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国務大臣(谷垣禎一君) 今おっしゃいますように、
金融再生委員会にとどまらず、最近、金融行政機関というものの組織というのはこの数年間目まぐるしく変化をしております。
今さら繰り返すまでもございませんけれども、おととしの六月に金融監督庁ができた、そして十二月に
金融再生委員会ができた、そしてことしの七月になりますと金融監督庁は金融庁というものに変わっていき、来年の一月には今私が務めております
金融再生委員会自体もなくなっていくと。非常に大きな変化がございまして、それは皆そのときそのときの国会の御議論で最善を尽くして議論していただいて結論を出していただいたことでございますけれども、これだけ変化が多うございますから、じゃその権限が何なのか、私、この役所に参りましてもなかなかわかりにくいところがあるのは事実でございます。
それで、細かな議論は抜きまして、私は、先ほど益田
委員がおっしゃいましたような
金融再生委員会の
あり方というものはどういうものか、結論だけを申し上げますと、この
金融再生委員会も
国家公安委員会と同じように合議制の三条機関でございますから、実はこのごろの
国家公安委員会をめぐる議論も、私、
自分の仕事と関連づけて大変興味を持って、関心を持って聞いております。
結局、
二つではないかと思うんです。
一つは、こういう金融行政機関の変化の背景にあるのは、明確なルールに基づいて公明な透明な行政をやっていけと。護送船団方式には決別するんだということがあったと思います。したがいまして、個々のことは金融監督庁
長官に委任しているわけでありますけれども、金融監督庁が仕事をしていくに当たって、いわゆるあしき
意味での政治的圧力でそういう行政を曲げることのないように、公明に透明にやっていくという金融監督庁の行政方針を
金融再生委員会は基本的にそれを守ってあげると言うと間違いかもしれませんが、外壁となってあしき
意味での政治的圧力を排除していくという面が
一つ私はあるだろうと思います。
しかし、他面、金融監督・検査というものは、ある
意味からいいますと大変大きな権力の発動でありまして、この権力の発動が行政の恣意に流れたり、こういうことに実情を知らないままでのいわゆる四角四面の運用になっていった場合にはいろいろ弊害も出てくるだろうと私は思います。
金融再生委員会というものが合議制の
委員会として決められて、できるだけ政治的な中立性を保てと言っておりますけれども、その背景には、もし官僚機構がそういう独走をしていった場合には、
金融再生委員会、そしてその長でございます閣僚である
金融再生委員長というのは、やはり民主主義というものを背後に置いて、最後に
国民の声をきちっと行政に反映していく役割を担っていけと。こういう、ある
意味では相矛盾するのかもしれませんけれども、この
二つの役割を私どもは担っているのではないかと思います。
先ほど益田
委員が御指摘になりましたように、私どもはいろんな
選挙区で陳情を受けるわけでございますし、そういうものを全部シャットアウトしては民主主義の政治というものは成り立たないんだろうと思いますが、問題はそういう個々のいわば私益でございますけれども、私益をどうやって公益に転嫁していくかというところに我々は
苦しみながら良識を発揮していかなきゃならないのかな、言葉で申し上げますと大変きれいでございますけれども、悩みながら仕事をしている、こういうことでございます。