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2000-03-15 第147回国会 参議院 文教・科学委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月十五日(水曜日)    午後一時二分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         佐藤 泰三君     理 事                 岩瀬 良三君                 橋本 聖子君                 石田 美栄君                 松 あきら君                日下部禧代子君     委 員                 阿南 一成君                 有馬 朗人君                 亀井 郁夫君                 仲道 俊哉君                 長谷川道郎君                 江本 孟紀君                 小宮山洋子君                 本岡 昭次君                 福本 潤一君                 畑野 君枝君                 林  紀子君                 扇  千景君                 田名部匡省君    国務大臣        文部大臣        国務大臣        (科学技術庁長        官)       中曽根弘文君    政務次官        文部政務次官   河村 建夫君        総理府政務次官  長峯  基君        科学技術政務次        官        斉藤 鉄夫君    事務局側        常任委員会専門        員        巻端 俊兒君    政府参考人        内閣法制局第一        部長       阪田 雅裕君        科学技術庁科学        技術政策局長   青江  茂君        科学技術庁研究        開発局長     池田  要君        大蔵省主計局次        長        寺澤 辰麿君        文部大臣官房長  小野 元之君        文部省教育助成        局長       矢野 重典君        文部省高等教育        局長       佐々木正峰君        文部省学術国際        局長       工藤 智規君        文化庁次長    近藤 信司君        厚生大臣官房審        議官       堺  宣道君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成十二年度一般会計予算内閣提出衆議院  送付)、平成十二年度特別会計予算内閣提出  、衆議院送付)、平成十二年度政府関係機関予  算(内閣提出衆議院送付)について  (総理府所管日本学術会議科学技術庁)、  文部省所管総務省所管日本学術会議)及び  文部科学省所管)     ─────────────
  2. 佐藤泰三

  3. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 昨日、予算委員会から、三月十五日の一日間、平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち日本学術会議並び科学技術庁文部省所管総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管について審査委嘱がありました。  この際、平成十二年度一般会計予算外二案中、総理府及び総務省所管のうち日本学術会議議題とし、長峯総理府政務次官から日本学術会議関係予算説明を聴取いたします。長峯総理府政務次官
  5. 長峯基

    政務次官長峯基君) 平成十二年度日本学術会議歳出予算要求額概要について御説明申し上げます。  日本学術会議は、我が国科学者の内外に対する代表機関として、科学向上発達を図り、行政、産業及び国民生活科学を反映浸透させることを目的とし、科学に関する重要事項審議科学に関する研究連絡を図ること等を職務としております。  平成十二年度一般会計予算につきましては、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、総理府所管に計上いたしました日本学術会議予算額は十二億五千七百万円でありまして、新体制移行後は総務省所管日本学術会議予算として二億四百万円の予算額を計上しております。ちなみに、これらを合わせた日本学術会議予算額は十四億六千一百万円であり、これを前年度当初予算額十三億二千六百万円と比較いたしますと、一億三千五百万円の増額となっております。  次に、その内訳について御説明申し上げます。  第一に、科学に関する重要事項審議等を行う総会、部会等のほか、百八十の各専門分野研究連絡委員会審議関係経費として三億三百万円を計上いたしております。  第二に、国際学術団体への加入分担金代表派遣及び学術関係国際会議開催等国際学術交流関係経費として三億七千四百万円を計上いたしております。  第三に、平成十二年七月に任命予定の第十八期日本学術会議会員に係る会員推薦関係費として一億二千七百万円を計上いたしております。  第四に、事務局職員人件費等日本学術会議一般行政経費として六億五千七百万円を計上いたしております。  以上が平成十二年度日本学術会議歳出予算要求額についての概要であります。  よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
  6. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 以上で日本学術会議関係予算説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  7. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 平成十二年度一般会計予算外二案中、総理府所管のうち日本学術会議並び科学技術庁文部省所管総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管議題といたします。  予算説明につきましては既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 自由民主党亀井でございます。  きょう御質問の機会をちょうだいしましたことを感謝申し上げたいと思います。  質問に入ります前に、委員皆さん方大臣に対して、私の地元の広島県の教育のことで大変御迷惑をかけてまいりましたので、一言状況報告を申し上げ、お礼申し上げたいと思います。  振り返ってみますと、一昨年四月の参議院予算委員会広島県の教育のありようが問題になりました。それを契機にしまして、異例のことでございますけれども、四月には文部省から広島調査団が来られ、十数項目にわたっての是正勧告があったわけでございます。そして一昨年、私自身が参議院に出まして、初めてこの文教科学委員会に参りました。最初委員会で忘れることができませんのは、その席上、扇先生を初め各党の先生方がみんな口をそろえて、広島県の教育はこんなことでいいのかということを厳しく話しておられたということで、今でも思い起こされるわけでございます。そうした皆さん方の御指摘、またさらには、昨年は中曽根大臣、当時自由民主党政審会長でございましたが、自由民主党調査団がまた広島に来ていただくというようなことで、非常に広島の方もこれは大変だということで、今、教育長の辰野さんを中心にして、一体となって広島県の教育改革に取り組んでおるわけでございます。  そういう意味では、なかなか動かなかった広島県の教育の山も少しずつ動き始めたかなという感じが今しておるわけでございますけれども、それもひとえに皆さん方おかげでございますので、心から感謝を申し上げたいと思います。まだまだ手は緩められませんので、これからしっかり頑張っていかなきゃならないと思いますが、一言お礼申し上げたいと思います。  それでは、最初国旗国歌の問題についてまたお尋ねしたいと思うわけでございます。  昨年の二月二十八日、ちょうど一年前でございますけれども広島県の県立世羅高校石川校長先生が自殺されるということがございました。組合教育委員会の間に挟まれまして大変苦しまれまして、何が正しいかわからない、自分管理能力がないことかもしれないけれども、選ぶ道はどこにも見当たらないという短い遺書を残して亡くなられたわけであります。それを契機にして国旗国歌法制化が大きく動き出したわけでございまして、昨年八月、国旗国歌法制化が実現したわけでございます。  それ以来、いろいろな会合に出ましても、国旗を掲げ、そしてまた国歌を歌うという場面が心なしか多くなったように思うわけでございますけれども、そういう意味では大変喜ばしいことだと思うわけであります。  一年たちまして、ことしも三月一日から高等学校卒業式が始まりまして、中学校小学校、次々と行われておるわけでございますけれどもおかげさまで広島県の県立高校におきましても、国旗の掲揚、国歌の斉唱というのが昨年よりは高い割合で行われておるようでございます。  しかし、よくよく見ますと、形だけというところが多分にあるわけでございます。御案内かもしれませんけれども、新市町の町立中央中学校では生徒数名が、国旗が掲揚されている、掲示されていることを見まして、とがめまして、こういうことでは卒業式をやるわけにいかないということで発言をしたわけでありまして、数名の生徒がそういうことになり、全員出ようということになりまして全部出てしまいました。そして、それを見て校長先生が、こうしたことを発言することは大変勇気ある行動だということで生徒たち発言を一方ではたたえて、帰ってこいというふうな話がありまして、そして子供たちが戻ってきて卒業式が始まったというふうなことがあるわけでございます。  そういう意味では、子供たちを巻き込んでこうした反対運動が行われるようになったわけでありまして、ことしは中学校は一校だけそういうことがございましたが、右へ倣えでそういうことがまた次々と起こっては困ったものだと思うわけでございます。  こうなりましたのは、子供たち国旗を掲揚し国歌を歌うということに対しては非常に抵抗感を持つ。それは急に持ったわけじゃございませんで、中学校の場合でしたら、六年の三年ですから過去九年間、いかに日の丸の旗が忌み嫌う旗か、例えばあの白は日本侵略戦争で殺した人の骨の白だとか、あるいは赤は血の赤だというようなことを計画的に一年生のときからずっと教え込んでおるわけでありますから、中学校の三年生になりますと、国旗を見ましても敬うという気持ちにはもちろんなりませんし、上げようという気持ちにもならないということでございました。  そういうことでは困るわけでございますけれども文部省としては、学習指導要領にも国旗を掲げ国歌を斉唱するように指導することということも書いてありますし、また一部の検定教科書には国旗国歌のことについても記述があることは事実でございますけれども、しかし一番大事なのは、先生方指導案というのをつくっておりますね、自分はどう教えるかということで。具体的に国旗国歌についての指導案先生方が各自つくってそして教えているわけでありますが、この指導案に大きな問題があるわけでございます。  そういう意味では、ここで文部省の方にお願いしたいのは、何といってももう一度学習指導要領というものを法制化を機に見直してもらい、もうちょっと突っ込んだ形で記載していただきたいし、また教科書にも、一部の教科書じゃなしに、やはり検定教科書には国旗国歌についてはすべて記載するように指導していただきたいと思います。同時にもう一つは、先生方がつくった指導案、こういうものをやはりつぶさに調査していただく必要があろうかと思うわけであります。  そういう意味では、予算に絡みまして、こういうことについても経費がかかろうかと思いますけれども、こうした問題に絡んでどのように大臣はお考えなのか、御答弁を願いたいと思うわけであります。
  9. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 広島県での教育のいろいろな問題について委員が長年大変御苦労されてこられたことを私もいろいろと存じ上げておりまして、心から敬意を表する次第でございます。  国旗国歌についてのお尋ねでございますけれども、昨年これが法制化をされまして成文法で明確にされたわけでございますけれども文部省におきましては、学習指導要領におきましてこれの指導に当たっているところでございます。具体的には、小学校中学校高等学校の各学校段階におきまして、社会科音楽あるいは特別活動の時間において適切にこの指導を行っているわけでございます。  委員もおっしゃいましたけれども我が国国旗国歌を尊重する、そして他国の国旗国歌敬意を払い尊重するということ、理解を深め、そういう態度を育てるということは大変重要なことでありますし、またこれを尊重するということが国際的儀礼であるということもしっかりと子供たちに教えなければならないと思っております。  国歌につきましては、音楽授業におきまして指導しているわけでありますけれども、いずれの学年においても国歌君が代については指導しておりますし、また特別活動におきましては、小学校中学校高等学校の各学校段階におきまして、入学式卒業式のそういうような式典におきまして国旗を掲揚するとともに国歌を斉唱する、そういうふうに指導しているところでございます。  また、教科書検定におきましても、小学校社会科の第四学年、それから第六学年につきまして、国旗国歌はいずれの国もこういうものを持っておる、そして我が国国旗は日章旗である、また国歌君が代であること、それから外国も含めまして国旗国歌を尊重し合うことが必要である、そういうことの記述がなされるように配慮をしているわけでございます。  今後、各学校で十分にこの趣旨を理解していただきまして、児童生徒に対して正しい指導が行われ、また立派な青少年が育成されることを心から望んでおるところでございます。
  10. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 学習指導要領教科書等についてはよくわかるんです。先ほども言いましたように、指導案についてのフォローといいますか、そういうことについて文部省としてもやはりそこまで見ていただかないと、実際どのような教育がなされているのかわからない点があろうかと思いますので、それについてもそういう方向で御検討いただければと思うんですが。
  11. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今、先生がおっしゃいました指導案につきましては、実際に学校の現場で校長先生などがおつくりになるものでございまして、それの作成につきましては、今申し上げました趣旨を十分に理解した上で作成をしていただき、またそれに基づいた指導をしていただきたい、そういうふうに思っております。
  12. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今の指導案のことでございますけれども校長先生のところでは見られると思うんですけれども教育委員会でも見られると思います。先生方が勝手なものをつくって勝手に教育しているのが実態でございまして、そういう意味ではあそこはブラックボックスになっておりますので、学習指導要領に幾ら上手に書いてあっても、そのとおり行われているかどうかという担保がないわけでありますから、それについてはひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  それから二つ目は、教職員組合活動給与の問題でございます。今、民間企業でもどんどんリストラが行われておるわけでありまして、特に労務費をどのようにカットするかということが大きな課題でありますし、それについてはみんな神経質になって考えておるわけであります。そういうことが一方である中で、教職員組合組合活動が意外とルーズに認められている面があるように思うわけであります。  授業時間中にどんどん役員の人は、授業を組んでいないんですからサボったことにならないかもしれませんが、勤務時間中に出ていくわけですから、これはサボるのと一緒だと思いますが、そういう形で組合活動に専念しておられるということがあるわけであります。当然これは給与をカットしなきゃいけないわけですが、そういうような形でのことが全国的に行われていないんじゃないかと私は思うんですね。  特に、広島県の場合もかつてそうでございまして、破り年休ということで、破り年休というのはどういうことかというと、組合活動に出るときには年休の届けを一応紙に書いて出します。出しますけれども、戻ってきたら破って捨てます。ということはどういうことかというと、行っている間に自分が事故か何かを起こしたときには、あれは年休を使って行っていたんですということでちゃんと弁明がつくようになっているんですが、帰りましたらもうその必要はありませんから破いて捨てて、年休を使ったことにならないわけでありますから有給で組合活動をしておったということでございまして、これが大っぴらにもう何十年間もやられておった。これはもちろん教頭先生校長先生も認めており、県の教育委員会もこれを暗黙のうちに認めておったということでございますけれども、昨年このことがわかりまして、これはひどいじゃないかということで非常に問題になりました。そして、全員に、どの程度、何月何日にどれぐらい破り年休組合活動をしたかということを自己申告をさせたわけでありますけれども、それでも抵抗して出さない、申告しない先生方が七千人ぐらいの組合員のうち二千人近くおられたんですが、しかしまた再度職務命令で出すようにということにされまして、結局出さなかったのが千三百名ぐらいということで、これについては処分をされるということになりまして、これが一つ大きな問題になっておるわけであります。  しかし、この問題は単に広島県だけではなしに、この話を聞かれた、具体的には三重県でございますけれども三重県の方からお見えになりまして、三重県は破り年休以前で、破るべき年休届もない、行ってきますということで、もうそれだけで出ていっているというのが実態だそうでございます。そういう意味では、文部省として、各県の教育委員会に対してけじめだけはちゃんとつけるように厳しく指導してもらう必要があると私は思うんです。  これについて、既に広島で問題になりましたから、文部省としては各県の実態をある程度調査しておられるんじゃないかと思いますけれども、調査しておられないなら早急にまた調査してほしいし、調査しておられればその結果を報告していただきたいし、またこういう問題に対する考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  13. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 公立学校職員給与を受けながら職員団体のための活動を行うということは地方公務員法によりまして厳に禁止されているところでございます。また同時に、教育公務員特例法等におきましても、こちらの方は政治的な活動でございますけれども、それを行うことも禁止されているわけでございます。  従来から、各教育委員会におきまして適正な勤務管理を行うとともに、服務規律の徹底を図るよう指導してきているところであります。教員が法令に違反するような活動があれば、これは今後とも適正な指導をしていかなければならないと思っております。  今、委員指摘広島県の勤務時間中のいわゆる破り年休、それから三重県の状況等についても私ども報告が来ているところでありますし、また訓戒等処分も行ったところでございまして、今後こういうことがないように教育委員会を通じて十分な指導をしていきたいと、そういうふうに思っております。
  14. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  同じようなことで、ことしは選挙の年でございますので、これからまたにぎやかになるわけでありますけれども、これまで教職員組合選挙運動が物すごく大っぴらに見逃されてきたように私は思うわけであります。先生方地位を利用して選挙運動されるのはもちろんでありますけれども選挙事務所に通ったり、あるいは会合に出ていったり、夕方でしたらまだしも、これさえ先生立場になるとやってはならないことだと私は思いますけれども、時間中でも堂々とそういうところへ出ていっているというのをみんな見ているわけですね。それで、あの先生はこうだったこの先生はこうだったということがどんどん情報が入ってくるわけであります。  同時にまた、教職員組合の幹部の方々が、専従で組合から給料もらっている方ならいざ知らず、そうじゃなしに、先生としての、教師としての地位を持ちながら、そういう立場でありながら政治団体役員に就任しているという例もあるわけでありまして、手元にもそういう資料が届けられておるわけでありますけれども、そういうことについては完全に違反だと思いますので、そういう意味では教職員政治活動については文部省としても厳しくこれをとがめてもらって禁止してもらわなければ私はいけないと思うんですが、これについては大臣、どうお考えでしょうか。
  15. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたけれども地方公務員法に違反するようなことがあればこれは正しく指導し、また処分を行う必要があれば行っていかなければならないと思っておりまして、今後、私ども教育委員会等を通じて十分にこういう点を調査していきたい、そういうふうに思っております。
  16. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ぜひともひとつ厳しく指導のほどお願い申し上げます。  次に、道徳教育の問題についてお尋ねしたいと思います。  戦後五十年、私たちは確かに豊かになったと思います。しかし、半面において私たちは大変大切なもの、人間として忘れてはならない心を失ってきたんではないかと思うわけであります。そういう意味では物中心の世の中ということが続いたわけでございますが、ここでもう一度心という問題を考え直さなければならないということで、そういう世論もどんどん沸き起こっておるわけでございますが、そうした結果がまた学級崩壊にもつながってきているんだと思います。もちろん、これにつきましては、学校教育だけではなしに社会教育家庭教育、この三つが柱でございまして、三つそろってやっていかなきゃならないことだと思うわけでもございます。  この前、文部省の方で調査された日本アメリカとドイツとイギリスと韓国、五カ国の子供体験活動に関する国際比較調査というのが出まして、非常に興味深く読ませてもらったわけでございますけれども、これはいろんな項目について調査されておりますけれども、しつけの問題についても日本が一番悪いということになっておるわけであります。その一つは、うそをつかないようにしなさいと両親から厳しく言われていますかということに対して、日本の場合は、お父さんから厳しく言われているというのが一一%、お母さんから言われているというのが一六%。それに対して一番高いのはアメリカでございまして、アメリカではお父さんから四七%やかましく言われていると。そういうことでは四倍ぐらいの割合、一一対四七。それから、お母さんということにつきましてもアメリカでは五〇%ということで、これは約三倍ぐらいの割合で高いわけであります。  こういうことで、しつけの問題についても日本はかなり問題があるように思うわけでありますし、その結果、子供たちの正義感も他の四つの国に比べましたら随分差があるわけであります。たくさん項目がありますけれども、そこの中で、いじめを注意したことがあるかということで、何度も注意したことがあるというのは日本の場合わずか四%、これに対してアメリカは二八%。そしてまた、時々はしたことがあるというのが日本では一八%、アメリカは二〇%ということですから、時々としょっちゅうを入れましても日本は二二、アメリカは四八ということで大きな差があるわけでもございます。  また、けんかの仲裁に入って友達のけんかをやめさせたことがあるかということにつきましても同じような傾向がございまして、日本では八%、そして韓国が一番多くて二七%。時々あるというのが日本では二四%で韓国が四〇%ということですから、日本では両方足しても三二%ですが、韓国では六七%となって、三人に二人の子はこういうことについて勇気を持ってけんかの仲裁に入っているというふうなことで、非常に大きな問題があるように思うわけであります。  そういう意味では、こうした状況を何とか是正していかなきゃならない。もちろん社会教育家庭教育は大事でございますけれども、しかし一番子供たちに接している時間が多いのは学校でございますし、そういう意味では学校教育力というものを高めていかなきゃならないと思うし、文部省の果たす役割は大変大きいと思うわけであります。  そういう観点から学習指導要領等を見てみますと、学習指導要領にもいろいろと書いてありますし、そしてまた道徳教育推進指導資料という先生方指導の手引も文部省でつくられておりまして、そこの中にはいろんな物語等も書いてありますけれども、道徳の時間が週一回ですから年三十五時間あるわけでありますが、しかし道徳の時間に最低限度教えなきゃいけない教科書らしきものがないわけでございます。これを聞きましたら、道徳というのは教科じゃないからないんだと言うのですが、これは理屈だと思います。ですから、その間に子供たちに少なくともこういうことは教えなきゃいけないということをつくっていく必要があるんじゃないかと思うんです。  さっき言いました道徳教育推進指導資料、こういう分厚い本がありまして、読ませていただきましたけれども、内容もよく考えて編集してありますけれども、こういうものを先生だけが持つのじゃなしに、むしろもうちょっと学年ごとに冊子をつくって子供にちゃんと教えるということをしていいのではないかと思うし、むしろすべきだと私は思うんです。  その意味で私は、道徳というものに対して文部省は腰が引けていると、申しわけないんですけれども思わざるを得ないわけであります。そういう意味では、先ほどのような調査の結果を見ておるわけでありますから、もっともっと突っ込んで道徳教育、人の道、生きる道というものを教えるべく頑張っていただかなければ、私はこういう状況を改善できないんじゃないかと思います。  特に、これもさっきの指導案に戻りますけれども先生方が道徳の時間には何をしようと学習指導要領に基づいてつくるわけですから、学習指導要領どおりやられているかもわからないし、こうした指導指針に合ったとおりやっているかどうかも、どこにも担保するところはないわけでございます。そういう意味でも、もっともっと道徳問題について文部省は突っ込んだ形で取り組んでほしいと思いますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
  17. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員から、外国との比較を挙げられて、日本児童生徒のしつけの状況等についてのお話がありました。  道徳教育あるいはしつけというものは、人間の正しい生き方、あるいは社会でのルール等を教えるものでありまして、最も重要なものだ、そういうふうに思います。学校におきましては、道徳の時間はもちろんでありますが、各教科の時間あるいは特別活動の時間などを通じまして指導を行っているところでございます。  そういう意味では、いろいろな施策を行っておるわけでございまして、児童を持つ、生徒を持つ親御さんのための家庭教育ノートや、あるいは乳幼児を持つ親御さんのための家庭教育手帳も作成しておりますが、さらにいろいろなフォーラムを開催いたしましたり、モデル事業を行っているところであります。今後も、道徳教育の重要性というものを深く認識いたしまして、これの充実を図っていきたい、そういうふうに思っております。  また、学習指導要領における取り扱いについてのお話もありましたけれども、今度の新しい学習指導要領におきましては道徳教育の一層の充実を図ろうとしておるわけでございます。家庭や地域の人々の協力を得て、ボランティア活動とか、それから自然体験活動、こういうようなものがさらに活発にできますようにと。自然体験活動やボランティア活動あるいはお手伝いなどの経験のあるお子さんの道徳心というものは、そういう活動の経験の少ない子供たちより非常に高いという統計的な数値も出ておることから、私どももそういう観点からもこういう活動をふやしていきたい。もちろん、いろいろな課題探求、それからみずから学びみずから考えるいわゆる生きる力、これの育成のためにも有効でありますけれども道徳教育の一環としてこういうようなものも推進をしていきたいと思っているところでございます。  また、副読本のお話もありました。私も道徳の時間の副読本のような教材というものは非常に大切であると思っておりまして、私もかつて予算委員会でその当時の文部大臣に対しまして副読本の整備について要請をしたことがございます。  教育委員会あるいは学校等でいろいろ工夫されてこういうものについては準備をしておるわけでございますけれども、私自身は、やはり子供さんが自分で持って、そして自分でそれをいつでも読める、あるいはお母さんがそういうものを参考にしながら教えられる、学校だけではなくて、そういうようなものに使えるようなものも研究してつくっていったらいいのではないか、そういうふうに個人的には思っておりましたけれども、今後もそういう点は研究をしていきたい、そういうふうに思っているところでございます。
  18. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今、大臣のお話を聞きまして安心したわけでありますけれども、特に道徳の問題については戦前の修身という、私たちも修身で習った者でございますけれども、身を修めるということですから別に悪いことではないと思うんですが、それに対する抵抗が随分あったわけであります。しかし、人の生きる道については、私は主義主張に関係なく、党派に関係なく同感を得る面がたくさんあろうと思いますので、そういう意味で、最大公約数だけでもいいから、そういう点をまとめていっていただきたいと思うわけであります。  それから、道徳の問題に絡みまして、さっきもお話ししましたしつけの問題について、同じようにまたお尋ねしたいと思うのであります。  子供のしつけは家庭、学校を問わず非常に問題になるわけでありますが、しつけの問題には必ず罰という問題が伴うわけでございます。子供の人権はもちろん尊重しなきゃなりませんし、一方的に子供を理由もなくたたいたりいじめたりしてはならないことは当然のことでございますけれども、しかし、子供のわがままを認め過ぎたのが戦後の教育ではなかったかという反省も我々はしなければならないのではないかと思うわけであります。そういう意味では、子供に妥協し過ぎたことを反省して、むしろ悪いことは悪いと言ってしかる勇気を我々は持たなきゃならぬのじゃないか。  それは、先ほどの国際比較にもありましたように、日本の場合は保護者の方々、また我々もついつい甘やかすことは十分だけれども、注意ししかることについては十分ではなかったような気がするわけでありまして、罰を加える勇気をここで見直していかなきゃならないだろうと思うんです。  そういうことで、しかられない、甘やかされた子供たち小学校に進むということで、小学校の低学年における学級崩壊、こんなことは考えてもみなかったことでありますけれども、こういう事態が起こっておりますが、これもやはり私は二世代にわたってこうした教育が続いてきたということがここで火を噴いてきたのだろうと思うわけでもございます。そういう意味では、愛のむちとよく言われますけれども、体罰も私はある限度内においては許されるのではないかと思うわけでございます。  体罰の問題に絡みまして、最近、広島で起こった事件で、これは学校ではないんですが、広島学園という、これは昔の教護院、いわゆる問題児が入る施設でございますが、今は児童自立支援施設、こう言うのだそうでございますが、そこで最近起こったことなのでございます。そこでは、ですから非常に暴力を振るう、暴れ回るという子供がたくさんおるわけであります、五十人ぐらいおるようでございますけれども、それをちゃんとまとめていこうと思うと、どうしてもやはり厳しい姿勢をとらざるを得ないということになるわけであります。  最近起こりましたのは、まゆ毛を細くそってくるんだそうです。それだとか頭を茶髪にしてくる。そうすると、そこではこれまで罰として、まゆ毛を細くそってくると全部そって新しくきれいにそろえるとか、あるいは茶髪で来ると坊主にするというような形でやっておったようでございます。最近、一月にそういう子が来たものですから、これは柔道の先生で、非常に柔道で熱心ですから、みんなその先生がおったためにその寮も落ちついておったというような状況ですが、その子がまゆ毛を細くしてきたものですから、それで本人にも話して、本人も納得して、そして石けんをつけて、自分ではそれないからというので先生がそってやったということなんです。  それは従来と同じだったんですが、たまたまその学校のある先生がそのことを新聞社に通報されたということで、ちょっと大きな問題になりました。大きな問題になったら、学園としてはそれは体罰だ、けしからぬということになりまして、そして県知事名で処分を受けて、今停職になると同時に配置転換になってしまったわけであります。  そうしますと、この一カ月ばかりの間に、二月から三月にかけての間に大変その学園は困っている。ここにもその学園の指導主任の先生から私に陳情が飛び込んできているんですが、一月の末から大変なことになっている、二月は毎日のように暴力事件がいろいろ起こっているけれども、だれもとめることができないということで、先生も逃げ回る、生徒も逃げ回るという状況が起こっておるわけですね。  ですから、こういった実態もよく考えないで処分したことは問題だと思うんですけれども、マスコミに弱いですから、マスコミが体罰だと言うと体罰だということで処罰しちゃうということで、そういうことになったんだろうと私は思うわけであります。そういうことで、こうした問題児のいる施設における体罰というものは、体罰という表現は悪いですけれども、抑止力というものはどういう形でやっておられるのか。これは厚生省の方、お見えいただいていると思うので、ちょっと御答弁願います。
  19. 堺宣道

    政府参考人(堺宣道君) 児童福祉法におきまして、児童福祉施設の長は、施設に入所している児童について、児童を懲戒し、または懲戒に関し、その児童の福祉のための必要な措置をとることができるという規定がされております。  この懲戒権についてのお尋ねでございますけれども、施設におきまして体罰の問題などのことが生じましたことから、平成十年に児童福祉施設最低基準に「身体的苦痛を与え、人格を辱める等その権限を濫用してはならない。」との規定を設けまして、その権限の乱用の禁止を明示しております。  具体的には通知を出しておりまして、例えば、殴る、ける、食事を与えないなどの乱用に当たる行為を例示するとともに、懲戒に係る行為の方法及び程度が児童の健全育成という法の目的を達成するために必要な範囲を超える場合には乱用に当たるというふうに指導しているところでございます。  以上でございます。
  20. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今のお話を聞きまして、この先生から話を聞いた限りにおいて、また、いろいろたくさんの嘆願書みたいな格好で来ているんですけれども、これですと、この先生は、本人が正月に家へ帰ってきたときに、まゆ毛を自分で細くしてきたから、それは異様な顔になりますし、恐怖感を与えるので、それは従来からそっているし、そったわけですね。だから、押さえつけてそれば、これは傷害罪になるかもしれませんけれども、そうじゃなしに本人の納得の上でまゆ毛をそっても、これは体罰なんですかね。その辺、どう思われますか。
  21. 堺宣道

    政府参考人(堺宣道君) この事案に限って申し上げますと、先生今御指摘の事例も含めた一連のことがございまして、それを見てみますと、その職員が行っていた行為というのが、げんこつで顔を殴って負傷させたというようなことなどもございまして、これは懲戒に係る権限の乱用に当たるのではないかというようなことを考えておるわけです。
  22. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 私が聞いている情報と若干違います。昨年、何かそういうことで言うことを聞かない子を殴ったことが一回あるようでございますが、それはそれで処分されているんですね。それはもう去年処分されていて、そして新しく一月のことでございますから、一月時点においては、これは殴ったりなんかしないで、単にそっただけというふうに聞いておるわけであります。そういったことで、私が申し上げたいのは、マスコミに書かれたからといって、すぐに体罰だということで先生処分していいのかどうか。そうすると、子供たちはいい気になっちゃって暴れ回っているわけですね。先生方が困り果てているのが現実です。  ですから、これは文部省じゃないんですけれども、厚生省としてそういうことを管理しておられるわけでありますから、そういう意味では体罰という面で一番激しいところの問題で例がいいものですから出しているんですけれども、そういった子供に対する罰というのも、それも体罰として処罰されなきゃいかぬのかということについては、私はもう一度体罰という問題をよく考えてみなきゃいけない問題だと思うんですね。そういう意味でこの問題を取り上げてみたんです。だから、今おっしゃったように殴ったんですか、一月に。そこをちょっと確認します。
  23. 堺宣道

    政府参考人(堺宣道君) 先ほど申し上げましたげんこつで殴るというのは、十二年一月にはそういうことはなかったということであります。それ以前のことでございました。
  24. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 普通、処分される場合、前に一回処分されたことまで持ち出して、それで二つを加重して処分されるのはいかがなものかと私は思います。そういう意味で、こういった体罰の問題についてちゃんと指導されませんと、子供たち指導もちゃんといかないと私は思うから何度も言っているんで、これについては十分検討していただきたいと思います。  だから、おっしゃったように、まゆ毛だけだったら体罰じゃないでしょう、まゆ毛だけだったら。
  25. 堺宣道

    政府参考人(堺宣道君) まゆ毛をそる行為自体は乱用には当たらないというふうには思いますが、それを無理やりということに至りますと、これは乱用に当たるのではないかというふうに考えております。
  26. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 ちょっとくどいようですけれども、おっしゃるように、押さえつけてそったりなんかしたらそれはやっぱりいけないと思います、傷害罪になると思いますが、ただ、この場合、私が聞きましたら、本人がちゃんと石けんをつけておとなしくしてそらしてもらっているわけですよ。それで、これは体罰だということになったらどうにもできなくなる。後でコピーを上げますけれども、毎日のようにこんなことがあったといって、私あてに来ているんですよ。そうすると、やっぱりこれじゃいかぬと思って問題にしているので、厚生省としてもちゃんと取り上げて善処しないと、この先生だけの問題じゃなしに、園全体がどうにもならなくなっていますから、ひとつよろしくお願いします。  それで、今のは非常に厳しい体罰の場合でございますが、同じようなことで学校においても体罰が問題になるわけでございます。そういう意味では、教師が教育意味において、例えば頭を軽くたたくとかおしりをたたくとかいうのは、受けとめ方によっては痛かったり痛くなかったりするとは思うんですけれども、けがをさせたりなんかするのはとんでもないことなんですけれども、そうじゃない形で、いわゆる愛のむちと言われるぐらいの範囲で体に触れることが体罰なのかどうなのか。  これにつきましても、平成十年に問題になっているのが、十年も九年も大体そうですが、千件ぐらい、学校数にして八百五十校ぐらい問題になっております。しかし、その中で処分されたのは四百件ぐらいで、半分以下は処分されていないというふうなデータが出ておりますし、しかもほとんど七割が素手でほっぺたをちょっとたたいたという程度のことだということになっております。しかし、いずれにいたしましても、学校における体罰というものが非常に問題になるわけであります。  では、地元の広島の場合はどうかと思って全国の統計を見ておりましたら、平成十年ではわずか二件で、しかもこれは訓告ということで処分の対象になっていません。つまりゼロでございました。だから、みんな子供がいいのかと思って刑法犯の少年の数を調べてみましたら、これが全国で広島県は最悪で、千人当たり二十六人ということです。ですから、それを見ますと、広島県の場合は、まだしっかり先生方が元気を出して子供たち指導してもらわなきゃいけないんじゃないかというふうな思いもするわけであります。余談になりましたけれども、そういう意味で、児童生徒に対する学校における体罰の限界というのか、どのように大臣はお考えでしょうか。
  27. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 悪いことをした児童生徒に対して、悪いことをしたんだということをしっかりと自覚させて、また反省をしてもらうように指導するということは大変大切なことでありますし、また、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、しかる勇気というものも大事だとは思っております。  しかし、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることは教員また校長ができますけれども、体罰を加えることはできないと、そういうふうに学校教育法で禁止をされておりまして、これは体罰についてでありますけれども、いかなる理由がありましても認められるものではないわけであります。昔は愛情を持って愛のむちというお話がありましたけれども、かつてはそういうような教育の方法もあったと思いますけれども、私自身は、やはり行き過ぎたそういう指導というものはあってはならないと思っております。  従来から、児童生徒指導に当たりまして、文部省におきましては体罰が行われることのないよう各教育委員会を通じて指導してきたところでございますが、平成十年度に児童生徒に体罰を行ったことにより懲戒処分を受けた公立学校の教員の数は百十四人でございます。訓告等の処分を受けた者が二百六十九人となっておりまして、これは前年度、つまり平成九年度と比較いたしまして懲戒処分を受けた者は五人増加しておりますけれども、訓告等を含めた処分を受けた者を含めますと前年度より三十一人減となっております。  今後とも、各教育委員会におきまして服務規程の確保を図るとともに、これに違反した者に対しては私は厳正な措置を講ずるようしなければならないと思っておりまして、各教育委員会を通じて指導していきたいと思っております。しかし、委員のおっしゃりたいことは十分わかります。やはり、よいこと悪いことをしっかりと教えるということは大事でございますので、それは学校の現場において先生が良識を持ってやっていただければいいと思っております。
  28. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 今の問題は、ひとつ意のあるところを十分お酌みいただきまして、子供たちのそういったしつけの問題に絡んで、しかる勇気を先生方にしっかり持ってもらうようによろしく御指導のほどお願いしたいと思います。  それでは、最後に学校施設の問題についてお尋ねしたいと思います。  小中高の公立学校の施設の充実がいろいろな面で叫ばれておるわけでありますけれども、特にパソコン関係の整備状況でございますけれども、今やパソコン、インターネットの時代ということでございますから、これはどんどん整備していかなきゃならない。特に、平成十四年の新学習指導要領の実施までには整備されなきゃいかぬということで急いでいただいておるところでございますけれども、地元の広島県だけ見ましても、高等学校の場合に、一校当たり四十二台ということで整備していますけれども十五校ばかりまだできておりませんし、中学、小学校とも六割程度しかまだ基準に達していないという状況でございます。全国的に同じような状況にあるのではないかと思いますので、これについて予算面で急いでいただく必要があろうかと思います。よろしくお願いしたいと思います。  それからもう一つは、冷房施設でございますけれども、図書室だとか保健室、事務室、校長室、職員室、そこまでは今整備が進んでおりますけれども、一般教室については、これはまだ行われていないしまた対象に入るのか入らないのかよくわからないんですけれども、これについて補助の対象事業になるのかどうなのかお聞きしたいと思います。  特に広島市の場合、これは特殊事情かもしれませんが、広島市には広島市立の基町高校と舟入高校がございまして、これがそれぞれ八十億ぐらいかけましてすばらしい学校をつくったわけであります。各教室、もう全部冷暖房完備であります。県立高校はお粗末ということでございますので、だんだん生徒が片方に、やはり設備のいい学校へ行きますので、そんなことでどんどんそちらに行って、県立高校に来る子は少なくなるというような危機意識を持っておられます。  私の母校であります皆実高校は県立高校ですが、やはりないものですから夏の補習授業をするのに困るので、同窓会館に和室の大きな部屋があるんです、そこはクーラーがききますからそこを貸してくれということで、寺子屋式でそこに座り机を置いて補習授業をやるというような状況でございます。私は一般の教室にも、やはり夏に補習授業を受けに来るのなら、今はクーラーは別に目新しいものじゃありませんしぜいたくじゃありませんので、そういう点については設備を整えてやっていいんじゃないかなというふうに思いますけれども、こういうことについて文部省はどのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。  それからもう一つ予算の関係では公立学校の図書費なんですけれども、これもどういうわけか広島の場合は十年に比べて十一年には大幅に図書費の予算が減っているというような状況でございますし、そういう意味では文部省からのこういったものに対する補助というものもふやしていただいて、できるだけ子供たちがしっかり勉強できるような状況にしていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。  あと、時間もございませんので、これに対する御答弁をいただく前についでにちょっと要望ですけれども学校における校長先生のリーダーシップの問題で、今度学校教育法の施行規則を一部改正されまして、そういう意味では職員会議の位置づけが明確化されたり学校評議員制度を設けられるということで、非常に私はすばらしいことだと思います。  さらにもう一つ、主任制の実働化の問題が残っておりますので、主任制が実働化するように、これについてもぜひとも御検討願いたい、これは予算とは関係ありませんが、時間がございませんので要望しておきたいと思います。
  29. 矢野重典

    政府参考人矢野重典君) 施設関係の状況について御説明申し上げます。  まず、パソコンの導入状況でございますけれども、パソコンにつきましては、平成十一年三月における整備状況でございますが、現在、コンピューターの一校当たり平均設置台数は全体で二十四・九台まで整備が進んでいるところでございます。平成十二年度から平成十七年度までの間にコンピューター教室に一人一台、各普通教室にも二台の整備が可能となるよう必要な地方財政措置が講じられることとされたところでございます。  さらに、平成十二年度予算で新たに校内LANの整備を行うこととしておりまして、今後とも、関係省庁と連携して学校のコンピューターの整備の推進に努力をしてまいりたいと考えております。  また、小中高等学校の冷房施設の普及状況でございますけれども、空調に対します補助制度は平成六年度に創設をいたしましてこれまで計画的に整備を図ってきているところでございまして、平成十年七月現在における全国の状況でございますが、全教室に対する空調整備率は、小中学校では一一・一%、高等学校では一五・九%という整備状況になってございます。  この空調につきまして、文部省では、これは特に必要と認められます音楽室、家庭教室、図書室、職員室、コンピューター室等々に限定して国庫補助の対象としてきているところでございまして、今後とも、この補助制度の趣旨にかんがみまして、市町村における空調整備が円滑に進められますように予算の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。  なお、学校における図書整備費についてでございますが、これは御案内のように、地方財政投資の中で必要な財源が措置されることになっているところでございます。
  30. 亀井郁夫

    亀井郁夫君 終わります。
  31. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は、文部大臣の所信に基づいて、文部省からもらった予算額主要事項別表というのをもとにして若干の質問をいたします。  まず、文部大臣の所信に、総理の諮問機関と言われている教育改革国民会議というものと文部省の中央教育審議会の関係であります。  かつて、中央教育審議会の上に、中曽根文部大臣お父さんの中曽根総理が臨教審、臨時教育審議会というのを設けられて、その臨教審のあり方とこの中教審とは一体どうなるんだという議論は随分したものであります。また同じようにこういう形が出てきまして、そしてこの所信を見ますと、教育改革国民会議もいろいろと議論して意見をいただく、また中央教育審議会も必要な議論をお願いしますと。そうすると、きょうの東京新聞を見ると、文部省協力者会議もいろいろと発言をしている。いろんなところでいろんな発言をしてもらうことはいいと思うけれども、これはちょっとまずいんではないかと思うんです。やっぱり文部省教育立国ということを、総理が掲げたというんじゃなくて、これは文部大臣そのものが、教育立国かくあるべしというものを、みずからの中央教育審議会を率いてその中身をつくり上げていくということでなければならないと私は考えます。  この両者の関係は一体どのようにこれからされるおつもりなのか、ひとつ簡潔にお伺いしておきます。
  32. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 教育改革国民会議と中央教育審議会との関係についてのお尋ねでございましたけれども、国民会議については委員も御案内のとおり近々発足することになっております。ここでの議論は、詳しいことは私からまだ申し上げられるような状況ではないといいますか、これからテーマ等が決められていくわけでありますけれども、いわゆる教育問題全般にわたり、また教育の根本にまでさかのぼった議論が行われるものと、そういうふうに思っておるわけであります。  一方、中教審の方、これは審議会でありますけれども、こちらの方は今少子化問題等についての御議論、御審議もいただいておるところでございますが、今、私ども考えておりますのは、もちろん文部省としての教育に対する見解といいますか、長期的なものも含めた方針等をしっかりと打ち出すことはとても重要なことであるのは言うまでもありませんけれども、国民会議が今まさに発足をしようとしているときでございまして、ここでの議論がどういうものになるか、ここでの課題、テーマ、そういうものを勘案しながら、中教審での審議をいただくことについてもこれから検討していきたいということでございまして、ちょうど中教審におきましてもこれからの課題を検討する時期に差しかかっているということから、国民会議の動向を見ながらと申し上げているわけでございます。  もちろん、中教審の方は審議会であります。今発足が予定されております国民会議については、その設置形態等についてはまだ決定もしていないわけでありますけれども、間もなくそちらがスタートするということになりますので、私どもは今の時期的なものも考慮しながら、そういうような申し上げ方をしているということを御理解いただきたいと思います。
  33. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 この教育改革国民会議が発足をした段階では、私どもは臨教審がスタートしたときは臨教審の会長とかいろんな方とここでかんかんがくがく議論をやるという場もありました。この教育改革国民会議も、この国会の私たち教育論議と歩調を合わせてやっていただかなければならぬという思いがありますので、今後、座長として江崎さんがなられるようで、ぜひとも議論をしてみたい。この前は岡本道雄さんが再々おいでになって論議をした経験がありますので、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  そして、くれぐれも申し上げておきますが、日本教育の責任を持つのは文部省なんですよ、今では。何も教育改革国民会議なんというようなものをつくってもらって、そこでいろいろと案を出してもらわなければ何もできないという、そんなことじゃないと思うんです。もっと文部省はみずからに課せられた使命というものを担ってやるべきですよ。こんなもの要らぬと言ってやるのが本当だと思う。もうこの議論はいたしません。私ならそう言いますね。  きょうは予算委嘱審査でございますので、時間がないのですぐ予算の問題に入っていきます。  今のは私の意見でありまして、その意見は今後の中でまたいろいろと、文部大臣とクエスチョンタイムでもやってみたいと、このように思いますので、よろしくお願いします。  それで、大臣所信の六ページのところに教職員配置改善計画が書かれてあります。そこには第六次教職員定数改善、いわゆる「現行計画の完成を図る」「今後新たな施策に着手できるように、準備を進め」と、こう書いてあります。当然そういう時期であると考えます。  そこでまず、予算額主要事項別表の十三ページのところに、「第六次公立義務教育学校教職員配置改善計画の完成」という言葉が書いてあります。そして、今年度は定数改善計画千二百人、自然減八千八百人、合計マイナス七千六百人と。改善計画でありながら実数はマイナスと出てくる、まことに不可思議なことがずっと続いているわけなんであります。  そこでお尋ねしますが、完成した段階で一体定数改善に要した教職員の数は何人になり、自然減によって一体何人の教職員が減員になったか。第六次定数改善といいながら、教員が差し引き何人減ったかということをここではっきりさせていただきたいと思います。
  34. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 第六次定数改善計画、これは平成五年度から十二年度までの八年間で行われているものでありますけれども、今御指摘の改善の総数等につきましては、改善増が三万四百人、それから自然減が七万八千六百人、差し引きマイナス四万八千二百人ということになります。
  35. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 ここで我々がはっきりさせなければならぬのは、この改善計画で何か毎年教職員がふえているという錯覚に陥ります。ところがそうでなくて、実数四万八千二百人の教職員がこの改善計画の中で減っていった。それは児童生徒の自然減ということに伴って減っていく、これは当然のことなのであります。  そこで、当初私たちは、現在の教職員の数を減らさずに、子供が自然減していくんだから、その自然減に伴う教職員の減をさせずに、そこのレベルで文部省は頑張って定員を維持していくことによってこれは自動的に改善ができるんではないかということを主張したんですが、残念ながらそうはならなかった。結果として四万八千人の教職員が減ったというこの事実ははっきりさせておかなければならぬと思うんです。教職員の数がふえたふえたと盛んに言われるが、ふえていない、減ったんだと。  さらに、これからの改善計画がなされたとしても、また教員の数は減らしていくということなんですよ、この改善というのは。減らさずに現状を維持しながら改善するということがなぜできないのかというその問題意識を私たちは持つ必要があります。  そこで、第七次定数改善の問題を持ち出せば一兆円からのお金が要るというのが出てくるわけです。私たちが今法案を出している三十人学級もそうです。お金が要るというそのことと、四万何千人が減っていったこの人件費というのはどれだけの額になるのか。財政というのはプラス・マイナスのそろばん勘定だと思います。ところが、何かそのことだけ新しくふえるように思うんですが、これは概算でよろしいです、三十人学級とか第七次教職員定数改善をするについて必要だと言われる一兆円余りのお金と、その間子供が減っていくことによって教員が減っていく、そのことによって必要でなくなる教職員の賃金等に関する予算との関係はどうなのかということを、細かい数字は要りません、これは大臣と議論しておるんですから、大体こういうことになるんではないかという大まかな考え方をここでちょっと述べていただけませんか。
  36. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほど申し上げましたように、この改善計画の完成に伴います人数は四万八千二百人減ということになります。  それで、今、委員がおっしゃいましたような、仮に三十人学級などを実現する場合の教員配置によります経費の増ということについて見ますと、増加学級数をもとにしてこれを計算してみますと、教員の数にいたしまして十一万九千人程度の増が必要と見込まれるわけでございます。現在約六十二万人おられますが、プラス十一万九千人程度ということになります。これの人件費等が約九千八百億円ということになるわけでございます。  それから、こちらの差し引きのマイナスの方につきましては、私、人件費が幾らになるかということはちょっと今数字として持ち合わせておりませんので、調べて、よろしければそれでお答えさせていただきたいと思います。
  37. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私は大臣とやっているんですから、細かい数字は求めません。  ただ、三十人学級とか、あるいはさらなる教職員定数改善を第七次に行うときにこれだけのお金が要るんだというそのことだけが前に出て、一方の教職員が十一万人実際要るけれども、自然減の中で五万人といえば半分で済むという、やはりそういう形の中で必要経費というものを考えていかなければならぬのではないかという問題提起を私はしているつもりなので、当然わかり切ったことでありますが、後日ぜひともそうした問題についての議論をやりたいと、こう思います。  そこで、先ほど大臣も三十人学級にした場合とおっしゃいましたが、定数法の中には、現場の教職員の数がふえるか減るかということの要因が二つあるんですね。一つは、一つのクラスを何人規模にするかということ。四十人を三十人にすれば当然学級数がふえますから、それだけの増員。もう一つは、一学級当たり何人の教員を配置するかという乗数ですね、一・何ぼ掛けるとかいう、一学級、二学級、三学級、ずっと乗数の数を上げればこれは教員の数はふえてくるという、この二つの関係が定数法の中にある、こう思うんです。どちらをさわっても、これは教職員の数は現場に対してより多く入るわけであります。  そのときに第七次ということを、今後新たな施策というのはこれは第七次であります。第六次は完結するんですから当然第七次、間を置かずに連続して私はやるべきだと思うし、文部省もそういうお考えのようで大変結構だと思います。  そこで、第七次に持っていくときに、四十人学級という学級人数を三十五とか三十にしていく、それと今言ったように一学級当たり何人という乗数を改めて、そして現場にきめ細かい指導ができる体制をつくる、どちらをとるかという問題と、両方やっていくんだというふうなあれもあると思いますが、文部大臣先ほど言ったように私は細かい数字は求めません、考え方の問題として第七次はどういうふうな考え方でやりたいと、またやるべきだというふうにお思いですか。今のレベルでお考えのことでよろしいですから。
  38. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今後の学級編制とかあるいは教職員配置のあり方などにつきましては、委員も御承知と思いますけれども教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議というところにおきまして、中教審の答申、中教審の提言内容を基本として今検討が行われているところでございます。その検討におきましては、海外の状況等も参考としながら、教職員配置等定数のあり方とか学級規模とか、あるいは学習集団のあり方などについて検討を進めているところでございます。  三十人学級等のお話もありますけれども、欧米並みの水準に教員一人当たりの児童数をできるだけするということが中教審における提言でもございますので、そういう点を認識しながら今検討が行われている、そういうふうに思っているところでございます。
  39. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 検討じゃなくて、文部大臣として第七次は、今言ったように、現在の教職員の数をそのままに据え置いて部分的な手直しでいいと思うんだ、こう言うのか、いや、やはり一学級当たりの子供の数を減らしていくということが大事だとおっしゃるのか、いや、それを減らさなくても乗数のところを改めて、そして教職員の数をふやして、あとは教育現場なり市町村、都道府県においてチームティーチングとかあるいは専科教員制とか、いろんなその地域地域あるいは子供学校実態に応じた形で配置された教員をさまざま創意工夫して使って教育効果を上げていくというふうにすべきだと思っているとか、何かあなた自身に考え方がなければ、協力者会議と言ったって総理と同じ丸投げじゃないですか、それでは。  文部大臣としてのやっぱり考え方がなければいかぬのじゃないですか、第七次に向けて基本的な考え方が。でなければ私たちは議論できないじゃないですか。
  40. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 学級編制の規模についての考え方でございますけれども、一般的には規模が小さい方が、児童一人一人の特性、そういうものに応じた授業がやりやすくなるということが考えられるわけでありますけれども、しかし、この規模とそれから教育の効果の関連については十分に明確にはなっておりません。  また、教育指導を効果的に行うにはいろいろなやり方があろうかと思います。固定的な学級というような考え方にとらわれないで、チームティーチングを行うとか、あるいはできるだけ少人数の学習集団によってきめ細かい授業をやるとか、私も就任以来小学校中学校等幾つか視察をしてまいりましたけれども、そういうようなやり方で授業がうまく行われ、また効果も上がっている例も聞いておるわけでございます。  そういうことも考えますと、民主党さんで三十人以下学級の法案の提出をされているということは十分承知しておりますけれども、三十人以下学級を実施するということが教育効果の観点から必ずしも望ましいかどうかということも明確ではないということもありまして、現在のやり方で効果も上げているところから、このやり方を大いに推進していきたいと思っているところでございます。
  41. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 私たちが出している三十人以下学級問題はぜひこの場で審議をしていただいて、最終的に是か非かを決めていただいたらいいと思うんです。法案というのは議論してどちらにするのかと決めてもらうために出しているんだから、そういうふうにぜひこの場で議論をいたしましょう。そして、この参議院文教科学委員会が小中学校あるいは高等学校の一クラスの規模がどのくらいあればいいのかという問題に対して一体どういう結論を出すかということは極めて大事なことだと思いますので、ぜひともそれはやっていただきたい。  その根っこにあるのは、今、学級崩壊とか小さな子供たちが命を奪われるという状況がそこかしこにあり、また親も子育てで悪戦苦闘している。本当に子供たちにどういう未来を我々が与えてやれるんだというさまざまな苦悩が現場にあるわけで、これは現場の教職員だけではなくて地域の親もあるいは社会も挙げて文字どおり、総理が言う教育立国、そこのところを目指してやっていかなければならぬというときでありますから、ぜひこの三十人学級是か非かの問題の議論をこの委員会でやっていただくことを私は希望しております。  そこで、現状のようなやり方でとおっしゃるそのときに、きょうの東京新聞を見ますと、「「三十人学級」制度化見送りへ」というようなことを文部省の協力者会議が言ったか言わないのかよくわかりませんが新聞には出ております。  ところが、教育改革国民会議の今度座長にということで、江崎さんと言われる著名な学者がおられるわけです。その江崎さんが最近の新聞に、教育改革国民会議の会長になったとしたらあなたはどういう抱負がありますかというふうな問いかけに対して、新聞紙上ではありますけれども、三十人学級必要論を述べておられます。はっきりと書いておられます。私は、ああなるほど、こういうふうにちゃんと言っていただく方もあるんだなと思いました。  そういう意味で、私は、教育改革国民会議は三十人学級という結論を出していくと思うんです。文部省はこういうふうに後ろ向きで、「「三十人学級」制度化見送りへ」ということになってくる可能性があると私は見ているんです。だから、私は江崎さんと話をしたいと言っているんです、あなたはこういうふうに書いて、本当にその気を持っておられるんですかということについて。そして、その結論を出していただいたらいいんです。そのときに文部省が、いや、私たちは三十人学級見送っているんだというような、そんな不細工なことは私だめだと思います。  それはそれとして、今までのやり方でという場合に非常に難しいのは、権限と財源の問題があると思うんです。権限と財源の問題がある。  というのは、私が言いましたように、定数法の中の乗数のところを変えれば、一学級当たり何ぼというあの割合を変えれば教職員の数をふやすことができる。また、文部省が知恵を絞って非常勤講師なんというようなものをここに打ち出しているんです。私はこれについていろんな意見を持っているんですが、しかし、常勤講師、非常勤講師、また定数上の教員、いろいろあるとしても、現場で子供教育に当たる教職員がふえることは私は反対しません。  ただ、そのときに一番大きな問題は、その一つは権限の問題として、法律に四十人学級と書いてあるから、それを三十人にする、二十五人にする、二十人にするということが市町村なり都道府県でできるのかどうか、自由にやるように枠を文部省は取っ払うのかという問題。それともう一つは、学校教職員の賃金というのは義務教育国庫負担法によって二分の一国が負担しているという仕組みがあるんです。だから、都道府県、市町村で自由に教員の賃金は持ちなさい、裕福なところはどんどん持ってふやしなさいというふうにすることもあると思います、財源で。しかし、そうなれば、裕福なところはいい教育条件の学校ができて、財政の厳しいところは国の言っている定数法上の教員しか配置できないということになれば、教育の機会均等という問題がつぶれちゃうんです。  だからこれは、いかに自由主義だ、市場原理に基づくんだといっても、やっぱり教育というものは私は公共サービスの最たるものだと思いますから、それぞれの市町村の財政力によって格差が生まれるということは好ましくないという基本線を押さえていくときに、義務教育国庫負担法の二分の一を国が負担するというこの制度と定数法との関係の問題をきちっと整理しなければ、その後、弾力化によってそれぞれのところで好きなようにおやりくださいといったってやれるものじゃないです。それは、東京都の今の知事みたいな人が出てきて、いや、おれは勝手に税制をつくってやるんだ、そういうことができるならまた話は別ですけれども、そうもいかぬでしょう。  だから、どれほど権限と財政の問題について文部省がいわゆる教育の分権化という問題を念頭に置きながらどうぞ御自由におやりくださいというふうなことをやれるのかどうか、私はこうなると思います。もしそれをある知事なり市長が、非常に教育に熱心なところが骨身を削って教育のところに予算を持っていってやったとしたら、ああそうですか、国の基準を上回るそんなたくさんお金があるんですか、それでは交付税交付金の方を削らせていただきましょうかという形が必ず今まで出てきているんです。だから、どこもやれない。  だから、この新聞に書いてあるように、いわゆる非常勤講師を導入するなりいろんな工夫をして現在の定数の枠の中で工夫しなさい、弾力的にやりなさいということを文部省が言う前に、今言ったように、きちっと権限の問題と財政上の問題の裏づけをしてやらなければ無責任きわまる。それともう一つ文部省のいわゆる責任の逃れです。  今、私の言いましたこと、決して私は係数のことを言っておりません、数字のことを。考え方を言っておるんです。教職員の配置と子供との関係について、中曽根文部大臣はどういうお考えをお持ちですか。
  42. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず、けさの新聞の報道でございますけれども、私もけさの新聞を見ました。  協力者会議の事務局に確認をいたしましたところ、報道にありましたような内容を含めてこの会議ではさまざまな意見が出た、そしていろいろな議論がなされているということではありますけれども、協力者会議全体としての結論といいますか、そういうものには至っていない、あるいはそういう方向に全体が行っている、そういうことでもないというふうには聞いております。また、協力者会議そのものも精力的に御審議いただいておりますが、結論を得ていないと私自身も承知をしておるところでございます。  今、委員のお話ございましたけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように、中教審における教職員配置の改善に関する提言がございまして、教員一人当たりの児童生徒数を欧米並みの水準にするとか、あるいは学級編制の標準を弾力化して少人数学級編制ができるようにするとか、あるいは非常勤講師を配置して少人数による多様な学習活動ができるようにするとか、そういうような提言があるわけでございます。  そういうことから私どもも、学級の運営について、編制については弾力化の方向で、チームティーチング等を導入した弾力化の方向で今進めているわけでございます。  国が一定の標準を定めるとともに、ある一定の枠の中で今度は都道府県が国の標準とはまた個別に地域に合った基準を定めるということは中教審の方向にも沿うものでありまして、そういうような形で行うということは、今後のあり方としてあるとは私は思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、学校への配置というものは都道府県の裁量にゆだねられるわけでございます。そういうことで、私どもといたしましては、少人数化の効果というものが、いわゆる少人数と申しますか、三十人以下学級に一律にするということの効果というものが余り明確でないということから、先ほどから申し上げておりますような方向で今進めているところでございます。
  43. 本岡昭次

    ○本岡昭次君 きょうは結構ですから、次に同じ質問しますから明確に答えてください、いろいろ研究していただいて。  というのは、私の言っているのは、権限とそれから財源の問題を明確にしなければ、弾力化とか下の方でやってみてくださいといったってやれるものじゃないということを私は申し上げているんです。だから、権限はこうします、財源はこうします、だからできるでしょうとおっしゃらなければ、今の答弁はだめなんです。  だから、きょうは求めません。次のときは、一体どういうふうに権限と分野で下へおろしますか、財源上の問題で今縛りのかかっているものをどうしますかという問題、ぜひ大臣として答弁できるようにしておいてください。  それから次に、問題は、これで予算は間もなく参議院も可決させるでしょう、しなくても自然成立しますから、来年度の予算は決まりなんです。しかし、そこから文部省の苦悩が始まるんですよね。わかりますか、これで終わりやない。本当に難儀なことですわな。なぜかというと、次の第七次教職員定数改善問題についての八月の概算要求に向けてあなた方はそこから闘いが始まるわけですよ、財政当局との間の、今の状況にあっては。そうでしょう。  一方では、この借金大国どうするんや、財政計画をやらないかぬという重い重い課題がある。しかし、教育の今の置かれている状況もただならぬものがある、このままで行ったら未来がどうなるんやという。だから、教育にお金を使う、先行投資という言葉をもし使うならば、それはあなた、小渕総理大臣がおっしゃっているように、教育はまさに未来への礎をつくるものなんだと、こう言っているわけで、だから先行投資。経済への波及効果とかいう目の前のものは別にして、今教育に投資するそのお金がいつの時代にどのような形になって日本の国を支えていくのか、そんなことはもう釈迦に説法の問題なんですよ。だけれども、それをやはりやり切っていく文部省の力が要ると私は思うんですよ。  だから、この予算が決まり、四月一日から新年度へ入れば、この第七次教職員定数改善の問題、さっきから言っているように、どうするんやという問題を、それこそ文部省が火の玉になってこの計画を練り、そして財政当局とその問題に当たり、また国会の各政党に対して、教育立国のその一番中核になる大事なものは一体何なのかということを定めて、そして内容を仕上げていく、そういう時期になってくる。そのときに先頭に立つのはやっぱり文部大臣でしょう。文部大臣が、小渕総理みたいに丸投げやら先送りでは困るわけで、先に送るわけにはいかぬ、今やらないかぬ問題がそこに起こってくるわけですよ。その心意気がありや否やという問題です。  だから、そういうものをきちっとあなたが今持って初めて日本の国のリーダーにもなれるし、文教行政というものが国の中のかなめであり、そして、いろいろ大事な諸政策があるけれども、その中の最優先事項として教育が位置づけられる、そうなるかどうかというのは文部大臣の腕一つじゃないですか。私はじっとそのことを見たいと思うし、またそういう立場でこの文教委員会の中で議論もしたいと思うし、私ども所属している党も挙げてそういう立場でこれからも努力していきたいと、こう思っております。  もう時間が来ましたから、中曽根文部大臣の所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。どうぞよろしく。
  44. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) いろいろと御忠告いただきまして、ありがとうございます。  教育の問題は、委員もおっしゃいましたけれども、また総理も施政方針演説で述べておられますように、本当に今後の国の行方を左右すると言っても過言ではないくらい重要なものでありますし、そういうものを行政として所管しています文部省の責任者に就任いたしまして、大変に責任の重さも感じておるところでございます。  先ほどの学級編制、学級規模のお話につきましては、私の考え先ほど述べたところでございますけれども平成十三年度から新たな施策に着手できますように、そしてよりよい教育環境の実現のためにこれから全力でまた夏に向けてもやっていきたいと思っております。
  45. 福本潤一

    ○福本潤一君 公明党・改革クラブの福本でございます。  きょうは委嘱でございますし、私、文教科学委員会になって、ある意味では余り文部省関係の質問をしたことがございませんけれども先ほどいただいた文部省所管の一般会計を見てみましても約五兆八百二十三億円、文部科学省で七兆千三十九億円、いわば省庁の中でも膨大な予算、八十五兆円に比べても十二分の一の予算を全体で管轄しているという大変分野の広い所管大臣でございますので、きょうは、その中でも目的を絞って、学校における環境問題ということに焦点を当てて、予算を含めて質問させていただければと思います。  昨年は、特に環境問題でいいますと、PRTR法案も、ダイオキシン類対策特別措置法も含めて法案が通りましたし、環境の問題、かなり予防、未然防止の原則も含めて、なったわけでございます。  公明党は、ことしを環境循環型社会元年ということで進めさせていただいておりますが、文部省の中の予算を見ますと、本年度の八十五兆円の中に循環型社会にかかわる予算が何兆円あるのか。循環型社会にかかわる予算が約二兆六千億円という大蔵大臣の答弁を聞いておるわけでございます。その二兆六千億の中で、文部省の循環型社会にかかわる予算がどの程度あるのかということで私も拾い出して見ましたところ、一つは循環を基調とする経済社会の実現、これが百三十三億円、二つ目は自然と人間との共生の確保ということで二百十四億円、すべての主体の参加の実現ということで百八億円、共通的基盤的施策と、中身はいろいろございますが、五百四十五億円で、総計一千億円。ですから、文部省の五兆八百二十三億円のうちの一千億円、約二%は循環型社会にかかわる予算であるというふうにこの予算書を見たら見ることができます。  公害問題等含めて、日本は公害先進地でございましたし、有機水銀の水俣病、また、きのうのNHKのテレビでもやっていましたけれどもカドミウムのイタイイタイ病、これも含めてあるようでございます。  ですので、最初に、大学にかかわる化学物質の使い方、さまざまな形で使っております。国立大学の中でも、研究のときに、有害化学物質も含めて、カドミウムももちろん使いますし、水銀も使います。実験した後の処理、最近は適切に処理をしておるということでございますので、そういう予算の中身について具体的に最初にお伺いさせていただければと思います。
  46. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ダイオキシン法の制定に当たりましては、委員には大変なまた御尽力をいただきました。  今、国立大学における化学物質等の処理体制についての御質問でございますが、現在の状況についてまず申し上げますと、実験研究に伴いまして非常に多種多様な化学物質が取り扱われておるわけでございますけれども、各国立大学におきましては、化学系の教官を中心とする廃棄物処理委員会等の組織を設置いたしまして、そして廃液処理に関する学生への教育とかあるいは研究者への啓蒙を行うとともに、その大学で発生いたしました実験廃液等の処理を実施しているところでございます。具体的には、廃液等の処理方法といたしましては、ダイオキシン対策を講じました廃液処理プラントを整備いたしまして当該大学等で直接処理する場合と、それから実験廃液専門の処理業者に委託をいたしまして処理するケースがございます。  なお、国立学校におきます廃液処理プラントの整備状況は、国立学校百七十三校のうち現在八十五校でございまして、その他の学校につきましては、当該大学が立地する地域の排水規制に基づき専門処理業者に委託をするなど、適切に処理をしているところでございます。  今後とも、こういう実験廃液等につきましては、処理が適切に行われるよう指導していきたい、そういうふうに思っております。
  47. 福本潤一

    ○福本潤一君 今、廃棄物処理委員会、また具体的にプラントというお話がございました。今、百七十三校中八十五校と。私どもが現実に大学院等々で研究していたときも、廃液はかなり大量に捨てます。例えば、今、水の使用量でも、東大、日本瓦斯とともに一位、二位を争うぐらいの水使用量。それに伴って化学物質等々使うわけでございます。  百七十三校中八十五校というのは、これは全大学、全研究機関で当然のように大量に処理するものですから必要だと思うんですが、これはよく大学にある環境浄化センター等々も含めてプラントと言っておられるのか、未整備のところがまだあるのかということをお伺いしたいと思います。
  48. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員も御承知のとおり、今申し上げましたのは国立大学・短期大学・高等専門学校、大学共同利用機関、あるいは国立の養護学校等も入っておりまして、このような廃液、化学物質を扱っていない、あるいはそういうような廃液が大量に出ない、そういうような文科系の学校等も含まれておるところから、数字的には今八十五校となっているところです。
  49. 福本潤一

    ○福本潤一君 そうすると、有害化学物質を含めて、実際に使うものは環境中に排出されないような処理をされているということでよろしいですね。念を押しておきますが。
  50. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) そのとおりでございまして、さらに今後もそういうような処理の体制ができるように私ども指導していきたいと思っております。
  51. 福本潤一

    ○福本潤一君 これは非常に大事なことでございまして、大学のそばから、また、昭和三十年代等々は奇形のカエルとかそういうのからスタートして公害問題の研究が進んでいったわけでございますので、今現在は適切に対応されているというふうに承らせていただいたと。  さらに、国立大学の中で廃棄物処理協議会というのが具体的にあるようでございますが、この協議会、具体的にどういう形で、目的、また現実の現状、教えていただければと思います。
  52. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 各大学等の廃棄物担当の教官というものがおられるようでございますけれども、担当が決まっているようでございますけれども、そういう教官等によりまして大学等廃棄物処理施設協議会が組織をされております。  この協議会では、大学等において教育研究やまた医療等のいろいろな活動の結果発生いたします有害な廃棄物の処理にかかわる教員の方々が連携を密にいたしまして、そして処理技術に関する研修や、また処理施設の管理運営に関する情報交換等を行うことを目的としております。この協議会では、研修会の開催とかあるいは会報の発行とかを積極的に行っておりまして、会員の資質の向上も図っていると聞いております。  このような各種委員会等の活動を通じまして、各大学における実験廃液等の適切な処理に努めているところでございます。
  53. 福本潤一

    ○福本潤一君 適切に対応されていると思いますけれども、私、党でダイオキシン対策本部長をやっているときに、具体的に大学の何カ所かから、御近所から、ちょうどダイオキシンが大変になっているときに、廃棄物の異様なにおいがある大学から出ているということで現場へ行きましたら、こういう協議会を通して具体的なマニュアル、指針をつくって対応しているということをお伺いしました。  これは、全国の大学の中で具体的にこういう廃棄物処理対応はどういうふうにしているか。私が行ったところはたまたま、あれは一カ月前で、今現在は既に外注して産廃、一般廃棄物として処理しておりますというふうに伺いましたけれども、どういう現状かというのがわかれば。と同時に、国立大学の附属病院関係、これはフィリピンでもかなり大きな問題になりましたけれども日本がごみ輸出をして、その中に医療廃棄物もあったということでございましたので、国立大学の附属病院の廃棄物処理、具体的にきちっとやれているかどうかも含めてお伺いしたいと思います。
  54. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 国立大学等におきまして、先ほど申し上げましたような廃棄物、廃液等が出るところにおきましては、化学系の教官を中心とする廃棄物処理委員会等の組織を設置して適正な処理に当たっている、そういうふうに私は認識をしております。  それから、国立大学の附属病院、研究施設において取り扱われました薬品等の化学物質があるわけでございますけれども、これの処理につきましては、学内の施設において処理をして排出すること、または処理業者に処分を依頼するなど適正に対応している、そういうふうに聞いております。  文部省といたしましても、ダイオキシン類等の有害物質の排出に関しましては、環境衛生管理の徹底についての通知を行いましてその周知を図るとともに、汚水廃液処理施設管理要員の配置、それから廃液処理設備の整備を行っているところでございます。仮に化学物質の処理に適正を欠くようなことがある場合には、適切な処理についてさらに指導していきたい、そういうふうに思っております。
  55. 福本潤一

    ○福本潤一君 現場で私が聞いていた状況と同じで、大学関係の処理はかなり適切にしておるということだと思いますが、特に医療廃棄物は、廃棄物業者に出すとかなり高価であると。具体的にその高価なシステムのままに適正処理をされていれば問題ないんですけれども、これを不正に野積み、今回のように輸出というような形で、処理しないままの形でやりますと、その差益が尋常でない金額になって、そのために不正な、また不良な廃棄物業者が莫大な利潤、時にはそれがまた暴力団関係の方にまで回るというような具体的な事実がいろいろな調査で出てきておりますので、特に適正に、国立大学または大学病院に関してはやっていただければと思います。  慶応病院で具体的に、新宿というところもかなりダイオキシンの濃度も一時高かったわけでございますが、病院の中で内部処理していたのが問題になって、今現実に適正な処理をされたという具体例が最近新聞をにぎわしていましたけれども、今、国立大学の附属病院というのは特に、先ほどの表を見させてもらっても、附属病院は五千四百九億円という大変大きな金額の収入を得ている。国立大学の附属機関の中では一番大きな予算を持ち、なおかつ利潤も生み出している機関でございますので、そういう利潤も含めて、廃棄物、有害化学物質等の処理を適切にやっていただけるような方向で考えていただければと思います。  あと、昨年大変大きな話題になった問題で、ダイオキシンも一番強い環境ホルモン作用がある。これは科学的知見はまだ認識され切っていないわけでございますけれども、六十七種類はPRTRでも登録するということになりました。その六十七種類の中の一つにビスフェノールAという、ポリカーボネート容器の中から高温で溶出するという具体的な現状がございました。神奈川県でも相模原市と川崎市と横浜市の学校対応が市によってかなり違っていたということでございました。  未然防止とか予防原則の考え方から、特に関東圏を中心に、小中学校学校給食用のポリカーボネート容器はどういう現状で今進んでおるか、これをお伺いしたいと思います。
  56. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 学校給食におきましてポリカーボネート製の食器を使用している公立の小中学校割合につきましては、平成十一年五月現在で三二・七%となっております。前年度の四〇・一%に比べまして七・四ポイント減少しております。  食器の安全性につきましては食品衛生法において基準が定められておるわけですが、どのような食器を使用するかにつきましては、当該基準を満たしているものについて、学校給食の実施者である地方公共団体が地域の実情などに応じて判断すべきものと考えているところでございます。  文部省といたしましては、今後とも関係の情報等の収集にも努めまして、教育関係者等に対し必要な情報を提供していきたいと、そういうふうに思っているところでございます。
  57. 福本潤一

    ○福本潤一君 七・四ポイント減少ということは、七・四%ぐらい低下したということでよろしいんですね。  今現在すぐ結果が出ているかどうかはわからないという現状の中で、母親にとっては、お子さんを持っていて我が子の、もちろん精神的な問題、神経機能まで影響を及ぼすということですからかなり心配されておりましたので、この現状も適切に見守っていただければと思います。  と同時に、今回、循環型社会のときにそういう大きな枠組み法ができた後、個別法を五省庁は出している。リサイクル、リユース、リデュースにかかわる法案を出している。文部省は今回は法案は出しておられないということでございますので、法案も含めて、世の中の大量生産、大量消費、大量廃棄の時代を変えていく、そういう大きな文明構造の基底部の変革になるような形の動きが起こっているということを認識していただいて進めていただければと思います。  あと、環境教育について聞こうと思っておりましたけれども、ほぼ時間が来たようでございますのでこれで終わらせていただきますけれども、環境教育も同時に強力に推し進めていただければと思います。  以上で終わります。
  58. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。  教育を本当に進めていく上でも、子供たちのために教員自身の創意工夫が大事だと思いますし、自由に物を言う、また知恵を出し合っていくということが大事だというふうに思うんですが、卒業式入学式などにおける国旗国歌、日の丸・君が代の問題と職員会議のあり方について伺いたいと思います。  今、卒業式をめぐってさまざまな問題が出ているというのは大臣も御存じのことだというふうに思います。マスコミなど国民の世論はどうなっているかというと、強制はするなというのが共通の声として出されております。例えば毎日新聞の社説では、題名に「強制しないことの定着を」というふうに言っておりますし、また朝日新聞の社説では、「だれのための卒業式か」という題名で「押しつけるのはよくない。」、こういうふうに書かれているわけです。  そういう点からも、職員会議教職員がこの問題について自分の意見を言うことは自由だと、これは前提問題として当然のことだと思いますけれども大臣、よろしいですね。
  59. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 職員会議におきましては、学校教育のさまざまな課題についてのいろいろな対応策等が話し合われることもあろうかと思いますが、教師の間の意思の疎通あるいは共通理解の促進、また職員の方々間の意見交換、こういうものが活発に行われることはいいことだと思っております。
  60. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 そのとおりだというふうに私も思います。  さて、ILOとユネスコが出しました教員の地位に関する勧告というのがございます。大臣ももちろん御存じでいらして、私はそれを伺うことにしているんですが、これが原文でございます。(資料提示)例えば、この中の八十項というところでは、教員は、市民が一般に享受する一切の市民的権利を自由に行使すべきであり、かつ公職につく権利を持たなければならないというふうに言われております。これも国際的に見て当然だと思いますが、いかがですか。
  61. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 委員指摘のとおり、ILO勧告の第八十項におきまして、今御発言されたとおり、教員は、市民が一般に享受している市民としてのすべての権利を行使する自由を有し、また公職につく資格を有するものとするとなっておりまして、私もそのとおりだと思っております。
  62. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 大臣もそのとおりだというふうにおっしゃいました。  それでは、引き続きまして法制局に伺います。  「註解日本国憲法」によりますと、第十九条の「思想及び良心の自由」について、この自由の保障は絶対的であって、法律によって奪い得ぬのはもちろん、公共の福祉の名をかりてこの自由を制限することも許されない。また、思想の完全な自由を確保するためには当然思想の表現の自由が保障されなければならないというふうに述べております。  思想、良心の自由は保障されている。教職員もそうだ。であるならば、職員会議で自由な発言ができるのは当然だということですね。
  63. 阪田雅裕

    政府参考人阪田雅裕君) 職員会議がどういう機能を果たしているか、あるいはどういう目的で設置されているのかということについて詳細を承知しておりませんものですから、あくまでも一般論ということで申し上げたいと思うんですけれども職員会議に限らずおよそ会議というのは、その中で、会議が設けられた趣旨あるいは目的の範囲内でありますけれども、かつ、会議のルールに従ってということであろうかと思いますが、建設的な意見の交換が行われるということが期待されているものと理解しておりますし、そういう意味では、職員会議もその例外ではないというふうに思っております。
  64. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 大臣からも、思想、信条の自由は守られる、国際的にもそうだ。法制局からも、建設的な意見を言うのは当然だというお話がございました。  しかし、現場はどうなっているかということなんですよ。職員会議で自由に物が言えない、反対を言う権利を侵しているという事態が起こっているんです。  これは、私持ってまいりましたけれども、横浜市教育委員会の「対応シート」というものです。「卒業式入学式等における国旗国歌に対する対応シート」ということで、記入者氏名を書く、だれが書いたか。そして、その次に学校名、職名、教職員名を書いて、そして「教職員の対応(チェック表)」ということで一覧が書かれております。例えば、項目としては国旗掲揚、国歌斉唱、国歌斉唱時起立、児童・生徒への斉唱指導、児童・生徒への起立指導項目があって、反対意見の表明をしたかどうかについてチェックの項目とされております。その反対意見の表明の次のところには、職務命令の範囲ということでまた書かれております。  その「記入要領」というのもありまして、そこでは、「反対意見の表明」というのはどういうことかという説明に、「職員会議などで国歌斉唱反対を表明することなど想定しています。」、こういうふうに書いているんですよ。そして、「本シートはトラブルがあったときなどの報告等の際の備忘録・チェック用などに活用してください。」。  先ほどから大臣が認めるとおっしゃってきた思想、良心の自由、職員会議で自由に物を言える自由、これは全く侵されている。大臣はきょうも、よく自由におっしゃってくださいとおっしゃいました。しかし、横浜市に帰りますと、教育委員会校長先生に反対意見を言った人をチェックさせる用紙をいまだに手元に残させているんです。だまし討ちではありませんか。こんなことがあっていいと大臣はお考えですか、伺います。
  65. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず最初に、先ほどILOの勧告についての私の考えを述べました。ちょっと重複いたしますけれども、この勧告は加盟国の国内法を拘束するものではございませんが、この規定は、教員は国民としての権利が保障されていることを意味するものであり、我が国の法令と矛盾するものではないということでありまして、私も先ほど、同様に思いますと申し上げたとおりであります。  しかし、教員としては、関係の法令やまた上司の職務上の命令に従って教育指導を行うという職務上の責務を負うことは当然でありますし、また職員会議におきましては、これは学校教育法におきまして「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。」と規定されているわけでありまして、もちろん、個々の先生方発言につきましては、先ほど申し上げましたとおり活発に行われることが期待をされているわけでありますけれども、校長の権限と責任もきちっと明確になっておるわけでありまして、校長としては職務の円滑な執行を行わなければならないわけでありまして、それを補助するための職員会議と位置づけられておるわけでございます。  したがいまして、校長には職員会議の主宰者として職員会議についての必要な一切の処置をとる権限がありまして、職員会議をどのように運営するかについては、最終的には校長の権限と責任において決定されるものであると。つまり、運営あるいは議題の進め方等々については校長先生が取り仕切るんですよ、御発言はもちろん個人個人が自由に活発にやっていただいて結構ですよということをあえて確認させていただきたいと思います。  それから、お尋ねのシートでございますが、チェックシートと言うんでしょうか、これにつきましては、これは横浜市の教育委員会において、来年の卒業式入学式の実施に向けて、学校内において何らかのトラブルが発生した場合に、校長が管理職としての職務を適切に遂行するための記録を残すものとして作成した資料であると考えられます。特段の問題があるとは考えておりません。そして、これは教員個人個人の思想、信条をチェックするものではなくて、学習指導要領に記されたことについて、それに沿った教員としての行動をおとりになるかどうかということ等についてお聞きしているものではないか、そういうふうに思っております。
  66. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 学習指導要領にこのチェックシートの項目全部なんか書いてないですよ。その点はどうですか。
  67. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 大変申しわけありません。チェックシートの現物を私は見ておりませんので、それに対してお答えすることができません。
  68. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 では私がもう一回申し上げます。「国旗掲揚 国歌斉唱 国歌斉唱時起立 国歌伴奏 国歌指揮 児童・生徒への斉唱指導 児童・生徒への起立指導 登壇(卒業生の担任等)」、全部これ書いてあるんですか、おっしゃってください。
  69. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 学習指導要領にはもっといろいろなことも書いてあります。したがいまして、今のチェックシートは、学習指導要領に書いてあることがすべてそこに記されていることではないと思いますが、学習指導要領に基づいて教員としての務めを果たす上で校長が必要と思われたものの何点かをそこに書いたものと思います。
  70. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 校長が必要と思ったのではなくて、教育委員会がつくった用紙なんです。  言っておきますけれども、では教育委員会の指針というのはどうなっているのか。学習指導要領の具体化ですよ。指導要領以外のことはそのとおり書いてあるだけですよ。その点どうですか。
  71. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず、教育委員会のチェックシートということでの、教育委員会が校長にそういうようなものを配付しているということについては別段問題はないと思っておりますし、指導要領に記されていることをきちっとやるために校長がそういうようなものを使っても問題はない、そういうふうに思っております。
  72. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 大臣最初におっしゃったことと全く矛盾しているんですよ、今のお話は。  いいですか、もう一回整理しますから。これまでも、国会の国旗国歌法案に対する論議の中でも「よくお話し合いをしていただきたい」、こういうふうに言っているんです。最後は処分だと言っているのは私は納得できませんけれども、しかし、「よくお話し合いをしていただきたい」と、先ほどいらした有馬文部大臣のときにも言っておられる。そして今だって、職員会議で自由に物を言える、国際的にもそうだ、法制局でもそうだ、法律解釈として。しかし、そういったものと市の対応というのは違うんですよ。文部大臣は、お話し合いをしていただきたい、自由に言ってくださって結構ですとおっしゃったんでしょう。
  73. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 「よくお話し合いをしていただきたい」という有馬前大臣の御発言、この前大臣がおっしゃったことの趣旨というのは、私の解釈によれば、これはその前の文があるわけでありますけれども、校長は学校運営の最終的な権限と責任を有するとの前提のもとで、国旗国歌指導については教員等の間で意思疎通、共通理解を図ることが大事であるという趣旨である、そういうふうに認識をしていることでございます。
  74. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 そうしたら、こんなシートがあったら意思疎通、信頼関係はできないじゃないですか、そうでしょう。  結局これがどういうことになっているか。これは各マスコミが社説でみんな挙げていることですよ。だから、文部省だって知らないわけないでしょう。さっき言った毎日の社説でも、「横浜市教委は、国旗国歌についての教職員の対応などを調べる用紙を配布した。」と言って、「相手に強制すべきではない。」という流れの中でそう言っているんですよ。朝日の社説だって、「横浜市教委は、反対しそうな教師をチェックする用紙を学校に配った。処分権限を背景とした、問答無用の姿勢だといわざるを得ない。」、そうじゃありませんか。そういうことがきちっと言えない大臣では、本当にどうなっていくのか。  結局、現場ではどうなっているかといいますと、教職員の中からは、将来の異動に響くのではないかとか、本音が言いにくい、校長先生からも、こうやってチェックをつけたら、これは後任の校長先生に引き継がなくちゃいけないのかと、精神的な圧力になっているという声が出ているんですよ。自由な発言をできなくしている。国会答弁に反する事態になっているではありませんか。どう見ますか、この事態を。
  75. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 学習指導要領に記されていることについて教員がどういう指導をするかということを校長が聞くということは、私はおかしなことではないと思っておるわけです。先生方の個人個人の思想、信条をお尋ねになっているわけじゃなくて、学習指導要領に記されていることを教員としてどうするかということ、見ていないので申しわけないんですが、ということだと思いますので、私は問題ないと思っています。
  76. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 これを差し上げますからよく見てください。いいですか、自由な意見を書いているんじゃないんですよ。反対意見を表明した人の氏名を書いてチェックをしているんですよ。
  77. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 学習指導要領でこう指導すると書いてあることに反対をするということがあるとすれば、それは教員として適格ではないんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  78. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 いや、そこまで言っちゃいけないですよ。撤回してください。だって、日の丸・君が代の問題についてどういうふうにするかというのは、自由に論議しなさいと今言ったわけでしょう。それに言ったということで、反対を言ってはいけないというようなことを言いましたけれども、これはちょっと撤回してください。
  79. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 学習指導要領というのは、委員も十分御承知のとおり、各学校教育課程の基準としてのものでありまして、各学校におきましては、これはもう法規としての性質を有するものであるわけです。学習指導要領を基準として校長が教育課程を編成して、これに基づいて教員は教育指導を実施するという職務上の責務を負っているわけでありますから、先生としてあなたはどうされますかとお聞きになるのは別に問題ないと思いますが。
  80. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 どうなるか聞くのは当たり前ですよ。反対意見をチェックするというのは問題だと言っているんで、大臣、さっき言ったことはちゃんと調べてから言って──いいです、もう時間がないから。これじゃだめですよ。  私、ちょっと法制局に聞きます。職員会議での反対意見をチェックして圧力をかけるということは、思想、良心の自由を侵すことになるんじゃないですか。
  81. 阪田雅裕

    政府参考人阪田雅裕君) 詳細を承知しないものですから何ともコメントをしづらいんですけれども、今の御議論は、伺っておりますと、どうも法令上の制度ということではなくて、何か意見を述べることに心理上の圧迫があるというようなことであろうかと思いますので、ちょっと私どもがとやかく言う筋合いのものじゃないと思いますけれども、一般的にどんな会議においても、あるいはどういう場においても、物を言うことに心理的な抵抗があるということはあり得ることなのかなというような感じはいたします。
  82. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 じゃ、憲法の問題からきちっと言ってください。それはどこに書いてありますか。
  83. 阪田雅裕

    政府参考人阪田雅裕君) 法令上の制度として、特定の言動を行うことに、例えばそれを言ったら懲罰を加えるとか、あるいはおよそ言うことを、あるいは書くことを禁止するというような制度であるとすれば、それは憲法上の問題であろうかと思いますけれども、今のはそれぞれ、世の中にある事実上の会議みたいなものの中でどういうことを言うことが言いやすくて、どういうことを言うことが言いにくいかというような次元の話であろうかというふうに聞いたものですから、そうであるとすると、ちょっと憲法とは直接かかわりのない問題かなというふうに思うわけであります。
  84. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 これ、実態を調べてください。それで、大臣最初におっしゃったことと、それから実態は違うんですから、圧迫になっているんですから。それは、そのままいったら処分の対象になるという、用紙に書かれているということなんですから、これは私、大臣のこれまでの国会答弁、それから最初中曽根大臣がおっしゃったこと、これとも明確に違うということを言っておきたいと思うんです。  それで、この点については実態を調査してください、事実を。私、これ渡していませんでしたので、これ見てください。いいですか。
  85. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 実態調査とおっしゃいますが、それは後で見せていただきたいと思いますが、今、委員の御説明から判断しておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、学習指導要領を基準として校長が教育課程を編成して、そしてそれに基づいて教員は教育指導生徒に対して実施するという職務上の責務を負うものでありますから、校長が教員に対して特定のことについて学習指導要領どおり、ちょっと正確な記述はわかりませんけれども、やるかやらないか聞くことは、別に法律に違反したり、あるいは社会常識からおかしいものではないと思いますし、またそれが当該教職員の思想とか良心の自由とか発言を封ずるとか、そういう思想をチェックするとか、そういうこととはならないと思います。職務を遂行する上でのそれはチェックシートだと思います。
  86. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 実際はそういう思想、信条の自由を圧迫するような中身になっているんだということを私は言って、引き続きこれはまた国会で質問したいと思います。  それだけじゃないですよ。本当にこういう押しつけがどういうことになっているのか。卒業式での起立斉唱によって、一人一人の子供や保護者や教師がどんな考えを持っているか、内心の自由があぶり出されている事態も生まれている。例えば、ある卒業式では起立したのがごく少数だ、あるいは着席した生徒が呼び出される、こういう事態も出てきている。  私たちは、こういうことが本当に懸念されたから、拙速な制定はやめなさい、国民的にも討論しなさいというふうに提起してきたんですよ。こういう横浜市教育委員会のやり方について、文部大臣としてもきちっと言うことができない。かつて政府が自分で国会答弁したことについても責任を持たない、本当に行き詰まった中身になっている。  時間がもう来ましたからあれですけれども、こういう統制だとか強制というのは、歴史や社会を進歩させたことはないんですよ。国民の人権を思うままに統制しようとして成功した政権も歴史上ないんです。あなたたちはこういうことをやろうとしているのか。私は厳しく抗議をして、こうした教育委員会のこういうものについては、教育にとっては必要ないということできちっと撤回するように文部大臣として私は指導するべきだというふうに思います。
  87. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 畑野委員、時間でございます。
  88. 畑野君枝

    ○畑野君枝君 時間が来ました。  私、科学技術庁長官としての中曽根大臣質問しようと思ったんですが、時間が参りましたからまた次の機会にして、特に原子力艦船の防災計画の推進を含めて進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  89. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  昨日、本委員会におきまして、科学技術会議の議員でもいらっしゃいます文部大臣科学技術庁長官に日本学術会議のあり方について議論をさせていただきました。きょうは、所管大臣の御意見を承りたいというふうに思います。  科学技術創造立国の実現というのは、総理の所信にも掲げられておりますように、教育と並びまして我が国の未来を約束する重要な課題でございます。そこで、科学技術国家戦略のために、新たな組織といたしまして、総合科学技術会議が二〇〇一年からスタートいたします。日本の学術の発展のためには第一線の科学者の声が反映されねばならないというのは、これは当然のことだと思うわけでございます。  約七十万人の科学者研究者を代表する日本学術会議の役割というのはこれからますます重要になっていくということは、もうこれすべての方が認めるところだというふうに思うわけでございます。そこでお聞きしたいのでございますが、この日本学術会議の所管が総理府に今なっております。これはどういう理由からでございますか。    〔委員長退席、理事岩瀬良三君着席〕
  90. 長峯基

    政務次官長峯基君) 突然の質問であれですが、科学技術に関する日本の進路をいろいろ議論していくということにおいて、各省庁間にまたがる問題があるので総理府に置かれている、そのように理解いたしております。
  91. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 突然というふうにおっしゃいましたけれども、これは当たり前のことでございまして、非常に素朴な疑問でございますので、どうしてなのかなというふうにずっと思っておりました。なるほど、わかりました。  それで、今度省庁再編によりまして総合科学技術会議というのが内閣府に置かれることになりますね。日本学術会議の位置づけにつきましてはこの総合科学技術会議が発足した後に検討されるというふうにはなっておりますが、日本学術会議は、昨年の十月に「日本学術会議の位置付けに関する見解」というものを発表いたしまして、やはりこれは内閣府に置くべきであるという御見解を述べていらっしゃいますが、その点、どのように担当大臣としてお考えになりますでしょうか。
  92. 長峯基

    政務次官長峯基君) 先生指摘のとおりに、日本学術会議は、中央省庁等改革基本法において、総務省に置くものとする、ただ、そのあり方については総合科学技術会議において検討すると、このようになっているところでございます。また、御指摘のとおり、日本学術会議の見解では、内閣府とすべきであるという見解が出ておることも承知いたしております。  私といたしましては、日本学術会議のあり方については、総合科学技術会議において、その設立の趣旨やこれまでの活動等を踏まえ、かつ日本学術会議の意見を聞き、適切に検討が行われるものと期待しているところでございます。
  93. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 日本学術会議というのは、御承知のように、先ほど伺いました日本学術会議予算に関しての御説明の中にも、日本学術会議我が国の学者の内外に対する代表機関であるというふうに御指摘なさっていらっしゃいます。  そういう代表的な機関、それも日本だけではなく海外に対しても代表をするものであるというふうな位置づけというのであれば、やはり日本の重要課題を論ずる場であるという内閣府に持っていくべきではないかというお声が、日本学術会議のこの声明だけではなく多く聞かれるところでございますが、これはやはり、後ほど総合科学技術会議がスタートしてから検討するというところに政務次官もとどめおいておくしかないというふうにお考えでしょうか。それとも、何か所管大臣としての御意見がございませんでしょうか。このような日本学術会議からの意見表明についてはどうお考えでいらっしゃいましょうか。    〔理事岩瀬良三君退席、委員長着席〕
  94. 長峯基

    政務次官長峯基君) 先生のおっしゃることはよくわかるのでありますけれども、何分、基本法の中で総務省に置くということが一応決まっておりまして、しかしそのあり方についてはまた総合科学技術会議において今後検討するという形になっておりますので、そのように私は理解をいたしております。
  95. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ぜひとも学術会議が出しました見解というものを考慮、配慮していただきたいということを強くお願いしておきます。  それで、次の質問になりますけれども、御承知のとおり、日本学術会議は七十万人の研究者を代表しているわけでございますが、選出される会員というのは二百十人、そしてその中にわずか二名しか女性の会員がいらっしゃらないわけであります。この点につきまして、所管大臣といたしまして、その理由はどんなところにあるのだというふうに受けとめていらっしゃいますでしょうか。
  96. 長峯基

    政務次官長峯基君) この日本学術会議の会員については、同会議に登録された学術研究団体からの自主的な判断に基づき推薦されている。この選び方に一つ問題があるというか、選び方がございます。  それで、率直なところ、少ないのではないかとは思っておりますけれども、この学術団体の会員の選び方というものがございまして、なかなか組織として選ばれてくる方に女性の科学者が少ないという現実がございます。  それで、この問題につきましては、「日本学術会議の自己改革について」という見解の取りまとめもございまして、その中で、男女共同参画社会に向けて積極的な改善をとるということになっております。具体的には、昨年、二度にわたりまして会長から学術研究団体の代表者あてに、女性会員の増加のための特段の配慮を要請する文書も発したところでございまして、特別委員会においても女性会員の増加のための具体策について検討が進められております。  私といたしましては、このような学術会議の取り組みに加えまして、今後ますます女性科学者が学術の分野に進出されるという状況の中で、日本学術会議の女性会員ができるだけ活躍されるということを期待しているところでございます。
  97. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 今、少ないのではないかというふうにおっしゃったのですが、少ないというふうにおっしゃっていただきとうございました。やはりだれが聞いても少ないと思うのでありますが。
  98. 長峯基

    政務次官長峯基君) 非常に少ないと思います。ただ、科学者の中での女性の占める数が現実に少のうございますので、やっぱりこれを上げていくというか、女性の科学者がたくさん出てこられるような状況をつくっていくということがまず大事ではないかな、そのように思っているところでございます。
  99. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私は、まずしなければならないことは、日本科学者の代表であるこの機関が率先して、今女性の科学者いないわけじゃないんですよ、女性の科学者の中から率先して、女性の科学者の会員に占める割合をふやす、そこからまたさまざまな分野において女性の科学者がふえていく、そういうインセンティブに当然なり得る。そして、そういうことをしなければならないのが日本学術会議だというふうに思うので、それは後先だというふうに私は思うわけでございます。これは大臣として今非常に少ないというふうにおっしゃってくださいました。ですから、そこを今度積極的に、男女共同参画社会を目指している日本である、日本の女性の科学者もこれだけ活躍していらっしゃるんだということを内外に示すためにも、やはりここで女性の会員をふやさなければならないというふうに私は思うんです。  ところで、審議会などでは女性の委員割合を定めておりますね。日本学術会議にそのようなことを望むというわけにはいかないのでございましょうか。
  100. 長峯基

    政務次官長峯基君) 現実問題として科学者の中から女性をたくさん学術会議会員として選ぶことが可能かどうか、よく担当者あるいはセクションの方とも相談をしまして、先生のおっしゃるように私も非常に少ないと思っておりますので、できる限りの努力をしたいと思います。
  101. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 先ほど選出方法のことにもお触れになりましたけれども、選出方法のことも含めまして、そしてまた、これはいわばアファーマティブアクションということになるかもわかりません、女性会員の割合ということに関して何らかの枠といいましょうか、そういうことを定めることが可能かどうか、ぜひとも大臣の御尽力を強くお願いしておきたいと思います。  それからまた、これから日本学術会議の活躍といいましょうか、その存在感というのをもっともっと世の中に知らしめなきゃいけないんじゃないかなということを、私、強く感じている者の一人でございます。研究者というのは象牙の塔にこもっていると昔は言われていました。しかし、そうであってはいけないわけでございまして、今現在そうではないと思うんです。しかしながら、なかなか日本学術会議についての活動ぶりが世の中には知られていないということもございます。したがいまして、今所管大臣でいらっしゃいます。何とかもう少し日本学術会議活動が世の中にもっともっとわかるように、そしてまた存在感を示すような御努力というものも何らかの形で進めていただきたいということをお願いいたします。  どうもありがとうございました。  それでは次に、国家公務員等の旅費の問題について大蔵省及び文部省にお聞きしたいというふうに思います。  現在、国家公務員の旅費というのは千キロメートル以上を旅行する場合を除いて原則として航空機を利用できないことになっております。そうですね。これは「国家公務員等の旅費に関する法律の運用方針について」という大蔵省主計局長の通達に基づく規定というふうに存じております。  この通達が一体いつ出されたのかというのを調べてみまして、非常に驚きました。何と昭和二十七年四月十五日であります。ここにいらっしゃる方々で生まれていない方もいっぱいいらっしゃるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そのころの交通事情、飛行機に乗るというのはやはり大変なことだったというふうに想像いたします。そのころ、これは一九五二年ですか、留学なさる方も飛行機は使えないで船で行ったなんというお話も私たまに先輩から伺う、そういった時代だったと思うんです。だから、そういう時代に航空機を利用するんだったら千キロ以上を旅行するときだけというふうに言われるのも、そううなずけないことではなかったと思います。  そして、どういう場合に使えるかというと、交通費が出るかといいますと、内閣総理大臣等、指定職の職務もしくはこれらに相当する職務にある者に随行する者のためには航空賃が支給されるというような幾つかの理由が述べられているわけでございますけれども、今日、そのような昭和二十七年当時の交通事情とはもう非常に大きく変わっているというふうにどなたも認めざるを得ないんじゃないかと思うんですね。そういう昭和二十七年の通達が今も生きているということは、いささか言葉が過ぎるかもわかりませんが、時代錯誤というような気がしてならないわけでございます。  これを今日の交通事情に合わせて変更するつもりがあるのかどうか、まず大蔵省にお聞きしたいと存じます。
  102. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) お答え申し上げます。  先生御承知のように、旅費法の基本的考え方をまずちょっと説明させていただきますが、第七条におきまして、「旅費は、最も経済的な通常の経路及び方法により旅行した場合の旅費により計算する。」というのが原則でございまして、ただし書きに、「公務上の必要又は天災その他やむを得ない事情に因り最も経済的な通常の経路又は方法によつて旅行し難い場合には、その現によつた経路及び方法によつて計算する。」ということが原則として掲げられております。  なお、それは原則でございまして、四十六条に「旅費の調整」という規定がございまして、「旅行の性質上困難である場合には、大蔵大臣に協議して定める旅費を支給することができる。」という調整規定がございます。  今先生指摘の昭和二十七年の運用基準でございますが、この基準そのものは昭和二十七年に定められておりますけれども先生今御指摘の千キロという基準は、昭和五十四年に定められたものでございます。  御指摘のとおり、航空機につきましては、従来は鉄道料金等に比べまして著しく高価であったということから、国内出張におきます経路、方法としては例外的に認められてまいりましたし、五十四年以前はさらに基準が厳しかったわけですが、現在千キロということになっている、そのとおりでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、「旅費は、最も経済的な通常の経路及び方法」でございますから、最近におきます航空機の価格の変化等を踏まえまして、航空機を利用した方が安い場合、これはあるわけでございまして、そういう場合にはこの運用方針によらず、安い航空機を利用することはもちろん可能でございます。  ただ、先生指摘のように、片道千キロという基準をこのまま置いておくことが適当かどうかにつきましては、最近の規制緩和に基づく航空機の運賃が日々変わり、また割引料金等が今出ておりますので、こういう規定をそのまま置いておくことが適切かどうかについては、御指摘の点がございますので、私どももこの基準については見直していきたいと考えております。
  103. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 見直しの方向であると。遠くはない時期においてですか、それとも大体いつごろ見直すことになっているのか、もし予定がわかっていればおっしゃってください。
  104. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 私どもただいま旅費法の改正をお願いしておりまして、これは外国出張の際のファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラス等の利用者について見直しをしております。この法律が成立いたしますと、いずれにいたしましても運用方針等をもう一度見直さなければいけませんので、十二年度の当初から間に合うように見直していきたいと考えております。
  105. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 十二年度の当初から見直すということになりますと、この千キロというのは外される可能性が大きいというふうにとらえてよろしゅうございますね。
  106. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 御指摘のとおり、先ほど私が申し上げました最も経済的な方法ということで考えればいいわけでございますので、千キロの基準は廃止するという方向で見直したいと考えております。
  107. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 わかりました。  そうすると、平成十二年といいますと、もうことしの四月からということでよろしいわけですね。  そういたしますと、私は文部省にいろいろとお聞きしようと、研究者の立場の方たちのことも含めましてお聞きしようと思っていたのでございますが、つまり、弾力的な運用ができるというような文部省の通知というものが平成十一年四月一日に出されておりますが、天災その他やむを得ない事情について弾力的に運用できるというふうに通知が行っておりますけれども、これは具体的にはどういうことなのかということをお聞きしようと思っておりましたけれども、これは、大蔵省の方の規制緩和がなされますと、当然のことながら文部省もそれに倣うということで解釈してよろしいのかしら。
  108. 小野元之

    政府参考人小野元之君) 御指摘のとおりでございまして、私どもの方も、現在でも弾力的な運用を平成十一年の通知でお示ししているところでございますけれども実態に即した運用を進めてまいりたいというふうに考えております。
  109. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 私は今、昔のことだというふうに申し上げましたけれども、実際にさまざまに工夫を凝らしたり、あるいは大変な不便を強いられている方たち、ここにいらっしゃる方はかなり国家公務員でいらっしゃいますから、これに準じて困難をなさった方々もいっぱいいらっしゃると思うんですね。  税金のむだ遣いということは、これはもちろんいけないことでございます。しかしながら、例えば松江なんかに行く場合に、今のままでございますと、新幹線で行ってもやはり七時間以上かかるわけでございますね。だけれども、路程といたしましては千キロには満たないわけであります。そういうところで時間と労力を費やす。先ほど効率的なということをおっしゃいましたけれども、非常にこれは効率的ではないわけであります。肉体的にも経済的にもかえって、そこに泊まらなきゃならなくなっちゃうということですから。やっとそのあたりが理解されて変更されるということを聞きまして、私も安心してよろしいのかしら。  何か手が挙がっていますので、大蔵省。
  110. 寺澤辰麿

    政府参考人寺澤辰麿君) 誤解がないようにもう一度申し上げますが、今、松江の例をお出しになりました。東京から松江に出張する場合に、鉄道を利用して行く場合にかかる時間、それから松江におきます公務の時間、それから帰る時間を考えた場合に、御指摘のように、例えば一泊余分にその宿泊のための経費がかかるという場合には、現在の規定でも、航空賃でその日日帰りができる場合と比較をして航空機を使った方が安い場合には、現在の先ほどの旅費法の規定で現在でも航空機を利用できるわけでございます。  したがいまして、そこを見直すということではなくて、現在でもできることを、ただ千キロという基準が書いてあるばかりに誤解があってはいけませんので見直しますということを申し上げたわけでございます。
  111. 日下部禧代子

    日下部禧代子君 ありがとうございました。  それでは終わります。
  112. 扇千景

    ○扇千景君 きょうは予算委嘱審査でございますので、一般質疑と違って、伺いたいことはたくさんございますけれども、ある程度絞らせていただきたいと思います。  十二年度の予算ということに関しまして、御存じのとおり、中央省庁の改革ということが実施されるので、本年度の予算等々にその準備があろうと思いますけれども、きょうは独立行政法人、いわゆる日本版エージェンシーということに関しまして、国立病院だとか療養所など七十三の機関だとかあるいは業務、そして国立大学を含みます国立学校と、法務省、労働省関係等々、これも含みまして二十四機関、合計で九十七機関が検討対象になっているわけですけれども文部省の関係では、特に東大あるいは京大等々、国立学校が全体の百一校の中でこのエージェンシーに関してどのように予算上目配りがされているのかという現状を、細かいことですから事務局でも結構ですけれども、ちょっと報告してください。
  113. 小野元之

    政府参考人小野元之君) お答え申し上げます。  中央省庁の改革に伴いまして新しく文部科学省になるわけでございますけれども、これに伴いまして、独立行政法人を文部科学省においてはかなりの数、新しくつくらせていただくことになっております。文部省関係で十一法人、科学技術庁関係で四法人、合計十五法人が現在独立行政法人に移行することといたしておりまして、文部省では一般会計定員のうち約四七%が独立行政法人に移行、それから科学技術庁関係では約七一%が独立行政法人に移行するということとなっておるところでございます。
  114. 扇千景

    ○扇千景君 これは私は大変大事なことだと思いますので、科学技術庁文部省と両方、官房長にお答えいただいてと思ったんですけれども科学技術庁、時間節約してごめんなさい、両方聞いたので、もうわかりましたから結構なんです。  少なくとも、文部省で今御報告のように四七%、科学技術庁で七一%が独立行政法人に移行していかなきゃいけないというこの大きないわゆる大改革ですね、行政にとってはこんな大きな改革は過去例を見ないということに関しては、私はこれは少なくとも連立政権の大きな成果であったというふうに考えておりますけれども、今伺いまして、予算のことをおっしゃいませんでしたけれども、私は、これだけの大きな改革を十二年度の予算でもって確実に実行し得るように、ぜひ前向きにこれを実行する、実を上げていただきたいということを要望しておきたいと思います。  細かいことに関しましては、また一般質疑のときにさせていただきたいと思います。  続きまして、予算の関係ですのでもう一つ伺いたいんですけれども、例えば大学の入試センターあるいは国立高等専門学校等々の常勤の教職員数、これは少なくとも約十三万五千人に上るはずなんですけれども、本年度の予算の中で人数と支出がもしわかれば教えてください。
  115. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 平成十二年度予算案における文部省の定員におきましては、政府全体の定員削減計画に基づきまして、一般会計において十二名、特別会計において八百一名の削減を盛り込んでいるところでございます。
  116. 扇千景

    ○扇千景君 今、大臣がお答えになりましたけれども、これらのことが現実的に予算においても人数においても果たして先行き二五%という目標に達するためにどれだけの人数が減るかというと、今お聞きになったようにわずかな人数でしか現段階ではあり得ないんですね。  ですから、皆さん方、目標に達し得るような努力をこれからするべきでございますし、私は減らせばいいというふうに言っているわけではなくて、いかに効率的に、しかも科学技術庁文部省とが一緒になるんですから、そういう意味では、これらの事業の中で大きな行政としての努力、数を減らすことによって国民に迷惑がかからないように、なおかつ効率的にということだけはきょうは要望しておきたいと思います。  時間の関係で先に行きます。  政府が、今約一千万人ですか、生徒一人に一台ずつパソコンを無料で与えようという計画ですけれども、本年度の予算の中でどのようにこのパソコン配置がなっているか教えてください。
  117. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 文部省におきましては従来から学校における教育用のコンピューターの整備を計画的に進めてきたところでございますけれども平成十一年三月には、公立学校におけるコンピューターの一校当たり平均設置台数は全体で二十四・九台にまで整備が進んでいるところでございます。  また、今後のお話にもなりますが、平成十二年度から十七年度までの六年間でコンピューター教室に一人一台を整備するとともに、各普通教室に二台、特別教室等に一校当たり六台の整備が可能となるよう必要な地方財政措置が講じられることとされました。これはミレニアムプロジェクトという形で推進をしているところでございます。
  118. 扇千景

    ○扇千景君 私は、少なくともこの予算文部省の姿勢に関しては大変いいことであるというふうに、また御努力なさっていることが目に見えているんですけれども、きのう、予算委員会の公聴会で公述人がいらっしゃいました。その予算委員会の公聴会を拝聴しておりまして私たちが感じたことは、現実に学校先生方学校の中にコンピューターを置いて教えている。生徒一人一台とおっしゃって配置していらっしゃいますけれども、コンピューターを指導している先生よりも、アクセスすることによって子供たちはその先生を超えていろんな夢が広がっていく。ですから、先生の能力とか先生の頭の中にあることよりも、コンピューターを通じて世界じゅうに子供たちの夢やそしてクエスチョンマーク、これはなぜだろうという、これがとても広がっていくというお話をきのう現場の先生に伺いました。きのう、公述人の金子先生という方がスクリーンも持っていらして、現実に子供のコンピューターに対する姿勢を見せていただきました。  ですから、文部省生徒一人にとおっしゃいますけれども、きのうもお話を伺っておりましたら、下手に教えるよりも子供の方が早いというんです、覚えるのは。文部大臣は得意かもしれませんけれども、私どもはコンピューターを扱うのにもう年齢的にもなかなか難しいななんて思って追いついていけませんけれども先生方一台、生徒一人一台ですと、子供の方がずっと先に行って夢が広がっていくと。そういうことで、必ずこれは束縛しないで、コンピューターを設置することによって日本子供たちが世界じゅうとアクセスをして、そして自分たちの夢を広げていく、先生の枠の中からはみ出すことを、ぜひこのコンピューターを配置することによって文部省はおおらかな気持ちになっていただきたいということを要望しておきたいと思います。いかがですか。
  119. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今、昨日の公聴会での公述人によるお話の御紹介がありました。コンピューターを導入することによって、単に情報等の入手とかあるいは送信とか、そういうもののためということだけじゃなくて、大きく子供たちの夢が広がっていくというお話でございました。  私も全くそのとおりだというふうに思っておりまして、今後これを整備するに当たりましては、当然教員の皆さん方にもコンピューターの操作を初め使い方等について十分に習熟をしてもらう必要がありますが、これを使った授業のやり方についてもいろいろ今後研究をして、コンピューター利用による教育が広がって本当に教育にいい効果があるように私ども研究をしていきたいと思っています。
  120. 扇千景

    ○扇千景君 それから文化庁、十二年度の予算で文化庁予算はどれほど伸びましたか。
  121. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) お答えをいたします。  平成十二年度の文化庁の予算でございますが、厳しい財政状況のもとではありますけれども、対前年度三億円増の八百八億円を計上させていただいているところでございます。
  122. 扇千景

    ○扇千景君 財政事情が厳しい中で八百八億円にしていただきましたという次長のお答えですけれども、それで甘んじていてはだめなんですよ。おかげさまでなんということは全く恥ずかしい話でありまして、情けない、努力しましたけれども残念ながらという言葉が聞けるならいいですけれどもおかげさまで八百八億になりましたなんて、こんなことは威張れることではなくて、本当にそう思っていらっしゃるんですか。
  123. 近藤信司

    政府参考人近藤信司君) 先生の御指導、これも常日ごろいただいておるわけでございますが、文化庁といたしまして最大限の努力をしたつもりでございますし、また大臣のもと私どもも一生懸命頑張ってまいりたいと思っております。
  124. 扇千景

    ○扇千景君 大臣、お父様の中曽根元総理もそうでございますけれども、文化立国という言葉を立派にお使いになって、書いたものにはいっぱい文化立国なんて出てくるんです。日本のどこに文化立国という顔があるのか、私は日本に文化立国という顔なんてどこにもないと思うんですね。私は、お金だけが少ないから文化立国でないと言うつもりはさらさらありません。けれども、どこか一点、文化立国という言葉に、あるいは政府が出した文章にふさわしいことがあれば私はいいと思うんです。そして、今度の小渕総理のお言葉の中にも伝統文化を大事にしなんていう立派なお言葉、いつもお使いになるんですけれども、どこにその芽が出ているのかなというふうに、今の予算考えただけでもできないんです。  それと、御存じのとおりメセナというものがございまして、日本企業が文化事業を助けようということでやりましたけれども、高度成長期であるとかバブルの当時にはメセナもお金が集まりました。けれども、不況とともにこのメセナがだんだんお金が集まらなくなりまして、まことに日本の文化という顔がどこにあるんだろうというぐらい情けないので、そういうことに関して文部大臣として、少なくとも日本の文化立国の顔はどこにあるとお思いになりますか、一言おっしゃってください。
  125. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 文化立国の顔というふうなお話でございますが、日本には長い伝統文化、それから地方芸能、また新しい現代文化等々いろいろあるわけでありまして、そういうものは世界に誇ることができるものであろうと思っております。  そういう意味におきまして、これらをさらに継承し発展させ、また教育という面では子供たちにもこれらを教えて、そしてまた海外にも紹介をしていく、幅広い活動を行うことが大切ではないか、そういうふうに思っておるところでございます。
  126. 扇千景

    ○扇千景君 言葉では幾らでも言えるんです。私は文化庁次長にも申し上げておきますけれども、ぜひ頑張らなきゃいけないことは、あしたこの委員会で著作権法をやりますけれども、前回も著作権法のときに、皆さん御存じのとおり、音楽著作権協会、JASRACですね、あそこに一年間に著作権で集まるお金が少なくとも九百八十四億あるんです。九百八十四億ですよ。文化庁予算が今八百八億と言った。これ情けないでしょう。  ですから、少なくとも文化立国だとか、今、大臣が伝統文化とおっしゃいましたけれども、今の若い子供たち日本にしかない伝統文化すら知らないんですね。例えば三味線の音、聞いたことない。お琴の音、聞いたことない。太鼓はちょっと知っている。学校教育の場にそれがないんですね。ですから私は、予算を伴いますからそれらを学校に全部配置しろとは言いません。私はいつか言ったかもしれませんけれども、少なくとも給食時間に各学校がBGMをテープで流せばいいことですから。給食を食べている間に、これが日本伝統のお琴の音ですよと音を流す、あるいは、これが三味線の音ですよといってテープを流す。それだけでも耳に入るんですね。お金のかかることじゃないんです。こんなものをそろえたって教える人がいないし、弾く人もいないんですから。  そういうことで、少なくとも子供たちが、我々は日本人だから日本にしかない伝統を、あるいは文化を大事に身につけていくということの姿勢が、予算をかければいいということではない、このわずかな八百八億という予算の中で、文部省予算と文化庁とは違いますけれども、文化立国だとか、あるいは伝統文化を大事にしてという言葉と実行とがつり合っていない。ですから、お金がかからなくても、そういうふうに子供に幼児教育の間から給食時間にBGMを流すだけでも私は違うと思いますので、ぜひそういうことを予算だけではなくて実行できるところからしていただきたいということを要望して終わりたいと思いますので、一言、何かありましたらおっしゃってください。
  127. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) もっともっと文化の振興あるいは保護等に力を入れていかなければならないと思いますし、そのためには今お話ありました予算面でも努力をしていきたいと思います。  また、貴重な御意見もいただきましたので、今後、その御意見も参考にしながらいろいろ対応をとっていきたいと思います。
  128. 扇千景

    ○扇千景君 終わります。
  129. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 以上をもちまして、平成十二年度一般会計予算外二案中、総理府所管のうち日本学術会議並び科学技術庁文部省所管総務省所管のうち日本学術会議及び文部科学省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 佐藤泰三

    委員長佐藤泰三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会