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2000-05-15 第147回国会 参議院 本会議 第24号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十二年五月十五日(月曜日) 午後一時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第二十四号 ─────────────
平成
十二年五月十五日 午後一時 本
会議
───────────── 第一
商法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
会社
の
分割
に伴う
労働契約
の
承継等
に関する
法律
案(
趣旨説明
)
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり ─────・─────
斎藤十朗
1
○
議長
(
斎藤十朗
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
商法等
の一部を
改正
する
法律案
及び
会社
の
分割
に伴う
労働契約
の
承継等
に関する
法律案
(
趣旨説明
) 両案について、
提出者
から順次
趣旨説明
を求めます。
臼井法務大臣
。 〔
国務大臣臼井日出男
君
登壇
、
拍手
〕
臼井日出男
2
○
国務大臣
(
臼井日出男
君)
商法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
趣旨
を御説明いたします。 この
法律
は、
会社
をめぐる最近の
社会経済情勢
にかんがみ、
会社分割
の
制度
を
創設
するため、
商法
、
有限会社法
及び
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
を
改正
しようとするものでありまして、その要点は次のとおりであります。 まず、
商法
につきましては、第一に、
会社分割
の形態として、
分割
によって設立する
株式会社
に
分割
をする
株式会社
の
営業
を
承継
させる
新設分割
の
制度
及び既に存在する他の
株式会社
に
分割
をする
株式会社
の
営業
を
承継
させる
吸収分割
の
制度
を
創設
することとしております。 第二に、
分割
によって設立する
株式会社
または
分割
によって
営業
を
承継
する
株式会社
が
分割
に際して発行する
株式
を、
分割
をする
株式会社
またはその
会社
の
株主
のいずれにも割り当てることができることとしております。 第三に、
株式会社
が
分割
を行うには、
分割計画書等
を作成して
株主総会
の
特別決議
による
承認
を受け、また、
事前
に
分割
をする
株式会社
の
貸借対照表
、
分割計画書等
を本店に備え置いて
株主
及び
債権者
の
閲覧等
に供すべきこととするとともに、
分割
に反対した
株主
に
株式買い取り請求権
を認め、さらに、
債権者
に対しては
債権者保護手続
を経ることとして、
株主
及び
債権者
の
保護
を図ることとしております。 第四に、
分割
によって設立する
株式会社等
が
分割
をする
株式会社
から
承継
する財産の
価額
がその
会社
の総資産の
価額
の二十分の一を超えないとき等には、その
会社
は、
分割計画書等
につき
株主総会
の
承認
を要しないこととし、
分割手続
の
簡素化
を図っております。 第五に、
分割
によって設立した
株式会社等
は、
分割計画書等
の
記載
に従い、
分割
をした
株式会社
の
権利義務
を包括的に
承継
することとしております。 第六に、
分割
の
手続等
に瑕疵があった場合等には、
株主
、
分割
を
承認
しなかった
債権者等
は、
分割
無効の訴えを提起することができることとしております。 次に、
有限会社法
につきましては、
分割
によって設立する
会社
を
有限会社
とする
新設分割
を
有限会社
または
株式会社
が行うこと及び
吸収分割
を
有限会社
と他の
有限会社
または
株式会社
との間で行うことができることとし、
分割計画書等
の
社員総会
の
特別決議
による
承認
、
分割計画書等
の開示、
債権者保護手続等
について、
株式会社
の場合と同様の
規定
を設けることとしております。
最後
に、
株式会社
の
監査等
に関する
商法
の
特例
に関する
法律
につきましては、
会社分割
の
制度
の
創設
に伴い、所要の
改正
をすることとしております。 以上がこの
法律案
の
趣旨
でございます。
政府
といたしましては、以上を
内容
とする
法律案
を提出した次第ですが、
衆議院
におきまして、本
法律案
について、
分割計画書等
に
記載
すべき
分割
によって
承継
される
権利義務
として
雇用契約
を例示すること、及び
分割会社
の
労働者
に係る
労働契約
を
設立会社
または
承継会社
に
承継
させるかどうかについて、
事前
に
労働者
と協議することを
会社
に義務づけることを
内容
とする修正が行われております。(
拍手
) ─────────────
斎藤十朗
3
○
議長
(
斎藤十朗
君)
牧野労働大臣
。 〔
国務大臣牧野隆守
君
登壇
、
拍手
〕
牧野隆守
4
○
国務大臣
(
牧野隆守
君)
会社
の
分割
に伴う
労働契約
の
承継等
に関する
法律案
について、その
趣旨
を御説明申し上げます。 この
法律案
は、
会社
をめぐる最近の
社会経済情勢
にかんがみ、
会社分割
の
制度
を
創設
するため今国会に提出された
商法等
の一部を
改正
する
法律案
に合わせ、これと一体のものとして、
会社分割
に伴う
労働契約
の
承継等
について
商法
の
特例等
を定めることにより、
労働者
の
保護
を図ることを
目的
とするものであり、その概要は次のとおりであります。 第一に、
分割
をする
会社
は、
分割
によって設立する
会社等
に
承継
される
営業
に主として従事する
労働者
及びそれ以外の
労働者
であって、
労働契約
を
設立会社等
に
承継
させる
労働者
に対し、
事前
に
分割
に関する
情報
を書面で通知しなければならないこととするとともに、
労働協約
を締結している
労働組合
にも同様に通知しなければならないこととしております。 第二に、
労働契約
の
承継
に係る
ルール
を定めております。 その一として、
設立会社等
に
承継
される
営業
に主として従事する
労働者
の
労働契約
について
分割計画書等
に
設立会社等
が
承継
する旨の
記載
がある場合、
分割
の
効力
が生じたときに
当該労働契約
は
設立会社等
に
承継
されることといたしております。 その二としまして、
設立会社等
に
承継
される
営業
に主として従事する
労働者
の
労働契約
について
分割計画書等
に
設立会社等
が
承継
する旨の
記載
がない場合、
労働者
は
分割会社
に対して
異議
を申し出ることができることとし、
異議
を申し出たときは、その
労働契約
は
設立会社等
に
承継
されることといたしております。 その三として、
設立会社等
に
承継
される
営業
に従として従事する
労働者
の
労働契約
について
分割計画書等
に
設立会社等
が
承継
する旨の
記載
がある場合、
労働者
は
分割会社
に対して
異議
を申し出ることができることとし、
異議
を申し出たときは、その
労働契約
は
設立会社等
に
承継
されないこととしております。 第三に、
分割会社
と
労働組合
との間で締結されている
労働協約
について、
労働組合
の
組合員
である
労働者
に係る
労働契約
が
設立会社等
に
承継
されるときは、
分割
の
効力
が生じたときに、
設立会社等
と
労働組合
との間において同一の
内容
の
労働協約
が締結されたものとみなすこととしております。 また、
労働条件
その他の
労働者
の待遇に関する
基準
以外の
部分
について
分割会社
と
労働組合
との間で
設立会社等
に
承継
させる旨の
合意
があったときは、
合意部分
については
分割計画書等
の
記載
に従い
設立会社等
に
承継
されることとしております。 第四に、
労働大臣
は、
分割会社
及び
設立会社等
が講ずべき
労働契約
及び
労働協約
の
承継
に関する
措置
に関し、必要な指針を定めることができることといたしております。 なお、この
法律
は、
商法等
の一部を
改正
する
法律
の施行の日から施行することとしております。 以上がこの
法律案
の
趣旨
であります。 なお、この
法律案
は、
衆議院
において一部修正されており、その
内容
は、「
分割会社
は、
当該分割
に当たり、
労働大臣
の定めるところにより、その
雇用
する
労働者
の
理解
と
協力
を得るよう努めるものとする。」との一条を加えるものであります。 以上でございます。(
拍手
) ─────────────
斎藤十朗
5
○
議長
(
斎藤十朗
君) ただいまの
趣旨説明
に対し、質疑の通告がございます。順次
発言
を許します。直
嶋正行
君。 〔直
嶋正行
君
登壇
、
拍手
〕
直嶋正行
6
○直
嶋正行
君 私は、
民主党
・新緑風会を代表して、
商法
の一部
改正案並び
に
労働契約承継法案
に対して
質問
いたします。
質問
に入ります前に、昨日の小渕前
総理
の御逝去に対し、深甚なる哀悼の意を表しますとともに、御家族を初めとする
関係者
の皆様に心からお悔やみを申し上げます。 さて、まず冒頭、
目下危機
に立つ
我が国
の
雇用失業情勢
について
政府
の
認識
をただします。 高水準の
失業率
が長期に続く中、本年三月の
完全失業率
も二月に引き続き
史上最悪
の四・九%となり、一向に
改善
の
兆し
が見えません。また、全体の
就業者数
も
増加
はしたものの、
完全失業者数
も過去
最高
の三百四十九万人に達しました。わずか一カ月間で二十二万人が新たにハローワークに並んだことになります。さらに、今春の
新卒者
の
就職率
が過去最低を記録していることや
企業倒産
が前年比で昨年末以降急増していることから、四月以降の
失業率
は五%台に突入する
可能性
も高いと言われております。極めて憂慮すべき
事態
であります。
労働大臣
は、四月以降の
失業情勢
をどう見ておられるのか、またその責任をどのように
認識
されておられるのか、お
伺い
いたします。 また、先週五月十日に行われたいわゆるクエスチョンタイムにおいて、
森総理
は、
企業
が大変な
構造改善
に取り組んだ結果として
失業者
がふえることや
雇用
の
ミスマッチ
が発生することはやむを得ない、まずは
企業
、
経済
全体の
下支え
が優先するという
趣旨
の
発言
をされておられます。
失業者
をあふれさせたままでの
経済
の
下支え
などあり得ません。むしろ、
失業対策
を着実に実行することこそが
経済
の
下支え
であり、政治の役割であります。全くとんちんかんな対応と断ぜざるを得ません。
労働大臣
は、
森総理
のこの
発言
をどのように受けとめておられるのか、お
伺い
いたします。 さて、その
雇用対策
でありますが、
政府
は昨年六月、
完全失業率
が四%を超える
事態
の中で七十万人の
雇用創出
を掲げ、
緊急雇用対策
を打ち出しました。しかしながら、その
実績
を見てみると、規模にして三千九百億円に上る
事業予算
もほとんど未消化であり、
実績
が
目標値
のわずか一から三%
程度
にとどまるという、まさにかけ声倒れの状態にあります。
具体例
を挙げますと、
雇用情勢
が特に悪化している
地域
での
雇用創出
をねらった
緊急雇用創出特別奨励金
は、約六百億円の
予算枠
で二十万人の
雇用創出目標
を掲げましたが、本年四月時点でわずか四億八千万円しか消化しておらず、
雇用
もたった千五百八十六人の
増加
と惨たんたる結果であります。
雇用情勢
が
最悪
の数値を示し、職を求めている人々が町にあふれているにもかかわらず、
雇用政策
の
効果
はゼロに等しいというこの事実は、先ほどの
総理発言
に見られるとおり、
政府
が
雇用対策
を全くやる気がないということを如実に示しています。
労働大臣
に
お尋ね
いたします。 なぜ七十万人
雇用創出
は
効果
が上がっていないのでしょうか。もともとポーズを示すだけの
実現性
のない
計画
だったのでしょうか。こうした
計画
をこのまま今後も継続されるのでしょうか。根本的な
見直し
が必要と思いますが、いかがでしょうか。明確な答弁を求めます。 また、
経済企画庁
が先日公表した「九〇年代の
雇用政策
が
失業率
に与えた
効果
」と題する
報告書
によれば、
雇用拡大効果
は、
助成金中心
の
雇用維持政策
よりも、
有料職業紹介事業
の
対象職種拡大
や
人材派遣
などの
規制緩和
により
求人企業
と
求職者
の
情報
の
非対称性
の
解消
を図る
マッチング強化策
の方が大きいとはっきり指摘しております。
失業
の要因は、
景気変動
による
循環失業
と、年齢、技能など
雇用主
と
求職者
の間の
ミスマッチ
による
構造失業
があり、この
構造的理由
による
失業
は、九九年度の
失業率
四・八%中三・六%に達すると推計しております。 つまり、もともと
景気循環
を
理由
として
失業
している人は少数に属するため、たとえ
景気
が
回復基調
に乗ったとしても、
政府
の総力を挙げて
職業能力開発
や
規制緩和策
に取り組み、
ミスマッチ解消
に努力しなければ、
失業率
を低下させることはできないということをこのレポートは意味しているのであります。
労働大臣
、この
経済企画庁
の指摘を踏まえるならば、
事業主
への
助成金
や
公共事業
といった従来型の
雇用対策
を
見直し
、
職業能力開発
などの
ミスマッチ解消策
を
強化
すべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、本日提案されております
法案
に関連する
企業組織
の
再編
についてお
伺い
いたします。
政府
は、一九九七年の
純粋持ち株会社解禁
を手始めとして一連の
企業再編立法
を続々と成立させました。すなわち、
金融持ち株会社
の
解禁
、
産業活力再生特別措置法
、
株式交換
に関する
商法改正
、
民事再生法
の制定などであります。そして、今回提案の
会社分割法制
はその総仕上げであるとされています。 私
ども
は、
構造改革
や
経済再生
のために
企業
のダイナミックな
変革
が必要であることは十分
理解
しておりますが、同時に、
失業
なき
労働移動
が円滑に行えるような盤石な
雇用システム
がなければこのような
変革
は成功し得ないと考えています。 そこで、まず
法務大臣
に
伺い
ますが、
会社分割制度
は
企業
にとって極めて
使い勝手
がよく、
効率
的な
制度
だと伺っております。具体的にどのように
使い勝手
がよく、時間的、費用的に
効率
がよくなり、
我が国
の
産業
、
企業
にどのような
変化
を及ぼすことになるのか、御説明いただきたいと思います。 また、あわせて
伺い
ますが、
公正取引委員会
の
報告
によれば、
平成
十年度には
合併
約千五百件、
営業譲渡
千百件
程度
となっておりますが、
会社分割制度
が
創設
されると、将来的に
合併
、
営業譲渡
、
会社分割
の
利用件数
はどのように
変化
していくものと想定されておられるのか、お
伺い
いたします。
企業組織再編
を含めた
企業
の
競争力強化
の流れは、
景気
が回復したからといってとまるものではなく、むしろ逆に、
景気回復
に伴って
企業
に
経営
上の余力が生まれれば一層強まっていくものではないかとも考えられます。 そこで、
通産大臣
にお
伺い
いたしますが、
各種
の
企業組織
の
再編制度
の
利用
に当たって、
企業
が不
採算部門
の切り捨てといった後ろ向きの行動だけをとるのではなく、新
分野
への
進出
などに積極的に取り組むよう
政策
誘導していく必要があると考えますが、具体的にどのような
政策
を打たれる
おつもり
か、お
伺い
をいたします。 さらに、
労働大臣
に
伺い
ますが、
新規
・
成長分野雇用創出特別奨励金制度
も、先ほど述べました
実績
の上がっていない
雇用対策
の一つでありますが、
企業
が
企業組織再編制度
を
利用
して新
分野
へ
進出
する場合に
雇用創出
に
効果
を発揮できるものとするためには、この
制度
の
見直し
も必要であると考えますが、いかがでしょうか、お
伺い
をいたします。
企業組織再編
に伴う
労働者保護
の
法整備
はこれまで放置され続けてきましたが、今回、
政府
から
商法改正案
と同時に
労働契約承継法案
が、また、私
ども民主党
も
労働者保護法案
を提出いたしました。これらについては、
衆議院
において、与野党間で協議の上、
政府案
が修正され、
一定
の前進が図られたことは私
ども
も率直に評価をしたいと考えています。しかしながら、これで十分かどうかといえば、残念ながらそうとは言えません。 そこで、あえて重要な点に問題を絞って
法務大臣
、
労働大臣
の御
見解
を
伺い
ます。 まず、
法務大臣
にお
伺い
しますが、
我が国
の
経済社会
は今まさに
変革
期にあり、
企業
を取り巻く
経済システム
も大きく変わろうとしています。今回の
商法改正
も
企業
がそのような
変化
に対応していくための一環であると思います。
法体系
も、今後は、これまでのような
商法
の
世界
、
労働法
の
世界
といった各
法律
の
規定概念
にとらわれることなく、その
対象
を幅広くとらえていくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。 次に、
労働大臣
にお
伺い
いたします。
企業組織再編
の
支援策
がこれだけ整備され、
企業
がその態様をさまざまに変え得るということは、これまでの
日本的雇用慣行
を支えてきた
バックグラウンド
が全く異なったものになることを意味します。
企業組織再編
と
雇用
安定は分かちがたい車の両輪であることを十分に
認識
するならば、
労働法制面
も
バックグラウンド
の
変化
におくれをとることなく対応していかなければならないと考えます。 また、
我が国
では、
外資系企業
の
進出
を促進するため、これまでに税制上の
特例
、
資金調達
の
円滑化
、対日直接投資に関する
手続
の
規制緩和
などが
実施
されてきました。また、今後、
経済
の
グローバル化
の進展により、
外資系企業
の
日本進出
はますます
増加
するものと考えられますし、
日本企業
と
外国企業
との間での
再編
、
合併
、
分割等
も格段に
増加
すると見込まれます。これらの
企業活動
による
雇用創出
は大いに期待されるところでありますが、一方で安易な
雇用調整
も懸念されます。 通産省の
外資系企業動向調査
によれば、一九九七年度の
実績
でありますが、
雇用調整
の
内容
は、単純な
解雇
を行っている
企業
が二〇%、アメリカ型のレイオフの
実施企業
が約五%あります。
日本
の
労働法規
や
労使慣行
を十分
理解
していないことが原因で労働問題が多発することも懸念されます。これらを
未然
に防止する上でも、
企業組織再編
に伴う
雇用関係
の
ルール
の
明確化
は必要不可欠であると考えます。 以上のような
状況
をかんがみた上で、
労働大臣
に三点お
伺い
いたします。 第一に、今回の
労働契約承継法案
は
会社分割
時のみを
対象
としていますが、
合併
や
営業譲渡
も含めた
企業組織再編全般
を
対象
とした
労働関係
の
ルール
を
規定
する
立法措置
を今後
検討
していくべきと考えますが、いかがでしょうか。 また、
立法措置
を講ずるまでの間、
労使紛争
を
未然
に防止するためには、
労働関係
の
ルール
の
周知徹底
が重要ですが、具体的にどのような形でなされるのか、お
伺い
をいたします。 第二に、いわゆる
整理解雇
四要件の
判例法理
に照らせば、
企業組織再編
のみを
理由
とした
解雇
は当然認められないわけですから、
企業組織再編
を
理由
とした
解雇禁止規定
を明文化すべきと考えますが、いかがでしょうか。 第三に、
解雇
を初めとした個別の
労使紛争
の
未然防止
をどのようになさる
おつもり
か、さらに、
紛争
が生じた場合、迅速かつ円滑な解決を図るためにどのような
制度
、
施策
が必要であるとお考えになっているのか、御
見解
をお
伺い
いたします。
最後
に、より円滑な
企業組織
の
再編
、よりダイナミックな
経済改革
を進める上で、
労働者
の
理解
と
協力
は不可欠なものであることを改めて指摘いたします。
企業組織
の
再編
の意義と
必要性
は認めるものの、そこに働く
労働者
は資本や設備と根本的に異なる存在であり、
企業組織再編
により
労使関係
が不安定化することは結局のところ
企業
の
競争力
を損なうことになるという
認識
に立って、
法整備
がさらに進められることを強く要請して、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣臼井日出男
君
登壇
、
拍手
〕
臼井日出男
7
○
国務大臣
(
臼井日出男
君) 直
嶋議員
にお答えを申し上げます。 まず、
会社分割制度
の
導入
の
利点
について
お尋ね
がございましたが、
承継会社
が
分割
に際して発行する
株式
を
分割会社
の
株主
に割り当てることが可能になること、
分割会社
が負担していた債務の
承継
について個別に
債権者
の同意を得ることを要しないことなど多くの
利点
がございます。 次に、
会社分割制度
の
導入
が
我が国
の
産業組織
に与える
影響
について
お尋ね
がございましたが、
会社
がその
経営
の
効率性
を高めるために各
営業部門
を独立した
会社
としたり、複数の
子会社
の重複する
事業部門
を各
子会社
に集中させることなどによりまして、
企業組織
の
再編
成が進むことが期待されるのでございます。 次に、
会社分割制度
の
創設
による
合併
、
営業譲渡等
への
影響
についての
お尋ね
がございましたが、これらにはそれぞれ固有の
利点等
がございまして、
利用件数
の
変化
を一概に申し上げることは困難でございますが、
企業経営者
が
会社分割等
の
趣旨
、
目的
をよく
理解
された上でそれぞれの仕組みを適切に
利用
されることを期待いたしております。 次に、
法体系
の問題につきまして
お尋ね
がございましたが、
法案
の作成に際しては、
我が国
の
法体系
を尊重し、
関係省庁
と緊密な連絡をとりながら、全体として
整合性
のとれた合理的な
内容
とすることが肝要であると考えております。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣牧野隆守
君
登壇
、
拍手
〕
牧野隆守
8
○
国務大臣
(
牧野隆守
君) 初めに、四月以降の
失業情勢
についての
お尋ね
ですが、まず、現下の
雇用失業情勢
は、一部に上向きの指標も見られるものの、三月の
完全失業率
は四・九%と前月と同じく過去
最高水準
となるなど、依然として厳しい
状況
にあるものと、同じように考えております。 四月以降の
雇用失業情勢
につきましては、
景気
の緩やかな
改善
を背景とした
企業
からの
求人
の
増加
が続くと見込まれることに加え、
雇用
の確保安定のためにあらゆる
施策
を積極的に
実施
しているところから、遠からず
改善
の
兆し
があらわれるものと期待をいたしております。 次に、
総理
の
雇用
問題に関する御
発言
についての
お尋ね
ですが、
総理
の御
発言
は、
企業
が
構造改革
を進めているが、それにより
雇用面
への悪
影響
が生じないよう、
経済
の
下支え
のための
対策
が必要であるとの御
趣旨
であると、このように考えております。 私としても、この点については
総理
と同じように考えておりまして、
雇用
の
ミスマッチ
については、その
解消策
を重点とする
雇用対策
をさらに
強化
拡充
する所存でございます。 次に、
緊急雇用対策
の
効果
についての
お尋ね
ですが、
緊急地域雇用特別交付金事業
のように
雇用
の
創出
に
一定
の
効果
を上げているものと、
緊急雇用創出特別奨励金
や
新規
・
成長分野雇用創出特別奨励金
のように、
企業
の
採用意欲
が乏しかったこともあり、まだその
活用
が十分でないものがあるところでございます。 これらの
対策
につきましては、今後一層の
利用者
への
周知
に努め、その
活用促進
を図ってまいります。さらに、現在、
制度
の
見直し
についても
検討
しているところでございまして、早急に
実施
してまいります。 次に、従来型の
雇用対策
を転換すべきとの
お尋ね
でございますが、
政府
としてはこれまで、その時々の内外の
情勢
にわたる
経済社会情勢
や
労働市場
の
動向
に即応し、
助成金
の
活用
、
職業能力開発
の
実施
、
需給調整機能
の
強化等
の
施策
を適切に組み合わせて、必要かつ
効果
的な
雇用対策
を講じてきたところであります。 現在、
情報通信技術
や
介護関連
の
分野等
への着実な
雇用促進
を図るため、
民間機関
の
機能
も
活用
した
人材育成策
や
労働力需給調整機能
の
強化
などを盛り込んだ
雇用対策
を
検討
しているところであります。このような
対策
を迅速かつ
効果
的に
実施
することにより、
労働力需給ミスマッチ
を
解消
し、
雇用情勢
の
改善
に努めてまいります。 次に、
新規
・
成長分野雇用創出特別奨励金
についての
お尋ね
ですが、本
奨励金
の一層の
活用促進
を図るため、
利用者
への一層の
周知
に努めるとともに、
制度
の
見直し
について現在
検討
しているところであり、近く結論を出す予定にいたしております。 また、新
分野
へ
進出
する
企業
に対しましては、
中小企業労働力確保法
に基づく
助成措置
を講じ、その
機会
の
創出支援
に努めているところであります。 もとより、今後ともこれら
各種
の
雇用対策
を積極的に推進することにより、
雇用機会
の
創出
に全力で取り組んでまいります。 次に、
合併
、
営業譲渡等
も含めた
立法措置
の
検討
に関する
お尋ね
ですが、
政府
としましては、
企業組織
の
再編
に係る
労働者保護
に関する諸問題について
検討
の場を設け、
立法
上の
措置
を含め十分に
検討
してまいります。 次に、
労使紛争
を
未然防止
するための
労働関係ルール
の
周知徹底
についての
お尋ね
でございますが、
合併
、
営業譲渡等
に際しては、
労働契約
の
承継等
に関し適用される
現行法令
や
判例法理
について、必要な資料やパンフレットを作成し、一般への広報に努めるとともに、
事業主団体
や
事業主
への
周知
を図ってまいります。 次に、
解雇禁止
の明文化についての
お尋ね
でございますが、
解雇
に関する
裁判判例
は確立しているため、特段の
立法措置
がなくても、
解雇
に関し、
労働者
にとって不利益は生じないものと考えております。
最後
に、個別の
労使紛争
についての
お尋ね
でありますが、
現行法令
や
判例法理
の
周知徹底
を図るなどにより
紛争
の
未然防止
を図るとともに、不幸にして
紛争
が生じた場合には、これを簡易迅速に解決するため、一、
都道府県労働局長
による助言・
指導制度
の
拡充
、二、
調停制度
の発展的な
拡充
、三、多様な
内容
の相談に
ワンストップサービス
で対応するための
労働基準監督署等
の
窓口体制
の
整備等
について
検討
を進めております。 以上であります。(
拍手
) 〔
国務大臣深谷隆司
君
登壇
、
拍手
〕
深谷隆司
9
○
国務大臣
(
深谷隆司
君) 私に対しましては、
企業
の
組織再編
に関しての
お尋ね
でございます。
我が国
の
産業
競争力
を
強化
するためには、
企業
が単に不
採算部門
の合理化を行うだけでとどまっていては当然なりません。
経営
資源を得意
分野
に集中して、新
分野
をも切り開いていく前向きな取り組みが必要であります。 通産省としましては、税制の優遇
措置
あるいは
商法
の
特例等
によってこうした
企業
の前向きな取り組みを支援するために、
産業
再生法を昨年の八月に制定いたしました。この
法律
の着実な運用に努めてまいりますとともに、技術開発の活性化等を通じまして、新たな
産業
の
創出
に取り組み、
企業
の前向きな取り組みにこれが円滑に進んでいくように全力を挙げてまいりたいと考えています。(
拍手
) ─────────────
斎藤十朗
10
○
議長
(
斎藤十朗
君) 吉川春子君。 〔吉川春子君
登壇
、
拍手
〕
吉川春子
11
○吉川春子君 私は、
日本
共産党を代表して、いわゆる
会社分割
法案
及び
会社分割
に伴う
労働契約承継法案
について
質問
をいたします。 初めに、小渕前
総理
の御逝去に対し、心から哀悼の意を表明し、御冥福をお祈りいたします。
政府
が発表した三月度の
完全失業率
は四・九%、
完全失業者数
は三百四十九万人、また、今春卒の高卒者の一二%、三万二千人、大卒も九%、三万人が就職できないなど、
雇用失業情勢
は
最悪
です。
経済企画庁
は、九日、
景気
動向
指数を発表し、
景気
は
改善
の方向にあるとしています。しかし、同じ日に発表された総務庁の家計調査では、四年連続して消費支出が減少し、ことし三月には前年同月比四・三%減と、大幅なマイナスを記録しました。 これでどうして
景気
の回復と言えるのですか、国民生活はどうでも、
企業
の業績さえ回復すればいいということですか。経企庁長官の答弁を求めます。 特に、大
企業
の
合併
、
営業譲渡
など、
企業組織
の
再編
は、その最も代表的な
雇用
破壊の手口となっています。三井・住友海上は五年で三千人、
日本
・興亜火災は四年で二千人など、
合併
によるリストラが次々に行われようとしています。
労働大臣
、
企業
再編
で一体どれぐらいの
雇用
が奪われることになるのか、明らかにしてください。今国民が痛切に求めているのは、こうしたリストラから
雇用
を守る万全の
対策
です。 ところが、
政府
は、何らのリストラ規制を行わないどころか、純粋持ち株
会社
の
解禁
、
合併
法制の合理化等を行い、九九年には財界のトップを集めた
産業
競争力
会議
を設けて、要求を無条件に受け入れ、
産業
活力再生法の制定や
株式
の交換、移転のための
商法改正
など、
労働者
や下請
企業
を犠牲にするリストラの手段を次々に提供してきたのです。今回の
会社分割法制
も、大
企業
のリストラをさらにやりやすくするためのものです。
企業
が国際
競争力
をつけるためには、
労働者
が犠牲にされても構わないのですか。
法務大臣
、
労働大臣
、明確な答弁を求めます。 具体的に
会社分割
法について
お尋ね
します。
会社分割
の際、
承継
される
権利義務
は、
分割
計画
書あるいは
分割
契約書に
記載
された事項に限られています。しかも、
雇用契約
、債権債務の範囲について何を
承継
するかは、
企業
の判断にすべてゆだねられているのではありませんか。この点について、
衆議院
で
雇用契約
と債権債務を例示すると修正しましたが、
会社
の判断だけで自由に
承継
の範囲を取捨選択できるという
法律
の本質は何ら変わっていないのではありませんか。 また、
分割
により
承継
される財産の総資産に占める割合が二十分の一を超えない場合は、
株主総会
の決議を必要としない簡易な
手続
による
分割
を認めています。大半の
労働者
が働いている
事業部門
であっても、この要件を満たせば簡易な
分割
ができるのではありませんか。また、
企業
の規模にかかわりなく二十分の一以下としたのはなぜですか。これでは、規模の大きな
会社
ほど大量の
労働者
の転籍や
労働条件
の切り下げを行えるのではありませんか。
法務大臣
は
衆議院
本
会議
で、簡易な
手続
による
分割
を認めた
理由
を
株主
に与える
影響
が軽微であるためと答弁していますが、
労働者
に及ぼす
影響
についてはどう
認識
されているのですか。答弁を求めます。 大蔵大臣、
会社分割制度
を
利用
しやすくするため、登記の際の登録免許税を大幅に引き下げるなど税制の優遇
措置
を
検討
しているようですが、
内容
を明らかにしてください。 次に、
労働契約承継法案
についてです。
企業
再編
によって
労働条件
の悪化や
雇用
不安が大量に発生しているのですから、
法案
の
対象
に
会社分割
だけでなく
営業譲渡
、
合併
を加えるべきではありませんか。労働省も白書で言っているように、このような深刻な
雇用
失業
問題は
景気
の回復のみによって解決されるものではなく、その原因の多くが構造的問題にあるのですから、こうしたあらゆる
事態
に対処する
立法
をこそ考えるべきではありませんか。衆参の
産業
活力再生法、
民事再生法
の附帯決議でもそのことを求めています。 一方、労働省の研究会
報告
では、使用者側意見として、
立法
の適用範囲は
会社分割
に限り、
営業譲渡
、
合併
には適用ないし類推適用されないものと注文がついていますが、
政府
が国会の意向より財界の意向に従った根拠を明らかにしてください。
政府
は、
営業譲渡
、
合併
を
対象
に加えない
理由
として、これらは
判例法理
で守られているからと答弁していますが、それではこの間行われた
合併
等による
整理解雇
者数、そのうち
労働者
が提訴した数、また裁判で救済された数を示してください。最近の判例では、
労働者
の権利よりも
企業
利益が優先される逆行的傾向が強まっているのではありませんか。 次に、
会社分割
による
労働者
の権利
保護
について
伺い
ます。 まず、不
採算部門
を切り離す意図を持って
会社分割
を行うことを防止できますか。
衆議院
で大臣は
会社分割
のみを
理由
にして
解雇
されることはないと答弁していますが、予想どおり
経営
悪化し、転籍させられた
労働者
が
解雇
されることを防止できるのですか。 また、分離される部門に働いている
労働者
は、今の
会社
に残留したくとも転籍を拒否できず、不服なら
会社
をやめるほかありません。
会社分割
法案
では、
分割計画書等
に
記載
しさえすれば
労働者
の
権利義務
は
法律
上当然に
承継
されるとしており、これを受けて
労働契約
承継
法では、本人が同意しなくても転籍をさせられてしまうからです。しかし、歴代
労働大臣
は、転籍は本人の同意が必要と何度も答弁してきたではありませんか。これは民法六百二十五条にもうたわれている大原則ではありませんか。これを踏みにじることは許せません。 これについて労働省は、
会社分割
は
企業
の迅速な事業
再編
を促すことが
目的
だ、部門の価値を低下させることにつながる転籍拒否権は認めないこととしたとコメントしています。労働省はいつから
企業
の代弁者になったのですか。これでは
労働者
犠牲の転籍強制法ではありませんか。
法務大臣
、
労働大臣
の答弁を求めます。
労働組合
との
事前
協議も義務づけられていません。
労働者
への
事前
通知は
分割会社
に転籍する
労働者
に限られています。しかし、
会社分割
はそれまでの
会社
の
経営
基盤を大きく変更させるものであり、全
労働者
に重大な
影響
が生じるのではありませんか。 この点について
衆議院
の修正では、わずかに
労働者
の
理解
と
協力
を得ることになったにすぎません。
会社分割
について
労働組合
との
事前
協議を義務づけるべきではありませんか。
法務大臣
は、
企業
は
経営
の
効率
化や
企業
統治の実効性を高めるために組織の
再編
を行うことでその
競争力
を
強化
する必要がある、
政府
の目指してきた
企業
の
グローバル化
への対応が一応ここで完成したと述べています。しかし、
労働者
の権利こそ
グローバル化
すべきではありませんか。
政府
は、
会社分割制度
が欧米諸国にもあることを
導入
の根拠にしていますが、EUの
企業
・事業の移転の際の
労働者
の権利
保護
に関する既得権指令では
企業
主体の変更などを
理由
とする
解雇
の禁止などが定められ、
日本
にはない
解雇
規制法もヨーロッパ諸国にはあるのです。
労働者
の権利の
保護
などどうでもよく、
政府
の念頭には
企業
の
競争力
の
強化
しかないのですか。 私
ども
日本
共産党は、
合併
、
営業譲渡
、
会社分割
などあらゆる
企業組織再編
から
労働者
の
雇用
と権利を守る
企業組織再編
に伴う
労働者保護法案
及び
解雇
規制
法案
を本院に提出しています。 憲法の定める国民の生存権、働く権利、
労働条件
を守る権利を脅かしかねない本
法案
は廃案しかないことを主張して、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
国務大臣臼井日出男
君
登壇
、
拍手
〕
臼井日出男
12
○
国務大臣
(
臼井日出男
君) 吉川議員にお答えを申し上げます。 まず、
会社分割
法の
目的
についての
お尋ね
がございましたが、この
制度
は、
企業
の
競争力
を
強化
する方策の一つとして、組織の
再編
成のための法
制度
の整備を行うことを
目的
としたものであり、
労働者
の
保護
についても適切に配慮をしたものであります。 次に、
会社分割
における
権利義務
の
承継
についての
お尋ね
がございましたが、
分割
は
営業
単位で行わなければならず、
対象
となる
営業
を構成する個々の
権利義務
等を除外することはできません。 次に、修正案についての
お尋ね
がございましたが、これは
分割計画書等
に
記載
すべき
権利義務
に
雇用契約
が含まれることを明文で
規定
したもので、
労働者
の
保護
に配慮したものであると
認識
をいたしております。 次に、簡易
分割
の
労働者
に対する
影響
についての
お尋ね
がございましたが、簡易
分割
は
手続
的に
株主総会
の
承認
を要しないとしたものにすぎず、
労働者
の
保護
に関して異なった取り扱いをするものではございません。 次に、簡易
分割手続
の
基準
等についての
お尋ね
がございましたが、
承継
財産の額が
分割会社
の総資産の額に比して著しく小さい場合には、
株主
に与える
影響
は軽微であることから
株主総会
の決議を要しないこととしたものにすぎず、簡易
分割
による場合でも一方的な
労働条件
の切り下げはできません。 次に、不
採算部門
を切り離す意図を持った
会社分割
についての
お尋ね
がございましたが、
会社分割
においては、
分割会社
及び
設立会社等
のいずれにつきましても債務の履行の見込みがあることが要求されるため、そのような御懸念には及びません。 次に、
会社分割
と民法第六百二十五条の関係についての
お尋ね
がございましたが、
会社分割
による
権利義務
の
承継
は
合併
と同様包括
承継
であることから、使用者が
労働者
に対する権利を個別に譲渡する場合に関する民法第六百二十五条は適用されないものでございます。 以上であります。(
拍手
) 〔
国務大臣牧野隆守
君
登壇
、
拍手
〕
牧野隆守
13
○
国務大臣
(
牧野隆守
君) 吉川議員の御
質問
にお答えいたします。 初めに、
企業
再編
によるリストラについての
お尋ね
ですが、
企業
再編
による
雇用
の減少についての正確な数字は把握しておりませんが、労働省労働
経済
動向
調査によれば、何らかの
雇用調整
を
実施
した事業所の割合は、
平成
十一年十月—十二月では二六%で、離職者の発生につながる希望退職者の募集、
解雇
を
実施
した事業所は三%となっております。今後の見通しとしては、本年四—六月に
雇用調整
を予定している事業所は二五%、希望退職者の募集、
解雇
を予定している事業所は二%となっております。 次に、
会社分割法制
等で大
企業
のリストラを進め、
労働者
を犠牲にするのではないかとの
お尋ね
ですが、
商法等
改正
案は
会社分割制度
の
導入
により
企業
の
効率
的な
経営
が可能となるようにすることを
目的
としており、
労働契約承継法案
は
会社分割
に際しての
労働者保護
を
目的
としております。このように、両
法案
は一体となって円滑・容易な
会社分割
の実現と、それに伴い必要な
労働者
の
保護
を図ろうとするものであり、御指摘のような見方は適当ではないと考えております。 次に、
営業譲渡
、
合併
を含めたあらゆる
事態
に対処する
立法
を考えるべきではないかとの
お尋ね
ですが、
合併
、
営業譲渡等
については、現行の
法律
、
判例法理
の
周知徹底
に努めることが適当であると考えており、現時点では、
会社分割
について
労働者保護
のための
法整備
を行うことで十分であると考えております。ただし、今後、
営業譲渡等
に係る
労働者保護
に関する諸問題については、学識経験者等による
検討
の場を設け十二分に
検討
してまいりたい、このように考えております。 次に、
合併
、
営業譲渡
について
立法
化を見送ったことについての
お尋ね
ですが、国会の附帯決議を踏まえまして昨年十二月に設置した学識経験者による
企業組織
変更に係る
労働関係
法制等研究会においては、労使の意見も聴取し、
合併
、
営業譲渡
を含めた
企業組織再編全般
について
検討
した結果、
会社分割
について新たな
立法措置
が必要との結論に達したものであります。 ただし、今後、
営業譲渡等
に係る
労働者保護
に関する諸問題につきましては、先ほどお答えしたとおり、学識経験者等による
検討
の場を設け、十分に
検討
してまいりたいと考えております。 次に、
合併
等による
整理解雇
についての
労働者
の提訴数、裁判での救済数についての
お尋ね
ですが、
整理解雇
を特定して個別の案件に関する提訴された数や救済された
労働者
の数をすべて把握することは困難であり、その数自体は承知いたしておりません。なお、最近の
整理解雇
に関する代表的な訴訟については資料収集等に努めているところでございます。 次に、
会社分割
による不
採算部門
の切り離しについての
お尋ね
ですが、
商法等
改正
案においては、各
会社
が
分割
によって債務の履行見込みがなくなるような
分割
を認めないこととされておりまして、不
採算部門
を
分割
、独立させるような
事態
は想定できないものと
認識
しております。それによる
労働者
の
解雇
という
事態
も想定しておりません。 次に、
労働契約承継法案
と民法第六百二十五条についての
お尋ね
でございますが、
会社分割
による
権利義務
の
承継
は、
合併
の場合と同様、いわゆる包括
承継
であり、使用者が
労働者
に対する権利を個別に譲渡する場合に関する民法第六百二十五条は適用されないこととなります。 同意なく
承継
された
労働者
につきましては、
合併
と同様に
雇用
及び
労働条件
の維持が図られていること、
承継
後もほとんどの場合に
分割
以前についていた職務と同じ職務に引き続きつくと想定されていることから、実質的な不利益はないものと考えております。 次に、
労働組合
との
事前
協議についての
お尋ね
でありますが、
労働大臣
が定める規則において、
労働者
の
理解
と
協力
を得ることの具体的な
内容
としまして、当該事業場において
労働者
の過半数を組織する
労働組合
がある場合においてはその
労働組合
、
労働者
の過半数で組織する
労働組合
がない場合においては
労働者
の過半数を代表する者との協議によって行う等のことである旨を
規定
する考えでございます。
最後
に、
労働者
の権利と
グローバル化
についての
お尋ね
でございますが、欧米諸国と
我が国
では
企業
における
労使関係
の実情、
雇用
労働市場
の
状況
等が異なるため、
労働者保護
や
解雇
規制等について、諸外国の
労働者保護
の方法を参考としながら、
我が国
の実情に照らして独自の労働
政策
をとっていくことが最も適切ではないか、このように考えております。 今回の
労働契約承継法案
も
会社分割
に際して必要な
労働者保護
を図ったものでございます。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
堺屋太一君
登壇
、
拍手
〕
堺屋太一
14
○
国務大臣
(堺屋太一君)
景気
判断についての
お尋ね
がございました。
景気
判断は、需要、生産、収益、
雇用
、金融など広範な
情報
に基づいて総合的に行っております。 御指摘のように、個人消費は、収入が低迷しているため、このところ一進一退、おおむね横ばいに推移しております。ただし、ゴールデンウイークの旅行などには顕著な
改善
も見受けられました。
雇用情勢
においても、
完全失業率
が三月には四・九%とこれまでの
最高水準
で推移するなど、依然として厳しいものがございますが、残業時間や
求人
は
増加
傾向が見られております。一般には、
失業率
は
景気
におくれて
変化
する性格を持っております。 一方、生産
分野
では、自律的回復に向けた動きも徐々にあらわれております。生産活動を見ますと、鉱工業生産は、十一年七—九月期以来、三四半期連続の
増加
となっています。こうした中で、
企業
収益は
改善
しており、製造業を中心に投資意欲の
改善
も見られるところであります。 前述のように、
雇用情勢
は依然として厳しいものがありますが、こうした
企業
部門の
改善
の動きが家計部門にはまだ十分に波及していない段階にあるのではないかと考えております。しかし、全体として見ますと緩やかな
改善
が続いております。 今後、
景気
が自律的回復軌道に乗ってまいりますれば、
雇用
環境が
改善
し、
景気回復
の好
影響
が家計にも及ぶものと信じております。(
拍手
) 〔
国務大臣
宮澤喜一君
登壇
、
拍手
〕
宮澤喜一
15
○
国務大臣
(宮澤喜一君)
会社分割
の際の税制につきまして
お尋ね
でございましたが、
企業
会計あるいは
商法
会計における具体的な取り扱いに即して適正な税制を考えなければならないという関係でございます。 現在、
企業
会計、
商法
会計の具体的な取り扱いについては、今の時点では十分まだ明確になっておりませんので、これらの
動向
を見きわめつつ、
平成
十三年度の税制
改正
におきまして税制としての対応を
検討
してまいりたいと考えております。 その際の具体的な
検討
の方向でございますが、まず、法人税制につきまして、
合併
、現物出資等を含めた資本等取引に係る課税のあり方、所得税や法人税を通ずる
株式
譲渡益課税、みなし配当課税に対する適正な取り扱いをどう確保するか、あるいは納税義務、
各種
引当金等の引き継ぎについて、おのおのの意義、
趣旨
を踏まえた適正な税制
措置
をどういうふうにするか。また、おっしゃいますように、租税回避の手段として
利用
されてはならないわけでございますから、そのようなこともどういう
制度
で考えていくかといった、そういう点が
検討
の
対象
になっております。 なお、議員が例示されました登録免許税につきましては、先般、
産業
再生法に基づいて事業再構築を行う場合には、持ち株
会社
の設立などについて
合併
の場合に準じた軽減
措置
を講じたところでございます。 それは御承知のことでございますが、
会社分割
、今度は
分割
に対する登録免許税に対する取り扱いにも
会社分割法制
の
趣旨
を踏まえながら何かのことを考えなければならないと考えておりますけれ
ども
、まだ具体的なその
分割
法の態様がはっきりいたしませんので、ただいま明確に申し上げることができません。しかし、何かの
措置
を講じたいと考えております。(
拍手
)
斎藤十朗
16
○
議長
(
斎藤十朗
君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五分散会 ─────・─────