○本岡昭次君 私
たちが出している三十人以下学級問題はぜひこの場で
審議をしていただいて、最終的に是か非かを決めていただいたらいいと思うんです。法案というのは議論してどちらにするのかと決めてもらうために出しているんだから、そういうふうにぜひこの場で議論をいたしましょう。そして、この
参議院の
文教・
科学委員会が小
中学校あるいは
高等学校の一クラスの規模がどのくらいあればいいのかという問題に対して一体どういう結論を出すかということは極めて大事なことだと思いますので、ぜひともそれはやっていただきたい。
その根っこにあるのは、今、
学級崩壊とか小さな
子供たちが命を奪われるという状況がそこかしこにあり、また親も子育てで悪戦苦闘している。本当に
子供たちにどういう未来を我々が与えてやれるんだというさまざまな苦悩が現場にあるわけで、これは現場の
教職員だけではなくて地域の親もあるいは社会も挙げて文字どおり、総理が言う
教育立国、そこのところを目指してやっていかなければならぬというときでありますから、ぜひこの三十人学級是か非かの問題の議論をこの
委員会でやっていただくことを私は希望しております。
そこで、現状のようなやり方でとおっしゃるそのときに、きょうの東京新聞を見ますと、「「三十人学級」制度化見送りへ」というようなことを
文部省の協力者
会議が言ったか言わないのかよくわかりませんが新聞には出ております。
ところが、
教育改革国民
会議の今度座長にということで、江崎さんと言われる著名な学者がおられるわけです。その江崎さんが最近の新聞に、
教育改革国民
会議の会長になったとしたらあなたはどういう抱負がありますかというふうな問いかけに対して、新聞紙上ではありますけれ
ども、三十人学級必要論を述べておられます。はっきりと書いておられます。私は、ああなるほど、こういうふうにちゃんと言っていただく方もあるんだなと思いました。
そういう
意味で、私は、
教育改革国民
会議は三十人学級という結論を出していくと思うんです。
文部省はこういうふうに後ろ向きで、「「三十人学級」制度化見送りへ」ということになってくる可能性があると私は見ているんです。だから、私は江崎さんと話をしたいと言っているんです、あなたはこういうふうに書いて、本当にその気を持っておられるんですかということについて。そして、その結論を出していただいたらいいんです。そのときに
文部省が、いや、私
たちは三十人学級見送っているんだというような、そんな不細工なことは私だめだと思います。
それはそれとして、今までのやり方でという場合に非常に難しいのは、権限と財源の問題があると思うんです。権限と財源の問題がある。
というのは、私が言いましたように、定数法の中の乗数のところを変えれば、一学級当たり何ぼというあの
割合を変えれば
教職員の数をふやすことができる。また、
文部省が知恵を絞って非常勤講師なんというようなものをここに打ち出しているんです。私はこれについていろんな意見を持っているんですが、しかし、常勤講師、非常勤講師、また定数上の教員、いろいろあるとしても、現場で
子供の
教育に当たる
教職員がふえることは私は反対しません。
ただ、そのときに一番大きな問題は、その
一つは権限の問題として、法律に四十人学級と書いてあるから、それを三十人にする、二十五人にする、二十人にするということが市町村なり都道府県でできるのかどうか、自由にやるように枠を
文部省は取っ払うのかという問題。それともう
一つは、
学校の
教職員の賃金というのは義務
教育国庫負担法によって二分の一国が負担しているという仕組みがあるんです。だから、都道府県、市町村で自由に教員の賃金は持ちなさい、裕福なところはどんどん持ってふやしなさいというふうにすることもあると思います、財源で。しかし、そうなれば、裕福なところはいい
教育条件の
学校ができて、財政の厳しいところは国の言っている定数法上の教員しか配置できないということになれば、
教育の機会均等という問題がつぶれちゃうんです。
だからこれは、いかに自由主義だ、市場原理に基づくんだといっても、やっぱり
教育というものは私は公共サービスの最たるものだと思いますから、それぞれの市町村の財政力によって格差が生まれるということは好ましくないという基本線を押さえていくときに、義務
教育国庫負担法の二分の一を国が負担するというこの制度と定数法との関係の問題をきちっと整理しなければ、その後、弾力化によってそれぞれのところで好きなようにおやりくださいといったってやれるものじゃないです。それは、東京都の今の知事みたいな人が出てきて、いや、おれは勝手に税制をつくってやるんだ、そういうことができるならまた話は別ですけれ
ども、そうもいかぬでしょう。
だから、どれほど権限と財政の問題について
文部省がいわゆる
教育の分権化という問題を念頭に置きながらどうぞ御自由におやりくださいというふうなことをやれるのかどうか、私はこうなると思います。もしそれをある知事なり市長が、非常に
教育に熱心なところが骨身を削って
教育のところに
予算を持っていってやったとしたら、ああそうですか、国の基準を上回るそんなたくさんお金があるんですか、それでは交付税交付金の方を削らせていただきましょうかという形が必ず今まで出てきているんです。だから、どこもやれない。
だから、この新聞に書いてあるように、いわゆる非常勤講師を導入するなりいろんな工夫をして現在の定数の枠の中で工夫しなさい、弾力的にやりなさいということを
文部省が言う前に、今言ったように、きちっと権限の問題と財政上の問題の裏づけをしてやらなければ無責任きわまる。それともう
一つは
文部省のいわゆる責任の逃れです。
今、私の言いましたこと、決して私は係数のことを言っておりません、数字のことを。
考え方を言っておるんです。
教職員の配置と
子供との関係について、中曽根
文部大臣はどういうお
考えをお持ちですか。