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内閣官房副
長官(
松谷蒼一郎君) 四月二日の午後七時ごろ、青木官房
長官は小渕総理にお会いをいたしまして、その場で総理から、有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼むとの指示を受けたところでございます。
この指示は、病床にある総理が御自身の意思を、
内閣官房を統括し、総理と一心同体の立場にある
内閣官房長官に対して示したものであり、内閣法第九条で規定されておりますような事態が生じた場合には内閣総理
大臣臨
時代理の任に当たるようにとの指示を当然に含んだものであることから、この指示を受けて、青木官房
長官が臨
時代理としての職務を開始できる体制を整えていたところであります。
その後、同日夜の官房
長官記者会見終了後に、総理が昏睡状態となった旨の連絡を青木官房
長官が受けられましたが、その時点においては総理が回復する可能性もあると考えられ、また休日の夜でもあり、内閣総理
大臣としての職務を直ちに必要とする
状況でもなかったところであります。
翌三日午前九時の時点において、青木官房
長官は、小渕総理が引き続き集中治療室において治療を受けておられることを踏まえ、有珠山噴火対策など一刻もゆるがせにできない諸問題に
対応していく必要がある等の
状況を総合的に勘案して、実際に臨
時代理としての職務を開始したものであります。
その後、同日午後零時四十分に臨時閣議を開催し、総理の病状、臨
時代理の指定及び臨
時代理としての職務を開始した旨の報告が青木官房
長官からなされるとともに、衆参両院議長に対して臨
時代理の発令通知を発出し、官報公告
手続もあわせて行ったところであります。
内閣総辞職につきましては、四月四日午後二時半に、青木官房
長官が順天堂病院に出向き、意識状態は昏睡状態で、脳梗塞による脳障害のため、
質問を理解したり御自身の意思を表明なさることは当分の間困難であるとの判断をせざるを得ないとの医師団の報告を直接受けられました。内閣総理
大臣が意識不明であり、近い将来に回復の
見込みがないような場合は、憲法第七十条に言う内閣総理
大臣が欠けたときに当たるものと考えられることから、青木官房
長官は、医師団の報告を受けて、小渕総理の病状がこれに該当すると判断し、この判断につき、同日午後七時の臨時閣議において了解を得て、内閣として総辞職の決定を行ったものであります。
以上でございます。