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国務大臣(
牧野隆守君)
雇用問題につきましては、当
委員会におきまして、各
先生から
現実の
雇用政策は十二分の
効果を発揮しているかどうかという厳しい御
意見も何回も、また常に実は御
指摘をいただいておったところであります。
御
承知のとおり、
雇用情勢は、
産業構造の
変化に伴いまして、また危惧される気持ちをお持ちの
方々の
個人の
価値判断も非常に大きく影響いたしております。そういう点から、
一つは
産業界がより以上の人を
雇用するという意思を持っているかどうか、また、そのことを
現実に裏づけする
設備投資等の動向がどうであるか、そして、御
承知のとおり
雇用形態がそれと関連いたしまして非常に大きく
変化いたしておりまして、これらの点を十二分に考慮させていただきまして、本
年度予算も通過させていただきましたし、また、基本的な
雇用保険にかかわる
法律につきましてもおおよその
先生方の御了解をちょうだいいたしまして、最終的に具体的な
雇用政策の発展について決断をさせていただいた次第でございます。
明らかに
雇用情勢は依然として厳しい
情勢が続いていることは御
承知のとおりであります。その中で、先ほど申しましたとおり、
情報通信技術や
介護関連の
分野等においては最近ここ三カ月、昨年の十二月からでございますが、大幅な求人の
増加が見られているところであります。これらの今後の
成長が見込まれる新たな
産業に必要な人材を早期に育成し、その着実な
就職促進を図ることは極めて重要なところだろう、こう
考えておりまして、こういう点を
中心にいたしまして、これから一年間にわたりまして積極的に
ミスマッチの
解消を
重点とする
緊急雇用対策を策定させていただいたところであります。
その主たる要点は、
一つは
ミスマッチの要因が、例えば
情報通信技術関連を
中心にいたしますと、非常に
新規要求が多いわけですが、
現実にこれらに対応して採用される人々というのは、職を求める
方々の間で三割前後しか就職されていないという現状にあります。これは非常に大きい問題でございまして、そういう点で何としましても第一義的には
能力開発につきまして
全力を投球させていただきたい。
この場合に、現在の
政府並びに
地方公共団体の
能力開発に関する施設はまだ十分になっておりません。そういう観点から、
民間の
皆さんの、
能力開発にかかわる
事業に携わっている
方々の御
意見もちょうだいいたしまして、まず第一に基本的にはこの面に強化させていただきたい、こう
考えたわけでございまして、一応少なくとも十四万人以上の
方々にそういう
機会がぜひ確保されるようにということで、これを基本的に第一と
考えさせていただいた次第であります。
第二は、具体的にじゃ
会社でどうやって人を雇っていただけるか。こういう点で各
先生方から厳しい御
批判もいただいておったわけでありますが、いろんな
制度が確立されておりますが、必ずしもそれがワークしていない、しかも新卒の
学卒未
就職者の
方々が非常に多くなっているということで、抜本的に
条件の
変更を
考えさせていただきました。
最初は、
中小労確法に基づく
雇用創出でございますが、
民間の
中小企業の
皆さんも非常に
企業拡大について御熱意を持っておられまして、昨年、今日まで一年間で実は約九万人の
方々が約二万人を超す
中小企業の
皆さんによって
雇用されました。これについては二分の一、一年間に限っておりますが、賃金の
助成制度を拡充いたしております。非常に
中小企業の
皆さんが積極的に参加しておられます。これに対する
所要経費は一千億円をオーバーするわけでありますが、ぜひこの勢いをさらに
促進させていただきたい、こういうことでこれから一年間に少なくとも十万人を
対象とするこの
制度を
促進していきたい、こういうように
考えた次第であります。これにつきましても膨大な
予算が必要であります。
それから次は、いわゆる各
地域の実情において、
地方自治体、県並びに市町村の
皆さんにその
地域で今の
失業状況はどうなっているか、どういう
仕事をやったら具体的に
雇用が確保できるかと。
これは私
どもだけでできるわけではありません。
地方自治体の
皆さんの御
努力に期待するということで、これも御
承知のとおり二千億円の
予算を配分させていただいたわけでありますが、これが現在まで約四百億円使用されております。これは来会計
年度までを予定にいたしておりますが、残りの千六百億円もぜひことしじゅうに使っていただいて、具体的な
雇用増加を図っていただきたい。こういうことで、大体今までのこの
動き方を見ておりますと十五万人前後の
方々の
雇用が確保される、こういうように見通しておりまして、千六百億円も早急に使うことができるように各自治体に対して私の方から強い要請を行いたい、こう
考えております。
次に、これも非常に御
批判が多かったわけでありますが、
新規・
成長分野に対する
雇用の
促進であります。
九百億円の
予算を計上しましたが、御
承知のとおり十億以下の
状況でございます。これも確かにやり方としては非
自発的失業者を
重点に
考えておりまして、人様の
雇用というのは一対一の
企業対
個人の
関係でございまして、なかなか進捗していないというような
状況でございます。したがいまして、
年齢制限あるいは
新規学卒者を
加入対象人員として加えるというようなことで、これにつきましては約七万人の
方々の
雇用を私
どもの
労働省の全精力を投入して確保させていただきたい。
そして、最後でございますが、いわゆる
雇用不安、基本的に
雇用不安というのがございまして、これが増勢されることは場合によっては社会不安に結びつくということも想定しなきゃならないわけでありまして、このような
雇用不安をどうしてなくするかという点で、私
どもとしましては、
緊急雇用創出特別奨励金でありますが、
地域ごとに五・二%とか五・四%という
基準を決めまして、特に非
自発的失業の
方々を
対象にということで
考えておったわけですが、なかなか思うように進まないというのが
現実の姿でございます。私
どもとしては、一応の
ラインとして、
セーフティーネットとして、もし五%以上になったときには
緊急措置を講じなきゃならない、こういうことで
条件を緩和いたしましてこの
緊急雇用創出特別奨励金の運営に大きな
弾力性を持たせまして、もし
失業状態がそういうことであれば
政府は
全力を挙げてこれに対処するという姿勢を明白にする必要がある、こういうように
判断いたしまして一応五%という
ラインを設定いたしまして、その場合には具体的にどうするかということを決めさせていただいたわけであります。
これら
総額を勘案いたしますと大体四千億円程度のお金が要るかなと、こういうことでございまして、これは
雇用がふえればさらにこの
関係の費用はふえてくるわけでありますが、一応それをめどとして緊急に
雇用対策を推進させていただきたい。
なお、これらの
制度で不十分な場合には、来
年度の新
政策の中にさらに新たな項目を追加いたしまして、より積極的に
雇用不安をなくす、こういう方向で
努力したい、こういう
考え方で当面の
緊急雇用対策を決定させていただいた次第であります。
どうか
先生方の温かい御支援、また御叱正も賜りたい、この席をかりまして心からお願いをさせていただく次第であります。
以上であります。