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橋本敦君 私は、
日本共産党を
代表して、
森内閣総理大臣問責決議案に全面的に
賛成する
討論を行います。(
拍手)
森総理の神の
国発言以来の
世論調査は、いずれも、
森内閣の不
支持率が五〇%を超え、
支持率は二〇%台に急落しましたが、五月二十六日の
森総理の
釈明会見以後は、
国民の六割もが
釈明会見を納得しないと表明、不
支持は六二%、
支持はついに一三%へと、もはや
内閣退陣必至という状況に急落したのであります。新聞の
投書欄に最も不幸なのはかかる軽佻浮薄な
総理をいただく
国民ですとの声が載るのは当然であります。
これほどまでに
国民から見放された
総理のとるべき唯一の道は、もはやごまかしの弁解で取り繕うのではなく、一刻も早く潔く退陣すること以外にないではありませんか。(
拍手)
問責に
賛成する第一の
理由は、
日本の国、まさに
天皇を
中心にしている神の国であるぞということを
国民の
皆さんにしっかりと承知していただくという
森総理のこの神の
国発言とその
政治信条が、
時代錯誤も甚だしく、
国民主権、恒久平和、
信教の自由を定めた
日本国憲法下の
総理たる地位とは断じて両立せず、
総理たる
資格がないことであります。この
森総理の神の
国発言なるものが
歴史的に絶縁したはずの
戦前の神国思想であることは、
国民にとっては
誤解のし
ようもなく明白であります。
総理が
議員懇談会の顧問を続けてきた
神道政治連盟の綱領は、その第一に「
神道の精神を以て、
日本国国政の基礎を確立せんことを期す。」と呼びかけておりますが、
森総理は、まさにこれを受けて、我々
国会議員の会も
神社本庁の御指導をいただきながらそうした
政治活動をしていかなければならないとまで
発言しているのであります。どう言い逃れし
ようと、まさにこれが
森総理の偽らざる
政治信条であることは、疑いの余地なく明白ではありませんか。
一九四一年に文部省が発行した小学校二年生の修身の教科書には、「
日本ヨイ国、キヨイ国。世界ニ一ツノ神ノ国」「
日本ヨイ国、強イ国。世界ニカガヤクエライ国」と書いてあります。これがまさに
森総理の言う神の国なのであります。昭和
天皇の人間宣言でも言われたとおり、この架空で思い上がった神国
日本の思想こそ、まさしく
軍国主義、侵略主義の精神的支柱、その推進力であったのであります。この
ような
教育を受けて育った多くの若者たちが、特攻隊となって神州不滅、尽忠報国と書いた鉢巻きを締め、
天皇陛下万歳と叫びつつ、はるか雲流るる果てにその若き命を散らしたのではありませんか。
それにもかかわらず、
総理は、神の
国発言の撤回をあくまで拒否し続けています。これはまさに確信犯であります。こうして恒久平和、
国民主権の我が
憲法を擁護すべき
義務と
責任を投げ捨てた
総理が直ちに退陣すべきは当然であります。
教育勅語が戦後の
国会で全面的に排除・失効
決議されたにもかかわらず、
総理が
教育勅語の中には今日でも大切にすべきことが幾つか書かれているなどと持ち上げていることも許すことはできません。
教育勅語はあくまでも
天皇の臣民としての規範であり、その最高の道徳は言うまでもなく
天皇に対する忠であります。文部省の国体の本義や修身の教師用教科書でも、親に孝や兄弟に友になどの徳目も、すべて
天皇に対する忠に統一されてこそ初めてすべての行為が道徳的になり得ると明記されたことを見ても明白であります。
教育勅語をめぐる
総理の
発言は、その
歴史認識の欠如、
憲法理念との乖離など、
総理としての
資質を著しく欠くものであります。
賛成の第二の
理由は、戦後の
日本が新
憲法のもとで永久に絶縁したはずの
戦前型の
国家体制への復活を世界に印象づけ、諸外国の不信を増幅させて
日本の国益を大きく損なう結果を招いており、さらに
森内閣には
我が国外交の自主的、平和的転換を期待することは不可能だということであります。
各国のマスコミは衝撃を持って
総理発言を報道し、一斉に
批判の論陣を張りました。中国では、森首相が口先では
民主主義を唱えても本質的には心の中では軍服を着ている、ロサンゼルス・タイムズは、
発言は第二次世界大戦時の帝国主義の亡霊を呼び起こすものとまで書いています。去る二十九日、
森総理が訪問した韓国でも
日本の右傾化を懸念する声が大きく起こりました。
アジアと世界のこの受けとめ方は、
総理がどの
ように言おうと否定することのできない事実ではありませんか。
もはや
森総理とその
政権のもとでは
日本の平和と
主権も、世界と
アジアの平和への積極的貢献も期待できません。
これまでの
自民党政治は、新ガイドライン・戦争法を強行し、
森総理は名護への米軍最新鋭基地建設計画をあくまで推進し
ようとし、四十年間も
国民を欺き続けてきた核兵器持ち込みに関する日米核密約も知らぬ存ぜぬと否定し続けています。この
ように、アメリカ追随の外交
姿勢を受け継ぐ
総理には二十一
世紀の
日本に求められている平和的外交を担う
資格など断じてないと言わねばなりません。差し迫ったサミットでも、
日本の
総理として主催国の
議長を務め、その任に当たる
資格など全くないことも明白ではありませんか。
賛成の第三の
理由は、この
ように
国民主権に反する
政治信条を持つ
森総理を
首班とする自公保連立
政権が居座り続けることは、
国民の暮らしや
日本経済の危機的状況をさらに耐えがたいものにするからであります。
政府の
調査でも、世の中は暮らしがよい方に向かっていないという
国民の声は八割にも上り過去最高になっています。経済の六割を占める個人消費を拡大すること、そのためにも史上最悪水準の失業率、
社会保障、老後の不安の解消は急務であります。ところが、
森総理がこうした
国民の悩み、苦しみの解決に全く無関心であることがわずかの在任期間に早くも証明されたのであります。
例えば、雇用危機に対しては、大量解雇の法的な規制と労働時間短縮、とりわけサービス残業の根絶を軸とした雇用拡大こそが多くの
国民の願いであり、焦眉の
課題であります。財界系のシンクタンクである
社会生産性本部もサービス残業をなくせば九十万人、残業そのものをなくせば百七十万人、合わせて二百六十万人の雇用がふえると試算しています。しかるに
森総理は、サービス残業は一律に悪ではないと述べて、明らかに刑事
犯罪であるサービス残業でさえ温存する
姿勢をはっきり示したところに、労働者の権利が何たるかをもわきまえず、この問題解決にいかに不熱心かがあらわれているではありませんか。
また、
社会保障や老後の不安解消も
森総理には到底任せられないことも明らかであります。介護保険
制度がスタートして二カ月になりますが、高い利用料負担のため、反対に従来の介護水準を引き下げざるを得ないというあってはならない事態が全国各地に起こっています。その改善は
国民にとって緊急重大
課題であるのに、
予算委員会で
森総理は、事もあろうに、それは細かな問題と冷たく突き放しました。いやしくもこれは、行政の最高
責任者として到底許されない態度ではありませんか。
これらの大もとにあるのが、国、地方で毎年公共事業に五十兆、
社会保障には二十兆円に示される、ゼネコン、大銀行には手厚く
社会保障や暮らしには冷たい、予算の使い方の逆立ちであります。我が党が
提案している
ように、これを転換する以外、
社会保障を充実させることも財政再建の道もないにもかかわらず、
森総理にはその意思も能力も見られないのであります。
これでは、借金総額六百四十五兆円という今日の財政危機をさらに破滅的に加速させるだけであり、その行き着く先が、
政府税調などで議論されている
ような、
国民全体、とりわけ低所得者に大打撃を与える消費税増税というのでは、
国民の暮らしを守ることも将来不安を取り除くことも決してできないではありませんか。
国民の暮らし、
日本経済の立て直しのためにも、
森内閣の速やかな退陣を重ねて強く要求するものであります。
目前に迫った来るべき総
選挙で、我が党は、
政治の転換を求める広範な
国民とともに、
森総理と自公保連立
政権に厳しい審判を下し、二十一
世紀に向かって
国民こそが主人公の新しい
政治の道を切り開くかたい決意を表明して、私の
賛成討論を終わります。(
拍手)