め込みましたと言ったのですよ。僕らは、それを聞いてかんかんになって怒って、それで離脱したのです。反対に回ったのですね。
実は、この
瑕疵担保の
特約をつけてまで何でもかんでも出していく、それで今度のような、
瑕疵担保特約を盾にとって
債権放棄しろと迫られてしまう、こういうひどい
状況、そして私
企業に対して国が
債権放棄しなきゃいけない、こういう
状況をつくっちゃった
根本的な
原因は、二年前の
金融国会におけるあの自民党案、これを我々野党案の中にするっと忍び込ませることによって、国営ブリッジバンク法案に変質させたのですよ。我々はそうじゃない、整理するための法案だったのに、国営ブリッジバンク法案に変質させた。そこにそもそもの
原因があると私は思っております。
何か自由党だけが正しいぞと言うようで恐縮でございますが、我々自由党が二年前に反対した、まさにそのことが今出ている、それをはっきり御
指摘申し上げたいと思います。あのとき、私は自由党の
責任者でした。公明党は石井さんが出ておられて、民主党は
仙谷さんとか池田さんが出ておられた。それで、対する自民党さんは、最初は政策新人類さんでありましたが、後半から津島さんなんかがお出になった。それで、最高の指揮官は宮澤
大蔵大臣でいらっしゃった。
宮澤
大臣、今私が申し上げましたこと、つまり、丸のみと称しながら我々の整理するための法案を国営ブリッジバンク法案に変質させて、それを今フルに使っているためにこういう問題が起きているということについて、御感想がございましたらお伺いしたいと思います。