○
羽田雄一郎君 丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。
次に、各畜種に共通して極めて深刻な問題となっている
畜産環境対策についてお伺いいたします。
昨年の常会で成立した家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の
促進に関する
法律が昨年十一月に施行されました。これに伴い、
畜産農家は五年の猶予期間の後、家畜ふん尿の野積みや素掘りが禁止されるなど、管理基準に従って家畜排せつ物を管理しなければならない義務が生じることになりました。
私は、
畜産農家も業として営んでいる以上、環境への
配慮が求められるのは当然のことであろうと思いますし、
畜産農家の間にも、
畜産排せつ物の管理について環境保全に
配慮しなければならないという
認識を持つものが大多数であると思います。また、
農業の持つ公益的機能を重視し、環境負荷を抑えていくことは、新たな
基本法で示されている
基本理念の一つである持続可能な
農業生産に合致し、適切な
施策を講じていく必要があると考えます。
しかし、昨今の
畜産酪農経営をめぐる厳しい情勢をかんがみると、急に五
年間の猶予を与えるからその間に管理基準に即した施設の
整備をしろと、さらに守らなければ罰則もあるとされても、ただでさえ収益性の低下で脱落する
農家が相次いでいるにもかかわらず、補助金があるとはいえ利益を生まない環境施設にお金を回すことは難しいことから、
畜産農家の廃業を
促進しかねないという懸念もされています。そのような結果となっては、
畜産業の健全な発展という法の目的からも外れることになります。
ある試算によると、五十頭
規模の
酪農家でゼロから
環境対策を進めた場合、一千百万円程度の新規投資が必要であり、さらに尿を処理放出するためには数倍の投資が必要ともされています。こうした中で、
法律の施行に伴い、メーカーが施設のセールスで農村地域に大分入り込んでおり、中には必要以上に高い施設を勧めているケースもあると聞いております。
そこで、現状に混乱が生じないよう都道府県においても早急に
計画を策定するとともに、管理基準で示された施設
整備を行うためにどの程度の投資が必要になるのか、周知等を図っていくことが必要であると考えます。
家畜排せつ物の処理保管施設を
整備するために、十二年度予算においても、法施行等を受けて
制度資金による低利融資、税制上の特例措置、リース事業等の措置が講じられているようですが、環境保全
対策に取り組むインセンティブを補助や融資等できめ細かく設定していく必要があると考えております。
五
年間という限られた期間内に施設の
整備を行うという厳しい
制度を創設したにもかかわらず、助成策が十分でないようにも感じられますが、こうした措置で猶予期間とされている今後五
年間で施設
整備を行うのに十分であると考えているのか、お伺いしたいと思います。